JP2019158071A - 樹脂管 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、識別層の耐候性に優れる樹脂管を目的とする。【解決手段】筒状の本体10と、本体10の外面に一体に形成され、本体10の管軸O1方向に延びる1以上の識別層20とを備え、識別層20は、本体10との色差(ΔE)が1以上であり、識別層20は、下記条件を満たす樹脂管1。<条件>サンシャインウェザーメーターで前記識別層20を含む試験片を3.5GJ/m2照射した後の示差走査熱量測定(DSC)における酸化誘導時間(OIT)が10分以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、配水管に用いられる樹脂管に関する。
従来、水道管、ガス管等には、耐久性、耐食性、可撓性に優れ、軽量で施工性に優れることから、ポリエチレン管等の樹脂管が多用されている。水道管の施工は夜間や暗所で行われることもあり、暗所においても容易に視認可能な樹脂管が要求されている。加えて、樹脂管の内径や用途に応じた管種の違いを容易に識別するために、識別可能な樹脂管の要求がある。
暗所においても容易に視認可能な樹脂管として、特許文献1には、管本体外面に管本体と一体的に成形された発光材料及び金属材料を含むライン状のマーキング層を備える樹脂管が紹介されている。
特許文献1の発明によれば、暗所における樹脂管の視認性の向上が図られている。
特開2014−188757号公報
前記マーキング層等の識別層の厚さは、本体の厚さに比べて薄い。そのため、識別層の耐候性が低いと、光劣化により、識別層が管本体外面から剥がれやすい。加えて、識別層の耐候性が低いと、識別層の色調が変化して、樹脂管の管種の違いが識別しにくくなる。
そこで、本発明は、識別層の耐候性に優れる樹脂管を目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を有する。
[1]筒状の本体と、前記本体の外面に一体に形成され、前記本体の管軸方向に延びる1以上の識別層とを備え、前記識別層は、前記本体との色差(ΔE)が1以上であり、前記識別層は、下記条件を満たす樹脂管。
<条件>
サンシャインウェザーメーターで前記識別層を含む試験片を3.5GJ/m照射した後の示差走査熱量測定(DSC)における酸化誘導時間(OIT)が10分以上である。
[2]前記本体の光の吸収波長が、600nm以上800nm以下であり、前記識別層の光の吸収波長が、400nm以上600nm未満である、[1]に記載の樹脂管。
[3]前記本体の光の吸収波長が、400nm以上600nm未満であり、前記識別層の光の吸収波長が、600nm以上800nm以下である、[1]に記載の樹脂管。
本発明の樹脂管によれば、識別層の耐候性に優れる。
本発明の一実施形態に係る樹脂管を示す要部斜視図である。 図1のII−II線断面図である。
[樹脂管]
本発明の樹脂管は、筒状の本体と、本体の外面に形成された識別層とを備える。
以下、一実施形態に係る樹脂管について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、樹脂管1は、筒状の本体10と、4つの識別層20とを備える。
識別層20は、本体10の外面に位置している。識別層20は、帯状である。識別層20は、本体10の管軸O1方向に延びている。識別層20は、本体10と一体に形成されている。
図2に示すように、4つの識別層20は、本体10の管軸O1を中心に、90°間隔で環状に位置している。
本体10の長さL1は、樹脂管1の用途に応じて決定され、例えば、2m以上10m以下が好ましい。長さL1は、一方の開口端から他方の開口端までの距離である。
本体10の内径R1は、樹脂管1の用途に応じて決定され、例えば、10mm以上600mm以下が好ましい。
本体10の厚さd1は、樹脂管1の用途に応じて決定され、例えば、1mm以上50mm以下が好ましい。
本体10を構成する樹脂(第一の樹脂)としては、特に限定されず、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、架橋ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンテレフタラート、塩化ビニル等が挙げられる。
第一の樹脂は、成形性、コストの観点から、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、架橋ポリエチレンが好ましく、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンがより好ましい。
これらの第一の樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
第一の樹脂の質量平均分子量は、1.0×10以上1.0×10以下が好ましく、1.5×10以上3.0×10以下がより好ましい。質量平均分子量が上記数値範囲内であると、本体10は配管として所望する物性を得られやすい。
第一の樹脂の質量平均分子量は、JIS K 7252−1により測定される。
第一の樹脂の含有量は、本体10の総質量に対して、90質量%以上100質量%以下が好ましい。第一の樹脂の含有量が上記数値範囲内であると、本体10は配管として所望する物性を得られやすい。
本体10は、第一の樹脂の他、酸化防止剤、紫外線吸収剤(UVA)、光安定剤、顔料等の各種添加剤を含有してもよい。
識別層20の長さL2は、本体10の長さL1と同様である。識別層20の長さL2は、本体10の長さL1と同じでもよいし、異なってもよい。識別層20は、本体10の長さL1と同等が好ましい。
識別層20の幅w2は、本体10の内径R1に応じて適宜決定され、例えば、2mm以上50mm以下が好ましい。識別層20の幅w2が上記下限値以上であると、識別層20を看取しやすい。識別層20の幅w2が上記上限値以下であると、側面視において、本体10の色調を看取しやすい。
識別層20の厚さd2は、本体10の厚さd1に応じて適宜決定され、例えば、0.02mm以上2.0mm以下が好ましく、0.05mm以上1.0mm以下がより好ましく、0.1mm以上0.5mm以下がさらに好ましい。識別層20の厚さd2が上記下限値以上であると、識別層20を看取しやすい。識別層20の厚さd2が上記上限値以下であると、樹脂管1の外面を削り取る(スクレープする)ときに、スクレープし忘れを防止しやすい。
なお、スクレープは、樹脂管1を電気融着継手と融着する際に必要となる作業である。
d2/d1で表される厚さ比は、3.0×10−6以上3.0×10−2以下が好ましく、3.0×10−5以上3.0×10−3以下がより好ましい。
本体10と、識別層20とのJIS Z8781−4:2013に規定されたL*a*b*表色系における色差(ΔE)は、1以上であり、5以上が好ましく、10以上がより好ましい。色差が上記下限値以上であると、本体10と識別層20とを識別しやすい。色差の上限値は特に限定されないが、例えば、100以下とされ、実用上80以下が好ましい。
色差は、分光色差計(ハンディ型分光色差計「NF333」日本電色工業(株)製)を用いて測定でき、暗室等の周囲を暗くした状況で測定することが好ましい。
ここで、色差(ΔE)は、以下の式で算出される。
ΔE=√((L−L+(a−a+(b−b)・・・(1)
なお、式(1)中、L、a、bはそれぞれ本体10の明度L、赤色方向の色度a、黄色方向の色度bを表し、L、a、bはそれぞれ識別層20の明度L、赤色方向の色度a、黄色方向の色度bを表す。
本体10又は識別層20のJIS Z8781−4:2013に規定されたL*a*b*表色系における明度(L*)は、30以上が好ましい。本体10又は識別層20の明度(L*)が30以上であると、樹脂管1が設置されるパイプスペース等の暗所でも、本体10又は識別層20を視認しやすい。
可視光の範囲における本体10の光の吸収波長が600nm以上800nm以下(本体10の色が濃青色〜黄緑色)である場合、可視光の範囲における識別層20の光の吸収波長は、400nm以上600nm未満(識別層20の色が黄色〜赤色)であることが好ましい。また、可視光の範囲における本体10の光の吸収波長が400nm以上600nm未満(本体10の色が黄色〜赤色)である場合には、可視光の範囲における識別層20の光の吸収波長は、600nm以上800nm以下(識別層20の色が濃青色〜黄緑色)であることが好ましい。本体10と識別層20とが上記の組み合わせであると、本体10と識別層20との色差を1以上にしやすい。
光の吸収波長が400nm以上600nm未満(黄色〜赤色)である着色剤は、耐候性が低い傾向がある。このため、後述するように酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤の含有量を多くしたり、着色剤自体の含有量を多くしたりするなどして耐候性を向上させることが好ましい。この場合、光の吸収波長が400nm以上600nm未満の部分は、酸化防止剤や着色剤等の添加量が多くなるため、成形性が低下したり原料コストが高くなったりする傾向がある。
このため、本体10と識別層20のうち、単位長さあたりの樹脂管1の外表面積に占める割合の少ないほうを光の吸収波長が400nm以上600nm未満とすることが好ましい。また、単位長さあたりの樹脂管1の体積に占める割合の少ない識別層20を光の吸収波長が400nm以上600nm未満としてもよい。
識別層20は、下記条件を満たす。
<条件>
サンシャインウェザーメーターで前記識別層20を含む試験片を3.5GJ/m照射した後の示差走査熱量測定(DSC)における酸化誘導時間(OIT)が10分以上である。
識別層20の上記条件におけるOITが10分以上であると、識別層20は耐候性に優れる。
識別層20の上記条件におけるOITは、酸化防止剤等の各種添加剤の種類や量、識別層20の色調又はこれらの組合せにより調整できる。
OITは、高分子材料の酸化劣化を防ぐための酸化防止剤の添加剤効果を示す指標である。OITは、時間が大きいほど、酸化防止剤の添加剤効果が高く、高分子材料が酸化劣化しにくいことを意味する。
OITは、示差走査熱量測定(DSC)装置を用いて、常法により測定できる。
サンシャインウェザーメーターによる暴露試験は、JIS K7350−1−1995「プラスチック−実験室光源による暴露試験方法」に従って行うことができる。
実験室光源としては、JIS K7350−2(キセノンアークランプ)、JIS K7350−3(紫外線蛍光ランプ)、又はJIS K7350−4(オープンフレームカーボンアークランプ)のいずれかが用いられる。
試験片の形状は、識別層20を含んでいれば特に限定されず、例えば、本体10を管軸O1と垂直方向に任意の長さで切断した筒状や、筒状の試験片をさらに管軸O1の方向に切断した半円筒状や、半円筒状の試験片をさらに管軸O1の方向に切断した瓦状が挙げられる。瓦状の試験片を押圧し、平板状にしてもよい。
暴露試験に用いた試験片をそのまま熱管内圧クリープ試験に使用できるため、試験片の形状は、筒状が好ましい。
識別層20を構成する樹脂(第二の樹脂)は、第一の樹脂と同種の樹脂でもよく、異なる種類の樹脂でもよい。本体10の外面からの識別層20の剥がれにくさの観点から、第二の樹脂は、第一の樹脂と同種の樹脂が好ましい。
第二の樹脂としては、第一の樹脂と同様の樹脂が挙げられ、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、架橋ポリエチレンが好ましく、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンがより好ましい。
第二の樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
第二の樹脂の質量平均分子量は、1.0×10以上1.0×10以下が好ましく、1.5×10以上3.0×10以下がより好ましい。質量平均分子量が上記数値範囲内であると、識別層20の耐候性を向上しやすい。
第二の樹脂の質量平均分子量は、第一の樹脂と同様に測定される。
第二の樹脂の含有量は、識別層20の総質量に対して、1.0×10−5質量%以上10質量%以下が好ましい。第二の樹脂の含有量が上記数値範囲内であると、識別層20は配管として所望する物性を得られやすい。
識別層20は、耐候性を向上する観点から、酸化防止剤を含有することが好ましい。酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤であることが好ましい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシアルキルエステル(側鎖アルキル基の炭素数7〜9)、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−[4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン2−イルアミノ]フェノール、ジエチル[{3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル}メチル]ホスフォネート等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト、トリス[2−[[2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン−6−イル]オキシ]エチル]アミン、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジイルビスホスフォナイト等が挙げられる。
ラクトン系酸化防止剤としては、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物等が挙げられる。
酸化防止剤の含有量は、識別層20の総質量に対して、10ppm(ppmは質量基準。以下同様とする。)以上5000ppm以下が好ましく、100ppm以上2000ppm以下がより好ましく、300ppm以上1500ppm以下がさらに好ましい。酸化防止剤の含有量が上記下限値以上であると、識別層20の耐候性を向上しやすい。酸化防止剤の含有量が上記上限値以下であると、他の添加剤の含有量とのバランスに優れ、識別層20の物性を良好にしやすい。
酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
識別層20は、耐候性を向上する観点から、紫外線吸収剤(UVA)を含有することが好ましい。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サルマレート系紫外線吸収剤、ベンゾコート系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、クエンチャー等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ポリエチレン又はポリプロピレンに対しては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましい。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(Sumisorb200、住化ケムテックス(株)製)、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(Tinuvin326、BASF社製)、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(Tinuvin327、BASF社製)、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール(Tinuvin328、BASF社製)等が挙げられる。
紫外線吸収剤の含有量は、識別層20の総質量に対して、10ppm以上1000ppm以下が好ましく、50ppm以上800ppm以下がより好ましく、80ppm以上400ppm以下がさらに好ましい。紫外線吸収剤の含有量が上記下限値以上であると、識別層20の耐候性を向上しやすい。紫外線吸収剤の含有量が上記上限値以下であると、他の添加剤の含有量とのバランスに優れ、識別層20の物性を良好にしやすい。
紫外線吸収剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
識別層20は、耐候性を向上する観点から、光安定剤を含有することが好ましい。光安定剤としては、例えば、サリチル酸エステル系光安定剤、ベンゾフェノン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系光安定剤、シアノアクリレート系光安定剤、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)等が挙げられる。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤が好ましい。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレート((株)ADEKA製、商品名「アデカスタブLA−52」)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート((株)ADEKA製、商品名「アデカスタブLA−87」)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート((株)ADEKA製、商品名「アデカスタブLA−77Y」、商品名「アデカスタブLA−77G」)等が挙げられる。
光安定剤の含有量は、識別層20の総質量に対して、10ppm以上1000ppm以下が好ましく、50ppm以上800ppm以下がより好ましく、80ppm以上400ppm以下がさらに好ましい。光安定剤の含有量が上記下限値以上であると、識別層20の耐候性を向上しやすい。光安定剤の含有量が上記上限値以下であると、他の添加剤の含有量とのバランスに優れ、識別層20の物性を良好にしやすい。
光安定剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
識別層20は、耐候性を向上する観点及び樹脂管の視認性を向上する観点から、カーボンブラックを含有していてもよい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック等が挙げられる。
カーボンブラックの含有量は、識別層20の総質量に対して、1000ppm以上5.0×10ppm以下が好ましく、2000ppm以上3.0×10ppm以下がより好ましく、20000ppm以上1.0×10ppm以下がさらに好ましい。カーボンブラックの含有量が上記下限値以上であると、識別層20の耐候性を向上し、かつ、本体10と識別層20との識別性を向上しやすい。カーボンブラックの含有量が上記上限値以下であると、他の添加剤の含有量とのバランスに優れ、識別層20の物性を良好にしやすい。
カーボンブラックは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
識別層20は、本体10と識別層20との識別性を向上する観点から、着色剤を含有していてもよい。着色剤としては、顔料や染料が挙げられ、市販品を用いることができる。
顔料としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系等の有機顔料;酸化物系、クロム酸モリブデン系、硫化物−セレン化物系、フェロシアン化物系等の無機顔料等が挙げられる。これらの顔料のうち、可視光の範囲における光の吸収波長が580〜800nmであるものが好ましい。
着色剤の種類や含有量は、本体10及び識別層20の色に応じて、適宜決定できる。
例えば、本体10が青色の場合、識別層20は黄色や赤色が好ましく、着色剤の含有量は、識別層20の総質量に対して、1ppm以上25000ppm以下が好ましい。着色剤の含有量が上記下限値以上であると、本体10と識別層20との識別性を向上しやすい。着色剤の含有量が上記上限値以下であると、他の添加剤の含有量とのバランスに優れ、識別層20の物性を良好にしやすい。
着色剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[樹脂管の製造方法]
樹脂管1の製造方法は、共押出成形で本体10と識別層20とを成形する工程を含む。
樹脂管1の製造装置としては、例えば、押出成形機と、サイジングダイと、冷却槽と、切断機とを備える製造装置を例示できる。押出成形機は、共押出可能な成形機である。押出成形機は、少なくとも2つの供給口を備える。サイジングダイは、下流に向かうに従い縮径する筒状の部材である。冷却槽は、縮径された樹脂管を冷却し、樹脂を硬化する装置である。冷却槽としては、例えば、水冷式の冷却槽が挙げられる。
上記製造装置を用いた樹脂管1の製造方法の一例を示す。
押出成形機の一の供給口から第一の樹脂と必要に応じて添加剤(第一の樹脂と添加剤とを併せて第一の樹脂組成物ということがある)を投入する。押出成形機の他の供給口から第二の樹脂と添加剤(第二の樹脂と添加剤とを併せて第二の樹脂組成物ということがある)を投入する。第一の樹脂組成物を第一の樹脂の融点以上に加熱し、混練する。第二の樹脂組成物を第二の樹脂の融点以上に加熱し、混練する。次いで、第一の樹脂組成物と第二の樹脂組成物とを押出成形機で筒状に押し出す。第一の樹脂組成物と第二の樹脂組成物とは、別の流路を通流し、次いで合流し、第二の樹脂組成物が識別層20を形成する。
これにより、本体10の外面に識別層20が一体に形成された筒状成形体を得る。
次に、筒状成形体をサイジングダイに挿入する。筒状成形体は、サイジングダイ内を通過するに従い、所望の太さとなる。所望の太さに調整された筒状成形体を冷却槽に挿入する。冷却槽は、筒状成形体を冷却し、樹脂を硬化する。硬化した筒状成形体を所望の長さに切断し、樹脂管1とする。
押出成形機における第一の樹脂組成物への加熱温度は、例えば、170℃以上250℃以下が好ましく、180℃以上220℃以下がより好ましい。加熱温度が上記数値範囲内であると、第一の樹脂の熱分解を抑えつつ、良好な流動性を得られる。
押出成形機における第二の樹脂組成物への加熱温度は、第一の樹脂組成物への加熱温度と同様である。
冷却槽における冷却水の温度は、例えば、20℃以上30℃以下が好ましい。冷却水の温度が上記範囲内であれば、筒状成形体を十分に硬化できる。
樹脂管1の本体10の内径R1、本体10の厚さd1、識別層20の厚さd2、識別層20の幅w2、識別層20の数は、押出成形機の金型やサイジングダイの大きさ、形状により調整できる。
以上、説明してきたように、本発明の樹脂管は、本体の管軸方向に延びる識別層を有するため、樹脂管の管種の違いを識別しやすい。本体と識別層との色差が1以上であるため、本体と識別層とを識別しやすい。識別層は、サンシャインウェザーメーターで前記識別層を含む試験片を3.5GJ/m照射した後のDSCにおけるOITが10分以上であるため、耐候性に優れる。
本発明は、上述の実施形態に限定されない。
上述の実施形態は、4つの識別層を備える。本発明はこれに限定されず、識別層が3つ以下でもよいし、5つ以上でもよい。中でも、あらゆる角度で識別層を看取できるように、識別層の数は4以上が好ましく、4以上8以下がより好ましく、4以上6以下がより好ましい。
上述の実施形態では、4つの識別層が管軸を中心に90°間隔で位置している。即ち、4つの識別層は、等間隔である。しかしながら、本発明はこれに限定されず、各識別層の間隔が異なってもよい。
上述の実施形態では、直線の帯状の識別層が本体の長さ方向(一方の開口端から他方の開口端に向かう)全域にわたっている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、個々の識別層は、破線でもよい。また、識別層は、波型やジグザグ型等、直線でなくてもよい。但し、押出成形機内での第二の樹脂の流動性を高め、より美麗な識別層を得る観点からは、直線の帯状の識別層が好ましい。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
各実施例及び比較例で使用した原料、評価方法は、以下の通りである。
[使用原料]
<本体>
第一の樹脂:高密度ポリエチレン(旭化成(株)製、商品名「B780」)。
酸化防止剤:ペンタエリスリト−ルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF社製、商品名「IRGANOX1010」)。
紫外線吸収剤:2’,4’−ジ−tert−ブチルフェニル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(シプロ化成(株)製、商品名「SEESORB712」)。
光安定剤:ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート((株)ADEKA製、商品名「アデカスタブLA−77Y」)。
顔料:銅フタロシアニンブルー(青色顔料、光の吸収波長600nm、トーヨーカラー(株)製)。
<識別層>
第二の樹脂:高密度ポリエチレン(旭化成(株)製、商品名「B780」)。
酸化防止剤:ペンタエリスリト−ルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF社製、商品名「IRGANOX1010」)。
紫外線吸収剤:2’,4’−ジ−tert−ブチルフェニル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(シプロ化成(株)製、商品名「SEESORB712」)。
光安定剤:ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート((株)ADEKA製、商品名「アデカスタブLA−77Y」)。
顔料1:縮合アゾレッド(赤色顔料、光の吸収波長450nm、トーヨーカラー(株)製)。
顔料2:フタロシアニングリーン(緑色顔料、光の吸収波長750nm、トーヨーカラー(株)製)。
カーボンブラック:カーボンブラック(レジノカラー工業(株)製)。
[実施例1〜6、比較例1]
第一の樹脂組成物(第一の樹脂99.6質量%(第一の樹脂における添加剤の濃度:酸化防止剤1400ppm、紫外線吸収剤180ppm、光安定剤180ppm、顔料420ppm))、及び第二の樹脂組成物(第二の樹脂0.4質量%、第二の樹脂における添加剤の濃度:表1)を共押出成形して、本体と識別層とを備える樹脂管を製造した。第一の樹脂組成物への加熱温度は200℃、第二の樹脂組成物への加熱温度は200℃、冷却槽における冷却水の温度は23℃とした。
本体の外径は114mm、厚さは13.3mm、長さは5mとした。
識別層の幅は20mm、厚さは0.2mm、長さは5m、識別層の数は、本体の周方向等間隔に4つとした。
得られた樹脂管の本体は非透明の青色、識別層は、非透明の赤色(実施例5は黒色、実施例6は緑色)であり、本体と識別層との色差(ΔE)は、実施例1〜4及び比較例1では64.6、実施例5では28.7、実施例6では59.6であった。
得られた樹脂管について、以下の試験を行った。
<サンシャインウェザーメーターを用いた暴露試験>
JIS K 7350−4に従って試験を行った。まず、JIS K 7350−1に従って作製した試験片を試験槽内の試験片ホルダに取り付けた。均一な暴露状態が確実に得られるように、暴露領域に空き部分がないように試験片を取り付けた。試験片の数は各例につき3個とした。
次に試験機(サンシャインウェザーメーターS80B、スガ試験機(株)製)を作動させて、試験片を暴露した。試験槽内の空気温度は60℃であった。試験槽内の空気の相対湿度は50%であった。水噴霧は行わなかった。光源は、サンシャインカーボンアークランプを用いた。フィルタは、ガラスフィルタを用いた。ガラスフィルタを通した300〜400nmの波長域での暴露面の単位面積当たりの放射エネルギーは、3.5GJ/mであった。放射エネルギーは放射計を用いて測定した。
<DSC装置を用いたOIT測定>
日本水道協会(JWWA)規格JWWA K 144:2009「水道配水用ポリエチレン管」及びJWWA K 145の附属書Bに従って試験を行った。暴露後の試験片の識別層から、15mg±0.5mgのサンプルを切り取った。DSC装置のセルの窒素流を毎分50ml±5mlに設定した。前記セルを毎分20℃の速度で昇温した後、200℃±0.5℃で等温走査し、温度を安定させた。温度安定後、酸素雰囲気下に置き換えた。酸化による発熱の最大傾斜点に達するまで、DSC曲線を記録した。最大傾斜点におけるDSC曲線の接線と、ベースラインとの交点からOITを求めた。結果を表1に示す。
<熱間内圧クリープ試験>
配水用ポリエチレンパイプシステム協会規格(PTC K 03:2010「水道配水用ポリエチレン管」)に従って試験を行った。供試継手を含む管外径の3倍以上の長さの試験片に水を満たした後、試験温度に保った水中に浸漬し、所定の試験圧力をかけ試験時間保持した。試験温度、試験圧力、試験時間は下記の3条件の通りとした。
(試験条件1)試験温度20±2℃、試験圧力2.48MPa、試験時間100時間。
(試験条件2)試験温度80±2℃、試験圧力1.08MPa、試験時間165時間。
(試験条件3)試験温度80±2℃、試験圧力1.00MPa、試験時間1000時間。
試験は、上記の全ての試験条件について行った。
クリープ性能は以下の評価基準に基づいて評価した。結果を表1に示す。
《評価基準》
○:上記のいずれかの試験条件における試験時間以内に割れ、破損などがない。
×:上記のいずれかの試験条件における試験時間以内に割れ、破損などが発生した。
Figure 2019158071
表1に示すように、本発明を適用した実施例1〜6は、OITが10分以上で、耐候性に優れることが分かった。また、クリープ性能も「○」で、サンシャインウェザーメーターで試験片を3.5GJ/m照射した後の樹脂管の物性も良好だった。
一方、各種添加剤の含有量が少なく、OITが10分未満だった比較例1は、クリープ性能が「×」で、耐候性に劣ることが分かった。
本発明の樹脂管によれば、識別層を有し、識別層の耐候性に優れることが分かった。
1 樹脂管
10 本体
20 識別層
O1 管軸

Claims (3)

  1. 筒状の本体と、前記本体の外面に一体に形成され、前記本体の管軸方向に延びる1以上の識別層とを備え、
    前記識別層は、前記本体との色差(ΔE)が1以上であり、
    前記識別層は、下記条件を満たす樹脂管。
    <条件>
    サンシャインウェザーメーターで前記識別層を含む試験片を3.5GJ/m照射した後の示差走査熱量測定(DSC)における酸化誘導時間(OIT)が10分以上である。
  2. 前記本体の光の吸収波長が、600nm以上800nm以下であり、
    前記識別層の光の吸収波長が、400nm以上600nm未満である、請求項1に記載の樹脂管。
  3. 前記本体の光の吸収波長が、400nm以上600nm未満であり、
    前記識別層の光の吸収波長が、600nm以上800nm以下である、請求項1に記載の樹脂管。
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