JP2019156923A - ゲル状組成物形成用溶液,前記ゲル状組成物形成用溶液から形成されるゲル状組成物から構成される高分子アクチュエータ用の電極層及び電解質層,並びに,該電極層及び該電解質層で構成された高分子アクチュエータ - Google Patents

ゲル状組成物形成用溶液,前記ゲル状組成物形成用溶液から形成されるゲル状組成物から構成される高分子アクチュエータ用の電極層及び電解質層,並びに,該電極層及び該電解質層で構成された高分子アクチュエータ Download PDF

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Abstract

【課題】成膜(ゲル化)の際に亀裂が発生しないゲル状組成物形成用溶液,該ゲル状組成物形成用溶液から形成される高分子アクチュエータ用の電極層及び電解質層,更に,該電極層及び該電解質層で構成された高分子アクチュエータを提供することを目的とする。【解決手段】本発明のゲル状組成物形成用溶液1は,溶媒に溶解したポリマー22と,イオン液体21と,沸点が前記ポリマー22の重合開始温度以上である高沸点溶剤23と,繊維片24と,を含有する。【選択図】図1

Description

本発明は,電解質層と該電解質層の厚み方向の両面に設けられた一対の電極層の3層から成る高分子アクチュエータに関する。
以前から,イオン液体とポリマーとのゲル状組成物(電解質ゲル)からなる電解質層の表面及び裏面に,導電性材料とイオン液体とポリマーとのゲル状組成物からなる一対の電極層を設けた高分子アクチュエータ(特許文献1)が開発されている。
前記高分子アクチュエータは,前記電極層間に電圧を印加することにより,前記ポリマー内のイオンが電極に引き寄せられることで,湾曲または変形が生じることを特徴とする。
このような高分子アクチュエータは,低電圧(数ボルト)駆動で,変形量も大きく,また,加工性,さらには応答性にも優れているため,医療機器や産業用,及びロボット,マイクロマシン等の様々な分野での応用が期待されている。
特開2005−176428号公報
上述の前記電極層及び前記電解質層を構成するゲル状組成物は重合・架橋により三次元的な編目構造を有する前記ポリマーに分散媒として前記イオン液体が含まれたものであり,このようなゲル状組成物からなる前記電極層及び前記電解質層を用いた高分子アクチュエータを製造する場合,各層の成膜の際に亀裂が発生する問題が有った。
例えば,前記ポリマーとして市販のナフィオン水溶液(デュポン社製「NAFION」は登録商標。)を使用してゲル状組成物を形成する場合,ゲル化させるために前記ナフィオンの重合・架橋を進行させるため加熱するが,この際,ナフィオンの重合開始温度に達する前に溶媒が蒸発してしまい,溶媒が減衰した箇所においてナフィオンが重合・架橋できずに亀裂が発生する問題があった。
具体例として,ポリマーに前記ナフィオンを,イオン液体に1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(EMI-TFSI)を使用してゲル状の電解質層41を成膜した際に発生した亀裂の様子を図6に示す。
また,ポリマーに前記ナフィオン,イオン液体に1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(EMI-TFSI),さらに,導電性材料にカーボンブラックを使用してゲル状の電極層42を成膜した際に発生した亀裂の様子を図7に示す。
図7の例では,仕上がり厚さを固形分0.01mm〜0.5mm程度にキャスト成膜し乾燥させたところ収縮と共に亀裂が生じたものである。
また,図6及び図7の例は,コンマコーターマシンで,塗布し成膜を試みたものであるが,例えば,図7を参照すると約1〜2cm片を得るのも難しいことが分かる。また,熱乾燥時間10m/min,1m/1h,又はオーブンで温度条件を室温60℃,70℃,80℃,90℃と条件を振っても亀裂は解消されなかった。
なお,図7の例と同様に,ポリマーに前記ナフィオン,イオン液体に1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(EMI-TFSI),導電性材料にカーボンブラックを使用してゲル状の電極層42を成膜した場合に,成膜工程(例えば,雰囲気湿度,加熱温度と時間)によっては,図8に例示する電極層42のように,成膜面積20mm×20mm(歪拡散度)において偶然に亀裂が生じない場合もあるが,考慮すべきパラメーターが多いため如何なる条件で亀裂が発生しないのかは依然として不可解であった。
なお,上述の具体例を検討・整理すると亀裂の主な原因として,以下の2つの事項が推察される。
(1)ナフィオンと添加するイオン液体(EMI-TFSI)によりハイドロゲルを形成するが,ナフィオンとイオン液体とが非相和であること。
(2)ナフィオンの重合(三次元網目ポリマー化)には,脱水反応(縮合)を伴うことから,重合開始温度に達する前に溶媒が減衰(蒸発)してしまうと,溶媒が減衰した箇所においてナフィオンが重合できずに亀裂が発生する。
イオン液体がナフィオン水溶液の逆ミセルに非相和であって,80%以上の水溶媒和とする原液をフィルム上にキャストすると共に乾燥しようとすると,溶媒の揮散減衰により脱水縮合反応が進行しないことを含め,無方向に亀裂が生じてしまい,成膜品は電子導電及びイオン導電が得られず,アクチュエータとして伸縮変形が起こらない。
なお,キャンバスに接着効果が得られるプライマーを塗布すると亀裂が少なくなるが,剥がれ難いという欠点があった。
また,他の対策として,要求仕上がり固形分厚み0.1〜2mmに対して5μm等の積層塗りもあるが,本質としては同似であり,亀裂の発生は免れない。加えて,5μm等のポリマー化された上面に更に積層しても同質化を得られなく剥がれてしまう。
本発明は,上述した欠点を解消するためになされたものであり,成膜(ゲル化)の際に亀裂が発生しないゲル状組成物形成用溶液,該ゲル状組成物形成用溶液から形成されるゲル状組成物から構成される高分子アクチュエータ用の電極層及び電解質層,更に,該電極層及び該電解質層で構成された高分子アクチュエータを提供することを目的とする。
以下に,課題を解決するための手段を,発明を実施するための形態で使用する符号と共に記載する。この符号は,特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態の記載との対応を明らかにするために記載したものであり,言うまでもなく,本願発明の技術的範囲の解釈に制限的に用いられるものではない。
本発明のゲル状組成物形成用溶液1は,イオン液体21と,前記イオン液体21と共にゲルを構成するポリマー22の前駆体と,水より高沸点の高沸点溶剤23と,繊維片24と,を含有する(請求項1)。
なお,前記高沸点溶剤23の沸点が,前記ポリマー22の重合開始温度以上であること(請求項2),また,250度を超えないことが好ましい(請求項3)。
前記高沸点溶剤23は,ジメチルホルムアミド(DMF)を主成分とすることが好ましい(請求項4)。
また,前記ポリマー22が,フッ素系イオン交換樹脂であることが好ましい(請求項5)。
また,前記イオン液体21が,イミダゾリウム化合物であることが好ましい(請求項6)。
また,前記繊維片24が,ナイロン系,PVA系(ビニロン),レーヨン,アクリル系,ポリエステル系又は,オレフィン系の繊維であることが好ましい(請求項7)。
また,前記繊維片24の径が,1〜100デニールであることが好ましく(請求項8),前記繊維片24の長さが,1〜10mmであることが好ましい(請求項9)。
また,本発明のゲル状組成物形成用溶液1は,アクリル系オリゴマー,アクリルウレタン系オリゴマー,ポリエステルアクリレート系オリゴマー,エポキシアクリレート系オリゴマー又は,ウレタン系オリゴマーを主成分とする軟化剤25を含有することが好適である(請求項10)。
また,本発明のゲル状組成物形成用溶液1は,弱酸性物質からなる添加剤28を含有することが好適であり(請求項11),前記添加剤28がシリカであることが特に好ましい(請求項12)。
本発明のゲル状組成物形成用溶液1は,導電性材料26を含有しても良く(請求項13),前記導電性材料26は,カーボンブラックであることが好ましい(請求項14)。
本発明の高分子アクチュエータ用の電解質層11は,上述した(請求項1〜12に記載の)ゲル状組成物形成用溶液1により形成(例えば,塗布及び乾燥により形成)されるゲル状組成物から構成される(請求項15)。
また,本発明の高分子アクチュエータ用の電極層12,12’は,上述した導電性材料26を含有する(請求項13〜14に記載の)ゲル状組成物形成用溶液1により形成されるゲル状組成物から構成される(請求項16)。
本発明の高分子アクチュエータ10は,前記本発明の高分子アクチュエータ用電解質層11と,該電解質層11の厚さ方向の両面に一対に設けられた導電性を有する電極層(例えば,金属薄膜であっても良い。)とを備え,該一対の電極層間の電圧に応じて屈曲変形する高分子アクチュエータ10であり(請求項17),前記一対の電極層は,前記本発明の高分子アクチュエータ用の(請求項16に記載の)電極層12,12’であることが好ましい(請求項18)。
以上で説明した本発明の構成により,本発明のゲル状組成物形成用溶液1は,以下の顕著な効果を得ることができた。
ゲル状組成物形成用溶液1は,成膜(ゲル化)のための加熱の際,前記高沸点溶剤23により,ポリマー22の重合開始する前に溶媒が著しく揮散減衰することを防ぎ,さらに,繊維片24による疑似架橋がポリマー22の重合・架橋を補強するため,ゲル状組成物形成用溶液1により形成されるゲル状組成物は,亀裂が発生しない。
特に,ポリマー22とイオン液体21が非相和であっても亀裂を発生させずにハイドロゲル化することができた。
また,軟化剤25を含有するゲル状組成物形成用溶液1は,高分子アクチュエータ10等の積層体を成膜形成する際に,層間接着が良好で,亀裂の発生がより効果的に防止される。
本発明のゲル状組成物形成用溶液1から作成された高分子アクチュエータ10の一実施例(サンプル)を示す図。 (a)は,本発明の高分子アクチュエータ10の一実施形態の断面を示す概略図であり,(b)は,本発明の高分子アクチュエータ10の作動状態を示す概略図である。 ナフィオン水溶液のみを乾燥した成膜品と,ナフィオン水溶液にDMFを配合して乾燥した成膜品とを比較した図。 (a)は,本発明におけるエーテル結合鎖を有するポリマー22とイオン液体21のカチオン種が相互作用する状態を模式的に示す図であり,(b)は,エーテル結合鎖を有するポリマー22と添加剤28が相互作用する状態を模式的に示す図である。 本発明のゲル状組成物形成用溶液1から作成された高分子アクチュエータ10の他の実施例(サンプル)を示す図。 従来の電解質層の成膜品の一例(サンプル)を示す図。 従来の電極層の成膜品の一例(サンプル)を示す図。 従来の電極層の成膜品の他の例(サンプル)を示す図。 本発明の高分子アクチュエータ10の変位量の測定方法を示す概略図。 本発明の高分子アクチュエータ10の発生力の測定方法を示す概略図。
次に,本発明の実施形態につき添付図面を参照しながら説明する。
〔全体構造〕
本発明の高分子アクチュエータ10は,一対の電極層12,12’と,該一対の電極層12,12’の間に挟まれた電解質層11の3層から構成される。
〔電解質層〕
本発明の電解質層11は,本発明のゲル状組成物形成用溶液1より形成されるゲル状組成物から構成される。
ゲル状組成物形成用溶液1は,イオン液体21,該イオン液体21と共にゲルを構成するポリマー22の前駆体,高沸点溶剤23及び,繊維片24を含有する。
前記イオン液体21は,後述する,重合・架橋により三次元的な網目構造を有するポリマー22(分散質)に分散媒として保持され,本発明の高分子アクチュエータ10の駆動に寄与する物質(液体電解質)であり,一対の電極層12,12’の間に電位差を発生させたときに前記ポリマー22(網目構造)の間の隙間を移動する移動媒体である。
イオン液体21とは,イオンのみから構成されており,高いイオン伝導性を有していることから電解質として使用されており,また,常温溶融塩または単に溶融塩などとも称されるものであり,常温(室温)を含む幅広い温度域で溶融状態(液体状態)を呈する塩であり不揮発性である。従って,イオン液体21を用いた本発明のアクチュエータ10は,湿度が高くない空気中および真空中での駆動が可能となる。
本発明において用いられるイオン液体21としては,例えば,下記の式(1)〜(4)で表わされるカチオンと,アニオン(X−)より成る化合物が挙げられる。
上記の一般式(1)〜(4)において,式(1)及び式(2)は環状アンモニウムカチオンで,式(3)は鎖状アンモニウムカチオン,(4)は鎖状ホスホニウムカチオンである。本発明においては,式(1)のイミダゾリウムイオンを使用することが好適である。
上記の式(1)〜(4)において,Rは炭素数1から12のアルキル基又は,エーテル結合を含み炭素と酸素の合計数が3から12のアルキル基を示す。
式(1)において,R1は炭素数1から4のアルキル基または水素原子を示す。式(1)において,RとR1は同一ではないことが好ましい。
また,鎖状カチオンである式(3)及び(4)において,xはそれぞれ1から4の整数であり,従って,第一級(例:R1NH3+)から第四級(例:R1R2R3R4N+)まで選択できる。
上記の一般式(1)〜(4)の他に例えば,鎖状スルホニウムカチオン,環状スルホニウムカチオン等も使用できる。前記環状スルホニウムカチオンは,例えば,チオフェニウム,チアゾリニウムおよびチオピラニウム等が挙げられる。
また,環状アンモニウムカチオンについては,上記の式(1)のイミダゾリウム及び式(2)のピペリジニウムの他に例えば,オキサゾリウム,チアゾリウム,ピラゾリウム,ピロリニウム,フラザニウム,トリアゾリウム,ピロリジニウム,イミダゾリジニウム,ピラゾリジニウム,ピロリニウム,イミダゾリニウム,ピラゾリニウム,ピラジニウム,ピリミジニウム,ピリダジニウム,ピペラジニウム,モルホリニウム,インドリウムおよびカルバゾリウムが挙げられる。
一方,アニオン(X−)は,リン酸,硫酸,カルボン酸等の無機酸系イオン,フッ素系イオン等が使用できる。
具体的には,アニオン(X−)は,テトラフルオロホウ酸アニオン,ヘキサフルオロリン酸アニオン,ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸アニオン,過塩素酸アニオン,トリス(トリフルオロメタンスルホニル)炭素酸アニオン,トリフルオロメタンスルホン酸アニオン,ジシアンアミドアニオン,トリフルオロ酢酸アニオン,有機カルボン酸アニオンおよびハロゲンイオンより選ばれる少なくとも1種以上が好ましい。
本発明のイオン液体21は,上記カチオンと上記アニオンの組み合わせについては様々な組み合わせが可能である。
上記カチオン(X+)と上記アニオン(X−)を組み合わせた例として,1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(EMI−TFSI),1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMI−BF4),1- エチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート(EMI−PF6),1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(BMI−BF4),1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(HMI−BF4),ジエチルメチルアンモニウム・トリフオロメタンスルホネート([DEMA][TfO])等が挙げられる。このようなイオン液体は1種を単独で或いは2種以上を混合して用いてもよい。
本発明におけるイオン液体21の配合比率は,前記ポリマー22の固形分100重量部に対して,20〜300重量部であることが好ましく,より好ましくは,100〜200重量部である。
本発明のポリマー22は,上述したイオン液体21と共にゲルを形成するためのベースポリマー(分散質)であり,例えば,パーフルオロスルホン酸(ナフィオン),ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体[PVDF(HFP)],ポリフッ化ビニリデン(PVDF),2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA),ポリメチルメタクリレート(PMMA),ポリエチレンオキシド(PEO),ポリアクリロニトリル(PAN)等が挙げられる。
本発明のポリマー22には,高い化学的安定性を有することからフッ素系イオン交換樹脂が好ましく,フッ素系イオン交換樹脂としては,上記パーフルオロスルホン酸(ナフィオン。デュポン社製「NAFION」は登録商標。)の他,例えば,パーフルオロカルボン酸(商品名「フレミオン」は登録商標,旭硝子社製),パーフルオロリン酸(商品名「AQUIVION」は登録商標,ソルベイスペシャルポリマーズジャパン社製)等が挙げられる。
ゲル状組成物形成用溶液1は,上述したポリマー22の重合前の前駆体を含有するが,該前駆体の態様は特に限定されず,例えば,上記ナフィオンの前駆体として,ナフィオン水溶液を含有させることができる。
また,ゲル状組成物形成用溶液1は,既知の重合開始剤,架橋剤を含有しても良い。
発明者は,従来の図6及び図7の亀裂の発生について鋭意検討した結果,ナフィオン水溶液の溶媒である水の沸点100℃とナフィオン(モノマー又はオリゴマー)のポリマー化反応開始温度(重合開始温度)130℃との温度差及び,ナフィオン水溶液の約80%を占める水溶液との比率差(ナフィオン:水=1:4)も加わり,つまり,ナフィオンの反応開始温度130℃前後と水分沸点及び減衰(蒸発)とが一致せず,また,比率の高い水分が減衰すると,ナフィオン未反応の固形分のみが海島状となり,即ち亀裂となる。
このように,ポリマー化反応過程(加熱)においてナフィオンの脱水反応とポリマー化に不具合が生じる,つまり,ナフィオンの重合反応開始前に溶媒である水が揮散減衰することで亀裂が発生すると推定し,これに対し,後述する高沸点溶剤23と繊維片(メカニカルファイバー)24による相互作用が生む亀裂防止を見出した。
まず,本発明では,前記ポリマー22の重合反応(例えば,脱水縮合反応)時における亀裂防止剤として,水より高沸点である前記高沸点溶剤23を使用する。
前記高沸点溶剤23の沸点は,水より高沸点であれば特に限定されるものではないが,前記ポリマー22の重合開始温度以上であることが好ましく,数値としては,100℃より高く250℃以下の範囲で,より好ましくは沸点が110℃〜180℃である。なお,前記範囲以上の高沸点溶剤23は,成膜の際に高沸点溶剤23を除去あるいは低減するための乾燥工程にコストがかかる。
例えば,前記ポリマー22にナフィオンを用いる場合は,ナフィオンモノマー(又はオリゴマー)のポリマー化開始温度を考慮して,110℃〜180℃が好ましい。
本発明の前記高沸点溶剤23には,例えば,非プロトン性極性として,DMF(ジメチルホルムアミド,沸点154℃),N-メチルピロリドン(沸点202℃)等が挙げられる。
また,プロトン性極性溶剤としては,沸点118℃のn-ブタノール,沸点118℃の酢酸などが例示される。
上記例示した中でも,親水性,ポリマー化までの沸点及び亀裂防止の観点から,本発明の前記高沸点溶剤23には,DMF(ジメチルホルムアミド)が好ましい。
なお,前記ポリマーの重合開始温度が低い場合にはIPA(沸点82.6℃)等を使用できなくないが,収縮と亀裂防止から少なくとも水の沸点である100℃より高い沸点を有する高沸点溶媒23が好ましい。
また,本発明では,N-メチル-2-ピロリドンなどのように沸点200℃以上の高沸点溶剤23も使用できるが,仕上がり低残留と生産性を考慮する必要がある。
なお,成膜品に対して残留溶剤が1〜3%と多いと電子ジャンプ抵抗から電気抵抗が増す原因ともなることから,本発明のゲル状組成物形成用溶液1からゲル状組成物を形成する際,高沸点溶剤23は,加熱・乾燥して完全に除去する(揮発させる)ことが好ましいが,多少の残留物は構わない。
従って,本発明のゲル状組成物形成用溶液1から成るゲル状組成物から構成される本発明の電解質層11及び後述する電極層12,12’は,高沸点溶剤23を含むもの又は,含まないものいずれもあり得る。
また,例えば,ポリマー溶液にナフィオン水溶液を使用する場合,配合比で全溶剤(希釈溶剤含む)の沸点が100℃以下であると,成膜の際,ナフィオンモノマーがポリマー化する前に室温又は20℃〜100℃加熱乾燥により溶媒が気化すると共に亀裂が発生する。従って,ポリマー溶液にナフィオン水溶液を使用する場合は,少なくとも沸点110℃以上の高沸点溶剤23が全溶剤の10%以上,好ましく30〜60%以上を有していることが,亀裂を押さえる点で好ましい。
高沸点溶剤23についての配合比率は,ポリマー22の固形分100重量部に対して,30〜400重量部が好ましく,より好ましくは,50〜250重量である。
なお,発明者により,ナフィオン水溶液に高沸点溶剤23として沸点150℃域のDMF(ジメチルホルムアミド)を加え成膜する実験を行った結果,DMFを加えずにナフィオン水溶液のみで成膜したものと比較したところ,図3に示すように,明らかな差が生じた。
図3に示すように,ナフィオン水溶液のみ(前記DMFを加えず。)の厚み5μmの成膜品は,収縮及び亀裂が発現して,凹凸状の網目状になったのに対し,同上水溶液にジメチルホルムアミド(DMF)を30%加えた成膜品は,平滑な乾燥した固形塗膜が得られた。
ただし,仕上がり固形分厚みが約100μm以上となると,物理的を含めてXYZ方向に対し収縮が不定方向に働き,乾燥温度の勾配と時間等を含めて成膜が困難となる。
これに対し,発明者は,前記DMFの他,疑似架橋が得られる繊維片24をナフィオンのモノマー(もしくはオリゴマー)に担持させると,亀裂が阻止されアクチュエータの機能を低下させることなく所望の成膜が得られることを見出した。
つまり,本発明のゲル状組成物形成用溶液1に繊維片24を分散させることによって,ゲル化の際,ポリマー22が高架橋となったかのような挙動を示す(本明細書においてこのような挙動を示す状態を「疑似架橋状態」という)ことで,ポリマー22の重合・架橋を補助して亀裂発生を防止し,また,機械的強度を保つことができる。
本発明に使用される繊維片24は,ナイロン系,PVA系(ビニロン),レーヨン,アクリル系,ポリエステル系,オレフィン系などがある。なかでも,親水性のビニロン,ナイロン,レーヨン系がより好ましい。これら一種類又は二種類以上の混繊維でも構わない。
また,繊維片24の径(太さ)は1〜100デニール,長さは1〜10mmが好ましい。
繊維片24の配合比率は,前記ポリマー22の固形分100重量部に対して0.1〜5重量部が好ましい。
また,本発明の前記ゲル状組成物形成用溶液1には,成膜の際に亀裂発生防止の働きを助ける軟化剤25を添加するとより好適である。
例えば,ポリマー22(陽イオン交換膜)となるナフィオン水溶液に相溶性と接合性を付与するため,アクリル系オリゴマーからなる軟化剤25を添加することで,グラフト重合体に似た成膜を得ることができる。
特に,ゲル状組成物から構成される電極層11及び電解質層12,12’の3層を重ねて成膜する際に,軟化剤25は,ポリマー22の相溶性および接合性をより高めることで界面接合に作用し,成膜の際の亀裂発生を効果的に防止する。
前記軟化剤25は,ポリマー22との相溶性の観点から,上述のアクリル系オリゴマー,アクリルウレタン系オリゴマー,ポリエステルアクリレート系オリゴマー,エポキシアクリレート系オリゴマー等のアクリル系モノマーに由来する単量体単位を含むオリゴマーが好ましく,この他,ウレタン系オリゴマーも使用できる。なお,これらオリゴマーは,1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また,前記アクリル系オリゴマーとして,例えば,アクリル酸ブチル,アクリル酸2エチルヘキシル,メチル(メタ)アクリレート,エチル(メタ)アクリレート,n−プロピル(メタ)アクリレート,イソプロピル(メタ)アクリレート,2−メチル−2−ニトロプロピル(メタ)アクリレート,n−ブチル(メタ)アクリレート,イソブチル(メタ)アクリレート,S−ブチル(メタ)アクリレート,t−ブチル(メタ)アクリレート,n−ペンチル(メタ)アクリレート,t−ペンチル(メタ)アクリレート,3−ペンチル(メタ)アクリレート,2,2−ジメチルブチル(メタ)アクリレート,n−ヘキシル(メタ)アクリレート,セチル(メタ)アクリレート,n−オクチル(メタ)アクリレート,2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート,4−メチル−2−プロピルペンチル(メタ)アクリレート,N−オクタデシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸(炭素数1−20)アルキルエステル類,さらに,例えば,シクロアルキル(メタ)アクリレート(例えば,シクロヘキシル(メタ)アクリレート,シクロペンチル(メタ)アクリレートなど),アラルキル(メタ)アクリレート(例えば,ベンジル(メタ)アクリレートなど),多環式(メタ)アクリレート(例えば,2−イソボルニル(メタ)アクリレート,2−ノルボルニルメチル(メタ)アクリレート,5−ノルボルネン−2−イル−メチル(メタ)アクリレート,3−メチル−2−ノルボルニルメチル(メタ)アクリレートなど),ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル類(例えば,ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート,2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート,2,3−ジヒドロキシプロピルメチル−ブチル(メタ)メタクリレートなど),アルコキシ基またはフェノキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類(2−メトキシエチル(メタ)アクリレート,2−エトキシエチル(メタ)アクリレート,2−メトキシメトキシエチル(メタ)アクリレート,3−メトキシブチル(メタ)アクリレート,エチルカルビトール(メタ)アクリレート,フェノキシエチル(メタ)アクリレートなど),エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類(例えば,グリシジル(メタ)アクリレートなど),ハロゲン含有(メタ)アクリル酸エステル類(例えば,2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート,2,2,2−トリフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート,テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート,ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート,オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート,ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレートなど),アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート(例えば,ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなど)等のアクリル系モノマーを主成分とする重合体もしくは共重合体で分子量2000〜900000のオリゴマーが挙げられる。
また,前記ウレタンアクリレート系オリゴマーは,例えば,ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアナートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを,(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
軟化剤25の配合比率は,ポリマー固形分100重量部に対して0.5〜20重量部で,好ましくは1〜8重量部である。
さらに,本発明の前記ゲル状組成物形成用溶液1には,添加剤28を添加しても良い。
本発明において,例えば,前記ポリマー22に前記ナフィオンを使用し,イオン液体21として前記EMI−TFSI(1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド),前記高沸点溶剤23としてDMF,前記繊維片24としてVPB(ビニロン繊維,クラレ社製)を含有するゲル状組成物形成用溶液1から形成される電解質層11は,アニオン部位(スルホン酸基)を分子内に有するカチオン伝導性高分子電解質で,カチオン種としてイミダゾリウムイオンを有している。
そして,ポリマー22として前記ナフィオン,イオン液体21として前記EMI−TFSI,前記高沸点溶剤23としてDMF,前記繊維片24としてVPBの他に後述する導電性材料26としてカーボンブラックを含有したゲル状組成物形成用溶液1から電極層12,12’を形成し,図2(a)に示すように,前記電解質層11の厚み方向の両面に一対の前記電極層12,12’が設けられた本発明の高分子アクチュエータ10を製造する。
該高分子アクチュエータ10は,前記一対の電極層12,12’に電圧を印加すると,図2(b)に示すように,前記ナフィオンからなるポリマー22は前記アニオン部位(スルホン基)22aにより負に帯電した陽イオン交換膜であるため,イオン液体21中のアニオン種は反発して移動できないがカチオン種(イミダゾリウムイオン)21aが移動することでカチオン種21aが移動してきた電極で体積膨張が発生し反対側へ屈曲変形する。
ここで,電解質層11にシリカのような弱酸性物質からなる添加剤28が添加されると,前記カチオン種が移動する経路壁面の負の帯電量を増加させて,前記カチオン種の移動を促進させることができる。また,シリカは増粘に寄与する。
前記シリカ(SiO2)は,表面が,Si−O−H(シラノール基)になっており,溶液中で「Si−O−H → Si−O− + H+」のようにプロトンを出して解離する。従ってシリカ(SiO2)の表面は,負電荷になっている。
また,上述の例のようにイオン液体とナフィオンから構成されるカチオン伝導性高分子電解質は,分子内にエーテル結合部位を有する。一般的に電解質ポリマーは,堅くて脆いが,分子内に柔軟基であるエーテル結合部位を有することで,良好な柔軟性を有する高分子電解質膜が得られる。
このように分子内に柔軟基であるエーテル結合部位を有しているカチオン伝導性高分子電解質においては,前記エーテル部位の酸素原子のマイナス電荷と該高分子電解質のカチオン種のプラスの電荷間での静電配位相互作用が生じている。
しかし,電解質層11にシリカのような弱酸性物質からなる添加剤を添加することにより,前記エーテル部位の酸素原子のマイナス電荷は前記弱酸性物質と相互作用(配位結合)するため,該エーテル部位の酸素原子と該高分子電解質の陽イオン(カチオン種)間での静電配位相互作用が弱まり,その結果,カチオン種の移動が良好になる。
具体例として,図4は,前記ポリマー22に前記ナフィオンを使用し,イオン液体21として前記EMI−TFSI(1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド),前記高沸点溶剤23としてDMF,前記繊維片24としてVPB,さらに添加剤28としてシリカを含有するゲル状組成物形成用溶液1から電解質層11を形成した場合,エーテル結合鎖を有するナフィオン(カチオン伝導性高分子電解質)22とシリカ(弱酸性物質)28の相互作用する状態を模式的に示す図である。図4(a)は,本発明におけるエーテル結合鎖を有するポリマー(ナフィオン)22の内部でイオン液体(EMI−TFSI)21のカチオン種(イミダゾリウムイオン)21aがトラップされている状態を示す。図4(b)は,エーテル結合部位と相互作用するシリカ28が存在している電解質層の内部において,シリカ(前記弱酸性物質)28の存在により前記カチオン種(イミダゾリウムイオン)21aのトラップが抑制された状態を示す。図中の点線は,配位結合を表す。
本発明の添加剤28に使用される弱酸性物質としては,例えば,シラノール基を含有しているガラス材料やシリカ材料の他,ルイス酸性を有する,酸化マグネシウム,酸化ベリリウム,酸化鉄,酸化アルミニウム,酸化チタン,酸化クロム,酸化セリウムもしくは酸化ジルコニウム等の固体材料が挙げられる。なお,これらは,粒子状,フレーク状や繊維状にして用いることが出来る。
また,添加剤28にシリカを使用する場合,シリカの粒径は,0.05〜300μmで分散性から不定形(針状)が好ましく,さらに粒径については0.1〜20μmがより好ましい。
〔電極層〕
本発明の電極層12,12’は,電気伝導性を有するものであれば,めっきやスパッタ,蒸着等で形成された薄い金属層(金属薄膜)等であっても良く,特に限定はされないが,上述した電解質層11と同様に,本発明のゲル状組成物形成用溶液1より形成されるゲル状組成物から構成されるものであることが好ましい。
電極層12,12’を形成する前記ゲル状組成物形成用溶液1は,イオン液体21,ポリマー22の前駆体,高沸点溶剤23及び,繊維片24を含有する他,一対の電極層間に電圧を印加した際に,イオンが電極層内に浸透・移動するように,導電性材料26を含有する。
なお,イオン液体21,ポリマー22,高沸点溶剤23及び,繊維片24については上述した通りである。
また,電極層12,12’を形成する前記ゲル状組成物形成用溶液1に含まれるイオン液体21,ポリマー22,高沸点溶剤23及び,繊維片24は,電解質層11を形成する前記ゲル状組成物形成用溶液1に含まれるものと同一のもの又は,性質の類似するものであることが好ましい。特に,電極層12,12’に使用されるポリマー22と電解質層11に使用されるポリマー22は,電極層12,12’と電解質層11の密着性を向上させるために,両者は同一であるか又は,性質の類似したポリマーであることが好ましい。
また,前記導電性材料26としては,金,銀,白金,銅,ニッケル,酸化インジウムスズ合金(ITO),酸化スズ(NESA),酸化インジウム亜鉛(IZO),酸化銀,酸化バナジウム,酸化モリブデン,インジウム,クロム等の金属や金属酸化物の粉体,多結晶シリコン,アモルファスシリコン等のシリコン系材料の粉体,導電性カーボンの粉体等が挙げられる。
本発明では,導電性が高く,かつ,比表面積も大きいため,より大きい変形量が得られる導電性カーボンを使用することが好ましく,前記導電性カーボンとしては,カーボンブラック,カーボンナノファイバー等が挙げられ,カーボンブラックとしては,例えば,ケッチェンブラック,アセチレンブラック,ファーネスブラック,サーマルブラック等が挙げられる。
導電性材料26の配合比率は,ポリマー22の固形分100重量部に対して10〜150重量部であることが好ましい。
また,電極層12,12’を形成する前記ゲル状組成物形成用溶液1には,電解質層11の場合と同様,軟化剤25を添加することが好ましい。軟化剤25については,上述した通りで,電極層12,12’を形成する前記ゲル状組成物形成用溶液1に添加する軟化剤25は,電解質層11を形成する前記ゲル状組成物形成用溶液1に添加する軟化剤25と同一のもの又は,性質の類似するものであることが好ましい。
また,電極層12,12’を形成する前記ゲル状組成物形成用溶液1は,電解質層11の場合と同様,添加剤28を含有しても良く,添加剤28については,上述した通りである。
成膜
電解質層11と電極層12,12’を構成するゲル状組成物は,ゲル状組成物形成用溶液1を例えば,塗布・乾燥(加熱共重合)させることにより得られる。
電解質層11の表面及び裏面にゲル状の電極層12,12’を形成して高分子アクチュエータ10を得るには,例えば,各層を形成する前記ゲル状組成物を順次,展延法(キャスト法)により成膜し,溶媒を蒸発,乾燥させれば良い。
なお,電解質層11,電極層12,12’の各層を構成するゲル状組成物の成膜にあたっては,スピンコート法,印刷法,スプレー法等も用いることができる他,さらに,押し出し法,射出法等も用いることができる。
また,一対の電極層と該電極層に挟まれる電解質層を三層押出し機で成膜し,連続加熱乾燥炉又はバッチ炉で加熱乾燥することもできる。
電解質層11の厚さ及び電極層12の厚さは,それぞれ,0.05mm〜0.6mmであるのが好ましく,高分子アクチュエータ10の総厚みは,0.1〜2mm,好ましくは0.1〜0.7mmである。
実施例
以下,本発明の実施例について設明するが,本発明はこれらに限定されない。
実施例1の高分子アクチュエータ10は,本発明のゲル状組成物形成用溶液1より電解質層11及び電極層12,12’が形成され,該電解質層11の表面及び裏面に一対の該電極層12,12’が設置されたものである。
実施例1の電極層12,12’を形成する電極層(ゲル状組成物)形成用溶液1bに含まれる各成分及びその配合比について以下の表1に示す。なお,表1では,ナフィオン水溶液100重量部を基準にして,その他成分の重量部を表示している。
電極層(ゲル状組成物)形成用溶液1bの調製
前記DMF溶液(高沸点溶剤23)と前記ケッチェンブラック(導電性材料26)を投入し分散機マゼルスター(自転公転)にて分散し,さらに,前記アクリル酸ブチル2-エチルヘキシルオリゴマー(軟化剤25)と前記VPB(ビニロン繊維,クラレ社製。繊維片24)を加え,前記分散機マゼルスターで均一化した混合物を生成する。次いで,該混合物を羽根式撹拌機にて撹拌しつつ前記EMI−TFSI(1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド,イオン液体21)を加え分散する。そして,前記羽根式撹拌機にて撹拌しつつナフィオン水溶液(ポリマー22)をさらに投入し分散液を得る。該分散液を,前記分散機マゼルスターにて分散及び脱泡して,電極層(ゲル状組成物)形成用溶液1b(成膜剤)を得る。
なお,上述の配合手順について,上述の順でも構わないが,前記EMI−TFSI(イオン液体21)は,ナフィオン水溶液(ポリマー22)に対して反応性を有してハイドロゲル化となり,その後の配合物に対して分散が難と成り得るため,EMI−TFSI(イオン液体21)は,最後が好ましい。
次に,実施例1の電解質層11を形成する電解質層(ゲル状組成物)形成用溶液1aに含まれる各成分及びその配合比について以下の表2に示す。なお,表2では,ナフィオン水溶液100重量部を基準にして,その他成分の重量部を表示している。
電解質層(ゲル状組成物)形成用溶液1aの調製
DMF溶液(高沸点溶剤23)とシリカ粉(添加剤28)を投入し分散機マゼルスター(自転公転)にて分散し,さらに,アクリル酸ブチル2-エチルヘキシルオリゴマー(軟化剤25)とVPB(ビニロン繊維,クラレ社製。繊維片24)を加え前記分散機マゼルスターで均一化した混合物を生成する。次いで,該混合物を羽根式撹拌機にて撹拌しつつ前記EMI−TFSI(1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド,イオン液体21)を加え分散する。そして,前記羽根式撹拌機にて撹拌しつつナフィオン水溶液(ポリマー22)をさらに投入し分散液を得る。該分散液を,前記分散機マゼルスターにて分散及び脱泡して,電解質層(ゲル状組成物)形成用溶液1a(成膜剤)を得る。
高分子アクチュエータ10の製造(3層成膜の実施)
まず,電極層12を得るため,縦横5倍延伸ポリエステルフイルム(東レ製)厚み70μmの上面に前記電極層(ゲル状組成物)形成用溶液1bを,ロールバーにて仕上がり固形分厚み150μmとなるように約wet厚み1250μm(固形分約12%)塗布して,熱風加熱炉に温度80℃/30minで1次の半乾燥を得た後,該半乾燥の電極層12の上面に前記電解質層(ゲル状組成物)形成用溶液1aをロールバーにて仕上がり固形分厚み150μmとなるように約wet厚み1250μm(固形分約12%)塗布し,再び熱風加熱炉に温度80℃/30minで2次の半乾燥を得る。
更に,この半乾燥の電解質層11の上面に前記電極層(ゲル状組成物)形成用溶液1bを上述と同厚みとなるように同様の方法で塗布し,熱風加熱炉に温度80℃/30minを得て3次の半乾燥を得て未ポリマー(完全にはポリマー化していない状態。)の三層アクチューエータを得た。
そして,ナフィオンオリゴマーのポリマー化(三次元網目架橋)に向け110℃/60min(脱水加熱)→130℃/30min(重合開始温度)→150℃/30min(DMF低減)の順で加熱した。
その結果,図1に示すように,亀裂もなく所望のシート(高分子アクチュエータ10)が得られた。得られた3層成膜品(高分子アクチュエータ10)についての仕上がり厚みは,電極層12,12’の固形分厚み150μm,電解層の厚み固形分厚み150μm,総厚み450μmであった。
実施例2
実施例2の高分子アクチュエータ10は,本発明のゲル状組成物形成用溶液1より電解質層11及び電極層12,12’が形成され,該電解質層11の表面及び裏面に一対の該電極層12,12’が設置されたものである。
実施例2の前記電極層12,12’を形成する電極層(ゲル状組成物)形成用溶液1bに含まれる各成分及びその配合比について以下の表3に示す。なお,表3では,ナフィオン水溶液100重量部を基準にして,その他成分の重量部を表示している。なお,実施例2の電極層(ゲル状組成物)形成用溶液1bは,軟化剤25を含有していない。
電極層(ゲル状組成物)形成用溶液1bの調製
前記DMF溶液(高沸点溶剤23)と前記ケッチェンブラック(導電性材料26)を投入し分散機マゼルスター(自転公転)にて分散し,さらに,前記VPB(ビニロン繊維,クラレ社製。繊維片24)を加え,前記分散機マゼルスターで均一化した混合物を生成する。次いで,該混合物を羽根式撹拌機にて撹拌しつつ前記EMI−TFSI(1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド,イオン液体21)を加え分散する。そして,前記羽根式撹拌機にて撹拌しつつナフィオン水溶液(ポリマー22)をさらに投入し分散液を得る。該分散液を,前記分散機マゼルスターにて分散及び脱泡して,電極層(ゲル状組成物)形成用溶液1b(成膜剤)を得る。
なお,上述の配合手順について,上述の順でも構わないが,EMI−TFSI(イオン液体21)は,ナフィオン水溶液(ポリマー22)に対して反応性を有してハイドロゲル化となり,その後の配合物に対して分散が難と成り得るため,EMI−TFSI(イオン液体21)は,最後が好ましい。
次に,前記電解質層11を構成する電解質層(ゲル状組成物)形成用溶液1aに含まれる各成分及びその配合比について以下の表4に示す。なお,表4では,ナフィオン水溶液100重量部を基準にして,その他成分の重量部を表示している。なお,実施例2の電解質層(ゲル状組成物)形成用溶液1aは軟化剤25を含有していない。
電解質層(ゲル状組成物)形成用溶液1aの調製
DMF溶液(高沸点溶剤23)とシリカ粉(添加剤28)を投入し分散機マゼルスター(自転公転)にて分散し,さらに,VPB(ビニロン繊維,クラレ社製。繊維片24)を加え前記分散機マゼルスターで均一化した混合物を生成する。次いで,該混合物を羽根式撹拌機にて撹拌しつつ前記EMI−TFSI(1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド,イオン液体21)を加え分散する。そして,前記羽根式撹拌機にて撹拌しつつナフィオン水溶液(ポリマー22)をさらに投入し分散液を得る。該分散液を,前記分散機マゼルスターにて分散及び脱泡して,電解質層(ゲル状組成物)形成用溶液1a(成膜剤)を得る。
高分子アクチュエータ10の製造(3層成膜)
まず,電極層12を得るため,縦横5倍延伸ポリエステルフイルム(東レ製)厚み70μmの上面に前記電極層(ゲル状組成物)形成用溶液1bを,ロールバーにて仕上がり固形分厚み150μmとなるように約wet厚み1250μm(固形分約12%)塗布して,熱風加熱炉に温度80℃/30minで1次の半乾燥を得た後,半乾燥の電極層12の上面に前記電解質層(ゲル状組成物)形成用溶液1aをロールバーにて仕上がり固形分厚み150μmとなるように約wet厚み1250μm(固形分約12%)塗布し,再び熱風加熱炉に温度80℃/30minで2次の半乾燥を得る。
更に,この半乾燥の電解質層11の上面に前記電極層(ゲル状組成物)形成用溶液1bを上述と同厚みとなるように同様の方法で塗布し,熱風加熱炉に温度80℃/30minを得て3次の半乾燥を得て未ポリマー(完全にはポリマー化していない状態。)の三層アクチューエーを得た。
そして,ナフィオンオリゴマーのポリマー化(三次元網目架橋)に向け110℃/60min(脱水加熱)→130℃/30min(重合開始温度)→150℃/30min(DMF低減)の順で加熱した。
その結果,図5に示すように,略シートが得られた。幅約200μm×約長さ10mm×深さ約100μm程度の不定形が100mm×100mm片に10箇所程観察された。 また,得られた3層成膜品(高分子アクチュエータ10)についての仕上がり厚みは,電極層12,12’の固形分厚み150μm,電解層の厚み固形分厚み150μm,総厚み450μmであった。
比較例
比較例の高分子アクチュエータは,ゲル状の電解質層の表面及び裏面に,ゲル状の電極層を形成した高分子アクチュエータである。
比較例の電極層を構成する電極層形成用溶液に含まれる各成分及びその配合比について以下の表5に示す。なお,表5では,ナフィオン水溶液100重量部を基準にして,その他成分の重量部を表示している。比較例の電極層形成用溶液は,本発明の高沸点溶剤23,繊維片24及び,軟化剤(界面結合剤)25を含有していない。
電極層形成用溶液の調製
前記IPA(カーボン分散液,沸点80℃)と前記ケッチェンブラック(導電性材料26)を投入し分散機マゼルスター(自転公転)にて分散し均一化した混合物を生成する。次いで,該混合物を羽根式撹拌機にて撹拌しつつ前記EMI−TFSI(1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド,イオン液体21)を加え分散する。そして,前記羽根式撹拌機にて撹拌しつつナフィオン水溶液(ポリマー22)をさらに投入し分散液を得る。該分散液を,前記分散機マゼルスターにて分散及び脱泡して,電極層形成用溶液(成膜剤)を得る。
次に,比較例の電解質層を構成する電解質層形成用溶液に含まれる各成分及びその配合比について以下の表6に示す。なお,表6では,ナフィオン水溶液100重量部を基準にして,その他成分の重量部を表示している。比較例の電解質層形成用溶液は,本発明の高沸点溶剤23,繊維片24及び,軟化剤(界面結合剤)25を含有していない。
電解質層形成用溶液の調製
IPA(カーボン分散液,沸点80℃)とシリカ粉(添加剤28)を投入し分散機マゼルスター(自転公転)にて分散し均一化した混合物を生成する。次いで,該混合物を羽根式撹拌機にて撹拌しつつ前記EMI−TFSI(1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド,イオン液体21)を加え分散する。そして,前記羽根式撹拌機にて撹拌しつつナフィオン水溶液(ポリマー22)をさらに投入し分散液を得る。該分散液を,前記分散機マゼルスターにて分散及び脱泡して,電解質層形成用溶液(成膜剤)を得る。
高分子アクチュエータの製造(3層成膜)
前記電極層を得るため,電極層形成用溶液(成膜剤)を,縦横5倍延伸ポリエステルフィルム(東レ製)厚み70μmの上面にロールバーにて仕上がり固形分厚み150μmとなるように約wet厚み1250μm(固形分約12%)塗布し,熱風加熱炉に温度80℃/30minで1次の半乾燥を得たが亀裂が生じた。
さらに,前記電解質層を得るため,電解質層形成用溶液(成膜剤)のみを同じく縦横5倍延伸ポリエステルフィルム(東レ製)厚み70μmの上面にロールバーにて仕上がり固形分厚み150μmとなるように約wet厚み1250μm(固形分約12%)塗布し,熱風加熱炉に温度80℃/30minで1次の半乾燥を得たが同様に亀裂が生じた。
上述の実施例1,2の高分子アクチュエータ10について,以下の測定方法により表面電気抵抗,変位量,変異速度及び発生力を測定した。なお,比較例については,亀裂の発生により測定不能であった。
まず,上述の実施例1,2で得られた高分子アクチュエータから15mm×10mmの矩形状に切り出した高分子アクチュエータ10(検体片)を用いて,印加電圧12Vで表面抵抗値について測定した。
次に,上述の表面抵抗値の測定で使用した15mm×10mmの矩形状の高分子アクチュエータ10(検体片)を用いて変位量の測定を行った。図9に示すとおり,金属製電極51と金属製電極52とで,高分子アクチュエータ10の基端部を該高分子アクチュエータ10の厚み方向で挟み固定し,残り部分を空気中に出して測定部とした。そして,前記金属製電極51,52の端部から10mm離れた位置の高分子アクチュエータ10の動作を計測できるようにレーザー変位計55を配置した。この状態で12Vの電圧を印加し,印加時間600秒で高分子アクチュエータ10の変位量を求めた。なお,電圧を印加すると高分子アクチュエータ10は,図中の矢印曲線に沿って屈曲する。
また,変位速度については,上述の変位量の測定にて計測された最大変位量を電圧印加から最大変位量に達する時間で割って算出した。
さらに,上述の変位量の測定で使用した15mm×10mmの矩形状の高分子アクチュエータ10(検体片)を用いて,図10に示すとおり,金属製電極51と金属製電極52とで,高分子アクチュエータ10の基端部を該高分子アクチュエータ10の厚み方向で挟み固定し,残り部分を空気中に出して測定部とした。そして,前記金属製電極51と52の端部から10mm離れた位置にロードセル57の短冊状の検出部58を配置した。この状態で12Vの電圧を印加し,印加時間600秒で高分子アクチュエータ10の発生力を前記ロードセル57にて計測した。なお,電圧を印加すると高分子アクチュエータ10は,図中の矢印曲線に沿って屈曲する。以下の表7に,実施例1及び実施例2の高分子アクチュエータ10に対する駆動(印加)電圧と,該電圧を印加して表面電気抵抗,変位量,変位速度及び発生力について測定した結果を示す。なお,上述した通り比較例については,亀裂の発生により測定不能である。
実施例1の高分子アクチュエータ10は,沸点150℃域のDMF(高沸点溶剤23)がナフィオン(ポリマー22)の反応開始温度130℃/30minの脱水縮合によるポリマー化を緩和しつつ,VPB(繊維片24)による擬似架橋と共に,亀裂防止がなされた。また電極層11及び電解層12,12’の積層において,軟化機能を有するアクリル酸ブチル2-エチルヘキシルオリゴマー(軟化剤25)が作用(層間接合)したと推量される。
上述の測定結果が示すように,実施例1の高分子アクチュエータ10は,駆動電圧(3〜6V),表面電気抵抗,変位量,速度,発生力に関して所望の数値が得られた。
実施例2の高分子アクチュエータ10は,アクリル酸ブチル2-エチルヘキシルオリゴマーの軟化剤25を用いない例であり,図5に示すように,外観見掛けの凹凸に微小に実施例1との差異が認められるが,上述の測定結果が示すように,アクチュエータとしての機能値には,差は認められない。
比較例については,上述の通り,亀裂が入り約5mm×10mm片以上の平滑な成膜は得られない。
1 ゲル状組成物形成用溶液
1a 電解質層(ゲル状組成物)形成用溶液
1b 電極層(ゲル状組成物)形成用溶液
10 高分子アクチュエータ
11 電解質層
12,12’ 電極層
21 イオン液体
21a イオン液体21のカチオン種
22 ポリマー
22a ポリマー22のアニオン部位
23 高沸点溶剤
24 繊維片
25 軟化剤
26 導電性材料
28 添加剤
41 従来の電解質層
42 従来の電極層
51 金属製電極
52 金属製電極
55 レーザー変位計
57 ロードセル
58 検出部

Claims (18)

  1. イオン液体と,
    前記イオン液体と共にゲルを構成するポリマーの前駆体と,
    水より高沸点の高沸点溶剤と,
    繊維片と,を含有するゲル状組成物形成用溶液。
  2. 前記高沸点溶剤の沸点が前記ポリマーの重合開始温度以上であることを特徴とする請求項1記載のゲル状組成物形成用溶液。
  3. 前記高沸点溶剤の沸点が,250度を超えないことを特徴とする請求項1又は2記載のゲル状組成物形成用溶液。
  4. 前記高沸点溶剤が,ジメチルホルムアミドを主成分とすることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載のゲル状組成物形成用溶液。
  5. 前記ポリマーがフッ素系イオン交換樹脂であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載のゲル状組成物形成用溶液。
  6. 前記イオン液体がイミダゾリウム化合物であることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載のゲル状組成物形成用溶液。
  7. 前記繊維片が,ナイロン系,PVA系,レーヨン,アクリル系,ポリエステル系又は,オレフィン系の繊維であることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載のゲル状組成物形成用溶液。
  8. 前記繊維片の径が,1〜100デニールであることを特徴とする請求項1〜7いずれか1項記載のゲル状組成物形成用溶液。
  9. 前記繊維片の長さが,1〜10mmであることを特徴とする請求項1〜8いずれか1項記載のゲル状組成物形成用溶液。
  10. アクリル系オリゴマー,アクリルウレタン系オリゴマー,ポリエステルアクリレート系オリゴマー,エポキシアクリレート系オリゴマー又は,ウレタン系オリゴマーを主成分とする軟化剤を含有することを特徴とする請求項1〜9いずれか1項記載のゲル状組成物形成用溶液。
  11. 弱酸性物質からなる添加剤を含有することを特徴とする請求項1〜10いずれか1項記載のゲル状組成物形成用溶液。
  12. 前記添加剤がシリカであることを特徴とする請求項11記載のゲル状組成物形成用溶液。
  13. 導電性材料を含有することを特徴とする請求項1〜12いずれか1項記載のゲル状組成物形成用溶液。
  14. 前記導電性材料が,カーボンブラックであることを特徴とする請求項13記載のゲル状組成物形成用溶液。
  15. 請求項1〜12いずれか1項に記載のゲル状組成物形成用溶液により形成されるゲル状組成物から構成される高分子アクチュエータ用の電解質層。
  16. 請求項13又は14に記載のゲル状組成物形成用溶液により形成されるゲル状組成物から構成される高分子アクチュエータ用の電極層。
  17. 請求項15に記載の電解質層と,該電解質層の厚み方向の両面に一対に設けられた導電性を有する電極層とを備え,該一対の電極層間の電圧に応じて屈曲変形する高分子アクチュエータ。
  18. 前記電極層が請求項16に記載の電極層であることを特徴とする請求項17記載の高分子アクチュエータ。
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