JP2019172910A - 樹脂組成物および合わせガラス - Google Patents

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Abstract

【課題】紫外線吸収剤のブリードアウトが抑制された樹脂フィルムを形成可能な樹脂組成物を提供する。【解決手段】芳香族ビニル化合物に由来する芳香族ビニル化合物単量体単位を主成分として含有する重合体ブロック[A]と、鎖状共役ジエン化合物に由来する鎖状共役ジエン化合物単量体単位を主成分として含有する重合体ブロック[B]とからなるブロック共重合体[C]を水素化してなるブロック共重合体水素化物[D]にアルコキシシリル基が導入されてなる変性ブロック共重合体水素化物と、紫外線吸収剤と、直鎖アルキル基を有するフェノール系化合物と、を含む、樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物および合わせガラスに関するものである。
従来より、複数のガラスの間に樹脂などの中間層を挟み、接着して得られる合わせガラスが知られている。このような合わせガラスは耐貫通性や耐熱衝撃性に優れるため、自動車ガラスや防犯ガラスなどとして広く用いられている。
この合わせガラスの中間膜の形成材料としては、ポリビニルブチラール系樹脂が最も一般的に用いられてきたが、近年では、(i)中間膜として、芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロック[A]と、鎖状共役ジエン化合物(直鎖状共役ジエン、分岐鎖状共役ジエン)由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロック[B]とからなるブロック共重合体〔1〕の全不飽和結合の90%以上が水素化されたブロック共重合体水素化物を用いることにより、高温高湿下での強固な接着力を維持すること(例えば、特許文献1参照)や、(ii)中間膜として、紫外線吸収剤を含む調光シートを用いることにより、合わせガラスの光線透過率を制御して、車内や室内の温度を調整すること(例えば、特許文献2参照)、などが検討されていた。
国際公開第2013/176258号 特許第5129393号公報
ここで、本発明者は、耐湿性および耐候性を向上させた中間膜材料を得るために、ブロック共重合体水素化物に紫外線吸収剤を添加することについて検討しているが、中間膜における紫外線吸収剤がブリードアウトしてしまうという問題があり、そのブリードアウトにより合わせガラスの光学特性ムラが生じてしまう虞があった。
そこで、本発明は、紫外線吸収剤のブリードアウトが抑制された樹脂フィルムを形成可能な樹脂組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、光学特性ムラが生じる虞を低減した合わせガラスを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。そして、本発明者は、所定の変性ブロック共重合体水素化物と、紫外線吸収剤と、所定のフェノール系化合物とを含むと、紫外線吸収剤のブリードアウトが抑制された樹脂フィルムを形成可能であることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の樹脂組成物は、芳香族ビニル化合物に由来する芳香族ビニル化合物単量体単位を主成分として含有する重合体ブロック[A]と、鎖状共役ジエン化合物に由来する鎖状共役ジエン化合物単量体単位を主成分として含有する重合体ブロック[B]とからなるブロック共重合体[C]を水素化してなるブロック共重合体水素化物[D]にアルコキシシリル基が導入されてなる変性ブロック共重合体水素化物と、紫外線吸収剤と、直鎖アルキル基を有するフェノール系化合物と、を含むことを特徴とする。このように、所定の変性ブロック共重合体水素化物と、紫外線吸収剤と、所定のフェノール系化合物とを含むと、紫外線吸収剤のブリードアウトが抑制された樹脂フィルムを形成可能である。
なお、本発明において、「芳香族ビニル化合物に由来する芳香族ビニル化合物単量体単位を主成分として含有する重合体ブロック[A]」は、「芳香族ビニル化合物に由来する芳香族ビニル化合物単量体単位を50質量%超含有する重合体ブロック[A]」を意味し、「鎖状共役ジエン化合物に由来する鎖状共役ジエン化合物単量体単位を主成分として含有する重合体ブロック[B]」は、「鎖状共役ジエン化合物に由来する鎖状共役ジエン化合物単量体単位を50質量%超含有する重合体ブロック[B]」を意味する。
ここで、本発明の樹脂組成物は、前記ブロック共重合体[C]が、前記重合体ブロック[A]を少なくとも2つ含有し、前記重合体ブロック[B]を少なくとも1つ含有することが好ましい。
ここで、本発明の樹脂組成物は、前記ブロック共重合体[C]中における、前記芳香族ビニル化合物単量体単位の含有量と前記鎖状共役ジエン化合物単量体単位の含有量との質量比(芳香族ビニル化合物単量体単位の含有量/鎖状共役ジエン化合物単量体単位の含有量)が30/70以上60/40以下であることが好ましい。前記ブロック共重合体[C]中における、前記芳香族ビニル化合物単量体単位の含有量と前記鎖状共役ジエン化合物単量体単位の含有量との質量比(芳香族ビニル化合物単量体単位の含有量/鎖状共役ジエン化合物単量体単位の含有量)が30/70以上60/40以下であれば、耐熱性および柔軟性が向上した樹脂フィルムを形成可能である。
ここで、本発明の樹脂組成物は、前記ブロック共重合体水素化物[D]が、前記ブロック共重合体[C]の主鎖および側鎖における炭素−炭素不飽和結合の90%以上、および、芳香環における炭素−炭素不飽和結合の90%以上を水素化してなることが好ましい。前記ブロック共重合体水素化物[D]が、前記ブロック共重合体[C]の主鎖および側鎖における炭素−炭素不飽和結合の90%以上、および、芳香環における炭素−炭素不飽和結合の90%以上を水素化してなれば、耐光性、耐熱性、および透明性を向上させることができる。
なお、本発明において、「主鎖および側鎖における炭素−炭素不飽和結合の水素化」は、「ブロック共重合体[C]における鎖状共役ジエン化合物に由来の二重結合の水素化」を意味し、「芳香環における炭素−炭素不飽和結合の水素化」は、「ブロック共重合体[C]における芳香環に由来の二重結合の水素化」を意味する。
ここで、本発明の樹脂組成物は、前記紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール系化合物であることが好ましい。前記紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール系化合物であれば、紫外線吸収剤とフェノール系化合物との相互作用を向上させることができ、紫外線吸収剤のブリードアウトがより確実に抑制された樹脂フィルムを形成可能である。
ここで、本発明の樹脂組成物は、前記紫外線吸収剤がフェノール系水酸基を有することが好ましい。前記紫外線吸収剤がフェノール系水酸基を有すれば、紫外線吸収剤とフェノール系化合物との相互作用を向上させることができ、紫外線吸収剤のブリードアウトがより確実に抑制された樹脂フィルムを形成可能である。
ここで、本発明の樹脂組成物は、前記フェノール系化合物における直鎖アルキル基の炭素数が8以上であることが好ましく、18以上であることがより好ましい。前記フェノール系化合物における直鎖アルキル基の炭素数が8以上であれば、変性ブロック共重合体水素化物とフェノール系化合物との相互作用を向上させることができ、紫外線吸収剤のブリードアウトがより確実に抑制された樹脂フィルムを形成可能である。
ここで、本発明の樹脂組成物は、前記フェノール系化合物の含有量が、前記紫外線吸収剤100質量部に対して、20質量部以上であることが好ましく、50質量部以上であることがより好ましい。前記フェノール系化合物の含有量が、前記紫外線吸収剤100質量部に対して、20質量部以上であれば、紫外線吸収剤とフェノール系化合物との相互作用をより向上させることができ、紫外線吸収剤のブリードアウトがより確実に抑制された樹脂フィルムを形成可能である。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の合わせガラスは、上述した樹脂組成物のいずれかからなる樹脂フィルムをガラス板間に介在させ、当該ガラス板を接着させて一体化してなる、ことを特徴とする。このように、ガラス板間に介在させる樹脂フィルムとして、上述した樹脂組成物のいずれかから形成可能なものを用いることにより、合わせガラスの光学特性ムラが生じる虞を低減することができる。
本発明の樹脂組成物によれば、紫外線吸収剤のブリードアウトが抑制された樹脂フィルムを形成可能である。
また、本発明の合わせガラスによれば、光学特性ムラが生じる虞を低減することができる。
本発明の合わせガラスの実施形態の一例の断面を示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明の樹脂組成物は、例えば、合わせガラスのガラス板間に介装された樹脂フィルムの材料として用いられる。そして、本発明の合わせガラスは、例えば、自動車ガラス、防犯ガラス、などとして用いられる。
(樹脂組成物)
本発明の樹脂組成物は、変性ブロック共重合体水素化物と、紫外線吸収剤と、フェノール系化合物とを含み、さらに必要に応じて、その他の添加剤を含む。
<変性ブロック共重合体水素化物>
変性ブロック共重合体水素化物は、前駆体であるブロック共重合体水素化物[D]に、アルコキシシリル基が導入された高分子である。
ブロック共重合体水素化物[D]にアルコキシシリル基を導入することにより、例えば、変性ブロック共重合体水素化物に、調光素子、発光素子等の電子デバイスに対する充分な接着性を付与することができる。
−ブロック共重合体水素化物[D]−
本発明に用いる特定のブロック共重合体水素化物[D]は、前駆体であるブロック共重合体[C]を水素化してなる高分子であり、より詳しくは、芳香族ビニル化合物に由来する芳香族ビニル化合物単量体単位を主成分として含有する重合体ブロック[A]と鎖状共役ジエン化合物(直鎖状共役ジエン、分岐鎖状共役ジエン)に由来する鎖状共役ジエン化合物単量体単位を主成分として含有する重合体ブロック[B]とを有する高分子であるブロック共重合体[C]を水素化してなる高分子である。
前記ブロック共重合体水素化物[D]は、主鎖および側鎖における炭素−炭素不飽和結合の好ましくは90%以上、より好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上が水素化され、芳香環における炭素−炭素不飽和結合の好ましくは90%以上、より好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上が水素化されている。
水素化の程度を示す水素化率が高いほど、耐光性、耐熱性、および透明性を向上させることができる。
ブロック共重合体水素化物[D]の水素化率は、ブロック共重合体[C]およびブロック共重合体水素化物[D]のH−NMRを測定する方法等により求めることができる。
炭素−炭素不飽和結合の水素化方法や反応形態等は、特に制限はなく、公知の方法にしたがって行えばよいが、水素化率を向上させることができる点で、重合体鎖切断反応の少ない水素化方法が好ましい。重合体鎖切断反応の少ない水素化方法としては、例えば、国際公開第2011/096389号、国際公開第2012/043708号等に記載された方法を挙げることができる。
水素化反応終了後においては、水素化触媒および/または重合触媒を反応溶液から除去した後、得られた溶液からブロック共重合体水素化物[D]を回収することができる。回収されたブロック共重合体水素化物[D]の形態としては、特に制限はないが、ペレット形状にして、その後のアルコキシシリル基の導入反応に供することが好ましい。
ブロック共重合体水素化物[D]の分子量としては、特に制限はないが、得られる樹脂フィルムの耐熱性や機械的強度の観点から、THFを溶媒としたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、10,000以上であることが好ましく、20,000以上であることがより好ましく、30,000以上であることが特に好ましく、200,000以下であることが好ましく、100,000以下であることがより好ましく、50,000以下であることが特に好ましい。
また、ブロック共重合体水素化物[D]の分子量分布(Mw/Mn)は、特に制限はないが、得られる樹脂フィルムの耐熱性や機械的強度の観点から、5以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましく、2以下であることが特に好ましい。
−−ブロック共重合体[C]−−
ブロック共重合体[C]は、芳香族ビニル化合物に由来する芳香族ビニル化合物単量体単位を主成分として含有する重合体ブロック[A]を1個以上と、鎖状共役ジエン化合物に由来する鎖状共役ジエン化合物単量体単位を主成分として含有する重合体ブロック[B]を1個以上有する高分子であるが、重合体ブロック[A]2個以上と、重合体ブロック[B]1個以上とからなる高分子であることが好ましい。
ブロック共重合体[C]中における重合体ブロック[A]の数は、3個以下であることが好ましく、2個であることがより好ましい。
ブロック共重合体[C]中における重合体ブロック[B]の数は、2個以下であることが好ましく、1個であることがより好ましい。
なお、ブロック共重合体水素化物〔D〕の高温側のガラス転移温度Tgとしては、特に制限はなく、90℃〜125℃が好ましい。
ブロック共重合体[C]のブロックの形態は、特に制限はなく、鎖状型ブロックであっても、ラジアル型ブロックであってもよいが、機械的強度の観点から、鎖状型ブロックであることが好ましい。ここで、ブロック共重合体[C]の特に好ましい形態は、重合体ブロック[B]の両端に重合体ブロック[A]が結合したトリブロック共重合体([A]−[B]−[A])、である。
ブロック共重合体[C]中の全芳香族ビニル化合物単量体単位がブロック共重合体[C]全体に占める質量分率をwAとし、ブロック共重合体[C]中の全鎖状共役ジエン化合物単量体単位がブロック共重合体[C]全体に占める質量分率をwBとしたときに、wAとwBとの比wA:wBは30:70〜60:40であることが好ましく、35:65〜55:45であることがより好ましく、40:60〜50:50であることが特に好ましい。
即ち、ブロック共重合体[C]中における、芳香族ビニル化合物単量体単位の含有量と鎖状共役ジエン化合物単量体単位の含有量との質量比(芳香族ビニル化合物単量体単位の含有量/鎖状共役ジエン化合物単量体単位の含有量)は、30/70以上60/40以下であることが好ましく、35/65以上55/45以下であることがより好ましく、40/60以上50/50以下であることが特に好ましい。
wAの質量分率を60%以下にすることにより、得られる樹脂シートの柔軟性(可撓性)が低下するのを防止することができる。一方、wAの質量分率を30%以上にすることにより、樹脂シートの耐熱性が低下するのを防止することができる。
ブロック共重合体[C]の分子量は、特に制限はないが、得られる樹脂フィルムの耐熱性や機械的強度の観点から、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒としたGPCにより測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、10,000以上であることが好ましく、20,000以上であることがより好ましく、30,000以上であることが特に好ましく、200,000以下であることが好ましく、100,000以下であることがより好ましく、50,000以下であることが特に好ましい。
また、ブロック共重合体[C]の分子量分布(Mw/Mn)は、特に制限はないが、得られる樹脂フィルムの耐熱性や機械的強度の観点から、5以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましく、2以下であることが特に好ましい。
ブロック共重合体[C]の製造方法は特に限定されず、例えば、国際公開第2003/018656号、国際公開第2011/096389号、等に記載の方法を採用することができる。
〔重合体ブロック[A]〕
重合体ブロック[A]は、芳香族ビニル化合物に由来する芳香族ビニル化合物単量体単位〔a〕を主成分とする重合体ブロックである。重合体ブロック[A]中における芳香族ビニル化合物単量体単位〔a〕の含有量は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることが特に好ましい。
重合体ブロック[A]中における芳香族ビニル化合物単量体単位〔a〕の含有量が90質量%以上であると、得られる樹脂フィルムの耐熱性が低下するのを防止することができる。
重合体ブロック[A]は、芳香族ビニル化合物単量体単位〔a〕以外の他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、後述する鎖状共役ジエン化合物に由来する鎖状共役ジエン化合物単量体単位〔b〕および/またはその他のビニル化合物に由来する単量体単位〔j〕が挙げられる。重合体ブロック[A]中における鎖状共役ジエン化合物に由来する鎖状共役ジエン化合物単量体単位〔b〕およびその他のビニル化合物に由来する単量体単位〔j〕の合計含有量は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
重合体ブロック[A]が芳香族ビニル化合物単量体単位〔a〕以外の鎖状共役ジエン化合物単量体単位〔b〕および/または単量体単位〔j〕を含む場合は、重合体ブロック[A]は、通常、芳香族ビニル化合物単量体単位〔a〕、鎖状共役ジエン化合物単量体単位〔b〕、単量体単位〔j〕を不規則的に繰り返してなる部分を有することが好ましい。
重合体ブロック[A]中における鎖状共役ジエン化合物単量体単位〔b〕および単量体単位〔j〕の合計含有量が10質量%以下であると、得られる樹脂フィルムの耐熱性が低下するのを防止することができる。
ブロック共重合体[C]が複数の重合体ブロック[A]を有する場合、重合体ブロック[A]同士は、互いに同一であってもよく、相異していてもよい。
〔〔芳香族ビニル化合物〕〕
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン;α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン等の「置換基として炭素数1〜6のアルキル基を有するスチレン類」;4−メトキシスチレン等の「置換基として炭素数1〜6のアルコキシ基を有するスチレン類」;4−フェニルスチレン等の「置換基としてアリール基を有するスチレン類」;1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン等のビニルナフタレン類;などが挙げられる。これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、低吸湿性の観点から、スチレン、「置換基として炭素数1〜6のアルキル基を有するスチレン類」等の「極性基を含有しない芳香族ビニル化合物」が好ましく、さらに、工業的な入手の容易さから、スチレンがより好ましい。
〔〔その他のビニル化合物〕〕
その他のビニル化合物としては、芳香族ビニル化合物および鎖状共役ジエン化合物以外のビニル化合物、例えば、鎖状ビニル化合物、環状ビニル化合物、不飽和の環状酸無水物、不飽和イミド化合物、などが挙げられる。これらの化合物は、ニトリル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシカルボニル基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。また、これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、低吸湿性の観点から、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−エイコセン、4−メチル−1−ペンテン、4,6−ジメチル−1−ヘプテン等の炭素数2〜20の鎖状ビニル化合物(鎖状オレフィン);ビニルシクロヘキサン、ノルボルネン等の炭素数5〜20の環状ビニル化合物(環状オレフィン);1,3−シクロヘキサジエン、ノルボルナジエン等の環状ジエン化合物;などであって、極性基を含有しないものが好ましい。
〔重合体ブロック[B]〕
重合体ブロック[B]は、鎖状共役ジエン化合物に由来する鎖状共役ジエン化合物単量体単位〔b〕を主成分とする重合体ブロックである。重合体ブロック[B]中における鎖状共役ジエン化合物単量体単位〔b〕の含有量は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
重合体ブロック[B]中における鎖状共役ジエン化合物単量体単位〔b〕の含有量が70質量%以上であると、得られる樹脂フィルムは柔軟性(可撓性)を有するため好ましい。
重合体ブロック[B]は、鎖状共役ジエン化合物単量体単位〔b〕以外の他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、上述した芳香族ビニル化合物に由来する芳香族ビニル化合物単量体単位〔a〕および/または上述したその他のビニル化合物に由来する単量体単位〔j〕が挙げられる。重合体ブロック[B]中における芳香族ビニル化合物に由来する芳香族ビニル化合物単量体単位〔a〕およびその他のビニル化合物に由来する単量体単位〔j〕の合計含有量は、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが特に好ましい。
重合体ブロック[B]が鎖状共役ジエン化合物単量体単位〔b〕以外の芳香族ビニル化合物単量体単位〔a〕および/または単量体単位[j]を含む場合は、重合体ブロック[B]は、通常、芳香族ビニル化合物単量体単位〔a〕、鎖状共役ジエン化合物単量体単位〔b〕、単量体単位〔j〕を不規則的に繰り返してなる部分を有することが好ましい。
重合体ブロック[B]中における芳香族ビニル化合物単量体単位〔a〕および単量体単位〔j〕の合計含有量が30質量%以下であると、得られる樹脂フィルムの柔軟性(可撓性)が損なわれるのを防止することができる。
ブロック共重合体[C]が重合体ブロック[B]を複数有する場合、重合体ブロック[B]同士は、互いに同一であってもよく、相異なっていてもよい。
重合体ブロック[B]は、鎖状共役ジエン化合物に由来する鎖状共役ジエン化合物単量体単位〔b〕の一部が、1,2−結合および/または3,4−結合で重合した単量体単位(1,2−および/または3,4−付加重合由来の単量体単位)を有し、鎖状共役ジエン化合物に由来する鎖状共役ジエン化合物単量体単位〔b〕の残部が、1,4−結合(1,4−付加重合由来の単量体単位)で重合した単量体単位を有していてもよい。
1,2−結合および/または3,4−結合で重合した鎖状共役ジエン化合物に由来する単量体単位を含有する重合体ブロック[B]は、鎖状共役ジエン化合物、必要に応じて、芳香族ビニル化合物、その他のビニル化合物を、ランダム化剤として電子供与原子を有する特定の化合物の存在下で重合させることにより得ることができる。1,2−結合および/または3,4−結合で重合した鎖状共役ジエン化合物に由来する単量体単位の含有量は、ランダム化剤の添加量により制御することができる。
電子供与原子(例えば、酸素(O)、窒素(N))を有する化合物としては、エーテル化合物、アミン化合物、ホスフィン化合物、などが挙げられる。これらの中でも、ランダム共重合体ブロックの分子量分布を小さくすることができ、その水素添加反応を阻害し難いという観点から、エーテル化合物が好ましい。
電子供与原子を有する化合物の具体例としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールメチルフェニルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジイソプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジ(2−テトラヒドロフリル)メタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、テトラメチルエチレンジアミン、などが挙げられる。これらの電子供与原子を有する化合物の含有量は、鎖状共役ジエン化合物100質量部に対して、0.001質量部以上であることが好ましく、0.01質量部以上であることがより好ましく、10質量部以下であることが好ましく、1質量部以下であることがより好ましい。
鎖状共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、クロロプレン、などが挙げられる。これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、低吸湿性の観点から、極性基を含有しない鎖状共役ジエン化合物が好ましく、さらに、工業的な入手の容易さから、1,3−ブタジエン、イソプレンがより好ましい。
−アルコキシシリル基−
導入するアルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等の、トリ(炭素数1〜6アルコキシ)シリル基;メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、エチルジメトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基、プロピルジメトキシシリル基、プロピルジエトキシシリル基等の、(炭素数1〜20アルキル)ジ(炭素数1〜6アルコキシ)シリル基;フェニルジメトキシシリル基、フェニルジエトキシシリル基等の、(アリール)ジ(炭素数1〜6アルコキシ)シリル基;などが挙げられる。
また、アルコキシシリル基は、ブロック共重合体水素化物[D]に、炭素数1〜20のアルキレン基や、炭素数2〜20のアルキレンオキシカルボニルアルキレン基等の2価の有機基を介して結合していてもよい。
〔アルコキシシリル基の導入量〕
ブロック共重合体水素化物[D]100質量部に対するアルコキシシリル基の導入量としては、特に制限はなく、0.1質量部以上であることが好ましく、0.2質量部以上であることがより好ましく、0.3質量部以上であることが特に好ましく、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましく、3質量部以下であることが特に好ましい。
アルコキシシリル基の導入量が10質量部以下であると、得られる変性ブロック共重合体水素化物[E]をシート状に溶融成形する前に微量の水分等で分解されたアルコキシシリル基同士の架橋が進み、ゲル化したり、溶融時の流動性が低下して成形性が低下したりするのを防止することができ、また、アルコキシシリル基の導入量が0.1質量部以上であると、例えば、樹脂シートを、調光素子、発光素子等の電子デバイスと接着するのに十分な接着力が得られないという不具合が生じるのを防止することができる。
アルコキシシリル基が導入されたことは、アルコキシシリル基が導入された変性ブロック共重合体水素化物[E]のIRスペクトルで確認することができる。また、その導入量は、アルコキシシリル基が導入された変性ブロック共重合体水素化物[E]のH−NMRスペクトルにて算出することができる。
〔アルコキシシリル基の導入方法〕
ブロック共重合体水素化物[D]にアルコキシシリル基を導入する方法としては、特に制限はなく、例えば、ブロック共重合体水素化物[D]に、有機過酸化物の存在下で、エチレン性不飽和シラン化合物を反応(グラフト化反応)させることにより、アルコキシシリル基を導入する方法、より詳細には、ブロック共重合体水素化物[D]、エチレン性不飽和シラン化合物および有機過酸化物からなる混合物を、二軸混練機にて溶融状態で所望の時間混練する方法、などが挙げられる。
前述した導入方法で用いるエチレン性不飽和シラン化合物としては、ブロック共重合体水素化物[D]とグラフト化反応し、ブロック共重合体水素化物[D]にアルコキシシリル基を導入可能なものであれば、特に制限はなく、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、などが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
グラフト化反応に使用する有機過酸化物としては、特に制限はないが、1分間半減期温度が170℃以上190℃以下のものが好ましく、例えば、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシド、1,4−ビス(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、などが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
二軸混練機による混練温度としては、特に制限はないが、180℃以上であることが好ましく、185℃以上であることがより好ましく、190℃以上であることが特に好ましく、220℃以下であることが好ましく、210℃以下であることがより好ましく、200℃以下であることが特に好ましい。
また、加熱混練時間としては、特に制限はないが、0.1分間以上であることが好ましく、0.2分間以上であることがより好ましく、0.3分間以上であることが特に好ましく、10分間以下であることが好ましく、5分間以下であることがより好ましく、2分間以下であることが特に好ましい。
加熱混練温度および加熱混練時間(滞留時間)を上記好ましい範囲内にすることにより、連続的な混練および押出しを効率的に行うことができる。
得られた変性ブロック共重合体水素化物の形態としては、特に制限はないが、通常は、ペレット形状にして、その後の成形加工や添加剤の配合に供することが好ましい。
変性ブロック共重合体水素化物の分子量としては、導入されるアルコキシシリル基の分子量が、通常、小さいため、原料として用いたブロック共重合体水素化物[D]の分子量と実質的には変わらない。ただし、ブロック共重合体水素化物[D]に、有機過酸化物の存在下で、エチレン性不飽和シラン化合物を反応(グラフト化反応)させるため、重合体の架橋反応および切断反応が併発し、変性ブロック共重合体水素化物の分子量分布の値は大きくなる。
変性ブロック共重合体水素化物の分子量としては、特に制限はないが、得られた樹脂フィルムの耐熱性や機械的強度の観点から、THFを溶媒としたGPCにより測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、10,000以上であることが好ましく、20,000以上であることがより好ましく、30,000以上が特に好ましく、200,000以下が好ましく、100,000以下がより好ましく、50,000以下が特に好ましい。
また、変性ブロック共重合体水素化物の分子量分布(Mw/Mn)としては、特に制限はないが、得られた樹脂フィルムの耐熱性や機械的強度の観点から、7以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましく、3以下であることが特に好ましい。
<紫外線吸収剤>
紫外線吸収剤としては、特に制限されることなく、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、フェノール系化合物との相互作用の観点から、ベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。
紫外線吸収剤が有し得る官能基としては、特に制限されることなく、例えば、フェノール系水酸基、カルボニル基、ハロゲンなどが挙げられる。これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、フェノール系化合物との相互作用の観点から、フェノール系水酸基が好ましい。
紫外線吸収剤の具体例としては、特に制限されることなく、例えば、2−(5−クロロ−2−ベンゾトリアゾリル)−6−tert−ブチル−p−クレゾール(下記構造式(I);CAS:3896−11−5;TINUVIN(登録商標)326)、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン(CAS:131−54−4;Uvinul(登録商標)3049)、2,4,6‐トリス[4‐(ヘキシルオキシ)‐2‐ヒドロキシ‐3‐メチルフェニル]‐1,3,5‐トリアジン(CAS:222529−65−9;アデカスタブ LA−F70)などが挙げられる。これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、フェノール系化合物との相互作用の観点から、2−(5−クロロ−2−ベンゾトリアゾリル)−6−tert−ブチル−p−クレゾール(下記構造式(I);CAS:3896−11−5;TINUVIN(登録商標)326)が好ましい。
Figure 2019172910
<フェノール系化合物>
フェノール系化合物は、変性ブロック共重合体水素化物と紫外線吸収剤との相溶化剤として機能する。
フェノール系化合物としては、直鎖のアルキル基を有するフェノール系化合物である限り、特に制限はなく、例えば、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル(下記構造式(II);CAS:2082−79−3;Irganox1076;ヒンダードフェノール系;融点50℃〜55℃)、2−ヒドロキシ−4−(オクチルオキシ)ベンゾフェノン(下記構造式(III);CAS:1843−05−6;CHIMASSORB(登録商標)81;ベンゾフェノン系;融点47℃〜49℃)、3−〔3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオン酸オクチル(下記構造式(IV);CAS:127519−17−9;TINUVIN(登録商標)99−2;ベンゾトリアゾール系;融点−29.4℃;沸点146.4℃)、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノール] (CAS:103597−45−1;アデカスタブ LA−31RG;ベンゾトリアゾール系;融点194℃〜200℃)、などが挙げられる。
ここで、フェノール系化合物における直鎖アルキル基の炭素数としては、特に制限はないが、8以上であることが好ましく、18以上であることがより好ましい。
直鎖アルキル基の炭素数が上記下限値以上であることで、変性ブロック共重合体水素化物とフェノール系化合物との相互作用を向上させることができ、紫外線吸収剤のブリードアウトがより確実に抑制された樹脂フィルムを形成可能である。
また、フェノール系化合物は、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル、2−ヒドロキシ−4−(オクチルオキシ)ベンゾフェノン、3−〔3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオン酸オクチルなどのように、カルボニル基を有することが好ましい。
Figure 2019172910
Figure 2019172910
Figure 2019172910
フェノール系化合物の含有量としては、特に制限はないが、紫外線吸収剤100質量部に対して、20質量部以上であることが好ましく、50質量部以上であることがより好ましい。フェノール系化合物の含有量が上記下限値以上であることで、紫外線吸収剤とフェノール系化合物との相互作用を向上させることができ、紫外線吸収剤のブリードアウトがより確実に抑制された樹脂フィルムを形成可能である。
<その他の添加剤>
その他の添加剤としては、粘着付与剤、赤外線吸収剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、光安定剤、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
−粘着付与剤−
粘着付与剤を配合することにより、得られる樹脂フィルムに粘着性や接着性を付与することができる。
粘着付与剤の具体例としては、例えば、ポリイソブチレン、ポリブテン、ポリ−1−オクテン、エチレン−α−オレフィン共重合体等の低分子量体およびその水素化物;ポリイソプレン、ポリイソプレン−ブタジエン共重合体等の低分子量体およびその水素化物;などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、得られる樹脂フィルムの透明性および耐光性を維持し、充填性の効果に優れている点で、低分子量のポリイソブチレン水素化物、低分子量のポリイソプレン水素化物、が好ましい。
粘着付与剤の添加量としては、要求される粘着性に応じて適宜選定できるが、樹脂組成物の取り扱いの容易性の観点から、樹脂組成物100質量部に対して、30質量部以下とすることが好ましく、20質量部以下とすることがより好ましい。
−赤外線吸収剤−
赤外線吸収剤を配合することにより、得られる樹脂フィルムが赤外線を遮蔽することができる。
赤外線吸収剤の具体例としては、酸化錫、アルミニウムドープ酸化錫、インジウムドープ酸化錫、アンチモンドープ酸化錫、酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、錫ドープ酸化亜鉛、珪素ドープ酸化亜鉛、酸化チタン、ニオブドープ酸化チタン、酸化タングステン、ナトリウムドープ酸化タングステン、セシウムドープ酸化タングステン、タリウムドープ酸化タングステン、ルビジウムドープ酸化タングステン、酸化インジウム、錫ドープ酸化インジウム等の金属酸化物微粒子;フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、イモニウム化合物、ジイモニウム化合物、ポリメチン化合物、ジフェニルメタン化合物、アントラキノン化合物、ペンタジエン化合物、アゾメチン化合物、6ホウ化ランタン等の近赤外線吸収色素;などが挙げられる。
−酸化防止剤−
酸化防止剤を配合することにより、加工性等を高めることができる。
酸化防止剤の具体例としては、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤(上記フェノール系化合物を除く)、硫黄系酸化防止剤、などが挙げられる。
−ブロッキング防止剤−
ブロッキング防止剤を配合することにより、変性ブロック共重合体水素化物を主成分とするペレットのブロッキングを防止することができる。
ブロッキング防止剤の具体例としては、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸バリウム、ミリスチン酸亜鉛、リシノール酸カルシウム、リシノール酸亜鉛、リシノール酸バリウム、ベヘン酸亜鉛、モンタン酸ナトリウム、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛、などが挙げられる。
−光安定剤−
光安定剤を配合することにより、耐久性を高めることができる。
光安定剤の具体例としては、ヒンダードアミン系光安定剤、などが挙げられる。
赤外線吸収剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、光安定剤等の添加量としては、これらの添加剤の合計添加量が、樹脂組成物100質量部に対して、0.001質量部以上であることが好ましく、0.01質量部以上であることがより好ましく、0.05質量部以上であることが特に好ましく、5質量部以下であることが好ましく、4質量部以下であることがより好ましく、3質量部以下であることが特に好ましい。
<ガラス転移温度Tg、融点>
樹脂組成物のガラス転移温度Tgもしくは融点は、合わせガラスの耐熱性の観点から、80℃以上であることが好ましく、85℃以上であることがより好ましく、90℃以上であることが特に好ましく、電子デバイスの耐熱性の観点から、150℃以下であることが好ましく、140℃以下であることがより好ましく、130℃以下であることが特に好ましい。
なお、「ガラス転移温度Tg」は、例えばJIS−K7244−2法に基づき粘弾性測定装置(製品名「ARES」、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製)を使用して、周波数1Hz、−100℃から+150℃の範囲で、昇温速度5℃/分で動的粘弾性特性を測定し、損失正接tanδのピークトップ温度より、算出することができる。
また、「融点」は、例えば、JIS K7121に基づき、示差走査熱量測定DSCにより測定することができる。
また、本発明の樹脂組成物は、後述する合わせガラスの製造に好適に用いられるが、合わせガラスの製造以外の用途((i)液晶セルの封止、有機EL素子・有機発光ダイオードの封止、LED素子の封止等に用いる封止材;(ii)マンガン電池・ニッケル水素電池・ニカド電池・アルカリ電池・リチウムイオン電池・空気亜鉛電池等のガスケット・シール材;(iii)ガラス板と金属板との貼り合わせ、ガラス板と樹脂板との貼り合わせ、金属板と金属板との貼り合わせ等の貼り合わせ用材;(iv)ガラスエポキシプリント配線板の保護コート材;(v)フレキシブルプリント回路基板用バインダー、導電ペースト用バインダー等のバインダー;(vi)ガラス板・金属板・プラスチック板等の被着体の表面保護フィルムあるいはシート材;など)にも、適用できる。
(合わせガラス)
本発明の合わせガラスは、上述した樹脂組成物のいずれかからなる樹脂フィルムをガラス板間に介在させ、当該ガラス板を接着させて一体化してなる、ことを特徴とし、少なくとも、複数のガラス板と、該複数のガラス板間に介在される樹脂フィルムとを備え、さらに必要に応じて、その他の部材を備える。
このように、ガラス板間に介在させる樹脂フィルムとして、上述した樹脂組成物のいずれかから形成可能なものを用いることにより、合わせガラスの光学特性ムラが生じる虞を低減することができる。
<ガラス板>
ガラス板の厚みは、特に制限はないが、通常、0.5mm以上10mm以下である。厚み0.05mm以上0.1mm以下程度の極薄ガラス板複数枚の間に、本発明の樹脂組成物から形成される樹脂フィルムを介在させて、合わせガラスとすることもできる。
本発明の樹脂組成物から形成される樹脂フィルムは、−50℃程度の低温領域から、120℃程度の高温領域まで幅広い温度帯域で柔軟性を維持するため、熱膨張係数の異なる複数のガラス板を貼り合わせた場合に、急激な温度変化が付与されたとしても、ガラス板が割れるのを抑制することができる。
ガラス板のガラス種としては、特に制限はなく、例えば、アルミノシリケート酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、ウランガラス、カリガラス、ケイ酸ガラス、結晶化ガラス、ゲルマニウムガラス、石英ガラス、ソーダガラス、鉛ガラス、バリウム硼珪酸ガラス、硼珪酸ガラス、表面に極薄の金属膜をコーティングした熱線反射ガラス、などが挙げられる。
合わせガラスを製造するには、複数のガラス板の間に、本発明の樹脂組成物から形成される樹脂フィルムを介在させ、真空ラミネータや減圧可能な耐熱性のゴム袋を使用して、加熱減圧下で接着させればよい。
また、合わせガラスには、(i)調光、発光等の機能を持たせたり、(ii)電磁波、放射線、赤外線、熱線を遮蔽する機能を持たせたり、(iii)装飾性を持たせたりして、付加価値を高めることができる。例えば、樹脂フィルムを2枚のガラス板間に介在させ、その複数の樹脂フィルムの間に、電子デバイス(例えば、調光素子、発光素子、液晶素子、プリント基板)、布、繊維、和紙、彩色紙、カラーフィルム、皮、木薄片、金属箔、金属板、金網、パンチングメタル、色素、染料、顔料、多層薄膜等を挟んだり、装飾のために着色したりすることもできる。
図1に示すように、例えば、合わせガラス100において、2枚のガラス板10,20間に2枚の樹脂フィルム30,40を介在させ、その2枚の樹脂フィルム30,40の間に電子デバイスとしての調光素子50を介在させている。
<調光素子>
調光素子は、電圧を印加することにより光の透過率を変化させるものであり、例えば、対向する一対の電極基板と、この対向する一対の電極基板の間に挟み込まれた、エレクトロクロミック層と電解質層とからなる調光シートとを備える。
−電極基板−
電極基板としては、特に制限されるものではなく、例えば、特開2004−062030号公報、特開2005−062772号公報等に記載の公知の電極基板、などを用いることができる。
−エレクトロクロミック層−
エレクトロクロミック層は、エレクトロクロミック化合物を含有する。
エレクトロクロミック層としては、特に制限されるものではなく、例えば、特開2004−062030号公報、特開2005−062772号公報、特許第5129393号公報等に記載の公知のエレクトロクロミック層、などを用いることができる。
−電解質層−
電解質層は、イオンを伝導することにより上記エレクトロクロミック層に電圧を印加し、エレクトロクロミック層の光の透過率を変化させる役割を有する。
電解質層としては、特に制限されるものではなく、例えば、特開2004−062030号公報、特開2005−062772号公報、特許第5129393号公報などに記載の公知の電解質層、などを用いることができる。
<発光素子>
発光素子は、一般に、発光層と、この発光層に電荷を供給するための電極とを備え、更に必要に応じて、任意の層を備え、電極から電荷を供給されることによって発光層が光を生じる。また、通常、発光素子は基板を備え、この基板上に前記の発光層及び電極が設けられる。発光素子としては、例えば、有機発光素子、などが挙げられる。ここで有機発光素子とは、有機発光層を備える発光素子をいう。また、有機発光層とは、有機化合物を含む発光層をいう。有機発光素子としては、例えば、有機EL素子が挙げられる。有機EL素子は、厚みが薄く、フレキシブル化が可能な、優れた発光素子である。
−基板−
基板としては、特に制限はなく、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタエート、ポリエチレンナフタレート、脂環式オレフィンポリマー等の、柔軟性のある透明プラスチックからなるフレキシブル基板;石英ガラス、ソーダガラス、無機アルカリガラス等のガラス基板;などが挙げられる。
−電極−
電極としては、特に制限はなく、例えば、金属薄膜、ITO、IZO、及びSnO等からなる透明電極;アルミニウム及びMg、Ag等からなる反射電極;などを用いうる。通常、発光素子は電極として陽極及び陰極を備え、これらの少なくとも一方として透明電極を採用する。これにより、発光素子は、透明電極を通した出光を達成できる。この際、前記の透明電極の対極は、透明電極でもよいが、反射電極が好ましい。
−発光層−
発光層としては、特に制限はなく、既知のものを適宜選択することができる。また、発光層は、光源としての用途に適合すべく、1種単独あるいは2種以上を組み合わせてもよく、所望のピーク波長を含む光を発光するものとし得る。
−任意の層−
また、発光素子は、上述した電極及び発光層に加えて、任意の層を備えうる。例えば、発光素子は、陽極と陰極との間に、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、電子注入層及びガスバリア層等の任意の層をさらに設けてもよい。
発光素子の具体的な層構成の例としては、陽極/正孔輸送層/発光層/陰極の構成、陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極の構成、陽極/正孔注入層/発光層/陰極の構成、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極の構成、陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/等電位面形成層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極の構成、及び陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/電荷発生層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極の構成が挙げられる。発光素子は、一層以上の発光層を陽極と陰極との間に有するものとしうる。この発光層は、複数の発光色が異なる層の積層体、あるいはある色素の層に異なる色素がドーピングされた混合層を有していてもよい。発光層を構成する材料の例としては、ポリパラフェニレンビニレン系、ポリフルオレン系、およびポリビニルカルバゾール系の材料を挙げることができる。また正孔注入層及び正孔輸送層の材料の例としては、フタロシアニン系、アリールアミン系、およびポリチオフェン系の材料を挙げることができる。電子注入層及び電子輸送層の材料の例としては、アルミニウム錯体およびフッ化リチウムを挙げることができる。等電位面形成層及び電荷発生層の材料の例としては、ITO、IZO、及びSnOなどの透明電極、並びにAg及びAlなどの金属薄膜を挙げることができる。
電極、発光層及び任意の層は、例えば、基板上にこれらを順次積層することにより、設けうる。通常、これら各層の積層は、減圧環境において行われる。これら各層の厚みは、10nm〜1000nmとしうる。
発光素子は、更に、電極へ通電するための配線等の任意の構成要素を有しうる。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」および「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
なお、「(1)重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)」、「(2)wAとwBとの比(wA:wB)」「(3)水素化率」、並びに、「(4)ブリードアウトの評価」は、以下の方法を用いて測定または評価した。
<(1)重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)>
テトラヒドロフランを溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による標準ポリスチレン換算値として、40℃において、0.6cc/分の速度で測定した。測定装置としては、東ソー社製HLC8320GPCを用い、カラムはTSKgel SuperH G5000HLX、G4000HLX、G2000HLXの3本を直列につなぎ、ポリマー量4mg/1ccの濃度に調整し測定した。
<(2)wAとwBとの比(wA:wB)>
ブロック共重合体[C]中における芳香族ビニル化合物単量体単位の含有量(質量分率)wAと、ブロック共重合体[B]中における鎖状共役ジエン化合物単量体単位の含有量(質量分率)wBとしたときの、「wAとwBとの比(wA:wB)」については、ブロック共重合体[C]を製造する過程において、各重合体ブロックの重合に用いた芳香族ビニル化合物、鎖状共役ジエン化合物およびその他のビニル化合物の部数と、ガスクロマトグラフイー(GC)を使用して測定された各重合体ブロック重合終了段階での用いたモノマーの重合体への重合転化率により、芳香族ビニル化合物単量体単位の含有量(質量分率)および鎖状共役ジエン化合物単量体単位の含有量(質量分率)を算出した。
<(3)水素化率>
製造例の水素化反応に用いるブロック共重合体[C]と、水素化反応により得られるブロック共重合体水素化物[D]とについて、溶媒として重クロロホルムを用いたH−NMR測定を行い、ブロック共重合体[C]の主鎖、側鎖および芳香環に存在した全不飽和結合のうち消失した不飽和結合の割合を算出することで、ブロック共重合体水素化物[D]の水素化率を求めた。
<(4)ブリードアウトの評価>
各実施例および比較例で得られる樹脂シートを温度25℃、湿度50%RHの環境で168時間保管した後、目視によりブリードアウトの程度を観察し、以下の3段階で評価した。
◎:ブリードアウトなし
○:ブリードアウトが相溶化剤未添加品(比較例1)よりも少ない
×:ブリードアウトが相溶化剤未添加品(比較例1)と同等またはそれ以上
(製造例1)
<ブロック共重合体[C]の調製>
十分に窒素置換された攪拌装置を備えた反応器に、脱水シクロヘキサン550部、脱水スチレン25.0部、n−ブチルエーテル0.820部を入れ、60℃で撹拌しながら、n−ブチルリチウム(15%n−ヘキサン溶液)を1.416部を加えて重合を開始した。65℃で60分間重合反応させた。ガスクロマトグラフィーにより測定したこの時点での重合添加率は99.9%であった。次に、脱水イソプレン50.0部を加え、そのまま40分間撹拌を続けた。この時点での重合添加率は99.6%であった。その後、更に脱水スチレンを25.0部加え、60分間反応させた。この時点での重合添加率はほぼ100%であった。ここでメタノール2.0部添加し反応を停止した。
得られたブロック共重合体は、重量平均分子量(Mw)が31800であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.03であり、S−I−S(スチレンブロック−イソプレンブロック−スチレンブロック)のトリブロック共重合体であり、wA:wB=50:50であった。
<ブロック共重合体水素化物[D]の調製>
次に、上記の重合体溶液を、攪拌装置を備えた耐圧反応容器に移送し、水素化触媒としてのシリカーアルミナ担持型ニッケル触媒(製品名:T−8400RL、クラリアント触媒(株)社製)4部、および、脱水シクロヘキサン100部を添加して混合した。反応器内部を水素ガスで置換し、さらに溶液を攪拌しながら水素を供給し、温度190℃、圧力4.5MPaにて6時間水素化反応を行った。
水素化反応終了後、反応溶液を濾過して水素化触媒を除去した後、得られた溶液に、フェノール系酸化防止剤であるペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](ADEKA社製「AO60」)0.1部を溶解したキシレン溶液2.0部を添加して溶解させた。
次いで、上記溶液を、円筒型濃縮乾燥器(日立製作所社製「コントロ」)を用いて、温度260℃、圧力0.001MPa以下で、溶液からシクロヘキサン、キシレンおよびその他の揮発成分を除去した。溶融ポリマーをダイからストランド状に押し出し、冷却後、ペレタイザーによりカッティングしてペレット状のブロック共重合体[C]の水素化物(ブロック共重合体水素化物[D])94部を得た。
得られたブロック共重合体水素化物[D]の水素化率は、「主鎖および側鎖」ならびに「芳香環」のいずれもほぼ100%であった。得られたブロック共重合体[D]は、重量平均分子量(Mw)が32400であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.68であった。
<アルコキシシラン変性体[E]の調製>
得られたブロック共重合体水素化物[D]のペレット100部に対して、ビニルトリメトキシシラン2.0部、および、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日油社製「パーヘキサ(登録商標)25B」)0.2部を添加した。この混合物を、二軸押出機(東芝機械社製「TEM37B」)を用いて、樹脂温度180℃、混練時間60秒間〜70秒間で混練した。得られた混練物を、ストランド状に押し出し、空冷した後、ペレタイザーによりカッティングし、ブロック共重合体水素化物[D]のアルコキシシラン変性体(アルコキシシラン変性体[E])のペレット97部を得た。
得られたアルコキシシラン変性体[E]の重量平均分子量(Mw)は30500、分子量分布(Mw/Mn)は2.65であった。
アルコキシシラン変性体[E]のFT−IRスペクトルには、1090cm−1にSi−OCH基、825cm−1および739cm−1にSi−CH基に由来する新たな吸収帯が、ビニルトリメトキシシランのSi−OCH基、Si−CH基に由来する吸収帯(1075cm−1、808cm−1、および766cm−1)と異なる位置に観察された。
また、アルコキシシラン変性体[E]のH−NMRスペクトル(測定溶媒:重クロロホルム)を測定したところ、3.6ppmにメトキシ基のプロトンに基づくピークが観察された。当該ピーク面積比からブロック共重合体水素化物[D]100部に対してビニルトリメトキシシラン1.8部が結合したことが確認された。
(実施例1)
<樹脂シート[F1]の製造>
上記で得られた樹脂としてのアルコキシシラン変性体[E]を、サイドフィーダーを備えたTダイ式フィルム溶融押出成形機(東芝機械社製「TEM37B」;Tダイ幅400mm)を使用して、溶融樹脂温度180℃、Tダイ温度180℃の条件にて押出成形した。サイドフィーダーから紫外線吸収剤と相溶化剤の混合物を、アルコキシシラン変性体[E]100部に対して、紫外線吸収剤としての「2−(5−クロロ−2−ベンゾトリアゾリル)−6−tert−ブチル−p−クレゾール(CAS:3896−11−5; BASF社製TINUVIN(登録商標)326)」が1.0部、相溶化剤としての「3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル(CAS:2082−79−3;BASF社製IRGANOX(登録商標)1076;ヒンダードフェノール系;融点50℃〜55℃)」が0.5部の割合となるように連続的に添加しながら混練し、樹脂シート[F1](厚さ:500μm)を得た。得られた樹脂シート[F1]は、ロールに巻き取って回収した。そして、樹脂シート[F1]を用いて、ブリードアウトの評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例2)
<樹脂シート[F2]の製造>
実施例1において、相溶化剤として、「BASF社製IRGANOX(登録商標)1076」を使用する代わりに、「2−ヒドロキシ−4−(オクチルオキシ)ベンゾフェノン(CAS:1843−05−6;BASF社製CHIMASSORB(登録商標)81;ベンゾフェノン系;融点47℃〜49℃)」を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂シート[F2]を得て、ブリードアウトの評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
<樹脂シート[F3]の製造>
実施例1において、相溶化剤として、「BASF社製IRGANOX(登録商標)1076」を使用する代わりに、「3−〔3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオン酸オクチル(CAS:127519−17−9;BASF社製TINUVIN(登録商標)99−2;ベンゾトリアゾール系;融点−29.4℃;沸点146.4℃)」を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂シート[F3]を得て、ブリードアウトの評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
<樹脂シート[F4]の製造>
実施例1において、アルコキシシラン変性体[E]100部に対して、紫外線吸収剤を1.0部添加する代わりに、紫外線吸収剤を2.0部添加したこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂シート[F4]を得て、ブリードアウトの評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
<樹脂シート[F5]の製造>
実施例4において、アルコキシシラン変性体[E]100部に対して、相溶化剤を0.5部添加する代わりに、相溶化剤を0.4部添加したこと以外は、実施例4と同様にして、樹脂シート[F5]を得て、ブリードアウトの評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
<樹脂シート[F6]の製造>
実施例2において、アルコキシシラン変性体[E]100部に対して、紫外線吸収剤を1.0部添加する代わりに、紫外線吸収剤を2.0部添加したこと以外は、実施例2と同様にして、樹脂シート[F6]を得て、ブリードアウトの評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例7)
<樹脂シート[F7]の製造>
実施例3において、アルコキシシラン変性体[E]100部に対して、紫外線吸収剤を1.0部添加する代わりに、紫外線吸収剤を2.0部添加したこと以外は、実施例3と同様にして、樹脂シート[F7]を得て、ブリードアウトの評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例8)
<樹脂シート[F8]の製造>
実施例4において、アルコキシシラン変性体[E]100部に対して、相溶化剤を0.5部添加する代わりに、相溶化剤を0.2部添加したこと以外は、実施例4と同様にして、樹脂シート[F8]を得て、ブリードアウトの評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例9)
<樹脂シート[F9]の製造>
実施例2において、アルコキシシラン変性体[E]100部に対して、相溶化剤を0.5部添加する代わりに、相溶化剤を0.2部添加したこと以外は、実施例2と同様にして、樹脂シート[F9]を得て、ブリードアウトの評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例10)
<樹脂シート[F10]の製造>
実施例3において、アルコキシシラン変性体[E]100部に対して、相溶化剤を0.5部添加する代わりに、相溶化剤を0.2部添加したこと以外は、実施例3と同様にして、樹脂シート[F10]を得て、ブリードアウトの評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
<樹脂シート[F11]の製造>
実施例1において、相溶化剤を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂シート[F11]を得て、ブリードアウトの評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
<樹脂シート[F12]の製造>
実施例1において、相溶化剤としての「BASF社製IRGANOX(登録商標)1076」を添加する代わりに、「ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](下記構造式(V);CAS:6683−19−8;BASF社製IRGANOX(登録商標)1010)」を添加したこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂シート[F12]を得て、ブリードアウトの評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2019172910
(比較例3)
<樹脂シート[F13]の製造>
実施例1において、相溶化剤としての「BASF社製IRGANOX(登録商標)1076」を添加する代わりに、「2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(下記構造式(VI);CAS:3147−75−9;BASF社製TINUVIN(登録商標)329;ベンゾトリアゾール系;融点106℃〜108℃)」を添加したこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂シート[F13]を得て、ブリードアウトの評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2019172910
Figure 2019172910
表1より、所定の変性ブロック共重合体水素化物と、紫外線吸収剤と、所定のフェノール系化合物(相溶化剤)を含む実施例1〜10の樹脂組成物は、所定のフェノール系化合物(相溶化剤)を含まない比較例1〜3の樹脂組成物と比較して、紫外線吸収剤のブリードアウトがより抑制された樹脂フィルムを形成可能であることが分かる。
本発明の樹脂組成物によれば、紫外線吸収剤のブリードアウトが抑制された樹脂フィルムを形成可能である。
また、本発明の合わせガラスによれば、光学特性ムラが生じる虞を低減することができる。
10 ガラス板
20 ガラス板
30 樹脂フィルム
40 樹脂フィルム
50 調光素子
100 合わせガラス

Claims (11)

  1. 芳香族ビニル化合物に由来する芳香族ビニル化合物単量体単位を主成分として含有する重合体ブロック[A]と、鎖状共役ジエン化合物に由来する鎖状共役ジエン化合物単量体単位を主成分として含有する重合体ブロック[B]とからなるブロック共重合体[C]を水素化してなるブロック共重合体水素化物[D]にアルコキシシリル基が導入されてなる変性ブロック共重合体水素化物と、
    紫外線吸収剤と、
    直鎖アルキル基を有するフェノール系化合物と、を含む、樹脂組成物。
  2. 前記ブロック共重合体[C]が、前記重合体ブロック[A]を少なくとも2つ含有し、前記重合体ブロック[B]を少なくとも1つ含有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記ブロック共重合体[C]中における、前記芳香族ビニル化合物単量体単位の含有量と前記鎖状共役ジエン化合物単量体単位の含有量との質量比(芳香族ビニル化合物単量体単位の含有量/鎖状共役ジエン化合物単量体単位の含有量)が30/70以上60/40以下である、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記ブロック共重合体水素化物[D]が、前記ブロック共重合体[C]の主鎖および側鎖における炭素−炭素不飽和結合の90%以上、および、芳香環における炭素−炭素不飽和結合の90%以上を水素化してなる、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 前記紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール系化合物である、請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. 前記紫外線吸収剤がフェノール系水酸基を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
  7. 前記フェノール系化合物における直鎖アルキル基の炭素数が8以上である、請求項1から6のいずれかに記載の樹脂組成物。
  8. 前記フェノール系化合物における直鎖アルキル基の炭素数が18以上である、請求項7に記載の樹脂組成物。
  9. 前記フェノール系化合物の含有量が、前記紫外線吸収剤100質量部に対して、20質量部以上である、請求項1から8のいずれかに記載の樹脂組成物。
  10. 前記フェノール系化合物の含有量が、前記紫外線吸収剤100質量部に対して、50質量部以上である、請求項9に記載の樹脂組成物。
  11. 請求項1〜10に記載の樹脂組成物からなる樹脂フィルムをガラス板間に介在させ、当該ガラス板を接着させて一体化してなる、合わせガラス。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP4249239A1 (en) * 2022-03-25 2023-09-27 Kuraray Europe GmbH Interlayer films with uv protection for laminated safety glass

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