JP2019161396A - 無線通信装置および無線通信方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】伝送レートの低下を抑えつつ、高い誤り耐性を実現する。【解決手段】本発明の実施形態としての無線通信装置は、データを第1符号化率で符号化して第1符号化データを生成する符号器と、前記第1符号化データを送信する送信部と、前記符号器が前記データを前記第1符号化率と同じもしくは前記第1符号化率より低い第2符号化率で符号化して第2符号化データを生成し、前記送信部が、前記第2符号化データの少なくとも一部を送信するように、前記データの再送制御を行う制御部とを備える。【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、無線通信装置および無線通信方法に関する。
適応変調・符号化(Adaptive Modulation and Coding:AMC)とハイブリッド自動再送制御(hybrid automatic repeat request:HARQ)とをサポートする無線通信システムがある。ハイブリッドARQは、誤り訂正符号と自動再送要求を組み合わせて、再送時の誤り訂正能力を向上させる技術である。例えば、パケットの送信に失敗した場合に、パケットの再送を行う。受信側では、再送されたパケットの尤度情報を、最初に受信したパケットの尤度情報と合成することで、信号品質を改善する。このようなシステムにおいて、送信装置が、パケットの再送を決定した場合に、パケットを再送するのではなく、最初に送信したパケットに適用した第1のMCS(Modulation and Coding Scheme)とは異なる第2のMCSを用いて、パケットを新たに送信する方法がある。
この方法では、パケットの再送に用いる第2のMCSとして、送信装置と受信装置間のチャネル状態等に基づいて、受信装置で正しくパケットが受信できるMCSが選択される。このため、第1のMCSよりも伝送レートの低いMCSが第2のMCSとして選択され、結果として、受信側のスループットが低下する問題がある。
本発明の実施形態は、伝送レートの低下を抑えつつ、高い誤り耐性を実現する無線通信装置および無線通信方法を提供する。
本発明の実施形態としての無線通信装置は、データを第1符号化率で符号化して第1符号化データを生成する符号器と、前記第1符号化データを送信する送信部と、前記符号器が前記データを前記第1符号化率と同じもしくは前記第1符号化率より低い第2符号化率で符号化して第2符号化データを生成し、前記送信部が、前記第2符号化データの少なくとも一部を送信するように、前記データの再送制御を行う制御部とを備える。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図面において同一の構成要素は、同じ番号を付し、説明は、適宜省略する。
図1は本発明の実施形態に係る無線通信装置の一例を示すブロック図である。無線通信装置1は、IEEE802.11の無線LAN規格に従って他の無線通信装置と無線通信を行う。無線LAN規格には、IEEE802.11b/a/g/n/ac/axまたはその後継規格がある。IEEE802.16シリーズなど、他の通信方式に従って通信する無線通信装置も実施可能である。
図2に本実施形態に係る無線通信装置1を備えた無線通信システムの例を示す。無線通信装置1は、IEEE802.11の無線LAN規格に従って他の無線通信装置2と無線通信を行う。他の無線通信装置2は1本以上のアンテナ11を備えている。無線通信装置1は、無線LANのアクセスポイント(AP)であっても、ステーション(STA)であってもよい。無線通信装置1がAPの場合、無線通信装置1は、他の無線通信装置2であるSTAと通信する。また、無線通信装置1がSTAの場合、無線通信装置1は、他の無線通信装置2であるAPと通信する。なお、ダイレクトリンクモードによりSTA同士が直接通信する場合も排除されない。無線通信装置2も図1のブロック図と同様の構成を備えていてもよい。
無線通信装置1はホストシステム3と電気的に接続されており、ホストシステム3が出力するデータを無線通信により搬送する。ホストシステム3の形態としては、タブレット、パソコン、スマートフォン、フィーチャーフォン、ゲーム機、デジタルカメラ、ビデオカメラ、スマートウォッチ、ヘルスバンド、経路誘導装置、事務機器、生体情報モニタ、POS端末、商品管理用端末、非常用発信器、テレメトリー発信器、センサが搭載されたロボット、センサが搭載された車両、センサが搭載されたドローンなどが想定されるが、その他の形態のものであってもよい。
無線通信装置1はアンテナ10と、RF部50と、ベースバンド部100とを備える。
アンテナ10はRF部50と電気的に接続されており、アンテナ10は、RF部50が出力する電気的な信号を電波として送信する。また、アンテナ10が受信する電波はRF部50へ電気的な信号として入力される。
図1ではアンテナ10の1本のみが示されているが、無線通信装置1は複数のアンテナを備えてもよい。この場合、無線通信装置1は、複数のアンテナを用いて、MIMO(Multiple Input,Multiple Output)を行うものであってもよい。また、送信用のアンテナと、受信用のアンテナを、別々に備える構成であってもよい。
アンテナ10の大きさ及び形状は特に限定されない。また、アンテナ10は無線通信装置1に内蔵されるものであっても、外付けされるものであってもよい。アンテナ10としてアレイアンテナを用いてもよい。
RF部50は、局部発振器51と、ミキサ52と、低雑音増幅器(LNA)53と、セレクタ54と、RFアンプ55と、ミキサ56とを含む。RF部50はベースバンド部100からの信号を、ベースバンド周波数から無線周波数に変換し、アンテナ10を用いて送信する。RF部50は、アンテナ10が受信した信号を無線周波数からベースバンド周波数に変換し、ベースバンド部100に転送する。
局部発振器51と、ミキサ52、56は周波数変換に用いられる。低雑音増幅器53は受信された信号を増幅する。RFアンプ55は送信時の信号を増幅する。セレクタ54により、アンテナ10の用途を、信号の受信と送信との間で切り替えることができる。
ベースバンド部100は、符号器111と、マッピング部112と、D/Aコンバータ(DAC)113と、記憶部114と、A/Dコンバータ(ADC)120と、デマッピング部121と、復号器122と、合成部123と、記憶部124と、制御部127と、ホストインタフェース128とを含む。
このうち、符号器111、マッピング部112、D/Aコンバータ113、記憶部114は、ベースバンド部100の送信機能に関わる構成要素であり、送信部101に含まれる。
また、A/Dコンバータ120、デマッピング部121、復号器122、合成部123、記憶部124は、ベースバンド部100の受信機能に関わる構成要素であり、受信部102に含まれる。
図1のRF部50およびRF部50内の各要素、ベースバンド部100およびベースバンド部100内の各要素、およびホストシステム3は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサで動作するソフトウェア(プログラム)によって構成されてもよいし、専用回路等の専用ハードウェアによって構成されてもよいし、これらの組み合わせによって構成されてもよい。図1の無線通信装置は、ソフトウェアを実行するプロセッサと、ソフトウェアおよびデータを記憶するメモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を備えていてもよい。
ホストインタフェース128は、無線通信装置1とホストシステム3との間での電気信号の送受信を行う手段を提供する。ホストインタフェース128の例としては、PCI Express、USB、UART、SPI、SDIOなどがあるが、その他の規格によるインタフェースを用いてもよい。
制御部127は、MAC層および物理層の処理を行う。例えば送信するパケットの生成処理、生成したパケットの送信処理、受信したパケットの誤り検出処理、送達確認応答の処理、適応変調制御、再送制御(ハイブリッドARQの制御)を行う。
符号器111は、制御部127から提供される送信用のデータを含むパケットを符号化処理する。誤り訂正符号の種類には、大きくブロック符号と畳み込み符号がある。本実施形態ではいずれの符号も可能である。ブロック符号の例として、LDPC(Low Density Parity Code)、 リードソロモン符号などがある。畳み込み符号の例として、BCC(Binary Convolution Code)がある。符号器111で符号化処理する前にパケットのビット系列を、所定のスクランブル初期値に基づきスクランブルすることも可能である。本実施形態では説明を簡単にするため、スクランブルを考慮しないが、スクランブルする場合も何ら本発明の実施は制限されない。
図3(A)にブロック符号、図3(B)に畳み込み符号の例を示す。いずれもkビットのデータを、nビットのデータに符号化する例を示している。この場合、符号化率R=k/nである。n>kである。“>”は左辺が右辺よりも大きいことを表す不等号である。Rが小さいほど、すなわち、低符号化率ほど、誤り訂正能力は高い。図3(A)に示すブロック符号では、送信するデータの末尾に、パリティを付加する。送信するデータは情報部であり、パリティは情報部を保護する役割を有する冗長部である。データは、複数のビットからなるビット列である。パリティは複数のビットからなるビット列である。このように、kビットのデータの符号化率Rによるブロック符号化により生成される符号化データは、情報部(データ)と冗長部(パリティ)とを含むnビットのビット列である。図3(B)に示すように、kビットのデータを符号化率Rにより畳み込み符号化して得られる畳み込み符号化データは、nビットのビット列である。
図4は、ブロック符号としてLDPC符号による符号化の例を概略的に示す。送信するデータを一定のビット数ごとのデータに分割し、分割したデータに対してLDPC符号化することにより、当該分割したデータを保護するパリティを生成する。分割したデータと、その末尾に付加されるパリティとを含むLDPCフレームが、分割したデータごとに生成される。LDPCフレームは、分割されたデータ(情報部)とパリティ(冗長部)とを含む。パリティの長さと、分割のサイズ(分割されたデータの長さ)は、符号化率Rにより決定される。
また、符号化の手法の1つに、パンクチャド符号がある。パンクチャド符号とは、ある符号化則に則って、情報部を符号化した後にビットを所定のパターンで間引く(パンクチャド処理と呼ぶ)ことで、任意の符号化率を達成する符号化方法である。パンクチャド処理を行うことで、パンクチャド処理を行わない場合よりも、高い符号化率を達成できる。間引きのパターンは、送信側と受信側で共通に認識されていれば、どのようなものでもかまわない。
図5(A)にパンクチャド処理を行わない場合の符号化データ、図5(B)にパンクチャド処理を行った場合の符号化データの例を示す。誤り訂正符号の種類は、ブロック符号および畳み込み符号のどちらでもよい。前述したBCCの場合、パンクチャド処理も含んでいる。図5(A)に示すように、パンクチャド処理を行わない場合、kビットのデータを符号化して、符号化データ(nビット)を生成する。図5(B)に示すように、パンクチャド処理を行う場合、同様にして、符号化データ(nビット)を生成した後、さらにビットを間引く。図ではハッチングされた矩形が間引かれるビットに対応する。これにより、nビットよりも小さく、kビットよりも大きな符号化データ(n’ビット)が得られる。n>n’>kである。
記憶部114は、パケットの符号化に用いられた符号の種類、パンクチャド処理の実行有無、符号化率、ブロック符号のフレーム長といった、符号化の条件の情報を、パケットに関連づけて記憶する。例えば符号化条件を、パケットの送信元アドレス、送信先アドレスおよびシーケンス番号等の組に関連づける。あるいは、このような関連付けを行うことなく、記憶部114には、直前に送信したパケットの符号化条件の情報のみを記憶するようにしてもよい。記憶部114への記憶の制御は、制御部127または符号器111により行われる。
記憶部114は、例えばNANDフラッシュメモリ、NORフラッシュメモリ、MRAM、ReRAM,ハードディスク、光ディスクなどの不揮発性記憶デバイス又はレジスタ、SRAM、DRAMなどの揮発性記憶デバイスのいずれか又はそれらの組み合わせから構成される。
マッピング部112は、符号器111の出力するビット系列を変調する。マッピング部112の用いる変調方式は、一例としてASK(amplitude shift keying)、BPSK(binary phase shift keying)、FSK(frequency shift keying)又はQAM(quadrature amplitude modulation)などが挙げられるが、その他の方式を用いてもよい。
マッピング部112は更に必要に応じて2次変調を行ってもよい。2次変調方式としてはDS(direct sequence)、FH(frequency hopping)、TDMA(time division multiple access)、FDMA(frequency division multiple access)、CDMA(code division multiple access)又はOFDM(orthogonal frequency−division multiplexing)などがあるが、どの方式であってもよい。以下の説明では、ここで挙げたような2次変調は行っていない場合を想定する。
D/Aコンバータ113は、マッピング部112が出力したデジタルの変調信号をアナログ信号に変換する。D/Aコンバータの回路方式には電流出力型、抵抗ラダー型、デルタシグマ型などがあるが、その他の方式のものであってもよい。
D/Aコンバータ113が出力したアナログ信号は、RF部50により無線周波数へのアップコンバートおよび電力増幅された後、アンテナ10より送信される。
制御部127は、相手の無線通信装置2に送達確認応答を必要とするパケットを送信してから一定期間経過しても肯定応答を受信しない場合、もしくは、否定応答を受信した場合は、パケットの送信に失敗したことを決定する。この場合、当該パケットについて再送制御を行う。再送制御として、当該パケットと合成すべきパケット(合成用パケット)を生成し、生成した合成用パケットを送信する。合成用パケットは、当該パケットと同一データを含む再送パケットの場合もあるし、その他の態様もある。なお、再送パケットは、最初に再送信されるパケットのみならず、同一データに係る2度目以降に再送信されるパケットの場合も含む。受信側では、パケットの合成演算(詳細は後述)を行うことで、ビット誤り除去の効果を高めることができる。再送制御の際、変調方式は、初送時と同じものを用いるとするが、符号化率は後述するように低く変更される場合もある。
肯定応答を受信するまで(あるいは否定応答を受信しなくなるまで)、制御部127は、再送制御として、同一データに係る合成用パケットの送信を繰り返す。受信側は、尤度情報合成と復号の処理を繰り返してもよい。同一データに係る合成用パケットの再送回数に制限を設け、再送回数がしきい値に達した場合に、合成用パケットの送信を打ち切るようにしてもよい。同一データに係る合成用パケットを再送信し、受信側では、尤度の合成演算を繰り返すことで、ビット誤り除去の効果を高めることができる。
A/Dコンバータ120は、通信相手となる他の無線通信装置2から受信したパケットの電気信号(アナログ信号)を、サンプリング周波数で標本化し、その振幅を量子化する。これによりアナログ信号がデジタル信号へ変換される。A/Dコンバータの方式としては、フラッシュ型やパイプライン型のものがあるが、その他の方式のものを用いてもよい。
デマッピング部121は、A/Dコンバータ120から出力されたデジタル信号のそれぞれのビットを“1”又は“0”となる確率の対数尤度比(Log Likelihood Ratio:LLR)に変換する。以降では対数尤度比を尤度情報と呼ぶことにする。
尤度情報は、受信されたデジタル信号のそれぞれのビットの値が“1”である確率と、“0”である確率のいずれが高いのかを示す軟値である。尤度情報は、符号を表すビットと、振幅を表す複数のビットとを含むビット列である。例えば、正の符号で振幅が大きい場合には、データが“1”である確率が高く、負の符号で振幅が大きい場合には、データが“0”である確率が高いといえる。一般に、無線通信信号は、伝搬路におけるフェージングや無線機の雑音の影響で歪んでいるため、デマッピング部121は、これらの歪・雑音の影響を加味して尤度情報を算出する。
データの信頼度情報を表すのであれば、対数尤度比以外の尤度を用いることも排除されない。
記憶部124は、デマッピング部121により生成された尤度情報を保存する。記憶部124は、複数のパケットに関する尤度情報を保存してもよい。一例として、あるデータについて最初に送信側から送信されたパケット(初送パケット)の尤度情報と、同一データについて送信側の無線通信装置から再送制御により送信されたパケット(合成用パケット)の尤度情報とがある。
記憶部124は、例えばNANDフラッシュメモリ、NORフラッシュメモリ、MRAM、ReRAM,ハードディスク、光ディスクなどの不揮発性記憶デバイス又はレジスタ、SRAM、DRAMなどの揮発性記憶デバイスのいずれか又はそれらの組み合わせから構成される。
復号器122は、デマッピング部121から出力された尤度情報を、送信側の符号器で使われた誤り訂正符号に対応した復号方式で、誤り訂正復号する。これにより、復号器122は、復号データ(バイナリデータ)であるパケットを得る。復号器122により復号されたパケットは、制御部127に供給される。なお、送信側でパケットのビット列のスクランブルを行った場合、受信側でもこれに応じてデスクランブルを行う必要がある。デスクランブルは、復号器122の後段および前段で行う構成のいずれも可能である。
制御部127は、復号器122から提供されたパケットの誤り検査を行う。一例として、MACフレームのFCSフィールドに格納されているCRCを参照し、フレームにビット誤りがあるかのCRC検査を行う。制御部127は、送信側の無線通信装置から送達確認応答を必要とするフレームを受信し、フレームの検査に成功した場合(CRC検査結果がOK)、肯定応答を送信側へ送信する。肯定応答のフレームの種類には、一例としてACKフレームまたはBlock ACKフレームがあるが、これら以外に独自のフレームを定義してもかまわない。制御部127は、受信したフレームのボディフィールドに含まれるデータを、ホストインタフェース128に転送する。ホストインタフェース128に転送されたデータは、更に所定のプロトコル(例えばTCP/IP)に従ってホストシステム3に転送される。
制御部127は、フレームにビット誤り(CRCエラー)が存在する場合、ビット誤りを含むデータを破棄する。制御部127は、送信側の無線通信装置に否定応答を送信する処理を行ってもよい。否定応答のフレームの例としては、NACK(Negative Acknowledge)がある。
通信相手となる他の無線通信装置2から初送パケットの受信に失敗した場合、上述したように、再送制御として当該他の無線通信装置2から合成用パケットが受信される。合成部123は、当該合成用パケットの尤度情報と、記憶部124に保存しておいた初送パケットの尤度情報を合成する。合成した尤度情報を、デマッピング部121に返す。尤度情報の合成には様々な態様があり、詳細は後述する。デマッピング部121は、合成した尤度情報を復号器122に提供する。合成した尤度情報は、記憶部124に保存する。
記憶部124に保存された合成された尤度情報は、次回の合成演算の対象としてもよい。つまり合成された尤度情報を用いて、復号を行っても、ビット誤りが完全に除去できない場合がある。このような場合には、合成用パケットの再々送(例えば初送パケットと同じデータを含むパケットの再々送)を行い、再々送された合成用パケットの尤度情報を、記憶部124に保存しておいた合成された尤度情報と合成演算する。新たに得られた合成された尤度情報を用いて復号する。同様の処理を繰り返し、3回以上の尤度合成演算を行ってもよい。このように合成演算を行うことで、ビット誤り除去の効果を高めることができる。具体的には、ノイズなどによって尤度情報の振幅へランダムに現れた歪みを打ち消すことができる。このため、何回目かの試行で、CRCエラーが検出されなくなり、ビット誤りがなくなることが期待される。
以上が、本実施形態に係る無線通信装置の基本的な構成および動作である。本実施形態は、再送制御(ハイブリッドAQR)を実行するに際して、符号化の種類およびパンクチャド処理の有無など、符号化の条件に応じた、再送処理の方法および尤度情報の合成方法を新たに提案する。これにより、伝送レートの低下を抑制しつつ、高い復号精度(誤り耐性)を実現することを特徴とする。以下、このような本実施形態に特徴となる動作について、符号化の条件で場合分けして、説明する。
(再送制御の第1の例)
符号化の条件として、符号の種類が、ブロック符号であり、パンクチャド処理は無し、ブロック符号のフレーム長が固定であるとする。ここではブロック符号はLDPC符号であり、フレームは、LDPCフレーム(図4参照)である。
符号化の条件として、符号の種類が、ブロック符号であり、パンクチャド処理は無し、ブロック符号のフレーム長が固定であるとする。ここではブロック符号はLDPC符号であり、フレームは、LDPCフレーム(図4参照)である。
この条件では、合成用パケットとして、初送パケットの再送を行う。すなわち、再送パケットを送信する。この際、再送パケットの符号化に適用する符号化率として、初送パケットの符号化に適用した符号化率と同じ値を用いる。符号器111は、この符号化率で、再送パケットの符号化を行う。符号化率が異なると、初送・再送パケットのパリティは全く異なる系列となるため、誤り率特性改善効果は得られないためである。以下、このことについて図6を用いて説明する。
図6は、初送と再送とで同じ符号化率を用いる場合と、異なる符号化率を用いた場合の尤度情報合成可否を説明する図である。フレーム長は、初送と再送とで同じである。図6(A)に示すように、初送時は、ある符号化率によって、情報部であるデータ1を符号化して,冗長部であるパリティ1を生成する。データ1とパリティ1とを含むLDPCフレームが生成される。再送の際は、初送時と同じ符号化率を用いてデータ1を符号化することで、同じパリティ1が生成される。従って、データ1およびパリティ1とも受信側で尤度情報の合成を行うことで、復号精度の改善が期待できる。一方、図6(B)に示すように、再送時に初送時と異なる符号化率を用いた場合、初送時と同じフレーム長との条件では、符号化の対象となるデータがデータ1よりも短くまたは長くなり、生成されるパリティも、パリティ1とは全く異なるものになる。図の例では、初送時より低い符号化率が適用された場合が示されており、符号化の対象となるデータは、データ1よりも短く、パリティ1よりも長いパリティ2が生成される。したがって、データ1の一部については尤度情報の合成が可能であるものの、それ以外の部分については初送時と再送時とで全く異なるビット系列となるため、尤度情報の合成を行っても、復号精度の改善は期待できない。
よって、初送・再送パケット間でブロック符号のフレーム長が同じ場合には、再送時に初送時と同じ符号化率を適用すれば、初送・再送パケットのパリティが同じになり、情報部(データ)、冗長部パリティ部の両方を合成することが可能となり、良好な誤り率特性が得られる。
ここで本再送制御例における合成部123で行う尤度情報の合成について説明する。一例として、下記の式(1)のような線形演算を行う(重み付け合計を計算する)方法がある。
ここで、Lgは新たな尤度情報、Mは演算対象とする尤度情報の数であり、L1は1つめの尤度情報、L2は2つめの尤度情報、LMはM個目の尤度情報に対応する。w1、w2、・・・、wMは、尤度情報の重みづけ定数である。Nは尤度情報のビット数であり、式(1)を用いる場合には、N個目のビットまで、尤度情報のそれぞれのビットiについて線形演算を行う。
(再送制御の第2の例)
第1の例では、ブロック符号のフレーム長が固定であったが、本再送制御例では、ブロック符号のフレーム長が非固定であるとする。その他の条件は第1の例と同じである。すなわち、符号の種類は、ブロック符号であり、パンクチャド処理は行わない。
第1の例では、ブロック符号のフレーム長が固定であったが、本再送制御例では、ブロック符号のフレーム長が非固定であるとする。その他の条件は第1の例と同じである。すなわち、符号の種類は、ブロック符号であり、パンクチャド処理は行わない。
初送と再送とでフレーム長が異なる場合、受信側で初送と再送間で尤度情報の合成を行うためには、情報部の長さおよび値が同じであり、かつ、少なくとも再送時に生成されるパリティの一部が、初送時のパリティに一致する必要がある。この条件を満たすためには、再送時のフレーム長を、初送時のフレーム長より大きくし、再送時の符号化率を、初送時の符号化率より低くする。符号化率が低くなることで、情報部に対しパリティ部の割合が増えて、低符号化率による復号精度の改善効果が得られる。
図7に、再送時に初送時よりも低い符号化率を適用した場合の情報部と冗長部との関係を示す。再送時のフレーム長は、初送時より長い。初送時は、ある符号化率によって、情報部であるデータ1を符号化して、冗長部であるパリティ1を生成する。再送時は、初送時より長いフレーム長、かつ初送時より低い符号化率で、符号化を行う。符号化の対象となる情報部は、初送時と同じデータ1である。データ1に対して、初送時より低い符号化率で符号化することで、パリティ2が生成される。パリティ2は、パリティ1よりも長く、その先頭側の一部(区間P1の部分)は、パリティ1と同じである。データ1とパリティ2とを含むフレームが生成され、当該フレームの少なくとも一部(ここではフレームの全部)を含む合成用パケットを送信する。従って、受信側では、データ1およびパリティ1については、初送パケットと合成用パケット間で尤度情報の合成を行い、パリティ2のうち区間P1以外の区間P2の部分については尤度情報の合成を行わずに、区間P2の部分の尤度情報をそのまま復号する。これにより、尤度情報合成による復号精度の改善のみならず、低符号化率による復号精度の改善効果を得ることができる。
(再送制御の第3の例)
再送制御の第2の例では、再送制御としてデータ1とパリティ2とを含むフレームの全部を送信したが、再送制御の第3の例では、フレームの一部を送信する。具体的には、フレームのうちパリティ2を含む合成用パケットを送信し、データ1の送信は行わない。すなわち、本再送制御例における合成用パケットは、パリティ2を含み、データ1は含まない。
再送制御の第2の例では、再送制御としてデータ1とパリティ2とを含むフレームの全部を送信したが、再送制御の第3の例では、フレームの一部を送信する。具体的には、フレームのうちパリティ2を含む合成用パケットを送信し、データ1の送信は行わない。すなわち、本再送制御例における合成用パケットは、パリティ2を含み、データ1は含まない。
図8は、再送制御の第3の例の説明図である。上記の再送制御の第2の例との差分を中心に説明する。送信側の無線通信装置は、初送時は、再送制御の第2の例と同様に、データ1とパリティ1とを含むパケット(初送パケット)を送信する。再送時は、初送時より低い符号化率で、初送時と同じデータ1を符号化してパリティ2を生成する。ここまでは再送制御の第2の例と同様であるが、本再送制御例では、この後、データ1は送信せず、パリティ2を送信する点が、再送制御の第2の例と異なる。
受信側の無線通信装置は、送信側の無線通信装置からの初送時は、データ1とパリティ1の尤度情報のうち、少なくともデータ1の尤度情報を、記憶部124に保存しておく。受信側の無線通信装置は、送信側の無線通信装置からパリティ2を受信すると、合成部123は、記憶部124に保存しておいたデータ1の尤度情報を読み出し(図8(B)のR1)、読み出した尤度情報の末尾に、受信したパリティ2の尤度情報を追加する。復号器122は、データ1の尤度情報と、その末尾に付加されたパリティ2の尤度情報とに基づき復号を行う。本再送制御例における尤度情報の合成は、読み出した尤度情報の末尾に、受信したパリティ2の尤度情報を追加することを意味する。
本再送制御例によれば、送信側の無線通信装置は、再送処理時はパリティ2のみを送るだけでよいため、伝送レートの低下を抑制しつつ、低い符号化率による復号精度の改善効果を得ることができる。
本再送制御例の変形例として、受信側の無線通信装置は、パリティ2の尤度情報のうち、パリティ1と同じビット系列に係る部分(図7の区間P1を参照)を、記憶部124に保存しておいたパリティ1の尤度情報と合成(ここでの合成は、第1または第2の例と同様重み付け合計などの演算を意味する)してもよい。これにより、より一層の復号精度の改善が期待できる。
(再送制御の第4の例)
符号化の条件として、符号の種類が、畳み込み符号であり、パンクチャド処理は有り、フレーム長は固定であるとする。
符号化の条件として、符号の種類が、畳み込み符号であり、パンクチャド処理は有り、フレーム長は固定であるとする。
図9は、再送制御の第4の例の説明図である。図9(A)に示すように、送信側の無線通信装置は、初送時は、データを畳み込み符号化し、畳み込み符号化データにパンクチャド処理を行うことによりビット(c2、c4、c6)を間引く。間引いたビットを、間引きビットと呼ぶ。間引きビットは、送信側の無線通信装置の記憶部114に保存しておく。この際、畳み込み符号化データにおける間引きビットの位置(並び順)の情報も保存する。図では、間引きビットをハッチングの矩形で示している。送信側の無線通信装置は、間引き後に残ったビット(c1、c3、c5、c7)を再配置(R2)した符号化データを送信する。再配置とは、間引きにより空いたビットを詰めることである。再送制御時は、記憶部114に保存しておいた間引きビット(c2、c4、c6)を元の並び順を維持して配置(R3)して間引きビット列とし、間引きビット列を送信する。
受信側の無線通信装置は、送信側の無線通信装置からの初送時においては、間引き後の符号化データを受信し、符号化データの尤度情報を、記憶部124に保存する。復号の際は、図9(B)に示すように、符号化データの尤度情報に対して、間引きビットに対応する位置に、予め定めた尤度情報(f1、f2、f3)を追加(補完)する。図におけるドットの矩形が、追加した尤度情報に対応する。パンクチャド処理の間引きのパターンは、予め送信側と受信側で共通に認識されているため、受信側は間引きビットの位置を把握できる。間引きビットの位置に追加する上記予め定めた尤度情報(f1、f2、f3)は、例えば全ビットが0のビット列(符号ビットが0で、振幅のビットもすべて0)とする。これは、間引きビットの位置に対して欠損があったと見なした処理を行っていることに相当する。デマッピング部121は、間引きビットの位置に対して補完が行われた後の尤度情報を復号器122に提供する。復号器122は、提供された尤度情報を復号し、パケットを得る。制御部127は、パケットの誤り検査を行う。
受信側の無線通信装置は、送信側の再送制御により、上記の間引きビット(c2、c4、c6)を配置(R3)した間引きビット列を受信する。合成部123は、記憶部124に保存しておいた間引き後の符号化データ(c1、c3、c5、c7)の尤度情報を読み出し(R4)、読み出した尤度情報に対し、図9(B)に示すように、間引きビットに対応する位置に、受信した間引きビット列(c2、c4、c6)の尤度情報(図のハッチングの矩形に対応)を追加する。つまり、初送時には予め定めた尤度情報により、符号化データの尤度情報を補完したが、再送処理時では、受信した間引きビット列の尤度情報により、符号化データの尤度情報を補完する。デマッピング部121は、補完後の尤度情報を復号器122に提供する。復号器122は、提供された尤度情報を復号し、パケットを得る。制御部127は、パケットの誤り検査を行う。
本再送制御例によれば、再送処理時はパンクチャド処理で間引いたビットを含む間引きビット列のみを送信するだけでよいため、伝送レートの低下を抑制できる。また、受信側では、初送時の符号化データに加えて、間引きビット列を用いて復号を行うことで、低符号化率による復号精度の改善効果を得ることができる。
本再生制御例ではフレーム長が固定としたが、フレーム長が非固定の場合も可能である。この場合、フレーム長を再送制御時に長くし、畳み込み符号化により生成されるビット列の一部が、初送時の畳み込み符号化により生成されるビット列と一致するものとする。再送制御時は、上記の間引きビット列に加えて、初送時よりも符号化により増えたビット列(初送時と再送制御時に生成されたビット列の差分)を送信すればよい。
(再送制御の第5の例)
上述した再送制御の第4の例では、符号化の条件として、符号の種類が、畳み込み符号であったが、畳み込み符号でなくブロック符号を用いることも可能である。本再送制御例ではブロック符号としてLDPC符号の場合の動作を説明する。その他の条件は再送制御の第4の例と同じである。すなわち、パンクチャド処理は有り、フレーム長は固定である。
上述した再送制御の第4の例では、符号化の条件として、符号の種類が、畳み込み符号であったが、畳み込み符号でなくブロック符号を用いることも可能である。本再送制御例ではブロック符号としてLDPC符号の場合の動作を説明する。その他の条件は再送制御の第4の例と同じである。すなわち、パンクチャド処理は有り、フレーム長は固定である。
図10は、再送制御の第5の例の説明図である。図10(A)に示すように、送信側の無線通信装置において、初送時は、情報部であるデータ(d1、d2、d3)をブロック符号化し、冗長部であるパリティ(p1、p2、p3、p4)を生成する。パリティに対してパンクチャド処理をして、パリティからビット(p1、p3)を間引く。データからはビットを間引かない。間引いたビットを、間引きビットと呼ぶ。送信側の制御部127は、間引きビット(p1、p3)を、記憶部124に保存する。この際、間引きビットの位置(並び順)の情報も保存する。図では、パリティのうち、間引きビット(p1、p3)をハッチングの矩形で示し、間引かれなかったビット(p2、p4)を複数の縦線のパターンで埋められた矩形で示している。送信側の無線通信装置は、データと、間引き後のパリティとを配置(R5)した符号化データを生成し、生成した符号化データを送信する。再送処理時は、記憶部124に保存しておいた間引きビット(p1、p3)を元の並び順を維持して配置(R6)した間引きビット列を送信する。
受信側の無線通信装置は、送信側の無線通信装置からの初送時においては、間引き後の符号化データ(d1、d2、d3、p2、p4)を受信し、受信した符号化データの尤度情報(データの尤度情報と、パリティ部のうち間引きされなかったビットの尤度情報)を、記憶部124に保存する。復号の際は、図10(B)に示すように、符号化データの尤度情報に対して、間引きビットに対応する位置に、予め定めた尤度情報f1、f2を追加(補完)する。図におけるドットの矩形が、追加した尤度情報に対応する。パンクチャド処理の間引きのパターンは、予め送信側と受信側で共通に認識されているため、間引きビットの位置を把握できる。上記予め定めた尤度情報は、例えば全ビットが0のビット列(符号ビットが0で、振幅のビットもすべて0)とする。デマッピング部121は、間引きビットの位置に対して補完が行われた後の尤度情報を復号器122に提供する。復号器122は、提供された尤度情報を復号し、パケットを得る。制御部127は、パケットの誤り検査を行う。
受信側の無線通信装置は、送信側の再送制御により、間引きビット列(p1、p3)を受信する。合成部123は、記憶部124に保存しておいた間引き後の符号化データ(d1、d2、d3、p2、p4)の尤度情報を読み出し(R7)、読み出した尤度情報に対し、図10(B)に示すように、間引きビットに対応する位置に、受信した間引きビット列(p1、p3)の尤度情報(図のハッチングの矩形に対応)を追加する。つまり、初送時には予め定めた尤度情報により、符号化データの尤度情報を補完したが、再送処理時では、受信した間引きビット列の尤度情報により、符号化データの尤度情報を補完する。デマッピング部121は、補完後の尤度情報を復号器122に提供する。復号器122は、提供された尤度情報を復号し、パケットを得る。制御部127は、パケットの誤り検査を行う。
本再送制御例によれば、再送制御時は、送信側の無線通信装置は、パリティから間引いたビットを配置した間引きビット列のみを送るだけでよいため、伝送レートの低下を抑制できる。また、受信側では、また、受信側では、初送時の符号化データに加えて、間引きビット列を用いて復号を行うことで、低符号化率による復号精度の改善効果を得ることができる。
本実施形態に係る無線通信装置は、初送時に使用する符号化の条件等に応じて、前述した第1〜第5の例で述べた再送制御の動作を選択的に実行できる。以下、符号化の条件に応じた再送制御を選択的に行う処理のフローを説明する。
図11は、符号化の条件に応じた再送制御を選択的に行う処理のフローチャートである。送信側の無線通信装置において初送パケットを送信する。肯定応答が一定時間以内に返ってこないこと、あるいは再送要求(NACなど)を受信したことにより、制御部127は、初送パケットの送信に失敗したと判断する(S101)。制御部127は、再送制御を実行するかどうかを判断する(S102)。
判断の方法は特に限定されないが、一例として、過去の通信履歴における一定期間または一定回数の送信における誤り率を利用してもよい。例えば、誤り率が閾値以下の場合は、今回の誤りは一時的なものと判断し、再送制御を実行しないと決定してもよい。逆に、誤り率が閾値より大きい場合は、MCSを変更しただけでは送信に失敗する可能性が高いため、再送制御を実行することを決定してもよい。誤り率以外にも、誤りの頻度を表す指標であれば、他の指標も可能である。例えば、過去の連続した複数回の送信のうち誤りが発生した回数などがある。上記の誤り率に代えて、当該回数を閾値と比較して、同様の判断を行ってもよい。ここで説明した判断方法は一例であり、他にも様々な方法が可能である。
再送制御を実行しないと決定した場合(S102のNO)、送信に失敗したデータを含む新規のパケットを、高信頼なMCS(変調方式および符号化率)で送信する(S103)。例えば、変調方式として変調シンボルの割当ビット数が少ない変調方式を用いたり、より低い符号化率を用いることができる。
再送制御を実行することを決定した場合は(S102のYES)、初送の符号化に用いた符号の種類、パンクチャド処理の有無、および符号化率を記憶部114にアクセスして参照する(S104)。
初送時の符号の種類が畳み込み符号かつパンクチャド処理有りかつフレーム長が固定である場合、もしくは、初送時の符号の種類がブロック符号かつパンクチャド処理有りかつフレーム長が固定である場合は(S105のYES)、ステップS106に進む。ステップS106では、当該いずれの場合も、再送時には、初送時の符号化時に間引いたビットを配置した、間引きビット列を送信する(S106)。前提として、前者の場合は、初送時に、畳み込み符号化により生成された符号化データからパンクチャド処理でビットを間引き、間引き後の符号化データを送信しているものとする(再送制御の第4の例参照)。後者の場合、初送時には、ブロック符号化により生成されたパリティからパンクチャド処理でビットを間引き、データと間引き後のパリティとを含む符号化データを送信しているものとする(再送制御の第5の例参照)。
初送時の符号の種類がブロック符号、パンクチャド処理無し、フレーム長が固定の場合は(S107のYES)、再送制御の第1の例と同様に、初送時と同じ符号化率を選択し、初送時と同じフレーム長でブロック符号化する(S108)。そして、当該生成した符号化データを送信する。
初送時の符号の種類がブロック符号、パンクチャド処理無し、フレーム長が非固定の場合(S109)、再送制御の第2の例と同様に、初送時の符号化率より低い符号化率を選択する(S110)。そして、初送時と同じデータを当該選択した符号化率で符号化して、パリティを生成し、データとパリティとを含む符号化データを生成する(同S110)。この際、生成されるパリティは、初送時のパリティより長く、その一部が、初送時のパリティの一部に一致する。そして、生成した符号化データを送信する。あるいは、再送制御の第3の例と同様に、再送制御時には、当該パリティのみを送信してもよい(同S110)。
もし、フローチャートのいずれの条件にも合致しない場合は、再送制御を実行しないと決定された場合と同様の処理(S103)を行ってもよい。
図11のフローチャートの動作では、送信側の無線通信装置が再送制御の実行有無を決定したが、受信側の無線通信装置で決定してもよい。受信側の無線通信装置の制御部127は、パケットの誤り検査を行い、誤りを検出すると、再送制御を実行するかどうかを判断する。判断の方法は、図11のフローチャートで説明した方法と同様の方法を用いることができる。
再送制御を実行することを決定した場合は、再送制御の実行に必要な情報を決定し、決定した情報を含むパケットを、受信したパケット(誤りが検出されたパケット)に対する応答として送信する。
例えば、再送制御の実行要求を含む応答パケットを送信する。この際、初送時の符号化条件が、ブロック符号、パンクチャド処理無し、フレーム長が非固定の場合(再送制御の第2の例に対応)に、初送の符号化率よりも低くい符号化率を、再送処理時に適用する符号化率として選択し、選択した符号化率の識別情報を応答パケットに設定してもよい。また、符号化率とともに、再送制御時に用いるフレーム長を決定し、決定したフレーム長を応答フレームに設定してもよい。この際、再送制御時に用いるフレーム長は、初送時に用いたフレーム長よりも長くする。
応答パケットの具体例として、無線LANの場合、BA(BlockAck)フレームを用いることができる。この場合、応答する側の無線通信装置は、BAフレームに、今回受信したパケットの受信に失敗した(誤りが検出された)ことを示す情報とともに、再送制御の実行に必要な情報を設定する。
送信側の無線通信装置は、受信側の無線通信装置から受信した応答パケットに基づき、再送制御の実行が要求されていることを把握すると、図11のフローチャートの処理に従って、再送制御を実行すると決定した場合の動作を行う。
ここで無線LANで用いられるパケットフォーマットでは、初回の送信と再送とで値が変わるフィールドが存在し得る。このため、合成部123は、各フィールドについて、合成演算対象とするか否かを判断するようにしてもよい。
図12は無線LANで用いられるパケットフォーマットにおいて、尤度合成演算の対象とするフィールドを説明するための図である。
パケットフォーマット801は、物理層のパケットのフォーマット例である。パケットの先頭から順に、物理層の制御に必要なプリアンブル、ヘッダ、ペイロードが配置されている。(データフォーマット801のプリアンブルとヘッダを合わせてプリアンブルと呼ぶ場合もある。)このうち、送信側での任意の誤り訂正符号による符号化ペイロードに対して行われる。ここで用いる任意の誤り訂正符号には、LDPC、BCC、ターボ符号などがある。
フレームフォーマット802は、データリンク層におけるIEEE802.11規格のPSDU(Physical Layer Data Unit)フレームのフォーマットである。先頭から順に、サービスフィールド、MACヘッダ、データ本体であるフレームボディ、FCS(Frame Check Sequence)が配置されている。FCSには、受信側でパケットのビット誤り検出に用いられるチェックサム符号が格納される。チェックサム符号の例としてはCRC(Cyclic Redundancy Check)などが挙げられる。
フレームフォーマット803は、LDPC符号化されたフレームのフォーマットである。
合成部123で、ビット誤り率低減の効果を得るためには、もとのパケットと再送パケットで値が変化するフィールドを避けて、尤度の合成演算をする必要がある。
例えば、PSDUフレーム802におけるサービスフィールドはスクランブル初期値を含んでいるため、以前のデータ送信時と同一データの再送信時とでは値が変化している可能性がある。
また、MACヘッダには、例えば、受信したパケットが再送であるか否かの属性を示すフレームコントロールフィールドが存在する。再送パケットの場合は値が“1”となり、初回送信時の場合は値が“0”となるため、MACヘッダも値が変化するフィールドであるといえる。
FCSにはMACヘッダとフレームボディとを用いて算出されるCRCが格納されており、MACヘッダの値が変化する場合には、それに伴ってFCSの値も変わる。
したがって、合成演算に使うことができるのは、このフレームフォーマット例では、フレームボディフィールドである。ただし、MACヘッダでは値が初送と再送で変わらないサブフィールドもあり得る。その場合、そのようなサブフィールドも合成演算の対象とすることが可能である。
実際の処理においては、LDPC符号の場合は、図12のフォーマット803に示したLDPC符号化されたLDPCフレーム1、2、・・・、Mが入力されるため、デマッピング部121は、これらのLDPCフレームの中で、合成演算の対象となるフィールドに対応する部分を抽出すればよい。ここではLDPC符号を例にして説明したが、畳み込み符号など、他の符号の場合も同様に、合成演算の対象となるフィールドに対して本実施形態に係る合成演算を行えばよい。
なお、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、各実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1 無線通信装置
3 ホストシステム
10 アンテナ
50 RF部
51 局部発振器
52 56 ミキサ
53 低雑音増幅器
54 セレクタ
55 RFアンプ
100 ベースバンド部
101 送信部
102 受信部
111 符号器
112 マッピング部
113 D/Aコンバータ
120 A/Dコンバータ
121 デマッピング部
122 復号器
123 合成部
114 124 記憶部
127 制御部
128 ホストインタフェース
801 802 803 フォーマット
3 ホストシステム
10 アンテナ
50 RF部
51 局部発振器
52 56 ミキサ
53 低雑音増幅器
54 セレクタ
55 RFアンプ
100 ベースバンド部
101 送信部
102 受信部
111 符号器
112 マッピング部
113 D/Aコンバータ
120 A/Dコンバータ
121 デマッピング部
122 復号器
123 合成部
114 124 記憶部
127 制御部
128 ホストインタフェース
801 802 803 フォーマット
Claims (18)
- データを第1符号化率で符号化して、第1符号化データを生成する符号器と、
前記第1符号化データを送信する送信部と、
前記符号器が前記データを前記第1符号化率と同じもしくは前記第1符号化率より低い第2符号化率で符号化して第2符号化データを生成し、前記送信部が前記第2符号化データの少なくとも一部を送信するように、前記データの再送制御を行う制御部と
を備えた無線通信装置。 - 前記符号器は、前記データを前記第1符号化率でブロック符号化して、前記データと第1パリティとを含む前記第1符号化データを生成し、
前記符号器は、前記データを前記第2符号化率で符号化して、前記データと第2パリティとを含む前記第2符号化データを生成し、
前記第2符号化データの前記少なくとも一部は、前記第2パリティを含む
請求項1に記載の無線通信装置。 - 前記第2符号化率は、前記第1符号化率よりも低く、
前記第2パリティの一部は、前記第1パリティと同じである
請求項2に記載の無線通信装置。 - 前記第2符号化率は、前記第1符号化率と同じである
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の無線通信装置。 - データを符号化し、さらにパンクチャド処理によりビットを間引くことにより符号化データを生成する符号器と、
前記符号化データを送信する送信部と、
前記送信部が、前記間引かれたビットを送信するように、前記データの再送制御を行う制御部と、
を備えた無線通信装置。 - 前記符号器は、前記データを畳み込み符号化し、
前記符号化データは、前記データの畳み込み符号化データである
請求項5に記載の無線通信装置。 - 前記符号器は、前記データをブロック符号化してパリティを生成し、
前記符号器は、前記パリティから前記ビットを間引き、
前記符号化データは、前記データと、間引き後のパリティとを含む
請求項5に記載の無線通信装置。 - データを第1符号化率で符号化した第1符号化データを受信する受信部と、
前記第1符号化データの尤度情報を復号し、復号データを得る復号器と、
前記復号データの誤り検出を行う制御部と、を備え、
前記受信部は、前記データを前記第1符号化率と同じもしくは前記第1符号化率より低い第2符号化率で符号化した第2符号化データの少なくとも一部を受信し、
前記復号器は、前記復号データに誤りが検出された場合に、前記第1符号化データの尤度情報と、前記第2符号化データの前記少なくとも一部の尤度情報とに基づき復号を行う
無線通信装置。 - 前記第1符号化データは、前記データと、前記データの前記第1符号化率によるブロック符号化により生成される第1パリティとを含み、
前記第2符号化データの前記少なくとも一部は、前記データの前記第2符号化率によるブロック符号化により生成される第2パリティを含む
請求項8に記載の無線通信装置。 - 前記第2符号化率は、前記第1符号化率よりも低く、
前記第2パリティの一部は、前記第1パリティと同じである。
請求項9に記載の無線通信装置。 - 前記第2符号化率は、前記第1符号化率と同じである
請求項9に記載の無線通信装置。 - データを符号化し、さらにパンクチャド処理によりビットを間引いた符号化データを受信する受信部と、
前記符号化データの尤度情報に基づき復号を行い、復号データを得る復号器と、
前記復号データの誤り検出を行う制御部と、を備え、
前記受信部は、前記間引かれたビットを受信し、
前記復号器は、前記制御部により前記復号データに誤りが検出された場合に、前記符号化データの尤度情報と、前記間引かれたビットの尤度情報とに基づき復号を行う
無線通信装置。 - 前記符号化データは、前記データの畳み込み符号化データから前記ビットを間引いたものである
請求項12に記載の無線通信装置。 - 前記符号化データは、前記データと、前記データのブロック符号化により生成されるパリティから前記ビットを間引いた、間引後のパリティと、を含む、
請求項12に記載の無線通信装置。 - データを第1符号化率で符号化して第1符号化データを生成するステップと、
前記第1符号化データを送信するステップと、
前記データを前記第1符号化率と同じもしくは前記第1符号化率より低い第2符号化率で符号化して第2符号化データを生成し、前記第2符号化データの少なくとも一部を送信するように、前記データの再送制御を行うステップと、
を備えた無線通信方法。 - データを符号化し、さらにパンクチャド処理によりビットを間引くことにより符号化データを生成するステップと、
前記符号化データを送信するステップと、
前記間引かれたビットを送信するように、前記データの再送制御を行うステップと
を備えた無線通信方法。 - データを第1符号化率で符号化した第1符号化データを受信するステップと、
前記第1符号化データの尤度情報に基づき復号を行い、復号データを得るステップと、
前記復号データの誤り検出を行うステップと、
前記データを前記第1符号化率と同じもしくは前記第1符号化率より低い第2符号化率で符号化した第2符号化データの少なくとも一部を受信するステップと、
前記復号データに誤りが検出された場合に、前記第1符号化データの尤度情報と、前記第2符号化データの少なくとも一部の尤度情報とに基づき復号を行うステップと
を備えた無線通信方法。 - データを符号化し、さらにパンクチャド処理によりビットを間引いた符号化データを受信するステップと、
前記符号化データの尤度情報に基づき復号を行い、復号データを得るステップと、
前記復号データの誤り検出を行うステップと、
前記間引かれたビットを受信するステップと、
前記復号データに誤りが検出された場合に、前記符号化データの尤度情報と、前記間引かれたビットの尤度情報とに基づき復号を行うステップと
を備えた無線通信方法。
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