本開示の一目的は、ガスタービンエンジンのブレードに改良を加えることである。
本開示の態様は、従来の技法の制限を克服する鋳型組成物、鋳造方法、および鋳造物品を提供する。本開示の一部の態様は、航空宇宙産業用の部品、例えば、エンジンタービンブレードの製作に関するものであり得るが、本開示の態様は、いずれの産業のいずれの部品にも使用されてよく、特に、チタンおよび/またはチタン合金を含む部品の製作に使用されてよい。
本開示の一態様は、アルミン酸カルシウム粒子および1またはそれ以上の大型粒子を含むセラミック中子組成物に関する。一実施形態では、組成物は微細スケールのアルミン酸カルシウムを含み、前記大型粒子は中空である。もう一つの実施形態では、アルミン酸カルシウム粒子は、一アルミン酸カルシウム、二アルミン酸カルシウム、およびマイエナイトの粒子を含む。組成物は、一例では、約50ミクロン未満の粒度をもつアルミン酸カルシウムからなる。
一実施形態では、大型粒子は、中空の酸化物粒子を含む。もう一つの実施形態では、大型粒子は中空であり、それらは酸化アルミニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、酸化カルシウム粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化チタン粒子、またはその組合せを含む。もう一つの実施形態では、大型粒子は、セラミック、例えばアルミン酸カルシウム、六アルミン酸カルシウム、ジルコニア、またはその組合せなどを含む。一実施形態では、中空の酸化物粒子は、中空のアルミナ球または泡を含む。
特定のサイズの粒子は、本開示の特徴である。特に、組成物の大型粒子は、外形寸法が約70ミクロンよりも大きい粒子を含む。一実施形態では、大型粒子は、外形寸法が約70ミクロン〜約1000ミクロンの粒子を含む。一実施形態では、アルミン酸カルシウム粒子の少なくとも50%の外形寸法は、約10ミクロン未満である。もう一つの実施形態では、アルミン酸カルシウム粒子は、外形寸法が最大約50ミクロンの粒子を含み、大型粒子は、外形寸法が約70〜約1000ミクロンの粒子を含む。
本開示の一態様は、アルミン酸カルシウム粒子および1または複数の大型粒子を含むセラミック中子組成物から形成された鋳造中子に関する。本開示のもう一つの態様は、アルミン酸カルシウム粒子および1または複数の大型粒子を含むセラミック中子組成物から形成された鋳造中子を用いて形成された中空のチタンアルミナイド含有物品に関する。一実施形態では、中空のチタンアルミナイド含有物品は、中空のチタンアルミナイド製タービンブレードを含む。
一実施形態では、アルミン酸カルシウム粒子の重量分率は、約20%よりも大きく、約80%よりも小さい。もう一つの実施形態では、大型粒子の重量分率は、約20%〜約65%である。
一実施形態では、中子の密度は、約0.8g/cc〜約3g/ccである。もう一つの実施形態では、中子組成物は、約700〜1400℃で約1時間の焼成で約1パーセントも収縮しない。一実施形態では、セラミック中子組成物が焼結された後に、セラミック中子はシリカを実質的に含まない。一実施形態では、中子組成物の焼結の前にセラミック中子は中空のアルミナ粒子を含むが、焼結後に中子はシリカを(中子の総重量に基づいて)約0.5重量%しか含まない。
本開示の一態様は、チタン含有物品を鋳造する際に用いる焼結セラミック中子に関し、前記は、アルミン酸カルシウム粒子および大型粒子を含む。一実施形態では、中子は、小型のアルミン酸カルシウム粒子および大型の中空粒子を含む。一実施形態では、アルミン酸カルシウム粒子は、一アルミン酸カルシウム、二アルミン酸カルシウム、およびマイエナイトの粒子を含む。一実施形態では、焼結後、中子はシリカを実質的に含まない。もう一つの実施形態では、焼結前にセラミック中子は中空のアルミナ粒子を含むが、焼結後に中子は遊離シリカを(中子の総重量に基づいて)約0.5重量%しか含まない。
一実施形態では、セラミック中子のアルミン酸カルシウム粒子の重量分率は、約20%よりも大きく、約80%よりも小さい。もう一つの実施形態では、セラミック中子の大型粒子の重量分率は、約20%〜約65%である。一実施形態では、セラミック中子のアルミン酸カルシウム粒子の少なくとも50%は、外形寸法が約10ミクロン未満である。もう一つの実施形態では、セラミック中子中のアルミン酸カルシウム粒子は外形寸法が最大約50ミクロンの粒子を含み、セラミック中子中の大型粒子は外形寸法が約70〜約1000ミクロンの粒子を含む。
本開示の一態様は、アルミン酸カルシウム粒子および大型粒子を含む、焼結セラミック中子である。一実施形態では、セラミック中子は鋳型の中に含まれ、鋳型とは異なる組成を有する。一実施形態では、中子は中空チタンアルミナイド含有物品を形成するために使用される。一実施形態では、2以上の中子が鋳型の中に存在する。一実施形態では、鋳型は2、3または4つの異なるキャビティ位置を有し、その各々がその内部に中子を有する。一実施形態では、2以上の中子を使用する場合、中子は、中子を収容する2以上のキャビティを接続する溝を通じて互いに接続されてよい。一実施形態では、2以上の中子を使用する場合、中子は別々であり、各々が所定の位置内にあるが他のいずれの中子とも接触していない。もう一つの実施形態では、2以上の中子を使用する場合、中子の各々の組成は異なっていてよい。もう一つの実施形態では、2以上の中子を使用する場合、全ての中子は互いと同じ組成を有する。
本開示の一態様は、アルミン酸カルシウム粒子および中空の大型粒子を含む焼結セラミック中子であり、該セラミック中子は中空チタンアルミナイド含有物品を形成するために使用される。本開示のもう一つの態様は、アルミン酸カルシウムセラミック中子を含む中空チタンアルミナイド含有物品であり、該セラミック中子は、中空チタンアルミナイド含有物品を形成するために使用されるアルミン酸カルシウム粒子および1または複数の大型粒子を含む。
一実施形態では、中子の密度は、約0.8g/cc〜約3g/ccである。もう一つの実施形態では、中子組成物は、約700〜1400℃で約1時間の焼成で約1パーセントも収縮しない。本開示の一態様は、一アルミン酸カルシウム、二アルミン酸カルシウム、およびマイエナイトを含むアルミン酸カルシウム粒子を含む中空のチタン含有物品を鋳造するための鋳型組成物;ならびに本明細書に教示されるセラミック中子である。一実施形態では、アルミン酸カルシウム粒子は、一アルミン酸カルシウムの粒子を含む。もう一つの実施形態では、アルミン酸カルシウム粒子は、一アルミン酸カルシウム、および二アルミン酸カルシウムの粒子を含む。
一態様では、本開示は、鋳型のキャビティの内部にセラミック中子を含む鋳型であり、該セラミック中子は、アルミン酸カルシウム粒子および大型粒子を含む。一実施形態では、大型粒子は中空であり、中子および鋳型は異なる組成を有する。もう一つの実施形態では、1または複数のセラミック中子は、鋳型の別々のキャビティ内に存在してよく、セラミック中子は、アルミン酸カルシウム粒子および中空の大型粒子を含む。もう一つの実施形態では、鋳型と中子は中空チタンアルミナイド含有物品を形成するために使用される。
本開示のもう一つの態様は、中空のチタン含有物品を鋳造するための鋳型を作成するための方法である。この方法は、アルミン酸カルシウム粒子、大型粒子および液体を合して、アルミン酸カルシウム粒子および大型粒子の液体中のスラリーを生成すること;スラリーを、消失性模型を含む容器の中に投入すること(容器の内寸が鋳型の外寸を規定する);および、スラリーを容器中で硬化させてチタン含有物品を鋳造するための鋳型を形成することを含む。一実施形態では、微細スケールのアルミン酸カルシウム粒子が、実質的に中空である大型粒子とともに使用される。
もう一つの実施形態では、この方法は、鋳型を作成するための容器の中にスラリーを投入する前に、酸化物粒子をスラリーに添加することをさらに含む。ここに教示される方法で使用される酸化物粒子は、酸化アルミニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、酸化カルシウム粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化チタン粒子、またはその組合せを含む。一実施形態では、ここに教示される方法で使用される酸化物粒子は、中空の酸化物粒子を含む。特定の例では、酸化物粒子は中空のアルミナ球を含む。
ここに教示される方法で使用される粒子のサイズは、ここに教示される方法の特徴である。したがって、一実施形態では、ここに教示される方法で使用されるアルミン酸カルシウム粒子の少なくとも50%は、外形寸法が約10ミクロン未満である。ここに教示される方法の一実施形態では、アルミン酸カルシウム粒子は、外形寸法が最大約50ミクロンの粒子を含み、大型粒子は、外形寸法が約70〜約1000ミクロンの粒子を含む。
本開示の一態様は、ここに教示されるような中空のチタン含有物品を鋳造するための鋳型を作成するための方法であり、該鋳型はニアネットシェイプのチタンアルミナイド製物品を鋳造するためのインベストメント鋳型を含む。
本開示の一態様は、ここに教示されるような中空のチタン含有物品を鋳造するための鋳型で使用する鋳造中子を作成する方法であり、該鋳型は、ニアネットシェイプのチタンアルミナイド製物品を鋳造するためのインベストメント鋳型を含む。
本開示の一態様は、中空のチタンおよびチタン合金の鋳造方法である。この方法は、アルミン酸カルシウム粒子および大型粒子を含むインベストメント鋳型組成物を得ること;前記インベストメント鋳型組成物を消失性模型を含む容器の中に注入すること;前記インベストメント鋳型組成物を硬化させること;前記消失性模型を鋳型から除去すること;鋳型を鋳型鋳造温度に予熱すること;溶融したチタンまたはチタン合金を加熱した鋳型に注入すること;溶融したチタンまたはチタン合金を凝固させ、凝固した中空のチタンまたはチタン合金鋳造物を形成すこと;および凝固した中空のチタンまたはチタン合金鋳造物から鋳型を取り出すことを含む。
鋳造方法の一実施形態では、微細スケールのアルミン酸カルシウム粒子は、実質的に中空である大型粒子とともに使用される。鋳造方法のもう一つの実施形態では、前記消失性模型を鋳型から除去し、鋳型を鋳型鋳造温度に予熱した後、前記鋳型を約450℃〜約1400℃の温度に加熱し、その後前記鋳型を約室温まで冷却させる。一実施形態では、消失性模型の除去は、溶融、溶解、着火、オーブン脱蝋、炉脱蝋、蒸気オートクレーブ脱蝋、またはマイクロ波脱蝋の少なくとも1つを含む。凝固したチタンまたはチタン合金鋳造物を鋳型から取り出した後、一例では、鋳造物はX線ラジオグラフィで検査される。
本開示のもう一つの態様は、本明細書に教示される鋳造方法により作成したチタンまたはチタン合金物品である。物品は、一例では、チタンアルミナイドを含有するタービンブレードを含む。
本開示の一態様は、大型粒子を含むアルミン酸カルシウム粒子と液体を合してスラリーを形成すること;スラリーをダイに投入して物品成形体であるグリーン体を作製すること;ならびにセラミック中子を形成するのに十分な条件下でグリーン体を加熱することを含む、セラミック中子を作成する方法である。セラミック中子を作成するために、一実施形態では、微細スケールのアルミン酸カルシウム粒子が、実質的に中空である大型粒子とともに使用される。
セラミック中子を作成する方法は、一例では、物品成形体を作製するためのダイにスラリーを投入する前に、スラリーに酸化物粒子を添加することを含む。これらの酸化物粒子は、一例では、中空の酸化物粒子を含む。一実施形態では、セラミック中子は、中空のアルミナ球を含む中空の酸化物粒子を用いて作成される。
もう一つの実施形態では、中子はアルミン酸カルシウム粒子を用いて作成され、該アルミン酸カルシウム粒子の少なくとも50%は、外形寸法が約10ミクロン未満である。特定の実施形態では、中子は、外形寸法が最大約50ミクロンの粒子を含むアルミン酸カルシウム粒子、および外形寸法が約70〜約1000ミクロンの粒子を含む大型粒子を用いて作成される。
本開示の一態様は、(i)a)大型粒子を含むアルミン酸カルシウム粒子と液体を合してスラリーを形成すること;b)前記スラリーをダイに投入して物品成形体であるグリーン体を作製すること;c)焼結したセラミック中子を形成するのに十分な条件下で前記グリーン体を加熱する工程とを含む、セラミック中子を作成すること(ii)鋳型内の予め選択された位置に前記セラミック中子を配置すること;(iii)溶融したチタンまたはチタン合金含有材料を前記鋳型に投入すること;(iv)前記溶融材料を冷却して、前記鋳型の内部で前記タービン部品を形成すること;(v)前記鋳型と前記タービン部品を切り離すこと;(vi)中空のタービン部品を形成するために、前記中子を前記タービン部品から取り出すことを含む、中空のタービン部品を鋳造するための方法である。一実施形態では、鋳造されるタービン部品は、タービンブレードである。
本開示のこれらおよびその他の態様、特徴、および利点は、添付の図面と併せて、本開示の様々な態様の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
本発明とみなされる主題は、特に指摘され、明細書の終わりの特許請求の範囲で明確に主張される。本開示の前述のおよびその他の特徴および利点は、以下に説明される添付の図面と併せて、本発明の態様の以下の詳細な説明から容易に理解されるであろう。
用語「a」および「an」および「the」の使用ならびに同様の言及は、本発明を説明する文脈において(特に以下の特許請求の範囲を説明する文脈において)、本明細書中で特に明記されるか、または文脈から明らかに否定されない限り、単数形と複数形の両方を網羅すると解釈されるべきである。量に関して使用される修飾語「約」は、述べられた値を含み、文脈に示される意味を有する(例えば、それは、特定の量の測定に付随する誤差の程度を含む)。本明細書に開示される全ての範囲は端点を含み、端点は互いに独立に組み合わせられる。
本開示は、通常、セラミック中子組成物、鋳造中子ならびに中子および関連する鋳造物品を作成する方法に関し、より特に、中子組成物、中子を含む鋳型、および中空のチタン含有物品を鋳造するための方法、およびそのように成形された中空のチタン含有物品に関する。
インベストメントシェル鋳型におけるチタンおよびその合金のインベストメント鋳造によるチタン系部品の製造は、鋳造物が「ニアネットシェイプ」に鋳造されるべきであるという見地から問題点を提示する。つまり、部品は、実質的に部品の最終の望ましい寸法に鋳造され、最終処理または機械加工をほとんどまたは全く必要としないことがある。例えば、一部の従来の鋳造は、鋳造物に存在する表面の汚染(例えばαケースなど)を除去するために、ケミカルミリング操作だけを必要とすることがある。しかし、鋳造物のαケースの下に位置するどんな表面下のセラミック包含物も、一般的にケミカルミリング操作によって除去されず、鋳型と鋳型の中の反応性金属、例えば、反応性チタンアルミナイドとの間の反応に起因して形成される。
本開示は、ニアネットシェイプに中空のチタンおよびチタンアルミナイド製部品、例えば、中空のタービンブレードまたはエーロフォイルなどを鋳造するための新しいアプローチを提供する。本開示の実施形態は、例えば、航空宇宙産業、工業および海産業で使用するための中空のチタンおよびチタン合金部品を提供するセラミック中子組成物および鋳造方法を提供する。一部の態様では、組成物は、鋳型造形中に改良された鋳型強度を提供し、かつ/または鋳造中に鋳造金属との反応に対する抵抗性を増加させる鋳型を提供する。本開示の態様に従う鋳型および中子は、高圧で鋳造することができ、ニアネットシェイプ鋳造方法に望ましい。鋳造物に改良された性質を提供する鋳型および中子組成物、例えば、アルミン酸カルシウム粒子およびアルミナ粒子を含有する組成物、ならびに好ましい構成相が特定された。
一態様では、本発明者らは、大型粒子と組み合わせたアルミン酸カルシウム粒子が、中空のチタン含有物品を鋳造するための鋳型を作成するために使用されるセラミック中子組成物、および関連する鋳造方法をもたらすことができることを見出した。中子組成物の構成相は、一アルミン酸カルシウム(CaAl2O4)を含む。本発明者らは、少なくとも2つの理由で一アルミン酸カルシウムが望ましいことを見出した。第一に、発明者らは、一アルミン酸カルシウムが鋳型作成の初期段階中に粒子間の水硬性結合形成を促進すると理解していることであり、この水硬性結合は鋳型構築中に鋳型強度を与えると考えられている。第二に、一アルミン酸カルシウムは、チタンおよびチタンアルミナイド系合金との反応の速度が非常に遅いと発明者らが理解していることである。一アルミン酸カルシウムは、本開示の中子組成物にアルミン酸カルシウム粒子の形態で提供される。一態様では、中子組成物は、アルミン酸カルシウム粒子とアルミナ、例えば、中空の酸化アルミニウムとの混合物を含む。
本開示の一態様では、中子組成物は、鋳造中の合金との反応が最小であり、鋳型は、必要な部品の性質を備えた中空の鋳造物を提供する。鋳造物の外的性質には、形状、形状寸法、および表面仕上などの特徴が含まれる。鋳造物の内的性質には、機械的性質、微細構造、指定されたサイズ以下で許容範囲内の欠陥(例えば孔および包含物など)が含まれる。
初期アルミン酸カルシウム(液体粒子混合物)中の固体および最終アルミン酸カルシウム中の固体の百分率は、本開示の特徴である。一例では、固体の百分率は、初期アルミン酸カルシウム−液体粒子ミックス中の固体の百分率は、約65%〜約80%である。一例では、初期アルミン酸カルシウム−液体粒子ミックス中の固体の百分率は、約70%〜約80%である。別の例では、最終アルミン酸カルシウム−液体粒子ミックス中の固体、つまり外形寸法が約50ミクロン未満のアルミン酸カルシウム粒子および約70ミクロンよりも大きい大型アルミナ粒子は、約75%〜約90%である。初期アルミン酸カルシウム粒子は微細スケール、一例では約5ミクロン〜約50ミクロンであり、約70ミクロンよりも大きいアルミナ粒子は、均一かつ均質なスラリーを得るために水と混合される。最終ミックスは、次第に大型のアルミナ粒子、例えば最初に70ミクロン、その後150ミクロンを初期スラリーに添加し、均一なミックスを実現するために2〜15分間混合することによって形成される。
本開示の一態様の組成物は、中空チタンアルミナイド(TiAl)タービンブレード、例えば、TiAl低圧タービンブレードの低コスト鋳造を提供する。この組成物は、従来のシェル鋳型および重力鋳造を用いて作成した部品よりも少ない機械加工および/または処理しか必要としないニアネットシェイプ部品を鋳造する能力をもたらすことができる。本明細書において、「ニアネットシェイプ」という表現は、物品の最初の製造が物品の最終の(正味の)形状に近く、さらなる処置、例えば、広範囲の機械加工および表面仕上の必要性を減らすことを意味する。本明細書において、用語「タービンブレード」とは、蒸気タービンブレードとガスタービンブレードの両方をさす。
本出願の発明者らは、中空のチタン合金およびチタンアルミナイド合金鋳造物を製造するための技術を見出した。本開示は、とりわけ、チタン合金のインベストメント鋳型の中子を製造するための組成物、ならびに、チタンおよびチタン合金の中空の部品を提供することのできる鋳造プロセスを提供する。本開示の技術的利点の一つは、一態様では、本開示は、例えば、アルミン酸カルシウム粒子、およびアルミナインベストメント鋳型および中子を含むそのような鋳型から生成することのできるネットシェイプ鋳造の構造上の完全性を改良することができることである。強度が高いほど、例えば、疲労強度が高いほど、軽い中空部品を作製することが可能である。その上、疲労強度がより高い部品は、より長持ちすることができ、従ってライフサイクルコストがより低い。
本開示は、チタン合金のインベストメント鋳型用の中子組成物、中子を作成する方法、中子を含む鋳型、および、タービンブレードをはじめとする、中空のチタン合金部品を中子を用いて鋳造するための方法を提供する。中子組成物は、一例では、アルミン酸カルシウムおよびアルミナ粒子、例えば中空のアルミナ粒子を含む。アルミン酸カルシウム粒子は、溶融したチタン合金とセラミックの反応に耐える能力を中子にもたらす。
中空のアルミナ粒子は、中子にコンプライアンスおよび粉砕性をもたらす;中子は凝固冷却後の間に過剰な引張応力を鋳造物に与えないことが必要であるので、これらは望ましい性質である。一般的に、中子材料は金属よりも低い熱膨張係数を有し、金属はセラミックよりも急速に冷める。凝固冷却後の間、部品は中子よりも速く収縮するので、中子が強すぎると、中子は部品に引張応力を与えることになる。そのため、本開示の特徴は、過剰な引張応力を部品に与えることがなく、引張引裂(tensile tears)、亀裂、および欠陥を生成しないように、冷却中に粉砕される中子である。結果は、白金ピンが鋳型の中に吊り下げられた中子を保持する、中子を含むスラブ鋳型を示す(図13〜15参照)。
ワックスは、結果として得られるスラブワックスの内部に中子が位置するスラブを作成するために、最初に準備される。評価試験のための中空のスラブを作成するために、従来のスラブワックスを生成し、スラブの端部のワックスの部分を除去した。次に、スラブの端面を露出させているスラブの端面に接着させたシートワックスを用いてスラブの端面を再構築した。スラブワックスの上部の赤色のワックスは、スラブ鋳造物の凝固収縮に対応するために用いられるライザーである。
次に、白金ピンを、シートワックスを貫きキャビティを横切ってスラブの側面に直角に挿入した。白金ピンは、スラブワックスの両側を貫通し、キャビティ中で各側のシートワックスによって支持されるように配置された。キャビティおよび白金ピンの配列は、例えば図2、5および6に示される。一例では、白金ピンは、キャビティを横切っているのが分かる。次に、アルミン酸カルシウム含有中子材料をキャビティに添加し、硬化させた。白金ピンは、鋳造の間、中子を適所に保持する。鋳造の後、白金ピンは鋳造物に埋まる。
ワックス模型を準備した後、鋳型を作成した。鋳型は約24時間硬化させた。硬化の後、ワックスを除去した。鋳型を硬化してワックスを除去した後、スラブ中の中子は鋳型キャビティに吊り下げられ、白金ピンによって支えられていた。次に、グリーン型と中子を600℃よりも高い温度で1時間を超える時間、一例では2〜6時間焼成して、鋳造に十分な中子および型強度を生じ、中子および鋳型に残留する望ましくない不純物を除去した。一例では、焼成温度は600℃であり、時間は約4時間である。一実施形態では、中子は別々に焼成され、その後、ワックスで鋳型に組み立てることができ、その後、セラミックミックス配合物を用いて鋳型をインベストメントで包むことができる。
図1は、中子が鋳型の内部にある鋳型を用いて製造した、得られるチタン合金(チタンアルミナイド)スラブ鋳造物を示す。部分的に除去された中子を含む鋳造物の領域は、図2および3に見ることができる。中子によって生成された鋳造物の内面は、図3で見ることができる。鋳造物のこの内面は、高品質であることが示された;つまり、内面の表面は滑らかであり(その表面粗さRa値は100未満であった)、鋳造操作中の中子材料との積極的な反応の証拠はほとんど示さなかった。鋳型作成および鋳造中に中子を支えるために使用した白金ピンも、いくつかの写真に見ることができる(図2、5および13参照)。図7および8は、ブレードの縦軸に対して横方向に切断された後の鋳造物を示す。ブレードも、アルミン酸カルシウム含有中子をその中に用いて製造された。チタンアルミナイドブレード鋳造の一例が、図16に示される。
中子を支える白金ピンの直径は、本開示の一つの特徴である。本出願の発明者らは、ピンの直径があまりに小さく(約2mm未満はこれを修正することが必要である)、支持されない長さがあまりに長い場合、ピンは焼成の間に変形し、鋳型中の中子の位置が保持されないことを見出した。鋳型の中で中子の位置が動くと、鋳造部品内の中空のキャビティの寸法は正確に制御されず、部品は不合格となる。ある特定の実施形態では、白金ピンの直径は、約0.1mm〜約4mmに及び得る。
これに対し、ピンの直径があまりに大きい(約2mmよりも大きい)場合、ピンは熱処理の後の最終鋳造物中に欠陥として残り、部品の疲労抵抗性を低下させる。本開示の発明者らは、鋳造の前および鋳型充填中に鋳型内で中子を安定させるために白金ピン、または白金合金ピンが好ましいことを見出した。白金は、その強度および酸化耐性のために好ましい。鋳造および熱処理の後、機械的性質の必要条件が維持されるかまたは改善されるように、ピンは構造に均質化される。そのため、白金ピンは、一例では直径が約2mmである。一例では、本発明者らは、1本の長さ20mmの白金ピンで鋳型を固定した(図14参照)。別の例では、本発明者らは2本の長さ13mmの白金ピンを一緒に撚り、これを用いて鋳型を固定した(図15参照)。したがって、一例では、長さが約10〜約30mmで直径が約2mmの白金または白金合金ピンが使用される。1または複数の白金ピンを使用してよい。別の例では、白金ピンは、鋳型内の中子の安全を最大にするように置かれる。例えば白金ピンは、例えば交差または平行な構成の様々な構成に置かれる。
中子のアルミン酸カルシウム粒子の重量分率は、本開示の特徴である。一実施形態では、アルミン酸カルシウム粒子の重量分率は、約20%〜約80%である。一実施形態では、アルミン酸カルシウム粒子の重量分率は、約20%〜約60%である。一実施形態では、アルミン酸カルシウム粒子の重量分率は、約20%〜約40%である。一実施形態では、アルミン酸カルシウム粒子の重量分率は、約40%〜約60%である。一実施形態では、アルミン酸カルシウム粒子の重量分率は、約55%〜約65%である。
一実施形態では、アルミン酸カルシウム粒子の重量分率は、約40%である。一実施形態では、アルミン酸カルシウム粒子の重量分率は、約50%である。一実施形態では、アルミン酸カルシウム粒子の重量分率は、約60%である。一実施形態では、アルミン酸カルシウム粒子の重量分率は、約70%である。一実施形態では、アルミン酸カルシウム粒子の重量分率は、約80%である。
中子配合物で使用されるアルミン酸カルシウム粒子の粒度は、本開示のさらにもう一つの特徴である。それは、これが中空の鋳造物の内面の表面仕上および中子の強度に重要な影響を及ぼすためである。一例では、アルミン酸カルシウム粒子の粒度は約50ミクロン未満である。別の例では、アルミン酸カルシウム粒子の平均粒度は約10ミクロン未満である。一実施形態では、粒度は、粒子の外形寸法として測定される。アルミン酸カルシウム粒子は、外形寸法が約5ミクロン〜約50ミクロンであり得る。
本開示の発明者らは、中子組成物が有益な性質を備えて作成され得ること、および微細スケールのアルミン酸カルシウム粒子と大型中空粒子の中子用の組合せが改良された結果をもたらすことを見出した。アルミン酸カルシウムのこれらの微細スケールの粒子は、外形寸法が約2ミクロン〜約40ミクロンであり得る。一例では、中子組成物で使用されるアルミン酸カルシウム粒子は、約10ミクロン〜約30ミクロンであり得る。別の例では、アルミン酸カルシウム粒子は、外形寸法が約20ミクロン〜約40ミクロンである。一実施形態では、アルミン酸カルシウム粒子は、外形寸法が約5ミクロンである。一実施形態では、アルミン酸カルシウム粒子は、外形寸法が約10ミクロンである。一実施形態では、アルミン酸カルシウム粒子は、外形寸法が約20ミクロンである。一実施形態では、アルミン酸カルシウム粒子は、外形寸法が約30ミクロンである。一実施形態では、アルミン酸カルシウム粒子は、外形寸法が約40ミクロンである。一実施形態では、アルミン酸カルシウム粒子は、外形寸法が約50ミクロンである。
約50ミクロン未満のアルミン酸カルシウム粒度が、3つの理由で中子に好ましい:第一に、微粒子サイズは、硬化中の水硬性結合の形成を促進すると考えられる;第二に、微粒子サイズは焼成中に分子間焼結を促進すると理解され、これは鋳型強度を増大することができる;そして第三に、微粒子サイズは鋳型で製造された鋳造物品の表面仕上を向上させると考えられる。アルミン酸カルシウム粒子は、粉末として提供されてよく、その固有の粉末形態か、または凝集形態のいずれかで、例えば噴霧乾燥凝集体などとして、使用することができる。アルミン酸カルシウム粒子は、一例では、大型の(例えば、サイズが約70ミクロンよりも大きい)アルミナと事前にブレンドすることもできる。アルミナは、高温焼成中の焼結のために強度の増大をもたらすと考えられる。特定の例では、微細スケールのアルミナ(つまり、サイズが50ミクロン未満)は、大型アルミナの有無にかかわらず添加されてもよい。一実施形態では、アルミン酸カルシウム粒子は高純度であり、最大70%のアルミナを含有する。
アルミン酸カルシウム粒子は、最小量の不純物、例えば、最小量のシリカ、ナトリウムおよびその他のアルカリ、および酸化鉄などを有するように設計され、加工される。一態様では、アルミン酸カルシウム粒子の目標レベルは、Na2O、SiO2、Fe2O3、およびTiO2の合計が約2重量パーセント未満であることである。一実施形態では、Na2O、SiO2、Fe2O3、およびTiO2の合計は、約0.05重量パーセント未満である。
一態様では、鋳型組成物、例えばインベストメント鋳型組成物、または中子組成物は、微細スケールのアルミン酸カルシウム粒子と大型の中空アルミナ粒子の混合物を含んでよい。アルミン酸カルシウム粒子は、結合剤として機能することができ、例えば、アルミン酸カルシウム粒子は、鋳型および中子構造の主な骨格構造を提供することができる。アルミン酸カルシウム粒子は、鋳型および中子において連続相を構成することができ、硬化および鋳造中に強度を与えることができる。中子組成物は、微細スケールのアルミン酸カルシウム粒子および大型の中空のアルミナ粒子で構成されてよい、つまり、アルミン酸カルシウムおよび大型のアルミナ粒子は、その他の成分がほとんどまたは全くない、中子組成物の実質的に唯一の成分を構成することができる。
中子の大きい粒子、例えばアルミナ泡(または中空のアルミナ粒子)の重量分率は、これがコンプライアンスおよび粉砕性を決定するので、本開示のもう一つの特徴である。一実施形態では、大型粒子の重量分率は、少なくとも20%である。もう一つの実施形態では、大型粒子の重量分率は、約20%〜約65%である。これらの大型粒子は、中空、例えば外形寸法が70ミクロンよりも大きい中空のアルミナ粒子であってよい。あるいは、大型粒子の重量分率は、約20%〜約45%である。一実施形態では、大型粒子の重量分率は、約20%〜約35%である。一実施形態では、大型粒子の重量分率は、約20%〜約30%である。一実施形態では、大型粒子の重量分率は、約30%〜約50%である。大型粒子の重量分率は、別の例では、約20%である。一実施形態では、大型粒子の重量分率は、約30%である。一実施形態では、大型粒子の重量分率は、約40%である。一実施形態では、大型粒子の重量分率は、約50%である。一実施形態では、大型粒子の重量分率は、約60%である。本開示で使用される大型粒子は、一例では、アルミナの中空粒子である。
中子配合物で使用される大型粒子の粒度は、本開示のさらにもう一つの特徴である。一例では、大型粒子の粒度は、外形寸法が約70ミクロン〜約1000ミクロンである。別の例では、大型粒子の平均粒度は、70ミクロンよりも大きい。一実施形態では、粒度は、粒子の外形寸法として測定される。大型粒子は、外形寸法が約70ミクロン〜約200ミクロンであり得る。本開示の発明者らは、中子組成物が有益な性質を備えて作成され得ること、および微細スケールのアルミン酸カルシウム粒子と大型中空粒子の組合せが優れた結果をもたらすことを見出した。
これらの大型粒子は、外形寸法が約70ミクロン〜約150ミクロンであり得る。一例では、中子組成物で使用される大型粒子は、約100ミクロン〜約200ミクロンであり得る。別の例では、大型粒子は、外形寸法が約150ミクロン〜約1000ミクロンである。一実施形態では、大型粒子は、外形寸法が約100ミクロンである。一実施形態では、大型粒子は、外形寸法が約150ミクロンである。一実施形態では、大型粒子は、外形寸法が約200ミクロンである。一実施形態では、大型粒子は、外形寸法が約1000ミクロンである。
これらの大型粒子は、中空の酸化物粒子を含んでよい。大型粒子は、酸化アルミニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、酸化カルシウム粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化チタン粒子、またはその組合せを含んでよい。大型粒子は、セラミック、例えばアルミン酸カルシウム、六アルミン酸カルシウム、ジルコニア、またはその組合せなどであってよい。一実施形態では、酸化物粒子は、1または複数の異なる酸化物粒子の組合せであってよい。特定の例では、大型粒子は中空の酸化物粒子であり、関連する例では、これらの大型粒子は中空の酸化アルミニウム球または泡を含む。一実施形態では、本開示は、アルミン酸カルシウムを含む、中空のチタン含有物品鋳型組成物を含む。もう一つの実施形態では、鋳型組成物は、酸化物粒子、例えば、中空の酸化物粒子をさらに含む。
ある特定の実施形態では、中空の酸化物粒子は、中空のアルミナ球(一例では、直径が100ミクロンよりも大きい、例えば、約1000ミクロンのもの)を含んでよい。中空のアルミナ球は、鋳型または中子組成物に組み込まれてよく、中空球は、様々な形状寸法、例えば円形の粒子、または不規則な凝集体などの形をとってよい。ある特定の実施形態では、アルミナには、円形の粒子と中空球の両方が含まれてよい。一態様では、これらの形状寸法は、インベストメント鋳型混合物の流動性を増加させることが見出された。強化された流動性は、一般に、鋳型から製造した最終鋳造物の表面仕上および表面の特徴の忠実度または正確さを改善することができる。
中子組成物は、例えば、中空の粒子の形態の酸化アルミニウムをさらに含むことができる。一例では、これらの粒子は、酸化物によって実質的に包囲された中空の中子または実質的に中空の中子を有する。これらの中空の酸化アルミニウム粒子は、約99%の酸化アルミニウムを含んでよく、外形寸法、例えば、幅または直径が約10ミリメートル[mm]以下である。一実施形態では、中空の酸化アルミニウム粒子は、外形寸法、例えば、幅または直径が約1ミリメートル[mm]以下である。もう一つの実施形態では、酸化アルミニウムは、約70ミクロン[ミクロン]〜約10,000ミクロンの範囲の外形寸法を有し得る粒子を含む。もう一つの実施形態では、酸化アルミニウムは、約70ミクロン[ミクロン]〜約1000ミクロンの範囲の外形寸法を有し得る粒子を含む。
特定のサイズの粒子は、本開示の特徴である。アルミン酸カルシウムの微細なまたは小型の粒子と中空の大型粒子の組合せは、本開示の一つの特徴である。アルミン酸カルシウム粒子は、外形寸法が最大約50ミクロンの粒子を含んでよく、これらの微細スケールの粒子は、外形寸法が約70〜約1000ミクロンの粒子を含む大型粒子と組み合わされる。アルミン酸カルシウム粒子の少なくとも50%は、一例では、外形寸法が約10ミクロン未満である。一例では、アルミン酸カルシウム粒子の少なくとも50%は、外形寸法が約25ミクロン未満である。
アルミン酸カルシウム粒子と大型粒子、例えばアルミナ泡/大きい粒子の両方の粒度分布は、本開示の一つの特徴であり、焼成による線収縮を制御する役割を果たす。その上、アルミン酸カルシウム粒子および大型粒子、例えばアルミナ粒子、および焼成サイクル(例えば、温度、時間、湿度)の特徴をはじめとする要因も本開示の特徴である。
中子の密度は、本開示の特徴である。密度は、中子の強度/粉砕性、および方法、例えば浸出、具体的には優先浸出によって中空の鋳造物から除去される中子の能力に影響を及ぼす。優先浸出は、鋳造物自体を除去することなく鋳造物からセラミック中子を除去することを伴う。一実施形態では、中子の密度は、約0.8g/cc〜約3g/ccである。一実施形態では、中子の密度は、約1.5g/ccである。本発明者らは、中子密度が低すぎると、中子は鋳型作成および鋳造の間の応力に耐える十分な強度がないことを見出した。中子密度が高すぎると、鋳造物からの中子の除去は困難である。
焼成による中子の収縮は、中子の寸法を制御する際に役割を果たす。微細スケールのアルミン酸カルシウム粒子および大型粒子、例えばアルミナ粒子などの重量分率の比を選択することによって、一部の実施形態において、中子収縮は約1.0%未満に減らすことができる。配合物を改良することによって、大型粒子の低焼結性のために、約30%を超える大型粒子の重量百分率を用いることで、焼成による中子の収縮は約0.75%未満に減らすことができる。
本開示はまた、セラミック中子を作成する方法を教示する。中子は、乾式プレス(焼結、(ワックスまたはポリマーなどの結合剤による)射出成形の後に)、ゲル鋳造、またはスラリー鋳造を含む様々な成形方法によって作成することができる。一例では、本開示は、中子を作成する3つの方法を提供する:第一に、微細スケールのアルミン酸カルシウムおよび大型のアルミナの粉末を混合し、圧縮ダイを用いて粉末ミックスを乾燥プレスし、焼結する。第二に、結合剤/滑沢剤としてのワックスとともに微細スケールのアルミン酸カルシウムと大型のアルミナのミックス粉末を射出成形する。第三に、下により詳細に記載されるように、微細スケールのアルミン酸カルシウムと大型のアルミナのスラリーをダイに注入する。
セラミック中子は、大型粒子を含むアルミン酸カルシウム粒子と液体を合してスラリーを形成し、その後このスラリーをダイに投入して、物品成形体のグリーン体を作製することによって作成される。その後、グリーン体を加熱してセラミック中子を作成する。セラミック中子を作成するために、微細スケールのアルミン酸カルシウム粒子は、実質的に中空である大型粒子、例えば外形寸法が約70ミクロンよりも大きい酸化アルミニウムの大型中空粒子とともに使用されてよい。
セラミック中子を作成する方法には、スラリーを物品成形体に投入する前に酸化物粒子をスラリーに添加することが含まれてよい。これらの酸化物粒子は、一例では、中空の酸化物粒子を含む。セラミック中子は、中空の酸化物粒子および/または中空のアルミナ球を用いて作成することができる。これらの大型粒子は、中空であるかまたは実質的に中空であってよい。
初期スラリーは、50〜150センチポイズの間の粘度になるように混合される。一実施形態では、粘度範囲は、80〜120センチポイズの間である。粘度があまりに低いと、スラリーは、懸濁液中の全ての固体を維持することができなくなり、より重い粒子の沈殿が起こり、硬化中の分離をもたらす。粘度があまりに高いと、アルミン酸カルシウム粒子は、消失性模型に分割することができない。アルミン酸カルシウム粒子および中空の大型粒子(例えば、中空のアルミナ粒子)を含む最終スラリーは、約2000〜8000センチポイズの間の粘度になるように混合される。一実施形態では、この最終スラリー粘度範囲は、3000〜6000センチポイズの間である。最終スラリー/ミックス粘度があまりに高いと、最終スラリーミックスは、消失性模型の周囲に流れず、鋳型の内部のキャビティは最終の必要とされる部品の鋳造に適さないことになる。最終スラリーミックス粘度があまりに低いと、より重い粒子の沈殿が硬化中に起こり、鋳型は必要とされる中子全体を通して均一な組成を有さず、結果として得られる鋳造物の質は損なわれることになる。
初期スラリーの固体配合量および最終鋳型ミックスの固体配合量は、中子構造に影響を及ぼす。固体配合量の百分率は、ミックス中の全固体をミックス中の液体および固体の全質量で除算したものと定義され、百分率で記載される。一実施形態では、初期アルミン酸カルシウム−液体ミックス中の固体の百分率は、約71パーセント〜78パーセントである。
初期アルミン酸カルシウムスラリー中の固体配合量が約70パーセント未満である場合、粒子は懸濁液中にとどまらず、鋳型の硬化中に粒子は水と分離し、組成は鋳型全体を通して均一でなくなる。対照的に、セメント中の固体配合量があまりに高いと(例えば約78パーセント超)、大型アルミナを含む最終ミックスの粘度は高くなりすぎ(例えば、添加される大型アルミナ粒子の量、サイズ、および形態に応じて約85%超)、ミックス中のアルミン酸カルシウム粒子は、鋳型内部の消失性模型に分割することができなくなる。
一実施形態では、大型(約70ミクロンよりも大きいことを意味する)アルミナ粒子を含む最終アルミン酸カルシウム−液体ミックス中の固体の百分率は、約75パーセント〜約90パーセントである。一実施形態では、大型アルミナ粒子を含む最終アルミン酸カルシウム−液体ミックス中の固体の百分率は、約78パーセント〜約88パーセントである。もう一つの実施形態では、大型アルミナ粒子を含む最終アルミン酸カルシウム−液体ミックス中の固体の百分率は、約78パーセント〜約84パーセントである。特定の実施形態では、大型アルミナ粒子を含む最終アルミン酸カルシウム−液体ミックス中の固体の百分率は、約80パーセントである。
アルミナは、アルミナ粒子、例えば中空のアルミナ粒子として組み込むことができる。粒子は、様々な形状寸法、例えば円形の粒子、または不規則な凝集体などの形をとることができる。アルミナ粒度は、10ミクロンと同程度小さくてもよいし、10mmと同程度大きくてもよい。一実施形態では、アルミナは円形の粒子と中空の粒子の両方で構成される、それは、これらの形状寸法がインベストメント鋳型混合物の流動性を高めるためである。
流動性は、消失性模型の周囲でのインベストメント鋳型ミックスの注入および硬化中に、アルミン酸カルシウム粒子が消失性模型(例えばワックスなど)に分割する方法に影響を及ぼす。流動性は、鋳型から製造した最終鋳造物の表面特徴の表面仕上および忠実度に影響を及ぼす。
中空により、これらの大型粒子は、その粒子が完全で詰め込まれた高密度粒子でないように、1または複数の粒子内に空間または空気のポケットを有する粒子であることが企図される。この空間/空気の程度は変化し、中空の粒子には、粒子の体積の少なくとも20%が空気である粒子が含まれる。一例では、中空の粒子は、粒子の体積の約5%〜約75%が空の空間または空気で構成されている粒子である。別の例では、中空の粒子は、粒子の体積の約10%〜約80%が、空の空間または空気で構成されている粒子である。さらに別の例では、中空の粒子は、粒子の体積の約20%〜約70%が、空の空間または空気で構成されている粒子である。別の例では、中空の粒子は、粒子の体積の約30%〜約60%が、空の空間または空気で構成されている粒子である。別の例では、中空の粒子は、粒子の体積の約40%〜約50%が、空の空間または空気で構成されている粒子である。
別の例では、中空の粒子は、粒子の体積の約10%が、空の空間または空気で構成されている粒子である。一例では、中空の粒子は、粒子の体積の約20%が、空の空間または空気で構成されている粒子である。一例では、中空の粒子は、粒子の体積の約30%が、空の空間または空気で構成されている粒子である。一例では、中空の粒子は、粒子の体積の約40%が、空の空間または空気で構成されている粒子である。一例では、中空の粒子は、粒子の体積の約50%が、空の空間または空気で構成されている粒子である。一例では、中空の粒子は、粒子の体積の約60%が、空の空間または空気で構成されている粒子である。一例では、中空の粒子は、粒子の体積の約70%が、空の空間または空気で構成されている粒子である。一例では、中空の粒子は、粒子の体積の約80%が、空の空間または空気で構成されている粒子である。一例では、中空の粒子は、粒子の体積の約90%が、空の空間または空気で構成されている粒子である。
中空の粒子、例えば中空の大型アルミナ粒子は、少なくとも2つの機能を提供する:[1]それらは中子の密度および重量を低下させ、強度の低下は最小限である;約500psi以上の強度レベルが得られ、密度は約2g/cc以下である;ならびに[2]それらは鋳型の弾性率を低下させ、鋳造後の鋳型および部品の冷却中にコンプライアンスをもたらすのに役立つ。鋳型のコンプライアンスおよび粉砕性の増加は、部品への引張応力を低下させ得る。
図2、3、7および8は、スラブ鋳造物の部分を示す。これらの部分により、アルミン酸カルシウム含有中子を直接観察することができ;鋳造物および中子の様々な異なる部分を見ることができる。中子は、乾式プレス(焼結、(ワックスまたはポリマーなどの結合剤による)射出成形の後に)、ゲル鋳造、またはスラリー鋳造を含む様々な成形方法によって作成することができる。
ここで本発明者らは、チタン含有物品を鋳造する際に用いる焼結セラミック中子も教示する。中子は、アルミン酸カルシウム粒子および大型粒子を含む。アルミン酸カルシウム粒子は小型であり、大型粒子は中空であってよい。中子は、それが焼結された後はシリカを実質的に含まない。一例では、焼結前にセラミック中子は中空のアルミナ粒子を含むが、焼結後に中子は遊離シリカを(中子の総重量に基づいて)約0.5重量%しか含まない。
図8において、中子はグリットブラストによって部分的に除去され、鋳造物の内面を観察することができる。図7aにおいて、部分的に取り出した中子は、より高い倍率で見ることができ、鋳造物の内面をより詳細に観察することができる。また、鋳型の中で中子を支えるために使用された白金ピンの1つを見ることも可能である。白金ピンは、鋳造の間、完全に除去されなかった。鋳造物は、鋳放し状態で観察される;それはどんな熱処理も受けていない。
アルミン酸カルシウム含有中子によって生成された鋳造物の内面の状態は許容されることが示された。グリットブラストされた状態では、さらなるコンディショニングを行わずに、Ra値は約10〜約50であった。図7および8は、中子および鋳造物の様々な部分を示す;中子と鋳造物との間の反応はほとんどから全くなく、中子の完全性は維持された。
表面粗さは、鋳造物と機械加工した部品の表面完全性を表す指数の一つである。表面粗さは、中心線平均粗さ値「Ra」、ならびに光学プロフィロメトリーによって測定される指定された区域での山から谷までの平均距離「Rz」によって特徴づけられる。粗さ値は、プロファイルに基づくか、または表面に基づいて計算することができる。プロフィール粗さパラメータ(Ra、Rq、…)の方が一般的である。粗さパラメータの各々は、表面を記述するための式を用いて計算される。多くの異なる粗さパラメータが使用されるが、Raが、断然最も一般的である。当技術分野で公知のように、表面粗さは工具摩耗と相関する。一般的に、研削仕上およびホーニング仕上による表面仕上プロセスは、Raが0.1mm〜1.6mmの範囲内の表面をもたらす。最終コーティングの表面粗さRa値は、コーティングまたは塗装物品の望ましい機能によって決まる。
平均粗さ、Raは、高さの単位で表される。帝国(英国)システムでは、1Raは、一般的にインチの「100万分の1」で表される。これは、「マイクロインチ」とも呼ばれる。本明細書において示されるRa値はマイクロインチをさす。70のRa値は、約2ミクロンに相当する;そして、35のRa値は、約1ミクロンに相当する。一般的に、高性能物品、例えばタービンブレード、タービン羽根/ノズル、ターボチャージャー、レシプロエンジンのバルブ、ピストン、および同類のものなどの表面は、Raが約20以下であることが必要とされる。本開示の一態様は、チタンまたはチタン合金を含み、その表面積の少なくとも一部で平均粗さRaが20以下であるタービンブレードである。
溶融金属がより高温で加熱されると、それらは反応性がより高くなる(例えば、鋳型表面との不要な反応を受ける)。そのような反応は、金属部品を汚染する不純物の形成を引き起こし、それは様々な有害な結果をもたらす。不純物の存在は、金属の組成を変え、その結果、金属は望ましい基準を満たさず、それによって意図する用途に鋳片を使用することが認められないことがある。さらに、不純物の存在は、金属材料の機械的性質に有害な影響を及ぼし得る(例えば、材料の強度を低下させる)。
さらに、そのような反応は、表面のテクスチャリングをもたらし得、それは鋳片の表面かなりの望ましくない粗さをもたらす。例えば、表面粗さを特徴づけるために当技術分野で公知の表面粗さ値Raを用いて、ステンレス合金鋼および/またはチタン合金を利用する鋳片は、良好な作業条件下で約100〜200の間のRa値を一般的に示す。これらの有害な影響により、型の充填にはより低い温度を使用する。しかし、溶融した金属の温度が十分に加熱されていない場合、鋳造材料はあまりに速く冷えることになり、鋳型の不完全な充填を招く。
本開示はまた、アルミン酸カルシウム粒子を含む中空のチタン含有物品を鋳造するための鋳型組成物;および本明細書に教示されるセラミック中子に関する。中子組成物のアルミン酸カルシウム粒子は、3つの相:一アルミン酸カルシウム(CaAl2O4)、二アルミン酸カルシウム(CaAl4O7)、およびマイエナイト(Ca12Al14O33)を含む。中子組成物中のアルミン酸カルシウム粒子の一アルミン酸カルシウムは、他のアルミン酸カルシウム相よりも有利な3つの点を有する:1)一アルミン酸カルシウムは中子に組み込まれる、それは、それが急速な固化応答(マイエナイトほど速くはないが)を有し、硬化の初期段階中に中子に強度をもたらすと考えられるためである。中子強度の急速な生成は、鋳造中子の寸法安定性をもたらし、この特徴は最終鋳造部品の寸法一貫性を向上させる。2)一アルミン酸カルシウムは、鋳造されるチタンおよびチタンアルミナイド合金に関して化学的に安定している。一アルミン酸カルシウムは、二アルミン酸カルシウム、およびより高いアルミナ活性をもつその他のアルミン酸カルシウム相と比較して好ましい;これらの相の方が、鋳造されるチタンおよびチタンアルミナイド合金と反応性が高い。3)一アルミン酸カルシウムおよび二アルミン酸カルシウムは、低膨張相であり、硬化、脱蝋、およびその後の鋳造中に鋳型および中子で高レベルの応力が形成されることを防ぐと理解される。一アルミン酸カルシウムの熱膨張挙動は、アルミナとほぼ同一である。
さらに、本開示は、中空のチタン含有物品を鋳造するための鋳型および鋳造中子を作成するための方法も教示する。この方法は、アルミン酸カルシウム粒子、大型粒子および液体を合してスラリーを生成し、消失性模型を含む鋳型を作成するための容器にこのスラリーを投入し、それをその容器の中で硬化させることを含む。一実施形態では、白金ピンは、鋳型キャビティを生成するワックスの両端にかかるように置かれ、それにより鋳型キャビティは鋳型キャビティを横切る白金を有する。消失性模型の硬化および除去の後、鋳型はチタン含有物品で構成される(図17a参照)。微細スケールのアルミン酸カルシウム粒子は、一例では、実質的に中空である大型粒子とともに使用される。
この方法は、鋳型を作成するための容器の中にスラリーを投入する前に、酸化物粒子をスラリーに添加することをさらに含んでよい。ここに教示される方法で使用される酸化物粒子は、酸化アルミニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、酸化カルシウム粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化チタン粒子、またはその組合せを含む。ここに教示される方法で使用される酸化物粒子は、中空の酸化物粒子を含んでよい。特定の例では、酸化物粒子は中空の酸化アルミニウム(アルミナ)球を含む。
図9〜12は、鋳造物の中空部分の横断スライスを示す。横断スライスは側面に沿って切断され、このスライスは2つに分かれた。これにより、残っている中子を除去することができ、中空の鋳造物の内面を調べることができる。鋳造物の内面の図は、中子が完全に除去され、グリットブラストされた領域を示す;表面仕上は許容されることが示された。
鋳造物の内面の画像は、中子が完全に除去されなかった領域も示す;これにより、中子と鋳造物との間の相互作用のレベルを測ることが可能である。見て分かるように、鋳造物にはアルミン酸カルシウム含有中子の非常に薄いスケールだけがあった、そしてこのスケールは、グリットブラスト、ワイヤブラシ仕上、シトラス洗浄、化学洗浄、または当技術分野で周知のその他の手段により容易に除去することができる。本開示の発明者らは、これらの調査の結果を用いて、微細スケールのアルミン酸カルシウムおよび大型中空粒子を含有する中子が、中空のチタン合金およびチタンアルミナイド合金部品を鋳造するのに適した技術であることを理解することができた。
中子の鋳型への組み込みおよび鋳造プロセスを含む、鋳型作成に関する本開示の詳細は、下でさらに詳しく述べられる。中子は、一般的にワックス中の適した位置でワックス模型に配置されて、その後の鋳造物に特定のレベルの正確さまで鋳造物の必要な領域に中空の部分をもたらす。これらの技法は、部品の仕様によって一般に必要とされる位置の0.4mm未満の範囲内の、中空のキャビティに対する位置的な正確さを提供することができる。一般的に、鋳造物中の中空のキャビティの位置は、0.4mm未満の許容差に制御される;中空のキャビティ位置の許容差は、ワックスの中の中子の位置の制御によって制御される;適切に設計された工具および消費できるかまたは消費できない中子支持材、例えば白金ピンなどの使用も本開示のもう一つの特徴である。
本開示の一態様は、中空のチタン含有物品を鋳造するための鋳型を形成するための方法である。この方法は、アルミン酸カルシウムと液体を合してアルミン酸カルシウムのスラリーを生成すること(この際、初期アルミン酸カルシウム/液体混合物中の固体の百分率は、約70%〜約80%であり、スラリーの粘度は約50〜約150センチポイズである);大型(約70ミクロンよりも大きく約1000ミクロン未満)の酸化物粒子を含む最終アルミン酸カルシウム/液体混合物中の固体が約75%〜約90%であるように、大型の中空の酸化物粒子をスラリーに添加すること;消失性模型を含む鋳型を作成するための容器にスラリーを投入すること;および、鋳型を作成するための容器でスラリーを硬化させて、中空のチタン含有物品を鋳造するための鋳型を形成することを含む。
インベストメント鋳型は、セラミック部品のインベストメントミックスを配合し、ミックスを消失性模型を含む容器に注入することにより形成される。インベストメント鋳型は、ワックス模型に形成され、それを完全に硬化させていわゆるグリーン型を形成する。一実施形態では、硬化工程は、1時間〜約48時間、例えば、約30℃よりも低い温度で実行される。
次に、消失性模型を、溶融、溶解、着火、オーブン脱蝋、炉脱蝋、蒸気オートクレーブ脱蝋、またはマイクロ波脱蝋、またはその他の公知の模型除去技法によってグリーン型から選択的に除去する。ワックス模型除去の典型的な方法としては、オーブン脱蝋(150℃未満)、炉脱蝋(150℃超)、蒸気オートクレーブ脱蝋、およびマイクロ波脱蝋が挙げられる。結果は、その後の鋳造のために正確な位置で鋳型キャビティ内に配置された中子を備えた鋳型であった。
本開示は鋳型キャビティ中での単一の中子の使用を教示するが、鋳型の異なる位置に必要な異なるキャビティを生成するために、異なる形状寸法の複数の中子を使用することが可能である。例えば、一実施形態では、鋳型は2、3または4つの異なるキャビティ位置を有し、その各々がその内部に中子を有する。一実施形態では、2以上の中子を使用する場合、中子は、中子を収容する2以上のキャビティを接続する溝を通じて互いに接続されてよい。一実施形態では、2以上の中子を使用する場合、中子は別々であり、各々が所定の位置内にあるが他のいずれの中子とも接触していない。もう一つの実施形態では、2以上の中子を使用する場合、中子の各々の組成は異なっていてよい。中子強度、中子コンプライアンス、および中子粉砕性などの特性は、鋳型の具体的な位置の鋳造要件に従って調節されてよい。もう一つの実施形態では、2以上の中子を使用する場合、全ての中子は互いと同じ組成を有する。
室温から最終焼成温度までの中子および鋳型の処理、特に熱条件および湿度プロフィールも、本開示の一つの特徴である。焼成温度までの加熱速度および焼成後の冷却速度は、本開示のその他の特徴である。焼成プロセスは、鋳型から水を除去し、アルミン酸カルシウム粒子中のマイエナイトをアルミン酸カルシウムに変換する。鋳型焼成手順のもう一つの目的は、鋳造の前に中子および鋳型に残っている遊離シリカを最小限にすることである。その他の目的は、水を除去し、高温強度を増加させ、一アルミン酸カルシウムおよび二アルミン酸カルシウムの量を増加させることである。
中空のチタンまたはチタン合金含有部品を鋳造するために、600℃を超える温度、例えば600〜1400℃で、1時間を超える時間、好ましくは2〜10時間でグリーン型を焼成して、鋳造のための鋳型強度を高め、鋳型中の望ましくない残留不純物、例えば金属種(Fe、Ni、Cr)、および炭素含有種を除去する。一例では、焼成温度は少なくとも950℃である。鋳型を焼成する雰囲気は、一般的に周囲空気であるが、不活性ガスまたは還元ガス雰囲気を使用することができる。
中子をその中に含む鋳型は、室温から最終焼成温度まで加熱され、特に熱履歴が制御される。焼成温度までの加熱速度、および焼成後の冷却速度は、一般的に管理される。鋳型があまりに急速に加熱されると、それは内部にまたは外部に、あるいはその両方で亀裂が入ることがある;鋳造の前の鋳型の割れは、非常に望ましくない。その上、鋳型があまりに急速に加熱されると、鋳型の内面は亀裂が入り、剥落し得る。これは、最終鋳造物の望ましくない包含物、および、例え包含物がないとしても不十分な表面仕上をもたらし得る。その上、鋳型および中子の集合体があまりに急速に加熱されると、中子に亀裂が入ることがあり、その後の鋳造部品は、設計された中空のキャビティをその内部に保有することができないことになる。同様に、鋳型が最大温度に達した後にあまりに急速に加熱されると、鋳型もまた内部にまたは外部に、あるいはその両方で亀裂が入り得る。
本開示は、中空のチタン含有物品を鋳造するための鋳型を作成するための方法も教示する。鋳型は、ニアネットシェイプのチタンアルミナイド製物品を鋳造するためのインベストメント鋳型を含む。ある特定の実施形態では、本開示の鋳型組成物は、中子を含むインベストメント鋳型組成物を含む。中子を含むインベストメント鋳型組成物は、ニアネットシェイプのチタン含有金属インベストメント鋳型組成物を含む。一実施形態では、インベストメント鋳型組成物は、ニアネットシェイプのチタンアルミナイド製物品を鋳造するためのインベストメント鋳型組成物を含む。ニアネットシェイプのチタンアルミナイド製物品は、例えば、ニアネットシェイプのチタンアルミナイド製タービンブレードを含む。このニアネットシェイプのチタンアルミナイド製タービンブレードは、設置の前に材料の除去をほとんどまたは全く必要としなくてよい。
本開示において提供されるネットシェイプ鋳造アプローチは、非破壊的な方法、例えばx線、超音波、または渦電流などで、より詳細に、より低コストで検査することのできる部品を可能にする。過大な厚い部分での検査放射線の減衰および散乱に関連する困難さが減少される。より小さな欠陥は潜在的に解決されることができ、これにより改良された機械的性能を備える部品を提供することができる。
さらに、本開示は、中空のチタンおよびチタン合金の鋳造方法も教示する。この方法は、アルミン酸カルシウム粒子および大型粒子を含むインベストメント鋳型組成物を得、この組成物を消失性模型を含む容器に注入し、それを硬化させ、消失性模型を型から除去し、鋳型を鋳型鋳造温度に予熱することを含む。その後、溶融したチタンまたはチタン合金を加熱した鋳型に注入し、凝固させて凝固した中空のチタンまたはチタン合金鋳造物を形成する(図17b参照)。
次に、凝固した中空のチタンまたはチタン合金鋳造物を鋳型から取り出す。一実施形態では、チタンまたはチタン合金を型から取り出した後、鋳造物をグリットブラストまたは研磨で仕上げてよい。一実施形態では、凝固した鋳造物を鋳型から取り出した後、それをX線ラジオグラフィによって検査する。本開示はまた、本明細書において教示される鋳造方法によって作成したチタンまたはチタン合金物品、例えば、タービンブレードも教示する。
凝固した鋳造物は、鋳造物内のどんな位置のどんな表面下の包含粒子も検出するために、鋳造および仕上後に表面検査およびX線ラジオグラフィに供される。X線ラジオグラフィは、鋳造物の外面の外観検査で検出されない包含物を見出すために用いられる。チタンアルミナイド鋳造物は、X線撮影画像を得るために従来のX線装置を用いてX線ラジオグラフィ(フィルムまたはデジタル)に供され、それはその後、表面下の包含物がチタンアルミナイド鋳造物の内部に存在するかどうかを判定するために検査または分析される。
本開示のもう一つの態様は、中空のチタン含有物品を鋳造するための鋳型を形成するための方法である。形成された鋳型はグリーン型であってよく、この方法は、グリーン型を焼成することをさらに含んでよい。一実施形態では、鋳型は、例えば中空のチタン含有物品を鋳造するための、インベストメント鋳型を含む。一実施形態では、インベストメント鋳型組成物は、ニアネットシェイプのチタンアルミナイド製物品を鋳造するためのインベストメント鋳型組成物を含む。ニアネットシェイプのチタンアルミナイド製物品は、ニアネットシェイプのチタンアルミナイド製タービンブレードを含み得る。一実施形態では、本開示は、本明細書に教示される中空のチタン含有物品鋳型組成物から形成された鋳型に関する。本開示のもう一つの態様は、上述の鋳型で形成された中空の物品に関する。
本開示に記載される新しい中子組成物は、チタンおよびチタンアルミナイド合金に特に適している。本開示は、とりわけ、アルミン酸カルシウム粒子および1または複数の大型粒子を含むセラミック中子組成物に関する。この組成物は、微細スケールのアルミン酸カルシウムおよび前記大型粒子を含む。大型粒子は中空であってよい。アルミン酸カルシウム粒子は、一アルミン酸カルシウム、二アルミン酸カルシウム、およびマイエナイトの粒子を含んでよい。アルミン酸カルシウム粒子は、一アルミン酸カルシウムおよび二アルミン酸カルシウムの粒子を含んでよい。本開示は、アルミン酸カルシウム粒子および1または複数の大型粒子を含むセラミック中子組成物から形成された鋳造中子も教示する。本開示は、アルミン酸カルシウム粒子および1または複数の大型粒子を含むセラミック中子組成物から形成された鋳造中子を用いて形成された中空のチタンアルミナイド含有物品にも関する。中空チタンアルミナイド含有物品の一例は、中空チタンアルミナイド製タービンブレードである。
焼成後および鋳造前の中子および鋳型組成物は、特に構成相に関して、本開示の特徴である。鋳造目的には、中子および鋳型において比較的高い重量分率の一アルミン酸カルシウムが好ましい(総鋳型重量の少なくとも25重量パーセント)。その上、マイエナイトは水に敏感であり、それが鋳造中の水放出およびガス発生に関する問題をもたらし得るため、鋳造目的には、鋳型中のマイエナイトの体積分率を最小にすることが望ましい。さらなる詳細が表1に記載される。
その上、中子中のマイエナイトの体積分率を最小にすることが望ましい;添付の表に記載されるように、マイエナイトは鋳型よりも中子において低いレベルで維持されなければならない。焼成後、鋳型および中子は小さい重量分率のアルミノケイ酸塩およびアルミノケイ酸カルシウムも含むことができる;鋳型と鋳造物の反応を最小にするために、アルミノケイ酸塩およびアルミノケイ酸カルシウムの重量分率の合計は、鋳型および中子において約5%未満に保持されることが望ましい。一例では、アルミノケイ酸塩およびアルミノケイ酸カルシウムの重量分率の合計は、鋳型および中子において約3%未満である。別の例では、アルミノケイ酸塩およびアルミノケイ酸カルシウムの重量分率の合計は、鋳型および中子において約1%未満である。
正確なアルミン酸カルシウム粒子化学およびアルミナ配合物の選択は、本開示の特徴である。それらは鋳造中の鋳型の性能の決定要因である。
本開示の態様で使用されるアルミン酸カルシウム粒子は、一般的にカルシウムおよびアルミニウムの3つの相または構成成分:一アルミン酸カルシウム(CaAl2O4)、二アルミン酸カルシウム(CaAl4O7)、およびマイエナイト(Ca12Al14O33)を含む。一アルミン酸カルシウムの水和は、インベストメント鋳型の高い初期強度に寄与する。マイエナイトは、水硬性結合の急速な形成により鋳型硬化の初期段階に強度をもたらすので望ましい。しかし、マイエナイトは、一般的に鋳造の前の鋳型の熱処理中に除去される。
マイエナイトは、鋳型と中子の両方において鋳型に組み込まれる。それは、マイエナイトが急速固化アルミン酸カルシウムであり、硬化の初期段階の間に型に強度を与えると考えられるためである。消失性ワックス模型は温度に敏感であり、約35℃を超える熱にさらされるとその形状および性質を失うため、硬化は、低温、例えば15℃〜40℃の間の温度で実施されてよい。鋳型を30℃よりも低い温度で硬化することが好ましい。
正確なアルミン酸カルシウム粒子化学およびアルミナ配合物の選択は、鋳造中の中子の性能の要因である。一実施形態では、鋳型組成物は、酸化カルシウムをさらに含む。もう一つの実施形態では、鋳造中子組成物は、酸化カルシウムをさらに含む。アルミン酸カルシウム粒子に関して、チタン合金との反応を最小にするために、遊離酸化カルシウムの量を最小にすることが必要であり得る。酸化カルシウム濃度が約10重量%未満である場合、アルミナ濃度があまりに高いので合金は鋳型および中子と反応し、この反応が鋳造中の望ましくない酸素濃度レベル、気泡、および鋳造部品の不十分な表面仕上を生成する。遊離シリカは、チタンおよびチタンアルミナイド合金と積極的に反応し得るので、鋳型および中子材料においてあまり望ましくない。また、溶融した合金が鋳型に注入された後に溶融した合金と接触する遊離アルミナの量を最小化することも望ましい。
最終鋳型は、一般的に2グラム/立方センチメートル未満の密度および500ポンド/平方インチ[psi]よりも大きい強度を有し得る。最終中子は、一般的に3.5グラム/立方センチメートル未満の密度および150ポンド/平方インチ[psi]よりも大きい強度を有し得る。
鋳型組成物と中子組成物は異なっていてよい。例えば、鋳型中の一アルミン酸カルシウムは、約0.05〜0.95の重量分率を構成し、中子中の一アルミン酸カルシウムは、約0.1〜0.90である。もう一つの実施形態では、鋳型中の二アルミン酸カルシウムは、約0.05〜約0.80の重量分率を構成し、中子中の二アルミン酸カルシウムは、約0.05〜0.90である。さらにもう一つの実施形態では、鋳型組成物中のマイエナイトは、約0.01〜約0.30の重量分率を構成し、中子中のマイエナイトは、表1に示されるように、約0.001〜0.05である。
一実施形態では、鋳型において適しているこれらの相の重量分率は、一アルミン酸カルシウムが0.05〜0.95、二アルミン酸カルシウムが0.05〜0.80、そしてマイエナイトが0.01〜0.30である。だが一方、一例では、中子組成物中のこれらの相の重量分率は、一アルミン酸カルシウムが0.1〜0.90、二アルミン酸カルシウムが0.05〜0.90、そしてマイエナイトが0.001〜0.05である。もう一つの実施形態では、中子中の一アルミン酸カルシウムの重量分率は、約0.6よりも大きく、マイエナイトの重量分率は約0.1未満である。一実施形態では、鋳型中の一アルミン酸カルシウムの重量分率は、約0.5よりも大きく、マイエナイトの重量分率は約0.15未満である。
溶融した金属または合金を鋳造する前に、インベストメント鋳型および中子は、特定の部品形状寸法または鋳造する合金に依存する鋳型鋳造温度に予熱されてよい。例えば、鋳型および中子の予熱温度は600℃である。一実施形態では、鋳型および中子の温度は約450℃から約1200℃に及ぶ。別の例では、この範囲は約450℃〜約750℃である。特定の実施形態では、鋳型温度は約500℃から約650℃に及ぶ。
溶融した金属または合金は、重力、反重力、圧力、遠心分離機、および当業者に公知のその他の鋳造技法を含み得る従来技法を用いて中子を有する鋳型に注入される。真空または不活性ガス雰囲気が使用され得る。複雑な形状の薄壁の形状寸法には、高圧を使用する技法が好ましい。凝固したチタンアルミナイドまたは合金鋳造物を650℃未満に(一般的に室温まで)冷却した後、それを鋳型から取り出し、従来技法、例えばグリットブラスト、ウォータージェットブラスト、および研磨を用いて仕上げる。中子は優先浸出技法によっても除去することができる。
特に、本開示は、一例では、中空のタービン部品を鋳造するための方法も教示する。図18bに示されるように、この方法は、大型粒子を含むアルミン酸カルシウム粒子と液体を合してスラリーを形成し、スラリーをダイに投入して物品成形体のグリーン体を作製し、焼結セラミック中子を形成するのに十分な条件下でグリーン体を加熱することにより、セラミック中子を作成すること(1822)を含む。セラミック中子を作成した後(1822)、セラミック中子を鋳型内の予め選択された位置に配置する(1824)。次に、溶融したチタンまたはチタン合金含有材料を鋳型に投入し(1826)、冷却して鋳型内でタービン部品を形成する(1828)。次に、鋳型をタービン部品から分離し(1830)、中子をタービン部品から除去し(1832)て、中空のタービン部品を形成する。鋳造されるタービン部品は、タービンブレードであり得る。
中子組成物は、一例では、約700〜約1400℃で約1時間の焼成で約1パーセントも収縮しない。中子組成物は、別の例では、約700〜約1400℃で約1時間の焼成で約5パーセントも収縮しない。中子組成物は焼成されてよく、セラミック中子組成物が焼結された後に、形成されたセラミック中子はシリカを実質的に含まない。セラミック中子は中空のアルミナ粒子を焼結前に含んでよく、焼結後に、中子は、一例では、遊離シリカを(中子の総重量に基づいて)約0.5重量%しか含まない。
鋳造方法に関して、微細スケールのアルミン酸カルシウム粒子は、実質的に中空である大型粒子とともに使用されてよい。消失性模型を型から除去し、鋳型を鋳型鋳造温度に予熱した後、一例では、鋳型を約450℃〜約1400℃の温度に加熱し、その後前記鋳型を約室温まで冷却させる。消失性模型は、溶融、溶解、着火、オーブン脱蝋、炉脱蝋、蒸気オートクレーブ脱蝋、またはマイクロ波脱蝋の少なくとも1つによって除去されてよい。凝固したチタンまたはチタン合金鋳造物を鋳型から取り出した後、鋳造物はX線ラジオグラフィで検査されてよい。
特に、凝固した鋳造物はまた、鋳造物内のどんな位置のどんな表面下のセラミック包含粒子も検出するために、鋳造および仕上後に表面検査およびX線ラジオグラフィに供される。チタンアルミナイド合金鋳造物は、X線撮影画像を得るために従来のX線装置を用いてX線ラジオグラフィ(フィルムまたはデジタル)に供されることができ、それはその後、表面下の包含物がチタンアルミナイド合金鋳造物の内部に存在するかどうかを判定するために検査または分析される。
アルミン酸カルシウム粒子は、溶融したチタン合金とセラミック中子の反応に耐える能力を中子にもたらす。中空のアルミナ粒子は、中子にコンプライアンスおよび粉砕性をもたらす;中子は凝固冷却後の間に過剰な引張応力を鋳造物に与えないことが必要であるので、これらは本開示の特徴である。中子は、金属よりも低い熱膨張係数を有し、金属はセラミックよりも急速に冷める。
凝固冷却後の間、部品は中子よりも速く収縮するので、中子が強すぎると、中子は部品に引張応力を与えるという点で、中子の強度は決定される。本出願の発明者らは、過剰な引張応力を部品に与えることがなく、引張引裂、亀裂、および欠陥を生成しないように、冷却中に粉砕される中子を考えついた。
中子の粉砕性は、引張応力が1mmよりも大きい亀裂を鋳造物に生成しないように設計される。粉砕性は、例えば、大型粒子、例えば大型の中空のアルミナ粒子の重量分率、および中子の密度を調節することに影響を受ける。密度の低い中子ほど高い粉砕性を有し、それらはより低い応力を鋳造物に与える。低い密度は、中子における大型の中空のアルミナ粒子のより高い重量分率およびより多くの多孔性に影響を受け得る。
中子の粉砕性は、引張応力が1mmよりも大きい亀裂を鋳造物に生成しないように設計される。中子の粉砕性は、一例では、引張応力が0.5mmよりも大きい亀裂を鋳造物に生成しないように設計される。一例では、中子の粉砕性は、引張応力が0.1mmよりも大きい亀裂を鋳造物に生成しないように設計される。
白金ピンの直径、長さ、および位置は、成形加工および鋳造中の鋳造中子の動きを最小にするように選択される。鋳造中子は、鋳造物から中子を除去する前の最終鋳造物中の中子の好ましい位置から125ミクロンよりも多く動かないことが好ましい。鋳造中子は、鋳造物から中子を除去する前の最終鋳造物中の中子の好ましい位置から75ミクロンよりも多く動かないことが好ましい。一例では、鋳造中子は、鋳造物から中子を除去する前の最終鋳造物中の中子の好ましい位置から25ミクロンよりも多く動かない。
本開示は、非破壊的な方法、例えばx線、超音波、または渦電流などで、より詳細に、より低コストで検査することのできるネットシェイプ中空鋳造物を提供することのできる中子および鋳型を提供する。過大な厚い部分での検査放射線の減衰および散乱に関連する困難さは、ネットシェイプ鋳造によって減少する。より小さな欠陥は潜在的に解決されることができ、これにより改良された機械的性能を備える部品を提供することができる。
中空のチタン含有物品を鋳造するための鋳型組成物は、アルミン酸カルシウム粒子および本明細書に記載されるセラミック中子を含んでよい。本開示に記載されるセラミック中子組成物は、中空のチタンおよびチタンアルミナイド合金に特に適している。焼成後および鋳造前の鋳型および中子組成物は、鋳型の性質、特に構成相に関して影響を及ぼし得る。一実施形態では、鋳造目的には、鋳型中の重量分率の高い、例えば、0.15〜0.8の重量分率の一アルミン酸カルシウムが好ましい。その上、マイエナイトは水に敏感であり、それが鋳造中の水放出およびガス発生に関する問題をもたらし得るため、鋳造目的には、マイエナイトの重量分率を最小にする、例えば、0.01〜0.2の重量分率を用いることが望ましい。
焼成後、鋳型および中子は低い重量分率のアルミノケイ酸塩およびアルミノケイ酸カルシウムも含有し得る。鋳型と鋳造物の反応を最小にするために、アルミノケイ酸塩およびアルミノケイ酸カルシウムの重量分率の合計は、一般的に鋳型において5%未満に保たれ得る。中子と鋳造物の反応を最小にするために、アルミノケイ酸塩およびアルミノケイ酸カルシウムの重量分率の合計は、一般的に中子において5%未満に保たれ得る。
本開示は、改良された、チタンおよびチタン合金の部品、特に中空のチタン製タービンブレードをもたらすことのできる鋳型組成物および鋳造プロセスを提供する。鋳造物の外的性質には、形状、形状寸法、および表面仕上などの特徴が含まれる。鋳造物の内的性質には、機械的性質、微細構造、および特定のサイズ以下の欠陥(例えば孔および包含物など)が含まれる。
一般的に記載された本開示は、以下の実施例を参照することによって、より容易に理解され得る。それらの実施例は、本開示の特定の態様および実施形態を説明する目的のためだけに含められるものであって、決して本開示を制限することを意図するものではない。
本開示の態様は、従来の技法の制限を克服する、セラミック中子組成物、鋳造方法、および鋳造物品を提供する。本開示の一部の態様は、航空宇宙産業用の部品、例えば、エンジンタービンブレードの製作に関するものであり得るが、本開示の態様は、いずれの産業のいずれの部品にも使用されてよく、特に、チタンおよび/またはチタン合金を含む部品の製作に使用されてよい。
微細スケールのアルミン酸カルシウム粒子を、大型のアルミナ、一例では大型の中空のアルミナ粒子と混合して、インベストメント鋳型ミックスを生成し、様々なインベストメント鋳型化学を試験した。インベストメント混合物は、一例では、80%アルミナおよび20%カルシアを含むアルミン酸カルシウム粒子、アルミナ粒子、水、およびコロイドシリカで構成された。
さらに、本開示は、中空のチタン含有物品を鋳造するための鋳型を作成するための方法も教示する。図17aに示されるように、この方法は、アルミン酸カルシウム粒子、大型粒子および液体を合してスラリーを生成すること(1705)を含む。次に、アルミン酸カルシウム粒子および大型粒子を液体中に含有するこのスラリーを、消失性模型を含む鋳型作成用の容器に投入し(1707)、鋳型を作成するための容器中で硬化させてチタン含有物品の鋳型を形成する(1709)。微細スケールのアルミン酸カルシウム粒子は、一例では、実質的に中空である大型粒子とともに使用される。特定の例では、初期の微細スケールのアルミン酸カルシウムおよび液体混合物中の固体の百分率は約60%〜約80%であった。スラリーの粘度は、約30〜約150センチポイズである。最終アルミン酸カルシウムおよび大型の酸化物粒子(70ミクロン超)液体混合物中の固体が約75%〜約90%であるように、一例では、酸化物粒子をスラリーに添加する(1705)。アルミン酸カルシウムスラリーを消失性模型を含む鋳型を作成するための容器に投入し(1707)、鋳型を作成するための容器中で硬化させてチタンまたはチタン合金含有物品の鋳型を形成する(1709)。
別の例では、本開示は、中空のチタンおよびチタン合金の鋳造方法を教示する。図17bに示されるように、この方法は、アルミン酸カルシウム粒子および大型粒子を含むインベストメント鋳型組成物を得ること(1722)を含む。この鋳造方法はセラミック中子も含む。一例では、アルミン酸カルシウムを液体と合してアルミン酸カルシウムのスラリーを生成し、この際、大型のアルミナを含む、最終アルミン酸カルシウム/液体混合物中の固体は、約75%〜約90%である。
次に、このインベストメント鋳型組成物を、消失性模型を含む容器に注入し(1724)、硬化させる(1726)。この容器は、結果として得られる鋳型の外寸を制御する。次に、消失性模型を鋳型から除去し(1728)、鋳型を鋳型鋳造温度に予熱する(1730)。その後、溶融したチタンまたはチタン合金を加熱した鋳型に注入し(1732)、凝固させて凝固した中空のチタンまたはチタン合金鋳造物を形成する(1734)。次に、凝固した中空のチタンまたはチタン合金鋳造物を鋳型から取り出す(1736)。本開示はまた、本明細書において教示される鋳造方法によって作成したチタンまたはチタン合金物品も教示する。この物品は、チタンアルミナイド含有タービンブレードであってよい。
出願者らは、本明細書においてセラミック中子を作成する方法も開示する。図18aに示されるように、この方法は、大型粒子を含むアルミン酸カルシウム粒子と液体を合してスラリーを形成すること(1805)を含む。次に、このスラリーをダイに投入して、物品成形体のグリーン体を生成し(1807)、次に、セラミック中子を形成するのに十分な条件下でグリーン体を加熱する(1809)。セラミック中子を形成することに関して、微細スケールのアルミン酸カルシウム粒子は、実質的に中空である大型粒子とともに使用されてよい。
本開示は、中空のタービン部品を鋳造するための方法も教示する。図18bに示されるように、この方法は、大型粒子を含むアルミン酸カルシウム粒子と液体を合してスラリーを形成し、スラリーを物品成形体のダイに投入し、焼結セラミック中子を形成するのに十分な条件下でグリーン体を加熱することにより、セラミック中子を作成すること(1822)を含む。セラミック中子を作成した後(1822)、セラミック中子を鋳型内の予め選択された位置に配置する(1824)。次に、溶融したチタンまたはチタン合金含有材料を鋳型に投入し(1826)、冷却して鋳型内でタービン部品を形成する(1828)。次に、鋳型をタービン部品から分離し(1830)、中子をタービン部品から除去し(1832)て、中空のタービン部品を形成する。鋳造されるタービン部品は、タービンブレードであり得る。
一例では、スラリーをダイに投入して物品成形体のグリーン体を作製する前に、アルミン酸カルシウムを液体および大型粒子と合して、アルミン酸カルシウムおよび中空の大型のスラリーを生成する。この際、混合物中の固体は約75%〜約90%である。中子を作成するためのさらなる方法には射出成形が含まれる。例えば、この方法は、大型粒子を含むアルミン酸カルシウム粒子とワックスを合して、射出成形配合物を形成し、配合物を必要な中子の物品成形体の形状を表すダイに投入することによる、セラミック中子を作成すること(1822)を含む。配合物は、ダイに60〜120℃の範囲の温度で注入され、その後、冷却された後にダイから取り出される。次に、ワックスを除去するのに十分な条件下で中子を加熱して、焼結セラミック中子を形成する。セラミック中子を作成した後、セラミック中子を鋳造のために鋳型内の予め選択された位置に配置する。
別の例では、65重量パーセントのアルミン酸カルシウムセメントおよび35重量パーセントの中空のアルミナ泡からなる中子配合物を試験するために中空のスラブ鋳造物を製造した。図4は、現在の中子技術の展開のために、結果として得られるスラブの内部に中子が配置される、スラブを作成するためのワックスの準備を示す。白金ピンを、シートワックスを貫きキャビティを横切ってスラブの側面に直角に挿入した。白金ピンは、スラブワックスの両側を貫通し、キャビティ中で各側のシートワックスによって支持されるように配置された。中子は、示されるようにスラブワックスの端部に配置された。白金ピンを使用して、ワックスおよびその後の鋳型での中子の位置を安定させた。
スラブワックスの周囲で鋳型を作製するために、インベストメント鋳型を作成するためのスラリー混合物は、5416gの商業的にブレンドされた80%アルミン酸カルシウムセメントで構成された。アルミン酸カルシウムセメントは、名目上、組成を80%アルミナに合わせるためにアルミナとブレンドされた70%アルミン酸カルシウムセメントからなった。セメントスラリーは、1641gの脱イオン水、および181gのコロイドシリカを用いて生成した。スラリーを許容される粘度まで混合すると、外形寸法が0.85mm未満および0.5mm超のサイズ範囲の2943gの実質的に中空のアルミナ(泡)をスラリーに添加した。ミックスの固体配合量は70%超であった。混合後、インベストメント鋳型ミックスを制御された方法で成形容器に注入した。最終鋳型ミックスの固体配合量は、約83%であった。鋳型ミックスは、満足のいく粘度および流動性で十分に流れ出た。
硬化後、成型された部品は良好な強度および均一な組成であった。鋳型は1000℃の温度で4時間焼成した。この配合物は、直径約120mmおよび長さ400mmの鋳型を作製した。鋳型配合物は、焼成による鋳型、および鋳型の線収縮が1パーセント未満であるように設計した。作製された鋳型の密度は、約2グラム/立方センチメートル未満であった。
焼成後、鋳型を使用して、アルミン酸カルシウム含有中子によって製造したスラブの端部に中空の部分をもつスラブを鋳造した。図1は、本開示の中子組成物を展開するために使用された典型的なスラブ鋳造物を示す図である。スラブは単純な形状寸法で、注入カップと凝固収縮を許容するためのライザーを備えている。図8は、中子が鋳型の内部にある鋳型を用いて製造したチタン合金(チタンアルミナイド)スラブ鋳造物を示す図である。図にはスライスされた中子スラブが示され、アルミン酸カルシウムを含有する中子を直接観察することを可能にする横断面が示される。中子はグリットブラストによって部分的に除去され、鋳造物の内面を観察することができる。部分的に除去された中子を含む鋳造物の領域を見ることができる。中子によって生成された鋳造物の内面は、高品質であることが分かる。中子によって製造した中空の部分の表面仕上は、約100Raであった。
鋳型ミックスは、アルミン酸カルシウム粒子、水、およびコロイドシリカを容器内で混合することによって調製した。高剪断型混合を使用した。完全に混合されない場合、粒子はゲル化することがあり、流動性が低下するので鋳型ミックスは消失性模型を均一に覆わなくなる。微細スケールのアルミン酸カルシウム粒子が完全に懸濁している場合、中空の大型のアルミナ粒子を添加する。一部の例では、次第に大きいサイズの中空のアルミナ粒子、約70ミクロンから約100ミクロンまでを約2時間にわたって添加した。大型アルミナ粒子が微細スケールのアルミン酸カルシウム粒子と完全に混合された場合、それよりも大きいサイズ(例えば、300〜1000ミクロン)のアルミナ粒子を添加し、微細スケールのアルミン酸カルシウム−中空のアルミナ配合物と混合した。
最終ミックスの粘度は、低すぎても高すぎてもいけないため、中子組成物のもう一つの要因である。本開示のもう一つの要因は、粒子ミックスの固体配合量および水の量である。混合後、インベストメントミックスを、消失性ワックス模型を含む容器に制御された方法で注入した。容器の寸法は、結果として得られる鋳型の外寸を制御する。容器は、鋳型の外的形状寸法をもたらし、消失性模型が内的形状寸法を生成する。正確な注入速度はさらなる特徴であり、それが速すぎると空気が鋳型の中に閉じ込められることがあり、それが遅すぎるとセメントとアルミナ微粒子の分離が起こり得る。適した注入速度は、1分あたり約1〜約20リットルの範囲である。一実施形態では、注入速度は約2〜約6リットル/分である。具体的な実施形態では、注入速度は約4リットル/分である。
最終鋳型ミックスの固体配合量は、80パーセントよりも多かった。ここで、固体配合量は、ミックス中の液体および固体の全質量に対して正規化したミックス中の全固体として定義され、百分率として表される。
鋳型配合物は、焼成による鋳型のフェースコートと鋳型の両方の線収縮が1%未満であるように設計された。ミックスに組み込まれた軽量溶融アルミナの中空粒子が、低い熱伝導率をもたらす。
アルミナ中空粒子は、完全に緻密なアルミナと比較して低い密度、および完全に緻密なアルミナと比較して低い熱伝導率を中子組成物にもたらす。この例では、中子は、35%重量パーセントの中空アルミナ粒子を有する。
この配合物は、中子組成物ならびに直径約120mmおよび長さ400mmの鋳型を製造した。次に、鋳型を硬化させ、高温で焼成した。この組成物は、良好な表面仕上を備えた鋳造チタンアルミナイド含有物品、例えばタービンブレードなどに使用された。粗さ(Ra)値は、100未満であり、酸素含有量は、2000ppm未満であった。この配合物は、1.8グラム/立方センチメートル未満の密度を有する鋳型を製造した。中子の熱伝導率は、全ての温度でアルミナの伝導率よりもかなり低かった。熱伝導率は、熱線白金抵抗温度計技術(ASTM試験C−1113)を用いて測定した。
別の例では、低圧タービンブレードは、その内部にアルミン酸カルシウム中子を用いて製造した。中子は、540gのアルミン酸カルシウムセメント、292gの大型のアルミナ粒子、164gの脱イオン水、および181gのコロイドシリカで構成される配合物で作成した。セメントスラリーは、アルミン酸カルシウムセメント、脱イオン水、およびコロイドシリカを用いて生成した。スラリーを許容される粘度まで混合すると、外形寸法が0.85mm未満および0.5mm超のサイズ範囲の294gのアルミナ粒子をスラリーに添加した。次に、最終鋳造部品に必要な中空のキャビティの形状と逆のキャビティにスラリーを注入した
中子は、21℃の温度および20%の湿度レベルで24時間、キャビティ内で硬化させた。中子を硬化させ、それを白金ピンでタービンエーロフォイルワックスの適所に配置した。白金ピンの直径は0.5mmであり、白金ピン間には35mmの最大間隔があった。ピンおよび中子に対するそれらの構成を用いて、鋳型の硬化、鋳型の脱蝋、鋳型の焼成、および鋳造の間のセラミック中子の位置を制御した。使用した中子配合物は、65重量パーセントのアルミン酸カルシウムセメントおよび35重量パーセントのアルミナ粒子から成った。中子配合物は、焼成によって1%未満の線収縮を受けた。
この例では、65重量パーセントのアルミン酸カルシウムセメントおよび35重量パーセントの中空のアルミナ泡からなる中子配合物を試験するために中空の鋳造物を製造した。
エーロフォイルワックスの周囲で鋳型を作製するために、5416gの商業的にブレンドされた80%アルミン酸カルシウムセメントおよび2943gのアルミナからなる、インベストメント鋳型を作成するためのスラリー混合物を使用した。セメントスラリーは、5416gのセメント、1641gの脱イオン水、および181gのコロイドシリカを用いて生成した。スラリーを許容される粘度まで混合すると、外形寸法が0.85mm未満および0.5mm超のサイズ範囲の2943gの中空のアルミナ(泡)をスラリーに添加した。
その後、中子がその中に設置されたタービンエーロフォイルブレードのワックスを、容器に配置して、ブレードのワックスの周囲に鋳型を生成した。混合後、インベストメント鋳型ミックスを制御された方法で容器に注入して鋳型を作製した。最終鋳型ミックスの固体配合量は、約83%であった。鋳型は1000℃の温度で4時間焼成した。鋳型および中子は一緒に焼成した。この配合物は、直径約120mmおよび長さ400mmの鋳型を作製した。鋳型配合物は、焼成による鋳型、および鋳型のバルクの線収縮が1パーセント未満であるように設計した。焼成後、鋳型を使用して、アルミン酸カルシウム含有中子の使用によって生成した中空の部分をもつタービンエーロフォイルを鋳造した。
鋳型中のシリカの重量パーセントは、2パーセントであり、中子中のシリカの重量パーセントは、0.5%重量パーセントであった。ミックス中のシリカ濃度が高いと、最終焼成鋳型および中子中の残留結晶性シリカおよびケイ酸塩、例えばアルミノケイ酸カルシウムおよびアルミノケイ酸塩などを導くことがある。鋳型および中子の高いシリカ含有量は、鋳型および中子に2つの制限をもたらし得る。第一に、焼成により収縮が起こることがあり、このことが問題、例えば亀裂などを引き起こす。第二に、高いシリカ含有量は、鋳造中に鋳型および鋳型と中子の集合体が充填される場合に、溶融したチタンおよびチタンアルミナイド合金との反応を引き起こし得る;この反応は許容されない鋳造品質をもたらす。中子のシリカのレベルは、反応を防ぎ、鋳造物のエーロフォイルの内部のキャビティの寸法の制御を改善するために、鋳型中のシリカレベルよりも低い。
特定の例では、Duralum AB アルミナ中空粒子が使用されてよい。特定の態様では、本開示は、低いシリカ含有量で形成した中子組成物を教示する。中子の低いシリカ含有量は、チタンおよびチタンアルミナイド合金を鋳造するのに好ましい鋳型をもたらす。一例では、鋳型中のアルミナ中空粒子の重量百分率は約35パーセントであり、鋳型は焼成によって1パーセント未満の線収縮を受けた。
インベストメント鋳型ミックスの加工時間があまりに長く、アルミン酸カルシウム粒子が十分に素早く硬化しない場合、微細スケール粒子と大型のアルミナの分離が起こることがあり、このことは、配合が変動し、結果として得られる鋳型の性質が均一でない、偏析した鋳型をもたらし得る。
鋳型および中子の結合剤を提供するアルミン酸カルシウム粒子中の構成相は、本開示の特徴である。アルミン酸カルシウム粒子3つの相は、:一アルミン酸カルシウム(CaAl2O4)、二アルミン酸カルシウム(CaAl4O7)、およびマイエナイト(Ca12Al14O33)を含む。本発明者らは、いくつかの目的を達成するためにこの選択を行った。第一に、相は溶解するかまたは部分的に溶解して、その後のインベストメント鋳型作成スラリー中の全ての凝集体相を支持することのできる懸濁液を形成しなければならない。第二に、相は注入後の鋳型の固化または硬化を促進しなければならない。第三に、相は鋳造中および鋳造後に鋳型に強度を与えなければならない。第四に、相は鋳型内で鋳造されるチタン合金と最小の反応を示さなければならない。第五に、鋳型は、凝固後冷却の間に生成される部品に対する熱応力を最小にするために、チタン合金鋳造物に一致する適した熱膨張を有さなければならない。
マイエナイトは、鋳型および中子に組み込まれる。それは、マイエナイトが急速固化アルミン酸カルシウムであり、硬化の初期段階の間に型に強度を与えると考えられるためである。消失性ワックス模型は温度に敏感であり、約35℃を超える熱にさらされるとその形状および性質を失うため、硬化は低温で実施されなければならない。一例では、鋳型は30℃よりも低い温度で硬化される。一実施形態では、マイエナイトは中子中に存在しない。
上の説明は例証を目的とするものであり、制限を目的とするものでないことは理解されるべきである。例えば、上記の実施形態(および/またはその態様)は、互いに組み合わせて使用してよい。その上、多くの変更形態を作成して、その範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を様々な実施形態の教示に適合させることができる。本明細書に記載される材料の寸法および種類は、様々な実施形態のパラメータを定義するためのものであるが、それらは決して制限ではなく、単なる例示である。多くのその他の実施形態は、上記の説明を検討することによって当業者に明らかとなる。
そのため、様々な実施形態の範囲は、添付される特許請求の範囲を、かかる特許請求の範囲によって権利が与られる均等物の完全な範囲とともに参照して決定されるべきである。添付される特許請求の範囲において、用語「含む(including)」および「ここで(in which)」は、それぞれ用語「含む(comprising)」および「ここで(wherein)」の平易な英語均等物として使用される。さらに、以下の特許請求の範囲において、用語「第1」、「第2」、および「第3」などは単にラベルとして使用され、数値的な必要条件をその対象物に課すものではない。さらに、以下の特許請求の範囲の限定は、ミーンズ−プラス−ファンクション形式では書かれておらず、そのような特許請求の範囲による限定が、さらなる構造を含めない機能の記述とともに「するための手段」という語句を明示的に使用しない限り、かつ使用するまでは、米国特許法第112条第6段落に基づいて解釈されるように意図されない。上に記載される全てのかかる目的または利点が、任意の特定の実施形態に従って達成されるとは限らないことは理解されるべきである。従って、例えば、本明細書において教示または示唆されるようなその他の目的または利点を必ずしも達成しなくても、本明細書に教示される1つの利点または利点の群を達成または最適化する方法で、本明細書に記載されるシステムおよび技法が具体化または実行されてよいことを当業者は理解するであろう。
本開示をほんの限定された数の実施形態に関連して詳細に説明したが、本開示がそのような開示された実施形態に限定されないことは容易に理解されるであろう。むしろ、本発明は、従前に記載されていないが本発明の精神および範囲と同等の任意の数の変形、変更、置換または等価配置を組み込むよう変更することができる。さらに、本発明の様々な実施形態が説明されたが、本開示の態様には、説明される実施形態のごく一部しか含まれないことは理解されるべきである。したがって、本発明は、前述の説明によって制限されるとみなされるのではなく、添付される特許請求の範囲によってのみ制限される。
本記載の説明は、本発明を開示するために、最良の形態を含む、また、当業者が本発明を実践することを可能にするために、装置またはシステムを作成および使用し、組み込まれた方法を実行することを含む、例を使用している。本発明の特許適格性を有する範囲は、特許請求の範囲に規定され、それには当業者の念頭に浮かぶその他の例が含まれてよい。かかるその他の例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの意味と異ならない構造要素を有する場合、または、それらが特許請求の範囲の文字通りの意味との実質的な差異のない等価な構造要素を含む場合には、特許請求の範囲内にあることが意図される。
本発明のさらなる態様は、以下の項の主題によって提供される。
[項1]中空のチタン含有物品を鋳造するための鋳型を作成するための方法であって、前記方法が、
a)アルミン酸カルシウム粒子、大型粒子および液体を合して、前記液体中のアルミン酸カルシウム粒子および大型粒子のスラリーを生成する工程と;
b)前記スラリーを、消失性模型を含む鋳型キャビティの中に投入する工程と;
c)前記スラリーを前記鋳型キャビティの中で硬化させてチタン含有物品の鋳型を形成する工程とを含む、方法。
[項2]実質的に中空の大型粒子とともに、微細スケールのアルミン酸カルシウム粒子を使用する、任意の前項に記載の方法。
[項3]前記方法が、前記スラリーを鋳型キャビティの中に投入する前に酸化物粒子を前記スラリーに添加することをさらに含む、任意の前項に記載の方法。
[項4]前記酸化物粒子が、酸化アルミニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、酸化カルシウム粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化チタン粒子、またはその組合せを含む、任意の前項に記載の方法。
[項5]前記酸化物粒子が中空の酸化物粒子を含む、任意の前項に記載の方法。
[項6]前記酸化物粒子が中空のアルミナ球を含む、任意の前項に記載の方法。
[項7]前記鋳型キャビティが、前記キャビティを横切る白金ピンを有する、任意の前項に記載の方法。
[項8]前記アルミン酸カルシウム粒子の少なくとも50%の外形寸法が約10ミクロン未満である、任意の前項に記載の方法。
[項9]前記アルミン酸カルシウム粒子が、最大約50ミクロンの外形寸法の粒子を含み、前記大型粒子が、約70〜約300ミクロンの外形寸法の粒子を含む、任意の前項に記載の方法。
[項10]前記鋳型が、ニアネットシェイプのチタンアルミナイド製物品を鋳造するためのインベストメント鋳型を含む、任意の前項に記載の方法。
[項11]中空のチタンおよびチタン合金の鋳造方法であって、
a)アルミン酸カルシウム粒子および大型粒子を含むインベストメント鋳型組成物を得る工程と;
b)前記インベストメント鋳型組成物を、消失性模型を含む容器の中に注入する工程と;
c)前記インベストメント鋳型組成物を硬化させる工程と;
d)前記消失性模型を鋳型から除去する工程と;
e)前記鋳型を鋳型鋳造温度に予熱する工程と;
f)溶融したチタンまたはチタン合金を、前記加熱した鋳型に注入する工程と;
g)前記溶融したチタンまたはチタン合金を凝固させ、凝固した中空のチタンまたはチタン合金鋳造物を形成する工程と;
h)前記凝固した中空のチタンまたはチタン合金鋳造物を前記鋳型から取り出す工程とを含む、鋳造方法。
[項12]実質的に中空の大型粒子とともに、微細スケールのアルミン酸カルシウム粒子を使用する、任意の前項に記載の鋳造方法。
[項13]前記消失性模型を前記鋳型から除去する工程と、前記鋳型を鋳型鋳造温度に予熱する工程との間に、前記鋳型を約450℃〜約900℃の温度に加熱する工程と、その後前記鋳型を約室温まで冷却させる工程を含む、任意の前項に記載の鋳造方法。
[項14]前記消失性模型の前記除去が、溶融、溶解、着火、オーブン脱蝋、炉脱蝋、蒸気オートクレーブ脱蝋、またはマイクロ波脱蝋の少なくとも1つを含む、任意の前項に記載の鋳造方法。
[項15]前記凝固したチタンまたはチタン合金鋳造物を前記鋳型から取り出した後、前記鋳造物がX線ラジオグラフィおよび中性子ラジオグラフィのうちの一方または両方によって検査される、任意の前項に記載の鋳造方法。
[項16]任意の前項に記載される鋳造方法によって作成されたチタンまたはチタン合金物品。
[項17]セラミック中子を作成する方法であって、
a)大型粒子を含むアルミン酸カルシウム粒子と液体を合してスラリーを形成する工程と;
b)前記スラリーをダイに投入して物品成形体であるグリーン体を生成する工程と;
c)セラミック中子を形成するのに十分な条件下で前記グリーン体を加熱する工程とを含む、方法。
[項18]微細スケールのアルミン酸カルシウム粒子が、実質的に中空である大型粒子とともに使用される、任意の前項に記載の方法。
[項19]前記方法が、前記スラリーを物品成形体の中に投入する前に酸化物粒子を前記スラリーに添加することをさらに含む、任意の前項に記載の方法。
[項20]前記酸化物粒子が中空の酸化物粒子を含む、任意の前項に記載の方法。
[項21]前記酸化物粒子が中空のアルミナ球を含む、任意の前項に記載の方法。
[項22]前記アルミン酸カルシウム粒子の少なくとも50%の外形寸法が約10ミクロン未満である、任意の前項に記載の方法。
[項23]前記アルミン酸カルシウム粒子が、最大約50ミクロンの外形寸法の粒子を含み、前記大型粒子が、約70〜約300ミクロンの外形寸法の粒子を含む、任意の前項に記載の方法。
[項24]中空のタービン部品を鋳造するための方法であって、
(i)
a)大型粒子を含むアルミン酸カルシウム粒子と液体を合してスラリーを形成する工程と;
b)前記スラリーをダイに投入して物品成形体であるグリーン体を作製する工程と;
c)焼結したセラミック中子を形成するのに十分な条件下で前記グリーン体を加熱する工程とを含む、セラミック中子を作成する工程と
(ii)鋳型内の予め選択された位置に前記セラミック中子を配置する工程と;
(iii)溶融したチタンまたはチタン合金含有材料を前記鋳型に投入する工程と;
(iv)前記溶融材料を冷却して、前記鋳型の内部で前記タービン部品を形成する工程と;
(v)前記シェル鋳型と前記タービン部品を切り離す工程と;
(vi)中空のタービン部品を形成するために、前記中子を前記タービン部品から取り出す工程とを含む、方法。
[項25]鋳造される前記タービン部品が、タービンブレードである、任意の前項に記載の方法。