本発明の好適な実施形態によれば、地図データに含まれる地物情報のデータ構造であって、地物の位置を示す位置情報と、検出装置による前記地物の検出難度が所定度合以上であることを示す検出難度情報と、を含み、前記位置情報が示す位置に前記地物が存在することを、前記地物の検出処理において認識するのに用いられるデータ構造である。「検出装置が認識する」とは、検出装置自体が認識する場合に限らず、検出装置の検出データに基づき地物の検出処理を行う装置が認識する場合も含む。「所定度合」は、例えば、検出装置による対象の地物の検出処理を行った場合に、信頼性が高い検出結果が得られることが期待できない検出難度に設定される。地図データは、このようなデータ構造を有することで、検出装置による検出難度が高い(即ち検出困難又は不可能な)地物の存在を、地物の検出処理において好適に認識させることができる。
上記データ構造の一態様では、前記検出難度情報は、複数種類の検出装置による前記地物の検出難度を示す情報である。この態様の地図データを参照することで、対象の地物の検出難度を複数種類の検出装置の各々について好適に認識することができる。
上記データ構造の他の一態様では、前記検出難度情報を含む地物情報には、前記地物が属する道路又は駐車場の識別情報がさらに含まれる。この態様の地図データを参照することで、検出装置による検出難度が高い地物が属する道路又は駐車場を好適に認識することができる。
上記データ構造の他の一態様では、前記検出難度情報を含む地物情報には、前記地物の種別を示す種別情報がさらに含まれる。この態様の地図データを参照することで、検出装置による検出難度が高い地物の存在を、当該地物の種別と共に好適に認識することができる。
好適な例では、前記検出装置は測域センサであり、前記検出が困難な地物は、疎に構成された細長物を含む地物である。「疎に構成された細長物を含む地物」とは、例えば、ロープやチェーンなどの細長物が両端を固定された状態で吊るされたもの、又は、細長物が所定の間隔により構成された金網等が該当する。
上記データ構造の他の一態様では、地図データに含まれる地物情報のデータ構造は、前記地物の範囲、幅、または大きさを示す情報をさらに含む。この態様により、検出装置が検出できない地物の存在範囲等を、地図データを参照することで特定して車両の制御などに好適に用いることができる。
上記データ構造の他の一態様では、地図データに含まれる地物情報のデータ構造は、前記検出装置から見た場合に、前記地物の裏側となる領域である地物裏領域を、前記検出処理において検出対象から除外するのに用いられる。このデータ構造を有する地物情報を参照することで、検出対象領域を好適に限定し、検出処理の負荷を低減させることができる。
上記データ構造の他の一態様では、地図データに含まれる地物情報のデータ構造は、前記検出装置が、前記検出処理において前記地物裏領域を検出対象から除外してよいか否かを示す検出除外フラグをさらに含む。このデータ構造を有する地物情報を参照することで、地物裏領域を検出対象から除外してよいかを好適に判定することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
[データ収集システムの概要]
図1は、本実施例に係るデータ収集システムの概略構成である。データ収集システムは、移動体である各車両に搭載され車両と共に移動する端末装置1と、各端末装置1とネットワークを介して通信を行うサーバ装置2とを備える。そして、データ収集システムは、各端末装置1から送信された情報に基づき、サーバ装置2若しくはサーバ装置と通信回線を介して接続された図示しない地図サーバ装置が保有する地図を更新する。なお、以後において、「地図」とは、従来の経路案内用の車載機が参照するデータに加えて、ADAS(Advanced Driver Assistance System)や自動運転に用いられるデータも含むものとする。
端末装置1は、カメラやライダ(LIDAR:Laser Illuminated Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging または LiDAR:Light Detection and Ranging)などから構成されるセンサ部7の出力に基づき、所定のイベントを検知した場合に、検知したイベントに関する情報(「イベント情報」とも呼ぶ。)をアップロード情報Iuに含めてサーバ装置2へ送信する。上記のイベントは、例えば、自車位置周辺の物体(オブジェクト)の認識に関するイベントである「オブジェクト認識イベント」などが存在する。また、端末装置1は、地図データを更新するためのダウンロード情報「Id」をサーバ装置2から受信する。
なお、端末装置1は、車両に取り付けられた車載機又は車載機の一部であってもよく、車両の一部であってもよい。あるいは、センサ部7を接続することができれば、ノート型PC等の可搬性のある端末機器であってもよい。端末装置1は、制御装置の一例である。
サーバ装置2は、各端末装置1からアップロード情報Iuを受信して記憶する。サーバ装置2は、例えば、収集したアップロード情報Iuに基づき、後述する地図データの作成基準時点からの変化部分(変化点)を検出し、検出した変化点を反映するための地図データの更新などを行う。
[端末装置の構成]
図2(A)は、端末装置1の機能的構成を表すブロック図を示す。図2(A)に示すように、端末装置1は、主に、通信部11と、記憶部12と、入力部13と、制御部14と、インターフェース15と、出力部16とを有する。端末装置1内の各要素は、バスライン98を介して相互に接続されている。
通信部11は、制御部14の制御に基づき、アップロード情報Iuをサーバ装置2へ送信したり、地図DB4を更新するための地図データをサーバ装置2から受信したりする。また、通信部11は、車両を制御するための信号を車両に送信する処理、車両の状態に関する信号を車両から受信する処理を行ってもよい。
記憶部12は、制御部14が実行するプログラムや、制御部14が所定の処理を実行する為に必要な情報を記憶する。本実施例では、記憶部12は、地図DB4と、センサデータキャッシュ6と、車両属性情報「IV」とを記憶する。
地図DB4には、自動運転やADASなどで使用される種々のデータが記録されている。地図DB4は、例えば、道路網をノードとリンクの組合せにより表した道路データ、施設データ、及び道路周辺の地物情報などを含むデータベースである。地物情報は、道路標識等の看板や停止線等の道路標示、センターライン等の道路区画線や道路沿いの構造物等の地物に関する情報である。また、後述するように、ライダ31による計測が困難又は不可能な地物(「検出困難地物」とも呼ぶ。)の地物情報には、検出困難地物であることを特定可能な情報が含まれている。その他、地図DB4には、位置推定に必要な種々のデータが記憶されてもよい。
センサデータキャッシュ6は、センサ部7の出力データ(所謂生データ)を一時的に保持するキャッシュメモリである。車両属性情報IVは、車両の種別、車両ID、車両長さ、車幅、車高、車両の燃料タイプなどの端末装置1を搭載する車両の属性に関する情報を示す。
入力部13は、ユーザが操作するためのボタン、タッチパネル、リモートコントローラ、音声入力装置等であり、例えば、経路探索のための目的地を指定する入力、自動運転のオン及びオフを指定する入力などを受け付け、生成した入力信号を制御部14へ供給する。出力部16は、例えば、制御部14の制御に基づき出力を行うディスプレイやスピーカ等である。
インターフェース15は、センサ部7の出力データを制御部14やセンサデータキャッシュに供給するためのインターフェース動作を行う。センサ部7は、ライダ31やカメラ32などの車両の周辺環境を認識するための複数の外界センサと、GPS受信機33、ジャイロセンサ34、ポジションセンサ35、3軸センサ36などの内界センサを含む。ライダ31は、外界に存在する物体までの距離を離散的に測定し、当該物体の表面を3次元の点群として認識し、点群データを生成する。カメラ32は、車両から撮影した画像データを生成する。ポジションセンサ35は、各外界センサの取り付け位置を検出するために設けられ、3軸センサ36は、各外界センサの姿勢を検出するために設けられている。超音波センサ37は、送波器により超音波を発信し、その反射波を受波器で受信することにより、対象物の有無や対象物までの距離に関する情報を出力する。なお、センサ部7は、図2(A)に示した外界センサ及び内界センサ以外の任意の外界センサ及び内界センサを有してもよい。例えば、センサ部7は、外界センサとして、赤外線センサ、マイクなどを含んでもよい。センサ部7に含まれる任意の外界センサは、検出装置として機能する。
制御部14は、所定のプログラムを実行するCPUなどを含み、端末装置1の全体を制御する。制御部14は、地図DB4及びセンサ部7の出力データなどに基づき、経路案内や自動運転などの運転者を補助する制御、及び地図更新のためのオブジェクト検出などを行ったりする。制御部14は、機能的には、位置推定部17と、オブジェクト検出部18と、アップロードデータ生成部19と、地図更新部20と、自動運転制御部21とを含む。制御部14は、認識手段、制御手段、運転制御手段、及びプログラムを実行するコンピュータ等として機能する。
図3は、端末装置1の位置推定部17、オブジェクト検出部18、アップロードデータ生成部19、地図更新部20及び自動運転制御部21の処理概要を示したブロック図である。
位置推定部17は、センサデータキャッシュ6に保持されているセンサ部7の出力データ及び地図DB4に基づき、自車位置(車両の姿勢も含む)を推定する。位置推定部17は、種々の位置推定方法を実行可能となっている。位置推定部17は、例えば、GPS受信機33及びジャイロセンサ34等の自立測位センサの出力に基づくデッドレコニング(自律航法)による自車位置推定方法、自律航法に地図DB4の道路データなどをさらに照合する処理(マップマッチング)を行う自車位置推定方法、周囲に存在する所定のオブジェクト(ランドマーク)を基準としてライダ31やカメラ32などの外界センサの出力データと地図DB4の地物情報が示すランドマークの位置情報とに基づく自車位置推定方法などを実行する。そして、位置推定部17は、例えば、現在実行可能な位置推定方法の中から最も高い推定精度となる位置推定方法を実行し、実行した位置推定方法に基づき得られた自車位置等を示した自車位置情報を、アップロードデータ生成部19へ供給する。
オブジェクト検出部18は、センサ部7が出力する点群情報、画像データ、音声データ等に基づき、所定の対象物を検出する。この場合、例えば、オブジェクト検出部18は、位置推定部17が推定した自車位置に基づき、センサ部7により検出したオブジェクトに対応する地物情報を地図DB4から抽出する。そして、オブジェクト検出部18は、センサ部7により検出したオブジェクトの位置及び形状等と、地図DB4から抽出した地物情報が示すオブジェクトの位置及び形状等とに違いがある場合、又は、地図DB4に該当する地物情報が存在しない場合などに、センサ部7により検出したオブジェクトに関する情報(「オブジェクト検出データ」とも呼ぶ。)を、アップロードデータ生成部19へ供給する。また、オブジェクト検出部18は、後述するように、地物情報に基づき、ライダ31の測定範囲内に検出困難地物が存在すると判断した場合、ライダ31の測定範囲を限定する。
なお、オブジェクト検出部18は、センサ部7により検出したオブジェクトと地図DB4の地物情報が示すオブジェクトとに形状や位置等に違いがあるか否かに関わらず、特定のオブジェクトを検出した場合に、当該オブジェクトに関するオブジェクト検出データをアップロードデータ生成部19へ供給してもよい。例えば、オブジェクト検出部18は、センサ部7の出力に基づき、道路標識の内容、形状、位置等を認識した場合、又は、車線境界(即ち区画線等)の位置、形状等を認識した場合に、これらの認識結果をオブジェクトデータとしてアップロードデータ生成部19へ供給してもよい。
アップロードデータ生成部19は、位置推定部17から供給される自車位置情報と、オブジェクト検出部18から供給されるオブジェクト検出データと、車両属性情報IVとに基づき、アップロード情報Iuを生成する。そして、アップロードデータ生成部19は、生成したアップロード情報Iuを、通信部11によりサーバ装置2へ送信する。アップロードデータ生成部19が送信するアップロード情報Iuのデータ構造については、[データ構造]のセクションで詳しく説明する。
地図更新部20は、通信部11によりサーバ装置2から受信したダウンロード情報Idに基づき、地図DB4を更新する。
自動運転制御部21は、地図DB4を参照し、設定された経路と、位置推定部17が推定した自車位置とに基づき、自動運転制御に必要な信号を車両に送信する。自動運転制御部21は、設定された経路に基づき、目標軌道を設定し、自車位置推定部17が推定した自車位置が目標軌道から所定幅以内のずれ幅となるように、車両に対してガイド信号を送信して車両の位置を制御する。また、自動運転制御部21は、オブジェクト検出部18の出力データに基づき、オブジェクト検出部18が検出したオブジェクトと車両が接触しないように上述の目標軌道を修正する。
[サーバ装置の構成]
図2(B)は、サーバ装置2の機能的構成を示すブロック図を示す。図2(B)に示すように、サーバ装置2は、主に、記憶部22と、制御部23、通信部24とを有する。サーバ装置2内の各要素は、バスライン99を介して相互に接続されている。
通信部24は、制御部23の制御に基づき、各端末装置1からアップロード情報Iuを受信したり、地図DB4を更新するためのダウンロード情報Idを各端末装置1へ送信したりする。
記憶部22は、制御部23が実行するプログラムや、制御部23が所定の処理を実行する為に必要な情報を記憶する。本実施例では、記憶部22は、配信地図DB5と、イベント情報DB9とを記憶する。
配信地図DB5は、各端末装置1に配信するための地図データであり、地図DB4と同様に、自動運転やADASなどで使用される種々のデータが記録されている。
イベント情報DB9は、各端末装置1から受信するアップロード情報Iuに含まれるイベント情報を記録したデータベースである。イベント情報DB9に記録されたデータは、例えば、配信地図DB5の更新に用いられ、所定の統計処理、検証処理等が行われた後に配信地図DB5に反映される。
制御部23は、所定のプログラムを実行するCPUなどを含み、サーバ装置2の全体を制御する。本実施例では、制御部23は、通信部24によりイベント情報を含むアップロード情報Iuを端末装置1から受信した場合に、イベント情報をイベント情報DB9に登録する。また、制御部23は、所定のタイミングにおいて、イベント情報DB9を参照し、配信地図DB5の地物情報などを更新する。さらに、制御部23は、更新した地物情報等を含むダウンロード情報Idを、通信部24により端末装置1へ送信する。
[検出困難地物]
ここで、検出困難地物の具体例について、図4を参照して説明する。
図4(A)は、ライダ31により計測が困難な金網52付近に存在する車両周辺の俯瞰図を示す。図4(A)の例では、道路53沿いに存在する駐車場51には、駐車場51と道路53とを隔てるように金網52が設けられている。この場合、金網52は、ライダ31の光の走査密度より疎に構成されるため、ライダ31から出射されるレーザ光の大部分を反射せずに透過する場合がある。よって、この場合、端末装置1は、金網52から反射された十分な光量のレーザ光を得ることが困難であるため、ライダ31が出力する点群データによっては金網52の存在を正確に検出することができない場合がある。この場合、金網52の存在を検出できないために、金網52を透過して駐車場51に存在する物体を検出する可能性がある。
図4(B)は、ライダ31により計測が困難なチェーンゲート55付近に存在する車両周辺の俯瞰図を示す。図4(B)の例では、道路56沿いに存在する駐車場54への入退出を制限するためのチェーンゲート55が設けられている。ここで、チェーンゲート55は、両端に設けられた柱と、両端の柱を結ぶチェーンとを含む。このチェーンは、ライダ31の光の走査密度に対して細い場合には、ライダ31から出射されるレーザ光がチェーンに照射されない場合があるため、反射光を得ることができず、ライダ31が出力する点群データとして正確に検出されない場合がある。よって、この場合、端末装置1は、ライダ31が出力する点群データによってはチェーンゲート55のチェーン部分を正確に検出することができない。
同様に、駐車場、空き地その他施設への土地への進入を規制するためのチェーンやロープ、車線間に設けられたワイヤなども同様に、ライダ31の光の走査密度より疎に構成され、かつ、垂直方向での当該光の走査間隔よりも細いため、端末装置1は、ライダ31の出力データによっては正確に検出することができない。以上を勘案し、本実施例では、地図DB4及び配信地図DB5に含まれる地物情報には、このような検出困難地物を事前に識別可能にするための情報が含まれる。地物情報のデータ構造については、以下の[データ構造]のセクションで説明する。
[データ構造]
次に、地図DB4、配信地図DB5、及びアップロード情報Iuのデータ構造について説明する。
(1)地物情報
まず、地図DB4及び配信地図DB5に含まれる地物情報について図5及び図6を参照して説明する。以下では、対象の地物の各外界センサによる検出難易度を示す情報が地物情報に含まれる例について説明する。
図5は、地図DB4及び配信地図DB5に含まれる地物情報のデータ構造例を示す。図5に示す地物情報は、「地物ID」、「所属リンクID」、「種別ID」、「所属オブジェクトID」、「検出難易度」、「大きさ」、「絶対位置」、「相対位置」の各要素を含む。また、「指定される情報の例」の欄には、検出困難地物である図4(A)の金網52を対象とした場合に各項目に指定される情報の例が示されている。また、図6は、「種別ID」において指定される番号と地物の種別との対応関係を示すテーブルである。
ここで、「地物ID」は、各地物に対して割り当てられた固有の識別番号である地物IDを指定する項目である。「所属リンクID」は、対象の地物に隣接する又は対象の地物が存在する(即ち対象の地物を検出可能な)道路のリンクIDを指定する項目である。ここでは、金網52に隣接する道路53のリンクID「L0001」が指定されている。「種別ID」は、対象のオブジェクトの種別を示す識別番号等を指定する項目である。ここでは、金網を示す種別ID「5」が指定されている。なお、図6に示すように、種別ID「4」のチェーンゲート及び種別ID「5」の金網などのように、検出困難地物となる地物の各種類に対してそれぞれ種別IDが割り当てられている。
「所属オブジェクトID」は、対象の地物に隣接するオブジェクト(駐車場などの施設を含む)の識別番号を指定する項目である。ここでは、金網52に隣接する図4(A)に示す駐車場51の識別番号「OB3992」が指定されている。なお、図4(B)に示すチェーンゲート55の地物情報の「所属オブジェクトID」には、駐車場54の識別番号が指定される。
「検出難易度」は、各外界センサを用いて対象の地物を検出する際の難易度を指定する項目である。ここでは、ライダ、カメラ、超音波センサなどの外界センサの種別ごとに1から3までの検出難易度が指定されている。ここでは、ライダによる金網52の検出難易度が「3」、カメラによる金網52の検出難易度が「1」、超音波センサによる金網52の検出難易度が「2」に設定されている。なお、検出難易度「3」の場合には、対象のセンサ(図5ではライダ)によっては検出が困難又は不可能な地物(即ち検出困難地物)であることを示し、検出難易度「1」の場合には、対象のセンサ(図5ではカメラ)による検出が適した地物であることを示し、検出難易度「2」の場合には、対象のセンサ(図5では超音波センサ)による検出が(得手不得手なく)可能な地物であることを示す。そして、図5の例では、ライダによる金網52の検出難易度が「3」であることから、端末装置1は、図5に示す地物情報を参照することで、金網52がライダによる検出が困難又は不可能な検出困難地物であることが好適に認識することができる。
このように、「検出難易度」には、ライダによる検出が困難又は不可能な検出困難地物であることを示す情報が指定可能となっている。そして、好ましくは、図5に示すように、「検出難易度」には、ライダ以外の外界センサによる検出難易度に関する情報についてもさらに指定されるとよい。なお、ライダ以外の外界センサの検出難易度は、後述するように、ライダの代替としてオブジェクト検出に用いるセンサを決定するのに好適に参照される。「検出難易度」として指定される情報は、検出難度情報の一例である。
「大きさ(長さ)」は、対象の地物の大きさ又は長さを指定する項目である。「絶対位置」は、対象のオブジェクトの位置を緯度及び経度により指定する項目であり、「相対位置」は、対象のオブジェクトの所定の基準位置に対する相対位置を指定する項目である。上述の基準位置は、例えば、地物情報内で別途定義された位置であり、近傍に存在する他の地物の位置であってもよい。相対位置によって位置を指定する場合には、基準位置を定義する必要がある。なお、「絶対位置」又は「相対位置」で示される地物の位置は、例えば地物の中心位置を示すものであってもよく、地物を含む矩形領域の四隅の位置をそれぞれ示すものであってもよい。この他、地物情報は、対象の地物の色の情報、形状の情報などを含んでもよい。
(2)アップロード情報
次に、アップロード情報Iuのデータ構造の具体例について説明する。
図7は、端末装置1が送信するアップロード情報Iuのデータ構造の概要を示す図である。図7に示すように、アップロード情報Iuは、ヘッダ情報と、走行経路情報と、イベント情報と、メディア情報とを含む。
ヘッダ情報(Envelope)は、「バージョン(Version)」、「送信元(Submitter)」、「車両メタデータ(vehicleMetaData)」の各項目を含む。端末装置1は、「バージョン」に、使用されるアップロード情報Iuのデータ構造のバージョンの情報を指定し、「送信元」には、アップロード情報Iuを送信する会社名(車両のOEM名又はシステムベンダー名)の情報を指定する。また、端末装置1は、「車両メタデータ」に、車両種別、車両ID、車両長、車幅、車高、燃料タイプなどの車両属性情報IVの各情報を指定する。
走行経路情報(Path)は、「位置推定(Position Estimate)」の項目を含む。端末装置1は、この「位置推定」には、位置推定時刻を示すタイムスタンプ情報の他、推定した車両の位置を示す緯度、経度、標高の情報、及びこれらの推定精度に関する情報などを指定する。
イベント情報(Path Events)は、「オブジェクト認識イベント(Object Detection)」、「標識認識イベント(Sign Recognition)」、「車線境界認識イベント(Lane Boundary Recognition)」の各項目を含む。端末装置1は、オブジェクト認識イベントを検知した場合に、その検知結果となる情報を「オブジェクト認識イベント」に指定する。「オブジェクト認識イベント」には、図7を参照して後述するように、標識及び車線境界線以外の特定のオブジェクトを検出した際の当該オブジェクトの認識結果に関する情報が指定される。また、端末装置1は、標識認識イベントを検知した場合に、その検知結果となる情報を「標識認識イベント」に指定する。「標識認識イベント」には、例えば標識を検出した際の当該標識の認識結果に関する情報が指定される。また、端末装置1は、車線境界認識イベントを検知した場合に、その検知結果となる情報を「車線境界認識イベント」に指定する。「車線境界認識イベント」には、例えば、車線の境界を検出した際の当該境界の認識結果に関する情報が指定される。なお、これらの「オブジェクト認識イベント」、「標識認識イベント」、「車線境界認識イベント」の各項目は任意項目となっている。従って、端末装置1は、検知したイベントに対応する項目にのみ、その検知結果となる情報を指定すればよい。
メディア情報(Path Media)は、センサ部7の出力データ(検出情報)である生データを送信する際に使用されるデータタイプである。
図8は、イベント情報に含まれる「オブジェクト認識イベント」のデータ構造を示す。図8では、「オブジェクト認識イベント」に含まれる要素(サブ項目)ごとに、各要素に対応する情報の指定が必須であるか任意であるかの情報を「必須/任意」の欄に示す。
図8に示すように、「オブジェクト認識イベント」は、「タイムスタンプ(timeStampUTC_ms)」、「オブジェクトID(detectedObjectID)」、「オフセット位置(PositionOffset)」、「オブジェクトタイプ(objectType)」、「オブジェクトサイズ(objectSize_m)」、「オブジェクトサイズ精度(objectSizeAccuracy_m)」、「メディアID(mediaID)」の各要素を含んでいる。
端末装置1のアップロードデータ生成部19は、オブジェクト検出部18からオブジェクトの検出結果を示すオブジェクト検出データを受信した場合に、図7に示すデータ構造を有する「オブジェクト認識イベント」を含むイベント情報を生成する。
ここで、アップロードデータ生成部19は、「タイムスタンプ」にはオブジェクト検出時の時刻を指定し、「オブジェクトID」には、検出したオブジェクトのオブジェクトIDを指定する。オブジェクトIDは、地図DB4や配信地図DB5で用いられる地物IDであってもよい。また、「オフセット位置」には、アップロードデータ生成部19は、検出したオブジェクトの車両からの相対位置(例えば緯度差及び経度差等)の情報を指定する。
「オブジェクトタイプ」は、図6に示す地物情報の「種別ID」と同様の情報を指定する項目であり、アップロードデータ生成部19は、検出したオブジェクトの種別を示す情報を「オブジェクトタイプ」に指定する。また、アップロードデータ生成部19は、検出したオブジェクトのサイズ情報及び当該サイズの精度情報がオブジェクト検出部18から供給されるオブジェクト検出データに含まれていた場合に、これらの情報を、「オブジェクトサイズ」、「オブジェクトサイズ精度」の各要素に指定する。また、アップロードデータ生成部19は、センサ部7が出力した画像、ビデオ、点群データなどの生データを送信する必要がある場合に、当該生データに対して付与した識別情報を、「メディアID」に指定する。そして、「メディアID」の要素で指定されたメディア(生データ)の詳細情報等については、「メディア情報」の項目に別途格納される。
[ライダ測定範囲の制御]
次に、地物情報に基づくライダ31の測定範囲(「ライダ測定範囲AL」とも呼ぶ。)の制御について説明する。本実施例では、ライダ31が車両に搭載されており、車両はライダ31が検出する周囲の地物の存在を自動運転又はADASに利用するものとする。オブジェクト検出部18は、検出困難地物がライダ測定範囲ALに含まれると判断した場合に、端末装置1から観察した場合に検出困難地物の裏側(奥側)となる領域(「地物裏領域Ax」とも呼ぶ。)をライダ測定範囲ALから除外してオブジェクトの検出処理を行う。これにより、オブジェクト検出の処理負荷を好適に低減する。
図9は、図4(A)に示した金網52がライダ測定範囲ALに含まれる場合の車両の俯瞰図である。この場合、地物裏領域Axを考慮しないライダ測定範囲ALは、車両を中心とし、ライダ31の最大測距距離を半径とした円形領域となっている。
まず、オブジェクト検出部18は、地物情報に基づき、ライダ31の最大測距距離以内にライダ31による検出が困難又は不可能な検出困難地物である金網52が存在すると認識する。そして、オブジェクト検出部18は、検出困難地物である金網52の裏側の領域、即ち、ライダ31の最大測距距離以内であって金網52を透過したライダ31のレーザ光が到達する範囲を、地物裏領域Axとして認識する。この場合、例えば、オブジェクト検出部18は、地図DB4に登録された金網52の地物情報等から金網52の存在範囲を特定し、ライダ31から観察した場合に当該存在範囲と重なる領域を、地物裏領域Axとして決定する。
そして、オブジェクト検出部18は、地物裏領域Axを除外したライダ測定範囲AL内から得られたライダ31の点群データに基づき、オブジェクトの検出を行う。例えば、オブジェクト検出部18は、ライダ31により得られたライダ測定範囲ALの点群データのうち、地物裏領域Axの位置を示す点群データを削除し、残りの点群データに基づきオブジェクトの検出を行う。なお、オブジェクト検出部18は、障害物の検出のためには、地物裏領域Axからオブジェクト検出処理を行う必要はなく、自車位置推定のためのランドマーク検出等のためには、地物裏領域Axからのオブジェクト検出処理を行ってもよい。同様に、地物裏領域Axに存在するオブジェクトの情報を積極的に収集する場合には、地物裏領域Axからのオブジェクト検出処理を行ってもよい。
一般に、金網52などの検出困難地物は、ライダ31からのレーザ光の大部分を透過するため、地物裏領域Ax内に存在するオブジェクトに対する点群データがライダ31より生成される。一方、地物裏領域Axに存在するオブジェクトは、対象の検出困難地物の裏に存在し、金網52を超えて道路53に進入することはないため、車両の走行の妨げとなる障害物にはならず、検出対象とする必要性に乏しい。以上を勘案し、本実施例では、オブジェクト検出部18は、地物裏領域Ax内におけるオブジェクト(障害物)検出を実行しない。これにより、オブジェクト検出部18は、地物裏領域Ax内における不要なオブジェクトの検出処理を省き、処理負荷を好適に低減させる。なお、オブジェクト検出部18は、自車位置推定処理におけるランドマークとする地物が地物裏領域Axに存在する場合には、地物裏領域Ax内で得られる当該ランドマークの点群データに基づき自車位置推定を行ってもよい。
また、この場合、自動運転制御部21は、金網52の地物情報に基づき特定した金網52の存在範囲と所定距離以上近づかないように車両を制御する。これにより、ライダ31により検出できなかった金網52と車両が接触するのを確実に抑制する。
また、検出困難地物が、地物裏領域Axから道路へのオブジェクトの進入を防ぎうるものでない場合もある。例えば、金網は地物裏領域Axから道路への車両や歩行者等のオブジェクトの進入を防ぎうるが、ロープや車両の天井よりも高い位置に設置されたチェーンについては、地物裏領域Axと道路とを完全に隔てるものではなく、地物裏領域Axからのオブジェクトの進入の可能性がある。このような検出困難地物の地物裏領域Ax内におけるオブジェクトの検出処理を省いてはならない。そこで、端末装置1は、地物裏領域Axに存在するオブジェクトの検出処理を省いてよいかを、地物情報に付された種別IDが示す地物の種別に基づいて判断することが望ましい。もしくは、地物裏領域Axに存在するオブジェクトの検出処理を省いてよいかを示す検出除外フラグを、検出困難地物についての地物情報に付加して記録し、端末装置1は地物裏領域Axのオブジェクトの検出処理にあたって、検出除外フラグを参照するようにしてもよい。
また、検出困難地物の前領域において障害物を検知した場合、通常通りのオブジェクト検出処理をする。
また、好適には、オブジェクト検出部18は、ライダ31による計測が困難又は不可能な検出困難地物を他の外界センサにより検出してもよい。例えば、オブジェクト検出部18は、金網52の地物情報(図5参照)の「検出難易度」の各センサの項目を参照し、検出難易度が「1」となるセンサ(図5ではカメラ)により金網52の検出処理を行う。これにより、オブジェクト検出部18は、ライダ31により検出できない地物を他のセンサにより好適に検出することができる。この場合、オブジェクト検出部18は、対象の検出困難地物(ここでは金網52)の周辺位置では、ライダ31に基づくオブジェクト検出からカメラ32に基づくオブジェクト検出へ完全に切り替えてもよい。
[処理フロー]
図10は、アップロード情報Iu及びダウンロード情報Idの授受に関する処理の概要を示すフローチャートの一例である。
まず、端末装置1は、所定のイベントを検知したか否か判定する(ステップS101)。例えば、端末装置1は、センサ部7の出力に基づき、イベント情報として送信すべきイベント(オブジェクト認識イベント等)が発生したか否か判定する。そして、端末装置1は、イベントを検知した場合(ステップS101;Yes)、イベント情報を生成し、生成したイベント情報を含むアップロード情報Iuをサーバ装置2へ送信する(ステップS102)。
サーバ装置2は、ステップS102で送信されたアップロード情報Iuを受信し、イベント情報DB9にアップロード情報Iuを蓄積する(ステップS201)。そして、サーバ装置2は、配信地図DB5の更新タイミングであるか否か判定する(ステップS202)。上述の更新タイミングは、配信地図DB5の前回更新時からの時間長に基づいて判定されてもよく、配信地図DB5の前回更新時から受信したアップロード情報Iuの累積受信数に基づいて判定されてもよい。
そして、サーバ装置2は、配信地図DB5の更新タイミングである場合(ステップS202;Yes)、イベント情報DB9を参照して地物情報を生成し、生成した地物情報を用いて配信地図DB5を更新する(ステップS203)。そして、サーバ装置2は、ステップS203において生成した地物情報を示すダウンロード情報Idを各端末装置1に対して送信する(ステップS204)。なお、サーバ装置2は、ダウンロード情報Idの送信要求があった端末装置1に対してのみダウンロード情報Idを送信してもよい。一方、サーバ装置2は、配信地図DB5の更新タイミングではない場合(ステップS202;No)、引き続きステップS201を実行する。
一方、端末装置1は、ステップS102の実行後、又は、ステップS101において所定のイベントを検知しなかった場合、ダウンロード情報Idをサーバ装置2から受信したか否か判定する(ステップS103)。そして、端末装置1は、ダウンロード情報Idを受信した場合(ステップS103;Yes)、当該ダウンロード情報Idを用いて地図DB4を更新する(ステップS104)。これにより、地図DB4には、道路周辺のオブジェクトに関する最新情報が記録され、経路探索、注意喚起、自動運転制御などに好適に用いられる。一方、端末装置1は、サーバ装置2からダウンロード情報Idを受信していない場合(ステップS103;No)、ステップS101へ処理を戻す。
図11は、オブジェクト検出部18が実行するライダ31を用いたオブジェクト検出処理の一例を示すフローチャートである。オブジェクト検出部18は、図11のフローチャートの処理を繰り返し実行する。なお、本実施例は、ライダ31が車両に搭載されており、車両はライダ31が検出する周囲の地物の存在を自動運転又はADASに利用する場合の処理の一例である。
まず、オブジェクト検出部18は、地図DB4を参照し、ライダ31による検出が困難又は不可能な検出困難地物がライダ31の最大測距距離以内に存在するか否か判定する(ステップS111)。例えば、オブジェクト検出部18は、現在位置からライダ31の最大測距距離以内となる範囲内の位置を示す位置情報を含む地物情報を地図DB4から検索し、検索した地物情報のうちライダに対する検出難易度が「3」となる地物情報が存在するか否か判定する。
そして、オブジェクト検出部18は、ライダ31による検出が困難又は不可能な検出困難地物がライダ31の最大測距距離以内に存在すると判断した場合(ステップS111;Yes)、地物情報に基づき対象の検出困難地物の存在範囲を特定することで、当該検出困難地物を基準とした地物裏領域Axを認識する(ステップS112)。そして、オブジェクト検出部18は、ライダ31により得られた点群データのうち、地物裏領域Ax内の位置を指し示す点群データを削除する(ステップS113)。そして、オブジェクト検出部18は、残りの点群データに基づき、オブジェクトの検出を行う(ステップS114)。これにより、オブジェクト検出部18は、地物裏領域Ax内での不要なオブジェクト検出処理を好適に防ぐ。なお、地物裏領域Ax内の位置を指し示す点群データを削除せず、当該点群データをオブジェクト検出の処理の対象から除外してもよい。
一方、オブジェクト検出部18は、ライダ31による検出が困難又は不可能な検出困難地物がライダ31の最大測距距離以内に存在しないと判断した場合(ステップS111;No)、ライダ31により得られたすべての点群データに基づき、ライダ31の最大測距距離以内の全範囲を対象としたオブジェクト検出を行う(ステップS117)。
ステップS113の後、オブジェクト検出部18は、対象の検出困難地物の検出に適した他のセンサが存在するか否か判定する(ステップS115)。この場合、例えば、オブジェクト検出部18は、対象の検出困難地物の地物情報を参照し、ライダ以外の他のセンサの検出難易度が「1」となるセンサが存在するか否か判定する。そして、オブジェクト検出部18は、検出困難地物の検出に適した他のセンサが存在する場合(ステップS115;Yes)、当該他のセンサを用いて検出困難地物の検出処理を行う(ステップS116)。この場合、好適には、オブジェクト検出部18は、対象の検出困難地物の周辺位置では、ライダ31に基づくオブジェクト検出から上述の他のセンサに基づくオブジェクト検出へ完全に切り替えてもよい。これにより、上述の検出困難地物を含むオブジェクト検出を好適に実行することができ、検出困難地物についてもアップロードデータ生成部19がアップロード情報Iuを生成することができる。
一方、オブジェクト検出部18は、検出困難地物の検出に適した他のセンサが存在しない場合(ステップS115;No)、当該検出困難地物のセンサ部7による検出はできないと判断し、フローチャートの処理を終了する。
[変形例]
以下では、上述の実施例に好適な変形例について説明する。以下の変化例は任意に組み合わせて上述の実施例に適用してもよい。
(変形例1)
地物情報は、図5に示す「検出難易度」の項目に代えて、対象の地物が検出困難地物であるか否かを示すフラグ情報を指定する項目を含んでもよい。この場合、地物情報は、図5に示すデータ構造と同様に、対象の地物が検出困難又は不可能か否かを外界センサごとに指定する項目を含んでもよい。
(変形例2)
オブジェクト検出部18は、対象のオブジェクトまでの距離又は現在位置周辺の天候を勘案し、図11のステップS111での検出困難地物の判定処理を行ってもよい。
例えば、オブジェクト検出部18は、対象のオブジェクトまでの距離が長いほど、ライダ31のオブジェクトの検出精度が低下することを勘案し、対象のオブジェクトまでの距離が所定距離以上の場合に、ライダに対する検出難易度を地物情報に記録されている値から1だけ上げてもよい。同様に、オブジェクト検出部18は、現在位置周辺の天候が雨や雪などのライダ31の精度低下が生じる所定の天候である場合に、ライダに対する検出難易度を地物情報に記録されている値から1だけ上げてもよい。同様に、オブジェクト検出部18は、ライダ以外の外界センサの検出難易度についても、当該外界センサの精度に影響が生じる天候や距離などの検出条件に応じて、検出難易度を、地物情報に記録されている値から増減させてもよい。
(変形例3)
図11では、オブジェクト検出部18は、ライダ31の出力データを原則的に参照したオブジェクト検出を行った。これに代えて、オブジェクト検出部18は、ライダ31以外の他の外界センサ(「他外界センサ」とも呼ぶ。)を原則的に参照したオブジェクト検出を行ってもよい。
この場合、地図DB4又は配信地図DB5の地物情報には、上述の他外界センサによる対象の地物の検出が困難又は不可能であるか否かを特定可能な情報(例えば検出難易度又はフラグ情報)が含まれ、オブジェクト検出部18は、当該地物情報を参照し、他外界センサによる対象の地物の検出が困難又は不可能である検出困難地物が他外界センサの測定範囲内に存在するか否か判定する。そして、オブジェクト検出部18は、当該検出困難地物が存在する場合に、実施例と同様に当該検出困難地物を基準として地物裏領域Axを設定し、地物裏領域Axを除外した測定範囲内において他外界センサに基づくオブジェクト検出を行う。この態様によっても、好適に処理負荷を低減しつつ、自動運転制御などを好適に行うことができる。
(変形例4)
実施例で説明したサーバ装置2の処理を、複数のサーバ装置からなるサーバシステム(所謂クラウドサーバ)が実行してもよい。
例えば、サーバシステムは、配信地図DB5を記憶するサーバと、イベント情報DB9を記憶するサーバと、地物情報の生成処理を行うサーバとから構成されていてもよい。この場合、各サーバは、予め割り当てられた処理を実行するのに必要な情報を他のサーバから適宜受信して所定の処理を実行する。
また、検出されたオブジェクトに関する情報(即ち図8のデータ構造を有する情報)は、端末装置1とサーバ装置2との間で授受が行われてもよく、サーバ間で授受が行われてもよい。図12は、変形例に係るデータ収集システムの概略構成である。図12に示すデータ収集システムは、複数の端末装置1と、車両クラウド2Aと、地図クラウド2Bとを有する。車両クラウド2Aは、主に車ベンダーが管理するサーバ群であり、地図クラウド2Bは、主に地図ベンダーが管理するサーバ群である。
この場合、車両クラウド2A及び地図クラウド2Bは、実施例のサーバ装置2と同様に、アップロード情報Iuを各車両の端末装置1から受信してもよい。これにより、車両クラウド2A及び地図クラウド2Bは、それぞれ地物情報の生成に必要なイベント情報を収集することが可能である。また、車両クラウド2Aは、アップロード情報Iuに基づき生成した地物情報を地図クラウド2Bへ送信してもよい。