JP2019180332A - ペレット状ペット用トイレ砂並びにその製造方法 - Google Patents

ペレット状ペット用トイレ砂並びにその製造方法 Download PDF

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雅弘 植竹
明人 中村
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Abstract

【課題】可燃性材料の植物繊維を原材料として採用しつつ何らコーティングすること無しに高い撥水機能を発揮し得るトイレ砂を提供する。【解決手段】無定形片であって含水率20〜30%の植物繊維90〜97重量%と澱粉類3〜10重量%とを均一に混合して成る混合物をディスクペレッターに投入し、該ディスクペレッターにおけるダイス上のローラ回転により該混合物を圧縮して押し出すことでペレット状に造粒し、造粒されたペレットを乾燥機により所定温度で加熱及び乾燥して嵩比重0.5〜0.8g/cm3及び含水率10〜12%に成形して成る手段を採る。【選択図】なし

Description

本発明は、猫をはじめとするペットのトイレに使用されるペレット状のトイレ砂に関し、詳しくは、植物性の有機材料を利用しつつ撥水性の高いペレット状のトイレ砂に関するものである。
ペット用トイレは、通称「猫砂」とも呼ばれる「トイレ砂」を上段に配し、下段に尿を吸収し得るシート材が配されて成るものが広く一般的に用いられている。かかる上段のトイレ砂としては、原材料としてゼオライトや川砂などの鉱物系をベースとするもの、あるいは、木屑や粉砕パルプなど木質系原材料由来の製品が一般的に使用されている。
ところで、トイレ砂は、撥水性を有することが好ましい。すなわち、撥水性のトイレ砂を用いることで、尿がトイレ砂に吸収されることなくその間隙を通って、下段に配されたシート材まで到達して吸収されることとなる。これにより、尿をする度にトイレ砂を捨てる必要がなく、下段に配されたシート材を日に1回程度取り替えれば足りるため、トイレの清掃の手間を省くことができると共に、ゴミの減量に資することとなる。
従来より、トイレ砂に撥水性を備えさせた提案が種々なされている。その一つとして、底部が液透過構造のシートとなっている容器に撥水性の粒状体を入れる「ペット用トイレ」(特許文献1参照)が提案され、公知技術となっている。具体的には、前記粒状体を、ポリプロピレンなどの樹脂や合成ゼオライト、天然ゼオライト、ガラス系などの無機系材料で形成することで撥水性を備えさせるか、あるいは、セルロースなど可燃性の粒の表面にシリコン被膜を形成することで撥水性を備えさせる手法を採る提案である。
しかしながら、上記提案によれば、粒状体としてポリプロピレンなどの樹脂をはじめとする無機系材料を採用した場合、確かに撥水機能を発揮することはできるが、本来が不燃性の樹脂系、鉱物系ベースの原材料であるため、ゴミとして廃棄する際に可燃物として廃棄できず、環境に対して大きな負荷を与えるものであった。また、粒状体としてセルロースなど可燃性材料を採用した場合、そのままでは撥水機能が低く、粒の表面に撥水性を有するシリコン被膜を形成することを要するため、製造工程が煩雑で労力的に手間がかかると共に、製造コストの増大を招くものであった。
また、上部が開口された排便室と、その下方に設けられて外気から閉塞された溜め室とから構成され、排便室に撥水性を有する撥水部材が充填されて成る「ペット用トイレ」(特許文献2参照)が提案され、公知技術となっている。具体的には、撥水部材が、小石のような任意の部材の表面にシリコン系やABS系のような撥水性を有する薬剤をコーティングすることにより形成されている提案である。
しかしながら、上記提案によれば、撥水部材のベースについて特に限定していないものの、結局のところ撥水機能を発揮し得るために、任意の部材の表面にシリコン系やABS系のような撥水性を有する薬剤をコーティングすることを要するため、製造工程が煩雑で労力的に手間がかかると共に、製造コストの増大を招くものであった。
さらに、二重構造のペット用トイレの上部側に配するトイレ砂であって、撥水性、吸水性及び適度な弾力性を有し、燃えるゴミとして廃棄可能な「ペット用トイレ砂及びその製造方法」(特許文献3参照)が提案され、公知技術となっている。具体的には、ポリオレフィン系フィルム及びポリ酢酸ビニル系フィルムの一方又は双方の解砕物とパルプ繊維の粉末から成る吸水材粉末とを成形口から押し出し熱融着して、表面の一部に露出する吸水材による吸水面及び内部の吸水材と外部の水分との接触用として表面に開口するひび割れを備えて、ペレット状に構成したペット用トイレ砂の提案である。
しかしながら、上記提案によれば、そのベースとなる原材料の性質から基本的に撥水性を有しているが、表面に水分を吸収するための開口するひび割れが形成されているため、該ひび割れ箇所から吸収されたペットの尿がペレット内に蓄積されることで、悪臭発生の原因になり得ると共に、ペレットが水分を含有することで溶解を起こして形状が崩壊し、廃棄作業を煩雑にするおそれがあった。
本出願人は、トイレ砂における撥水機能に着目し、原材料として可燃性材料を採用しつつシリコン等の撥水性薬剤をコーティングすること無しに高い撥水機能を発揮し得るトイレ砂を提供できないものかとの着想の下、植物繊維と澱粉類とを所定重量比で適宜混合し成形することで、これらを実現可能なトイレ砂を新たに開発し、本発明にかかる「ペレット状ペット用トイレ砂並びにその製造方法」の提案に至るものである。
特開2005−110700号公報 実開平6−75151号公報 特開2012−161296号公報
本発明は、上記問題点に鑑み、可燃性材料の植物繊維を原材料として採用しつつ何らコーティングすること無しに高い撥水機能を発揮し得るトイレ砂を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するため、本発明は、植物繊維を主成分とする撥水性を備えたペット用トイレ砂であって、無定形片であって含水率20〜30%の植物繊維90〜97重量%と澱粉類3〜10重量%との均一混合物が嵩比重0.5〜0.8g/cm3及び含水率10〜12%のペレットに成形されて成る手段を採る。
また、本発明は、前記ペレットが、径略5mm、長さ10〜20mmの略円柱形状である手段を採る。
さらに、本発明は、前記植物繊維が、籾殻から成る手段を採る。
またさらに、本発明は、前記澱粉類が、コンスターチである手段を採る。
さらにまた、本発明は、植物繊維を主成分とする撥水性を備えたペット用トイレ砂の製造方法であって、無定形片であって含水率20〜30%の植物繊維90〜97重量%と澱粉類3〜10重量%とを均一に混合して成る混合物をディスクペレッターに投入し、該ディスクペレッターにおけるダイス上のローラ回転により該混合物を圧縮して押し出すことでペレット状に造粒し、造粒されたペレットを乾燥機により所定温度で加熱及び乾燥して嵩比重0.5〜0.8g/cm3及び含水率10〜12%に成形して成る手段を採る。
そしてまた、本発明は、前記ディスクペレッターにおけるローラ回転量が55〜65rpm、ダイス温度が55〜65℃であり、該ディスクペレッターへの混合物投入量が毎分略5kgで連続的に投入されて成る手段を採用し得る。
本発明にかかるペレット状ペット用トイレ砂によれば、可燃性の有機材料である植物繊維を主成分としつつ、浸水しても溶解やゲル化することのない撥水性の高いペレット状のペット用トイレ砂を提供することができるため、清掃手間の省力化に資すると共に、可燃物として廃棄可能で且つゴミの減量にも資する、といった優れた効果を奏するものである。
また、本発明にかかるペレット状ペット用トイレ砂によれば、原材料の主成分である植物繊維として籾殻を採用することにより、農家において準産業廃棄物として処理に苦慮している籾殻の有効利用が図られると共に、ゴミの減量及びコスト削減にも資する、といった優れた効果を奏するものである。
さらに、本発明にかかるペレット状ペット用トイレ砂の製造方法によれば、従前の製造工程を大きく変更すること無しに、上記した優れた効果を発揮し得るペレット状ペット用トイレ砂の製造を可能にする、といった優れた効果を奏するものである。
本発明は、ペレット状ペット用トイレ砂の製造に際し、植物繊維90〜97重量%と澱粉類3〜10重量%とを均一に混合して成る混合物を嵩比重0.6〜0.7g/cm3及び含水率10〜12%のペレットに成形する手段を採用したことを最大の特徴とする。
以下、本発明にかかるペレット状ペット用トイレ砂並びにその製造方法の実施形態を説明する。
尚、本発明にかかるペレット状ペット用トイレ砂並びにその製造方法は、以下に述べる実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、すなわち同一の作用効果を発揮できる形状や寸法、材質等の範囲内で適宜変更することができるものである。
本発明にかかるペレット状ペット用トイレ砂は、主成分たる無定形片の植物繊維と、該植物繊維の接合剤として機能する澱粉類とを原材料とするもので、これら植物繊維と澱粉類とを均一に混合した混合物をペレット状に造粒することで成形されている。
本発明では、含水率20〜30%の食物繊維の無定形片を使用する。したがって、食物繊維の含水率によっては、必要に応じて事前に膨潤処理が施される。食物繊維について、かかる含水率を適用する理由については後述する。
食物繊維の原料については、特に限定するものではないが、農業における準廃棄物の有効利用を図るべく、例えば籾殻が好適である。なお、採用する籾殻のうち、モチ米から出る籾殻は除かれる。
澱粉類は、無定形片の食物繊維を相互に接合するための接合剤として機能するものであって、農産物から精製されるものが使用され、その中でも好ましくはコンスターチが採用される。
食物繊維と澱粉類とは、所定の重量比で均一混合される。接合剤の配合量は通常、原料100重量%に対して1〜10重量%とすることが望ましく、特に2〜8重量%、更には4〜7重量%程度とすることが好ましい。接合剤が10重量%を超えるとコストが嵩み、接合剤の部分から溶解が起こって形状崩壊しやすくなる。また、1〜2重量%だと接合が不十分で十分な皮膜が得られず、撥水性が乏しくなってしまう。その点で、本発明における重量比は、植物繊維90〜97重量%、澱粉類3〜10重量%を採用している。これにより、完成するトイレ砂に強度な表面皮膜を形成し、ペレットの形状は十分に保持され、且つ、撥水性の高いトイレ砂を得ることができる。
なお、食物繊維と澱粉類との混合作業は、手作業であると機械作業であるとを問うものではないが、均一な混合に鑑みると、手作業ではなくリボンミキサー等によって機械的に満遍なく混合することが望ましい。
食物繊維と澱粉類とを所定の重量比で均一混合してできた混合物は、ペレット状に造粒される。ペレットの具体的形状については、特に限定するものでは無いが、例えばディスクペレッターにより機械的に成形しやすい略円柱形状とすることが考え得る。このとき、該ペレットの外形について、従来からトイレ砂として一般的に採用されている形状に鑑み、径略5mm、長さ10〜20mmの略円柱形状を採用し得る。
ここで、ディスクペレッターにより食物繊維と澱粉類の混合物をペレットに成形する場合について説明する。
すなわち、植物繊維と澱粉類の混合物は、ディスクペレッターの投入口から投入される。すると、ローラが回転しながら混合物をダイスへ押圧することで、該ダイスに形成された孔から混合物が押し出され、ペレット状に造粒される。
尚、ディスクペレッターによる造粒・成形の条件として、投入材料の含水率が17〜25%、更には20〜24%であることが好ましく、この範囲であればスムーズに製造できると共に、完成するペレットの形状保持にも好適である。もし含水率が前述より少なかったり多かったりした場合には、円柱状の安定した形状のペレットが得られない。
したがって、本発明における混合物の含水率も同範囲である必要があり、そこで既述のとおり、食物繊維の含水率について20〜30%とし、該食物繊維に澱粉類が混合されることでその混合物の含水率が17〜25%となるように仕向けられている。
ディスクペレッターへの混合物の投入量は、ローラの回転スピード更にはダイスの温度により調整を行うことを要する。すなわち、好適なローラの回転スピードは40〜70rpmで、より好ましくは55〜65rpmである。また、好適なダイスの温度は30〜70℃で、より好ましくは55〜65℃である。これらの要素を考慮して、混合物の投入量については概ね毎分5kg程度とすることが好ましい。
造粒されたペレットは、加熱及び乾燥が施される。かかる加熱及び乾燥には乾燥機、好ましくは振動乾燥機が使用され、該乾燥機により約150℃で加熱及び乾燥が施される。これにより、最終的にペレットは、嵩比重0.5〜0.8g/cm3及び含水率10〜12%の状態に成形され、これが本発明に係るペレット状ペット用トイレ砂と成る。
ここで、本発明にかかるペレット状ペット用トイレ砂の製造方法を用い、実際にペレット状ペット用トイレ砂の製造を試みた実施例について、以下に説明する。
なお、本実施例は、食物繊維として籾殻、澱粉類としてコンスターチを採用した場合の実施例である。
膨潤処理した含水率23.5%の籾殻94kgに、接合剤であるコンスターチ6kgを加え、リボンミキサーによって室温において均一になるまで5分間、混合を行った。
上記混合により得られた籾殻とコンスターチの混合物を、ディスクペレッター(株式会社ダルトン製600mm造粒機)に毎分5kg投入した。
投入された混合物は、ローラの回転が60rpmでダイスの温度が50.5℃の条件下で、ローラによって押し出され、直径5mm、長さ20mmの円柱状ペレットが排出された。
排出された直径5mm、長さ20mmのペレットを、温度150度に設定された振動乾燥機で含水率が約10〜12%になるよう乾燥し、最終的に約100kgの本発明にかかるペレット状トイレ砂を得た。尚、かかるトイレ砂の嵩比重は0.67で、含水率は10.3%であった。
トイレ砂は、ペットから排泄される尿の温度に基づき、温湯に浸水させることでその評価が得られることとなる。すなわち、温湯の温度として25〜40℃、好ましくは32〜36℃の条件下において、浸水時の形状保持時間を計測した場合に、1〜2時間好ましくは2時間以上形状が保持されていれば、評価は良好と判断される。
本発明にかかるペレット状ペット用トイレ砂は、上記条件下(温湯約35℃)において状態を確認したところ、円柱形状のペレットが溶解せずに形状崩壊は一切起こらず、その後3時間以上経過しても形状は保持されたままであった。したがって、本発明にかかるペレット状ペット用トイレ砂の高い撥水性が確認されると共に、トイレ砂としての評価は絶大である。
本発明は、可燃性の有機材料である植物繊維を主成分としつつ、浸水しても溶解やゲル化することのない撥水性の高いペレット状ペット用トイレ砂であって、主成分の植物繊維として籾殻を採用することにより、農家において準産業廃棄物として処理に苦慮している籾殻の有効利用が図られると共に、ゴミの減量及びコスト削減にも資することとなり、しかも従前の製造工程を大きく変更すること無しに製造することが可能であることから、本発明にかかる「ペレット状ペット用トイレ砂並びにその製造方法」の産業上の利用可能性は多大なものがあるものと思料される。

Claims (6)

  1. 植物繊維を主成分とする撥水性を備えたペット用トイレ砂であって、
    無定形片であって含水率20〜30%の植物繊維90〜97重量%と澱粉類3〜10重量%との均一混合物が嵩比重0.5〜0.8g/cm3及び含水率10〜12%のペレットに成形されて成ることを特徴とするペレット状ペット用トイレ砂。
  2. 前記ペレットが、径略5mm、長さ10〜20mmの略円柱形状であることを特徴とする請求項1に記載のペレット状ペット用トイレ砂。
  3. 前記植物繊維が、籾殻から成ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のペレット状ペット用トイレ砂。
  4. 前記澱粉類が、コンスターチであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のペレット状ペット用トイレ砂。
  5. 植物繊維を主成分とする撥水性を備えたペット用トイレ砂の製造方法であって、
    無定形片であって含水率20〜30%の植物繊維90〜97重量%と澱粉類3〜10重量%とを均一に混合して成る混合物をディスクペレッターに投入し、該ディスクペレッターにおけるダイス上のローラ回転により該混合物を圧縮して押し出すことでペレット状に造粒し、造粒されたペレットを乾燥機により所定温度で加熱及び乾燥して嵩比重0.5〜0.8g/cm3及び含水率10〜12%に成形して成ることを特徴とするペレット状ペット用トイレ砂の製造方法。
  6. 前記ディスクペレッターにおけるローラ回転量が55〜65rpm、ダイス温度が55〜65℃であり、該ディスクペレッターへの混合物投入量が毎分略5kgで連続的に投入されて成ることを特徴とする請求項5に記載のペレット状ペット用トイレ砂の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023085163A1 (ja) * 2021-11-12 2023-05-19 ユニ・チャーム株式会社 システムトイレ用トイレ砂及びその製造方法

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