JP2019156720A - 貼付剤 - Google Patents

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早矢加 成瀬
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彩香 尾▲崎▼
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Abstract

【課題】リバスチグミンを含有する貼付剤において、所望の粘着性能は十分に確保し、且つ、剥離時の痛みを伴うことのない、適正な粘着性能を有する貼付剤を提供する。【解決手段】支持体と、該支持体上に設けられた膏体層と剥離ライナーからなるリバスチグミン含有貼付剤であって、前記膏体層が、リバスチグミン、アクリル系粘着剤、増粘剤、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含み、該膏体層の総質量を基準として、前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを0.1質量%乃至2.5質量%にて含有する、リバスチグミン含有貼付剤。【選択図】なし

Description

本発明はリバスチグミンを配合した貼付剤に関するものであり、詳細には、リバスチグミン含有貼付剤における剥離時の皮膚刺激の低減を図った貼付剤に関する。
リバスチグミンはアセチルコリンエステラーゼ阻害薬の一つであり、アルツハイマー型認知症の治療薬(抗認知症薬)として使用されている。
これら抗認知症薬は、薬剤や疾患の状況に応じて、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、顆粒剤等の経口による投与の他、注射投与、直腸投与が検討されており、近年では経皮投与、すなわち貼付剤を用いた提案もなされている。
リバスチグミンを含有する貼付剤としては、例えばポリ(メタ)アクリレートポリマーを含むマトリックスに、リバスチグミンを抗酸化剤とともに含有させてなる経皮デバイス(特許文献1)や、リバスチグミンとアクリル−炭化水素ハイブリッドポリマーを含む薬物含有マトリクス層を設けた経皮薬物送達システム(特許文献2)、ゴム系粘着剤を用いた貼付剤(特許文献3)などがある。
また近年では「イクセロン(登録商標)パッチ」あるいは「リバスタッチ(登録商標)パッチ」の販売名にてリバスチグミンの貼付剤が上市されている。
特表2002−500178号公報 特表2016−522792号公報 特開2017−137363号公報
これまでに為されたリバスチグミンを含有する貼付剤に関する提案としては、所望の粘着性能が十分に得られるのは勿論のこと、リバスチグミンが比較的酸化の影響を受け易いとされることから、酸化によるリバスチグミンの経時不安定性の解消を図ったものや、粘着剤層からのリバスチグミンの放出性やリバスチグミンの皮膚透過性の向上などの観点を踏まえ、検討が為されていることが多い。
一方で、リバスチグミンを含有する貼付剤において、粘着剤層の配合によっては皮膚に対する接着性(粘着力)が高くなりすぎることがあり、皮膚からの剥離時に痛みを伴うことがある。
本発明は、リバスチグミンを含有する貼付剤において、所望の粘着性能は十分に確保し、且つ、剥離時の痛みを伴うことのない、適正な粘着性能を有する貼付剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、リバスチグミン配合の貼付剤において、粘着剤を含有する層にポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを少量配合することにより、皮膚貼付に十分な粘着性能は確保し、且つ、剥離時の痛みを低減させた粘着性能を実現できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、支持体と、該支持体上に設けられた膏体層と剥離ライナーからなるリバスチグミン含有貼付剤であって、
前記膏体層が、
リバスチグミン、アクリル系粘着剤、増粘剤、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含み、
該膏体層の総質量を基準として、前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを0.1質量%乃至2.5質量%にて含有する、
リバスチグミン含有貼付剤を対象とするものである。
そして本発明によれば、さらに以下の実施態様が提供される。
1.前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン及びモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタンのうちの少なくとも一種を含む、前記貼付剤。
2.前記アクリル系粘着剤が、カルボキシル基を含まないアクリル系共重合体からなる、前記リバスチグミン含有貼付剤。
3.前記アクリル系粘着剤が、ヒドロキシ基を含むアクリル系共重合体を含む、前記リバスチグミン含有貼付剤。
4.前記膏体層が、リバスチグミン含有層と粘着剤層の2層からなるか、又は、リバスチグミン含有粘着剤層の1層からなる、前記リバスチグミン含有貼付剤。
5.前記リバスチグミン含有層又はリバスチグミン含有粘着剤層は、リバスチグミン又はその酸付加塩の含有液から60℃を超える熱負荷を与えずに形成された軟膏層である、前記リバスチグミン含有貼付剤。
6.前記粘着剤層は、アクリル系粘着剤及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含有し、前記リバスチグミン含有層は、リバスチグミン又はその酸付加塩、並びに、増粘剤を含有し、前記リバスチグミン含有粘着剤層は、リバスチグミン又はその酸付加塩、アクリル系粘着剤、増粘剤、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含有する、前記リバスチグミン含有貼付剤。
本発明によれば、剥離時の痛みを低減させたリバスチグミン含有の貼付剤を提供できる。
本発明者らは、従来提案・上市されていたリバスチグミン含有の貼付剤においてみられた、適用後剥離時における痛みの低減にあたり、粘着力を低減させる成分について種々検討した。
一般に貼付剤における粘着力の調整は、粘着剤、粘着付与剤、軟化剤(可塑剤)、経皮吸収促進剤などのその他添加剤といった、粘着剤を含有する層を構成する種々の配合成分の種類及び配合量の選択によるものであるところ、これらの選択は粘着力の調整だけでなく、薬物の皮膚透過性など、貼付剤に係る種々の性能発現にも関わるものとなっている。例えば粘着力の低減のために添加した成分によって皮膚透過性の向上までも実現し得たものの、そのことがかえって(過剰に透過した薬物により)皮膚刺激を強くさせる場合も起こり得る。
そのため、本発明者らは、アクリル系粘着剤を用いた系において、適正とされる薬物皮膚透過性を大きく変化させることなく、剥離時の痛みを低減できる適切な粘着力を実現させる成分を検討した。そして驚くべきことにポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを少量配合させることで、従来製品と同等の皮膚透過性は確保する、すなわち、従来製品と生物学的同等性を実現し、且つ粘着剤を含有する層の粘着力を適正値に引き下げることができることを見出した。
なおこれまでにも、可塑剤や柔軟剤として(引用文献1)、また経皮吸収を高める界面活性剤として(引用文献2、引用文献3)、種々の化合物の一例としてポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート)は例示されている。しかしポリオキシエ
チレンソルビタン脂肪酸エステルを実際に配合した例(特に粘着力の低減を目的とするもの)は存在せず、また、引用文献3にはソルビタン脂肪酸エステルが経皮吸収性を高めることが強調されている。そして一般に可塑剤(例えばセバシン酸ジイソプロピルやラウリン酸ヘキシル等の脂肪酸エステル、流動パラフィン等)は粘着剤を含有する層に対して10乃至70質量%という比較的高濃度で使用することが知られている(例えば、一例としてリバスチグミンを挙げている痴呆治療剤を含有する経皮吸収型製剤を開示する国際公開第2003/032960号など)。これらの開示からみても、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのそれも少量の添加が、粘着力を引き下げ且つ皮膚透過性に影響を与えないとする知見は、本発明によって初めて得られた驚くべき事項である。
以下、本発明の貼付剤の構成について、説明する。
[リバスチグミン含有貼付剤]
本発明のリバスチグミン含有貼付剤(以下、単に「貼付剤」とも称する)は、支持体と、該支持体上に設けられた膏体層及び剥離ライナーからなる。
上記貼付剤、特に支持体と、該支持体上に設けられたリバスチグミンを含有する膏体層からなる製剤部分の形状は特に限定されず、方形(正方形、長方形等)、四角形(台形、菱形等)、多角形、円形、楕円形、半円形、三角形、三日月形、並びにこれらを組み合わせた形状等、貼付箇所に合わせて種々の形状を選択できる。
なお貼付剤の面積は適宜決定することができ、リバスチグミンの投与量などを考慮し、例えば2cm乃至25cmの範囲とすることができる。
[膏体層]
本発明の貼付剤における膏体層は、リバスチグミン、アクリル系粘着剤、増粘剤、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含む。
<リバスチグミン>
本発明の貼付剤における膏体層には、リバスチグミン、すなわち、(S)−N−エチル−3−[1−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチル−フェニル−カルバメートを含み、本発明で使用するリバスチグミンは遊離塩基型(フリー体)又は酸付加塩型の何れであってもよい。
リバスチグミンの酸付加塩としては、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸等のモノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸、マレイン酸等のジカルボン酸;ヒドロキシ酢酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸等のヒドロキシカルボン酸;炭酸;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等のアルカンスルホン酸;グルタミン酸等のアミノ酸などの有機酸との酸付加塩、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸との酸付加塩を挙げることができる。これら酸付加塩の中でも、入手のしやすさおよび膏体層における分散性等の観点から、リバスチグミンの酒石酸塩が好適である。
中でも、リバスチグミン(遊離塩基型)が好適である。
以下本書において、リバスチグミン(フリー体:遊離塩基型)及び酸付加塩を総称して、単に“リバスチグミン”とも称する。
またリバスチグミンはその安定性の観点から、できる限り熱負荷を与えないことが好ましい。このため、膏体層、そして後述するように膏体層が複数の層で構成される場合においてリバスチグミンを含有する層は、リバスチグミンを含有する液から60℃を超える熱負荷を与えずに形成された軟膏層とすることが好ましい。
上記膏体層において、リバスチグミンの含有量は特に限定されないが、例えば膏体層の総質量を基準として1質量%乃至40質量%の量にて配合し得、好ましくは2質量%乃至35質量%、さらに好ましくは5質量%乃至25質量%の量にて配合し得る。
<アクリル系粘着剤>
本発明の貼付剤における膏体層に含まれる上記アクリル系粘着剤としては、アクリル系共重合体、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーの単独共重合体又はこれらモノマーの複数からなる共重合体、さらには、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル、酢酸ビニル、スチレン、ビニルピロリドン、(メタ)アクリルアミド、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート等の、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーと共重合可能なその他モノマーとの共重合体を用いることができる。
本発明で使用するアクリル系粘着剤は、カルボキシル基を含まないアクリル系共重合体からなることが好ましい。例えばアクリル酸といったカルボキシル基を有するモノマーを共重合体に使用したアクリル系粘着剤を使用した場合、共重合体内に存在するカルボキシル基が、本発明が対象とするリバスチグミンなどの塩基性薬物と反応(結合)し、粘着剤からの薬物放出を妨げる虞がある。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーにおいてカルボキシル基を含まないモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等を挙げることができる。
上述の通り、本発明ではカルボキシル基を含有するアクリル系粘着剤を実質的に含まないことが好ましく、仮に含まれている場合においても膏体層の全質量に対してカルボキシル基を含有するアクリル系粘着剤の割合は0質量%超5質量%以下であることが好ましく、あるいは、アクリル系共重合体を構成するモノマーの総モル数に基いてカルボキシル基を有するモノマーの割合(モル)が0%超5%以下とすることが望ましい。
中でも本発明で使用するアクリル系粘着剤は、ヒドロキシ基を含むアクリル系共重合体を含むことが好ましい。その含有形態は、ヒドロキシ基を含まないモノマーとヒドロキシ基を含むモノマーとの共重合体の形態であってもよいし、あるいは、ヒドロキシ基を含まないアクリル系粘着剤とヒドロキシ基を含むアクリル系粘着剤とのブレンドの形態の何れであってもよい。
本発明において、薬物の安定性を考慮すると、膏体層に含まれるアクリル系粘着剤は、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含有するアクリル系粘着剤からなることが好ましい。
上記ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、一種もしくは二種以上の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル(単量体)と、任意に一種もしくは二種以上の共重合可能な単量体(例えば、2−エチルヘキシルアクリレート等のヒドロキシ基を含まない(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ビニルピロリドン、酢酸ビニル、メトキシエチルアクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸など)を共重合して得られる重合体が好ましい。
上記ヒドロキシ基を有するモノマー、例えば上述の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルとしては、具体的には、アルキル基の炭素原子数が2〜8のヒドロキシ基含有一級〜三級アルコールと、アクリル酸もしくはメタアクリル酸から得られるエステルが挙げられ、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル等を挙げることができる。
なお、本明細書においてアクリル系共重合体に含まれる“ヒドロキシ基”には、上記のカルボキシル基(−COOH)を構成する−OH基は含まれず、すなわちヒドロキシ基が結合している炭素原子には、カルボニル基は結合していない。
また上記ヒドロキシ基を有するアクリル酸エステルを含有するアクリル系粘着剤としては、市販品として、DURO−TAK(登録商標)87−202A、同87−208A、同87−2510、同387−2510、同87−2287、同387−2287、同87−4287、同87−2516、同387−2516、同87−2525(ヘンケル社)等を好適に用いることができる。
本発明において、アクリル系粘着剤は、上記膏体層の総質量を基準として、例えば40質量%乃至95質量%の量にて配合し得、好ましくは50質量%乃至90質量%、より好ましくは60質量%乃至90質量%にて配合し得る。
<増粘剤>
本発明において、上記膏体層は増粘剤を含有する。上記増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース、カラギーナン、ペクチン、ポリ(N−ビニルアセトアミド)、N−ビニルアセトアミド・アクリル酸ナトリウム共重合体等が挙げられる。
また本発明で使用する増粘剤として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル樹脂を用いることができる。(メタ)アクリル酸アルキルエステル樹脂には、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体や、(メタ)アクリル酸エステルを含有するアクリル系粘着剤が含まれる。
なお本発明において、上記のアクリル系粘着剤と、増粘剤に使用する(メタ)アクリル酸アルキルエステル樹脂[(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステルを含有するアクリル系粘着剤]とは異なる成分である。
増粘剤として(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体を使用する場合、その構成については特に限定されず、例えば複数の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーからなる共重合体や、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーと(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステルモノマーとのあるいは(メタ)アクリル酸との共重合体を挙げることができる。またその重量平均分子量(Mw)についても特に制限されるものではなく、例えば10,000〜300,000、好ましくは100,000〜200,000である。
これらは市販品を適宜使用でき、例えば、オイドラギット(EUDRAGIT、登録商標、エボニック ローム GmbH社製)製品及びプラストイド(PLASTOID、登録商標、エボニック ローム GmbH社製)製品を好適に使用可能であり、具体的には、オイドラギットE100、同EPO、同L100、同L100−55、同S100、同RL100、同RLPO、同RS100、同RSPO、プラストイドBが挙げられる。
これらオイドラギット製品の中でも、リバスチグミンとの混和性及び支持体への接着性の観点から、特にオイドラギットEPOが好ましい。
増粘剤として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体を使用する場合、上記膏体層の総質量を基準として、例えば0.5質量%乃至5.0質量%にて配合し得、好ましくは1.0質量%乃至4.0質量%、より好ましくは1.0質量%乃至3.0質量%にて配合し得る。
なお増粘剤として、(メタ)アクリル酸エステルを含有するアクリル系粘着剤を使用する場合、該粘着剤としては、上述の<アクリル系粘着剤>で挙げた各種共重合体を挙げることができる。但し、上述の<アクリル系粘着剤>とは異なる成分とすることが好ましい。増粘剤として用いる(メタ)アクリル酸エステルを含有するアクリル系粘着剤(共重合体)の重量平均分子量は、特に制限されるものではないが、例えば100,000〜1,000,000である。
増粘剤として、(メタ)アクリル酸エステルを含有するアクリル系粘着剤を用いる場合には、前記<アクリル系粘着剤>と、増粘剤(アクリル系粘着剤)との合計質量が、膏体
層の総質量を基準として、例えば80質量%乃至95質量%となるように、増粘剤(アクリル系粘着剤)を配合し得る。
<ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル>
本発明では、膏体層にポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含有することを特徴とする。該ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、貼付剤の粘着力を調整する役割を担う。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリソルベート20(モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタンとも称する、例えばNIKKOL(登録商標)TL−10、Tween(登録商標)20)、ポリソルベート40(モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタンとも称する、例えばNIKKOL(登録商標)TP−10EX)、ポリソルベート60(モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタンとも称する、例えば、NIKKOL(登録商標)TS−10MV、Tween(登録商標)60)、ポリソルベート65(トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタンとも称する、例えばNIKKOL(登録商標)TS−30V)、ポリソルベート80(モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンとも称する、例えばNIKKOL(登録商標)TO−10MV、Tween(登録商標)80)等が挙げられる。中でもポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとして、ポリソルベート60、及び/又は、ポリソルベート80を含みてなることが好ましい。
本発明において、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、上記膏体層の総質量を基準として、例えば0.1質量%乃至2.5質量%の量にて配合し得、好ましくは0.5質量%乃至2.0質量%、より好ましくは0.8質量%乃至1.5質量%、例えば0.9質量%乃至1.2質量%の量にて配合し得る。
<その他添加剤>
本発明において、上記膏体層は、所望により、他の薬物、粘着付与剤、架橋剤、軟化剤(可塑剤)、吸収促進剤、多価アルコール類、シリコーン油類、無機充填剤、紫外線吸収剤等のその他添加剤を更に含有していてもよい。
粘着付与剤としては、例えば、テルペン系、テルペンフェノール系、クマロンインデン系、スチレン系、ロジン系、キシレン系、フェノール系、石油系などの粘着付与剤を挙げることができる。
各種架橋剤は、アクリル系粘着剤の凝集力を増大させる目的で、膏体層に更に添加することができる。架橋剤としては、多官能イソシアネート化合物、多官能エポキシ化合物及び多価金属塩などが挙げられる。具体的にはポリイソシアネート[例えば、コロネート(登録商標)HL(ヘキサメチレンジイソシアネートHDI−TMPアダクト、日本ポリウレタン工業(株)製)]が好ましい。また、充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸塩、酸化亜鉛、酸化チタン、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム等を配合することが出来る。
吸収促進剤としては、d−リモネン等のテルペン油、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノオレート、セバシン酸ジエチル等の脂肪酸エステル、エイゾン、プロチオデカン、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸等の脂肪酸またはその誘導体が挙げられる。
なお抗酸化剤は、本発明が対象とする貼付剤において必ずしも必要ではない。サプライヤーにより、市販の粘着剤に抗酸化剤が予め添加されている場合があるが、通常、非常に微量なため、抗酸化剤を添加していないと定義する。抗酸化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、酢酸トコフェロール、アスコルビン酸、安息香酸類、パラベン類、塩化ベンザルコニウム、及び塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
これら添加剤の配合は任意であるが、上記膏体層の総質量を基準とするその他添加剤の配合量は、例えば0質量%乃至40質量%、好ましくは0質量%乃至30質量%である。
なお、上記膏体層の厚みは特に限定されないが、通常10μm乃至200μm、例えば20μm乃至100μm程度とすることができる。
膏体層の厚みが小さすぎると、皮膚粘着性が不足したり、リバスチグミンの含有量(絶対量)が少なくなり、その皮膚吸収の持続性が不十分となり得、反対に膏体層の厚みを大きくしすぎると、剥離時に皮膚に粘着剤が多量に残留することや取り扱い性が低下することがあることを考慮し、膏体層の厚みを適宜選択すればよい。
本発明において、膏体層は複数の層で構成されていてもよい。好適な態様において、前記膏体層は、(1)リバスチグミン含有層と粘着剤層の2層からなるか、又は、(2)リバスチグミン含有粘着剤層の1層からなることが好ましい。
(1)リバスチグミン含有層と粘着剤層の2層からなる膏体層
本態様は、膏体層がリバスチグミン含有層と粘着剤層の2層からなる態様であり、このとき、2層の積層構成は、支持体上にリバスチグミン含有層、該リバスチグミン含有層上に粘着剤層をこの順で積層してなるか、あるいは、支持体上に粘着剤層、該粘着剤層の上にリバスチグミン含有層をこの順で積層してなるかのいずれであってもよい。
上記リバスチグミン含有層は、リバスチグミンを含有する層であり、好適な態様において増粘剤を含みてなる。さらにリバスチグミン含有層は、前述のその他添加剤(例えば軟化剤(可塑剤)、無機充填剤等)を更に含有していてもよい。
また粘着剤層は、アクリル系粘着剤と、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとを含有する。さらに粘着剤層は、前述のその他添加剤(例えば他の薬物、粘着付与剤、架橋剤、軟化剤(可塑剤)、吸収促進剤、多価アルコール類、シリコーン油類、無機充填剤、紫外線吸収剤等)を更に含有していてもよい。
(2)リバスチグミン含有粘着剤層の1層からなる膏体層
本態様のリバスチグミン含有粘着剤層は、リバスチグミン、アクリル系粘着剤、増粘剤、増粘剤、そしてポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含有し、そして所望により、前述のその他添加剤を含有し得る。すなわち本態様において、“リバスチグミン含有粘着剤層”は“膏体層”と同義である。
[支持体]
本発明の貼付剤に用いる支持体としては、例えば、含浸紙、コート紙、上質紙、クラフト紙、和紙、グラシン紙等の紙類;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリウレタンフィルム、セロハンフィルムなどのプラスチックフィルム;発泡体;不織布、織布、編布等の布帛類;これら2種以上の積層体;などが挙げられる。不織布、織布、編布等の布帛類の材質としては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。
これらの中でも、皮膚に密着することができ、かつ、皮膚の動きに追随することができる程度の柔軟な材質、そして長時間貼付後において皮膚のかぶれ等の発生を抑制できる材質を選択することが好ましく、中でも本発明が対象とする貼付剤では、貼付下の皮膚面の動きに対する追随性に優れる点において、ポリオレフィンフィルムやポリエステルフィルムが好適に用いられる。
また、支持体は、膏体層に含まれるリバスチグミンの吸着がなく、かつ、支持体側からリバスチグミンが放出されないことが望ましい。このように、リバスチグミンの吸着・放出を抑制し、リバスチグミンの経皮吸収性が向上し、かつ皮膚かぶれ等の発生を抑制する観点から、支持体に上記の材質の層が1層以上含まれ、また、特定の数値範囲の透湿度を
有しているものを採用することができる。具体的には、支持体の透湿度(JISZ0208、40℃、90%RHにおいて測定される)は300g/m・24hr以下、特に50g/m・24hr以下のものが好ましい。支持体の透湿度を上記範囲内とすることにより、リバスチグミンの皮膚透過性が増大し、また皮膚かぶれ等の発生を抑制できる適切な透湿性を確保できる。
また、貼付時に貼付剤が目立たないようにする、すなわち、貼付下の皮膚の色調を透けて出しやすいという点では、透明性に優れたプラスチックフィルムの形態を採用することが好ましい。布類などの支持体は、着色剤により肌色などの色調に着色することにより、貼付時に肌の色との相違を少なくできる。例えば着色剤としては、顔料、有機顔料、天然色素などが挙げられる。
支持体の厚みは、伸び、引張り強さ、作業性などの物理的性質や貼付時の感触や患部の密閉性、薬物の支持体への移行等を考慮して適宜選択可能であるが、通常5μmから1mm程度である。支持体が布類である場合、その厚みは、好ましくは50μm〜1mm、より好ましくは100μm〜800μm、更に好ましくは200μm〜700μmである。支持体がプラスチックフィルムである場合、その厚みは、好ましくは10μm〜300μm、より好ましくは12μm〜200μm、更に好ましくは15μm〜150μmである。
支持体の厚みが5μm〜30μm程度とごく薄い場合は、支持体上に形成された膏体層とは反対の面上に、剥離可能なキャリアフィルム層を設けることにより、貼付剤としての取り扱い性を向上させることができる。
但し5μmよりも支持体の厚みが小さいと、貼付剤の強度や取り扱い性が低下して、皮膚への貼付が困難になり、他の部材等との接触によって破れたり、入浴等の水との接触によって短時間で皮膚から剥離したりすることがある。また、支持体の厚みが大きすぎる(1mmより超える)と、貼付剤が、皮膚の動きに追随しにくくなり、貼付剤の辺縁部に剥がれるきっかけを形成しやすくなるため、短時間で皮膚から剥離したり、貼付中の違和感が増えたりする虞がある。
支持体がフィルムである場合は、粘着剤と支持体の投錨性を向上することを目的に、支持体の片面又は両面にサンドブラスト処理、コロナ処理等の処理を行なってもよい。また、包材(包装袋、包装体)から取り出しやすくするために支持体の片面又は両面にサンドブラスト以外の方法で凹凸を設けてもよい。
これら薬物吸着性、透湿性、透明性また厚み等の条件を満たす支持体として、ポリエステルフィルムが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
また支持体は、帯電防止剤、紫外線防止剤などの添加剤を本発明の効果を阻害しない程度含むことができる。帯電防止剤としては、界面活性剤(アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤)等が挙げられる。帯電防止剤により、支持体の投錨性や工程上の不具合を解消することができる。
[剥離ライナー]
本発明の貼付剤に用いる剥離ライナー(剥離層・剥離紙ともいう)は、皮膚と接する膏体層を保護し、変質を防止し、貼付剤を皮膚に貼付する際に剥離される層を意味する。剥離ライナーとしては、膏体層中の薬物(リバスチグミン)等が吸収・吸着しにくい材質であることが好ましく、さらに膏体層からの剥離性や柔軟性などを考慮して、貼付剤の技術分野において慣用のものを使用することができる。
例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリプロピレン(無延伸、延伸等)、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等のプラスチックフィルム;上質紙、グラシン紙、パーチメント紙、クラフト紙等の紙や合成紙;前記プラスチックフィルム、紙又は
合成紙、合成繊維等に、シリコーン樹脂やフッ素樹脂等の剥離性能を有する剥離剤をコーティングした離型処理フィルムや剥離加工紙;アルミ箔;これらフィルム・シートを種々積層したラミネート加工紙、及び該ラミネート加工紙に剥離剤をコーティングしたラミネート剥離加工紙などの、無色の又は着色のシートを挙げることができる。なお剥離ライナーの離型処理(剥離加工)は、膏体層と接する面だけでなく、これらの層と反対側の面にも施すことができる。また剥離ライナーは、包材から取り出しやすいように凹凸を設けることも可能である。
これら剥離ライナーの厚さは特に限定されないが、通常10μm〜1mm、例えば20μm〜500μm、好ましくは40μm〜200μmの範囲である。
剥離ライナーの形状は方形、矩形、円形等とすることができ、所望により角を丸くした形状とすることができる。その大きさは、前記貼付剤における支持体の大きさと同形状か、やや大きめとすることができる。剥離ライナーは1枚から構成されてもまたは分割されて複数枚から構成されてもよく、複数枚から構成される場合、その切れ目は直線、波線、ミシン線状で構成されてもよく、剥離ライナー同士の一部が重なる状態としてもよい。
[貼付剤の製造方法]
本発明が対象とする貼付剤において、その製造方法は特に限定されない。
例えば前述したように、膏体層が(1)リバスチグミン含有層と粘着剤層の2層からなる態様の場合には、以下のi)〜iii)のいずれかに挙げる工程にて製造することができる。
i)支持体上に、リバスチグミン含有液を塗工・乾燥し、リバスチグミン含有層を形成する工程、剥離ライナー上に、アクリル系粘着剤含有液を塗工・乾燥し、粘着剤層を形成する工程、及び該支持体上に形成されたリバスチグミン含有層と、該剥離ライナー上に形成された粘着剤層とを貼り合わせ、膏体層の形成と同時に貼付剤を形成する工程。
ii)支持体上に、アクリル系粘着剤含有液を塗工・乾燥し、粘着剤層を形成する工程、剥離ライナー上に、リバスチグミン含有液を塗工・乾燥し、リバスチグミン含有層を形成する工程、及び該支持体上に形成された粘着剤層と、該剥離ライナー上に形成されたリバスチグミン含有層とを貼り合わせ、膏体層の形成と同時に貼付剤を形成する工程。
iii)支持体上に、アクリル系粘着剤含有液を塗工・乾燥し、粘着剤層を形成する工程、該粘着剤層上に、リバスチグミン含有液を塗工・乾燥し、リバスチグミン含有層を形成すると同時に膏体層を形成する工程、及び該支持体上の膏体層(粘着剤層上に形成されたリバスチグミン含有層)と、剥離ライナーとを貼り合わせ、貼付剤を形成する工程。
また、膏体層が1層からなる態様、すなわち前述の(2)リバスチグミン含有粘着剤層からなる態様の場合、例えば以下のiv)又はv)に挙げる工程にて製造することができる。
iv)剥離ライナー上に、リバスチグミン及びアクリル系粘着剤含有液を塗工・乾燥し、リバスチグミン含有粘着剤層(膏体層)を形成する工程、及び、剥離ライナー上に形成されたリバスチグミン含有粘着剤層(膏体層)と、支持体とを貼り合わせ、貼付剤を形成する工程。
v)支持体上に、リバスチグミン及びアクリル系粘着剤含有液を塗工・乾燥し、リバスチグミン含有粘着剤層(膏体層)を形成する工程、及び、支持体上に形成されたリバスチグミン含有粘着剤層(膏体層)と、剥離ライナーとを貼り合わせ、貼付剤を形成する工程。
前記リバスチグミン含有液は、リバスチグミン及び増粘剤を含有する液であり、所望によりその他添加剤を含有し得る液である。
前記アクリル系粘着剤含有液は、アクリル系粘着剤及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含有し、所望によりその他添加剤を含有し得る液である。
また前記リバスチグミン及びアクリル系粘着剤含有液とは、リバスチグミン、アクリル系粘着剤、増粘剤、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含有し、所望に
よりその他添加剤を含有し得る液である。
前記リバスチグミン含有液、前記アクリル系粘着剤含有液、及び前記リバスチグミン及びアクリル系粘着剤含有液は、支持体や剥離ライナー上等への塗工時の操作性を考慮し、適宜溶剤等を含んでいてもよい。該溶剤としては、リバスチグミン、アクリル系粘着剤、増粘剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、さらに各種添加剤を溶解できるものであれば特に限定されるものではない。
上記の膏体層の形成方法は、従来の膏体層(粘着剤層)の形成方法、例えば、溶展塗工法、軟膏塗工法、エマルション法、ホットメルト法、カレンダー法、電子線硬化法などの何れの方法でも実施することができる。中でも、リバスチグミンの安定性の観点から、リバスチグミンを含有する層の形成にあたっては、通常の貼付剤の製造において採用されている加熱混練(撹拌)工程が含まれるカレンダー法やホットメルト法、或いは、塗工後に加熱乾燥工程が含まれる溶展塗工法を採用するよりも、混合や乾燥工程においてできるだけ加熱を抑えて操作する、所謂“軟膏塗工法”を採用することが好ましい。
本明細書において“軟膏塗工法”とは、低温で、例えば1℃以上60℃未満の温度で、好ましくは20℃乃至34℃、さらに好ましくは26℃乃至34℃の温度条件下で層形成を行う方法をいう。
本発明において、膏体層が前記(1)リバスチグミン含有層と粘着剤層の2層からなる態様においては、リバスチグミン含有層を、膏体層が前記(2)リバスチグミン含有粘着剤層からなる態様においては、リバスチグミン含有粘着剤層(膏体層)を、上記温度条件下で、塗布或いはラミネートによる積層により形成することが好ましい。
なお、膏体層が2層からなる態様において、粘着剤層は、上述の従来の粘着剤層の形成方法で実施することがでぉ、例えば高温(例えば60℃乃至180℃)下で、粘着剤等の練合・撹拌・硬化・乾燥し、粘着剤層を支持体又は剥離ライナー上に形成することができる。
より具体的には、本発明の貼付剤の製造は、例えば上記i)の工程の場合、以下の手順で実施され、製造され得る。
前述のアクリル系粘着剤とポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルと、所望により薬以外の他成分並びに該粘着剤を溶解する溶剤(酢酸エチル、エタノール、ヘキサン等)を最大温度が室温乃至40℃程度の温度で撹拌混合し、各成分が均一となった粘着剤含有液を調製する。これを、塗工機にて、剥離ライナーまたは支持体上に溶剤乾燥後の厚さが10乃至100μmとなるように展延した後、60℃乃至120℃の温度にて乾燥させ、粘着剤層を形成する。
別に、リバスチグミンと増粘剤、所望により他成分を最大温度が室温乃至1℃以上60℃未満の温度で混合し、各成分が均一となったリバスチグミン含有液を調製する。これを、塗工機にて、剥離ライナー又は支持体上に10乃至80μmの厚さに展延し、リバスチグミン含有層を形成する。なお増粘剤としてアクリル粘着剤を用いる場合には、剥離ライナー又は支持体上に展延後、溶剤を乾燥させる工程を含んでもよい。
最後に、剥離ライナー又は支持体上に形成した粘着剤層と、支持体又は上に形成したリバスチグミン含有層を対向させ貼り合わせ、膏体層を形成するとともに貼付剤を得、適宜所望の大きさに裁断してもよい。
こうした(1)膏体層が2層からなる態様の場合、粘着剤層とリバスチグミン含有層を接触させることにより、該リバスチグミン含有層から、有効成分であるリバスチグミンが粘着剤層側にも浸透・拡散し、リバスチグミン含有層と粘着剤層に有効成分がほぼ均等に含有されてなる、膏体層において2層の層構造が形成された貼付剤が得られる。たとえば10〜100μmの粘着剤層に対して塗布又は貼り合わせによりリバスチグミン含有層を接触させて貼付剤を製造した後、低温条件(1℃以上50℃未満)で1日〜2週間程度の
熟成期間を経ることにより、リバスチグミンが粘着剤層中にも均一に拡散・浸透した貼付剤を得ることができる。
[投与方法]
本発明の対象とするリバスチグミン含有貼付剤により、大脳及びニューロン障害の処置において投与されるべき有効成分(リバスチグミン)の量は、処置されるべき病訴の性質及び重篤度ならびに患者の体重に依存する。好ましい単位用量は一般に、0.25mg〜700mg、有利には0.5mg〜300mg、好ましくは1mg〜150mg、例えば2mgと50mgとの間、すなわち2、5、10、15、20、25、30、40または50mgの生成物(リバスチグミン)を含む。この単位用量は、通常1日に1回以上、例えば1日に2、3、4または5回、好ましくは1日に1〜3回投与され、1人の全体用量は、1日当り0.5mgと1400mgとの間、有利には1日当り1mgと900mgとの間、例えば2mg〜500mg、より便利には1日当り4mg〜10mgで変動する。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<貼付剤の作製>
以下の手順にて、実施例及び比較例の貼付剤を軟膏塗工法にて製造した。
実施例1:
アクリル系粘着剤としてDURO−TAK(登録商標)387−2516(ヒドロキシ基含有、ヘンケル社)と、添加剤としてNIKKOL TO−10MV(モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、日光ケミカルズ(株))と、酢酸エチルとを室温にて混合し、アクリル系粘着剤含有液を調製した。次いでこのアクリル系粘着剤含有液を、シリコーン離型処理した厚さ75μmのPETフィルム(フィルムバイナ(登録商標)75E−0010 No.23、藤森工業(株)製)上に、乾燥後の厚みが約80μmとなるように塗工し、60〜100℃で乾燥させ、粘着剤層を形成した。
リバスチグミンと、オイドラギット(登録商標)EPO(エボニック デグサ社)とそれぞれ秤量し、これらをガラス瓶に入れ、室温で溶解し、リバスチグミン含有液を得た。得られたリバスチグミン含有液を、支持体として厚み25μmのPETフィルム(ルミラー(登録商標)S10、東レ(株)製)上に約10μmの厚さに塗工し、リバスチグミン含有層を形成した。
前記シリコーン離型処理したPETフィルム上に形成した粘着剤層と、前記PETフィルム上に形成したリバスチグミン含有層を対向させ貼り合わせ、膏体層の形成と同時に、実施例1の貼付剤を得た。
表1に、膏体層に使用した各成分の配合量(質量%、膏体層の全質量を基準とする)を示す。
実施例2〜実施例5、比較例1〜比較例21:
添加剤を、表2に記載の種類並びに配合量(質量%)(比較例1は添加剤を配合せず)に変更した以外は、実施例1と同様の手順にて、実施例2〜実施例5、及び比較例1〜比較例21の貼付剤を得た。
なお添加剤の配合量の増減に伴い、アクリル系粘着剤の配合量を調整し、膏体層の合計質量100%となるようにアクリル系粘着剤含有液を調製した(表1参照)。
<貼付剤の性能評価>
実施例1乃至実施例5、並びに比較例1乃至比較例21の貼付剤を用い、下記手順にて対BA−SUS粘着力、保持力、プローブタック、薬物透過量、安定性についてそれぞれ
測定及び評価を行った。得られた結果並びに評価を表2に併せて示す。
(1)対BA−SUS板粘着力
対BA−SUS板粘着力の測定は、JIS Z−0237に準拠して180度剥離試験を行って測定した。すなわち、幅15mm×長さ30mmに切り出した各貼付剤の試験片をBA−SUS板に貼り付け、1kgのゴムロールを600mm/分の速度で2往復させて、1分間以内にインストロン型引張試験機で180度方向に剥離速度300mm/分の条件で引き剥がすときの粘着力を測定した(単位:N/15mm)(n=3の平均値)。
なお対BA−SUS板粘着力は、24時間後の付着性を考慮し、例えば2.5N/15mm乃至3.5N/15mmの範囲内であることが最も好適である。
<評価>
得られた値に基づき、以下のとおり評価した。
◎:2.5N/15mm以上 3.5N/15mm以下
○:1.0N/15mm以上 2.5N/15mm未満、又は、
3.5N/15mm超 4.0N/15mm未満
×:1.0N/15mm未満、又は、4.0N/15mm超
(2)保持力
JIS Z−0237の保持力測定法に準拠し、被着体はガラス、試料は幅12mm、長さ12mmとし、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下にて、300gの重りを吊るしてから60分後のズレを測定した(単位:mm)(n=3の平均値)。
なお保持力が大きすぎる(ズレが少ない)と貼付剤を剥がす際の痛みが生じ得、保持力が小さすぎる(ズレが大きい)と皮膚の動きなどの外力によって剥がれ易くなり得る。
<評価>
得られた値に基づき、以下のとおり評価した。
○:0.7mm以上 2.0mm以下
×:0.7mm未満、又は、2.0mm超
(3)プローブタック
プローブタックの測定はJIS Z−0237に参考として記載されているプローブタック試験法に従い、ニチバン(株)製のプローブタックテスターを用い、温度23℃、50%RH雰囲気下で、直径5mmの金属製の円柱プローブの平滑な先端の面を、粘着剤の表面に0.98N/cm(100±1gf/cm)の荷重をかけて1.0±0.1秒間接着させ、毎秒10±0.1mmとして引き剥したときの抵抗値(単位:N/5mmφ)を測定した(n=3の平均値)。
<評価>
得られた値に基づき、以下のとおり評価した。
○:3.0N/5mmφ以上 5.0N/5mmφ以下
×:3.0N/5mmφ未満、又は、5.0N/5mmφ超
(4)薬物透過量(ヘアレスマウスを用いた24時間累積皮膚透過量)
ペントバルビタール麻酔下、ヘアレスマウス(雄、7週齢、系統Hos:HR−1)の腹部皮膚を摘出し、直径20mmφの横型拡散セルに装着した。2重構造のセルに32℃の温水を循環させ、セル内部を一定の温度条件に保ち、皮膚の角質層側には、実施例又は比較例の各貼付剤(15mmφ;面積1.77cm)を貼付した。レシーバー側には生理食塩水10mLを充満させ、撹拌子で撹拌しながら、経時的に0.5mLずつサンプリングし、サンプリングした各試料にメタノールを各0.5mL加え、撹拌後、遠心分離し、除蛋白した溶液をHPLC(高速液体クロマトグラフィ)にて定量して薬物濃度を測定することにより、貼付後24時間での皮膚面積あたりのリバスチグミンの累積皮膚透過量を算出した。なおサンプリングした後のレシーバー溶液には、同量の生理食塩水を補充し
た。
なお本試験において用いた実施例又は比較例の各貼付剤は、製造から経過して一週間以内のものを使用し、各例の検体数をそれぞれ3とした。
なお下記評価において、相対値が0.9を下回る結果は薬物透過量が低く貼付剤としての所望の効果が得られないものとなり、相対値が1.1を上回る結果は薬物透過量が高くなりすぎるものとなり、皮膚刺激を生じさせる虞がある。
<評価>
比較例1の貼付剤における累積皮膚透過量を1としたときの、各貼付剤の累積皮膚透過量の相対値を算出し、以下の通り評価した。
○:比較例1の貼付剤の累積皮膚透過量に対して、対象の累積皮膚透過量の相対値が0.9以上 1.1以下
×:比較例1の貼付剤の累積皮膚透過量に対して、対象の累積皮膚透過量の相対値が0.9未満、又は、1.1超
(5)安定性(分解物の混在量)
製造した各貼付剤を、苛酷条件下(60℃)で2週間保管し、2週間経過後の貼付剤に存在するリバスチグミンの分解物(分解による類縁物質)の混在量を次に示す[分解物混在量 測定手順]に従い測定し、下記基準に従い評価した。
[分解物混在量 測定手順]
貼付剤の剥離ライナーを剥離した後、特級テトラヒドロフランが入った密封可能なガラス容器中に貼付剤を浸漬して、粘着剤を溶解させた。ここに医薬品試験用アセトニトリル/医薬品試験用メタノール/リン酸アンモニウム緩衝液(pH7.0)の混液を加え試料溶液とし、該試料溶液について高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法によって分析を行った。
分解物の混在量は、下記式に基づき、リバスチグミンのピーク面積に対する分解物ピーク面積として算出し、各分解物の総和としての測定3回の分解物合計量(質量%)の平均値を算出した。
分解物混在量(%)=[試料溶液中の分解物のピーク面積/標準溶液中のリバスチグミンピーク面積]
※標準溶液は試料溶液を1/100希釈したもの
<評価>
得られた値に基づき、混在する分解物の合計量に応じて以下のとおり評価した。
○:分解物の混在量の合計量が0.35%未満
×:分解物の混在量の合計量が0.35%以上
Figure 2019156720
Figure 2019156720
表2に示すようにポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート80、ポリソルベート60)を、わずか0.1質量%乃至2.5質量%配合した実施例1乃至実施例5の貼付剤は、添加剤を無配合とした比較例1と比べ、対BA−SUS板粘着力を適正値に引き下げ、また、保持力、プローブタックを適正な値とした一方、24時間の累積皮膚透過量並びに安定性については比較例1と同等の性能を有する結果が確認された。
特に実施例1、実施例3及び実施例4は、24時間後の付着性を考慮した場合の対BA−SUS板粘着力の最適範囲:2.5N/15mm乃至3.5N/15mmを実現した。
なお比較例1は、市販品であるイクセロン(登録商標)パッチの配合処方に対応した貼付剤である。したがって、実施例1乃至実施例5の貼付剤が比較例1と同等の累積皮膚透
過量を実現したとする結果は、本発明の貼付剤が、市販品の配合処方と、生物学的同等性を有していることを示唆する結果である。そして本結果に加え、実施例1乃至実施例5の貼付剤が比較例1と同等の安定性(分解物の混在量が規定範囲内)を有する結果により、本発明の貼付剤が、市販品の配合処方と同等あるいはそれ以上の品質を有することを証明するものである。
一方、比較例2乃至比較例21にあっては、対BA−SUS板粘着力、保持力、プローブタック、24時間の累積皮膚透過量並びに安定性の全ての評価項目を満足することはできないとする結果となった。
なお、添加剤をセバシン酸ジエチル(比較例4〜比較例7)、パルミチン酸イソプロピル(比較例8〜比較例11)、オレイン酸オレイル(比較例12〜比較例15)、及びミリスチン酸オクチルドデシル(比較例16〜比較例18)とした各比較例のシリーズにおいて、添加剤含量の増加に伴い、24時間累積皮膚透過率も増加する傾向が確認されている。従って、添加剤をパルミチン酸イソプロピル又はオレイン酸オレイルとした各比較例シリーズにおいて、最大添加量の例である比較例11又は比較例15は、24時間の累積皮膚透過量(相対値)が比較例10又は比較例14に比べてさらに増加すると推測される。
すなわち、これら比較例11及び比較例15は、添加剤を大量に配合することにより、対BA−SUS板粘着力を弱めることができ、また保持力及びプローブタックも良好な範囲とすることができたものの、24時間の累積皮膚透過量(相対値)が高くなりすぎて(1.1を超える)、かえって皮膚刺激を強くさせると判断される結果となった。

Claims (7)

  1. 支持体と、該支持体上に設けられた膏体層と剥離ライナーからなるリバスチグミン含有貼付剤であって、
    前記膏体層が、
    リバスチグミン、アクリル系粘着剤、増粘剤、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含み、
    該膏体層の総質量を基準として、前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを0.1質量%乃至2.5質量%にて含有する、
    リバスチグミン含有貼付剤。
  2. 前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン及びモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタンのうちの少なくとも一種を含む、請求項1に記載のリバスチグミン含有貼付剤。
  3. 前記アクリル系粘着剤が、カルボキシル基を含まないアクリル系共重合体からなる、
    請求項1に記載のリバスチグミン含有貼付剤。
  4. 前記アクリル系粘着剤が、ヒドロキシ基を含むアクリル系共重合体を含む、請求項1に記載のリバスチグミン含有貼付剤。
  5. 前記膏体層が、
    リバスチグミン含有層と粘着剤層の2層からなるか、又は、
    リバスチグミン含有粘着剤層の1層からなる、
    請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項に記載のリバスチグミン含有貼付剤。
  6. 前記リバスチグミン含有層又はリバスチグミン含有粘着剤層は、リバスチグミン又はその酸付加塩の含有液から60℃を超える熱負荷を与えずに形成された軟膏層である、請求項5に記載のリバスチグミン含有貼付剤。
  7. 前記粘着剤層は、アクリル系粘着剤及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含有し、
    前記リバスチグミン含有層は、リバスチグミン又はその酸付加塩、並びに、増粘剤を含有し、
    前記リバスチグミン含有粘着剤層は、リバスチグミン又はその酸付加塩、アクリル系粘着剤、増粘剤、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含有する、
    請求項5又は請求項6に記載のリバスチグミン含有貼付剤。
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