JP2019177396A - 金属成形板、塗装金属成形板および成形方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特に、意匠性を高めるために、曲率半径が小さい稜線部を意匠面に有する金属成形板を成形により成形する場合、稜線部の凸側表面に凹凸が発達し、表面荒れとなって外観上の美観を損ね易い。
他の本発明の課題は、稜線部の凸部表面の表面荒れの発生が抑制された塗装金属成形板を提供することである。
他の本発明の課題は、稜線部の凸部表面の表面荒れの発生が抑制された金属成形板が得られる成形方法を提供することである。
意匠面に稜線部を有し、前記稜線部の板厚最小部における、前記稜線部の延在方向に対する直交方向断面の前記稜線部の凹側表面の曲率半径が5mm以下である金属成形板であって、
前記意匠面のうち板厚が最大となる箇所の表面における、結晶粒の平均アスペクト比が、2.0以上3.0未満であり、
前記稜線部の板厚最小部の凸側表面における、前記稜線部の延在方向に対する直交方向と結晶粒の短軸の最頻方向との成す角度が±15°以内であり、
前記稜線部の板厚最小部の凸側表面における、算術平均表面粗さSaが1.0μm以下である金属成形板。
<2>
前記稜線部の板厚最小部における、前記稜線部の凹側表面の曲率半径をRとし、板厚をtとしたとき、R/tが5以下である<1>に記載の金属成形板。
<3>
前記金属成形板が、鋼製である<1>又は<2>に記載の金属成形板。
<4>
前記金属成形板が、アルミニウム合金製である<1>又は<2>に記載の金属成形板。
<5>
<1>〜<4>のいずれか1項に記載の金属成形板と、前記金属成形板の表面のうち、少なくとも前記稜線部の凸側の表面に設けられた塗装層と、を有する塗装金属成形板。
<6>
表面の結晶粒の平均アスペクト比が2.0以上3.0未満の金属板をプレス成形し、意匠面に稜線部を有し、前記稜線部の板厚最小部における、前記稜線部の延在方向に対する直交方向断面の前記稜線部の凹側表面の曲率半径が5mm以下である金属成形板を得る成形方法であって、
前記金属板の表面における、結晶粒の短軸の最頻方向を特定する工程と、
前記金属板をプレス成形したとき、前記稜線部の板厚最小部における前記稜線部の延在方向に対する直交方向を特定する工程と、
前記稜線部の延在方向に対する直交方向と前記結晶粒の短軸の最頻方向との成す角度が±15°以内となるように、前記金属板をブランキングする工程と、
ブランキングされた金属板に対して、前記角度が±15°以内となるプレス成形を実施する工程と、
を有する成形方法。
<7>
前記金属板が、鋼製である<6>に記載の成形方法。
<8>
前記金属板が、アルミニウム合金製である<6>に記載の成形方法。
本発明によれば、稜線部の凸部表面の表面荒れの発生が抑制された塗装金属成形板を提供できる。
本発明によれば、稜線部の凸部表面の表面荒れの発生が抑制された金属成形板が得られる成形方法を提供できる。
なお、本明細書において、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
また、「意匠面」とは、金属成形板を構成する面のうち、外部に露出し、美観の対象となり得る面をいう。
また、「稜線部の板厚最小部における稜線部の延在方向」とは、稜線部のある意匠面を平面視したとき、稜線部の板厚最小部において、稜線部が延びる方向を意味する。例えば、稜線部の頂点が直線を描く箇所に、稜線部の板厚最小部が有する場合、「稜線部の板厚最小部における稜線部の延在方向」とは、当該直線が延びる方向を意味する。一方、稜線部の頂点が曲線を描く箇所に、稜線部の板厚最小部が有する場合、「稜線部の板厚最小部における稜線部の延在方向」とは、当該曲線に対する稜線部の板厚最小部における接線が延びる方向を意味する。
また、「稜線部の延在方向に対する直交方向」を「稜線部の直交方向」とも称する。
具体的には、稜線部の板厚最小部における、稜線部の直交方向断面の稜線部の凹側表面の曲率半径が5mm以下となるプレス成形を実施すると、稜線部の相当塑性ひずみが大きくなる。
このような曲率半径の小さい稜線部を有する金属成形板は、稜線部の凸側表面に表面荒れが現れる。特に、稜線部のうち、稜線部の板厚最小部は、相当塑性ひずみが大きく、稜線部の凸側表面に表面荒れが顕著に現れる。
そして、ブランキングした金属板に対して、上記角度が±15°以内となるプレス成形を実施すれば、意匠性を高めるために、断面の曲率半径の小さい稜線部をプレス成形しても、稜線部の凸部表面の表面荒れが抑制される。
まず、本実施形態に係る成形方法により得られる金属成形板(以下「本実施形態に係る金属成形板」と称する)について説明する。
つまり、金属成形板10は、表面の結晶粒の平均アスペクト比が2.0以上3.0未満の金属板をプレス成形した成形板と見なすことができる。
つまり、金属成形板10は、稜線部12の板厚最小部12Aにおける稜線部12の直交方向と結晶粒の短軸の最頻方向との成す角度が±15°以内となるように、金属板をプレス成形した成形板とみなすことができる。
なお、図1中、D2は稜線部12の直交方向を示す。
測定対象の金属成形板10の表面(以下「観察面」とも称する)を有する試料を採取する。
次に、試料の観察面を研磨及びナイタールエッチングし、観察面の粒界を腐食させて発現させる。
次に光学顕微鏡により、試料の観察面のうち、200μm×200μmの四方の領域を500倍率で観察する。
次に、観察した結晶粒において、最大長さを長軸長さとし、長軸に直交する方向に沿った長さの最大長さを短軸長さとする。測定した長軸長さ及び短軸長さから、アスペクト比(=長軸長さ/短軸長さ)を算出する。そして、観察面で観察される結晶粒の各アスペクト比の算術平均を平均アスペクト比とする。
なお、表面形状のカットオフ条件は、S−フィルター=0.8μm、L−フィルター=2.5mmとする。
なお、フェライト分率は、次に示す方法により測定できる。鋼製の金属成形板の表面を研磨後、ナイタール溶液に浸漬することで、フェライト組織を現出させ、光学顕微鏡で組織写真を撮影する。その後、前記組織写真の全域の面積に対するフェライト組織の面積を算出する。
以下、本実施形態に係る金属成形板の表面を塗装した塗装金属成形板(以下「本実施形態に係る塗装金属成形板」と称する)について説明する。
塗装層20は、単層であってもよいし、複層(例えば、下塗り塗装層、中塗り塗装層、上塗り塗装層等を有する複層)であってもよい。
次に、本実施形態に係る成形方法について説明する。
本実施形態に係る成形方法は、表面の結晶粒の平均アスペクト比が2.0以上3.0未満の金属板をプレス成形し、金属成形板を得る成形方法である。
第一工程では、表面の結晶粒の平均アスペクト比が2.0以上3.0未満の金属板の表面における、結晶粒の短軸の最頻方向を特定する(図4参照)。
なお、図4中、Stは金属板、Crは結晶粒、D1は結晶粒の短軸の最頻方向を示す。図4中の(A)は、金属板の表面の部分拡大図(SEM写真の模式図)である。
第二工程では、金属板をプレス成形したとき、稜線部の板厚最小部における稜線部の直交方向を特定する。そして、第三工程は、稜線部の直交方向と結晶粒の短軸の最頻方向との成す角度が±15°以内となるように、金属板をブランキングする。
これらを特定した上で、稜線部の直交方向と結晶粒の短軸の最頻方向との成す角度が±15°以内となるように、金属板をブランキングする領域を決定する(図5参照)。そして、金属板をブランキングする(図6参照)。
第四工程では、ブランキングされた金属板に対して、稜線部の直交方向と結晶粒の短軸の最頻方向との成す角度が±15°以内となるプレス成形を実施する。
プレス成形の種類は、特に制限はなく、意匠面に稜線部を有する金属成形板が得られる成形方法(例えば、張り出し成形及び絞り張り出し成形等)であればよい。
この成形により、目的とする金属成形板が得られる(図1参照)。
よって、本実施形態に係る成形方法は、稜線部の凸部表面の表面荒れの発生が抑制される成形方法である
C:0.038、Si:0.012、Mn:0.19、P:0.020、S:0.003、Al:0.041、N:0.003、Ti:0.001、Nb:0.001、B:0.0001を含み、残部がFe及び不純物からなり、板厚0.75mmの鋼板を準備した。この鋼板の表面の「平均アスペクト比」は2.17であり、鋼板の圧延方向に対する「結晶粒の短軸の最頻方向」は40°であった。
表1に示す「平均アスペクト比」および「結晶粒の短軸の最頻方向」をブランキング前の鋼板(ブランキング前の鋼板)を準備した。
次に、「稜線部の直交方向と結晶粒の短軸の最頻方向との成す角度が表1に示す角度となるように、鋼板をブランキングする領域を決定し、鋼板をブランキングした。
そして、ブランキングした鋼板に対して、稜線部の直交方向と結晶粒の短軸の最頻方向との成す角度、並びに、稜線部12の板厚最小部12Aにおける稜線部12の凹側表面の曲率半径Rおよび板厚tが表1に示す値となるプレス成形を実施した。
このように、これら条件以外は、実施例1と同様にして、図1に示す形状の成形板を得た。
得られた鋼成形板について、稜線部の板厚最小部の凸側表面における、算術平均表面粗さSaを既述の方法に従って測定した。
11 意匠面
11A 金属板の縁部
11B 金属板の縁部
12 金属成形板の稜線部
12A 金属成形板の稜線部の板厚最小部
14 金属成形板の天板部
14A 稜線部の延在方向に沿った金属成形板の肩部
14B 稜線部の延在方向と交わる金属成形板の肩部
16 金属成形板の縦壁部
16A 稜線部の延在方向に沿った金属成形板の縦壁部
16B 稜線部の延在方向と交わる金属成形板の縦壁部
18 金属成形板のフランジ
18A 稜線部の直交方向上にある金属成形板のフランジ
18B 稜線部の延在方向上にある金属成形板のフランジ
Claims (8)
- 意匠面に稜線部を有し、前記稜線部の板厚最小部における、前記稜線部の延在方向に対する直交方向断面の前記稜線部の凹側表面の曲率半径が5mm以下である金属成形板であって、
前記意匠面のうち板厚が最大となる箇所の表面における、結晶粒の平均アスペクト比が、2.0以上3.0未満であり、
前記稜線部の板厚最小部の凸側表面における、前記稜線部の延在方向に対する直交方向と結晶粒の短軸の最頻方向との成す角度が±15°以内であり、
前記稜線部の板厚最小部の凸側表面における、算術平均表面粗さSaが1.0μm以下である金属成形板。 - 前記稜線部の板厚最小部における、前記稜線部の凹側表面の曲率半径をRとし、板厚をtとしたとき、R/tが5以下である請求項1に記載の金属成形板。
- 前記金属成形板が、鋼製である請求項1又は請求項2に記載の金属成形板。
- 前記金属成形板が、アルミニウム合金製である請求項1又は請求項2に記載の金属成形板。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の金属成形板と、前記金属成形板の表面のうち、少なくとも前記稜線部の凸側の表面に設けられた塗装層と、を有する塗装金属成形板。
- 表面の結晶粒の平均アスペクト比が2.0以上3.0未満の金属板をプレス成形し、意匠面に稜線部を有し、前記稜線部の板厚最小部における、前記稜線部の延在方向に対する直交方向断面の前記稜線部の凹側表面の曲率半径が5mm以下である金属成形板を得る成形方法であって、
前記金属板の表面における、結晶粒の短軸の最頻方向を特定する工程と、
前記金属板をプレス成形したとき、前記稜線部の板厚最小部における前記稜線部の延在方向に対する直交方向を特定する工程と、
前記稜線部の延在方向に対する直交方向と前記結晶粒の短軸の最頻方向との成す角度が±15°以内となるように、前記金属板をブランキングする工程と、
ブランキングされた金属板に対して、前記角度が±15°以内となるプレス成形を実施する工程と、
を有する成形方法。 - 前記金属板が、鋼製である請求項6に記載の成形方法。
- 前記金属板が、アルミニウム合金製である請求項6に記載の成形方法。
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