JP2019155971A - 高揚力装置及び航空機の翼 - Google Patents
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Abstract
【課題】スラットの大幅な設計変更を行うことなく、スラットと母翼との物理的な干渉を抑制し、騒音を低減することができる高揚力装置等を提供する。【解決手段】航空機1の母翼10に設けられる高揚力装置11において、スラット15と、スラット15を展開位置と格納位置との間で移動させるスラット移動機構16とを備え、スラット15は、スラット前面21と、スラット後面22と、スラット前面21とスラット後面22との間のフィレット面23とを有し、スラット後面22は、スラット15の内部側に向かって凹となる曲面となっており、フィレット面23は、スラット15の外部側に向かって凸となる曲面となっており、航空機のピッチ軸方向に直交する面で切った断面において、スラット後面22とフィレット面23との変曲点P2は、格納時における母翼10の前方側の頂点P1よりも下方側に位置している。【選択図】図3
Description
本発明は、スラットを備える高揚力装置及び航空機の翼に関するものである。
従来、航空機ノイズを減少させる方法として、離陸時において、航空機翼の固定最先端から細長い薄板(スラット)を展開し、細長い薄板と固定最先端の上部表面の間のギャップを埋めるように上部ブリッジ要素を滑らせて展開することで、航空機翼の上部表面を連続的な航空力学表面とするものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
一般的に、高揚力装置に設けられるスラットは、格納時において主翼に干渉しないように、後方側の面(後面)が主翼の前方側の面(前面)と相補的な形状に形成されている。また、スラットは、主翼の上面及び下面において連続な面となるように形成されている。これに対し、特許文献1のスラットは、航空機の騒音を減少させるための形状となっていることから、ピッチ軸に直交する面で切った断面において、スラットの後面が、主翼と前面と相補的な形状とはなっておらず、格納時において主翼に干渉する形状となっている。このため、特許文献1のスラットは、一般的なスラットから大幅な設計変更を行うこととなる。
そこで、本発明は、スラットの大幅な設計変更を行うことなく、スラットと母翼との物理的な干渉を抑制し、騒音を低減することができる高揚力装置及び航空機の翼を提供することを課題とする。
本発明の高揚力装置は、航空機の母翼に設けられる高揚力装置において、前記母翼の前方側に設けられるスラットと、前記スラットが前方に展開される展開位置と、前記スラットが後方に格納される格納位置との間で、前記スラットを移動させるスラット移動機構と、を備え、前記スラットは、前方側の面となるスラット前面と、前記母翼の前方と対向し、後方側の面となるスラット後面と、前記母翼の下面側において、前記スラット前面と前記スラット後面との間に亘って形成され、前記スラット前面及び前記スラット後面のそれぞれと連続する面となるフィレット面と、を有し、前記スラット後面は、前記スラットの内部側に向かって凹となる、前記母翼と相補的な形状の曲面となっており、前記フィレット面は、前記スラットの外部側に向かって凸となる曲面となっており、前記スラットを前記航空機のピッチ軸方向に直交する面で切った断面において、前記スラットの格納時における前記スラット後面と前記フィレット面との変曲点は、前記航空機のヨー軸方向において、前記母翼の前方側の頂点よりも下方側に位置していることを特徴とする。
この構成によれば、スラットにフィレット面を形成することで、スラット前面からフィレット面を介してスラット後面に流れ込む気流を、スラットからはく離し難くすることができる。このため、スラット後面に流れ込む気流のはく離によって発生する乱流の形成を抑制することができ、乱流の圧力変動による生じる航空機の騒音を低減することができる。このとき、スラット後面とフィレット面との変曲点を、航空機のヨー軸方向において、母翼の前方側の頂点よりも下方側に位置させることで、フィレット面を、一般的なスラットの一部を切り落とす面として取り扱うことができる。このため、一般的なスラットの一部を切り落とした形状にできることから、大幅な設計変更を行う必要がない。さらに、スラット後面は、母翼と相補的な形状の曲面となっていることから、スラットの格納時において、母翼との物理的な干渉を抑制することができる。
また、前記スラットを前記航空機のピッチ軸方向に直交する面で切った断面において、前記フィレット面に亘る曲率半径を平均した平均曲率半径をR1とし、前記スラット後面に亘る曲率半径を平均した平均曲率半径をR2とすると、前記平均曲率半径R1は、前記平均曲率半径R2に比して小さいことが、好ましい。
この構成によれば、フィレット面が形成される部位を、スラット後面が形成される部位に比して小さいものとすることができるため、設計変更を軽微なものとしつつ、騒音の低減効果が高い形状とすることができる。
また、前記スラットを前記航空機のピッチ軸方向に直交する面で切った断面において、前記航空機のロール軸方向における前記母翼の前方側の頂点を、頂点P1とし、前記スラットの格納時における前記スラット後面と前記フィレット面との変曲点を、変曲点P2とし、前記スラットの後方側における前記スラット前面と前記スラット後面とが交わる点を、点p100とし、前記点p100と前記変曲点P2とを結ぶ直線に対して、前記スラット前面と交わる点を、点p101とし、前記航空機のヨー軸方向において前記頂点P1と同じ位置となる前記スラット前面の点を、点p102とし、前記点p100と前記点p102とを結ぶ直線に対して、前記スラット後面と交わる点を、点p103とし、前記点p101と前記点P2とを結ぶ直線の長さを、長さL1とし、前記点p102と前記点p103とを結ぶ直線の長さを、長さLref1とすると、前記長さL1と前記長さLref1とは、「L1≦Lref1」であることが、好ましい。
この構成によれば、スラットの形状を、最適な形状とすることができるため、騒音をより低減することができる。なお、長さL1が0の場合には、従来の形状と同様となり、騒音の低減効果を発揮する長さL1は、「0.1Lref1≦L1」程度であることから、長さL1と長さLref1は、「0.1Lref1≦L1≦Lref1」の範囲がより好ましい。また、長さLref1に対して長さL1が長くなると、格納時において形成されるスラットと母翼との隙間が広くなることから、隙間が広くなり過ぎないためには、「L1≦0.5Lref1」がよく、長さL1と長さLref1は、「0.1Lref1≦L1≦0.5Lref1」の範囲がより好ましい。
また、前記母翼の下面側に設けられ、前記格納位置に格納された前記スラットと、前記母翼との間の隙間を閉塞する閉塞部材と、前記スラットの格納時において前記閉塞部材が前記隙間を閉塞する閉塞位置と、前記スラットの展開時において前記閉塞部材が収容される収容位置との間で、前記閉塞部材を移動させる閉塞部材移動機構と、をさらに備えることが、好ましい。
この構成によれば、格納時において形成されるスラットと母翼との間の隙間を閉塞部材により閉塞させることで、スラット及び母翼の下面を連続する面とすることができる。このため、航空機の巡航時における翼下面での抵抗を抑制することができる。
本発明の航空機の翼は、母翼と、前記母翼に設けられる上記の高揚力装置と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、航空機の翼から発生する騒音を低減することができる。
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能であり、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせることも可能である。
[本実施形態]
本実施形態に係る高揚力装置11は、航空機1の翼に設けられる装置であり、離着陸等の低速時において揚力を発生させるものである。高揚力装置11は、航空機1の翼として、主翼5に設けられている。ここで、図1は、本実施形態に係る航空機の主翼周りの離着陸時における模式図である。図2は、本実施形態に係る航空機の主翼周りの巡航時における模式図である。図3は、本実施形態に係る高揚力装置のスラットの模式図である。図4は、従来の高揚力装置のスラットにより発生する騒音レベルを示す図である。図5は、本実施形態の高揚力装置のスラットにより発生する騒音レベルを示す図である。
本実施形態に係る高揚力装置11は、航空機1の翼に設けられる装置であり、離着陸等の低速時において揚力を発生させるものである。高揚力装置11は、航空機1の翼として、主翼5に設けられている。ここで、図1は、本実施形態に係る航空機の主翼周りの離着陸時における模式図である。図2は、本実施形態に係る航空機の主翼周りの巡航時における模式図である。図3は、本実施形態に係る高揚力装置のスラットの模式図である。図4は、従来の高揚力装置のスラットにより発生する騒音レベルを示す図である。図5は、本実施形態の高揚力装置のスラットにより発生する騒音レベルを示す図である。
先ず、航空機1について説明する。航空機1は、胴体3、主翼5、水平尾翼及び垂直尾翼を有している。胴体3は、航空機1の機首側と機尾側とを結ぶ方向であるロール軸方向に延在して設けられる筒状の部位である。主翼5は、胴体3の中央部近傍に設けられ、ロール軸方向に直交するピッチ軸方向において、胴体3から外側に延在する翼体となっている。図示は省略するが、水平尾翼は、胴体3の機尾側に設けられ、ピッチ軸方向において、胴体3から外側に延在する翼体となっており、また、垂直尾翼は、胴体3の機尾側に設けられ、ロール軸方向及びピッチ軸方向に直交するヨー軸方向において、胴体3から外側に延在する翼体となっている。
図1及び図2に示すように、主翼5は、母翼10と、高揚力装置11とを備えている。母翼10は、主として、主翼5を構成する構造体である。母翼10は、ピッチ軸方向に直交する面で切った断面において、翼形状に形成されており、母翼10の翼外面は、ヨー軸方向の上方側の翼上面、ヨー軸方向の下方側の翼下面、及びロール軸方向の前方側の翼前面25(図3参照)を含んでいる。
高揚力装置11は、航空機1の低速時、例えば、航空機1の離着陸時において、航空機1の失速を抑制すべく、主翼5の揚力を増大させる装置である。高揚力装置11は、母翼10の前方側に設けられるスラット装置と、母翼10の後方側に設けられるフラップ装置とを含んで構成されている。具体的に、高揚力装置11は、スラット15と、スラット移動機構16と、フラップ17と、閉塞部材18と、閉塞部材移動機構19とを有している。
スラット15は、主翼5の前縁部を構成しており、母翼10の前方側に設けられている。また、スラット15は、ピッチ軸方向に延在して設けられている。図3に示すように、スラット15の外面は、ピッチ軸方向に直交する面で切った断面において、ロール軸方向の前方側のスラット前面21、ロール軸方向の後方側のスラット後面22、及び翼下面側におけるスラット前面とスラット後面との間のフィレット面23を含んでいる。なお、スラット15の詳細な形状については、後述する。
スラット移動機構16は、前方の展開位置と後方の格納位置との間で、スラット15を移動させる。展開位置は、航空機1の離着陸時(低速時)において、スラット15を前方に展開する位置となっている。格納位置は、航空機1の巡航時(高速時)において、スラット15を後方に格納する位置となっている。このため、スラット移動機構16は、航空機1の離着陸時において、スラット15を展開位置に移動させる一方で、航空機1の巡航時において、スラット15を格納位置に移動させる。展開位置に移動したスラット15は、母翼10との間に隙間を形成している。このため、スラット15に当たる気流は、その一部が、スラット前面21から母翼10の翼上面に向かって流れる。また、スラット15に当たる気流は、その他の一部が、スラット前面21からフィレット面23を介してスラット後面22に沿って流れ、スラット15と母翼10との間を流れる。さらに、スラット15に当たる気流は、その他の一部が、スラット前面21から母翼10の翼下面に向かって流れる。一方で、格納位置に移動したスラット15は、母翼10の翼前面25に収められることで、スラット前面21と母翼10の翼上面とが連続する面となる。
ここで、図3を参照して、ピッチ軸方向に直交する面で切った断面におけるスラット15の形状について説明する。従来の一般的なスラットの形状は、図3の点線で示すように、翼下面側における部位が、スラット前面21とスラット後面22とにより形成される角部となっている。このような形状の場合、スラット前面21から角部を介してスラット後面22に沿って流れる気流は、角部において気流のはく離が生じる。このため、スラット後面22において、気流のはく離による乱流が生じ、乱流による圧力変動によって騒音が発生する。このため、本実施形態では、スラット15の翼下面側において、上記のフィレット面23を形成している。ここで、図3に示すように、フィレット面23は、従来のスラットの角部を切り落とすような面となっている。
スラット前面21は、スラット15の前方の外部側に向かって凸となる弓形に湾曲する曲面となっている。スラット前面21は、スラット15の格納時において、その上方側の面が、母翼10の翼上面と連続する面となる。一方で、スラット前面21は、スラット15の格納時において、その下方側の面が、母翼10の翼下面と隙間を挟んで離れた面となる。
スラット後面22は、スラット15の前方の内部側に向かって凹となる弓形に湾曲する曲面となっている。また、スラット後面22は、母翼10の翼前面25と対向する面となっており、母翼10の翼前面25と相補的な形状となる曲面となっている。このため、スラット後面22は、スラット15の格納時において、母翼10の翼前面25との物理的な干渉を回避可能な面となっている。このスラット前面21とスラット後面22とは、スラット15のヨー軸方向の上方側において、不連続な面となっており、鋭角となる角部を形成している。
フィレット面23は、スラット15のヨー軸方向の下方側において、スラット前面21及びスラット後面22にそれぞれ連続する面となっており、スラット15の後方の外部側に向かって凸となる弓形に湾曲する曲面となっている。フィレット面23は、スラット15の格納時において、母翼10の翼前面及び翼下面と隙間を挟んで離れた面となる。
ここで、スラット前面21とフィレット面23との境界は、ヨー軸方向の最下点となっており、フィレット面23とスラット後面22との境界は、変曲点P2となっている。つまり、フィレット面23は、ピッチ軸方向に直交する面で切った断面において、最下点と変曲点P2との間の面となっている。
変曲点P2は、スラット15の外部側に向かって凸となるフィレット面23の曲がる方向から、スラット15の内部側に向かって凹となるスラット後面22の曲がる方向へ変わる点である。このとき、母翼10の前方側の頂点を、すなわち母翼10のロール軸方向における最前点を、P1とすると、変曲点P2は、ヨー軸方向において、頂点P1よりも下方側に位置している。また、変曲点P2は、ロール軸方向において、頂点P1よりも前方側に位置している。
また、ピッチ軸方向に直交する面で切った断面において、フィレット面23に係る曲率半径を、面全体に亘って平均した平均曲率半径をR1とする。同様に、スラット後面22に係る曲率半径を、面全体に亘って平均した平均曲率半径をR2とし、スラット前面21に係る曲率半径を、面全体に亘って平均した平均曲率半径をR3とする。この場合、スラット後面22の平均曲率半径R2は、スラット前面21の平均曲率半径R3に比して小さく、フィレット面23の平均曲率半径R1は、スラット後面22の平均曲率半径R2に比して小さいものとなっている。つまり、スラット前面21、スラット後面22及びフィレット面23は、「R1<R2<R3」の関係となっている。
また、平均曲率半径R1及び平均曲率半径R2を線分に置き換えたときのスラット15の形状について説明する。平均曲率半径R1を線分に置き換えたときの線分の長さを、長さL1とし、平均曲率半径R2を線分に置き換えたときの線分の長さを、長さL2とする。ここで、図4に示すように、ピッチ軸方向に直交する面で切った断面において、スラット15の後方側におけるスラット前面21とスラット後面22とが交わる点を、点p100とし、点p100と変曲点P2とを結ぶ直線(実線)に対して、スラット前面21と交わる点を、点p101とする。また、頂点P1と同じ位置となるスラット前面21の点を、点p102とし、点p100と点p102とを結ぶ直線(点線)に対して、スラット後面22と交わる点を、点p103とする。このとき、上記の長さL1は、点p101と点P2とを結ぶ直線の長さとなっており、上記の長さL2は、点p100と点P2とを結ぶ直線の長さとなっている。また、点p102と点p103とを結ぶ直線の長さを、長さLref1とし、点p100と点p103とを結ぶ直線の長さを、長さLref2とする。この場合、スラット15の形状は、長さL1と長さLref1とが、「L1≦Lref1」の関係となっている。
ここで、長さL1が0の場合には、従来の形状(点線)と同様となり、騒音の低減効果を発揮する長さL1は、「0.1Lref1≦L1」程度であることから、長さL1と長さLref1は、「0.1Lref1≦L1≦Lref1」の範囲がより好ましい。また、長さLref1に対して長さL1が長くなると、格納時において形成されるスラット15と母翼10との隙間が広くなることから、隙間が広くなり過ぎないためには、「L1≦0.5Lref1」がよく、長さL1と長さLref1は、「0.1Lref1≦L1≦0.5Lref1」の範囲がより好ましい。なお、長さL1が決まれば、長さL1に対応する長さL2が決まる。
閉塞部材18は、図1及び図2に示すように、母翼10の翼下面側に設けられ、格納位置に格納されたスラット15と、母翼10との間の隙間を閉塞している。閉塞部材18は、ピッチ軸方向に延在して設けられおり、薄板上に形成されている。閉塞部材18は、スラット15と母翼10との隙間を閉塞することで、スラット15のスラット前面21と母翼10の翼下面とが連続した面となるように、スラット15と母翼10との間の面を形成する。
閉塞部材移動機構19は、前方の閉塞位置と後方の収容位置との間で、閉塞部材18を移動させる。閉塞位置は、航空機1の巡航時(高速時)、つまり、スラット15の格納時において、閉塞部材18を前方に展開する位置となっている。収容位置は、航空機1の離着陸時(低速時)、つまり、スラット15展開時において、閉塞部材18を後方に収容する位置となっている。このため、閉塞部材移動機構19は、航空機1の離着陸時において、閉塞部材18を収容位置に移動させる一方で、航空機1の巡航時において、閉塞部材18を閉塞位置に移動させる。収容位置に移動した閉塞部材18は、スラット15と母翼10との隙間を開放するため、航空機1の離着陸時において、閉塞部材18は、揚力の発生を阻害することがない。閉塞位置に移動した閉塞部材18は、スラット15と母翼10との隙間を閉塞するため、航空機1の巡航時において、スラット15と母翼10との隙間による主翼5への空気抵抗を軽減する。
次に、図4及び図5を参照して、従来のスラット31により発生する騒音と、本実施形態のスラット15により発生する騒音とについて比較する。図4は、従来のスラット31により発生する音量レベルの図であり、図5は、本実施形態のスラット15により発生する音量レベルの図である。図4に示すように、スラット31のスラット後面の後方側では、乱流が発生していることが見てとれ、この乱流は、スラット31と母翼10との隙間を通って、母翼10の翼上面まで続いている。そして、スラット31と母翼10との隙間の上方側に、所定の音量レベルとなる騒音領域が広く形成されている。これに対し、図5に示すように、スラット15のスラット後面22の後方側では、従来に比して乱流が発生しておらず、また、母翼10の翼上面においても、従来に比して乱流が発生していない。このため、母翼10の翼上面において形成される騒音領域が、従来に比して小さいものとなっている。
以上のように、本実施形態によれば、スラット15にフィレット面23を形成することで、スラット前面21からフィレット面23を介してスラット後面22に流れ込む気流を、スラット15からはく離し難くすることができる。このため、気流のはく離によって発生する乱流の形成を抑制することができ、乱流の圧力変動による生じる航空機1の騒音を低減することができる。このとき、スラット後面22とフィレット面23との変曲点P2を、母翼10の前方側の頂点P1よりも、ヨー軸方向の下方側に位置させることで、フィレット面23を、一般的なスラット15の一部を切り落とす面として取り扱うことができる。このため、従来の一般的なスラット31の角部を切り落とした形状にできることから、スラット15の大幅な設計変更を行う必要がない。さらに、スラット後面22は、母翼10と相補的な形状の曲面となっていることから、スラット15の格納時において、母翼10との物理的な干渉を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、平均曲率半径R1を平均曲率半径R2に比して小さくすることで、フィレット面23が形成される部位を、スラット後面22が形成される部位に比して小さいものとすることができる。このため、スラット15の設計変更を軽微なものとしつつ、騒音の低減効果が高いスラット15の形状とすることができる。
また、本実施形態によれば、長さL1と長さLref1とを「L1≦Lref1」の関係とすることで、スラット15の形状を、より最適な形状とすることができるため、騒音をより低減することができる。
また、本実施形態によれば、閉塞部材18を閉塞位置に移動させることで、航空機2の巡航時における翼下面での空気抵抗を抑制することができる。
1 航空機
3 胴体
5 主翼
10 母翼
11 高揚力装置
15 スラット
16 スラット移動機構
17 フラップ
18 閉塞部材
19 閉塞部材移動機構
21 スラット前面
22 スラット後面
23 フィレット面
25 翼前面
31 スラット(従来)
3 胴体
5 主翼
10 母翼
11 高揚力装置
15 スラット
16 スラット移動機構
17 フラップ
18 閉塞部材
19 閉塞部材移動機構
21 スラット前面
22 スラット後面
23 フィレット面
25 翼前面
31 スラット(従来)
Claims (5)
- 航空機の母翼に設けられる高揚力装置において、
前記母翼の前方側に設けられるスラットと、
前記スラットが前方に展開される展開位置と、前記スラットが後方に格納される格納位置との間で、前記スラットを移動させるスラット移動機構と、を備え、
前記スラットは、
前方側の面となるスラット前面と、
前記母翼の前方と対向し、後方側の面となるスラット後面と、
前記母翼の下面側において、前記スラット前面と前記スラット後面との間に亘って形成され、前記スラット前面及び前記スラット後面のそれぞれと連続する面となるフィレット面と、を有し、
前記スラット後面は、前記スラットの内部側に向かって凹となる、前記母翼と相補的な形状の曲面となっており、
前記フィレット面は、前記スラットの外部側に向かって凸となる曲面となっており、
前記スラットを前記航空機のピッチ軸方向に直交する面で切った断面において、前記スラットの格納時における前記スラット後面と前記フィレット面との変曲点は、前記航空機のヨー軸方向において、前記母翼の前方側の頂点よりも下方側に位置していることを特徴とする高揚力装置。 - 前記スラットを前記航空機のピッチ軸方向に直交する面で切った断面において、前記フィレット面に亘る曲率半径を平均した平均曲率半径をR1とし、前記スラット後面に亘る曲率半径を平均した平均曲率半径をR2とすると、
前記平均曲率半径R1は、前記平均曲率半径R2に比して小さいことを特徴とする請求項1に記載の高揚力装置。 - 前記スラットを前記航空機のピッチ軸方向に直交する面で切った断面において、
前記航空機のロール軸方向における前記母翼の前方側の頂点を、頂点P1とし、
前記スラットの格納時における前記スラット後面と前記フィレット面との変曲点を、変曲点P2とし、
前記スラットの後方側における前記スラット前面と前記スラット後面とが交わる点を、点p100とし、
前記点p100と前記変曲点P2とを結ぶ直線に対して、前記スラット前面と交わる点を、点p101とし、
前記航空機のヨー軸方向において前記頂点P1と同じ位置となる前記スラット前面の点を、点p102とし、
前記点p100と前記点p102とを結ぶ直線に対して、前記スラット後面と交わる点を、点p103とし、
前記点p101と前記点P2とを結ぶ直線の長さを、長さL1とし、
前記点p102と前記点p103とを結ぶ直線の長さを、長さLref1とすると、
前記長さL1と前記長さLref1とは、「L1≦Lref1」であることを特徴とする請求項1または2に記載の高揚力装置。 - 前記母翼の下面側に設けられ、前記格納位置に格納された前記スラットと、前記母翼との間の隙間を閉塞する閉塞部材と、
前記スラットの格納時において前記閉塞部材が前記隙間を閉塞する閉塞位置と、前記スラットの展開時において前記閉塞部材が収容される収容位置との間で、前記閉塞部材を移動させる閉塞部材移動機構と、をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の高揚力装置。 - 母翼と、
前記母翼に設けられる請求項1から4のいずれか1項に記載の高揚力装置と、を備えることを特徴とする航空機の翼。
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