JP2019164153A - 熱電子管検査器 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱電子管性能を定期的に検査するための熱電子管検査器を提供する。
【解決手段】熱電子管の電極と接続する管電極端子を有する管用ソケット、熱電子管検査器に唯一の外部DC電源を提供するために外部低電圧DC電源に接続する単一の電源端子14、単一の電源端子に接続され、管用ソケットの管電極端子との切換可能な接続部を有する第1電圧レギュレータであり、異なる所定の管電極電圧を供給する第1電圧レギュレータ、第1電圧レギュレータの管電極端子との接続を制御し、熱電子管の電流フローをモニタリングするコントローラ、熱電子管に対する検査結果を表示するためのコントローラと通信するディスプレイを備える熱電子管検査器であり、コントローラは状態値を計算し、状態値をディスプレイに表示させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱電子管を検査する装置に関する。特に、本発明は、それだけに限らず、ベースギターを含むエレキギター等の、しかしこれらに限定されないが、楽器のアナログアンプを含む、オーディオアンプシステムで使用される熱電子管を検査する装置に関する。
音声信号を増幅するための固体技術が進歩しているが、専門家の間では、真空管で電子の流れを制御することで増幅を得られる熱電素子の実装に対する需要が依然として存在する。パワー管は、比較的小さな制御グリッド信号に対して、陽極で大きな電流の変動を発生させるように最適化され、この大きな出力電流が、スピーカを整合トランスを通して駆動するのに使用される。かかる熱電素子は、通常、管(valve(英国英語))又は管(tube(米国英語))と呼ばれており、本明細書では、熱電子管と呼ぶ。高品質なオーディオアンプで最適な性能を得るのに、3個、4個、5個以上のアクティブ電極を有する熱電子管が使用されることがある。
ギターアンプに関して、熱電子管が、推奨動作条件を遥かに超えると、オーバードライブになることは、常識となっている。これが、総合的な音楽的効果を高めるとして利用される音声信号の歪みを齎し;アンプシステムは、事実上、楽器の一部となっている。熱電子管の特定の動作条件を、一時的に超えた場合でも、熱電子管は極めて耐性があるものの、熱電子管は、「破損」する可能性があり、熱電子管を、ギターアンプの正常動作条件まで及び正常動作条件を超えて駆動した結果、熱電子管は、急速に劣化し、寿命が短くなることがある。
一般的に、管アンプは、クラスA−Bと呼ばれる状態で操作される。熱電子管のクラスAモード操作は、管の制御グリッドに適用されるバイアス信号に関係し、電極は、陰極と陽極の間に配置され、その結果、管は、入力される音声信号の正負両方の半周期に対応する。クラスBモードでは、管対が使用され、一方の管が、入力音声信号の正半周期に対応し、他方の共働管が、負半周期に対応する。クラスA/Bモードは、クラスAの直線性とクラスBの省電力性との間の折衷モードである。
クラスBモード及びクラスA/Bモードでは、管対が分裂信号の各半分を、全く同量だけ増幅することが重要であるが、というのも、これは、増幅後に最終再構築信号の質に多大な影響を与えるためである。また、如何なる不均衡も、正味のDC電流を出力トランス一次巻線に流入させ、スピーカへの出力信号の歪みや、トランスコアの飽和による音声出力パワーの低下を引起すため、管対の各管の電流は、厳密に同じにされるべきである。管対は、製造直後に組合されることができるが、管は、振動の結果、寿命中、各動作間で異なる早さで悪化するかも知れない。
全ての熱電子管回路に関する重要な特徴は、そのバイアスである。管の制御グリッドに印加される負の電圧は、陽極と陰極との間に流れる電流を限定する又は妨げる。そうした管の制御グリッドに印加される負の電圧は、バイアス信号と呼ばれ、音声信号がないという条件下、さもなければ静止条件と呼ばれる条件下で流れる電流量を制御するのに使用される。クラスA/Bモードでは、比較的少量のDC電流が、各管に流れて、静止条件で、増幅された信号の歪みを低レベルに抑制できる。流れることができる静止電流は、最適な動作条件を維持するのに重要であり:電流が多すぎると、高周波歪みが発生し、陽極における放熱が増大し、音声出力パワーが低下し、管の動作寿命が短くなる。また、電流が少なすぎても、高周波歪みが発生し、極端な条件下では、陰極汚染として知られる状態を発生する可能性があり、陰極汚染も、管の有効動作寿命を短くする。
2種類の伝統的なバイアス方法:陰極又は自動バイアス及び固定バイアスが存在する。固定バイアスは、高出力アンプ及びギターアンプで好適な方法となる傾向がある。固定バイアスでは、外部の負電源が、アンプの管の各制御グリッドに接続され、負電源は、トリマ抵抗器を使用して、手動で調整される。普通、外部の負電源は、アンプの複数の管に共通なため、同じ手動の調整が、各管に対して適用される。通常、バイアスの最適レベルは、アンプが最初に製造されたる際にまず決定される。
英国特許第2462368号では、管の寿命中に、管の最適な性能を維持するために、熱電子管の制御グリッドに印加されるバイアス信号のレベルを定期的に調整する方法及び装置について記載されている。同方法では、静止条件時に管の陰極と陽極との間の出力電流を測定すること;測定電流を、好適な電流値と比較すること;及び測定出力電流を、好適な出力値に一致するまで調整するために、グリッドバイアス電圧を調整することを含む。しかしながら、同文献に記載された方法及び装置は、熱電子管の検査は提供せず、最適性能を維持するために、管の制御グリッドへのバイアス信号を調整することのみを提供している。
英国特許第481601号では、熱電子管に適する従来の検査、及びかかる検査を実行するための検査器について記載している。検査器は、ソケットのアレイ及び一連のカードを、各カードに、異なる配列で穴を開けた状態で有する。各穴は、検査器の個別のソケットと一致し、このようにして、各カードは、特定の検査用の異なる一連のソケットへのアクセスを提供し、当該特定の検査に不要な他のソケットへのアクセスを妨げる。
英国特許第480752号、英国特許第620757号、米国特許第2092896号、米国特許第2926302号、及び米国特許第3202911号では、管を検査する方法及び装置について、記載されている。何れの場合も、装置は、標準的なAC電源を必要とし、異なるタッピングポイントを有する複数のトランスの二次巻線の形をした、一連のレギュレータバルブを利用して、管検査に必要な多様なDC電圧を供給する。使用中、例えばコンサート中のステージで、パワー管が故障することに関連する重大なリスクがあり、熱電子管の劣化又は損傷は、必ずしも管がアンプの使用中に、聞き取れるとは限らない。しかしながら、熱電子管の劣化や損傷を検査するのは、能力のある専門家やオーディオ技術者に限定される傾向がある。従って、熱電子管性能を定期的に検査するための、簡単且つ便利な方法を提供することに対するニーズが存在する。
本発明の第1態様によれば、熱電子管の電極と接続するよう構成された複数の管電極端子を有する少なくとも1つの管用ソケット;
外部電源に接続するよう構成された単一の給電用ソケット;
管用ソケットの少なくとも1つの管電極端子との切換可能な接続部を有する第1電圧レギュレータであって、少なくとも2つの異なる所定の管電極電圧を供給するよう構成された第1電圧レギュレータ;
第1電圧レギュレータの少なくとも1つの管電極端子との接続を制御し、管用ソケットに取付けられた熱電子管の電流フローをモニタリングするコントローラ;及び
熱電子管に対する検査結果を表示するための、コントローラと通信するディスプレイを備える熱電子管検査器であって、
電源端子は、外部の低電圧DC電源に接続するよう構成される、熱電子管検査器が提供される。
理想的には、検査装置は、管用ソケットの少なくとも1つの管電極端子との切換可能な接続部を有する第2電圧レギュレータを更に備え、単一の給電用ソケットは、第1及び第2電圧レギュレータの両方に給電する。
好適実施例では、第1電圧レギュレータは、トランジスタを含む切換られた電圧レギュレータであり、コントローラは、第1電圧レギュレータによって少なくとも1つの管電極端子に供給される電圧を変更するために、トランジスタのパルス幅を制御するよう構成される。また、第1電圧レギュレータは、パルスHT電圧を管陽極端子に供給するよう構成されてもよく、コントローラは、パルスHT電圧に応じて熱電子管における電流フローをモニタリングするよう構成されてもよく、電流フローは、管陰極の熱電子放出を表す。これにより、効率的且つ極めて制御可能に、リニアレギュレータに共通する、効率、大きさ、重さが劣るという短所もなく、管電極に給電可能となり、その結果管検査器が容易に携帯可能になる。
好適には、第2電圧レギュレータは、管用ソケットの管ヒータ端子との切換可能な接続部を有し、第2の切換られた電圧レギュレータは、トランジスタを有し、コントローラは、トランジスタのパルス幅を制御するよう、及び第2電圧レギュレータから管ヒータ端子への電流フローをモニタリングするよう構成され、コントローラは、管ヒータにおける短絡を表す、管ヒータ端子への高電流フローがコントローラによって検出されると、第2の切換られた電圧レギュレータから管ヒータ端子への電流供給を遮断するよう更に構成される。これにより、効率的且つ極めて制御可能に、リニアレギュレータに共通する、効率、大きさ、重さが劣るという短所もなく、管ヒータに給電可能となる。
特に好適な実施形態では、コントローラは、タイマを更に含み、コントローラは、短絡を表す高電流フローが検出された後に、管ヒータ端子への電流供給の遮断を、所定期間遅延するよう構成される。このように、ヒータにおける短絡に関する検査結果が誤りとなるのを回避するために、ヒータが始動する際の高い突入電流ついて、管検査器によって対応されることができる。
管検査器は、メモリを更に備えてもよく、該メモリには:複数の異なる管検査が保存され、各保存された管検査は、管電極に対する電圧設定を含み;コントローラは、メモリから少なくとも1つの管検査にアクセスして、第1電圧レギュレータに、管検査の電圧設定に従い電圧を電極端子に供給させるよう構成される。また、メモリは、1つ又は複数の管検査に応じて熱電子管の1つ又は複数の期待性能特性をメモリ内に保存しておいてもよく、コントローラは、検査対象の熱電子管の性能をモニタリングし;モニタリングされた性能と、保存された期待性能特性とを比較し;比較の結果を出力するよう更に構成されてもよい。この実施形態では、従来の管検査器で要求される技術知識のレベルに達しない者でも、安全且つ使い易い管検査器が、提供される。
コントローラは、状態値を計算し、該状態値をディスプレイによって表示させるよう更に構成されてもよく、状態値は、1つ又は複数の管検査に応じてモニタリングされた管の性能と、保存された期待性能特性との差に基づく。理想的には、状態値は、同じ種類の2つの管が、各管が同じ状態値を有する場合に、一致することを表す。よって、管検査器により、ユーザが専門の技術知識が全くなくても、同じ種類の管を照合可能になる。
コントローラは、理想的には、プログラムメモリに保存されたプログラムされた命令を実行するよう構成されたプロセッサの形にする。従って、様々な管検査が、個々の管種類用に最適化された1つ又は複数のアルゴリズムとして、電力消費量を抑制するために保存されてもよい。
別の態様では、本発明は、管検査器を使用して熱電子管を検査する方法であって、該方法は:
管検査器の単一電源端子を低電圧DC電源に接続するステップ;管検査器の管用ソケットにある電極端子に熱電子管のピンを接続するステップ;
第1電圧レギュレータから少なくとも1つの電極端子に、低圧DC電源とは異なる第1電圧を供給した後に、第1電圧レギュレータから少なくとも1つの電極端子に、第1電圧と低電圧DC電源両方とは異なる第2電圧を供給するステップ;
熱電子管における電流フローをモニタリングするステップ;及び
検査の結果を表示するステップを備える方法を提供する。
好適には、電力は、電源端子から第1電圧レギュレータに、及び第2電圧レギュレータに供給され、方法は、第2電圧レギュレータから少なくとも1つの電極端子に、低電圧DC電源、第1及び第2電圧とは異なる第3電圧を供給することを更に備える。
特に好適な実施形態では、第1電圧を少なくとも1つの電極端子に供給した後、第2電圧を少なくとも1つの電極端子に供給するステップは、切換られた電圧レギュレータのトランジスタのパルス幅を制御することによって、切換られた電圧レギュレータを、調整することを備える。
この特に好適な方法は、パルスHT電圧を管陽極端子に供給し、パルスHT電圧に応じて熱電子管における電流フローをモニタリングすることを更に備えてもよく、電流フローは、管陰極の熱電子放出を表す。
好適には、本方法は、第2の切換られた電圧レギュレータを使用して、管用ソケットの管ヒータ端子に電圧を供給すること、第2の切換られた電圧レギュレータから管ヒータ端子への電流フローをモニタリングすること、及び管ヒータにおける短絡を表す管ヒータ端子への高電流フローが検出されると、第2の切換られた電圧レギュレータのトランジスタのパルス幅を調整することによって、第2の切換られた電圧レギュレータから管ヒータへの電流供給を遮断することを更に備える。理想的には、管ヒータ端子への電流供給を遮断することは、短絡を表す高電流フローが検出された後、所定期間、遅延される。
また、本方法は、好適には、データ記憶装置から、管電極に対する電圧設定を其々に含んで保存された1つ又は複数の管検査にアクセスすること、及び管検査の電圧設定に応じた電圧を、電極端子に供給することを備える。また、検査対象の熱電子管の性能が、モニタリングされてもよく、モニタリングされた性能は、データ記憶装置に保存された期待性能特性と比較されて、比較の結果が、出力されてもよい。管検査の一群に関して、比較の結果は、故障、破損又は良好の1つとされもよい。
また、本方法は、状態値を決定すること、及び状態値を管検査器のディスプレイ上に表示させることを更に備えてもよく、状態値は、1つ又は複数の管検査に応じてモニタリングされた管の性能と、保存された期待性能特性との差に基づき、理想的には、状態値は、同じ種類の2つの管が、各管が同じ状態値を有する場合に、一致することを表す。
本書では、「低電圧」と呼ばれるものは、好適には、10〜48Vの電源電圧を指すものと理解される。理想的には、電源コネクタは、汎用AC入力電圧、典型的には、ラップトップやネットブック電源、例えば19VのDC電源リードに現在使用されているものだが、これらに限定されない電圧に適合される従来の低圧電源リードに接続するよう構成される。或いは、低圧電源は、携帯可能なバッテリ電源の形であってもよい。例えば、管検査器は、約1時間、6個の3.7V充電池のみを使用して、管を検査できる。
このように、単純で使い易く、能力がある専門家やオーディオ技術者以外の人々でも、定期的に管性能をモニタリング可能にする、熱電子管を検査する方法及び装置が、提供される。管検査器は、嵩張る電源トランスを使用せずに済み、その結果、上述したような、低電源だけを必要とする、小型で、携帯可能又はコンパクトなユニットになる。従って、管検査器は、低圧電源リードが概して汎用電圧入力部を有するため、世界中で容易に使用されることができる。また、バッテリパックが管検査器を動かすのに使用される場合、主電源が使用できない状況、例えば野外コンサート会場等でも使用されることができる。
次に、本発明について、添付図を例示目的のみで参照して、説明される。
本発明による熱電子管を検査する装置を示す。 図1の装置の電気回路の一部に関する略図である。 図1の装置のコントローラのデータポートに関する略図である。 (a)と(b)は図2の電圧レギュレータに関する略図である。
熱電子管を検査する装置10が、図1に示されている。検査装置10は、好適には、アルミニウムに限定されないが、アルミニウム等の軽量材料で形成されるケーシング11、及び複数の管用ソケット12(図1では、3つ示されている)を含み、各管用ソケット12は、熱電子管の電極ピンを受容するよう構成され、該電極ピンと接続するための端子を有する。各管用ソケット12は、異なる種類の熱電子管に対応するために、異なる配列のピンホールを有する。例えば、第1ソケット12aは、8ピンソケットで、パワー管に接続するよう構成されているのに対し、第2ソケット12bは、9ピンソケットで、中出力のEL84管に接続するように構成されており、第3ソケット12cは、9ピンソケットだが、プリアンプ管と接続するように構成されている。このように、図1に示された3つの管用ソケットは、現在音楽用増幅装置で使用されている熱電子管の殆どと接続可能である。また、ソケットアダプタ(図示せず)は、検査装置10を使用して検査できる管の範囲を更に広げるのに、使用されることができる。3つのソケットが図1で示されているが、当然ながら、検査装置10は、所望に応じて、それより少ない(例えば、1又は2つのソケット)、又はそれより多くの管用ソケットを有してもよい。また、図1の検査装置は、3つの異なる管用ソケットを有して示されているが、検査装置10が複数の同じソケットを有して、同じ種類の複数の管を同時に検査可能にすることも考えられる。
検査装置10は、ディスプレイ13、低電圧DC電源リード15に接続するよう構成され、電力を管検査器の全構成要素に電力を供給する、単一の給電用ソケット又は端子14、及び押釦スイッチである複数のユーザコントロール16(図3では、3つ示されている)を、更に含む。勿論、或いはロッカースイッチ及び他の従来型のユーザコントロールが、使用されてもよい。図1に示されたユーザコントロール16は、中央の「選択/開始」ボタンを、該中央ボタンの両側に、左及び右方向ボタンと共に備える。ユーザコントロールボタンの別の配置、及び他のユーザコントロールの機能も、検査装置10に関して考えられる。
図1から分かるように、ケーシング1 1は、2つの立壁又は脚17、18を形成すると共に、検査装置の帯部は、2枚のケーシング壁17、18間に橋架している。電子機器のハウジング19は、帯部の下に取り付けられ、検査装置10が静置されるものの表面上から離隔して、ケーシング壁17、18によって支持される。これにより、電子機器ハウジング19の周りで空気が自由に流通可能になる。この配置は、ハウジング19内で電子機器が過熱するのを防ぐのを助け、且つ電子機器ハウジング19で衝突から保護できる。好適には、電子機器ハウジング19は、EMC作用を抑制するために、鉄鋼等の金属材料から形成される。検査装置10は、片手又は両手で簡単に保持でき、人手で持ち運び可能な大きさにする。
図1で示された検査装置では、ディスプレイ13は、LEDから成る。一列に配置された15個のLED13a及び3個のLED13bから成る別の群が、図1には示されている。しかし、当然ながら、LEDの正確な数やLEDの配置は、重要ではなく、より少ない又は多いLEDで、異なるLEDの配置が、ディスプレイ13に採用されてもよい。検査装置10の管用ソケット12は、複数の異なる管を収容可能な場合、個々の管名又はコード(図示せず)が、帯部上に、LED13aの列の各LEDと並べて印刷されてもよい。
一連の番号13cは、図示されたように、LEDの列に、異なる番号が各LED13aに割り当てられて、付随している。LEDは、検査される管の状態値を示すのに使用される(以下で更に詳細に説明するように)。この状態値は、管を、同じ状態値を有する別の管と一致させるのに使用されることができる。また、LEDディスプレイ13は、例えば、双三極管の2部分其々が一致するか否かを示すこともできる。3状態を示すLED 13bの別の群は、検査される管が:i)故障;ii)破損;iii)良好な状態か否かを示すために、使用される。また、管の状態を示すのに使用されるLED13bは、異なる色、例えば、故障には赤、破損状態にはオレンジ、良好な状態には緑を有してもよい。或いはまた、3状態LEDは、省略されてもよく、LED13aの列が、更に管の状態を示すのに使用されてもよい。例えば、若い番号(例えば、1又は2)の1つが割り当てられたLEDが、故障した管を示すのに使用されてもよく;老番(例えば、7〜15)が割り当てられた1個又は複数のLEDが、良好な状態の管を示すのに使用されてもよく;及び、列の中間にある番号(例えば、3〜6)が割り当てられた1個又は複数のLEDが、破損した管を示すのに使用されてもよい。図1に示された検査装置10は、LEDを使用して、管検査の結果を伝えるが、別のディスプレイ手段も、検査の結果を示すことも考えられる。そうした別のディスプレイ手段は、1つ又は複数のアナログメータディスプレイ又は液晶ディスプレイ画面等を含むが、これらに限定されない。
検査装置10の電子機器ハウジング19内には、2枚の回路基板が重ねて実装されている。上側の回路基板は、ユーザコントロール、LED及び管用ソケットを有する、又はユーザコントロール、LED及び管用ソケットと接続しているのに対して、下側の回路基板は、全ての回路100(図2乃至図4を参照して、更に詳細に後述する)を有している。
図2に示されているように、回路100は、給電を円滑に行うための給電用ソケット14に接続されるフィルタ101を有する。フィルタ101の出力は、3つの電圧レギュレータ102、103、104に接続され、スイッチ105、106が、これらの電圧レギュレータを互いに離隔するために、3つの電圧レギュレータの内2つの入力側に設けられる。
また、各電圧レギュレータ102、103、104は、電流リミッタ(図2では図示せず)も含む。電圧レギュレータは、リニア電圧レギュレータでなく、その代わりにスイッチング型の電圧レギュレータである。
第1電圧レギュレータ102(図4aを参照して、更に説明される)は、管用ソケット12aのヒータ端子107に接続される。レギュレータ102は、入力DC電圧源を、熱電子管のヒータ/加熱用フィラメントに必要な電圧に変換する。通常、レギュレータ102は、入力DC電圧を、管の種類及び管のヒータ電圧要求に応じて、4V〜12.6Vに変換する。
電圧レギュレータ103は、検査手順中、特定の検査に必要な負のバイアス電圧(通常、−85V)を発生させるのに使用される。第2電圧レギュレータ103の出力は、管用ソケット12aのスイッチ陽極端子108、スクリーングリッド端子109及び陰極端子110に、其々スイッチS1、S2、S3を介して接続される。また、電圧レギュレータ103の出力は、グリッドバイアス調整部112を介して、管用ソケット12aの制御グリッド端子111に接続される。
第3電圧レギュレータ104は、調整可能な高電圧DCジェネレータ(HTジェネレータ)であり、該ジェネレータは、スイッチS1とS2を介して、其々、管用ソケット12aの陽極端子108とスクリーングリッド端子109に接続される。第3電圧レギュレータ104は、入力電源を、通常+100V〜+400Vの範囲の出力電源に変換するが、詳細については、図4bを参照して説明される。
通常1の低抵抗器113は、管用ソケット12aの陰極端子110とアースとの間に接続され、線114は、管用ソケット12aに取付けられた管を通過する電流に応じて、抵抗器で電圧を、タップオフする。コントローラ115(図3を参照)は、線114に接続され、管検査中、線114の電圧をモニタリングする。
図3に示されたコントローラ115は、プログラム制御に応じてデジタル信号を処理するプログラム可能なマイクロプロセッサである。好適実施形態では、コントローラ115は、PIC(peripheral interface controller)プロセッサとして実装され、複数の入力ポート、複数の出力ポート、及び内部の不揮発性データ記憶装置115aを有する。コントローラ115によって使用される不揮発性記憶装置の一例として、E2PROM (electrically erasable programmable read only memory )がある。或いは、他の形の外部の不揮発性データ記憶装置が適宜使用されてもよく、外部の不揮発性データ及びプログラム記憶装置が挙げられる。図3では、コントローラ115は、3つの入力ポート116を、検査装置10の各管用ソケット12用に1つずつ、有する。コントローラ115の更なる入力ポートとしては、どの管用ソケットが使用中かや、どの管用ソケットが該ソケットに管を接続しているかについてのデータを受信するポート、及びユーザコントロール16からデータを受信するポートが挙げられる。コントローラ115の出力ポートの1つは、どのLEDを点灯するかを選択するために、ディスプレイ13と通信する。
コントローラ115の入力ポート116の1つは、入力ポート116の電圧入力(K1)が、管用ソケット12aにある管の陰極電流を表すように線114に接続される。他の入力ポート116は其々、同様に、異なる管用ソケットに関連する電圧線に接続される。また、各入力ポート116は、入力アナログ信号のA/D変換がプログラム制御下で実行されるように、各増幅及び緩衝用回路(amplifying and buffering circuit)(図示せず)を含む。
コントローラ115の出力ポート117、118、119は、其々スイッチS1、S2、S3にデジタル制御信号を供給し、出力ポート120、121、122は、其々3つの電圧レギュレータ102、103、104にデジタル制御信号を供給する。更なるし出力ポート123は、グリッドバイアス調整部112と通信する。また、電圧レギュレータ102、103、104其々からの電圧信号も、コントローラ115に入力され、入力ポート116と同様に、其々増幅及び緩衝用回路(図示せず)が入力されたアナログ信号をデジタルに変換するために、使用される。
従来の管検査機器とは対照的に、検査装置10は、異なる管検査に必要な様々な電圧を設定するリニアレギュレータを使用しない。代わりに、図4a及び図4bで示されるような、バックコンバータ及びブーストコンバータが、電圧レギュレータ102及び104に其々使用される。バックコンバータ102は、コンデンサC1から成り、該コンデンサは、低電圧電源15に接続され、次に管ヒータ107に接続される。マイクロプロセッサ115によって制御されるトランジスタFET1は、管ヒータ107に供給される電力を制御するために、電圧リミッタとして使用される。コントローラ115は、抵抗器R1で管ヒータ107における短絡の可能性についてモニタリングする。バックコンバータ102は、低電圧電源を、従来の管ヒータに必要な標準的な電圧である4V〜12.6Vに下げる。
熱電子管ヒータの場合、ヒータ107が初め冷めている時に、突入電流が発生することがあり、これが、R1の高電流をモニタリングしているコントローラ115には、ヒータが短絡したかのように見えることが知られている。そのために、コントローラ115は、初期電流を制限するように、トランジスタFET1のパルス幅を調整するようにプログラムされ、そうした調整をした上でも、高電流が検出された場合は、この初期の高電流は、突入電流であると推測される。従って、コントローラ115は、タイマ(図示せず)を含み、コントローラ115は、短絡が検出されても、所定期間は、電流がヒータ107に供給され続けるようにプログラムされる。検出された短絡が、所定期間で消えるなら、一時的な短絡は無視される。これにより、ヒータにおける短絡に関して検査結果が誤りとなる危険性を避けられる。しかしながら、所定期間の終わりにも依然として短絡状態である場合、管は、ヒータ検査に不合格と見なされ、プロセッサ115は、ヒータ107に供給された電流を引き戻すために、トランジスタFET1のパルス幅を調整するようにプログラムされる。
上述したように、電圧レギュレータ104は、ブーストコンバータであり、コンデンサC2から成り、該コンデンサは、低電圧電源15に接続され、トランジスタFET2、及び抵抗分圧器R2、R3と並列接続される。トランジスタFET2のパルス幅は、コンデンサC2に蓄えられるエネルギを増大するために、トランジスタFET2がダイオードポンプとして機能するように、マイクロプロセッサ115によって制御される。コンデンサC2の出力は、抵抗分圧器R2、R3を使用して、コントローラ115によってモニタリングされ、それにより抵抗分圧器を通る電圧が低下した場合に、トランジスタFET2のパルス幅を調整して対応できるようにする。このブーストコンバータ104は、19Vの低圧電源を選択された高電圧、400V以下まで増大させるように、構成される。
任意には、電圧レギュレータ103も、ブーストコンバータ104と同様なブーストコンバータとするが、ダイオードが逆方向に接続された状態にする。電圧レギュレータ103は、好適には、−85Vの固定された負バイアス電圧を提供するが、或いは、可変の負バイアスを、マイクロプロセッサ115の制御下で提供することもできる。
本明細書では、検査装置回路の全要素を制御するマイクロプロセッサ115について言及している。しかしながら、電圧レギュレータは、一次コントローラ115と通信する別々の専用プロセッサによって制御されてもよいことも、考えられる。
検査装置10は、管が正常なパラメータ内で作動しているか否かを評価するために、熱電子管について一連の検査を実行するように構成される。検査装置10には、管の性能基準及び全ての必要な検査設定事項が、マイクロプロセッサ115のメモリ115aに保存されている。これにより確実に、検査装置10は、従来の管検査機器で要求される技術知識が不足する者でも、完全に自動化されて使用可能になる。検査装置10は、熱電子管の状態を検査するため、及び管の性能を検査するために、広範囲の検査を実行するようにプログラムされる。検査は、例えば、アンプにおける実際の動作条件を模倣するように設計されているが、従来の管検査機器より遥かに低い電力消費量を伴う。これにより、検査装置10が、例えば、10V〜48Vといった低いDC電圧電源でも使用可能となる、又は、例えば其々3.7Vを供給する6個の充電池といった電池電源で十分に、約1時間管検査を行える。使用時、約20検査の完全なセットが、約2分で検査装置によって実行されることができる。しかしながら、コントローラ115は、タイマを使用して、検査が完了した後、所定の短期間、例えば30秒〜1分だけ、検査結果の表示を遅らせるようにプログラムされる。この遅れは、検査された管に若干冷める時間を与えるために使用される。これにより確実に、表示されている検査結果に基づいて、検査装置10のユーザが管をソケット12aから外そうとする意識が働く場合、管は、安全に扱われることができる。
使用中、管は、対応するソケット12aに挿入される。ソケットが1種類以上の管を受容するよう構成されている場合、ディスプレイ13のLEDの1つが点灯し、その後、ユーザは、左及び右手方向のボタン16を使用して、当該特定の管の管名と一致するLEDが点灯されるまで、点灯されるLEDを(左又は右に照明を移動させて)変更する。その後、ユーザは、中央のボタン16を押して検査を開始する。
検査装置10によって実行される検査は、英国特許第481601号に記載されたものと同様な検査を含むが、該特許の内容は、参照として本明細書に組込まれる。検査装置10によって実行される初期状態の検査は、以下の1つ又は複数を含むが、それに限定されない:
高電圧破壊。これは、機械的な短絡による管の電極間のアーク放電(「フラッシュオーバ」)について検査する。アーク放電は、低抵抗経路が絶縁性保持部を横断する結果、漏電がある際に、又は空気又は他の気体分子が、真空容器内に存在し、高電圧の存在下でイオン化される際に、発生することがある。アーク放電は、アンプへの重大な損傷の原因となることがある深刻な故障モードである。
フィラメントの導通。これは、加熱フィラメントの電気回路における破壊について検査するが、該破壊によって、殆ど又は全く管陰極による熱電子の放出が無くなる。
フィラメントの過電流。これは、加熱フィラメントの部分が、接触しているか否かをチェックするが、該接触により、抵抗経路を効果的に短縮し、熱出力を少なくできる。
ヒータ〜陰極の絶縁破壊。これは、加熱フィラメントと陰極電極との間の短絡又は低抵抗経路について検査する。
陰極〜制御グリッド(g1)の破壊。これは、陰極電極と制御グリッド電極との間の短絡又は低抵抗経路について検査する。
隣接する電極の破壊。これは、管にある任意の2電極間の短絡又は低抵抗経路又は漏電について検査する。
気体電離検査。
アーク検査は、管ヒータが冷たい状態で実行されるため、検査装置10によって実行される第1検査の1つである。コントローラ115は、電圧レギュレータ104によって管電極に供給される電圧を、約375Vまで上昇させる一方で、管制御グリッドを、最大負電源電圧、例えば−85Vにバイアスする。その後、コントローラ115は、短期間、例えば20秒間、これらの電圧に電極を保つ。フラッシュオーバする管は、取出し可能な全電流を直ぐに引込むため、コントローラ115は、管内の電流フローについてモニタリングできる。電圧レギュレータ104は、トランジスタFET2を用いてコントローラ115の制御下にあるブーストコンバータであるため、電流フローが検出された場合、コントローラ115は、HTコンデンサC2への給電を、トランジスタFET2のパルス幅を調整することによって、遮断できる。その結果、ブーストコンバータ104は、コントローラ115によって電流が規制され、トランジスタFET2を使用して、コントローラ115は、約1秒の反応時間で、管への給電を遮断でき、それにより管の爆発故障の危険を最小限に抑えられる。
如何なる不良状態が初期検査の何れかで検出された場合でも、コントローラ115は、不良をフラグし、検査を中止して、故障警告を、「不良」と関連するLED13bを作動させて、ディスプレイ13によって表示するよう命令する。また、不良に関するデータが、データポート/送信機(図示せず)を介して検査装置10からダウンロードされてもよい。
不良状態が検出されない場合、検査装置10は、シミュレートされた稼動条件下で1つ又は複数の更なる管状態検査を実行し続ける。当該管種類に対する1つ又は複数の状態検査が完了すると、管状態検査の結果が統合されて、管の状態を表す状態値を生成する。異なる種類の管に対して、異なる検査群が実行されるが、これは異なる測定可能な管特性が、異なる種類の管の状態に多少関連しているためである。このように、得られた管状態値は、管に期待される動作を行う能力に関する管の状態についての正確な評価尺度となる。図1で示された検査装置10では、管状態値が、1〜15の値(ディスプレイ13の管状態LED13aの数に相当する)である。管状態値が決定されると、コントローラ115は、状態値に対応するLED13aを点灯させて、管状態検査の結果をディスプレイ13に表示させる(上述した所定期間遅延させて)。当然ながら、管状態値の範囲は、1〜15に限定されず、代わりに異なる範囲の値が、適宜使用されてもよい。
幾つかの管の種類に対しては、管の相互コンダクタンス又は「gm」値が、主要特性となる。gm値は、グリッドバイアス調整部112を使用して測定されるが、グリッドバイアス調整部112については、英国特許第2462368号に詳細に記載されており、該特許は、参照として本明細書に組込まれる。管の相互コンダクタンスを測定するために、管フィラメントが正常な動作温度まで過熱されると、デジタルからアナログへの交換器(DからA)を使用して、グリッドバイアス調整部112によって管制御グリッドg1に供給された電圧は、事前にプログラムされた陰極電流が得られるまで、自動的に僅かずつ増減調整される。事前にプログラムされた陰極電流が達成されると、コントローラ115は、事前にプログラムされた陰極電流に対する電圧D〜A値を保存する。その後、この工程が、第2の異なる事前にプログラムされた陰極電流に関して繰返される(検査中の管の種類に応じて、2つの事前にプログラムされた陰極電流値の差は、通常1mA〜10mA)。第2の事前にプログラムされた陰極電流に到達すると、新たな電圧D〜A値が記録される。音声信号を増幅する際に、どの程度管が良好な状態かを示す評価尺度となる、相互コンダクタンス値が、2電圧D〜A値、及び2つの事前にプログラムされた陰極電流の差を使用して、算出される。その後、算出されたgm値は、当該管に対するメーカーが公表したgm値と比較される。次に、測定されたgm値とメーカーが公表したgm値との差の大きさは、上述したように、管状態値を決定する際に、使用される。
疑いを回避するために、異なる種類の管に関して、gm管検査は、省略されてもよく、異なる検査、即ち当該管の種類の運転要件をより忠実に表す検査が実行されてもよいが、如何なる場合でも、1つ又は複数の検査の結果は、管状態値を決定するために組合され、その後管状態値は、対応するLED13aを照明することによって表示される。そうした検査としては、電圧利得、電力利得及びスクリーングリッドが挙げられるが、それらに限定されない。前述したように、このデータはダウンロードされるか、そうでなければ外部装置に出力してもよい。この情報は、同じ管状態値を有する管と管とを対にすることによって、管を「照合する」のに使用されてもよい。
小さな管の中には、1個のガラス容器内に2つの同じ管を有するものもある。この場合、管の個別な2つの「半体」は、別々に検査され、各半体の状態値が、ディスプレイ13上に表示される。管の2半体が依然として一致している場合、管の両半体が同じ管状態値を有するので、単一のLEDが点灯する。しかしながら、管の2半体が、一致しなくなっている場合、2つの別々なLEDが点灯し、各LEDが管の一方の半体に関する状態値を表すと共に、2つのLEDの距離間隔(即ち、状態値に関する差)で、不一致の程度を表わす。
更なる通常の状態検査としては:管が切れる(turn off)ことを確認するために、各電極に順番に高い負電圧が印加される電極導通の検査;及び確実に管がシミュレートされた最大信号駆動部で最大定格電流を供給できるようにするために、高圧電源を使用する放出検査が挙げられる。従来の管検査器では、放出検査は、出来るだけ強く管を回転させて、管の電流を測定することによって、実行される。しかしながら、この検査は、検査対象の管を損傷又は破壊する危険がある。対照的に、本明細書で記載する検査装置10では、放出検査を実行する際には、パルス高圧電源が使用される。ブーストコンバータ104が、グリッドバイアスを20mA〜60mAに設定した状態で、375Vを管の陽極に供給するために使用される。しかしながら、マイクロプロセッサ115は、陽極への高圧電源が、好適には5〜100ミリ秒の範囲内、例えば20ミリ秒毎にパルス化されるように、トランジスタFET2を制御する。これにより、検査装置10は、検査中に管がオーバーヒートする危険性を回避できる。管内の電流は、従来通りモニタリングされるが、理想的には、結果として得られるパルス電流データの立ち上がりエッジのみが、管状態値を決定する際に使用される。
任意には、検査装置10の各管用ソケット12は、圧電トランスデューサ取付台、又は高周波の機械的振動が印加される他の支持体を含む。そうすることで、アンプスピーカの近くに配置される管への作用をシミュレートし、マイクロホン特性に関して管を検査可能にする。DCパルス又はAC刺激を圧電トランスデューサに与えて、管内の電極を、刺激信号と同期して振動させる。管がマイクロフォニックノイズを発生させる如何なる傾向も、高周波電気信号として、管陽極で検出されるが、該電気信号は、更に増幅され、管状態値に組込まれる又は別の検査結果として出力されることができる。
好適には、様々な管検査が、個々の管種類用に最適化された複数のアルゴリズムとして保存され、電力消費量を最小にするように最適化される。前述したように、各種の管に対するメーカーのパラメータが、検査装置10のマイクロプロセッサ115のメモリに保存される。データポート(図示せず)は、更なる管データ又はメーカーのパラメータに対する変更を、マイクロプロセッサのメモリ115aに追加可能にする。また、データポートは、分析ツールとして、管性能を追跡する曲線等のより詳細な管性能データを出力するために使用されてもよい。
通常の管状態検査が実行される前に、所定時間の遅延がトリガされて、管の常用運転温度まで管陰極を加熱可能にする。ヒータ電圧及び陰極電流は、保存されたメーカーのデータと比較され、該データと一致又は許容偏差内であれば、検査が実行される。
使用可能な管は、当該種類の管に割り当てられた全ての状態検査及び全ての管状態検査に合格すると共に、検査装置10に保存されたような正常性能パラメータの範囲内にあることが、求められる。正常なパラメータの範囲は、製造バラツキ、例えば、公表されたメーカーの規格に対して、特性範囲が、gmに関しては、+/−40%、陽極電流に関しては+/−20%、及びヒータ電流に関しては+/−10%を許容可能である。
検査装置は、検査時に使用される全電圧を、低電圧DC電源から導出する。低圧電源は、AC主電源、例えば19Vのラップトップ電源等に接続するための汎用アダプタを組込んだ低電圧電源リードの形であってもよい。或いは、前述したように、検査装置は、局部電池電源で動いてもよい。また、例示的な実施形態では、検査装置の全構成要素に給電する外部電源に接続するのに単一の給電用ソケットを利用するが、検査装置の1つ又は複数の低電力構成要素に給電するために、局部(即ち、内蔵)電池電源が、更に含まれてもよいことも考えられる。これにより、検査装置が、地域によって異なる主電源に対応して手動で調整することなく、世界中至る所で使用可能になるという更なる効果を提供する。検査装置は、容易に携帯できる小型で、全技術データが検査装置内に内蔵されているため、従来の管検査機器を操作する技術知識や技能が足りない者でも使用するのに適している。検査装置は、ギターアンプ、ラジオ、他のオーディオアンプ機器、特に高忠実度のオーディオ機器用の管を含むオーディオアンプシステムで使用される熱電子管の他、一般的に信号管、及び低〜中型のパワー管を検査するのに適している。
本発明のほんの一例示的実施形態について、該実施形態に施され得る変更の例を伴い、これまで詳細に説明してきたが、当業者は、他の多くの変形例が、本発明の新規な教示及び効果から逸脱せずに、例示的実施形態において可能であることを容易に理解するであろう。従って、全てのそうした変形例は、以下の特許請求の範囲で規定される本発明の範囲に含まれるものとする。
10 検査装置
11 ケーシング
12 管用ソケット
13 ディスプレイ
13a、13b LED
14 給電用ソケット
15 DC電源リード
16 ユーザコントロール
17、18 ケーシング壁
19 ハウジング
100 回路
101 フィルタ
102、103、104 電圧レギュレータ
105、106 スイッチ
107 ヒータ端子
108 スイッチ陽極端子
109 スクリーングリッド端子
110 陰極端子
111 制御グリッド端子
112 グリッドバイアス調整部
114 線
115 コントローラ
115a メモリ
116 入力ポート
117、118、119、120、121、122、123 出力ポート
C1 コンデンサ
FET2 トランジスタ
R2、R3 抵抗分圧器
S1、S2、S3 スイッチ

Claims (27)

  1. 熱電子管検査器であって、
    熱電子管の電極と接続するよう構成された複数の管電極端子を有する少なくとも1つの管用ソケット;
    前記熱電子管検査器に唯一の外部DC電源を提供するために、外部低電圧DC電源に接続するよう構成された単一の電源端子;
    前記単一の電源端子に接続され、前記管用ソケットの少なくとも1つの管電極端子との切換可能な接続部を有する第1電圧レギュレータであって、少なくとも2つの異なる所定の管電極電圧を供給するよう構成された第1電圧レギュレータ;
    メモリを備えたコントローラであって、 前記第1電圧レギュレータの少なくとも1つの前記管電極端子との接続を制御し、前記管用ソケットに取付けられた熱電子管の電流フローをモニタリングするコントローラ;及び
    熱電子管に対する検査結果を表示するための、前記コントローラと通信するディスプレイを備える熱電子管検査器であって、
    前記コントローラは、更に、状態値を計算し、該状態値を前記ディスプレイによって表示させるよう構成され、前記状態値は、1つ又は複数の管検査に応じてモニタリングされた管の性能と、管の性能にそれぞれ対応する1つ又は複数の期待性能特性との差に基づいて計算される値であり、前記状態値は、更に、同じ種類の管が同じ状態値を有する場合に、同一の管であることを表す、熱電子管検査器。
  2. 前記管用ソケットの少なくとも1つの管電極端子との切換可能な接続部を有する第2電圧レギュレータを更に備え、前記単一の電源端子は、前記第1及び第2電圧レギュレータの両方に給電する、請求項1に記載の熱電子管検査器。
  3. 前記単一の電源端子は、10〜48VのDC電源に接続されるよう構成される、請求項1又は2に記載の熱電子管検査器。
  4. 前記単一の電源端子は、汎用低電圧DC電源に接続するよう構成される、請求項3に記載の熱電子管検査器。
  5. 前記単一の電源端子は、バッテリ電源に接続するよう構成される、請求項1乃至3の何れか一項に記載の熱電子管検査器。
  6. 前記第1電圧レギュレータは、スイッチングレギュレータである、請求項1乃至5の何れか一項に記載の熱電子管検査器。
  7. 前記第1電圧レギュレータは、トランジスタを含み、前記コントローラは、前記第1電圧レギュレータによって少なくとも1つの前記管電極端子に供給された電圧を変更するために、前記トランジスタのパルス幅を制御するよう構成される、請求項6に記載の熱電子管検査器。
  8. 前記第1電圧レギュレータは、パルスHT電圧を管陽極端子に供給するよう構成され、前記コントローラは、前記パルスHT電圧に応じて、前記熱電子管における電流フローをモニタリングするよう構成され、前記電流フローは、前記管陰極の熱電子放出を表す、請求項7に記載の熱電子管検査器。
  9. 前記第2電圧レギュレータは、スイッチングレギュレータであり、前記管用ソケットの管ヒータ端子との切換可能な接続部を有し、前記第2電圧レギュレータは、トランジスタを有し、前記コントローラは、前記トランジスタのパルス幅を制御するよう、及び前記第2電圧レギュレータから前記管ヒータ端子への電流フローをモニタリングするよう構成され、前記コントローラは、前記管ヒータにおける短絡を表す、前記管ヒータ端子への高電流フローが前記コントローラによって検出されると、前記第2電圧レギュレータから前記管ヒータ端子への電流供給を遮断するよう更に構成される、請求項2又は、請求項2に従属する請求項3乃至8の何れか一項に記載の熱電子管検査器。
  10. 前記コントローラは、タイマを更に含み、前記コントローラは、短絡を表す高電流フローが検出された後に、前記管ヒータ端子への電流供給の遮断を、所定期間遅延するよう構成される、請求項9に記載の熱電子管検査器。
  11. 前記メモリには、複数の異なる管検査実行プログラムが保存され、各前記管検査実行プログラムには、前記管電極に印加される電圧設定が設けられており、前記コントローラは、前記メモリから少なくとも1つの前記管検査実行プログラムにアクセスして、前記第1電圧レギュレータに、前記管検査実行プログラムの電圧設定に従う電圧を少なくとも1つの前記管電極端子に供給させるよう構成される、請求項1乃至10の何れか一項に記載の熱電子管検査器。
  12. 前記メモリは、更に、該メモリに、1つ又は複数の管検査に応じて熱電子管の1つ又は複数の期待性能特性を保存し、前記コントローラは、検査対象の熱電子管の性能をモニタリングし;前記モニタリングされた性能と、前記保存された期待性能特性とを比較し;及び前記比較の結果を出力するよう更に構成される、請求項11に記載の熱電子管検査器。
  13. 前記コントローラの前記出力は、故障、破損又は良好から選択される、請求項12に記載の熱電子管検査器。
  14. 前記管検査器は、携帯可能である、請求項1乃至13の何れか一項に記載の熱電子管検査器。
  15. 管検査器を使用して熱電子管を検査する方法であって、該方法は:
    前記管検査器に唯一の外部DC電源を提供するために、前記管検査器の単一電源端子を低電圧DC電源に接続するステップ;
    前記管検査器の管用ソケットにある管電極端子に熱電子管のピンを接続するステップ;
    第1電圧レギュレータから少なくとも1つの前記管電極端子に、前記低電圧DC電源とは異なる第1電圧を供給した後に、前記第1電圧レギュレータから少なくとも1つの前記管電極端子に、前記第1電圧と前記低電圧DC電源両方とは異なる第2電圧を供給するステップ;
    前記熱電子管における電流フローを、メモリを備えたコントローラを用いて、モニタリングするステップ;
    状態値を、前記コントローラによって自動的に計算するステップであって、前記状態値は、1つ又は複数の検査に応じてモニタリングされた管の性能と、管の性能にそれぞれ対応する1つ又は複数の期待性能特性との差に基づいて計算される値である、ステップ;及び
    前記状態値を表示し、更に、同じ種類の管が同じ状態値を有する場合に、同一の管であることを表示するステップ
    を備える方法。
  16. 前記電源端子から前記第1電圧レギュレータ及び第2電圧レギュレータに給電すること、及び前記第2電圧レギュレータから少なくとも1つの前記電極端子に、前記低電圧DC電圧と前記第1及び第2電圧とも異なる第3電圧を供給することを更に備える、請求項15に記載の方法。
  17. 前記管検査器の単一電源端子を低電圧DC電源に接続するステップは、前記単一電源端子を10〜48VのDC電源に接続することを備える、請求項15に記載の方法。
  18. 前記管検査器の単一電源端子を低電圧DC電源に接続するステップは、前記単一電源端子を汎用の低電圧DC電源に接続することを備える、請求項17に記載の方法。
  19. 前記管検査器の単一電源端子を低電圧DC電源に接続するステップは、前記単一電源端子をバッテリ電源に接続することを備える、請求項15乃至17の何れか一項に記載の方法。
  20. 第1電圧を少なくとも1つの前記電極端子に供給した後、第2電圧を少なくとも1つの前記電極端子に供給するステップは、スイッチングレギュレータを調整することを備える、請求項15乃至19の何れか一項に記載の方法。
  21. 前記スイッチングレギュレータを調整することは、前記切換られたスイッチングレギュレータのトランジスタのパルス幅を制御することを備える、請求項20に記載の方法。
  22. パルスHT電圧を管陽極端子に供給し、前記パルスHT電圧に応じて前記熱電子管における電流フローをモニタリングすることを更に備え、前記電流フローは、前記管陰極の熱電子放出を表す、請求項21に記載の方法。
  23. 前記第2電圧レギュレータは、スイッチングレギュレータであり、前記管用ソケットの管ヒータ端子に電圧を供給するのに使用され、前記方法は、前記第2電圧レギュレータから前記管ヒータ端子への電流フローをモニタリングすること、及び前記管ヒータにおける短絡を表す前記管ヒータ端子への高電流フローが検出されると、前記第2電圧レギュレータのトランジスタのパルス幅を調整することによって、前記第2電圧レギュレータから前記管ヒータへの電流供給を遮断することを更に備える、請求項15乃至22の何れか一項に記載の方法。
  24. 短絡を表す高電流フローが検出された後、所定期間、前記管ヒータ端子への電流供給を遮断するのを遅延させることを更に備える、請求項23に記載の方法。
  25. データ記憶装置から、前記管電極に印加される電圧設定が設けられた、複数の異なる管検査実行プログラムを保存して、其々保存された1つ又は複数の前記管検査実行プログラムにアクセスすること、及び前記管検査実行プログラムの電圧設定に従う電圧を、少なくとも1つの前記管電極端子に供給することを更に備える、請求項15乃至24の何れか一項に記載の方法。
  26. 検査対象の熱電子管の性能をモニタリングすること;前記モニタリングされた性能を、前記データ記憶装置に保存された期待性能特性と比較すること;及び前記比較の結果を出力することを更に備える、請求項25に記載の方法。
  27. 前記比較の結果は、故障、破損又は良好の1つとして出力される、請求項26に記載の方法。
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