以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.バルブ状態検出システムの構成]
図1に示すように、第1の実施の形態によるバルブ状態検出システム1は、発電所10に設けられており、主に光ファイバ2、温度計測装置3及び管理装置4により構成されている。このうち温度計測装置3及び管理装置4は、ネットワーク5を介して相互に接続されている。ネットワーク5は、例えばルータやハブのような種々のネットワーク機器(図示せず)によって構成されており、接続された機器の間で相互に情報を送受信することができる。
発電所10は、例えば火力発電所であり、その施設内に、冷却水等の液体や蒸気等の気体(以下、両者をまとめて流動体と呼ぶ)を輸送するための配管11が張り巡らされている。また発電所10には、配管11の随所に開閉可能なバルブ12が多数設けられると共に、各バルブ12の開閉を制御する開閉指示装置13が設けられている。
光ファイバ2は、例えば1[km]のような比較的長い全長を有しており、その一部が配管11に沿って敷設されている。また光ファイバ2は、各バルブ12の上流側及び下流側それぞれにおける当該バルブ12の近傍において、配管11の近傍を通るような経路に沿って配置されており、具体的には該配管の周囲に複数回巻き付けられている。この光ファイバ2の一端(以下これを接続端2Aと呼ぶ)は、温度計測装置3に接続されている。
情報処理装置としての温度計測装置3は、図2に模式的なブロック図を示すように、その内部に計測制御部21、記憶部22,通信部23及び温度計測部24を有している。このうち計測制御部21は、例えば図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を有している。計測制御部21は、CPUによりROM等から所定のプログラムを読み出し、RAMをワークエリアとして使用しながら実行することにより、種々の処理を実行し、また例えば判定部31及び通知部32(詳しくは後述する)のような複数の機能ブロックを内部に形成する。
記憶部22は、例えばハードディスクドライブやフラッシュメモリ等のような不揮発性の情報記憶媒体であり、種々の情報を記憶する。この記憶部22には、例えばバルブ12に関する情報や、配管11を流れる流動体の温度に関する情報等が記憶される。通信部23は、例えばIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.3u/ab/an/ae等の規格に準拠した有線LAN(Local Area Network)に準拠したインタフェースとなっており、ネットワーク5との間で種々の情報を送受信することができる。
温度計測部24は、光ファイバ2に対し接続端2Aから所定周波数の散乱光を入射させ、該光ファイバ2から戻ってくる光を受光して所定の信号処理や演算処理等を行う。これにより温度計測部24は、光ファイバ2における、接続端2Aからの距離ごとの温度を計測することができる(詳しくは後述する)。
管理装置4は、一般的なコンピュータ装置と同様に構成されており、その内部に制御部41、通信部43、表示部44及び操作部45を有している。制御部41は、温度計測装置3の計測制御部21と同様、図示しないCPUやROM及びRAM等を有しており、該ROMや図示しない記憶部等から種々のプログラムを読み出して実行することにより、種々の処理を行う。
通信部43は、温度計測装置3の通信部23と同様、例えばIEEE802.3u/ab等の有線LAN、或いはIEEE802.11a/b/g/n/ac等の無線LANに準拠したインタフェースとなっており、ネットワーク5との間で種々の情報を送受信することができる。すなわち管理装置4は、通信部43及びネットワーク5を介して、温度計測装置3との間で種々の情報を送受信することができる。
提示部としての表示部44は、例えば液晶パネルでなり、制御部41の制御に基づき、文字や図形、或いは画像等により、種々の情報を表示する。操作部45は、例えばキーボード及びタッチパッドであり、ユーザによる文字入力や位置指定等の操作を受け付けて制御部41に通知する。
[1−2.バルブの構成及び光ファイバの巻付]
バルブ12は、図3(A)に模式的な断面図を示すように、弁箱部51を中心に構成されている。弁箱部51は、その内部に弁箱空間51Sを形成すると共に、該弁箱部51を挟んで互いに反対側に、何れも管状の第1接続部52及び第2接続部53がそれぞれ設けられている。
弁箱部51の弁箱空間51Sは、第1接続部52の内部に形成された第1接続空間52S及び第2接続部53の内部に形成された第2接続空間53Sと何れも連通している。因みにバルブ12では、第1接続部52側が上流側となっており、流動体が流入される。またバルブ12では、第2接続部53側が下流側となっており、上流側から流入してきた流動体を流出させる。
また弁箱空間51S内には、弁体54が設けられている。この弁体54は、弁棒55を介して駆動部56に取り付けられている。駆動部56は、内部に図示しないアクチュエータが組み込まれており、開閉指示装置13(図2)から供給される開閉指示、すなわち開放指示又は閉塞指示に従ってこのアクチュエータを作動させることにより、弁棒55及び弁体54を図の上下方向へ変位させることができる。
例えばバルブ12は、駆動部56により弁棒55と共に弁体54を図の下方へ変位させた場合(図3(A))、弁箱空間51Sと第1接続空間52Sとの接続部分を塞いだ状態となる。このときバルブ12は、仮に第1接続部52に接続された配管11(図1等)から流動体が流れてきたとしても、これを弁体54により堰き止め、第2接続空間53S内や第2接続部53に接続された配管11へは流さない。以下、バルブ12のこのような状態を閉塞状態と呼ぶ。
一方、バルブ12は、例えば図3(B)に示すように、駆動部56により弁棒55と共に弁体54を図の上方へ変位させた場合、弁箱空間51Sと第1接続空間52Sとの接続部分を開放し、両者を連通させた状態となる。このときバルブ12は、仮に第1接続部52に接続された上流側の配管11(図1等)から流動体が流入されると、これを弁箱空間51S内及び第2接続空間53S内へ流し、第2接続部53に接続された配管11へ流出させることができる。以下、バルブ12のこのような状態を開放状態と呼ぶ。
ところで、配管11(図2)におけるバルブ12の上流側であって、該バルブ12に近接した箇所(以下これを上流側計測箇所15と呼ぶ)には、光ファイバ2が巻き付けられている。また配管11におけるバルブ12の下流側であって、該バルブ12に近接した箇所(以下これを下流側計測箇所16と呼ぶ)にも、光ファイバ2が巻き付けられている。
上流側計測箇所15及び下流側計測箇所16では、配管11の外周に、該配管11に密接させるようにして、それぞれ光ファイバ2が複数回巻き付けられている。光ファイバ2は、上流側計測箇所15及び下流側計測箇所16に巻き付けられた部分の長さが、それぞれ2[m]以上となっている。
さらに図4(A)外観図を示すと共に図4(B)に断面図を示すように、上流側計測箇所15及び下流側計測箇所16には、配管11の外周に巻き付けられた光ファイバ2のさらに外側に、固定部材17が取り付けられている。押付部としての固定部材17は、例えば耐熱性を有するゴムによって構成されており、光ファイバ2を配管11の外周に押し付けて確実に当接させ、該配管11の温度を該光ファイバ2へ良好に伝達させることができる。
因みにバルブ状態検出システム1(図1)では、発電所10に設けられた複数のバルブ12におけるそれぞれの上流側(上流側計測箇所15)及び下流側(下流側計測箇所16)に対し、1本の光ファイバ2における接続端2Aからの距離が異なる複数の箇所が、それぞれ巻き付けられている。
[1−3.温度計測装置による温度の計測原理]
ところで温度計測装置3は、本願の出願人らにより非特許文献1及び特許文献2等に開示された原理を利用して、光ファイバ2を用いて温度を計測するようになっている。
ここでは、温度計測装置3による温度の計測原理について、図5に示す温度計測装置100を例に説明する。この温度計測装置100は、光ファイバを用いて種々の物理量を計測する分布型光ファイバセンシングのうち、光ファイバの一端から光パルスを入射し、光ファイバ中で後方散乱された光を時間に対して測定する時間領域リフレクトメトリ(OTDR:Optical Time Domain Reflectometry)を用いる。光ファイバ中の後方散乱には、レイリー散乱、ブリルアン散乱及びラマン散乱がある。このうち自然ブリルアン散乱を測定するものは、BOTDR(Brillouin OTDR)と呼ばれる。
ブリルアン散乱は、光ファイバに入射される光パルスの中心周波数に対して、ストークス側及び反ストークス側にGHz程度のオーダーで周波数シフトした位置に観測される。このブリルアン散乱のスペクトルは、ブリルアン利得スペクトル(BGS:Brillouin Gain Spectrum)と呼ばれる。BGSの周波数シフト及びスペクトル線幅は、それぞれブリルアン周波数シフト(BFS:Brillouin Frequency Shift)及びブリルアン線幅と呼ばれる。BFS及びブリルアン線幅は、光ファイバの材質および入射光波長によって異なる。このBFSは、歪みと温度に対して依存性を持っている。
さらに温度計測装置100は、光の周波数変化をコヒーレント検波により与えられるビート信号の位相差として測定することにより、時間及び位相の2次元の情報を取得する、自然ブリルアン散乱光を用いている。具体的には、自己遅延ヘテロダイン型のBOTDR(SDH−BOTDR:Self-Delayed Heterodyne BOTDR)の技術を用いて、光の周波数変化をコヒーレント検波により与えられるビート信号の位相差として測定することにより、時間及び位相の2次元の情報を取得する。このSDH−BOTDRでは、周波数掃引を必要としないため、3次元の情報を取得する場合と比較して、測定時間の短縮が可能となっている。
具体的に温度計測装置100は、主に光源部110、サーキュレータ120、光増幅器131、自己遅延ヘテロダイン干渉計140、周波数シフト量取得部160、信号強度取得部170、信号処理装置180及びタイミング制御器190により構成されている。
光源部110は、連続光を生成する周波数安定化狭線幅光源111と、この連続光から光パルスを生成する光パルス発生器112とを有している。光パルス発生器112は、周知の音響光学(AO:Acoustic Optical)変調器又は電気光学(EO:Electric Optical)変調器により構成される。光パルス発生器112は、タイミング制御器190で生成された電気パルスに応じて、連続光から光パルスを生成する。この光パルスの繰り返し周期は、光ファイバ102を光パルスが往復するのに要する時間よりも長く設定される。光パルス発生器112は、この光パルスをプローブ光としてサーキュレータ120へ供給する。
光源部110から出力されたプローブ光は、サーキュレータ120を経て、光ファイバ102の接続端102Aに入射される。この光ファイバ102からの戻り光、具体的に後方散乱光は、サーキュレータ120を経て、光増幅器131により増幅され、光バンドパスフィルタ132に送られる。光バンドパスフィルタ132は、10[GHz]程度の透過帯域を有しており、自然ブリルアン散乱光のみを透過して自己遅延ヘテロダイン干渉計140へ送る。
自己遅延ヘテロダイン干渉計140は、局発電気信号源141、分岐部142、光周波数シフタ部143、遅延部144、合波部145及びコヒーレント検波部150により構成される。このうち局発電気信号源141は、周波数fAOM(例えば数十[MHz]程度)の電気信号(以下これを第2電気信号とも呼ぶ)を生成し、これを光周波数シフタ部143及びミキサー部161に供給する。
分岐部142は、光バンドパスフィルタ132から受け取った後方ブリルアン散乱光を、第1光路の光周波数シフタ部143及び第2光路の遅延部144に2分岐してそれぞれに供給する。光周波数シフタ部143は、局発電気信号源141から供給される周波数fAOMの電気信号を用い、第1光路を伝播する光に周波数fAOMの周波数シフトを与えて合波部145に送る。遅延部144は、第2光路を伝播する光に時間τの遅延を与え、合波部145に送る。合波部145は、第1光路及び第2光路を伝播する光を合波して合波光を生成し、これをコヒーレント検波部150へ送る。
コヒーレント検波部150は、バランス型フォトダイオード(PD)151及びFET増幅器152により構成されており、合波光をヘテロダイン検波してビート信号を生成し、これを第1電気信号として周波数シフト量取得部160及び信号強度取得部170に供給する。
周波数シフト量取得部160のミキサー部161は、コヒーレント検波部150から供給される第1電気信号と、局発電気信号源141から供給される第2電気信号とをホモダイン検波し、ホモダイン信号を生成してローパスフィルタ(LPF)162へ供給する。ローパスフィルタ162は、ホモダイン信号の高周波成分を除去することにより、周波数シフト量を生成し、これを信号処理装置180へ供給する。
信号強度取得部170は、2乗回路171、LPF172及び1/2乗回路173を有しており、コヒーレント検波部150から供給されるビート信号に対して包絡線検波を行うことにより、該ビート信号の強度δPB/PBを生成し、これを信号処理装置180へ供給する。
信号処理装置180は、周波数シフト量取得部160により生成された周波数シフト量と、信号強度取得部170により生成された強度と、予め取得しておいた種々の係数とを用いて、次の(1)式に示す光ファイバ中の歪みδε及び(2)式に示す温度変化δTを算出する。
ただし信号処理装置180は、(1)式及び(2)式に用いられる係数のうち、光ファイバ中の後方ブリルアン散乱における周波数シフトの歪み依存係数Cνε、温度依存係数CνT、及び後方ブリルアン散乱における散乱係数の歪み依存係数CPε及び温度依存係数CPTを予め取得している。
この(2)式を基に、温度変化δTと接続端からの距離との関係をグラフ化すると、例えば図6のように表すことができる。すなわち温度計測装置100は、得られた信号を基に、光ファイバ102における接続端からの距離ごとの温度変化δTを得ることができる。
[1−4.計測箇所及び閾値の記憶]
ところでバルブ状態検出システム1(図1)では、上述したように、光ファイバ2の一部が、配管11における各バルブ12の上流側及び下流側に設けられた計測箇所、具体的には上流側計測箇所15及び下流側計測箇所16において、該配管11にそれぞれ巻き付けられている。
温度計測装置3は、光ファイバ2のうち該配管11に巻き付けられている部分の位置、すなわち接続端2Aからの距離が予め計測されており、この距離を各バルブ12に関する情報と対応付けて記憶部22に記憶している。
具体的に記憶部22は、図7に示す計測箇所テーブルTBL1を記憶している。この計測箇所テーブルTBL1には、「管理番号」、「バルブ」、「上流/下流」、「光ファイバ」、「距離」といった項目が設けられ、さらに「距離」に「開始点」及び「終了点」といった副項目が設けられている。
これらの項目のうち「管理番号」は、管理上の都合により、1件ごとに連続した番号が割り当てられている。「バルブ」は、各バルブ12を識別するために、一意に割り当てられた名称や記号等である。「上流/下流」は、バルブ12の上流側計測箇所15であるか、或いは下流側計測箇所16であるかを表す。「光ファイバ」は、複数本の光ファイバ2を用いる場合に、各光ファイバ2に一意に割り当てられた名称や記号等である。このため、温度計測装置3において光ファイバ2が1本のみ用いられる場合、各「光ファイバ」の項目には全て同一の名称が格納される。「距離」の「開始点」及び「終了点」は、光ファイバ2において配管11に対する巻付が開始された点及び終了された点における、接続端2Aからの距離(以下これを接続端距離と呼ぶ)である。
例えば名称が「V001」であるバルブ12の上流側計測箇所15には、名称が「F01」の光ファイバ2における接続端距離が32[m]から34[m]までの範囲が、配管11に巻き付けられている。また名称が「V001」であるバルブ12の下流側計測箇所16には、名称が「F01」の光ファイバ2における接続端距離が35[m]から37[m]までの範囲が、配管11に巻き付けられている。
このため温度計測装置3は、例えば、名称が「F01」である光ファイバ2における接続端距離が32[m]から34[m]までの範囲における温度を計測することにより、名称が「V001」であるバルブ12における上流側計測箇所15の温度(以下これを上流側温度と呼ぶ)を知得できる。また温度計測装置3は、該光ファイバ2における接続端距離が35[m]から37[m]までの範囲における温度を計測することにより、名称が「V001」であるバルブ12における下流側計測箇所16の温度(以下これを下流側温度と呼ぶ)を知得できる。
因みに温度計測装置3では、変調周波数等に応じて分解能、すなわち光ファイバ2における接続端2Aからの距離に関して有効な細分化の最小単位が定められており、例えば1[m]となっている。このため計測箇所テーブルTBL1では、各接続端距離を1[m]単位の数値により表している。
ところで発電所10では、予め配管11ごとに輸送する媒体が決められており、該媒体の温度がある程度の範囲内に収まる場合が多い。この配管11にバルブ12が設けられている場合、下流側温度は、バルブ12の開閉に応じて変化することになる。
例えば、バルブ12の上流側から比較的高温の蒸気が輸送される場合、該バルブ12が開放状態であれば、下流側温度は、上流側温度とほぼ同等となる。またこの場合、該バルブ12が閉塞状態であれば、下流側温度は、周囲の温度(例えば気温や室温)とほぼ同等となる。
一方、例えばバルブ12が閉塞状態であるにも関わらず、下流側温度が周囲の温度と温度差を有する場合、バルブ12は、流動体を正常に堰き止めておらず、一部を下流側に流している状態、すなわち漏れが生じている状態であると推定できる。
そこで温度計測装置3は、予めバルブ12ごとに閾値を設定して記憶している。具体的に温度計測装置3は、図8に示す閾値テーブルTBL2を記憶部22に記憶させている。この閾値テーブルTBL2には、「バルブ」及び「閾値」といった項目が設けられている。このうち「バルブ」は、計測箇所テーブルTBL1(図7)の「バルブ」と同一のものである。「閾値」は、下流側温度と比較すべき温度の値であり、各「バルブ」と対応付けて、すなわちバルブ12毎に、それぞれ設定されている。
温度計測装置3は、光ファイバ2を用いて各バルブ12について上流側温度及び下流側温度を計測すると、このうち下流側温度と対応する閾値とを比較し、得られた比較結果をユーザに通知するようになっている。これによりユーザは、通知された比較結果を基に、各バルブ12の動作状態を把握することが可能となる。
[1−5.バルブ状態検出処理]
次に、バルブ状態検出システム1によるバルブ状態検出処理について、図9のフローチャートを参照しながら説明する。バルブ状態検出システム1における温度計測装置3の計測制御部21(図2)は、図示しない操作ボタンの操作等により、ユーザからバルブ状態検出処理の開始が指示されると、バルブ状態検出処理手順RT1(図9)を開始してステップSP1に移る。
ステップSP1において計測制御部21は、温度計測部24(図2)を制御することにより、光ファイバ2を用いた温度計測処理を行わせ、得られた温度計測結果を取得して、次のステップSP2へ移る。このとき得られた温度計測結果は、例えば図6に示したグラフのように、接続端距離と温度(又は温度変化)との関係として表されている。
ステップSP2において計測制御部21は、以降の処理において用いるカウンタの値を「1」に初期化し、次のステップSP3に移る。このカウンタの値は、計測箇所テーブルTBL1(図7)の管理番号と対応するものである。説明の都合上、以下では、計測箇所テーブルTBL1の管理番号がカウンタの値と一致するバルブ12を対象バルブと呼ぶ。
ステップSP3において計測制御部21は、計測箇所テーブルTBL1(図7)から対象バルブの上流側計測箇所15に関して光ファイバ2の名称、並びに開始点及び終了点の接続端距離をそれぞれ読み出し、次のステップSP4へ移る。
ステップSP4において計測制御部21は、対象バルブの上流側温度を取得し、次のステップSP5へ移る。具体的に計測制御部21は、ステップSP1において得られた温度計測結果を基に、光ファイバ2のうち対象バルブの上流側計測箇所15に相当する距離の部分に相当する開始点から終了点までの範囲の温度を取得し、これを上流側温度とする。このとき計測制御部21は、開始点から終了点までの範囲の温度として複数の値が得られた場合、その平均値を算出して上流側温度とする。
ステップSP5において計測制御部21は、計測箇所テーブルTBL1(図7)から対象バルブの下流側計測箇所16に関して光ファイバ2の名称、並びに開始点及び終了点の接続端距離をそれぞれ読み出し、次のステップSP6へ移る。
ステップSP6において計測制御部21は、対象バルブの下流側温度を取得し、次のステップSP7へ移る。具体的に計測制御部21は、ステップSP1において得られた温度計測結果を基に、光ファイバ2のうち対象バルブの下流側計測箇所16に相当する距離の部分に相当する開始点から終了点までの範囲の温度を取得し、これを下流側温度とする。このとき計測制御部21は、ステップSP4と同様、開始点から終了点までの範囲の温度として複数の値が得られた場合、その平均値を算出して下流側温度とする。
ステップSP7において計測制御部21は、閾値テーブルTBL2(図8)から対象バルブの閾値を読み出し、次のステップSP8へ移る。ステップSP8において計測制御部21は、判定部31(図2)により、ステップSP6において取得した対象バルブの下流側温度と、ステップSP7において取得した対象バルブの閾値との大小関係を判定し、次のステップSP9へ移る。
ステップSP9において計測制御部21は、ステップSP8において得られた判定結果をユーザに通知し、次のステップSP10へ移る。具体的に計測制御部21は、通知部32(図2)により、対象バルブの名称、上流側温度、下流側温度、閾値及び判定結果等をまとめて判定結果通知情報を生成し、これを通信部23により管理装置4へ送信する。管理装置4は、温度計測装置3から判定結果通知情報を受信すると、表示部44に所定の通知画面を表示することにより、判定結果通知情報に含まれていたバルブの名称やそれぞれの温度並びに判定結果をユーザに提示する。
ステップSP10において計測制御部21は、現在の対象バルブが計測箇所テーブルTBL1(図7)における最後の1件であるか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは計測箇所テーブルTBL1に登録されている残りのバルブ12についても順次温度の取得処理や閾値に関する判定処理を行うべきであることを表している。このとき計測制御部21は、次のステップSP11へ移り、項目カウンタに値「1」を加算してから、再度ステップSP3へ戻る。これにより計測制御部21は、次の対象バルブについても一連の処理を繰り返す。
一方、ステップSP10において肯定結果が得られると、このことは計測箇所テーブルTBL1に登録されている全てのバルブ12について、温度の取得処理や閾値に関する判定処理を完了したことを表している。このとき計測制御部21は、次のステップSP12へ移ってバルブ状態検出処理手順RT1を終了する。
[1−6.効果等]
以上の構成において、第1の実施の形態によるバルブ状態検出システム1では、光ファイバ2における接続端2Aからの距離がそれぞれ異なる複数箇所を、配管11に設けられた各バルブ12の上流側計測箇所15及び下流側計測箇所16にそれぞれ複数回巻き付けた。
また温度計測装置3では、各バルブ12について、予め上流側計測箇所15及び下流側計測箇所16それぞれにおける光ファイバ2の接続端2Aからの距離等に関する情報を計測箇所テーブルTBL1に格納すると共に、閾値に関する情報を閾値テーブルTBL2に格納した(図7及び図8)。
温度計測装置3は、光ファイバ2を用いて温度計測を行うことにより接続端2Aからの距離毎の温度を取得する。そのうえで温度計測装置3は、計測箇所テーブルTBL1から得られる接続端距離に応じた部分の温度を取得することにより、各バルブ12における上流側計測箇所15及び下流側計測箇所16の温度として取得することができる。
このためバルブ状態検出システム1では、極めて少数の光ファイバ2を配管11上に設けられた各バルブ12の上流側計測箇所15及び下流側計測箇所16に順次巻き付けるようにして敷設すれば良く、温度計測装置3と各計測箇所とを個別に結ぶような配線材を敷設する必要が無い。すなわちバルブ状態検出システム1では、発電所10における各部の温度を計測するための配線に関する構成を極めて簡素化でき、その敷設や維持管理に要する手間や時間も最小限に抑えることができる。
また温度計測装置3は、計測された上流側温度及び下流側温度を、管理装置4の表示部44に通知画面として表示し、ユーザに提示するようにした(図9、ステップSP9)。これによりバルブ状態検出システム1では、上流側温度及び下流側温度を視認したユーザに対し、両者の温度差を基に、バルブ12の状態、すなわち開放状態又は閉塞状態の何れであるか、或いは漏れが生じているか否かといった事項を、十分な確度を持って推定させることができる。
さらに温度計測装置3は、閾値テーブルTBL2(図8)に予め各バルブ12に関する閾値を格納しておき、計測された下流側温度と該閾値との大小関係を判定し、該下流側温度等と共に判定結果をユーザに提示するようにした(図9、ステップSP8及びSP9)。これによりバルブ状態検出システム1では、ユーザにバルブ12の状態を推定させる際に、下流側温度と比較すべき閾値をわざわざ記憶させる必要や別途調べさせる必要が無く、直ちに適切に推定させることができる。
そのうえバルブ状態検出システム1では、温度計測装置3における光ファイバ2の距離に関する分解能が1[m]であるのに対し、各バルブ12の計測箇所、すなわち上流側計測箇所15及び下流側計測箇所16において、光ファイバ2をその2倍である2[m]以上の長さに渡って巻き付けるようにした。
すなわちバルブ状態検出システム1では、光ファイバ2における計測箇所に巻き付けた部分の長さ(以下これを巻付長と呼ぶ)が、少なくとも分解能である1[m]よりも長い。これによりバルブ状態検出システム1では、光ファイバ2の接続端2Aから1[m]毎に区切った区間ごとの温度を取得した場合に、計測箇所の温度を何れかの区間に必ず反映させることができる。
そのうえバルブ状態検出システム1では、巻付長を分解能の2倍である2[m]以上としたことにより、光ファイバ2の接続端2Aから1[m]毎に区切った区間の少なくとも1つが、その全範囲を計測箇所において配管11に巻き付けられた状態とすることができる。このためバルブ状態検出システム1では、光ファイバ2における当該区間の温度を取得することにより、配管11の温度を極めて精度良く検出することができる。
さらにバルブ状態検出システム1では、配管11におけるバルブ12の上流側及び下流側において光ファイバ2を巻き付けた上流側計測箇所15及び下流側計測箇所16において、該光ファイバ2の外側に固定部材17を取り付けた(図4)。これによりバルブ状態検出システム1では、光ファイバ2を配管11に密着させた状態を維持できるので、該配管11の熱を光ファイバ2に良好に伝達させ、該配管11の温度を高精度に計測することができる。
以上の構成によれば、第1の実施の形態によるバルブ状態検出システム1では、配管11に設けられた各バルブ12の上流側計測箇所15及び下流側計測箇所16に光ファイバ2をそれぞれ複数回巻き付けた。また温度計測装置3は、各バルブ12の上流側計測箇所15及び下流側計測箇所16における接続端距離等を計測箇所テーブルTBL1に格納し、また閾値を閾値テーブルTBL2に格納した。これにより温度計測装置3は、光ファイバ2により計測した接続端距離毎の温度を基に、各バルブ12の上流側温度及び下流側温度をそれぞれ取得でき、さらに閾値との大小関係を判定した結果と合わせてユーザに提示することにより、各バルブ12の状態をユーザに認識させることができる。
[2.第2の実施の形態]
第2の実施の形態によるバルブ状態検出システム201(図1)は、第1の実施の形態によるバルブ状態検出システム1と比較して、温度計測装置3に代わる温度計測装置203を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
温度計測装置203は、図2と対応する図10に示すように、第1の実施の形態による温度計測装置3と比較して、計測制御部21及び記憶部22に代わる計測制御部221及び記憶部222を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
計測制御部221は、第1の実施の形態による計測制御部21と同様、図示しないCPU、ROM及びRAM等を有している。また計測制御部221は、所定のプログラムを実行することにより、種々の処理を実行する他、第1の実施の形態と同様の判定部31及び通知部32に加えて、開閉指示取得部233及び判定条件決定部234のような複数の機能ブロックを内部に形成する。
開閉指示取得部233は、開閉指示装置13から各バルブ12へ供給される開閉指示を取得する。これにより計測制御部221は、各バルブ12に与えられている指示、すなわち各バルブ12がなるべき状態を、それぞれ把握することができる。判定条件決定部234は、各バルブ12に与えられている開閉指示に応じて、当該バルブ12が異常であるか否かを判定するための条件を決定する(詳しくは後述する)。
記憶部222は、第1の実施の形態による記憶部22と同様に不揮発性の情報記憶媒体であり、種々の情報を記憶する。この記憶部222は、第1の実施の形態と同様の計測箇所テーブルTBL1(図7)を記憶すると共に、閾値テーブルTBL2(図8)に代えて、図11に示す判定条件テーブルTBL3を記憶している。
判定条件テーブルTBL3には、「バルブ」及び「異常判定条件」といった項目が設けられ、さらに「異常判定条件」に「開放時」及び「閉塞時」といった副項目が設けられている。このうち「バルブ」は、計測箇所テーブルTBL1(図7)の「バルブ」と同一のものである。「異常判定条件」は、下流側温度を変数Tとして表した上で、該下流側温度を「異常」と判定するための条件を、バルブ12に対する開閉指示が開放状態である場合と閉塞状態である場合とに分けて、それぞれ規定している。
例えば判定条件テーブルTBL3には、バルブ「V001」における開放時の異常判定条件として、「T<400」が登録されている。これは、当該バルブ「V001」の上流側から例えば約600[℃]のように高温の蒸気が供給されているため、開放時には下流側において少なくとも400[℃]以上となることが見込まれており、該400[℃]を下回るようであれば、当該バルブに異常があると判断し得ることを意味している。これを換言すれば、この異常判定条件では、ある温度(400[℃])に対して、下流側温度の高低と上流側温度の高低とが反対であれば、当該バルブを異常と判断することになる。
また判定条件テーブルTBL3には、バルブ「V001」における閉塞時の異常判定条件として、「T>200」が登録されている。これは、当該バルブ「V001」の上流側から例えば約600[℃]のように高温の蒸気が供給されているものの、周囲が常温であるため、閉塞時には下流側において少なくとも200[℃]未満となることが見込まれており、該200[℃]を上回るようであれば、当該バルブに異常があると判断し得ることを意味している。これを換言すれば、この異常判定条件では、ある温度(200[℃])に対して、下流側温度の高低と上流側温度の高低とが同等であれば、当該バルブを異常と判断することになる。
このバルブ状態検出システム201では、バルブ状態検出処理を行う場合、第1の実施の形態によるバルブ状態検出処理手順RT1(図9)に代えて、図12に示すバルブ状態検出処理手順RT2を実行するようになっている。
具体的に温度計測装置203の計測制御部221は、バルブ状態検出処理手順RT2を開始すると、最初のステップSP21へ移る。計測制御部221は、このステップSP21〜SP26において、バルブ状態検出処理手順RT1(図9)のステップSP1〜SP6とそれぞれ同様の処理を行い、次のステップSP27へ移る。
ステップSP27において計測制御部221は、開閉指示取得部233(図10)により、開閉指示装置13から対象バルブに与えられている開閉指示を取得し、次のステップSP28に移る。ステップSP28において計測制御部221は、判定条件決定部234(図10)により、判定条件テーブルTBL3(図11)から、対象バルブに与えられている開閉指示(すなわち開放又は閉塞)に応じた異常判定条件を読み出し、次のステップSP29へ移る。
ステップSP29において計測制御部221は、ステップSP26において得られた下流側温度を変数Tに代入した場合に、異常判定条件を満たすか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは対象バルブの下流側計測箇所16において、与えられている開閉指示に基づき想定される温度に対して、計測された実際の温度がかけ離れており、該対象バルブに異常が発生している可能性が高いことを表している。このとき計測制御部221は、次のステップSP30に移る。
ステップSP30において計測制御部221は、対象バルブが異常と判定されたことをユーザに通知し、次のステップSP31へ移る。具体的に計測制御部221は、対象バルブの名称、上流側温度、下流側温度、異常判定条件等をまとめて異常通知情報を生成し、これを通信部23により管理装置4へ送信する。管理装置4は、温度計測装置203から異常通知情報を受信すると、表示部44に所定の異常通知画面を表示することにより、異常通知情報に含まれていたバルブの名称やそれぞれの温度並びに異常と判定されたことをユーザに提示する。
一方、ステップSP29において否定結果が得られると、このことは対象バルブに異常が発生している可能性が極めて低く、ユーザに何ら通知する必要が無いことを表している。このとき計測制御部221は、次のステップSP31に移る。
ステップSP31及びSP32において計測制御部221は、バルブ状態検出処理手順RT1(図9)のステップSP10及びSP11とそれぞれ同様の処理を行うことにより、ステップSP23に戻り、又はステップSP33へ移る。ステップSP33において計測制御部221は、バルブ状態検出処理手順RT2を終了する。
以上の構成において、第2の実施の形態によるバルブ状態検出システム201では、第1の実施の形態と同様に、光ファイバ2における接続端2Aからの距離がそれぞれ異なる複数箇所を、配管11に設けられた各バルブ12の上流側計測箇所15及び下流側計測箇所16にそれぞれ複数回巻き付けた。
また温度計測装置203では、各バルブ12について、第1の実施の形態と同様の計測箇所テーブルTBL1(図7)に加えて、開放時及び閉塞時それぞれの異常判定条件を格納した判定条件テーブルTBL3(図11)を記憶部222に記憶させた。
温度計測装置203は、第1の実施の形態と同様、光ファイバ2を用いて温度計測を行うことにより接続端2Aからの距離毎の温度を取得する。そのうえで温度計測装置203は、計測箇所テーブルTBL1から得られる接続端距離に応じた部分の温度を取得することにより、各バルブ12における上流側計測箇所15及び下流側計測箇所16の温度として取得する。
さらに温度計測装置203は、開閉指示装置13から取得した対象バルブに対する開閉指示に応じて、判定条件テーブルTBL3から異常判定条件を読み出し、該異常判定条件を満たす場合に、ユーザに通知する(図12、ステップSP27〜SP30)。これによりバルブ状態検出システム201では、バルブ12の状態を直接的に通知するため、ユーザにバルブ12の状態を推定若しくは判断させる必要が無く、直ちに必要な対処を行わせることができる。
またこのときバルブ状態検出システム201では、対象バルブに与えられた開閉指示に応じて、異なる異常判定条件に切り替えることができる。このためバルブ状態検出システム201では、例えばバルブ12の上流側から600[℃]の蒸気が供給されており、周囲が約20[℃]の常温である場合に、開放時の異常判定条件を「T<500」とし、且つ閉塞時の異常判定条件を「T>100」とすることができる。これによりバルブ状態検出システム201では、閉塞時に蒸気が比較的少量のみ漏れた段階で異常であることを検出でき、また開放時に蒸気の流量が僅かに減少した段階でも異常であることを検出できる。
その他の点においても、第2の実施の形態によるバルブ状態検出システム201では、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第2の実施の形態によるバルブ状態検出システム201では、配管11に設けられた各バルブ12の上流側計測箇所15及び下流側計測箇所16に光ファイバ2をそれぞれ複数回巻き付けた。また温度計測装置203は、各バルブ12の上流側計測箇所15及び下流側計測箇所16における接続端距離等を計測箇所テーブルTBL1に格納し、また開閉指示に応じた異常判定条件を判定条件テーブルTBL3に格納した。これにより温度計測装置203は、光ファイバ2により計測した接続端距離毎の温度を基に、各バルブ12の上流側温度及び下流側温度をそれぞれ取得でき、さらに開閉指示に応じた異常判定条件を満たす場合にのみユーザに通知することにより、各バルブ12の状態をユーザに的確に認識させることができる。
[3.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、温度計測部24(図2)によりブリルアン散乱光を用いて光ファイバ2における接続端2Aからの距離毎に温度を計測する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばレイリー散乱光、ラマン散乱光等、他の散乱光を用いて温度を計測しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
また上述した第1の実施の形態においては、自己遅延ヘテロダイン型のBOTDR(SDH−BOTDR)により、光ファイバ2における接続端2Aからの距離毎に温度を計測する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、他の種々のBOTDRにより温度を計測しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、1本の光ファイバ2により各バルブ12の上流側温度及び下流側温度をそれぞれ計測する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばバルブ12が数百や数千のように多数設けられている場合に、複数の光ファイバ2により分担して各バルブ12の温度を計測しても良い。この場合、例えば温度計測部24(図2)を光ファイバ2毎に設けても良く、或いは1個の温度計測部24に対して光ファイバの切替器を介して各光ファイバ2を接続しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、バルブ12の上流側計測箇所15及び下流側計測箇所16において、光ファイバ2を配管11に巻き付けることにより、該光ファイバ2を該配管11に密着させてその温度を計測する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば光ファイバ2を配管11に巻き付けず、固定部材17等により該配管11に密着させてその温度を計測しても良い。この場合、少なくとも温度計測装置3における距離に関する分解能である1[m]以上の部分を配管11に密着させれば良く、さらには分解能の2倍である2[m]以上に渡り密着させるとなお良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、バルブ12の上流側計測箇所15及び下流側計測箇所16において、光ファイバ2を配管11に巻き付ける部分の長さを、分解能の2倍である2[m]以上とする場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば光ファイバ2を配管11に巻き付ける部分の長さを、分解能と同等の1[m]以上としても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、光ファイバ2を配管11に巻き付けた部分の外側に、耐熱性を有するゴムによって構成された固定部材17を取り付ける場合について述べた(図4)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば種々の金属や種々の樹脂、或いはこれらの組合せなど、種々の構成でなる固定部材17を取り付けても良い。或いは、例えば光ファイバ2を配管11に巻き付けるだけで該光ファイバ2を該配管11に対して良好に密接させ得る場合に、固定部材17を省略しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、バルブ12における上流側及び下流側の双方の温度を計測する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばバルブ12の下流側のみ温度を計測しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、バルブ12が自動開閉式であり、開閉指示装置13からの開閉指示に従い、駆動部56アクチュエータ等を作動させることにより開放又は閉塞させる場合について述べた(図3)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばバルブ12が手動開閉式であり、作業員等の手作業により開放又は閉塞させても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、バルブ状態検出処理手順RT1(図9)において、計測箇所テーブルTBL1(図7)に登録されている全てのバルブ12について、上流側温度及び下流側温度を順次取得する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば閾値テーブルTBL2に一部のバルブ12のみについて名称等及び閾値を登録しておき、該閾値テーブルTBL2に閾値が登録されているバルブのみ、上流側温度及び下流側温度を順次取得しても良い。この場合、閾値テーブルTBL2に登録されているバルブ12の名称と一致する接続端距離を計測箇所テーブルTBL1から読み出した上で、光ファイバ2を用いた計測結果から温度を取得すれば良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、バルブ状態検出処理手順RT1(図9)のステップSP8及びSP9において、判定部31により下流側温度と閾値との大小関係を判定し、得られた判定結果をユーザに通知する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば閾値テーブルTBL2を省略すると共にステップSP8を省略し、ステップSP9において上流側温度及び下流側温度、若しくは下流側温度のみをユーザに通知しても良い。或いは、上流側温度及び下流側温度の差分値等、得られた温度を基に所定の演算処理を行った結果を下流側温度等と共に、或いは下流側温度等に代えて、ユーザに通知しても良い。要は、バルブ12の下流側温度又はこれに関連する情報であって、該バルブ12の状態をユーザに把握させるのに有用なものであれば良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、閾値テーブルTBL2(図8)にバルブ12ごとの閾値を格納する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば全てのバルブ12において共通の閾値を用いても良く、或いは例えば「蒸気」や「冷却水」等、上流側から供給される流動体の種類や温度毎に閾値を設定しても良い。この場合、計測箇所テーブルTBL1(図7)において各バルブと対応付けて流動体の種類や温度を格納しておけば良い。
さらに上述した第2の実施の形態においては、判定条件テーブルTBL3(図11)に開放時及び閉塞時それぞれの異常判定条件を格納しておき、開閉指示装置13からバルブ12に与えられた開閉指示と対応する異常判定条件を用いて該バルブ12が異常であるか否かを判定する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば判定条件テーブルTBL3に各バルブ12に対応した異常判定条件を1個のみ格納しておき、開閉指示装置13からバルブ12に与えられた開閉指示に拘わらず、共通の異常判定条件を用いて該バルブ12が異常であるか否かを判定しても良い。
さらに上述した第2の実施の形態においては、判定条件テーブルTBL3(図11)に格納する異常判定条件を、下流側温度を表す変数Tと所定の温度との大小関係により表す場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば上流側温度を表す変数TUと下流側温度を表す変数TLとを用いて、これらの何れかと所定の温度との大小関係や、変数TU及び変数TLの差分値と所定の温度との大小関係等により、異常判定条件を表しても良い。さらには、例えば周囲の環境温度を表す変数TEや周囲の湿度を表す変数H等、他の種々の変数を用いて異常判定条件を設定しても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、温度計測装置3から管理装置4へ判定結果通知情報を送信し、該管理装置4において表示部44に通知画面を表示することにより、ユーザにバルブ12の状態に関する情報を通知する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば温度計測装置3に液晶パネル等でなる表示部を設け、該表示部にバルブ12の状態に関する情報を表示してユーザに通知しても良い。また、表示画面による文字や画像を用いた通知に限らず、例えば音声によりバルブ12の状態をユーザに通知しても良く、或いはこれらを適宜組み合わせても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、バルブ状態検出処理(図9)において、最初に温度計測部24により1回のみ温度計測処理を行い、その後に複数の計測箇所それぞれの接続短距離に応じた温度を順次取得する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば1箇所の計測箇所の接続端距離に応じた温度を取得する度に、温度計測部24により温度計測処理を行うようにしても良い。或いは、例えば温度計測部24により複数回の温度計測処理を行い、得られた複数の温度計測結果から1箇所の計測箇所の接続端距離に応じた温度をそれぞれ取得し、その統計値(例えば平均値)を該計測箇所の温度として採用しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、光ファイバ2と接続され該光ファイバ2における距離ごとの温度を計測する温度計測部24(図2)を有する温度計測装置3の計測制御部21により、各計測箇所の温度を取得し、また取得した温度と閾値との大小関係の判定を行う場合について述べた(図9)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば管理装置4の制御部41により、温度計測装置3の計測制御部21から各計測箇所の温度を取得し、また取得した温度と閾値との大小関係の判定を行うようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、バルブ状態検出システム1により発電所10の配管11に設けられたバルブ12の状態を検出する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば種々の工場や大型施設の空調設備等、種々の配管に設けられたバルブの状態を検出しても良い。要は、配管の内部を流れる流動体の温度をバルブの下流側計測箇所において検出することにより、該バルブの状態を検出できれば良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
さらに上述した実施の形態においては、光ファイバとしての光ファイバ2と、計測部としての温度計測部24と、判定部としての計測制御部21とによってバルブ状態検出装置としてのバルブ状態検出システム1を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる光ファイバと、計測部と、判定部とによってバルブ状態検出装置を構成しても良い。