JP2019163403A - エチレン系樹脂組成物およびその用途 - Google Patents

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宏子 土谷
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Abstract

【課題】低温ヒートシール性および耐熱性にバランスよく優れ、成形加工性にも優れたエチレン系樹脂組成物を提供すること。【解決手段】MFR=2〜20g/10分、密度=894〜914kg/m3、かつ昇温溶離分別(TREF)においてピークが1つ、40℃以下の溶出成分量=16〜45質量%、かつ80℃以上の溶出成分量=0.50〜4.0質量%である直鎖状エチレン系共重合体(A)を70〜95質量%、および、下式を満たす低密度ポリエチレン(B)を5〜30質量%含むエチレン系樹脂組成物(C)。0.55×10-4≦[η]/(GMw)0.776≦2.0×10-4【選択図】なし

Description

本発明はエチレン系樹脂組成物およびその用途に関し、より詳細には包装用袋のシーラント層を押出ラミネート成形するのに適したエチレン系樹脂組成物、およびこれを用いた積層体および包装用袋等に関する。
食品および医薬品などの包装材として、紙などの基材上にシーラント(ヒートシール)層を設けた多層フィルムが幅広く使用されている。このような多層構造のフィルムは基材とシーラント材とをドライラミネート法、共押出法、押出ラミネート法などの方法により積層して製造されている。
このうち、押出ラミネート法ではあらかじめフィルム状に形成されたポリマーや紙などの基材の上にシーラント材を溶融押出することによって多層フィルムを製造している。シーラント材には、これまで高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)が広く用いられているが、押出ラミネートの加工性には優れるものの、ヒートシール強度、ホットタック性には優れていない。
そのようなLDPEに代替しうるシーラント材として、組成分布が均一で分子量分布が狭いメタロセン触媒系によるエチレン・α−オレフィン共重合体が挙げられる。しかし、メタロセン触媒系によるエチレン・α−オレフィン共重合体は分子量分布が狭く溶融弾性が小さいため、押出ラミネート成形においてネックインが大きい、また溶融せん断粘度が高いため樹脂圧力が大きくなって高速加工が難しくなるといった欠点がある。
メタロセン触媒系エチレン・α−オレフィン共重合体のネックインを改良するため、高圧法低密度ポリエチレンをブレンドすることが提案されている(特許文献1)
特許文献1には、昇温溶離分別(TREF:Temperature Rising Elution Fractionation)によって得られる溶出曲線のピークが1つであり、かつ溶出曲線の幅が狭いエチレン・α−オレフィン共重合体と高圧法低密度ポリエチレンからなる樹脂組成物が提案されている。しかし、エチレン・α−オレフィン共重合体の組成分布が狭いため、ポリマーの溶融温度幅が狭く、優れた低温シール性と耐熱性を両立するためには不十分であった。
特許文献2には、メタロセン触媒を用いて重合した2種類の低密度ポリエチレンと高圧法低密度ポリエチレンからなる樹脂組成物が提案されている。本方法によれば、低温シール性と耐熱性を両立するため、密度の異なる低密度ポリエチレンを用いているが、密度の高い低密度ポリエチレン成分の融点が高く、それ自身が低温シール性を損ない、また低温シール性に優れた成分との相溶性が悪化するため低温シール性と耐熱性のバランスとしては十分ではなかった。
特許文献3には、メタロセン触媒により製造された低密度のエチレン・α−オレフィン共重合体と高圧法低密度ポリエチレンからなる樹脂組成物が提案されているが、組成分布に関する記載はない。例えば特開平9−003266のようにメタロセン触媒を用いて製造したエチレン・α−オレフィン共重合体において、溶出曲線が単一ピークの狭組成分布とは限らないことが知られている。
特許文献4には、2種類のメタロセン触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体と高圧法低密度ポリエチレンからなる樹脂組成物が提案されている。本方法によれば、昇温溶離分別(TREF)による溶出曲線のピークが2つ以上の場合、低温ヒートシール性と耐熱性のバランスの良いとされているが、低温溶出成分が多いためフィルムの耐ブロッキング性に劣り、また低温ヒートシール性と耐熱性を両立するには不十分であった。
特開平7−026079号公報 特開平10−168430号公報 特開2001−009997号公報 特開2006−265388号公報
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、低温ヒートシール性および耐熱性にバランスよく優れ、さらに成形加工性に優れたエチレン系樹脂組成物を提供することを目的とする。また本発明は、低温ヒートシール性および耐熱性にバランスよく優れ、内容物を充填する際の充填可能温度域が広い包装用袋を提供することを目的とする。
本発明は、上記のような状況に鑑み鋭意研究した結果、組成分布および、または分子量分布が狭い、あるいは組成分布がやや広くても昇温溶離分別(TREF)等で測定した溶出曲線において複数ピークを有するという従来技術とは異なる特定のエチレン系樹脂組成物が、低温ヒートシール性および耐熱性にバランスよく優れ、加工性にも優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、たとえば以下の〔1〕〜〔7〕に関する。
〔1〕
190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が2〜20g/10分であり、密度が894〜914kg/m3であり、かつ昇温溶離分別(TREF)において、得られる溶出曲線のピークが1つであり、40℃以下で溶出する成分の割合(EL)が16〜45質量%であり、かつ80℃以上で溶出する成分の割合(EH)が0.50〜4.0質量%であるエチレンと少なくとも1種の炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体である直鎖状エチレン系共重合体(A)を70〜95質量%、および下記要件(b)を満たす低密度ポリエチレン(B)を5〜30質量%含むエチレン系樹脂組成物(C)。
(b)135℃のデカリン中で測定された極限粘度〔[η](dl/g)〕とゲル浸透クロマトグラフィー−粘度検出器法(GPC−VISCO)により測定された重量平均分子量(GMw)とが、下記関係式(Eq−1)を満たす。
0.55×10-4≦[η]/(GMw0.776≦2.0×10-4---(Eq−1)
〔2〕
前記直鎖状エチレン系共重合体(A)が、下記の要件(a1−1)〜(a1−2)を満たす、エチレンと少なくとも1種の炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体(A1)50〜100質量%、および下記の要件(a2−1)〜(a2−2)を満たす、エチレンと少なくとも1種の炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体(A2)0〜50質量%からなることを特徴とする上記〔1〕のエチレン系樹脂組成物(C)。
(a1−1)190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が2〜20g/10分である。
(a1−2)密度が894〜914kg/m3である。
(a2−1)190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が22〜250g/10分である。
(a2−2)密度が894〜914kg/m3である。
〔3〕
基材と上記〔1〕または〔2〕のエチレン系樹脂組成物(C)からなる層とが積層されてなる積層体。
〔4〕
基材上で上記〔1〕または〔2〕のエチレン系樹脂組成物(C)を押出ラミネート成形する積層体の製造方法。
〔5〕
上記〔3〕の積層体からなり、前記エチレン系樹脂組成物(C)からなる層がシーラント層として用いられる包装用フィルム。
〔6〕
上記〔5〕の包装用フィルムから形成された包装用袋。
〔7〕
上記〔5〕の包装用袋と、前記包装用袋に充填された粉末、液体または粘体内容物とからなる内容物入り包装袋。
本発明に係るエチレン系樹脂組成物は、低温ヒートシール性および耐熱性にバランスよく優れており、本発明に係るエチレン系樹脂組成物をシーラント層として用いた積層体(包装用フィルム)からなる包装用袋は、低温ヒートシール性および耐熱性にバランスよく優れており、内容物を充填する際の充填可能温度域が広い。また本発明に係るエチレン系樹脂組成物は、成形加工性に優れ、押出ラミネート法によりシーラント層に成形することができる。
本発明に係る積層体(包装用フィルム)からなる包装用袋は、各種包装袋たとえば液体スープ、漬物、糸こんにゃくなどの水物包装袋、みそ、ジャムなどのペースト状物包装袋、砂糖、小麦粉、ふりかけなどの粉末物包装袋に好適である。
実施例1,2で使用されたエチレン系共重合体(A−1)のTREF溶出曲線である。 実施例3で使用されたエチレン系共重合体(A−2)のTREF溶出曲線である。 実施例4で使用されたエチレン系共重合体(A−3)のTREF溶出曲線である。 実施例5で使用されたエチレン系共重合体(A−4)のTREF溶出曲線である。 実施例6で使用されたエチレン系共重合体(A−5)のTREF溶出曲線である。 実施例7で使用されたエチレン系共重合体(A−6)のTREF溶出曲線である。 比較例1で使用されたエチレン系共重合体(CA−1)のTREF溶出曲線である。 比較例2で使用されたエチレン系共重合体(CA−2)のTREF溶出曲線である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
[エチレン系樹脂組成物(C)]
本発明に係るエチレン系樹脂組成物(C)は、直鎖状エチレン系共重合体(A)および低密度ポリエチレン(B)を含む。
直鎖状エチレン系共重合体(A)
本発明に用いられる直鎖状エチレン系共重合体(A)(以下、単に「エチレン系共重合体(A)」とも記載する。)は、エチレンと少なくとも1種の炭素数4〜10のα−オレフィン、好ましくは炭素数6〜10のα−オレフィンとの共重合体である。炭素数4〜10のα−オレフィンとしては、具体的には、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセンなどが挙げられる。
エチレン系共重合体(A)は、たとえば、下記のようなエチレン・α−オレフィン共重合体(A1)(以下「成分(A1)」とも記載する。)とエチレン・α−オレフィン共重合体(A2)(以下「成分(A2)」とも記載する。)とを、エチレン・α−オレフィン共重合体(A1)を50〜100質量%(下限は好ましくは55質量%)、エチレン・α−オレフィン共重合体(A2)を0〜50質量%(上限は好ましくは45質量%)の割合で含む。エチレン系共重合体(A)は、エチレン・α−オレフィン共重合体(A1,A2)を上記割合で含む場合、適度な組成分布を有し、このようなエチレン系共重合体(A)を含むエチレン系樹脂組成物(C)は、低温ヒートシール性と耐熱性とがバランスよく優れ、また、せん断粘度が高すぎず押出機への負荷が小さい。
エチレン系共重合体(A)を構成する各成分(A1、A2)はメタロセン触媒を用いた気相重合反応によって製造される。メタロセン触媒は遷移金属のメタロセン化合物を含む原料を用いて製造することができる。このメタロセン触媒は、遷移金属のメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物と担体とから形成されることが好ましく、さらに必要に応じて、これらと有機アルミニウム化合物とから形成されても良い。
エチレン系共重合体(A)を構成する各成分(A1、A2)は、各々単独に重合しても良く、多段重合しても良い。さらに、複数のメタロセン触媒の存在下において同一重合器内で重合しても良い。
各々単独に重合した場合は、各成分(A1、A2)を従来公知の方法により混合または溶融混練することによってエチレン系共重合体(A)が得られる。例えば、押出機、ブラベンダープラストグラフ、バンバリミキサー、ニーダーブレンダー等を用いて各成分(A1、A2)を溶融、混練することによりエチレン系共重合体(A)が得られる。多段重合の場合は各成分(A1、A2)の分散性が良好となり、本発明に係るエチレン系樹脂組成物は(C)から成形されるフィルムのフィッシュアイが抑制される。
エチレン系共重合体(A)は、後述する実施例の欄に記載した方法による昇温溶離分別(TREF)において、得られる溶出曲線のピークが1つであり、40℃以下で溶出する成分の割合(以下「40℃以下の溶出成分量(EL)」とも記載する。)が16〜45質量%であり、かつ80℃以上で溶出する成分の割合(以下「80℃以上の溶出成分量(EH)」とも記載する。)が0.5〜4.0質量%である。ここでピークとは連続するデータポイントをスムージングして結んで得られる微分溶出曲線において極大を示すものをいう。ある温度(Tn)とその温度での溶出量(Fn)に対し、下記式で得られるdF/dT値を結んだ曲線が正から負へゼロ値を通るときに極大値をとるものとする。スムージングは最小二乗法によって行う。
dF/dT=(Fn+1−Fn)/(Tn+1−Tn
ピークの数が1つであるエチレン系共重合体(A)は、低密度ポリエチレン(B)との相溶性が、ピークが複数あるエチレン系共重合体と比べて相対的に優れ、本発明のエチレン系樹脂組成物(C)をヒートシールする時に欠点ができにくく充填可能温度域が広くなる。
例えば、エチレンとα−オレフィンとの共重合性の均一性が高く、組成分布が狭いエチレン・α−オレフィン共重合体を製造することのできる触媒を用いると、TREF溶出曲線のピークが1つであるエチレン系共重合体(A)を製造することができる。
40℃以下の溶出成分量(EL)は16質量%以上45質量%以下であり、その下限は好ましくは18質量%、より好ましくは20質量%である。その上限は好ましくは40質量%、より好ましくは35質量%である。
80℃以上の溶出成分量(EH)は0.5質量%以上4.0質量%以下であり、その下限は好ましくは0.7質量%、より好ましくは0.9質量%である。その上限は好ましくは3.8質量%、より好ましくは3.5質量%である。
40℃以下の溶出成分量(EL)と80℃以上の溶出成分量(EH)が上記範囲内にある場合、低温シール性と耐熱性とがバランスよく優れ、好ましい。40℃以下の溶出成分量(EL)と80℃以上の溶出成分量(EH)は、例えばエチレン系共重合体(A)の密度や重合温度を変更することによって増減させることができ、密度を下げると低温溶出成分量が増加し、ELは増加、EHは減少する。また、重合温度を下げると組成分布が広がり、ELは増加、EHは増加する。
エチレン系共重合体(A)の、ASTM D1238−89に準拠して測定される190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)は、2g/10分以上20g/10分以下である。その下限は、好ましくは3g/10分であり、その上限は、好ましくは18g/10分、より好ましくは15g/10分である。MFRが上記範囲内にある場合、エチレン系共重合体(A)を含むエチレン系樹脂組成物は、押出機の樹脂圧が低く加工性が良好である。
MFRは分子量に強く依存しており、MFRが小さいほど分子量は大きく、MFRが大きいほど分子量は小さくなる。また、エチレン・α−オレフィン共重合体の分子量は、重合系内における水素とエチレンとの組成比(水素/エチレン)により決定されることが知られている(例えば、曽我和雄他編、「Catalytic Olefin Polymerization」、講談社サイエンティフィク、1990年、p.376)。このため、水素/エチレンを増減させることで、エチレン系共重合体(A)のMFRを増減させることが可能である。
エチレン系共重合体(A)の、JIS K7112に準拠して測定された密度は、894kg/m3以上914kg/m3以下である。その下限は好ましくは895kg/m3、より好ましくは896kg/m3であり、その上限は好ましくは912kg/m3、より好ましくは910kg/m3である。密度が上記下限値未満の場合、エチレン系樹脂組成物から成形されたフィルムの自己粘着性が増加し、ブロッキング現象が起こるため好ましくない。密度が上記上限値を超える場合、エチレン系共重合体(A)の融点が高くなり、フィルムの低温ヒートシール性が悪化するため好ましくない。
密度はエチレン系共重合体(A)のα−オレフィン含量に依存しており、α−オレフィン含量が少ないほど密度は高く、α−オレフィン含量が多いほど密度は低くなる。また、エチレン・α−オレフィン共重合体中のα−オレフィン含量は、重合系内におけるα−オレフィンとエチレンとの組成比(α−オレフィン/エチレン)により決定されることが知られている(例えば、Walter Kaminsky, Makromol.Chem. 193, p.606(1992))。このため、α−オレフィン/エチレンを増減させることで、上記範囲の密度を有するエチレン系共重合体(A)を製造することができる。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A1)
本発明で用いられることのあるエチレン・α−オレフィン共重合体(A1)は、エチレンと少なくとも1種の炭素数4〜10のα−オレフィン、好ましくは炭素数6〜10のα−オレフィンとの共重合体である。炭素数4〜10のα−オレフィンとしては、具体的には、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセンなどが挙げられる。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A1)は下記要件(a1−1)〜(a1−2)を満たし、好ましくはさらに下記要件(a1−3)を満たす。
要件(a1−1):ASTM D1238−89に準拠して測定された190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が2g/10分以上20g/10分以下である。その下限は、好ましくは3g/10分であり、その上限は、好ましくは18g/10分、より好ましくは15g/10分である。MFRが上記範囲内にある場合、エチレン・α−オレフィン共重合体(A1)は、せん断粘度が高すぎず、エチレン系共重合体(A)がエチレン・α−オレフィン共重合体(A2)を含む場合であればエチレン・α−オレフィン共重合体(A2)への相溶性が高く、エチレン・α−オレフィン共重合体(A1)を含むエチレン系樹脂組成物は、および押出機の樹脂圧が低く加工性が良好である。
要件(a1−2):JIS K7112に準拠して測定された密度が、894kg/m3以上914kg/m3以下である。その下限は好ましくは895kg/m3、より好ましくは896kg/m3であり、その上限は好ましくは912kg/m3、より好ましくは910kg/m3である。密度が上記下限値未満の場合、エチレン系樹脂組成物から成形されたフィルムの自己粘着性が増加し、ブロッキング現象が起こるため好ましくない。密度が上記上限値を超える場合、エチレン・α−オレフィン共重合体(A1)の融点が高くなり、フィルムの低温ヒートシール性が悪化するため好ましくない。
要件(a1−3):GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)による測定により得られた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が5以下である。好ましくは4以下、より好ましくは3以下、その下限は例えば1.5である。Mw/Mnが上記範囲内の場合、エチレン系樹脂組成物のヒートシール強度が優れている。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A2)
本発明で用いられることのあるエチレン・α−オレフィン共重合体(A2)は、エチレンと少なくとも1種の炭素数4〜10のα−オレフィン、好ましくは炭素数6〜10のα−オレフィンとの共重合体である。炭素数4〜10のα−オレフィンとしては、具体的には、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセンなどが挙げられる。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A2)は下記要件(a2−1)〜(a2−2)を満たし、好ましくはさらに下記要件(a2−3)を満たす。
要件(a2−1):ASTM D1238−89に準拠して測定された190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が22g/10分以上250g/10分以下である。その下限は、好ましくは25g/10分、より好ましくは30g/10分であり、その上限は、好ましくは200g/10分、より好ましくは180g/10分である。MFRが上記範囲内にある場合、エチレン・α−オレフィン共重合体(A2)は、せん断粘度が低すぎずエチレン・α−オレフィン共重合体(A1)への分散性が良好である。
要件(a2−2):JIS K7112に準拠して測定された密度が、894kg/m3以上914kg/m3以下である。その下限は好ましくは895kg/m3、より好ましくは896kg/m3であり、その上限は好ましくは912kg/m3、より好ましくは910kg/m3である。密度が上記下限値未満の場合、エチレン系樹脂組成物から成形されたフィルムの自己粘着性が増加し、ブロッキング現象が起こるため好ましくない。密度が上記上限値を超える場合、エチレン・α−オレフィン共重合体(A2)の融点が高くなり、フィルムの低温ヒートシール性が悪化するため好ましくない。
要件(a2−3):GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)による測定により得られた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が6以下である。その下限は、たとえば1.5であってもよい。Mw/Mnが上記範囲内の場合、エチレン系樹脂組成物のヒートシール強度が優れている。
低密度ポリエチレン(B)
本発明に用いられる低密度ポリエチレン(B)は、低密度ポリエチレンのうち、下記の要件(b)を満たすものであり、好ましくは高圧法低密度ポリエチレンである。
要件(b):135℃デカリン中で測定した極限粘度〔[η](dl/g)〕とゲル浸透クロマトグラフィー−粘度検出器法(GPC−VISCO)により測定された重量平均分子量(GMw)とが、下記関係式(Eq−1)を満たす。
0.55×10-4≦[η]/(GMw0.776≦2.0×10-4---(Eq−1)
[η]/(GMw0.776の下限は好ましくは0.70×10-4、より好ましくは0.85×10-4であり、上限は好ましくは1.8×10-4、より好ましくは1.6×10-4である。
低密度ポリエチレン中に長鎖分岐が導入されると、分子量が同程度の長鎖分岐の無い直鎖型低密度ポリエチレンに比べ、極限粘度[η](dl/g)が小さくなることが知られている(例えばWalther Burchard, ADVANCES IN POLYMER SCIENCE, 143, Branched PolymerII, p.137(1999))。そのため、極限粘度[η](dl/g)が2.0×10-4×(GMw0.776以下である低密度ポリエチレン(B)は、多数の長鎖分岐を有しているので、成形性、流動性に優れる。
[η]/(GMw0.776の値は、たとえば、従来公知の方法で低密度ポリエチレン(B)への長鎖分岐の導入量を増減させることにより、増減させることができる。
なお、この低密度ポリエチレン(B)はエチレンの単独重合体のみならず、本発明の目的を損なわない範囲であれば、エチレンから導かれる単位と共に他の重合性単量体から導かれる単位を少量含むエチレン共重合体であっても良く、例えば酢酸ビニルあるいはアクリル酸エステルなどから導かれる単位を20質量%以下の量で含むエチレン共重合体であっても良い。
エチレン系樹脂組成物(C)
本発明に係るエチレン系樹脂組成物(C)は、上記のようなエチレン系共重合体(A)および低密度ポリエチレン(B)を、エチレン系共重合体(A)を70〜95質量%(下限は好ましくは75質量%、上限は好ましくは90質量%)を含み、低密度ポリエチレン(B)を5〜30質量%(下限は好ましくは10質量%、上限は好ましくは25質量%)の割合で含有している。低密度ポリエチレン(B)を上記範囲内で含む本発明に係るエチレン系樹脂組成物(C)は、押出ラミネート加工時の加工性に優れる。
エチレン系樹脂組成物(C)は、上記のようなエチレン系共重合体(A)と低密度ポリエチレン(B)とを、従来公知の方法により混合または溶融混練することによって得ることができる。例えば押出機、ブラベンダープラストグラフ、バンバリミキサー、ニーダーブレンダー等を用いて溶融、混練し、押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物が得られる。該押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物(C)は、通常は、例えば押出機によってペレット状に調製される。
このようにして得られたエチレン系樹脂組成物(C)は、好ましくは下記要件(c1)〜(c2)を満たす。
要件(c1):ASTM D1238−89に準拠して測定された190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が、2g/10分以上、20g/10分以下である。その下限は好ましくは5g/10分、その上限は好ましくは15g/10分である。
要件(c2):JIS K7112に準拠して測定された密度が、896kg/m3以上912kg/m3以下である。その下限は好ましくは898kg/m3、より好ましくは900kg/m3である。その上限は好ましくは910kg/m3、より好ましくは908kg/m3である。
本発明に係るエチレン系樹脂組成物(C)は、本発明の目的を損なわない範囲であれば、必要に応じて耐候安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、滑剤、顔料、流滴剤などの通常ポリオレフィンに添加される各種添加剤を含有しても良い。
[積層体およびその用途]
本発明に係る積層体は、基材と、上記のエチレン系樹脂組成物(C)からなる層とを有し、基材上にエチレン系樹脂組成物(C)を押出ラミネートすることにより得られる。このようにして形成された積層体において、エチレン系樹脂組成物(C)からなる層は通常シーラント層(ヒートシール層)として機能する。
シーラント層(ヒートシール層)の厚さは、通常、5〜100μm程度である。
基材としては、フィルム形成能を有するものであれば特に限定されず、任意の高分子重合体あるいは紙、アルミニウム箔、セロハンなどを使用することができる。このような高分子重合体としては、例えば、高密度ポリエチレン、中、低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン等のオレフィン重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリルなどのビニル系共重合体、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン10、ナイロン12、ナイロン610、ポリメタキシリレンアジパミド等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリカーボネート等を挙げることが出来る。
また、基材が高分子重合体フィルム(シート)であるときには、この高分子重合体フィルムは無配向であっても良く一軸または二軸に延伸されていても良い。これらの基材は用途、被包装物に応じて適宜選択することができる。例えば被包装物が腐食しやすい食品である場合には、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエステルのように透明性、剛性、ガス透過抵抗性に優れた樹脂を用いることができる。被包装物が菓子あるいは繊維包装などである場合は、透明性、剛性、水透過抵抗性の良好なポリプロピレンを用いることが望ましい。
基材の厚さは、通常、5〜50μm程度である。
本発明に係る積層体は、エチレン系樹脂組成物(C)のペレットを用いて、Tダイで基材上にエチレン系樹脂組成物(C)を押出ラミネートする方法により製造することができる。基材上にエチレン系樹脂組成物(C)を押出ラミネートする際には、基材に直接エチレン系樹脂組成物(C)を押出ラミネートしても良く、また基材と該組成物(C)との接着力を高めるために、基材にあらかじめ公知の方法、例えば、ウレタン系、チタネート系、イミン系、ブタジエン系、オレフィン系、イソシアネート系などのアンカーコート剤を塗布、あるいは接着性ポリオレフィン、高圧法低密度ポリエチレンなどの中間層(下貼樹脂層)を設けた後に、中間層にエチレン系樹脂組成物(C)を押出ラミネートしても良い。
中間層の厚さは、通常、5〜100μm程度である。
基材と中間層(下貼樹脂層)またはエチレン系樹脂組成物(C)からなるシーラント層との間の接着性を確保するためにTダイから押出した樹脂の溶融膜にオゾンを吹きかけて膜の表面を強制酸化することも有効である。
押出ラミネートは好ましくは20〜300m/分、より好ましくは40〜200m/分の加工速度で行われる。
包装用フィルム等
本発明のエチレン系樹脂組成物(C)は、包装用フィルムのヒートシール層の材料として適している。基材と任意の中間層とエチレン系樹脂組成物(C)からなるヒートシール層とがこの順序で積層されてなる本発明の積層体からなる包装用フィルムは、特に粉体、液体又は粘体を充填する包装用袋の材料として有用であり、たとえば液体スープ、漬物、糸こんにゃくなどの水物包装用袋、みそ、ジャムなどのペースト状物包装用袋、砂糖、小麦粉、ふりかけなどの粉末物包装用袋に好適である。
本発明の包装用袋は、基材層/(任意の中間層/)ヒートシール層の順に積層された本発明の積層体(包装用フィルム)の1片をヒートシール層が向き合うように折り曲げ、または2片をシーラント層(C)が向き合うように重ね合わせ、ヒートシール(例えば、二方シール、三方シールまたは四方シール)して袋状としたものである。ヒートシールは、従来公知のヒートシール機を使用し、常法により行うことができる。袋の形状は、一般的には矩形であるが、任意の形状とすることができる。
また、本発明の内容物入り包装袋は、本発明の包装用袋と前記包装用袋に収容された粉体、液体または粘体とからなり、液体または粘体の中に粉体が含まれていてもよい。
ヒートシールは、ヒートシール層を構成するエチレン系樹脂組成物(C)の溶融温度以上の温度で行い、包装用袋に充填する液体等の内容物の量に応じてヒートシール幅を適宜設定すれば良い。また、内容物を包装用袋から取り出しやすくするために、注ぎ口となる部分を残してヒートシールを行ってもよい。本発明のエチレン系樹脂組成物(C)は、低温ヒートシール性に優れ、低温ヒートシール性と耐熱性とがバランスよく優れている。
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明で用いた各成分の特性の測定方法、物性測定方法は以下の通りである。
(1)メルトフローレート(MFR、g/10分)
メルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238−89に従い、190℃、2.16kg荷重(kgf)の条件下で測定した。
(2)密度(kg/m3
密度(表1、2では「D」と記載する。)は、JIS K7112に準拠し、MFR測定時に得られるストランドを100℃で1時間熱処理し、更に室温で1時間放置した後に密度勾配管法で測定した。密度が低く熱処理時にストランドが融着する場合は、熱処理を実施せず密度[D0](kg/m3)を測定し、下記関係式(Eq−2)を用いて熱処理後測定密度[D]に換算した。
[D0]=0.9945×[D]+2.6832--------(Eq−2)
(3)極限粘度([η]、dl/g)
極限粘度は、測定サンプル約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、下記式(Eq−3)に示すように濃度[C]を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度[η](単位;dl/g)として求めた。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)--------(Eq−3)
(4)分子量分布(Mw/Mn)
分子量分布は、ウォーターズ社製ゲル浸透クロマトグラフ allianceGPC2000型(高温サイズ排除クロマトグラフ)を用い、以下のようにして算出した。
[使用装置および条件]
解析ソフト;クロマトグラフィデータシステムEmpower2(Waters社、登録商標)
カラム;TSKgel GMH6− HT×2+TSKgel GMH6−HTL×2
(内径7.5mm×長さ30cm,東ソー(株))
移動相;o−ジクロロベンゼン(和光純薬工業(株) 特級試薬)
検出器;示差屈折計(装置内蔵)
カラム温度;140℃
流速;1.0mL/分
注入量;500μL
サンプリング時間間隔;1秒
試料濃度;0.15%(w/v)
分子量較正;単分散ポリスチレン(東ソー(株))/分子量495〜分子量2060万
Z. Crubisic, P. Rempp, H. Benoit, J. Polym. Sci., B5, 753 (1967)に記載された汎用較正の手順に従い、ポリエチレン分子量換算として計算した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比をを算出する。
(5)GPC−VISCO法による重量平均分子量(GMw
GPC−VISCO法による重量平均分子量(GMw)は、ウォーターズ社製GPC/V2000を用い、以下のようにして測定した。ガードカラムはShodexAT−G、分析カラムはAT−806を2本使用し、カラム温度は145℃とし、移動相にはo−ジクロロベンゼンおよび酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン(BHT)0.3質量%を用い、速度1.0ml/分で移動させ、試料濃度は0.1質量%とし、検出器として示差屈折計、3キャピラリー粘度計を用いた。標準ポリスチレンは、東ソー(株)製を用いた。分子量計算は、粘度計と屈折計から実測粘度を算出し、実測ユニバーサルキャリブレーションより重量平均分子量(GMw)を算出した。
(6)溶出曲線
本発明における昇温溶離分別(TREF)による溶出曲線は、ポリマーを一度高温にて完全に溶解させた後に冷却し、不活性担体表面に薄いポリマー層を生成させ、次いで温度を連続的または段階的に昇温して溶出した成分を回収し、その濃度を連続的に検出して、その溶出量と溶出温度によって描かれるグラフで、ポリマーの組成分布を測定するものである。
溶出曲線の測定はクロス分別クロマトグラフ(Polymer Char社製 CFC2)を用い、GPCカラムは昭和電工(株)製Shodex HT−806M 3本を使用した。
溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB)
サンプル濃度:4mg/ml
注入量:0.4ml
結晶化速度:1℃/分
溶出温度:0.5,10,15,20,25,30,35,40,45,49,52,55,58,61,64,67,70,73,76,79,82,85,88,91,94,97,100,102,120,140の各温度(℃)
TREF測定によって得られた各溶出温度における溶出成分のクロマトグラムは、装置付属のデータ処理プログラムにより処理され、総和が100%になるよう規格化された溶出量(クロマトグラムの面積に比例)が求められる。さらに溶出温度に対する積分溶出曲線が算出される。この積分溶出曲線を温度で微分して、微分溶出曲線が求められる。
(7)低温ヒートシール性、耐熱性、充填可能温度域
<積層体の製造方法>
65mmφの押出機とダイ幅500mmのTダイを有する住友重機械工業社製ラミネーターを用いて、基材である厚さ15μmのナイロンフィルム上にウレタン系アンカーコート剤を塗布し、更にその上にエアギャップ130mm、ダイ下樹脂温度295℃、引取速度80m/分の条件下で、エチレン−αオレフィン共重合体((株)プライムポリマー製、商品名「モアテック 1018D」)を膜厚25μmになるよう調整を行い押出ラミネート加工して中間層を形成した。その際、ナイロンフィルムとの接着強度を向上させるためナイロンフィルム側の中間層樹脂表面にはオゾン処理を施し、溶融膜の表面酸化を促した。さらにその中間層の上に、シーラント層として、実施例または比較例で調製したエチレン系樹脂組成物をエアギャップ130mm、ダイ下樹脂温度295℃、引取速度80m/分の条件下で、膜厚25μmになるように押出ラミネート加工した。
<液体包装袋の充填方法及び充填適性評価>
粘性体自動充填包装機(大成ラミック(株)製 NT−DANGAN TYPE−III)を用いて、次の条件で液体を充填し、液体充填小袋を得た。
[充填条件]
シール温度:(縦)190℃、(横)140〜210℃の範囲で5℃刻み
包装形態:三方シール
袋寸法:幅75mm×縦85mm ピッチ
充填物:23℃の水
充填量:約24g
充填速度:25m/分
(耐圧性)
上記の条件で液体充填を行い、液体充填小袋の横シール部を上記の条件でヒートシールした。同条件で、横シール部がヒートシールされた液体充填小袋を5つ作製し、耐圧試験に供した。具体的には、液体充填小袋に、耐圧テスター(小松製作所製)にて100kgの荷重を1分間掛け、破袋、又は水洩れの発生しない横シール温度を評価した。横シール部が破袋、又は水漏れの発生しない最も低いシール温度(以下「充填開始温度」と記載する。)が低いほど、低温ヒートシール性、低温充填性に優れる。5つの液体充填小袋の中で破袋、または水漏れが発生した袋の個数を以下の基準で評価した。
○:破袋、又は水漏れが発生した袋の数が0個
△:破袋、又は水漏れが発生した袋の数が1〜4個
×:破袋、又は水漏れが発生した袋の数が5個
(外観)
上記の条件で液体充填を行い、液体充填小袋の横シール部を上記温度でヒートシールし、横シール部が発泡したり、後退したりする温度を評価した。ヒートシール温度が高すぎると、樹脂が柔らかくなって充填物である水を噛みこみ、ヒートシールした際の熱で水が蒸発し発泡が発生する。また、ヒートシール温度が低くすぎると、ヒートシールが不十分となりシール部の後退が発生する。
○:発泡及び後退共に目視では見られない
△:発泡又は後退の何れかが目視で僅かに見られる
×:発泡又は後退の何れかが顕著に見られる
横シール温度が低温から高温まで幅広く、発泡及び後退が共に目視では見られないことが望ましく、シール部の後退が発生しないヒートシール温度が低いほど低温ヒートシール性に優れ、発泡が発生しないヒートシール温度が高いほど耐熱性に優れる。
上記耐圧テストおよび上記外観の結果が良好な横シール温度域が広いほど、低温ヒートシール性と耐熱性とがバランスよく優れ、充填可能温度域が広くなる。
[実施例1]
固体触媒成分の調製
十分に窒素置換した300リットルの反応器に600℃で10時間乾燥させたシリカ10.0kgとトルエン154リットルとを入れ、懸濁状にして0℃まで冷却した。その後、この懸濁液にメチルアルミノキサンのトルエン溶液(Al=3.02モル/リットル)23.4リットルを1時間かけて滴下した。この際、系内の温度を0〜5℃の範囲に保った。各成分を、引き続き0℃で30分間接触させ、次いで1.5時間かけて95℃まで昇温し、その温度で4時間反応させた。その後60℃まで降温し、上澄み液をデカンテーション法により除去した。このようにして得られた固体成分をトルエンで2回洗浄した後、トルエン100リットルで再懸濁し、全量を160リットルとした。
このようにして得られた懸濁液に、ビス(1,3−n−ブチルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液(Zr=25.6ミリモル/リットル)20.0リットルを20℃で30分間かけて滴下し、さらに20℃で2時間反応を行った。その後上澄み液を除去し、ヘキサンで2回洗浄することにより、固体触媒成分1gあたり3.2mgのジルコニウムを含有する固体触媒成分を得た。
予備重合触媒の調製
十分に窒素置換した350リットルの反応器に、上記で調製した固体触媒成分7.0kgとヘキサンを入れ、全容積を285リットルにした。系内を10℃まで冷却した後、エチレンを8Nm3/時間の流量で5分間ヘキサン中に吹き込んだ。この間、系内の温度は10〜15℃に保持した。その後、エチレンの供給を停止し、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBALH)を2.4モルおよび1−ヘキセンを1.2kg入れた。系内を密閉系にした後、8Nm3/時間の流量でエチレンンの供給を再度開始した。15分後、エチレンンの流量を2Nm3/時間に下げ、系内の圧力を0.08MPaGにした。この間に、系内の温度は35℃まで上昇した。その後、系内の温度を32〜35℃に調節しながら、エチレンを4Nm3/時間の流量で3.5時間供給した。この間、系内の圧力は0.07〜0.08MPaGに保持されていた。次いで、系内を窒素により置換した後、上澄み液を除去し、ヘキサンで2回洗浄した。このようにして固体触媒成分1gあたり3gのポリマーが予備重合された予備重合触媒を得た。この予備重合したポリマーの極限粘度[η]は2.1dl/gであり、1−ヘキセンの含量は4.8質量%であった。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A1)の製造
連続式流動床気相重合装置を用い、エチレンと1−ヘキセンの共重合を行った。
重合槽に、上記予備重合触媒を4g/時間にて連続的に供給しながら、全圧2.0MPaG、重合温度70℃、ガス線速0.7m/秒の条件下にて重合を行った。重合の間、一定のガス組成を維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素、窒素を連続的に供給した(ガス組成(モル比);1−ヘキセン/エチレン=0.028、水素/エチレン=6.8×10-4、エチレン濃度=48モル%)。重合槽内のパウダーレベルが一定になるように重合槽内パウダーを連続的に抜出し、エチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−1)を得た。得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−1)の収量は5.1kg/時間であった。
得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−1)パウダーに対して、耐熱安定剤としてスミライザー(登録商標)GP(住友化学(株)製)1000ppmを添加しラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)を用い、樹脂温度180℃、回転数50rpmで5分間溶融混練した。さらに、この溶融ポリマーを、プレス成形機((株)神藤金属工業所製)を用い、冷却温度20℃、冷却時間5分間、冷却圧力100kg/cm2の条件にて冷却した。該試料を測定用試料として物性測定を行った。物性測定結果を表1に示す。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A2)の製造
連続式流動床気相重合装置を用い、エチレンと1−ヘキセンの共重合を行った。
重合槽に上記予備重合触媒を4g/時間の速度にて連続的に供給しながら、全圧2.0MPaG、重合温度70℃、ガス線速0.7m/秒の条件下にて重合を行った。重合の間、一定のガス組成を維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素、窒素を連続的に供給した(ガス組成(モル比);1−ヘキセン/エチレン=0.026、水素/エチレン=21×10-4、エチレン濃度=57モル%)。重合槽内のパウダーレベルが一定になるように重合槽内パウダーを連続的に抜出し、エチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−1)を得た。得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−1)の収量は2.2kg/時間であった。
得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−1)パウダーはエチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−1)パウダーと同様の方法にて物性を測定した。物性測定結果を表1に示す。
エチレン系共重合体(A)の製造
上記エチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−1)60質量部と上記エチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−1)40質量部とを混合し、エチレン系共重合体(A−1)を得た。上記共重合体(A1−1)および上記共重合体(A2−1)と同様の方法にてエチレン系共重合体(A−1)の物性を測定した。物性測定結果を表1に示す。TREF溶出曲線は図1に示す通りであり、ピークの数は1つであった。
低密度ポリエチレン(B−1)
[η]/(GMw)0.776=1.37×10-4を満たす市販の高圧法低密度ポリエチレンを使用した。
エチレン系樹脂組成物(C)の製造
得られたエチレン系共重合体(A−1)100質量部に対して、スリップ剤としてエルカ酸アミドを0.07質量部配合した後、得られた配合物と低密度ポリエチレン(B−1)とを、配合物を75質量%、低密度ポリエチレン(B−1)を25質量%の割合で、(株)池貝製2軸異方向46mmφ押出機(L/D=35)を用いて、温度200℃、スクリュー回転数300rpm、フィーダー回転数30rpmの条件で溶融混練し、エチレン系樹脂組成物(C−1)を得た。得られたエチレン系樹脂組成物(C−1)の物性を表2に示す。
エチレン系樹脂組成物(C−1)の物性、およびエチレン系樹脂組成物(C−1)を用いて上記の方法で得られた積層体の耐圧性および外観の評価を実施した。結果を表3に示す。
[実施例2]
実施例1と同様のエチレン系共重合体(A−1)100質量部に対して、スリップ剤としてエルカ酸アミドを0.07質量部配合した後、得られた配合物と後述する低密度ポリエチレン(B−2)とを、配合物を75質量%、低密度ポリエチレン(B−2)を25質量%の割合で実施例1と同様の方法で溶融混練し、エチレン系樹脂組成物(C−2)を得た。
エチレン系樹脂組成物(C−2)の物性、およびエチレン系樹脂組成物(C−2)を用いて上記の方法で製造された積層体の耐圧性、および外観の評価を実施した。結果を表2及び表3に示す。
低密度ポリエチレン(B−2)の製造
[触媒調製例XP−1]
(固体状担体(X−1)の調製)
内容積270リットルの攪拌機付き反応器に、窒素雰囲気下、シリカゲル(富士シリシア(株)製:平均粒径70μm、比表面積340m2/g、細孔容積1.3cm3/g、250℃で10時間乾燥)10kgを77リットルのトルエンに懸濁させた後0〜5℃に冷却した。この懸濁液にメチルアルミノキサンのトルエン溶液(Al原子換算で3.5mmol/mL)19.4リットルを30分間かけて滴下した。この際、系内温度を0〜5℃に保った。各成分を、引き続き0〜5℃で30分間接触させた後、約1.5時間かけて系内温度を95℃まで昇温して、引き続き95℃で4時間接触させた。その後常温まで降温して、上澄み液をデカンテーションにより除去し、さらにトルエンで2回洗浄した後、全量115リットルの、固体状担体(X−1)のトルエンスラリーを調製した。得られたスラリー成分の一部を採取し濃度を調べたところ、固体状担体(X−1)濃度:122.6g/L、Al濃度:0.62mol/Lであった。
(固体触媒成分の調製)
内容積200ミリリットルの攪拌機付き反応器に、窒素雰囲気下、トルエンを300ミリリットル、および上記固体状担体(X−1)のトルエンスラリー400ミリリットル(Al原子換算で0.25mol)を装入した。次に、遷移金属錯体であるイソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液を、Zr原子換算で1.07mmol滴下し、遷移金属錯体であるジメチルシリレン(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液を、Zr原子換算で0.17mmol滴下し、各成分を、系内温度20〜25℃で1時間接触させた後、系内温度を75℃に昇温し、さらに2時間接触させた。30℃まで降温後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、さらにヘキサンを用いて2回洗浄した後、ヘキサンを加えて全量1リットルとし、固体触媒成分のスラリーを調製した。
(予備重合触媒成分(XP−1)の調製)
上記で得られた固体触媒成分のヘキサンスラリーを38〜40℃まで昇温した後、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DiBAl−H)120mmolを添加した。系内温度を38〜40℃に保持したまま、常圧下にてエチレン供給を開始し、固体触媒成分に対して重量換算で3等量分のエチレン(すなわち、固体触媒成分の3倍の重量のエチレン)を重合させた。その後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、ヘキサンを用いて4回洗浄した後、ヘキサンを加えて全量を1リットルとした。次に、系内温度を35℃に昇温した後、エマルゲン(登録商標)108(花王(株)製)1.0gを添加し、2時間接触させた。その後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、ヘキサンを用いて4回洗浄した。次に、内容積1リットルのガラス製グラスフィルターに上記ヘキサンスラリーを移し、ヘキサンを濾別後、減圧下で減圧乾燥させることで、予備重合触媒成分(XP−1)195gを得た。得られた予備重合触媒(XP−1)の組成を調べたところ、予備重合触媒成分1g当たり、Zr原子が0.54mg含まれていた。
内容積1.7m3の流動層型気相重合反応器において、予備重合触媒成分(XP−1)を用いて、エチレン・1−ヘキセン共重合体の製造を行った。重合槽に上記予備重合触媒成分(XP−1)を5.6g/時間の速度にて連続的に供給しながら、全圧1.7MPaG、重合温度79℃、ガス線速0.75m/秒の条件下にて重合を行った。重合の間、一定のガス組成を維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素、窒素を連続的に供給した(ガス組成(モル比);1−ヘキセン/エチレン=0.0073、水素/エチレン=30×10-4)。重合槽内のパウダーレベルが一定になるように重合槽内パウダーを連続的に抜出し、低密度ポリエチレン(B−2)を得た。得られた低密度ポリエチレン(B−2)の収量は6.2kg/時間であり、密度が919kg/m3、MFRが1.9g/10分であった。その他物性を表1に示す。
[実施例3]
エチレン・α−オレフィン共重合体(A1)の製造
重合槽に、上記予備重合触媒を6g/時間の速度にて連続的に供給しながら全圧2.0MPaG、重合温度70℃、ガス線速0.7m/秒の条件下にて重合を行った。重合の間、一定のガス組成を維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素、窒素を連続的に供給した(ガス組成(モル比);1−ヘキセン/エチレン=0.033、水素/エチレン=6.8×10-4、エチレン濃度=57モル%)。重合槽内のパウダーレベルが一定になるように重合槽内パウダーを連続的に抜出し、エチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−2)を得た。得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−2)の収量は4.0kg/時間であった。また、実施例1と同様の方法で物性を測定した。結果を表1に示す。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A2)の製造
重合槽に、上記予備重合触媒を2g/時間の速度にて連続的に供給しながら全圧2.0MPaG、重合温度60℃、ガス線速0.7m/秒の条件下にて重合を行った。重合の間、一定のガス組成を維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素、窒素を連続的に供給した(ガス組成(モル比);1−ヘキセン/エチレン=0.022、水素/エチレン=17×10-4、エチレン濃度=57モル%)。重合槽内のパウダーレベルが一定になるように重合槽内パウダーを連続的に抜出し、エチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−2)を得た。得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−2)の収量は4.0kg/時間であった。また、実施例1と同様の方法で物性を測定した。結果を表1に示す。
エチレン系共重合体(A)の製造
上記エチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−2)60質量部と上記エチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−2)40質量部とを混合し、エチレン系共重合体(A−2)を得た。また、実施例1と同様の方法で物性を測定した。結果を表1に示す。TREF溶出曲線は図2に示す通りであり、ピークが1つであった。
エチレン系樹脂組成物(C)の製造
エチレン系共重合体(A−2)100質量部に対して、実施例1と同様にスリップ剤と低密度ポリエチレン(B−1)を配合後、押出機で溶融混合してエチレン系樹脂組成物(C−3)を得た。
エチレン系樹脂組成物(C−3)の物性、およびエチレン系樹脂組成物(C−3)を用いて上述の方法で製造された積層体の耐圧性、および外観評価を実施した。結果を表2及び表3に示す。
[実施例4]
エチレン・α−オレフィン共重合体(A2)の製造
重合槽に、上記予備重合触媒を2g/時間の速度にて連続的に供給しながら全圧2.0MPaG、重合温度60℃、ガス線速0.8m/秒の条件下にて重合を行った。重合の間、一定のガス組成を維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素、窒素を連続的に供給した(ガス組成(モル比);1−ヘキセン/エチレン=0.022、水素/エチレン=16×10-4、エチレン濃度=57モル%)。重合槽内のパウダーレベルが一定になるように重合槽内パウダーを連続的に抜出し、エチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−3)を得た。得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−3)の収量は4.0kg/時間であった。また、実施例1と同様の方法で物性を測定した。結果を表1に示す。
エチレン系共重合体(A)の製造
上記エチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−2)60質量部と上記エチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−3)40質量部とを混合し、エチレン系共重合体(A−3)を得た。また、実施例1と同様の方法で物性を測定した。結果を表1に示す。TREF溶出曲線は図3に示す通りであり、ピークが1つであった。
エチレン系樹脂組成物(C)の製造
エチレン系共重合体(A−3)100質量部に対して、実施例1と同様にスリップ剤と低密度ポリエチレン(B−1)を配合後、押出機で溶融混合してエチレン系樹脂組成物(C−4)を得た。
エチレン系樹脂組成物(C−4)の物性および、エチレン系樹脂組成物(C−4)を用いて上記の方法で製造された積層体の耐圧性、および外観の評価を実施した。結果を表2及び表3に示す。
[実施例5]
エチレン・α−オレフィン共重合体(A2)の製造
重合槽に、上記予備重合触媒を2g/時間の速度にて連続的に供給しながら全圧2.0MPaG、重合温度60℃、ガス線速0.8m/秒の条件下にて重合を行った。重合の間、一定のガス組成を維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素、窒素を連続的に供給した(ガス組成(モル比);1−ヘキセン/エチレン=0.021、水素/エチレン=15×10-4、エチレン濃度=57モル%)。重合槽内のパウダーレベルが一定になるように重合槽内パウダーを連続的に抜出し、エチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−4)を得た。得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−4)の収量は4.0kg/時間であった。また、実施例1と同様の方法で物性を測定した。結果を表1に示す。
エチレン系共重合体(A)の製造
上記エチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−2)60質量部と上記エチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−4)40質量部とを混合し、エチレン系共重合体(A−4)を得た。また、実施例1と同様の方法で物性を測定した。結果を表1に示す。TREF溶出曲線は図4に示す通りであり、ピークが1つであった。
エチレン系樹脂組成物(C)の製造
エチレン系共重合体(A−4)100質量部に対して、実施例1と同様にスリップ剤と低密度ポリエチレン(B−1)を配合後、押出機で溶融混合してエチレン系樹脂組成物(C−5)を得た。
エチレン系樹脂組成物(C−5)の物性および、エチレン系樹脂組成物(C−5)を用いて上記の方法で製造された積層体の耐圧性、および外観の評価を実施した。結果を表2及び表3に示す。
[実施例6]
エチレン・α−オレフィン共重合体(A1)の製造
重合槽に、上記予備重合触媒を4g/時間の速度にて連続的に供給しながら全圧1.5MPaG、重合温度66℃、ガス線速0.7m/秒の条件下にて重合を行った。重合の間、一定のガス組成を維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素、窒素を連続的に供給した(ガス組成(モル比);1−ヘキセン/エチレン=0.034、水素/エチレン=7.5×10-4、エチレン濃度=53モル%)。重合槽内のパウダーレベルが一定になるように重合槽内パウダーを連続的に抜出し、エチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−3)を得た。得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−3)の収量は4.0kg/時間であった。また、実施例1と同様の方法で物性を測定した。結果を表1に示す。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A2)の製造
重合槽に、上記予備重合触媒を2g/時間の速度にて連続的に供給しながら全圧2.1MPaG、重合温度57℃、ガス線速0.8m/秒の条件下にて重合を行った。重合の間、一定のガス組成を維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素、窒素を連続的に供給した(ガス組成(モル比);1−ヘキセン/エチレン=0.021、水素/エチレン=21×10-4、エチレン濃度=57モル%)。重合槽内のパウダーレベルが一定になるように重合槽内パウダーを連続的に抜出し、エチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−5)を得た。得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−5)の収量は4.0kg/時間であった。また、実施例1と同様の方法で物性を測定した。結果を表1に示す。
エチレン系共重合体(A)の製造
上記エチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−3)60質量部と上記エチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−5)40質量部とを混合し、エチレン系共重合体(A−5)を得た。また、実施例1と同様の方法で物性を測定した。結果を表1に示す。TREF溶出曲線は図5に示す通りであり、ピークが1つであった。
エチレン系樹脂組成物(C)の製造
エチレン系共重合体(A−5)100質量部に対して、実施例1と同様にスリップ剤と低密度ポリエチレン(B−1)を配合後、押出機で溶融混合してエチレン系樹脂組成物(C−6)を得た。
エチレン系樹脂組成物(C−6)の物性および、エチレン系樹脂組成物(C−6)を用いて上記の方法で製造された積層体の耐圧性、および外観の評価を実施した。結果を表2及び表3に示す。
[実施例7]
エチレン・α−オレフィン共重合体(A1)の製造
重合槽に、上記予備重合触媒を4g/時間の速度にて連続的に供給しながら全圧2.0MPaG、重合温度70℃、ガス線速0.8m/秒の条件下にて重合を行った。重合の間、一定のガス組成を維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素、窒素を連続的に供給した(ガス組成(モル比);1−ヘキセン/エチレン=0.034、水素/エチレン=10×10-4、エチレン濃度=57モル%)。重合槽内のパウダーレベルが一定になるように重合槽内パウダーを連続的に抜出し、エチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−4)を得た。得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−4)の収量は5.0kg/時間であった。また、実施例1と同様の方法で物性を測定した。結果を表1に示す。
エチレン系共重合体(A)の製造
上記エチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−4)100質量部をエチレン系共重合体(A−6)として用いた。TREF溶出曲線は図5に示す通りであり、ピークが1つであった。
エチレン系樹脂組成物(C)の製造
エチレン・α−オレフィン系共重合体(A−6)100質量部に対して、実施例1と同様にスリップ剤と低密度ポリエチレン(B−1)を配合後、押出機で溶融混合してエチレン系樹脂組成物(C−7)を得た。
[比較例1]
エチレン・α−オレフィン共重合体(A2)の製造
重合槽に、上記予備重合触媒を4g/時間の速度にて連続的に供給しながら全圧2.0MPaG、重合温度70℃、ガス線速0.7m/秒の条件下にて重合を行った。重合の間、一定のガス組成を維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素、窒素を連続的に供給した(ガス組成(モル比);1−ヘキセン/エチレン=0.024、水素/エチレン=19×10-4、エチレン濃度=57モル%)。重合槽内のパウダーレベルが一定になるように重合槽内パウダーを連続的に抜出し、エチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−6)を得た。得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−6)の収量は2.2kg/時間であった。また、実施例1と同様の方法で物性を測定した。結果を表1に示す。TREF溶出曲線は図7に示す通りであり、ピークが1つであった。
エチレン系共重合体(A)の製造
上記エチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−1)60質量部と上記エチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−6)40質量部とを混合し、エチレン系共重合体(CA−1)を得た。また、実施例1と同様の方法で物性を測定した。結果を表1に示す。
エチレン系樹脂組成物(C)の製造
エチレン系共重合体(CA−1)100質量部に対して、スリップ剤としてエルカ酸アミドを0.07質量部配合した後、得られた配合物と低密度ポリエチレン(B−1)とを、配合物を75質量%、低密度ポリエチレン(B−1)を25質量%の割合で、実施例1と同様の方法で、押出機で溶融混合してエチレン系樹脂組成物(CC−1)を得た。
エチレン系樹脂組成物(CC−1)の物性および、エチレン系樹脂組成物(CC−1)を用いて製造された積層体の耐圧性、および外観の評価を実施した。結果を表2及び表3に示す。
[比較例2]
エチレン・α−オレフィン共重合体(A1)の製造
連続式流動床気相重合装置を用い、エチレンと1−ヘキセンの共重合を行った。
重合槽に、上記予備重合触媒を4g/時間の速度にて連続的に供給しながら、重合槽内のパウダーレベルが一定になるように重合槽内パウダーを連続的に抜出し、全圧2.0MPaG、重合温度70℃、ガス線速0.7m/秒の条件下にて重合を行った。重合の間、一定のガス組成を維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素、窒素を連続的に供給した(ガス組成(モル比);1−ヘキセン/エチレン=0.035、水素/エチレン=10.5×10-4)。
得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−5)の収量は6.5kg/時間であった。また、実施例1と同様の方法で物性を測定した。結果を表1に示す。物性の測定結果を表1に示す。
エチレン系共重合体の製造
上記エチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−5)100質量%をエチレン系共重合体(CA−2)として用いた。TREF溶出曲線は図7に示す通りであり、ピークが1つであった。
エチレン系樹脂組成物(C)の製造
エチレン系状重合体(CA−2)100質量部に対して、スリップ剤としてエルカ酸アミドを0.07質量部配合した後、得られた配合物と低密度ポリエチレン(B−1)とを、配合物を75質量%、低密度ポリエチレン(B−1)を25質量%の割合で、実施例1と同様の方法で、押出機で溶融混合してエチレン系樹脂組成物(CC−2)を得た。
エチレン系樹脂組成物(CC−2)の物性および、エチレン系樹脂組成物(CC−2)を用いて上記の方法で製造された積層体の耐圧性、および外観の評価を実施した。結果を表2及び表3に示す。

Claims (7)

  1. 190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が2〜20g/10分であり、密度が894〜914kg/m3であり、かつ昇温溶離分別(TREF)において、得られる溶出曲線のピークが1つであり、40℃以下で溶出する成分の割合(EL)が16〜45質量%であり、かつ80℃以上で溶出する成分の割合(EH)が0.50〜4.0質量%であるエチレンと少なくとも1種の炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体である直鎖状エチレン系共重合体(A)を70〜95質量%、および下記要件(b)を満たす低密度ポリエチレン(B)を5〜30質量%含むエチレン系樹脂組成物(C)。
    (b)135℃のデカリン中で測定された極限粘度〔[η](dl/g)〕とゲル浸透クロマトグラフィー−粘度検出器法(GPC−VISCO)により測定された重量平均分子量(GMw)とが、下記関係式(Eq−1)を満たす。
    0.55×10-4≦[η]/(GMw0.776≦2.0×10-4---(Eq−1)
  2. 前記直鎖状エチレン系共重合体(A)が、下記の要件(a1−1)〜(a1−2)を満たす、エチレンと少なくとも1種の炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体(A1)50〜100質量%、および下記の要件(a2−1)〜(a2−2)を満たす、エチレンと少なくとも1種の炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体(A2)0〜50質量%からなることを特徴とする請求項1に記載のエチレン系樹脂組成物(C)。
    (a1−1)190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が2〜20g/10分である。
    (a1−2)密度が894〜914kg/m3である。
    (a2−1)190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が22〜250g/10分である。
    (a2−2)密度が894〜914kg/m3である。
  3. 基材と請求項1または2に記載のエチレン系樹脂組成物(C)からなる層とが積層されてなる積層体。
  4. 基材上で請求項1または2に記載のエチレン系樹脂組成物(C)を押出ラミネート成形する積層体の製造方法。
  5. 請求項3に記載の積層体からなり、前記エチレン系樹脂組成物(C)からなる層がシーラント層として用いられる包装用フィルム。
  6. 請求項5に記載の包装用フィルムから形成された包装用袋。
  7. 請求項5に記載の包装用袋と、前記包装用袋に充填された粉末、液体または粘体内容物とからなる内容物入り包装袋。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2007034920A1 (ja) * 2005-09-22 2007-03-29 Mitsui Chemicals, Inc. エチレン系重合体、該重合体を含む熱可塑性樹脂組成物及び成形体
JP2015010103A (ja) * 2013-06-26 2015-01-19 三井化学株式会社 エチレン系重合体組成物、押出ラミネートフィルムおよび包装袋

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