JP2019172158A - 燃料タンクおよび燃料タンクの製造方法 - Google Patents

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Toshihiro Sugizaki
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Abstract

【課題】燃料タンクにおいて、耐衝撃性と耐燃料透過性との低下を抑制しつつ、製造工程の複雑化を抑制する。【解決手段】自身の内部に燃料を貯留する燃料タンク(100)は、燃料タンク(100)の内外を連通させる開口部(26〜29、66〜69)と、耐衝撃性を有する第1樹脂を用いて形成された複数の内層部材(20、20a、40、40a)により構成される内層(10、10a)と、内層(10、10a)の外側に位置し、耐燃料透過性を有する熱硬化性樹脂の第2樹脂を用いて形成された外層(60)と、内層(10、10a)の第1樹脂を構成する分子鎖間に外層(60)の第2樹脂を構成する分子鎖が入り込んだ構造を有し、内層(10、10a)と外層(60)とを互いに結合する結合層(70)と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、燃料タンクに関する。
従来から、車両等に搭載されて自身の内部に燃料を貯留する燃料タンクとして、樹脂製の燃料タンクが知られている。単一の樹脂材料で形成された燃料タンクは、燃料タンクに要求される耐衝撃性と耐燃料透過性とが不十分となることがある。このため、複数の樹脂材料で形成された多層構造を有する燃料タンクが用いられることがある。例えば、特許文献1に記載の燃料タンクは、ブロー成形によって多層構造に形成されている。また、特許文献2には、射出成形によって形成され、接着層を有する3層の燃料タンクが開示されている。
特開2016−016794号公報 特開2006−160093号公報
特許文献1に記載の燃料タンクは、ブロー成形により成形されるため多層構造とすることが容易である反面、ブロー成形後に燃料タンク用部品を内部に組み付けることが困難であり製造工程が複雑化するという問題と、肉厚制御が困難であるという問題とがあった。また、特許文献2に記載の燃料タンクは、EVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合体)により耐燃料透過性を確保しているが、内層と外層とを結合させるための接着層を要し、製造工程が複雑化するという問題があった。このため、燃料タンクにおいて、耐衝撃性と耐燃料透過性との低下を抑制しつつ、製造工程の複雑化を抑制できる技術が求められていた。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、燃料タンクが提供される。この燃料タンクは、自身の内部に燃料を貯留する燃料タンクであって;前記燃料タンクの内外を連通させる開口部と;耐衝撃性を有する第1樹脂を用いて形成された複数の内層部材により構成される内層と;前記内層の外側に位置し、耐燃料透過性を有する熱硬化性樹脂の第2樹脂を用いて形成された外層と;前記内層の前記第1樹脂を構成する分子鎖間に前記外層の前記第2樹脂を構成する分子鎖が入り込んだ構造を有し、前記内層と前記外層とを互いに結合する結合層と;を備える。この形態の燃料タンクによれば、耐衝撃性を有する内層と耐燃料透過性を有する外層とを備えるので、多層構造を有さない燃料タンクと比較して、耐衝撃性と耐燃料透過性との低下を抑制できる。また、内層の分子鎖間に外層の分子鎖が入り込んだ構造を有し内層と外層とを互いに結合する結合層を備えるので、内層と外層との結合強度の低下を抑制でき、内層と外層との結合を容易に実現でき、製造工程の複雑化を抑制できる。また、複数の内層部材により構成される内層を備えるので、複数の内層部材をそれぞれ独立して形成して一体化させる際に、内層の内部側に燃料タンク用部品を容易に組み付けることができる。したがって、耐衝撃性と耐燃料透過性との低下を抑制しつつ、製造工程の複雑化を抑制できる。
(2)上記形態の燃料タンクにおいて、前記第1樹脂は、ポリエチレンであってもよい。この形態の燃料タンクによれば、内層がポリエチレンで構成されるので、燃料タンクの性能として要求される耐衝撃性を確保できる。また、内層を構成するポリエチレンの分子鎖間に外層を構成する樹脂の分子鎖が入り込みやすいので、容易に結合層を形成できる。
(3)上記形態の燃料タンク用において、前記第2樹脂は、メラミンフェノール樹脂、ユリア樹脂およびメラミン樹脂のうちのいずれか1つであってもよい。この形態の燃料タンクによれば、外層がメラミンフェノール樹脂、ユリア樹脂およびメラミン樹脂のうちのいずれか1つで構成されるので、燃料タンクの性能として要求される耐燃料透過性を確保できる。また、内層を構成する樹脂の分子鎖間に第2樹脂が入り込みやすいので、容易に結合層を形成できる。
(4)上記形態の燃料タンクにおいて、前記内層は、前記外層側の表面に形成された第1結合部を有し;前記外層は、前記内層側の表面に形成された第2結合部を有し;前記内層と前記外層とは、前記第1結合部および前記第2結合部において、さらに互いに機械的に結合していてもよい。この形態の燃料タンクによれば、内層と外層とが第1結合部および第2結合部において、さらに互いに機械的に結合しているので、内層と外層との結合強度が低下することを抑制できる。
(5)本発明の他の形態によれば、燃料タンクの製造方法が提供される。この燃料タンクの製造方法は、耐衝撃性を有する第1樹脂を用いて射出成形して、内層を構成する複数の内層部材をそれぞれ形成する工程と;前記複数の内層部材を一体化させて前記内層を形成する工程と;耐燃料透過性を有する熱硬化性樹脂の第2樹脂を用いて射出成形して、前記内層の外部側の表面に外層を形成するとともに、前記内層の前記第1樹脂を構成する分子鎖間に前記外層の前記第2樹脂を構成する分子鎖が入り込んだ構造を有し、前記内層と前記外層とを結合する結合層を形成する工程と;前記内層の内部側の温度を、前記第1樹脂の融点よりも低い温度に保つ工程と;を含む。この形態の燃料タンクの製造方法によれば、耐衝撃性を有する内層と耐燃料透過性を有する外層とを備え、耐衝撃性と耐燃料透過性との低下を抑制可能な燃料タンクを製造できる。また、内層と外層とを結合する結合層を備え、内層と外層との結合強度の低下を抑制可能な燃料タンクを製造できる。また、複数の内層部材をそれぞれ独立して形成して一体化させるので、内層の内部側に燃料タンク用部品等を組み付ける場合に、容易に組み付けを実行できる。また、内層の内部側の温度を、内層を構成する第1樹脂の融点よりも低い温度に保つので、第2樹脂を射出成形する際の熱によって内層が熱変形することを抑制でき、高い成形温度を要する熱硬化性樹脂を外層および結合層の構成材料として使用でき、内層と外層との間に結合層を形成できる。また、外層を射出成形で形成する際に内層と外層とを結合する結合層を形成できるので、内層と外層とを結合させるための接着層を、外層を形成するための射出成形とは異なる射出成形等により形成する工程を省略できる。したがって、耐衝撃性と耐燃料透過性との低下を抑制しつつ、製造工程の複雑化を抑制できる。
(6)上記形態の燃料タンクの製造方法において、前記複数の内層部材を一体化させて前記内層を形成する工程は;前記複数の内層部材の少なくとも1つに、燃料タンク用部品の少なくとも一部を組み付ける工程と;前記複数の内層部材を一体化させて、前記燃料タンク用部品の少なくとも一部が前記内部側に組み付けられた前記内層を形成する工程と;を含んでいてもよい。この形態の燃料タンクの製造方法によれば、複数の内層部材の少なくとも1つに燃料タンク用部品の少なくとも一部を組み付けた後に、複数の内層部材を一体化させて内層を形成するので、内層の内部側に燃料タンク用部品を容易に組み付けることができる。
(7)上記形態の燃料タンクの製造方法において、前記低い温度に保つ工程は、前記開口部を介して前記内層の前記外部側から前記内部側へと冷風を送る工程であってもよい。この形態の燃料タンクの製造方法によれば、開口部を介して内層の外部側から内部側へと冷風を送るので、内層の内部側の温度を容易に低下でき、外層を射出成形する際に内層が熱変形することを容易に抑制できる。
本発明は、燃料タンクおよび燃料タンクの製造方法以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、燃料タンクユニット、燃料タンクを備える車両等の形態で実現することができる。
本発明によれば、耐衝撃性を有する内層と耐燃料透過性を有する外層とを備えるので、耐衝撃性と耐燃料透過性との低下を抑制できる。また、内層の分子鎖間に外層の分子鎖が入り込んだ構造を有し内層と外層とを互いに結合する結合層を備えるので、内層と外層との結合を容易に実現でき、製造工程の複雑化を抑制できる。また、複数の内層部材により構成される内層を備えるので、複数の内層部材をそれぞれ独立して形成して一体化させる際に、内層の内部側に燃料タンク用部品を容易に組み付けることができる。したがって、耐衝撃性と耐燃料透過性との低下を抑制しつつ、製造工程の複雑化を抑制できる。
本発明の一実施形態としての燃料タンクの概略構成を示す概略断面図である。 内層の概略構成を示す分解断面図である。 第1結合部を拡大して示す拡大断面図である。 PEの分子鎖とMPの分子鎖とを模式的に示す説明図である。 燃料タンクの製造方法を示す工程図である。 MPを射出成形する様子を模式的に示す説明図である。 第2実施形態の燃料タンクにおける内層の概略構成を示す断面図である。 他の実施形態1における第1結合部および第2結合部を拡大して示す拡大断面図である。
A.第1実施形態:
A−1.燃料タンクの構成:
図1は、本発明の一実施形態としての燃料タンク100の概略構成を示す概略断面図である。図1は、搭載された状態の燃料タンク100を鉛直方向に沿って切断した断面を示している。燃料タンク100は、図示しない車両に搭載され、自身の内部に燃料を貯留する中空のタンク室を有する。かかる燃料は、図示しない燃料パイプから燃料タンク100へと供給され、燃料タンク100から図示しないインジェクタへと供給される。タンク室110には、後述する燃料タンク用部品50が組み付けられる。図1では、説明の便宜上、後述する複数の開口部26〜29、66〜69や燃料タンク用部品50が同一断面状に位置するものとして図示している。
燃料タンク100は、鉛直方向に沿った大きさが水平方向に沿った大きさに比べて小さく形成された、扁平の外観形状を有する。また、燃料タンク100は、樹脂製の多層構造を有し、後述するように射出成形により形成される。燃料タンク100は、内層10と、外層60と、結合層70とを備える。
図2は、内層10の概略構成を示す分解断面図である。図2は、図1と同様の断面において、説明の便宜上、内層10とともに、内層10の内部に組み付けられた燃料タンク用部品50を図示している。内層10は、燃料タンク100を構成する樹脂層のうち最も内側に位置し、タンク室110の内壁を構成している。内層10は、上部内層部材20と下部内層部材40とにより構成されている。上部内層部材20と下部内層部材40とは、層方向と交差する方向に内層10が分割された半割体である。
上部内層部材20は、内層10のうち鉛直上方側を構成している。上部内層部材20は、上部内層基部21と、上部接合部22とを有する。上部内層基部21は、上部内層部材20の外郭を形成している。上部接合部22は、上部内層基部21の鉛直下方側の縁を囲んで形成され、層方向の外側に突出している。上部接合部22は、後述する下部内層部材40の下部接合部42と接合されて、各内層部材20、40を一体化させる。
上部内層基部21には、燃料パイプ用開口部26と、ポンプユニット用開口部27と、ブリーザパイプ用開口部28と、バルブ用開口部29とが形成されている。各開口部26、27、28、29は、図1に示すように燃料タンク100の内外を連通させる。
燃料パイプ用開口部26には、給油口から供給される燃料を燃料タンク100へと導くための燃料パイプが取り付けられる。ポンプユニット用開口部27は、燃料を吸入してインジェクタへと送出する図示しないポンプユニットを取り付けるために機能する。ポンプユニット用開口部27は、複数の開口部26、27、28、29のうち最も大きく形成され、燃料タンク100へのポンプユニットの取り付け完了後に図示しない蓋部材により塞がれる。ブリーザパイプ用開口部28には、給油時に燃料タンク100の内部の燃料蒸気を逃がすための、図示しないブリーザパイプが取り付けられる。バルブ用開口部29は、燃料タンク用部品50の1つである満タン規制弁53を組み付ける位置に形成されている。バルブ用開口部29には、満タン規制弁53と図示しないキャニスタとを接続する配管が取り付けられる。
本実施形態の燃料タンク用部品50には、流動音低減板51と、逆止弁52と、満タン規制弁53と、ロールオーバー弁54と、エバポ配管55と、サブタンク56とが該当する。流動音低減板51は、上部内層基部21に組み付けられ、鉛直下方側に突出した壁状の構成を有する。流動音低減板51は、燃料の流動を抑制して流動音を低減させる。逆止弁52は、燃料パイプ用開口部26のタンク室110側の端部に組み付けられる。逆止弁52は、燃料タンク100から燃料パイプへの燃料の逆流を抑制する。満タン規制弁53は、バルブ用開口部29と対向して組み付けられる。満タン規制弁53は、タンク室110における燃料の液位が給油時に上昇して、弁室に収容されたフロートがバルブ用開口部29を塞ぐことにより、給油を停止させる。ロールオーバー弁54は、上部内層基部21に組み付けられる。ロールオーバー弁54は、タンク室110に貯留された燃料が車両の傾斜時等に外部へと流出することを抑制する。エバポ配管55は、満タン規制弁53とロールオーバー弁54とを接続させるように組み付けられる。エバポ配管55は、満タン規制弁53の弁室とロールオーバー弁54の弁室とを連通させる。サブタンク56は、後述する下部内層基部41に組み付けられ、鉛直上方側に突出した筒状の構成を有する。サブタンク56の内部には、ポンプユニットが取り付けられる。サブタンク56は、ポンプユニットに装着された図示しない液位センサによって、車両の傾斜時等に燃料切れが誤検出されることを抑制する。
図2に示すように、下部内層部材40は、内層10のうち鉛直下方側を構成している。下部内層部材40は、下部内層基部41と、下部接合部42とを有する。下部内層基部41は、下部内層部材40の外郭を形成している。下部接合部42は、下部内層基部41の鉛直上方側の縁を囲んで形成され、層方向の外側に突出している。下部接合部42は、上部接合部22と接合されて、内層部材20、40を一体化させる。
図1に示すように、上部接合部22と下部接合部42とが接合されることにより、上部内層部材20と下部内層部材40とが一体化されて、内層10が形成される。内層10の表面のうち外層60が形成される側の表面、すなわち上部内層基部21の外表面と下部内層基部41の外表面とには、図1では図示が省略された複数の第1結合部(後述の第1結合部12)が形成されている。本実施形態において、外表面とは、燃料タンク100の外部側の表面、すなわちタンク室110側とは反対側の表面を意味し、内表面とは、燃料タンク100の内部側の表面、すなわちタンク室110側の表面を意味する。
図3は、第1結合部12とその周辺を拡大して示す拡大断面図である。図3は、燃料タンク100の層方向に沿った断面を示している。第1結合部12は、内層10の外表面において、アンダーカット状に形成されている。本実施形態において、アンダーカット状とは、内層10を構成する各内層部材20、40を射出成形により成形する際に、アンダーカットとなってスライドコアにより離型させるような形状を意味する。本実施形態において、第1結合部12は、内層10の外表面に形成された鉤形状の凹部として形成されている。第1結合部12は、外層60の内表面に形成された第2結合部62とともに、内層10と外層60とを互いに機械的に結合させる。第1結合部12および第2結合部62については、後述する燃料タンク100の製造方法において詳細に説明する。
図1に示す各内層部材20、40は、燃料タンク100の性能として要求される耐衝撃性を有する樹脂材料でそれぞれ形成されている。耐衝撃性とは、引っ張り強度や引っ張り破断強度等の試験により評価され、衝撃に対して所定の強度を有することを意味する。本実施形態において、各内層部材20、40は、ポリエチレンで形成されている。ポリエチレンは、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、変性ポリエチレン等、任意の種類のポリエチレン(以下、「PE」とも呼ぶ)であってもよい。本実施形態において、変性ポリエチレンとは、特定の官能基が付加されたPEを意味する。各内層部材20、40の層方向の厚さ、すなわち肉厚は、燃料タンク100の性能として要求される耐衝撃性や耐火炎性、耐圧性等を確保できる厚さに構成されてもよい。本実施形態における各内層部材20、40の肉厚は、約5mmに設定されている。
外層60は、燃料タンク100を構成する樹脂層のうち最も外側に位置している。外層60は、内層10の外表面を覆う外層基部61を有する。外層基部61には、上部内層基部21と同様に、燃料パイプ用開口部66と、ポンプユニット用開口部67と、ブリーザパイプ用開口部68と、バルブ用開口部69とが形成されている。各開口部66、67、68、69は、燃料タンク100の内外を連通させる。外層基部61の外表面には、図3に示すような複数の第2結合部62が形成されている。
外層60は、燃料タンク100の性能として要求される耐燃料透過性を有する、熱硬化性樹脂で形成されている。本実施形態において、外層60は、メラミンフェノール樹脂(以下、「MP」とも呼ぶ)で形成されている。耐燃料透過性とは、燃料蒸気に対するガス透過係数が小さく、気体状態および液体状態の燃料に対して所定のバリア性を有することを意味する。MPの炭化水素ガスに対する透過係数は、約1.5×10−12[cc・cm/cm・sec・cmHg]である。外層60の肉厚は、燃料タンク100の性能として要求される耐燃料透過性を確保できる厚さに構成されてもよい。
ここで、耐燃料透過性を有する熱可塑性樹脂として汎用されるEVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合体)の炭化水素ガスに対する透過係数は、約1.3×10−13[cc・cm/cm・sec・cmHg]である。このため、MPで構成される外層60においては、EVOHと同様の耐燃料透過性を確保するために、EVOHを用いる燃料タンクよりも肉厚が5倍程度厚く構成されてもよい。本実施形態における外層60の肉厚は、約2.5mmに設定されている。MPのような熱硬化性樹脂は、一般に、溶融状態において熱硬化性樹脂よりも高い流動性を有する。
結合層70は、内層10と外層60との間に形成されて、内層10と外層60とを互いに結合している。結合層70は、後述する燃料タンク100の製造方法において詳細に説明するように、外層60を形成するMPを内層10の外表面を覆うように射出成形する際に、形成される。結合層70は、内層10を構成するPEの分子鎖間に外層60を構成するMPの分子鎖が入り込んだ構造を有する。
図4は、PEの分子鎖とMPの分子鎖とを模式的に示す説明図である。PEの分子鎖は、MPの分子鎖よりも長い。PEは、分子鎖が比較的長いので分子鎖間の隙間が比較的大きく、分子構造が疎であるので、耐衝撃性を有するという特徴がある。しかしながら、分子構造が疎であるので耐燃料透過性が劣るという特徴がある。硬化前のMPは、分子鎖が比較的短いので分子鎖間の隙間が比較的小さく、硬化して架橋すると分子構造が密になるので、耐燃料透過性を有するという特徴がある。しかしながら、分子構造が密であるので耐衝撃性が劣るという特徴がある。このように、一般に、耐衝撃性を実現するための分子構造と、耐燃料透過性を実現するための分子構造とは、相反する。そこで、本実施形態の燃料タンク100は、内層10と外層60とを異なる樹脂材料で構成することにより、多層構造を有さない燃料タンクと比較して、耐衝撃性と耐燃料透過性との低下を抑制している。
ここで、耐燃料透過性を有するEVOHは、一般に、PEとの接着性が悪い。このため、EVOHとPEとを層構造にして結合させる場合、EVOHとPEとの間に接着層等の接着機能を有する部材を要する。したがって、層構造が複雑化し、射出成形により製造する場合に製造工程が複雑化する。
本実施形態では、以下に説明する製造方法により燃料タンク100を製造することで、耐衝撃性と耐燃料透過性との低下を抑制しつつ、製造工程の複雑化を抑制する。
本実施形態において、ポリエチレン(PE)は、課題を解決するための手段における第1樹脂の下位概念に相当し、メラミンフェノール樹脂(MP)は、課題を解決するための手段における第2樹脂の下位概念に相当する。
A−2.燃料タンクの製造方法:
図5は、燃料タンク100の製造方法を示す工程図である。図6は、MPを射出成形する様子を模式的に示す説明図である。図6は、図1および図2と同様の断面を示している。
図5に示すように、内層部材20、40を形成するためのPEの射出成形を実行する(ステップS110)。ステップS110では、図示しない各内層部材用金型に、加熱溶融したPEを射出して、内層部材20、40をそれぞれ射出成形する。このとき、上部内層部材20の上部内層基部21に各開口部26、27、28、29が形成されるとともに、複数の第1結合部12が形成される。複数の第1結合部12は、各内層部材20、40の表面のうち、完成品におけるタンク室110側とは反対側、すなわち燃料タンク100の内部となる側とは反対側に形成される。
ステップS110で形成された内層部材20、40に、燃料タンク用部品50を組み付ける(ステップS120)。燃料タンク用部品50は、各内層部材20、40のうち、完成品におけるタンク室110側、すなわち燃料タンク100の内部となる側へと組み付けられる。各内層部材20、40がそれぞれ内層10を構成する半割体であるため、燃料タンク100の内部側への燃料タンク用部品50の組み付けは、容易に実行される。
ステップS120の後、各内層部材20、40を一体化させて、内層10を形成する(ステップS130)。本実施形態では、上部接合部22と下部接合部42とを当接させて、熱板溶着やレーザー溶着等の熱溶着により結合させることにより、上部内層部材20と下部内層部材40とを一体化させる。これにより、燃料タンク用部品50が内部に組み付けられた内層10が形成される。
ステップS130の後、外層用金型120の内部に内層10を配置する(ステップS140)。このとき、内層10が外層用金型120に接触しないように、非接触で配置する。より具体的には、図6に示すように、外層用金型120の第1金型121と第2金型122との間に内層10を非接触で配置して第1金型121と第2金型122とを型締めする。ここで、外層用金型120の内部(キャビティ)の大きさは、内層10の大きさと外層60の肉厚とを考慮して設計されている。本実施形態では、外層60の肉厚が約2.5mmであるため、外層用金型120と内層10の外表面との隙間が、内層10の外表面の全体に亘って約2.5mm空いた状態で、内層10が配置される。外層用金型120は、後の工程においてMPを用いて射出成形するために、例えば180℃程度の成形温度に熱せられる。
本実施形態では、ステップS140において、内層10の外部からポンプユニット用開口部27、ブリーザパイプ用開口部28、バルブ用開口部29および燃料パイプ用開口部26にそれぞれ支柱140、141、142および143を挿入して内層10を支持することにより、内層10を非接触で配置する。ポンプユニット用開口部27には、支柱140が挿入され、ブリーザパイプ用開口部28には支柱141が挿入され、ブリーザパイプ用開口部28には支柱142が挿入され、燃料パイプ用開口部26には支柱143が挿入される。各支柱140、141、142、143は、軸方向の連通孔145、146、147、148が形成された略筒状の外観形状を有し、各開口部27、28、29、26の大きさに合わせてそれぞれ構成されている。本実施形態において、支柱140〜143は、鋼によりそれぞれ構成されているが、鋼に代えて、他の金属材料や耐熱性樹脂等の、MPの成形温度に耐え得る耐熱性を有する任意の材料により構成されてもよい。
各支柱140〜143と第1金型121との隙間には、断熱部材150がそれぞれ配置される。断熱部材150は、MPの射出成形時における第1金型121の熱によって上部内層部材20に形成された各開口部27、28、29、26の温度が上昇することを抑制する。本実施形態において、断熱部材150は、グラスウールにより構成されているが、グラスウールに代えて発泡ウレタン等の、断熱性とMPの成形温度に耐え得る耐熱性とを有する任意の材料により構成されていてもよい。
図5に示すように、内層10の内部側の温度を低い温度に保つ(ステップS150)。内層10の内部側とは、内層10のうち完成品においてタンク室110となる側を意味する。本実施形態では、ポンプユニット用開口部27に挿入された支柱140の連通孔145を介して、外層用金型120の外部から内層10の内部へと冷風を送ることにより、内層10の内部側の温度を低い温度に保つ。本実施形態において、ステップS150は、ステップS140の実行と同時に実行され、後述するステップS160の実行中も継続して実行される。
図6において矢印で示すように、ポンプユニット用開口部27を介して内層10の外部側から内部側へと供給された冷風は、ブリーザパイプ用開口部28に挿入された支柱141の連通孔146、バルブ用開口部29に挿入された支柱142の連通孔147および燃料パイプ用開口部26に挿入された支柱143の連通孔148を介して、内層10の内部側から外部側へと排出される。
本実施形態において、冷風は、内層10の内部側の温度をPEの融点よりも低下させることが可能な温度の風を意味する。本実施形態では、約0℃の空気を冷風として使用する。なお、約0℃に代えて、20℃〜30℃等の室温程度の空気を冷風として使用してもよく、0℃未満の空気を冷風として使用してもよい。また、空気に代えて、他の任意の気体を冷風として使用してもよい。これにより、内層10の内部側の温度を、0℃程度に保ってもよく、20℃〜30℃程度に保ってもよく、0℃よりも低い温度に保ってもよい。また、内層10の内部側の温度を、PEの耐熱温度よりも低い温度に低下させてもよく、燃料タンク用部品50の耐熱温度よりも低い温度に低下させてもよく、PEおよび燃料タンク用部品50のそれぞれの耐冷温度を限度として低下させてもよい。このように、内層10の内部側の温度を、PEの融点よりも低い温度に保つ。本実施形態において、耐熱温度とは、外層60および結合層70を形成するためのMPの射出成形時における外層用金型120の熱およびMPの熱によって、内層10および内層10の内部に組み付けられた燃料タンク用部品50が熱変形しない温度を意味する。すなわち、外層60および結合層70の形成に要する成形時間の間、成形温度に対して耐え得る温度を意味する。または、燃料タンク用部品50の製品性能が低下しない程度の温度に内層10の内部側の温度を調整してもよい。
外層60および結合層70を形成するためのMPの射出成形を実行する(ステップS160)。より具体的には、溶融状態のMPを外層用金型120のゲート125から射出し、例えば約180℃等の所定の成形温度で、例えば約2分等の所定の成形時間保持する。これにより、内層10の外部側の表面を覆うように外層60が形成されるとともに、内層10と外層60との間に結合層70が形成される。
上述のように、MPは、熱硬化性樹脂なので溶融状態において高い流動性を有する。ステップS160において、MPは、内層10の外表面を構成するPEの分子鎖間にMPの分子鎖が入り込む。これにより、PEの分子鎖間にMPの分子鎖が入り込んだ構造を有する結合層70が、内層10と外層60との間に形成される。
内層10の外表面には、図3に示すような形状の第1結合部12が複数形成されている。このため、ステップS160では、溶融状態のMPが第1結合部12に充填されることによって、外層60の内表面に複数の第2結合部62が形成される。これにより、内層10と外層60とは、結合層70による結合に加えて、第1結合部12および第2結合部62において互いに機械的に結合する。なお、図3では図示を省略しているが、第1結合部12と第2結合部62との間にも結合層70が形成されている。
MPの熱および外層用金型120の熱によって、内層10の外表面の温度が上昇するのに対し、内層10の内表面および内層10の内部に組み付けられた燃料タンク用部品50の温度は、支柱140からの冷風によって温度上昇が抑制されている。すなわち、ステップS150によって、内層10の内表面および内層10の内部に組み付けられた燃料タンク用部品50の熱変形が抑制される。
ステップS160の後、離型することにより、燃料タンク100が完成する。完成した燃料タンク100は、ポンプユニットや燃料パイプ等が取り付けられて使用される。
以上説明した本実施形態の燃料タンク100によれば、耐衝撃性を有する内層10と耐燃料透過性を有する外層60とを備えるので、多層構造を有さない燃料タンクと比較して、耐衝撃性と耐燃料透過性との低下を抑制できる。また、内層10がPEで構成されるので、燃料タンク100の性能として要求される耐衝撃性を確保できる。また、内層10のPEの分子鎖間に外層を構成する樹脂の分子鎖が入り込みやすいので、容易に結合層70を形成できる。また、外層60が熱硬化性樹脂で構成されるので、外層60を形成する際に、溶融状態における流動性を確保できる。このため、内層10を構成する樹脂の分子鎖間に外層60を構成する樹脂の分子鎖が入り込みやすいので、容易に結合層70を形成できる。また、外層60がMPで構成されるので、結合層70を形成させるための高い流動性と、燃料タンク100の性能として要求される耐燃料透過性とを確保できる。
また、内層10を構成する樹脂の分子鎖間に外層60を構成する樹脂の分子鎖が入り込んだ構造を有し、内層10と外層60とを互いに結合する結合層70を備えるので、内層10と外層60との結合強度の低下を抑制でき、内層10と外層60との剥離を抑制できる。また、外層60と結合層70とを一回の射出成形によって同時に形成できるので、内層10と外層60とを結合させるための接着層を、外層60を形成するための射出成形とは異なる射出成形等により形成する工程を省略でき、製造工程の増加を抑制できる。したがって、内層10と外層60との結合を容易に実現でき、製造工程の複雑化を抑制できる。また、接着層等の接着部材を要さないので、製造コストを低減できる。
また、内層10の外表面に第1結合部12が形成され、外層60の内表面に第2結合部62が形成され、内層10と外層60とが第1結合部12および第2結合部62において、結合層70による結合に加えて互いに機械的に結合している。このため、内層10と外層60との結合強度が低下することをより抑制できる。したがって、燃料タンク100のタンク室110に燃料が貯留された状態において、内層10の内部の圧力変動によって多層構造の樹脂が剥離することを抑制できる。すなわち、内層10と結合層70とが層間剥離すること、外層60と結合層70とが層間剥離すること、結合層70が凝集剥離すること等を抑制できる。したがって、燃料タンク100の信頼性の低下を抑制できる。また、複数の第1結合部12および第2結合部において結合しているので、結合強度の低下をより抑制できる。
また、複数の内層部材20、40により内層10が構成されるので、複数の内層部材20、40をそれぞれ射出成形で形成し、内層部材20、40の内部側に燃料タンク用部品50を組み付けた後に、内層部材20、40を一体化して内層10を形成できる。このため、タンク室110に燃料タンク用部品50を容易に組み付けることができ、製造工程の複雑化を抑制できる。また、内層10が半割体の上部内層部材20と下部内層部材40とにより構成されるので、内層が三分割以上の分割体により構成される態様と比較して、製造工程の複雑化を抑制できる。また、内層部材20、40を熱溶着により一体化させるので、上部接合部22および下部接合部42における接合強度が低下することを抑制できる。
また、射出成形により燃料タンク100を製造するので、内層10を複数の内層部材20、40に容易に分割して構成でき、タンク室110に燃料タンク用部品50を容易に組み付けることができる。また、ブロー成形により燃料タンクを製造する場合と比較して、タンク室への燃料タンク用部品50の組み付け性を向上でき、肉厚制御の精度を向上できる。
また、射出成形により内層部材20、40を形成するので、第1結合部12を容易に形成できる。また、射出成形により外層60を形成するので、第2結合部62を容易に形成できる。
また、燃料タンク100を製造する際に、開口部27、28、29、26に支柱140、141、142、143をそれぞれ挿入して内層10を支持するので、外層用金型120の内部に内層10を非接触で配置できる。また、4本の支柱140、141、142、143により内層10を支持するので、1本の支柱で支持する構成と比較して安定して支持できる。また、内層10の外表面にMPを射出成形する際に、内層10の内部側の温度を低い温度に保つので、内層10および内層10の内部に組み付けられた燃料タンク用部品50の熱変形を抑制できる。また、かかる熱変形を抑制できるので、高い成形温度を要する熱硬化性樹脂を、外層60および結合層70の構成材料として使用できる。このため、溶融状態における高い流動性を有する熱硬化性樹脂を外層60の材料として使用でき、内層10と外層60との間に結合層70を形成できる。
また、燃料タンク100を製造する際に、内層10の外部側から内部側へと冷風を送るので、内層10の内部側の温度を容易に低下できる。また、複数の開口部26、27、28、29のうち最も大きく形成されたポンプユニット用開口部27を介して冷風を送るので、冷却効率の低下を抑制できる。また、内層10の内部に供給された冷風を開口部28、29、26から排出させるので、冷却効率の低下を抑制できる。また、開口部27、28、29、26に挿入された支柱140、141、142、143に形成された連通孔145、146、147、148を介して冷風を供給および排出するので、内層10の内部側の温度を低下させるために専用の部材を用いることを省略できる。また、冷風により内層10の内部側の温度を低下させるので、冷却水等の液体の冷媒を用いる構成と比較して、容易に冷却を実現できる。また、空気を冷風として用いるので、冷却コストの上昇を抑制できる。
B.第2実施形態:
図7は、第2実施形態の燃料タンク100における内層10aの概略構成を示す断面図である。第2実施形態の燃料タンク100における内層10aは、上部内層部材20aと下部内層部材40aとの接合構造において、第1実施形態の燃料タンク100における内層10と異なる。外層60および結合層70を含めたその他の構成は第1実施形態の燃料タンク100と同じであるので、同一の構成には同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。
第2実施形態における上部内層部材20aは、上部接合部22に代えて上部接合部22aを有する。また、第2実施形態における下部内層部材40aは、下部接合部42に代えて下部接合部42aを有する。図7において拡大して示すように、上部接合部22aは、内層部材20aの層方向、すなわち肉厚方向の中央部において、下部接合部42a側に突出して形成された凸部として構成されている。また、下部接合部42aは、下部内層部材40aの層方向、すなわち肉厚方向の中央部において、上部接合部22a側に窪んで形成された凹部として構成されている。
上部内層部材20aと下部内層部材40aとは、上部接合部22aと下部接合部42aとが機械的に接合することにより一体化される。一体化されて形成された内層10aの外表面は、第1実施形態と同様にMPで覆われる。
以上説明した第2実施形態の燃料タンク100によれば、第2実施形態と同様な効果を奏する。加えて、図5に示すステップS130において、上部接合部22aと下部接合部42aとの溶着を省略でき、製造工程の複雑化をさらに抑制できる。
C.他の実施形態:
(1)図8は、他の実施形態1における第1結合部12bおよび第2結合部62bを拡大して示す拡大断面図である。上記実施形態において、第1結合部12は、内層10の外表面に形成された鉤形状の凹部として形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図8に示すように、内層10の外表面に形成された鉤形状の凸部として第1結合部12bが形成されて、第1結合部12bの周りにMPが充填されて第2結合部62bが形成されてもよい。また、例えば、第1結合部12、12bは、曲線で構成されたアンダーカット状に形成されてもよい。すなわち一般には、内層10、10aは、外層60側の表面に形成された第1結合部12、12bを有し、外層60は、内層10、10a側の表面に形成された第2結合部62、62bを有し、内層10、10aと外層60とは、第1結合部12、12bおよび第2結合部62、62bにおいて、さらに互いに機械的に結合していてもよい。また、例えば、第1結合部12、12bおよび第2結合部62、62bを省略してもよい。このような構成によっても、上記実施形態と同様な効果を奏する。
(2)上記実施形態において、内層10、10aは、PEにより構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、PEと同等または同等以上の耐衝撃性を有する任意の樹脂材料で構成されてもよく、PEと同等の耐衝撃性を確保できる範囲内において、PEに再生材または他の樹脂材料等が混合されて構成されてもよい。また、上記実施形態において、外層60は、MPにより構成されていたが、MPに代えて、ユリア樹脂およびメラミン樹脂等の、耐燃料透過性を有する任意の熱硬化性樹脂により構成されてもよい。また、内層10、10aおよび外層60は、それぞれ耐衝撃性および耐燃料透過性を確保できる任意の厚さの肉厚に構成されてもよい。このような構成によっても、上記実施形態と同様な効果を奏する。
(3)上記実施形態における燃料タンク100の構成は、あくまで一例であり、種々変更可能である。例えば、上記実施形態において、内層10、10aは、半割体の上部内層部材20、20aと下部内層部材40、40aとにより構成されていたが、三分割以上の分割体により構成されていてもよい。また、各開口部26〜29、66〜69のうちの一部が省略されていてもよく、他の任意の開口部が形成されていてもよい。このような構成によっても、上記実施形態と同様な効果を奏する。
(4)上記実施形態において、燃料タンク100の内側に組み付けられていた燃料タンク用部品50は、あくまで一例であり、種々変更可能である。例えば、流動音低減板51と、逆止弁52と、満タン規制弁53と、ロールオーバー弁54と、エバポ配管55と、サブタンク56とのうちの少なくとも一部が省略されてもよく、他の任意の燃料タンク用部品50が組み付けられてもよい。また、燃料タンク用部品50のうちの少なくとも一部が、内層10、10aを構成する各内層部材20、20a、40、40aを射出成形する際に一体成形されてもよい。このような構成によっても、上記実施形態と同様な効果を奏する。
(5)上記実施形態における燃料タンク100の製造方法は、あくまで一例であり、種々変更可能である。例えば、ステップS110において内層部材20、40を射出成形する際に、外表面に第1結合部12が一体成形されていたが、ステップS110の実行後に、内層部材20、40の外表面に第1結合部12が溶着等により形成される態様であってもよい。また、例えば、ステップS120において実行されていた燃料タンク用部品50の組み付けの少なくとも一部を、燃料タンク100の完成後に実行してもよい。
また、例えば、ステップS140では、4本の支柱140、141、142、143により内層10を支持していたが、他の任意の開口部に支柱140、141、142、143が挿入されてもよく、4本に限らず2本以上の任意の本数の支柱140、141、142、143により内層10を支持してもよい。また、他の任意の方法により外層用金型120の内部に内層10を非接触で配置してもよい。
また、例えば、ステップS140の実行前からステップS150が実行されてもよい。また、例えば、内層10の外部から内部へと冷風を送る方式は、1本の支柱140からの送風に限らず、複数の支柱140、141、142、143からの送風であってもよい。また、内層10を支持する支柱140、141、142、143とは異なる部材を用いる等、他の任意の方式によって開口部27を介して内層10の外部側から内部側へと冷風を送る方式であってもよい。かかる方式においては、内層10を支持するための支柱140、141、142、143の連通孔145、146、147、148のうちの少なくとも一部が省略されてもよい。また、例えば、ポンプユニット用開口部27に代えて他の任意の開口部26、28、29から冷風を供給してもよく、任意の燃料部品の開口部26、27、28、29のうちのいずれか1つ以上を選択して冷風を排出してもよい。また、例えば、断熱部材150が省略されて、断熱部材150が配置されていた空間に存在する空気によって、各開口部26、27、28、29の温度上昇が抑制されてもよい。
また、例えば、冷風に代えて他の任意の方法によって内層10の内部側の温度を低下させてもよい。例えば、冷風に代えて冷却水等の他の任意の冷媒を用いて内層10の内部側の温度を低下させてもよい。また、例えば、内部に燃料タンク用部品50が組み付けられた内層10を、極低温に予め冷却してから外層用金型120の内部に非接触で配置する態様であってもよい。かかる態様においては、ステップS160の成形温度および成形時間において、内層10の内表面および燃料タンク用部品50の熱変形を抑制できるような温度に冷却してもよく、例えば、−20℃等に冷却してもよい。かかる構成によれば、冷風を送る工程を省略できる。
(6)上記実施形態において、燃料タンク100は、車両に搭載されていたが、車両に限らず飛行機や船等の任意の移動体に搭載されてもよい。
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10、10a…内層
12、12b…第1結合部
20、20a…上部内層部材
21…上部内層基部
22、22a…上部接合部
26、66…燃料パイプ用開口部
27、67…ポンプユニット用開口部
28、68…ブリーザパイプ用開口部
29、69…バルブ用開口部
40、40a…下部内層部材
41…下部内層基部
42、42a…下部接合部
50…燃料タンク用部品
51…流動音低減板
52…逆止弁
53…満タン規制弁
54…ロールオーバー弁
55…エバポ配管
56…サブタンク
60…外層
61…外層基部
62、62b…第2結合部
70…結合層
100…燃料タンク
110…タンク室
120…外層用金型
121…第1金型
122…第2金型
125…ゲート
140、141、142、143…支柱
145、146、147、148…連通孔
150…断熱部材

Claims (7)

  1. 自身の内部に燃料を貯留する燃料タンクであって、
    前記燃料タンクの内外を連通させる開口部と、
    耐衝撃性を有する第1樹脂を用いて形成された複数の内層部材により構成される内層と、
    前記内層の外側に位置し、耐燃料透過性を有する熱硬化性樹脂の第2樹脂を用いて形成された外層と、
    前記内層の前記第1樹脂を構成する分子鎖間に前記外層の前記第2樹脂を構成する分子鎖が入り込んだ構造を有し、前記内層と前記外層とを互いに結合する結合層と、
    を備える、
    燃料タンク。
  2. 請求項1に記載の燃料タンクにおいて、
    前記第1樹脂は、ポリエチレンである、
    燃料タンク。
  3. 請求項1または請求項2に記載の燃料タンクにおいて、
    前記第2樹脂は、メラミンフェノール樹脂、ユリア樹脂およびメラミン樹脂のうちのいずれか1つである、
    燃料タンク。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の燃料タンクにおいて、
    前記内層は、前記外層側の表面に形成された第1結合部を有し、
    前記外層は、前記内層側の表面に形成された第2結合部を有し、
    前記内層と前記外層とは、前記第1結合部および前記第2結合部において、さらに互いに機械的に結合している、
    燃料タンク。
  5. 自身の内部に燃料を貯留し、内外を連通させる開口部を有する燃料タンクの製造方法であって、
    耐衝撃性を有する第1樹脂を用いて射出成形して、内層を構成する複数の内層部材をそれぞれ形成する工程と、
    前記複数の内層部材を一体化させて前記内層を形成する工程と、
    耐燃料透過性を有する熱硬化性樹脂の第2樹脂を用いて射出成形して、前記内層の外部側の表面に外層を形成するとともに、前記内層の前記第1樹脂を構成する分子鎖間に前記外層の前記第2樹脂を構成する分子鎖が入り込んだ構造を有し、前記内層と前記外層とを結合する結合層を形成する工程と、
    前記内層の内部側の温度を、前記第1樹脂の融点よりも低い温度に保つ工程と、
    を含む、
    燃料タンクの製造方法。
  6. 請求項5に記載の燃料タンクの製造方法において、
    前記複数の内層部材を一体化させて前記内層を形成する工程は、
    前記複数の内層部材の少なくとも1つに、燃料タンク用部品の少なくとも一部を組み付ける工程と、
    前記複数の内層部材を一体化させて、前記燃料タンク用部品の少なくとも一部が前記内部側に組み付けられた前記内層を形成する工程と、
    を含む、
    燃料タンクの製造方法。
  7. 請求項5または請求項6に記載の燃料タンクの製造方法において、
    前記低い温度に保つ工程は、前記開口部を介して前記内層の前記外部側から前記内部側へと冷風を送る工程である、
    燃料タンクの製造方法。
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