JP2019161268A - 移相回路、移相装置、アンテナ装置およびアレイアンテナ - Google Patents
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Abstract
【課題】アレイアンテナの指向性の制御範囲を広くすることができる移相回路、移相装置、アンテナ装置およびアレイアンテナを提供する。【解決手段】実施の形態にかかる移相回路は、第1の端子と、第2の端子と、第1のキャパシタ素子と、第2のキャパシタ素子と、第1の伝送線路と、第2の伝送線路と、スイッチング素子とを備える。第1のキャパシタ素子および第2のキャパシタ素子は、外部からの第1および第2の制御信号に応じてキャパシタンスを変化させる。第1の伝送線路は、第1の端子と外部とに交流的に入力または出力される信号にとっての長さが波長の1/4となる。第2の伝送線路は、この信号に、インダクタンス性のインピーダンスを与える。スイッチ素子は、外部からの第3の制御信号に応じて、第2の端子とグラウンドとを遮断または短絡する。【選択図】図7
Description
本発明の実施の形態は、移相回路、移相装置、アンテナ装置およびアレイアンテナに関する。
複数のアンテナ装置それぞれに供給する送信信号、および、複数のアンテナ装置それぞれにより受信された受信信号を移相することにより、送信信号および受信信号の指向性を、アンテナの物理的な方向を変えずに制御するアレイアンテナが知られている。アレイアンテナに含まれる複数の素子それぞれにおいて信号を移相するために、ディジタル的な遅延量が設定される多数の実時間移相器を用い、信号に遅延を与える実時間移相器の数を変更する方法が知られている。
しかしながら、上記移相方法によれば、多数の実時間移相器を制御するための回路規模が多くなってしまう。一方、アレイアンテナにおいては、隣り合うアンテナ装置に含まれるアンテナ同士の距離が、信号の波長に対して短くなるに従い、信号の指向性を制御可能な範囲が限定されることが知られている。従って、実時間移相器を用いてアレイアンテナに含まれる複数の素子それぞれにおいて信号を移相する方法をとると、信号の周波数が高くなっても、アンテナ装置の回路規模を小さくできず、アレイアンテナの指向性を制御可能な範囲が限定されてしまう。
本発明の実施の形態は上述した問題を解消するためになされ、アレイアンテナに含まれる複数のアンテナ装置の回路規模を小さくでき、アレイアンテナの指向性の制御範囲を広くすることができる移相回路、移相装置、アンテナ装置およびアレイアンテナを提供することを課題とする。
上記に記載された課題を解決するために、実施の形態にかかる移相回路は、第1の端子と、第2の端子と、第1のキャパシタ素子と、第2のキャパシタ素子と、第1の伝送線路と、第2の伝送線路と、スイッチング素子と、を備える。第1のキャパシタ素子は、第1の端子に交流的に接続され、外部からの第1の制御信号に応じてキャパシタンスを変化させる。第1の伝送線路は、第1の端子に交流的に第1の端部が接続され、第1の端子と外部とに交流的に入力または出力される信号にとっての長さが波長の1/4となる。第2のキャパシタ素子は、第1の伝送線路の第2の端部とグラウンドとに交流的に接続され、外部からの第2の制御信号に応じてキャパシタンスを変化させる。
第2の伝送線路は、第1の伝送線路の第2の端部に交流的に第1の端部が接続され、第2の端子が交流的にグラウンドに短絡されたときに、第1の端子から入力または出力される信号に、第1の伝送線路の第2の端部とグラウンドとの間におけるインダクタンス性のインピーダンスを与える。スイッチ素子は、第2の伝送線路の第2の端部とグラウンドとに交流的に接続され、外部からの第3の制御信号に応じて、第2の伝送線路の第2の端部とグラウンドとを遮断または短絡する。第2の端子は、第2の伝送線路の第2の端部に接続され、外部との間で交流的に信号を入力または出力する。
以下、第1の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同じ構成要素および同じ処理には同じ符号が付される。
[アレイアンテナシステム1の構成]
図1は、実施の形態にかかるアレイアンテナシステム1の構成を示す図である。図2は、図1に示されたアレイアンテナ2の信号送受信面を例示する図である。図1に示されたアレイアンテナ2は、図2に示されるようにn個の第1のアンテナ装置4−1〜4−nを含む。なお、図2には、n=21の場合が示される。また、以下、図2に示されるように、アレイアンテナ2の信号送受信面の横方向がX軸とされ、縦方向がY軸とされ、垂直方向がZ軸とされる。
図1は、実施の形態にかかるアレイアンテナシステム1の構成を示す図である。図2は、図1に示されたアレイアンテナ2の信号送受信面を例示する図である。図1に示されたアレイアンテナ2は、図2に示されるようにn個の第1のアンテナ装置4−1〜4−nを含む。なお、図2には、n=21の場合が示される。また、以下、図2に示されるように、アレイアンテナ2の信号送受信面の横方向がX軸とされ、縦方向がY軸とされ、垂直方向がZ軸とされる。
図1,図2に示されるように、アレイアンテナシステム1は、m種類の指向性(Directional Characteristics)DC1〜DCmを実現するアレイアンテナ2を備える。また、アレイアンテナシステム1は、アレイアンテナ2に指向性DC1〜DCmを実現させ、信号の送信および受信を行わせるアレイアンテナ制御装置3を備える。
図3は、図1,図2に示されたアレイアンテナ2の指向性DC1〜DCmのうちの1つの指向性DCeの定義を示す図である。なお、eは1〜mのいずれかの整数である。図3に示されるように、指向性DCeは、指向性DCeにおけるアレイアンテナ2の伝送パターンのうち、最も利得が高いメインビームの利得Geと、メインビームの方向のX軸、Y軸およびZ軸それぞれに対する角度θxe,θye,θzeとにより定義される。
なお、「アンテナ装置4−1〜4−n」など、複数、存在しうる構成要素が特定されずに示されるときには、単に「アンテナ装置4」などと略記されることがある。また、nは2以上の整数であり、mはnより大きい整数であり、eは1〜mのいずれかの整数である。また、アレイアンテナ2の指向性DC1〜DCmのいずれかの指向性DCeは、アンテナ装置4それぞれに設定される移相量および振幅値の組み合わせWe(We1,・・・,Wef,・・・Wen)により実現される。なお、fは、1〜nのいずれかの整数であり、一般に、mは、実際にはnよりも非常に大きい値(m>>n)である。
図1に示されたアレイアンテナ制御装置3は、アレイアンテナ制御装置3の各構成要素の動作を制御する制御装置10と、制御装置10に接続された信号処理装置12とを備える。制御装置10は、制御用コンピュータ100と、表示装置などの出力装置とキーボードなどの入力装置とを含み、制御用コンピュータ100に接続された入出力装置102とを備える。制御装置10は、アレイアンテナシステム1のオペレータの入出力装置102への操作に応じて、信号処理装置12の各構成要素の動作を制御する。
信号処理装置12は、アレイアンテナ2の指向性DC1〜DCmを実現するためにアレイアンテナ2に設定される係数のm種類の組み合わせW1(W11,W12,・・・,W1n),・・・,We(We1,We2,・・・,Wef,・・・,Wen),・・・,Wm(Wm1,Wm2,・・・,Wmn)の全てを記憶する係数記憶装置120を備える。
図4は、アレイアンテナ2の指向性DC1〜DCmを実現するために係数記憶装置120に記憶される係数の組み合わせWe(We1,・・・,Wef,・・・,Wen)に含まれる1つの係数Wefを示す図である。なお、fは、1〜nの整数である。係数の組み合わせWeに含まれる係数Wefは、図4に示されるように複素数の形式をとる。係数Wefの実数軸に対する角度θは、指向性DCeを実現するためにアンテナ装置4−fに設定される移相量θefに対応する。また、係数Wefのノルム|Wef|は、下式1に示されるように定義される。
|Wef| = ((Im(Wef))2+(Re(Wef))2)1/2 ・・・(式1)
ただし、0 ≦|Wef| ≦1である。
ただし、0 ≦|Wef| ≦1である。
図1に示された係数記憶装置120は、制御装置10の制御に従って、上式1に定義された係数Wefのノルム|Wef|から、指向性DCeを実現するためにアンテナ装置4−fに設定される減衰量データAT11,・・・,AT1n,・・・,ATe1,・・・,ATef,・・・,ATen,・・・,ATn1,・・・,ATmn(以下、ATefと記される)を生成し(|Wef|=ATef)、アンテナ装置4−fに出力する。このように生成された減衰量データATefは、アンテナ装置4−fにおいて、送信信号(Transmission Signal)TSfおよび受信信号(Receiving Signal)RSfに与えられる減衰量を示す。
さらに、係数記憶装置120は、制御装置10の制御に従って、係数記憶装置120に記憶された係数の組み合わせWeに含まれる係数Wefから、移相量データθ11,・・・,θ1n,・・・,θe1,・・・,θef,・・・,θen,θm1,・・・,θmn(以下、θefと記載される)を生成する。生成された移相量データθefは、アンテナ装置4−fにおいて、送信信号TSfおよび受信信号RSfに与えられる移相量を示す。係数記憶装置120は、生成された移相量データθefをさらに処理して、アンテナ装置4−fにおいて、送信信号TSfおよび受信信号RSfに与えられる移相量に対応するアナログ形式の電圧信号Vθef1,Vθef2を生成し、アンテナ装置4に出力する。
また、係数設定装置122は、アンテナ装置4における送信と受信との切り替えを行うためのアナログ形式の電圧信号SW1および電圧信号SW2を生成し、アンテナ装置4に出力する。なお、電圧信号Vθef1,Vθef2および切り替えのための電圧信号SW1および電圧信号SW2は、図7〜図9の参照によりさらに詳細に説明される。
図1に示された信号処理装置12は、マイクロ波におけるXバンド、Kuバンド、Kバンドなどの高周波信号をパルス変調して送信信号TSを生成し、アレイアンテナ2に出力する送信処理装置124をさらに備える。また、信号処理装置12は、アレイアンテナ2に接続された受信処理装置126と、受信処理装置126に接続された物体検出装置128とをさらに備える。
受信処理装置126は、アレイアンテナ2により送信された送信信号TSが物体により反射され、再びアレイアンテナ2により受信されて得られる受信信号RSを増幅する。つまり、送信信号TSの周波数と受信信号RSの周波数とは、ほぼ同じである。さらに、受信処理装置126は、増幅されたアナログ形式の受信信号RSを、必要に応じて周波数変換し、アナログ形式の受信信号RSをディジタル形式の値に変換処理し、物体検出装置128に出力する。物体検出装置128は、受信処理装置126から入力されたディジタル形式の受信信号RSの電力値を処理して、送信信号TSを反射した物体と、アレイアンテナ2との相対的な方向と距離とを検出する。
[アレイアンテナ2]
図5は、図1,図2に示されたアレイアンテナ2の構成を示す図である。図5に示されるように、アレイアンテナ2は、図2に示されたアンテナ装置4−1〜4−nと、アンテナ装置4−1〜4−nに接続された分配回路20と、合成回路22とを備える。分配回路20は、アレイアンテナ制御装置3から入力された送信信号TSを、アンテナ装置4−1〜4−nに等分し、送信信号TS1〜TSnとして分配する。合成回路22は、アンテナ装置4−1〜4−nから入力された受信信号RS1〜RSnを加算して合成し、受信信号RSとしてアレイアンテナ制御装置3に出力する。
図5は、図1,図2に示されたアレイアンテナ2の構成を示す図である。図5に示されるように、アレイアンテナ2は、図2に示されたアンテナ装置4−1〜4−nと、アンテナ装置4−1〜4−nに接続された分配回路20と、合成回路22とを備える。分配回路20は、アレイアンテナ制御装置3から入力された送信信号TSを、アンテナ装置4−1〜4−nに等分し、送信信号TS1〜TSnとして分配する。合成回路22は、アンテナ装置4−1〜4−nから入力された受信信号RS1〜RSnを加算して合成し、受信信号RSとしてアレイアンテナ制御装置3に出力する。
[アンテナ装置4]
図6は、図1,図2,図5に示されたアンテナ装置4−fの構成を示す図である。図6に示されるように、アンテナ装置4−fは、図6に示された分配回路20から入力された送信信号TSfに、図3に示された指向性DCefに対応する減衰量データATef(図4)が示す値を乗算して減衰させる可変アッテネータ(ATT)400−fを備える。
図6は、図1,図2,図5に示されたアンテナ装置4−fの構成を示す図である。図6に示されるように、アンテナ装置4−fは、図6に示された分配回路20から入力された送信信号TSfに、図3に示された指向性DCefに対応する減衰量データATef(図4)が示す値を乗算して減衰させる可変アッテネータ(ATT)400−fを備える。
また、アンテナ装置4−fは、ATT400−fにより減衰された送信信号TSfを増幅し、純抵抗のインピーダンス50Ωで出力する送信アンプ402−fを備える。また、アンテナ装置4−fは、送信アンプ402−fの出力に接続された第1の移相回路42−fを備える。
第1の移相回路42−fは、送信信号TSfのパルスが送信されるときは正の値をとり、送信信号TSfのパルスが送信されないときは負の値をとる電圧信号SW1と、所望の移相量θefを与える電圧信号Vθef1の値に従って移相を行う。つまり、電圧信号SW1が正の値をとるとき、第1の移相回路42−fは、送信アンプ402−fにより増幅された送信信号TSfのパルスを素通しして第1のアンテナ404−fを介して送信する。
また、電圧信号SW1が負の値をとるとき、第1の移相回路42−fは、第1のアンテナ404−fにより受信された受信信号RSfを、電圧信号Vθef1により与えられる移相量だけ移相する。さらに、第1の移相回路42−fは、移相された受信信号RSfを、第1のアンテナ404−fから第2のアンテナ406に戻す。このような第1の移相回路42−fの機能により、受信信号RSfに、所望の移相量θefが与えられる。
また、アンテナ装置4−fは、第2のアンテナ406に接続された第2の移相回路44−fを備える。第2の移相回路44−fは、送信信号TSfのパルスが送信されるときは負の値をとり、送信信号TSfのパルスが送信されていないときは正の値をとる電圧信号SW2と、所望の移相量θefを与える電圧信号Vθef2の値に従って移相を行う。つまり、電圧信号SW2が正の値をとるとき、第2の移相回路44−fは、第2のアンテナ406により受信された受信信号RSfを素通しして、第2の移相回路44−fの出力に接続された受信アンプ408の入力に出力する。
また、電圧信号SW1が負の値をとるとき、第2の移相回路44−fは、第2のアンテナ406−fにより受信された送信信号TSfを、電圧信号Vθef2により与えられる移相量だけ移相する。さらに、第2の移相回路44−fは、移相された送信信号TSfを、第2のアンテナ406を介して送信する。このような第2の移相回路44−fの機能により、送信信号TSfに、所望の移相量θefが与えられる。
受信アンプ408−fは、入力インピーダンスが純抵抗の50Ωで、第1の移相回路42−fから入力される受信信号RSfを増幅する受信アンプ408−fを備える。また、アンテナ装置4−fは、受信アンプ408−fから出力された受信信号RSfに、減衰量データATef(図4)が示す値を乗算して減衰させ、図6に示された合成回路22に出力するATT410−fを備える。
[第1の移相回路42−f,第2の移相回路44−f]
以下、図7〜図9の参照により、第1の移相回路42および第2の移相回路44の構成および機能がさらに説明される、図7は、図6に示された第1の移相回路42−fおよび第2の移相回路44−fの構成を示す図である。図7に示されるように、第1の移相回路42−fおよび第2の移相回路44−fは、送信アンプ402の出力または第2のアンテナ406の入力に接続されるアンプ端子と、第1のアンテナ404−fまたは第2のアンテナ406−fに接続されるアンテナ端子とを備える。
以下、図7〜図9の参照により、第1の移相回路42および第2の移相回路44の構成および機能がさらに説明される、図7は、図6に示された第1の移相回路42−fおよび第2の移相回路44−fの構成を示す図である。図7に示されるように、第1の移相回路42−fおよび第2の移相回路44−fは、送信アンプ402の出力または第2のアンテナ406の入力に接続されるアンプ端子と、第1のアンテナ404−fまたは第2のアンテナ406−fに接続されるアンテナ端子とを備える。
アンテナ端子には、インダクタ(L)420を介して、係数設定装置122から印加される電圧信号Vθef1または電圧信号Vθef2の正の電圧値に応じて容量が変化するPINダイオード422のカソードが接続される。L420は、送信信号TSfおよび受信信号RSfを遮断するために必要十分なインダクタンスを有し、集中定数の部品、または、送信信号TSfおよび受信信号RSfに対してλ0/4となる伝送線路により構成される(他のLも同じ)。なお、λ0は送信信号TSfおよび受信信号RSfの波長を示す。
PINダイオード422のアノードはグラウンドに接続される。アンテナ端子には、キャパシタ(C)428を介して、送信信号Tsfまたは受信信号RSfに対してλ0/4となる伝送線路426の一端がさらに接続される。C428は、直流電流を遮断し、送信信号Tsfまたは受信信号RSfを素通しするために必要十分なキャパシタンスを有する(他のCも同じ)。
伝送線路426の他端には、係数設定装置122からL430を介して印加される電圧信号Vθef1またはVθef2の電圧値に応じて容量が変化するPINダイオード432のアノードが、C428を介して接続される。PINダイオード432のカソードはグラウンドに接続される。また、PINダイオード432のカソードには、送信信号Tsfまたは受信信号RSfに対してλ0/8となる伝送線路434の一端が接続される。伝送線路434の他端は、C436を介してアンプ端子にさらに接続される。
アンプ端子には、C436を介して伝送線路434の他端が接続される。また、アンプ端子には、係数設定装置122からL438を介して印加される電圧信号SW1または電圧信号SW2の電圧値が負のときにはON状態となり、正のときにはOFF状態となるPINダイオード440のアノードがさらに接続される。
カソードに正の値の電圧信号SW1または電圧信号SW2が印加され、PINダイオード440がON状態になると、アンプ端子とグラウンドとが、送信信号TSfおよび受信信号RSfの周波数において交流的に短絡される。一方、カソードに負の値の電圧信号SW1または電圧信号SW2が印加され、PINダイオード440がOFF状態になると、アンプ端子とグラウンドとが、送信信号TSfおよび受信信号RSfの周波数において交流的に遮断される。
図6に示された第1の移相回路42−fにおいては、電圧信号SW1が、PINダイオード440のカソードにL438を介して印加される。既に述べたように、送信アンプ402から送信信号TSfのパルスが出力されるとき、電圧信号SW1は負の電圧値をとり、PINダイオード440は、アンプ端子とグラウンドとを交流的に遮断する。
一方、送信アンプ402から送信信号TSfのパルスが出力されないとき、電圧信号SW1は正の電圧値をとり、PINダイオード440は伝送線路434の他端とグラウンドとを交流的に短絡する。この短絡により、アンテナ端子から第1の移相回路42−fに入力された受信信号RSfは、PINダイオード440により反射されてアンテナ端子側に戻される。
図6に示された第2の移相回路44−fにおいては、PINダイオード440に電圧信号SW2がL438を介して印加される。既に述べたように、送信アンプ402から送信信号TSfのパルスが出力されないとき、電圧信号SW2は負の値をとり、PINダイオード440は、アンプ端子とグラウンドとを交流的に遮断する。
一方、送信アンプ402から送信信号TSfのパルスが出力されるとき、電圧信号SW1は正の電圧値をとり、PINダイオード440は、アンプ端子とグラウンドとを交流的に短絡する。この短絡により、アンテナ端子から第2の移相回路44−fに入力された受信信号RSfは、PINダイオード440により反射されてアンテナ端子側に戻される。
図8は、図6,図7に示された第1の移相回路42−fおよび第2の移相回路44−fのインピーダンスの変化をスミスチャートの形式で示す図である。図9は、図6に示されたPINダイオード440により、伝送線路434の他端とグラウンドとが交流的に短絡されているときの第1の移相回路42−fおよび第2の移相回路44−fの等価回路を示す図である。
図6に示されたPINダイオード440により、第1の移相回路42−fの伝送線路434の他端とグラウンドとが交流的に遮断され、電圧信号Vθef1が最小値で、PINダイオード422,432のキャパシタンスが最小(≒0F)になる場合を想定する。この場合には、アンテナ端子から見た第1の移相回路42−fのインピーダンスは、図8において点cが付されて示される純抵抗50Ωとなる。
同様に、PINダイオード440により、第1の移相回路44−fの伝送線路434の他端とグラウンドとが交流的に遮断され、電圧信号Vθef2が最小値となり、PINダイオード422,432のキャパシタンスが最小(≒0F)になる場合を想定する。この場合には、アンテナ端子から見た第1の移相回路44−fのインピーダンスは、図8において点cが付されて示される純抵抗50Ωとなる。
つまり、第1の移相回路42−fから送信信号TSfのパルスが出力されるときは、第1の移相回路42−fにおいて、アンプ端子から入力される送信信号TSfは、アンテナ端子まで素通しされる。一方、第1の移相回路42−fから送信信号TSfのパルスが出力されないときは、第2の移相回路44−fにおいて、アンテナ端子から入力される受信信号RSfはアンプ端子まで素通しされる。
電圧信号SW1および電圧信号SW2が負の値をとるとき、第1の移相回路42−fおよび第2の移相回路44−fの等価回路は、図9に示される通りとなる。つまり、このとき、アンテナ端子から見た第1の移相回路42−fおよび第2の移相回路44−fのインピーダンスは、伝送線路426,434と、PINダイオード422,432のキャパシタンスにより定まる値となる。
PINダイオード422,432のキャパシタンスが最小のときには、アンテナ端子から見た第1の移相回路42−fおよび第2の移相回路44−fのインピーダンスは、図8において、図aを付して示される+j50Ωとなる。一方、PINダイオード422,432のキャパシタンスが最大値は、このときに、アンテナ端子から見た第1の移相回路42−fおよび第2の移相回路44−fのインピーダンスが、図8において、点bを付して示される−j50Ωになるように設定される。
[インピーダンスの変化]
第1の移相回路42−fおよび第2の移相回路44−fのインピーダンスの変化をさらに説明する。PINダイオード440がON状態で、電圧信号Vθef1および電圧信号Vθef2の電圧値が最大になっている場合を想定する。この場合において、PINダイオード422,432のキャパシタンスは最小(≒0F)になり、アンテナ端子から見た第1の移相回路42−fおよび第2の移相回路44−fのインピーダンスは、伝送線路434の影響により、図8において、点aを付して示されるように+j50Ωとなる。
第1の移相回路42−fおよび第2の移相回路44−fのインピーダンスの変化をさらに説明する。PINダイオード440がON状態で、電圧信号Vθef1および電圧信号Vθef2の電圧値が最大になっている場合を想定する。この場合において、PINダイオード422,432のキャパシタンスは最小(≒0F)になり、アンテナ端子から見た第1の移相回路42−fおよび第2の移相回路44−fのインピーダンスは、伝送線路434の影響により、図8において、点aを付して示されるように+j50Ωとなる。
この場合において、さらに、電圧信号Vθef1および電圧信号Vθef2の電圧値が次第に下がる場合を想定する。この場合には、PINダイオード422,432のキャパシタンスは次第に増える。従って、アンテナ端子から見た第1の移相回路42−fおよび第2の移相回路44−fのインピーダンスは、図8において点aを付して示した+j50Ωから開放状態を通る実線の矢印の上を移動する。開放状態は、図9示された伝送線路434のインダクタンスとPINダイオード422,432の合成キャパシタンスとの並列共振状態を示す。PINダイオード422,432のキャパシタンスが最大になったときに、アンテナ端子から見た第1の移相回路42−fおよび第2の移相回路44−fのインピーダンスは、図8において点bを付して示した−j50Ωに至る。
つまり、PINダイオード440の状態がONであるときに、電圧信号Vθef1および電圧信号Vθef2の電圧値を最大値から最小値まで変化させることにより、アンテナ端子から見た第1の移相回路42−fおよび第2の移相回路44−fのインピーダンスは、+j50Ωから、開放状態を経て−j50Ωまで変化させられる。
また、PINダイオード440がON状態で、電圧信号Vθef1および電圧信号Vθef2の電圧値が最小値になっている場合を想定する。この場合において、PINダイオード422,432のキャパシタンスは最大になる。さらに、この場合において、電圧信号Vθef1および電圧信号Vθef2の電圧値が次第に上がる場合を想定する。この場合には、PINダイオード422,432のキャパシタンスは次第に減る。
従って、アンテナ端子から見た第1の移相回路42−fおよび第2の移相回路44−fのインピーダンスは、図8において点bを付して示した−j50Ωから、短絡状態を通る破線の矢印の上を移動する。短絡状態は、図9示された伝送線路434のインダクタンスとPINダイオード422,432の合成キャパシタンスとの直列共振状態を示す。PINダイオード422,432のキャパシタンスが最小(≒0F)になったときに、アンテナ端子から見た第1の移相回路42−fおよび第2の移相回路44−fのインピーダンスは、図8において点aを付して示した+j50Ωに至る。
つまり、PINダイオード440の状態がONであるときに、電圧信号Vθef1および電圧信号Vθef2の電圧値を最大値から最小値まで変化させることにより、アンテナ端子から見た第1の移相回路42−fおよび第2の移相回路44−fのインピーダンスは、−j50Ωから、短絡状態を経て+j50Ωまで変化させられる。
以上説明されたように、アンテナ端子から見た第1の移相回路42−fおよび第2の移相回路44−fのインピーダンスは、図9に示された実線および破線上を、+j50Ω、開放状態、−j50Ωと短絡状態との間で変化し得る。つまり、第1の移相回路42−fおよび第2の移相回路44−fは、アンテナ端子から入力された送信信号TSfおよび受信信号RSfに損失を生じさせることなく、これらの信号に、0°〜360°(0〜2π)の任意の値の移相量を与えることができる。
既に述べられたように、第2のアンテナ406−fにより受信され、第2の移相回路44−fを素通しされた受信信号RSfは、受信アンプ408の入力により純抵抗の50Ωで終端される。一方、第1のアンテナ404−fにより受信され、第1の移相回路42−fにより移相された受信信号RSfは、第1のアンテナ404−fおよび第2のアンテナ406−fを介して第2の移相回路44−fに戻される。第2の移相回路44−fに戻された受信信号RSfは、受信アンプ408の入力により純抵抗の50Ωで終端される。この結果、第1のアンテナ404−fおよび第2のアンテナ402−fにより受信された受信信号RSfに、所望の移相量が与えられる。
一方、送信アンプ402−fにより増幅された送信信号TSfは、第1の移相回路42−fを素通しされ、第1のアンテナ404−fを介して送信される。第1のアンテナ404−fを介して送信された送信信号TSfの一部は、第2のアンテナ406−fにより受信され、第2の移相回路44−fにより移相され、第2のアンテナ406−fから送信される。この結果、第1のアンテナ404−fおよび第2のアンテナ402−fにより送信された送信信号TSfに、所望の移相量が与えられる。
[ハードウェア18]
図10は、図1に示されたアレイアンテナ制御装置3の制御装置10の制御用コンピュータ100および信号処理装置12のハードウェア18を例示する図である。図10に示されるように、ハードウェア18は、バス190を介して相互に接続されたCPU(Central Processing Unit)180と、メモリ182と、I/O(Input/Output)回路184と、記録装置186とを備える。制御装置10の制御用コンピュータ100のハードウェア18は、入出力装置102をさらに備える。信号処理装置12用のハードウェア18は、DSP(Digital Signal Processor)などを含む信号処理回路188をさらに備える。
図10は、図1に示されたアレイアンテナ制御装置3の制御装置10の制御用コンピュータ100および信号処理装置12のハードウェア18を例示する図である。図10に示されるように、ハードウェア18は、バス190を介して相互に接続されたCPU(Central Processing Unit)180と、メモリ182と、I/O(Input/Output)回路184と、記録装置186とを備える。制御装置10の制御用コンピュータ100のハードウェア18は、入出力装置102をさらに備える。信号処理装置12用のハードウェア18は、DSP(Digital Signal Processor)などを含む信号処理回路188をさらに備える。
CPU180および信号処理回路188は、CPUおよびDSP本体の他に、クロック回路および割り込み制御回路など、これらの処理に必要とされる周辺回路を含む。メモリ182は、ROMおよびRAMを含む。I/O回路184は、アレイアンテナシステム1の他の構成要素とを接続する。
記録装置186は、DVD(Digital Versataile Disk)、HD(Hard Disk)およびフラッシュメモリの不揮発性記録媒体に対してデータの書き込みおよび読み出しを行う。信号処理回路188は、送信信号TSおよび受信信号RSまたはこれらいずれかの処理を行う。アレイアンテナシステム1は、これらの構成要素により、アレイアンテナ2の指向性DC1〜DCmを実現し、送信信号TSを送信し、受信信号RSを受信する。
信号処理装置12の各構成要素は、専用のハードウェアによっても、ソフトウェアによって実現され得る。図1に示された信号処理装置12の各構成要素がソフトウェア的に実現されるときには、不揮発性記録媒体を介して各構成要素を実現するための命令コードがハードウェア18に供給され、メモリ182にロードされる。メモリ182にロードされた命令コードは、CPU180および信号処理回路188の制御により実行され、各構成要素の処理を実現する。なお、メモリ182に含まれるRAMは、命令コード実行の際のワークメモリとしても利用される。
[アレイアンテナシステム1の動作]
以下、アレイアンテナシステム1の動作を説明する。アレイアンテナ制御装置3において、図1に示された制御装置10の制御用コンピュータ100は、図1,図2,図5に示されたアレイアンテナ2により実現される指向性DC1〜DCmに対応する係数の組み合わせW1,・・・,We,・・・Wm(W11〜W1n,・・・,We1〜Wen,・・・,Wm1〜Wmn)を算出する。
以下、アレイアンテナシステム1の動作を説明する。アレイアンテナ制御装置3において、図1に示された制御装置10の制御用コンピュータ100は、図1,図2,図5に示されたアレイアンテナ2により実現される指向性DC1〜DCmに対応する係数の組み合わせW1,・・・,We,・・・Wm(W11〜W1n,・・・,We1〜Wen,・・・,Wm1〜Wmn)を算出する。
なお、制御用コンピュータ100によるアレイアンテナ2の指向性DC1〜DCmに対応する係数の組み合わせW1〜Wmの算出は、アレイアンテナ2の送信動作または受信動作のシミュレーションにより行われる。あるいは、制御用コンピュータ100による指向性DC1〜DCmに対応する係数の組み合わせW1〜Wmの算出は、アレイアンテナシステム1のユーザの操作に従ったアレイアンテナシステム1の送信動作または送信動作の実測結果に基づいて行われる。
制御用コンピュータ100は、算出された係数の組み合わせW1〜Wmを、信号処理装置12の係数記憶装置120に記憶させる。係数記憶装置120は、記憶した係数の組み合わせW1〜Wmを、係数設定装置122および行列生成装置160における処理のために、係数設定装置122および行列生成装置160に参照させる。
制御用コンピュータ100は、入出力装置102に対するアレイアンテナシステム1のオペレータによる操作に応じて係数記憶装置120を制御する。係数記憶装置120は、記憶された指向性DC1〜DCmに対応する係数の組み合わせW1〜Wmを係数設定装置122に出力する。
係数設定装置122は、図2,図5,図6に示されたアレイアンテナ2のアンテナ装置4−fにおいて、係数記憶装置120から入力された係数の組み合わせW1〜Wmを処理し、図4に示される減衰量データATefおよび移相量データθefを生成する。さらに、係数設定装置122は、移相量データθefから、アナログ形式の電圧信号Vθef1,Vθef2を生成する。さらに、係数設定装置122は、電圧信号SW1および電圧信号SW2を生成する。係数設定装置122は、生成された減衰量データATef,電圧信号Vθef1,Vθef2,SW1,SW2を、図2,図5,図6に示されたアレイアンテナ2のアンテナ装置4−fに出力する。
図1に示された信号処理装置12の送信処理装置124は、パルス変調されたXバント、KuバンドまたはKバンドの周波数の送信信号TSを生成し、アレイアンテナ2に出力する。アレイアンテナ2において、図5に示された分配回路20は、送信処理装置124から入力された送信信号TSを等分した送信信号TS1〜TSnそれぞれを、アンテナ装置4−1〜4−nそれぞれに出力する。
図6に示されたATT400−fは、入力された減衰量データATefが示す値を、入力された送信信号TSfに乗算する。送信アンプ402−fは、送信信号TSfを電力増幅し、第1の移相回路42を介して第1のアンテナ404から送信する。第2の移相回路44−fは、電圧信号Vθef2,SW2の電圧値に応じて、第2のアンテナ406から入力された送信信号TSfを移相し、第2のアンテナ406から送信する。以上に記載された処理により、アレイアンテナ2に含まれるアンテナ装置4−1,・・・,4−f,・・・4−nは、全体として、図3に示された指向性DCeを、送信信号TSについて実現する。
第2の移相回路44−fは、送信信号TSfが送信されていないとき、電圧信号SW2の値に応じて、第2のアンテナ406により受信された受信信号RSfを受信アンプ408の入力に素通しする。第1の移相回路42−fは、電圧信号Vθef1,SW1の電圧値に応じて、第2のアンテナ406から入力された受信信号RSfを移相し、第1のアンテナ404を介して第2のアンテナ406に出力する。ATT410は、入力された減衰量データATefが示す値を、入力された受信信号RSfに乗算する。以上に記載された処理により、アレイアンテナ2に含まれるアンテナ装置4−1,・・・,4−f,・・・4−nは、全体として、指向性DCeを、受信信号RSについて実現する。
図5に示された合成回路22は、アンテナ装置4−1〜4−nのATT410−1〜410−nから入力された受信信号RS1〜RSnを合成し、図1に示された受信処理装置126に受信信号RSとして出力する。受信処理装置126は、合成回路22から入力された受信信号RSを処理し、物体検出装置128に出力する。物体検出装置128は、受信信号RSを反射した物体の方向と位置とを検出し、制御装置10に出力する。制御装置10は、受信処理装置126に処理結果を制御用コンピュータ100に出力する。制御用コンピュータ100は、受信信号RSを反射した物体の方向と位置とを示す情報を、入出力装置102に表示する。
図11は、図2,図5,図6に示されたアレイアンテナ2において、アンテナ装置4−fの代わりに用いられるアンテナ装置5−fを示す図である。図10に示されるように、第2のアンテナ装置5−fは、図6に示された第1のアンテナ装置4−fから、ATT400−f,410−fを除いた構成をとる。
アレイアンテナ2において、アンテナ装置4−fがアンテナ装置5−fにより置換されると、送信信号TSfおよび受信信号RSfは減衰されない。このように、ATT400−f,410−fを含まないアンテナ装置5−fが用いられても、アンテナ装置5−1〜5−n全体として、送信信号TSおよび受信信号RSについて、図3に示された指向性DC1〜DCmが実現され得る。なお、アレイアンテナ2において、アンテナ装置4−fの代わりにアンテナ装置5−fを用いるときには、図4の参照により説明された係数Wefgのノルム|ATef|(=Im(Wefg)2+Re(Wefg)2)1/2の値を常に1に保てばよい。
なお、アレイアンテナ2において、隣り合うアンテナ同士の距離がλ0/2以上になると、図2に示されたアレイアンテナ2の信号送受信面に対して垂直な方向の指向性、つまり、図3に示されたθzeの値が45°以上にされ得ないことが一般に知られている。アンテナ装置4−f,5−fは、それぞれに2つずつのアンテナ、つまり、第1のアンテナ404および第2のアンテナ406を含む。従って、アレイアンテナ2におけるアンテナ同士の距離が、KuバンドおよびKバンドといった波長が短い送信信号TSの送信および受信信号RSの受信においても、容易にλ0/2以下とされ得る。つまり、アンテナ装置4−f,5−fにおいては、サーキュレータにより第1のアンテナ404と第2のアンテナ406とが共用されないので、アレイアンテナ2の指向性の範囲が、容易に広くされ得る。
また、送信信号TSfのパルスが送信されているとき、第2の移相回路44―fのアンテナ端子入力が単にインピーダンス50Ωで終端される場合を想定する。この場合には、アンテナ装置4−f,5−fの第1のアンテナ404から送信された送信信号TSfの約半分の電力が、第2のアンテナ406に受信されて失われてしまう。しかしながら、送信信号TSfは、第1の移相回路42−fおよび第2の移相回路44−fの両方を用いて移相されるので、送信信号TSfの損失は、著しく少なくされ得る。
同様に、受信信号RSfが受信されているとき、第1の移相回路42−fのアンテナ端子が単にインピーダンス50Ωで終端される場合を想定する。この場合、アンテナ装置4−f,5−fにおいて、受信信号RSfの電力は、第1のアンテナ404と第2のアンテナ406とに半分ずつ分配されてしまう。しかしながら、受信信号RSfも、第1の移相回路42−fおよび第2の移相回路44−fの両方を用いて移相されるので、受信信号RSfの損失は、著しく少なくされ得る。
また、PINダイオード440がON状態にされた第1の移相回路42−fおよび第2の移相回路44−fにおいては、送信信号TSfおよび受信信号RSfのインピーダンスは、+j50Ωから、開放状態を経て−j50Ωまで変化させられる。また、PINダイオード440がON状態にされた第1の移相回路42−fおよび第2の移相回路44−fにおいては、送信信号TSfおよび受信信号RSfのインピーダンスは、−j50Ωから、短絡状態を経て+j50Ωまで変化させられる。従って、第1の移相回路42−fおよび第2の移相回路44−fにおいては、送信信号TSfおよび受信信号RSfに、移相に伴う損失が原理的には生じない。
また、PINダイオード440がON状態にされた第1の移相回路42−fおよび第2の移相回路44−fの等価回路は、図9に示される通りである。従って、送信信号TSfおよび受信信号RSfを、図8に示されたように移相するためのPINダイオード422,432の最大容量は小さい値に抑えられる。PINダイオード422,432の最大容量が小さい値で済むと、第1の移相回路42−fおよび第2の移相回路44−fのQが高く保たれる。従って、この点からも、第1の移相回路42−fおよび第2の移相回路44−fにおける送信信号TSfおよび受信信号RSfの損失が小さくなる。
なお、以上説明された第1の実施形態および第2の実施形態においては、電圧信号Vθef1と電圧信号Vθef2とは別々の信号とされたが、これら電圧信号Vθef1,Vθef2は単一の電圧信号Vθefとされ得る。また、図3に示された指向性DCeは、メインビームの利得Ge、メインビームのX軸、Y軸およびZ軸それぞれに対する角度θxe,θye,θzeにより定義されたが、図10を参照して説明したように、アレイアンテナ2においてアンテナ装置5−fが用いられたときには、角度θxe,θye,θzeのみにより定義されてもよい。
なお、第1の実施形態および第2の実施形態に示されたインピーダンスの値などの具体的な数値は単なる例示であって、アレイアンテナ2の構成、用途などに応じて適宜、変更されうる。また、第1の移相回路42−fおよび第2の移相回路44−fと第1のアンテナ404−fおよび第2のアンテナ406−fとの間に、整合回路などがさらに挿入されうる。同様に、第1の移相回路42−fおよび第2の移相回路44−fと送信アンプ402−fと受信アンプ408−fとの間に、整合回路などがさらに挿入されうる。
本発明の実施の形態を説明したが、この実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 アレイアンテナシステム、10 制御装置、100 制御用コンピュータ、102 入出力装置、12 信号処理装置、係数記憶装置、122 係数設定装置、124 送信処理装置、126 受信処理装置、128 物体検出装置、2 アレイアンテナ、20 分配回路、22 合成回路、3 アレイアンテナ制御装置、4,5 アンテナ装置、400,410 ATT、402 送信アンプ、404 第1のアンテナ、406 第2のアンテナ、408 受信アンプ、42,44 移相回路、420 第1の移相回路、420,430,438 インダクタ(L)、424,428,436 キャパシタ(C)、426,434 伝送線路、422,432,440 PINダイオード
Claims (18)
- 第1の端子に交流的に接続され、外部からの第1の制御信号の値に応じてキャパシタンスが変化する第1のキャパシタ素子と、
前記第1の端子に交流的に第1の端部が接続され、前記第1の端子と外部とに交流的に入力または出力される信号にとっての長さが波長の1/4となる第1の伝送線路と、
前記第1の伝送線路の第2の端部とグラウンドとに交流的に接続され、外部からの第2の制御信号の値に応じてキャパシタンスが変化する第2のキャパシタ素子と、
前記第1の伝送線路の第2の端部に交流的に第1の端部が接続され、第2の端部と前記グラウンドとが交流的に短絡されたときに、前記第1の端子から入力または出力される信号に、前記第1の伝送線路の第2の端部と前記グラウンドとの間におけるインダクタンス性のインピーダンスを与える第2の伝送線路と、
前記第2の伝送線路の第2の端部と前記グラウンドとに交流的に接続され、外部からの第3の制御信号の値に応じて、前記第2の伝送線路の第2の端部と前記グラウンドとを交流的に遮断または短絡するスイッチ素子と、
前記第2の伝送線路の第2の端部に交流的に接続され、外部と交流的に前記信号を入力または出力する第2の端子と、
を備える移相回路。 - 前記第1のキャパシタ素子は、カソードが前記第1の伝送線路の第1の端部に交流的に接続され、アノードが前記グラウンドに接続され、逆方向の電圧の第1の制御信号がカソードに印加されるPINダイオードである、
請求項1に記載の移相回路。 - 前記第2のキャパシタ素子は、カソードが前記第1の伝送線路の第2の端部に交流的に接続され、アノードが前記グラウンドに接続され、逆方向の電圧の第2の制御信号がカソードに印加されるPINダイオードである、
請求項1または2に記載の移相回路。 - 前記スイッチ素子は、カソードが前記グラウンドに接続され、アノードが前記第2の伝送線路の第2の端部に交流的に接続され、順方向の電圧の第3の制御信号がこのカソードに印加されたときに、前記第2の伝送線路の第2の端部と前記グラウンドとを交流的に短絡し、逆方向の電圧の前記第3の制御信号がこのカソードに印加されたときに、前記第2の伝送線路の第2の端部と前記グラウンドとを交流的に遮断するPINダイオードである、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の移相回路。 - 前記第2の伝送線路の長さは、前記第1の端子から入力または出力される信号にとって波長の1/8である、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の移相回路。 - 前記スイッチ素子により前記第2の伝送線路の第2の端部と前記グラウンドとが交流的に遮断され、前記第1のキャパシタおよび前記第2のキャパシタのキャパシタンスが最小とされたときに、前記第1の伝送線路、前記第2の伝送線路、前記第1のキャパシタおよび前記第2のキャパシタは、前記第1の端子から入力または出力される信号に、前記第1の伝送線路の第2の端部と前記グラウンドとにおいて、前記第2の伝送線路が与えるインダクタンス性のインピーダンスと同じ大きさの抵抗性のインピーダンスを与える、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の移相回路。 - 前記スイッチ素子により前記第2の伝送線路の第2の端部と前記グラウンドとが交流的に遮断され、前記第1のキャパシタおよび前記第2のキャパシタのキャパシタンスが最小とされたときに、前記第1の伝送線路、前記第2の伝送線路、前記第1のキャパシタおよび前記第2のキャパシタは、前記第1の端子と前記第2の端子とで、前記第1の端子と外部とに交流的に入力または出力される信号を素通しする、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の移相回路。 - 外部からの前記第1の制御信号と前記第2の制御信号とは同じ信号である
請求項1〜7のいずれか1項に記載の移相回路。 - 前記抵抗性のインピーダンスは、前記第1の端子に接続されるアンテナのインピーダンスに等しい
請求項8に記載の移相回路。 - 前記抵抗性のインピーダンスは、前記第2の端子に接続される増幅回路の入力または出力のインピーダンスに等しい
請求項8または9に記載の移相回路。 - 前記第1の伝送線路、前記第2の伝送線路、前記第1のキャパシタおよび前記第2のキャパシタは、前記スイッチ素子により前記第2の伝送線路の第2の端部と前記グラウンドとが交流的に短絡され、前記第1のキャパシタおよび前記第2のキャパシタのキャパシタンスが最大とされたときに、前記第1の端子から入力または出力される信号に、前記第1の伝送線路の第2の端部と前記グラウンドとにおいて、前記第2の伝送線路が与えるインダクタンス性のインピーダンスと逆符号のキャパシタンス性のインピーダンスを与える、
請求項8〜10のいずれか1項に記載の移相回路。 - 前記第1の伝送線路、前記第2の伝送線路、前記第1のキャパシタおよび前記第2のキャパシタは、
前記スイッチ素子により前記第2の端子と前記グランドとが交流的に短絡され、前記第1のキャパシタおよび前記第2のキャパシタのキャパシタンスが最小から最大に変化したときに、前記第1の端子から入力または出力される信号に、前記第1の制御信号および前記第2の制御信号の値に応じて、前記第1の端子と前記グラウンドとの間に、前記第2の伝送線路が与えるインダクタンス性のインピーダンスから開放状態を経て、前記第2の伝送線路が与えるインダクタンス性のインピーダンスと逆符号のキャパシタンス性のインピーダンスまでの任意のインピーダンスを与え、
前記スイッチ素子により前記第2の端子と前記グラウンドとが交流的に短絡され、前記第1のキャパシタおよび前記第2のキャパシタのキャパシタンスが最大から最小に変化したときに、前記第2の伝送線路が与えるインダクタンス性のインピーダンスと逆符号のキャパシタンス性のインピーダンスまでの任意のインピーダンスから短絡状態を経て、前記第2の伝送線路が与えるインダクタンス性のインピーダンスまでの任意のインピーダンスを与える
請求項11に記載の移相回路。 - 前記第1の端子から入力または出力される信号に、0°から360°までの任意の移相量を与える、
請求項12に記載の移相回路。 - 請求項1〜13のいずれか1項に記載の移相回路を2つ
備える移相装置。 - 2つの前記移相回路のうちの第1の移相回路の第1の端子は、第1のアンテナに接続され、
前記第1の移相回路の第2の端子は、前記増幅回路の出力に接続され、
2つの前記移相回路の内の第2の移相回路の第1の端子は、第2のアンテナに接続され、
前記第2の移相回路の第2の端子は、前記増幅回路の入力に接続される、
請求項14に記載の移相装置。 - 前記第1のアンテナは、
送信信号が前記第1の移相回路から入力されているときは、前記第1の移相回路から入力された送信信号を送信し、
前記送信信号が前記第1の移相回路から入力されていないときは、受信信号を受信して前記第1の移相回路に出力し、前記第1の移相回路に出力され、前記第1の移相回路により移相されて戻された前記受信信号を、前記第2のアンテナに出力し、
前記第2のアンテナは、
前記送信信号が前記第1の移相回路から前記第1のアンテナに入力されていないときは、前記受信信号と、前記第1の移相回路により移相され、前記第1のアンテナから出力された前記受信信号とを受信し、
前記送信信号が前記第1の移相回路から前記第1のアンテナに入力されているときは、前記第1のアンテナから送信された前記送信信号を受信して前記第2の移相回路に出力し、前記第2の移相回路に出力され、前記第2の移相回路により移相されて戻された前記送信信号を送信し、
前記第1の移相回路は、
前記増幅回路の出力から出力された送信信号を前記第1の端子から前記第1のアンテナに入力し、
前記送信信号を前記第1のアンテナに入力しないときは、前記第1のアンテナにより受信された前記受信信号を移相して前記第1のアンテナに戻し、
前記第2の移相回路は、
前記送信信号が前記第1の移相回路から前記第1のアンテナに入力されているときは、前記第2のアンテナにより出力された前記送信信号を移相して前記第2のアンテナに戻し、
前記送信信号が前記第1の移相回路から前記第1のアンテナに入力されていないときは、前記第2のアンテナにより出力された前記受信信号と、前記第1のアンテナにより出力された前記受信信号とを移相して、これらの受信信号を終端する前記増幅回路の入力に入力する
請求項15に記載の移相装置。 - 請求項15または16に記載の移相装置、
を備えるアンテナ装置。 - 複数の請求項17に記載のアンテナ装置、
を備えるアレイアンテナ。
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