JP2019151830A - 樹脂供給材料、プリフォーム、およびそれを用いた繊維強化複合材料の製造方法 - Google Patents

樹脂供給材料、プリフォーム、およびそれを用いた繊維強化複合材料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】樹脂担持性や保存安定性、ハイサイクル成形性に優れる樹脂供給材料、及び該樹脂供給材料を使用した繊維強化複合材料の製造方法の提供。【解決手段】樹脂供給材料(A)は強化繊維(a)と樹脂(b)とを有し、(b)は次の成分[C]〜[F]を含み、下記条件[c]、[d]、[e]を満たし、(A)に含まれる(a)の繊維体積含有率が15%以下である樹脂供給材料。(A)と基材(B)からなるプリフォームを加熱加圧し、(A)から(B)に樹脂(b)を供給する繊維強化複合材料の製造方法。[C]:エポキシ樹脂、[D]:ジシアンジアミド、[E]:芳香族ウレア、[F]:ホウ酸エステル、[c]:0.005≦(成分[F]/成分[E]の質量比)≦0.045、[d]:0.9≦(成分[C]のエポキシ基モル数/成分[D]の活性水素モル数)≦1.3、[e]:12≦(成分[C]/成分[E]の質量比)≦26【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂担持性や保存安定性、ハイサイクル成形性に優れる樹脂供給材料、および、該樹脂供給材料を使用した繊維強化複合材料の製造方法に関する。
繊維強化複合材料は、優れた比強度、比剛性を有することから、航空機、自動車、スポーツ等の用途に幅広く使用されている。特に自動車やスポーツ等の産業用途では繊維強化複合材料の高速成形プロセスの需要が高まっている。
繊維強化複合材料の高速成形法には、RTM(レジントランスファーモールディング)法がある。RTM法では、まずドライ基材(樹脂を含まない強化繊維基材)を所定形状に賦形したプリフォームを製造し、これを金型内に配置し、低粘度の液状熱硬化性樹脂を金型内に注入、加熱硬化させてFRP(繊維強化プラスチック)部材を成形する。しかしながら、RTM法は、樹脂の注入工程が必要であるため、注入工程に用いるチューブやパイプなどの成形副資材が必要となる。加えて、成形品となる樹脂以外にも注入路などに残る無駄な樹脂が多く発生し、コストアップの要因となる。さらに、室温で液状の樹脂を扱うので、容器や配管から漏れ出た樹脂で現場が汚れることが多いといった問題がある。
繊維強化複合材料の成形サイクルは、樹脂硬化速度に支配されており、ハイサイクル成形のためには硬化速度が速い樹脂が必要である。しかしながら、速硬化樹脂は反応性を高めて硬化時間を短縮したものであるため、保存安定性や作業中の品質変化がしばしば問題となり、より安定性に優れる材料が求められている。
特許文献1、2には、室温で液状である熱硬化樹脂を軟質の担持体に吸い込ませた樹脂供給材料を利用した繊維強化複合材料の成形法が提案されている。この方法は、樹脂供給材料を用いて樹脂をドライ基材へ面供給出来るため、含浸距離を短縮できるという利点がある。
一方で、特許文献3には、特定の芳香族ウレアを促進剤として使用した、速硬化性と耐熱性に優れた硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物およびプリプレグが開示されている。
特許文献4には、硬化速度に優れ、ガラス転移温度が140℃を超えないエポキシ樹脂組成物が開示されている。
特開2002−234078号公報 国際公開第2016/136790号パンフレット 特表2003−128764号公報 特表2016−500409号公報
特許文献1、2に開示された樹脂供給材料では、担持体に用いられる熱硬化性樹脂の硬化速度が十分とはいえず、ハイサイクル成形性を満足するに至っていない。
特許文献3に開示されたエポキシ樹脂組成物は比較的硬化時間が短く室温での作業性も良好であるが、例えば量産車に求められるサイクルタイムや、保存安定性および作業性を満足するに至っていない。
特許文献4に開示されたエポキシ樹脂組成物は、速硬化性に優れるが、保存安定性が不十分であった。
そこで本発明は、樹脂担持性や保存安定性、ハイサイクル成形性に優れる樹脂供給材料およびプリフォーム、ならびに該樹脂供給材料を使用した繊維強化複合材料の製造方法を提供することを課題とする。
繊維強化複合材料の成形に用いる樹脂供給材料(A)であって、
樹脂供給材料(A)は強化繊維(a)と樹脂(b)とを有し、
樹脂(b)は次の成分[C]、[D]、[E]、[F]を含み、下記条件[c]、[d]、[e]を満たし、
下記式(I)で表される、樹脂供給材料(A)に含まれる強化繊維(a)の繊維体積含有率Vfiが15%以下である樹脂供給材料。
[C]:エポキシ樹脂
[D]:ジシアンジアミド
[E]:芳香族ウレア
[F]:ホウ酸エステル
[c]:0.005≦(成分[F]/成分[E]の質量比)≦0.045
[d]:0.9≦(成分[C]のエポキシ基モル数/成分[D]の活性水素モル数)≦1.3
[e]:12≦(成分[C]/成分[E]の質量比)≦26
Vfi=Va/Vb×100(%)・・・(I)
ここで、Va:樹脂供給材料内繊維体積(mm
Vb:樹脂供給材料の体積(mm
また、本発明の樹脂供給材料(A)は、該樹脂供給材料(A)と基材(B)からなるプリフォームを加熱加圧し、樹脂供給材料(A)から基材(B)に樹脂(b)を供給し成形する、繊維強化複合材料の製造方法に用いることができる。
本発明により、樹脂担持持性や保存安定性、ハイサイクル成形性に優れる樹脂供給材料、および、該樹脂供給材料を使用した繊維強化複合材料の製造方法を提供できる。なお、本発明によれば、ボイド率が低く高力学特性の繊維強化複合材料を容易に成形することができる。
本発明の好ましい実施態様の1つであるプリフォーム構成の概略図である。
本発明は、樹脂供給材料(A)に関する。樹脂供給材料(A)は、強化繊維(a)と樹脂(b)とを有する。樹脂供給材料(A)は、強化繊維(a)と樹脂(b)とからなるもの、すなわち、強化繊維(a)と樹脂(b)のみを有するものであってもよい。本発明でいう樹脂供給材料(A)とは、繊維基材と隣接した状態で加熱及び加圧を受けることにより、内部に担持された樹脂が絞り出され、隣接する繊維基材を含浸することができるものである。すなわち、樹脂を供給するために、材料を構成する強化繊維の形態が樹脂により圧壊することがない構造となっている。具体的には、後述の<炭素繊維複合材料の製造方法>記載の方法での成形時に樹脂を供給してコンポジットを成形できるものである。
強化繊維(a)としては、炭素繊維が挙げられる。炭素繊維は、力学特性に優れるため好ましく用いられる。炭素繊維は、本発明の目的を損なわない範囲で、ガラス繊維、アラミド繊維及び金属繊維などの他の繊維と組み合わせて使用しても良い。
上記樹脂供給能力を有するような強化繊維(a)の形態としては、連続繊維基材であっても不連続繊維基材であってもよいが、連続繊維を用いる場合は織物、ウェブ、不織布等が挙げられ、不連続繊維としてはチョップド繊維を用いてウェブにすることが挙げられ、ウェブから不織布とすることもできる。チョップド繊維であって、極端に繊維長が短く、単繊維同士が結着されていない形態のものは、樹脂供給時に形態が圧壊することが考えられることから、好ましくない。樹脂供給性の観点から不連続繊維基材が好ましく、繊維間に樹脂の含浸する空隙を有するウェブがより好ましい。ウェブの形態や形状に制限はなく、例えば、炭素繊維が有機繊維、有機化合物や無機化合物と混合されていたり、炭素繊維同士が他の成分で目留めされていたり、炭素繊維が樹脂成分と接着されていたりしても良い。樹脂供給材料(A)の樹脂供給能力、機械特性、形状追随性の観点から、強化繊維(a)の形態としては、単繊維同士がバインダーで結着されたウェブが、好ましい形態として例示できる。中でも、ウェブ内の炭素繊維が十分に開繊されたものが望ましい。
強化繊維(a)の質量平均繊維長は、2〜12mmが好ましく、3〜10mmがより好ましい。上記の上限のいずれかと下限のいずれかとの組み合わせによる範囲であってもよい。この範囲とすることで、樹脂供給材料の樹脂供給能力、樹脂担持性、取り扱い性および形状追随性が優れる。
また、質量平均繊維長が2mm以上の形態のものは、樹脂供給材料としての変形性に優れることから、好ましい。
質量平均繊維長は顕微鏡観察により測定を行うが、例えば、強化繊維基材から直接強化繊維を摘出して顕微鏡観察により測定する方法、溶剤などにより樹脂を溶解させ、残った強化繊維を濾別して、顕微鏡観察により測定する方法、強化繊維が分解しない温度範囲において樹脂のみを焼き飛ばし、残った強化繊維を顕微鏡観察により測定する方法などがある。
測定は強化繊維を無作為に400本選び出し、その長さを1μm単位まで光学顕微鏡にて測定し、繊維長とその本数割合を測定し、その測定値から質量平均繊維長(Lw)を算出する。
質量平均繊維長(Lw)=Σ(Wi×Li)/ΣWi
=Σ(πri×Li×ρ×ni×Li)/Σ(πri×Li×ρ×ni)
Wi:強化繊維の質量
Li:強化繊維の繊維長
ri:強化繊維の繊維径
ρ:強化繊維の密度
ni:繊維長Liの強化繊維の本数。
上記バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、アクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、熱硬化型アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化型ポリエステル等の熱硬化性樹脂が好ましく使用される。得られる繊維強化複合材料の力学特性の観点から、エポキシ基、水酸基、アクリレート基、メタクリレート基、アミド基、カルボキシル基、カルボン酸、酸無水物基、アミノ基、イミン基から選択される少なくとも1つの官能基を有する樹脂が好ましく用いられる。これらのバインダーは、単独でまたは二種以上組み合わせて使用しても良い。強化繊維の質量に対するバインダーの付着質量比は、0.1〜15%が好ましい。バインダーの付着質量を0.1%から15%の範囲とすることで、樹脂の供給能力を損なうことなく、取り扱い性および形状追随性に優れる樹脂供給体を得ることができる。
バインダーの付着質量比は、例えば以下の方法により測定できる。強化繊維を秤量(W1)した後、50リットル/分の窒素気流中、温度450℃に設定した電気炉に15分間放置し、バインダーを完全に熱分解させる。そして、20リットル/分の乾燥窒素気流中の容器に移し、15分間冷却した後の強化繊維を秤量(W2)して、次式によりバインダー付着質量比を求める。
バインダー付着質量比(%)=(W1−W2)/W1×100
本発明に用いられる樹脂(b)は次の成分[C]、[D]、[E]、[F]を含み、下記条件[c]、[d]、[e]を満たす。
[C]:エポキシ樹脂
[D]:ジシアンジアミド
[E]:芳香族ウレア
[F]:ホウ酸エステル
[c]:0.005≦(成分[F]/成分[E]の質量比)≦0.045
[d]:0.9≦(成分[C]のエポキシ基モル数/成分[D]の活性水素モル数)≦1.3
[e]:12≦(成分[C]/成分[E]の質量比)≦26
(成分[C])
本発明における成分[C]はエポキシ樹脂である。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂、フェノール化合物とジシクロペンタジエンの共重合体を原料とするエポキシ樹脂、ジグリシジルレゾルシノール、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタンのようなグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾール、テトラグリシジルキシレンジアミンのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂は、これらを単独で用いても、複数種類を組み合わせても良い。
また、成分[C]は、速硬化性と保存安定性、および硬化物の曲げ弾性率のバランスの観点から、成分[C1]:下記式(II)および/または下記式(III)で示されるエポキシ樹脂を含むことが好ましい。成分[C1]は、一般にフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、またはジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂として知られているものであり、2官能以上の多官能エポキシ樹脂の混合物として市販されている。
成分[C1]は、エポキシ樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部中に55〜100質量部含まれることにより、樹脂硬化物の曲げ弾性率をさらに高めることができる。
Figure 2019151830
(式(II)において、R、R、Rは、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を表す。また、nは1以上の整数を表す。)
Figure 2019151830
(式(III)において、nは1以上の整数を表す)。
成分[C1]の市販品としては、“jER(登録商標)”152、154、180S(以上、三菱化学(株)製)、“Epiclon(登録商標)”N−740,N−770,N−775,N−660,N−665,N−680,N−695,HP7200L,HP7200,HP7200H,HP7200HH,HP7200HHH(以上、DIC(株)製)、PY307,EPN1179,EPN1180,ECN9511,ECN1273,ECN1280,ECN1285,ECN1299(以上、ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製)、YDPN638,YDPN638P,YDCN−701,YDCN702,YDCN−703,YDCN−704(以上、東都化成(株)製)、DEN431,DEN438,DEN439(以上、ダウケミカル社製)などが挙げられる。
(成分[D])
本発明における成分[D]は、ジシアンジアミドである。ジシアンジアミドは、化学式(H2N)2C=N−CNで表される化合物である。ジシアンジアミドは、樹脂硬化物に高い力学特性や耐熱性を与える点で優れており、エポキシ樹脂の硬化剤として広く用いられる。かかるジシアンジアミドの市販品としては、DICY7、DICY15(以上、三菱化学(株)製)などが挙げられる。
ジシアンジアミド[D]を粉体としてエポキシ樹脂組成物に配合することは、室温での保存安定性や、樹脂供給材料製造時の粘度安定性の観点から好ましい。また、ジシアンジアミド[D]を予め成分[C]のエポキシ樹脂の一部に三本ロールなどを用いて分散させておくことは、エポキシ樹脂組成物を均一にし、硬化物の物性を向上させるため好ましい。
ジシアンジアミド[D]は、後述の成分[E]と併用することにより、成分[D]を単独で配合した場合と比較し、樹脂組成物の硬化温度を下げることができる。本発明においては、硬化時間を短縮するために、成分[D]と成分[E]を併用することが必要である。
(成分[E])
本発明における成分[E]は、芳香族ウレアである。成分[E]は硬化促進剤としてはたらき、成分[D]と併用した場合に硬化時間を短縮することができる。
成分[E]における芳香族ウレア化合物の具体例としては、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア、3−(4−クロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア、フェニルジメチルウレア、トルエンビスジメチルウレアなどが挙げられる。また、芳香族ウレア化合物の市販品としては、DCMU99(保土ヶ谷化学工業(株)製)、“Omicure(登録商標)”24(ピィ・ティ・アイ・ジャパン(株)製)、“Dyhard(登録商標)”UR505(4,4’−メチレンビス(フェニルジメチルウレア、CVC製)などを使用することができる。
(成分[F])
本発明における成分[F]は、ホウ酸エステルである。成分[E]と成分[F]とを併用することにより、保管温度における成分[D]とエポキシ樹脂の反応が抑制されるため、樹脂供給材料の保存安定性が著しく向上する。そのメカニズムは定かではないが、成分[F]はルイス酸性を持つため、成分[E]から遊離したアミン化合物と成分[F]が相互作用し、アミン化合物の反応性を低下させているのではないかと考えられる。 成分[F]のホウ酸エステルの具体例としては、トリメチルボレート、トリエチルボレート、トリブチルボレート、トリn−オクチルボレート、トリ(トリエチレングリコールメチルエーテル)ホウ酸エステル、トリシクロヘキシルボレート、トリメンチルボレートなどのアルキルホウ酸エステル、トリo−クレジルボレート、トリm−クレジルボレート、トリp−クレジルボレート、トリフェニルボレートなどの芳香族ホウ酸エステル、トリ(1,3−ブタンジオール)ビボレート、トリ(2−メチル−2,4−ペンタンジオール)ビボレート、トリオクチレングリコールジボレートなどが挙げられる。
また、ホウ酸エステルとして、分子内に環状構造を有する環状ホウ酸エステルを用いることもできる。環状ホウ酸エステルとしては、トリス−o−フェニレンビスボレート、ビス−o−フェニレンピロボレート、ビス−2,3−ジメチルエチレンフェニレンピロボレート、ビス−2,2−ジメチルトリメチレンピロボレートなどが挙げられる。
かかるホウ酸エステルを含む製品としては、たとえば、“キュアダクト(登録商標)”L−01B(四国化成工業(株))、“キュアダクト(登録商標)”L−07N(四国化成工業(株))(ホウ酸エステル化合物を5質量部含む組成物)、“キュアダクト(登録商標)”L−07E(四国化成工業(株))(ホウ酸エステル化合物を5質量部含む組成物)が挙げられる。
本発明の樹脂(b)は、以下の条件[c]を満たす。
[c]:0.005≦(成分[F]/成分[E]の質量比)≦0.045
すなわち、本発明に係るエポキシ樹脂組成物に含有される成分[F]:ホウ酸エステル/成分[E]:芳香族ウレアの質量比で示される値が0.005〜0.045の範囲内にあると、速硬化性と保存安定性のバランスが優れた樹脂供給材料が得られる。エポキシ樹脂組成物の成分[F]/成分[E]の質量比で示される値は0.020〜0.045の範囲が好ましく、より速硬化性と保存安定性のバランスが優れた樹脂供給材料が得られる。上記の上限のいずれかと下限のいずれかとの組み合わせによる範囲であってもよい。成分[F]/成分[E]の質量比が0.005未満の場合、保存安定性が不十分なものとなる。成分[F]/成分[E]の質量比が0.045を超える場合、硬化時間が不十分なものとなる。
本発明の樹脂(b)の保存安定性は、40℃、75%RHで14日間保存する前後のガラス転移温度の変化が20℃以下であると、樹脂(b)を担持させた樹脂供給材料(A)が常温でも優れた保存安定性を示す。
本発明の樹脂(b)の保存安定性は、例えば、示差走査熱量分析(DSC)にて、ガラス転移温度の変化を追跡することで評価できる。具体的には、樹脂(b)を、恒温恒湿槽などで所定の期間保管し、保管前後のガラス転移温度変化をDSCにより−20℃から150℃まで5℃/分で昇温して測定することで判定できる。
本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化時間は、例えば、加硫/硬化特性試験機キュラストメーターV型(JSRトレーディング(株)製)を用いることで評価できる。具体的には、調製したエポキシ樹脂組成物を150℃に加熱されたダイスにサンプルを入れ、ねじり応力をかけてサンプルの硬化の進行にともなう粘度上昇をダイスに伝わるトルクとし、最大ピークトルクの70%に達する時間を脱型可能な時間とし評価する。最大ピークトルクの70%に達する時間は、150秒以下であることが好ましく、速硬化性に優れていると判断できる。
本発明の樹脂(b)は、以下の条件[d]を満たす。
[d]:0.9≦(成分[C]のエポキシ基モル数/成分[D]の活性水素モル数)≦1.3
条件[d]について、成分[C]のエポキシ基モル数/成分[D]の活性水素モル数で示される値が、0.9〜1.3の範囲にある場合、速硬化性に優れるエポキシ樹脂組成物を与える。成分[C]のエポキシ基モル数/成分[D]の活性水素モル数が、1.3を超える場合には、硬化時間が不十分なものとなる。一方、成分[C]のエポキシ基モル数/成分[D]の活性水素モル数が、0.9未満の場合には、加熱成形時の樹脂流動が不十分なものとなる。
なお、成分[C]のエポキシ基モル数とは、各エポキシ樹脂のエポキシ基のモル数の和のことであり、下式で表される。
成分[C]のエポキシ基モル数=(樹脂A質量/樹脂Aのエポキシ当量)+(樹脂B質量/樹脂Bのエポキシ当量)+・・・・+(樹脂W質量/樹脂Wのエポキシ当量)。
また、成分[D]の活性水素モル数は、ジシアンジアミド質量をジシアンジアミドの活性水素当量で除することにより求められ、下式で表される。
成分[D]の活性水素モル数=ジシアンジアミド質量/ジシアンジアミド活性水素当量
本発明の樹脂(b)は、以下の条件[e]を満たす。
[e]:12≦(成分[C]/成分[E]の質量比)≦26
本発明の樹脂(b)が条件[e]を満たす、つまり樹脂(b)に含有される成分[C]:エポキシ樹脂/成分[E]:芳香族ウレアの質量比で示される値が、12〜26の範囲にある場合、速硬化性と保存安定性に優れるエポキシ樹脂組成物を与える。成分[C]/成分[E]の質量比が26を超える場合には、硬化時間が不十分なものとなる。一方、成分[C]/成分[E]の質量比が12未満の場合には、保存安定性が不十分となる。
本発明の樹脂(b)は、以下の条件[g]および[h]を満たすことが好ましい。
[g]:動的粘弾性測定で、5℃/分の速度にて40℃から250℃まで温度を上げる間において、樹脂(b)が最低粘度を示す温度が、110℃以上140℃以下
本発明の樹脂(b)が条件[g]を満たすと、該エポキシ樹脂を用いた繊維強化複合材料は低ボイド率となる。これは、繊維強化複合材料の加熱成形時に、加熱温度は上記の範囲を辿るが、加熱成形時の樹脂の流動で材料中のボイドは除去されつつ、適切なタイミングでのゲル化により過剰な樹脂の流出が抑えられるためと推測している。
本発明の樹脂(b)が最低粘度を示す温度が条件[g]を満たすか否かは、例えば、動的粘弾性測定(DMA)にて、粘度の変化を追跡することで評価できる。具体的には、上記方法にて調製されたエポキシ樹脂組成物を、レオメーター(回転型動的粘度弾性測定装置)を用いて、5℃/分の速度にて40℃から250℃まで温度を上げた際の前記エポキシ樹脂組成物が最低粘度を示す温度で評価できる。
[h]:樹脂(b)を示差走査熱量分析計(DSC)により30℃から300℃まで5℃/分の速度にて昇温したときの発熱開始温度(T)および発熱終了温度(T)の差が、25℃以下
本発明の樹脂(b)が条件[h]を満たすと、速硬化性と保存安定性のバランスにより優れるエポキシ樹脂組成物を与える。TとTの差は、DSCのピークの鋭さを表している。ピークが鋭いものは、発熱ピークの温度が同じ場合でも、ブロードなものよりも硬化開始温度が高い。これは、より広い温度領域で安定性に優れることを意味する。一方で硬化反応が開始すると速やかに進行するため、速硬化性は損なわれない。
本発明の樹脂(b)は、本発明の効果を失わない範囲において、粘弾性を調整し、樹脂供給材料のドレープ特性を改良する目的や、樹脂組成物の機械特性や靭性を高めるなどの目的で、熱可塑性樹脂を含むことができる。熱可塑性樹脂としては、エポキシ樹脂に可溶な熱可塑性樹脂や、ゴム粒子および熱可塑性樹脂粒子等の有機粒子、シリカなどの無機粒子、CNT(カーボンナノチューブ)やグラフェンなどのナノ粒子等を選択することができる。
エポキシ樹脂に可溶な熱可塑性樹脂としては、ポリビニルホルマールやポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール、フェノキシ樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリビニルピロリドン、ポリスルホンを挙げることができる。
ゴム粒子としては、架橋ゴム粒子、および架橋ゴム粒子の表面に異種ポリマーをグラフト重合したコアシェルゴム粒子を挙げることができる。
通常、エポキシ樹脂の速硬化性と保存安定性はトレードオフの関係にあり、個別の技術の組み合わせでは両立できない。本発明の樹脂(b)が[c]、[d]および[e]の条件を同時に満たすことではじめて、トレードオフが打破され、速硬化性と保存安定性を極めて高いバランスで両立可能となる。[c]から[e]のいずれか1つ、あるいは2つの組み合わせでは、速硬化性と保存安定性を極めて高いバランスで両立できない。
本発明の樹脂供給材料(A)は、条件[f]を満たす。すなわち、下記式で表される繊維体積含有率Vfiは15%以下である。Vfiが15%を超えると、基材(B)への樹脂含浸不良が生じ、ボイドの多い繊維強化複合材料となる。Vfiは11%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。Vfiを11%以下にすることで、樹脂供給能力に優れた樹脂供給材料(A)が得られ、さらに5%以下とすることで、より樹脂供給能力に優れた樹脂供給材料(A)が得られる。また、本発明の樹脂供給材料(A)の、下記式で表される繊維体積含有率Vfiは0.5%以上が好ましい。繊維体積含有率Vfiを0.5%以上とすることで、より取り扱い性や形状追随性に優れた樹脂供給材料(A)が得られる。
繊維質量含有率Vfiは、JIS K7075(炭素繊維強化プラスチックの繊維含有率及び空洞率試験方法、1991年)に準拠して求められる。
樹脂供給材料(A)の繊維体積含有率Vfiは、該樹脂供給材料(A)を含むプリフォームを研磨あるいはカット等を行うことにより樹脂供給材料(A)のみを取り出し、JIS K7075(炭素繊維強化プラスチックの繊維含有率及び空洞率試験方法、1991年)に準拠して求めることができる。未硬化状態での測定が難しい場合は、無加圧で硬化したものを使用してもよい。
Vfi=Va/Vb×100(%)・・・(I)
Va:樹脂供給材料内繊維体積(mm
Vb:樹脂供給材料の体積(mm)。
本発明の樹脂供給材料(A)は、基材(B)と積層してプリフォームを作製することができるものであり、プリフォームから繊維強化複合材料が作製できる。基材(B)は、強化繊維を有する基材であり、樹脂が含浸していなくてよく、例えば、織物基材、一方向基材、これらをステッチ糸により縫合一体化した基材、マット基材などのように連続繊維を用いるものが挙げられる。ここで、連続繊維とは、強化繊維を短繊維の状態に切断することなく、強化繊維束を連続した状態で引き揃えた強化繊維を意味する。力学特性に優れる繊維強化複合材料を得る目的からは、連続強化繊維からなる基材を用いることが好ましいが、樹脂(b)の含浸速度を速め、繊維強化複合材料の生産性を高める目的からは、不連続繊維で構成されたマット基材を基材(B)として用いることが好ましい。
プリフォームの構成としては、樹脂供給材料(A)を複数積層した積層体の最外層を基材(B)で挟み込んだサンドイッチ積層体や、樹脂供給材料(A)と基材(B)を交互に積層させた交互積層体、およびこれらの組み合わせが例示できる。なかでも、基材(B)/樹脂供給材料(A)/基材(B)/樹脂供給材料(A)/基材(B)の順で樹脂供給材料(A)と基材(B)を複数枚交互に積層すると、樹脂(b)の含侵距離が短縮されることで、得られる繊維強化複合材料のボイド率を大幅に小さくできるため好ましい。あらかじめプリフォームを形成しておくことは、基材(B)を含む繊維強化複合材料の製造工程において、迅速、かつより均一に樹脂(b)を基材(B)に含浸させることができるようになるため好ましい。
プリフォームは、プリフォームの積層厚みが5mm以下であり、下記式(IV)を満たすことで、プリフォーム基材面積に対するプリフォーム基材周長(フリーエッジ)が相対的に減るため、樹脂が厚み方向に流れやすくなることで、得られる繊維強化複合材料のボイド率を大幅に小さくできるため好ましい。ここで、基材の周長とは、厚み方向に垂直な面の周囲の長さを指す。また、プリフォームの積層厚みは0.4mm以上であることが好ましく、0.9mm以上がより好ましい。プリフォーム積層厚みを0.4mm以上とすることで、プリフォームの可搬性や取扱い性に優れる。
プリフォーム基材面積[x]/プリフォーム基材周長[y]≧7[cm]・・・(IV)
ここで、プリフォーム基材面積[x]/プリフォーム基材周長[y]<750[cm]であることが好ましく、この範囲とすることで、プリフォームの可搬性や賦形性に優れる。
本発明のプリフォームを、例えば閉空間内で加熱加圧し、樹脂供給材料(A)から基材(B)に樹脂(b)を供給した後に樹脂(b)を硬化させることで、繊維強化複合材料を得ることができる。ボイドの混入を抑制する観点から、プレス圧成形や真空圧成形が好ましい。成形型は剛体からなるクローズド型等の両面型であっても、片面型であっても構わない。後者の場合、プリフォームを可撓性のフィルムと剛体オープン型の間に設置することもできる(この場合、可撓性のフィルムと剛体オープン型の間が外部よりも減圧状態となるため、プリフォームが加圧された状態となる)。なかでも、プレス機で0.3〜0.7MPaに加圧することで、樹脂(b)の基材(B)への含侵性が向上し、得られる繊維強化複合材料のボイド率を大幅に小さくできるため好ましい。
本発明の繊維強化複合材料のボイド率は、20%以下であることが好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましい。ボイド率を20%以下とすることで、高力学特性の繊維強化複合材料を得ることが出来る。
なお、繊維強化複合材料のボイド率は、JIS K7075(炭素繊維強化プラスチックの繊維含有率及び空洞率試験方法、1991年)に準拠して求められる。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。
本実施例で用いる構成要素は以下の通りである。
<使用した材料>
・強化繊維(a)
PANを主成分とする共重合体から紡糸、焼成処理、表面酸化処理を行い、総単繊維数12,000本の連続炭素繊維を得た。この連続炭素繊維の特性は次に示す通りであった。
平均繊維径:7μm
単位長さ当たりの質量:0.8g/m
比重:1.8
<炭素繊維ウェブの作製方法>
強化繊維(a)をカートリッジカッターで所定の長さにカットし、チョップド炭素繊維を得た。水と界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル(商品名)、ナカライテスク(株)製)からなる濃度0.1質量%の分散液を作製し、この分散液と上記チョップド炭素繊維とを用いて、抄紙基材の製造装置で抄紙基材を製造した。製造装置は、分散槽としての容器下部に開口コックを有する直径1000mmの円筒形状の容器、分散槽と抄紙槽とを接続する直線状の輸送部(傾斜角30度)を備えている。分散槽の上面の開口部には撹拌機が付属され、開口部からチョップド炭素繊維および分散液を投入可能である。抄紙槽は、底部に幅500mmの抄紙面を有するメッシュコンベアを備える槽であり、炭素繊維基材(抄紙基材)を運搬可能なコンベアをメッシュコンベアに接続している。抄紙の際は、分散液中の炭素繊維濃度を調整することで、単位面積当たりの質量を調整した。必要に応じて、抄紙した炭素繊維基材にバインダーとしてポリビニルアルコール水溶液(クラレポバール、(株)クラレ製)を5質量%ほど付着させ、140℃の乾燥炉で1時間乾燥し、以下に示す炭素繊維ウェブ1〜8を得た。いずれのウェブも単位面積あたりの質量は50g/mであった。
・炭素繊維ウェブ1
バインダー付着質量:5%、質量平均繊維長:6.5mm
・炭素繊維ウェブ2
バインダー付着質量:0%、質量平均繊維長:6.5mm
・炭素繊維ウェブ3
バインダー付着質量:5%、質量平均繊維長:1.2mm
・炭素繊維ウェブ4
バインダー付着質量:5%、質量平均繊維長:3.3mm
・炭素繊維ウェブ5
バインダー付着質量:5%、質量平均繊維長:10.0mm
・炭素繊維ウェブ6
バインダー付着質量:5%、質量平均繊維長:14.1mm
・炭素繊維ウェブ7
バインダー付着質量:13%、質量平均繊維長:6.5mm
・炭素繊維ウェブ8
バインダー付着質量:17%、質量平均繊維長:6.5mm
<エポキシ樹脂組成物の調製方法>
ステンレスビーカーに、[D]ジシアンジアミド、[E]芳香族ウレアおよび[F]ホウ酸エステル以外の成分を所定量入れ、60〜150℃まで昇温し、各成分が相溶するまで混練した。60℃まで降温させた後、[F]ホウ酸エステル成分を配合し、混練して主剤とした。別途、ポリエチレン製カップに所定量の[C]エポキシ樹脂および[D]ジシアンジアミドを添加し、三本ロールを用いて混合物をロール間に2回通し、ジシアンジアミドマスターを作製した。所定の配合割合になるように上記で作製した主剤成分とジシアンジアミドマスターを60℃以下で混練し、最後に[E]芳香族ウレアを添加し、60℃において30分間混練することにより、エポキシ樹脂組成物を得た。
・エポキシ樹脂[C]
・“jER(登録商標)”828(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学(株)製)
・“jER(登録商標)”1001(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学(株)製)
・“jER(登録商標)”1007FS(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学(株)製)
・“jER(登録商標)”154(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、三菱化学(株)製)
・“Epiclon(登録商標)”N−740(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、DIC(株)製)
・“Epiclon(登録商標)”HP−7200H(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、DIC(株)製)
・“Epiclon(登録商標)”830(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、DIC(株)製)
・“エポトート(登録商標)”YDF−2001(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、東都化成(株)製)
・“Epotec(登録商標)”YD136(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、KUKDO社製)
・“EPON(登録商標)”2005(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、Resolution Performance Products社製)
・“Epotec(登録商標)”YDPN638(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、東都化成(株)製)
・ジシアンジアミド[D]
・DICY7(ジシアンジアミド、三菱化学(株)製)
・芳香族ウレア[E]
・“Omicure(登録商標)”24(4,4’−メチレンビス(フェニルジメチルウレア、ピィ・ティ・アイ・ジャパン(株)製)
・DCMU99(3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア、保土ヶ谷化学工業(株)製)
・“Dyhard(登録商標)” UR505(4,4’−メチレンビス(フェニルジメチルウレア、CVC製)。
・ホウ酸エステル[F]
・“キュアダクト(登録商標)”L−07E(ホウ酸エステル化合物を5質量%含む組成物、四国化成工業(株)製)。
・熱可塑性樹脂
・“ビニレック(登録商標)”K(ポリビニルホルマール、JNC(株)製)
・“スミカエクセル(登録商標)”PES3600P(ポリエーテルスルホン、住友化学(株)製)
・YP−50(フェノキシ樹脂、新日鉄住金化学(株)製)。
・その他の粒子成分
・“マツモトマイクロスフェアー(登録商標)”M(松本油脂製薬(株)製)。
<エポキシ樹脂組成物の硬化時間の評価方法>
エポキシ樹脂組成物の硬化時間は、キュラストメーターV型(JSRトレーディング(株)製)を用いて、前記方法で得たエポキシ樹脂組成物を150℃に加熱されたダイスにサンプルを入れ、ねじり応力をかけてサンプルの硬化の進行にともなう粘度上昇をダイスに伝わるトルクとし、ピークトルクの70%に達した時間を硬化時間とした。
<樹脂硬化物の曲げ弾性率の評価方法>
エポキシ樹脂組成物を真空中で脱泡した後、2mm厚の“テフロン(登録商標)”製スペーサーにより厚み2mmになるように設定したモールド中で、150℃の温度で2時間硬化させ、厚さ2mmの板状の樹脂硬化物を得た。この樹脂硬化物から、幅10mm、長さ60mmの試験片を切り出し、インストロン万能試験機(インストロン社製)を用い、スパンを32mm、クロスヘッドスピードを100mm/分にて3点曲げを実施し、曲げ弾性率を測定した。サンプル数n=5で測定した値の平均値を曲げ弾性率の値とした。
<エポキシ樹脂組成物の保存安定性の評価方法>
前記の方法で得た初期のエポキシ樹脂組成物をアルミカップに8g秤量し、40℃、75%RHの環境下で14日間恒温槽内に静置した後のガラス転移温度をTe、初期のガラス転移温度Tsとした時に、ガラス転移温度の変化量をΔTg=Te−Tsと定義し、ΔTgの値でエポキシ樹脂組成物の保存安定性を判定した。ガラス転移温度は、保存後のエポキシ樹脂組成物3mgをサンプルパンに量り取り、示差走査熱量分析計(Q−2000:TAインスツルメント社製)を用い、−20℃から150℃まで5℃/分で昇温して測定した。得られた発熱カーブの変曲点の中点をガラス転移温度として取得した。
<樹脂供給材料の作製方法>
前記<炭素繊維ウェブの作製方法>で得られたそれぞれのウェブに実施例1〜23、比較例1〜8のそれぞれのエポキシ樹脂組成物を含浸させ樹脂供給材料を作製した。含浸工程は下記の通りである。
(1)エポキシ樹脂組成物を調製し、リバースロールコーターを使用し離型紙上に塗布し、単位面積当たりの質量が60g/mまたは100g/mである樹脂フィルムを作製した。
(2)それぞれのウェブ(大きさ:10cm×10cm)に、(1)で得られたエポキシ樹脂フィルム(大きさ:10cm×10cm)について、60g/mのものを2枚、100g/mのものを5枚積層した。
(3)0.1MPa、70℃で1.5時間ほど加熱した。
<炭素繊維複合材料の製造方法1>
(3)で作製した樹脂供給材料(大きさ:10cm×10cm)の表裏に、同じ大きさのドライ織物(東レクロス、品番:CO6343B、平織、目付198g/m)を2層ずつ配置し、プレス機で0.1MPa、150℃で5分間ホールドし、コンポジットを成形した。
<炭素繊維複合材料の製造方法2>
(2)で作製する樹脂供給材料とドライ織物のサイズを大きく(大きさ:30cm×30cm)した以外は、樹脂供給材料の作製方法、炭素繊維複合材料の製造方法1と同様にして、コンポジットを成形した。
<炭素繊維複合材料の製造方法3>
プレス機の面圧を0.3MPaにした以外は、炭素繊維複合材料の製造方法1と同様にして、コンポジットを成形した。
<炭素繊維複合材料の製造方法4>
積層構成をドライ織物/樹脂供給材料/ドライ織物/樹脂供給材料/ドライ織物の順に5枚積層した以外は、炭素繊維複合材料の製造方法1と同様にして、コンポジットを成形した。
<炭素繊維複合材料のボイド率測定方法>
炭素繊維複合材料のボイド率は、前記の方法で得た炭素繊維複合材料の一部を切り取り、エポキシ樹脂で包埋し、外層の厚み方向に沿った断面が露出するように研磨し、断面写真をレーザー顕微鏡VK−9510(キーエンス製)を使用して撮影した。得られた断面写真に対し、ボイド領域を、画像解析ソフトを用いて選択し、その面積を測定した。測定値に基づいて、(ボイド領域の断面積/炭素繊維複合材料の断面積)×100をボイド率(%)として算出した。
(実施例1)
[C]エポキシ樹脂として“jER(登録商標)”828を60質量部、“jER(登録商標)”1007FSを20質量部、“jER(登録商標)”154を20質量部、[D]ジシアンジアミドとしてDICY7を9.2質量部、および[E]芳香族ウレア化合物として“Omicure(登録商標)”24を4.5質量部、[F]ホウ酸エステルを含む混合物として“キュアダクト(登録商標)”L−07Eを3.0質量部用いて、前記<エポキシ樹脂組成物の作製方法>に従ってエポキシ樹脂組成物を調製した。このエポキシ樹脂組成物の[c]成分[F]/成分[E]の質量比は0.033、[d]成分[C]のエポキシ基モル数/成分[D]の活性水素モル数は1.0、[e]成分[C]/成分[E]の質量比は22であった。
このエポキシ樹脂組成物を、<樹脂組成物の硬化時間の評価方法>に従って測定したところ、120秒であり、良好な硬化時間を示した。エポキシ樹脂組成物の最低粘度を示す温度は、123℃であり良好な樹脂流動性を示した。T−Tは17℃であり、良好な硬化性を示した。
また、<樹脂硬化物の曲げ弾性率評価方法>に従って曲げ弾性率を測定したところ、3.2GPaであった。
さらに、<エポキシ樹脂組成物の保存安定性の評価方法>に従って評価したΔTgは14℃と、良好な保存安定性を示した。
炭素繊維ウェブ1と前記エポキシ樹脂組成物を用いて、<樹脂供給材料の作製方法>に従って得られた樹脂供給材料の繊維体積含有率Vfiは9.5%であり、基材形態が維持され、樹脂供給能力、取り扱い性、形状追随性に優れた。
表1に示す通り、<炭素繊維複合材料の製造方法1>に従って得られた平板を断面観察したところ、ボイド率は14%であった。
(実施例2〜14)
樹脂組成をそれぞれ表1に示したように変更した以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、樹脂供給材料、および炭素繊維複合材料を作製した。樹脂処方、樹脂および繊維強化複合材料の特性は、表1にまとめた。
得られた樹脂組成物は、いずれも実施例1と同様、硬化時間、曲げ弾性率、および保存安定性は良好であった。また、得られた樹脂供給材料の繊維体積含有率Vfiは3.0〜10.3%であり、基材形態が維持され、樹脂供給能力、取り扱い性、形状追随性に優れた。さらに、得られた炭素繊維複合材料のボイド率は5〜17%であった。
(実施例15)
樹脂供給材料の繊維体積含有率Vfiを10.5%に変更した以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、樹脂供給材料、および炭素繊維複合材料を作製した。
得られた樹脂供給材料は、基材形態が維持され、樹脂供給能力、取り扱い性、形状追随性に優れた。炭素繊維複合材料のボイド率は14%であった。
(実施例16)
樹脂供給材料の繊維体積含有率Vfiを12.5%に変更した以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、樹脂供給材料、および炭素繊維複合材料を作製した。
このときのプリフォーム厚み3.9mmであり、プリフォーム基材面積[x]は100cmであり、プリフォーム基材周長[y]は40cmであり、[x]/[y]は2.5であった。
得られた樹脂供給材料は、基材形態が維持され、取り扱い性、形状追随性に優れた。樹脂供給にムラがみられたが、問題のない範囲であった。炭素繊維複合材料のボイド率は19%であった。
(実施例17)
樹脂供給材料を得るための炭素繊維ウェブを炭素繊維ウェブ1から炭素繊維ウェブ2に変更した以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、樹脂供給材料、および炭素繊維複合材料を作製した。
このときのプリフォーム厚み3.9mmであり、プリフォーム基材面積[x]は100cmであり、プリフォーム基材周長[y]は40cmであり、[x]/[y]は2.5であった。
得られた樹脂供給材料は、樹脂供給能力に優れた。バインダーが付着していないためくずれやすかったが、取り扱い性と形状追随性は問題のない範囲であった。得られた樹脂供給材料の繊維体積含有率Vfiは9.9%であり、炭素繊維複合材料のボイド率は18%であった。
(実施例18)
樹脂供給材料を得るための炭素繊維ウェブを炭素繊維ウェブ1から炭素繊維ウェブ3に変更した以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、樹脂供給材料、および炭素繊維複合材料を作製した。
このときのプリフォーム厚み3.9mmであり、プリフォーム基材面積[x]は100cmであり、プリフォーム基材周長[y]は40cmであり、[x]/[y]は2.5であった。
得られた樹脂供給材料は、樹脂供給能力に優れた。繊維長が短いためやや変形しにくかったが、取り扱い性と形状追随性は問題のない範囲であった。樹脂供給材料の繊維体積含有率Vfiは9.3%、炭素繊維複合材料のボイド率は17%であった。
(実施例19)
樹脂供給材料を得るための炭素繊維ウェブを炭素繊維ウェブ1から炭素繊維ウェブ4に変更した以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、樹脂供給材料、および炭素繊維複合材料を作製した。
得られた樹脂供給材料は、基材形態が維持され、樹脂供給能力、取り扱い性、形状追随性に優れた。樹脂供給材料の繊維体積含有率Vfiは9.5%、炭素繊維複合材料のボイド率は15%であった。
(実施例20)
樹脂供給材料を得るための炭素繊維ウェブを炭素繊維ウェブ1から炭素繊維ウェブ5に変更した以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、樹脂供給材料、および炭素繊維複合材料を作製した。
得られた樹脂供給材料は、基材形態が維持され、樹脂供給能力、取り扱い性、形状追随性に優れた。樹脂供給材料の繊維体積含有率Vfiは9.2%、炭素繊維複合材料のボイド率は15%であった。
(実施例21)
樹脂供給材料を得るための炭素繊維ウェブを炭素繊維ウェブ1から炭素繊維ウェブ6に変更した以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、樹脂供給材料、および炭素繊維複合材料を作製した。
このときのプリフォーム厚み3.9mmであり、プリフォーム基材面積[x]は100cmであり、プリフォーム基材周長[y]は40cmであり、[x]/[y]は2.5であった。
得られた樹脂供給材料は、樹脂供給能力に優れた。繊維長が長く未開繊の繊維束が散見されたが、取り扱い性と形状追随性は問題のない範囲であった。樹脂供給材料の繊維体積含有率Vfiは9.7%、炭素繊維複合材料のボイド率は18%であった。
(実施例22)
樹脂供給材料を得るための炭素繊維ウェブを炭素繊維ウェブ1から炭素繊維ウェブ7に変更した以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、樹脂供給材料、および炭素繊維複合材料を作製した。
得られた樹脂供給材料は、基材形態が維持され、樹脂供給能力、取り扱い性、形状追随性に優れた。樹脂供給材料の繊維体積含有率Vfiは10.8%、炭素繊維複合材料のボイド率は14%であった。
(実施例23)
樹脂供給材料を得るための炭素繊維ウェブを炭素繊維ウェブ1から炭素繊維ウェブ8に変更した以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、樹脂供給材料、および炭素繊維複合材料を作製した。
このときのプリフォーム厚み3.9mmであり、プリフォーム基材面積[x]は100cmであり、プリフォーム基材周長[y]は40cmであり、[x]/[y]は2.5であった。
得られた樹脂供給材料は、基材形態が維持され、取り扱い性に優れた。バインダー付着量が多いため変形しにくかったが、形状追随性は問題のない範囲であった。樹脂供給材料の繊維体積含有率Vfiは13.2%、炭素繊維複合材料のボイド率は19%であった。
(実施例24)
<炭素繊維複合材料の製造方法2>に従って、樹脂供給材料とドライ織物の大きさ30cm×30cmとした以外は、実施例16と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、樹脂供給材料、および炭素繊維複合材料を作製した。このときのプリフォーム厚み3.9mmであり、プリフォーム基材面積[x]は900cmであり、プリフォーム基材周長[y]は120cmであり、[x]/[y]は7.5であった。
得られた炭素繊維複合材料のボイド率は5%であった。
(実施例25)
<炭素繊維複合材料の製造方法2>に従って、樹脂供給材料とドライ織物の大きさ30cm×30cmとした以外は、実施例17と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、樹脂供給材料、および炭素繊維複合材料を作製した。このときのプリフォーム厚み3.9mmであり、プリフォーム基材面積[x]は900cmであり、プリフォーム基材周長[y]は120cmであり、[x]/[y]は7.5であった。
得られた炭素繊維複合材料のボイド率は4%であった。
(実施例26)
<炭素繊維複合材料の製造方法2>に従って、樹脂供給材料とドライ織物の大きさ30cm×30cmとした以外は、実施例18と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、樹脂供給材料、および炭素繊維複合材料を作製した。このときのプリフォーム厚み3.9mmであり、プリフォーム基材面積[x]は900cmであり、プリフォーム基材周長[y]は120cmであり、[x]/[y]は7.5であった。
得られた炭素繊維複合材料のボイド率は4%であった。
(実施例27)
<炭素繊維複合材料の製造方法2>に従って、樹脂供給材料とドライ織物の大きさ30cm×30cmとした以外は、実施例21と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、樹脂供給材料、および炭素繊維複合材料を作製した。このときのプリフォーム厚み3.9mmであり、プリフォーム基材面積[x]は900cmであり、プリフォーム基材周長[y]は120cmであり、[x]/[y]は7.5であった。
得られた炭素繊維複合材料のボイド率は4%であった。
(実施例28)
<炭素繊維複合材料の製造方法2>に従って、樹脂供給材料とドライ織物の大きさ30cm×30cmとした以外は、実施例23と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、樹脂供給材料、および炭素繊維複合材料を作製した。このときのプリフォーム厚み3.9mmであり、プリフォーム基材面積[x]は900cmであり、プリフォーム基材周長[y]は120cmであり、[x]/[y]は7.5であった。
得られた炭素繊維複合材料のボイド率は5%であった。
(実施例29)
<炭素繊維複合材料の製造方法3>に従って、プレス機で0.3MPaに加圧した以外は、実施例16と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、樹脂供給材料、および炭素繊維複合材料を作製した。
得られた炭素繊維複合材料のボイド率は4%であった。
(実施例30)
<炭素繊維複合材料の製造方法4>に従って、積層構成を変更した以外は、実施例16と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、樹脂供給材料を作製した。
得られた炭素繊維複合材料のボイド率は4%であった。
(比較例1)
樹脂組成を表3に示したように変更した以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、樹脂供給材料、および炭素繊維複合材料を作製した。樹脂組成および評価結果は表3に示した。このエポキシ樹脂組成物は[F]を有さず条件[c]が0である点で本発明の範囲を満たしていない。
得られた樹脂組成物の速硬化性を示したが、保存安定性が不十分で、また炭素繊維複合材料のボイド率が高く不十分であった。
(比較例2)
樹脂組成を表3に示したように変更した以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、樹脂供給材料、および炭素繊維複合材料を作製した。樹脂組成および評価結果は表3に示した。このエポキシ樹脂組成物は、条件[d]が1.7である点で本発明の範囲を満たしていない。
得られたエポキシ樹脂組成物の保存安定性は良好であったが、硬化時間が長く、炭素繊維複合材料のボイド率は高く不十分であった。
(比較例3)
樹脂組成を表3に示したように変更した以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、樹脂供給材料、および炭素繊維複合材料を作製した。樹脂組成および評価結果は表3に示した。このエポキシ樹脂組成物は、条件[e]が33である点で本発明の範囲を満たしていない。
得られたエポキシ樹脂組成物の保存安定性は良好であったが、硬化時間が長く、炭素繊維複合材料のボイド率は高く不十分であった。
(比較例4)
樹脂組成を表3に示したように変更した以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、樹脂供給材料、および炭素繊維複合材料を作製した。樹脂組成および評価結果は表3に示した。このエポキシ樹脂組成物は、条件[d]が0.8である点で本発明の範囲を満たしていない。
得られた樹脂組成物の硬化時間および保存安定性は良好であったが、炭素繊維複合材料のボイド率は高く不十分であった。
(比較例5)
樹脂組成を表3に示したように変更した以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、樹脂供給材料、および炭素繊維複合材料を作製した。樹脂組成および評価結果は表3に示した。このエポキシ樹脂組成物は、条件[e]が9である点で本発明の範囲を満たしていない。
得られた樹脂組成物の硬化時間は良好であったが、エポキシ樹脂組成物の保存安定性は不十分であった。
(比較例6)
樹脂組成を表3に示したように変更した以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、樹脂供給材料、および炭素繊維複合材料を作製した。樹脂組成および評価結果は表3に示した。このエポキシ樹脂組成物は、条件[c]が0.048である点で本発明の範囲を満たしていない。得られた樹脂組成物の保存安定性は良好であったが、硬化時間および炭素繊維複合材料のボイド率は高く不十分であった。
(比較例7)
樹脂組成を表3に示したように変更した以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、樹脂供給材料、および炭素繊維複合材料を作製した。樹脂組成および評価結果は表3に示した。このエポキシ樹脂組成物は、条件[c]が0である点で本発明の範囲を満たしていない。得られた樹脂組成物の硬化時間は良好であったが、保存安定性および炭素繊維複合材料のボイド率は高く不十分であった。
(比較例8)
樹脂組成を表3に示したように変更した以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、樹脂供給材料、および炭素繊維複合材料を作製した。樹脂組成および評価結果は表3に示した。このエポキシ樹脂組成物は、条件[c]が0.050、条件[d]が1.8、条件[e]が33である点で本発明の範囲を満たしていない。
得られたエポキシ樹脂組成物の保存安定性は良好であったが、硬化時間と炭素繊維複合材料のボイド率は高く不十分であった。
(比較例9)
樹脂組成を表3に示したように変更した以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物を作製した。樹脂組成および評価結果は表3に示した。このエポキシ樹脂組成物は、条件[c]が0、条件[d]が2.4、条件[e]が33である点で本発明の範囲を満たしていない。
得られたエポキシ樹脂組成物を(株)イノアックコーポレーション製のウレタンフォーム“モルトプレン(登録商標)”ER−1に含浸させ樹脂供給材料を作製した。なお、ウレタンフォームの単位面積当たりの質量は175g/mであった。
得られた樹脂組成物の硬化時間、保存安定性、炭素繊維複合材料のボイド率は高く不十分であった。
(比較例10)
実施例1と同じエポキシ樹脂組成物を作製し、一方向に引きそろえた炭素繊維 “トレカ”(登録商標)“T700SC−12K”(東レ(株)製)に、繊維体積含有率Vfiが17.0%となるように含浸させプリプレグを作製した。得られた炭素繊維複合材料は、樹脂供給能力が大幅に不足しておりボイド率は34%と高く不十分であった。
なお、[B]ジシアンジアミド、[C]芳香族ウレアのいずれかの成分を添加しない場合、エポキシ樹脂組成物の十分な硬化は起こらなかった。
Figure 2019151830
Figure 2019151830
Figure 2019151830
Figure 2019151830
本発明の樹脂供給材料、および、該樹脂供給材料を使用した繊維強化複合材料の製造方法は、スポーツ用途、一般産業用途および航空宇宙用途に好適に用いられる。より具体的には、一般産業用途では、自動車、船舶および風車等の構造材や、ICトレイやノートパソコンの筐体(ハウジング)などの電子機器部材および補修補強材料等に好適に用いられる。航空宇宙用途では、航空機やロケット、人工衛星等の構造材等に好適に用いられる。

Claims (15)

  1. 繊維強化複合材料の成形に用いる樹脂供給材料(A)であって、
    樹脂供給材料(A)は強化繊維(a)と樹脂(b)とを有し、
    樹脂(b)は次の成分[C]、[D]、[E]、[F]を含み、下記条件[c]、[d]、[e]を満たし、
    下記式(I)で表される、樹脂供給材料(A)に含まれる強化繊維(a)の繊維体積含有率Vfiが15%以下である樹脂供給材料。
    [C]:エポキシ樹脂
    [D]:ジシアンジアミド
    [E]:芳香族ウレア
    [F]:ホウ酸エステル
    [c]:0.005≦(成分[F]/成分[E]の質量比)≦0.045
    [d]:0.9≦(成分[C]のエポキシ基モル数/成分[D]の活性水素モル数)≦1.3
    [e]:12≦(成分[C]/成分[E]の質量比)≦26
    Vfi=Va/Vb×100(%)・・・(I)
    ここで、Va:樹脂供給材料内繊維体積(mm
    Vb:樹脂供給材料の体積(mm
  2. 樹脂(b)が下記条件[g]および[h]を満たす、請求項1に記載の樹脂供給材料。
    [g]:動的粘弾性測定で、5℃/分の速度にて40℃から250℃まで温度を上げる間において、最低粘度を示す温度が、110℃以上140℃以下
    [h]:示差走査熱量分析計により30℃から300℃まで5℃/分の速度にて昇温したときの発熱開始温度(T)および発熱終了温度(T)の差が、25℃以下
  3. 樹脂(b)の40℃、75%RHで14日間保存する前後のガラス転移温度の変化が20℃以下である、請求項1または2に記載の樹脂供給材料。
  4. 成分[C]100質量部中、式(II)または式(III)で示されるエポキシ樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1つのエポキシ樹脂[C1]が55〜100質量部含まれる、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂供給材料。
    Figure 2019151830
    (式(II)において、R、R、Rは、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を表す。また、nは1以上の整数を表す。)
    Figure 2019151830
    (式(III)において、nは1以上の整数を表す)。
  5. 強化繊維(a)が炭素繊維である、請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂供給材料。
  6. 強化繊維(a)の質量平均繊維長が2〜12mmである、請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂供給材料。
  7. 強化繊維(a)が、単繊維同士がバインダーで結着されてなるウェブの形態をとる、請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂供給材料。
  8. 強化繊維の質量に対するバインダーの付着質量比が0.1〜15%である、請求項7に記載の樹脂供給材料。
  9. 繊維体積含有率Vfiが0.5〜11%である、請求項1〜8いずれかに記載の樹脂供給材料。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の樹脂供給材料(A)と強化繊維を有する基材(B)とを含むプリフォーム。
  11. 前記強化繊維を有する基材(B)が、織物基材、一方向基材およびマット基材から選択される少なくとも1種の形態をとる、請求項10に記載のプリフォーム。
  12. 請求項10または11に記載のプリフォームを加熱、加圧することにより、樹脂供給材料(A)から基材(B)に樹脂(b)を供給し、成形する、繊維強化複合材料の製造方法。
  13. 積層厚みが5mm以下であり、下記式(IV)を満たす請求項10または11に記載のプリフォームを加熱、加圧することにより、樹脂供給材料(A)から基材(B)に樹脂(b)を供給し、成形する、繊維強化複合材料の製造方法。
    プリフォーム基材面積[x]/プリフォーム基材周長[y]≧7[cm]・・・(IV)
  14. 請求項10または11に記載のプリフォームを加熱した状態で、プレス機で0.3〜0.7MPaに加圧して成形体を得る、繊維強化複合材料の製造方法。
  15. 基材(B)/樹脂供給材料(A)/基材(B)/樹脂供給材料(A)/基材(B)の順で、樹脂供給材料(A)と基材(B)を交互に複数枚積層した請求項10または11に記載のプリフォームを加熱、加圧することにより、樹脂供給材料(A)から基材(B)に樹脂(b)を供給し、成形する、繊維強化複合材料の製造方法。
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