JP2019153937A - 通信制御システム及び通信制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ネットワークに輻輳が生じている場合に、より社会の要求に応じた通信を実現すること。【解決手段】複数の機器が接続されるネットワークにおいて通信規制の対象となる機器を所定の第一条件で判定する規制判定部と、前記規制判定部によって通信規制の対象として判定されたとしても、通信規制の対象から外れる権利である臨時優先通信権の割り当て先となる機器を所定の第二条件で決定する臨時優先通信権管理部と、前記機器から前記ネットワークにおける通信の許可を要求された場合に、前記規制判定部によって通信規制の対象と判定されていない機器と、前記臨時優先通信権の割り当て先となった機器と、に対して通信を許可する信号を送信する機器応答部と、を備える通信制御システムである。【選択図】図1

Description

本発明は、ネットワークにおいて輻輳が生じている場合の通信制御技術に関する。
従来から、プロセスの優先度を考慮した輻輳検出及び輻輳制御を行う技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。また、大規模災害発生時に優先的に通話を可能とする優先電話サービスの仕組みなども提案されている。これらの技術によって、優先度を考慮した通信が実現されている。
特開2013−046193号公報
しかしながら、以下のような課題が存在している。
あらゆるモノをネットワークで繋ぐIoTの導入が進み、重要なインフラ(情報通信、金融、航空、鉄道、電力、ガス、政府・行政サービス、医療、水道、物流、化学、クレジット、石油など)の設備や、重要生活機器(自動車、住宅設備、スマートメーターなど)が自営のネットワーク(LANなど)や通信事業者のネットワーク(WANなど)を経由して相互につながっている。さらには、グローバルクラウドサービスを介して国境を越えて様々なモノが無人の状態で自律的に通信を行うようになっている。
そうした中で、膨大な数のセンサーやカメラやコンピューターが通信会社の通信回線に直接又は間接につながり始めている。このような状況では、バーストトラフィックの問題発生の可能性が高まっている。例えば、ソフトウェアのバージョンアップ、広域災害の発生、大規模停電後の電力復旧、サイバー攻撃といった事象がきっかけとなって、センサーやカメラや制御コンピューターやエッジコンピューター等の多種多様な端末から不意にデータが一斉に送信されるなどして、通信会社のネットワークのデータ伝送能力を大きく超えるようなバーストトラフィックが発生する可能性が高まっている。
その際に、従来のように通信を許可するデータの量を通信システムが一律に規制する(あふれたデータを捨てる)などして通信システムを維持することは可能である。しかしながら、その場合には、重要インフラの維持に必要となる重要かつ緊急性の高いデータについても円滑な通信が阻害されてしまい、人々の生活や産業に長期間にわたって深刻な影響が生じてしまう可能性がある。
従来の技術でも、通信を一時的に規制したり、あふれた通信データを廃棄した後に再送したりすることによって一定の対処は可能である。しかし、膨大な数のIoT端末から送信された膨大なデータの中で、社会的に重要度が高いデータ、緊急性が高いデータ、利用ニーズが高いデータを他のデータから区別して再送することは困難である。その結果、全ての回線について一律に通信を規制して優先度の高いデータも一部犠牲にするか、高いコストをかけて予備の冗長通信設備を保有することで全てのデータを伝送できるようにするか、といった選択肢しかなかった。
また、サイバー攻撃により外部から操られてボット化した端末からDDoS攻撃が発生した場合には、中継ネットワーク上で特定のIPアドレスに集中するデータを規制することは可能であるが、無人の状態で設置されているIoT端末側の通信処理を直ちに停止/待機させることは難しい。そのため、アクセス回線に流れ込む多量の通信負荷を抑制することは困難となる可能性がある。
上記事情に鑑み、本発明は、ネットワークに輻輳が生じている場合に、より社会の要求に応じた通信を実現することができる技術の提供を目的としている。
本発明の一態様は、複数の機器が接続されるネットワークにおいて通信規制の対象となる機器を所定の第一条件で判定する規制判定部と、前記規制判定部によって通信規制の対象として判定されたとしても、通信規制の対象から外れる権利である臨時優先通信権の割り当て先となる機器を所定の第二条件で決定する臨時優先通信権管理部と、前記機器から前記ネットワークにおける通信の許可を要求された場合に、前記規制判定部によって通信規制の対象と判定されていない機器と、前記臨時優先通信権の割り当て先となった機器と、に対して通信を許可する信号を送信する機器応答部と、を備える通信制御システムである。
本発明の一態様は、上記の通信制御システムであって、前記第二条件は、オークションにかけられた前記臨時優先通信権が落札されたことを含む条件であり、前記臨時優先通信権のオークションを行うオークション制御部をさらに備える。
本発明の一態様は、上記の通信制御システムであって、前記第二条件は、前記機器又は前記機器に関連する他の情報処理装置に対して行われた投票の結果を含む条件であり、前記前記機器又は前記機器に関連する他の情報処理装置に対して行われる電子的な投票を制御する電子投票制御部をさらに備える。
本発明の一態様は、上記の通信制御システムであって、前記第二条件は、前記機器に関連する他の情報処理装置に関連する通信ログの解析結果を含む条件であり、前記機器に関連する他の情報処理装置に関連する通信ログを解析するログ解析部をさらに備える。
本発明の一態様は、複数の機器が接続されるネットワークにおいて通信規制の対象となる機器を所定の第一条件で判定する規制判定ステップと、前記規制判定部によって通信規制の対象として判定されたとしても、通信規制の対象から外れる権利である臨時優先通信権の割り当て先となる機器を所定の第二条件で決定する臨時優先通信権管理ステップと、前記機器から前記ネットワークにおける通信の許可を要求された場合に、前記規制判定ステップにおいて通信規制の対象と判定されていない機器と、前記臨時優先通信権の割り当て先となった機器と、に対して通信を許可する信号を送信する機器応答ステップと、を有する通信制御方法である。
本発明により、ネットワークに輻輳が生じている場合に、より社会の要求に応じた通信を実現することが可能となる。
本発明の通信システム100のシステム構成を示す概略ブロック図である。 機器10の機能構成例を示す概略ブロック図である。 通信制御装置20の機能構成例を示す概略ブロック図である。 優先情報テーブルの具体例を示す図である。 機器登録時の通信システム100の動作の流れの例を示すシーケンスチャートである。 輻輳発生時の通信システム100の動作の流れの例を示すシーケンスチャートである。 機器10が通信を行う際の通信システム100の動作の流れの例を示すシーケンスチャートである。 オークションが実施される場合の通信システム100の動作の流れの例を示すシーケンスチャートである。 オークションが実施される場合の通信システム100の動作の流れの例を示すシーケンスチャートである。 電子投票が実施される場合の通信システム100の動作の流れの例を示すシーケンスチャートである。 サーバー30へのアクセス数に応じて臨時優先通信権の割り当て先が決定される場合の通信システム100の動作の流れの例を示すシーケンスチャートである。
(概略)
以下、本発明の具体的な構成例について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の通信システム100のシステム構成を示す概略ブロック図である。通信システム100は、複数の機器10、通信制御装置20、サーバー30、クライアント40及びログ記録装置50を備える。各装置は、ネットワーク60を介して通信を行うことによってデータを送受信する。各装置がネットワーク60に接続するための通信は、無線通信であってもよいし有線通信であってもよい。ネットワーク60は、無線通信を用いたネットワークであってもよいし、有線通信を用いたネットワークであってもよい。ネットワーク60は、複数のネットワークが組み合わされて構成されてもよい。
通信システム100に接続される機器10毎に通信優先度が設定される。通信優先度は、ネットワーク60における通信が規制される場合に、優先的に規制の対象外となる度合いを示す。ある通信優先度の機器10の通信が規制される場合、その通信優先度よりも低い全ての通信が規制される。そのため、通信優先度の値が高いほど、規制の対象にはなりにくい。通信優先度は、例えばネットワーク60を提供する通信会社と機器10を設置する個人又は法人との間の契約において決定されてもよい。通信優先度は、例えばネットワーク60を提供する通信会社と機器10によって送信されるデータを利用する個人又は法人との間の契約において決定されてもよい。設定された通信優先度の値は、機器10や通信制御装置20において共有される。
通信優先度とは異なる概念として、臨時優先通信権がある。臨時優先通信権が割り当てられた機器10は、たとえ通信優先度に基づいた判断が規制の対象に当たったとしても、通信規制の対象外として扱われる可能性が生じる。以下の説明では、割り当てられることによって通信規制の対象外として確定的に扱われる権利を例に説明する。ただし、異なる態様として、臨時優先通信権は通信優先度の値を変更するのみであって、割り当てられたとしても確定的に通信規制の対象外として扱われるわけではないような権利として構成されてもよい。このような態様については変形例において説明する。
臨時優先通信権が割り当てられる機器10は、機器10から送信されるデータの利用者、機器10へ送信されるデータの利用者、機器10の利用者(以下これらの利用者をまとめて「通信利用者」という。)による要求に応じて動的に変更される。このような構成により、ネットワーク60における通信設備の容量と、通信利用者のニーズとのバランスをとることができる。その結果、ネットワークに輻輳が生じている場合であっても、より社会の要求に応じた通信を実現することが可能となる。
本発明の通信システム100では、以下の4つの手段に基づいて通信規制の対象となる機器10が決定される。
1.予め定められている通信優先度に基づいて決定
2.オークション形式で臨時優先通信権を売買することで決定
3.投票によって臨時優先通信権を社会的ニーズに応じて割り当てることで決定
4.機器10のデータを利活用するサーバーへのアクセス数に応じて臨時優先通信権を割り当てることで決定
このような4つの手段によって通信規制の対象となる機器10が決定されることによって、受益者負担という経済的原則と、公共の福祉という倫理的原則とを両立して、限られた通信リソースをより大きい費用対効果で活用することが可能となる。こうした仕組みにより、人命や産業の維持にかかわる社会的に重要なデータの通信を、過剰な予備設備を設けること無く維持することが可能となる。また、事故や災害やシステム不具合やサイバー攻撃(例えばDDoS攻撃)等による通信の障害がもたらす国際社会の混乱や経済的被害を最小限に抑制し、平和で安定した持続可能な社会の実現に寄与することができる。
(詳細)
以下、通信システム100の詳細について説明する。
図2は、機器10の機能構成例を示す概略ブロック図である。機器10は、ネットワーク60を経由してデータを送信する装置である。機器10は、例えばIoTで用いられる端末装置であってもよい。より具体的には、機器10は各種のセンサーのように情報を示す信号を生成する入力機器である。機器10は、通信部11、機器ID記憶部12、優先情報レコード記憶部13、規制情報記憶部14、情報取得部15及び制御部16を備える。
通信部11は、通信インターフェースを用いて構成される。通信部11は、無線通信又は有線通信を行うことによってネットワーク60に接続する。
機器ID記憶部12は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。機器ID記憶部12は、自装置に割り当てられた機器IDを記憶する。機器IDは、機器10を一意に示す識別情報である。
優先情報レコード記憶部13は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。優先情報レコード記憶部13は、自装置に関する優先情報レコードを記憶する。優先情報レコードは、各機器10に対して割り当てられた通信優先度の値を含む情報である。
規制情報記憶部14は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。規制情報記憶部14は、自装置に関する規制情報を記憶する。規制情報は、ネットワーク60を介した通信の規制対象となっているか否かを表す情報である。
情報取得部15は、センサー等の機器を用いて構成される。情報取得部15は、例えば気温センサーを用いて構成された場合には、周囲の環境における気温を示す情報を取得する。情報取得部15は、取得された情報を制御部16に出力する。
制御部16は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサやメモリを用いて構成される。制御部16は、プログラムを実行することによって、通信要求部161、臨時優先通信権制御部162、通信制御部163として機能する。
通信要求部161は、通信制御装置20に対して、通信を行うことの許可を要求する。通信要求部161は、所定のプロトコルに応じた要求データを送信することによって要求を行う。要求データには、要求元の機器10を示す情報として、例えば機器10を示す機器IDが含まれる。要求データの送信は、ネットワーク60を介したデータの送信処理を開始するタイミングで行われてもよいし、周期的に行われてもよい。通信要求部161は、要求データに対する応答として判定結果を通信制御装置20から受信する。判定結果には、自装置(機器10)がネットワーク60を介した通信の実行を許可されたか否かを示す情報が含まれる。通信要求部161は、判定結果を受信すると、判定結果を示す情報を規制情報記憶部14に登録する。
臨時優先通信権制御部162は、臨時優先通信権に関する処理を実行する。臨時優先通信権制御部162は、例えば通信制御装置20から臨時優先通信権のオークションの開催通知を受信すると、予め自装置に設定されている応札条件に基づいて応札処理を実行する。臨時優先通信権制御部162は、応札によって臨時優先通信権が自装置に割り当てられると、臨時優先通信権が割り当てられたことと、その条件とを受信する。条件とは、例えば臨時優先通信権が割り当てられる期間、臨時優先通信権の割り当てによって許可される通信の帯域や総データ量や地域などである。臨時優先通信権制御部162は、通知された条件を規制情報記憶部14に登録する。
通信制御部163は、情報取得部15によって取得された情報を含む通信データを生成する。通信制御部163は、生成された通信データを、所定の通信方式でネットワーク60に送信する。通信制御部163は、予め定められた1又は複数の宛先に対して通信データを送信してもよい。
図3は、通信制御装置20の機能構成例を示す概略ブロック図である。通信制御装置20は、ネットワーク60における通信を制御する。通信制御装置20は、例えばネットワーク60に接続されたサーバー等の情報処理装置を用いて構成される。通信制御装置20は、通信部21、優先情報記憶部22、学習結果情報記憶部23、規制情報記憶部24、オークション情報記憶部25、臨時優先通信権情報記憶部26、投票情報記憶部27及び制御部28を備える。
通信部21は、通信インターフェースを用いて構成される。通信部21は、無線通信又は有線通信を行うことによってネットワーク60に接続する。
優先情報記憶部22は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。優先情報記憶部22は、優先情報テーブルを記憶する。図4は、優先情報テーブルの具体例を示す図である。優先情報テーブルは、複数の優先情報レコード91を有する。優先情報レコード91は、機器ID毎に、管理者ID、管理者属性、用途情報、地域情報及び通信優先度の各値を有する。機器IDは、機器10の識別情報である。管理者IDは、機器10を管理する者(以下「管理者」という。)の識別情報である。管理者は、例えば機器10をネットワーク60に接続される装置として設置する者である。管理者は、例えばネットワーク60を提供する通信会社と契約することで機器10をネットワーク60に接続する者であってもよい。管理者は、前述の通信利用者であってもよい。管理者属性は、機器10の管理者の属性を示す情報である。管理者属性は、例えば行政機関、警察、消防、病院、企業、個人のような値であってもよい。用途情報は、機器10によって送信されるデータの用途を示す情報である。用途情報は、例えば防災無線、震度観測、災害監視、防犯のような値であってもよい。地域情報は、機器10が設置される場所を示す情報である。地域情報は、例えば行政区画名の値であってもよい。地域情報は、人の手によって与えられてもよいし、機器10に設けられた位置検出装置によって自動的に与えられてもよい。位置検出装置は、例えばGPSを用いて実現されてもよいし、通信基地局との通信によって位置を検出する技術を用いて実現されてもよい。通信優先度は、管理者の契約などに基づいて与えられる値である。通信優先度は、例えば管理者属性に応じて定まる範囲の中で管理者によって選択されてもよい。
学習結果情報記憶部23は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。学習結果情報記憶部23は、過去に通信規制が行われた際に得られた情報に基づいて機械学習を実行することによって得られる学習結果を記憶する。例えば、過去に発生した輻輳の状況(例えば輻輳の発生箇所や輻輳度)と、それに対して実施された通信規制の内容(規制条件)と、その通信規制の実施による輻輳緩和の実際の効果(効果の有無、輻輳が緩和されるまでに要した時間、など)と、に基づいた機械学習が予め実施される。学習結果情報記憶部23は、このような機械学習の学習結果を示す情報(以下「学習結果情報」という。)を記憶する。
なお、学習結果情報記憶部23が記憶する学習結果を得るための学習処理は、どのような装置によって実施されてもよい。例えば、通信制御装置20の制御部が機械学習処理を実行してもよい。例えば、通信制御装置20と通信可能に接続される他の情報処理装置が機械学習処理を実行してもよい。機械学習技術の具体例として、SVM(Support Vector Machine)やDL(Deep Learning)がある。
学習結果情報記憶部23が記憶する学習結果情報は、臨時優先通信権が発行された過去の輻輳の状況と、規制条件と実際の効果とに基づいて得られた学習結果(以下「特例学習結果」という。)を含む。特例学習結果を得る学習処理では、臨時優先通信権として認められた通信の通信データ量、臨時優先通信権の有効期間、臨時優先通信権が割り当てられた機器10の管理者属性、用途情報、地域情報、通信優先度、通信方向(上り又は下り)又は通信データ量のような情報も学習用データとして使用される。
規制情報記憶部24は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。ネットワーク60の通信に対して実施される規制の内容(規制条件)を示す規制情報を記憶する。規制条件の具体的な値の例として、規制の対象となる機器10の個別の機器ID、規制の対象となる管理者属性、規制の対象となる用途属性、規制の対象となる地域、規制の対象となる通信方向(上り又は下り)、規制の対象となる通信の通信優先度がある。
オークション情報記憶部25は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。オークション情報記憶部25は、臨時優先通信権のオークションに関する情報を記憶する。オークションに関する情報とは、例えばオークションの対象となっている臨時優先通信権の条件(例えば割り当ての対象となる機器ID、管理者ID、管理者属性、用途属性、地域情報、通信優先度に関する条件)、オークションが開催される期間、オークションの最低落札価格等の情報が含まれる。
臨時優先通信権情報記憶部26は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。臨時優先通信権情報記憶部26は、臨時優先通信権が割り当てられることに決まった機器10の機器IDを記憶する。
制御部28は、CPU等のプロセッサやメモリを用いて構成される。制御部28は、プログラムを実行することによって、輻輳監視部281、規制判定部282、機器応答部283、臨時優先通信権管理部284、オークション制御部285、電子投票制御部286及びログ解析部287として機能する。
輻輳監視部281は、ネットワーク60の通信を監視し、ネットワーク60における輻輳の度合いを示す値(以下「輻輳度」という。)を取得する。輻輳度の値は、どのような基準に基づいて得られた値であってもよい。例えば、輻輳度の値は、ネットワーク60を介した通信サービスを提供する通信会社の設備全体の平均値に基づいて取得されてもよい。例えば、輻輳度の値は、特定の設備、特定の地域、特定の回線種別などに細分化して算出されてもよい。輻輳監視部281は、輻輳度の値や変化が輻輳条件を満たすと、輻輳条件が満たされたことを規制判定部282に通知する。輻輳条件は、ネットワーク60において輻輳が生じていることを示す条件である。例えば、輻輳度の値が所定の閾値を超えることが輻輳条件であってもよいし、輻輳度の値が急激に大きくなったことが輻輳条件であってもよい。輻輳監視部281は、ネットワーク60において発生していた輻輳が解消したことを示す解消条件が満たされると、解消条件が満たされたことを規制判定部282に通知する。例えば、輻輳度の値が所定の閾値を下回ることが解消条件であってもよい。輻輳監視部281は、ネットワーク60において発生していた輻輳が解消していない又は悪化したことを示す悪化条件が満たされると、悪化条件が満たされたことを規制判定部282に通知する。例えば、通信規制が開始されてから経過した時間が所定の時間を超えたことや、輻輳度の値が所定の閾値を上回ったことが悪化条件であってもよい。
規制判定部282は、輻輳監視部281によって判定された輻輳度の値と、学習結果情報記憶部23に記憶されている学習結果情報と、に基づいて、ネットワーク60において実施されるべき規制条件を判定する。規制判定部282が判定する規制条件は、その規制条件による規制が実施されることによって、輻輳度がより早いタイミングで正常の範囲内になることが期待される規制条件である。規制判定部282は、判定結果である規制条件(第一条件)に適合する機器10を判定する。規制判定部282は、規制条件に適合する機器10の機器IDを規制情報記憶部24に登録する。規制判定部282は、輻輳監視部281から輻輳が解消したことの通知を受けると、規制情報記憶部24に登録されていた機器IDを削除する。
規制判定部282は、臨時優先通信権を発行する条件(以下「臨時発行条件」という。)が満たされたか否か判定する。臨時発行条件はどのように設定されてもよい。例えば、学習結果情報を用いた規制判定部282による判定のみでは適切な規制条件を判定できない場合に、臨時発行条件が満たされたと判定されてもよい。より具体的には以下の通りである。例えば、規制判定部282による判定結果で規制の対象となる機器10が大部分に及んでしまったために、規制後の輻輳度の値が所定の閾値よりも下がってしまうという予測がなされた場合(例えばシミュレーションの結果がこのような状態となった場合)、臨時発行条件が満たされたと判定されてもよい。例えば、通信制御装置20の管理者がオークション開催を指示した場合や、電子投票開催を指示した場合に、臨時発行条件が満たされたと判定されてもよい。例えば、通信規制が行われる場合には常に臨時発行条件が満たされたと判定されてもよい。
規制判定部282は、臨時発行条件が満たされると、特例学習結果を用いて規制条件と臨時優先通信権の発行に関する条件(以下「特例条件」という。)と、を判定する。特例条件とは、例えば臨時優先通信権の発行量、臨時優先通信権の有効期間、臨時優先通信権の発行対象となる管理者属性、用途情報、地域情報、通信優先度又は通信方向である。規制判定部282は、判定された特例条件を臨時優先通信権管理部284に通知する。規制判定部282は、特例条件の一項目として、発行された臨時優先通信権の割当先をどのような手段によって決定することが望ましいかについても判定してもよい。割当先を決定する条件(第二条件)として、オークション、電子投票、アクセス数、がある。臨時優先通信権の割当先を決定する条件は、複数並行して用いられてもよい。例えば、電子投票及びアクセス数による決定が同時に行われてもよい。また、臨時優先通信権の割当先を決定する条件は、必ずしも規制判定部282によって決定される必要は無い。例えば、通信制御装置20の管理者によって決定されてもよいし、他の機能部によって決定されてもよい。
機器応答部283は、機器10との間でデータの送受信を行う。具体的には以下の通りである。機器応答部283は、機器10から要求データを受信すると、受信された要求データに基づいて、機器10が規制対象となっているか否か判定する。例えば、機器応答部283は、要求データに含まれる機器IDが、規制情報記憶部24に登録されているか否かに基づいて、要求データの送信元である機器10が規制対象となっているか否か判定する。機器応答部283は、要求データの送信元である機器10が規制対象となっていない場合には、通信の許可を示す許可データを機器10に送信する。一方、要求データの送信元である機器10が規制対象となっている場合には、機器応答部283は、通信を許可しないことを示す不許可データを機器10に送信する。
機器応答部283は、不許可データを送信する場合には、機器10に対する規制が解除されるタイミングを示す情報を送信してもよい。例えば、“n分後まで上り通信禁止”、“x時y分まで下り通信禁止”のように解除のタイミングが通知されてもよい。このように規制が解除されるタイミングが送信されることによって、無駄に要求データが送信されてしまうことを防止できる。このような規制が解除されるタイミングは、規制判定部282によって判定される。
機器応答部283は、不許可データを送信する場合には、機器10に対する例外規制条件を示す情報を送信してもよい。例外規制条件は、一定の条件のもとで通信が許可されることを示す。例えば、“上り通信速度規制 通信速度m(kbps)以下”、“送信間隔z秒以上”のように、制限下において許可される通信の条件が示されてもよい。このような例外規制条件は、規制判定部282によって判定される。この場合、機器10は、提示された条件の範囲内で通信を実行してもよい。
臨時優先通信権管理部284は、臨時発行条件が満たされた場合、規制判定部282によって判定された特例条件に基づいて、臨時優先通信権の発行に関する情報を決定する。例えば、臨時優先通信権管理部284は、オークションに関する情報を決定してもよいし、電子投票に関する情報を決定してもよい。臨時優先通信権管理部284は、オークションや電子投票によって臨時優先通信権の割り当て先となる機器10が決定すると、割り当て先となった機器10の機器IDを臨時優先通信権情報記憶部26に登録する。臨時優先通信権管理部284は、割り当てられた臨時優先通信権の有効期間が終了すると、終了した臨時優先通信権が割り当てられていた各機器10の機器IDを臨時優先通信権情報記憶部26から削除する。
オークション制御部285は、臨時優先通信権のオークションに関する処理を行う。規制判定部282によって、オークションの対象となる臨時優先通信権の条件が判定されると、オークション制御部285は判定された条件における臨時優先通信権についてオークションを実施する。オークション制御部285は、オークションによって臨時優先通信権が落札されると、臨時優先通信権の所有者に対してオークションの結果に応じた課金を実施する。
電子投票制御部286は、臨時優先通信権の電子投票に関する処理を行う。規制判定部282によって、電子投票の対象となる臨時優先通信権の条件が判定されると、電子投票制御部286は判定された条件における臨時優先通信権について電子投票の受付を開始する。投票データには、投票先となる機器10を示す機器IDが含まれる。電子投票の受付期間において投票データを受信すると、電子投票制御部286は受信された投票データに含まれる機器IDを投票情報記憶部27に記録する。電子投票の投票期間が終了すると、電子投票制御部286は集計を行うことで臨時優先通信権の割り当て先を決定する。電子投票制御部286は、単純に投票数が多かった順に割り当て先となる機器10を決定してもよい。電子投票制御部286は、機器ID毎に予め定められた重みを投票数に乗じて集計を行ってもよい。このような重みは、機器ID毎に限定される必要は無い。例えば、管理者ID毎に重みが定められてもよいし、管理者属性毎に重みが定められてもよいし、用途属性毎に重みが定められてもよいし、地域情報毎に重みが定められてもよい。
ログ解析部287は、機器IDの送信データを利用する装置に関連する通信のログを解析する。本実施形態では、機器IDの送信データを利用する装置の具体例としてサーバー30がある。例えば、サーバー30が地域毎の雨量を示す画像を提供する装置であって、機器10が各地域における雨量を測定するセンサーであってもよい。ログ解析部287は、ログ解析によって複数のサーバー30のうちユーザーによって多く利用されているサーバー30を判定する。ログ解析部287は、判定結果に基づいて、臨時優先通信権の割り当て先を決定する。
以下、通信システム100の動作について、各場面に分けて説明する。
[機器登録]
図5は、機器登録時の通信システム100の動作の流れの例を示すシーケンスチャートである。まず、通信システム100において新たに使用される機器10において、機器10の管理者は、機器IDを登録する(ステップS101)。登録された機器IDは、機器ID記憶部12に登録される。
通信制御装置20の管理者は、同じ機器IDを含む優先情報レコードを、通信制御装置20の優先情報記憶部22の優先情報テーブルに登録する(ステップS102)。優先情報テーブルに登録された後に機器10がネットワーク60に最初に接続されると、機器10は自装置の機器IDを通信制御装置20に送信する。通信制御装置20は、新たに登録された優先情報レコードの情報を、新たに接続された機器10に対し所定の通信プロトコルで送信する(ステップS103)。機器10は、優先情報レコードを受信すると、受信された優先情報レコードを、利用者(例えば管理者)が書き換え不可能な記憶領域(例えば優先情報レコード記憶部13)に記録する(ステップS104)。以上で機器登録時の処理が終了する。なお、通信制御装置20は、各機器10について初めてネットワーク60に接続された機器10であるか否かをどのように判定してもよい。例えば、優先情報記憶部22の優先情報レコードは、その機器IDが示す機器10がネットワーク60に接続されたことがあるか否かを示す値をさらに有してもよい。この場合、通信制御装置20の制御部28は、ネットワーク60を介して送信されてきた機器IDに対応する優先情報レコードを参照することによって、初めてネットワーク60に接続された機器10であるか否かを判定できる。
[輻輳発生時]
図6は、輻輳発生時の通信システム100の動作の流れの例を示すシーケンスチャートである。通信制御装置20の輻輳監視部281は、ネットワーク60における輻輳度を取得する。輻輳監視部281は、取得された輻輳度に基づいて、輻輳条件が満たされたか否か判定する。輻輳条件が満たされた場合(ステップS201−YES)、輻輳監視部281は、輻輳条件が満たされたことを規制判定部282に通知する。このとき、輻輳監視部281は、現在の輻輳度の値を規制判定部282に出力する(ステップS202)。この後、輻輳監視部281は、輻輳度の値を所定のタイミングで規制判定部282に出力する。所定のタイミングとは、所定の周期であってもよいし、所定のイベント(例えば輻輳度の大きな変化)が生じたタイミングであってもよい。
規制判定部282は、輻輳条件が満たされたことを通知されると、学習結果情報記憶部23に記憶されている学習結果と、現在の輻輳度の値と、に基づいて規制条件を判定する(ステップS203)。規制判定部282は、判定結果を示す規制条件に該当する機器10の機器IDを、規制情報記憶部24に登録する(ステップS204)。
輻輳が発生した後も、輻輳監視部281はネットワーク60における輻輳の監視を継続する。輻輳監視部281は、最新の通信の状態が所定の悪化条件を満たしたか否か判定する。悪化条件とは、輻輳が発生したと判定された後に輻輳が軽減していない又はさらに輻輳が悪化したことを示す条件である。悪化条件は、例えば前回の規制条件の判定から所定の時間が経過したことであってもよいし、以前輻輳度の値が所定の閾値を超えて悪化していることであってもよいし、ネットワーク60において発生している遅延時間やパケット損失率の値が所定の条件を満たしたことであってもよい。
悪化条件が満たされた場合(ステップS205−YES)、輻輳監視部281は、最新の輻輳度の値を規制判定部282に通知する(ステップS206)。規制判定部282は、最新の輻輳度の値に基づいて規制条件を判定する(ステップS207)。ステップS207における判定処理では、ステップS203における判定処理と異なる判定が行われてもよい。例えば、使用される学習結果が、悪化条件を満たした場合のデータを用いて得られた学習結果であってもよい。規制判定部282は、判定結果を示す規制条件に該当する機器10の機器IDを、規制情報記憶部24に登録する(ステップS208)。
[機器の通信]
図7は、機器10が通信を行う際の通信システム100の動作の流れの例を示すシーケンスチャートである。機器10の通信要求部は、所定のタイミングで(ステップS301−YES)、ネットワーク60を介して通信制御装置20に要求データを送信する(ステップ302)。機器応答部283は、要求データが受信されると、要求データに含まれる機器IDと規制情報記憶部24に記憶されている機器IDとに基づいて、要求データの送信元である機器10が規制対象となっているか否か判定する(ステップS303)。機器応答部283は、判定結果を示すデータを機器10に送信する(ステップS304)。
機器10は、判定結果を示すデータを受信すると、判定結果を示す情報を規制情報記憶部14に登録する(ステップS305)。機器10の通信制御部163は、判定結果に応じて動作する。判定結果として許可データが規制情報記憶部14に登録されている場合には、機器10の通信制御部163はネットワーク60を介した通信を行う。判定結果として不許可データが規制情報記憶部14に登録されている場合には、通信制御部163は規制が解除されるまでネットワーク60を介した通信を行わない。規制が解除されるタイミングが通知された場合には、通信制御部163は、解除されるタイミングまでネットワーク60を介した通信を待機する。そして、解除されるタイミングが経過すると、通信要求部161は改めて要求データを通信制御装置20に送信する。
[オークション]
図8及び9は、オークションが実施される場合の通信システム100の動作の流れの例を示すシーケンスチャートである。臨時優先通信権を発行することが決まると(ステップS401−YES)、規制判定部282は、特例学習結果を用いて規制条件と特例条件とを判定する(ステップS402)。臨時優先通信権管理部284は、規制判定部282によって判定された特例条件に基づいて、臨時優先通信権のオークションに関する情報を決定する(ステップS403)。臨時優先通信権管理部284は、決定された情報をオークション情報記憶部25に登録する(ステップS404)。
オークション制御部285は、オークション情報記憶部25に登録されている情報に基づいてオークションを開始する。具体的には、オークション制御部285は、オークションの開始を所定の方法で各機器10や各管理者に対して通知する(ステップS405)。
機器10の臨時優先通信権制御部162は、オークションの開始の通知を受信すると、規制情報記憶部14を参照して自装置が規制の対象となっているか否か判定する(ステップS406)。自装置が規制の対象となっていない場合(ステップS406−NO)、臨時優先通信権制御部162は特に処理を実行しない。一方、自装置が規制の対象となっている場合(ステップS406−YES)、臨時優先通信権制御部162は、通信制御装置20に対して現在の落札可能な価格と、オークションの対象となっている臨時優先通信権の条件とを問い合わせる(ステップS407)。通信制御装置20のオークション制御部285は、問い合せを受けた時点の落札可能な価格と、オークションの対象となっている臨時優先通信権の条件と、を問い合わせ元の機器10に対して送信する(ステップS408)。臨時優先通信権制御部162は、通知された落札可能な価格及び臨時優先通信権の条件と、自装置において予め設定されている応札条件とを比較する。応札条件が満たされていない場合(ステップS409−NO)、臨時優先通信権制御部162は応札を行わずに処理を終える。一方、応札条件が満たされている場合(ステップS409−YES)、臨時優先通信権制御部162は、応札することを示す情報(応札情報)を通信制御装置20に送信する(ステップS410)。応札情報には、機器10の機器IDが含まれる。応札情報には、さらに機器10において希望される価格、通信の時間帯、通信データ量、保証を望む通信速度等の情報が含まれてもよい。
通信制御装置20のオークション制御部285は、複数の機器10から送信される応札情報を受信し、受信された応札情報に基づいてオークションに関する制御を行う。例えば、オークション制御部285は、所定のタイミングで、その時点までに受信された最新の応札情報を各機器10に対して通知することによって再度の応札を促してもよい。このような処理は、オークションが開催される期間にわたって繰り返し実行される。オークションが開催される期間が終了すると、オークション制御部285は、その時点までに受信された応札情報に基づいて、臨時優先通信権の割り当て対象となる機器10を決定する(ステップS411)。例えば、臨時優先通信権の発行対象となっている各時間帯の通信帯域が満たされるまで、高い価格の応札条件から順に割当先を決定していってもよい。
オークション制御部285は、臨時優先通信権が割り当てられることに決まった機器10の機器IDを臨時優先通信権管理部284に通知する。臨時優先通信権管理部284は、通知された機器IDを臨時優先通信権情報記憶部26に登録する(ステップS412)。また、臨時優先通信権管理部284は、臨時優先通信権が割り当てられることに決まった機器10に対し、臨時優先通信権が割り当てられたことと、その条件とを通知する(ステップS413)。条件とは、例えば臨時優先通信権が割り当てられる期間、臨時優先通信権の割り当てによって許可される通信の帯域や総データ量や地域などである。機器10の臨時優先通信権制御部162は、通知された条件を規制情報記憶部14に登録する。
その後、機器応答部283は、機器10から要求データを受信すると、規制対象判定処理において、規制情報記憶部24に加えてさらに臨時優先通信権情報記憶部26を参照する。要求データの送信元が規制情報記憶部24に規制対象として登録されている機器10であったとしても、臨時優先通信権情報記憶部26に登録されている機器10であれば、機器応答部283は、判定結果として通信の許可を示す許可データを機器10に送信する。
[電子投票]
図10は、電子投票が実施される場合の通信システム100の動作の流れの例を示すシーケンスチャートである。臨時優先通信権を発行することが決まると、規制判定部282は、特例学習結果を用いて規制条件と特例条件とを判定する。臨時優先通信権管理部284は、規制判定部282によって判定された特例条件に基づいて、臨時優先通信権の電子投票に関する情報を決定する。臨時優先通信権管理部284は、決定された情報を投票情報記憶部27に登録する。ここまでの処理は、オークションに関する図8のステップS401〜S404と同様であるため、図示を省略する。
機器10から送信されるデータを利用する装置は、その機器10が通信規制の対象となってしまうと、機器10と通信できないことを検知する(ステップS501)。図10では、機器10から送信されるデータを利用する装置の具体例としてサーバー30を示しているが、サーバー30に限定される必要は無くどのような機器であってもよい。サーバー30は、不通を検知すると、通信制御装置20に対して、自装置が通信している機器10について規制の対象となったのか問合せを行う(ステップS502)。通信制御装置20の電子投票制御部286は、規制情報記憶部24を参照して、規制の有無を応答する(ステップS503)。
サーバー30は、自装置が通信している機器10が規制の対象となっている場合、予め定められた投票画面のデータをクライアント40に送信する(ステップS504)。クライアント40は、サーバー30を利用するユーザーによって使用される情報処理装置である。クライアント40は、サーバー30から投票画面のデータを受信すると、受信されたデータにしたがって投票画面を画像表示装置に表示する(ステップS505)。投票画面には、サーバー30において機器10のデータが受信されることを望むか否か判断を促す画像や文字が表示される。また、投票画面には、サーバー30において機器10のデータが受信されることを望むことを示すための投票ボタンが表示される。
クライアント40のユーザーは、投票画面を参照し、サーバー30において機器10のデータが受信されることを望むか否か判断する。ユーザーは、望むと判断した場合、投票ボタンを操作する。投票ボタンが操作されることに応じて、投票ボタンが操作されたことを示す投票データが通信制御装置20へ送信される(ステップS506)。投票データの送信は、クライアントが実行してもよいし、サーバーが実行してもよい。投票データには、投票の対象となった機器10の機器IDが含まれる。例えば、投票画面のデータに、投票ボタンが操作された場合に実行される動作を示すプログラムが含まれていてもよい。そのプログラムに、投票先となる機器IDや通信制御装置20のIPアドレスが含まれていてもよい。
通信制御装置20の電子投票制御部286は、投票データが受信されると、受信された投票データに含まれている機器IDを投票情報記憶部27に記録する(ステップS507)。電子投票制御部286は、予め定められた投票期間が終了すると、投票期間中に受信された投票データに基づいて集計を行う(ステップS508)。電子投票制御部286は、集計結果に基づいて、臨時優先通信権の割り当て先となる機器10を決定する(ステップS509)。電子投票制御部286は、臨時優先通信権が割り当てられることに決まった機器10の機器IDを臨時優先通信権管理部284に通知する。臨時優先通信権管理部284は、通知された機器IDを臨時優先通信権情報記憶部26に登録する(ステップS510)。また、臨時優先通信権管理部284は、臨時優先通信権が割り当てられることに決まった機器10に対し、臨時優先通信権が割り当てられたことと、その条件とを通知する。条件とは、例えば臨時優先通信権が割り当てられる期間、臨時優先通信権の割り当てによって許可される通信の帯域や総データ量や地域などである。機器10の臨時優先通信権制御部162は、通知された条件を規制情報記憶部14に登録する。
また、電子投票制御部286は、電子投票の結果をサーバー30に通知する(ステップS511)。サーバー30は、電子投票の結果を受信すると、電子投票の結果を示す投票結果通知画面を生成する(ステップS512)。クライアント40がサーバー30にアクセスすると、投票結果通知画面がクライアント40に対して送信されてもよい。
その後、機器応答部283は、機器10から要求データを受信すると、規制対象判定処理において、規制情報記憶部24に加えてさらに臨時優先通信権情報記憶部26を参照する。要求データの送信元が規制情報記憶部24に規制対象として登録されている機器10であったとしても、臨時優先通信権情報記憶部26に登録されている機器10であれば、機器応答部283は、判定結果として通信の許可を示す許可データを機器10に送信する。
[ログ解析]
図11は、サーバー30へのアクセス数に応じて臨時優先通信権の割り当て先が決定される場合の通信システム100の動作の流れの例を示すシーケンスチャートである。臨時優先通信権を発行することが決まると、規制判定部282は、特例学習結果を用いて規制条件と特例条件とを判定する。臨時優先通信権管理部284は、規制判定部282によって判定された特例条件に基づいて、臨時優先通信権のログ解析に関する情報を決定する。臨時優先通信権管理部284は、決定された情報を臨時優先通信権情報記憶部26に登録する。ここまでの処理は、オークションに関する図8のステップS401〜S404と同様であるため、図示を省略する。
ログ解析部287はログ記録装置50と通信する。ログ記録装置50は、各サーバー30に関する通信のログを記録する(ステップS601)。ログ解析部287は、所定の期間における各サーバー30に関する通信のログをログ記録装置50から取得する(ステップS602)。ログ解析部287は、取得されたログの情報に基づいてログを解析する(ステップS603)。ログの解析は、例えば各サーバー30に対するアクセス数の集計であってもよいし、サーバー30のIPアドレスが検索結果として得られるような検索の実施回数であってもよいし、サーバー30にアクセスしたユニークユーザー数の取得であってもよい。
ログ解析部287は、解析結果に基づいて、各サーバー30における重要度を決定する(ステップS604)。例えば、アクセス数に対して第一の重みを乗じた値と、ユニークユーザー数に対して第二の重みを乗じた値と、に対して、各サーバー30の属性によって予め定められる第三の重みを乗じた値が重要度の値として用いられてもよい。ログ解析部287は、各サーバー30の重要度に基づいて、各サーバー30が通信する機器10の重要度を決定する(ステップS605)。例えば、ログ解析部287は、機器10毎に、その機器10が送信するデータを利用するサーバー30の重要度を累計することによって機器10の重要度を決定してもよい。ログ解析部287は、機器10の重要度に基づいて、臨時優先通信権を割り当てる機器10を決定する(ステップS606)。例えば、重要度が高いものから順に臨時優先通信権が割り当てられてもよい。
ログ解析部287は、臨時優先通信権が割り当てられることに決まった機器10の機器IDを臨時優先通信権管理部284に通知する。臨時優先通信権管理部284は、通知された機器IDを臨時優先通信権情報記憶部26に登録する(ステップS607)。また、臨時優先通信権管理部284は、臨時優先通信権が割り当てられることに決まった機器10に対し、臨時優先通信権が割り当てられたことと、その条件とを通知する。条件とは、例えば臨時優先通信権が割り当てられる期間、臨時優先通信権の割り当てによって許可される通信の帯域や総データ量や地域などである。機器10の臨時優先通信権制御部162は、通知された条件を規制情報記憶部14に登録する。
(作用効果)
このように構成された通信システム100では、ネットワーク60に輻輳が生じている場合に、より社会の要求に応じた通信を実現することが可能となる。
例えば、オークションの開催によって臨時優先通信権が割り当てられることによって、たとえ代価を支払うことになったとしても通信を維持したいと望む利用者の要求に応じて、たとえ規制対象となってしまった機器10であっても、通信を維持させることが可能となる。
例えば、電子投票の開催によって臨時優先通信権が割り当てられることによって、機器10の通信の維持を望む者が多く存在する場合には、そのような多くの利用者の要求に応じて、たとえ規制対象となってしまった機器10であっても、通信を維持させることが可能となる。
例えば、ログ解析の解析結果によって臨時優先通信権が割り当てられることによって、たとえオークションへの参加や電子投票での投票などのような明確な意思表示が行われなかったとしても、サーバー30に関するログの解析によって隠れたニーズを引き出し、通信を維持したいと望む潜在的な利用者の要求に応じて、たとえ規制対象となってしまった機器10であっても、通信を維持させることが可能となる。
以下、さらに詳細に本実施形態の効果について説明する。IoTネットワークに接続されるデバイスについて、通信回線毎/ハードウェア毎/アプリケーションソフトウェアの種類毎などの基準で通信会社がきめ細かく通信優先度のランクを設定し管理することができる。そのため、輻輳発生時には、通信優先度のランクが高いデータから優先して通信することが可能となる。例えば、消防や警察や病院が使用するような人命に関わるようなデータについては、通信優先度のランクを予め高く設定しておき、レジャーや娯楽で使うような不急のデータについては通信優先度のランクを低く設定しておくことで、輻輳発生時でも重要なデータを優先的に利用者に届けることが可能となる。
さらに、通信優先度を通信会社と利用者の契約で固定的に設定しておくだけでなく、通信輻輳の発生理由や発生状況、災害やテロの被災状況等に応じて優先的に通信を認める機器を動的に変更することもできる。例えば、特定地域に位置する端末で動作する特定用途のアプリケーションソフトとの通信が臨機応変に動的に認められてもよい。そして、そのような規制対象の変更は、例えば市場価格メカニズム(いわゆるオークションの仕組み)によって決定されてもよい。このように構成されることで、受益者負担の原則にしたがって、マーケットで高い価値が認められているデータや、政府や自治体や企業が高い対価を払ってでも手に入れたいと考える重要なデータの通信を確保することが可能となる。
ただし、市場価格メカニズムのみに基づいて規制対象外となる機器を決定してしまうと、資金力のある企業や団体のみが有利となり、真に救済を必要としている社会的弱者などへ通信手段を広くあまねく公平に提供するというユニバーサルサービス性が損なわれてしまう。その結果、公共の福祉を保てなくなる可能性もでてきてしまう。そのため、市場価格メカニズムとあわせて、電子投票システムによっても規制対象外となる機器を決定している。このような仕組みによって、通信の公共性や社会性を維持することが可能となる。電子投票システムにおいては、例えば政府や自治体等の公的団体と、一般の個人とで票の重み(ウエイト)を変更することによって、公平性や公共性をより高く維持することも可能となる。
さらに、人手による投票だけでは時間がかかり非効率的となる場合も多い。そこで、各機器から送信されるデータを利活用しているサーバーに対する利用者のアクセス数を解析し、そのアクセス数(データリクエスト件数)の多寡やアクセスしている利用者の属性(政府/自治体/営利企業/一般個人など)などを数値化し、この数値に基づいて規制対象外となる機器を判断したり、電子投票システムに対する投票があったものとみなすことで、輻輳時における通信優先度を自動的に変更する(例えば通信を許可する)ことも可能となる。
(変形例)
通信制御装置20は、必ずしも1台の装置によって実現される必要は無い。通信制御装置20は、複数の情報処理装置を用いて通信制御システムとして実現されてもよい。例えば、制御部28が有する複数の機能の一部を実現する情報処理装置が複数通信可能に接続されることによって通信制御システムが構築されてもよい。また、通信制御装置20が備える各記憶部22〜27も、複数の装置を用いて実現されてもよい。
通信優先度は、必ずしも機器10毎に設定されなくてもよい。例えば、1又は複数の機器10が接続されるゲートウェイ等の中継装置毎に通信優先度が設定されてもよい。例えば、1又は複数の機器10がネットワーク60に接続するための回線毎に通信優先度が設定されてもよい。例えば、機器10において動作するアプリケーションソフトウェア毎に通信優先度が設定されてもよい。
通信優先度の特定の桁数の値が管理者属性、用途情報、地域情報などの所定の情報を示す値として用いられてもよい。例えば、通信優先度の上2桁が用途情報を示す値として用いられてもよい。このように構成されることによって、通信の用途別に通信優先順位を割り当てることが可能となる。
機器10は、必ずしも入力機器に限定される必要は無い。機器10は、例えばモーターやポンプやアクチュエーターのように動力を生じさせる出力機器であってもよい。機器10は、例えば1又は複数の他の機器10の通信を中継する通信機器であってもよい。
規制判定部282は、学習結果情報に基づいて判定することに加えてさらに、シミュレーションを行うことによって規制条件を判定してもよい。例えば、学習結果情報に基づいて得られる判定結果(規制条件)として複数の判定結果が得られた場合、規制判定部282は、各判定結果の規制条件で規制を行った場合に、輻輳がどのように解消するかをシミュレーションしてもよい。規制判定部282は、シミュレーションの結果で最も早いタイミングで輻輳度が正常の範囲内になることが期待される規制条件を判定結果として選択してもよい。
規制判定部282は、学習結果情報に基づく判定を行わずに、上記シミュレーションを行うことによって規制条件を判定してもよい。
オークション制御部285は、特例学習結果に基づいて、その割り当て条件による臨時優先通信権の割り当てが実施されることによって、輻輳度がより早いタイミングで正常の範囲内になることが期待される割り当て条件を決定し、決定した割り当て条件で臨時優先通信権を割り当ててもよい。
臨時優先通信権は、臨時優先通信権を落札した管理者によって所望の機器10に対して割り当てられてもよい。この場合、管理者は落札した臨時優先通信権の割り当て先となる機器10の機器IDを通信制御装置20に通知する。通信制御装置20の臨時優先通信権管理部284は、通知された機器IDを臨時優先通信権情報記憶部26に登録する。臨時優先通信権管理部284は、臨時優先通信権が割り当てられることに決まった機器10に対し、臨時優先通信権が割り当てられたことと、その条件とを通知する。
臨時優先通信権は、必ずしも割り当て先となった全ての機器10の通信が認められるという権利でなくてもよい。例えば、臨時優先通信権は、臨時優先通信権が割り当てられた機器10の通信優先度の値が一時的に高い優先度の値に変更されることを示す権利であってもよい。臨時優先通信権が割り当てられることによって上昇する通信優先度の値は、固定値であってもよいし、臨時優先通信権によって異なる値であってもよい。このような構成によっても同様の効果が得られる。すなわち、通常時の通信優先度の値では規制対象となってしまうような機器10であっても、臨時優先通信権が割り当てられることによって通信優先度の値が上昇し、一時的に通信規制の対象外となることができる。
ログ解析部287の解析によって得られる各機器10の重要度は、電子投票において投票があったものとみなされるように処理が行われてもよい。この場合、電子投票制御部286による電子投票と、ログ解析部287によるログ解析が並行して行われる。電子投票制御部286は、ログ解析部287によって得られた各機器10の重要度の値に応じて、その機器10に対して投票があったものとみなして処理を行う。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
100…通信システム, 10…機器, 20…通信制御装置, 30…サーバー, 40…クライアント, 50…ログ記録装置, 60…ネットワーク, 11…通信部, 12…機器ID記憶部, 13…優先情報レコード記憶部, 14…規制情報記憶部, 15…情報取得部, 16…制御部, 161…通信要求部, 162…臨時優先通信権制御部, 163…通信制御部, 21…通信部, 22…優先情報記憶部, 23…学習結果情報記憶部, 24…規制情報記憶部, 25…オークション情報記憶部, 26…臨時優先通信権情報記憶部, 27…投票情報記憶部, 28…制御部, 281…輻輳監視部, 282…規制判定部, 283…機器応答部, 284…臨時優先通信権管理部, 285…オークション制御部, 286…電子投票制御部, 287…ログ解析部

Claims (5)

  1. 複数の機器が接続されるネットワークにおいて通信規制の対象となる機器を所定の第一条件で判定する規制判定部と、
    前記規制判定部によって通信規制の対象として判定されたとしても、通信規制の対象から外れる権利である臨時優先通信権の割り当て先となる機器を所定の第二条件で決定する臨時優先通信権管理部と、
    前記機器から前記ネットワークにおける通信の許可を要求された場合に、前記規制判定部によって通信規制の対象と判定されていない機器と、前記臨時優先通信権の割り当て先となった機器と、に対して通信を許可する信号を送信する機器応答部と、
    を備える通信制御システム。
  2. 前記第二条件は、オークションにかけられた前記臨時優先通信権が落札されたことを含む条件であり、
    前記臨時優先通信権のオークションを行うオークション制御部をさらに備える、
    請求項1に記載の通信制御システム。
  3. 前記第二条件は、前記機器又は前記機器に関連する他の情報処理装置に対して行われた投票の結果を含む条件であり、
    前記前記機器又は前記機器に関連する他の情報処理装置に対して行われる電子的な投票を制御する電子投票制御部をさらに備える、
    請求項1に記載の通信制御システム。
  4. 前記第二条件は、前記機器に関連する他の情報処理装置に関連する通信ログの解析結果を含む条件であり、
    前記機器に関連する他の情報処理装置に関連する通信ログを解析するログ解析部をさらに備える、
    請求項1に記載の通信制御システム。
  5. 複数の機器が接続されるネットワークにおいて通信規制の対象となる機器を所定の第一条件で判定する規制判定ステップと、
    前記規制判定ステップにおいて通信規制の対象として判定されたとしても、通信規制の対象から外れる権利である臨時優先通信権の割り当て先となる機器を所定の第二条件で決定する臨時優先通信権管理ステップと、
    前記機器から前記ネットワークにおける通信の許可を要求された場合に、前記規制判定ステップにおいて通信規制の対象と判定されていない機器と、前記臨時優先通信権の割り当て先となった機器と、に対して通信を許可する信号を送信する機器応答ステップと、
    を有する通信制御方法。
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