JP2019177062A - インプラント用の医療材料 - Google Patents

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有佳 阪口
創 柿山
So Kakiyama
創 柿山
功治 門脇
Koji Kadowaki
功治 門脇
雅規 藤田
Masanori Fujita
雅規 藤田
一裕 棚橋
Kazuhiro Tanahashi
一裕 棚橋
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Abstract

【課題】抗血栓性と細胞接着性を両立することができ、高い開存率の維持が可能なインプラント用の医療材料を提供すること。【解決手段】本発明は、平均繊維径が1μm〜15μmの単繊維を含み、以下の式1の条件を満たすマルチフィラメントからなる繊維構造体と、アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーと、ヘパリン又はヘパリンの誘導体と、を有し、上記アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーは、上記マルチフィラメント中の上記単繊維と共有結合し、上記ヘパリン又はヘパリンの誘導体は、上記アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーとイオン結合している、インプラント用の医療材料を提供する。(Y/X)×100≧50 ・・・式1[式中、Xは、交差平均角度を調べた単繊維の本数を表し、Yは、Xの内で交差平均角度が25度以下の単繊維の本数を表す。]【選択図】なし

Description

本発明は、インプラント用の医療材料に関する。
脳卒中はガン、心臓病に次いで本邦における死因の第3位である。脳卒中の患者数は現在約170万人といわれており、毎年25万人以上が新たに発症していると推察されている。一旦脳卒中を罹患すると寝たきり状態となることが多く、寝たきりの原因の約3割近くが脳卒中等の脳血管疾患というデータもある。さらには、今後の高齢者の増加や糖尿病、高脂血症等の生活習慣病の増加により脳卒中の患者は増加の一途をたどっている状況であり、その対策は急務となっている。
脳卒中の一種である「心原性脳塞栓症」は、脳梗塞の中の20〜25%を占めており、心房細動等により心臓の拍動のリズムが乱れ、血液が鬱滞して血栓を形成し、それが脳へと飛散することで発症する。この時の血栓形成の大部分は、心臓の左心耳内と呼ばれる、左肺静脈の根元と僧帽弁の間の左心房の前外側壁に連結された小さい親指又は吹き流し様の閉鎖した空洞で発生するか又はそこを原発とする。
心房細動患者に対する経皮的左心耳閉鎖治療では、左心耳閉塞デバイスの留置後デバイスの表面が生体由来の組織又は新生内膜により被覆されるまでは、血栓形成を阻害するため、一定期間の抗凝固剤や抗血小板薬の投与が必須である。
留置後デバイスの表面上で血栓が形成する原因は、留置後デバイスが生体側に異物として認識され、その表面で血液凝固反応が進行することである。一定期間の抗凝固剤や抗血小板薬の投与以外で血栓の形成を阻害する方法としては、カチオン性ポリマーを基材に固定し、そのカチオン性ポリマーを介して抗凝固剤であるヘパリン又はヘパリン誘導体を基材の表面上に固定化する方法(特許文献1〜3)が報告されている。
血栓形成を抑制する別の方法としては、留置後デバイスの表面を早期に血管内皮細胞で被覆させる方法が知られている。これらの方法として、繊維繊度が0.5dtex以下の極細繊維を用いた上で、極細繊維に抗血栓性材料を結合する人工血管や(特許文献4)、繊維の配向を揃えることで細胞の接着性及び増殖性を向上させた細胞足場材料(特許文献5)が報告されている。
WO2015/080177 WO2016/190407 WO2014/168198 WO2015/122429 WO2016/068279
しかしながら、特許文献1〜3はカチオン性ポリマーを介してヘパリンがイオン結合にて繊維表面に強固に固定化する方法が開示されており、繊維表面上での血栓形成は阻害できる一方で、表面に存在するヘパリンが血管内皮細胞の接着・増殖を阻害し、結果として血管内皮細胞による被覆時期が遅くなってしまう可能性がある。
また、特許文献4には、極細繊維を用いることで細胞親和性を向上させた織物が開示されているが、繊維の配向性に関する開示はなく、細胞の増殖にとって最適な足場となっていない可能性がある。
さらに、特許文献5には、マルチフィラメント中の単繊維の配向及び繊維径という物理的性質を制御することで細胞増殖に適した足場材料を提供することが開示されているが、血栓形成を防止する方法については記載がない。
このように、従来技術では、ヘパリンを用いて抗血栓性を持たせつつ、十分な細胞接着性を持たせるという、抗血栓性と細胞接着性の両立は達成されておらず、その結果、インプラント用の医療材料に求められる高い開存率を達成することはできなかった。
そこで、本発明は、抗血栓性と細胞接着性を両立することで、高い開存率を維持可能なインプラント用の医療材料を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、(1)〜(5)の発明を見出した。
(1) 平均繊維径が1μm〜15μmの単繊維を含み、以下の式1の条件を満たすマルチフィラメントからなる繊維構造体と、アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーと、ヘパリン又はヘパリンの誘導体と、を有し、上記アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーは、上記マルチフィラメント中の上記単繊維と共有結合し、上記ヘパリン又はヘパリンの誘導体は、上記アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーとイオン結合している、インプラント用の医療材料。
(Y/X)×100≧50 ・・・式1
[式中、Xは、交差平均角度を調べた単繊維の本数を表し、Yは、Xの内で交差平均角度が25度以下の単繊維の本数を表す。]
(2) 上記アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーは、繰り返し単位中に下記一般式(I)で示される部分構造又は下記一般式(II)で示される末端構造を含む、(1)記載の医療材料。
Figure 2019177062
[式中、Xは炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表す。]
Figure 2019177062
[式中、X及びXは、共に炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表すか、又は、一方が水素原子を他方が炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表す。]
(3) 上記アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーは、下記一般式(III)又は(IV)で示される繰り返し単位を含む、(1)記載の医療材料。
Figure 2019177062
[式中、Xは、炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表し、Rは、−(CH−を表し、nは、0〜4の整数を表す。]
Figure 2019177062
[式中、X及びXは、共に炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表すか、又は、一方が水素原子を他方が炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表し、Yは、炭素原子を表すか又は窒素原子を表し、Rは、−(CH−又は−(CH−C(=O)−を表し、Rは、−(CH−を表し、nは、0〜4の整数を表す。]
(4) 上記繊維構造体は、編物又は織物である、(1)〜(3)のいずれか記載の医療材料。
(5) (1)〜(4)のいずれか記載の医療材料を備えた、心血管インプラント用の医療器材。
本発明の医療材料によれば、抗血栓性と細胞接着性を両立することができ、高い開存率の維持が可能なインプラント用の医療材料として使用でき、特に心血管インプラント用の医療器材として使用できる。
本発明のインプラント用の医療材料は、平均繊維径が1μm〜15μmの単繊維を含み、以下の式1の条件を満たすマルチフィラメントからなる繊維構造体と、アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーと、ヘパリン又はヘパリンの誘導体と、を有し、上記アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーは、上記マルチフィラメント中の上記単繊維と共有結合し、上記ヘパリン又はヘパリンの誘導体は、上記アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーとイオン結合していることを特徴としている。
(Y/X)×100≧50 ・・・式1
[式中、Xは、交差平均角度を調べた単繊維の本数を表し、Yは、Xの内で交差平均角度が25度以下の単繊維の本数を表す。]
医療器材とは、医療機器及び医療器具を示す。ここで、医療機器及び医療器具として、具体的には、人工肺、人工心臓、人工弁、左心耳閉塞デバイス、ペースメーカー、人工血管、ステント、ステントグラフト、血管カテーテル、遊離血栓捕獲器具、血管閉塞器具、血管内視鏡、縫合糸、人工腎臓、血液回路、チューブ類、カニューレ、血液バッグ及び注射器等が挙げられるが、特に生体への埋め込み後に表面の組織による被覆又は新生内膜による被覆を促進するため、上記のインプラント用の医療材料は、人工肺、人工心臓、人工弁、左心耳閉塞デバイス、ペースメーカー、人工血管、ステント、ステントグラフト、血管カテーテル、遊離血栓捕獲器具、血管閉塞器具等のインプラント用の医療器材に好適に用いることができる。さらに、本発明のインプラント用の医療材料は、繊維を用いることで伸縮性、柔軟性及び耐圧性等の特性を有することから、左心耳閉塞デバイス等の心血管インプラント用の医療器材により好適に利用することができる。
医療材料とは、医療器材を構成する材料として用いることができる材料である。本発明のインプラント用の医療材料は、マルチフィラメントからなる繊維構造体と、アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマー及びヘパリン又はヘパリンの誘導体を有している。
マルチフィラメントとは、単繊維を複数本束ねることで形成された繊維束を意味し、交差平均角度Sが25度以下の単繊維とは、マルチフィラメントに含まれる各単繊維同士が交差しており、かつ、交差平均角度Sが25度以下である単繊維、若しくは、マルチフィラメントを構成する各単繊維同士が交差していない(交差平均角度S=0度)単繊維を意味している。また、繊維構造体とは、このマルチフィラメントからなる構造体を指す。
交差平均角度Sとは、繊維構造体中から任意に選んだマルチフィラメントを、400倍に拡大した写真(視野範囲の面積:約0.48mm)をもとに、マルチフィラメント中の単繊維が、隣接する単繊維と交差している箇所に着目し、交差する角度の大きいものから3つをピックアップし、その3つの交差角度から平均値を算出したものを意味している。なお、交差角度は、2本の単繊維が交差して形成される2つの角度のうち小さい方の角度、すなわち0度以上90度以下の値をとる角度とする。さらに、マルチフィラメント内において交差角度が25度以上となる箇所がまったく見当たらない場合、マルチフィラメントを構成する各単繊維同士が交差していない(交差平均角度S=0度)ものとした。
マルチフィラメントに含まれる各単繊維同士の交差平均角度Sが25度以上になると、単繊維の配向が異なることにより、細胞接着性及び細胞増殖性が低下する。単繊維の配向を揃えるためには、編物や織物を製造する際にマルチフィラメントの糸切れや毛羽等の繊維方向の乱れがないように留意し、マルチフィラメントの部分での起毛やウォータージェットパンチ等の外力付加を行う工程を避けることが好ましい。また、交差平均角度Sが0度であることが、単繊維の配向の点で最も好ましい。
上記の医療材料は、マルチフィラメント中の交差平均角度Sが25度以下の単繊維の比率が以下の式1を満たす。X=40の場合、試料を交点の角度が90度になるように4等分にし、それぞれの箇所で10本ずつの単繊維(全体で40本の単繊維)の交差平均角度を測定(1本あたり3箇所観察して全体で120箇所を測定)する。
(Y/X)×100≧50 ・・・式1
[式中、Xは、交差平均角度を調べた単繊維の本数を表し、Yは、Xの内で交差平均角度が25度以下の単繊維の本数を表す。]
上記の式1において、(Y/X)×100の値は、50以上であると、細胞が単繊維の配向に沿って増殖できるため好ましく、100であることが最も好ましい。
平均繊維径とは、マルチフィラメント中の単繊維の断面を走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で任意の10箇所を観察し、その直径の平均値から算出したものである。
上記マルチフィラメント中の単繊維の平均繊維径は、細胞の接着性を向上させるため、1μm〜15μmであることが好ましく、さらに好ましくは1μm〜10μmであることが好ましい。
上記繊維構造体の具体的な形態としては、例えば、不織布、織物、編物又はメッシュが好ましい。上記の繊維構造体を心血管インプラント用の医療材料に用いる場合、心臓の拍動に追従するため伸縮性及び柔軟性が要求され、また血圧に耐える耐圧性が要求されることから、編物又は織物であることがより好ましい。
上記単繊維の種類は限定されないが、マルチフィラメントの表面に配置された単繊維が、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン、アクリル、ポリアミド及びポリスチレンからなる群から選択されるポリマーからなる単繊維であることが好ましく、コストと細胞接着性の観点から、ポリエステルからなる単繊維であることがより好ましい。
上記単繊維は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート又はナイロンからなる単繊維であることが好ましく、ポリエチレンテレフタレート又はポリブチレンテレフタレートからなる単繊維であることがより好ましい。
アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーは、繰り返し単位中に下記一般式(I)で示される部分構造又は下記一般式(II)で示される末端構造を含むポリマーであることが好ましい。
Figure 2019177062
[式中、Xは、炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表す。]
Figure 2019177062
[式中、X及びXは、共に炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表すか、又は、一方が水素原子を他方が炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表す。]
また、アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーは、下記一般式(III)又は(IV)で示される繰り返し単位を含むポリマーであることがより好ましい。
Figure 2019177062
[式中、Xは、炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表し、Rは、−(CH−を表し、nは0〜4の整数を表す。]
Figure 2019177062
[式中、X及びXは、共に炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表すか、又は、一方が水素原子を他方が炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表し、Yは、炭素原子を表すか又は窒素原子を表し、Rは、−(CH−又は−(CH−C(=O)−を表し、Rは、−(CH−を表し、nは0〜4の整数を表す。]
アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーは、上記一般式(III)で示される繰り返し単位と一般式(IV)で示される繰り返し単位の交互重合体を含んでいてもよく、その場合、繰り返し単位を下記一般式(V)で記載することができる。
Figure 2019177062
[式中、X〜Xは、共に炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表すか、又は、一つが水素原子を二つが炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表すか、又は、二つが水素原子を一つが炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表し、Yは、炭素原子を表すか又は窒素原子を表し、Rは、−(CH−を表し、Rは、−(CH−又は−(CH−C(=O)−を表し、Rは、−(CH−を表し、nは0〜4の整数を表す。]
さらに、上記一般式(IV)のより具体的な構造としては、下記一般式(VI)〜(VIII)で示される繰り返し単位が挙げられ、上記一般式(V)のより具体的な構造としては、下記一般式(IX)〜(XI)で示される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2019177062
[式中、X10及びX11は、共に炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表すか、又は、一方が水素原子を他方が炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表す。]
Figure 2019177062
[式中、X12及びX13は、共に炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表すか、又は、一方が水素原子を他方が炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表し、Rは、−(CH−を表し、nは0〜4の整数を表す。]
Figure 2019177062
[式中、X14及びX15は、共に炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表すか、又は、一方が水素原子を他方が炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表し、Rは、−(CH−又は−(CH−C(=O)−を表し、Rは、−(CH−を表し、nは0〜4の整数を表す。]
Figure 2019177062
[式中、X16〜X18は、共に炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表すか、又は、一つが水素原子を二つが炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表すか、又は、二つが水素原子を一つが炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表し、R10は、−(CH−を表し、R11は、−(CH−又は−(CH−C(=O)−を表し、R12は、−(CH−を表し、nは0〜4の整数を表す。]
Figure 2019177062
[式中、X19〜X21は、共に炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表すか、又は、一つが水素原子を二つが炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表すか、又は、二つが水素原子を一つが炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表し、R13は、−(CH−を表し、nは0〜4の整数を表す。]
Figure 2019177062
[式中、X22〜X24は、共に炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表すか、又は、一つが水素原子を二つが炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表すか、又は、二つが水素原子を一つが炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表し、R14は、−(CH−を表し、nは0〜4の整数を表す。]
上記のアルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーは、後述する窒素含有ポリマーの窒素原子に対してアルキルスルホン酸基を有する化合物を結合させたものである。アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーについては、窒素含有ポリマーの窒素原子にアルキルスルホン酸基を有する化合物を結合させ、上記アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーを作成してからマルチフィラメント中の単繊維へ固定化してもよいし、窒素含有ポリマーをマルチフィラメント中の単繊維に固定化させてから窒素原子にアルキルスルホン酸基を有する化合物を結合させて、アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーを作成してもよい。
ここで、窒素含有ポリマーとしては、特に限定されるものではないが、アルキレンイミン、ビニルアミン、アリルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、プロタミン及びグルコサミンからなる群から選択される化合物を構成モノマーとして含むポリマーが挙げられる。これらの構成モノマーは、カチオン性の窒素原子を有するため、窒素含有ポリマーはカチオン性を示し、一方、ヘパリン又はヘパリンの誘導体はアニオン性を示すため、イオン結合することが可能である。また、この窒素含有ポリマーに対しアルキルスルホン酸を結合させることで、アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーを作成することができる。
アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーは、単独重合体であってもよく、共重合体であってもよい。ポリマーが共重合体である場合には、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体又は交互共重合体のいずれであってもよいが、窒素原子を含んだ繰り返し単位が連続するブロックが有った方がヘパリン又はヘパリンの誘導体と多点的にイオン結合できるため、ブロック共重合体であることがより好ましい。
単独重合体とは、1種類の構成モノマーを重合して得られる高分子化合物をいい、共重合体とは、2種類以上のモノマーを共重合して得られる高分子化合物をいう。中でもブロック共重合体とは、繰り返し単位の異なる少なくとも2種類以上のポリマーが共有結合でつながり、長い連鎖になったような分子構造の共重合体をいい、ブロックとは、ブロック共重合体を構成する「繰り返し単位の異なる少なくとも2種類以上のポリマー」のそれぞれを指す。
アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーは直鎖状でもよいし、分岐状でもよいが、ヘパリン又はヘパリンの誘導体と多点的にイオン結合を形成しやすくなるため、分岐状であることがより好ましい。ここで、窒素含有ポリマーの分岐構造がアルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーの分岐構造を決定するため、窒素含有ポリマーが分岐状である場合、アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーも分岐状となる。
ヘパリン又はヘパリンの誘導体とイオン相互作用に基づく吸着量が多いことから、窒素含有ポリマーとしてポリアルキレンイミンを用いることが好ましい。ポリアルキレンイミンとしては、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン及びポリブチレンイミン、さらにはアルコキシル化されたポリアルキレンイミン等が挙げられるが、カチオン性の窒素原子が最も高密度で存在するため、ポリエチレンイミンがより好ましい。
ポリエチレンイミンの具体例としては、“LUPASOL”(登録商標)(BASF社製)や“EPOMIN”(登録商標)(株式会社日本触媒社製)等が挙げられるが、本発明の効果を妨げない範囲で他のモノマーとの共重合体であってもよく変性体であってもよい。ここでいう変性体とは、ポリマーを構成するモノマーの繰り返し単位は同じであるが、例えば、後述する放射線の照射により、その一部がラジカル分解や再結合等を起こしているものを指す。
アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーは、特に限定されるものではないが、性能に影響を与えない範囲で他のモノマーを含んでいてもよく、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ビニルピロリドン、ビニルアルコール、ビニルカプロラクタム、酢酸ビニル、スチレン、メチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート及びシロキサン等のモノマーを含んでいてもよい。
上記のアルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーの重量平均分子量は、600以上であることが好ましく、1,000以上であることがより好ましく、10,000以上であることがさらにより好ましい。また、アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーの重量平均分子量は、2,000,000以下であることが好ましく、1,500,000以下であることがより好ましく、1,000,000以下であることがさらに好ましい。アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーの重量平均分子量は、例えば、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法や、光散乱法等により測定することができる。
上記のアルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーは、アルキルスルホン酸基(―(CH―SOH;nはアルキルスルホン酸基の炭素数を表す)が結合している窒素含有ポリマーである。ここで、アルキルスルホン酸基の炭素数は特に限定されるものではないが、好適な疎水性と官能基の立体障害による影響を減らしてアニオン性の抗凝固活性を有する有機硫黄化合物との相互作用を高めるため、アルキルスルホン酸基の炭素数は6以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましい。本発明に好適なアルキルスルホン酸基として、具体的には、メチルスルホン酸基(―CH―SOH)、エチルスルホン酸基(―(CH―SOH)、プロピルスルホン酸基(―(CH―SOH)、ブチルスルホン酸基(―(CH―SOH)、ペンチルスルホン酸基(―(CH―SOH)及びヘキシルスルホン酸基(―(CH―SOH)等が挙げられる。
上記のアルキルスルホン酸基に含まれるスルホン酸は、スルホン酸塩を形成していてもよい。スルホン酸塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、スルホン酸ナトリウム、スルホン酸カルシウム及びスルホン酸アミン塩等が挙げられる。
上記インプラント用の医療材料において、上記ヘパリン又はヘパリン誘導体は、アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーと、ヘパリン又はヘパリン誘導体とをイオン結合させてからマルチフィラメント中の単繊維と共有結合させてもよいし、アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーをマルチフィラメント中の単繊維と共有結合させてから、アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーと、ヘパリン又はヘパリン誘導体とをイオン結合させてもよい。
上記ヘパリン又はヘパリン誘導体は、血液凝固反応を阻害できるものであれば特に限定されず、臨床で一般的に用いられている未分画ヘパリンや低分子量ヘパリンのほか、アンチトロンビンIIIに高親和性のヘパリン等も含まれる。ヘパリンの具体例としては、“ヘパリンナトリウム”(Organon API社製)等が挙げられる。
アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーが血液等の体液中に溶出すると、アニオン性の抗凝固活性を有する有機硫黄化合物を単繊維の表面に保持できなくなるため、アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーは単繊維の表面と共有結合している。
共有結合とは、二つの原子が互いの電子を共有することによって生じる化学結合を指す。本発明においては、アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマー及び単繊維の表面が有する原子(具体的には炭素、窒素、酸素、硫黄等)同士の共有結合であり、単結合であっても多重結合であってもよい。アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーが単繊維と共有結合していることは、アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーの良溶媒で洗浄した際の洗浄液中にアルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーが溶出しないことから判定することができる。ここで、アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーの良溶媒としては、単繊維を溶解せず、共有結合を化学的に切断しない溶媒を選択する。
アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーが窒素原子に結合したアルキルスルホン酸基を有することは、ヘパリン又はヘパリン誘導体を溶出させた後の医療材料の表面を、飛行時間型2次イオン質量分析法(以下、「TOF−SIMS」)で表面分析することによって確認することができる。
具体的に、下記の前処理を施すことで、ヘパリン又はヘパリン誘導体を溶出させた後の医療材料の表面をTOF−SIMSで測定することができる。
[TOF−SIMS前処理条件]
医療材料を十分量の0.6Mホウ酸緩衝液(NaOHでpH9.0に調製)へ浸漬する(37℃、24時間)。続いて、十分量のイオン交換水で5回以上洗浄し(室温、各10分)、室温の真空乾燥器内で12時間以上真空乾燥させる。ここで、十分量とは、医療材料の表面積に対して、1mL/cm以上の洗浄液を用いることをいう。
具体的に、ヘパリン又はヘパリン誘導体を溶出させた後の表面を、TOF−SIMSで測定する方法を以下に記載する。
[測定条件]
装置 :TOF.SIMS5(ION−TOF社製)
1次イオン種 :Bi ++
2次イオン極性 :正及び負
質量範囲(m/z) :0〜1500
ラスターサイズ :300μm四方
ピクセル数(1辺) :256ピクセル
後段加速 :10kV
測定真空度(試料導入前) :4×10−7Mpa
1次イオン加速電圧 :25kV
パルス幅 :10.5ns
バンチング :あり(高質量分解能測定)
帯電中和 :あり
ここでいうヘパリン又はヘパリン誘導体を溶出させた後の医療材料の最表面とは、TOF−SIMSの測定条件における測定表面からの深さ1〜3nmまでのことを指す。
TOF−SIMSでは、超高真空中においたヘパリン又はヘパリン誘導体を溶出させた後の医療材料の最表面にパルス化された1次イオンが照射され、ヘパリン又はヘパリン誘導体を溶出させた後の医療材料の最表面から放出された2次イオンが一定の運動エネルギーを得て飛行時間型の質量分析計へ導かれる。2次イオンの質量に応じて質量スペクトルが得られるため、ヘパリン又はヘパリン誘導体を溶出させた後の医療材料の最表面に存在する有機物や無機物の同定、そのピーク強度から存在量に関する情報が得られる。
具体的に、アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーが有する窒素原子に結合したアルキルスルホン酸基の存在は、TOF−SIMSにより観測される負2次イオンである14n+108(n+1)(2n+2)NSO ピーク及び14n+122(n+2)(2n+4)NSO ピークの存在によって確認される。ここで、nはアルキルスルホン酸基の炭素数を示す。
特に限定されるものではないが、14n+108(n+1)(2n+2)NSO ピークは下記の一般式(XII)で示される構造を示唆し、14n+122(n+2)(2n+4)NSO ピークは下記の一般式(XIII)又は一般式(XIV)で示される構造を示唆する。これらのピークは、いずれも窒素原子に結合したアルキルスルホン酸基特有のピークである。
Figure 2019177062
[式中、nはアルキルスルホン酸基の炭素数を表し、点線はTOF−SIMSによる結合切断部位を表す。]
Figure 2019177062
[式中、nはアルキルスルホン酸基の炭素数を表し、点線はTOF−SIMSによる結合切断部位を表す。]
Figure 2019177062
[式中、nはアルキルスルホン酸基の炭素数を表し、点線はTOF−SIMSによる結合切断部位を表す。]
具体的に、アルキルスルホン酸基としてプロピルスルホン酸基(n=3)を用いた場合、ヘパリン又はヘパリン誘導体を溶出させた後の医療材料の表面をTOF−SIMSで測定すると、負2次イオンとして160NSO ピーク及び16410NSO ピークを検出することができる。
さらに、窒素含有ポリマーがアルキレンイミンである場合、14n+108(n+1)(2n+2)NSO ピーク及び14n+122(n+2)(2n+4)NSO ピークに加えて、14n+151(n+3)(2n+7)SO ピークを検出できる。ここで、nはアルキルスルホン酸基の炭素数を表し、mはアルキレンイミンに含まれる窒素原子間の炭素数を表す。
特に限定されるものではないが、14n+14m+123(n+m+1)(2n+2m+3)SO ピークは下記の一般式(XV)で示される構造を示唆する。このピークは、アルキレンイミンの窒素原子に結合したアルキルスルホン酸基特有のピークである。
Figure 2019177062
[式中、nはアルキルスルホン酸基の炭素数を表し、mはアルキレンイミンの窒素原子間の炭素数を表し、点線はTOF−SIMSによる結合切断部位を表す。]
具体的に、アルキルスルホン酸基としてプロピルスルホン酸基(n=3)、アルキレンイミンとしてポリエチレンイミン(m=2)を用いた場合、ヘパリン又はヘパリン誘導体を溶出させた後の医療材料の表面をTOF−SIMSで測定すると、負2次イオンとして19313SO ピークを検出することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、実施例及び比較例中の単糸繊度は、JIS L 1013(2010)8.3.1 A法に従って、所定荷重0.045cN/dtexで正量繊度を測定して総繊度とし、それを単繊維数で除することで単糸繊度を算出している。
(実施例1)
総繊度が66dtex、9フィラメントの海島複合繊維であるマルチフィラメント糸を経糸及び緯糸として使用し、脱海処理後の織密度が経糸169本/2.54cm、緯糸124本/2.54cmの平織物を作製した。
ここで、海島複合繊維は、島成分がポリエチレンテレフタレートで構成され、海成分が5−ナトリウムスルホイソフタル酸を共重合したポリエチレンテレフタレートで構成される。
次に、経糸及び緯糸の脱海処理を行うため、平織物に対し次の(c−1)酸処理工程及び(c−2)アルカリ処理工程を行い、繊維構造体1を得た。
(c−1)酸処理工程
酸としてマレイン酸を使用した。平織物を0.2重量%のマレイン酸水溶液に浸漬し、130℃まで昇温した後、30分加熱することで酸処理を行った。
(c−2)アルカリ処理工程
アルカリとして水酸化ナトリウムを使用した。平織物を1重量%の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、80℃まで昇温した後、90分加熱することでアルカリ処理を行った。
得られた繊維構造体1の経糸及び緯糸のポリエチレンテレフタレート製のマイクロファイバーマルチフィラメント糸の総繊度は52.8dtex、630フィラメントであった。
繊維構造体1に抗血栓処理を行った。硫酸を0.6mol/L、過マンガン酸カリウム(和光純薬工業株式会社製)を5.0重量%含む水溶液に繊維構造体1を浸漬し、60℃で3時間反応させて繊維構造体1の表面を加水分解及び酸化した(加水分解及び酸化する工程)。反応後に水溶液を除去し、塩酸及び蒸留水で洗浄した。
4(−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルフォリニウムクロリドn水和物(以下、「DMT−MM」)(和光純薬工業株式会社製)を0.5重量%、ポリエチレンイミン(LUPASOL(登録商標) P;BASF社製、重量平均分子量750,000)を5.0重量%含む水溶液に繊維構造体1を浸漬し、30℃で2時間反応させて繊維構造体1にポリエチレンイミンを縮合反応により共有結合させた。反応後に水溶液を除去し、蒸留水等で洗浄した。
1,3−プロパンスルトンを1.0重量%含むメタノール溶液に繊維構造体1を浸漬し、50℃で5時間反応させ、ポリエチレンイミンの窒素原子にプロピルスルホン酸基を導入した。ポリエチレンイミンの窒素原子にプロピルスルホン酸基を導入した後に水溶液を除去し、蒸留水等で洗浄した。
ヘパリンナトリウム(Organon API社製)を0.75重量%、塩化ナトリウムを0.1mol/L含む水溶液を調製し、pH4に調整した。繊維構造体1をこの水溶液に浸漬し、70℃で6時間反応させて、アルキルスルホン酸化ポリエチレンイミンとイオン結合させた。水溶液を除去し、蒸留水で洗浄後、真空乾燥した。真空乾燥後にエチレンオキシドガス滅菌を行い、これを実施例1とした。走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で平均繊維径を評価した結果、2.5μmであった。また、交差平均角度SをマイクロスコープVHX‐2000(株式会社キーエンス製)を用いて測定したところ、実施例1において、上記式1の(Y/X)×100の値は100となった。
(実施例2)
製織工程において、下記の経糸(経糸A及びB)並びに緯糸(緯糸C及びD)を使用した。
経糸A(海島複合繊維):ポリエチレンテレフタレート繊維、66dtex、9フィラメント(脱海処理後:52.8dtex、630フィラメント)
経糸B(溶解糸):5−ナトリウムスルホイソフタル酸を共重合した易アルカリ溶解性のポリエステル繊維、84dtex、24フィラメント
緯糸C(内層)(海島複合繊維):ポリエチレンテレフタレート繊維、66dtex、9フィラメント(脱海処理後:52.8dtex、630フィラメント)
緯糸D(外層):ポリエチレンテレフタレート繊維、56dtex、18フィラメント
そして、製織時において、ジャガードシャトル織機を用いて、経糸Bの張力を0.9cN/dtex、経糸Aの張力を0.1cN/dtexとして、経糸A(後加工後の織密度が201本/2.54cm)、緯糸C(後加工後の織密度が121本/2.54cm)、緯糸D(後加工後の織密度が121本/2.54cm)となる、内径3mmの筒状織物を製織した。なお、経糸Aと経糸Bの配置は、経糸A3本に対して経糸B1本の比率で配置した。また、経糸Bは、内層に位置する緯糸Cと外層に位置する緯糸Dの間に配置した。
次に、下記の工程により、後加工を行い、人工血管1を得た。
(a)湯洗工程
筒状織物を98℃のお湯に20分浸漬し、筒状織物を湯洗した。
(b)プレ熱セット工程
外径2.8mmの丸棒(材質:ステンレス鋼)を筒状織物の内腔に挿入し、両端を針金で固定した。筒状織物及び丸棒をオーブンに入れ、丸棒に取り付けた温度計が180℃であることを確認してから5分間加熱することで、プレ熱セットを行った。
(c)脱海処理工程
経糸A及び緯糸Cの脱海処理を行うとともに、経糸Bの溶解除去を行うため、(c−1)酸処理工程及び(c−2)アルカリ処理工程を行った。
(c−1)酸処理工程
酸としてマレイン酸を使用した。筒状織物を0.2重量%のマレイン酸水溶液に浸漬し、130℃まで昇温した後、30分加熱することで酸処理を行った。
(c−2)アルカリ処理工程
アルカリとして水酸化ナトリウムを使用した。筒状織物を1重量%の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、80℃まで昇温した後、90分加熱することでアルカリ処理を行った。
(d)熱セット(1回目)工程
外径3mmの丸棒(材質:ステンレス鋼)を筒状織物の内腔に挿入し、経糸A方向にシワが入らないよう最大限圧縮した状態で、両端を針金等で固定した。筒状織物及び丸棒をオーブンに入れ、丸棒に取り付けた温度計が180℃であることを確認してから5分間加熱することで、熱セット(1回目)を行った。
(e)熱セット(2回目)工程
外径3mmの丸棒(材質:ステンレス鋼)を筒状織物の内腔に挿入し、経糸A方向に30%伸長した状態で、両端を針金等で固定した。筒状織物及び丸棒をオーブンに入れ、丸棒に取り付けた温度計が170℃であることを確認してから5分間加熱することで、熱セット(2回目)を行った。
繊維構造体1に変えて、上記で得られた人工血管1を用いた点を除き、実施例1と同様の抗血栓処理及びエチレンオキシドガス滅菌を行い、実施例2を得た。片刃カミソリを用いて実施例2を長軸方向に切開し、内表面の繊維について走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で平均繊維径を評価した結果、2.5μmであった。交差平均角度SをマイクロスコープVHX‐2000(株式会社キーエンス製)を用いて測定したところ、実施例2において、上記式1の(Y/X)×100の値は100となった。
(実施例3)
実施例1において1,3−プロパンスルトンを1.0重量%含むメタノール溶液に浸漬し、50℃で5時間反応させる処理の代わりに、1,3−プロパンスルトンを1.0重量%含むメタノール溶液に浸漬し、50℃で5時間反応させ、更に、1,3−プロパンスルトンを1.0重量%、メタノールを50重量%、カリウムt−ブトキシドを0.9重量%含む反応溶液に浸漬し、室温で1時間反応させる2重の処理を行なう点を除いて、実施例1と同様の抗血栓処理を行った。抗血栓処理後にエチレンオキシドガス滅菌を行い、これを実施例2とした。走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で単繊維の平均繊維径を評価した結果、2.5μmであった。交差平均角度SをマイクロスコープVHX‐2000(株式会社キーエンス製)を用いて測定したところ、実施例3において、上記式1の(Y/X)×100の値は100となった。
(実施例4)
実施例1の繊維構造体1の代わりに、ポリエステル繊維からなる単繊維から構成された、単糸繊度が約2.33dtex、総繊度84dtexのマルチフィラメントを用いて作製した編物を用いた以外は、実施例1に記載の抗血栓処理と同様の抗血栓処理及びエチレンオキシドガス滅菌を行い、実施例4を得た。走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で単繊維の平均繊維径を評価した結果、15μmであった。交差平均角度SをマイクロスコープVHX‐2000(株式会社キーエンス製)を用いて測定したところ、実施例4において、上記式1の(Y/X)×100の値は100となった。
(比較例1)
硫酸を0.6mol/L、過マンガン酸カリウム(和光純薬工業株式会社製)を5.0重量%含む水溶液に実施例1の繊維構造体1を浸漬し、60℃で3時間反応させて繊維構造体1の表面を加水分解及び酸化した(加水分解及び酸化する工程)。反応後に水溶液を除去し、塩酸及び蒸留水で洗浄した。
続いて、DMT−MM(和光純薬工業株式会社製)を0.5重量%、ポリエチレンイミン(LUPASOL(登録商標) P;BASF社製、重量平均分子量750,000)を5.0重量%含む水溶液に繊維構造体1を浸漬し、30℃で2時間反応させてポリエチレンテレフタレートメッシュにポリエチレンイミンを縮合反応により共有結合させた。反応後に水溶液を除去し、蒸留水等で洗浄した。
続いて、臭化エチルを1重量%、メタノールを30重量%含む水溶液に繊維構造体1を浸漬し、35℃で1時間反応させた後、50℃に加温して4時間反応させ、ポリエチレンイミンを第4級アンモニウム化した。反応後の水溶液を除去し、メタノールや蒸留水で洗浄した。
最後に、ヘパリンナトリウム(Organon API社製)を0.75重量%、塩化ナトリウムを0.1mol/L含む水溶液(pH=4に調整)に浸漬し、70℃で6時間反応させて、アルキルスルホン酸化ポリエチレンイミンとイオン結合させた。水溶液を除去し、蒸留水で洗浄後、真空乾燥した。
真空乾燥後にエチレンオキシドガス滅菌を行い、これを比較例1とした。走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で単繊維の平均繊維径を評価した結果、2.5μmであった。交差平均角度SをマイクロスコープVHX‐2000(株式会社キーエンス製)を用いて測定したところ、比較例1において、上記式1の(Y/X)×100の値は100となった。
(比較例2)
実施例2の人工血管1に対し、比較例1と同様の抗血栓処理を行い、抗血栓処理後にエチレンオキシドガス滅菌を行い、これを比較例2とした。走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で単繊維の平均繊維径を評価した結果、2.5μmであった。交差平均角度SをマイクロスコープVHX‐2000(株式会社キーエンス製)を用いて測定したところ、比較例2において、上記式1の(Y/X)×100の値は100となった。
(比較例3)
実施例1の繊維構造体1にエチレンオキシドガス滅菌を行い、これを比較例3とした。走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で単繊維の平均繊維径を評価した結果、2.5μmであった。交差平均角度SをマイクロスコープVHX‐2000(株式会社キーエンス製)を用いて測定したところ、比較例3において、上記式1の(Y/X)×100の値は100となった。
(比較例4)
ポリエステル繊維からなる単繊維から構成された単糸繊度が約5.6dtex、総繊度84dtexのマルチフィラメントが、経糸及び緯糸として構成されている織物を作製し、繊維構造体2とした。エチレンオキシドガス滅菌を行い、これを比較例4とした。走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で単繊維の平均繊維径を評価した結果、23μmであった。交差平均角度SをマイクロスコープVHX‐2000(株式会社キーエンス製)を用いて測定したところ、繊維構造体2において、上記式1の(Y/X)×100の値は100となった。
(比較例5)
走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で実施例1の繊維構造体1中の単繊維の平均繊維径を評価した結果、2.5μmであった。繊維構造体1の4分の3部分をアブレイシブペーパーで起毛して、上記式1の(Y/X)×100の値が25となるように、境界部分を打抜きポンチで打ち抜き、これを繊維構造体3とした。繊維構造体3にエチレンオキシドガス滅菌を行い、これを比較例5とした。交差平均角度SをマイクロスコープVHX‐2000(株式会社キーエンス製)を用いて測定したところ、比較例5において、上記式1の(Y/X)×100の値が25となっていることが確認できた。
(比較例6)
実施例1の繊維構造体1の代わりに、比較例4の繊維構造体2を用いた以外は、実施例1に記載の抗血栓処理と同様の抗血栓処理及びエチレンオキシドガス滅菌を行い、比較例6を得た。走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で単繊維の平均繊維径を評価した結果、23μmであった。交差平均角度SをマイクロスコープVHX‐2000(株式会社キーエンス製)を用いて測定したところ、比較例6において、上記式1の(Y/X)×100の値は100となった。
(比較例7)
実施例1の繊維構造体1の代わりに、比較例5の繊維構造体3を用いた以外は、実施例1に記載の抗血栓処理と同様の抗血栓処理及びエチレンオキシドガス滅菌を行い、比較例7を得た。走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で単繊維の平均繊維径を評価した結果、2.5μmであった。交差平均角度SをマイクロスコープVHX‐2000(株式会社キーエンス製)を用いて測定したところ、比較例7において、上記式1の(Y/X)×100の値が25となっていることが確認できた。
(比較例8)
実施例1の抗血栓性処理において、繊維構造体1をヘパリンナトリウム(Organon API社製)を0.75重量%、塩化ナトリウムを0.1mol/L含む水溶液に浸漬し、70℃で6時間反応させた後、水溶液を除去し、蒸留水で洗浄後する代わりに、繊維構造体1を0.75重量%のヘパリンナトリウム(Organon API社製)、5mg/mLのDMT−MM(和光純薬工業株式会社製)を含む水溶液に浸漬し、30℃で2時間反応させて、PBSで洗浄後に真空乾燥させた点を除き、実施例1と同様の抗血栓処理を行った。抗血栓処理後にエチレンオキシドガス滅菌を行い、これを比較例8とした。走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で単繊維の平均繊維径を評価した結果、2.5μmであった。交差平均角度SをマイクロスコープVHX‐2000(株式会社キーエンス製)を用いて測定したところ、比較例8において、上記式1の(Y/X)×100の値は100となった。
(比較例9)
実施例2の抗血栓性処理において、ヘパリンナトリウム(Organon API社製)を0.75重量%、塩化ナトリウムを0.1mol/L含む水溶液をpH7に調整した点を除き、実施例2と同様の抗血栓処理を行った。抗血栓処理後にエチレンオキシドガス滅菌を行い、これを比較例9とした。片刃カミソリを用いて比較例9を長軸方向に切開し、内表面の繊維について走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で単繊維の平均繊維径を評価した結果、2.5μmであった。交差平均角度SをマイクロスコープVHX‐2000(株式会社キーエンス製)を用いて測定したところ、比較例9において、上記式1の(Y/X)×100の値は100となった。
(比較例10)
実施例2におけるポリエチレンイミンの窒素原子にプロピルスルホン酸基を導入する工程及びヘパリンナトリウムをアルキルスルホン酸化ポリエチレンイミンとイオン結合させる工程の代わりに、0.75重量%のヘパリンナトリウム(Organon API社製)、5mg/mLのDMT−MM(和光純薬工業株式会社製)を含む水溶液に繊維構造体1を浸漬し、30℃で2時間反応させて、PBSで洗浄後に真空乾燥させた点を除き、実施例2と同様の抗血栓処理を行った。抗血栓処理後にエチレンオキシドガス滅菌を行い、これを比較例10とした。片刃カミソリを用いて比較例10を長軸方向に切開し、内表面の繊維について走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で単繊維の平均繊維径を評価した結果、2.5μmであった。交差平均角度SをマイクロスコープVHX‐2000(株式会社キーエンス製)を用いて測定したところ、比較例9において、上記式1の(Y/X)×100の値は100となった。
(評価1:細胞接着性試験1)
実施例1、3及び4並びに比較例1及び3〜8を打抜ポンチで直径15mmの円形に打ち抜いたものを3枚ずつ準備し、これをサンプルとした。細胞培養用の24ウェルマイクロプレート(住友ベークライト株式会社製)のウェルに1枚ずつ入れ、上から肉厚1mmの金属パイプ状錘を乗せた。10容量%ウシ胎児血清(MP Biochemicals,LLC.製)含有DMEM培地(和光純薬工業株式会社)(以下、「培地」)を1mL添加し、37℃、5%COの環境下で1時間静置した後、培地を除去した。1mLの培地に懸濁したNIH/3T3細胞(ATCC(登録商標))を1ウェル当たり1.5×10個になるように添加し、37℃、5%COの環境下で96時間培養した。その後、サンプルを新しいウェルに移し、PBS(−)(日水製薬株式会社製)でリンスした後に、1mLの培地を添加し、Cell Counting Kit−8(株式会社同仁化学研究所製)を75μL添加して37℃、5%COの環境下で90分間培養した。その後、450nmの吸光度をマイクロプレートリーダ(SpectraMAX(登録商標) M3;モレキュラーデバイスジャパン株式会社製)で測定して、以下の式2に示すように、吸光度As1を算出した。

As1 = At1−Ab1 ・・・式2
At1 : 測定値の吸光度
Ab1 : ブランク溶液の吸光度(培地及びCell Counting Kit−8の溶液のみで細胞なし。)
As1 : 算出された吸光度
実施例1、3及び4並びに比較例1及び3〜8について、各3枚のサンプルのAs1の平均値を求め、表1に示した。
(評価2:細胞接着性試験2)
実施例2並びに比較例2、9及び10を打抜ポンチで直径4mmの円形に打ち抜いたものを3枚ずつ準備し、これをサンプルとした。“3M(登録商標)両面粘着テープ1522”(スリーエム ヘルスケア株式会社製)を打抜ポンチで直径4mmの円形に打ち抜き、細胞培養用の96ウェルマイクロプレート(住友ベークライト株式会社製)のウェル底面に1枚ずつ接着させた。サンプルの内表面側が上になるようにウェルに入れ、サンプルとテープ接着面を接着させ、サンプルをウェルに固定した。10容量%ウシ胎児血清(MP Biochemicals,LLC.製)含有DMEM培地(和光純薬工業株式会社)(以下、「培地」)を0.2mL添加し、37℃、5%COの環境下で1時間静置した後、培地を除去した。0.2mLの培地に懸濁したNIH/3T3細胞(ATCC(登録商標))を1ウェル当たり2.5×10個になるように添加し、37℃、5%COの環境下で96時間培養した。その後、サンプルを新しいウェルに移し、PBS(−)(日水製薬株式会社製)でリンスした後に、0.2mLの培地を添加し、Cell Counting Kit−8(株式会社同仁化学研究所製)を15μL添加して37℃、5%COの環境下で90分間培養した。その後、450nmの吸光度をマイクロプレートリーダ(SpectraMAX(登録商標) M3;モレキュラーデバイスジャパン株式会社製)で測定して、以下の式3に示すように、吸光度As2を算出した。

As2 = At2−Ab2 ・・・式3
At2 : 測定値の吸光度
Ab2 : ブランク溶液の吸光度(培地及びCell Counting Kit−8の溶液のみで細胞なし。)
As2 : 算出された吸光度
実施例2並びに比較例2、9及び10について、各3枚のサンプルのAs2の平均値を求め、表1に示した。
(評価3:ヒト全血液凝固試験)
実施例1、3及び4並びに比較例1及び3〜8を表面積が1.0cmとなるようカットし、各実施例及び比較例のヒト全血液凝固試験用のサンプルを得た。各サンプルを生理食塩水で37℃、30分間洗浄してから2mLのマイクロチューブに入れた。ヒト新鮮血に0.4U/mLとなるようにヘパリンナトリウム注(味の素製薬株式会社製)を添加した後、このヒト血液を2mL添加し、37℃で2時間インキュベートした。インキュベート後に血液を採取し、サンプル添加前の血液と共に4℃、2500×gで20分間、遠心分離し、上清を採取し測定まで−30℃で保存した。アセラクロムβ−TG(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社製)を用いて上清中のβ−TG活性を測定し、サンプル添加前のβ−TG活性に対するインキュベート後のβ−TG活性の比(以下、活性比)を算出した。実施例1、3及び4並びに比較例1及び3〜8の各サンプルにおける活性比を表1に示した。
(評価4:イヌ移植実験における開存率評価)
実施例2並びに比較例2、9及び10の人工血管を、イヌの左右の頸動脈に移植し、移植3ヶ月後の開存率を検討した。雄のビーグル犬に移植2日前から摘出日までアスピリン及びジピリダモールを投与した。イソフルラン吸入麻酔を行った。頸部を切開して頸動脈を露出させた後、ヘパリン100IU/kgを静脈内投与により全身ヘパリン化した。血流を遮断し、人工血管を端端吻合にて頸動脈に移植した。血流を再開させ、閉創し、麻酔から覚醒させた。移植1ヶ月後までは週1回、その後は移植3ヶ月後まで月1回、エコー装置(デジタル超音波画像診断装置Noblus、株式会社日立製作所)を用いて移植3ヶ月後までに閉塞した人工血管の数を確認した。その結果から、以下の式4を用いて開存率(%)を計算した。

P=Np/Na×100 ・・・式4
P:開存率(%)
Np:移植3ヶ月後までに閉塞した人工血管の数(本)
Na:移植した人工血管の数(本)
ここで、一般的に移植3ヶ月後までに閉塞が起こらなければ長期開存が可能と言われていることから、イヌ移植実験における開存率評価については移植期間を3ヶ月間と設定した。
一方、評価の指標としては開存率を用いた。ヒト臨床において、下肢の閉塞性動脈硬化症に対するバイパス手術では代用血管として人工血管を用いた場合の開存率は60%であるのに対し、自家静脈を用いた場合は80%と報告されている。心臓の冠動脈バイパス術等の心血管インプラントでは、術後の閉塞や狭窄を考慮して人工血管ではなく自家静脈が選ばれていることから、心血管インプラントにおいて、開存率の20%程度の差は臨床においては大きな意味を持つと言える。
得られた実施例2並びに比較例2、9及び10の人工血管の開存率(%)を表1に示した。
Figure 2019177062
本発明のインプラント用の医療材料は、医療器材に好適に用いることができ、特に、左心耳閉塞デバイス等の心血管インプラント用の医療器材に用いることができる。

Claims (5)

  1. 平均繊維径が1μm〜15μmの単繊維を含み、以下の式1の条件を満たすマルチフィラメントからなる繊維構造体と、
    アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーと、
    ヘパリン又はヘパリンの誘導体と、を有し、
    前記アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーは、前記マルチフィラメント中の前記単繊維と共有結合し、
    前記ヘパリン又はヘパリンの誘導体は、前記アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーとイオン結合している、インプラント用の医療材料。
    (Y/X)×100≧50 ・・・式1
    [式中、Xは、交差平均角度を調べた単繊維の本数を表し、Yは、Xの内で交差平均角度が25度以下の単繊維の本数を表す。]
  2. 前記アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーは、繰り返し単位中に下記一般式(I)で示される部分構造又は下記一般式(II)で示される末端構造を含む、請求項1項記載の医療材料。
    Figure 2019177062
    [式中、Xは炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表す。]
    Figure 2019177062
    [式中、X及びXは、共に炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表すか、又は、一方が水素原子を他方が炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表す。]
  3. 前記アルキルスルホン酸基を有する窒素含有ポリマーは、下記一般式(III)又は(IV)で示される繰り返し単位を含む、請求項1記載の医療材料。
    Figure 2019177062
    [式中、Xは、炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表し、Rは、−(CH−を表し、nは、0〜4の整数を表す。]
    Figure 2019177062
    [式中、X及びXは、共に炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表すか、又は、一方が水素原子を他方が炭素数1〜6のアルキルスルホン酸又はその塩を表し、Yは、炭素原子を表すか又は窒素原子を表し、Rは、−(CH−又は−(CH−C(=O)−を表し、Rは、−(CH−を表し、nは、0〜4の整数を表す。]
  4. 前記繊維構造体は、編物又は織物である、請求項1〜3のいずれか一項記載の医療材料。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項記載の医療材料を備えた、心血管インプラント用の医療器材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111187413A (zh) * 2020-01-10 2020-05-22 东华大学 一种磺化聚乙烯亚胺、纳滤膜及其制备方法
JP2023508897A (ja) * 2019-12-18 2023-03-06 ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド 抗血栓性カバーを備える左心耳閉鎖装置

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