JP2019163348A - ボルト接合またはリベット接合を行う部材用プリプレグ、およびボルト接合またはリベット接合を行う部材用強化繊維複合材料 - Google Patents
ボルト接合またはリベット接合を行う部材用プリプレグ、およびボルト接合またはリベット接合を行う部材用強化繊維複合材料 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 有孔引張強度に優れる繊維強化複合材料が得られるプリプレグ、および有孔引張強度に優れる繊維強化複合材料が求められていた。【解決手段】 下記構成要素(A)、(B)および(C)を含むプリプレグであって、前記構成要素(C)の含有量が、2.5〜5.5g/m2である、ボルト接合またはリベット接合を行う部材用プリプレグ。構成要素(A):シート状強化繊維基材構成要素(B):エポキシ樹脂構成要素(C):融点が180〜190℃のポリアミド12の粒子【選択図】 なし
Description
本発明は、ボルト接合またはリベット接合を行う部材用プリプレグ、およびボルト接合またはリベット接合を行う部材用強化繊維複合材料に関するものである。
炭素繊維強化プラスチックは、比強度や比剛性に優れていることから有用であり、航空機構造部材、風車の羽根、自動車外板およびICトレイやノートパソコンの筐体(ハウジング)などのコンピュータ用途等に広く展開され、その需要は年々増加しつつある。中でも炭素繊維強化プラスチックは、軽量で強度および剛性に優れることから、民間航空機に代表される航空機産業に広く用いられ、近年主翼や胴体など大型構造部材にも用いられている。
これら構造部材には、繊維強化プラスチックの中でも特に力学特性に優れた、プリプレグの積層体を硬化させたものが用いられることが多い。プリプレグを積層してなる繊維強化プラスチックは、繊維が一方向に引き揃えられ、繊維体積含有率が向上することで、炭素繊維の高い繊維弾性率および強度を最大限に活用できる。また、プリプレグに高機能樹脂を目付けばらつきが少なく含浸させておくことで、得られる繊維強化プラスチックの品質が安定する。プリプレグを積層してなる繊維強化プラスチックの弱点として、面外より
異物が衝突した際に、プリプレグの層間が割れ、内部に層間剥離を内包していても、外部からは損傷の有無がわからないとの問題があった。層間剥離の存在は、構造部材の圧縮強度の低下につながるため、航空機飛行中の安全性を確保する目的で、CAIと呼ばれる衝撃後圧縮強度が構造設計指標となっている。そこで特許文献1および特許文献2では熱可塑性樹脂を粒子化したものをプリプレグの表面に局在化させることにより、プリプレグを積層し繊維強化プラスチックとした際、層間に熱可塑性樹脂を集積させ層間剥離強度を高めることで、面外からの衝撃が加わった際の層間剥離面積を低下させ、CAIを向上させることに成功している。現在、航空機の一次構造部材に用いられている繊維強化プラスチックにはこのような“層間高靭化”プリプレグの適用が主流となっている。
異物が衝突した際に、プリプレグの層間が割れ、内部に層間剥離を内包していても、外部からは損傷の有無がわからないとの問題があった。層間剥離の存在は、構造部材の圧縮強度の低下につながるため、航空機飛行中の安全性を確保する目的で、CAIと呼ばれる衝撃後圧縮強度が構造設計指標となっている。そこで特許文献1および特許文献2では熱可塑性樹脂を粒子化したものをプリプレグの表面に局在化させることにより、プリプレグを積層し繊維強化プラスチックとした際、層間に熱可塑性樹脂を集積させ層間剥離強度を高めることで、面外からの衝撃が加わった際の層間剥離面積を低下させ、CAIを向上させることに成功している。現在、航空機の一次構造部材に用いられている繊維強化プラスチックにはこのような“層間高靭化”プリプレグの適用が主流となっている。
例えば、航空機の主翼や胴体などの構造部材として用いる際、部材と部材を機械的に接合させる必要がある。接合させるための手法として、リベットやボルトとナットのようなファスナを使った機械的な接合が主に用いられる。接合荷重密度が高いこと、ファスナ接合は信頼性が高いことがファスナ接合が用いられる理由である。部材にリベットやボルトを通すためには、ドリル等で孔開け加工など機械的な加工を施す必要がある。しかし、部材に孔開け加工を施した際、孔開けによる損傷や、孔部が応力集中部となり、部材の強度を大きく低下させる問題がある。
孔部の強度低下を調べる方法の一つとして、繊維強化プラスチック試験片の中央に孔を開けた後に引張試験を行う、有孔引張試験がある。特許文献3では、炭素繊維の表面酸素濃度を適正な範囲に管理することで、複合材料の特に有孔引張強度を向上させる方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1および特許文献2はCAIの性能向上に特化しており、構造設計指標として重要視されているOHTと呼ばれる有孔引張強度への効果について言及されておらず、近年のより高い要求性能を必ずしも満足するものではなかった。
特許文献3では、炭素繊維の表面酸素濃度を適正な範囲に管理することで、複合材料の特に有孔引張強度を向上させることができるとされているが、、繊維強化プラスチック内部における繊維とマトリクス樹脂の好ましい分布状態までは言及されていない。
そこで、本発明は、かかる背景技術における問題点に鑑み、ボルトおよびリベット接合を有する部材に適した、繊維強化プラスチックとした際に高い有孔引張強度の発現に優れるプリプレグを提供することを目的とした。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、融点が180〜190℃のポリアミド12の粒子を特定量含有させることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明の要旨は下記の(1)から(6)に存する。
(1) 下記構成要素(A)、(B)および(C)を含むプリプレグであって、前記構成要素(C)の含有量が、2.5〜5.5g/m2である、ボルト接合またはリベット接合を行う部材用プリプレグ。
構成要素(A):シート状強化繊維基材
構成要素(B):エポキシ樹脂
構成要素(C):融点が180〜190℃のポリアミド12の粒子
(2) 前記構成要素(C)が、前記プリプレグの表層に偏在してなる、上記(1)に記載のボルト接合またはリベット接合を行うプリプレグ。
(3) 構成要素(C)の70質量%以上が構成要素(A)の表層に存在する、上記(1)または(2)に記載のボルト接合またはリベット接合を行う部材用プリプレグ。
(4) 前記構成要素(A)におけるシート状強化繊維基材を構成する強化繊維が炭素繊維である、上記(1)から(3)のいずれかに記載のボルト接合またはリベット接合を行う部材用プリプレグ。
(5) 上記(1)から(4)のいずれかに記載のプリプレグの2枚以上が積層された積層体の硬化物である、ボルト接合またはリベット接合を行う部材。
(6) 下記構成要素(A)、構成要素(B)および構成要素(C)を含む強化繊維複合材料であって、構成要素(A)が複数枚積層されており、前記構成要素(C)の含有量が2.5〜5.5g/m2であり、かつ構成要素(C)が構成要素(A)の層間に存在する、ボルト接合またはリベット接合を行う部材用強化繊維複合材料。
構成要素(A):シート状強化繊維基材
構成要素(B):エポキシ樹脂
構成要素(C):融点が180〜190℃のポリアミド12の粒子
(1) 下記構成要素(A)、(B)および(C)を含むプリプレグであって、前記構成要素(C)の含有量が、2.5〜5.5g/m2である、ボルト接合またはリベット接合を行う部材用プリプレグ。
構成要素(A):シート状強化繊維基材
構成要素(B):エポキシ樹脂
構成要素(C):融点が180〜190℃のポリアミド12の粒子
(2) 前記構成要素(C)が、前記プリプレグの表層に偏在してなる、上記(1)に記載のボルト接合またはリベット接合を行うプリプレグ。
(3) 構成要素(C)の70質量%以上が構成要素(A)の表層に存在する、上記(1)または(2)に記載のボルト接合またはリベット接合を行う部材用プリプレグ。
(4) 前記構成要素(A)におけるシート状強化繊維基材を構成する強化繊維が炭素繊維である、上記(1)から(3)のいずれかに記載のボルト接合またはリベット接合を行う部材用プリプレグ。
(5) 上記(1)から(4)のいずれかに記載のプリプレグの2枚以上が積層された積層体の硬化物である、ボルト接合またはリベット接合を行う部材。
(6) 下記構成要素(A)、構成要素(B)および構成要素(C)を含む強化繊維複合材料であって、構成要素(A)が複数枚積層されており、前記構成要素(C)の含有量が2.5〜5.5g/m2であり、かつ構成要素(C)が構成要素(A)の層間に存在する、ボルト接合またはリベット接合を行う部材用強化繊維複合材料。
構成要素(A):シート状強化繊維基材
構成要素(B):エポキシ樹脂
構成要素(C):融点が180〜190℃のポリアミド12の粒子
本発明のプリプレグによれば、有孔引張強度に優れる繊維強化複合材料が得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[プリプレグ]
本発明のプリプレグは、ボルト接合またはリベット接合を行う部材用プリプレグであり、下記構成要素(A)、(B)および(C)を含むプリプレグであって、前記構成要素(C)の含有量が、2.5〜5.5g/m2である、ボルト接合またはリベット接合を行う部材用プリプレグである。
構成要素(A):シート状強化繊維基材
構成要素(B):エポキシ樹脂
構成要素(C):融点が180〜190℃のポリアミド12の粒子
[プリプレグ]
本発明のプリプレグは、ボルト接合またはリベット接合を行う部材用プリプレグであり、下記構成要素(A)、(B)および(C)を含むプリプレグであって、前記構成要素(C)の含有量が、2.5〜5.5g/m2である、ボルト接合またはリベット接合を行う部材用プリプレグである。
構成要素(A):シート状強化繊維基材
構成要素(B):エポキシ樹脂
構成要素(C):融点が180〜190℃のポリアミド12の粒子
<構成要素(A)>
本発明に用いる構成要素(A)はシート状強化繊維であり、繊維強化複合材料の使用目的に応じて様々なものが使用できる。本発明に用いる強化繊維の具体例としては、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、ガラス繊維など、通常の繊維強化複合材料に用いられる強化繊維が挙げられる。強化繊維は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの強化繊維のうち、比強度、比弾性率が高く軽量化に大きな効果のある炭素繊維や黒鉛繊維が本発明に好適である。炭素繊維や黒鉛繊維は用途に応じてあらゆる種類の炭素繊維や黒鉛繊維を用いることができる。
本発明に用いる構成要素(A)はシート状強化繊維であり、繊維強化複合材料の使用目的に応じて様々なものが使用できる。本発明に用いる強化繊維の具体例としては、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、ガラス繊維など、通常の繊維強化複合材料に用いられる強化繊維が挙げられる。強化繊維は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの強化繊維のうち、比強度、比弾性率が高く軽量化に大きな効果のある炭素繊維や黒鉛繊維が本発明に好適である。炭素繊維や黒鉛繊維は用途に応じてあらゆる種類の炭素繊維や黒鉛繊維を用いることができる。
強化繊維はその形状や配列を限定されず、例えばミルド、チョップ、長繊維などの形状の強化繊維を使用できる。また、単一方向、ランダム方向、シート状、マット状、織物状、組み紐状といった配列の強化繊維を使用できる。さらに、特に、比強度や非弾性率が高いことが繊維強化複合材料に要求される場合には、強化繊維が単一方向に引き揃えられた配列が最も適しているが、取り扱いの容易な織物状の配列も本発明には適している。
<構成要素(B)>
本発明に用いる構成要素(B)は熱硬化性樹脂を主成分とするベース樹脂であり、一般に硬化剤や硬化助剤と組み合わせて用いられる。なお、本発明において「主成分」とは、ベース樹脂100質量%中、70質量%以上含まれていることを意味する。ただし、熱硬化性樹脂の含有量は、硬化剤および硬化助剤を含めた値であるものとする。
硬化剤、および硬化助剤を含めた熱硬化性樹脂の含有量は、ベース樹脂100質量%中、80質量%以上が好ましい。
本発明に用いる構成要素(B)は熱硬化性樹脂を主成分とするベース樹脂であり、一般に硬化剤や硬化助剤と組み合わせて用いられる。なお、本発明において「主成分」とは、ベース樹脂100質量%中、70質量%以上含まれていることを意味する。ただし、熱硬化性樹脂の含有量は、硬化剤および硬化助剤を含めた値であるものとする。
硬化剤、および硬化助剤を含めた熱硬化性樹脂の含有量は、ベース樹脂100質量%中、80質量%以上が好ましい。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、マレイミド樹脂などが挙げられる。中でもエポキシ樹脂は低コストであり、かつ耐熱性や機械特性に優れた繊維強化複合材料が得られやすいため好ましい。
エポキシ樹脂としては、アミン類、フェノール類、炭素炭素二重結合を有する化合物を前駆体とするものが好ましい。具体的には、アミン類を前駆体とするエポキシ樹脂として、テトラグルシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、トリグリシジル−m−アミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾールの各種異性体が挙げられる。
フェノール類を前駆体とするエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。
炭素炭素二重結合を有する化合物を前駆体とするエポキシ樹脂としては、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。
エポキシ樹脂はこれらに限定されるものではない。また、上述したエポキシ樹脂をブロム化したブロム化エポキシ樹脂を用いることもできる。これらの中でも、特にテトラグリシジルジアミノジフェニルメタンに代表される芳香族アミンを前駆体とするエポキシ樹脂は、耐熱性に優れた繊維強化複合材料が得られやすいため好ましい。
フェノール類を前駆体とするエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。
炭素炭素二重結合を有する化合物を前駆体とするエポキシ樹脂としては、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。
エポキシ樹脂はこれらに限定されるものではない。また、上述したエポキシ樹脂をブロム化したブロム化エポキシ樹脂を用いることもできる。これらの中でも、特にテトラグリシジルジアミノジフェニルメタンに代表される芳香族アミンを前駆体とするエポキシ樹脂は、耐熱性に優れた繊維強化複合材料が得られやすいため好ましい。
エポキシ樹脂は、エポキシ硬化剤と組み合わせて用いるのが好ましい。エポキシ硬化剤としてはエポキシ基と反応しうる活性基を有する化合物、あるいは、エポキシ基同士の反応性を向上する化合物が好ましい。例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族アミン、脂肪族アミン、イミダゾール誘導体、ジシアンジアミド、テトラメチルグアニジン、チオ尿素付加アミン、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、カルボン酸アミド、ポリフェノール化合物、ノボラック樹脂、ポリメルカプトン、また三
フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体等のルイス酸錯体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、アミノ基、酸無水物基、アジド基を有する化合物が適している。具体的には、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルスルホンの各種異性体、ジアミノジフェニルメタンの各種誘導体、アミノ安息香酸エステル類が適している。具体的に説明すると、ジシアンジアミドはプリプレグの保存性に優れるため好んで用いられる。また、ジアミノジフェニルスルホンの各種異性体は、耐熱性の良好な硬化物を与えるため本発明には最も適している。
フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体等のルイス酸錯体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、アミノ基、酸無水物基、アジド基を有する化合物が適している。具体的には、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルスルホンの各種異性体、ジアミノジフェニルメタンの各種誘導体、アミノ安息香酸エステル類が適している。具体的に説明すると、ジシアンジアミドはプリプレグの保存性に優れるため好んで用いられる。また、ジアミノジフェニルスルホンの各種異性体は、耐熱性の良好な硬化物を与えるため本発明には最も適している。
これらのエポキシ硬化剤には、硬化活性を高めるために、適当な硬化助剤を組み合わせることができる。好ましい例としては、ジシアンジアミドに、3−フェニル−1,1−ジメチル尿素、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素(DCMU)、3−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−1,1−ジメチル尿素、2,4−ビス(3,3−ジメチルウレイド)トルエン等の尿素誘導体を硬化助剤として組み合わせる例;カルボン酸無水物やノボラック樹脂に三級アミンを硬化助剤として組み合わせる例;ジアミノジフェニルスルホンにイミダゾール化合物、フェニルジメチルウレア(PDMU)等のウレア化合物、三フッ化ホウ素モノエチルアミン、三塩化アミン錯体等のアミン錯体を硬化助剤として組み合わせる例などが挙げられる。
また、ベース樹脂には、熱硬化性樹脂の他に、反応性希釈剤、熱可塑性樹脂、エラストマー等の改質剤、充填剤、安定剤、難燃剤、顔料などの各種添加剤を含有させてもよい。
熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合物は、熱硬化性樹脂を単独で用いた場合よりさらに良好な結果を与る。すなわち、熱硬化性樹脂の脆さを熱可塑性樹脂の強靱さによって補い、さらにタック性の向上を与えると共に、熱可塑性樹脂の成形困難性を熱硬化性樹脂が補い、バランスのとれたベース樹脂となる。
特に、熱可塑性樹脂として、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリイミドから選ばれた1種以上の樹脂が、ベース樹脂中に、混合、溶解していることが好適である。さらに、熱硬化性樹脂と反応しうる官能基を末端または分子鎖中に有する熱可塑性樹脂がさらに好ましい。
特に、熱可塑性樹脂として、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリイミドから選ばれた1種以上の樹脂が、ベース樹脂中に、混合、溶解していることが好適である。さらに、熱硬化性樹脂と反応しうる官能基を末端または分子鎖中に有する熱可塑性樹脂がさらに好ましい。
また、ベース樹脂には、レオロジー特性制御、剛性、靭性等の機械特性改善のために、微粉末状シリカなどの無機フィラーを添加することも好ましい。
<構成要素(C)>
本発明に用いる構成要素(C)は、融点が180℃以上のポリアミド12の粒子である。ポリアミド12の粒子の融点が180℃以上であれば、航空機用途として一般的な硬化温度(177、180℃)以上の融点を有することになる。本発明において、融点が180℃以上のポリアミド12の粒子を用いる理由は、以下の通りである。
本発明に用いる構成要素(C)は、融点が180℃以上のポリアミド12の粒子である。ポリアミド12の粒子の融点が180℃以上であれば、航空機用途として一般的な硬化温度(177、180℃)以上の融点を有することになる。本発明において、融点が180℃以上のポリアミド12の粒子を用いる理由は、以下の通りである。
ポリアミド12の粒子がベース樹脂に溶解することでポリアミド12の粒子の体積が減少したり、融解によってポリアミド12の粒子が融着したりするなどして、ポリアミド12の粒子の表面積が減少すると、層間のエネルギー吸収能力が低下する。一方、ポリアミド12の粒子がベース樹脂に溶解するとベース樹脂の剛性が低下するため、の低下を引き起こしやすくなる。そのため、衝撃後圧縮強度や有孔引張強度を発現するためには、硬化過程においてポリアミド12の粒子の大部分がベース樹脂に溶解せず、粒子の形状を保持することが重要である。
ポリアミド12の粒子の融点を180℃以上とすると硬化中にポリアミド12の粒子が完全に融解することなく、ベース樹脂中で粒子形状を維持できる。一方、ポリアミド12の粒子の融点が必要以上に高すぎる場合、硬化温度でポリアミド12の粒子が全く融解せず、ポリアミド12の粒子とベース樹脂との界面での接着性が弱くなる。そのため、衝撃後圧縮強度の低下を招くおそれがある。従って、ポリアミド12の粒子の融点は、180〜190℃が好ましく、180〜185℃がより好ましい。なお、本発明における「融点」とは、示差走査熱量計により昇温速度10℃/分で測定し、融解熱がピークとなるときの温度のことである。
融点が180℃以上のポリアミド12の粒子は、再沈殿法により、または再沈殿法により得られた粒子をさらに凍結粉砕することで容易に得られる。再沈殿法や凍結粉砕の方法としては、公知の方法を採用できる。
また、本発明において「粒子」とは、平均粒子径が2〜90μmの粒子のことを意味する。ポリアミド12の平均粒子径が2μm以上であれば、強化繊維の繊維間に粒子(ポリアミド12)が潜り込むことなく、プリプレグ積層体の層間に局在化でき、粒子の存在効果が十分に発揮され衝撃後圧縮強度をより向上できる。一方、平均粒子径が90μm以下であれば、強化繊維の配列を乱したり、積層して得られる繊維強化複合材料の層間を必要以上に厚くしたりして、物性を低下させるなどの悪影響を軽減できる。ポリアミド12の平均粒子径は5〜40μmが特に好ましく、5〜25μmが最も好ましい。
平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)にて200〜500倍に拡大した粒子の写真から求められる。本発明においては、任意に選択した100個の粒子について測定すれば十分であり、各粒子について長さ(粒子径)を測定し、その平均値を平均粒子径とする。
180℃以上の融点を有するポリアミド12の粒子としては、例えばVESTOSINT1111、VESTOSINT2070、VESTOSINT2157、VESTOSINT2158、VESTOSINT2159(以上、ダイセル・エボニック株式会社製)などが挙げられる。これらの粒子は一般に市販されているものであり、入手性やコストに優れ好ましいが、ここに挙げた粒子に限定されるものではない。
ポリアミド12の粒子の外形形状、表面あるいは内部形態は、球状粒子でも、非球状粒子でもよい。球状粒子の方が、上述したベース樹脂の流動特性を低下させないという点で好ましいが、特定の粒径を有するポリアミド12の粒子を用いる目的が、この粒子を積層体の層間に局在化することにより衝撃下での層間剥離の進展を抑制することにあるため、ポリアミド12の粒子の外形形状、表面あるいは内部形態は、特には限定されない。
ポリアミド12の粒子は、プリプレグの内部よりも表面近傍に高濃度に分布している(表層に偏在している)。ポリアミド12の粒子が高濃度に分布している面は、プリプレグの片面であってもよく、両面であってもよい。ポリアミド12の粒子が表面近傍に高濃度に分布していることで、複数のプリプレグを積層した際に、層間にポリアミド12の粒子が局在化する。その結果、ポリアミド12の粒子が破壊エネルギーを吸収するので、繊維強化複合材料の有孔引張強度が向上する。
プリプレグの表面近傍におけるポリアミド12の粒子の添加量は、プリプレグの単位面積あたり1〜20g/m2が好ましく、2.5〜7g/m2がより好ましい。なお、本発明において「表面近傍」とは、プリプレグの厚さ100%に対し、表面から0〜30%の範囲内の領域のことである。本発明においては、この領域に70質量%以上のポリアミド12の粒子が局在化している(構成要素(C)の70質量%以上が構成要素(A)の表層に存在する)ことが好ましく、90質量%以上のポリアミド12の粒子が局在化していることがより好ましい。
プリプレグ中のポリアミド12の粒子の局在化の程度は、以下のようにして確認できる。まずプリプレグを2枚の平滑な支持板の間にはさんで密着させ、長時間かけて徐々に温度を挙げて硬化させる。この時に重要なのは可能な限り低温でゲル化させることである。
ゲル化しないうちに温度を上げるとプリプレグ中の樹脂が流動し、ポリアミド12の粒子が移動するため元のプリプレグ中における正確な粒子分布の評価が困難となる。ゲル化した後、さらに時間をかけて徐々に温度をかけてプリプレグを硬化させる。硬化したプリプレグを用いて、その断面を顕微鏡にて200倍以上に拡大して200mm×200mm以上の写真を撮影する。
ゲル化しないうちに温度を上げるとプリプレグ中の樹脂が流動し、ポリアミド12の粒子が移動するため元のプリプレグ中における正確な粒子分布の評価が困難となる。ゲル化した後、さらに時間をかけて徐々に温度をかけてプリプレグを硬化させる。硬化したプリプレグを用いて、その断面を顕微鏡にて200倍以上に拡大して200mm×200mm以上の写真を撮影する。
得られた断面写真を用い、まず平均的なプリプレグ厚みを求める。プリプレグ1層の平均厚みは写真上で任意に選んだ少なくとも5ヶ所で測り、その平均をとる。次に、両方の支持板に接していた面からプリプレグの厚みの30%の位置にプリプレグの両方向と平行に線を引く。支持板に接していた面と30%の平行線の間に存在するポリアミド12の粒子の断面積をプリプレグの両面について定量し、これとプリプレグ全幅に渡って存在するポリアミド12の粒子の断面積を定量し、その比をとることによりプリプレグ表面からプリプレグの厚さの30%以内に存在する粒子量が算出される。
粒子断面積の定量はイメージアナライザーにより行ってもよく、断面写真から所定の領域に存在する粒子部分をすべて切り取りその質量を秤ることにより行ってもよい。ポリアミド12の粒子の部分的な分布のばらつきの影響を排除するため、この評価は得られた写真の幅全域に渡って行い、かつ、任意に選んだ5ヶ所以上の写真について同様の評価を行い、その平均をとる必要がある。ポリアミド12の粒子とベース樹脂との見分けがつきにくい時は、一方を選択的に染色して観察すればよい。顕微鏡としては光学顕微鏡を用いてもよく、走査型電子顕微鏡を用いてもよく、ポリアミド12の粒子の大きさや染色方法によって使い分ければよい。
<その他の構成要素>
本発明のプリプレグは、上述した構成要素(A)、(B)、および(C)以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の構成要素を含有してもよい。
その他の構成要素としては、例えば熱可塑性樹脂、有機・無機フィラーなどが挙げられる。これらは、粒子、ミルド、チョップ、ウィスカ状など形状は問わない。
本発明のプリプレグは、上述した構成要素(A)、(B)、および(C)以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の構成要素を含有してもよい。
その他の構成要素としては、例えば熱可塑性樹脂、有機・無機フィラーなどが挙げられる。これらは、粒子、ミルド、チョップ、ウィスカ状など形状は問わない。
<プリプレグの製造方法>
構成要素(C)が、プリプレグの片面または両面の表面近傍に高濃度に分布するプリプレグは、例えば以下の方法で製造することができるが、これらに限定されるものではない。
構成要素(C)が、プリプレグの片面または両面の表面近傍に高濃度に分布するプリプレグは、例えば以下の方法で製造することができるが、これらに限定されるものではない。
第一の方法は、構成要素(B)を離型紙などの上にコーティングしたフィルム(F1)を用いて、シート状にした構成要素(A)の両側あるいは片側から構成要素(B)を含浸させて一次プリプレグを作製し、構成要素(C)をその両面、または片面に散布する方法である。
構成要素(A)に構成要素(B)を含浸させる方法は、公知の方法を採用でき、例えば加熱プレスロールで加圧する方法などが挙げられる。また、プリプレグの厚さ、繊維目付、ベース樹脂含有率等は、プリプレグの用途に応じて、適宜設定すればよい。ベース樹脂含有率は、例えばフィルム(F1)の樹脂目付けや構成要素(A)の繊維目付けを調整することで調節できる。
第二の方法は、構成要素(B)を離型紙などの上にコーティングし、さらに構成要素(B)上に構成要素(C)を散布して作製したフィルム(F2)と、第一の方法と同様にして作製した一次プリプレグとを用い、フィルム(F2)の構成要素(C)側と一次プリプレグの構成要素(B)とが接するように、一次プリプレグの両面または片面にフィルム(F2)を貼着する方法である。一次プリプレグの構成要素(B)と、フィルム(F2)の構成要素(B)は、同じ組成であってもよく、異なる組成であってもよい。
第三の方法は、構成要素(C)を混練した構成要素(B)を離型紙などの上にコーティングして作製したフィルム(F3)と、第一の方法と同様にして作製した一次プリプレグを用い、一次プリプレグの両面または片面にフィルム(F3)を貼着する方法である。一次プリプレグの構成要素(B)と、フィルム(F3)の構成要素(B)は、同じ組成であってもよく、異なる組成であってもよい。
第四の方法は、構成要素(C)を混練した構成要素(B)を離型紙などの上にコーティングしたフィルム(F4)を用いて、シート状にした構成要素(A)の両側あるいは片側から構成要素(B)を含浸させて、構成要素(A)に濾されることで表面近傍に構成要素(C)を残す方法である。
なお、プリプレグにその他の構成要素を含有させる場合、その他の構成要素は、構成要素(B)と共に用いてもよく、構成要素(C)と共に散布したり、構成要素(B)に混練したりしてもよい。本願においては、第四の方法を対象に検討を進めた。
このようにして得られる本発明のプリプレグは、特定の構成要素(A)、(B)および(C)を含み、かつ、構成要素(C)がプリプレグの内部よりも表面近傍に高濃度に分布しているので、衝撃後圧縮強度、および有孔引張強度に優れる繊維強化複合材料を成形でき、高い有孔引張強度が求められる繊維強化複合材料の前駆体として好適である。
[繊維強化複合材料]
本発明の繊維強化複合材料は、本発明のプリプレグを用い、硬化温度180℃で硬化することで成形される。硬化時間は、硬化温度や成形方法に依存するので一概には決められないが、例えば1〜4時間が好ましい。成形方法としては、オートクレーブ成形、オーブン成形、プレス成形などが挙げられる。本発明においては、硬化温度を180℃に設定することで、成形に用いる設備、副資材として一般的なものを使用できるため、コスト面で利点がある。
本発明の繊維強化複合材料は、本発明のプリプレグを用い、硬化温度180℃で硬化することで成形される。硬化時間は、硬化温度や成形方法に依存するので一概には決められないが、例えば1〜4時間が好ましい。成形方法としては、オートクレーブ成形、オーブン成形、プレス成形などが挙げられる。本発明においては、硬化温度を180℃に設定することで、成形に用いる設備、副資材として一般的なものを使用できるため、コスト面で利点がある。
このようにして得られる繊維強化複合材料は、本発明のプリプレグを前駆体として用いるので、有孔引張強度に優れる。このような繊維強化複合材料は、特に航空機等の分野に好適に用いられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによってなんら限定されるものではない。本実施例および比較例において、各種試験は下記に従って行った。
(1)有孔引張強度(OHT)の測定
プリプレグを[+45°/0°/−45°/90°]の方向に4枚積層したものを1セットと、[90°/−45°/0°/+45°]の方向に4枚積層したものを1セットを、それぞれ90°方向が合わさるように重ね、合計8枚の積層物としてバッグ内に入れ、これをオートクレーブ内で180℃にて2時間加熱し、硬化させて成形板(繊維強化複合材料)を作製した。この間オートクレーブ内を0.7MPaに加圧し、バッグ内を真空に保った。得られた成形板から試験片を切り出し、SACMA Recommended Method SRM 5R−94に準拠し、有孔引張強度を測定した。
プリプレグを[+45°/0°/−45°/90°]の方向に4枚積層したものを1セットと、[90°/−45°/0°/+45°]の方向に4枚積層したものを1セットを、それぞれ90°方向が合わさるように重ね、合計8枚の積層物としてバッグ内に入れ、これをオートクレーブ内で180℃にて2時間加熱し、硬化させて成形板(繊維強化複合材料)を作製した。この間オートクレーブ内を0.7MPaに加圧し、バッグ内を真空に保った。得られた成形板から試験片を切り出し、SACMA Recommended Method SRM 5R−94に準拠し、有孔引張強度を測定した。
(2)断面観察
有孔引張強度に供試した試験片を切り出し研磨した面を、キーエンス製マイクロスコープVHX−100を用い倍率75倍で観察し、試験片幅あたりに観察される0°層および45°層のチャネリング発生箇所をカウントした。チャネリング発生箇所とは、シート状にした構成要素(A)の両側あるいは片側から構成要素(B)を含浸させた際、構成要素(A)である炭素繊維束が2分割以上に割かれ、その箇所に、構成要素(B)であるマトリクス樹脂が充填された箇所を言う。特に、構成要素(C)を混練した構成要素(B)を離型紙などの上にコーティングしたフィルム(F4)を用いて、シート状にした構成要素(A)の両側あるいは片側から構成要素(B)を含浸させて、構成要素(A)に濾されることで表面近傍に構成要素(C)を残す方法において起こり易い。ボルト接合またはリベット接合を行うためリベットやボルトを通すための、孔部が応力集中部となり、更にはチャネリング箇所を起点となってエッジデラミネーションを誘発し、機械的特性を低下させる。
有孔引張強度に供試した試験片を切り出し研磨した面を、キーエンス製マイクロスコープVHX−100を用い倍率75倍で観察し、試験片幅あたりに観察される0°層および45°層のチャネリング発生箇所をカウントした。チャネリング発生箇所とは、シート状にした構成要素(A)の両側あるいは片側から構成要素(B)を含浸させた際、構成要素(A)である炭素繊維束が2分割以上に割かれ、その箇所に、構成要素(B)であるマトリクス樹脂が充填された箇所を言う。特に、構成要素(C)を混練した構成要素(B)を離型紙などの上にコーティングしたフィルム(F4)を用いて、シート状にした構成要素(A)の両側あるいは片側から構成要素(B)を含浸させて、構成要素(A)に濾されることで表面近傍に構成要素(C)を残す方法において起こり易い。ボルト接合またはリベット接合を行うためリベットやボルトを通すための、孔部が応力集中部となり、更にはチャネリング箇所を起点となってエッジデラミネーションを誘発し、機械的特性を低下させる。
[実施例1]
ベース樹脂(構成要素(B))としてエポキシ樹脂(三菱レイヨン株式会社製、「#108樹脂」)に、構成要素(C)としてポリアミド12の粒子(ダイセル・エボニック株式会社製、「VESTOSINT2158」)を構成要素(B)に対し6.5wt%混合(プリプレグの表面近傍におけるポリアミド12の粒子の添加量に換算して、6.5g/m2)し、離型紙上に目付49g/m2でフィルムコーティングしたフィルムを2枚作製した。コーティング面が向かい合うように2枚のフィルムを並べ、2枚のフィルムの間に、強化繊維(構成要素(A))として炭素繊維(三菱レイヨン株式会社製、中弾性タイプ(引張強度5800MPa以上、弾性率290GPa、繊維目付820mg/m)を配置し、加熱プレスロールで加圧して炭素繊維にエポキシ樹脂を含浸させて一方向の一次プリプレグを作製した。この一次プリプレグは、炭素繊維目付190g/m2、ベース樹脂含有率34.0質量%であった。得られたプリプレグを用い、有孔引張強度の測定と、測定後試験片の断面観察を行った。
ベース樹脂(構成要素(B))としてエポキシ樹脂(三菱レイヨン株式会社製、「#108樹脂」)に、構成要素(C)としてポリアミド12の粒子(ダイセル・エボニック株式会社製、「VESTOSINT2158」)を構成要素(B)に対し6.5wt%混合(プリプレグの表面近傍におけるポリアミド12の粒子の添加量に換算して、6.5g/m2)し、離型紙上に目付49g/m2でフィルムコーティングしたフィルムを2枚作製した。コーティング面が向かい合うように2枚のフィルムを並べ、2枚のフィルムの間に、強化繊維(構成要素(A))として炭素繊維(三菱レイヨン株式会社製、中弾性タイプ(引張強度5800MPa以上、弾性率290GPa、繊維目付820mg/m)を配置し、加熱プレスロールで加圧して炭素繊維にエポキシ樹脂を含浸させて一方向の一次プリプレグを作製した。この一次プリプレグは、炭素繊維目付190g/m2、ベース樹脂含有率34.0質量%であった。得られたプリプレグを用い、有孔引張強度の測定と、測定後試験片の断面観察を行った。
[実施例2]
ベース樹脂(構成要素(B))としてエポキシ樹脂(三菱レイヨン株式会社製、「#108樹脂」)に、構成要素(C)としてポリアミド12の粒子(ダイセル・エボニック株式会社製、「VESTOSINT2158」)の混合比率を3.3wt%(プリプレグの表面近傍におけるポリアミド12の粒子の添加量に換算して、2.75g/m2)とした以外は、実施例1と同様にしてプリプレグを作製した。得られたプリプレグを用い、有孔引張強度の測定と、測定後試験片の断面観察を行った。
ベース樹脂(構成要素(B))としてエポキシ樹脂(三菱レイヨン株式会社製、「#108樹脂」)に、構成要素(C)としてポリアミド12の粒子(ダイセル・エボニック株式会社製、「VESTOSINT2158」)の混合比率を3.3wt%(プリプレグの表面近傍におけるポリアミド12の粒子の添加量に換算して、2.75g/m2)とした以外は、実施例1と同様にしてプリプレグを作製した。得られたプリプレグを用い、有孔引張強度の測定と、測定後試験片の断面観察を行った。
[比較例1]
ベース樹脂(構成要素(B))としてエポキシ樹脂(三菱レイヨン株式会社製、「#108樹脂」)のみとした以外は、実施例1と同様にしてプリプレグを作製した。
得られたプリプレグを用い、有孔引張強度の測定と、測定後試験片の断面観察を行った。
ベース樹脂(構成要素(B))としてエポキシ樹脂(三菱レイヨン株式会社製、「#108樹脂」)のみとした以外は、実施例1と同様にしてプリプレグを作製した。
得られたプリプレグを用い、有孔引張強度の測定と、測定後試験片の断面観察を行った。
[比較例2]
ベース樹脂(構成要素(B))としてエポキシ樹脂(三菱レイヨン株式会社製、「#108樹脂」)に、構成要素(C)としてポリアミド12の粒子(ダイセル・エボニック株式会社製、「VESTOSINT2158」)の混合比率を13wt%(プリプレグの表面近傍におけるポリアミド12の粒子の添加量に換算して、11g/m2)とした以外は、実施例1と同様にしてプリプレグを作製した。
得られたプリプレグを用い、衝撃後圧縮強度および有孔引張強度の測定を行った。得られた結果を表1に示す。なお、得られた成形板の厚み方向の断面を光学顕微鏡にて確認したところ、ポリアミド12の粒子は粒子同士が数個融着している状態も観察されたものの、大部分は粒子形状を維持していることが確認された。
ベース樹脂(構成要素(B))としてエポキシ樹脂(三菱レイヨン株式会社製、「#108樹脂」)に、構成要素(C)としてポリアミド12の粒子(ダイセル・エボニック株式会社製、「VESTOSINT2158」)の混合比率を13wt%(プリプレグの表面近傍におけるポリアミド12の粒子の添加量に換算して、11g/m2)とした以外は、実施例1と同様にしてプリプレグを作製した。
得られたプリプレグを用い、衝撃後圧縮強度および有孔引張強度の測定を行った。得られた結果を表1に示す。なお、得られた成形板の厚み方向の断面を光学顕微鏡にて確認したところ、ポリアミド12の粒子は粒子同士が数個融着している状態も観察されたものの、大部分は粒子形状を維持していることが確認された。
表1から明らかなように、各実施例のプリプレグより得られた繊維強化複合材料は、比較例に比べてチャネリング発生数の減少とともに、有孔引張強度の向上が実現できた。
Claims (6)
- 下記構成要素(A)、(B)および(C)を含むプリプレグであって、前記構成要素(C)の含有量が、2.5〜5.5g/m2である、ボルト接合またはリベット接合を行う部材用プリプレグ。
構成要素(A):シート状強化繊維基材
構成要素(B):エポキシ樹脂
構成要素(C):融点が180〜190℃のポリアミド12の粒子 - 前記構成要素(C)が、前記プリプレグの表層に偏在してなる、請求項1に記載のボルト接合またはリベット接合を行うプリプレグ。
- 構成要素(C)の70質量%以上が構成要素(A)の表層に存在する、請求項1または2に記載のボルト接合またはリベット接合を行う部材用プリプレグ。
- 前記構成要素(A)におけるシート状強化繊維基材を構成する強化繊維が炭素繊維である、請求項1から3のいずれかに記載のボルト接合またはリベット接合を行う部材用プリプレグ。
- 請求項1から4のいずれかに記載のプリプレグの2枚以上が積層された積層体の硬化物である、ボルト接合またはリベット接合を行う部材。
- 下記構成要素(A)、構成要素(B)および構成要素(C)を含む強化繊維複合材料であって、構成要素(A)が複数枚積層されており、前記構成要素(C)の含有量が2.5〜5.5g/m2であり、かつ構成要素(C)が構成要素(A)の層間に存在する、ボルト接合またはリベット接合を行う部材用強化繊維複合材料。
構成要素(A):シート状強化繊維基材
構成要素(B):エポキシ樹脂
構成要素(C):融点が180〜190℃のポリアミド12の粒子
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JP2018050385A JP2019163348A (ja) | 2018-03-19 | 2018-03-19 | ボルト接合またはリベット接合を行う部材用プリプレグ、およびボルト接合またはリベット接合を行う部材用強化繊維複合材料 |
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