本発明は、物質の有無を検出するセンサに関する。
従来、容器に貯留された液体や粉粒体等の物質の貯留レベルの検出や、配管を流通する物質の検出を行うセンサが利用されてきた。この種のセンサは電気信号に基づいて物質の検出を行う。このようなセンサの一例として、例えば下記に示すような静電容量式のものがある。
従来の静電容量式のセンサは、測定用電極間(互いに絶縁された検出電極と接地電極の間)の静電容量を回路に取り込み、この静電容量の変化を捉えることで測定用電極間に存在する物質の有無を検知する。すなわち、センサを容器や配管等に取り付け、空の状態である静電容量値と物質が満たされた状態である静電容量値の差を検出することにより、物質が所定量に達したか否か(測定用電極間に有るか無いか)を検知している。但し、物質が所定量に達したか否かを判断するために、静電容量式センサでは、予め静電容量の閾値を手動で設定する必要がある。
ここで、一般的に、静電容量式のセンサでは予め容器や配管等に物質が存在しない、所謂空の状態である時の静電容量の値と物質が満たされた状態である時の静電容量の値の間(例えば中間値)を基準として閾値が設定される。なお、以下では測定したい液体や粉粒体等の物質を単に「被測定物」と称して説明する。この閾値に対して、測定した静電容量の値が大きい場合には被測定物が存在している(所定量に達している)と判定し、測定した静電容量の値が小さい場合には被測定物が存在していない(所定量に達していない)と判定する。このような閾値は、可変抵抗器等を用いて手動で設定調整される。
上記記載の従来技術においては、被測定物に応じた閾値を予め設定する必要があり、このような閾値の設定は、ユーザにとって手間となっていた。これは、誘電率の低い被測定物と高い被測定物とでは設定幅(空の場合の静電容量値と満の場合の静電容量値の差)が異なる為、誘電率が異なる場合は、被測定物に応じた閾値の設定が必要になるからである。
また、計測中に被測定物の種類が変わったり、被測定物の誘電率が変化する場合には、従来の静電容量式センサでは、正しい判定ができず、その都度、閾値を再設定する必要があった。
また、被測定物が所定量に達した時に、測定用電極に被測定物が付着する場合には、その後、当該所定量から被測定物が減った状態になっていても、測定用電極に付着残留物が残るために、所定量に達していると誤判定してしまうことがあった。この場合も、付着物を考慮して、閾値を再設定する必要があった。
そこで、従来の課題であった上記の閾値の設定を自動化するセンサが求められる。
本発明に係るセンサの特徴構成は、静電容量とインダクタンス及び抵抗値のうちの一方との検出値に基づいて物質の有無を検出するセンサであって、前記物質の前記静電容量と前記インダクタンス及び前記抵抗値のうちの一方とに基づく電流値又は電圧値を検出値として検出する検出部を備え、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも大きい値を第1閾値として設定し、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、前記検出値よりも小さい値を第2閾値として設定し、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第2閾値を更新し、前記検出値が前記第2閾値以下となった場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第1閾値を更新し、前記検出値が、前記第1閾値を超えた場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以下である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力するように構成され、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも小さい値を第1閾値として設定し、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、前記検出値よりも大きい値を第2閾値として設定し、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第2閾値を更新し、前記検出値が前記第2閾値以上となった場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第1閾値を更新し、前記検出値が、前記第1閾値を下回った場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以上である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力するように構成されている点にある。
また、本発明に係るセンサの他の特徴構成は、静電容量とインダクタンス及び抵抗値のうち少なくともいずれか一方とからなるインピーダンス又はアドミッタンスに基づいて物質の有無を検出するセンサであって、前記物質の前記インピーダンス、前記アドミッタンス、前記インピーダンスの変化量、及び前記アドミッタンスの変化量のうちのいずれか一つを検出値として検出する検出部を備え、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも大きい値を第1閾値として設定し、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、前記検出値よりも小さい値を第2閾値として設定し、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第2閾値を更新し、前記検出値が前記第2閾値以下となった場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第1閾値を更新し、前記検出値が、前記第1閾値を超えた場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以下である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力するように構成され、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも小さい値を第1閾値として設定し、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、前記検出値よりも大きい値を第2閾値として設定しと、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第2閾値を更新し、前記検出値が前記第2閾値以上となった場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第1閾値を更新し、前記検出値が、前記第1閾値を下回った場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以上である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力するように構成されている点にある。
更に、本発明に係るセンサの他の特徴構成は、周波数に基づいて物質の有無を検出するセンサであって、前記物質のインピーダンスに応じた前記周波数、前記物質のアドミッタンスに応じた前記周波数、周波数に応じた電流値、及び周波数に応じた電圧値のいずれか一つの変化量を検出値として検出する検出部を備え、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも大きい値を第1閾値として設定し、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、前記検出値よりも小さい値を第2閾値として設定し、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第2閾値を更新し、前記検出値が前記第2閾値以下となった場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第1閾値を更新し、前記検出値が、前記第1閾値を超えた場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以下である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力するように構成され、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも小さい値を第1閾値として設定し、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、前記検出値よりも大きい値を第2閾値として設定し、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第2閾値を更新し、前記検出値が前記第2閾値以上となった場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第1閾値を更新し、前記検出値が、前記第1閾値を下回った場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以上である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力するように構成されている点にある。
更に、本発明に係るセンサの他の特徴構成は、抵抗値又は電導度に基づいて物質の有無を検出するセンサであって、前記物質の抵抗値及び前記物質の電導度のいずれか一つを検出値として検出する検出部を備え、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも大きい値を第1閾値として設定し、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、前記検出値よりも小さい値を第2閾値として設定し、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第2閾値を更新し、前記検出値が前記第2閾値以下となった場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第1閾値を更新し、前記検出値が、前記第1閾値を超えた場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以下である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力するように構成され、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも小さい値を第1閾値として設定し、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、前記検出値よりも大きい値を第2閾値として設定し、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第2閾値を更新し、前記検出値が前記第2閾値以上となった場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第1閾値を更新し、前記検出値が、前記第1閾値を下回った場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以上である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力するように構成されている点にある。
更に、本発明に係るセンサの他の特徴構成は、振動子に通電する電流の電流値、前記振動子から受信される電圧の電圧値、前記振動子のインピーダンス、及び前記振動子のアドミッタンスのいずれか一つに基づいて物質の有無を検出するセンサであって、前記いずれか一つの変化量を検出値として検出する検出部を備え、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも大きい値を第1閾値として設定し、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、前記検出値よりも小さい値を第2閾値として設定し、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第2閾値を更新し、前記検出値が前記第2閾値以下となった場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第1閾値を更新し、前記検出値が、前記第1閾値を超えた場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以下である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力するように構成され、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも小さい値を第1閾値として設定し、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、前記検出値よりも大きい値を第2閾値として設定し、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第2閾値を更新し、前記検出値が前記第2閾値以上となった場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第1閾値を更新し、前記検出値が、前記第1閾値を下回った場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以上である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力するように構成されている点にある。
このような特徴構成とすれば、検出位置において、検出対象の物質が存在すると判定する際に用いる第1閾値と、検出対象の物質が存在していないと判定する際に用いる第2閾値とを被測定物に応じて自動的に設定することができる。したがって、ユーザが閾値を手動で調整することなく、自動で設定することが可能となる。
また、前記第2閾値は、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、前記検出値のピーク値が更新された場合に更新され、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、前記検出値のボトム値が更新された場合に更新されると好適である。また、前記第1閾値は、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、前記検出値のボトム値が更新された場合に更新され、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、前記検出値のピーク値が更新された場合に更新されると好適である。
このような構成とすれば、検出対象の物質が存在していないと判定する際のマージンを大きくすることができる。したがって、例えば検出部に当該物質が付着して残留していた場合や外乱や経年変化等によって、検出対象の物質が存在していないにも拘らず、検出対象の物質が存在していると判定するような誤判定を防止できる。
また、前記第1閾値は、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、前記検出値よりも予め設定された第1幅だけ大きい値と、前記検出値の予め設定された割合の値とのうちのいずれかに設定及び更新され、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、前記検出値よりも予め設定された第1幅だけ小さい値と、前記検出値の予め設定された割合の値とのうちのいずれかに設定及び更新されると好適である。また、前記第2閾値は、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、前記検出値よりも予め設定された第2幅だけ小さい値と、前記検出値の予め設定された割合の値とのうちのいずれかに設定及び更新され、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、前記検出値よりも予め設定された第2幅だけ大きい値と、前記検出値の予め設定された割合の値とのうちのいずれかに設定及び更新されると好適である。
このような構成とすれば、検出対象の物質が存在していないと判定する際のマージンを大きくすることができる。したがって、検出対象の物質が存在しているにも拘らず、検出対象の物質が存在していないと判定するような誤判定を防止できる。
センサを容器に配置した場合の例を示した図である。
センサの構成を模式的に示した図である。
検出値に応じて設定される第1閾値及び第2閾値を示した図である。
1.第1の実施形態
本実施形態に係るセンサは、静電容量及び抵抗値に基づいて所定の検出対象の物質の有無を検出する際に用いる閾値を自動で設定することができるように構成される。すなわち、本センサによれば、従来、閾値の再設定が必要であった状況においても、閾値の自動設定と測定した静電容量及び抵抗値に基づいて検出対象の物質が存在するか否かを容易に判別することが可能である。以下、本実施形態のセンサ1について説明する。また、以下では、理解を容易にするために、検出対象の物質(被測定物)が所定の静電容量及び抵抗値を有する「液体」であるとして説明する。
図1には、センサ1を用いて容器2に液体が貯留されているか否かを判別する場合の例が示される。本実施形態では、センサ1は容器2の側面5に設けられる。もちろん、底部3側又は頂部4側に設けても良いし、更には、検知したい場所に適宜設けても良い。
ここで、センサ1は所謂レベルスイッチである。この種のレベルスイッチは公知であるので、詳細な説明は省略するが、後述する検出電極11Aと「接地部」の一例である接地電極11C(容器2が金属容器である場合には、接地電極11Cと接続されている容器2の壁面や底面等)との間の静電容量及び抵抗値は、容器2におけるセンサ1が設けられた位置まで液体が貯留されている時と、空の時(容器2が「空気」で満たされている時に相当)とで変化する。センサ1は、このような静電容量及び抵抗値の変化に基づき、検出対象の物質がセンサ1の位置まで達しているか否かを検出する。
図2は、センサ1の構成を模式的に示したブロック図である。図2に示されるように、センサ1は、検出部11、第1閾値設定部12、閾値記憶部13、ピーク値記憶部14、判定部15、第2閾値設定部16、第2閾値更新部17、第1閾値更新部18、出力部19、ボトム値記憶部20の各機能部を備えて構成される。これらの機能部は、適宜、ハードウェア又はソフトウェア或いはその両方で構築することが可能である。
検出部11は、図1に示されるように容器2内に挿入され、挿入された位置における物質を検出する。本実施形態では、検出部11は、図1に示されるようにロッド状に構成され、互いに絶縁された検出電極11A及び接地電極11Cを有する。検出電極11Aと接地電極11Cとは、絶縁部11Bにより絶縁される。本実施形態では、検出部11は、上記ロッド状の先端側から検出電極11A、絶縁部11B、接地電極11Cの順に配置される。容器2の内壁部が金属で構成される場合には、接地電極11Cは、当該内壁部と接続して構成しても良い。
検出部11は、検出電極11Aと接地電極11Cとに亘って存在する物質の静電容量及び抵抗値を検出値として検出する。本実施形態における静電容量及び抵抗値とは、静電容量及び抵抗値に応じた電流値である。したがって、静電容量及び抵抗値の双方に応じた電流値を検出する。具体的には、検出電極11Aと接地電極11Cとの間に所定の電圧を印加し、この時、検出電極11Aと接地電極11Cとの間で流れる電流の電流値が、「静電容量及び抵抗値の双方に応じた電流値」に相当し、検出部11はこのような電流値を検出する。センサ1は、このような検出電極11Aと接地電極11Cとの間の物質の静電容量及び抵抗値の電流値の変化に基づき、容器2における検出部11の位置まで液体の貯留レベルが達しているか否かを検出する。なお、本実施形態では、「検出値」を「静電容量及び抵抗値の電流値」と称して説明する。
ここで、図3の上段には、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値(図3では実線で記載)と、後述する第1閾値及び第2閾値とが示され、図3の下段には、センサ1による検出結果が示される。以下では、図2と共に、図3も参照しながら説明する。
例えば、前記物質(液体)が逐次容器2内に投入され、前記液体が前記検出部に近づく場合(残量レベルが上昇する場合)に前記検出値が大きくなる場合は、第1閾値設定部12は、検出部11が所定の検出位置に配置された時に、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも大きい値を第1閾値として設定する。「検出部11が所定の検出位置に配置された時」とは、容器2に検出部11が配置された時である。ここで、一般的には検出部11は容器2が空の状態において配置される。このため、検出部11が所定の検出位置に配置された時には、検出部11の検出結果として、検出位置において検出対象である物質が存在していない状態での検出電極11Aと接地電極11Cとの間の静電容量及び抵抗値の電流値が取得される。図3では、この時(t=t0)の静電容量及び抵抗値の電流値がI0として示される。
第1閾値設定部12は、この時の静電容量及び抵抗値の電流値I0よりも大きい値を第1閾値として設定する(#01)。「静電容量及び抵抗値の電流値I0よりも大きい値」とは、例えば静電容量及び抵抗値の電流値I0よりも、予め設定された第1幅だけ大きい値とすると好適である。「予め設定された第1幅」は、例えば被測定物の中で一番静電容量及び抵抗値の電流値が小さい物質でも後述する判定部15が被測定物が存在していると判定することができる静電容量及び抵抗値の電流値の増加幅に基づいて設定すると好適である。本実施形態では、第1幅が「5μA」であるとして説明する。したがって、第1閾値設定部12は、検出部11が所定の検出位置に配置された時には、この時の静電容量及び抵抗値の電流値よりも5μA大きい値を第1閾値として設定する。なお、この「5μA」は例示であり、他の値とすることも可能である。
閾値記憶部13は、センサ1により使用される各閾値を記憶する。「センサ1により使用される各閾値」とは、センサ1が検出対象の物質が存在しているか否かの判別を行うにあたり用いられる閾値である。具体的には、上述した第1閾値と、後述する第2閾値とが相当する。
ピーク値記憶部14は、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値のうち、ピーク値を記憶する。上述したように、閾値記憶部13に第1閾値が記憶された後に、容器2に検出対象である物質(液体)が投入されて残量レベルが上昇する。この物質(液体)の残量レベルの上昇に伴い、図3に示されるように、検出電極11Aと接地電極11Cとの間の静電容量及び抵抗値の電流値が増加する。ピーク値記憶部14は、検出部11から順次、検出結果が伝達され、ピーク値をホールドする。このピーク値記憶部14によるピーク値の記憶は、センサ1により検出対象の物質の存在の有無を判別する間、継続して行われ、現在、記憶しているピーク値より大きい静電容量及び抵抗値の電流値が検出された場合には、当該静電容量及び抵抗値の電流値でこれまでに記憶していたピーク値を更新する。
ボトム値記憶部20は、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値のうち、ボトム値を記憶する。ピーク値とは逆に、容器2における残量レベルの下降に伴い、図3に示されるように、検出電極11Aと接地電極11Cとの間の静電容量及び抵抗値の電流値は減少する。ボトム値記憶部20は、検出部11から順次、検出結果が伝達され、ボトム値をホールドする。このボトム値記憶部20によるボトム値の記憶は、センサ1により検出対象の物質の存在の有無を判別する間、継続して行われ、現在、記憶しているボトム値より小さい静電容量及び抵抗値の電流値が検出された場合には、当該静電容量及び抵抗値の電流値でこれまでに記憶していたボトム値を更新する。
判定部15は、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が第1閾値を超えたか否かを判定する。具体的には、判定部15には検出部11から順次、検出結果が伝達され、判定部15は検出結果が伝達されると、閾値記憶部13に現在、記憶されている第1閾値を参照して、伝達された検出結果に係る静電容量及び抵抗値の電流値が第1閾値よりも大きいか否かを判定する。
第2閾値設定部16は、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が第1閾値を超えた場合に、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも小さい値を第2閾値として設定する。検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が第1閾値を超えたか否かは、判定部15により判定され、その判定結果が伝達される。第2閾値設定部16は、判定部15からこのような判定結果が伝達されると(t=t1)、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも小さい値を第2閾値として設定する(#02)。このため、判定部15から第2閾値設定部16には、上述した判定結果と共に、当該判定結果に起因する検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値も伝達すると好適である。もちろん、検出部11から直接、第2閾値設定部16に伝達するように構成することも可能である。第2閾値設定部16により設定された第2閾値は、上述した閾値記憶部13に記憶される。
なお、「検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも小さい値」とは、例えば静電容量及び抵抗値の電流値よりも、予め設定された第2幅だけ小さい値とすると好適である。「予め設定された第2幅」は第1幅と同様の値でも良いし、異なる値を設定しても良い。また、第2幅は、例えば被測定物の中で一番静電容量及び抵抗値の電流値が小さい物質でも後述する判定部15が被測定物が存在していないと判定することができる静電容量及び抵抗値の電流値の減少幅に基づいて設定すると好適である。本実施形態では、第2閾値設定部16は、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が第1閾値を超えた時には、この時の静電容量及び抵抗値の電流値よりも5μA小さい値を第2閾値として設定する。なお、この「5μA」は例示であり、他の値とすることも可能である。
第2閾値更新部17は、第2閾値設定部16による第2閾値の設定後、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が第1閾値を超えた場合に、当該検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも小さい値に第2閾値を更新する。特に本実施形態では、第2閾値更新部17は、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が第1閾値を超えてピーク値が更新された場合に当該検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも小さい値に第2閾値を更新する。上述したように、第2閾値は第2閾値設定部16により設定される。また、判定部15は、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が閾値記憶部13に記憶されている第1閾値を超えたか否かを判定する。更に、ピーク値記憶部14に現在、記憶されているピーク値より大きい静電容量及び抵抗値の電流値が伝達された場合には、当該静電容量及び抵抗値の電流値でこれまでに記憶していたピーク値が更新される。第2閾値更新部17は、第2閾値の設定後、検出された静電容量及び抵抗値の電流値が第1閾値を超え、且つ、ピーク値記憶部14に記憶されているピーク値が更新された場合には(t=t2)、閾値記憶部13に記憶されている第2閾値を、この時の静電容量及び抵抗値の電流値よりも小さい値に更新する(#03)。なお、このような第2閾値更新部17による第2閾値の更新は、当該静電容量及び抵抗値の電流値が改めて第2閾値より小さくなるまでの間において(t=t3)、前回取り込まれた値よりも大きくなった場合に継続して行われる(#03〜#05)。
容器2の検出対象である物質(液体)が排出されるなどして残量レベルが下降に転じた結果、第1閾値更新部18は、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が第2閾値以下となった場合に、当該検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも大きい値に第1閾値を更新する。検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が第2閾値以下となったか否かは、判定部15が検出部11から検出結果が伝達された場合に、閾値記憶部13に記憶されている第2閾値を参照して判定する。第1閾値更新部18は、判定部15により検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が第2閾値以下となったと判定された場合に(t=t3)、閾値記憶部13に記憶されている第1閾値を、この時の静電容量及び抵抗値の電流値よりも大きい値に更新する。ここではピーク値とは逆に、第1閾値更新部18は、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値のボトム値が更新された場合に、この時の静電容量及び抵抗値の電流値よりも大きい値に第1閾値を更新する。この時、上述したように、静電容量及び抵抗値の電流値よりも第1幅だけ大きい値、すなわち、この時の静電容量及び抵抗値の電流値よりも5μA大きい値に更新すると好適である(#06)。このような第1閾値更新部18による第1閾値の更新は、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が、一旦、第2閾値以下となると(t=t3)、当該静電容量及び抵抗値の電流値が改めて第1閾値より大きくなるまでの間において(t=t4)、前回取り込まれた値よりも小さくなった場合に継続して行われる(#07)。なお、第1閾値更新部18により第1閾値が更新される時には、ピーク値記憶部14に記憶されているピーク値は一旦、リセットされ、例えばゼロ値をピーク値記憶部14に記憶するように構成しても良いし、あるいは、ピーク値記憶部14に記憶されているピーク値がリセットされずに、ピーク値記憶部14に検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値を上書きするように構成しても良い。また、第2閾値更新部17により第2閾値が更新される時には、上述したピーク値と同様に、ボトム値も一旦リセットされる。
出力部19は、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が、第1閾値より大きい場合は検出位置において物質が存在する状態であることを示し、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が第2閾値以下である場合は検出位置において物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力する。判定部15は、検出部11から検出結果が伝達されると、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が閾値記憶部13に記憶されている第1閾値よりも大きいか否かが判定され、更に、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が閾値記憶部13に記憶されている第2閾値以下であるか否かが判定される。出力部19には、このような判定部15の判定結果が伝達される。
本実施形態では、出力部19は、判定部15により検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が閾値記憶部13に記憶されている第1閾値よりも大きいと判定された場合には図3(t=t1からt=t3までの間、t=t4以降)に示されるように検出オン信号を出力し、判定部15により検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が閾値記憶部13に記憶されている第2閾値以下であると判定された場合には図3(t=t3からt=t4までの間)に示されるように検出オン信号の出力を停止する、もしくは検出オフ信号を出力する。これにより、「被測定物」が存在しているか否かを特定することが可能となる。もちろん、判定部15により検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が第1閾値よりも大きいと判定された場合に検出オフ信号を出力し、判定部15により検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が第2閾値以下であると判定された場合には検出オフ信号の出力を停止する、もしくは検出オン信号を出力する等のように異なる判定方法を用いて構成することも可能である。
また、仮に前記物質(液体)が前記検出部11に近づく場合(残量レベルが上昇する場合)に前記検出値が小さくなる場合は、第1閾値設定部12、第1閾値更新部18、第2閾値設定部16、及び第2閾値更新部17の各機能部の夫々が第1閾値及び第2閾値を設定する大小関係を反転すると良い。すなわち、「検出値のピーク値が更新された場合」は「検出値のボトム値が更新された場合」と読み替え、「検出値のボトム値が更新された場合」は「検出値のピーク値が更新された場合」と読み替えると良い。また、「第1閾値だけ大きい値」は「第1閾値だけ小さい値」と読み替え、「第2閾値だけ小さい値」は「第2閾値だけ大きい値」と読み替えると良い。
本センサ1では、このように第1閾値及び第2閾値を自動的に設定することができ、このように設定された第1閾値及び第2閾値に基づき検出対象の物質の存在の有無を適切に判別することが可能となる。また、従来の課題であった、被測定物に応じた閾値の設定や計測中に被測定物の種類が変わったり、被測定物の静電容量及び抵抗値の電流値が変化する場合の閾値の再設定、測定用電極に付着残留物が残る場合の閾値の再設定も不要になる。
2.第2の実施形態
上記第1の実施形態では、センサ1が静電容量及び抵抗値に応じた電流値に基づいて検出対象の物質の有無を検出する際に用いる閾値を自動で設定するとして説明した。第2の実施形態に係るセンサ1は、静電容量と抵抗値のアドミッタンスに基づいて検出対象の物質の有無を検出する際に用いる閾値を自動で設定する点で、上記第1の実施形態に係るセンサ1と異なる。それ以外の点については、第1の実施形態と同様であるので以下では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態では、図2に示すように検出部11は、互いに絶縁された検出電極11A及び接地電極11Cを有し、検出電極11Aと接地電極11Cとに亘って存在する物質の静電容量と抵抗値のアドミッタンスを検出する。
第1閾値設定部12は、検出部11が所定の検出位置に配置された時に、検出部11により検出された静電容量と抵抗値のアドミッタンスの値よりも大きい値を第1閾値として設定する。閾値記憶部13は、第1閾値設定部12により設定された第1閾値と、後述する第2閾値設定部16により設定された第2閾値とを記憶する。ピーク値記憶部14は、検出部11により検出された静電容量と抵抗値のアドミッタンスの値のうち、ピーク値を記憶する。ボトム値記憶部20は、検出部11により検出された周波数の値のうち、ボトム値を記憶する。
判定部15は、検出部11により検出された静電容量と抵抗値のアドミッタンスの値が第1閾値を超えたか否かを判定する。具体的には、判定部15には検出部11から順次、検出結果が伝達され、判定部15は検出結果が伝達されると、閾値記憶部13に現在、記憶されている第1閾値を参照して、伝達された検出結果に係る静電容量と抵抗値のアドミッタンスの値が第1閾値よりも大きいか否かを判定する。
第2閾値設定部16は、検出部11により検出された静電容量と抵抗値のアドミッタンスの値が第1閾値を超えた場合に、検出部11により検出された静電容量と抵抗値のアドミッタンスの値よりも小さい値を第2閾値として設定する。第2閾値設定部16により設定された第2閾値は、上述した閾値記憶部13に記憶される。
第2閾値更新部17は、第2閾値設定部16による第2閾値の設定後、検出部11により検出された静電容量と抵抗値のアドミッタンスの値が第1閾値を超えた場合に、当該検出部11により検出された静電容量と抵抗値のアドミッタンスの値よりも小さい値に第2閾値を更新する。特に本実施形態では、第2閾値更新部17は、検出部11により検出された静電容量と抵抗値のアドミッタンスの値が第1閾値を超えてピーク値が更新された場合に当該検出部11により検出された静電容量と抵抗値のアドミッタンスの値よりも小さい値に第2閾値を更新する。
第1閾値更新部18は、検出部11により検出された静電容量と抵抗値のアドミッタンスの値が第2閾値以下となり、ボトム値が更新された場合に、当該検出部11により検出された静電容量と抵抗値のアドミッタンスの値よりも大きい値に第1閾値を更新する。
出力部19は、検出部11により検出された静電容量と抵抗値のアドミッタンスの値が、第1閾値より大きい場合は検出位置において物質が存在する状態であることを示し、検出部11により検出された静電容量と抵抗値のアドミッタンスの値が第2閾値以下である場合は検出位置において物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力する。
本実施形態に係るセンサ1においても、第1閾値及び第2閾値を自動的に設定することができ、設定された第1閾値及び第2閾値に基づき検出対象の物質の存在の有無を適切に判別することが可能となる。また、従来の課題であった、被測定物に応じた閾値の設定や計測中に被測定物の種類が変わったり、被測定物の静電容量と抵抗値のアドミッタンスが変化する場合の閾値の再設定、測定用電極に付着残留物が残る場合の閾値の再設定も不要になる。
3.第3の実施形態
上記第1の実施形態では、センサ1が静電容量及び抵抗値に応じた電流値に基づいて検出対象の物質の有無を検出する際に用いる閾値を自動で設定するとして説明した。第3の実施形態に係るセンサ1は、周波数(共振周波数も含む)に基づいて検出対象の物質の有無を検出する際に用いる閾値を自動で設定する点で、上記第1の実施形態に係るセンサ1と異なる。それ以外の点については、第1の実施形態と同様であるので以下では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態では、図2に示すように検出部11は、互いに絶縁された検出電極11A及び接地電極11Cを有し、検出電極11Aと接地電極11Cとに亘って存在する物質のアドミッタンスに応じた周波数の変化量を検出する。
第1閾値設定部12は、検出部11が所定の検出位置に配置された時に、検出部11により検出されたアドミッタンスに応じた周波数の変化量の値よりも大きい値を第1閾値として設定する。閾値記憶部13は、第1閾値設定部12により設定された第1閾値と、後述する第2閾値設定部16により設定された第2閾値とを記憶する。ピーク値記憶部14は、検出部11により検出されたアドミッタンスに応じた周波数の変化量の値のうち、ピーク値を記憶する。ボトム値記憶部20は、検出部11により検出されたアドミッタンスに応じた周波数の変化量の値のうち、ボトム値を記憶する。
判定部15は、検出部11により検出されたアドミッタンスに応じた周波数の変化量の値が第1閾値を超えたか否かを判定する。具体的には、判定部15には検出部11から順次、検出結果が伝達され、判定部15は検出結果が伝達されると、閾値記憶部13に現在、記憶されている第1閾値を参照して、伝達された検出結果に係るアドミッタンスに応じた周波数の変化量の値が第1閾値よりも大きいか否かを判定する。
第2閾値設定部16は、検出部11により検出されたアドミッタンスに応じた周波数の変化量の値が第1閾値を超えた場合に、検出部11により検出されたアドミッタンスに応じた周波数の変化量の値よりも小さい値を第2閾値として設定する。第2閾値設定部16により設定された第2閾値は、上述した閾値記憶部13に記憶される。
第2閾値更新部17は、第2閾値設定部16による第2閾値の設定後、検出部11により検出されたアドミッタンスに応じた周波数の変化量の値が第1閾値を超えた場合に、当該検出部11により検出されたアドミッタンスに応じた周波数の変化量の値よりも小さい値に第2閾値を更新する。特に本実施形態では、第2閾値更新部17は、検出部11により検出されたアドミッタンスに応じた周波数の変化量の値が第1閾値を超えてピーク値が更新された場合に当該検出部11により検出されたアドミッタンスに応じた周波数の変化量の値よりも小さい値に第2閾値を更新する。
第1閾値更新部18は、検出部11により検出されたアドミッタンスに応じた周波数の変化量の値が第2閾値以下となり、ボトム値が更新された場合に、当該検出部11により検出されたアドミッタンスに応じた周波数の変化量の値よりも大きい値に第1閾値を更新する。
出力部19は、検出部11により検出されたアドミッタンスに応じた周波数の変化量の値が、第1閾値より大きい場合は検出位置において物質が存在する状態であることを示し、検出部11により検出されたアドミッタンスに応じた周波数の変化量の値が第2閾値以下である場合は検出位置において物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力する。
本実施形態に係るセンサ1においても、第1閾値及び第2閾値を自動的に設定することができ、設定された第1閾値及び第2閾値に基づき検出対象の物質の存在の有無を適切に判別することが可能となる。また、従来の課題であった、被測定物に応じた閾値の設定や計測中に被測定物の種類が変わったり、被測定物のアドミッタンスに応じた周波数の変化量が変化する場合の閾値の再設定、測定用電極に付着残留物が残る場合の閾値の再設定も不要になる。
4.第4の実施形態
上記第1の実施形態では、センサ1が静電容量及び抵抗値に応じた電流値に基づいて検出対象の物質の有無を検出する際に用いる閾値を自動で設定するとして説明した。第4の実施形態に係るセンサ1は、電導度に基づいて検出対象の物質の有無を検出する際に用いる閾値を自動で設定する点で、上記第1の実施形態に係るセンサ1と異なる。それ以外の点については、第1の実施形態と同様であるので以下では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態では、図2に示すように検出部11は、互いに絶縁された検出電極11A及び接地電極11Cを有し、検出電極11Aと接地電極11Cとに亘って存在する物質の電導度を検出する。センサ1は、このような検出電極11Aと接地電極11Cとの間の物質の電導度の変化に基づき、容器2における検出部11の位置まで液体の貯留レベルが達しているか否かを検出する。
第1閾値設定部12は、検出部11が所定の検出位置に配置された時に、検出部11により検出された電導度の値よりも大きい値を第1閾値として設定する。閾値記憶部13は、第1閾値設定部12により設定された第1閾値と、後述する第2閾値設定部16により設定された第2閾値とを記憶する。ピーク値記憶部14は、検出部11により検出された電導度の値のうち、ピーク値を記憶する。ボトム値記憶部20は、検出部11により検出された電導度のうち、ボトム値を記憶する。
判定部15は、検出部11により検出された電導度の値が第1閾値を超えたか否かを判定する。具体的には、判定部15には検出部11から順次、検出結果が伝達され、判定部15は検出結果が伝達されると、閾値記憶部13に現在、記憶されている第1閾値を参照して、伝達された検出結果に係る電導度の値が第1閾値よりも大きいか否かを判定する。
第2閾値設定部16は、検出部11により検出された電導度の値が第1閾値を超えた場合に、検出部11により検出された電導度の値よりも小さい値を第2閾値として設定する。第2閾値設定部16により設定された第2閾値は、上述した閾値記憶部13に記憶される。
第2閾値更新部17は、第2閾値設定部16による第2閾値の設定後、検出部11により検出された電導度の値が第1閾値を超えた場合に、当該検出部11により検出された電導度の値よりも小さい値に第2閾値を更新する。特に本実施形態では、第2閾値更新部17は、検出部11により検出された電導度の値が第1閾値を超えてピーク値が更新された場合に当該検出部11により検出された電導度の値よりも小さい値に第2閾値を更新する。
第1閾値更新部18は、検出部11により検出された電導度の値が第2閾値以下となりボトム値が更新された場合に、当該検出部11により検出された電導度の値よりも大きい値に第1閾値を更新する。
出力部19は、検出部11により検出された電導度の値が、第1閾値より大きい場合は検出位置において物質が存在する状態であることを示し、検出部11により検出された電導度の値が第2閾値以下である場合は検出位置において物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力する。
本実施形態に係るセンサ1においても、このように第1閾値及び第2閾値を自動的に設定することができ、このように設定された第1閾値及び第2閾値に基づき検出対象の物質の存在の有無を適切に判別することが可能となる。また、従来の課題であった、被測定物に応じた閾値の設定や計測中に被測定物の種類が変わったり、被測定物の電導度が変化する場合の閾値の再設定、測定用電極に付着残留物が残る場合の閾値の再設定も不要になる。
5.その他の実施形態
上記第1の実施形態では、センサ1が静電容量及び抵抗値に応じた電流値に基づいて検出対象の物質の有無を検出する場合の例を挙げ、検出部11が物質の静電容量及び抵抗値の電流値を検出するとして説明した。センサ1は、静電容量とインダクタンス及び抵抗値のうち少なくともいずれか一方とから電流値又は電圧値に基づいて物質の有無を検出するように構成することも可能である。係る場合、検出部11は、上記第1の実施形態に係る静電容量及び抵抗値に応じた電流値を検出する以外に、静電容量及びインダクタンスに応じた電流値を検出するように構成することも可能である。或いは、検出部11は、静電容量及び抵抗値に応じた電圧値を検出するように構成することも可能である。更に、検出部11は、静電容量及びインダクタンスに応じた電圧値を検出するように構成することも可能である。これらの場合であっても、検出部11が検出する電流値又は電圧値に応じて、第1閾値及び第2閾値の夫々を、設定及び更新することは可能である。したがって、上述した第1の実施形態と同様に、適切に物質の有無を検出することが可能となる。
上記第2の実施形態では、検出部11が静電容量と抵抗値のアドミッタンスに基づいて検出対象の物質の有無を検出するとして説明した。しかしながら、検出部11は、静電容量と抵抗値のインピーダンスに基づいて検出するように構成することも可能である。係る場合には、第1閾値設定部12は検出部11が所定の検出位置に配置された時に、検出部11により検出された静電容量と抵抗値のインピーダンスの値よりも小さい値を第1閾値として設定し、第2閾値設定部16は検出部11により検出された静電容量と抵抗値のインピーダンスの値が第1閾値を下回った場合に、検出部11により検出された静電容量と抵抗値のインピーダンスの値よりも大きい値を第2閾値として設定するように構成される。また、第2閾値更新部17は、第2閾値の設定後、検出部11により検出された静電容量と抵抗値のインピーダンスの値が第1閾値を下回った場合に、当該検出部11により検出された静電容量と抵抗値のインピーダンスの値よりも大きい値に第2閾値を更新し、第1閾値更新部18は検出部11により検出された静電容量と抵抗値のインピーダンスの値が第2閾値以上となった場合に、当該検出部11により検出された静電容量と抵抗値のインピーダンスの値よりも小さい値に第1閾値を更新するように構成される。更に、出力部19は検出部11により検出された静電容量と抵抗値のインピーダンスの値が、第1閾値を下回った場合は検出位置において物質が存在する状態であることを示し、検出部11により検出された静電容量と抵抗値のインピーダンスの値が第2閾値以上である場合は検出位置において物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力するように構成される。
このような場合であっても、第1閾値及び第2閾値の夫々を、設定及び更新することは可能である。したがって、上述した第1の実施形態と同様に、適切に物質の有無を検出することが可能となる。
上記第3の実施形態では、検出部11が物質のアドミッタンスに応じた周波数の変化量を検出して検出対象の物質の有無を検出するとして説明した。しかしながら、検出部11は、一定の電圧又は電流の周波数に応じた電流値又は電圧値の変化量を検出するように構成することも可能である。その場合は、一定の電圧(又は電流)の周波数を変化させて、そこの電流値(または電圧値)の変化量を検出すると良い。また、検出部11は、物質のインピーダンスに応じた前記周波数の変化量を検出するように構成することも可能である。係る場合には、第1閾値設定部12は検出部11が所定の検出位置に配置された時に、検出部11により検出されたインピーダンスに応じた前記周波数の変化量の値よりも小さい値を第1閾値として設定し、第2閾値設定部16は検出部11により検出されたインピーダンスに応じた前記周波数の変化量が第1閾値を下回った場合に、検出部11により検出されたインピーダンスに応じた前記周波数の変化量よりも大きい値を第2閾値として設定するように構成される。また、第2閾値更新部17は、第2閾値の設定後、検出部11により検出されたインピーダンスに応じた前記周波数の変化量が第1閾値を下回った場合に、当該検出部11により検出されたインピーダンスに応じた前記周波数の変化量よりも大きい値に第2閾値を更新し、第1閾値更新部18は検出部11により検出されたインピーダンスに応じた前記周波数の変化量が第2閾値以上となった場合に、当該検出部11により検出されたインピーダンスに応じた前記周波数の変化量よりも小さい値に第1閾値を更新するように構成される。更に、出力部19は検出部11により検出されたインピーダンスに応じた前記周波数の変化量が、第1閾値を下回った場合は検出位置において物質が存在する状態であることを示し、検出部11により検出されたインピーダンスに応じた前記周波数の変化量が第2閾値以上である場合は検出位置において物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力するように構成される。
このような場合であっても、第1閾値及び第2閾値の夫々を、設定及び更新することは可能である。したがって、上述した第1の実施形態と同様に、適切に物質の有無を検出することが可能となる。
上記第4の実施形態では、検出部11が電導度に基づいて検出対象の物質の有無を検出するとして説明した。しかしながら、検出部11は、抵抗値に基づいて検出するように構成することも可能である。係る場合には、第1閾値設定部12は検出部11が所定の検出位置に配置された時に、検出部11により検出された抵抗値の値よりも小さい値を第1閾値として設定し、第2閾値設定部16は検出部11により検出された抵抗値の値が第1閾値を下回った場合に、検出部11により検出された抵抗値の値よりも大きい値を第2閾値として設定するように構成される。また、第2閾値更新部17は、第2閾値の設定後、検出部11により検出された静抵抗値の値が第1閾値を下回った場合に、当該検出部11により検出された抵抗値の値よりも大きい値に第2閾値を更新し、第1閾値更新部18は検出部11により検出された抵抗値の値が第2閾値以上となった場合に、当該検出部11により検出された抵抗値の値よりも小さい値に第1閾値を更新するように構成される。更に、出力部19は検出部11により検出された抵抗値の値が、第1閾値を下回った場合は検出位置において物質が存在する状態であることを示し、検出部11により検出された抵抗値の値が第2閾値以上である場合は検出位置において物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力するように構成される。
このような場合であっても、第1閾値及び第2閾値の夫々を、設定及び更新することは可能である。したがって、上述した第1の実施形態と同様に、適切に物質の有無を検出することが可能となる。
上記第1の実施形態−第4の実施形態では、検出対象の物質(被測定物)が「液体」であり、空の時は容器2が「空気」で満たされている時であるとして説明したが、検出対象の物質は「液体」以外に、粉粒体、固体、気体等の物質であっても良いし、検出対象の物質が存在していない時は「空気」以外であっても良い。
上記第1の実施形態−第4の実施形態では、センサ1が容器2に貯留される液体の貯留レベルを検出する場合の例を挙げて説明したが、センサ1で配管等の容器以外のものを流通若しくは貯留する物質が検出対象の物質であるか否かの判別に用いることも可能である。また、センサ1を容器や配管等とは異なる任意の場所に設け、センサ1の周囲(センサ1から予め設定された範囲内)に検出対象の物質が存在しているか否かの判別に用いることも可能である。
上記第1の実施形態−第4の実施形態では、検出部11はロッド状に構成されているとして説明したが、検出部11は円形状に構成しても良いし、平型状に構成しても良い。もちろん、他の形状で構成することも可能である。また、検出部11全体又は一部が樹脂等で被覆されていても良い。いずれの場合であっても、2つの電極(検出電極11Aと接地電極11Cに相当する電極)があり、それらは互いに絶縁されるように構成すると良い。
上記第1の実施形態では、センサ1では第1閾値及び第2閾値が設定されるとして説明したが、第1閾値及び第2閾値は夫々個別に設定しても良いし、共通の1つの閾値として設定しても良い。特に、1つの閾値として設定する場合には、閾値記憶部13に記憶される閾値が1つとなり、判定部15は静電容量及び抵抗値の電流値が閾値記憶部13に記憶されている閾値を超えたか否かの判定、及び静電容量及び抵抗値の電流値が閾値記憶部13に記憶されている閾値以下であるか否かの判定を行うように構成すると良い。なお、このように1つの閾値とする場合には、「第1閾値設定部」及び「第2閾値設定部」は1つの「閾値設定部」とし、「第1閾値更新部」及び「第2閾値更新部」は1つの「閾値更新部」としても良い。また、1つの閾値とする場合には、閾値記憶部13の記憶容量を低減することが可能となる。もちろん、上記構成は第2の実施形態−第4の実施形態に適用することが可能である。
上記第1の実施形態では、第2閾値更新部17が検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも小さい値に第2閾値を更新する、具体的には第2閾値更新部17は、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が第1閾値を超えてピーク値が更新された場合に当該検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも小さい値に第2閾値を更新するとして説明した。しかしながら、第2閾値更新部17は、ピーク値記憶部14に記憶されているピーク値が更新されたか否かに拘らず、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも小さい値に第2閾値を更新するように構成することも可能である。また、ピーク値が更新されたことが別の方法で判別できれば、特にピーク値記憶部14を設けなくても良い。
また、上記第1の実施形態では、第1閾値更新部18が検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも大きい値に第1閾値を更新する、具体的には第1閾値更新部18は、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が第2閾値以下になりボトム値が更新された場合に当該検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも大きい値に第1閾値を更新するとして説明した。しかしながら、第1閾値更新部18は、ボトム値記憶部20に記憶されているボトム値が更新されたか否かに拘らず、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも大きい値に第1閾値を更新するように構成することも可能である。また、ボトム値が更新されたことが別の方法で判別できれば、特にボトム値記憶部20を設けなくても良い。
また、第1閾値更新部18は、ボトム値記憶部20に記憶されているボトム値が更新されたか否かに拘らず、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも予め設定された第1幅だけ大きい値と、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値の予め設定された割合の値(例えば105%の値)とのいずれかに第1閾値を更新するように構成することも可能である。また、第2閾値更新部17は、ピーク値記憶部14に記憶されているピーク値が更新されたか否かに拘らず、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも予め設定された第2幅だけ小さい値と、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値の予め設定された割合の値(例えば95%の値)とのいずれかに第2閾値を更新するように構成することも可能である。また、計測の状況に応じて、第1幅及び第2幅の少なくともいずれか一方を自由に変更することができる機能を付加することも可能である。もちろん、上記構成は第2の実施形態から第4の実施形態に適用することも可能である。
上記第1の実施形態では、センサ1は、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値のうち、ピーク値を記憶するピーク値記憶部14とボトム値を記憶するボトム値記憶部20とを備え、第2閾値更新部17は、ピーク値が更新された場合に第2閾値を更新し、第1閾値更新部18は、ボトム値が更新された場合に第1閾値を更新するとして説明したが、センサ1はピーク値記憶部14とボトム値記憶部20とを備えなくても良い。この場合、第2閾値更新部17は、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が、現在の第1閾値(現在設定されている第1閾値)を超えた場合に、第2閾値を更新するように構成することでも可能である。また、第1閾値更新部18は、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が、現在の第2閾値(現在設定されている第2閾値)以下になった場合に、第1閾値を更新するように構成することが可能である。もちろん、このような構成は第2の実施形態から第4の実施形態に適用することも可能である。
上記実施形態では、第1閾値設定部12は検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも第1幅だけ大きい値を第1閾値として設定し、第1閾値更新部18は検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも第1幅だけ大きい値に第1閾値を更新するとして説明したが、第1幅は状況に応じて適宜変更することも可能であるし、第1幅自体を設けなくても良い。また、上記実施形態では、第1閾値更新部18は検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも予め設定された割合の値を第1閾値として更新するとして説明したが、第1閾値設定部12も検出された静電容量及び抵抗値の電流値の予め設定された割合の値を第1閾値として設定することも可能である。なお、予め設定された割合の値は状況に応じて適宜変更することも可能であるし、予め設定した割合の値自体を設けなくても良い。もちろん、このような構成は第2の実施形態から第4の実施形態に適用することも可能である。
上記実施形態では、第2閾値設定部16は検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも第2幅だけ小さい値を第2閾値として設定し、第2閾値更新部17は検出された静電容量及び抵抗値よりも第2幅だけ小さい値に第2閾値を更新するとして説明したが、第2幅は状況に応じて適宜変更することも可能であるし、第2幅自体を設けなくても良い。また、上記実施形態では、第2閾値更新部17は検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも予め設定された割合の値を第2閾値として更新するとして説明したが、第2閾値設定部16も検出された静電容量及び抵抗値の電流値の予め設定された割合の値を第2閾値として設定することも可能である。なお、予め設定された割合の値は状況に応じて適宜変更することも可能であるし、予め設定した割合の値自体を設けなくても良い。もちろん、このような構成は第2の実施形態から第4の実施形態に適用することも可能である。
上記第1の実施形態では、静電容量及び抵抗値の電流値に基づいて物質の有無を検出するセンサ1について説明し、上記第2の実施形態では静電容量及び抵抗値のアドミッタンスに基づいて物質の有無を検出するセンサ1について説明し、上記第3の実施形態では周波数に基づいて物質の有無を検出するセンサ1について説明し、上記第4の実施形態では電導度に基づいて物質の有無を検出するセンサ1について説明した。例えば、センサ1を、振動子に通電する電流の電流値又は振動子から受信される電圧の電圧値又は前記振動子のインピーダンス又はアドミッタンスのうちのいずれか一つの変化量に基づいて物質の有無を検出するように構成することも可能である。係る場合には、上記第1の実施形態−第4の実施形態では、検出部11が互いに絶縁された検出電極11Aと接地電極11Cとを備えていたが、検出部11を一つの検出体(「検出電極11A」の一例)で構成し、検出部11が振動子に通電する電流の電流値又は振動子から受信される電圧の電圧値又は前記振動子のインピーダンス又はアドミッタンスのうちのいずれか一つの変化量を検出すると良い。このように構成することで、例えば一つの検出体に振動子(例えば圧電素子や超音波振動子等)を直結し、当該振動子から発信された信号の受信波や受信された振動等に応じた電流値や電圧値の変化量(電流や周波数の変化量)やアドミッタンスの変化量によって、物質の有無を検出することができる。なお、説明は省略するが、このような検出部11を備えたセンサ1にあっても、上述した実施形態(「その他の実施形態を含む」)と同様に各機能部を備えて構成することで、第1閾値及び第2閾値の夫々を、設定及び更新することが可能である。したがって、上述した実施形態と同様に、適切に物質の有無を検出することが可能となる。
なお、検出部11が振動子のインピーダンスの変化量に基づいて物質の有無を検出するように構成することも可能である。係る場合には、第1閾値設定部12は検出部11が所定の検出位置に配置された時に、検出部11により検出された変化量の値よりも小さい値を第1閾値として設定し、第2閾値設定部16は検出部11により検出された変化量の値が第1閾値を下回った場合に、検出部11により検出された変化量の値よりも大きい値を第2閾値として設定するように構成される。また、第2閾値更新部17は、第2閾値の設定後、検出部11により検出された変化量の値が第1閾値を下回った場合に、当該検出部11により検出された変化量の値よりも大きい値に第2閾値を更新し、第1閾値更新部18は検出部11により検出された変化量の値が第2閾値以上となった場合に、当該検出部11により検出された変化量の値よりも小さい値に第1閾値を更新するように構成される。更に、出力部19は検出部11により検出された変化量の値が、第1閾値を下回った場合は検出位置において物質が存在する状態であることを示し、検出部11により検出された変化量の値が第2閾値以上である場合は検出位置において物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力するように構成される。
このような場合であっても、第1閾値及び第2閾値の夫々を、設定及び更新することは可能である。したがって、適切に物質の有無を検出することが可能となる。
更に、振動子は、上述したように、送信(自分で振動)する振動子(電気を振動に変える振動子)と受信する振動子(振動を電気に変える振動子)とを単一の振動子を用いて構成しても良いし、互いに異なる複数の振動子を用いて構成しても良い。
上述した検出部11が物質のインピーダンスを検出値として検出する場合、物質のインピーダンスに応じた周波数を検出する場合、及び振動子のインピーダンスの変化量を検出する場合における、第1閾値設定部12、第1閾値更新部18、第2閾値設定部16、及び第2閾値更新部17の各機能部は、検出部11が物質のアドミッタンスを検出値として検出する場合、物質のアドミッタンスに応じた周波数を検出する場合、及び振動子のアドミッタンスの変化量を検出する場合における、第1閾値設定部12、第1閾値更新部18、第2閾値設定部16、及び第2閾値更新部17の各機能部の夫々が第1閾値及び第2閾値を設定する大小関係を反転すると良い。すなわち、「検出値のピーク値が更新された場合」は「検出値のボトム値が更新された場合」と読み替え、「検出値のボトム値が更新された場合」は「検出値のピーク値が更新された場合」と読み替えると良い。また、「第1閾値だけ大きい値」は「第1閾値だけ小さい値」と読み替え、「第2閾値だけ小さい値」は「第2閾値だけ大きい値」と読み替えると良い。
ここで、センサ1は、静電容量とインダクタンス及び抵抗値のうち少なくともいずれか一方とからなるインピーダンスに基づいて物質の有無を検出するように構成しても良いし、静電容量とインダクタンス及び抵抗値のうち少なくともいずれか一方とに応じたインピーダンスに係る電流値に基づいて物質の有無を検出するように構成しても良いし、静電容量とインダクタンス及び抵抗値のうち少なくともいずれか一方とに応じたアドミッタンスに係る電流値に基づいて物質の有無を検出するように構成しても良い。当該インピーダンスに係る電流値に基づいて物質の有無を検出するように構成する場合には、検出部11はインピーダンスに係る電流値を検出値として検出するように構成すると良く、当該アドミッタンスに係る電流値に基づいて物質の有無を検出するように構成する場合には、検出部11はアドミッタンスに係る電流値を検出値として検出するように構成すると良い。
また、上記のように電流値を検出値として検出する場合には、検出電極11Aと接地電極11Cとに亘って一定の電圧Vを印加することにより、下記の式などを用いることで上述した第1の実施形態〜第4の実施形態と同様に構成することが可能である。
(1)インピーダンスZの場合の電流値I=V/Z
(2)アドミッタンスYの場合の電流値I=V×Y
センサ1の各種実施形態について説明したが、センサ1の構成は以下のように換言できる。
静電容量とインダクタンス及び抵抗値のうちの一方との検出値に基づいて物質の有無を検出するセンサは、前記物質の前記静電容量と前記インダクタンス及び前記抵抗値のうちの一方とに基づく電流値又は電圧値を検出値として検出する検出部を備えている。
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、
第1閾値設定部は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも大きい値を第1閾値として設定し、
第2閾値設定部は、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、前記検出値よりも小さい値を第2閾値として設定し、
第2閾値更新部は、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第2閾値を更新し、
第1閾値更新部は、前記検出値が前記第2閾値以下となった場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第1閾値を更新し、
出力部は、前記検出値が、前記第1閾値を超えた場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以下である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力する。
一方、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、
第1閾値設定部は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも小さい値を第1閾値として設定し、
第2閾値設定部は、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、前記検出値よりも大きい値を第2閾値として設定し、
第2閾値更新部は、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第2閾値を更新し、
第1閾値更新部は、前記検出値が前記第2閾値以上となった場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第1閾値を更新し、
出力部は、前記検出値が、前記第1閾値を下回った場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以上である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力する。
また、静電容量とインダクタンス及び抵抗値のうち少なくともいずれか一方とからなるインピーダンス又はアドミッタンスに基づいて物質の有無を検出するセンサは、前記物質の前記インピーダンス、前記アドミッタンス、前記インピーダンスの変化量、及び前記アドミッタンスの変化量のうちのいずれか一つを検出値として検出する検出部を備えている。
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、
第1閾値設定部は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも大きい値を第1閾値として設定し、
第2閾値設定部は、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、前記検出値よりも小さい値を第2閾値として設定し、
第2閾値更新部は、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第2閾値を更新し、
第1閾値更新部は、前記検出値が前記第2閾値以下となった場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第1閾値を更新し、
出力部は、前記検出値が、前記第1閾値を超えた場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以下である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力する。
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、
第1閾値設定部は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも小さい値を第1閾値として設定し、
第2閾値設定部は、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、前記検出値よりも大きい値を第2閾値として設定しと、
第2閾値更新部は、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第2閾値を更新し、
第1閾値更新部は、前記検出値が前記第2閾値以上となった場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第1閾値を更新し、
出力部は、前記検出値が、前記第1閾値を下回った場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以上である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力する。
また、周波数に基づいて物質の有無を検出するセンサは、前記物質のインピーダンスに応じた前記周波数、前記物質のアドミッタンスに応じた前記周波数、周波数に応じた電流値、及び周波数に応じた電圧値のいずれか一つの変化量を検出値として検出する検出部を備えている。
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、
第1閾値設定部は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも大きい値を第1閾値として設定し、
第2閾値設定部は、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、前記検出値よりも小さい値を第2閾値として設定し、
第2閾値更新部は、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第2閾値を更新し、
第1閾値更新部は、前記検出値が前記第2閾値以下となった場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第1閾値を更新し、
出力部は、前記検出値が、前記第1閾値を超えた場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以下である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力する。
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、
第1閾値設定部は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも小さい値を第1閾値として設定し、
第2閾値設定部は、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、前記検出値よりも大きい値を第2閾値として設定し、
第2閾値更新部は、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第2閾値を更新し、
第1閾値更新部は、前記検出値が前記第2閾値以上となった場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第1閾値を更新し、
出力部は、前記検出値が、前記第1閾値を下回った場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以上である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力する。
また、抵抗値又は電導度に基づいて物質の有無を検出するセンサは、前記物質の抵抗値及び前記物質の電導度のいずれか一つを検出値として検出する検出部を備えている。
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、
第1閾値設定部は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも大きい値を第1閾値として設定し、
第2閾値設定部は、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、前記検出値よりも小さい値を第2閾値として設定し、
第2閾値更新部は、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第2閾値を更新し、
第1閾値更新部は、前記検出値が前記第2閾値以下となった場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第1閾値を更新し、
出力部は、前記検出値が、前記第1閾値を超えた場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以下である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力する。
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、
第1閾値設定部は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも小さい値を第1閾値として設定し、
第2閾値設定部は、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、前記検出値よりも大きい値を第2閾値として設定し、
第2閾値更新部は、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第2閾値を更新し、
第1閾値更新部は、前記検出値が前記第2閾値以上となった場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第1閾値を更新し、
出力部は、前記検出値が、前記第1閾値を下回った場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以上である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力する。
また、振動子に通電する電流の電流値、前記振動子から受信される電圧の電圧値、前記振動子のインピーダンス、及び前記振動子のアドミッタンスのいずれか一つに基づいて物質の有無を検出するセンサは、前記いずれか一つの変化量を検出値として検出する検出部を備えている。
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、
第1閾値設定部は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも大きい値を第1閾値として設定し、
第2閾値設定部は、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、前記検出値よりも小さい値を第2閾値として設定し、
第2閾値更新部は、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第2閾値を更新し、
第1閾値更新部は、前記検出値が前記第2閾値以下となった場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第1閾値を更新し、
出力部は、前記検出値が、前記第1閾値を超えた場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以下である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力する。
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、
第1閾値設定部は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも小さい値を第1閾値として設定し、
第2閾値設定部は、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、前記検出値よりも大きい値を第2閾値として設定し、
第2閾値更新部は、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第2閾値を更新し、
第1閾値更新部は、前記検出値が前記第2閾値以上となった場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第1閾値を更新し、
出力部は、前記検出値が、前記第1閾値を下回った場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以上である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力する。
また、上述した各種センサでは、
前記第2閾値更新部は、
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、前記検出値のピーク値が更新された場合に前記第2閾値を更新し、
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、前記検出値のボトム値が更新された場合に前記第2閾値を更新する。
また、上述した各種センサでは、
前記第1閾値更新部は、
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、前記検出値のボトム値が更新された場合に前記第1閾値を更新し、
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、前記検出値のピーク値が更新された場合に前記第1閾値を更新する。
また、上述した各種センサでは、
前記第1閾値設定部及び第1閾値更新部の夫々は、
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、前記検出値よりも予め設定された第1幅だけ大きい値と、前記検出値の予め設定された割合の値とのうちのいずれかに第1閾値を設定及び更新し、
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、前記検出値よりも予め設定された第1幅だけ小さい値と、前記検出値の予め設定された割合の値とのうちのいずれかに第1閾値を設定及び更新する。
また、上述した各種センサでは、
前記第2閾値設定部及び第1閾値更新部の夫々は、
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、前記検出値よりも予め設定された第2幅だけ小さい値と、前記検出値の予め設定された割合の値とのうちのいずれかに第2閾値を設定及び更新され、
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、前記検出値よりも予め設定された第2幅だけ大きい値と、前記検出値の予め設定された割合の値とのうちのいずれかに第2閾値設定及び更新する。
本発明は、物質の有無を検出するセンサに用いることが可能である。
1:センサ
11:検出部
11A:検出電極
11C:接地電極
12:第1閾値設定部
14:ピーク値記憶部
16:第2閾値設定部
17:第2閾値更新部
18:第1閾値更新部
19:出力部
20:ボトム値記憶部
本発明は、物質の有無を検出するセンサに関する。
従来、容器に貯留された液体や粉粒体等の物質の貯留レベルの検出や、配管を流通する物質の検出を行うセンサが利用されてきた。この種のセンサは電気信号に基づいて物質の検出を行う。このようなセンサの一例として、例えば下記に示すような静電容量式のものがある。
従来の静電容量式のセンサは、測定用電極間(互いに絶縁された検出電極と接地電極の間)の静電容量を回路に取り込み、この静電容量の変化を捉えることで測定用電極間に存在する物質の有無を検知する。すなわち、センサを容器や配管等に取り付け、空の状態である静電容量値と物質が満たされた状態である静電容量値の差を検出することにより、物質が所定量に達したか否か(測定用電極間に有るか無いか)を検知している。但し、物質が所定量に達したか否かを判断するために、静電容量式センサでは、予め静電容量の閾値を手動で設定する必要がある。
ここで、一般的に、静電容量式のセンサでは予め容器や配管等に物質が存在しない、所謂空の状態である時の静電容量の値と物質が満たされた状態である時の静電容量の値の間(例えば中間値)を基準として閾値が設定される。なお、以下では測定したい液体や粉粒体等の物質を単に「被測定物」と称して説明する。この閾値に対して、測定した静電容量の値が大きい場合には被測定物が存在している(所定量に達している)と判定し、測定した静電容量の値が小さい場合には被測定物が存在していない(所定量に達していない)と判定する。このような閾値は、可変抵抗器等を用いて手動で設定調整される。
上記記載の従来技術においては、被測定物に応じた閾値を予め設定する必要があり、このような閾値の設定は、ユーザにとって手間となっていた。これは、誘電率の低い被測定物と高い被測定物とでは設定幅(空の場合の静電容量値と満の場合の静電容量値の差)が異なる為、誘電率が異なる場合は、被測定物に応じた閾値の設定が必要になるからである。
また、計測中に被測定物の種類が変わったり、被測定物の誘電率が変化する場合には、従来の静電容量式センサでは、正しい判定ができず、その都度、閾値を再設定する必要があった。
また、被測定物が所定量に達した時に、測定用電極に被測定物が付着する場合には、その後、当該所定量から被測定物が減った状態になっていても、測定用電極に付着残留物が残るために、所定量に達していると誤判定してしまうことがあった。この場合も、付着物を考慮して、閾値を再設定する必要があった。
そこで、従来の課題であった上記の閾値の設定を自動化するセンサが求められる。
本発明に係るセンサの特徴構成は、静電容量とインダクタンス及び抵抗値のうちの一方との検出値に基づいて物質の有無を検出するセンサであって、前記物質の前記静電容量と前記インダクタンス及び前記抵抗値のうちの一方とに基づく電流値又は電圧値を検出値として検出する検出部を備え、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも大きい値を第1閾値として設定し、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、前記検出値よりも小さい値を第2閾値として設定し、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第2閾値を更新し、前記検出値が前記第2閾値以下となった場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第1閾値を更新し、前記検出値が、前記第1閾値を超えた場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以下である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力するように構成され、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも小さい値を第1閾値として設定し、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、前記検出値よりも大きい値を第2閾値として設定し、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第2閾値を更新し、前記検出値が前記第2閾値以上となった場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第1閾値を更新し、前記検出値が、前記第1閾値を下回った場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以上である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力するように構成されている点にある。
また、本発明に係るセンサの他の特徴構成は、静電容量とインダクタンス及び抵抗値のうち少なくともいずれか一方とからなるインピーダンス又はアドミッタンスに基づいて物質の有無を検出するセンサであって、前記物質の前記インピーダンス、前記アドミッタンス、前記インピーダンスの変化量、及び前記アドミッタンスの変化量のうちのいずれか一つを検出値として検出する検出部を備え、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも大きい値を第1閾値として設定し、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、前記検出値よりも小さい値を第2閾値として設定し、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第2閾値を更新し、前記検出値が前記第2閾値以下となった場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第1閾値を更新し、前記検出値が、前記第1閾値を超えた場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以下である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力するように構成され、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも小さい値を第1閾値として設定し、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、前記検出値よりも大きい値を第2閾値として設定し、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第2閾値を更新し、前記検出値が前記第2閾値以上となった場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第1閾値を更新し、前記検出値が、前記第1閾値を下回った場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以上である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力するように構成されている点にある。
更に、本発明に係るセンサの他の特徴構成は、周波数に基づいて物質の有無を検出するセンサであって、前記物質のインピーダンスに応じた前記周波数、前記物質のアドミッタンスに応じた前記周波数、周波数に応じた電流値、及び周波数に応じた電圧値のいずれか一つの変化量を検出値として検出する検出部を備え、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも大きい値を第1閾値として設定し、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、前記検出値よりも小さい値を第2閾値として設定し、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第2閾値を更新し、前記検出値が前記第2閾値以下となった場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第1閾値を更新し、前記検出値が、前記第1閾値を超えた場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以下である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力するように構成され、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも小さい値を第1閾値として設定し、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、前記検出値よりも大きい値を第2閾値として設定し、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第2閾値を更新し、前記検出値が前記第2閾値以上となった場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第1閾値を更新し、前記検出値が、前記第1閾値を下回った場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以上である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力するように構成されている点にある。
更に、本発明に係るセンサの他の特徴構成は、抵抗値又は電導度に基づいて物質の有無を検出するセンサであって、前記物質の抵抗値及び前記物質の電導度のいずれか一つを検出値として検出する検出部を備え、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも大きい値を第1閾値として設定し、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、前記検出値よりも小さい値を第2閾値として設定し、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第2閾値を更新し、前記検出値が前記第2閾値以下となった場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第1閾値を更新し、前記検出値が、前記第1閾値を超えた場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以下である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力するように構成され、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも小さい値を第1閾値として設定し、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、前記検出値よりも大きい値を第2閾値として設定し、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第2閾値を更新し、前記検出値が前記第2閾値以上となった場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第1閾値を更新し、前記検出値が、前記第1閾値を下回った場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以上である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力するように構成されている点にある。
更に、本発明に係るセンサの他の特徴構成は、振動子に通電する電流の電流値、前記振動子から受信される電圧の電圧値、前記振動子のインピーダンス、及び前記振動子のアドミッタンスのいずれか一つに基づいて物質の有無を検出するセンサであって、前記いずれか一つの変化量を検出値として検出する検出部を備え、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも大きい値を第1閾値として設定し、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、前記検出値よりも小さい値を第2閾値として設定し、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第2閾値を更新し、前記検出値が前記第2閾値以下となった場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第1閾値を更新し、前記検出値が、前記第1閾値を超えた場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以下である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力するように構成され、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも小さい値を第1閾値として設定し、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、前記検出値よりも大きい値を第2閾値として設定し、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第2閾値を更新し、前記検出値が前記第2閾値以上となった場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第1閾値を更新し、前記検出値が、前記第1閾値を下回った場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以上である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力するように構成されている点にある。
このような特徴構成とすれば、検出位置において、検出対象の物質が存在すると判定する際に用いる第1閾値と、検出対象の物質が存在していないと判定する際に用いる第2閾値とを被測定物に応じて自動的に設定することができる。したがって、ユーザが閾値を手動で調整することなく、自動で設定することが可能となる。
また、前記第2閾値は、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、前記検出値のピーク値が更新された場合に更新され、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、前記検出値のボトム値が更新された場合に更新されると好適である。また、前記第1閾値は、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、前記検出値のボトム値が更新された場合に更新され、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、前記検出値のピーク値が更新された場合に更新されると好適である。
このような構成とすれば、検出対象の物質が存在していないと判定する際のマージンを大きくすることができる。したがって、例えば検出部に当該物質が付着して残留していた場合や外乱や経年変化等によって、検出対象の物質が存在していないにも拘らず、検出対象の物質が存在していると判定するような誤判定を防止できる。
また、前記第1閾値は、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、前記検出値よりも予め設定された第1幅だけ大きい値と、前記検出値の予め設定された割合の値とのうちのいずれかに設定及び更新され、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、前記検出値よりも予め設定された第1幅だけ小さい値と、前記検出値の予め設定された割合の値とのうちのいずれかに設定及び更新されると好適である。また、前記第2閾値は、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、前記検出値よりも予め設定された第2幅だけ小さい値と、前記検出値の予め設定された割合の値とのうちのいずれかに設定及び更新され、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、前記検出値よりも予め設定された第2幅だけ大きい値と、前記検出値の予め設定された割合の値とのうちのいずれかに設定及び更新されると好適である。
このような構成とすれば、検出対象の物質が存在していないと判定する際のマージンを大きくすることができる。したがって、検出対象の物質が存在しているにも拘らず、検出対象の物質が存在していないと判定するような誤判定を防止できる。
センサを容器に配置した場合の例を示した図である。
センサの構成を模式的に示した図である。
検出値に応じて設定される第1閾値及び第2閾値を示した図である。
1.第1の実施形態
本実施形態に係るセンサは、静電容量及び抵抗値に基づいて所定の検出対象の物質の有無を検出する際に用いる閾値を自動で設定することができるように構成される。すなわち、本センサによれば、従来、閾値の再設定が必要であった状況においても、閾値の自動設定と測定した静電容量及び抵抗値に基づいて検出対象の物質が存在するか否かを容易に判別することが可能である。以下、本実施形態のセンサ1について説明する。また、以下では、理解を容易にするために、検出対象の物質(被測定物)が所定の静電容量及び抵抗値を有する「液体」であるとして説明する。
図1には、センサ1を用いて容器2に液体が貯留されているか否かを判別する場合の例が示される。本実施形態では、センサ1は容器2の側面5に設けられる。もちろん、底部3側又は頂部4側に設けても良いし、更には、検知したい場所に適宜設けても良い。
ここで、センサ1は所謂レベルスイッチである。この種のレベルスイッチは公知であるので、詳細な説明は省略するが、後述する検出電極11Aと「接地部」の一例である接地電極11C(容器2が金属容器である場合には、接地電極11Cと接続されている容器2の壁面や底面等)との間の静電容量及び抵抗値は、容器2におけるセンサ1が設けられた位置まで液体が貯留されている時と、空の時(容器2が「空気」で満たされている時に相当)とで変化する。センサ1は、このような静電容量及び抵抗値の変化に基づき、検出対象の物質がセンサ1の位置まで達しているか否かを検出する。
図2は、センサ1の構成を模式的に示したブロック図である。図2に示されるように、センサ1は、検出部11、第1閾値設定部12、閾値記憶部13、ピーク値記憶部14、判定部15、第2閾値設定部16、第2閾値更新部17、第1閾値更新部18、出力部19、ボトム値記憶部20の各機能部を備えて構成される。これらの機能部は、適宜、ハードウェア又はソフトウェア或いはその両方で構築することが可能である。
検出部11は、図1に示されるように容器2内に挿入され、挿入された位置における物質を検出する。本実施形態では、検出部11は、図1に示されるようにロッド状に構成され、互いに絶縁された検出電極11A及び接地電極11Cを有する。検出電極11Aと接地電極11Cとは、絶縁部11Bにより絶縁される。本実施形態では、検出部11は、上記ロッド状の先端側から検出電極11A、絶縁部11B、接地電極11Cの順に配置される。容器2の内壁部が金属で構成される場合には、接地電極11Cは、当該内壁部と接続して構成しても良い。
検出部11は、検出電極11Aと接地電極11Cとに亘って存在する物質の静電容量及び抵抗値を検出値として検出する。本実施形態における静電容量及び抵抗値とは、静電容量及び抵抗値に応じた電流値である。したがって、静電容量及び抵抗値の双方に応じた電流値を検出する。具体的には、検出電極11Aと接地電極11Cとの間に所定の電圧を印加し、この時、検出電極11Aと接地電極11Cとの間で流れる電流の電流値が、「静電容量及び抵抗値の双方に応じた電流値」に相当し、検出部11はこのような電流値を検出する。センサ1は、このような検出電極11Aと接地電極11Cとの間の物質の静電容量及び抵抗値の電流値の変化に基づき、容器2における検出部11の位置まで液体の貯留レベルが達しているか否かを検出する。なお、本実施形態では、「検出値」を「静電容量及び抵抗値の電流値」と称して説明する。
ここで、図3の上段には、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値(図3では実線で記載)と、後述する第1閾値及び第2閾値とが示され、図3の下段には、センサ1による検出結果が示される。以下では、図2と共に、図3も参照しながら説明する。
例えば、前記物質(液体)が逐次容器2内に投入され、前記液体が前記検出部に近づく場合(残量レベルが上昇する場合)に前記検出値が大きくなる場合は、第1閾値設定部12は、検出部11が所定の検出位置に配置された時に、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも大きい値を第1閾値として設定する。「検出部11が所定の検出位置に配置された時」とは、容器2に検出部11が配置された時である。ここで、一般的には検出部11は容器2が空の状態において配置される。このため、検出部11が所定の検出位置に配置された時には、検出部11の検出結果として、検出位置において検出対象である物質が存在していない状態での検出電極11Aと接地電極11Cとの間の静電容量及び抵抗値の電流値が取得される。図3では、この時(t=t0)の静電容量及び抵抗値の電流値がI0として示される。
第1閾値設定部12は、この時の静電容量及び抵抗値の電流値I0よりも大きい値を第1閾値として設定する(#01)。「静電容量及び抵抗値の電流値I0よりも大きい値」とは、例えば静電容量及び抵抗値の電流値I0よりも、予め設定された第1幅だけ大きい値とすると好適である。「予め設定された第1幅」は、例えば被測定物の中で一番静電容量及び抵抗値の電流値が小さい物質でも後述する判定部15が被測定物が存在していると判定することができる静電容量及び抵抗値の電流値の増加幅に基づいて設定すると好適である。本実施形態では、第1幅が「5μA」であるとして説明する。したがって、第1閾値設定部12は、検出部11が所定の検出位置に配置された時には、この時の静電容量及び抵抗値の電流値よりも5μA大きい値を第1閾値として設定する。なお、この「5μA」は例示であり、他の値とすることも可能である。
閾値記憶部13は、センサ1により使用される各閾値を記憶する。「センサ1により使用される各閾値」とは、センサ1が検出対象の物質が存在しているか否かの判別を行うにあたり用いられる閾値である。具体的には、上述した第1閾値と、後述する第2閾値とが相当する。
ピーク値記憶部14は、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値のうち、ピーク値を記憶する。上述したように、閾値記憶部13に第1閾値が記憶された後に、容器2に検出対象である物質(液体)が投入されて残量レベルが上昇する。この物質(液体)の残量レベルの上昇に伴い、図3に示されるように、検出電極11Aと接地電極11Cとの間の静電容量及び抵抗値の電流値が増加する。ピーク値記憶部14は、検出部11から順次、検出結果が伝達され、ピーク値をホールドする。このピーク値記憶部14によるピーク値の記憶は、センサ1により検出対象の物質の存在の有無を判別する間、継続して行われ、現在、記憶しているピーク値より大きい静電容量及び抵抗値の電流値が検出された場合には、当該静電容量及び抵抗値の電流値でこれまでに記憶していたピーク値を更新する。
ボトム値記憶部20は、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値のうち、ボトム値を記憶する。ピーク値とは逆に、容器2における残量レベルの下降に伴い、図3に示されるように、検出電極11Aと接地電極11Cとの間の静電容量及び抵抗値の電流値は減少する。ボトム値記憶部20は、検出部11から順次、検出結果が伝達され、ボトム値をホールドする。このボトム値記憶部20によるボトム値の記憶は、センサ1により検出対象の物質の存在の有無を判別する間、継続して行われ、現在、記憶しているボトム値より小さい静電容量及び抵抗値の電流値が検出された場合には、当該静電容量及び抵抗値の電流値でこれまでに記憶していたボトム値を更新する。
判定部15は、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が第1閾値を超えたか否かを判定する。具体的には、判定部15には検出部11から順次、検出結果が伝達され、判定部15は検出結果が伝達されると、閾値記憶部13に現在、記憶されている第1閾値を参照して、伝達された検出結果に係る静電容量及び抵抗値の電流値が第1閾値よりも大きいか否かを判定する。
第2閾値設定部16は、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が第1閾値を超えた場合に、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも小さい値を第2閾値として設定する。検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が第1閾値を超えたか否かは、判定部15により判定され、その判定結果が伝達される。第2閾値設定部16は、判定部15からこのような判定結果が伝達されると(t=t1)、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも小さい値を第2閾値として設定する(#02)。このため、判定部15から第2閾値設定部16には、上述した判定結果と共に、当該判定結果に起因する検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値も伝達すると好適である。もちろん、検出部11から直接、第2閾値設定部16に伝達するように構成することも可能である。第2閾値設定部16により設定された第2閾値は、上述した閾値記憶部13に記憶される。
なお、「検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも小さい値」とは、例えば静電容量及び抵抗値の電流値よりも、予め設定された第2幅だけ小さい値とすると好適である。「予め設定された第2幅」は第1幅と同様の値でも良いし、異なる値を設定しても良い。また、第2幅は、例えば被測定物の中で一番静電容量及び抵抗値の電流値が小さい物質でも後述する判定部15が被測定物が存在していないと判定することができる静電容量及び抵抗値の電流値の減少幅に基づいて設定すると好適である。本実施形態では、第2閾値設定部16は、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が第1閾値を超えた時には、この時の静電容量及び抵抗値の電流値よりも5μA小さい値を第2閾値として設定する。なお、この「5μA」は例示であり、他の値とすることも可能である。
第2閾値更新部17は、第2閾値設定部16による第2閾値の設定後、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が第1閾値を超えた場合に、当該検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも小さい値に第2閾値を更新する。特に本実施形態では、第2閾値更新部17は、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が第1閾値を超えてピーク値が更新された場合に当該検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも小さい値に第2閾値を更新する。上述したように、第2閾値は第2閾値設定部16により設定される。また、判定部15は、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が閾値記憶部13に記憶されている第1閾値を超えたか否かを判定する。更に、ピーク値記憶部14に現在、記憶されているピーク値より大きい静電容量及び抵抗値の電流値が伝達された場合には、当該静電容量及び抵抗値の電流値でこれまでに記憶していたピーク値が更新される。第2閾値更新部17は、第2閾値の設定後、検出された静電容量及び抵抗値の電流値が第1閾値を超え、且つ、ピーク値記憶部14に記憶されているピーク値が更新された場合には(t=t2)、閾値記憶部13に記憶されている第2閾値を、この時の静電容量及び抵抗値の電流値よりも小さい値に更新する(#03)。なお、このような第2閾値更新部17による第2閾値の更新は、当該静電容量及び抵抗値の電流値が改めて第2閾値より小さくなるまでの間において(t=t3)、前回取り込まれた値よりも大きくなった場合に継続して行われる(#03〜#05)。
容器2の検出対象である物質(液体)が排出されるなどして残量レベルが下降に転じた結果、第1閾値更新部18は、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が第2閾値以下となった場合に、当該検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも大きい値に第1閾値を更新する。検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が第2閾値以下となったか否かは、判定部15が検出部11から検出結果が伝達された場合に、閾値記憶部13に記憶されている第2閾値を参照して判定する。第1閾値更新部18は、判定部15により検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が第2閾値以下となったと判定された場合に(t=t3)、閾値記憶部13に記憶されている第1閾値を、この時の静電容量及び抵抗値の電流値よりも大きい値に更新する。ここではピーク値とは逆に、第1閾値更新部18は、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値のボトム値が更新された場合に、この時の静電容量及び抵抗値の電流値よりも大きい値に第1閾値を更新する。この時、上述したように、静電容量及び抵抗値の電流値よりも第1幅だけ大きい値、すなわち、この時の静電容量及び抵抗値の電流値よりも5μA大きい値に更新すると好適である(#06)。このような第1閾値更新部18による第1閾値の更新は、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が、一旦、第2閾値以下となると(t=t3)、当該静電容量及び抵抗値の電流値が改めて第1閾値より大きくなるまでの間において(t=t4)、前回取り込まれた値よりも小さくなった場合に継続して行われる(#07)。なお、第1閾値更新部18により第1閾値が更新される時には、ピーク値記憶部14に記憶されているピーク値は一旦、リセットされ、例えばゼロ値をピーク値記憶部14に記憶するように構成しても良いし、あるいは、ピーク値記憶部14に記憶されているピーク値がリセットされずに、ピーク値記憶部14に検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値を上書きするように構成しても良い。また、第2閾値更新部17により第2閾値が更新される時には、上述したピーク値と同様に、ボトム値も一旦リセットされる。
出力部19は、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が、第1閾値より大きい場合は検出位置において物質が存在する状態であることを示し、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が第2閾値以下である場合は検出位置において物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力する。判定部15は、検出部11から検出結果が伝達されると、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が閾値記憶部13に記憶されている第1閾値よりも大きいか否かが判定され、更に、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が閾値記憶部13に記憶されている第2閾値以下であるか否かが判定される。出力部19には、このような判定部15の判定結果が伝達される。
本実施形態では、出力部19は、判定部15により検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が閾値記憶部13に記憶されている第1閾値よりも大きいと判定された場合には図3(t=t1からt=t3までの間、t=t4以降)に示されるように検出オン信号を出力し、判定部15により検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が閾値記憶部13に記憶されている第2閾値以下であると判定された場合には図3(t=t3からt=t4までの間)に示されるように検出オン信号の出力を停止する、もしくは検出オフ信号を出力する。これにより、「被測定物」が存在しているか否かを特定することが可能となる。もちろん、判定部15により検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が第1閾値よりも大きいと判定された場合に検出オフ信号を出力し、判定部15により検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が第2閾値以下であると判定された場合には検出オフ信号の出力を停止する、もしくは検出オン信号を出力する等のように異なる判定方法を用いて構成することも可能である。
また、仮に前記物質(液体)が前記検出部11に近づく場合(残量レベルが上昇する場合)に前記検出値が小さくなる場合は、第1閾値設定部12、第1閾値更新部18、第2閾値設定部16、及び第2閾値更新部17の各機能部の夫々が第1閾値及び第2閾値を設定する大小関係を反転すると良い。すなわち、「検出値のピーク値が更新された場合」は「検出値のボトム値が更新された場合」と読み替え、「検出値のボトム値が更新された場合」は「検出値のピーク値が更新された場合」と読み替えると良い。また、「第1閾値だけ大きい値」は「第1閾値だけ小さい値」と読み替え、「第2閾値だけ小さい値」は「第2閾値だけ大きい値」と読み替えると良い。
本センサ1では、このように第1閾値及び第2閾値を自動的に設定することができ、このように設定された第1閾値及び第2閾値に基づき検出対象の物質の存在の有無を適切に判別することが可能となる。また、従来の課題であった、被測定物に応じた閾値の設定や計測中に被測定物の種類が変わったり、被測定物の静電容量及び抵抗値の電流値が変化する場合の閾値の再設定、測定用電極に付着残留物が残る場合の閾値の再設定も不要になる。
2.第2の実施形態
上記第1の実施形態では、センサ1が静電容量及び抵抗値に応じた電流値に基づいて検出対象の物質の有無を検出する際に用いる閾値を自動で設定するとして説明した。第2の実施形態に係るセンサ1は、静電容量と抵抗値のアドミッタンスに基づいて検出対象の物質の有無を検出する際に用いる閾値を自動で設定する点で、上記第1の実施形態に係るセンサ1と異なる。それ以外の点については、第1の実施形態と同様であるので以下では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態では、図2に示すように検出部11は、互いに絶縁された検出電極11A及び接地電極11Cを有し、検出電極11Aと接地電極11Cとに亘って存在する物質の静電容量と抵抗値のアドミッタンスを検出する。
第1閾値設定部12は、検出部11が所定の検出位置に配置された時に、検出部11により検出された静電容量と抵抗値のアドミッタンスの値よりも大きい値を第1閾値として設定する。閾値記憶部13は、第1閾値設定部12により設定された第1閾値と、後述する第2閾値設定部16により設定された第2閾値とを記憶する。ピーク値記憶部14は、検出部11により検出された静電容量と抵抗値のアドミッタンスの値のうち、ピーク値を記憶する。ボトム値記憶部20は、検出部11により検出された周波数の値のうち、ボトム値を記憶する。
判定部15は、検出部11により検出された静電容量と抵抗値のアドミッタンスの値が第1閾値を超えたか否かを判定する。具体的には、判定部15には検出部11から順次、検出結果が伝達され、判定部15は検出結果が伝達されると、閾値記憶部13に現在、記憶されている第1閾値を参照して、伝達された検出結果に係る静電容量と抵抗値のアドミッタンスの値が第1閾値よりも大きいか否かを判定する。
第2閾値設定部16は、検出部11により検出された静電容量と抵抗値のアドミッタンスの値が第1閾値を超えた場合に、検出部11により検出された静電容量と抵抗値のアドミッタンスの値よりも小さい値を第2閾値として設定する。第2閾値設定部16により設定された第2閾値は、上述した閾値記憶部13に記憶される。
第2閾値更新部17は、第2閾値設定部16による第2閾値の設定後、検出部11により検出された静電容量と抵抗値のアドミッタンスの値が第1閾値を超えた場合に、当該検出部11により検出された静電容量と抵抗値のアドミッタンスの値よりも小さい値に第2閾値を更新する。特に本実施形態では、第2閾値更新部17は、検出部11により検出された静電容量と抵抗値のアドミッタンスの値が第1閾値を超えてピーク値が更新された場合に当該検出部11により検出された静電容量と抵抗値のアドミッタンスの値よりも小さい値に第2閾値を更新する。
第1閾値更新部18は、検出部11により検出された静電容量と抵抗値のアドミッタンスの値が第2閾値以下となり、ボトム値が更新された場合に、当該検出部11により検出された静電容量と抵抗値のアドミッタンスの値よりも大きい値に第1閾値を更新する。
出力部19は、検出部11により検出された静電容量と抵抗値のアドミッタンスの値が、第1閾値より大きい場合は検出位置において物質が存在する状態であることを示し、検出部11により検出された静電容量と抵抗値のアドミッタンスの値が第2閾値以下である場合は検出位置において物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力する。
本実施形態に係るセンサ1においても、第1閾値及び第2閾値を自動的に設定することができ、設定された第1閾値及び第2閾値に基づき検出対象の物質の存在の有無を適切に判別することが可能となる。また、従来の課題であった、被測定物に応じた閾値の設定や計測中に被測定物の種類が変わったり、被測定物の静電容量と抵抗値のアドミッタンスが変化する場合の閾値の再設定、測定用電極に付着残留物が残る場合の閾値の再設定も不要になる。
3.第3の実施形態
上記第1の実施形態では、センサ1が静電容量及び抵抗値に応じた電流値に基づいて検出対象の物質の有無を検出する際に用いる閾値を自動で設定するとして説明した。第3の実施形態に係るセンサ1は、周波数(共振周波数も含む)に基づいて検出対象の物質の有無を検出する際に用いる閾値を自動で設定する点で、上記第1の実施形態に係るセンサ1と異なる。それ以外の点については、第1の実施形態と同様であるので以下では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態では、図2に示すように検出部11は、互いに絶縁された検出電極11A及び接地電極11Cを有し、検出電極11Aと接地電極11Cとに亘って存在する物質のアドミッタンスに応じた周波数の変化量を検出する。
第1閾値設定部12は、検出部11が所定の検出位置に配置された時に、検出部11により検出されたアドミッタンスに応じた周波数の変化量の値よりも大きい値を第1閾値として設定する。閾値記憶部13は、第1閾値設定部12により設定された第1閾値と、後述する第2閾値設定部16により設定された第2閾値とを記憶する。ピーク値記憶部14は、検出部11により検出されたアドミッタンスに応じた周波数の変化量の値のうち、ピーク値を記憶する。ボトム値記憶部20は、検出部11により検出されたアドミッタンスに応じた周波数の変化量の値のうち、ボトム値を記憶する。
判定部15は、検出部11により検出されたアドミッタンスに応じた周波数の変化量の値が第1閾値を超えたか否かを判定する。具体的には、判定部15には検出部11から順次、検出結果が伝達され、判定部15は検出結果が伝達されると、閾値記憶部13に現在、記憶されている第1閾値を参照して、伝達された検出結果に係るアドミッタンスに応じた周波数の変化量の値が第1閾値よりも大きいか否かを判定する。
第2閾値設定部16は、検出部11により検出されたアドミッタンスに応じた周波数の変化量の値が第1閾値を超えた場合に、検出部11により検出されたアドミッタンスに応じた周波数の変化量の値よりも小さい値を第2閾値として設定する。第2閾値設定部16により設定された第2閾値は、上述した閾値記憶部13に記憶される。
第2閾値更新部17は、第2閾値設定部16による第2閾値の設定後、検出部11により検出されたアドミッタンスに応じた周波数の変化量の値が第1閾値を超えた場合に、当該検出部11により検出されたアドミッタンスに応じた周波数の変化量の値よりも小さい値に第2閾値を更新する。特に本実施形態では、第2閾値更新部17は、検出部11により検出されたアドミッタンスに応じた周波数の変化量の値が第1閾値を超えてピーク値が更新された場合に当該検出部11により検出されたアドミッタンスに応じた周波数の変化量の値よりも小さい値に第2閾値を更新する。
第1閾値更新部18は、検出部11により検出されたアドミッタンスに応じた周波数の変化量の値が第2閾値以下となり、ボトム値が更新された場合に、当該検出部11により検出されたアドミッタンスに応じた周波数の変化量の値よりも大きい値に第1閾値を更新する。
出力部19は、検出部11により検出されたアドミッタンスに応じた周波数の変化量の値が、第1閾値より大きい場合は検出位置において物質が存在する状態であることを示し、検出部11により検出されたアドミッタンスに応じた周波数の変化量の値が第2閾値以下である場合は検出位置において物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力する。
本実施形態に係るセンサ1においても、第1閾値及び第2閾値を自動的に設定することができ、設定された第1閾値及び第2閾値に基づき検出対象の物質の存在の有無を適切に判別することが可能となる。また、従来の課題であった、被測定物に応じた閾値の設定や計測中に被測定物の種類が変わったり、被測定物のアドミッタンスに応じた周波数の変化量が変化する場合の閾値の再設定、測定用電極に付着残留物が残る場合の閾値の再設定も不要になる。
4.第4の実施形態
上記第1の実施形態では、センサ1が静電容量及び抵抗値に応じた電流値に基づいて検出対象の物質の有無を検出する際に用いる閾値を自動で設定するとして説明した。第4の実施形態に係るセンサ1は、電導度に基づいて検出対象の物質の有無を検出する際に用いる閾値を自動で設定する点で、上記第1の実施形態に係るセンサ1と異なる。それ以外の点については、第1の実施形態と同様であるので以下では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態では、図2に示すように検出部11は、互いに絶縁された検出電極11A及び接地電極11Cを有し、検出電極11Aと接地電極11Cとに亘って存在する物質の電導度を検出する。センサ1は、このような検出電極11Aと接地電極11Cとの間の物質の電導度の変化に基づき、容器2における検出部11の位置まで液体の貯留レベルが達しているか否かを検出する。
第1閾値設定部12は、検出部11が所定の検出位置に配置された時に、検出部11により検出された電導度の値よりも大きい値を第1閾値として設定する。閾値記憶部13は、第1閾値設定部12により設定された第1閾値と、後述する第2閾値設定部16により設定された第2閾値とを記憶する。ピーク値記憶部14は、検出部11により検出された電導度の値のうち、ピーク値を記憶する。ボトム値記憶部20は、検出部11により検出された電導度のうち、ボトム値を記憶する。
判定部15は、検出部11により検出された電導度の値が第1閾値を超えたか否かを判定する。具体的には、判定部15には検出部11から順次、検出結果が伝達され、判定部15は検出結果が伝達されると、閾値記憶部13に現在、記憶されている第1閾値を参照して、伝達された検出結果に係る電導度の値が第1閾値よりも大きいか否かを判定する。
第2閾値設定部16は、検出部11により検出された電導度の値が第1閾値を超えた場合に、検出部11により検出された電導度の値よりも小さい値を第2閾値として設定する。第2閾値設定部16により設定された第2閾値は、上述した閾値記憶部13に記憶される。
第2閾値更新部17は、第2閾値設定部16による第2閾値の設定後、検出部11により検出された電導度の値が第1閾値を超えた場合に、当該検出部11により検出された電導度の値よりも小さい値に第2閾値を更新する。特に本実施形態では、第2閾値更新部17は、検出部11により検出された電導度の値が第1閾値を超えてピーク値が更新された場合に当該検出部11により検出された電導度の値よりも小さい値に第2閾値を更新する。
第1閾値更新部18は、検出部11により検出された電導度の値が第2閾値以下となりボトム値が更新された場合に、当該検出部11により検出された電導度の値よりも大きい値に第1閾値を更新する。
出力部19は、検出部11により検出された電導度の値が、第1閾値より大きい場合は検出位置において物質が存在する状態であることを示し、検出部11により検出された電導度の値が第2閾値以下である場合は検出位置において物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力する。
本実施形態に係るセンサ1においても、このように第1閾値及び第2閾値を自動的に設定することができ、このように設定された第1閾値及び第2閾値に基づき検出対象の物質の存在の有無を適切に判別することが可能となる。また、従来の課題であった、被測定物に応じた閾値の設定や計測中に被測定物の種類が変わったり、被測定物の電導度が変化する場合の閾値の再設定、測定用電極に付着残留物が残る場合の閾値の再設定も不要になる。
5.その他の実施形態
上記第1の実施形態では、センサ1が静電容量及び抵抗値に応じた電流値に基づいて検出対象の物質の有無を検出する場合の例を挙げ、検出部11が物質の静電容量及び抵抗値の電流値を検出するとして説明した。センサ1は、静電容量とインダクタンス及び抵抗値のうち少なくともいずれか一方とから電流値又は電圧値に基づいて物質の有無を検出するように構成することも可能である。係る場合、検出部11は、上記第1の実施形態に係る静電容量及び抵抗値に応じた電流値を検出する以外に、静電容量及びインダクタンスに応じた電流値を検出するように構成することも可能である。或いは、検出部11は、静電容量及び抵抗値に応じた電圧値を検出するように構成することも可能である。更に、検出部11は、静電容量及びインダクタンスに応じた電圧値を検出するように構成することも可能である。これらの場合であっても、検出部11が検出する電流値又は電圧値に応じて、第1閾値及び第2閾値の夫々を、設定及び更新することは可能である。したがって、上述した第1の実施形態と同様に、適切に物質の有無を検出することが可能となる。
上記第2の実施形態では、検出部11が静電容量と抵抗値のアドミッタンスに基づいて検出対象の物質の有無を検出するとして説明した。しかしながら、検出部11は、静電容量と抵抗値のインピーダンスに基づいて検出するように構成することも可能である。係る場合には、第1閾値設定部12は検出部11が所定の検出位置に配置された時に、検出部11により検出された静電容量と抵抗値のインピーダンスの値よりも小さい値を第1閾値として設定し、第2閾値設定部16は検出部11により検出された静電容量と抵抗値のインピーダンスの値が第1閾値を下回った場合に、検出部11により検出された静電容量と抵抗値のインピーダンスの値よりも大きい値を第2閾値として設定するように構成される。また、第2閾値更新部17は、第2閾値の設定後、検出部11により検出された静電容量と抵抗値のインピーダンスの値が第1閾値を下回った場合に、当該検出部11により検出された静電容量と抵抗値のインピーダンスの値よりも大きい値に第2閾値を更新し、第1閾値更新部18は検出部11により検出された静電容量と抵抗値のインピーダンスの値が第2閾値以上となった場合に、当該検出部11により検出された静電容量と抵抗値のインピーダンスの値よりも小さい値に第1閾値を更新するように構成される。更に、出力部19は検出部11により検出された静電容量と抵抗値のインピーダンスの値が、第1閾値を下回った場合は検出位置において物質が存在する状態であることを示し、検出部11により検出された静電容量と抵抗値のインピーダンスの値が第2閾値以上である場合は検出位置において物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力するように構成される。
このような場合であっても、第1閾値及び第2閾値の夫々を、設定及び更新することは可能である。したがって、上述した第1の実施形態と同様に、適切に物質の有無を検出することが可能となる。
上記第3の実施形態では、検出部11が物質のアドミッタンスに応じた周波数の変化量を検出して検出対象の物質の有無を検出するとして説明した。しかしながら、検出部11は、一定の電圧又は電流の周波数に応じた電流値又は電圧値の変化量を検出するように構成することも可能である。その場合は、一定の電圧(又は電流)の周波数を変化させて、そこの電流値(または電圧値)の変化量を検出すると良い。また、検出部11は、物質のインピーダンスに応じた前記周波数の変化量を検出するように構成することも可能である。係る場合には、第1閾値設定部12は検出部11が所定の検出位置に配置された時に、検出部11により検出されたインピーダンスに応じた前記周波数の変化量の値よりも小さい値を第1閾値として設定し、第2閾値設定部16は検出部11により検出されたインピーダンスに応じた前記周波数の変化量が第1閾値を下回った場合に、検出部11により検出されたインピーダンスに応じた前記周波数の変化量よりも大きい値を第2閾値として設定するように構成される。また、第2閾値更新部17は、第2閾値の設定後、検出部11により検出されたインピーダンスに応じた前記周波数の変化量が第1閾値を下回った場合に、当該検出部11により検出されたインピーダンスに応じた前記周波数の変化量よりも大きい値に第2閾値を更新し、第1閾値更新部18は検出部11により検出されたインピーダンスに応じた前記周波数の変化量が第2閾値以上となった場合に、当該検出部11により検出されたインピーダンスに応じた前記周波数の変化量よりも小さい値に第1閾値を更新するように構成される。更に、出力部19は検出部11により検出されたインピーダンスに応じた前記周波数の変化量が、第1閾値を下回った場合は検出位置において物質が存在する状態であることを示し、検出部11により検出されたインピーダンスに応じた前記周波数の変化量が第2閾値以上である場合は検出位置において物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力するように構成される。
このような場合であっても、第1閾値及び第2閾値の夫々を、設定及び更新することは可能である。したがって、上述した第1の実施形態と同様に、適切に物質の有無を検出することが可能となる。
上記第4の実施形態では、検出部11が電導度に基づいて検出対象の物質の有無を検出するとして説明した。しかしながら、検出部11は、抵抗値に基づいて検出するように構成することも可能である。係る場合には、第1閾値設定部12は検出部11が所定の検出位置に配置された時に、検出部11により検出された抵抗値の値よりも小さい値を第1閾値として設定し、第2閾値設定部16は検出部11により検出された抵抗値の値が第1閾値を下回った場合に、検出部11により検出された抵抗値の値よりも大きい値を第2閾値として設定するように構成される。また、第2閾値更新部17は、第2閾値の設定後、検出部11により検出された静抵抗値の値が第1閾値を下回った場合に、当該検出部11により検出された抵抗値の値よりも大きい値に第2閾値を更新し、第1閾値更新部18は検出部11により検出された抵抗値の値が第2閾値以上となった場合に、当該検出部11により検出された抵抗値の値よりも小さい値に第1閾値を更新するように構成される。更に、出力部19は検出部11により検出された抵抗値の値が、第1閾値を下回った場合は検出位置において物質が存在する状態であることを示し、検出部11により検出された抵抗値の値が第2閾値以上である場合は検出位置において物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力するように構成される。
このような場合であっても、第1閾値及び第2閾値の夫々を、設定及び更新することは可能である。したがって、上述した第1の実施形態と同様に、適切に物質の有無を検出することが可能となる。
上記第1の実施形態−第4の実施形態では、検出対象の物質(被測定物)が「液体」であり、空の時は容器2が「空気」で満たされている時であるとして説明したが、検出対象の物質は「液体」以外に、粉粒体、固体、気体等の物質であっても良いし、検出対象の物質が存在していない時は「空気」以外であっても良い。
上記第1の実施形態−第4の実施形態では、センサ1が容器2に貯留される液体の貯留レベルを検出する場合の例を挙げて説明したが、センサ1で配管等の容器以外のものを流通若しくは貯留する物質が検出対象の物質であるか否かの判別に用いることも可能である。また、センサ1を容器や配管等とは異なる任意の場所に設け、センサ1の周囲(センサ1から予め設定された範囲内)に検出対象の物質が存在しているか否かの判別に用いることも可能である。
上記第1の実施形態−第4の実施形態では、検出部11はロッド状に構成されているとして説明したが、検出部11は円形状に構成しても良いし、平型状に構成しても良い。もちろん、他の形状で構成することも可能である。また、検出部11全体又は一部が樹脂等で被覆されていても良い。いずれの場合であっても、2つの電極(検出電極11Aと接地電極11Cに相当する電極)があり、それらは互いに絶縁されるように構成すると良い。
上記第1の実施形態では、センサ1では第1閾値及び第2閾値が設定されるとして説明したが、第1閾値及び第2閾値は夫々個別に設定しても良いし、共通の1つの閾値として設定しても良い。特に、1つの閾値として設定する場合には、閾値記憶部13に記憶される閾値が1つとなり、判定部15は静電容量及び抵抗値の電流値が閾値記憶部13に記憶されている閾値を超えたか否かの判定、及び静電容量及び抵抗値の電流値が閾値記憶部13に記憶されている閾値以下であるか否かの判定を行うように構成すると良い。なお、このように1つの閾値とする場合には、「第1閾値設定部」及び「第2閾値設定部」は1つの「閾値設定部」とし、「第1閾値更新部」及び「第2閾値更新部」は1つの「閾値更新部」としても良い。また、1つの閾値とする場合には、閾値記憶部13の記憶容量を低減することが可能となる。もちろん、上記構成は第2の実施形態−第4の実施形態に適用することが可能である。
上記第1の実施形態では、第2閾値更新部17が検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも小さい値に第2閾値を更新する、具体的には第2閾値更新部17は、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が第1閾値を超えてピーク値が更新された場合に当該検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも小さい値に第2閾値を更新するとして説明した。しかしながら、第2閾値更新部17は、ピーク値記憶部14に記憶されているピーク値が更新されたか否かに拘らず、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも小さい値に第2閾値を更新するように構成することも可能である。また、ピーク値が更新されたことが別の方法で判別できれば、特にピーク値記憶部14を設けなくても良い。
また、上記第1の実施形態では、第1閾値更新部18が検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも大きい値に第1閾値を更新する、具体的には第1閾値更新部18は、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が第2閾値以下になりボトム値が更新された場合に当該検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも大きい値に第1閾値を更新するとして説明した。しかしながら、第1閾値更新部18は、ボトム値記憶部20に記憶されているボトム値が更新されたか否かに拘らず、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも大きい値に第1閾値を更新するように構成することも可能である。また、ボトム値が更新されたことが別の方法で判別できれば、特にボトム値記憶部20を設けなくても良い。
また、第1閾値更新部18は、ボトム値記憶部20に記憶されているボトム値が更新されたか否かに拘らず、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも予め設定された第1幅だけ大きい値と、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値の予め設定された割合の値(例えば105%の値)とのいずれかに第1閾値を更新するように構成することも可能である。また、第2閾値更新部17は、ピーク値記憶部14に記憶されているピーク値が更新されたか否かに拘らず、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも予め設定された第2幅だけ小さい値と、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値の予め設定された割合の値(例えば95%の値)とのいずれかに第2閾値を更新するように構成することも可能である。また、計測の状況に応じて、第1幅及び第2幅の少なくともいずれか一方を自由に変更することができる機能を付加することも可能である。もちろん、上記構成は第2の実施形態から第4の実施形態に適用することも可能である。
上記第1の実施形態では、センサ1は、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値のうち、ピーク値を記憶するピーク値記憶部14とボトム値を記憶するボトム値記憶部20とを備え、第2閾値更新部17は、ピーク値が更新された場合に第2閾値を更新し、第1閾値更新部18は、ボトム値が更新された場合に第1閾値を更新するとして説明したが、センサ1はピーク値記憶部14とボトム値記憶部20とを備えなくても良い。この場合、第2閾値更新部17は、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が、現在の第1閾値(現在設定されている第1閾値)を超えた場合に、第2閾値を更新するように構成することでも可能である。また、第1閾値更新部18は、検出部11により検出された静電容量及び抵抗値の電流値が、現在の第2閾値(現在設定されている第2閾値)以下になった場合に、第1閾値を更新するように構成することが可能である。もちろん、このような構成は第2の実施形態から第4の実施形態に適用することも可能である。
上記実施形態では、第1閾値設定部12は検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも第1幅だけ大きい値を第1閾値として設定し、第1閾値更新部18は検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも第1幅だけ大きい値に第1閾値を更新するとして説明したが、第1幅は状況に応じて適宜変更することも可能であるし、第1幅自体を設けなくても良い。また、上記実施形態では、第1閾値更新部18は検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも予め設定された割合の値を第1閾値として更新するとして説明したが、第1閾値設定部12も検出された静電容量及び抵抗値の電流値の予め設定された割合の値を第1閾値として設定することも可能である。なお、予め設定された割合の値は状況に応じて適宜変更することも可能であるし、予め設定した割合の値自体を設けなくても良い。もちろん、このような構成は第2の実施形態から第4の実施形態に適用することも可能である。
上記実施形態では、第2閾値設定部16は検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも第2幅だけ小さい値を第2閾値として設定し、第2閾値更新部17は検出された静電容量及び抵抗値よりも第2幅だけ小さい値に第2閾値を更新するとして説明したが、第2幅は状況に応じて適宜変更することも可能であるし、第2幅自体を設けなくても良い。また、上記実施形態では、第2閾値更新部17は検出された静電容量及び抵抗値の電流値よりも予め設定された割合の値を第2閾値として更新するとして説明したが、第2閾値設定部16も検出された静電容量及び抵抗値の電流値の予め設定された割合の値を第2閾値として設定することも可能である。なお、予め設定された割合の値は状況に応じて適宜変更することも可能であるし、予め設定した割合の値自体を設けなくても良い。もちろん、このような構成は第2の実施形態から第4の実施形態に適用することも可能である。
上記第1の実施形態では、静電容量及び抵抗値の電流値に基づいて物質の有無を検出するセンサ1について説明し、上記第2の実施形態では静電容量及び抵抗値のアドミッタンスに基づいて物質の有無を検出するセンサ1について説明し、上記第3の実施形態では周波数に基づいて物質の有無を検出するセンサ1について説明し、上記第4の実施形態では電導度に基づいて物質の有無を検出するセンサ1について説明した。例えば、センサ1を、振動子に通電する電流の電流値又は振動子から受信される電圧の電圧値又は前記振動子のインピーダンス又はアドミッタンスのうちのいずれか一つの変化量に基づいて物質の有無を検出するように構成することも可能である。係る場合には、上記第1の実施形態−第4の実施形態では、検出部11が互いに絶縁された検出電極11Aと接地電極11Cとを備えていたが、検出部11を一つの検出体(「検出電極11A」の一例)で構成し、検出部11が振動子に通電する電流の電流値又は振動子から受信される電圧の電圧値又は前記振動子のインピーダンス又はアドミッタンスのうちのいずれか一つの変化量を検出すると良い。このように構成することで、例えば一つの検出体に振動子(例えば圧電素子や超音波振動子等)を直結し、当該振動子から発信された信号の受信波や受信された振動等に応じた電流値や電圧値の変化量(電流や周波数の変化量)やアドミッタンスの変化量によって、物質の有無を検出することができる。なお、説明は省略するが、このような検出部11を備えたセンサ1にあっても、上述した実施形態(「その他の実施形態を含む」)と同様に各機能部を備えて構成することで、第1閾値及び第2閾値の夫々を、設定及び更新することが可能である。したがって、上述した実施形態と同様に、適切に物質の有無を検出することが可能となる。
なお、検出部11が振動子のインピーダンスの変化量に基づいて物質の有無を検出するように構成することも可能である。係る場合には、第1閾値設定部12は検出部11が所定の検出位置に配置された時に、検出部11により検出された変化量の値よりも小さい値を第1閾値として設定し、第2閾値設定部16は検出部11により検出された変化量の値が第1閾値を下回った場合に、検出部11により検出された変化量の値よりも大きい値を第2閾値として設定するように構成される。また、第2閾値更新部17は、第2閾値の設定後、検出部11により検出された変化量の値が第1閾値を下回った場合に、当該検出部11により検出された変化量の値よりも大きい値に第2閾値を更新し、第1閾値更新部18は検出部11により検出された変化量の値が第2閾値以上となった場合に、当該検出部11により検出された変化量の値よりも小さい値に第1閾値を更新するように構成される。更に、出力部19は検出部11により検出された変化量の値が、第1閾値を下回った場合は検出位置において物質が存在する状態であることを示し、検出部11により検出された変化量の値が第2閾値以上である場合は検出位置において物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力するように構成される。
このような場合であっても、第1閾値及び第2閾値の夫々を、設定及び更新することは可能である。したがって、適切に物質の有無を検出することが可能となる。
更に、振動子は、上述したように、送信(自分で振動)する振動子(電気を振動に変える振動子)と受信する振動子(振動を電気に変える振動子)とを単一の振動子を用いて構成しても良いし、互いに異なる複数の振動子を用いて構成しても良い。
上述した検出部11が物質のインピーダンスを検出値として検出する場合、物質のインピーダンスに応じた周波数を検出する場合、及び振動子のインピーダンスの変化量を検出する場合における、第1閾値設定部12、第1閾値更新部18、第2閾値設定部16、及び第2閾値更新部17の各機能部は、検出部11が物質のアドミッタンスを検出値として検出する場合、物質のアドミッタンスに応じた周波数を検出する場合、及び振動子のアドミッタンスの変化量を検出する場合における、第1閾値設定部12、第1閾値更新部18、第2閾値設定部16、及び第2閾値更新部17の各機能部の夫々が第1閾値及び第2閾値を設定する大小関係を反転すると良い。すなわち、「検出値のピーク値が更新された場合」は「検出値のボトム値が更新された場合」と読み替え、「検出値のボトム値が更新された場合」は「検出値のピーク値が更新された場合」と読み替えると良い。また、「第1閾値だけ大きい値」は「第1閾値だけ小さい値」と読み替え、「第2閾値だけ小さい値」は「第2閾値だけ大きい値」と読み替えると良い。
ここで、センサ1は、静電容量とインダクタンス及び抵抗値のうち少なくともいずれか一方とからなるインピーダンスに基づいて物質の有無を検出するように構成しても良いし、静電容量とインダクタンス及び抵抗値のうち少なくともいずれか一方とに応じたインピーダンスに係る電流値に基づいて物質の有無を検出するように構成しても良いし、静電容量とインダクタンス及び抵抗値のうち少なくともいずれか一方とに応じたアドミッタンスに係る電流値に基づいて物質の有無を検出するように構成しても良い。当該インピーダンスに係る電流値に基づいて物質の有無を検出するように構成する場合には、検出部11はインピーダンスに係る電流値を検出値として検出するように構成すると良く、当該アドミッタンスに係る電流値に基づいて物質の有無を検出するように構成する場合には、検出部11はアドミッタンスに係る電流値を検出値として検出するように構成すると良い。
また、上記のように電流値を検出値として検出する場合には、検出電極11Aと接地電極11Cとに亘って一定の電圧Vを印加することにより、下記の式などを用いることで上述した第1の実施形態〜第4の実施形態と同様に構成することが可能である。
(1)インピーダンスZの場合の電流値I=V/Z
(2)アドミッタンスYの場合の電流値I=V×Y
センサ1の各種実施形態について説明したが、センサ1の構成は以下のように換言できる。
静電容量とインダクタンス及び抵抗値のうちの一方との検出値に基づいて物質の有無を検出するセンサは、前記物質の前記静電容量と前記インダクタンス及び前記抵抗値のうちの一方とに基づく電流値又は電圧値を検出値として検出する検出部を備えている。
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、
第1閾値設定部は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも大きい値を第1閾値として設定し、
第2閾値設定部は、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、前記検出値よりも小さい値を第2閾値として設定し、
第2閾値更新部は、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第2閾値を更新し、
第1閾値更新部は、前記検出値が前記第2閾値以下となった場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第1閾値を更新し、
出力部は、前記検出値が、前記第1閾値を超えた場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以下である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力する。
一方、前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、
第1閾値設定部は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも小さい値を第1閾値として設定し、
第2閾値設定部は、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、前記検出値よりも大きい値を第2閾値として設定し、
第2閾値更新部は、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第2閾値を更新し、
第1閾値更新部は、前記検出値が前記第2閾値以上となった場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第1閾値を更新し、
出力部は、前記検出値が、前記第1閾値を下回った場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以上である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力する。
また、静電容量とインダクタンス及び抵抗値のうち少なくともいずれか一方とからなるインピーダンス又はアドミッタンスに基づいて物質の有無を検出するセンサは、前記物質の前記インピーダンス、前記アドミッタンス、前記インピーダンスの変化量、及び前記アドミッタンスの変化量のうちのいずれか一つを検出値として検出する検出部を備えている。
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、
第1閾値設定部は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも大きい値を第1閾値として設定し、
第2閾値設定部は、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、前記検出値よりも小さい値を第2閾値として設定し、
第2閾値更新部は、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第2閾値を更新し、
第1閾値更新部は、前記検出値が前記第2閾値以下となった場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第1閾値を更新し、
出力部は、前記検出値が、前記第1閾値を超えた場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以下である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力する。
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、
第1閾値設定部は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも小さい値を第1閾値として設定し、
第2閾値設定部は、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、前記検出値よりも大きい値を第2閾値として設定し、
第2閾値更新部は、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第2閾値を更新し、
第1閾値更新部は、前記検出値が前記第2閾値以上となった場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第1閾値を更新し、
出力部は、前記検出値が、前記第1閾値を下回った場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以上である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力する。
また、周波数に基づいて物質の有無を検出するセンサは、前記物質のインピーダンスに応じた前記周波数、前記物質のアドミッタンスに応じた前記周波数、周波数に応じた電流値、及び周波数に応じた電圧値のいずれか一つの変化量を検出値として検出する検出部を備えている。
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、
第1閾値設定部は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも大きい値を第1閾値として設定し、
第2閾値設定部は、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、前記検出値よりも小さい値を第2閾値として設定し、
第2閾値更新部は、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第2閾値を更新し、
第1閾値更新部は、前記検出値が前記第2閾値以下となった場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第1閾値を更新し、
出力部は、前記検出値が、前記第1閾値を超えた場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以下である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力する。
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、
第1閾値設定部は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも小さい値を第1閾値として設定し、
第2閾値設定部は、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、前記検出値よりも大きい値を第2閾値として設定し、
第2閾値更新部は、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第2閾値を更新し、
第1閾値更新部は、前記検出値が前記第2閾値以上となった場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第1閾値を更新し、
出力部は、前記検出値が、前記第1閾値を下回った場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以上である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力する。
また、抵抗値又は電導度に基づいて物質の有無を検出するセンサは、前記物質の抵抗値及び前記物質の電導度のいずれか一つを検出値として検出する検出部を備えている。
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、
第1閾値設定部は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも大きい値を第1閾値として設定し、
第2閾値設定部は、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、前記検出値よりも小さい値を第2閾値として設定し、
第2閾値更新部は、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第2閾値を更新し、
第1閾値更新部は、前記検出値が前記第2閾値以下となった場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第1閾値を更新し、
出力部は、前記検出値が、前記第1閾値を超えた場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以下である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力する。
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、
第1閾値設定部は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも小さい値を第1閾値として設定し、
第2閾値設定部は、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、前記検出値よりも大きい値を第2閾値として設定し、
第2閾値更新部は、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第2閾値を更新し、
第1閾値更新部は、前記検出値が前記第2閾値以上となった場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第1閾値を更新し、
出力部は、前記検出値が、前記第1閾値を下回った場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以上である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力する。
また、振動子に通電する電流の電流値、前記振動子から受信される電圧の電圧値、前記振動子のインピーダンス、及び前記振動子のアドミッタンスのいずれか一つに基づいて物質の有無を検出するセンサは、前記いずれか一つの変化量を検出値として検出する検出部を備えている。
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、
第1閾値設定部は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも大きい値を第1閾値として設定し、
第2閾値設定部は、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、前記検出値よりも小さい値を第2閾値として設定し、
第2閾値更新部は、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を超えた場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第2閾値を更新し、
第1閾値更新部は、前記検出値が前記第2閾値以下となった場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第1閾値を更新し、
出力部は、前記検出値が、前記第1閾値を超えた場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以下である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力する。
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、
第1閾値設定部は、前記検出部が所定の検出位置に配置された時に、前記検出値よりも小さい値を第1閾値として設定し、
第2閾値設定部は、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、前記検出値よりも大きい値を第2閾値として設定し、
第2閾値更新部は、前記第2閾値の設定後、前記検出値が前記第1閾値を下回った場合に、当該検出値よりも大きい値に前記第2閾値を更新し、
第1閾値更新部は、前記検出値が前記第2閾値以上となった場合に、当該検出値よりも小さい値に前記第1閾値を更新し、
出力部は、前記検出値が、前記第1閾値を下回った場合は前記検出位置において前記物質が存在する状態であることを示し、前記検出値が前記第2閾値以上である場合は前記検出位置において前記物質が存在していない状態であることを示す検出結果を出力する。
また、上述した各種センサでは、
前記第2閾値更新部は、
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、前記検出値のピーク値が更新された場合に前記第2閾値を更新し、
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、前記検出値のボトム値が更新された場合に前記第2閾値を更新する。
また、上述した各種センサでは、
前記第1閾値更新部は、
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、前記検出値のボトム値が更新された場合に前記第1閾値を更新し、
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、前記検出値のピーク値が更新された場合に前記第1閾値を更新する。
また、上述した各種センサでは、
前記第1閾値設定部及び第1閾値更新部の夫々は、
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、前記検出値よりも予め設定された第1幅だけ大きい値と、前記検出値の予め設定された割合の値とのうちのいずれかに第1閾値を設定及び更新し、
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、前記検出値よりも予め設定された第1幅だけ小さい値と、前記検出値の予め設定された割合の値とのうちのいずれかに第1閾値を設定及び更新する。
また、上述した各種センサでは、
前記第2閾値設定部及び第1閾値更新部の夫々は、
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が大きくなる場合は、前記検出値よりも予め設定された第2幅だけ小さい値と、前記検出値の予め設定された割合の値とのうちのいずれかに第2閾値を設定及び更新され、
前記物質が前記検出部に近づく際に、前記検出値が小さくなる場合は、前記検出値よりも予め設定された第2幅だけ大きい値と、前記検出値の予め設定された割合の値とのうちのいずれかに第2閾値設定及び更新する。
本発明は、物質の有無を検出するセンサに用いることが可能である。
1:センサ
11:検出部
11A:検出電極
11C:接地電極
12:第1閾値設定部
14:ピーク値記憶部
16:第2閾値設定部
17:第2閾値更新部
18:第1閾値更新部
19:出力部
20:ボトム値記憶部