JP2019158497A - 生体試料採取方法及び生体試料採取用器具 - Google Patents

生体試料採取方法及び生体試料採取用器具 Download PDF

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Abstract

【課題】被検者への負担を軽減しつつ、被検者の皮膚表面成分を効率良く収集して分析に供する。【解決手段】被検者は指2で球状の成分採取用器具1をつまみ、指2の腹の間で何回か該器具1を転がすことで該器具1の表面に皮膚表面成分を転写する。この成分採取用器具1を所定の溶媒に浸漬することで、該溶媒中に皮膚表面成分を溶解させる。そのために例えばBligh-Dyer法を用いればよい。こうして脂質等が抽出された液体からMALDI-MS又はLDI-MSでの分析用のサンプルを調製し分析に供する。【選択図】図1

Description

本発明は生体試料を採取する方法及び生体試料採取用の器具に関し、さらに詳しくは、各種の分析に供するために、ヒトの指や手掌の皮膚表面に存在する成分を採取する生体試料採取方法及びそのための器具に関する。
ヒトの指先の皮膚表面には、被検者の体内から滲出した脂肪酸、コレステロール、中性脂肪といった様々な成分(化合物)が付着している。こうした成分は被検者の健康状態を把握したり疾患の程度を判断したりするうえで、或いはそうした疾患の治療の効果を確認するうえで、重要な成分である。一般的な健康診断では、こうした生体由来の成分の含有量などの確認は被検者から採取した血液の分析によって行われている。しかしながら、被検者の指先の皮膚の表面成分からそうした診断が的確に行えれば、被検者の身体への負担も軽減され、高い頻度での診断が可能となる。
被検者の指先の皮膚表面に存在する成分を分析する方法として、次のように試料を採取したうえで質量分析を行う方法が従来知られている。
即ち、まず、専用のサンプルプレートの表面に被検者の指先を押し当て、該プレートの表面に被検者の皮膚表面の成分を転写する。このプレートに転写された成分を、マトリクス支援レーザ脱離イオン化質量分析装置(MALDI−MS)又はマトリクスを用いないレーザ脱離イオン化質量分析装置(LDI−MS)によって質量分析することでマススペクトル等のデータを収集する。そして、このデータを解析することで、成分を同定したりその含有量を推算したりする。
非特許文献1には、指先の皮膚表面の成分を転写するためのサンプルプレートとして、表面支援レーザ脱離イオン化(SALDI=Surface Assisted Laser Desorption Ionization)法用として作製された酸化鉄ナノ粒子加工プレートを用いることが記載されている。また、こうした特殊なサンプルプレートではなく、MALDI法等に用いられる標準的なステンレス製のサンプルプレートを用いて皮膚表面の成分を転写して分析を行った報告もなされている。
また、別の方法としてテープストリッピングと呼ばれる試料採取方法を利用した分析も知られている。この方法では、まず、粘着テープを被検者の指先に貼り付けて剥がすことにより、該テープに指先の角質層を採取する。そして、この粘着テープを適宜の溶媒に浸漬して、該テープに粘着している角質層に含まれる成分を溶媒に溶解させて抽出し、質量分析用のサンプルを調製する。この方法によれば、比較的容易に且つ確実に、被検者の指先の角質層を回収して分析に供することができる。
草野 麻衣子(M. Kusano)、ほか7名、「レーザ・デソープション/イオナイゼイション・マス・スペクトロメトリー(LDI-MS)・オブ・リピッズ・ウィズ・アイアン・オキサイド・ナノパーティクル-コーテッド・ターゲッツ(Laser Desorption/Ionization Mass Spectrometry (LDI-MS) of Lipids with Iron Oxide Nanoparticle-Coated Targets)」、Mass Spectrometry、Vol.3、No.1、2014年、A0026
しかしながら、上述したような従来の皮膚表面成分の採取方法では次のような問題がある。
一般に、質量分析において或る成分由来の信号を十分に強い強度で得るためには、或る程度の量が必要である。そのため、上述したようにサンプルプレートへ皮膚表面成分を転写する方法では、被検者はサンプルプレートへの指先の押し当てを何度も強く行う必要がある。そのため、試料採取は非侵襲であるものの、被検者が高齢者や疾病を罹患している患者である場合、負担が大きい。また、そもそも、MALDI−MSやLDI−MSにおいて一度にレーザ光を照射できる領域(0.1mm径程度)は成分が転写された領域(通常、20〜30mm径程度)に比べて格段に小さいため、一度にイオン化できる成分の量はサンプルプレート上に採取された成分量の数万分の1程度にすぎない。そのため、試料の利用効率が悪く、試料の利用効率を上げるには、レーザ光照射位置を移動させながら何度も分析を繰り返して信号を積算する必要がある。こうした分析では時間が掛かり、スループットを上げることが難しい。さらにまた、サンプルプレートに転写された成分はMALDI−MSやLDI−MSにより分析することは可能であるが、その試料を他の手法の分析に利用することは難しい。
一方、テープストリッピング法では、試料の利用効率は高いものの、皮膚のバリア層である角質層を剥がしてしまうことになるため、軽度ではあるものの被検者の身体に負担を掛けることになる。そのため、高齢者や疾病を罹患している患者等に対し、繰り返し試料採取を行うことは適切でない。
本発明は上記課題に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、被検者の身体に対する負担をできるだけ抑えながら、分析に必要な量の皮膚成分を効率良く収集することができる生体試料採取方法及びそのための器具を提供することにある。
上記課題を解決するために成された本発明に係る生体試料採取方法は、分析に供される試料として被検者の手の指先、指腹、又は手掌の皮膚表面に存在する成分を採取する生体試料採取方法であって、
a)ヒトの指先、指腹、又は手掌で挟持可能なサイズであり、少なくともその表面が滑らかであって耐薬剤性を有すると共に表面に付着した成分の剥離性が高い材料から成る成分採取用器具を用い、該成分採取用器具を被検者の指先、指腹、又は手掌で転がすことにより皮膚表面の成分を該器具の表面に転写する成分転写ステップと、
b)皮膚表面の成分が転写された前記成分採取用器具を所定の溶媒に浸漬させ、該器具の表面に付着している成分を溶媒中に溶解させる成分抽出ステップと、
を有することを特徴としている。
また上記課題を解決するために成された本発明に係る生体試料採取用器具は、分析に供される試料として被検者の手の指先、指腹、又は手掌の皮膚表面に存在する成分を採取するための生体試料採取器具であって、
ヒトの指先、指腹、又は手掌で挟持可能なサイズであり、少なくともその表面が滑らかであって耐薬剤性を有すると共に表面に付着した成分の剥離性が高い材料から成り、
被検者の指先、指腹、又は手掌で当該器具を転がすことで、皮膚表面の成分が当該器具の表面に転写されるようにしたことを特徴としている。
本発明に係る生体試料採取方法では、被検者の指又は手掌の皮膚表面に存在する成分を転写させるために、従来使用されているような平面的なサンプルプレートではなく、立体的な成分採取用器具(上記発明に係る生体試料採取器具)を使用する。この成分採取用器具は、ヒトの指先、指腹、又は手掌で挟持可能なサイズであり、少なくともその表面が滑らかであって耐薬剤性を有すると共に表面に付着した成分の剥離性が高い材料から成るものである。
このようなサイズであってその表面が滑らかであることにより、例えば被検者は成分採取用器具を指先で挟持しながら指と指の腹の間で円滑に且つ容易に転がすことができる。或いは、成分採取用器具を清浄な面上に置いた状態で、被検者が指や手掌で該器具を転がす方法でもよい。また、被検者自身がこうした行為をとることが難しい場合には、検査技師などの担当者が被検者の手を動かす等により、成分採取用器具を被検者の手掌等に接触させた状態で転がすことも容易である。これによって、成分採取用器具の表面の広い範囲に指や手掌の皮膚表面の成分が転写される。また、成分採取用器具の表面が滑らかであることで、該器具を被検者の指先で転がした際にも指の角質層が剥がれにくく、被検者の身体に対する負担も小さい。
次いで、こうして被検者の皮膚表面の成分が転写された成分採取用器具を所定の溶媒に浸漬させ、該器具の表面に付着している成分を溶媒中に溶解させる。適宜の溶媒を利用することができるが、典型的には、水、メタノール、クロロホルム、或いはそのほかの有機溶媒を用いればよい。成分採取用器具の少なくとも表面は耐薬剤性を有するため、成分採取用器具の材料自体が溶媒に溶け出すことを回避できる。また、成分採取用器具の表面における付着している成分の剥離性は高いので、該器具が溶媒に浸漬されたあと迅速に、皮膚表面成分は溶媒に溶け出す。また、皮膚表面成分が成分採取用器具の表面に残りにくいので、付着していた皮膚表面成分のほぼ全量を溶媒中に溶解させることができる。
こうして皮膚表面成分が溶媒中に溶解したならば、その液体をそのまま分析に供したり、或いは、乾固させる等の処理により、固体状のサンプルを調製したりすればよい。サンプルの形態は分析の手法により様々である。例えば、LDI−MSを用いて質量分析する場合には、皮膚表面成分が溶解している液体をサンプルプレート上に滴下し乾固させることで、サンプルを調製すればよい。
本発明に係る生体試料採取方法において、前記成分採取用器具の形状は特に限定されないが、前記成分採取用器具は少なくとも一部の断面形状が円形状又は長円形状であるものとすることができる。これにより、被検者が成分採取用器具を指先で円滑に転がすことができる。
前記成分採取用器具の具体的な形状として、球状体、紡錘状体、円柱状体、のいずれかとするよい。
これによれば、成分採取用器具の表面の広い範囲に被検者の指が接触するので、多くの量の皮膚表面成分が成分採取用器具の表面に転写される。それによって、分析対象の成分量を増やし、分析感度や精度を向上させることができる。
なお、上記構成では、成分採取用器具の円形状である断面の直径又は長円形状である断面の長径は5〜20mmの範囲内であるものとすればよい。これにより、被検者は無理なく成分採取用器具を指や手掌で転がすことができる。さらに好ましくは、成分採取用器具の円形状である断面の直径又は長円形状である断面の長径は8〜15mmの範囲内とするとよい。これにより、被検者自身が指先で該器具を挟持し易く、該器具の落下等を生じにくくすることができる。
また、本発明に係る生体試料採取方法において好ましくは、前記成分採取用器具の少なくとも表面の材料はフッ素樹脂であるものとするとよい。 典型的には、ポリテトラフルオロエチレンを用いればよい。これにより、安価でありながら皮膚表面成分の採取に適した成分採取用器具を提供することができる。
本発明に係る生体試料採取方法及び生体試料採取用器具によれば、被検者の身体に対する負担を抑えながら、分析に必要な量の皮膚表面成分を効率良く収集することができる。これにより、被検者が高齢者や疾病を罹患している患者である場合でも、高い頻度で以て皮膚表面成分の採取が可能となる。また、分析に供する成分の量が増えることで、分析精度や分析感度の向上、分析時間の短縮化などを図ることもできる。
本発明に係る生体試料採取方法の一実施例において、皮膚表面の成分を採取する仕方の説明図。 本実施例の生体試料採取方法を含む皮膚表面成分の解析の手順を示すフローチャート。 本発明に係る生体試料採取方法で使用される成分採取用器具の他の例を示す図。
以下、本発明に係る生体試料採取方法の一実施例について、添付図面を参照して説明する。図2は本実施例の生体試料採取方法を含む皮膚表面成分の解析の手順を示すフローチャート、図1は本実施例の生体試料採取方法において、皮膚表面成分を採取する仕方の説明図である。
本実施例の生体試料採取方法では、被検者の皮膚表面の成分を採取するために、図1に示すような球状の成分採取用器具1を用いる。この成分採取用器具1はポリテトラフルオロエチレン(テフロン:登録商標)等のフッ素樹脂から成り、その大きさは直径が10mm程度である。フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のほかに、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)などが一般に使用される。
成分採取用器具1の材質はフッ素樹脂に限らないが、後述するように、皮膚表面成分を抽出するために各種の溶媒を用いるため、こうした溶媒による溶解や腐食が生じない耐薬品性を有する材料であることが望ましい。また、成分抽出の際に熱を加えることも考えられるので、或る程度の耐熱性を有していることが望ましい。また、その表面に付着した皮脂等の皮膚表面成分が内部に染み込んでしまうような材料は明らかに適切でなく、付着した皮膚表面成分の剥離性が良好であることも必要である。さらに、表面が滑りにくいと被検者が指で挟んだ状態で転がしにくいので、その表面が適度に滑り易いことも必要である。こうした各種条件を満たす材料として、フッ素樹脂、特にポリテトラフルオロエチレンは好適である。
被検者は、その表面を十分に洗浄した成分採取用器具1を図1に示すように指2でつまむ。そして、指2の腹と腹との間で成分採取用器具1を何回も転動させることによって、指先の皮膚表面成分を成分採取用器具1の表面に転写させる(ステップS1)。一般に、被検者があまり意識せずに転がしても、成分採取用器具1の表面上の様々な部位に指先が接触するため、その表面にほぼ満遍なく皮膚表面成分が付着する。
次に、分析担当者は、成分転写後の成分採取用器具1をクロロホルム、メタノール、及び水の混合溶液が収容されている試験管に投入する。そして、よく知られているBligh-Dyer法により、水溶性成分、タンパク質、及び脂質を分離・回収する(ステップS2)。具体的には、クロロホルム、メタノール、水が一定の比率である混合溶液に成分採取用器具1を浸漬した状態で撹拌する。それにより、成分採取用器具1の表面に付着していた皮膚表面成分が上記混合溶液に溶解し懸濁液が得られる。そのあと、その懸濁液を遠心分離する。遠心後は2層に分離し、下層のクロロホルムとメタノールを含む有機溶媒層に脂質分子の殆どが回収される。なお、上述したように成分採取用器具1の材料は耐薬品性を有しており、クロロホルムへの耐性も高いため、成分採取用器具1自体の腐食等は生じない。
上述したように、一般に成分採取用器具1の表面のほぼ全体に満遍なく皮膚表面成分が付着しているため、サンプルプレートなどに指先を押し付けて皮膚表面成分を転写する場合に比べて、十分に多くの量の皮膚表面成分を回収することができる。
こうして得られた脂質を含む抽出液を減圧乾燥により濃縮した後、質量分析に供するサンプルを調製する(ステップS3)。このサンプル調製の方法は使用する質量分析装置のイオン化法に依る。例えばMALDI法を用いる場合には、濃縮した抽出液にマトリクスを添加したうえでサンプルプレート上に滴下し、それ乾固させることでサンプルを調製することができる。また、マトリクスを使用しないLDI法を用いる場合には、濃縮した抽出液をサンプルプレート上に滴下し、それ乾固させることでサンプルを調製することができる。
こうして調製したサンプルを質量分析装置にセットし、所定の条件の下で質量分析を実行する(ステップS4)。この種の分析に使用される質量分析装置は一般に、飛行時間型質量分析装置、又は、イオンを1回以上解離させて質量分析することができる、TOF/TOF型質量分析装置、イオントラップ飛行時間型質量分析装置などである。また、エレクトロスプレーイオン化(ESI)法などの大気圧イオン化法を利用したイオン源を搭載したQ−TOF型質量分析装置などを使用する場合には、上述したような固体状のサンプルを用意する必要はなく、濃縮した抽出液をそのまま質量分析装置に導入して質量分析することも可能である。また、液体クロマトグラフやガスクロマトグラフと質量分析装置とを組み合わせたLC−MS、GC−MSを用いた分析にも適用できる。
そして、上述した質量分析によって得られた質量分析結果、具体的にはマススペクトルに基づいた所定の解析処理を行うことで、被検者の皮膚表面成分の同定や定量を行う(ステップS5)。上述したように、ステップS2において回収される成分の量は従来の方法に比べて十分に多いため、調製されるサンプルに含まれる成分の量も多い。そのため、各種成分が高い感度で以て検出されるマススペクトルを得ることができ、同定や定量の精度も高くなる。また、ごく微量しか存在しない成分も同定することが可能となる。
図3は球状とは異なる形状を有する成分採取用器具の例であり、(a)は紡錘状、(b)は円柱状、(c)は回転楕円体状である。或いは、さらに細長いスターラーバーのような形状でもよい。いずれにしても、被検者が指でつまんで転がしやすい形状であればよく、しかもその際にできるだけ広い範囲に指が接触する形状であることが望ましい。そのため、図3に示した各形状のように、少なくとも一部の断面が円形状又は長円形状であることが好ましい。
また、上記説明では質量分析装置を用いた分析を行っていたが、上記ステップS1、S2により取得した抽出液を、質量分析以外の分析手法による分析の試料として利用することもできる。
また、ステップS2における処理に利用する溶媒は上記記載のものに限らず、適宜の有機溶媒を用いることができる。即ち、脂質の回収の手法はBligh-Dyer法に限らない。ただし、皮膚表面成分は脂質の割合が高いため、脂質の回収に特に有効であるクロロホルム・メタノール抽出は好適である。
また、上記実施例で用いた球状の成分採取用器具1のサイズは直径が約10mmであるが、サイズはこれに限らない。上述したように被検者自身が成分採取用器具1を指の間に挟んで転がすことで皮膚表面成分を採取する場合、該器具1の径は8〜15mm程度が適切である。
また、被検者によっては指の間に物を挟むという行為が難しい場合も多い。そうした場合には、成分採取用器具1を清浄な面の上に置き、被検者が指や手掌で該器具1を転がすようにしても、皮膚表面成分を該器具1の表面に転写させることができる。さらに、、高齢者等では被検者自身が手を動かすことができない場合があるが、検査技師などの担当者が被検者の手を持って動かし、成分採取用器具1を被検者の手掌等に接触させた状態で転がしてもよい。このような場合、成分採取用器具1のサイズはより大きくても小さくてもよく、5〜20mmの径でもよい。
また、上記記載以外の点において、本発明の趣旨の範囲で適宜変形や修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
例えば、本発明に係る試料採取方法は、ヒトの指先の皮膚表面成分を採取することを意図したものであるものの、他の用途に転用しても構わない。
例えば、ラット等の実験動物、ペットや家畜として飼われている動物の皮膚表面成分を採取するために、上述した成分採取用器具を動物の例えば耳の裏側など、皮膚表面成分が採取容易な部位にこすり付けることで、成分採取用器具の表面に皮膚表面成分を転写してもよい。成分採取用器具の表面形状が凸曲面であるため、耳の裏側などにもその表面が密着し易く、皮膚表面成分を良好に採取することができる。
1…成分採取用器具
2…(被検者の)指

Claims (8)

  1. 分析に供される試料として被検者の手の指先、指腹、又は手掌の皮膚表面に存在する成分を採取する生体試料採取方法であって、
    a)ヒトの指先、指腹、又は手掌で挟持可能なサイズであり、少なくともその表面が滑らかであって耐薬剤性を有すると共に表面に付着した成分の剥離性が高い材料から成る成分採取用器具を用い、該成分採取用器具を被検者の指先、指腹、又は手掌で転がすことにより皮膚表面の成分を該器具の表面に転写する成分転写ステップと、
    b)皮膚表面の成分が転写された前記成分採取用器具を所定の溶媒に浸漬させ、該器具の表面に付着している成分を溶媒中に溶解させる成分抽出ステップと、
    を有することを特徴とする生体試料採取方法。
  2. 請求項1に記載の生体試料採取方法であって、
    前記成分採取用器具は少なくとも一部の断面形状が円形状又は長円形状であることを特徴とする生体試料採取方法。
  3. 請求項2に記載の生体試料採取方法であって、
    前記成分採取用器具の円形状である断面の直径又は長円形状である断面の長径は5〜20mmであることを特徴とする生体試料採取方法。
  4. 請求項2又は3に記載の生体試料採取方法であって、
    前記成分採取用器具は球状体であることを特徴とする生体試料採取方法。
  5. 請求項2又は3に記載の生体試料採取方法であって、
    前記成分採取用器具は紡錘状体であることを特徴とする生体試料採取方法。
  6. 請求項2又は3に記載の生体試料採取方法であって、
    前記成分採取用器具は円柱状体であることを特徴とする生体試料採取方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の生体試料採取方法であって、
    前記成分採取用器具の少なくとも表面の材料はフッ素樹脂であることを特徴とする生体試料採取方法。
  8. 分析に供される試料として被検者の手の指先、指腹、又は手掌の皮膚表面に存在する成分を採取するための生体試料採取器具であって、
    ヒトの指先、指腹、又は手掌で挟持可能なサイズであり、少なくともその表面が滑らかであって耐薬剤性を有すると共に表面に付着した成分の剥離性が高い材料から成り、
    被検者の指先、指腹、又は手掌で当該器具を転がすことで、皮膚表面の成分が当該器具の表面に転写されるようにしたことを特徴とする生体試料採取用器具。
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