JP2019172024A - モジュール式船尾ダクトの組み立て方法、モジュール式船尾ダクト、及び船舶 - Google Patents
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Description
船尾ダクトは、船舶ごとに専用品として製作されておりコストは安いものではない。そのため、生産効率の向上等を目的とした技術がこれまでにいくつか提案されている。
例えば特許文献1には、船尾ダクトの断面形状を直線形状等にすることによって、船尾ダクトの生産効率を向上させることが開示されている。なお、引用文献1には、船尾ダクトは、1枚の平板を曲げて形成してもよく、複数枚の平板を繋ぎあわせて形成してもよい旨の記載がある(段落0024等)。
また、特許文献2には、ダクトの製作を容易にするために、内部の骨部材を厚板にて構成し、内表面材と骨部材とを組み立てた後、外表面材を骨部材の端面に栓溶接にて取り付けることが開示されている。
ここで、特許文献1及び特許文献2は、製作方法を工夫することによって船尾ダクトの生産効率の向上を図るものではあるが、船舶ごとにその都度一から製作を行うものであるから、大幅なコスト低減は困難である。また、設計、製作に要する期間も長いものとなる。
請求項1に記載の本発明によれば、船尾ダクトの形状が決定したときは、予め準備されているモジュールの中から必要なモジュールを用いて船尾ダクトの組み立てを行うことができるので、船尾ダクトをその都度一から製作する場合に比べて製作コストや設計、製作期間等を低減できる。また、モジュールの状態で船舶の近くまで輸送して組み立てることもできるため、巨大な重量物である船尾ダクトを完成した状態で輸送する場合と比べて輸送方法の選択肢が増え、輸送コストを低減しやすくなる。
請求項2に記載の本発明によれば、候補となる船舶に合ったモジュールが準備でき、また、準備するモジュールの種類を少なくして無駄をなくせるため、さらにコストを低減できる。
請求項3に記載の本発明によれば、予め決めた候補の中からモジュール式船尾ダクトを適用する船舶を特定することができるため、特定作業が容易となり、また、モジュールに合った船舶が特定できる。
請求項4に記載の本発明によれば、船尾ダクトの形状をより適切に決定できる。
請求項5に記載の本発明によれば、モジュールの組み合わせの選択の幅が広がり、少ない種類のモジュールでより多くの船尾ダクトの形状や寸法に対応できる。
請求項6に記載の本発明によれば、船尾ダクトへの流れの流入角に合わせて付加部品によりキャンバーラインを変更して見かけ上の迎角を変え、容易に船尾ダクト形状の最適化を図ることができる。
請求項7に記載の本発明によれば、一旦完成した船尾ダクトに付加部品を後付けして船尾ダクト形状の最適化を図ることができる。
請求項8に記載の本発明によれば、モジュール間の結合を強固にすることができる。
請求項9に記載の本発明によれば、モジュールを組み立てながら船体へ取り付ける場合よりも、船体への船尾ダクトの取り付け作業が容易となる。
請求項10に記載の本発明によれば、船尾ダクトを船体に取り付ける際には付加部品の重量や大きさを考慮せずにすむので、船尾ダクトを船体に取り付ける作業が容易となる。また、当該船尾ダクトを装備した船舶が航海をした後であっても、後付けで付加部品を取り付けることができる。
請求項11に記載の本発明によれば、従来よりもコストを低減した船尾ダクトを提供できる。
請求項12に記載の本発明によれば、船舶に適した形状の船尾ダクトにより、船舶の推進効率を向上できる。
請求項13に記載の本発明によれば、船舶に適した形状の船尾ダクトにより、船舶の推進効率を向上できる。
請求項14に記載の本発明によれば、船舶に適した形状の船尾ダクトにより、船舶の推進効率を向上できる。
請求項15記載の本発明によれば、船舶に適した形状の船尾ダクトにより、船舶の推進効率を向上できる。
請求項16に記載の本発明によれば、船舶の推進効率を向上できる。
請求項17に記載の本発明によれば、船尾ダクトよりも下流での流れを遅くして有効伴流率を小さくでき、かつ船尾ダクトの前縁側でのスラスト成分を増加させて推進力を高めることができる。
請求項18に記載の本発明によれば、コンテナを利用してモジュールを輸送できる。
請求項19に記載の本発明によれば、従来よりもコストを低減した船尾ダクトを用いて船舶の推進効率を向上させることができる。
まず、複数の船舶に適用可能なように船尾ダクトを複数の部品に分割した複数種のモジュールを予め準備する(ステップ1(S1))。
準備するモジュールは、モジュールの組み合わせによって二通り以上の形状又は寸法に船尾ダクトを組み立てられるように決定する。なお、準備方法の例については後述する。
準備したモジュールは、使用に備えて倉庫等の保管場所に保管しておく。
ステップ3における特定した船舶に適した船尾ダクトの形状及び寸法の決定は、船型やプロペラ形状、船尾ダクトへの流入角等を考慮して行う。この際、シミュレーション、模型実験、船型線図、又はダクトの特性線図の少なくとも1つを用いて決定した場合には、船尾ダクトの形状をより適切に決定できる。なお、製作コストや設計の手間、製作期間等をより一層低減しようとする場合には、シミュレーション、模型実験、船型線図、又はダクトの特性線図による検討に代えて、過去の実績から推定することにより船尾ダクトの形状を決定してもよい。
なお、選定するモジュールは、ステップ3で決定した形状及び寸法に船尾ダクトを組み立てるために必要なモジュールが必要数あればよいが、組み立て時の破損等を考慮して予備のモジュールを含めてもよい。
選定したモジュールは、モジュールの組み立て場所へ輸送する。
ステップ5における組み立てにおいて、複数のモジュール同士を溶接又はボルト留め等によって固定的に結合した場合には、モジュール間の結合を強固にすることができる。なお、一方のモジュールと他方のモジュールとを接合するジョイント部品を介して、モジュール同士を結合してもよい。
また、モジュールの状態で取り付け対象の船舶の近くまで輸送して組み立てることもできるため、巨大な重量物である完成した状態の船尾ダクトを輸送する場合と比べて輸送方法の選択肢が増え、輸送コストを低減しやすくなる。なお、一部のモジュールを工場で組み立てた状態で輸送して、輸送先で残りのモジュールと組み合わせることもできる。
なお、例えばドライコンテナの内寸は、国際標準化機構(ISO)の規格で、幅2438mm、高さ2591mm(背高コンテナは2896mm)であり、長さは、10フィートコンテナが2991mm、20フィートコンテナが6058mm、40フィートコンテナが12192mmである。これらのドライコンテナは、海上輸送に用いることができるほか、日本国内で陸送も可能である。
船尾ダクト10は、船体1の船尾に設けられたプロペラ2よりも前方に設置される。プロペラ2よりも後方には舵3が設置されている。
モジュールを用いて組み立てられた船尾ダクト10を船舶に設置することで、従来よりも製作コストを低減した船尾ダクト10を用いて船舶の推進効率を向上させることができる。
図3に示す船尾ダクト20は、直線形状のモジュール21と曲線形状のモジュール22を四つずつ用いて、モジュール21とモジュール22を交互に結合することにより組み立てたものである。モジュール21のうちの二つは水平に配置され、残りの二つは鉛直に配置されている。図3(a)に示すように、船尾ダクト20は、船尾ダクト20を後方から見た形状が、角の取れた略四角形状を成している。
船尾ダクト20を船舶に取り付けることで、船舶に適した形状の船尾ダクト20により、船舶の推進効率を向上できる。
また、図3(b)に示すように、船尾ダクト20は、前縁20aの直径が後縁20bの直径よりも大きく、側方から見た形状が、プロペラ方向に細くなるテーパ形状を成している。このように、船尾ダクト20をテーパ型とすることにより、船尾ダクト20よりも下流での流れを遅くして有効伴流率を小さくでき、かつ船尾ダクト20の前縁20a側でのスラスト成分を増加させて推進力を高めることができる。
船尾ダクトは、ステップ1で準備したモジュールの組み合わせ次第で、図3で示した船尾ダクト20以外の形状や寸法に組み立てることができる。
船尾ダクト30を船舶取り付けることで、船舶に適した形状の船尾ダクト30により、船舶の推進効率を向上できる。
船尾ダクト40を船舶に取り付けることで、船舶に適した形状の船尾ダクト40により、船舶の推進効率を向上できる。
船尾ダクト50を船舶に取り付けることで、船舶に適した形状の船尾ダクト50により、船舶の推進効率を向上できる。
船尾ダクト60を船舶に取り付けることで、船舶に適した形状の船尾ダクト60により、船舶の推進効率を向上できる。
図5(a)に示す船尾ダクト70は、直線形状のモジュール71と曲線形状のモジュール72を二つずつ用いて、略半円状ダクトに組み立てたものである。水平に配置されたモジュール71の一端は船尾管4に接続され、他端はモジュール72の一端に接続されている。モジュール72の他端はもう一つのモジュール72の他端に接続されている。
船尾ダクト70を船舶に取り付けることで、船舶に適した形状の船尾ダクト70により、船舶の推進効率を向上できる。
船尾ダクト80を船舶に取り付けることで、船舶に適した形状の船尾ダクト80により、船舶の推進効率を向上できる。
船尾ダクト90を船舶に取り付けることで、船舶に適した形状の船尾ダクト90により、船舶の推進効率を向上できる。
船尾ダクト100を船舶に取り付けることで、船舶に適した形状の船尾ダクト100により、船舶の推進効率を向上できる。
船尾ダクト110を船舶に取り付けることで、船舶に適した形状の船尾ダクト110により、船舶の推進効率を向上できる。
船尾ダクト120を船舶に取り付けることで、船舶に適した形状の船尾ダクト120により、船舶の推進効率を向上できる。
図6を用いて、上述したステップ1におけるモジュールの準備方法の例について説明する。
まず、船舶の大きさや船型等を考慮して、モジュール式船尾ダクトの適用対象となる船舶の候補を決める(ステップ01(S01))。
次に、ステップ01において決定した候補の中から、代表となる船舶を複数に絞り込む(ステップ02(S02))。ステップ02では、例えば、候補となっている船舶の中で、大きさが平均的な船舶、大きさが最大の船舶、大きさが最小の船舶を代表船舶として選出する。
船尾ダクトの最適な形状や寸法は船舶ごとに異なるため、ステップ03では、船尾ダクトの形状及び寸法が複数決定されることになる。
次に、ステップ04で検討した各モジュールの形状や寸法のパターンに基づいて、最大公約数的に必要なモジュールの種類及び数量を求めることにより、準備するモジュールを決定する(ステップ05(S05))。すなわち、準備するモジュールは、ステップ03で決定された複数の形状及び寸法の船尾ダクトのいずれも組み立てられるモジュールの種類及び数量の組み合わせのなかで、最もモジュールの種類及び数量が少ない組み合わせとする。
これにより、候補となる船舶に合ったモジュールが準備でき、また、準備しておくべきモジュールの種類を少なくして無駄をなくすことができるため、さらにコストを低減できる。
なお、準備するモジュールに、少なくとも直線形状のモジュールと、曲線形状のモジュールを含めた場合には、モジュールの組み合わせの選択の幅が広がり、少ない種類のモジュールでより多くの船尾ダクトの形状や寸法に対応できる。
また、上記したように、各モジュールの寸法をコンテナに収まる寸法とすることで、コンテナを利用して組み立て場所等へ輸送することができる。
この場合には、予め決められた候補の中からモジュール式船尾ダクトを適用する船舶を特定できるため、特定作業が容易となり、また、モジュールに合った船舶が特定できる。
図7は、船尾ダクトに対する流入角度の周方向分布の例を示す図である。縦軸は船尾ダクトへの流入角度[deg]、横軸は船尾ダクトの周方向位置[deg]である。
一般的に船尾ダクトへの流れの流入角は周方向位置によって異なる。例えば図7では、12時の位置が側面の位置よりも流入角が大きくなっている。しかし、様々な流入角度を想定してモジュールを準備しておくと、モジュールの種類が増えて管理に手間がかかる場合も考えられる。
そこで、本実施形態では、上述したステップ1において、船尾ダクトの基本的な形状や寸法の一部となる複数の基本モジュールに加えて、船尾ダクトへの流れの流入角に対する迎角を変更する形状に構成された付加部品をモジュールの一つとして準備する。
船尾ダクト130は、ステップ1で準備した基本モジュールの中から複数の曲線形状のモジュール131を用いて組み立てたものである。船尾ダクト130は、後方から見た形状が略円形状を成している。
さらに、船尾ダクト130の前縁130a側の上部には付加部品132の一つであるスラット型モジュール132Aが装着され、後縁130b側の上部には付加部品132の一つであるフラップ型モジュール132Bが装着されている。スラット型モジュール132A及びフラップ型モジュール132Bは翼断面形状を有している。
船尾ダクト130への付加部品132の装着は、付加部品132を船尾ダクト130に溶接又はボルト留め等によって固定することにより行う。なお、付加部品132と船尾ダクト130とを接合するジョイント部品を介して、付加部品132を船尾ダクト130に固定してもよい。
このように局所的に船尾ダクト130の翼断面の迎角を変えることのできる付加部品132をモジュールの一つとして準備しておき、船尾ダクト130に装着することで、船尾ダクトへの流れの流入角に合わせてキャンバーラインを変更して見かけ上の迎角を変え、容易に船尾ダクト形状の最適化を図ることができる。スラット型モジュール132A及びフラップ型モジュール132Bは、いずれもキャンバーラインを変更することに寄与しており、結果的に流入角に対する迎角を変えることになる。なお、スラット型モジュール132Aとフラップ型モジュール132Bは、どちらか一方のみ装着してもよい。
また、例えば、船尾ダクト130を船体1に取り付けた後だと前縁130a側に装着するスラット型モジュール132Aの装着作業をし難い場合には、スラット型モジュール132Aは船体1への取り付け前に船尾ダクト130に装着しておき、後縁130b側に装着するフラップ型モジュール132Bは船尾ダクト130を船体1に取り付けた後に装着するなど、付加部品132ごとに船尾ダクト130への取り付けタイミングを異ならせることもできる。
2 プロペラ
20 船尾ダクト
21、22 モジュール
132 付加部品
Claims (19)
- 船体の船尾に設けられるプロペラの前方に設置される船尾ダクトの組み立て方法であって、複数の船舶に適用可能なように前記船尾ダクトを複数の部品に分割した複数種のモジュールを準備するステップ1と、対象の前記船舶を特定するステップ2と、前記ステップ2で特定された前記船舶に適した前記船尾ダクトの形状を決定するステップ3と、前記ステップ3で決定した前記形状に合った複数のモジュールを前記複数種のモジュールの中から選定するステップ4と、前記ステップ4で選定した複数の前記モジュールを組み立てて前記船尾ダクトを完成させるステップ5とを備えたことを特徴とするモジュール式船尾ダクトの組み立て方法。
- 前記ステップ1における複数種の前記モジュールは、適用対象となる前記船舶の候補を予め決め、組み立てを前提として最大公約数的に必要な形状を求めて決めたものであることを特徴とする請求項1に記載のモジュール式船尾ダクトの組み立て方法。
- 前記ステップ2における前記船舶の特定は、前記船舶の前記候補の中から特定することを特徴とする請求項2に記載のモジュール式船尾ダクトの組み立て方法。
- 前記ステップ3における前記船尾ダクトの前記形状の決定に当たっては、シミュレーション、模型実験、船型線図、又は特性線図の少なくとも1つを用いて決定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のモジュール式船尾ダクトの組み立て方法。
- 複数種の前記モジュールは、少なくとも直線形状と曲線形状の前記モジュールを含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のモジュール式船尾ダクトの組み立て方法。
- 複数種の前記モジュールは、前記船尾ダクトへの流れの流入角に対する迎角を変更する形状に構成された付加部品を少なくとも1つ含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のモジュール式船尾ダクトの組み立て方法。
- 前記ステップ5で完成した前記船尾ダクトに、前記船尾ダクトへの流れの流入角に対する迎角を変更する前記付加部品を装着することを特徴とする請求項6に記載のモジュール式船尾ダクトの組み立て方法。
- 前記ステップ5における前記組み立てに当たっては、複数の前記モジュール同士を固定的に結合することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のモジュール式船尾ダクトの組み立て方法。
- 前記ステップ5で完成した前記船尾ダクトを前記船体に取り付けるステップ6をさらに備えたことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のモジュール式船尾ダクトの組み立て方法。
- 前記船体に取り付けた前記船尾ダクトに、前記船尾ダクトへの流れの流入角に対する迎角を変更する前記付加部品を装着することを特徴とする請求項6又は7を引用する請求項9に記載のモジュール式船尾ダクトの組み立て方法。
- 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のモジュール式船尾ダクトの組み立て方法を用いて組み立てた前記船尾ダクトであることを特徴とするモジュール式船尾ダクト。
- 前記船尾ダクトを後方から見た形状が、略円形状を成していることを特徴とする請求項11に記載のモジュール式船尾ダクト。
- 前記船尾ダクトを後方から見た形状が、角の取れた略四角形状を成していることを特徴とする請求項11に記載のモジュール式船尾ダクト。
- 前記船尾ダクトを後方から見た形状が、角の取れた略菱形状を成していることを特徴とする請求項11に記載のモジュール式船尾ダクト。
- 前記船尾ダクトを後方から見た形状が、多角形を成していることを特徴とする請求項11に記載のモジュール式船尾ダクト。
- 前記船尾ダクトを後方から見た形状が、前記プロペラの全周に亘らない部分形状を成していることを特徴とする請求項11に記載のモジュール式船尾ダクト。
- 前記船尾ダクトを側方から見た形状が、前記プロペラ方向に細くなるテーパ形状を成していることを特徴とする請求項11から請求項16のいずれか1項に記載のモジュール式船尾ダクト。
- 複数種の前記モジュールのいずれもが、コンテナの内寸に納まる寸法に形成されていることを特徴とする請求項11から請求項17のいずれか1項に記載のモジュール式船尾ダクト。
- 請求項11から請求項18のいずれか1項に記載のモジュール式船尾ダクトを前記船体に備えたことを特徴とする船舶。
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