JP2019150545A - 運動ブースの設置構造および方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】効果的な運動の実現を支援する手段を提供する。【解決手段】運動ブースの設置構造として、ミラー103を透過して画像を表示するための表示装置106をミラー103の背面側に設置し、ミラー103の正面側でミラーに対面するユーザの姿勢をミラー103の背面側からミラー103を透過して検出するための姿勢センサ107を、ミラー103の背面側において正面側に向く方向で表示装置106の下方に設置し、ミラー103の正面側において姿勢センサ107の検出可能範囲にユーザが収まるような領域にユーザの運動スペースを設置する。【選択図】図9

Description

本発明は、姿勢検出のための装置設置構造に関する。
人間の身体的運動に用いる運動器具として、例えば筋肉電気刺激装置がある。筋肉電気刺激装置は、筋肉に微弱な電流を流して筋肉を緊張および弛緩させることで、筋肉を運動させて筋力強化を図ることが期待される(例えば、特許文献1参照)。
特開2017−6644号公報
複数の筋肉電気刺激装置を利用して全身の筋肉を同時に鍛えるために、各装置により不随意運動を起こした上で、その不随意運動に逆行する方向に随意運動をすることで高い負荷を与えるトレーニングが知られている。しかしながら、そのようなトレーニングをする場合、筋肉電気刺激装置により筋肉に与える電気刺激とその電気刺激に合わせて行う適切な運動方法やタイミングの取り方が容易でないという問題があった。
本発明は、こうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、効果的な運動の実現を支援する手段を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の運動ブースの設置構造は、ミラーを透過して画像を表示するための表示装置をミラーの背面側に設置し、ミラーの正面側でミラーに対面するユーザの姿勢を検出するための姿勢センサを設け、ミラーの正面側において姿勢センサの検出可能範囲にユーザが収まるような領域にユーザの運動スペースを設ける。本発明の別の態様は、運動ブースの設置方法である。この方法は、ミラーを透過して画像を表示するための表示装置をミラーの背面側に設置し、ミラーの正面側でミラーに対面するユーザの姿勢を検出するための姿勢センサを設け、ミラーの正面側において姿勢センサの検出可能範囲にユーザが収まるような領域にユーザの運動スペースを設ける。
本発明によれば、効果的な運動の実現を支援することができる。
実施の形態に係る運動制御システムを示す模式図である。 筋肉電気刺激装置の一例である電気刺激モジュールの外観例を示す図である。 変形例における電気刺激モジュールの電極付近の外観および断面を模式的に示す図である。 フィットネスウェアのうち上半身用衣服部の表面側を模式的に示す図である。 フィットネスウェアのうち上半身用衣服部の裏面において各装着部に電気刺激モジュールを装着した状態を模式的に示す図である。 電気刺激モジュールの機能構成を示すブロック図である。 運動制御装置の機能的構成を示す機能ブロック図である。 表示制御装置の機能的構成を示す機能ブロック図である。 ミラーディスプレイ、姿勢センサ、表示制御装置、ユーザの配置を模式的に示す図である。 運動制御装置の外観を示す図である。 フィットネスジムの配置構成を示す俯瞰図である。 被検者13名に対する試験結果を示す表の図である。 第1の運動プログラムの構成を詳細に示す表の図である。 第2の運動プログラムの構成を詳細に示す表の図である。 姿勢判定画面を模式的に示す図である。 各身体部位への電気刺激レベルを調節するための画面例の図である。 動作状態をオブジェクトによって表示する画面例の図である。 第1〜第4の画面例を示す図である。 第5〜第8の画面例を示す図である。 第9〜第11の画面例を示す図である。 瞑想ブースをユーザの正面側から見た構造を模式的に示す図である。 瞑想ブースをユーザの左側から見た構造を模式的に示す図である。 水かけ台の正面図である。 水かけ台の右側面図である。 水かけ台の参考右側面図である。 水かけ台の背面図である。 水かけ台の平面図である。 水かけ台の置き台を外した状態を示す参考平面図である。
筋肉電気刺激装置のユーザの中には、より本格的に、あるいはより効率的に、筋肉電気刺激装置を利用して全身の筋肉を同時に鍛えたいと考えるユーザが少なからずいる。また、そのような全身の筋肉を同時に鍛えるための複数の筋肉電気刺激装置を利用した運動プログラムをフィットネスジムのような場所で複数人のユーザに同時に提供することも考えられる。複数の身体的部位を対象に複数の装置を同時利用する場合、より簡単な手順で実行できるのが好ましい。特に、ユーザの実際の動きを目標とする動きに簡単かつ効果的に近づける方法の実現が望まれていた。またそのような方法を複数人に同時に提供するフィットネスジムのような施設にとっては、適切な環境を簡単かつ確実に再現できる必要がある。
ある態様の運動ブースの設置構造は、ミラーを透過して画像を表示するための表示装置をミラーの背面側に設置し、ミラーの正面側でミラーに対面するユーザの姿勢を検出するための姿勢センサを設け、ミラーの正面側において姿勢センサの検出可能範囲にユーザが収まるような領域にユーザの運動スペースを設ける。別の態様の運動ブースの設置構造は、運動ブースの設置方法である。この方法は、ミラーを透過して画像を表示するための表示装置をミラーの背面側に設置し、ミラーの正面側でミラーに対面するユーザの姿勢を検出するための姿勢センサを設け、ミラーの正面側において姿勢センサの検出可能範囲にユーザが収まるような領域にユーザの運動スペースを設ける。
ミラーの正面側において姿勢センサの検出可能範囲にユーザが収まるような位置および大きさにてユーザの運動スペースを示すマークを床上に表示してもよい。
複数の運動ブースのそれぞれに含まれるミラー同士が対面し、複数の運動ブースのそれぞれに含まれるユーザの運動スペースにおいてユーザ同士が背中合わせとなるように複数の運動ブースを配置してもよい。
隣り合う複数の運動ブースのそれぞれに含まれる姿勢センサ同士で検出角度の重なりが抑制されるような間隔で複数の運動ブースを配置してもよい。
ある態様の運動制御システムは、ユーザの身体の像を反射し得るミラーと、ミラーを透過して画像を表示するためにミラーの背面側に設置される表示装置と、ミラーの正面側でミラーに対面するユーザの姿勢を検出するための姿勢センサと、姿勢センサによって検出されたユーザの姿勢情報に基づく所定の身体部位の推定位置を示すための位置状態画像と、身体部位の動作状態に応じて所定の図形を変化させることにより動作状態を示すための動作状態画像と、を表示装置へ表示させる表示制御装置と、を備える。
表示制御装置は、所定の動作の手本となる動きを示す動作モデル画像をさらに表示装置へ表示させるとともに、所定の動作の対象となる身体部位を示す位置状態画像と、所定の動作の対象となる身体部位の動作状態を示す動作状態画像と、を表示させてもよい。
表示制御装置は、姿勢センサによって検出されるユーザの姿勢の変化に先立って、位置状態画像および動作状態画像のうち少なくともいずれかを移動または変化させることにより、ユーザが次に行うべき動作を案内してもよい。
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、工程には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
<運動制御システム>
図1は、実施の形態に係る運動制御システム100を示す模式図である。本実施の形態においては、ユーザが同時に複数の筋肉電気刺激装置により電気刺激が与えられながら、その電気刺激のパターンに合わせた指示の通りに自ら身体を動かすことで、より短時間でより効率的に筋肉強化を図る運動プログラムの実行を前提とする。運動制御システム100は、複数の電気刺激モジュールを装着したフィットネスウェア102と、運動制御装置12と、表示制御装置104と、ミラーディスプレイ105と、姿勢センサ107と、を備える。ミラーディスプレイ105は、ミラー103と表示装置106を含んで構成される。運動制御装置12、表示制御装置104、ミラーディスプレイ105、姿勢センサ107をセットとして、1セットまたは複数セットがフィットネスジムのスタジオに設置される。ユーザには上下1セットおよび一対のアームバンドで構成されるフィットネスウェア102と図示しない上下1セットのインナーウェアが用意される。電気刺激モジュール10は、例えばユーザの腹筋、脇腹、胸筋、背筋、腕、脚、臀部などの各身体部位を対象として電気刺激を与えられるようにフィットネスウェア102の各箇所に装着される。電気刺激モジュールは、ユーザの筋肉に電気刺激を与える。複数の電気刺激モジュールは、それぞれBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信により運動制御装置12と通信して情報を送受信する。運動制御装置12との通信で実行開始が指示される運動制御プログラムが、複数の電気刺激モジュールのそれぞれにおいて電圧設定および動作を制御する。運動制御装置12はネットワークケーブル108を介したローカルエリアネットワークにて表示制御装置104との間で情報を送受信する。表示制御装置104は、運動制御装置12で実行される運動制御プログラムの指示にしたがい、ミラーディスプレイ105に運動の映像を表示するコンピュータである。
運動制御装置12は、フィットネスジムのインストラクターまたはユーザにより操作される情報端末である。運動制御装置12は、ユーザごと、および、電気刺激モジュール10ごとの強度設定や操作を制御する。運動制御装置12は、複数の電気刺激モジュールのハブとして機能するため、インストラクターまたはユーザは複数の電気刺激モジュールを個々に設定して操作するよりも運動制御装置12を操作して複数の電気刺激モジュールを一括制御する方が効率的である。
運動制御装置12は、運動プログラムの解説や動きの手本となる映像を複数の電気刺激モジュールの制御と同期させる形で、表示制御装置104を介してミラーディスプレイ105に表示させる。ただし、各電気刺激モジュールとの無線通信の遅延等も考慮し、電気刺激モジュールの制御パルスと完全に同期するタイミングで動きの映像を表示するのではなく、所定周期分を遅らせたタイミングで映像を表示させてもよい。姿勢センサ107は、ミラーディスプレイ105の前に立つユーザに向けて赤外線を投光するとともに、対象物を反射した赤外線を検出する赤外線センサおよびイメージセンサにより対象物であるユーザの深度を検出して距離画像を得る。その検出結果に基づいてユーザの姿勢を推定し、推定結果に基づくユーザの骨格モデル等の映像をミラーディスプレイ105の表示装置106に表示させる。運動制御装置12は、超音波センサを有する超音波プローブ13を備え、ユーザの腹部などの脂肪や筋肉の厚みを測定できる。
このように、本実施の形態における運動プログラムは、電気刺激モジュール10によって電圧を制御する運動制御プログラムと、運動制御装置12によって複数の電気刺激モジュール10に対して開始信号などの制御信号を送信しながら表示装置106に同期した映像を表示させる運動制御プログラムとの連動で実現される。また、各ユーザは、表示装置106に表示された映像を手本として自らの身体を動かすことで運動プログラムが実行される。すなわち、この運動プログラムにおいては、筋肉に電気刺激を与える間、その逆方向に意識的に筋肉を動かすことで、運動効果を高めることができる。例えば、電気刺激により肘を曲げる動き(不随意運動)をさせながら、意識的に腕を伸ばす力を加える運動(随意運動)を行うことで、かかる筋力負荷を増大させることができる。
<ミラーディスプレイ>
ミラーディスプレイ105は、ミラー103と表示装置106とを備えて構成される。ミラー103は、正面側においてユーザの全身の像を反射し得る姿見の大きさである一方、背面側から赤外線と電波を透過させる場合の透過損失が低く抑えられたミラーである。表示装置106はミラー103の面積よりやや小さい程度の画面を有してユーザの全身に相当する身体モデルを大きく表示できる、例えば70インチディスプレイ相当の縦型画面を有する表示装置である。表示装置106をミラー103の背面側に設置すると、ユーザはミラー103の正面側からミラー103を透過する表示装置106の画面上の画像を視認できる。ミラー103や表示装置106は、少なくとも画面の上端がユーザの目線より上に位置するように設置し、例えば平均的なユーザの身長より高く位置するように設置する。本実施の形態においては表示装置106として液晶表示装置を用いるが、変形例においては、有機EL表示装置やプロジェクターおよびスクリーンといった一般的な映像出力装置を用いてもよい。
<姿勢センサ>
姿勢センサ107は、赤外線を投光する赤外線プロジェクタ、対象物に反射した赤外線を検知する赤外線センサ、対象物からの反射光を捉えて画像を取得するCMOSセンサなどのイメージセンサ、指向性マイク等を含んで構成される。姿勢センサ107は、対象物に赤外線を投光してその反射した赤外線を赤外線センサが検出することで対象物の距離(深度、奥行き)を測定し、その対象物からの反射光をイメージセンサが捉えることで距離画像を取得する。変形例として、姿勢センサ107を表示制御装置104と一体化させた裏面照射型ToF距離画像センサを採用してもよい。姿勢センサ107は、例えば床からの高さ約55cmの位置に水平に設置され、水平方向約70度および垂直方向約60度の画角でユーザの姿勢を検出する。また姿勢センサ107の検出可能範囲にユーザが収まるようにするための推奨する運動スペースの範囲が床に描かれる。運動スペースは、ミラー103から約2.5m付近を中心とする円形状として設置され、その運動スペース内にいるユーザしか認識しないようにするため、ミラー103から約2.5m前後の距離範囲以外の検出を除外して2.5m前後のユーザだけを検出対象とする処理をする。例えば、ユーザが所定の運動スペースを出てミラー103に近づいたりすると、姿勢センサ107による検出対象から外れて画面がブラックアウトする一方、ユーザの背後(運動スペースの外側)を別の人が通っても検出されない。また、誤検出を防止するために、ユーザの背後にはロールスクリーン等の衝立を設置し、また、部屋の壁側に沿って対面する形でミラーを設置することで、ミラー同士が最も離れるような位置関係とする。以上により、姿勢センサ107による検出精度を高く維持することができる。本実施の形態においては姿勢センサ107を用いる例を説明した。変形例においては姿勢センサ107の代わりにジャイロセンサやポテンショメータといった機械的な装置をユーザに装着してもよいし、磁気センサによる磁場の変動等のモーションキャプチャに用いる一般的な検出技術を用いてもよい。
<電気刺激モジュール>
図2は、筋肉電気刺激装置の一例である電気刺激モジュールの外観例を示す。図2(a)は電気刺激モジュール10の平面側斜視図である。電気刺激モジュール10は、基台21、筐体20、第1電極31、第2電極32、第1電極接続ワイヤー35、第2電極接続ワイヤー36、第1電極接続部33、第2電極接続部34を主に備える。基台21は、電気刺激モジュール10の各構成が載置される略長方形などの矩形状に形成された基礎となる部材であり、例えば形状安定性があり、軽量性のある繊維素材で編み込まれたタフタなどの生地で形成される。基台21は繊維素材であるため、洗濯や煮沸消毒により衛生状態を維持できる。基台21には、シート状の第1電極31および第2電極32を挿入するためのスリット状の第1開口部112aおよび第2開口部112bが設けられる。第1開口部112aおよび第2開口部112bに挿入された第1電極31および第2電極32には、第1電極接続部33および第2電極接続部34が外側から図示しない孔部を通じて電気的に接続され、通電可能となる。第1電極31および第2電極32の底面側の外表面には、それぞれ第1電極31、第2電極32が導電性インクで印刷されるか、導電性ゴムなどの導電性材料で形成され、第1電極31と第2電極32の間で通電する。電気刺激モジュール10は、正負一対の電極を一組含むが、変形例として複数組の電極を含んでもよい。
筐体20は、基台21の平面側中央に配置される。ただし、変形例として、基台21の内部に筐体20を設ける仕様としてもよい。筐体20は、樹脂により形成された箱であり、電源部、無線通信モジュール、および、制御回路を収容する。筐体20は、基台21に対して着脱自在に取り付けられる。電源部は、リチウムイオン電池等の二次電池であるが、交換可能な一次電池であってもよい。電源部は、無線通信モジュールおよび制御回路に電気的に接続され、それぞれに電力を供給する。制御回路による運動制御プログラムにしたがった制御に基づき、電源部から第1電極接続ワイヤー35および第1電極接続部33、第2電極接続ワイヤー36および第2電極接続部34を介して第1電極31、第2電極32に電圧を印加する。筐体20の平面側には、操作部としての電源ボタン24、ペアリングボタン25が設けられる。電源ボタン24は電気刺激モジュール10の電源オンオフ操作を受け付け、ペアリングボタン25は無線通信の接続確立操作を受け付ける。基台21の平面側周囲には、オスの面ファスナー37が縫い付けられる。ただし、面ファスナー37の平面において短手方向両端側のうち基台21の外縁側だけを下地の基台21に縫い付けて外縁縫目42とし、内縁側は縫い付けないことにより、外縁縫目42より内側はポケット状の空間が形成される。電気刺激モジュール10の着脱時などにおいて基台21の平面側に設置された第1電極接続ワイヤー35、第2電極接続ワイヤー36などの電気的配線が他の物に干渉されて位置が動いても面ファスナー37のポケット内に収まることができ、電気刺激モジュール10からはみ出すのを防止することができる。フィットネスウェア102の裏面に設けられた装着部(メスの面ファスナー)に対して、本図のオスの面ファスナー37が付着することにより、電気刺激モジュール10がフィットネスウェア102の裏面に装着される。不使用時には、基台21から筐体20を取り外し、電気刺激モジュール10の面ファスナー37を対応する装着部(メスの面ファスナー)に付着させる。この状態で洗濯することができるとともに、面ファスナーによって生地を破損させてしまうことを予防できる。変形例として、電気刺激モジュール10にペアリングボタン25を設ける代わりにNFC(Near Field Communication:近距離無線通信)タグを搭載させ、運動制御装置12にはNFCリーダーを搭載させてもよい。この場合、フィットネスウェア102に装着された各電気刺激モジュール10内のNFCタグをNFCリーダーで読み取ることで、各電気刺激モジュール10を認証して、それぞれを運動制御装置12とペアリングすることができる。
図2(b)は電気刺激モジュール10の底面側斜視図である。タフタ生地等で形成される基台21の底面側には、一対の電極収納部39a,39bが設けられる。電極収納部39は、基台21の1/3程度の大きさのシンカーパイルなどのパイル地が、その周囲が縁取られるようにポリエステルテープなどのテープ38a,38bで基台21に貼り付けられることでポケット状に形成される。電極収納部39にはポケット状の空間が内部に形成され、開口部112から第1電極接続部33、第2電極接続部34を挿入できる。基台21の周囲も縁取られるようにポリエステルテープなどのテープ38c,38dが貼られる。電極収納部39のパイル地は保水性に優れるため、水を含浸させることができる。電気刺激モジュール10を使用する際、基台21および電極収納部39に水を噴霧して基台21および電極収納部39を保水させた後、フィットネスウェア102の裏側の装着部に電気刺激モジュール10を装着する。第1電極31、第2電極32は、少なくともその一部が電極収納部39を介してユーザの身体側に近接し、インナーウェアに接触し得る。第1電極31、第2電極32は、保水した電極収納部39に接触することで、通電状態を維持しやすい。以上のような電気刺激モジュール10をフィットネスウェア102に複数装着する。複数の電気刺激モジュール10は、フィットネスウェア102への装着部位、すなわち対応する身体部位に応じて個別の形状を有する。フィットネスウェア102への装着部位は、電気刺激を与えるべき対象身体部位に対応する複数箇所であり、例えばユーザの腹筋、脇腹、胸筋、背筋、腕、脚、臀部などの各身体部位に対応する箇所である。それらの箇所には、それぞれ電気刺激モジュール10のオスの面ファスナー37を装着するための、対応するメスの面ファスナーが縫い付けられる。
なお、変形例として、電気刺激モジュール10の平面側全体を、例えばシリコンなどのエラストマーにより形成されるカバーで覆う仕様としてもよい。別の変形例においては、筐体20は基台21の中央ではなく、第1電極31の上と第2電極32の上のいずれかに載置する仕様としてもよい。別の変形例においては、筐体20は基台21の中央ではなく、第1電極31の上と第2電極32の上に分散載置される仕様でもよい。その場合、電源部、無線通信モジュール、制御回路が、分散された二つの筐体に分けて収容されるため、各筐体は本実施の形態における筐体20より小さくすることができる。
図3は、変形例における電気刺激モジュール10の電極付近の外観および断面を模式的に示す図である。図3(a)は変形例における電気刺激モジュール10の底面側斜視図であり、この変形例においては一対の電極収納部39a,39bが厚みを持つ形状にて形成される。電極収納部39a,39bには第1電極31、第2電極32が収納されるとともに、ポリエチレン等の樹脂で形成されるクッション部材が内部に詰められて厚みを形成する。ポリエチレンは、肌あたりがよく、電波干渉のおそれが低く、また保水性が低いため加水分解の心配もない点でクッション部材として好適である。電気刺激モジュール10の使用時には電極収納部39a,39bに温水をかけて保水させることで、通電状況を良好に保つことができる。図3(b)は変形例における電気刺激モジュール10の電極収納部39の断面図であり、電極収納部39には第1電極31または第2電極32とクッション部材43が詰められている。第1電極31、第2電極32がユーザの身体に当たる側に設けられ、その高さを埋める形でクッション部材43が第1電極31、第2電極32と基台21の間に詰められる。クッション部材43と第1電極31、第2電極32の間に第1電極接続ワイヤー35、第2電極接続ワイヤー36を配線する。このようにして、電極収納部39a,39bに厚みを持たせる。ここで、筐体20が外部に露出していると、フィットネスウェア102をユーザの身体に密着させたときに身体に干渉して痛みの原因となることも考えられる。この点、電極収納部39a,39bの厚みを筐体20より厚くすることで、筐体20を設置するための空間を厚み方向に確保して筐体20が身体に当りにくくすることができ、電気刺激モジュール10を身体に密着させる場合の負荷を低減できる。
図4は、フィットネスウェアのうち上半身用衣服部の表面側を模式的に示す。図4(a)は上半身用衣服部120の正面側を示し、図4(b)は上半身用衣服部120の背面側を示す。上半身用衣服部120は、例えば化学繊維で形成される。
上半身用衣服部120の両側面、すなわちユーザの脇腹近傍に対応する部位には、6本のベルト(第1ベルト116a、第2ベルト116b、第3ベルト116c、第4ベルト116d、第5ベルト116e、第6ベルト116f)が設けられる。それぞれ一端が背面側の背骨近傍に固定的に取り付けられ、他端が正面側の脇腹近傍に固定的に取り付けられる。上半身用衣服部120の左右上面、すなわちユーザの両肩近傍に対応する部位には、2本のベルト(第7ベルト116g、第8ベルト116h)が設けられる。それぞれ一端が肩近傍に固定的に取り付けられ、他端が肩を越えて肩甲骨近傍に固定的に取り付けられる。以上の計8本のベルトは、上半身用衣服部を身体へ密着させるための締結部として機能する。
ユーザの左腹直筋近傍には、超音波検査用ジェルを塗布した超音波プローブをユーザの身体に当てるために開けられたウェア側超音波プローブ用開口部117が設けられる。この開口部を通じて、ユーザは上半身用衣服部120を着たまま超音波プローブを使って脂肪と筋肉の厚みを測定することができる。ここで、ユーザがインナーウェアの上から超音波プローブを押し当てるにあたり、その押し当てる力にユーザの力加減が影響してしまうのを排除することが好ましい。そこで、ウェア側超音波プローブ用開口部117の周囲に、超音波プローブを固定する手段(例えばスナップ留め具、フック、面ファスナーなど)を設ける。例えば、ウェア側超音波プローブ用開口部117の周縁を凸形状に形成させることで、超音波プローブを引っ掛けて位置と圧力を固定するためのフックとして機能させる。これにより、測定の安定化と使用時の利便性向上を図ることができる。ウェア側超音波プローブ用開口部117と、第4ベルト116d、第5ベルト116e、第6ベルト116fとの間に、装飾ライン119が設けられる。装飾ライン119は左前身頃150の下端から略垂直に上がり、脇の下に向けて外側に湾曲する曲線である。右前身頃151にも身体中央のファスナーを中心として対称的な位置に対称的な形状の装飾ライン119が設けられる。これら装飾ライン119は、上半身用衣服部120における腹直筋用の電気刺激モジュール10の設置位置と腹斜筋用の電気刺激モジュール10の設置位置とを分ける境界線でもあり、装飾ライン119の下端がユーザの腸骨における上前腸骨棘の位置に合うようにデザインされている。これにより左右の装飾ライン119の間に位置する電気刺激モジュール10が腹直筋に適切に当たるように設計される。
図5は、フィットネスウェアのうち上半身用衣服部の裏面において各装着部に電気刺激モジュールを装着した状態を模式的に示す。電気刺激モジュールは、電気刺激を加える各筋肉に対応して面ファスナー等で形成される複数の装着部(図示せず)に装着される。腹筋に対応する第1装着部、第2装着部には、第1電気刺激モジュール10a、第2電気刺激モジュール10bが装着され、脇腹に対応する第3装着部、第4装着部には、第3電気刺激モジュール10c、第4電気刺激モジュール10dが装着される。胸筋に対応する第5装着部、第6装着部には、第5電気刺激モジュール10e、第6電気刺激モジュール10fが装着され、背筋に対応する第11装着部、第12装着部には、第11電気刺激モジュール10k、第12電気刺激モジュール10lが装着される。
第1電気刺激モジュール10aおよび第2電気刺激モジュール10bは、左右の腹直筋に電気刺激を与える。第3電気刺激モジュール10cおよび第4電気刺激モジュール10dは、左右の腹斜筋に電気刺激を与える。第5電気刺激モジュール10eおよび第6電気刺激モジュール10fは、左右の胸筋に電気刺激を与える。第11電気刺激モジュール10kおよび第12電気刺激モジュール10lは、左右の背筋に電気刺激を与える。なお、図においては上半身用衣服部120は主に男性用に電気刺激モジュール10が配置された例を示すが、女性用には電気刺激モジュール10の配置や大きさ等が異なってもよい。
上半身用衣服部120のユーザの左腹直筋近傍には、超音波プローブをユーザの身体に当てるために開けられたウェア側超音波プローブ用開口部117が設けられるため、これに合わせて第2電気刺激モジュール10bにもモジュール側超音波プローブ用開口部118が設けられる。これにより、ユーザは上半身用衣服部120を着たまま超音波プローブを使って脂肪と筋肉の厚みを測定することができる。
以上のように上半身用衣服部を説明したが、下半身用衣服部やアームバンドにも同様に複数の電気刺激モジュール10が装着される。また、ユーザはフィットネスウェアの下にインナーウェアを着用することで、快適な装着感を保つことができる。なお、フィットネスウェアに湿度計を設けることにより、環境湿度やウェアの湿度を検出できるようにしてもよい。その場合、乾燥状況に応じて適切な電流値を予測し、電気刺激としての電圧値を適切な値に調節してユーザの身体への通電を安定化させてもよい。
図6は、電気刺激モジュール10の機能構成を示すブロック図である。電気刺激モジュール10は、電源部22、制御部28、無線通信部58を備える。電源部22、制御部28、無線通信部58は筐体20に収められる。制御部28は、電源制御部50、通電検知部52、電気刺激制御部54、設定部56を含む。
制御部28の各ブロックは、ハードウェア的には、集積回路をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。図7,8の各ブロックについても同様である。
電源制御部50は、電源部22の充電を制御するとともに、充電状態を示す情報を無線通信部58を介して運動制御装置12へ送信する。通電検知部52は、電極間で通電可能であるかを検知するために、第1電極31と第2電極32との間で抵抗値を検出する。通電検知部52は、検出した抵抗値が閾値未満の場合は通電可能として検知し、検出した抵抗値が閾値以上の場合は通電不可として検知する。電気刺激制御部54は、通電検知部52によって通電可能として検知されると、所定の動作時間(例えば10分)、所定の周期(例えば、周波数が20Hzとなる周期)で、第1電極31と第2電極32の間に設定電圧を印加する。すなわち、電気刺激モジュール10が装着された箇所、例えばユーザの腹筋、脇腹、胸部、腕部、脚部、臀部等に電気刺激を与える。
無線通信部58は、近距離無線通信を介して運動制御装置12から設定電圧の情報を受信して設定部56に送る。無線通信部58が運動制御装置12から設定電圧値の情報、あるいは、設定電圧値の増加や減少を指示する情報を受信した場合、設定部56は受信した情報に基づいて印加する設定電圧値を増減させる。設定電圧値の増減がなされるたびに、電気刺激制御部54は新たな設定電圧値にて電極間に電圧を印加することで、新たな設定電圧値、すなわち運動強度をユーザに体感させ、確認させる。設定電圧値は、例えば100段階の強度としていずれかの値が設定できる。無線通信部58は、運動中、すなわち電圧印加中も運動強度の増減指示を運動制御装置12から受信した場合は設定電圧値を増減する。ただし、接続中の運動制御装置12以外から運動強度の増減指示を受信しても無視し、他の装置からの運動強度の増減指示にはしたがわない。ユーザ以外の他者によって勝手に電圧値を増減されてしまうことを防止するためである。無線通信部58は、電気刺激制御部54による電圧印加状態、すなわち運動実行状態を示す情報を運動制御装置12へ送信してもよい。
<運動制御装置>
図7は、運動制御装置12の機能的構成を示す機能ブロック図である。運動制御装置12は、制御部70、無線通信部71、有線通信部72、表示部74を含む。制御部70は、表示制御部61、設定処理部63、情報管理部65、超音波計測部66を含む。
無線通信部71は、電気刺激モジュール10との間で近距離無線通信により情報を送受信する。無線通信部71は、複数の電気刺激モジュール10と情報を送受信する。主に一方向のブロードキャスト通信を用いることとし、必要に応じてペアリングによる双方向通信を用いる。双方向通信の場合、電気刺激モジュール10から受け取る情報には、ユーザ登録や個体管理に用いられる個体識別情報や一意のネットワークアドレス(MACアドレス)が含まれていてもよい。表示部74は、液晶パネルや有機ELパネルなどのタッチパネル式表示装置であり、情報を画面に表示するとともに、ユーザまたはインストラクターの操作入力を受け付ける。
設定処理部63は、ユーザまたはインストラクターによる表示部74への操作入力に基づいてユーザごとに複数の電気刺激モジュール10の動作内容を設定する。設定処理部63は、複数の身体部位に対してそれぞれ別個の動作内容を設定できる。設定処理部63は、動作内容として筋肉電気刺激装置による電気刺激の強度、すなわち100段階のうちいずれかのレベルの電圧値を設定する。設定処理部63は、無線通信部71を介して動作内容を示す情報をすべての電気刺激モジュール10にブロードキャスト通信で送信することによりその電気刺激モジュール10による運動を制御する。例えば、設定処理部63は運動開始信号、一時停止信号、終了信号、電圧値信号等を電気刺激モジュール10へ送信することで電気刺激モジュール10を制御する。一方、電気刺激モジュール10における通信によるバッテリー消費を抑えるため、通信は最小限に留めるのが設計上好ましい。例えば、電気刺激モジュール10に設定した電圧値や運動制御プログラムのデータは情報管理部65に記憶させることとし、電気刺激モジュール10から電圧値の情報は取得しない。また、運動の終了信号の送受信はせずに、所定時間経過後に運動プログラムが終了したものとして判断してもよい。
表示制御部61は、運動プログラムの実行状況、電気刺激モジュール10の設定状況および動作状況等に関する内容を表示部74に表示する。表示制御部61は、運動プログラムに基づいて表示装置106へ手本の映像等を表示させるために表示制御装置104へ運動プログラムの実行状況に関するデータを有線通信部72を介して送信する。表示制御部61は、人体モデルの画像を表示するとともに、電気刺激モジュール10の制御状態に合わせて電圧パルスのリズムや運動中の筋肉の動きを動的に示す映像を表示制御装置104を介して表示装置106に表示させる。
超音波計測部66は、電気刺激モジュール10に接続された超音波プローブ13(超音波センサ)により検出される検出値に基づいて、ユーザの身体部位における皮下脂肪および筋肉の断層像を生成して表示部74に表示させる。例えば、運動プログラムを開始する前に一定時間計測して、表示部74に画像を表示させる。表示制御部61は、皮下脂肪および筋肉の断層像を、ユーザ本人にのみ表示するため、他のユーザでも視聴できる表示装置106には表示させず、表示部74にのみ表示する。変形例として、表示制御部61は、運動プログラムの実行中においてリアルタイムに筋肉の断面の動きを表示させてもよい。
図8は、表示制御装置104の機能的構成を示す機能ブロック図である。表示制御装置104は、制御部260、通信部256を備える。通信部256は、運動制御装置12との間でローカルエリアネットワークなどで有線接続され、情報を送受信する。制御部260は、表示制御部250、姿勢推定部252、設定処理部254を有する。制御部260は、姿勢センサ107とも接続され、姿勢センサ107から検出結果を受信する。姿勢推定部252は、姿勢センサ107から受け取る検出結果に基づいてユーザの姿勢を推定する。設定処理部254は、運動制御装置12から受け取る指示に基づいて運動プログラムを実行して、その内容を表示制御部250による制御を通じて表示装置106に表示させる。
表示制御部250は、運動プログラムにおける動作の手本として人体の形状を持つ動作モデルの映像を表示装置106の画面隅に小さく表示することで、トレーニング効果の高い動作をわかりやすくユーザに指導する。また表示制御部250は、運動プログラムにおける各動作での身体部位ごとの移動範囲や、ユーザの身体部位ごとの実際の動作状態を示すための状態オブジェクトを表示装置106の画面中央に大きく表示する。姿勢推定部252は、身体部位の移動範囲を、四肢などの各身体部位がなす角度、移動角度、距離等から判定し、判定した角度や距離が規定値を満たしたときに所定音を出力することで1回の動作がなされたことをユーザに通知する。姿勢推定部252は、所定の時間内に規定値を満たす動作がなされたか否かで点数化する。表示制御部250は、電気刺激を加えている身体部位に対応する動作モデル上の筋肉部位に、刺激中を示す演出を表示することで、どの部位を鍛えているかをユーザは自覚しやすくなり、トレーニングの効果を高めることができる。特に、複数部位に同時に電気刺激を加えて不随意運動を起こしながら、さらに随意運動を実行していると、ユーザはどの部位に電気刺激が加えられているかを自覚しにくくなるため、このような明示的な表示が有効となる。ここで、互いに隣接する複数の運動ブース202のそれぞれにスピーカーを設置する場合、隣接する運動ブース同士で音声が混ざって聞こえてしまうと、音声に合わせて運動のタイミングを計ることが困難となる。そこで、表示制御装置104は、スピーカーとして指向性スピーカーを備えてもよい。あるいは、運動スペース204の直上または直下からユーザに向けて音声出力するようにスピーカーを設置してもよい。その場合のスピーカーも指向性スピーカーであってよい。あるいは、携帯可能な小型のスピーカーをフィットネスウェア102またはユーザの首元に装着させてもよい。その場合、フィットネスウェア102における首元や肩などの首回りの部位、すなわちユーザの耳ないし頭に近い部位に小型のスピーカーを装着または固定できるように、スピーカーの収納部や取付部を設けてもよい。スピーカーをフィットネスウェア102の首回りに取り外し可能に固定する手段として、例えばスナップ留め具、フック、面ファスナーなどを用いてもよく、これによりスピーカーの位置ズレや落下を防止できる。これらのように、指向性スピーカーにより、または、スピーカーを音声聴取容易な場所に設置することにより、フィットネスジムのような複数ユーザが同時に運動をする環境においても、各ユーザは隣接する運動ブース202からの音に邪魔されずに自身の運動ブース202における音を聞きやすくなる。また、指向性スピーカーにより、ユーザだけでなく、横にいるインストラクターにも音を伝達しやすくすることができる。さらに、指向性スピーカーの向きをユーザの立ち位置に合わせて変化させてもよく、この場合、姿勢センサ107または他の専用センサによってユーザの立ち位置を検出してもよい。これにより、指向性スピーカーがユーザの方向へ向かないことにより音が聞こえづらくなることを防ぐことができる。また、他の方法を用いて運動ブースの間で防音または吸音することにより、隣接する運動ブース同士で音声が混ざるのを防止する。例えば、運動ブース202と運動ブース202の間に、取り外し可能な仕切り(例えば、天井から吊り下げるメッシュ状パーティション)またはエアーカーテンを設けることで、ブース間を防音または吸音することが考えられる。仕切りやエアカーテンの場合、ユーザの汗等の匂いの拡散防止効果もある。また例えば、運動ブース202と運動ブース202の間、または運動スペース204の周囲に消音スピーカーを設け、隣接する運動ブース202からの音声の逆位相の音声(キャンセリング音)を出力することで、ブース間または運動スペース204の内外で音を打ち消すことが考えられる。
図9は、ミラーディスプレイ、姿勢センサ、表示制御装置104、ユーザの配置を模式的に示す。姿勢センサ107は、ミラー103の背面側において表示装置106より下に水平に設置され、その高さは床から約55cmである。姿勢センサ107の姿勢検出範囲206は、例えば水平方向70度、垂直方向60度の画角であり、姿勢センサ107から約2.5mの位置に立つユーザ207の全身を検出できるように構成される。ここで、姿勢センサ107を仮に表示装置106の上に設置する場合、上方からユーザ207を見下ろすような角度で検出することとなり、この場合、ミラー103への入射角が大きくなるため、ミラー103のガラスを介した姿勢検出がガラスの屈折の影響を受けるおそれがある。これに対し、姿勢センサ107を表示装置106の下に設置する場合、水平に設置できるため、ミラー103のガラスによる屈折の影響を受けにくくすることができる。また、姿勢センサ107をミラー103の背面側、かつ、表示装置106の下方に設置することで、姿勢センサ107を目立ちにくくできるだけでなく、埃をかぶりにくくすることができる。なお、姿勢推定部252は、ユーザ以外の人、例えばユーザに動きをアドバイスするインストラクターが検出範囲に侵入した場合であっても、検出対象をユーザのみに限定し、インストラクターを検出対象から除外する処理をする。また、床上にはインストラクターの立ち位置を所定領域に制限するマークを描いてもよい。変形例として、床の位置が上下動して高さを調整可能な構成であってもよい。ユーザが運動する床は、弾力性ないしクッション性のある緩衝部材で構成することで、隣接するブースのユーザに振動が伝わりにくくする。逆に、ミラー103を設置する床は、ユーザが運動する床より固い材質とすることで、ユーザの運動による振動がミラー103に伝わりにくくして、センサの計測への影響を抑制する。
図10は、運動制御装置12の外観を示す。本図(a)は正面側の外観であり、本図(b)は背面側の外観である。本図(a)の通り、正面側上部にはタッチパネル式の表示部74が設けられ、その下方にはロータリエンコーダで構成されるダイヤル272が設けられる。ユーザがダイヤル272を操作して電気刺激のレベルを上げるたびに効果音を出す。表示部74には人体の形状をした筋肉モデルを表示し、ユーザは筋肉モデルに示されるいずれかの筋肉部分をタッチしてダイヤル272を操作することで、その筋肉への電気刺激レベルを直感的に調整できる。施術者であるインストラクターと、被施術者であるユーザのそれぞれに表示させることで、操作しやすい環境となる。ミラーディスプレイ105にも同様の画像を表示するが、ミラーディスプレイ105の側ではミラー103に反射するユーザの像に被せて立体的に表示し、ユーザが体を動かしても追従するように表示することにより、ユーザは自身の体のどこを鍛えるのか、直感的に意識しやすくすることができる。また、電気刺激によるトレーニング時には、どの部位に電気が流れ、鍛えるのかの視覚的な把握が難しいため、ミラーディスプレイ105に表示することによって、より意識的に鍛えることができる。強制停止ボタン273は、何らかの緊急時にユーザまたはインストラクターが押すことで電気刺激、すなわち電圧印加を直ちに強制終了できる非常ボタンである。
本図(b)の通り、運動制御装置12の背面側下端には吸気口270が設けられ、運動制御装置12の背面側上部には排気口271が設けられる。下端の吸気口270から吸入される空気が運動制御装置12の内部を通って上部の排気口271から排出される煙突効果により、運動制御装置12の内部の熱が効率よく自然排出され、排熱のためのファンの大型化を要しない。排気口271を構成する複数の孔部の内部にはLEDが点灯するため、運動制御装置12の背面側がミラー103に映り込むときのデザイン性が向上するだけでなく、運動制御装置12が稼働中であるか否かを排気口271のLED点灯状態で視認できる。
タッチパネル操作時等、液体の侵入を防ぐために液体侵入経路上に排水路を設ける。必要以上の防水をする必要が無く、作りやすく、原価低減にも寄与する。運動制御装置12は、高さがあり薄い筐体の転倒を抑制するために、本体底面より一回り大きな鉄板で土台を形成することで転倒防止している。
図11は、フィットネスジムの配置構成を示す俯瞰図である。本図の例では、フィットネスジム200は6つの運動ブース202を含んで構成される。6つの運動ブース202には、それぞれにミラーディスプレイ105、運動制御装置12、運動スペース204が一つずつ配置される。運動ブース202はユーザ一人分のために区画された領域であり、フィットネスジム200の所定スペースを6等分した形で形成される。図の上側に横一列に配置された第1運動ブース202a、第2運動ブース202b、第3運動ブース202cは互いに横方向の境界が壁などによって仕切られていない。図の下側に横一列に配置された第4運動ブース202d、第5運動ブース202e、第6運動ブース202fもまた互いに横方向の境界が壁などによって仕切られていない。一方、上側の第1運動ブース202a、第2運動ブース202b、第3運動ブース202cと、下側の第4運動ブース202d、第5運動ブース202e、第6運動ブース202fとの間の境界は、互いに視界を遮るように中央に横方向に設置された白いロールスクリーン209で仕切られている。
図におけるフィットネスジム200の上辺と下辺に沿って、運動ブース202ごとにミラーディスプレイ105が配置される。それぞれのミラーディスプレイ105は、中央のロールスクリーン209に向かい、ロールスクリーン209を挟んで対向するように配置され、互いの距離が最も離れるような対極の位置関係となる。ミラーディスプレイ105から例えば約2.5mの位置に中心が合わさるように円形の運動スペース204が配置される。運動スペース204は、例えば直径1.8mの円であり、ユーザはこの運動スペース204の内部で運動する限りつねに姿勢センサ107の検出可能範囲に収まり、そのユーザの姿勢の検出が確保される。ミラーディスプレイ105の横付近にはそれぞれ運動制御装置12が設置される。運動制御装置12は、主にインストラクター208によって操作される他、ユーザによっても操作可能である。
姿勢センサ107によりユーザ以外の人が検知されると、ユーザの姿勢検出および画像処理制御の妨げとなるため、インストラクター208、運動制御装置12、隣接する運動スペース204の設置位置を姿勢センサ107の姿勢検出範囲206の外側に設定する。まず、隣り合う複数の運動ブース202のそれぞれに含まれる姿勢センサ107同士で検出角度の重なりを抑えられるような間隔で複数の運動ブース202を配置してもよい。また、ユーザのための運動スペース204の設定位置は、床に円を描くことでユーザに明示する。インストラクターの移動可能範囲を床に描いてもよい。これにより、姿勢センサ107の検出精度を高く維持し、誤動作を防止する。運動スペース204は、床に円を描く他に、照明による床面への投影や、運動スペース204の領域を明示したマット、目印用のコーン等を設けてもよいし、運動スペース204の領域だけを窪ませたり、段差を設けたりしてもよい。姿勢センサ107を運動スペース204に設ける仕様としてもよい。
床は軟質部材で形成することにより、ミラーディスプレイ105や姿勢センサ107、運動制御装置12に振動が伝わりにくくするとともに、ユーザの転倒時の怪我を防止する。姿勢センサ107に振動が伝わりにくくすることは安定的で高精度の姿勢検出にも繋がる。また、万が一、不測の事態によりミラーディスプレイ105が転倒したとしてもミラー103のガラス破損を防止する。ただし、ミラー103をアンカーで床に固定する仕様の場合、床材はアンカーを打ち込める程度の剛性が必要となる。
ミラーディスプレイ105や姿勢センサ107、表示制御装置104等のメンテナンスをするために、メンテナンスを担当する従業員等が入ることができるメンテナンススペースとしての通路210をミラーディスプレイ105の背後に設ける。これにより、ミラーディスプレイ105、表示制御装置104、姿勢センサ107のメンテナンス性を向上できる。
運動ブース202の配置の変形例として、アイランド型の空間の周囲に複数の運動ブースを設置する配置や、一つ一つの運動ブース202をパーティションによって隔離した個室型としてもよい。
<トレーニング原理>
1.目的
筋疲労および代謝反応に対する電気刺激の影響は多くの研究で報告されているが、随意運動と併用した場合の代謝動態の違いや、年齢や体組成等、個体差がある場合に対しての効果は不明な点も多い。そこで、様々な年齢および体組成を有する被験者に対し、電気刺激と随意運動を組み合わせた効果を検証した。
2.方法
被験者は24〜60歳の男性13名である。電気刺激の印加方法として、大腿四頭筋、ハムストリングス、大臀筋、腹直筋、腹斜筋、大胸筋、広背筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋の近位部に電極が配置されているウェアタイプの骨格筋電気刺激装置を使用した。基本の刺激周波数を20Hzとして、15分間の電気刺激を実施した。この電気刺激の強度は、被験者が随意運動を行える範囲での可能な限り高い値として設定された強度である。試験は電気刺激のみを受ける場合と、電気刺激を受けながら随意運動を行う場合の2試験を行った。この2つの試験は、異なる日にランダムに実施した。試験前後で、等尺性膝伸展時の最大筋力(MVC)と血中乳酸値を測定した。
3.結果
図12は、被検者13名に対する試験結果を示す表の図である。例えば、大腿四頭筋の最大筋力は、電気刺激(EMS)のみの場合は試験前と比較して平均で85.8%(14.2%の減少)となり、電気刺激+随意運動(EMS+トレーニング)の場合は試験前と比較して平均で82.9%(17.1%の減少)となるなど、いずれの場合も有意な減少が見られた(有意確率p値<0.05)。血中乳酸値に関しては、電気刺激のみの場合は試験前の1.4±0.4から試験後の3.2±1.2mmol/Lに、電気刺激+随意運動の場合は試験前の1.3±0.4から試験後の4.8±2.6mmol/Lに変化するなど、有意な増加が見られた(電気刺激+随意運動の試験後の血中乳酸値は、電気刺激のみの試験後の血中乳酸値より有意に高かった。有意確率p値<0.05)。また、電気刺激+随意運動の血中乳酸値と体脂肪率および皮下脂肪厚(腹部)に有意な負の相関関係が観察された。また、電気刺激後の血中乳酸値と体脂肪率および皮下脂肪厚(腹部)に負の相関関係の傾向が観察された。
4.まとめ
本実験より、全身の電気刺激に随意運動を併用するトレーニングは、より顕著な代謝応答を誘発することができることが確認できた。また、その効果は体組成等の個体差によっても影響を受けることが推測される。
<トレーニング内容>
図13は、第1の運動プログラムの構成を詳細に示す表の図である。第1の運動プログラムは、準備運動にあたる「WARM UP」、第1トレーニング項目である「SQUAT&FLY」、第2トレーニング項目である「EXPANDER」、第3トレーニング項目である「LUNGE TWIST」、第4トレーニング項目である「SQUAT&ARM CURL」、第5トレーニング項目である「PUNCH/KNEE&ELBOW/HIGH KNEE」の順に実施されることが定められる。「PUNCH/KNEE&ELBOW/HIGH KNEE」は、「PUNCH」「KNEE&ELBOW」「HIGH KNEE」のいずれかがユーザによって選択される。また、第1〜5トレーニング項目の間には、それぞれ水分補給等をするための休憩である「CONDITIONING」が定められる。最後に整理運動にあたる「COOL DOWN」が定められる。
「WARM UP」は、周波数2Hzの電気刺激を60秒間加える状況下でウォーキング動作をするプログラム項目であり、各筋肉の電気刺激モジュールに対する出力率はすべて100%である。
「SQUAT&FLY」は、周波数20Hzの電気刺激を4秒間加えて2秒間だけ一時停止することを16回繰り返す96秒間のプログラム項目であり、各筋肉の電気刺激モジュールに対する出力率は、大腿四頭筋、ハムストリング、大臀筋、広背筋、大胸筋を100%とし、他の筋肉を70%とする。
「EXPANDER」は、周波数20Hzの電気刺激を4秒加えて2秒の一時停止、また電気刺激を4秒加えて2秒の一時停止、これを1セットとして3ポーズ×5セットの計15セットを繰り返す180秒間のプログラム項目である。各筋肉の電気刺激モジュールに対する出力率は、大腿四頭筋、ハムストリング、大臀筋、腹斜筋を70%とし、広背筋、大胸筋、腹直筋を100%とし、他の筋肉を50%とする。
「LUNGE TWIST」は、周波数20Hzの電気刺激を4秒間加えて2秒間だけ一時停止することを96秒間で16回繰り返した後、6秒間の左右切り替えのための一時停止の後、周波数20Hzの電気刺激を4秒間加えて2秒間だけ一時停止することを96秒間で16回繰り返す、合計198秒間のプログラム項目である。各筋肉の電気刺激モジュールに対する出力率は、大腿四頭筋、ハムストリング、大臀筋、腹直筋、腹斜筋を100%とし、広背筋、大胸筋、70%とし、他の筋肉を50%とする。
「SQUAT&ARM CURL」は、周波数20Hzの電気刺激を4秒間加えて2秒間だけ一時停止することを16回繰り返す96秒間のプログラム項目である。各筋肉の電気刺激モジュールに対する出力率は、大腿四頭筋、ハムストリング、大臀筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋を100%とし、広背筋、大胸筋、腹直筋、腹斜筋を70%とする。
「PUNCH/KNEE&ELBOW/HIGH KNEE」は、周波数20Hzの電気刺激を5秒間加えた後、周波数4Hzの電気刺激を10秒間加え、3秒間だけ一時停止することを5回繰り返す90秒間のプログラム項目である。各筋肉の電気刺激モジュールに対する出力率は、すべての筋肉に対して100%とする。
「CONDITIONING」は、15秒間の一時停止の後、周波数2Hzの電気刺激を15秒間加える間に水分補給等により状態を整える休憩期間である。周波数2Hzの電気刺激の出力率は、大腿四頭筋、ハムストリング、大臀筋、広背筋、大胸筋、腹直筋、腹斜筋を100%とし、上腕二頭筋、上腕三頭筋を0%とする。
「COOL DOWN」は、周波数2Hzの電気刺激を20秒間加えることを3回繰り返す状況下でウォーキング動作をするプログラム項目である。各筋肉の電気刺激モジュールに対する出力率は、1回目は大腿四頭筋、ハムストリング、大臀筋を100%とし、広背筋、大胸筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋、腹直筋、腹斜筋を30%とする。2回目は広背筋、大胸筋、腹直筋、腹斜筋を100%とし、大腿四頭筋、ハムストリング、大臀筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋を30%とする。3回目は上腕二頭筋、上腕三頭筋を100%とし、大腿四頭筋、ハムストリング、大臀筋、広背筋、大胸筋、腹直筋、腹斜筋を30%とする。このように、電気刺激が上半身から下半身へ流れるように出力率を100%とする部位と30%とする部位を20秒ごとに切り替えながら筋肉を解し、クールダウンさせる。
図14は、第2の運動プログラムの構成を詳細に示す表の図である。第2の運動プログラムは、準備運動にあたる「WARM UP」、第1トレーニング項目である「SQUAT&LAT−PULLDOWN」、第2トレーニング項目である「CHEST PRESS」、第3トレーニング項目である「LUNGE SIDE VENT」、第4トレーニング項目である「KICKBACK」、第5トレーニング項目である「PUNCH/KNEE&ELBOW/HIGH KNEE」の順に実施されることが定められる。また、第1〜5トレーニング項目の間には、それぞれ水分補給等をするための休憩である「CONDITIONING」が定められる。最後に整理運動にあたる「COOL DOWN」が定められる。
「WARM UP」は、第1の運動プログラムにおける「WARM UP」と同じ周波数、時間、出力率が設定される。「SQUAT&LAT−PULLDOWN」は、第1の運動プログラムにおける「SQUAT&FLY」と同じ周波数、時間、出力率が設定される。「CHEST PRESS」は、周波数20Hzの電気刺激を4秒加えて2秒の一時停止、また電気刺激を4秒加えて2秒の一時停止、これを1セットとして8セット分繰り返す96秒間のプログラム項目であり、各筋肉の電気刺激モジュールに対する出力率は、大腿四頭筋、ハムストリング、大臀筋、腹斜筋を70%とし、広背筋、大胸筋、腹直筋を100%とし、他の筋肉を50%とする。「LUNGE SIDE VENT」は、第1の運動プログラムにおける「LUNGE TWIST」と同じ周波数、時間、出力率が設定される。「KICKBACK」は、第1の運動プログラムにおける「SQUAT&ARM CURL」と同じ周波数、時間、出力率が設定される。「PUNCH/KNEE&ELBOW/HIGH KNEE」は、第1の運動プログラムにおける「PUNCH/KNEE&ELBOW/HIGH KNEE」と同じ周波数、時間、出力率が設定される。「CONDITIONING」および「COOL DOWN」もまた、第1の運動プログラムにおける「CONDITIONING」および「COOL DOWN」と同じ周波数、時間、出力率が設定される。
図13,14で説明したように、各項目に設定された周波数、時間、出力率にしたがってユーザに電気刺激が加えられ、その状況下でユーザは所定の動きを随意運動として実行する。しかも、上半身と下半身を同時に鍛えることができるだけでなく、コンセントリック収縮(短縮性収縮)とエキセントリック収縮(伸張性収縮)の両状態において電気刺激を加えることで、短時間で効果的なトレーニングをすることができる。これにより、全身の筋肉をバランスよく鍛えることができる。
<姿勢判定>
図15は、姿勢判定画面を模式的に示す。表示制御装置104は、表示装置106の画面上部に「X POSE」の文字列を表示させ、右下隅にポーズの手本として人体の形状を持つ動作モデル212を小さく表示することでユーザに姿勢判定のためのポーズを促す。これに対してユーザが両手を広げて静止すると、姿勢センサ107による姿勢検出結果に基づいて姿勢推定部252がユーザの骨格および関節の位置を推定する。推定した骨格情報に基づいて表示制御装置104はユーザの骨格モデル214を本図のように表示装置106の画面に表示し、検出するユーザの姿勢の動きに追随するように骨格モデル214を変形させる。姿勢推定部252による骨格および関節の位置の推定が完了すると、「COMPLETE!」の文字表示とともに姿勢判定を終了する。
<レベル調整>
図16は、各身体部位への電気刺激レベルを調節するための画面例の図である。本図の画面は、ミラーディスプレイ105の表示装置106と、運動制御装置12の表示部74の両方に表示される。図示する通り、ミラー103に反射するユーザの像に重なるように表示制御装置104が筋肉モデル216を表示する。筋肉モデル216は、電気刺激を加える対象となる各身体部位の筋肉の形状をしており、運動制御装置12によって検出された身体部位ごとの電気刺激レベル(電圧レベル)を数字で表示する。ユーザが表示部74の画面上でいずれかの筋肉部分または数字部分をタッチし、ダイヤル272を回すことで筋肉ごとの電気刺激レベルを増減できる。また、ユーザ自身の体で電気刺激レベルを確認するために、所定の短時間だけ所定の身体部位に電気刺激を加えながら、その身体部位に対応する箇所を筋肉モデル216において点灯表示する。これにより、ユーザは身体部位ごとの電気刺激レベルを視覚と体感で感じながら調節することができる。なお、変形例として、本図の同様の筋肉モデルの画像をトレーニング中にも表示することとし、いずれの身体部位に電気刺激を加えているかを表示してもよい。その場合、鍛える部位をより意識したトレーニングが可能となる。さらに、電気刺激レベルの上下で筋肉モデルの点灯表示に明暗を付けて表示してもよい。その場合、ユーザは電気刺激のレベルを直感的に把握できる。
図17は、動作状態をオブジェクトによって表示する画面例の図である。表示装置106の画面において、右下隅に動作モデル212を表示し、ユーザが行うべき動作を動作モデル212の動きによって示す。本図は「EXPANDER」と呼ばれる、両腕を拡縮する動作に対応する画面例である。ユーザの両手に対応する位置を示すための二重円形オブジェクトである第1位置状態画像220aと第2位置状態画像220bが黄色で表示され、ユーザが両腕を広げると、第1位置状態画像220a、第2位置状態画像220bがユーザの両手に追随する形で横方向へ広がるように移動するとともに、オレンジ色に変化する。このとき、動作状態を示す二重菱形オブジェクトである動作状態画像222もまた、ユーザの両腕の動きに追随して横方向へ伸張するように変形する。両腕を広げきった位置に達すると第1位置状態画像220aと第2位置状態画像220bは黄色に戻るとともに、次の動作に先立って動作状態画像222から枠形状のみの菱形オブジェクトが分離して横方向へ収縮するように変形することにより次は収縮する動作であることを案内する。
ユーザが両腕を収縮させると、第1位置状態画像220a、第2位置状態画像220bがユーザの両手に追随する形で収縮するように中央に向かって移動するとともに、オレンジ色に変化する。このとき、動作状態を示す動作状態画像222もまた、ユーザの両腕の動きに追随して収縮するように変形する。両腕が収縮しきった位置に達すると第1位置状態画像220aと第2位置状態画像220bは黄色に戻るとともに、次の動作に先立って第1位置状態画像220aと第2位置状態画像220bは両手の移動目標位置へ移動することで次の動作を案内するとともに動作状態画像222も第1位置状態画像220aと第2位置状態画像220bに追随して移動する。また、動作状態画像222から枠形状のみの菱形オブジェクトが分離して横方向へ伸張するように変形することにより次の動作が両腕を伸張する動作であることを案内する。
このように、ユーザが両腕を広げるべきタイミングではユーザの動きに先行して動作状態画像222から枠形状が分離して横方向に広がる動きを見せ、ユーザが両腕を縮めるべきタイミングではユーザの動きに先行して動作状態画像222から枠形状が分離して横方向に収縮する動きを見せる。また第1位置状態画像220a、第2位置状態画像220bもまたユーザの動きに先行して目標位置へ移動する。こうして、ユーザが次に行うべき方向を視覚的に直感で把握できるように案内しつつ、実際のユーザの動作にも追随して動作状態を視覚化することで、ユーザに自身の動きを視覚的に把握しやすくすることができる。他の動作においても同様の画面によって、ユーザの動作目標と動作状態が動作モデル212や位置状態画像220、動作状態画像222等によって示される。
画面右上には、円形ゲージによって所定動作の規定回数までの残り回数が示されるとともに、その円形ゲージの中に表示される数字によっても残り回数が示される。本図のようなオブジェクトを用いた表示により、各トレーニング項目およびウォームアップ、コンディショニング、クールダウン等の各メニューが表示される。最初は、図示しないウォームアップ画面が表示され、周波数2Hzの電気刺激が60秒間加えられる状況下で、ユーザはウォーキング動作を実行する形の準備運動を行う。その後、以下に画面を例示する各トレーニングが、上述したプログラムの順序にて実行される。
図18は、第1〜第4の画面例を示す。本図(a)の第1画面例は第1の運動プログラムの第1トレーニング項目である「SQUAT&FLY」(スクワット&フライ)の画面であり、上半身は肘を90度に曲げた状態で腕を上にあげ、両腕を閉じたり広げたりし、下半身は腕を閉じる動きに合わせて腰を落とし、広げる動きに合わせて腰を上げる動作である。すなわち、周波数20Hzの電気刺激を4秒加える間に両腕を閉じながら腰を落とす動作をし、2秒間の一時停止の後、再び周波数20Hzの電気刺激を4秒加える間に両腕を広げながら腰を上げる動作をし、2秒間の一時停止が入る。このとき、ユーザは大腿部、大胸筋、広背筋を特に意識する。また、上半身は腕(肩)の水平方向に開くときの移動範囲の角度に応じて位置状態画像220の位置および色や、動作状態画像222の色および形状が変化する。また、下半身は膝から腰にかけての大腿部と水平面との角度に応じて位置状態画像220の位置および色や、動作状態画像222の色および形状が変化する。以上の動作を1セットとして8セット繰り返した後、15秒間の一時停止期間と、周波数2Hzの電気刺激を15秒加える期間の合計30秒間の休憩となる。
本図(b)の第2画面例は第2の運動プログラムの第1トレーニング項目である「SQUAT&LAT−PULLDOWN」(スクワット&ラット・プルダウン)の画面である。ここでは周波数20Hzの電気刺激を4秒加える間に両腕を下げながら腰を落とす動作をし、2秒間の一時停止の後、再び周波数20Hzの電気刺激を4秒加える間に両肘を伸ばして両腕を上方に広げながら腰を上げる動作をし、2秒間の一時停止が入る。このとき、ユーザは大腿部、大胸筋、広背筋を特に意識する。また、上半身は腕の上げ下げ動作における上腕の移動範囲の角度に応じて位置状態画像220の位置および色や、動作状態画像222の色および形状が変化する。また、下半身は膝から腰にかけての大腿部と水平面との角度に応じて位置状態画像220の位置および色や、動作状態画像222の色および形状が変化する。以上の動作を1セットとして8セット繰り返した後、15秒間の一時停止期間と、周波数2Hzの電気刺激を15秒加える期間の合計30秒間の休憩となる。
本図(c)の第3画面例は第1の運動プログラムの第4トレーニング項目である「SQUAT&ARM CURL」(スクワット&アーム・カール)の画面である。ここでは周波数20Hzの電気刺激を4秒加える間に両前腕を上げながら腰を落とす動作をし、2秒間の一時停止の後、再び周波数20Hzの電気刺激を4秒加える間に両前腕を下げながら腰を上げる動作をし、2秒間の一時停止が入る。このとき、ユーザは大腿部、上腕二頭筋、上腕三頭筋を特に意識する。また、上半身は前腕の上げ下げ動作の移動範囲の角度に応じて位置状態画像220の位置および色や、動作状態画像222の色および形状が変化する。また、下半身は膝から腰にかけての大腿部と水平面との角度に応じて位置状態画像220の位置および色や、動作状態画像222の色および形状が変化する。以上の動作を1セットとして8セット繰り返した後、15秒間の一時停止期間と、周波数2Hzの電気刺激を15秒加える期間の合計30秒間の休憩となる。
本図(d)の第4画面例は第2の運動プログラムの第2トレーニング項目である「CHEST PRESS」(チェスト・プレス)の画面である。ここでは周波数20Hzの電気刺激を4秒加える間に両前腕を水平にしたまま前方に押し出す動作をし、2秒間の一時停止の後、再び周波数20Hzの電気刺激を4秒加える間に両前腕を水平にしたまま後方に引き戻す動作をし、2秒間の一時停止が入る。このとき、ユーザは大腿部、広背筋、腹直筋を特に意識する。また、前腕を水平にしたまま前後に移動させる移動量(例えば、前腕の中点が肩に揃う位置から腕を伸ばしきる位置までの範囲の移動量)に応じて位置状態画像220の位置および色や、動作状態画像222の色および形状が変化する。以上の動作を1セットとして8セット繰り返した後、15秒間の一時停止期間と、周波数2Hzの電気刺激を15秒加える期間の合計30秒間の休憩となる。
図19は、第5〜第8の画面例を示す。本図(a)の第5画面例は図17にも示した第1の運動プログラムの第2トレーニング項目である「EXPANDER」(エキスパンダー)の画面である。ここでは周波数20Hzの電気刺激を4秒加える間に両腕を閉じた状態から左右に広げる動作をし、2秒間の一時停止の後、再び周波数20Hzの電気刺激を4秒加える間に両腕を閉じる動作をし、2秒間の一時停止が入る。これを1セットとして5セット繰り返した後、次は右腕が斜め上で左腕が斜め下になるよう両腕を斜めに広げて閉じる動作を5セット繰り返し、最後に左腕が斜め上で右腕が斜め下になるよう両腕を斜めに広げて閉じる動作を5セット繰り返す。このとき、ユーザは大腿部、広背筋、腹直筋を特に意識する。また、腕の水平方向の移動角度に応じて位置状態画像220の位置および色や、動作状態画像222の色および形状が変化する。この後、15秒間の一時停止期間と、周波数2Hzの電気刺激を15秒加える期間の合計30秒間の休憩となる。
本図(b)の第6画面例は第1の運動プログラムの第3トレーニング項目である「LUNGE TWIST」(ランジ・ツイスト)の画面である。ここでは周波数20Hzの電気刺激を4秒加える間に腰を捻りながら腰を落とす動作をし、2秒間の一時停止の後、再び周波数20Hzの電気刺激を4秒加える間に腰の捻りを戻しながら腰を上げる動作をし、2秒間の一時停止が入る。これを1セットとして8セット繰り返した後、次は6秒間の間に脚の左右を切り替え、反対方向に腰を捻る動作を8セット繰り返す。このとき、ユーザは大腿部、腹直筋、腹斜筋を特に意識する。また、体の中心の垂直線を軸に肩を水平方向に回転させる移動角度に応じて位置状態画像220の位置および色や、動作状態画像222の色および形状が変化する。この後、15秒間の一時停止期間と、周波数2Hzの電気刺激を15秒加える期間の合計30秒間の休憩となる。
本図(c)の第7画面例は第2の運動プログラムの第3トレーニング項目である「LUNGE SIDE VENT」(ランジ・サイド・ベント)の画面である。ここでは周波数20Hzの電気刺激を4秒加える間に上体を片側に倒しながら腰を落とす動作をし、2秒間の一時停止の後、再び周波数20Hzの電気刺激を4秒加える間に上体を戻しながら腰を上げる動作をし、2秒間の一時停止が入る。これを1セットとして8セット繰り返した後、次は6秒間の間に脚の左右を切り替え、反対方向に上体を倒しながら腰を落とす動作を8セット繰り返す。このとき、ユーザは大腿部、腹直筋、腹斜筋を特に意識する。また、両肩を結ぶ線を側方へ傾ける動きの水平面に対する傾き角度に応じて位置状態画像220の位置および色や、動作状態画像222の色および形状が変化する。この後、15秒間の一時停止期間と、周波数2Hzの電気刺激を15秒加える期間の合計30秒間の休憩となる。
本図(d)の第8画面例は第2の運動プログラムの第4トレーニング項目である「KICKBACK」(キックバック)の画面である。ここでは周波数20Hzの電気刺激を4秒加える間に肘を中心にして両前腕を下から前方に上げるように回転させる動作をし、2秒間の一時停止の後、再び周波数20Hzの電気刺激を4秒加える間に両前腕を下に下ろす動作をし、2秒間の一時停止が入る。このとき、ユーザは大腿部、上腕二頭筋、上腕三頭筋を特に意識する。また、肘を中心とした前腕の前後方向の回転角度に応じて位置状態画像220の位置および色や、動作状態画像222の色および形状が変化する。以上の動作を1セットとして8セット繰り返した後、15秒間の一時停止期間と、周波数2Hzの電気刺激を15秒加える期間の合計30秒間の休憩となる。
図20は、第9〜第11の画面例を示す。本図(a)の第9画面例は第1,2の運動プログラムの第5トレーニング項目である「PUNCH」(パンチ)の画面である。ここでは周波数20Hzの電気刺激を5秒加える間は姿勢を固定し、周波数4Hzの電気刺激を10秒加える間に指定の方向にパンチする動作をし、3秒間の一時停止が入る。このとき、所定の複数の空中位置のうち指定された位置へ手を伸ばすことができたか否かに応じて位置状態画像220の位置および色が変化する。以上の動作を1セットとして5セット繰り返した後、周波数2Hzの電気刺激を上半身から下半身にかけて20秒ずつ、合計60秒加えるクールダウンの後、運動プログラムが終了となる。
本図(b)の第10画面例は第1,2の運動プログラムの第5トレーニング項目である「KNEE&ELBOW」(ニー&エルボー)の画面である。ここでは周波数20Hzの電気刺激を5秒加える間は姿勢を固定し、周波数4Hzの電気刺激を10秒加える間に肘と膝を近づける動作を繰り返し、3秒間の一時停止が入る。このとき、肘と膝との間の距離が所定値以内であるかに応じて位置状態画像220の色が変化する。以上の動作を1セットとして5セット繰り返した後、周波数2Hzの電気刺激を上半身から下半身にかけて20秒ずつ、合計60秒加えるクールダウンの後、運動プログラムが終了となる。
本図(c)の第11画面例は第1,2の運動プログラムの第5トレーニング項目である「HIGH KNEE」(ハイ・ニー)の画面である。ここでは周波数20Hzの電気刺激を5秒加える間は姿勢を固定し、周波数4Hzの電気刺激を10秒加える間に腿上げダッシュの動作をし、3秒間の一時停止が入る。このとき、膝の位置が所定高さまで上がるか否かに応じて位置状態画像220の色が変化する。以上の動作を1セットとして5セット繰り返した後、周波数2Hzの電気刺激を上半身から下半身にかけて20秒ずつ、合計60秒加えるクールダウンの後、運動プログラムが終了となる。
以上のように、位置状態画像220や動作状態画像222などの状態オブジェクト218の形状や色、配置の変化により、回数、時間、位置、距離、角度、範囲などを示して、動作状況および動作が適切かどうかをユーザに視覚的に示すことができる。ユーザは図形の変化を視認することで、運動の負荷を身体だけでなく視覚からも直感的に把握することができる。本実施の態様では、状態オブジェクト218や筋肉モデル216をミラーディスプレイ105の表示装置106に表示する例を説明した。変形例においては、状態オブジェクト218や筋肉モデル216を網膜投影装置やヘッドマウントディスプレイ等によってユーザに表示してもよい。この場合、映像出力機能のない鏡の前でも同様のトレーニングが可能となる。
<瞑想ブース>
図21は、瞑想ブースをユーザの正面側から見た構造を模式的に示す。図22は、瞑想ブースをユーザの左側から見た構造を模式的に示す。個人トレーニングにおいては、同じ運動やストレッチなどの動作を繰り返すだけでは、飽きが生じたり、集中力が続かなくなったりすることも考えられる。そこで、フィットネスジム200における運動ブース202の周辺に、禅の思想に基づく瞑想プログラムを実施するための瞑想ブース300を設置する。瞑想ブース300は、少なくとも四方を囲まれたスペースであって、その中でユーザ207が座禅を組んで瞑想するためのスペースである。瞑想ブース300の略中央には、ユーザ207の着座スペース301と、その頭上に姿勢センサ302、呼吸センサ304、および5台の投影機306が設置される。姿勢センサ302は、ユーザ207の姿勢を検知する赤外線センサである。呼吸センサ304は、ユーザ207の僅かな動きや心拍(胸の拡縮)を検知することでユーザ207の呼吸タイミングを推定するためのミリ波ドップラーセンサである。姿勢センサ302および呼吸センサ304により、座禅を組んで瞑想するユーザ207の姿勢および呼吸を推定する。
瞑想ブース300においてユーザ207を囲む4面、例えば床面310、正面312、右側面314、左側面316は、互いに連結する部分が湾曲形状を有して曲面を形成しており、その曲面を介して少なくともこれら4面は角がない形で連続する。これにより、瞑想ブース300の少なくとも三方の壁面と床面がすべて連続し、角の丸い立方体のような空間を形成する。床面310、正面312、右側面314、左側面316はすべて白色であり、複数の投影機306によりプロジェクションマッピング方式で映像が投射されるスクリーンとして機能する。複数の投影機306は、例えば第1投影機306a、第2投影機306b、第3投影機306c、第4投影機306d、第5投影機306eである。第1投影機306aはユーザ207および着座スペース301より前に位置する床面310に映像を投射する。第2投影機306bは、左側面316に映像を投射し、第3投影機306cは、右側面314に映像を投射する。第4投影機306dは、正面312の下方に映像を投射し、第5投影機306eは、正面312の上方に映像を投射する。
瞑想ブース300を囲む壁面全体に映像が投射され、スピーカーからの演出音声と相俟って空間全体に演出が施される。床面310、正面312、右側面314、左側面316の連結部分は角がなくすべて曲面で連続しているため、投影される風景の映像に現実感を与えることができ、あるいは、空や水、宇宙の映像を投影すれば無限の広がりを有するように見せることができる。これにより、ユーザの没入感を高め、集中力を高めさせることができる。また、ユーザ207の緊張感を和らげることで、筋肉電気刺激装置を用いた運動プログラムによる効果をさらに高め、運動プログラムに飽きてしまうことを抑制できる。瞑想ブース300の壁面を防音構造または吸音構造とすることで、瞑想ブース300の外部からの音を遮断し、空間内の没入感を高めることができるだけでなく、瞑想ブース300内に出力する音声が外部に漏れにくくなり、外部への影響を抑制できる。
瞑想の結果を点数で表してユーザに提示するために、瞑想ブース300において検知されるユーザ207の呼吸および姿勢を数値化して採点する。以下、採点手順を説明する。
(1)呼吸の検知
呼吸センサ304(例えばミリ波ドップラーセンサ)を用いて、ユーザ207の呼吸タイミングおよび呼吸間隔を推定し、その値を用いて点数化する。例えば、瞑想ブース300内にあるユーザ207の身体をユーザ207の頭上から呼吸センサ304で監視し、ユーザ207の正面方向の移動量を「移動量」および「移動方向」として検出する。より具体的には、ドップラーセンサの検出値を合成し、反射波の振幅および周波数を逆算し、変調を分離することで移動方向を算出し、振幅から移動強度(移動量)を算出する。
(2)呼吸の点数化(採点)
標準的なユーザにおける呼吸の平均回数および標準偏差をあらかじめ保持し、これらの値に基づいて、呼吸センサ304による検出値にフィルタを掛けて適正値を算出し、その算出値をもとに新たな平均値および標準偏差を算出して、これを採点に使用する。ここでいう平均値は1分間における呼吸回数および呼吸間隔(ミリ秒)であり、標準偏差は呼吸間隔の分散値(ミリ秒)である。1分間の呼吸回数が少なく、かつ、安定した間隔の呼吸、すなわち標準偏差が限りなくゼロに近い状態を理想の状態(100点満点)とする。採点基準を緩和する場合は、理想の1分間の呼吸回数を変更することで調整することができる。
(3)姿勢の検知
姿勢センサ302を用いてユーザ207の首の付け根および腰の中心位置を三次元座標で取得し、これら2点を結ぶ線を体の中心軸と仮定し、その中心軸の傾斜(ピッチ、ヨー、ロール)を観測する。
(4)姿勢の点数化(採点)
姿勢センサ302から得られた体の中心軸と仮定する三次元上の直線の傾斜が、採点時間の間に所定閾値の中にある割合を採点する。
(5)集中度の検知
呼吸センサ304を用いてユーザ207の移動量および移動方向を検出する。すなわち、呼吸センサ304の検出値を合成し、反射波の振幅および周波数を逆算し、変調を分離することで移動方向を算出し、振幅から移動強度(移動量)を算出する。この際、振幅および移動強度は体の動きそのものにも該当するため、これを体動データとして利用する。
(6)集中度の点数化(採点)
ユーザ207の体が動かなければ動かないほどよい、という基準の下、「呼吸以上の体動」を一定の閾値として設定し、採点時間内で閾値内に収まっている時間を測定し、その割合を得点とする。
瞑想ブース300における瞑想の結果として採点した得点、または、運動ブース202における筋肉電気刺激装置を用いた運動プログラムの結果として採点した得点に基づいて、瞑想ブース300における空間演出を変化させる。例えば、運動プログラムで目標レベルを達成した場合にそのレベルに応じた風景の映像を演出として瞑想ブース300の壁面および床面に投影してもよい。また例えば、瞑想におけるユーザ207の体動の多さや心拍の乱れに応じた風景の映像を演出として瞑想ブース300の壁面および床面に投影してもよい。その場合の風景は、例えば水面の映像における水面の揺れ方、宇宙空間を光速移動する映像において流れる光の速度、落ち葉の映像において落ちる葉の量などが、ユーザ207の動きの多さや心拍の乱れの多さに応じて変化する映像である。
瞑想ブース300における瞑想プログラムの実行中または終了時に、瞑想ブース300内の空間に霧状の液体を噴霧してもよく、また、雨や霧の映像に合わせて噴霧してもよい。霧状の液体は、真水であってもよいし、精油やアロマオイルを混ぜた液体であってもよい。精油やアロマオイルを混ぜる場合、嗅覚によってもユーザの緊張を解す効果を高めることができる。
変形例として、瞑想ブース300と同様の空間において、禅に基づく瞑想だけでなく、ヨガやピラティスなどの運動プログラムを実施するように構成してもよい。また、別の変形例においては、瞑想ブース300全体に演出を施す代わりに、ユーザにヘッドマウントディスプレイなどのVR装置を装着させて、そのディスプレイに演出を出力することで、瞑想ブース300の壁面に投影するものと同様の映像および音声を用いた演出を実行してもよい。さらに別の変形例においては、呼吸センサ304として、ミリ波ドップラーセンサの代わりに、バイタルセンサ(例えば、筋電センサや血中酸素飽和度や脈拍数を測定するパルスオキシメーターなど)をユーザに装着させることで、ユーザの動きを検知する仕様としてもよい。この場合、ドップラーセンサを用いるよりも高い精度でユーザの動きを検知することができる。
<水かけ台>
図23は、水かけ台の正面図である。フィットネスウェア102に装着する電気刺激モジュール10の電極における通電効率を高めるために、使用する直前に電気刺激モジュール10の基台21および電極収納部39に吸水させる必要がある。そこで、電気刺激モジュール10に水を噴霧する際に、フィットネスウェア102または電気刺激モジュール10を載置しておくための水かけ台400を運動ブース202の周辺に設置する。
インストラクターまたはユーザが水かけ台400の置き台402にフィットネスウェア102または電気刺激モジュール10を載置し、電気刺激モジュール10に水を噴霧する。置き台402は透明アクリル樹脂などで形成された板状部材であり、奥から手前に下り傾斜となるよう設置されているため、周囲に飛散した水滴は置き台402を手前側に流れる。置き台402の下方にはシンクが形成されており、シンクの排水口からシンク下のタンクへ余分な水が集められる。周囲に飛散した水滴が水かけ台400より外側へ飛散するのを防止するために、置き台402の周囲三方を囲むように水はね防止板404が設置される。
図24は、水かけ台の右側面図である。水かけ台400の側面の半分弱を占める上側面412と、同じ側面の約半分を占める下側面414は、それぞれ透明アクリル樹脂などで形成される。水かけ台の左側面図は、右側面図と対称であるため省略する。図25は、水かけ台の参考右側面図である。置き台402の下方には、置き台402と同様に奥から手前に下り傾斜となるシンク406が設けられる。シンク406の最下部に排水口が設けられ、その排水口からタンク408へ余った水を流すためのホース410が排水口とタンク408に接続される。
図26は、水かけ台の背面図である。水かけ台400の背面は内部が露出しており、シンク406の裏側、タンク408、ホース410が視認できる。図27は、水かけ台の平面図である。水かけ台400の置き台402は、俯瞰した状態における上部と下部に切欠部分が設けられて、水滴がシンク406へ流れやすくなっている。水かけ台の底面図は、通常の使用時には視認されないため省略する。図28は、水かけ台の置き台を外した状態を示す参考平面図である。
<グループトレーニング>
複数人のユーザがグループで同時にトレーニングする場合、各ユーザのフィットネスウェア102が同時に無線通信をすることから、通信状況を安定化させる必要がある。そこで、運動制御装置12と電気刺激モジュール10の間における通信タイミングをグループトレーニング用に変更できる、グループトレーニング用モードを設けてもよい。例えば、7人のユーザが同時にトレーニングする場合、900ミリ秒の通信時間において20ミリ秒間隔で運動制御装置12から電気刺激モジュール10へデータを送信する。出力時間は、通信状況に応じて適宜変更されてもよい。ミラーディスプレイ105としては、グループトレーニングにおける各ユーザの運動評価を複数人分表示したり、複数人分のユーザを映し出したりできるよう、より大型のミラーディスプレイを用いてもよい。この場合、表示装置106に表示される内容は1人での利用の場合と同様にしてもよい。また、個々のユーザを識別してユーザ別の運動評価をするため、顔認証技術やICタグ等を用いて個人を識別するセンサを設けてもよい。これにより、各個人のトレーニングを正確に識別、表示、記録することができる。表示装置106には、トレーニングの進捗状況および運動評価のみを表示することも可能であり、その場合、表示順は運動評価の高い順にしてもよい。これにより、ユーザのトレーニングのモチベーション向上を図ることができる。姿勢センサ107を用いない場合、フィットネスウェア102に小型の姿勢センサを設けてもよい。この場合、個人を識別するセンサを別途設けなくとも個人を識別でき、正確な運動状況を記録することができる。また、フィットネスウェア102にスピーカーを設けてもよい。これにより、各ユーザが自身のトレーニングの内容や動作リズム、動作正否を他のユーザの動作と勘違いせずに把握可能となる。
<運動プログラムの準備>
フィットネスウェア102に複数の電気刺激モジュール10を装着する準備にはある程度の時間と手間が必要である。すなわち、(1)複数の電気刺激モジュール10のフィットネスウェア102への装着、(2)運動制御装置12へのログイン、(3)複数の電気刺激モジュール10の通信チェックと肌検知、(4)電気刺激のレベルチェック、といった工程である。ここで変形例においては、作業工程の簡略化のため、ログインおよびレシーバー設定についての工数を減らしてもよい。例えば、ユーザがフィットネスジム200に到着した時にそのユーザのアカウント情報を運動制御装置12の受信装置へ自動的に付与する。ユーザが身支度をしている間にインストラクターが運動制御装置12の開始設定をし、フィットネスウェア102へ電気刺激モジュール10を装着し、あとはユーザへ着せるだけの状態にする。電気刺激モジュール10のレベル設定は、前回の運動プログラム実施時の設定値が自動的に引き継がれて提示される。これにより、インストラクターの作業工程を減らすことができるだけでなく、フィットネスウェア102を装着したユーザの待ち時間を減らすことで、電気刺激モジュール10に含浸される水分の蒸発を抑制するとともに、ユーザの体温低下を抑制する。
<料金支払いシステム>
ユーザは、運動プログラムの実行にあたり、運動制御装置12に自身のアカウントでログインする必要がある。ユーザの認証のための情報や過去のトレーニングに関する情報がサーバに記憶されているだけでなく、料金支払いに必要な情報もサーバに記憶されている。運動制御装置12にログインする際、そのユーザが過去の利用において料金支払いが滞っていないかどうかが確認される。料金滞納があった場合、そのユーザのログインを拒否またはアカウントの凍結を実行し、未払いのまま施設を利用されることを回避する。
以上、本発明について実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
14 表示制御装置、 100 運動制御システム、 103 ミラー、 104 表示制御装置、 106 表示装置、 107 姿勢センサ、 207 ユーザ、 212 動作モデル、 220 位置状態画像、 222 動作状態画像。

Claims (5)

  1. ミラーを透過して画像を表示するための表示装置を前記ミラーの背面側に設置し、
    前記ミラーの正面側で前記ミラーに対面するユーザの姿勢を検出するための姿勢センサを設け、
    前記ミラーの正面側において前記姿勢センサの検出可能範囲にユーザが収まるような領域にユーザの運動スペースを設けることを特徴とする運動ブースの設置構造。
  2. 前記ミラーの正面側において前記姿勢センサの検出可能範囲にユーザが収まるような位置および大きさにてユーザの運動スペースを示すマークを床上に表示することを特徴とする請求項1に記載の運動ブースの設置構造。
  3. 複数の運動ブースのそれぞれに含まれるミラー同士が対面し、複数の運動ブースのそれぞれに含まれるユーザの運動スペースにおいてユーザ同士が背中合わせとなるように複数の運動ブースを配置することを特徴とする請求項1または2に記載の運動ブースの設置構造。
  4. 隣り合う複数の運動ブースのそれぞれに含まれる姿勢センサ同士で検出角度の重なりが抑制されるような間隔で複数の運動ブースを配置することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の運動ブースの設置構造。
  5. ミラーを透過して画像を表示するための表示装置を前記ミラーの背面側に設置し、
    前記ミラーの正面側で前記ミラーに対面するユーザの姿勢を検出するための姿勢センサを設け、
    前記ミラーの正面側において前記姿勢センサの検出可能範囲にユーザが収まるような領域にユーザの運動スペースを設けることを特徴とする運動ブースの設置方法。
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