JP2019151897A - 導体の製造方法、配線基板の製造方法及び導体形成用組成物 - Google Patents

導体の製造方法、配線基板の製造方法及び導体形成用組成物 Download PDF

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【課題】大気中でパラジウムの導体を形成可能な導体の製造方法、配線基板の製造方法及び導体形成用組成物の提供。【解決手段】有機溶媒と、パラジウム錯体及び前記パラジウム錯体と塩を形成しうるカウンターアニオンを含み前記有機溶媒に可溶な塩と、を含む組成物を基板に付与して組成物層を形成する工程と、前記組成物層にレーザ照射を行ってパラジウムを析出させる工程と、を含む導体の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、導体の製造方法、配線基板の製造方法及び導体形成用組成物に関する。
近年、各種電子デバイス、電気機器類などの素子及び配線を印刷法により形成する、プリンタブルエレクトロニクスと呼ばれる技術が注目されている。真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法等による従来の方法は大掛かりな設備を必要とし、これが製品の高コスト化の大きな要因となっている。また、これらの方法では一般に配線となる部分を残し、その他の部分をエッチング等により除去する工程を伴うため、材料利用の非効率、廃棄物の処分などの問題点が存在する。これに対してプリンタブルエレクトロニクスでは、配線材料を含む塗布液を基板に印刷し、これを熱処理して配線を形成する。このため、高価な装置を必要としない、配線形成に伴う廃棄物が生じないなどの利点を有する。
一方、配線材料としては金、銀等の貴金属に代わってより低価格でマイグレーションの発生もない銅の使用が検討されている。しかしながら、銅は極めて酸化され易い金属であるため、配線形成を不活性ガス雰囲気下で行う等の酸化防止のための対策が必要であり、これが低コスト化を妨げる要因の一つとなっている。
非特許文献1には、大気中で導体を形成可能な方法として、溶媒に可溶な銅錯体を含む塗布液を用いて基板上に印刷により薄膜を形成し、次いで炭酸ガスレーザを所望のパターン状に照射することで、照射領域に銅を析出させる方法が提案されている。
Materials Sciences and Applications, 2015, 6, 799-808
非特許文献1に記載の方法によれば、大気中でも導体を形成可能である、導体のダイレクトパターニングが可能である等の利点を有する。しかしながら、金属の中でもパラジウムの錯体は、有機溶媒への溶解性に乏しいために非特許文献1に記載の方法に適用するのが困難であった。
本発明は上記事情に鑑み、大気中でパラジウムの導体を形成可能な導体の製造方法、配線基板の製造方法及び導体形成用組成物を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1>有機溶媒と、パラジウム錯体及び前記パラジウム錯体と塩を形成しうるカウンターアニオンを含み前記有機溶媒に可溶な塩と、を含む組成物を基板に付与して組成物層を形成する工程と、前記組成物層にレーザ照射を行ってパラジウムを析出させる工程と、を含む導体の製造方法。
<2>前記析出したパラジウムの上に金属めっきを施す工程をさらに含む、<1>に記載の配線基板の製造方法。
<3> 前記レーザ照射がCOレーザ又はErレーザを用いて行われる、<1>又は<2>に記載の導体の製造方法。
<4>前記レーザ照射がパターン状に行われる、<1>〜<3>のいずれか1項に記載の導体の製造方法。
<5>大気中で行われる、<1>〜<4>のいずれか1項に記載の導体の製造方法。
<6>基板と、前記基板上に配置されるパラジウム配線とを備える配線基板の製造方法であり、パラジウム錯体と、前記パラジウム錯体と塩を形成しうるカウンターアニオンを含み有機溶媒に可溶な塩を含む組成物を前記基板に付与して組成物層を形成する工程と、前記組成物層にレーザ照射を行ってパラジウムを析出させる工程と、を含む配線基板の製造方法。
<7>前記析出したパラジウムの上に金属めっきを施す工程をさらに含む、<6>に記載の配線基板の製造方法。
<8>前記レーザ照射がCOレーザ又はErレーザを用いて行われる、<6>又は<7>に記載の配線基板の製造方法。
<9>前記レーザ照射がパターン状に行われる、<6>〜<8>のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
<10>大気中で行われる、<6>〜<9>のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
<11>有機溶媒と、パラジウム錯体及び前記パラジウム錯体と塩を形成しうるカウンターアニオンを含み前記有機溶媒に可溶な塩と、を含む導体形成用組成物。
本発明によれば、大気中でパラジウムの導体を形成可能な導体の製造方法、配線基板の製造方法及び導体形成用組成物が提供される。
析出したパラジウムの上に無電解銅めっきを実施したときの状態を示す写真(上段:デジタルマイクロスコープで撮影、下段:レーザー顕微鏡で撮影)である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
<導体の製造方法>
本開示の導体の製造方法は、有機溶媒と、パラジウム錯体及び前記パラジウム錯体と塩を形成しうるカウンターアニオンを含み前記有機溶媒に可溶な塩と、を含む組成物を基板に付与して組成物層を形成する工程と、前記組成物層にレーザ照射を行ってパラジウムを析出させる工程と、を含む。
上記方法では、パラジウム錯体が有機溶媒に可溶な塩の状態となっている。組成物中のパラジウム錯体が有機溶媒に溶解した状態であることで、組成物を用いて形成した組成物層に大気中でレーザ照射を行ってパラジウムを析出させ、パラジウムの導体を形成するプロセスを実現可能にしている。また、水系溶媒を用いると表面張力によって均一な組成物層の形成が困難な基板の上にもパラジウムの導体を形成することができるため、多様な基板を適用可能にしている。
上記方法では、基板上に形成された組成物層にレーザ照射を行うことでパラジウムが析出する。具体的には、レーザ照射を行うと照射部が瞬間的に熱せられ、この熱によってパラジウム錯体の配位子の結合が切断され、パラジウムイオンが還元されてパラジウムが析出する。このとき、パラジウム錯体を構成していた配位子は熱によりCO、HO、N等に分解され、気体となって除去されるため、高純度な導体が得られる。導体の形状は特に制限されず、膜状であってもパターン状であってもその他の形状であってもよい。
上記方法では、析出により生じたパラジウムのナノ粒子同士が溶融して成長し、レーザ照射領域に導体が形成されると考えられる。また、この反応が極めて短時間のうちに進行するために大気中の酸素と反応する前にパラジウム粒子が析出することから、大気中であっても良好な導体が形成できると考えられる。また、析出したパラジウムナノ粒子はパラジウムの融点よりも低い温度で溶融するため、低エネルギーで導体を形成することができる。また、レーザ照射された領域外の組成物層は、パラジウム錯体を溶解しうる溶剤等を用いて容易に除去することができるため、低コスト化の点でも有利である。また、組成物はパラジウム錯体が溶媒に溶解した状態であるため、金属粒子を用いた材料のように凝集、酸化等の問題が生じず保存安定性に優れている。
上記方法で使用するパラジウム錯体は、配位子とパラジウム原子とを含むものであれば特に制限されないが、安定性の観点からは窒素原子を含有する配位子とパラジウム原子とを含むものが好ましく、配位子としてアミン化合物とパラジウム原子とを含むものがより好ましい。パラジウム錯体は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
パラジウム錯体を構成する配位子としてのアミン化合物としては、メチルアミン、エチルアミン等のモノアルキルアミン化合物、エチレンジアミン等のジアルキルアミンアミン化合物、トリエチルアミン等のトリアルキルアミン化合物などが挙げられる。
ある実施態様では、パラジウム錯体はアルキルジアミン化合物の2分子がパラジウム原子に配位したものであってもよく、エチレンジアミンの2分子がパラジウム原子に配位したもの(ビス(エチレンジアミン)パラジウム(II))であってもよい。
パラジウム錯体と塩を形成しうるカウンターアニオンは、これとパラジウム錯体とで形成する塩が有機溶媒に可溶となるものであれば特に制限されないが、有機溶媒への可溶性を高める観点からは分子量が大きいものほど好ましい。
ある実施態様では、カウンターアニオンは分子中に炭化水素基を有する化合物であってもよく、炭化水素基とハロゲン原子とを有する化合物であってもよい。炭化水素基としてはアルキル基、アリール基等が挙げられる。炭化水素基の炭素数は特に制限されないが、たとえば、カウンターアニオン(2分子で塩を形成する場合はその合計)の炭素数が20以上であってもよく、40以上であってもよい。分子中に炭化水素基とハロゲン原子とを有するカウンターアニオンとして具体的には、テトラフェニルホウ酸イオンが挙げられる。
ある実施態様では、パラジウム錯体とカウンターアニオンを含む塩は、パラジウム錯体1分子と、カウンターアニオン2分子とを含む塩であってもよい。
パラジウム錯体及びカウンターアニオンを含む塩が溶解可能な有機溶媒は、特に制限されない。例えば、メタノール、エタノール、アミノエタノール等のアルコール系溶剤、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤、テルピネオール等のテルペン系溶剤、エステル系溶剤などが挙げられる。基板に対する影響の少なさ、環境への親和性等の観点からは、極性有機溶媒が好ましく、アルコール系溶剤がより好ましい。溶媒は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
組成物中のパラジウム錯体の含有率は特に制限されないが、例えば組成物全体の5質量%〜90質量%の範囲内であってよく、10質量%〜80質量%の範囲内であることが好ましい。
組成物は、パラジウム錯体と有機溶媒以外の成分を必要に応じて含んでもよい。このような成分としては、粘度調整剤、着色剤等が挙げられる。
上記方法で使用する基板は特に制限されず、電子部品装置の配線基板として一般的なものを使用できる。例えば、半導体基板、ガラス基板、セラミック基板、樹脂基板、これらの複合体等が挙げられる。さらには、セルロースナノファイバを利用したペーパーデバイスに用いる基板等が挙げられる。上記方法では導体の形成がレーザ照射により行われるため、焼成等の熱処理に適しない材料からなる基板であっても導体を形成することができる。
基板上に組成物層を形成する方法は、特に制限されない。例えば、スピンコート法、印刷法等が挙げられる。組成物層は基板上に一様に形成しても、パターン状に形成してもよい。
上記方法でレーザ照射に使用するレーザは、パラジウム錯体の分解とパラジウムの析出を生じさせるものであれば特に制限されない。大気中で良好な導体を形成する観点からは赤外線レーザ及び近赤外線レーザが好ましく、COレーザ及びErレーザがより好ましい。レーザ照射は組成物層に対して一様に実施しても、パターン状に実施してもよい。
上記方法は、レーザ照射によりパラジウムが析出した部分以外の組成物層を除去する工程を含んでもよい。例えば、組成物層に含まれるパラジウム錯体を溶解しうる溶剤を用いて組成物層を除去してもよい。
上記方法で得られるパラジウムの導体は、さらに金属めっき等の処理を施してもよい。金属めっきを施すことで、導体の厚みを増すことができる。金属めっきに用いる金属は特に制限されず、銅、ニッケル、スズ、金、銀、これらの合金等が挙げられる。また、パラジウムを金属めっきの材料として用いてもよい。金属めっきを行う方法は特に制限されず、無電解めっきでも電解めっきでもよい。
上記方法で得られるパラジウムの導体は、金属めっきで金属を析出させるための触媒膜(下地)として用いるものであっても、パラジウム単独で導体として用いるものであってもよい。
上記方法ではレーザ照射によりパターン幅の均一性に優れる導体を形成することができるため、パターン状の導体を形成するのに適している。上記方法では、従来の手法より細かなパターンを形成することが可能となり、より高い性能を備える素子(回路)や配線を提供することが可能となる。
パターン状の導体を形成する方法としては、組成物層にレーザをパターン状に直接照射して照射領域にパラジウムの導体を形成する方法(ダイレクトパターニング)でも、パターン状に組成物層を形成し、次いで全面にレーザを照射してパラジウムに導体を形成する方法でもよい。これらの方法では不要な導体を除去するためのエッチングのプロセスを必要とせず、エッチング廃液などが生じないため環境にも優しい。パターン状に組成物層を形成する方法としては、スクリーン印刷、オフセット印刷などの配線形成に一般に使用される印刷法のほか、さらに微細な配線を形成可能なマイクロコンタクトプリンティングが挙げられる。
マイクロコンタクトプリンティングによりパターン状の導体を形成する方法としては、例えば、PDMS(ポリジメチルシロキサン)からなるスタンパーに付着させた組成物を基板に転写してパターン状の組成物層を形成し、レーザ照射によりパラジウムを析出させる方法が挙げられる。
上記方法により形成される導体は、種々の用途に用いることができる。例えば、電子機器類に用いられる配線基板の素子又は配線を形成する方法として好適に用いることができる。また、低エネルギーで導体を形成できるため、樹脂フィルム、ガラス薄板、ペーパーデバイス等の従来の方法では導体の形成が困難であった基板への導体形成にも好適に用いることができる。
上記方法の応用例のひとつとして、ガラスからなるインターポーザ(ガラスインターポーザ)への貫通電極の形成が挙げられる。インターポーザは基板と半導体素子との間に配置される部材であり、基板と半導体素子を電気的に接続する貫通電極を備える。インターポーザの材質としては樹脂、シリコン等が一般に用いられる。ガラスインターポーザは樹脂、シリコン等からなるインターポーザに比べて熱膨張係数、耐熱性、絶縁性、製造コスト等の面で有利である一方、貫通電極の形成工程に耐えうるほどに強度が十分でないという問題がある。
上記方法によれば、ガラス薄板を損なうことなく貫通電極を形成することができる。ガラスインターポーザへの貫通電極の形成は、例えば、ガラス薄板にレーザ加工により貫通孔を形成し、次いで貫通孔の内部に導体形成用の組成物を付与し、レーザ照射によりパラジウムを析出させることで行うことができる。
<配線基板の製造方法>
本開示の配線基板の製造方法は、基板と、前記基板上に配置されるパラジウム配線とを備える配線基板の製造方法であって、有機溶媒と、パラジウム錯体及び前記パラジウム錯体と塩を形成しうるカウンターアニオンを含み前記有機溶媒に可溶な塩と、を含む組成物を基板に付与して組成物層を形成する工程と、前記組成物層にレーザ照射を行ってパラジウムを析出させる工程と、を含む。
上記方法で使用される材料、組成物層の形成方法、レーザ照射条件その他の項目の詳細及び好ましい態様は、上述した導体の製造方法におけるものと同様である。
<導体形成用組成物>
本開示の導体形成用組成物は、有機溶媒と、パラジウム錯体及び前記パラジウム錯体と塩を形成しうるカウンターアニオンを含み前記有機溶媒に可溶な塩と、を含む。
上記組成物を用いることで、大気中でもパラジウムの導体を形成することができる。上記組成物の詳細及び好ましい態様は、上述した導体の製造方法に用いる組成物の詳細及び好ましい態様と同様である。
以下、上述した導体の製造方法について実施例を参照してより詳細に説明するが、本開示はこれらの実施例に制限されるものではない。
(1−1)パラジウム錯体の合成
塩化パラジウム0.20g(1.13mmol)を10質量%の塩酸水溶液に加え、4時間常温で撹拌を行い溶解させた。この溶液にエチレンジアミン(EDA)0.15g(2.50mmol)を加えた後30分撹拌して、エチレンジアミン2分子とパラジウム原子とからなるビス(エチレンジアミン)パラジウム(II)の溶液(無色)を得た。
(1−2)カウンターアニオンの添加と塩の合成
上記(1−1)にて得たパラジウム錯体の溶液に、カウンターアニオンの前駆体としてテトラフェニルホウ酸ナトリウム(TPB)0.773g(2.26mmol)を10.0gの水に溶解させたものを加えると、直後に白色の沈殿が生じた。この沈殿を自然ろ過にて回収し、その後デシケーターにて乾燥させることで、パラジウム錯体とテトラフェニルホウ酸イオンの塩を得た。
(1−3)組成物の調製
パラジウム錯体とテトラフェニルホウ酸イオンの塩0.04gと有機溶媒として1−プロパノール0.5g及び2−アミノエタノール0.5gを混合し、30分常温(25℃)で撹拌して、パラジウム錯体とテトラフェニルホウ酸イオンの塩の溶液(淡黄色)を得た。
(1−4)レーザ照射によるパラジウムの析出
上記(1−3)で調製した組成物を用いて、スピンコート法(2000rpm、30sec)により、アルミナ基板上に組成物層を形成した。次いで、組成物層にCOレーザをパターン状に照射(焦点距離:155mm、出力:4.0W〜4.8W、スキャンスピード:20mm/sec、パターン幅:200μm)して、パラジウムを析出させた。レーザ照射後、パラジウムが析出しなかった部分の組成物層をアセトンでエッチングすることで取り除いた。以上の工程は、大気中で実施した。
(1−5)X線回折測定
上記(1−4)において組成物層をレーザ照射した領域のX線回折(XRD)測定を行ったところ、パラジウムに由来するピークが明瞭に観察された一方、酸化パラジウムに由来するピークは観察されなかった。この結果から、析出物が高純度のパラジウムであることが確認できた。
(1−6)無電解銅めっき
上記(1−5)においてパラジウムをパターン状に析出させたアルミナ基板に対し、めっき液(スルカップ)を用いて無電解銅めっきを実施したところ、図1に示すようにめっき時間の経過とともにパラジウムの上に銅が析出して、パターンの線幅を一定に維持しながら膜厚が増していく様子が確認できた。無電解銅めっきの開始から90分後の導体の膜厚は3.40μmであった。また、4探針法により測定した導体の体積抵抗値は3.67μΩ・cmであり、銅バルク体の体積抵抗値(1.68μΩ・cm)と比較しても充分に低い値であった。
以上の結果から、本開示の方法によれば大気中でパラジウムの導体を形成できることがわかった。

Claims (11)

  1. 有機溶媒と、パラジウム錯体及び前記パラジウム錯体と塩を形成しうるカウンターアニオンを含み前記有機溶媒に可溶な塩と、を含む組成物を基板に付与して組成物層を形成する工程と、前記組成物層にレーザ照射を行ってパラジウムを析出させる工程と、を含む導体の製造方法。
  2. 前記析出したパラジウムの上に金属めっきを施す工程をさらに含む、請求項1に記載の配線基板の製造方法。
  3. 前記レーザ照射がCOレーザ又はErレーザを用いて行われる、請求項1又は請求項2に記載の導体の製造方法。
  4. 前記レーザ照射がパターン状に行われる、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の導体の製造方法。
  5. 大気中で行われる、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の導体の製造方法。
  6. 基板と、前記基板上に配置されるパラジウム配線とを備える配線基板の製造方法であり、パラジウム錯体と、前記パラジウム錯体と塩を形成しうるカウンターアニオンを含み有機溶媒に可溶な塩を含む組成物を前記基板に付与して組成物層を形成する工程と、前記組成物層にレーザ照射を行ってパラジウムを析出させる工程と、を含む配線基板の製造方法。
  7. 前記析出したパラジウムの上に金属めっきを施す工程をさらに含む、請求項6に記載の配線基板の製造方法。
  8. 前記レーザ照射がCOレーザ又はErレーザを用いて行われる、請求項6又は請求項7に記載の配線基板の製造方法。
  9. 前記レーザ照射がパターン状に行われる、請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
  10. 大気中で行われる、請求項6〜請求項9のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
  11. 有機溶媒と、パラジウム錯体及び前記パラジウム錯体と塩を形成しうるカウンターアニオンを含み前記有機溶媒に可溶な塩と、を含む導体形成用組成物。
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