JP2019169484A - 電磁波シールド材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、フレキシブルプリント配線板(FPWB)に積層されてもカールを生じない電磁波シールド材を提供すると共に、本圧着工程時の加圧圧力によって導電性接着剤層が、FPWBのグランド回路に良好に接続できる電磁波シールド材を提供することを目的とする。【解決手段】 カルボキシル基を有するアクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エポキシ樹脂、硬化剤、導電性材料及びホスファゼン化合物を含有した導電性接着剤層と、保護層と、空洞含有離型基材とが積層された電磁波シールド材、前記空洞含有離型基材が、ポリエチレンテレフタレートフィルム又は2軸延伸ポリプロピレンフィルムであることが好ましい。【選択図】 図1

Description

本発明は、電子部品を実装する工程等において用いられる電磁波シールド材に関するものである。
OA機器、通信機器、携帯電話等の電子機器の更なる高性能化、小型化が進行している。これらに実装される配線デバイスの1つであるフレキシブルプリント配線板(Flexible Printed Wiring Board以下、FPWBとも言う。)は、湾曲可能な特性を活かして、電子機器の狭く複雑な空間に配置される内部基板等として広く使用されている。
一方、電子回路に供給される情報量の増大による高密度実装や動作信号の高周波化により、電磁波ノイズによる内部回路の誤作動が懸念されてきており、FPWBに対しても電磁波対策の要望が高まっている。
FPWBへの電磁波対策の一つとして、電磁波シールド材をFPWBに積層することが行なわれている。電磁波シールド材の導電性接着性層を介して、FPWBと保護層とを接着し配線デバイスとするものである。従来の配線デバイスでは、電子機器の小型化に伴いFPWBに使用される電磁波シールド材が薄くなり、導電性接着性層由来のカールが発生する場合があった。
このようなカールの問題に対して、ハロゲンフリー難燃性接着剤として、熱可塑性樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、リン化合物及びメラミンシアヌレートを含む特定の組成物において、熱硬化前のガラス転移温度やフィルムの機械的特性が一定の要件を満たすことで、難燃性、接着性及び耐熱性に優れ、かつフィルム状に製膜した場合にカールや割れが起きないとする提案がなされている(例えば、特許文献1)。
また、FPWB用感光性樹脂として、ガラス転移温度が55℃以下の、エチレン性不飽和化合物を付加重合させてなるカルボキシル基含有線状重合体〔(A)成分〕およびエチレン性不飽和基含有重合性化合物〔(B)成分〕を含有する感光性樹脂に環状ホスファゼン化合物〔(E)成分〕を用いたものが、カールの発生を生じることなく難燃性が向上することも提案されている(例えば、特許文献2)。
ところで、このようなFPWBは、例えば次のように電磁波シールド材と積層されている。
(i)電磁波シールド材の導電性接着剤層面とFPWBとを半硬化の状態で仮貼りして積層体を形成する工程(仮貼り工程)。
(ii)上記積層体を高温で加熱圧着し、FPWBのグランド回路に導電性接着剤層を接続する工程(本圧着工程)。
(iii)剥離性基材を剥がす工程(剥離工程)。
(iv)必要に応じて高温雰囲気下で加熱する工程(アフターキュア工程)の順で製造され、本圧着工程及びアフターキュア工程で導電性接着剤層を本硬化することにより、FPWBと保護層を接着している。
前記従来の電磁波シールド材はカールの防止という点では改善されているが、上記の本圧着工程時の加圧圧力によって導電性接着剤層が、FPWBのグランド回路に良好に接続できず、グランド回路が断線したり、接続不良となるという問題を有していた。
特開2008−56820 特開2008−83684
そこで本発明は、FPWBに積層されてもカールを生じない電磁波シールド材を提供すると共に、本圧着工程時の加圧圧力によって導電性接着剤層が、FPWBのグランド回路に良好に接続できる電磁波シールド材を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
(1)カルボキシル基を有するアクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エポキシ樹脂、硬化剤、導電性材料及びホスファゼン化合物を含有した導電性接着剤層と、保護層と、空洞含有離型基材とが積層されたことを特徴とする電磁波シールド材。
(2)前記エポキシ樹脂と前記硬化剤との質量部比率が、1:5〜1:1000であることを特徴とする前記(1)に記載の電磁波シールド材。
(3)前記空洞含有離型基材が、ポリエチレンテレフタレートフィルム又は2軸延伸ポリプロピレンフィルムであることを特徴とする前記(1)に記載の電磁波シールド材。
上記のように構成した本発明によれば、FPWBに積層されてもカールを生じない電磁波シールド材であって、本圧着工程時の加圧圧力によって導電性接着剤層が、FPWBのグランド回路に良好に接続できる電磁波シールド材を提供することができる。
本発明の電磁波シールド材の断面構成例を示した模式図である。 配線デバイスの断面構成例を示した模式図である。 (1)〜(6)は電磁波シールド材の接続抵抗値の測定に使用する試料の説明図である。(1):電磁波シールド材を貼り付ける前のフレキシブルプリント配線板の平面図である。(2):前記(1)のC−C’断面図である。(3):前記(1)のD−D’断面図である。(4):前記(1)に電磁波シールド材を熱圧着し、空洞含有離型基材を剥がした後の測定試料の平面図である。(5):前記(4)のC−C’断面図である。(6):前記(4)のD−D’断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を具体的に説明する。但し、本発明は当該形態には限定されない。
本発明に係る導電性接着剤層は、カルボキシル基を有するアクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エポキシ樹脂、硬化剤、導電性材料及びホスファゼン化合物を含有し、必要に応じてその他公知の添加剤を配合しても良い。以下、各成分を詳述する。
{カルボキシル基を有するアクリロニトリル−ブタジエン共重合体}
本発明に係るカルボキシル基を有するアクリロニトリル−ブタジエン共重合体(以下、カルボキシル基を有するNBR、という)は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体とブタジエンとを少なくともモノマー単位として含むポリマー(例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム)であり、かつ、カルボキシル基を有するポリマーである。
ここで、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、ニトリル基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物であれば特に限定されず、例えば、アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−ブロモアクリロニトリル等のα−ハロゲノニトリル、メタクリロニトリル等のα−アルキルアクリロニトリル等が挙げられる。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体は、単独でも複数種を併用しても良い。また、ブタジエンは、好適には、1,3−ブタジエンである。
ここで、カルボキシル基を有するNBRとしては、例えば、(第一製法によるゴム)α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体(例えば、アクリロニトリル)とブタジエンとを共重合させた共重合ゴムの分子鎖末端をカルボキシル化したゴムや、(第二製法によるゴム)α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体(例えば、アクリロニトリル)とブタジエンと重合性不飽和二重結合を有するカルボン酸モノマーとの三元共重合ゴム等が挙げられる。なお、いずれの方法においても、必要に応じて、共重合体可能な他の単量体を共重合させてもよい。ここで、第二製法におけるカルボン酸モノマー(カルボキシル基含有単量体)としては、例えば、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と共重合可能であり、かつ、エステル化等されていない無置換のカルボキシル基を1個以上有する単量体である。例えば、本発明で用いるカルボキシル基含有単量体としては、たとえば、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体等が挙げられる。より具体的な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。なお、第一製法における前記カルボキシル化にも、これらのカルボン酸モノマーとして例示したものを用いることができる。また、カルボキシル基を有するNBRは、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体(例えば、アクリロニトリル)とブタジエンと重合性不飽和二重結合を有するカルボン酸モノマーとの三元共重合段階で、架橋性モノマーを添加して部分的に架橋させた架橋ゴムや、必要に応じて、架橋後に粒子状にした架橋ゴムであっても良い。
本発明のカルボキシル基を有するNBRの製造方法は、特に限定されないが、乳化剤を用いた乳化重合により上述の単量体を共重合して製造することが好ましい。乳化重合に関しては公知の乳化剤、重合開始剤、分子量調整剤等の通常用いられる重合副資材を使用することができる。
本発明に係るカルボキシル基を有するNBRの質量平均分子量(Mw)は、5000〜1000000が好適であり、より好適には7000〜700000であり、更に好適には100000〜500000である。質量平均分子量が5000未満であると、導電性接着剤層の硬化後の耐熱性が低下する恐れがあり、1000000を超えると、導電性接着剤層の粘度が増大するため、例えば、塗工等によって導電性接着剤層を形成する場合に不具合を生じる恐れがある。カルボキシル基を有するNBRの質量平均分子量(Mw)とは、ゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)測定で求めたポリスチレン換算の値を言う。
本発明に係るカルボキシル基を有するNBRは、該カルボキシル基を有するNBRの全質量を基準として、ニトリル単量体単位の含有量が5〜45質量%であることが好適であり、より好適には10〜35質量%、更に好適には20〜35質量%である。ニトリル単量体単位含有量が5質量%未満であると、導電性接着剤層の硬化後の耐熱性が低下する恐れがあり、ニトリル単量体単位含有量が45質量%を越えると、導電性接着剤層の粘度が増大するため、例えば、塗工等によって導電性接着剤層を形成する場合に不具合を生じる恐れがある。本発明に係るカルボキシル基を有するNBRのニトリル単量体単位含有量はJIS K 6384に従い、ケルダール法により測定した値を言う。
また、NBRがカルボキシル基を有することで、FPWBのカバーレイ(ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)、ポリイミド、液晶ポリマー等)やグランド回路(銅箔、ニッケルめっき、金めっき等)、レジスト材、保護層等との接着性を確保しやすくなる効果を有する。更には、導電性接着剤層を構成する他の物質との架橋密度を向上させるという観点において、カルボキシル基は分子骨格の末端でなく側鎖にカルボキシル基を有することがより好適である。これにより、導電性接着剤層を構成する材料との架橋構造が3次元化しやすくなり、レジンフロー量の低下や、FPWBのカバーレイ(PET、ポリイミド、液晶ポリマー等)やグランド回路(銅箔、ニッケルめっき、金めっき等)、レジスト材、保護層等との接着性向上に寄与するものと推定される。
カルボキシル基を有するNBRの酸価は3〜60mgKOH/gであることが好ましく、6〜55mgKOH/gであることがより好ましく、20〜50mgKOH/gであることが更に好ましい。カルボキシル基を有するNBRが適度な酸価を有することにより、エポキシ樹脂との架橋効率が高まり、FPWBのカバーレイ(PET、ポリイミド、液晶ポリマー等)やグランド回路(銅箔、ニッケルめっき、金めっき等)、レジスト材、保護層との接着性を維持しやすくなる効果を有する。酸価が3mgKOH/gよりも低いと、導電性接着剤層の耐熱性が低下する恐れがあり、60mgKOH/gよりも高いと、電磁波シールド材の可撓性が低下したり、カルボキシル基がエポキシ基等と反応しきれずに耐久性に悪影響が発生したりする恐れがある。カルボキシル基を有するNBRの酸価は、JIS K 0070:1992に準じて測定した値を言う。また、酸価は、ポリマーを合成する際に、カルボン酸をもつポリマーの配合比や反応速度、反応時間等の制御で調整できる。
{エポキシ樹脂}
本発明に係るエポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物であることが好ましい。エポキシ樹脂の性状は、液状及び固形状を問わない。エポキシ樹脂としては、例えば、グリジシルエーテル型エポキシ樹脂、グリジシルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、環状脂肪族(脂環型)エポキシ樹脂等が好ましい。グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型工ポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、α−ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、テトラブロムビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン等が挙げられる。前記グリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルパラアミノフェノール、トリグリシジルメタアミノフェノール、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン等が挙げられる。前記グリシジルエステル型エポキシ樹脂としては、例えば、ジグリシジルフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、ジグリシジルテトラヒドロフタレート等が挙げられる。前記環状脂肪族(脂環型)エポキシ樹脂としては、例えば、エポキシシクロヘキシルメチルーエポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(エポキシシクロヘキシル)アジペート等が挙げられる。これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン、及びテトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタンから選ばれた少なくとも1種からなることが好ましい。これらのエポキシ樹脂を用いることにより、導電性接着剤層の接着強度及び硬化後の耐熱性がより向上する。ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、YD−8125、YD−012(東都化成株式会社製)、jER1001、jER825、jER828、jER834(三菱化学株式会社製)等が挙げられる。
{硬化剤}
本発明に係る硬化剤は、イソシアネート型硬化剤、アミン系硬化剤、アジリジン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、酸無水物、ノボラックフェノール樹脂から選ばれる少なくとも1種からなることが好ましい。これらの硬化剤を用いることにより、導電性接着剤層の接着強度及び硬化後の耐熱性がより向上する効果を有する。イソシアネート系硬化剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。アミン系硬化剤としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、メチレンビス(2−クロロアニリン)、メチレンビス(2−メチルー6−メチルアニリン)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、n−ブチルベンジルフタル酸等が挙げられる。アジリジン系硬化剤としては、例えば、トリメチロールプロパンートリーβ−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタンートリーβ−アジリジニルプロピオネート、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N’−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)等が挙げられる。イミダゾール系硬化剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト等が挙げられる。酸無水物では、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水トリメリット酸等が挙げられる。ノボラックフェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを酸触媒下で縮合反応することによって得ることができる。例えば、フェノール類としては、アルキルフェノール、パラフェニルフェノール、ビスフェノールA、レゾルシノール等が挙げられる。アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール等が挙げられる。
好適にはイミダゾール系硬化剤、ノボラックフェノール樹脂から選ばれる少なくとも1種からなることが好ましい。
{導電性材料}
本発明に係る導電性材料は、導電性接着剤層に導電性を付与する機能を有する。具体的には、導電性材料としては、例えば、金、銀、銅、鉛、亜鉛、鉄及びニッケル等の金属又はその合金からなる導電性金属粉、ならびに前記導電性金属の複合粉、カーボン粉等が挙げられる。前記複合粉としては、例えば、銀コート銅粉、銀コートニッケル粉、金コート銅粉、金コートニッケル粉等が挙げられるが、導電性金属粉、導電性金属の複合粉、カーボン粉、から選ばれる少なくとも1種からなることが更に好ましい。導電性材料の形状としては、例えば、球状粉、フレーク状粉、円盤状粉、樹枝状粉、針状粉、不定形状粉等が挙げられる。導電性材料の平均粒子サイズは、1〜50μmであることが好ましく、5〜20μmであることがより好ましい。50μmを超えると例えば、導電性接着剤をシート状に形成した場合に表面性が粗くなる恐れがあり、1μm未満であると導電性材料同士の接点確保が困難となる傾向がある。また、導電性材料の平均粒子径は、導電性材料の形状が球状である場合は、走査型電子顕微鏡による拡大画像から10〜20個程度の粒子を選択し、その直径を平均した値である。また、長手方向の長さと短手方向の長さとが大きく異なる場合等は、導電性材料の投影面積の円相当径を算出し、平均粒子径とした。
{ホスファゼン化合物}
ホスファゼン化合物は、例えば、化1に示すような化合物である、その分子中にリン原子および窒素原子を含有するため、得られる導電性接着剤層に難燃性を付与すると共に、電磁波シールド材等のカールを抑制する成分としても作用するものである。前記ホスファゼン化合物は、分子中にホスファゼン構造を有する化合物であれば、特に限定されないが、ホスファゼン化合物中のリン含有率は、通常5〜20質量%、好ましくは10〜15質量%である。なお、ホスファゼン構造とは、−P(R2)=N−[式中、Rは有機基を表す]で表される構造を意味する。このようなホスファゼン化合物としては、シクロホスファゼン系化合物を用いるのが好ましく、例えば、商品名で、SPS−100、SPB−100、SPE−100(大塚化学製、シクロホスファゼン系化合物)、ラビトルFP−100、ラビトルFP−110(伏見製薬所製、シクロホスファゼン系化合物)等が挙げられる。
Figure 2019169484
次に、本発明に係る導電性接着剤における成分同士の比や成分量について説明する。
まず、前記カルボキシル基を有するNBR(a)と前記エポキシ樹脂(b)との質量部比率(a)/(b)は0.35〜2.5であることが好ましく、0.4〜2.3であることがより好ましい。上記範囲とすることで、導電性接着剤をシート化する際の成膜性の付与、レジンフロー特性及び耐熱性の調整が容易になる利点を有する。質量部比率(a)/(b)が0.35未満であると、レジンフロー量が増大する恐れがある。また、質量比率(a)/(b)が2.5を越えると導電性接着剤層の硬化後の耐熱性が低下する恐れがある。なお、レジンフローとは、導電性接着剤層が本硬化の際に、意図しない領域に流出してしまう現象を言い、近年、信号配線が高密度化してきている現状においては、レジンフロー量はより少ないことが求められている。
カルボキシル基を有するNBR(a)とエポキシ樹脂(b)と硬化剤(c)との合計量(f)と前記ホスファゼン化合物(e)との質量部比率(f)/(e)は1.3〜12.2であり、1.3〜5.7であることがより好ましく、1.3〜5.1であることが更に好ましい。上記範囲とすることで、導電性接着剤をシート化し、加熱工程を経た後においてもシートのカールを抑制することが可能となる。質量部比率(f)/(e)が1.3未満であると、導電性接着剤層の導電性が不十分となる恐れがある。また、質量比率(f)/(e)が12.2を越えるとカール抑制効果が不十分となる恐れがある。なお、本明細書における全有機成分(f)とは、導電性接着剤層を構成する成分の内、ホスファゼン化合物(e)以外の、炭素を含む化合物であり、常温で気体でないものをいう。また、本明細書においては、導電性材料として使用できるものは無機成分とする。
更に、前記導電性材料(d)と前記ホスファゼン化合物(e)の体積比率(d)/(e)は1.0〜8.6であり、1.3〜4.0であることがより好ましく、1.4〜4.0であることが更に好ましい。体積比率(d)/(e)が1.0未満であると、導電性接着剤層の導電性が不十分となる恐れがあり、8.6を超えるとカール抑制効果が不十分となる恐れがある。
前記エポキシ樹脂(b)と前記硬化剤(c)の質量部比率(b)/(c)は5〜1000であることが好ましく、10〜1000であることがより好ましい。質量部比率(b)/(c)が10未満であると、カールが生じやすくなる恐れがあり、1000を越えると導電性接着剤層の硬化不良が生じる恐れがある。
また、これら硬化剤(c)の添加量は、エポキシ樹脂(b)100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましい。
また、導電性接着剤層中の導電性材料(d)の添加量は、当該導電性接着剤層の全体積(乾燥体積)を基準として、10〜35体積%であることが好ましく、更に好ましくは、15〜30体積%である。添加量が10体積%未満であると導電性及び電磁波シールド性が低下する恐れがあり、35体積%を越えると電磁波シールド材とする場合、FPWBのカバーレイ(PET、ポリイミド、液晶ポリマー等)やグランド回路(銅箔、ニッケルめっき、金めっき等)、レジスト材、保護層等への密着性が低下する恐れがあり、また、経済性が低下する。
ホスファゼン化合物(e)の添加量は、得られる導電性接着剤層に難燃性を付与する点、カール抑制効果の点からは多いほど好ましいが、添加量が増加するとその体積増加分以上に抵抗値を押し上げる傾向がある。このため、ホスファゼン化合物(e)の添加量は、難燃性、カール性、抵抗値上昇を勘案して選定することが重要である。上記の観点から、導電性接着剤層中のホスファゼン化合物(e)の、添加量は、導電性材料(d)の添加量にもよるが、当該導電性接着剤層の体積(乾燥体積)を基準として、4〜28体積%であることが好ましく、更に好ましくは、5〜20体積%である。5〜20体積%の範囲を満たすと、難燃性、カール性を満足しながら低抵抗を有するものに調整しやすい。
≪導電性接着剤層の製造方法≫
本発明の導電性接着剤層は、上記のような原料と溶剤を攪拌混合することにより製造できる。導電性接着剤層の調製には、導電性材料を均一に分散するため、また、導電性接着剤層の形成を容易にするため、溶剤を加えることが好ましい。
前記溶剤は、比較的低沸点の、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソプチルケトン、2−エトキシエタノール、トルエン、ブチルセルソルブ、メタノール、エタノール、2−メトキシエタノール等が好ましい。また、後に説明する塗工時の乾燥速度を調整するために高沸点溶剤を加えてもよい。高沸点溶剤としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、メチルピロリドン、シクロヘキサノンが好ましい。
攪拌混合には、例えば、スキャンデックス、ペイントコンディショナー、サンドミル、らいかい機、三本ロール及びビーズミル等により、またこれらを組み合わせて行うことができる。更に攪拌混合後に導電性接着剤層から気泡を除去するために真空脱泡することが好ましい。
{空洞含有離型基材}
空洞含有離型基材は、内部に複数の気泡を有する基材である。空洞含有離型基材の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリカーボネート、ポリメチルメタアクリレート、ポリブテン−1、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド等の樹脂類からなる樹脂フィルムを使用することができる。また、空洞含有離型基材としては、例えば発泡ポリプロンピレンシート(発泡OPP)である商品名:合成紙ユポ(王子油化合成紙社製)、商品名:トヨパールSS(東洋紡績社製)、商品名:パイレンフィルム(東洋紡績社製)、商品名:クリスパー(東洋紡績社製)、商品名:W−900(ダイヤホイルヘキスト社製)、商品名:E−60(東レ社製)などを使用することができる。これらの中でもポリオレフィン発泡フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ポリプロピレンは、FPWBのグランド回路に導電性接着剤層を接続する際に、高温で加熱圧着力を均等に導電性接着剤層に加えることができ、良好なFPWBのグランド回路との接続ができるため好ましい。
空洞含有離型基材の厚さは5μm〜100μmが好ましく、20μm〜70μmが均等に導電性接着剤層に圧力を加えることができ特に好ましい。
本発明における空洞含有離型基材は、前記フィルムの片面乃至両面に離型剤処理を施して離型層を形成してもよい。離型層に使用される離型剤としては、特に制限はないが、耐熱性、硬度及び離型性の観点から適宜選択され、具体的には、例えば、エポキシ樹脂、シアナート樹脂などの熱硬化性樹脂、シリコーン系化合物、シリコーン、アルミなどを含有するガラス系無機化合物等が挙げられ、離型性、耐熱性に優れていることから、シリコーン系離型剤が特に望ましい。
離型層の形成方法としては、前記のような離型剤をフィルムにメイヤーバーコーティング、グラビアコーティング、ドクターコーティング、エアーナイフコーティング等の公知の塗布方法を利用して塗布したのち、加熱処理や紫外線照射、電子線照射などの離型剤に適合する公知の方法で乾燥或いは硬化する方法が挙げられる。離型層の厚みは必要な離型効果を得られる限りにおいては、特に制限はないが、適切な離型性を得られるという観点から、0.05〜1.0μm程度であることが好ましい。離型層の厚みが0.05μmより薄いと離型性が悪化し、1.0μmより厚いと空洞含有離型基材同志を重ねたときにブロッキングし易くなる。
なお、離型剤塗布時にフィルムと離型剤層との密着性向上のために、フィルムにコロナ放電処理や易接着コート剤塗布などの処理を行って、基材表面の濡れ性を改良したり、或いは、離型剤中に密着性向上剤等を内添するなどの手段をとってもよい。
このようにして得られる本発明における空洞含有離型基材は、耐熱性に優れ、クッション性が良好であるため、加熱圧着の際、離型フィルムがグランド回路を形成するビアホールの周縁に密着し易くなるので、グランド回路におけるエッジ部の断線が起こりにくく、導電性接着剤層とFPWBのグランド回路との接続不良も起こりにくい。
≪電磁波シールド材≫
本発明の電磁波シールド材は、例えば、図1に示すように空洞含有離型基材1と、空洞含有離型基材1の片面に設けられた保護層2と、保護層2の空洞含有離型基材1に接する面とは反対側に設けられた導電性接着剤層3と、を備えたシートである。このような電磁波シールド材は、例えば、空洞含有離型基材1上に保護層、導電性接着剤層の順に塗工・乾燥することで形成することが出来る。なお、電磁波シールド材は電磁波シールドフィルム等と称されることもある。
保護層2は、カバーフィルムや絶縁樹脂のコーティング層からなる。カバーフィルムとしては、エンジニアリングプラスチックを使用することができ、例えば、ポリプロピレン、架橋ポリエチレン、ポリエステル、ポリベンツイミダゾール、ポリアミド、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などが挙げられる。実用特性上、高い耐熱性を要求されない場合は、安価なポリエステルフィルムが好ましく、難燃性が要求される場合においては、ポリフェニレンサルファイドフィルム、さらに耐熱性が要求される場合にはアラミドフィルムやポリイミドフィルムを使用することが好ましい。
絶縁樹脂としては、絶縁性を有する樹脂であればよく、例えば、熱硬化性樹脂又は紫外線硬化性樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル変性シリコーン樹脂などが挙げられる。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、エポキシアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、及びそれらのメタクリレート変性品などが挙げられる。尚、硬化形態としては、熱硬化、紫外線硬化、電子線硬化などいずれでもよく、硬化が達成されるものであればよい。また、必要に応じてその他公知の添加剤を配合しても良い。尚、電磁波シールド材をFPWBに適用する場合、保護層2の厚みは、軽量性やフレキシブル性等の観点より、1〜50μmが好ましく、2〜30μmがより好ましい。
導電性接着剤層3の厚さは、適宜に決定しうるが、接着特性や導電性等の観点より、通常1〜200μm、好ましくは5〜100μmとするのがよい。
本発明に係る導電性接着剤層の硬化物の表面抵抗率は、5.0Ω/□以下であることが好ましく、3.0Ω/□未満であることがより好ましく、1.0Ω/□未満であることが更に好ましい。表面抵抗率が5Ω/□を超えると、電磁波シールド性が低下する恐れがある。本発明に係る表面抵抗率はJIS K 7194に準じて測定することができる。
≪電磁波シールド材の製造方法≫
本発明の電磁波シールド材は、空洞含有離型基材1上に保護層、導電性接着剤層の順に塗工・乾燥することにより製造可能である他、異なる空洞含有離型基材上に保護層、導電性接着剤層をそれぞれ塗工し、導電性接着剤層面と保護層面を貼り合わせることでも製造可能である。
ここで、導電性接着剤層及び保護層の塗工方法としては、ナイフコート、ダイコート、リップコート、ロールコート、カーテンコート、バーコート、グラビアコート、フレキソコート、ディップコート、スプレーコート、スピンコート等が好ましい。
≪電磁波シールド材の用途≫
次に、本発明に係る電磁波シールド材の用途について説明する。本発明の電磁波シールド材は、電磁波抑制等を目的として電子回路基板に貼り付ける電磁波ノイズ対策部材として使用することが好ましい。使用方法としては、電磁波シールド材と電子回路基板とを圧着して加熱することで貼り付けることができる。上記電子回路基板としては、FPWBやリジット基板等が挙げられる。
本発明の電磁波シールド材は、上記のFPWB用途の電磁波ノイズ対策のみならず、建材、車両、航空機、船舶等の導電部材の電磁波ノイズ対策用途に幅広く使用することができる。
≪用途例(配線デバイス)≫
また、本発明の電磁波シールド材は、その導電性接着剤層を利用して、配線デバイスを製造することができる。この配線デバイスは、図2に示すように信号配線を備える配線板4(FPWB等)と、導電性接着剤層3の硬化物と、保護層2で構成され、導電性接着剤層3が配線板と保護層2とを接着する機能を発揮する。このような配線デバイスは、例えば、前記電磁波シールド材の導電性接着剤層3面と配線板4とを半硬化の状態で仮貼りして積層体を形成する工程(仮貼り工程)、この積層体を高温で加熱圧着する工程(本圧着工程)、空洞含有離型基材1を剥がす工程(剥離工程)、必要に応じて高温雰囲気下で加熱する工程(アフターキュア工程)の順で製造され、本圧着工程及びアフターキュア工程で導電性接着剤層3を本硬化することにより、配線板4と保護層2を接着することができる。本硬化することにより優れた接着強度及び耐熱性を有する導電性接着剤層の硬化物が得られる。本圧着工程の条件は、加熱温度:140〜210℃、加圧圧力:1〜12MPa、プレス時間:1時間の通常本硬化条件で実施することが出来る。
なお、配線板4は、絶縁性基板7と、この絶縁性基板7上に設けられた信号配線(図示しない)と、この信号配線を覆うように絶縁性基板上に設けられた絶縁層6とを備える。通常、配線デバイスでは、導電性接着剤層3により、配線板の絶縁層6と保護層2とが接着される。また、配線板は、信号配線に加えて、更にグランド回路5を備えることが好ましい。導電性接着剤層3とグランド回路5と電気的な接続を取ることで、この導電性接着剤層3を電磁波シールド層として機能させ易くなる。
また、配線板4は、フレキシブルプリント配線板(FPWB)であることが好ましい。配線板4がFPWBである場合、絶縁性基板7及び絶縁層6の構成材料としては、ポリイミド、液晶ポリマー、ポリエステル等の樹脂材料が好ましく、耐熱性を要求される場合には、ポリイミド、液晶ポリマー等の樹脂材料が好ましい。一方、配線板4がリジッド配線板の場合、絶縁性基板7及び絶縁層6(絶縁性基材)の構成材料としては、ガラスエポキシ等が好ましい。このような材料で絶縁性基板及び絶縁層を構成することにより、絶縁性基板7及び絶縁層6は、高い耐熱性を発揮する。
以上説明した配線デバイスは、タッチパネル式の液晶ディスプレイ等又はこれらを組み込んだ携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等に使用することができる。また、本発明の電磁波シールド材は、配線デバイスの製造に使用することができる他、導電性が必要な各種用途に使用することができる。なお、配線板が有する信号配線及びグランド配線は、所望の機能を備える回路を形成していてもよい。
次に実施例、比較例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの具体例になんら限定されるものではない。
(実施例1)
<カルボキシル基を有するNBRの合成方法>
反応容器に、イオン交換水180部、濃度10重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液25部、アクリロニトリル28.0部、マレイン酸モノn−ブチル3部、及びt−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.5部の順に加え、内部を窒素置換した後、1,3−ブタジエン43部を仕込んだ。反応器を5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部を加え、攪拌した。18時間重合反応後、濃度10%のハイドロキノン水溶液(重合停止剤)0.1部を加えて重合反応を停止した後、水温60℃のロータリーエバポレーターを用いて残留単量体を除去し、カルボキシル基を有するNBRを得た。次いで、得られたカルボキシル基を有するNBRに2容量のメタノールを加えて凝固した後、ろ過して固形物を取り出し、これを60℃で12時間真空乾燥することにより、カルボキシル基を有するNBR固形物を得た。得られたカルボキシル基を有するNBRはアクリロニトリル単量体単位含有量が27質量%、質量平均分子量30万、酸価34mgKOH/gであった。
<導電性接着剤の調製方法>
前記合成方法により得られた重量平均分子量30万、ニトリル単量体単位含有量27質量%、酸価34mgKOH/gのカルボキシル基を有するNBRの不揮発分89質量部に対して、エポキシ樹脂(三菱化学社製、製品名:jER1001)100質量部、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール1質量部、ホスファゼン化合物(伏見製薬所製、ラビトルFP−110)を導電性接着剤の全体積を基準として乾燥体積で12.0体積%になるように186質量部のメチルエチルケトンに加え、更に導電性材料(三井金属鉱業社製、製品名:ACAX−2)を導電性接着剤の全体積を基準として乾燥体積で20.0体積%になるように加えて、ディスパーで攪拌混合し、実施例1の導電性接着剤を得た。
<保護層組成物の調製方法>
アミノ基を有するポリアミド樹脂の不揮発分95質量部に対して、エポキシ樹脂5質量部、カーボンブラック2部をトルエン76質量部/イソプロピルアルコール76質量部の混合液に加え、ディスパーで攪拌混合し、実施例1の保護層組成物を得た。
<電磁波シールド材の作製>
上記で得られた保護層組成物を、コンマコーターを使用して空洞含有離型基材(商品名:クリスパー 厚さ:50μm(東洋紡績社製))に塗布し、130℃で3分間加熱乾燥して膜厚6μmの保護層を形成した。さらに、保護層上に、コンマコーターを使用して上記で得られた導電性接着剤を塗布し、130℃で3分間加熱乾燥して膜厚20μmの導電性接着剤層を形成し、実施例1の電磁波シールド材を作製した。
(実施例2)
導電性接着剤の全体積を基準として乾燥体積で、ホスファゼン化合物(伏見製薬所製、ラビトルFP−110)を25.0体積%、導電性材料(三井金属鉱業社製、製品名:ACAX−2)を35.0体積%になるように加えたこと以外は、実施例1と同様にして実施例2の電磁波シールド材を得た。
(実施例3)
導電性接着剤の全体積を基準として乾燥体積で、ホスファゼン化合物(伏見製薬所製、ラビトルFP−110)を11.0体積%になるように加えたこと以外は、実施例1と同様にして実施例3の電磁波シールド材を得た。
(実施例4)
導電性接着剤の全体積を基準として乾燥体積で、ホスファゼン化合物(伏見製薬所製、ラビトルFP−110)を10.0体積%になるように加えたこと以外は、実施例1と同様にして実施例4の電磁波シールド材を得た。
(実施例5)
導電性接着剤の全体積を基準として乾燥体積で、ホスファゼン化合物(伏見製薬所製、ラビトルFP−110)を5.0体積%になるように加えたこと以外は、実施例1と同様にして実施例5の電磁波シールド材を得た。
(実施例6)
導電性接着剤の全体積を基準として乾燥体積で、ホスファゼン化合物(伏見製薬所製、ラビトルFP−110)を9.0体積%、導電性材料(三井金属鉱業社製、製品名:ACAX−2)を35.0体積%になるように加えたこと以外は、実施例1と同様にして実施例6の電磁波シールド材を得た。
(実施例7)
導電性接着剤の全体積を基準として乾燥体積で、ホスファゼン化合物(伏見製薬所製、ラビトルFP−110)を14.0体積%になるように加えたこと以外は、実施例1と同様にして実施例7の電磁波シールド材を得た。
(実施例8)
導電性接着剤の全体積を基準として乾燥体積で、ホスファゼン化合物(伏見製薬所製、ラビトルFP−110)を16.0体積%になるように加えたこと以外は、実施例1と同様にして実施例8の電磁波シールド材を得た。
(実施例9)
導電性接着剤の全体積を基準として乾燥体積で、ホスファゼン化合物(伏見製薬所製、ラビトルFP−110)を20.0体積%になるように加えたこと以外は、実施例1と同様にして実施例9の電磁波シールド材を得た。
(実施例10)
導電性接着剤の全体積を基準として乾燥体積で、ホスファゼン化合物(伏見製薬所製、ラビトルFP−110)を28.0体積%、導電性材料(三井金属鉱業社製、製品名:ACAX−2)を28.0体積%になるように加えたこと以外は、実施例1と同様にして実施例10の電磁波シールド材を得た。
(実施例11)
導電性接着剤の全体積を基準として乾燥体積で、ホスファゼン化合物(伏見製薬所製、ラビトルFP−110)を32.0体積%、導電性材料(三井金属鉱業社製、製品名:ACAX−2)を28.8体積%になるように加えたこと以外は、実施例1と同様にして実施例11の電磁波シールド材を得た。
(実施例12)
導電性接着剤の全体積を基準として乾燥体積で、ホスファゼン化合物(伏見製薬所製、ラビトルFP−110)を3.5体積%、導電性材料(三井金属鉱業社製、製品名:ACAX−2)を35.0体積%になるように加えたこと以外は、実施例1と同様にして実施例12の電磁波シールド材を得た。
(実施例13)
導電性接着剤の全体積を基準として乾燥体積で、ホスファゼン化合物(伏見製薬所製、ラビトルFP−110)を4.5体積%になるように加えたこと以外は、実施例1と同様にして実施例13の電磁波シールド材を得た。
(実施例14)
導電性接着剤の全体積を基準として乾燥体積で、ホスファゼン化合物(伏見製薬所製、ラビトルFP−110)を23.0体積%になるように加えたこと以外は、実施例1と同様にして実施例14の電磁波シールド材を得た。
(比較例1)
ホスファゼン化合物を、ホスファゼン化合物と同配合にてホスフィン酸アルミニウム塩(クラリアントケミカルズ製、商品名:OP935)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして比較例1の電磁波シールド材を得た。
(比較例2)
空洞含有離型基材を、発泡していないポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:50μm)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして比較例2の電磁波シールド材を得た。
<評価方法>
以下、上記で作製した実施例、比較例の電磁波シールド材他の評価方法について説明する。
<カール性>
実施例、比較例で作製した各電磁波シールド材の導電性接着剤層面に厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製:製品名 カプトン100EN)を積層し、120℃、0.2MPa、0.5m/minの条件で熱ロール間を通過させ、空洞含有離型基材、保護層、導電性接着剤層、ポリイミドフィルムが積層された積層体を得た。前記積層体を170℃、3MPa、3分間の条件で圧着処理し、空洞含有離型基材を剥がし、160℃、60分間の条件で加熱処理した後、50mm×50mmの大きさにカットした。その後、260℃に熱したはんだ浴に1分間乗せ、熱を冷ました後、カール性を評価した。カール性の評価方法としては、前記積層体を水平に保った基材の上に乗せ、定規を用いて前記積層体の四方の頂点と基材との距離をそれぞれ測定し、それらの平均値を測定値とした。前記測定値が17mm未満であれば、実用上問題なく使用することができる。
AA・・・8mm未満
AB・・・10mm未満
AC・・・12mm未満
B・・・15mm未満
C・・・17mm未満
D・・・17mm以上
<接続抵抗値>
(図の説明及び、測定サンプルの調整)
図3を用いて接続抵抗値の評価方法を説明する。
図3(1)は、電磁波シールド材を貼り付ける前のフレキシブルプリント配線板の平面図である。図3(2)は、図3(1)のC−C’断面図である。図3(3)は、図3(1)のD−D’断面図である。
図3(1)〜(3)は、接続抵抗評価用フレキシブルプリント配線板を示している。
符号11は、厚み12.5μmのポリイミドフィルムであり、その上に厚み18μmの銅箔からなり、電気的に接続されていない回路8A、回路8Bが形成されている。更にその上に接着剤付きの厚み37.5μm、直径0.5mmのグランド穴10A、10Bを有するカバーフィルム9が積層されている。
このカバーフィルム9が積層された状態で回路8A、8B、グランド穴10A、10Bに金メッキ処理を施す。
図3(4)〜(6)は導電性接着剤層3、保護層2とを含む電磁波シールド材を、前記図3(1)〜(3)に示すフレキシブルプリント配線板に貼り付けて、熱圧着後、空洞含有離型基材を剥がした状態を示す図である。
熱圧着は、120℃、0.2MPa、0.5m/minの条件で、熱ロール間を通過させることで実施し、空洞含有離型基材、保護層2、導電性接着剤層3、接続抵抗評価用フレキシブルプリント配線板の積層体を得た。
その後、前記積層体を170℃、3MPa、3分間の条件で圧着処理し、空洞含有離型基材を剥がし、160℃、60分間の条件で加熱処理した。
次に、260℃に熱したはんだ浴に1分間乗せ、熱を冷ます作業を5回繰り返すことで各測定サンプルを作製した。
(測定)
上記の要領で作製した各測定サンプルの回路8A―回路8B間の抵抗値を抵抗率計(三菱化学(株)「ロレスタAX MCP-T370」)を用い、4探針法で抵抗値を測定し、前記測定値からグランド穴10Aとグランド穴10Bの間の線抵抗値を引き、半分に除した値を接続抵抗値とした。接続抵抗値が0.6Ω未満であれば実用上充分な電磁波シールド性を確保することが出来る。
A・・・0.4Ω未満
B・・・0.5Ω未満
C・・・0.6Ω未満
D・・・0.6Ω以上
<表面抵抗率>
実施例、比較例で作製した電磁波シールド材を、170℃、3MPa、3分間のプレス条件で圧着処理し、空洞含有離型基材を剥がし、160℃、60分間の条件で加熱処理を行った。得られたシート状物の導電性接着剤層について、抵抗率計(三菱化学(株)「ロレスタAX MCP−T370」)を用い、4探針法で表面抵抗率を測定した。一般的に導電性接着剤層自体に求められる電磁波シールド効果は、KEC法(関西電子工業振興センター法)で測定した電界シールド性能が10〜1000MPaの範囲において40dB以上(電磁波遮断率99%以上)とされており、表面抵抗率が1.0Ω/□未満であればこれを満たすことができるが、5.0Ω/□以下の表面抵抗率を有していれば、実用上問題のない範囲で電磁波シールド効果を得ることが可能である。
A・・・1.0Ω/□未満
B・・・3.0Ω/□未満
C・・・5.0Ω/□未満
D・・・5.0Ω/□以上
<段差追従性評価>
ガラス基板上に、樹脂段差(幅5mm、長さ50mm、厚さ50μm)を作製した。得られたガラス基板に、段差を介してシールドフィルムを貼り合わせた。熱圧着は、120℃、0.2MPa、0.5m/minの条件で、熱ロール間を通過させることで実施した。その後、170℃、3MPa、3分間のプレス条件で圧着処理し、空洞含有離型基材を剥がし、160℃、60分間の条件で加熱処理を行った。得られた積層体について、目視で印刷段差付近に存在する気泡の有無を観察し、段差追従性を評価した。気泡が存在していなければ、実用上問題のない範囲で使用可能である。
A・・・気泡が存在しない
D・・・気泡が存在する
実施例、比較例の導電性接着剤を構成する成分の添加量、電磁波シールド材のカール性、電気特性及び段差追従性評価の評価結果を表1及び表2に示した。
Figure 2019169484
Figure 2019169484
また、接続抵抗値、表面抵抗率の電気特性総合評価基準を表3に示す。
Figure 2019169484
<評価結果>
表1及び表2から明らかなように実施例の電磁波シールド材は、カルボキシル基を有するNBR(A)の高い耐熱性と密着性、エポキシ樹脂(B)とカルボキシル基を有するNBR(A)の架橋反応等により得られる本硬化後の導電性接着剤への強靭性付与、低レジンフロー特性を有し、前記特性を満足するような反応性に富むエポキシ樹脂を構成要素として有していたとしても、硬化収縮が原因と推察されるカールを抑制できるとともに、導電性低下は実用範囲内であった。また、段差追従性評価も気泡が存在しないで加圧圧力によって導電性接着剤層がFPWBなどのグランド回路に良好に接続できることが確認できた。
一方、比較例1では、ホスファゼン化合物を用いていなかったため、カール性に問題があった。また、空洞含有離型基材を用いていない比較例2では、段差追従性評価で気泡が発生していた。
以上、本発明の導電性接着剤、電磁波シールド材及びそれを用いた配線デバイスは、カールを抑制するために導電性接着剤にホスファゼン化合物を用いた場合であっても、導電性低下の問題を生じにくく、本圧着工程時の加圧圧力によって導電性接着剤層が、FPWBのグランド回路に良好に接続できる。
1 空洞含有離型基材
2 保護層
3 導電性接着剤層
4 配線板
5 グランド回路
6 絶縁層
7 絶縁性基板
8A 回路
8B 回路
9 カバーフィルム
10A グランド穴
10B グランド穴
11 ポリイミドフィルム

Claims (3)

  1. カルボキシル基を有するアクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エポキシ樹脂、硬化剤、導電性材料及びホスファゼン化合物を含有した導電性接着剤層と、保護層と、空洞含有離型基材とが積層されたことを特徴とする電磁波シールド材。
  2. 前記エポキシ樹脂と前記硬化剤との質量部比率、エポキシ樹脂/硬化剤が5〜1000であることを特徴とする請求項1に記載の電磁波シールド材。
  3. 前記空洞含有離型基材が、ポリエチレンテレフタレートフィルム又は2軸延伸ポリプロピレンフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の電磁波シールド材。
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