JP2019152349A - 地下水を利用した空調システム及びそれを備えた建築物 - Google Patents

地下水を利用した空調システム及びそれを備えた建築物 Download PDF

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Abstract

【課題】 安全性及び経済性を維持しながら室内空間の温度変化を防ぐことのできる空調システム及び建築物を提供する。【解決手段】 地下水を利用した空調システムにおいて、室内空間を区画する壁面、天井面或いは床面のいずれか又はそれらの少なくとも2つ以上の面に前記地下水を流通させるパイプ(90)を接触させるようにして配置し、前記パイプ(90)が接触している壁面、前記天井面或いは前記床面を介して前記地下水と前記室内空間内とを熱交換することにより当該室内空間の空調を行うことを特徴とする地下水を利用したことを特徴とする。【選択図】図6

Description

本発明は、地下水(「深井戸水」を含む。以下同じ)を利用した空調システム及びそれを備えた建築物に関に関する。
本願出願人は、住宅や店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設などの建築物を密閉構造にして外部との遮断を図ることによって安全性、快適性及び経済性を向上させた建築物について特許出願を行い、特許を受けた(特許文献1)。特許文献1に開示された建築物は、外部からの汚染物質の侵入防止、騒音防止、冷暖房の更なる省エネルギ化等を図り、地震、津波、火災、台風、竜巻等の災害発生時においても利用者による日常生活や日常業務の継続を可能とするものである。尚、本願出願人は地下構造物関して特許文献2−9について特許を受けた。
特許第4926306号公報 特許第3319629号公報 特許第3292259号公報 特許第3264342号公報 特許第3264341号公報 特許第3264340号公報 特許第3233246号公報 特許第3014567号公報 特許第2773071号公報 特開2007−85679号公報
しかしながら上記建築物においても、気候変動により外気の温度が著しく高くなる又は低くなる状況や、地域社会等からの要請で省エネルギが強いられる非常時などに有効な空調システムの開発が望まれている。このため、熱媒体として地下水を利用して建物の部屋を冷房又は暖房する空調装置が提案されており(特許文献10等を参照)、このような地下水を利用した空調装置は、熱媒体の除熱又は加熱に要するエネルギが不要な点において有効である。しかしながら、特許文献10に開示された空調装置は、冷暖房の対象である部屋の隣接空間に熱交換手段を配置し、その隣接空間を介して当該部屋を冷暖房するという構成を採用しているので、隣接空間と当該部屋との間に存在する隔壁、当該部屋の天井、床等の温度が著しく高い又は低い場合には、冷暖房効果が必ずしも得られないという問題があった。
そこで、本発明は、かかる問題点に鑑みなされたもので、安全性及び経済性を維持しながら室内空間の温度変化を防ぐことのできる空調システム及びこれを備えた建築物を提供することを目的とする。
また、平常時にも快適な居住空間と省エネに配慮した内部空間を提供し、建築物の内部の気温を安定させることができ、建築の内部の環境を守り、都市部の騒音の中でも安眠・熟睡することができる建築物を提供することを目的とする。
また、地震、津波、火災、台風、竜巻等の各種の災害の際にも対応可能な建築物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、地下水を利用した空調システムにおいて、室内空間を区画する壁面、天井面或いは床面のいずれか又はそれらの少なくとも2つ以上の面に前記地下水を流通させるパイプを接触させるようにして配置し、前記パイプが接触している壁面、前記天井面或いは前記床面を介して前記地下水と前記室内空間内とを熱交換することにより当該室内空間の空調を行うことを特徴とする地下水を利用した空調システムを提供する。
上記課題を解決するために請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の地下水を利用した空調システムにおいて、前記パイプは、前記壁面、前記天井面或いは前記床面と面接触によって熱交換可能に形成されていることを特徴とする。
上記課題を解決するために請求項3に記載の発明は、地下水を利用した空調システムにおいて、室内空間を区画する壁面を二重構造とし、その内部にガラス繊維等の水分保持材を充填し、前記壁面の上部から前記水分保持材へ前記地下水を供給することにより前記壁面全体を介して前記地下水と前記室内空間内とを熱交換することにより当該室内空間の空調を行うことを特徴とする地下水を利用した空調システムを提供する。
上記課題を解決するために請求項4に記載の発明は、請求項1から3に記載の地下水を利用した空調システムにおいて、前記壁面、前記天井面或いは前記床面には金属等の熱伝導性の高い材料が用いられることを特徴とする。
上記課題を解決するために請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の地下水を利用した空調システムにおいて、熱交換された後の前記地下水は、汲み上げるべき地下水脈とは異なる貯水池に排水することを特徴とする。
上記課題を解決するために請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の地下水を利用した空調システムを備えた建築物において、前記建築物は、基礎と、前記基礎の周囲を取り囲むようにして当該基礎と一体となるようにして立設された外壁と、前記外壁に支持されて、当該外壁に囲まれた内部空間を覆う屋根によって内部が密閉空間とされると共に、前記外壁の外側の一部又は全部を盛土で覆うか、或いは前記建築物を地中に埋設して形成され、前記外壁の内側には階段状に植栽部が形成される共に、前記外壁と階段状の植栽部と基礎とによって囲まれる室内空間に前記空調システムを設けることにより前記盛土又は地中からの熱伝導及び前記空調システムによって前記室内空間を空調することを特徴とする地下水を利用した空調システムを備えた建築物を提供する。
上記課題を解決するために請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の地下水を利用した空調システムを備えた建築物において、熱交換された後の前記地下水は、前記植栽部に給水することを特徴とする。
上記課題を解決するために請求項8に記載の発明は、請求項6又は7に記載の地下水を利用した空調システムを備えた建築物において、前記外壁と階段状の植栽部と基礎とによって囲まれる室内空間の一部又は全部を鉛及びコンクリートによって遮蔽することにより、核シェルタとして利用可能としたこと特徴とする。
上記課題を解決するために請求項9に記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の地下水を利用した空調システムを備えた建築物において、前記建築物は、基礎と、前記基礎の周囲を取り囲むようにして当該基礎と一体となるようにして立設された外壁と、前記外壁に支持されて、当該外壁に囲まれた内部空間を覆う屋根によって内部が密閉空間とされると共に、前記外壁の外側の一部又は全部を盛土で覆うか、或いは前記建築物を地中に埋設して形成され、前記密閉空間内であって前記基礎の上に配置された家屋部に前記空調システムを設けることにより前記盛土又は地中からの熱伝導及び前記空調システムによって前記家屋部を空調することを特徴とする。
上記課題を解決するために請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の地下水を利用した空調システムを備えた建築物において、前記家屋部の周囲には貯水池が設けられ、熱交換された後の前記地下水は、前記貯水池に排水することを特徴とする。
本発明に係る空調システムによれば、パイプに地下水を流通させ、壁面、天井面或いは床面のいずれか又はそれらの少なくとも2つ以上の面に当該パイプを接触させることにより室内空間内と地下水との間の熱交換を図るので、室内空間の空気汚染を防ぎつつ室内外の温度差を軽減できるという効果がある。しかも、空調システムの熱媒体たる地下水は外気温に関わらず一定の温度に保たれ、熱媒体の除熱又は加熱のためのエネルギ(化石エネルギ等)は基本的に不要なので、省エネルギ化が可能という効果もある。
また、本発明に係る空調システムによれば、前記パイプを前記壁面、前記天井面或いは前記床面と面接触させるので、熱交換の効率が高いという効果がある。
また、本発明に係る空調システムによれば、前記室内空間を区画する壁面を二重構造とし、その内部に充填された水分保持材へ地下水を供給することにより、室内空間内と地下水との間の熱交換を図るので、室内空間の空気汚染を防ぎつつ室内外の温度差を軽減できるという効果がある。しかも、空調システムの熱媒体たる地下水は外気温に関わらず一定の温度に保たれ、熱媒体を除熱又は加熱するためのエネルギ(化石エネルギ等)は基本的に不要なので、省エネルギ化が可能という効果もある。また、室内空間の内壁面の外観を維持しながら空調システムを設置できるという効果もある。また、水分保持部材は、一般に軽量なので、壁面への設置が容易という利点もある。
また、本発明に係る空調システムによれば、前記壁面、前記天井面或いは前記床面には金属等の熱伝導性の高い材料が用いられるので、熱交換の効率が高いという効果がある。
また、本発明に係る空調システムによれば、熱交換された後の前記地下水は、汲み上げるべき地下水脈とは異なる貯水池に排水されるので、排水に起因した地下水脈の温度変化を防止できるという効果がある。
また、本発明に係る建築物によれば、前記外壁と前記階段状の植栽部と前記基礎とによって囲まれた空間部(複数の室内空間)の温度を安全かつ効率的に制御できるという効果がある。また、温度制御の対象が、建築物の周縁部に位置する空間部としたので、建築物の内外の温度差抑制を効率的に行えるという効果もある。また、盛土又は地中からの熱伝導と本発明に係る空調システムによる熱交換との相乗効果によって、空調効率の更なる向上ひいては省エネルギ化の促進が図られる。
また、本発明に係る建築物によれば、熱交換された後の前記地下水が前記植栽部に給水されるので、地下水の再利用による省エネルギ化を図ることができるという効果がある。
また、本発明に係る建築物によれば、前記外壁と前記階段状の植栽部と前記基礎とによって囲まれた快適な空間部(室内空間)を、安全性の高い核シェルタとして利用可能という効果がある。
また、本発明に係る建築物によれば、前記密閉空間内であって前記基礎の上に配置された家屋部(複数の室内空間)の温度を安全かつ効率的に制御できるという効果がある。また、盛土又は地中からの熱伝導と本発明に係る空調システムによる熱交換との相乗効果によって、空調効率の更なる向上ひいては省エネルギ化の促進が図られる。
また、本発明に係る建築物によれば、前記家屋部の周囲に設けられた貯水池に、熱交換された後の前記地下水が排水されるので、地下水の再利用による省エネルギ化を図ることができるという効果がある。また、家屋部から流水池までの距離は短いので、排水路が著しく長くなるという問題も生じにくい。
屋根を取り除いた状態の建築物を示す平面図である。 上階から見下げた建築物を示す平面図である。 建築物の屋根分の平面図である。 図1におけるA−A断面図である。 出入り口の側から見た建築物を示す平面図である。 建築物に設置された空調システムの構成を示す系統図であり、(A)は、空調システムの設置された室内空間の概略断面図、(B)はその概略立面図である。 熱交換部の概略断面図である。 井戸周辺部を説明する概略断面図である。 井戸周辺部を説明する別の概略断面図である。 他の実施形態における空調システムの構成を示す系統図であり、(A)は空調システムの設置された室内空間の概略断面図、(B)はその概略立面図である。 図11(A)は他の実施形態における熱交換部及びその周辺のレイアウトを説明する概略図であり、図11(B)は熱交換部及びその周辺の概略斜視図である。 建築物の変形例に係る断面図である。
[建築物の構成]
以下、本発明に係る建築物について、好ましい一実施形態に基づいて詳細に説明する。図1は、屋根を取り除いた状態の建築物を示す平面図、図2は、上階から見下げた建築物を示す平面図、図3は、建築物の屋根分の平面図、図4は、図1のA−A断面図、図5は、出入り口の側から見た建築物を示す平面図である。
建築物1は、公道等の道路100に面して建設され、そして、通路100につながる私有道路としての歩道101、及び出入り口20aを介して出入りができるようになっている。
建築物1は、概略として、多角形状(正八角形状)の基礎3と、基礎3の周囲を取り囲むようにして基礎3と一体に立設された外壁8を備えており、基礎3と外壁8が一体となった1つの容器のようになっている。そして、基礎3の略中央には室内空間となる家屋部2が配置されている。一方、基礎3と外壁8によって形成される空間を覆うようにして屋根30が取り付けられている。屋根30は、その周縁部が外壁8によって支持されており、家屋部2とは構造上の結合はなされていない。これにより、基礎3、外壁8、屋根30によって建築物1の内部を水密性のある或いは気密のある密閉空間とすることが可能となっている。つまり、建築物1は、基礎3と、基礎3の周囲を取り囲むようにして当該基礎と一体となるようにして立設された外壁8と、外壁8に支持されて、当該外壁8に囲まれた内部空間を覆う屋根30によって内部が密閉空間とされている。
また、外壁8は屋根30よりも高く形成されている。外壁8を屋根30よりも高く形成することで水害や後述する家屋部2に吹き付ける横風を効果的に阻止することができる。そして、基礎3及び壁8は鉄筋コンクリート、家屋2は鉄骨或いは鉄筋コンクリート、屋根30は鉄骨で骨組みを形成してさらに鉄板や鋼板等の金属製材料によって覆うことによってそれぞれ形成され、建築物1の内部空間が密閉可能とされている。尚、構造については強固な構造であれば鉄骨、鉄筋コンクリート或いはその適宜の組み合わせを採用することができる。また、使用するコンクリートは、例えば、撥水材や合成樹脂で防水層を形成する等によって防水性を高めることができる。さらに、鉛板を併設することで放射線の侵入を防止する構造とすることもできる。
尚、建築物1は、地震の際に家屋部2の振動を抑制する免震機構40を備えていてもよい。建築物1の免震機構40は、例えば基礎3と家屋部2とが接続される部分に設置される。免震機構40は免震、制振及び断振の少なくともいずれかの機能を備えており、その具体的な構成としては、例えば、エアーダンパ方式、積層ゴムによるアイソレータ方式、ボールやローラを用いた方式等があり、幾つかのメーカーから提供されている。また、免震機構40としては、家屋部2の底部に位置するコンクリート(設備エリア3dの天井)と、コンクリート上に敷設された床材との間に設置され、かつ、家屋部2を床材と共に水平方向に移動可能に支持するコロを用いることもできる。このような免振機構40は、地震の震動によって家屋部2と基礎3との接続部に加わる負荷を、軽減することができる。
また、屋根30と外壁8との間、具体的には、屋根30を構成する梁と外壁8の上部側面との間に、バネなどの弾性部材を配置し、外壁8の上端面の凹部内に梁の底面を移動可能に支持するコロを配設し、地震の震動によって屋根30と外壁8との間の接続部に加わる負荷を軽減してもよい。
家屋部2は、概略として、部屋10(居住スペース)と、複数の生活スペース20(出入り口20a、部屋10、回廊20g等)を備えて構成されている。尚、部屋10は、複数の部屋に区画されていてもよく、各区画には、リビング、ダイニング、寝室、書斎、キッチン、トイレ、浴室などの各用途が割り当てられてもよい。また、家屋部2の周囲を取り囲むようにして流水池4(貯水池の一種)が設けられている。
家屋部2は平面形状が多角形(八角形)とされ、利用者は、回廊20gを介して部屋10の各部を最短距離で移動することができる。また、部屋10の必要な場所に監視カメラを設置することにより、介護が必要な人や病人に対するケアが可能になる。また、部屋10の必要な場所に図示しない所要数のスプリンクラーが設けられており、その水源として水道、後述する流水池4や井戸83などの水を用いることができる。家屋部2は周壁部が防水コンクリートとされると共にその要所には柱が設けられている。家屋部2の周壁部の材質を、断熱性を有する防水コンクリートとすることでさらに火災や水害に強い建築物1とすることができる。また、家屋部2の下には基礎3を利用した密室、且つ、防水構造の設備エリア3dが設けられており、家屋部2の周囲における核シェルタ3bの下には基礎3を利用密室、かつ防水構造のストックエリア3aが設けられている。尚、本実施形態の家屋部2は平屋であるが、もちろんこれに限らず2階建てやそれ以上であってもよい。
屋根30は、図4に示すように、家屋部2を構成する駆体の上部に配設した状態で外壁8によって支持されており、家屋部2の躯体とは構造上の連結はされておらず、屋根30と家屋部2の躯体との間には狭い空間9Aが形成されている。また、屋根30の中央部には、図3に示すように、ソーラーパネル31が家屋部2の周壁部と重なる範囲に設置され、その周囲(空間9Bに重なる範囲)は強化ペアガラス張りのトップライト32となっている。さらに、屋根30の縁部が位置する外壁8の上部には雨水を案内するように樋状に形成され、そこに貯まった雨水を流水池4に案内する雨水収集管(不図示)が複数箇所に設けられており、屋根30上に降った雨を流水池4に貯えることで雨水の有効利用を図っている。ソーラーパネル31によって得られた電力は自家の照明や冷暖房等に用い或いは電力会社等に売電することができる。尚、ソーラーパネル31に代えて或いはソーラーパネル31に併用して太陽熱による温水設備を設けてもよい。
また、強化ペアガラスは、例えば、積雪荷重4mに耐え得る規格のものを用いている。具体的には、外側ガラスが倍強度ガラス板厚12ミリで、内側ガラスが板厚6.6ミリの網入りガラスの合わせガラスである。これにより建築物1内が外気から遮断状態にされ、建築物1内の温度を安定に保つことが可能になると共に、外部からの騒音が遮断され、また、近隣に火災が発生しても家屋部2に及ぶことを防止する。
尚、建築物1内の空間9Bが外気と連通する箇所、例えば、外壁8と屋根30との近傍の1箇所又は数箇所には、給排気空調設備(不図示)が設けられており、建築物1の空間9A,9B内に入り込む空気の浄化が行われる。また、給排気空調設備(不図示)は、更に給気ファン及び排気ファンまたは一体型の給排気ファンを備える(必要に応じてフィルタ等も備える)ことによって、建築物1の内部の空気と外部の空気との交換を行うこともできる。また、特殊フィルタは、空気中の塵等を除去する他、細菌、有害物質、放射性物質等が建築物1内に進入することを防止する。
また、屋根30の周辺部をトップライト32にしたことにより建築物1の空間9B内に外光が入るので流水池4や植栽部50の植物7に対する日光不足を解消することができる。そして、夏期の暑い日には流水池4の水を汲み上げて後述する大滝から流水や流水池4に落下させたりしてその際に発生する微細な水滴が蒸発する際の気化熱によって空間9A,9B内及び家屋部2内の気温を下げることができる構造となっている。尚、本実施形態では、地下水を利用した空調システムによって室内空間の温度制御を行う。なお、ここでいう「地下水」には、後述する流水池4の一部を地下5m以下(例えば地下6m)に掘り下げた深井戸等の井戸83に貯水された水、その他の地下水が含まれる。地下水を利用した空調システムの詳細は後述する。
流水池4は、例えば、水量約25t以上の水を必要な水位を保つように貯留している。流水池4の水路には、不図示のポンプが設置されており、流水池4の水は適当な流速で家屋部2の周囲を循環している。この流水池4では観賞用又は食用の魚を飼育したり水性植物を栽培したりすることができる。また、流水池4の水は、植栽部50への散水、融雪、災害時における消火や飲料水等にも利用される。一方、流水池4と外壁8との間には階段状の植栽部50が設けられている。植栽部50は、上部が植栽スペースとして利用されると共に内部に形成された空間は核シェルタ3bとして利用することができるようになっている。外壁8と階段状の植栽部50と基礎3とによって囲まれる室内空間が核シェルタ3bである。そして、植栽部50は、外壁8の内側周囲を一周するように設けられている。従って、コンクリート造りの核シェルタ3bはトンネル状に且つ外壁8をほぼ一周するように設けられている。なお、核シェルタ3bのコンクリート厚みは300mm以上に設定される。
核シェルタ3bは、流水池4の水が内部に侵入しないように且つ散水時の水等が内部に侵入しないように作られており、その内部には各種の設備の設置や食料等の備蓄が可能になっている。また、核シェルタ3bの上面は流水池4の水面よりも高い位置になるように作られ、外側に向かって段々畑のように段階的に高くなって植栽部50が形成されている。植栽部50には土が盛られ、この盛土に底木、花、野菜等の植物7が植栽されている。尚、植栽に限らず彫刻等の美術品や工芸品、置き石等を設置して美観や景色を楽しむようにしてもよいし、高さ7mほどの大滝(流水滝)を設けてもよい。また、外壁8の外側周囲を一周するように盛土10cが施されており、盛土10cには植物7が植栽されている。また、外壁8と階段状の植栽部50と基礎3とによって囲まれたトンネル状空間の全てを核シェルタ3bとして用いてもよいが、図1に示すとおり当該トンネル状の空間を複数の室内空間に区画し、その一部をキッチンスペース10f、バススペース10h、トイレスペース10i、前室10j、他には浴室スペース等として使用することもできる。
図4に示したように、植栽部50の上方は屋根30によって覆われているので、雨は植物7に降り注がない。流水池4の水は、池(流水池4)からポンプによって汲み上げられて散水管に導かれ、植物7に噴霧(給水)される。さらに、水道が災害や多彩等の発生に伴って水道が断水した際、流水池4の水を浄化・殺菌設備によって浄化・殺菌処理することで、この処理した水を水道水の代わりに用いることができる。そのため、流水池4は少なくとも1カ月程度利用しうるだけの水、例えば、約25t以上の水を貯留可能な容積を有することが望ましい。また、流水池4の上面の全部又は一部をコンクリート床又は板状部材等によって覆うことにより家屋部2の周囲を一周するような通路6を設けることができる。通路6はウォーキングの周回コースに利用したり、植物7を観賞するためのスペース等として利用したりすることができる。尚、ここでは流水池4の水源として雨水を利用する場合について述べたが、流水池4の水源として後述する井戸83を利用することも可能である。井戸83に貯水された地下水は、水道が断水した場合にも利用可能である点において有用性が高い。
また、建築物1の全体を、災害時における簡易型のシェルタとして利用することもできる。例えば、基礎3、外壁8及び屋根30に放射能を遮断する効果のある鉛板や特殊鉛鋼板等を併設することで核シェルタとして利用可能であり、酸素発生器を設置することで外部との空気の交換を遮断して内部を完全密閉することでウィルス等の進入を阻止することもできる。さらに、建築物1が水没するような津波が襲ってきた場合に、建築物1は、基礎3、外壁8及び屋根30によって水密に密閉されていると共に流水池4に貯えられた水がバラストストとなるので姿勢良く水に浮かせて水没を回避することもできる。また、上述したとおり、外壁8と植栽部50と基礎3とで囲まれた部分を核シェルタ3bとして利用する場合は、建築物1のうち少なくとも核シェルタ3bの部分に鉛板や特殊鉛鋼板が併設され、核シェルタ3bに酸素発生器が設置される。つまり、建築物1のうち外壁8と階段状の植栽部50と基礎3とによって囲まれる室内空間の一部又は全部を鉛及びコンクリートによって遮蔽することにより、当該室内空間の一部又は全部に、核シェルタ3bとしての機能を付与することができる。
尚、建築物1は上述した多角形状(正八角形状)のものに限らず、種々の外径形状を採用することは可能である。例えば、円形状、三角形、五角形、六角形等の多角形状である。
[空調システムの実施形態]
[空調システムの概要]
以下、地下水を利用した空調システムの実施形態について説明する。本実施形態の空調システムの設置先は、核シェルタ3bであり、空調システムの制御対象は、核シェルタ3bの内部(室内空間)の温度である。図6は、建築物に設置された空調システムの構成を示す系統図であり、(A)は、空調システムの設置された室内空間の概略断面図、(B)はその概略立面図である。
図6の下部に示すとおり、本実施形態の空調システムは、井戸83に貯水された地下水を熱媒体として利用する。地下水は、年間を通じて略一定の温度に保たれているので、これを熱媒体とすることで、ヒートポンプ又を用いずとも、すなわち除熱又は加熱のためのエネルギ(化石エネルギ等)を用いずとも、室内空間の温度を維持できる。地下水からなる熱媒体は、室内空間の温度が地下水よりも高いときには室内空間の空気を加熱でき、室内空間の温度が地下水よりも低いときには室内空間の空気を除熱できるからである。
[空調システムの構成]
本実施形態の空調システムには、図6に示すとおり、給水パイプ82、ポンプ34、熱交換部90、及び排水パイプ93が備えられる。給水パイプ82は、井戸83に貯水された地下水を熱媒体として熱交換部90へ給水するためのパイプである。給水パイプ82の材質は、樹脂などの腐食や錆に強い材質である。ポンプ34は、給水パイプ82の経路に設けられ、かつ、井戸85の側から所定の圧力で地下水を吸込して熱交換部90の側へ吐出するポンプである。尚、ポンプ34の設置先は、排水パイプ93の経路であってもよい。
熱交換部90は、給水パイプ82と排水パイプ93との間に連結され、かつ核シェルタ3bの室内空間の内面(壁面、天井面、床面の少なくとも一面)に沿って蛇行設置された熱交換パイプ90Bを有する。熱交換パイプ90Bの材質は、給水パイプ82の材質と同様である。但し、熱交換パイプ90Bの材質は、熱交換の効率を高めるため、銅、ステンレス、アルミニウムなどの熱伝導性の高い材質であってもよい。また、熱交換パイプ90Bの外周に、熱伝導性の高い材料(銅、ステンレス、アルミニウムなど)からなるテープが巻かれていてもよい。
排水パイプ93は、熱交換パイプ90Bと後述する排水先(排水口)との間に連結され、熱交換パイプ90Bを経由した地下水を排水先へ送水するためのパイプである。排水パイプ93の材質は、給水パイプ82の材質と同様である。ここで、図6の例では、植栽部50側の傾斜した壁面と外壁8側の直立した壁面との各々に熱交換部90が設置されている。これら2つの熱交換部90は、1本の給水パイプ82及び1本の排水パイプ93を兼用しており、2つの熱交換部90の熱交換パイプ90Bは、1本の給水パイプ82及び1本の排水パイプ93の間に直列の関係で連結されている。尚、図6の例では、2つの熱交換部90の設置先を核シェルタ3bの2つの壁面としたが、2つの熱交換部90の少なくとも一方の設置先を、核シェルタ3bの天井面又は床面としてもよい。
以上のとおり、本実施形態の空調システムの熱交換部90は、核シェルタ3bの室内空間を区画する壁面、天井面或いは床面のいずれか又はそれらの少なくとも2つ以上の面に、地下水を流通させる熱交換パイプ90Bを接触させるようにして配置している。このような熱交換部90は、熱交換パイプ90Bが接触している壁面、天井面或いは床面を介して地下水と室内空間内とを熱交換することにより当該室内空間の空調を行う。
[熱交換部の構成]
次に、本実施形態の熱交換部90の構成を詳細に説明する。図7は、本実施形態の熱交換部90の略断面図である。図7では、熱交換部90の設置先が外壁8側の壁面である場合を示している。図7に示すとおり、熱交換部90を構成する熱交換パイプ90Bの壁面側は、扁平な形状をしている。例えば、熱交換パイプ90Bの断面形状は、概略D字状をしている。よって、壁面に対する熱交換パイプ90Bの接触面積は、熱交換パイプ90Bの断面形状がO字状である場合よりも広くなる。つまり、熱交換パイプ90Bは、壁面との面接触によって熱交換を行うことが可能である。従って、本実施形態の熱交換部90は、核シェルタ3bの構造物(図7では外壁8)と地下水との熱交換を行い、これによって間接的に核シェルタ3bの室内空間の温度を制御する。
[熱伝導材料]
次に、熱交換部90に使用される熱伝導材料について説明する。本実施形態の空調システムでは、熱交換部90の設置先(ここでは壁面)に、金属等の熱伝導性の高い材料が用いられる。例えば、図7に示すとおり、熱交換パイプ90Bの設置先となる外壁8の内壁面(熱交換部90)には、熱伝導性の高い材料(銅、ステンレス、アルミニウムなど)からなる熱伝導パネル90Aが敷設される(図7参照)。このような熱伝導パネル90Aは、熱交換パイプ90Bの内部を通過する地下水と、熱交換パイプ90Bの設置先となる構造物(外壁8)との間の熱交換の速度を高めることができる。
[カバーパネル及びについて]
次に、熱交換部90に使用されるカバーパネル等について説明する。本実施形態の空調システムにおいて、熱交換部90の室内側には、図7に示すとおり、熱交換部90を覆うカバーパネル91が設けられる。カバーパネル91の設置により、利用者の身体が熱交換部91に直接的に接触するのを防ぐことができるからである。また、熱交換部90には、図6に示すとおり、熱交換パイプ90Bの周辺の空気を循環させるための換気扇89が設けられてもよい。換気扇89は、熱交換パイプ90Bの下側から熱交換パイプ90Bの上側に向けて空気を送風し、熱交換パイプBの周辺の空気を循環させる。これによって、熱交換の促進を図ることができるほか、室内空間の温度が地下水より高い場合に熱交換パイプ90Bの表面に生じる結露を抑えることができる。
[給水について]
次に、本実施形態の空調システムの給水について説明する。図6の下部に示すとおり、井戸83は、地下水が利用可能な地域において、地中深くの帯水層200を貫通しており、井戸83の底部は地下水が貯水された貯水部83aとなっている。本実施形態の空調システムでは、給水パイプ82の取水口82aは、貯水部83aの水位よりも十分に低い位置に設置されている。よって、空調システムのポンプ34が作動すると、貯水部83aに貯水された地下水は、取水口82aを介して給水パイプ82へ取り込まれる。尚、貯水部83aには帯水層200から染み出した地下水が適宜に補充されるので、貯水部83から給水パイプ82へ地下水が給水された場合であっても、貯水部83aの水位は略一定に保たれる。
[排水について]
次に、本実施形態の空調システムの排水について説明する。本実施形態の空調システムでは、排水パイプ93の排水口(不図示)は、給水パイプ82の取水口82aから離れた流水池4及び植栽部50に設置される。具体的には、空調システムの熱交換部90に接続された排水パイプ93は、その下流側で2系統の排水パイプ93に分岐され、分岐された一方の排水パイプ93の排出口は、流水池4に接続され、分岐された他方の排出パイプ93の排出口は、植栽部50の散布ノズル(不図示)に接続される。
従って、空調システムの熱交換部90で熱交換された後の地下水は、2系統の排水パイプ93を介して流水池4及び植栽部50にそれぞれ給水され、これによって熱交換後の地下水の再利用が図られる。また、熱交換された後の地下水が、熱交換される前の地下水に混入しない(又は、混入するまでの時間稼ぎができる)ので、熱媒体たる地下水の温度を安定させることができる。
尚、植栽部50へ給水された地下水の少なくとも一部は、植栽部50の植物7を介して空気中へ拡散し、また、流水池4へ排水された地下水の少なくとも一部は、流水池4の水面から空気中へ拡散される。また、植栽部50又は流水池4で保持しきれなかった余剰の地下水は、不図示の排水パイプを介して例えば下水道又は地中(帯水層200と同じ又は異なる帯水層)へ導かれる。また、地下水が地中に排水される場合であっても、地中深くへ導かれるまでに十分な時間をかけて十分な長さの水路を移動するので、当該排水に起因して空調システムの水源(貯水部83a、帯水層200)の温度が変動するという事態は生じない。
[コントローラについて]
本実施形態の空調システムは、核シェルタ3bの室内空間等に設置されたコントローラ(不図示)によって制御される。利用者は、コントローラを操作し、温度制御の開始指示及び終了指示を空調システムへ与えることができる。開始指示を受けたコントローラは、ポンプ34を駆動すると共に、給水パイプ82の経路に設けられた不図示のバルブを解放し、井戸83の地下水を熱交換部90へ導水する。終了指示を受けたコントローラは、ポンプ34を停止させると共にバルブを閉鎖する。尚、コントローラは、利用者の操作に応じてポンプ34の圧力やバルブの開き量を調節してもよい。この調整により、単位時間当たりに熱交換部90を移動する地下水の量が調節されるので、熱交換の効率(ひいては室内空間の温度が地下水の温度に近づく速度)を調節することができる。また、本実施形態の空調システムでは、プログラムに従って動作するCPUをコントローラに備えるとともに、核シェルタ3bの室内空間に温度センサを設置し、温度センサの出力に応じてポンプ34の圧力及びバルブの開き量をCPUに自動制御させることも可能である。
[実施形態の効果]
以上説明したとおり、本実施形態に係る空調システムによれば、熱交換部90の熱交換パイプ90Bに地下水を流通させ、核シェルタ3bの室内空間の壁面、天井面或いは床面のいずれか又はそれらの少なくとも2つ以上の面に熱交換パイプ90Bを接触させることにより核シェルタ3bの室内空間内と地下水との間の熱交換を図るので、核シェルタ3bの室内空間の空気汚染を防ぎつつ室内外の温度差を軽減できるという効果がある。しかも、空調システムの熱媒体たる地下水は外気温に関わらず一定の温度に保たれ、ヒートポンプが不要、すなわち、熱媒体の除熱又は加熱のためのエネルギ(化石エネルギ等)は基本的に不要なので、省エネルギ化が可能という効果もある。
また、本実施形態に係る空調システムによれば、熱交換部90の熱交換パイプ90Bを核シェルタ3bの壁面、天井面或いは床面と面接触させるので、熱交換の効率が高いという効果がある。
また、本実施形態に係る空調システムによれば、熱交換部90の設置先である壁面、天井面或いは床面には金属等の熱伝導性の高い材料からなる熱伝導パネル90Aが用いられるので、熱交換の効率が高いという効果がある。
また、本実施形態に係る空調システムによれば、熱交換された後の地下水は、汲み上げるべき貯水部83a(地下水脈)とは異なる流水池4(貯水池の一種)に排水されるので、排水に起因した貯水部83a(地下水脈)の温度変化を防止できるという効果がある。
また、本実施形態に係る建築物1によれば、外壁8と階段状の植栽部50と基礎3とによって囲まれた核シェルタ3bの空間部(室内空間)の温度を安全かつ効率的に制御できるという効果がある。また、温度制御の対象を、建築物1の周縁部に位置する核シェルタ3bとしたので、建築物1の内外の温度差抑制を効率的に行えるという効果もある。
また、本実施形態に係る建築物1によれば、熱交換された後の地下水が植栽部50に給水されるので、地下水の再利用による省エネルギ化を図ることができるという効果がある。
また、本実施形態に係る建築物1によれば、外壁8と階段状の植栽部50と基礎3とによって囲まれた快適な空間部(室内空間)を、安全性の高い核シェルタ3bとして利用可能という効果がある。
[排水の変形例]
尚、本実施形態の空調システムでは、排水パイプ93の排水口を、取水口82aから離れた流水池4及び植栽部50に設置したが、図8に示すとおり、取水口82aに近い位置に設置することも可能である。図8に示す排水口93aの設置先は、取水口82aと同様の井戸83である。但し、排水口93aは、貯水部83aの水面より上側に設置されているので、排水口93aから排水された地下水が取水口82aから取水される地下水と直接的に混ざり合うのを防いでいる。
[熱媒体の変形例]
また、本実施形態の空調システムにおいては、図9に示すとおり、排水パイプ93と給水パイプ82とを連結して給水路及び排水路を閉じた経路としてもよい。この場合、当該閉じた経路を地下水その他の熱媒体で充填するとともに、ポンプ34によって熱媒体を循環させ、図9に示すとおり経路の一部(図9ではU字状の部分)を貯水部83aに浸水させることで、熱媒体と地下水との間の熱交換を行ってもよい。
[空調システムの設置先の変形例]
また、本実施形態では、空調システムの設置先(熱交換部90の設置先)を核シェルタ3bとしたが、家屋部2の室内空間である部屋10としてもよいし、部屋10を区画して設けられた複数の部屋の少なくとも1つとしてもよい。この場合、密閉空間内であって基礎3の上に配置された家屋部2(室内空間)の少なくとも一部の温度を、安全かつ効率的に制御できる。また、このような空調システムで熱交換された後の地下水を、家屋部2の周囲に設けられた流水池4に排水すれば、地下水の再利用による省エネルギ化を図ることができるほか、家屋部2から流水池4までの距離が短いことから、排水路を短くできるという利点もある。
[パイプ兼用についての変形例]
尚、空調システムを構成する熱交換部90の数が2以上である場合には、2以上の熱交換部90の間で給水パイプ82を個別に設けてもよいし、給水パイプ82を兼用してもよい。また、2以上の熱交換部90の間で排水パイプ93を個別に設けてもよいし、排水パイプ93を兼用してもよい。
[フレキシブルパイプの変形例]
また、建築物1に免震機構40が設けられ、建築物1の一部の部材と他の部材との位置関係が変化しうる場合には、必要に応じて、給水パイプ82及び排水パイプ93の少なくとも一部をフレキシブルパイプで構成し、当該位置関係の変化に起因した給水パイプ82及び排水パイプ93の破損を防いでもよい。
[空調システムの他の実施形態]
以下、地下水を利用した空調システムの他の実施形態について説明する。ここでは、上記実施形態との相違点を主に説明し、共通する部分についての説明は省略する。図10は、他の実施形態における空調システムの構成を示す系統図であり、(A)は空調システムの設置された室内空間の概略断面図、(B)はその概略立面図である。尚、図10において、図6における要素と同様の機能を有した要素には同一の符号が付されている。
図10に示すとおり、本実施形態の空調システムも上記実施形態と同様に熱媒体として地下水を利用している。但し、本実施形態の空調システムでは、室内空間を区画する壁面を、カバーパネル91の設置により二重構造とし、その内部にガラス繊維等の水分保持材90Cを充填し、壁面の上部から水分保持材90Cへ地下水を供給することにより壁面全体を介して地下水と室内空間内とを熱交換することにより、当該室内空間の空調を行う。つまり、本実施形態の空調システムでは、カバーパネル91と壁面との間の空間に充填されたパネル状の水分保持材90Cが、熱交換部90を構成している。
[熱交換部の構成]
次に、本実施形態の熱交換部90の構成を詳細に説明する。図11(A)は他の実施形態における熱交換部及びその周辺のレイアウトを説明する概略図であり、図11(B)は熱交換部及びその周辺の概略斜視図である。図11(A)、図11(B)に示すとおり、本実施形態の熱交換部90は、カバーパネル91と壁面との間に充填された、概略パネル状の水分保持材90Cによって構成されている。以下、「パネル状の水分保持部材90C」と称す。尚、図11では、カバーパネル91などの図示を省略している。給水パイプ82の先端側(熱交換部90の側)は、パネル状の水分保持部材90Cの上端に沿って直線状に配設されており、給水パイプ82の当該直線部分には、パネル状の水分保持部材90Cの上端に沿って複数の散水口(ノズル)95が並んで形成されている。尚、排水パイプ82の先端部は、キャップ82bで封止されている。
排水パイプ93の基端側(熱交換部90の側)は、パネル状の水分保持部材90Cの下端に沿って直線状に配設されており、排水パイプ93の当該直線部分には、パネル状の水分保持部材90Cの下端に沿ってU字状断面の排水溝94が形成されている。給水パイプ82によって給水された地下水は、複数のノズル95を介してパネル状の水分保持部材90Cの上端の各部に向けて散布される。そして、パネル状の水分保持部材90Cの各部を通過して落下した地下水は、排水パイプ93の排水溝94によって受水され、排水パイプ93を介して不図示の排水口へ移動する。尚、排水溝94及び排水パイプ93には、不図示の排水口に向かって傾斜した滑らかな勾配が設けられており、排水溝94が受水した地下水は重力を受けて排水口へ導かれる。なお、水分保持部材90Cを経由した地下水は、流水池4へ排水されてもよい。
以上説明した空調システムによれば、室内空間を区画する壁面を二重構造とし、その内部に充填されたパネル状の水分保持部材90Cへ地下水を供給することにより、室内空間内と地下水との間の熱交換を図るので、上述した実施形態と同様の効果が得られる。また、本実施形態の熱交換部90(パネル状の水分保持部材90C)は、軽量なガラス繊維等の水分保持部材で構成されるので、壁面への設置が容易という利点もある。
[建築物の変形例]
なお、上述した実施形態では、外壁8の外側の一部又は全部が盛土10cで覆われた建築物1に空調システムを適用した場合について説明したが、例えば図12に示すように地中に埋設された建築物1に同様の空調システムを適用することも可能である。この変形例や上述した実施形態のように盛土10cで覆われている又は地中に埋設されている建築物1に当該空調システムを適用すれば、盛土10c又は地中からの熱伝導と空調システムによる熱交換との相乗効果が期待できるので、空調効率の向上ひいては省エネルギ化の促進が図られる。
[各実施形態への補足]
以上のように、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能であることはいうまでもない。具体的には、本発明に係る建築物は、住宅、オフィス、療養施設、病院、公共施設等の各種の用途に適用可能である。
1 建築物
2 家屋部
3 基礎
3a ストックエリア
3b 核シェルタ
3d 設備エリア
4 流水池
5 設備スペース
6 通路
7 植物
8 外壁
9A 空間
9B 空間
10 部屋
10b 歩道
10c 盛土
20a 出入り口
20g 回廊
30 屋根
31 ソーラーパネル
32 トップライト
34 ポンプ
40 免震機構
50 植栽部
82 給水パイプ
82a 取水口
83 井戸
89 換気扇
90 熱交換部
90B 熱交換パイプ
90C 水分保持材
91 カバーパネル
93 排水パイプ
93a 排水口
95 ノズル
94 排水溝
100 道路
101 歩道

Claims (10)

  1. 地下水を利用した空調システムにおいて、
    室内空間を区画する壁面、天井面或いは床面のいずれか又はそれらの少なくとも2つ以上の面に前記地下水を流通させるパイプを接触させるようにして配置し、前記パイプが接触している壁面、前記天井面或いは前記床面を介して前記地下水と前記室内空間内とを熱交換することにより当該室内空間の空調を行うことを特徴とする地下水を利用した空調システム。
  2. 請求項1に記載の地下水を利用した空調システムにおいて、
    前記パイプは、前記壁面、前記天井面或いは前記床面と面接触によって熱交換可能に形成されていることを特徴とする地下水を利用した空調システム。
  3. 地下水を利用した空調システムにおいて、
    室内空間を区画する壁面を二重構造とし、その内部にガラス繊維等の水分保持材を充填し、前記壁面の上部から前記水分保持材へ前記地下水を供給することにより前記壁面全体を介して前記地下水と前記室内空間内とを熱交換することにより当該室内空間の空調を行うことを特徴とする地下水を利用した空調システム。
  4. 請求項1から3に記載の地下水を利用した空調システムにおいて、
    前記壁面、前記天井面或いは前記床面には金属等の熱伝導性の高い材料が用いられることを特徴とする地下水を利用した空調システム。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の地下水を利用した空調システムにおいて、
    熱交換された後の前記地下水は、汲み上げるべき地下水脈とは異なる貯水池に排水することを特徴とする地下水を利用した空調システム。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の地下水を利用した空調システムを備えた建築物において、
    前記建築物は、
    基礎と、前記基礎の周囲を取り囲むようにして当該基礎と一体となるようにして立設された外壁と、前記外壁に支持されて、当該外壁に囲まれた内部空間を覆う屋根によって内部が密閉空間とされると共に、前記外壁の外側の一部又は全部を盛土で覆うか、或いは前記建築物を地中に埋設して形成され、
    前記外壁の内側には階段状に植栽部が形成される共に、前記外壁と階段状の植栽部と基礎とによって囲まれる室内空間に前記空調システムを設けることにより前記盛土又は地中からの熱伝導及び前記空調システムによって前記室内空間を空調することを特徴とする地下水を利用した空調システムを備えた建築物。
  7. 請求項6に記載の地下水を利用した空調システムを備えた建築物において、
    熱交換された後の前記地下水は、前記植栽部に給水することを特徴とする地下水を利用した空調システムを備えた建築物。
  8. 請求項6又は7に記載の地下水を利用した空調システムを備えた建築物において、
    前記外壁と階段状の植栽部と基礎とによって囲まれる室内空間の一部又は全部を鉛及びコンクリートによって遮蔽することにより、核シェルタとして利用可能としたことを特徴とする地下水を利用した空調システムを備えた建築物。
  9. 請求項1から5のいずれか1項に記載の地下水を利用した空調システムを備えた建築物において、
    前記建築物は、
    基礎と、前記基礎の周囲を取り囲むようにして当該基礎と一体となるようにして立設された外壁と、前記外壁に支持されて、当該外壁に囲まれた内部空間を覆う屋根によって内部が密閉空間とされると共に、前記外壁の外側の一部又は全部を盛土で覆うか、或いは前記建築物を地中に埋設して形成され、
    前記密閉空間内であって前記基礎の上に配置された家屋部に前記空調システムを設けることにより前記盛土又は地中からの熱伝導及び前記空調システムによって前記家屋部を空調することを特徴とする地下水を利用した空調システムを備えた建築物。
  10. 請求項9に記載の地下水を利用した空調システムを備えた建築物において、
    前記家屋部の周囲には貯水池が設けられ、
    熱交換された後の前記地下水は、前記貯水池に排水することを特徴とする地下水を利用した空調システムを備えた建築物。
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