以下に図面を参照して、本発明にかかる飛行経路特定プログラム、飛行経路特定方法、飛行制御装置および飛行制御システムの実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態)
図1は、実施の形態にかかる飛行経路特定方法の一実施例を示す説明図である。図1において、飛行制御装置101は、無人航空機110に搭載され、無人航空機110の飛行を制御するコンピュータである。無人航空機110は、飛行制御装置101の制御にしたがって自律飛行可能な、いわゆる、ドローンである。
無人航空機110は、モータによって複数のプロペラ(図1の例では、4つのプロペラ)を駆動して飛行する。具体的には、例えば、無人航空機110は、ジャイロセンサによって機体の傾きや回転を検知し、検知したデータをもとに、機体を水平に保つようにモータの出力を調整する。また、無人航空機110は、機体を傾けたり、モータの出力を変えることによって、前後左右、あるいは、上下に飛行する。無人航空機110は、無線通信による遠隔操作によって飛行制御が可能であってもよい。
ドローンを自律飛行させるにあたり、ドローンの高さを制御することは重要である。ドローンの高さを制御することができれば、家屋、ビル、電線路、道路標識、信号機などを回避しながら飛行させることができる。また、他のドローンとの衝突を回避可能な経路も探索しやすくなる。
しかし、GPSでは正確な高度の情報を得ることは難しい。また、ドローンにカメラを搭載し、カメラにより撮影された画像から高さ(高度)を特定することが考えられるが、カメラの画像に近隣住民の顔等が映ってしまう可能性があるため、プライバシー保護や肖像権等の問題により現実的ではない。
ここで、電線は、2つの地点間を結び、電気を伝導するためのものである。例えば、電線は、電線路を形成する送電線や配電線である。電線路は、電線と、その支持物・付帯設備を含む電力設備である。電線は、各家庭や企業などに電力を供給するために用いられ、多くの建物や工場などの周辺に存在する。
このため、ドローンを利用した自動配達サービスを行うにあたり、電線を道路のように扱うことは有効である。また、電流が流れる電線の周りには、電流の方向と垂直の面で円形状に磁場が発生する。その磁場の強さは、電線との距離の二乗に反比例して小さくなることが知られている。
そこで、本実施の形態では、電線から生じる磁場(磁界)を利用して、無人航空機110を電線に沿って正確に移動させる飛行経路特定方法について説明する。まず、電線から生じる磁界の強さを測定するために無人航空機110に設けられるセンサCについて説明する。
無人航空機110には、無人航空機110に対して複数の方向それぞれにセンサCが設けられる。センサCは、磁界の強さを測定する機器である。具体的には、例えば、無人航空機110の上方向にセンサC1が設けられ、無人航空機110の下方向にセンサC2が設けられ、無人航空機110の左方向にセンサC3が設けられ、無人航空機110の右方向にセンサC4が設けられる。
より詳細に説明すると、例えば、無人航空機110には、上下方向に延びる棒111と、左右方向に延びる棒112とが略直交して設けられる。棒111の両端には、センサC1,C2が取り付けられる。棒112の両端には、センサC3,C4が取り付けられる。棒111と棒112の長さは、同じであっても、異なっていてもよい。ただし、以下の説明では、棒111と棒112の長さが等しい場合を想定する。
また、棒111と棒112は各棒111,112の中心で交差しており、その交差点は無人航空機110の基準点と一致する。無人航空機110の基準点は、例えば、無人航空機110の重心であってもよく、また、無人航空機110の前面または背面の中心であってもよい。図1の例では、無人航空機110の基準点は、無人航空機110の背面の中心である。
すなわち、無人航空機110の基準点からセンサC1(上方向)までの距離と、無人航空機110の基準点からセンサC2(下方向)までの距離は、略一致する。また、無人航空機110の基準点からセンサC3(左方向)までの距離と、無人航空機110の基準点からセンサC4(右方向)までの距離は、略一致する。
つぎに、飛行制御装置101の処理例について説明する。飛行制御装置101は、第1の移動制御処理と、第2の移動制御処理とを行う。第1の移動制御処理は、電線に対する無人航空機110の相対的な位置を調整するための処理である。第2の移動制御処理は、移動経路となる電線に沿って無人航空機110を移動させるための処理である。
ここでは、無人航空機110を電線の真上を移動させる場合を想定する。また、最初に無人航空機110を電線の真上の位置まで移動させるのは、無線通信による人手の遠隔操作によって行うものとする。なお、第1の移動制御処理と第2の移動制御処理は、並列に実行することにしてもよく、また、交互に実行することにしてもよい。
・第1の移動制御処理
飛行制御装置101は、無人航空機110に対して複数の方向それぞれに設けられた各センサCにより測定された、電線から生じる磁界の強さを示す測定結果を取得する。具体的には、例えば、飛行制御装置101は、各センサC1〜C4から、各センサC1〜C4により測定された電線から生じる磁界の強さを示す測定結果を取得する。
つぎに、飛行制御装置101は、取得した各センサCの測定結果に基づいて、無人航空機110と電線との相対的な位置関係を特定する。具体的には、例えば、飛行制御装置101は、取得した各センサCの測定結果に基づいて、電線の横断面の水平方向での無人航空機110の位置を特定する。
ここで、電線の横断面の水平方向における無人航空機110の位置は、予め設定されている。すなわち、無人航空機110が、電線に対して、どの位置にいればよいのかという目標範囲は、予め設定されている。なお、電線の横断面とは、電線をその中心線に対して直角に切断したときの切り口の平面である。そして、飛行制御装置101は、特定した特定結果に基づいて、電線の横断面の水平方向における予め設定された無人航空機110と電線との相対的な位置に、無人航空機110を移動させる。
無人航空機110を移動させる量は、予め設定された無人航空機110と電線との相対的な位置に対して、無人航空機110が現在どの位置にいるのかによって決まる。そこで、飛行制御装置101は、例えば、無人航空機110と電線との相対的な位置関係が予め設定された位置関係となるように、無人航空機110を徐々に移動させることにしてもよい。すなわち、飛行制御装置101は、無人航空機110を所定量移動させた結果、予め設定された位置関係になっていなければ、さらに無人航空機110を所定量移動させるという処理を繰り返すことにしてもよい。
具体的には、例えば、飛行制御装置101は、無人航空機110の左右方向について、無人航空機110の左方向に設けられたセンサC3の測定結果に対する、無人航空機110の右方向に設けられたセンサC4の測定結果の比率を算出する。センサC4の測定結果がセンサC3の測定結果に比べて大きいほど、センサC4がセンサC3よりも電線に近い位置にある、すなわち、無人航空機110が電線の左側に位置しているといえる。一方、センサC3の測定結果がセンサC4の測定結果に比べて大きいほど、センサC3がセンサC4よりも電線に近い位置にある、すなわち、無人航空機110が電線の右側に位置しているといえる。
このため、飛行制御装置101は、算出した比率(センサC4の測定結果/センサC3の測定結果)に応じて、無人航空機110を左方または右方に所定量移動させる。所定量は、任意に設定可能であり、例えば、数センチ〜数メートル程度に設定される。また、比率に応じて、所定量を変更することにしてもよい。例えば、比率が1に比べて、大きくなる、または、小さくなるにつれて、所定量を大きくすることにしてもよい。
すなわち、飛行制御装置101は、各センサC3,C4の測定結果を利用して、電線の真上にくるように、電線に対する無人航空機110の位置を調整する。
また、飛行制御装置101は、無人航空機110の上下方向について、無人航空機110の上方向に設けられたセンサC1の測定結果と、無人航空機110の下方向に設けられたセンサC2の測定結果とに基づいて、無人航空機110の下方にある電線と無人航空機110との距離を算出する。
なお、センサC1の測定結果とセンサC2の測定結果とに基づいて、無人航空機110と電線との距離を算出する具体的な処理内容については、図5を用いて後述する。
そして、飛行制御装置101は、算出した無人航空機110と電線との距離に応じて、無人航空機110を上方または下方に所定量移動させる。所定量は、任意に設定可能であり、例えば、数センチ〜数メートル程度に設定される。また、無人航空機110と電線との距離が大きくなるほど、所定量を大きくすることにしてもよい。
すなわち、飛行制御装置101は、各センサC1,C2の測定結果を利用して、電線からの無人航空機110の高さが所定の範囲内に収まるように、電線に対する無人航空機110の位置を調整する。
これにより、飛行制御装置101は、各センサC1〜C4の測定結果を利用して、無人航空機110と電線との相対的な位置関係が予め設定された位置関係となるように、電線に対する無人航空機110の位置を調整することができる。
・第2の移動制御処理
飛行制御装置101は、経路情報と、無人航空機110の位置情報とに基づいて、第1の移動制御処理により移動させた結果である電線と無人航空機110との相対的な位置関係を維持しつつ、無人航空機110を移動経路に沿って移動させる。ここで、経路情報は、移動経路となる電線の位置を特定する情報である。経路情報は、例えば、電柱や鉄塔をノードとし、電柱間や鉄塔間の電線をリンクとして、各ノードや各リンクの位置を特定可能な情報である。
図1の例では、経路情報は、出発地点から目的地点までの移動経路120を形成する電線121〜125の位置を特定する情報である。無人航空機110の位置情報は、無人航空機110の現在位置を示す情報であり、例えば、地球上のある地点の位置を示す緯度・経度である。無人航空機110の位置情報は、例えば、GPSを用いて取得される。また、無人航空機110の位置情報は、例えば、準天頂衛星システムを用いて取得されることにしてもよい。
このように、飛行制御装置101によれば、電線から生じる磁界の強さを利用して、電線に対する無人航空機110の位置を制御可能となり、移動経路となる電線に沿って無人航空機110を正確に移動させることができる。これにより、カメラを搭載していなくても、プライバシー保護や肖像権等の問題のために撮影が制限されるような地域(例えば、住宅街)における無人航空機110の自動運転を可能にすることができる。
(飛行制御システム200のシステム構成例)
つぎに、実施の形態にかかる飛行制御システム200のシステム構成例について説明する。以下の説明では、飛行制御システム200を自動配達サービスに適用した場合を例に挙げて説明する。
図2は、飛行制御システム200のシステム構成例を示す説明図である。図2において、飛行制御システム200は、飛行制御装置T1〜Tn(n:2以上の自然数)と、管理装置201と、を含む。飛行制御装置T1〜Tnは、各ドローンD1〜Dnにそれぞれ搭載される。飛行制御システム200において、飛行制御装置T1〜Tnおよび管理装置201は、有線または無線のネットワーク210を介して接続される。ネットワーク210は、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などである。
以下の説明では、飛行制御装置T1〜Tnのうち任意の飛行制御装置を「飛行制御装置Ti」と表記する場合がある(i=1,2,…,n)。また、ドローンD1〜Dnのうち飛行制御装置Tiが搭載されたドローンを「ドローンDi」と表記する場合がある。飛行制御装置Tiは、図1に示した飛行制御装置101に相当する。また、ドローンDiは、図1に示した無人航空機110に相当する。
飛行制御装置Tiは、ドローンDiに搭載され、ドローンDiの飛行を制御する。飛行制御装置Tiは、測位機能を有する。具体的には、例えば、飛行制御装置Tiは、複数のGPS衛星からの電波によって位置を測定する。ただし、衛星として、例えば、準天頂衛星システムの衛星を用いることにしてもよい。
ドローンDiは、飛行制御装置Tiの制御に従って自律飛行可能な無人航空機である。ドローンDiには、図1に示したように、上下方向、左右方向のそれぞれにセンサC1〜C4が設けられる。各センサC1〜C4は、定期的(例えば、10秒〜20秒間隔)に、または、所定のタイミングで磁界の強さを測定する。
また、ドローンDiは、宅配用の入れ物を有し、その入れ物への荷物の積み下ろしを自動で行う機能を有することにしてもよい。ただし、荷物の積み降ろしは手作業で行うことも可能である。なお、センサC1〜C4は、有線または無線によって飛行制御装置Tiと接続される。
管理装置201は、電線マップDB(Database)220を有し、移動経路を探索する機能を有するコンピュータである。管理装置201は、例えば、サーバやPC(Personal Computer)である。移動経路は、1以上の電線によって形成される。電線は、配電線や送電線である。
電線マップDB220は、電線路を形成する電線ごとに、電線の位置を特定する電線情報を含む。例えば、電線情報は、電柱や鉄塔をノードとし、電柱間や鉄塔間の電線をリンクとして、各ノードや各リンクの位置を特定可能な情報である。電線情報には、例えば、通行が一方向に限られた電線であるか否かを示す情報が含まれていてもよい。通行が一方向に限られた電線の場合、電線情報には、いずれの方向に通行可能であるかを示す情報が含まれる。
具体的には、例えば、管理装置201は、電線マップDB220を参照して、出発地点から目的地点に辿り着くまでの最短経路を移動経路として探索することにしてもよい。また、管理装置201は、電線マップDB220を参照して、出発地点から目的地点に辿り着くまでに、通行が一方向に限られた電線のみを通行する移動経路を探索することにしてもよい。
出発地点および目的地点は、例えば、管理装置201のユーザにより指定される。移動経路の探索アルゴリズムとしては、例えば、交差点等をノードとし、ノード間の道路区間をリンクとする道路網情報に基づいて、出発地点から目的地点までの最適ルートを探索する既存の探索アルゴリズムを用いることができる。
また、飛行制御システム200において、ドローンDiを自律飛行させるにあたり、最初にドローンDiを電線の真上(または、電線の左側や右側)の位置まで移動させるのは、無線通信による人手(例えば、集配所の作業員)の遠隔操作によって行うものとする。
(飛行制御装置Tiのハードウェア構成例)
図3は、飛行制御装置Tiのハードウェア構成例を示すブロック図である。図3において、飛行制御装置Tiは、CPU(Central Processing Unit)301と、メモリ302と、I/F(Interface)303と、入力装置304と、GPS受信機305と、を有する。また、各構成部は、バス300によってそれぞれ接続される。
ここで、CPU301は、飛行制御装置Tiの全体の制御を司る。CPU301は、複数のコアを有していてもよい。メモリ302は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびフラッシュROMなどを有する。具体的には、例えば、フラッシュROMやROMが各種プログラムを記憶し、RAMがCPU301のワークエリアとして使用される。メモリ302に記憶されるプログラムは、CPU301にロードされることで、コーディングされている処理をCPU301に実行させる。
I/F303は、通信回線を通じてネットワーク210に接続され、ネットワーク210を介して外部のコンピュータ(例えば、図2に示した管理装置201)に接続される。そして、I/F303は、ネットワーク210と装置内部とのインターフェースを司り、外部のコンピュータからのデータの入出力を制御する。
入力装置304は、文字、数字、各種指示などの入力のためのキーを有し、データの入力を行う。入力装置304は、例えば、タッチパネル式の入力パッドやテンキーなどであってもよい。GPS受信機305は、GPS衛星からの電波を受信し、飛行制御装置Ti(ドローンDi)の位置情報を出力する。位置情報は、例えば、地球上の1点を特定する緯度、経度の座標情報である。
なお、飛行制御装置Tiは、上述した構成部のほかに、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、ディスプレイ等を有することにしてもよい。また、図2に示した管理装置201についても、飛行制御装置Tiと同様のハードウェア構成により実現することができる。また、飛行制御装置Tiは、例えば、ドローンDiの機体動作状態を検出して姿勢制御を行うための各種センサ(ジャイロセンサ、気圧センサなど)を有することにしてもよい。
(飛行制御装置Tiの機能的構成例)
図4は、飛行制御装置Tiの機能的構成例を示すブロック図である。図4において、飛行制御装置Tiは、取得部401と、第1の移動制御部402と、第2の移動制御部403と、を含む。取得部401〜第2の移動制御部403は制御部となる機能であり、具体的には、例えば、図3に示したメモリ302に記憶されたプログラムをCPU301に実行させることにより、または、I/F303により、その機能を実現する。各機能部の処理結果は、例えば、メモリ302に記憶される。
取得部401は、移動経路となる電線の位置を特定する経路情報を取得する。ここで、経路情報は、出発地点から目的地点に辿り着くまでの移動経路となる電線の位置を特定する情報である。具体的には、例えば、取得部401は、図2に示した管理装置201から経路情報を受信することにより、移動経路となる電線の位置を特定する経路情報を取得する。
また、取得部401は、ドローンDiに対して複数の方向それぞれに設けられた各センサCにより測定された、電線から生じる磁界の強さを示す測定結果を取得する。具体的には、例えば、取得部401は、各センサC1〜C4により測定された、電線から生じる磁界の強さを示す測定結果を、各センサC1〜C4から取得する。
なお、測定結果の取得タイミングは、任意に設定可能である。例えば、取得部401は、各センサC1〜C4により磁界の強さが測定される度に、その測定結果を各センサC1〜C4から取得することにしてもよい。また、取得部401は、各センサC1〜C4に対して取得要求を定期的(例えば、10秒〜15秒間隔)に送信することにより、各センサC1〜C4から最新の測定結果を取得することにしてもよい。
また、取得部401は、ドローンDiの位置情報を取得する。ここで、ドローンDiの位置情報は、ドローンDiの平面上の位置を示す情報である。具体的には、例えば、取得部401は、図3に示したGPS受信機305から出力される自装置の位置情報を取得することにより、ドローンDiの位置情報を取得する。
第1の移動制御部402は、取得された各センサCの測定結果に基づいて、ドローンDiを所定の方向に所定量移動させる。具体的には、例えば、第1の移動制御部402は、取得された各センサCの測定結果に基づいて、ドローンDiと電線との相対的な位置関係を特定する。より詳細に説明すると、第1の移動制御部402は、例えば、取得された各センサCの測定結果に基づいて、電線の横断面の水平方向でのドローンDiの位置を特定する。そして、第1の移動制御部402は、特定した特定結果に基づいて、電線の横断面の水平方向における予め設定されたドローンDiと電線との相対的な位置に、ドローンDiを移動させる。
以下、電線に対してドローンDiをどこに位置付けして通行させるかという通行方式に応じた第1の移動制御部402の制御例について説明する。通行方式としては、例えば、上空通行、左側通行、右側通行がある。上空通行は、電線の真上を通行する通行方式である。左側通行は、電線の左側を通行する通行方式である(ドローンDiの進行方向右側に電線がある)。右側通行は、電線の右側を通行する通行方式である(ドローンDiの進行方向左側に電線がある)。通行方式に応じて、ドローンDiと電線との相対的な位置関係が設定される。
・上空通行
第1の移動制御部402は、ドローンDiの左右方向について、ドローンDiの左方向に設けられたセンサC3の測定結果に対する、ドローンDiの右方向に設けられたセンサC4の測定結果の比率rLRを算出する。比率rLRは、ドローンDiの右方向に設けられたセンサC4の測定結果を、ドローンDiの左方向に設けられたセンサC3の測定結果で割った値である。
そして、第1の移動制御部402は、算出した比率rLRが閾値α以上の場合、ドローンDiを右方に所定量移動させる。また、第1の移動制御部402は、算出した比率rLRが閾値β以下の場合、ドローンDiを左方に所定量移動させる。ここで、ドローンDiを左右方向に移動させる所定量は、任意に設定可能であり、例えば、数センチ〜数メートル程度に設定される。
閾値α,βは、任意に設定可能であり、電線に対して、ドローンDiがどの方向にいればよいのかという目標方向に応じて設定される。ここでは、閾値α,βは、比率rLRが、閾値βより大きく、かつ、閾値αより小さければ、ドローンDiが電線の真上にいると判断できる値に設定される。例えば、閾値αは、1.05程度の値に設定される。また、閾値βは、0.95程度の値に設定される。
また、第1の移動制御部402は、ドローンDiの上下方向について、ドローンDiと当該ドローンDiの下方にある電線との距離lUを算出する。より詳細に説明すると、例えば、第1の移動制御部402は、ドローンDiの上方向に設けられたセンサC1の測定結果と、ドローンDiの下方向に設けられたセンサC2の測定結果と、センサC1,C2間の距離とに基づいて、距離lUを算出する。センサC1,C2間の距離は、棒111(図1参照)の長さに相当する。
なお、距離lUを算出する具体的な処理内容については、図5を用いて後述する。
そして、第1の移動制御部402は、算出した距離lUが閾値γ以上の場合、ドローンDiを下方に所定量移動させる。また、第1の移動制御部402は、算出した距離lUが閾値δ以下の場合、ドローンDiを上方に所定量移動させる。ここで、ドローンDiを上下方向に移動させる所定量は、任意に設定可能であり、例えば、数センチ〜数メートル程度に設定される。
閾値γ,δは、任意に設定可能である。閾値γ,δは、電線からどれくらいの範囲内でドローンDiを飛行させるかによって設定される。例えば、電線の周りには、電力会社が他の侵入を排除できる空間がある。閾値γ,δは、ドローンDiが、その空間内に収まるように、かつ、電線と衝突するおそれがないように設定されることにしてもよい。例えば、閾値γは、4m(メートル)程度の値に設定される。また、閾値δは、1.5m程度の値に設定される。
これにより、ドローンDiと電線との相対的な位置関係が予め設定された位置関係となるよう、すなわち、電線の真上であって、電線から1.5m〜4mの範囲内に収まるようにドローンDiを飛行させる制御を行うことができる。
・左側通行
第1の移動制御部402は、ドローンDiの上下方向について、ドローンDiの下方向に設けられたセンサC2の測定結果に対する、ドローンDiの上方向に設けられたセンサC1の測定結果の比率rUDを算出する。比率rUDは、ドローンDiの上方向に設けられたセンサC1の測定結果を、ドローンDiの下方向に設けられたセンサC2の測定結果で割った値である。
そして、第1の移動制御部402は、算出した比率rUDが閾値α’以上の場合、ドローンDiを下方に所定量移動させる。また、第1の移動制御部402は、算出した比率rUDが閾値β’以下の場合、ドローンDiを上方に所定量移動させる。ここで、ドローンDiを上下方向に移動させる所定量は、任意に設定可能であり、例えば、数センチ〜数メートル程度に設定される。
閾値α’,β’は、任意に設定可能であり、電線に対して、ドローンDiがどの方向にいればよいのかという目標方向に応じて設定される。ここでは、閾値α’,β’は、比率rUDが、閾値β’より大きく、かつ、閾値α’より小さければ、ドローンDiが電線の真左にいると判断できる値に設定される。例えば、閾値α’は、1.05程度の値に設定される。また、閾値β’は、0.95程度の値に設定される。
また、第1の移動制御部402は、ドローンDiの左右方向について、ドローンDiと当該ドローンDiの右方にある電線との距離lRを算出する。より詳細に説明すると、例えば、第1の移動制御部402は、ドローンDiの左方向に設けられたセンサC3の測定結果と、ドローンDiの右方向に設けられたセンサC4の測定結果と、センサC3,C4間の距離とに基づいて、距離lRを算出する。センサC3,C4間の距離は、棒112(図1参照)の長さに相当する。
なお、距離lRを算出する具体的な処理内容については、図6を用いて後述する。
そして、第1の移動制御部402は、算出した距離lRが閾値γ’以上の場合、ドローンDiを右方に所定量移動させる。また、第1の移動制御部402は、算出した距離lRが閾値δ’以下の場合、ドローンDiを左方に所定量移動させる。ここで、ドローンDiを左右方向に移動させる所定量は、任意に設定可能であり、例えば、数センチ〜数メートル程度に設定される。
閾値γ’,δ’は、任意に設定可能である。閾値γ’,δ’は、電線からどれくらいの範囲内でドローンDiを飛行させるかによって設定される。例えば、閾値γ’は、3m程度の値に設定される。また、閾値δ’は、1.5m程度の値に設定される。
これにより、ドローンDiと電線との相対的な位置関係が予め設定された位置関係となるよう、すなわち、電線の左側(真左)であって、電線から1.5m〜3mの範囲内に収まるようにドローンDiを飛行させる制御を行うことができる。
・右側通行
第1の移動制御部402は、ドローンDiの上下方向について、ドローンDiの下方向に設けられたセンサC2の測定結果に対する、ドローンDiの上方向に設けられたセンサC1の測定結果の比率rDUを算出する。そして、第1の移動制御部402は、算出した比率rDUが閾値α’以上の場合、ドローンDiを下方に所定量移動させる。また、第1の移動制御部402は、算出した比率rDUが閾値β’以下の場合、ドローンDiを上方に所定量移動させる。
また、第1の移動制御部402は、ドローンDiの左右方向について、ドローンDiと当該ドローンDiの左方にある電線との距離lLを算出する。より詳細に説明すると、例えば、第1の移動制御部402は、ドローンDiの左方向に設けられたセンサC3の測定結果と、ドローンDiの右方向に設けられたセンサC4の測定結果と、センサC3,C4間の距離とに基づいて、距離lLを算出する。
そして、第1の移動制御部402は、算出した距離lLが閾値γ’以上の場合、ドローンDiを左方に所定量移動させる。また、第1の移動制御部402は、算出した距離lLが閾値δ’以下の場合、ドローンDiを右方に所定量移動させる。
これにより、ドローンDiと電線との相対的な位置関係が予め設定された位置関係となるよう、すなわち、電線の右側(真右)であって、電線から1.5m〜3mの範囲内に収まるようにドローンDiを飛行させる制御を行うことができる。なお、上述した第1の移動制御部402による移動制御処理は、例えば、10秒〜15秒程度の時間間隔で定期的に実行される。
第2の移動制御部403は、取得された経路情報と、取得されたドローンDiの位置情報とに基づいて、第1の移動制御部402により移動させた結果である電線とドローンDiとの相対的な位置関係を維持しつつ、ドローンDiを移動経路に沿って移動させる。具体的には、例えば、第2の移動制御部403は、GPS受信機305の位置情報(緯度、経度)に基づいて、ドローンDiの平面上の位置を制御することで、経路情報から特定される移動経路となる電線に沿ってドローンDiを移動させる。この際、第2の移動制御部403は、第1の移動制御部402により移動させた結果である電線とドローンDiとの相対的な位置関係を維持するように、ドローンDiを移動させる。
また、第1の移動制御部402は、電線の真上から左側にドローンDiの位置取りを変更することにしてもよい。具体的には、例えば、第1の移動制御部402は、電線の真上から左側に位置取りを変更する場合、まず、センサC4(右方向)の測定結果と、センサC2(下方向)の測定結果とが略一致するまで、ドローンDiを左方に所定量移動させる。
つぎに、第1の移動制御部402は、センサC1(上方向)の測定結果と、センサC2(下方向)の測定結果とが略一致するまで、ドローンDiを下方に所定量移動させる。ドローンDiを移動させる所定量は、任意に設定可能であり、例えば、数センチ〜数メートル程度に設定される。
これにより、ドローンDiの通行方式を、上空通行から左側通行に変更することができる。なお、ドローンDiの通行方式を、上空通行から左側通行に変更する場合の具体的な処理内容については、図7を用いて後述する。
また、第1の移動制御部402は、電線の左側から真上にドローンDiの位置取りを変更することにしてもよい。具体的には、例えば、第1の移動制御部402は、電線の左側から真上に位置取りを変更する場合、まず、センサC4(右方向)の測定結果と、センサC2(下方向)の測定結果とが略一致するまで、ドローンDiを上方に所定量移動させる。また、第1の移動制御部402は、センサC3(左方向)の測定結果と、センサC4(右方向)の測定結果とが略一致するまで、ドローンDiを右方に所定量移動させる。
これにより、ドローンDiの通行方式を、左側通行から上空通行に変更することができる。なお、ドローンDiの通行方式を、左側通行から上空通行に変更する場合の具体的な処理内容については、図8を用いて後述する。
なお、第1の移動制御部402は、電線の真上から右側にドローンDiの位置取りを変更したり、電線の右側から真上にドローンDiの位置取りを変更したりすることにしてもよい。ただし、電線の真上から右側に、あるいは、電線の右側から真上に位置取りを変更する際の詳細な説明は、電線の真上から左側に、あるいは、電線の左側から真上に位置取りを変更する場合と同様のため省略する。また、電線の左側から右側(あるいは、右側から左側)にドローンDiの位置取りを変更する場合には、電線の左側から真上に位置取りを変更した後、電線の真上から右側に位置取りを変更すればよい。
また、飛行制御装置Tiは、出発地点と目的地点との指定を受け付けることにしてもよい。具体的には、例えば、飛行制御装置Tiは、図3に示した入力装置304を用いたユーザの操作入力により、または、外部のコンピュータから、出発地点と目的地点との指定を受け付ける。
ここで、出発地点は、例えば、移動経路の起点となる電線、電柱、鉄塔などである。目的地点は、例えば、移動経路の終点となる電線、電柱、鉄塔などである。出発地点および目的地点は、例えば、電線路を形成する電線、電柱、鉄塔等を地図上に示した電線マップから指定される。
そして、飛行制御装置Tiは、電線路を形成する電線ごとに、電線の位置を示す電線情報を参照して、指定された出発地点から目的地点に辿り着くまでの移動経路を探索することにしてもよい。具体的には、例えば、飛行制御装置Tiは、電線マップDB220(図2参照)を参照して、出発地点から目的地点に辿り着くまでの最短経路を移動経路として探索する。
これにより、管理装置201から経路情報を取得しなくても、ドローンDiの移動経路を特定することができる。この場合、第2の移動制御部403は、ドローンDiの位置情報に基づいて、第1の移動制御部402により移動させた結果である電線とドローンDiとの相対的な位置関係を維持しつつ、探索された移動経路に沿ってドローンDiを移動させる。なお、電線マップDB220は、飛行制御装置Tiが有していてもよい。また、飛行制御装置Tiは、管理装置201にアクセスして、電線マップDB220を参照することにしてもよい。
また、飛行制御装置Tiは、電線マップDB220を参照して、出発地点から目的地点に辿り着くまでに、通行が一方向に限られた電線のみを通行する移動経路を探索することにしてもよい。これにより、電線の真上を通行する上空通行を採用する場合に、ドローン同士が正面衝突してしまうのを防ぐことができる。
また、ドローンDiの前後方向にセンサCを設けることにしてもよい。具体的には、例えば、ドローンDiに、前後方向に延びる棒を設け、その棒の両端にセンサCを取り付けることにしてもよい。これにより、飛行制御装置Tiは、電線の下り方向のたるみや、上り方向のたるみを認識可能となる。例えば、飛行制御装置Tiは、ドローンDiの前方のセンサCの測定結果が後方のセンサCの測定結果より小さくなることを検知することで、下り方向のたるみの始まりを認識することができる。
また、電線が複数本の電線に分岐する場合がある。電線が分岐する場所では、電線同士の磁界が干渉することが想定される。このため、移動経路に電線が分岐する場所が含まれる場合、飛行制御装置Tiは、その場所では、一定時間(例えば、数秒)の間、第1の移動制御部402による制御を停止し、第2の移動制御部403による制御のみでドローンDiを移動させることにしてもよい。また、管理装置201(または、飛行制御装置Ti)が、電線が分岐する場所が含まれないような移動経路を探索することにしてもよい。
なお、飛行制御装置Tiの各機能部は、飛行制御システム200内の複数のコンピュータ、例えば、飛行制御装置Tiと管理装置201とにより実現されることにしてもよい。具体的には、例えば、管理装置201は、飛行制御装置Tiから各センサCの測定結果を取得し、取得した各センサCの測定結果に基づいて、ドローンDiを所定の方向に所定量移動させるための第1の制御情報を生成する。すなわち、管理装置201は、ドローンDiと電線との相対的な位置関係が予め設定された位置関係となるように、ドローンDiを移動させるための第1の制御情報を生成する。そして、管理装置201は、生成した第1の制御情報を飛行制御装置Tiに送信する。飛行制御装置Tiは、管理装置201からの第1の制御情報に基づいて、ドローンDiを所定の方向に所定量移動させる。また、管理装置201は、飛行制御装置Tiから位置情報を取得し、移動経路に沿ってドローンDiを移動させるための第2の制御情報を生成する。そして、管理装置201は、生成した第2の制御情報を飛行制御装置Tiに送信する。飛行制御装置Tiは、管理装置201からの第2の制御情報に基づいて、上記移動させた結果である電線とドローンDiとの相対的な位置関係を維持しつつ、ドローンDiを移動経路に沿って移動させる。
(距離lUを算出する具体的な処理内容)
つぎに、図5を用いて、ドローンDiと当該ドローンDiの下方にある電線との距離lUを算出する具体的な処理内容について説明する。
図5は、上空飛行の場合のドローンDiと電線との位置関係を示す説明図である。図5において、aは、電線と棒111の下端との距離、すなわち、ドローンDiと当該ドローンDiの下方にある電線との距離lUに相当する。棒111は、センサC1,C2が取り付けられた上下方向に延びる棒である。
bは、棒111の長さである。cは、棒111の下端の磁界、すなわち、センサC2により測定された電線から生じる磁界の強さである。dは、棒111の上端の磁界、すなわち、センサC1により測定された電線から生じる磁界の強さである。a,bの単位は、例えば、「m」である。c,dの単位は、例えば、「T(テスラ)」である。
ここで、電流が流れる電線の周りには、電流の方向と垂直の面で円形状に磁場が発生し、その磁場(磁界)の強さは、電線との距離の二乗に反比例して小さくなることが知られている。なお、電線周辺の磁界の強さは、おおよそ数マイクロテスラ程度である。
このため、a,b,c,dの間には、下記式(1)が成り立つ。
c*a*a=d*(a+b)*(a+b) ・・・(1)
また、a>0,b>0,c>0,d>0であり、ドローンDiが電線の真上にいる場合は、c>dである。このため、aは、下記式(2)を用いて求めることができる。
a=b/{(c/d)1/2−1)} ・・・(2)
例えば、「c=9d」の場合、「a=b/2」となり、bの長さの半分の距離「b/2」ほど、電線の上空にドローンDiがいることがわかる。また、「c=4d」の場合、「a=b」となり、bの長さ分の距離「b」ほど、電線の上空にドローンDiがいることがわかる。また、「c=16d/9」の場合、「a=3b」となり、bの長さの3倍の距離「3b」ほど、電線の上空にドローンDiがいることがわかる。また、「c=25d/16」の場合、「a=4b」となり、bの長さの4倍の距離「4b」ほど、電線の上空にドローンDiがいることがわかる。
このように、上記式(2)によれば、棒111の長さb、すなわち、センサC1,C2間の距離をもとに、電線と棒111の下端との距離a、すなわち、ドローンDiと当該ドローンDiの下方にある電線との距離lUを求めることができる。
(距離lRを算出する具体的な処理内容)
つぎに、図6を用いて、ドローンDiと当該ドローンDiの下方にある電線との距離lUを算出する具体的な処理内容について説明する。
図6は、左側飛行の場合のドローンDiと電線との位置関係を示す説明図である。図6において、a’は、電線と棒112の右端との距離、すなわち、ドローンDiと当該ドローンDiの右方にある電線との距離lRに相当する。棒112は、センサC3,C4が取り付けられた左右方向に延びる棒である。
b’は、棒112の長さである。c’は、棒112の右端の磁界、すなわち、センサC4により測定された電線から生じる磁界の強さである。d’は、棒112の左端の磁界、すなわち、センサC3により測定された電線から生じる磁界の強さである。a’,b’の単位は、例えば、「m」である。c’,d’の単位は、例えば、「T」である。
ここで、a’,b’,c’,d’の間には、下記式(3)が成り立つ。
c’*a’*a’=d’*(a’+b’)*(a’+b’) ・・・(3)
また、a’>0,b’>0,c’>0,d’>0であり、ドローンDiが電線の真左にいる場合は、c’>d’である。このため、a’は、下記式(4)を用いて求めることができる。
a’=b’/{(c’/d’)1/2−1)} ・・・(4)
例えば、「c’=9d’」の場合、「a’=b’/2」となり、b’の長さの半分の距離「b’/2」ほど、電線の左側にドローンDiがいることがわかる。
このように、上記式(4)によれば、棒112の長さb’、すなわち、センサC3,C4間の距離をもとに、電線と棒112の右端との距離a’、すなわち、ドローンDiと当該ドローンDiの右方にある電線との距離lRを求めることができる。
(ドローンDiの通行方式を変更する場合の具体的な処理内容)
つぎに、図7および図8を用いて、ドローンDiの通行方式を変更する場合の具体的な処理内容について説明する。まず、図7を用いて、ドローンDiの通行方式を、上空通行から左側通行に変更する場合について説明する。
図7は、ドローンDiと電線との位置関係を示す説明図(その1)である。図7の(7−1)において、第1の移動制御部402は、センサC4(右方向)の測定結果と、センサC2(下方向)の測定結果とが略一致するまで、ドローンDiを左方に所定量移動させる。具体的には、例えば、第1の移動制御部402は、センサC4(右方向)の測定結果に対するセンサC2(下方向)の測定結果の比率rRUが、閾値εより小さくなるまで、ドローンDiを徐々に左方に移動させる。閾値εは、1.05程度の値に設定される。
図7の(7−2)において、第1の移動制御部402は、センサC1(上方向)の測定結果と、センサC2(下方向)の測定結果とが略一致するまで、ドローンDiを下方に所定量移動させる。具体的には、例えば、第1の移動制御部402は、センサC1(上方向)の測定結果に対するセンサC2(下方向)の測定結果の比率rUDが、閾値εより小さくなるまで、ドローンDiを徐々に下方に移動させる。
この結果、図7の(7−3)に示すように、ドローンDiの位置取りを電線の真上から左側に変更させて、上空通行から左側通行に変更することができる。
つぎに、図8を用いて、ドローンDiの通行方式を、左側通行から上空通行に変更する場合について説明する。
図8は、ドローンDiと電線との位置関係を示す説明図(その2)である。図8の(8−1)において、第1の移動制御部402は、センサC4(右方向)の測定結果と、センサC2(下方向)の測定結果とが略一致するまで、ドローンDiを上方に所定量移動させる。具体的には、例えば、第1の移動制御部402は、センサC4(右方向)の測定結果に対するセンサC2(下方向)の測定結果の比率rRUが、閾値εより小さくなるまで、ドローンDiを徐々に上方に移動させる。
図8の(8−2)において、第1の移動制御部402は、センサC3(左方向)の測定結果と、センサC4(右方向)の測定結果とが略一致するまで、ドローンDiを右方に所定量移動させる。具体的には、例えば、第1の移動制御部402は、センサC3(左方向)の測定結果に対するセンサC4(右方向)の測定結果の比率rLRが、閾値εより小さくなるまで、ドローンDiを徐々に右方に移動させる。
この結果、図8の(8−3)に示すように、ドローンDiの位置取りを電線の左側から真上に変更させて、左側通行から上空通行に変更することができる。
(飛行制御装置Tiの飛行経路特定処理手順)
図9〜図13を用いて、飛行制御装置Tiの飛行経路特定処理手順について説明する。ここでは、ドローンDiの通行方式として、通行が一方向に限られた電線では上空通行とし、通行が一方向に限られていない電線では左側通行とする場合を想定する。また、最初にドローンDiを初期位置(電線の真上または左側の位置)まで移動させるのは、無線通信による人手の遠隔操作によって行うものとする。
図9〜図13は、飛行制御装置Tiの飛行経路特定処理手順の一例を示すフローチャートである。図9のフローチャートにおいて、まず、飛行制御装置Tiは、GPS受信機305から出力される位置情報に基づいて、ドローンDiの現在位置を確認する(ステップS901)。
つぎに、飛行制御装置Tiは、管理装置201に問い合わせることにより、電線に対するドローンDiの初期位置取りを確認する(ステップS902)。なお、ドローンDiの初期位置取りは、管理装置201において、電線の上空(真上)または左側のいずれかに予め決められているものとする。
そして、飛行制御装置Tiは、初期位置取りが上空であるか否かを判断する(ステップS903)。ここで、上空の場合(ステップS903:Yes)、飛行制御装置T1は、図10に示すステップS1001に移行する。一方、左側の場合(ステップS903:No)、飛行制御装置Tiは、図11に示すステップS1101に移行する。
また、飛行制御装置Tiは、管理装置201から、移動経路となる電線の位置を特定する経路情報を取得する(ステップS904)。そして、飛行制御装置Tiは、第2の移動制御部403により、第1の移動制御部402から位置取り完了通知を受け付けたか否かを判断する(ステップS905)。
ここで、飛行制御装置Tiは、第1の移動制御部402から位置取り完了通知を受け付けるのを待つ(ステップS905:No)。そして、位置取り完了通知を受け付けた場合(ステップS905:Yes)、飛行制御装置Tiは、第2の移動制御部403により、取得した経路情報と、GPS受信機305の位置情報とに基づいて、ドローンDiを移動経路に沿って移動させる(ステップS906)。この際、飛行制御装置Tiは、第2の移動制御部403により、第1の移動制御部402により移動させた結果である電線とドローンDiとの相対的な位置関係を維持しつつ、ドローンDiを移動経路に沿って移動させる。
つぎに、飛行制御装置Tiは、第2の移動制御部403により、取得した経路情報と、GPS受信機305の位置情報とに基づいて、位置取り変更地点に到達したか否かを判断する(ステップS907)。位置取り変更地点とは、ドローンDiの通行方式を変更する地点である。例えば、位置取り変更地点は、通行が一方向に限られた電線から、通行が一方向に限られていない電線に切り替わる地点、あるいは、通行が一方向に限られていない電線から、通行が一方向に限られた電線に切り替わる地点である。
ここで、位置取り変更地点に到達した場合(ステップS907:Yes)、飛行制御装置Tiは、第2の移動制御部403により、ドローンDiの通行方式を、上空通行から左側通行に変更するか否かを判断する(ステップS908)。そして、左側通行に変更する場合(ステップS908:Yes)、飛行制御装置Tiは、第2の移動制御部403により、第1の移動制御部402に対して、上空通行から左側通行への変更指示を送信して(ステップS909)、ステップS905に戻る。
一方、上空通行に変更する場合(ステップS908:No)、飛行制御装置Tiは、第2の移動制御部403により、第1の移動制御部402に対して、左側通行から上空通行への変更指示を送信して(ステップS910)、ステップS905に戻る。
また、ステップS907において、位置取り変更地点に到達していない場合(ステップS907:No)、飛行制御装置Tiは、第2の移動制御部403により、取得した経路情報と、GPS受信機305の位置情報とに基づいて、目的地点に到達したか否かを判断する(ステップS911)。
ここで、目的地点に到達していない場合(ステップS911:No)、飛行制御装置Tiは、ステップS906に戻る。一方、目的地点に到達した場合(ステップS911:Yes)、飛行制御装置Tiは、本フローチャートによる一連の処理を終了する。これにより、移動経路となる電線に沿ってドローンDiを正確に移動させることができる。
図10のフローチャートにおいて、飛行制御装置Tiは、各センサC3,C4により測定された、電線から生じる磁界の強さを示す測定結果を取得する(ステップS1001)。そして、飛行制御装置Tiは、第1の移動制御部402により、センサC3の測定結果に対するセンサC4の測定結果の比率rLRが、1.05未満であるか否かを判断する(ステップS1002)。
ここで、比率rLRが1.05以上の場合(ステップS1002:No)、飛行制御装置Tiは、第1の移動制御部402により、ドローンDiを右方に所定量移動させて(ステップS1003)、ステップS1001に戻る。一方、比率rLRが1.05未満の場合(ステップS1002:Yes)、飛行制御装置Tiは、比率rLRが0.95より大きいか否かを判断する(ステップS1004)。
比率rLRが0.95以下の場合(ステップS1004:No)、飛行制御装置Tiは、第1の移動制御部402により、ドローンDiを左方に所定量移動させて(ステップS1005)、ステップS1001に戻る。一方、比率rLRが0.95より大きい場合(ステップS1004:Yes)、飛行制御装置Tiは、各センサC1,C2により測定された、電線から生じる磁界の強さを示す測定結果を取得する(ステップS1006)。
そして、飛行制御装置Tiは、第1の移動制御部402により、取得した各センサC1,C2の測定結果と、センサC1,C2間の距離とに基づいて、ドローンDiと当該ドローンDiの下方にある電線との距離lU(高さ)を算出する(ステップS1007)。つぎに、飛行制御装置Tiは、第1の移動制御部402により、算出した距離lUが4m未満であるか否かを判断する(ステップS1008)。
ここで、距離lUが4m以上の場合(ステップS1008:No)、飛行制御装置Tiは、第1の移動制御部402により、ドローンDiを下方に所定量移動させて(ステップS1009)、ステップS1006に戻る。一方、距離lUが4m未満の場合(ステップS1008:Yes)、飛行制御装置Tiは、第1の移動制御部402により、距離lUが1.5mよりも大きいか否かを判断する(ステップS1010)。
ここで、距離lUが1.5m以下の場合(ステップS1010:No)、飛行制御装置Tiは、第1の移動制御部402により、ドローンDiを上方に所定量移動させて(ステップS1011)、ステップS1006に戻る。一方、距離lUが1.5mよりも大きい場合(ステップS1010:Yes)、飛行制御装置Tiは、第1の移動制御部402により、第2の移動制御部403に対して、位置取り完了通知を送信する(ステップS1012)。
そして、飛行制御装置Tiは、一定時間待機する(ステップS1013)。一定時間は、任意に設定可能であり、例えば、10秒〜15秒程度の時間に設定される。つぎに、飛行制御装置Tiは、第1の移動制御部402により、上空通行から左側通行への変更指示を第2の移動制御部403から受け付けたか否かを判断する(ステップS1014)。
ここで、上空通行から左側通行への変更指示を受け付けていない場合(ステップS1014:No)、飛行制御装置Tiは、ステップS1001に戻る。一方、上空通行から左側通行への変更指示を受け付けた場合(ステップS1014:Yes)、飛行制御装置Tiは、図11に示すステップS1101に移行する。
図10のフローチャートによれば、電線の真上であって、電線から1.5m〜4mの範囲内に収まるようにドローンDiを飛行させる制御を行うことができる。
図11のフローチャートにおいて、まず、飛行制御装置Tiは、第1の移動制御部402により、ドローンDiを左方に所定量移動させる(ステップS1101)。つぎに、飛行制御装置Tiは、各センサC2,C4の測定結果を取得する(ステップS1102)。そして、飛行制御装置Tiは、第1の移動制御部402により、センサC4の測定結果に対するセンサC2の測定結果の比率rRUが、1.05未満であるか否かを判断する(ステップS1103)。
ここで、比率rRUが1.05以上の場合(ステップS1103:No)、飛行制御装置Tiは、ステップS1101に戻る。一方、比率rRUが1.05未満の場合(ステップS1103:Yes)、飛行制御装置Tiは、第1の移動制御部402により、ドローンDiを下方に所定量移動させる(ステップS1104)。
つぎに、飛行制御装置Tiは、各センサC1,C2の測定結果を取得する(ステップS1105)。そして、飛行制御装置Tiは、第1の移動制御部402により、センサC1の測定結果に対するセンサC2の測定結果の比率rUDが、1.05未満であるか否かを判断する(ステップS1106)。
ここで、比率rUDが1.05以上の場合(ステップS1106:No)、飛行制御装置Tiは、ステップS1104に戻る。一方、比率rUDが1.05未満の場合には(ステップS1106:Yes)、飛行制御装置Tiは、図12に示すステップS1201に移行する。
図11のフローチャートによれば、ドローンDiの位置取りを電線の真上から左側に変更させて、上空通行から左側通行に変更することができる。
図12のフローチャートにおいて、飛行制御装置Tiは、各センサC1,C2により測定された、電線から生じる磁界の強さを示す測定結果を取得する(ステップS1201)。そして、飛行制御装置Tiは、第1の移動制御部402により、センサC2の測定結果に対するセンサC1の測定結果の比率rUDが、1.05未満であるか否かを判断する(ステップS1202)。
ここで、比率rUDが1.05以上の場合(ステップS1202:No)、飛行制御装置Tiは、第1の移動制御部402により、ドローンDiを下方に所定量移動させて(ステップS1203)、ステップS1201に戻る。一方、比率rUDが1.05未満の場合(ステップS1202:Yes)、飛行制御装置Tiは、比率rUDが0.95より大きいか否かを判断する(ステップS1204)。
比率rUDが0.95以下の場合(ステップS1204:No)、飛行制御装置Tiは、第1の移動制御部402により、ドローンDiを上方に所定量移動させて(ステップS1205)、ステップS1201に戻る。一方、比率rUDが0.95より大きい場合(ステップS1204:Yes)、飛行制御装置Tiは、各センサC3,C4により測定された、電線から生じる磁界の強さを示す測定結果を取得する(ステップS1206)。
そして、飛行制御装置Tiは、第1の移動制御部402により、取得した各センサC3,C4の測定結果と、センサC3,C4間の距離とに基づいて、ドローンDiと当該ドローンDiの右方にある電線との距離lRを算出する(ステップS1207)。つぎに、飛行制御装置Tiは、第1の移動制御部402により、算出した距離lRが3m未満であるか否かを判断する(ステップS1208)。
ここで、距離lRが3m以上の場合(ステップS1208:No)、飛行制御装置Tiは、第1の移動制御部402により、ドローンDiを右方に所定量移動させて(ステップS1209)、ステップS1206に戻る。一方、距離lRが3m未満の場合(ステップS1208:Yes)、飛行制御装置Tiは、第1の移動制御部402により、距離lRが1.5mよりも大きいか否かを判断する(ステップS1210)。
ここで、距離lRが1.5m以下の場合(ステップS1210:No)、飛行制御装置Tiは、第1の移動制御部402により、ドローンDiを左方に所定量移動させて(ステップS1211)、ステップS1206に戻る。一方、距離lRが1.5mよりも大きい場合(ステップS1210:Yes)、飛行制御装置Tiは、第1の移動制御部402により、第2の移動制御部403に対して、位置取り完了通知を送信する(ステップS1212)。
そして、飛行制御装置Tiは、一定時間待機する(ステップS1213)。つぎに、飛行制御装置Tiは、第1の移動制御部402により、左側通行から上空通行への変更指示を第2の移動制御部403から受け付けたか否かを判断する(ステップS1214)。
ここで、左側通行から上空通行への変更指示を受け付けていない場合(ステップS1214:No)、飛行制御装置Tiは、ステップS1201に戻る。一方、左側通行から上空通行への変更指示を受け付けた場合(ステップS1214:Yes)、飛行制御装置Tiは、図13に示すステップS1301に移行する。
図12のフローチャートによれば、電線の左側(真左)であって、電線から1.5m〜3mの範囲内に収まるようにドローンDiを飛行させる制御を行うことができる。
図13のフローチャートにおいて、まず、飛行制御装置Tiは、第1の移動制御部402により、ドローンDiを上方に所定量移動させる(ステップS1301)。つぎに、飛行制御装置Tiは、各センサC2,C4の測定結果を取得する(ステップS1302)。そして、飛行制御装置Tiは、第1の移動制御部402により、センサC4の測定結果に対するセンサC2の測定結果の比率rRUが、1.05未満であるか否かを判断する(ステップS1303)。
ここで、比率rRUが1.05以上の場合(ステップS1303:No)、飛行制御装置Tiは、ステップS1301に戻る。一方、比率rRUが1.05未満の場合(ステップS1303:Yes)、飛行制御装置Tiは、第1の移動制御部402により、ドローンDiを右方に所定量移動させる(ステップS1304)。
つぎに、飛行制御装置Tiは、各センサC3,C4の測定結果を取得する(ステップS1305)。そして、飛行制御装置Tiは、第1の移動制御部402により、センサC3の測定結果に対するセンサC4の測定結果の比率rLRが、1.05未満であるか否かを判断する(ステップS1306)。
ここで、比率rLRが1.05以上の場合(ステップS1306:No)、飛行制御装置Tiは、ステップS1304に戻る。一方、比率rLRが1.05未満の場合には(ステップS1306:Yes)、飛行制御装置Tiは、図10に示すステップS1001に移行する。
図13のフローチャートによれば、ドローンDiの位置取りを電線の左側から真上に変更させて、左側通行から上空通行に変更することができる。
以上説明したように、実施の形態にかかる飛行制御装置Tiによれば、ドローンDiに対して複数の方向それぞれに設けられた各センサCにより測定された電線から生じる磁界の強さに基づいて、ドローンDiと電線との相対的な位置関係を特定することができる。そして、飛行制御装置Tiによれば、特定した特定結果に基づいて、電線の横断面の水平方向における予め設定されたドローンDiと電線との相対的な位置にドローンDiを移動させることができる。また、飛行制御装置Tiによれば、移動経路となる電線の位置を特定する経路情報と、ドローンDiの位置情報とに基づいて、移動させた結果である電線とドローンDiとの相対的な位置関係を維持しつつ、ドローンDiを移動経路に沿って移動させることができる。
これにより、電線から生じる磁界の強さを利用して、電線に対するドローンDiの位置を制御可能となり、移動経路となる電線に沿ってドローンDiを正確に移動させることができる。
また、飛行制御装置Tiによれば、ドローンDiの左右方向について、比率rLRが閾値α以上の場合、ドローンDiを右方に所定量移動させ、比率rLRが閾値β以下の場合は、ドローンDiを左方に所定量移動させることができる。比率rLRは、ドローンDiの左方向に設けられたセンサC3の測定結果に対する、ドローンDiの右方向に設けられたセンサC4の測定結果の比率である。また、飛行制御装置Tiによれば、ドローンDiの上下方向について、距離lUが閾値γ以上の場合、ドローンDiを下方に所定量移動させ、距離lUが閾値δ以下の場合は、ドローンDiを上方に所定量移動させることができる。距離lUは、ドローンDiと当該ドローンDiの下方にある電線との距離である。
これにより、電線の真上であって、電線から所定の範囲内(δ<lU<γ)に収まるようにドローンDiを飛行させることが可能となり、ドローンDiの通行方式として、電線の真上を通行する上空通行を実現することができる。
また、飛行制御装置Tiによれば、ドローンDiの上下方向について、比率rUDが閾値α’以上の場合、ドローンDiを下方に所定量移動させ、比率rUDが閾値β’以下の場合は、ドローンDiを上方に所定量移動させることができる。比率rUDは、ドローンDiの下方向に設けられたセンサC2の測定結果に対する、ドローンDiの上方向に設けられたセンサC1の測定結果の比率である。また、飛行制御装置Tiによれば、ドローンDiの左右方向について、距離lRが閾値γ’以上の場合、ドローンDiを右方に所定量移動させ、距離lRが閾値δ’以下の場合は、ドローンDiを左方に所定量移動させることができる。距離lRは、ドローンDiと当該ドローンDiの右方にある電線との距離である。
これにより、電線の左側であって、電線から所定の範囲内(δ’<lR<γ’)に収まるようにドローンDiを飛行させることが可能となり、ドローンDiの通行方式として、電線の左側を通行する左側通行を実現することができる。
また、飛行制御装置Tiによれば、電線の真上から左側に位置取りを変更する場合、センサC4(右方向)の測定結果と、センサC2(下方向)の測定結果とが略一致するまで、ドローンDiを左方に所定量移動させることができる。さらに、飛行制御装置Tiによれば、センサC1(上方向)の測定結果と、センサC2(下方向)の測定結果とが略一致するまで、ドローンDiを下方に所定量移動させることができる。
これにより、ドローンDiの通行方式を、上空通行から左側通行に変更することができる。このため、例えば、移動経路上の位置取り変更地点等において、ドローンDiの通行方式を自動で切り替えることができる。
また、飛行制御装置Tiによれば、電線の左側から真上に位置取りを変更する場合、センサC4(右方向)の測定結果と、センサC2(下方向)の測定結果とが略一致するまで、ドローンDiを上方に所定量移動させることができる。さらに、飛行制御装置Tiによれば、センサC3(左方向)の測定結果と、センサC4(右方向)の測定結果とが略一致するまで、ドローンDiを右方に所定量移動させることができる。
これにより、ドローンDiの通行方式を、左側通行から上空通行に変更することができる。このため、例えば、移動経路上の位置取り変更地点等において、ドローンDiの通行方式を自動で切り替えることができる。
また、飛行制御装置Tiによれば、出発地点と目的地点との指定を受け付け、電線路を形成する電線ごとに、電線の位置を示す電線情報を参照して、指定された出発地点から目的地点に辿り着くまでの移動経路を探索することができる。そして、飛行制御装置Tiによれば、ドローンDiの位置情報に基づいて、移動させた結果である電線とドローンDiとの相対的な位置関係を維持しつつ、探索した移動経路に沿ってドローンDiを移動させることができる。
これにより、管理装置201と通信しなくても、出発地点から目的地点まで電線に沿って移動するための移動経路を得ることができる。
また、飛行制御装置Tiによれば、出発地点から目的地点に辿り着くまでに、通行が一方向に限られた電線のみを通行する移動経路を探索することができる。これにより、電線の真上を通行する上空通行を採用する場合に、ドローン同士が正面衝突してしまうのを防ぐことができる。
これらのことから、実施の形態にかかる飛行制御装置Tiおよび飛行制御システム200によれば、ドローンDiにカメラを搭載することなく、住宅街等における自動運転を可能にすることができる。これにより、ますます高まる個配要望に応えることができ、また、都市部や過疎地域への物資輸送等の効率を高めることができる。また、電線から生じる磁界の強さを測定することで、例えば、電線の被膜の劣化等の分析に役立てることができる。
なお、本実施の形態で説明した飛行経路特定方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。本飛行経路特定プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)−ROM、MO(Magneto−Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また、本飛行経路特定プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布してもよい。
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)無人航空機に対して複数の方向それぞれに設けられた各センサにより測定された電線から生じる磁界の強さに基づいて、前記無人航空機と前記電線との相対的な位置関係を特定し、特定した特定結果に基づいて、前記電線の横断面の水平方向における予め設定された前記無人航空機と前記電線との相対的な位置に前記無人航空機を移動させ、
移動経路となる電線の位置を特定する経路情報と、前記無人航空機の位置情報とに基づいて、前記移動させた結果である電線と前記無人航空機との相対的な位置関係を維持しつつ、前記無人航空機を前記移動経路に沿って移動させる、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする飛行経路特定プログラム。
(付記2)前記無人航空機の左右方向について、
前記無人航空機の左方向に設けられたセンサの測定結果に対する前記無人航空機の右方向に設けられたセンサの測定結果の比率が第1閾値以上の場合、前記無人航空機を右方に所定量移動させ、
前記比率が前記第1閾値より小さい第2閾値以下の場合、前記無人航空機を左方に所定量移動させ、
前記無人航空機の上下方向について、
前記無人航空機の上方向に設けられたセンサの測定結果と、前記無人航空機の下方向に設けられたセンサの測定結果とに基づいて、前記無人航空機と当該無人航空機の下方にある前記電線との距離を算出し、
算出した前記距離が第3閾値以上の場合、前記無人航空機を下方に所定量移動させ、
算出した前記距離が前記第3閾値より小さい第4閾値以下の場合、前記無人航空機を上方に所定量移動させる、
ことを特徴とする付記1に記載の飛行経路特定プログラム。
(付記3)前記無人航空機の上下方向について、
前記無人航空機の下方向に設けられたセンサの測定結果に対する前記無人航空機の上方向に設けられたセンサの測定結果の比率が第1閾値以上の場合、前記無人航空機を下方に所定量移動させ、
前記比率が前記第1閾値より小さい第2閾値以下の場合、前記無人航空機を上方に所定量移動させ、
前記無人航空機の左右方向について、
前記無人航空機の左方向に設けられたセンサの測定結果と、前記無人航空機の右方向に設けられたセンサの測定結果とに基づいて、前記無人航空機と当該無人航空機の右方にある前記電線との距離を算出し、
算出した前記距離が第3閾値以上の場合、前記無人航空機を右方に所定量移動させ、
算出した前記距離が前記第3閾値より小さい第4閾値以下の場合、前記無人航空機を左方に所定量移動させる、
ことを特徴とする付記1または2に記載の飛行経路特定プログラム。
(付記4)電線の真上から左側に位置取りを変更する場合、前記無人航空機の右方向に設けられたセンサの測定結果と、前記無人航空機の下方向に設けられたセンサの測定結果とが略一致するまで、前記無人航空機を左方に所定量移動させ、
前記無人航空機の上方向に設けられたセンサの測定結果と、前記無人航空機の下方向に設けられたセンサの測定結果とが略一致するまで、前記無人航空機を下方に所定量移動させる、
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする付記3に記載の飛行経路特定プログラム。
(付記5)出発地点と目的地点との指定を受け付け、
電線路を形成する電線ごとに、前記電線の位置を示す電線マップ情報を参照して、指定された前記出発地点から前記目的地点に辿り着くまでの移動経路を探索し、
前記無人航空機の位置情報に基づいて、前記移動させた結果である電線と前記無人航空機との相対的な位置関係を維持しつつ、探索した前記移動経路に沿って前記無人航空機を移動させる、
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の飛行経路特定プログラム。
(付記6)前記移動経路となる電線は、通行が一方向に限られた電線である、ことを特徴とする付記2に記載の飛行経路特定プログラム。
(付記7)電線の左側から真上に位置取りを変更する場合、前記無人航空機の右方向に設けられたセンサの測定結果と、前記無人航空機の下方向に設けられたセンサの測定結果とが略一致するまで、前記無人航空機を上方に所定量移動させ、
前記無人航空機の左方向に設けられたセンサの測定結果と、前記無人航空機の右方向に設けられたセンサの測定結果とが略一致するまで、前記無人航空機を右方に所定量移動させる、
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする付記4に記載の飛行経路特定プログラム。
(付記8)無人航空機に対して複数の方向それぞれに設けられた各センサにより測定された電線から生じる磁界の強さに基づいて、前記無人航空機と前記電線との相対的な位置関係を特定し、特定した特定結果に基づいて、前記電線の横断面の水平方向における予め設定された前記無人航空機と前記電線との相対的な位置に前記無人航空機を移動させ、
移動経路となる電線の位置を特定する経路情報と、前記無人航空機の位置情報とに基づいて、前記移動させた結果である電線と前記無人航空機との相対的な位置関係を維持しつつ、前記無人航空機を前記移動経路に沿って移動させる、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする飛行経路特定方法。
(付記9)無人航空機に対して複数の方向それぞれに設けられた各センサにより測定された電線から生じる磁界の強さを示す測定結果を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記各センサの測定結果に基づいて、前記無人航空機と前記電線との相対的な位置関係を特定し、特定した特定結果に基づいて、前記電線の横断面の水平方向における予め設定された前記無人航空機と前記電線との相対的な位置に前記無人航空機を移動させる第1の移動制御部と、
移動経路となる電線の位置を特定する経路情報と、前記無人航空機の位置情報とに基づいて、前記移動させた結果である電線と前記無人航空機との相対的な位置関係を維持しつつ、前記無人航空機を前記移動経路に沿って移動させる第2の移動制御部と、
を有することを特徴とする飛行制御装置。
(付記10)無人航空機に対して複数の方向それぞれに設けられ、電線から生じる磁界の強さを測定する各センサと、
前記各センサにより測定された測定結果を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記各センサの測定結果に基づいて、前記無人航空機と前記電線との相対的な位置関係を特定し、特定した特定結果に基づいて、前記電線の横断面の水平方向における予め設定された前記無人航空機と前記電線との相対的な位置に前記無人航空機を移動させる第1の移動制御部と、
移動経路となる電線の位置を特定する経路情報と、前記無人航空機の位置情報とに基づいて、前記移動させた結果である電線と前記無人航空機との相対的な位置関係を維持しつつ、前記無人航空機を前記移動経路に沿って移動させる第2の移動制御部と、
を含むことを特徴とする飛行制御システム。