JP2019163734A - アップウィンド型風車の運転装置及びその台風時の運転方法 - Google Patents
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Abstract
Description
つぎに、風車Aの風(風力)Wに対する制御は、ヨー制御(方位制御)、ピッチ制御等によって行われる。そのヨー制御は、ヨー駆動装置5により、ナセル2を風向きに応じて旋回させ、羽根3を常時風の方向に向けて(正対させて)風力を効率よく羽根3に作用させるものである。
ピッチ制御は、ピッチ駆動装置により、羽根3の回転面(図5(c)のs面参照)に対する羽根3の角度(ピッチ角α)を変化させて羽根3周囲の空気の流入角を変化させ、その流入角の変化により揚力を変化させるものである。
このため、周速比mによって風力係数CPは決定されることから、周速比mを一定にすると、風力係数CPが一定になり、発電量Pは(1/2)×ρ・CP・V3A(ρ:空気密度、A:ロータ面積πD2/4)となる。
この関係から、風速Vの時のnとPの関係が計算でき、周速比一定制御では、回転数nと発電量Pの関係の制御カーブをあらかじめ求めておいて、回転数nの時に発電量Pを得ることができるようにセットし(設定し)、次のステップで回転数nが変化すれば、また、その変化した回転数nに対する発電量Pを求めて発電をする、ということを反復する制御を行う。このとき、通常、ピッチ角αは0度とする。
何れの型の風車A、Bであっても、台風等の強風時には、ピッチ角を約90度として羽根3を風向に平行(ブレードフェザー状態)にして、ロータ4(14)を停止させ風圧を小さくする。これにより、強風による高速回転による発電機等の故障を防止するようにしている。
一方、図6(b)に示すように、ダウンウィンド状態においては、羽根3は、風向き方向において、ナセル2の旋回中心oに対して後方に位置するため、追い風(風下)に位置する。このため、ヨー制御によって、ダウンウィンド状態における、羽根3の回転面を風向きに対して直交近くにする際、その追い風に押されてナセル2を旋回させることとなってその旋回必要トルクTr2=(Tf−Tw)となる。すなわち、羽根3の回転面をダウンウィンド状態で風向きに対して直交近くにする方が旋回力が小さくてすむ(Tr1(=Tw+Tf)≫Tr2(=Tf−Tw))。
しかし、自然追従は慣性力の影響により、ナセル2が激しく左右に揺れる等の暴走する恐れがある。すなわち、パッシブヨー状態は、Tf=0(ブレーキをかけない)、Tr2=0(駆動装置を使わない)なので、風による旋回トルクTwだけで風下に旋回させる。このため、風にあおられて不安定になる場合もある。
また、台風等の強風時であっても、ヨー制御して、できる限りにおいて、羽根3に加わる変則的な過大荷重の作用を回避することが好ましい。
なお、上記公報には、羽根3の回転面を、アップウィンド状態に対し、ダウンウィンド状態で風向きに対して直交近くにする方が旋回力が小さくてすむ内容の記載はない。
このようにすれば、上記のように、ダウンウィンド状態は、ヨー制御によって、ナセル(風車本体)を風向きに対して正対近くの角度にする際、図6(b)に示すように、その追い風に押されてナセルを旋回することとなるため、アップウィンド状態で正対近くにする場合に比べれば、そのナセルの旋回も容易であり、旋回用(アクティブヨー制御用)駆動機(モータ)も小型化し得る。
因みに、このEGSはUPS(無停電電源装置)とは異なり、自ら発電を行うものであり、この種のプロペラ型風車においては、例えば、6時間連続してアクティブヨー制御できる機能(例えば、電力:15kw以上の発電機)を有するとともに、風車の基本制御を7日間連続して行い得る機能を有する電源(発電)設備を言う。
また、台風情報入力によって、その都度、EGSの起動操作がなされるため、EGSの点検にもなる。
いずれにしても、低い方が旋回限界風速の時、発電停止後すぐにダウンウィンド状態に旋回するようにすることができる。一方、低い方がカットアウト風速の場合、カットアウト風速で発電を停止し、その後、旋回限界風速に至った時に、ダウンウィンド状態に旋回する。このため、この発明においては、風車本体(ナセル)のアップウィンド状態からダウンウィンド状態への旋回は、原則、旋回限界風速を基準とする。
また、非常用発電設備を風車に付設すれば、台風情報に基づき、ヨー制御の電源を前記非常用発電設備に切り換え、その電源によって、台風時においても、アクティブヨー制御を行うことができるので、強風によって、外からの系統電源が無くなっても(停電しても)、その制御を行うことができる。このため、上記公報技術に比べれば、風車の安全維持性が高くなる。このとき、台風情報入力によって、その都度、非常用発電設備の起動操作がなされるため、その非常用発電設備の点検にもなる。
その運転は、図3(a)に示す、遠隔地の集中管理事務所H1としたり、同図(b)に示す、現地管理事務所H2としたりし得る。このとき、適宜な通信回線aによってそれらを接続する。この場合、各家屋に操作用パソコン8a等が設置される。
この条件の下で、この風車Aは、羽根3の回転面sが風向きに正対近く(例えば、約90度)になるようにヨー制御され、その状態で、定格出力(定格発電)となるようにピッチ制御される。
風速V=25m/秒(=カットアウト風速VOUT)以上となれば、ピッチ角を約90度(例えば、88度)のブレードフェザー状態にして、羽根3が回転せず発電を行わないアイドリング運転状態とする。
以上の作用によって、この風車Aによる発電はなされる。
(I)は、台風情報が、自動又は手動によって入力され、その入力がなされれば、風速V≦旋回限界風速VTL、カットアウト風速VOUTであっても、発電を停止する。
(II)は、台風情報が自動又は手動によって入力され、その入力時、風速V=旋回限界風速VTLであれば、発電を停止する。すなわち、台風情報が入力されていても、風速V≧旋回限界風速VTLにならない限り、発電を停止しない。このとき、この実施形態においては、旋回限界風速VTL=50m/秒、カットアウト風速VOUT=25m/秒であるから、風速が旋回限界風速VTLになった時には、発電は停止している。このことから、この実施形態においては、図1の「発電中止」は「既に発電を中止している」場合も含む。
なお、台風情報を入力する場合、風車内にある制御器の操作パネルを直接に操作する方法と、直接に操作できない場合でも、図3(a)に示す集中管理事務所H1又は同図(b)に示す現地管理事務所H2等から、遠隔操作で通信回線aによってその制御器に台風情報を入力することとなる。
このEGSにより、ヨー駆動装置(旋回駆動機構)5を作動させて、ナセル2を、図4(a)に示す、アップウィンド状態から約180度旋回させて、図4(b)に示す、羽根3が風下に位置するダウンウィンド(DONWIND)状態とする。
ダウンウィンド状態になれば、EGSからの電力によるアクティブヨー運転を行う(ステップ4)。この作用は、台風の通過中は勿論のこと、系統電力が無くなっても(停電しても)続けられる。
台風が通過すれば(ステップ5)、図2、図4(a)に示す、アップウィンド状態にした後(復帰後)、上記通常の発電状態に復旧する(ステップ6)。このとき、停電の場合は、一時、運転を停止し、停電が解消して系統電力復帰後に通常の運転に復帰する。
そのアップウィンド状態への復帰は、EGSと系統電力のどちらによっても良い。また、EGSから系統電力への切替は、台風通過後の適当な時に行えば良いが、系統電力が有るとき(正常なとき)又は前記復帰後に行う。
台風が近くに来て、風速Vが旋回限界風速VTLとなれば、発電を中止し(ステップ1)、EGSの故障の有無を調べる(ステップ2)。EGSが正常であれば(故障していなければ)、この風車Aの電源をEGSに切り換える(ステッ3)。以下、(I)と同様に、EGSの電力により、ヨー駆動装置5を作動させて、図2(a)、(b)に示すように、羽根3をアップウィンド状態から約180度旋回させてダウンウィンド状態とする。ダウンウィンド状態になれば、EGSからの電力によるアクティブヨー運転を行う(ステップ4)。
台風が通過し、系統電力からの電力供給があって(停電しておれば復旧を待って)風Wの風力V≦VTLになれば(ステップ5)、アップウィンド状態にした後、上記通常の発電状態に復旧する(ステップ6)。
同様に、そのアップウィンド状態への復帰は、EGSと系統電力のどちらによっても良い。また、EGSから系統電力への切替は、台風通過後の適当な時に行えば良いが、系統電力からの電力供給があるとき(正常なとき)又は前記復帰後に行う。
台風が通過し、系統電力からの電力供給があって(停電しておれば復旧を待って)風Wの風力V≦旋回限界風速VTLになれば(ステップ5)、アップウィンド状態にした後、上記通常の発電状態に復旧する(ステップ6)。
なお、風速Vがカットアウト風速VOUT又は旋回限界風速VTLになった時点で、発電中止が行われると共に系統電力によるダウンウィンド状態への移行がなされており(ステップ8、9)、通常、台風の襲来により系統電力からの電力供給がなくなって停電になるのは、風速Vがカットアウト風速VOUT及び旋回限界風速VTL以上のため、そのダウンウィンド状態において、パッシブヨー運転がなされる。
また、系統電力が停電し続けておれば、上記パッシブヨー運転を続行する。系統電力が復旧し、風力V≦旋回限界風速VTLとなれば、系統電力によってアップウィンド状態にした後、上記通常の発電状態に復旧する(ステップ5、6)。同時に、EGSの修理も行う。
台風時のみに限らず、爆弾低気圧等の強風時においても、上記台風情報に代えて(又は加えて)その強風情報によって上記制御を行うこともできる。また、制御器に突風情報を入力させ、その突風情報によって、上記(I)、(II)のステップ1、2・・の作用を行うこともできる。
旋回限界風速VTL>カットアウト風速VOUTの場合、台風情報が入力されれば、風速Vがカットアウト風速VOUTになって発電を停止した時点でダウンウィンド状態に変更してアクティブヨー制御に移行することもできる。
因みに、EGSを設置して、図1等に記載した制御において、アップウィンド状態からダウンウィンド状態にすることなく、アップウィンド状態において、ダウンウィンド状態の変更を無くして、(I)、(II)の各ステップを行うこともできる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
V 計測風速
VIN カットイン風速
VTL 旋回限界風速
VOUT カットアウト風速
W 風
1 支柱
2 ナセル
3 羽根(ブレード)
4 ロータ
5 ヨー駆動装置(旋回駆動機構、ヨーモータ)
台風が近くに来て、風速Vが旋回限界風速VTLとなれば、発電を中止し(ステップ1)、EGSの故障の有無を調べる(ステップ2)。EGSが正常であれば(故障していなければ)、この風車Aの電源をEGSに切り換える(ステップ3)。以下、(I)と同様に、EGSの電力により、ヨー駆動装置5を作動させて、図2(a)、(b)に示すように、羽根3をアップウィンド状態から約180度旋回させてダウンウィンド状態とする。ダウンウィンド状態になれば、EGSからの電力によるアクティブヨー運転を行う(ステップ4)。
台風が通過し、系統電力からの電力供給があって(停電しておれば復旧を待って)風Wの風力V≦VTLになれば(ステップ5)、アップウィンド状態にした後、上記通常の発電状態に復旧する(ステップ6)。
同様に、そのアップウィンド状態への復帰は、EGSと系統電力のどちらによっても良い。また、EGSから系統電力への切替は、台風通過後の適当な時に行えば良いが、系統電力からの電力供給があるとき(正常なとき)又は前記復帰後に行う。
Claims (8)
- 地上(G)や海上等の設置面より鉛直に立設した支柱(1)と、その支柱(1)上に水平旋回方向に旋回自在に支持されたナセル(2)と、そのナセル(2)に風力(W)により回転する羽根(3)を備えたロータ(4)とを有し、前記羽根(3)の回転力により前記ロータ(4)を介して発電機を駆動するように構成されたアップウィンド型風車(A)であって、
上記支柱(1)とナセル(2)間に設けられた旋回駆動機構(5)と、その旋回駆動機構(5)により、風向きに応じて上記羽根(3)がその風向きに対するように前記ナセル(2)を旋回させるアクティブヨー制御を行う制御器とを備え、
上記制御器は、外部から台風情報が入力可能であって、その台風情報が入力されると、発電を中止するとともに、上記旋回駆動機構(5)によりアップウィンドの状態からダウンウィンドの状態に対応する方位角度位置まで旋回させて、そのダウンウィンドの状態で上記アクティブヨー制御を行うことを特徴とするアップウィンド型風車の運転装置。 - 非常用発電設備(EGS)を備え、その非常用発電設備(EGS)からの電源により、上記旋回駆動機構(5)によるアップウィンドの状態からダウンウィンドの状態に対応する方位角度位置まで旋回させる作用を行うとともに、上記ダウンウィンドの状態でのアクティブヨー制御も行う請求項1に記載のアップウィンド型風車の運転装置。
- 上記制御器は、上記発電中止以降の作用を、計測風速(V)がナセル(2)の旋回限界風速(VTL)になって行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のアップウィンド型風車の運転装置。
- 上記制御器は、上記台風情報が入力されると、上記発電中止以降の作用を、計測風速(V)が旋回限界風速(VTL)になって行う制御と、計測風速(V)が前記旋回限界風速(VTL)になっているか否かに関係なく、前記発電中止以降の作用を行う制御とを、選択的に行い得ることを特徴とする請求項1又は2に記載のアップウィンド型風車の運転装置。
- 地上や海上等の設置面より鉛直に立設した支柱(1)と、その支柱(1)上に水平旋回方向に旋回自在に支持されたナセル(2)と、そのナセル(2)に風力により回転する羽根(3)を備えたロータ(4)とを有し、前記羽根(3)の回転力により前記ロータ(4)を介して発電機を駆動するように構成されたアップウィンド型風車(A)の運転方法であって、
台風情報が入力されていない場合、ヨー制御により、風向きに応じて上記羽根(3)をその風向きに対するアクティブヨー運転を行い、
台風情報が入力されると、発電を中止するとともに、アップウィンドの状態からダウンウィンドの状態に対応する方位角度位置まで旋回させて、そのダウンウィンドの状態で上記アクティブヨー制御を行うことを特徴とするアップウィンド型風車の運転方法。 - 非常用発電設備(EGS)からの電源により、上記旋回駆動機構(5)によるアップウィンドの状態からダウンウィンドの状態に対応する方位角度位置まで旋回させる作用を行うとともに、上記ダウンウィンドの状態でのアクティブヨー制御も行う請求項5に記載のアップウィンド型風車の運転方法。
- 上記発電中止以降の作用を、計測風速(V)が旋回限界風速(VTL)になって行うことを特徴とする請求項5又は6に記載のアップウィンド型風車の運転方法。
- 上記台風情報が入力されると、上記発電中止以降の作用を、計測風速(V)が旋回限界風速(VTL)になって行う制御と、計測風速(V)が旋回限界風速(VTL)になっているか否かに関係なく、前記発電中止以降の作用を行う制御とを、選択的に行い得ることを特徴とする請求項5又は6に記載のアップウィンド型風車の運転方法。
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