JP2019168776A - パラメータ同定装置及びその方法並びにプログラム - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献2には、離散時間状態空間モデルのシステムにおいて、多入力多出力系の線形モデルを対象とし、マルコフパラメータを用いて離散時間状態空間モデルのモデルパラメータを同定する方法が開示されている。
上記「前記第1評価関数の出力値と前記第2評価関数の出力値との差がゼロになるような各前記パラメータ誤差の値」とは、前記差がゼロになる場合だけでなく、前記差がゼロに近づくような値、例えば、最小二乗法等を用いて差がゼロになるような各パラメータ誤差の値を推定することも含む。
まず、パラメータの同定を行いたい対象物の数理モデル(以下「対象物モデル」という。)を作成する。対象物モデルは、非線形要素を含むモデルであってもよいし、非線形要素を含まない線形要素のみのモデルであってもよい。また、対象物モデルは、例えば、制御の対象とされる制御対象のみをモデル化したものであってもよいし、制御系までも含めたモデルとされていてもよい。対象物の一例として、ロボット等の機械系や、水中航走体等の移動体が挙げられるが、本発明の適用先はこのようなものに限定されず、パラメータ同定が必要となる構造物に広く適用することが可能である。
ここで、対象物モデルは、式の構造は同じで、パラメータにのみ誤差があると仮定する。すなわち、本実施形態では、この条件下においてパラメータを同定する。
ΔP=P−Pm (4)
この第2評価関数は、第1評価関数をパラメータ誤差の観点から捉えて表現したものであり、対象物モデルに含まれる各パラメータ誤差の関数として表される。
第1評価関数と、第2評価関数とは同じものを違う観点から表現したものなので、第1評価関数の出力値と第2評価関数の出力値とは等価であるとおくことができる。すなわち、第1評価関数の出力値と第2評価関数の出力値との差がゼロとなるような各パラメータ誤差の値を推定すればよい。
例えば、対象物モデルのパラメータを一つずつ個別に微小変化させたときの対象物モデル(以下「パラメータ変更モデル」という。)を生成し、そのパラメータ変更モデルに入力信号Uを与えたときの応答信号をそれぞれシミュレーションによって得る。そして、各パラメータ変更モデルの各応答信号と実機応答信号とから各パラメータ変更モデルに対応する応答誤差を算出し、算出した応答誤差を用いてパラメータ変更モデル毎に各第1評価関数の出力値を演算し、これらパラメータ変更モデル毎の第1評価関数の出力値と、対象物モデルの第1評価関数の出力値とを用いて、上記第2評価関数に含まれる各パラメータに対応する微係数(ΔJ1/ΔP1〜ΔJr/ΔPn)を算出する。
例えば、上記(8)式における微係数は、以下の(9)式で表される。
δPV=(δP1,δP2,・・・δPn)T
JV=(J1,J2,・・・Jr)T
モデル更新部26は、パラメータ補正部25によって補正された新たな各パラメータを用いることにより、対象物モデルを更新する。
判定部27は、更新後の対象物モデルに所定の入力信号を与えたときの応答信号を得、応答信号と対象物10の実機の応答である実機応答信号との応答誤差に基づく評価値が予め設定されている許容範囲内であるか否かを判定する。例えば、更新後の対象物モデルの応答信号と実機応答信号との応答誤差を用いて算出した各第1評価関数J1〜Jrの出力値がそれぞれ評価関数毎に設定された所定の許容範囲内にあるか否かを判定する。
この結果、例えば、評価関数の出力値が許容範囲内にない評価関数が一つでも存在した場合には、現在のパラメータに含まれているパラメータ誤差が大きいと判断し、パラメータ同定装置1は、更新後の対象モデルを用いて再度パラメータの同定を行う。なお、この判定基準は、対象物モデルに求められる精度に応じて適宜設定することが可能である。
なお、図4、図5に示したパラメータ同定方法の手順は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。また、複数の処理を平行して行うこととしてもよい。
次に、対象物の実機に入力信号Uを与えたときの応答信号X_0(t)と、応答信号Xm_0(t)との差分である応答誤差ΔX_0(t)を算出する(SA2)。
続いて、応答誤差ΔX_0(t)を各第1評価関数J1、J2に与えた時の出力値J1_0、J2_0を演算する(SA3)。
上記応答誤差ΔX_0(t)、出力値J1_0、J2_0は一時的に記憶部20に格納される。
上記応答誤差ΔX_1(t)、出力値J1_1、J2_1は一時的に記憶部20に格納される。
上記応答誤差ΔX_2(t)、出力値J1_2、J2_2は一時的に記憶部20に格納される。
ここで、行列ΔMの各要素は、以下の式によって算出される。
ΔM[1,2]=ΔJ1/ΔP2=[J1_2-J1_0]/ΔP2
ΔM[2,1]=ΔJ2/ΔP1=[J2_1-J2_0]/ΔP1
ΔM[2,2]=ΔJ2/ΔP2=[J2_2-J2_0]/ΔP2
ここで、δPV=(δP1,δP2)T、JV=[J1_0, J2_0]である。
P2e=P2m(0)-k・δP2
続いて、出力値が所定の許容範囲内であるか否かを判定し(SA16)、所定の許容範囲内であれば(SA16:YES)、現在の対象物モデルに用いられている各パラメータの値を確定し(SA17)、本処理を終了する。
10 :対象物
20 :記憶部
21 :シミュレーション部
22 :応答誤差算出部
23 :評価値算出部
24 :パラメータ誤差推定部
25 :パラメータ補正部
26 :モデル更新部
27 :判定部
Claims (6)
- 対象物をモデル化した対象物モデルに所定の入力信号を入力したときの応答信号をシミュレーションするシミュレーション部と、
前記対象物に前記所定の入力信号を入力したときの実機応答信号に対する前記応答信号の応答誤差を算出する応答誤差算出部と、
応答誤差の関数として表された複数の異なる第1評価関数に対して、前記応答誤差算出部によって演算された前記応答誤差を与えることにより、各前記第1評価関数の出力値を演算する評価値算出部と、
前記第1評価関数を前記対象物モデルに含まれる各パラメータ誤差の関数として表した第2評価関数を用いて、前記第1評価関数の出力値と前記第2評価関数の出力値との差分がゼロとなるような各前記パラメータ誤差の値を推定するパラメータ誤差推定部と、
前記パラメータ誤差推定部によって推定された各前記パラメータ誤差の値を用いて、前記対象物モデルに含まれる各パラメータの値を補正するパラメータ補正部と
を具備するパラメータ同定装置。 - 各前記第2評価関数は、各前記パラメータ誤差を微小とし、前記対象物モデルのパラメータ群周りの微小変化をテイラー展開した関数として表され、
前記シミュレーション部は、前記対象物モデルの各前記パラメータを一つずつ微小変化させた複数のパラメータ変更モデルに対して、前記所定の入力信号をそれぞれ与えたときの応答信号をそれぞれ演算し、
前記応答誤差算出部は、各前記パラメータ変更モデルの前記応答信号と前記実機応答信号とから各前記パラメータ変更モデルに対応する応答誤差を算出し、
評価値算出部は、各前記パラメータ変更モデルの前記応答誤差を用いて、前記パラメータ変更モデル毎に各前記第1評価関数の出力値を演算し、
前記パラメータ誤差推定部は、前記パラメータ変更モデル毎の前記第1評価関数の出力値と、前記対象物モデルの前記第1評価関数の出力値とを用いて、前記テイラー展開された各前記第2評価関数に含まれる各パラメータに対応する微係数を算出し、各前記パラメータ誤差を推定する請求項1に記載のパラメータ同定装置。 - 前記パラメータ補正部によって補正された各前記パラメータを用いることにより前記対象物モデルを更新するモデル更新部と、
更新後の前記対象物モデルに前記所定の入力信号を与えたときの応答信号を得、前記応答信号と前記実機応答信号との応答誤差に基づく評価値が予め設定されている許容範囲内であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記評価値が前記許容範囲内でないと判定された場合に、更新後の対象物モデルを用いた前記パラメータ誤差の算出を再度行う請求項1から3のいずれかに記載のパラメータ同定装置。 - コンピュータが、
対象物をモデル化した対象物モデルに所定の入力信号を入力したときの応答信号をシミュレーションするシミュレーション工程と、
前記対象物に前記所定の入力信号を入力したときの実機応答信号に対する前記応答信号の応答誤差を算出する応答誤差算出工程と、
応答誤差の関数として表された複数の異なる第1評価関数に対して、前記応答誤差算出工程において演算された前記応答誤差を与えることにより、各前記第1評価関数の出力値を演算する評価値演算工程と、
前記第1評価関数を前記対象物モデルに含まれる各パラメータ誤差の関数として表した第2評価関数を用いて、前記第1評価関数の出力値と前記第2評価関数の出力値との差分がゼロとなるような各前記パラメータ誤差の値を推定するパラメータ誤差推定工程と、
前記パラメータ誤差推定工程において推定された各前記パラメータ誤差の値を用いて、前記対象物モデルに含まれる各パラメータの値を補正するパラメータ補正工程と
を実行するパラメータ同定方法。 - 対象物をモデル化した対象物モデルに所定の入力信号を入力したときの応答信号をシミュレーションするシミュレーション処理と、
前記対象物に前記所定の入力信号を入力したときの実機応答信号に対する前記応答信号の応答誤差を算出する応答誤差算出処理と、
応答誤差の関数として表された複数の異なる第1評価関数に対して、前記応答誤差算出処理によって演算された前記応答誤差を与えることにより、各前記第1評価関数の出力値を演算する評価値演算処理と、
前記第1評価関数を前記対象物モデルに含まれる各パラメータ誤差の関数として表した第2評価関数を用いて、前記第1評価関数の出力値と前記第2評価関数の出力値との差がゼロとなるような各前記パラメータ誤差の値を推定するパラメータ誤差推定処理と、
前記パラメータ誤差推定処理において推定された各前記パラメータ誤差の値を用いて、前記対象物モデルに含まれる各パラメータの値を補正するパラメータ補正処理と
をコンピュータに実行させるためのパラメータ同定プログラム。
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