JP2019147063A - 遊技機 - Google Patents

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Abstract

【課題】特定操作の阻害状態が解除された痕跡をより確実に残すことが可能な遊技機を提供する。【解決手段】基板ボックス311を開放する際には操作される破損用部材355の破損突部386は、封印シール313の前面部401内において、円弧状に移動可能な経路に沿って進行する。封印シール313に対しては、破損突部386の進行により円弧の外側と内側とにおいて異なる力が作用し、経路の内側部分の方が封印シール313の破損が大きくなり易い。このため、封印シール313の破損の態様を多様にし、破損の復元作業を困難にすることができる。【選択図】 図14

Description

本発明は、パチンコ機等の遊技機に関する。
パチンコ遊技機やスロットマシン等の遊技機は、遊技制御処理を実行するCPU、遊技制御プログラムが記憶されたROM、遊技の進行により発生する各種データを一時的に記憶するRAM等の各種電子部品が実装された制御基板を備えている。そして、ROMに記憶された制御プログラムに従って、CPUにより遊技機に搭載されている各種遊技機器が制御され、一連の遊技が実行される。この種の遊技機では、制御基板を正規のものとは異なる不正な制御基板に変更したり、ROM(ROMがCPUと共に1チップ化されている場合には当該チップ)を不正なものに交換したりする等の不正行為の発生が数多く報告されている。このような不正行為に対処すべく、例えば、基板ボックスを構成する複数のケース体を跨ぐように再貼付不可能であり且つ剥がすと痕跡が残る有脆弱性の封印シールを貼り付ける等の不正対策が採用されている(例えば特許文献1参照)。
特開2003−180917号公報
しかしながら、不正対策を施しても、その対策品に対して新たな不正行為をするための方法や器具等を犯罪者が開発する可能性がある。このため、不正対策の内容は更新され、より確実なものとするために改良することが好ましく、基板ボックスの開放操作は簡易にしつつも、その開放をした場合には、封印シールの再利用が不可能となって開放の痕跡が確実に残ることが好ましい。そして、この課題は、基板ボックスの開放操作などの特定操作を阻害するとともに、その阻害状態が解除された場合に、特定操作が行われたことの痕跡を残す痕跡手段を備えた遊技機に共通する課題である。
本発明は、上記例示した事情等に鑑みてなされたものであり、特定操作の阻害状態が解除された痕跡をより確実に残すことが可能な遊技機を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決すべく、請求項1記載の発明は、
薄板シート状の痕跡手段と、
該痕跡手段が固定される1又は複数の構成体と、
特定の操作により前記痕跡手段において予め定められた被破損部に当接し、該痕跡手段
を破損させる破損部を有する破損手段と、
該破損手段を、前記特定の操作により予め定めた経路に沿って進行可能に支持する支持
手段とを備え、
前記痕跡手段は、前記被破損部を含む平面又は略平面状の第1痕跡面部を有し、
前記構成体は、前記被破損部が設けられる部位に隙間を形成し、該隙間の両側にて前記
第1痕跡面部が固定される被取付部を有し、
前記破損手段は、前記予め定めた経路として、前記第1痕跡面部に沿った方向側であっ
て該第1痕跡面部内において前記破損部が進行可能に前記支持手段により支持され、
前記被取付部において前記隙間を形成する端縁の少なくとも一部は、前記予め定めた経
路に沿って進行する前記破損部の経路に対しての距離が変動する形状とされていることを
特徴とする。
本発明によれば、特定操作の阻害状態が解除された痕跡をより確実に残すことが可能な遊技機を提供することができる。
パチンコ機の正面図である。 前方から見たパチンコ機の斜視図である。 パチンコ機の主要な構成を展開して示す斜視図である。 パチンコ機の主要な構成を展開して示す斜視図である。 中間ユニットの正面図である。 遊技盤の正面図である。 中間ユニットの背面図である。 裏パックユニットの背面図である。 パチンコ機の背面図である。 主制御装置ユニットの正面図である。 主制御装置ユニットの分解斜視図である。 主制御装置の正面図である。 主制御装置の分解斜視図である。 基板ボックスの開放動作を示した斜視図である。 主制御装置の右側部分の一部構成を分解して示した斜視図である。 基板ボックスから封印シールとシールカバー部材を分解した状態を示した斜視図である。 破損用部材の形状を示した斜視図、正面図及び断面図である。 シールカバー部材の形状を示した斜視図、正面図及び側面図である。 破損用部材の動作を示す基板ボックスの右側部分の正面図である。 (a)は、シールカバー部材を断面視して示した基板ボックスの右側部分の正面図であり、(b)は、図20(a)の断面線における断面図である。 (a)はシールカバー部材及び封印シールが取り付けられた基板ボックスの右側面図であり、(b)は(a)の状態からシールカバー部材を外した状態、(c)は(b)の状態から封印シールを除いた状態を示している。 破損用部材の動作を示した基板ボックスの斜視図である。 封印シールの破損した態様を各方向側から示した図である。 破損用部材の変形例の説明図である。 破損用部材の変形例の説明図である。
以下、本発明の実施形態として、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の実施例を説明し、その後に変形例を説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2はパチンコ機10を前方から見た斜視図、図3及び図4はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図、図5は中間ユニット13の正面図である。なお、図3及び図5では便宜上パチンコ機10の遊技領域23a内の構成を省略している。
パチンコ機10は、図3に示すように、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に対して前方に回動可能に取り付けられた遊技機本体12と、を有する。外枠11は、木製の板材を上辺及び下辺とし、アルミ製の板材を左右の辺とした四辺を固定した枠状に形成される。パチンコ機10は、外枠11を島設備に取り付け固定することにより遊技場に設置される。なお、パチンコ機10において外枠11は必須の構成ではなく、外枠11又は外枠11と同一の内形を有し、外枠11の遊技機本体12支持構造及び施錠構造を有する部材が遊技場に備え付けられた構成としてもよい。
遊技機本体12は、図3に示すように、中間ユニット13と、その中間ユニット13の前方に配置される前扉枠14と、中間ユニット13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。遊技機本体12のうち中間ユニット13が外枠11に対して回動可能に支持されている。
中間ユニット13には、図3に示すように、前扉枠14が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側(開閉基端側)とし、右側を回動先端側(開閉先端側)として前方へ回動可能とされている。また、中間ユニット13には、図4に示すように、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側(開閉基端側)とし、右側を回動先端側(開閉先端側)として後方へ回動可能とされている。
中間ユニット13には、図3に示すように、その回動先端部に施錠機構16が設けられており、遊技機本体12を外枠11に対して開放不能に施錠状態とする機能と、前扉枠14を中間ユニット13に対して開放不能に施錠状態とする機能を有している。これらの各施錠状態は、図1に示すようにパチンコ機10前面にて露出させて設けられた施錠機構16のキーシリンダに対して、解錠キーを用いて解錠操作を行うことにより、それぞれ解除される。
中間ユニット13は、図3に示すように、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす枠状の枠ユニット21を主体に構成されている。枠ユニット21には、前面側より遊技盤23が着脱可能に取り付けられる内枠としての機能を有し、この遊技盤23に形成される遊技領域23aが中間ユニット13の前面側に露出可能に取り付けられる。遊技領域23a内の様子は、図3に示すように、前扉枠14の背面側に設けられた窓パネルユニット30を通じてパチンコ機10前方から視認可能となっている。
前扉枠14は、中間ユニット13の前面側に回動可能に取り付けられている。前扉枠14の回動基端側には、図2に示すように、前扉取付金具57,58が設けられ、この前扉取付金具57,58が中間ユニット13に係合することにより、中間ユニット13に対して前扉枠14が回動可能に支持される。
前扉枠14は、図3に示すように、中間ユニット13と外形がほぼ同一の長方形状に形成されている。前扉枠14には、窓パネルユニット30の外周縁が正面視で露出しないように窓パネルユニット30より小さく開口形成された窓部14aが設けられる(図1参照)。この窓部14aが窓パネルユニット30によって背面側から覆われることで、窓パネルユニット30を取り付けた前扉枠14によって中間ユニット13の前面側のほぼ全域が覆われる。
窓パネルユニット30は、図3に示すように、窓部14aより大きな外形で透明性を有する前後一対の透明ガラス31,32と、これら透明ガラス31,32を一体化する固定枠33とを備えている。固定枠33は、合成樹脂により透明ガラス31,32より一回り大きな環状に形成され、透明ガラス31,32の外周縁が固定枠33に接着されることで窓パネルユニット30は一体化された複層ガラスとされている。
なお、窓パネルユニット30は、透明ガラス31,32によって無色透明に形成されているが、これに限定されることはなく合成樹脂によって無色透明に形成されていてもよく、パチンコ機10前方から窓パネルユニット30を通じて遊技領域23aを視認可能であれば無色透明でなく有色透明に形成されていてもよい。
前扉枠14において窓部14aの周囲には、図1に示すように、LED等の発光手段を内蔵した電飾部24が複数設けられている。これら電飾部24では、大当たり時や所定の
リーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、窓部14aの上側の電飾部24には、払出球が不足する等の所定のエラー時に点灯する発光手段と、賞球払出中に点灯する発光手段とが内蔵されている。また、窓部14aの右上側及び左上側には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ装置を覆うスピーカカバー27が設けられている。
前扉枠14における窓部14aの下方には、図2に示すように、手前側へ膨出した上側膨出部28と下側膨出部29とが上下に並設されている。上側膨出部28には上方に開口した上皿28aが設けられており、下側膨出部29には同じく上方に開口した下皿29aが設けられている。上皿28aは、払出装置224より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射機構110側へ導く機能を有している。また、下皿29aは、上皿28a内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有している。なお、上皿28aと下皿29aとに分けて複数箇所に遊技球を貯留する部位を設ける必要はなく、下皿29aを廃止して上皿28aのみとした1つの貯留部のみを有する構成としても良い。
上側膨出部28における上皿28a(遊技球の貯留領域)の手前側には、遊技者らにより手動操作される操作スイッチ40が設けられている。操作スイッチ40は、図柄表示装置94の表示画面94a等にて遊技者の操作に対応した演出が行われる場合に使用される操作装置である。この操作スイッチ40は、上皿28a以外に下皿29a周辺等の別の部位に設けられても良いし、複数箇所に設けられても良く、また、操作方法として押しボタン式のスイッチであっても良く、タッチセンサ、非接触式のセンサ等の別の操作方法によって情報入力可能な構成としても良い。
前扉枠14における下側膨出部29の右側には、図2に示すように、手前側へ突出するようにして発射操作装置45が設けられている。発射操作装置45は、遊技領域23aに遊技球を発射すべく操作される装置であり、図2に示すように、操作ベース46に対して、環状の操作ハンドル47が回転可能に軸支されてなり、遊技球の発射操作に際して操作ハンドル47が遊技者により回転操作されるものである。この場合、操作ハンドル47の回転操作量は、操作ベース46に内蔵された操作量検出手段としての可変抵抗器により検出される。また、発射操作装置45には、操作ハンドル47を遊技者が触れていることを検知するためのタッチセンサが操作ベース46に内蔵されるとともに、操作ハンドル47を回転操作した状態において遊技球の発射を停止させるために操作される停止操作レバー48が設けられている。
前扉枠14の背面側には、図3に示すように、通路形成ユニット50が取り付けられている。通路形成ユニット50は、合成樹脂により成形されており、上皿28aに通じる前扉側上皿通路部51と、下皿29aに通じる前扉側下皿通路部52と、ファール球通路部55を有している。通路形成ユニット50の上側隅部には後方に突出し上方に開放された払出球受口部53が形成されており、当該受口部53が仕切壁54によって左右に仕切られることで前扉側上皿通路部51の通路入口と前扉側下皿通路部52の通路入口とがそれぞれ形成されている。
ファール球通路部55は、遊技球発射機構110から発射された遊技球のうち遊技領域23aまで至らなかった遊技球をファール球として下皿29aに排出する通路を形成する部位である。ファール球通路部55には、図3に示すように、上方に開放されたファール球受口部56が設けられる。このファール球受口部56よりファール球が受け入れられ、前扉側下皿通路部52にファール球が案内されることにより、ファール球通路部55に入った遊技球は下皿29aに排出される。なお、ファール球通路部55は、下皿29aでなく、上皿28aに接続され、ファール球が上皿28aに排出される構成としても良い。
遊技球発射機構110は、図3に示すように、前扉枠14を開放した場合に前面側に露出される部品であり、中間ユニット13の前面側右下部分に設けられている。この遊技球発射機構110は、図5に示すように、発射装置として設けられた電磁式の発射用ソレノイド111と、発射レール112と、球送り装置113とを備えている。球送り装置113は、上皿28aに貯留された遊技球を発射レール112上に1個ずつ供給する。この場合、この供給される遊技球は発射用ソレノイド111において打出し部として設けられたプランジャ114の突出経路上に配置される。そして、発射用ソレノイド111への電気的な信号の入力により、プランジャ114が発射レール112上の遊技球に向けて移動し、当該遊技球は遊技領域23aに向けて打出される。なお、遊技球発射機構110の電動アクチュエータは、発射用ソレノイド111に限定されることはなく、発射モータなどを用いてもよい。
中間ユニット13の左側であって発射レール112の左方には、図3に示すように、通路形成部材121が配設されている。枠ユニット21には、通路形成部材121が設けられる部位を前後方向に貫通する貫通孔が設けられ、この貫通孔を前面側から覆うようにして通路形成部材121は、枠ユニット21にネジ止めされている。
通路形成部材121は、図5に示すように、本体側上皿通路部122と本体側下皿通路部123とを有している。前扉枠14が閉鎖状態とされた場合には、通路形成部材121の下側部分に前扉枠14に設けられる通路形成ユニット50の払出球受口部53(図3参照)が入り込む。そして、本体側上皿通路部122の下方には前扉側上皿通路部51が配置され、本体側下皿通路部123の下方には前扉側下皿通路部52が配置される。
通路形成部材121の下側部分には、図5に示すように、本体側上皿通路部122及び本体側下皿通路部123からの遊技球の流出を規制するシャッタ124が設けられている。シャッタ124は、両通路の出口部分を狭め遊技球の流出を阻止する阻止位置と、遊技球の流出を許容する許容位置との両位置に切り替え可能に設けられる。また、枠ユニット21には、シャッタ124を阻止位置に向けて付勢する付勢部材が取り付けられ、前扉枠14を中間ユニット13に対して開いた状態では付勢部材の付勢力によってシャッタ124が阻止位置に留まる構成となっている。これにより、本体側上皿通路部122又は本体側下皿通路部123に遊技球が貯留されている状態で前扉枠14を開放した場合に、その貯留球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が回避されている。これに対し、前扉枠14を閉じた状態では、前扉枠14の通路形成ユニット50に設けられた払出球受口部53の外周部分により上記付勢力に抗してシャッタ124が許容位置に押し戻される。この状態では、本体側上皿通路部122及び前扉側上皿通路部51が連通し、本体側下皿通路部123及び前扉側下皿通路部52が連通して、遊技球の流下が許容される。
次に、遊技領域23aを形成する遊技盤23の構成を、図6に基づいて説明する。図6は遊技盤23の正面図である。
遊技盤23は、木製の合板で形成した板材と同板材の前側の板面を覆うシート材とを有する遊技板23bを備えており、その全面が枠ユニット21の前面側に露出している。この露出している部位、すなわち遊技盤23の前面には、遊技球が流下する遊技領域23aが形成されている。上記したように遊技領域23aは透明ガラス31,32によって前面側が覆われているため、後側の透明ガラス32によって遊技領域23aの前面側が区画される。また、遊技領域23aの背面側は遊技板23bの前面によって区画される。なお、遊技板23bを構成する板材は、合板に限らず一枚板で形成しても良いし、木製に限らず例えば透明な合成樹脂製の板材または成形品で形成しても良い。
遊技領域23aは、正面視において遊技盤23の全域に渡る上下及び左右方向の寸法に
設定され、右下部分のみが右下側に突出した略円形状に形成されている。遊技領域23aは、その外周が誘導レール100及び区画部材107により区画されている。誘導レール100は、遊技盤23の左側全域に及ぶ大きさの円弧状の内レール101と外レール102とからなり、これら内レール101と外レール102とにより遊技領域23aの左側に円弧状の誘導通路103を形成する。
誘導通路103の下側端部には、誘導通路103の入口部104が形成され、この入口部104と発射レール112とは離間して設けられる(図5参照)。誘導通路103の上側端部には、誘導通路103の出口部105が形成され、その出口部105の右上側には遊技領域23aに到達した遊技球の誘導通路103内への戻りを防止する戻り防止部材106が取り付けられている。
発射操作装置45(図1参照)の操作ハンドル47が遊技者により手動操作された場合、中間ユニット13の右下部分に設けられた遊技球発射機構110(図5参照)から発射された遊技球は、誘導通路103を経由し、誘導通路103の出口部105において戻り防止部材106により閉鎖された遊技領域23aの入口を押し広げて遊技領域23a内に進入する。遊技球の発射力が弱すぎる場合には、遊技球が遊技領域23aまで至らず誘導通路103内で落下し始め、誘導通路103の入口部104と発射レール112との間に落下する。前扉枠14の閉鎖状態においては、この入口部104と発射レール112との間にファール球受口部56が配置され、遊技領域23aまで至らなかった遊技球はファール球通路部55を経由して下皿29aへ排出される。
区画部材107は、遊技領域23aの右側を区画するものであり、合成樹脂を成形して縦長に形成され、遊技板23bの前面にネジ止めされている。この区画部材107は、外レール102の上側における右側端部を起点とし、内レール101の下側における右側端部より下側まで延在している。
なお、区画部材107の上端部には、機種名が印字された証紙107aが貼り付けられ、区画部材107の下端部には、メーカー名や製造番号などが印字された証紙107bを貼り付けた台座部品が固定されている。これら証紙107a,107bは、透明ガラス31,32を介してパチンコ機10前方から視認可能な位置に配置される。
遊技板23bには、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口81、可変入賞装置82、上作動口83a、下作動口83b、スルーゲート84、可変表示ユニット85、主表示装置96等が設けられている。
一般入賞口81、可変入賞装置82、上作動口83a及び下作動口83bへの入球が発生すると、それが遊技盤23の背面側に配設された検知センサ(図示略)により検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。この場合、上作動口83aへの入球が発生した場合及び下作動口83bへの入球が発生した場合には3個の賞球の払い出しが実行され、一般入賞口81への入球が発生した場合には10個の賞球の払い出しが実行され、可変入賞装置82への入球が発生した場合には15個の賞球の払い出しが実行される。但し、これら賞球の個数は任意であり、例えば上作動口83aに係る賞球個数よりも下作動口83bに係る賞球個数が多いといったように、両作動口83a,83bの賞球個数が相違していてもよい。また、可変入賞装置82に係る賞球個数が他の賞球個数に比べて多い構成に限定されることはなく、例えば一般入賞口81に係る賞球個数と同一の構成としても良く、少ない構成としても良い。
遊技領域23aの中央部には、可変表示ユニット85が設けられ、可変表示ユニット8
5の構成部品として、絵柄の一種である図柄を変動表示(又は、可変表示若しくは切換表示)する図柄表示装置94が遊技板23bの背面側に設けられ、正面視で図柄表示装置94の表示画面94aを囲むように設けられるセンターフレーム95が遊技板23bの前面側より取り付けられている。図柄表示装置94の前面側であってセンターフレーム95の後側には、ポリカーボネート等の透明な合成樹脂材料により形成された透明保護板が設けられ、図柄表示装置94の表示画面94aは、その透明保護板を介して前面側から視認可能とされている。
遊技領域23aは、その中央部にセンターフレーム95が設けられることで、センターフレーム95の左右両側に位置する左側領域PE1と右側領域PE2とに区画され、遊技領域23aに発射された遊技球は、左側領域PE1または右側領域PE2のいずれか一方を流下することとなる。左側領域PE1及び右側領域PE2の下側には、両領域から流下した遊技球が合流して流下する下側領域PE3が遊技領域23aの一部として設けられている。
遊技領域23aへ遊技球が到達する回動量に操作ハンドル47が操作されると、左側領域PE1または右側領域PE2のいずれか一方を遊技球が流下する。操作ハンドル47の操作量が少なく、センターフレーム95の一番上側の部位を超えない発射力となる回動操作量で遊技球が発射されると、遊技球は遊技領域23aの入口に近い左側領域PE1を流下する。その操作量より操作ハンドル47の操作量が多く、センターフレーム95の一番上側の部位を確実に超える発射力となる回動操作量で遊技球が発射されると、遊技球は右側領域PE2を流下する。それらの間部分に相当する回動操作量の場合には、遊技球は、左側領域PE1と右側領域PE2との両方に分散して流下する。遊技者は、操作ハンドル47の回動操作量を調整することで、左側領域PE1と右側領域PE2とのいずれの領域を遊技球が流下するかを選択して遊技を行うことができる。
遊技盤23の最下部には、アウト口86が設けられ、左側領域PE1または右側領域PE2を流下して最終的に各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口86を通って遊技領域23aから排出される。遊技領域23aには、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘87が植設され、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
ここで、入球とは、所定の開口部を遊技球が通過することを意味し、開口部を通過した後に遊技領域23aから排出される態様だけでなく、開口部を通過した後に遊技領域23aから排出されない態様も含まれる。但し、以下の説明では、アウト口86への遊技球の入球と明確に区別するために、一般入賞口81、可変入賞装置82、上作動口83a、下作動口83b又はスルーゲート84への遊技球の入球を、入賞とも表現する。
上作動口83a及び下作動口83bは共に上向きに開放されている。また、上作動口83aが上方となるようにして両作動口83a,83bは鉛直方向に並んでいる。下作動口83bには、左右一対の可動片よりなるガイド片(サポート片)としての電動役物83cが設けられている。
上作動口83a及び下作動口83bは、遊技領域23aの下側領域PE3に設けられている。上作動口83aは、センターフレーム95の下部に設けられて遊技球が上面を転動するステージの直下に配置され、センターフレーム95で形成された誘導通路(図示略)を介してステージ上に誘導され、誘導通路を経由しない遊技球より上作動口83aへ入賞しやすい構成とされている。この誘導通路の入口は、センターフレーム95において左側領域PE1に面する左側部分に設けられ、また、ステージの下側から飛び込む遊技球として、左側領域PE1からの方がステージに飛び込み易い釘87の配置とされている。すなわち、左側領域PE1を遊技球が流下した場合の方が、右側領域PE2を遊技球が流下す
る場合に比べて上作動口83aへの入賞が発生しやすい設定とされている。
電動役物83cは遊技板23bの背面側に搭載された電動役物駆動部に連結されており、当該電動役物駆動部により駆動されて閉鎖状態(非サポート状態又は非ガイド状態)及び開放状態(サポート状態又はガイド状態)のいずれかに配置される。電動役物83cの閉鎖状態では遊技球が下作動口83bに入賞できず、電動役物83cが開放状態となることで下作動口83bへの入賞が可能となる。電動役物83cは、下側領域PE3で左右両側に開放可能とされ、左側領域PE1を流下した遊技球及び右側領域PE2を流下した遊技球のいずれも入賞可能とされている。
スルーゲート84は、右側領域PE2に設けられ、遊技領域23aの入口から遠い側へ届く一定以上の強い発射力で発射された遊技球が入球可能に構成されている。スルーゲート84の下側には、可変入賞装置82が設けられ、可変入賞装置82も右側領域PE2に設けられている。
可変入賞装置82は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たり当選といった開閉実行モード(特別遊技状態)への移行当選となった際に、遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。可変入賞装置82の開放態様として具体的には、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として可変入賞装置82が繰り返し開放される。
スルーゲート84及び可変入賞装置82は、遊技領域23aの右側領域PE2に設けられ、右側領域PE2を遊技球が流下するように一定以上に強い発射力で遊技球が発射された場合にスルーゲート84及び可変入賞装置82に遊技球が入賞する。スルーゲート84に遊技球を入球させた場合に電動役物83cが遊技者にとって有利な開放状態とされ易い遊技状態(いわゆる時短遊技状態)や、可変入賞装置82が開閉実行モードとされる特別遊技状態等、遊技領域23aの右側領域PE2に遊技球を流下させた場合に遊技者にとって有利となる遊技状態においては、遊技者は、右側領域PE2を数多く遊技球が流下するように操作ハンドル47を操作する。これに対し、上作動口83aに遊技球を多く入賞させて内部抽選の当選を期待する通常の遊技状態においては、遊技者は、左側領域PE1を数多く遊技球が流下するように操作ハンドル47を操作して遊技を実行することとなる。
遊技者にとって有利となる回動操作量は図柄表示装置94やスピーカの音声によって遊技者に報知され、遊技状態が切り替わるときに、例えば、「右打ちをしてください。」または、「左打ちをしてください。」と遊技者に表示または音声によって報知し、或いは、遊技者によって不利となる側に遊技球が発射されていることが、スルーゲート84の通過や一般入賞口81の入賞によって遊技機が認識した場合に、上記した報知が実行されて遊技者に有利となる操作ハンドル47の回動操作量が遊技者に示唆される。
図柄表示装置94は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、表示制御装置142により表示内容が制御される。なお、図柄表示装置94は、液晶表示装置に限定されることはなく、プラズマディスプレイ装置、有機EL表示装置又はCRTといった表示画面を有する他の表示装置であってもよく、ドットマトリクス表示器であってもよい。
図柄表示装置94では、上作動口83a又は下作動口83bへの入賞に基づいて図柄の変動表示が開始される。図柄表示装置94における変動表示は、正面視で視認可能な視認可能領域において行われ、例えば上、中及び下に並べて図柄が表示され、これらの図柄が左右方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め
設定されている有効ライン上に所定の組み合わせの図柄が停止表示された場合には、開閉実行モードが発生することとなる。この図柄表示装置94における変動表示は、主表示装置96のメイン表示部において行われる変動表示に合わせて行われる。
可変表示ユニット85に対して右上側には、遊技の状態を表示する主表示装置96が設けられる。主表示装置96は、複数の発光部が並んで配列されてなる表示器によって構成され、区画部材107の上端部に設けられ、その前面側には、例えば、左上側からメイン表示部、役物用表示部、状態表示部、保留表示部、補助表示部等が順に設けられる。
メイン表示部では、上作動口83a又は下作動口83bへの入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、上作動口83a又は下作動口83bへの入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が表示によって明示される。つまり、本パチンコ機10では、上作動口83aへの入賞と下作動口83bへの入賞とが内部抽選において区別されておらず、上作動口83a又は下作動口83bへの入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が共通の表示領域であるメイン表示部にて明示される。そして、上作動口83a又は下作動口83bへの入賞に基づく内部抽選の結果が開閉実行モードへの移行に対応した当選結果であった場合には、主表示装置96のメイン表示部にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、開閉実行モードへ移行する。
ここで、いずれかの作動口83a,83bへの入賞に基づいて、メイン表示部及び図柄表示装置94にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示し上記変動表示が停止されるまでが遊技回の1回に相当する。
役物用表示部では、スルーゲート84への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、スルーゲート84への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が表示によって明示される。スルーゲート84への入賞に基づく内部抽選の結果が電役開放状態への移行に対応した当選結果であった場合には、役物用表示部にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、電役開放状態へ移行する。電役開放状態では、下作動口83bに設けられた電動役物83cが所定の態様で開放状態となる。
補助表示部は、メイン表示部と同一の態様とされた発光部が設けられ、本実施例におけるパチンコ機10においては、消灯されたままとされている。この補助表示部は、本実施例におけるパチンコ機10とは別の他機種において上作動口83aへの入賞に対する内部抽選と下作動口83bへの入賞に対する内部抽選とが区別される場合に点灯するものであり、メイン表示部を複数必要とする機種において使用される。
状態表示部は、メイン表示部にて所定の停止結果が表示されることで遊技状態が開閉実行モードへ移行し、その所定の停止結果の表示後における遊技回が所定回数に到達する等して遊技状態が開閉実行モード前の通常状態に移行する場合に、その遊技状態の変化が表示によって明示される。また、状態表示部では、開閉実行モードの移行当選となった場合に可変入賞装置82の開放態様として複数種類のラウンド数が設定されている機種において移行当選となったラウンド数が表示によって明示される。
保留表示部は、遊技球が上作動口83a又は下作動口83bに入賞した個数及び遊技球がスルーゲート84を通過した回数のうち未だ遊技が実行されていない保留状態の遊技回数を表示によってそれぞれ明示する。遊技球が上作動口83a又は下作動口83bに入賞した個数及び遊技球がスルーゲート84を通過した回数はそれぞれ最大4個まで保留され、保留表示部によって各保留数がそれぞれ表示される。保留表示部の保留数に対応した情報は、図柄表示装置94の表示画面にも表示され、保留数が数字又はキャラクタの個数などにより表示される。
なお、メイン表示部、役物用表示部、補助表示部、状態表示部及び保留表示部は、複数の発光部が所定の態様で配列されてなる表示器により構成されているが、これに限定されることはなく、いずれか一方または両方の表示部を液晶表示装置、有機EL表示装置、CRT、セグメント表示器又はドットマトリックス表示器等その他のタイプの表示装置によって構成してもよい。また、メイン表示部及び役物用表示部にて変動表示される態様として、絵柄としての複数種の文字が変動表示される構成、複数種の記号が変動表示される構成、複数種のキャラクタが変動表示される構成又は複数種の色が切り換え表示される構成としても良い。
次に、遊技機本体12の背面側の構成について、図4に加え、図7から図9を参照しながら説明する。図7は中間ユニット13の背面図、図8は裏パックユニット15の背面図、図9はパチンコ機10の背面図である。
中間ユニット13には、図7に示すように、枠ユニット21によって開口形成される前後に貫通した遊技盤収容部21aが設けられ、この遊技盤収容部21aを通じて中間ユニット13の背面側には遊技盤23の背面側に搭載される各種部品が露出されている。
中間ユニット13の背面側には、図4に示すように、合成樹脂により形成された箱状の盤裏カバー141が設けられている。盤裏カバー141は、遊技盤23の背面のほぼ全域にわたって設けられ、遊技盤23の背面側に設けられる各種部品を遊技球や搬送時において保護すると共に、遊技球の入賞を検知する検知センサ等を狙った不正を防止する機能を有している。
中間ユニット13の背面側中央部には、図4に示すように、表示制御装置142と音声発光制御装置143とが前後に並んで設けられ、その下側には、遊技の主たる制御を司る主制御装置160が設けられている。表示制御装置142は、図柄表示装置94の表示制御を司るものであり、音声発光制御装置143は、主制御装置160からの指示に従って音声やLED、ランプ等の表示制御及び表示制御装置142の制御を司るものである。
枠ユニット21の背面における回動基端側(図7の右側)には、上下に離間して支持金具132が設けられ、各支持金具132の上端部に形成される軸受け部133によって中間ユニット13に対して裏パックユニット15が回動可能に取り付けられる。また、枠ユニット21の背面には、裏パックユニット15を中間ユニット13に固定するための固定レバー134が回動先端側(図7の左側)に複数設けられている。
次に、裏パックユニット15について説明する。裏パックユニット15は、図8に示すように、透明性を有する合成樹脂により形成された裏パック201と、払出ユニット202と、外部端子板203とを備えている。
裏パック201は、図8に示すように、裏パック201の周縁部を構成する裏ベース部211と、裏ベース部211から後方へ張り出すようにして形成された保護カバー部212とを有している。保護カバー部212は、左右側面と上面の全部が閉鎖され、背面下部から下面につながる一部分が開放された形状をなし、保護カバー部212の下側部分に前後方向に貫通した開口部212aが形成されている。
外部端子板203は、図8に示すように、後方から見た裏パックユニット15の右上側端部に設けられている。外部端子板203は、パチンコ機10の状態を遊技ホールの管理コンピュータに認識させるために、所定の信号出力を行うための基板である。外部端子板203には、出力端子として、開閉実行モード中に信号出力するための出力端子、下作動
口83bの電動役物83cが高頻度で開放状態となる電役開放状態中に信号出力するための出力端子、払出ユニット202において遊技球が不足した場合に信号出力するための出力端子、所定個数の賞球を払い出す毎に信号出力するための出力端子、所定個数の遊技球を貸し出す毎に信号出力するための出力端子、外枠11に対する中間ユニット13の開放時に信号出力するための出力端子、中間ユニット13に対する前扉枠14の開放時に信号出力するための出力端子などが設けられている。
裏パックユニット15における背面視右側端部には、図8に示すように、上下一対の掛止ピン204が取り付けられている。この掛止ピン204を中間ユニット13側の軸受け部133に挿通させることで、裏パックユニット15が掛止ピン204を中心にして中間ユニット13に対して回動可能に支持される。裏ベース部211における掛止ピン204が配置されていない反対側の端部には、中間ユニット13に設けられた固定レバー134が挿通される挿通部211aが上下に形成されている。固定レバー134が挿通部211aに挿通されて90度回転させた状態にすることで、固定レバー134の一部が裏ベース部211に後方から当接し、中間ユニット13に裏パックユニット15が固定される。
裏パックユニット15は、上記したとおり、中間ユニット13の背面に対して回動可能に軸支されている。裏パックユニット15を中間ユニット13に対して背面側から重ね合わせた状態では、図9に示すように、主制御装置160の大半は開口部212aを介して背面側に露出し、主制御装置160の一部は保護カバー部212により覆われている。主制御装置160の一部には他の制御装置と電気的に接続するためのコネクタ及び配線が設けられ、この配線に関する部位を含む主制御装置160の一部が保護カバー部212に覆われることで、主制御装置160の視認性を高めつつ、不正行為の抑制及び遊技球の衝突による破損防止等を実現している。主制御装置160の上側に配置される音声発光制御装置143等は、保護カバー部212により全体が覆われている。
裏パックユニット15は、図8に示すように、保護カバー部212を迂回するようにして裏ベース部211に取り付けられている払出ユニット202を備えている。払出ユニット202は、裏パック201の最上部に設けられて遊技球を貯留可能に上方に開口したタンク221と、タンク221内の遊技球を下流側に向けて案内可能に緩やかに傾斜するタンクレール222と、タンクレール222の下流側にて上下方向に遊技球を案内するケースレール223と、ケースレール223の最下流部に設けられる払出装置224とを有し、これらが連結することでタンク221に補給された遊技球を必要数分だけ払出装置224の下流側に払い出し可能とされている。払出装置224によって払い出された遊技球は、払出装置224の下流側に設けられた裏側通路部225に供給される(図4参照)。
裏側通路部225には、払出装置224より払い出された遊技球を上皿28a、下皿29a又は排出通路の何れかに振り分けるための3つの通路が形成されている。これら通路のうち、裏パック201の中央側に位置する通路が上記した本体側上皿通路部122及び前扉側上皿通路部51を介して上皿28aに通じ、その外側の通路が本体側下皿通路部123及び前扉側下皿通路部52を介して下皿29aに通じ、更に外側の通路が排出通路とされている。払出装置224によって払い出された遊技球は、上皿28aの通路に優先して案内され、その通路が遊技球で満たされると、その通路から分岐した下皿29aに通じる通路に遊技球が案内される。排出通路は、ケースレール223に対して排出操作を行うことにより、タンク221からケースレール223の途中までの間に貯留された遊技球が払出装置224を経由せずに裏パックユニット15の下端に設けられる排出口から排出される。
裏ベース部211の背面側下端部には、図8に示すように、各種制御装置等で要する所定の電力を生成して出力する電源装置241と、払出制御装置242とが前後に重ねて取
り付けられている。電源装置241は、裏ベース部211の横幅全域にわたって設けられている。裏ベース部211の背面視右下側端部には、電源スイッチ247が設けられている。パチンコ機10へは電圧変換器を介して例えば交流24ボルトの主電源が供給され、電源スイッチ247の切換操作によりパチンコ機10の電源がON又はOFFとされる。
払出制御装置242は、払出ユニット202を通じた遊技球の払い出しを制御するための装置である。払出制御装置242は、基板を収容するために設けられた透明性を有する基板ボックス243に払出制御基板を収容して構成されており、その開放に際しては痕跡を残す痕跡手段として開放封印部244が設けられている。開放封印部244は解除操作を一度行うと再結合を不可とするものであり、結果的に払出制御装置242の基板ボックス243は一度開放操作を行うと、再度封印状態とすることが不可となっている。
裏ベース部211の前面側すなわち中間ユニット13側の下部には、図4に示すように、上方に開口した横長の球入口213と、側方に開口した球入口214とを上流側端部とする発射球排出通路が設けられている。遊技領域23aを流下しいずれかの開口を介して遊技盤23の背面へと導かれた遊技球は、2つの球入口213,214のいずれかを経由して発射球排出通路内へ進入する。発射球排出通路の出口部分は裏パックユニット15の下端面に遊技球1個分の幅で開口して形成され、遊技領域23a内に発射された遊技球は全て発射球排出通路を経由して遊技ホールの島設備に排出される。発射球排出通路の途中には、遊技球を検知する検知センサが設けられ、遊技領域23a内に発射された遊技球数に対応した信号が外部端子板203を介して出力される。
次に、主制御装置160及びその周辺部品の構成について、図10から図12を参照しながら説明する。図10は、主制御装置ユニット300の正面図であり、図11は、主制御装置ユニット300の分解斜視図である。また、図12は、主制御装置160の正面図であり、図13は、主制御装置160の分解斜視図である。ここで、主制御装置ユニット300及び主制御装置160は、パチンコ機10の背面側に向いた側を正面側として、以下、主制御装置ユニット300及び主制御装置160の構成について説明する。なお、図10には、盤裏カバー141の一部を併せて図示している。
主制御装置ユニット300は、図11に示すように、主制御装置160と、主制御装置160の左側部分を遊技盤23の裏面側に設けられる盤裏カバー141に連結するボックス連結部材301と、主制御装置160の右側の一部分を覆いつつ主制御装置160の右側部分を遊技盤23の裏面側に連結する外側カバー部材302を備えている。
主制御装置160は、図13に示すように、透明な合成樹脂製のボックスカバー352及びボックスベース351により外形が形成される基板ボックス311を主体に構成され、前後方向に厚みを有する横長略矩形の箱状に形成された基板ボックス311内に主制御基板312(図13参照)が収容されて構成されている。主制御基板312は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM等を備えている。主制御基板312においてCPUチップなどの各種素子やコネクタ(図示省略)は、全て正面側に相当する同一の板面上に搭載され、その逆側に相当する裏面側の板面にて半田付けされている。
ボックス連結部材301は、図10及び図11に示すように、主制御装置160(基板ボックス311)の正面視左側(パチンコ機10の背面視左側)に設けられ、縦長で透明な合成樹脂製の2部品を前後方向において破断ネジ303により固定して構成されている。ボックス連結部材301には、本体部を基準とした基板ボックス311が位置する側とは逆側となる反対側に、本体部の上部より側方に突出し、更に下方に延びる回動軸331が形成されている。ボックス連結部材301の回動軸331は、盤裏カバー141に設け
られる軸受部332に挿入され、盤裏カバー141に対してボックス連結部材301が盤裏カバー141から離間する背面側に回動可能に支持される。盤裏カバー141は、遊技盤23の外形を形成する遊技板23bの裏面に固定される部材であり、遊技板23bに対して、ボックス連結部材301に連結固定される主制御装置160が遊技板23bの裏面側に回動可能に支持される。なお、ボックス連結部材301の回動軸331は、盤裏カバー141の軸受部332に対して、差し込み固定操作により軸受部332内の溝部に係合可能な爪部が設けられている。この爪部が軸受部332の外側から触れることができない軸受部332の内面側の溝部に係合し、盤裏カバー141とボックス連結部材301とは取り外し困難に連結される。
ボックス連結部材301には、図11に示すように、基板ボックス311が設けられる一方側に対して、中央部分が開口した円筒状の破断ネジ挿入部333aが上下に離間した4カ所において基板ボックス311側に突出して設けられている。基板ボックス311側には、破断ネジ挿入部333aに対応した後側位置に破断ネジ303の先端部をネジ込み可能なネジ受け部333bが設けられる。破断ネジ挿入部333aのうちの1カ所には破断ネジ303が挿入され、外周部分が覆われた状態の破断ネジ303が先端部分にて基板ボックス311に締結固定されることにより、ボックス連結部材301と基板ボックス311とが取り外し困難な状態で締結固定される。
ここで、破断ネジ303は、ドライバなどの工具の先端を差込可能な頭部と、ネジ溝が形成された軸部とを備え、頭部と軸部の連結部分の強度が低く設定されたものである。ネジ溝が挿入されてそれ以上締めることができない位置において頭部に対して工具により更に力が加えられると、頭部と軸部との連結部分が切断され、頭部が軸部から分離される。このため、破断ネジ303による締結後においては、上記工具を用いて緩める方向へ破断ネジを回転させることが不可となる。締結操作後の破断ネジ303の周囲は、破断ネジ挿入部333aa等の外周壁により囲われる設定とされ、これにより、頭部の分離後において軸部側に残存した部位の外周をペンチ等の工具により強固に挟んで、緩める方向へ軸部を回動させる締結解除行為が防止されている。
破断ネジ挿入部333aと本体部との間には、破断ネジ挿入部333aより細幅にくびれて形成された切断部335が設けられる。この切断部を工具により切断することで破断ネジ挿入部333aがボックス連結部材301から分離し、パチンコ機10から基板ボックス311が取り外し可能な状態となる。残り3カ所の破断ネジ挿入部333aは、基板ボックス311を取り外した後に、同一の、又は別の基板ボックス311をボックス連結部材301に取り付ける場合に使用される部位であり、この破断ネジ挿入部333aと本体部との切断状況を確認することで、基板ボックス311の取り外し回数を管理可能とされている。
外側カバー部材302は、図11に示すように、主制御装置160(基板ボックス311)の右側の一部分を挿入可能に基板ボックス311の右側部分に対して上下及び前後方向に僅かに大きく形成された開口を有する透明な合成樹脂製の本体を主体に構成されている。外側カバー部材302は、主制御装置160の右側部分に対して前後に重なる位置に配置され、その右側部分を外側から視認可能としつつ、それら部位に対しての接触行為を制限する。
外側カバー部材302の開口部分における上下の両端部には、主制御装置160(基板ボックス311)の一部に対して係止可能に形成された上下一対の係止部341が設けられている。主制御装置160の右側を外側カバー部材302の開口内に挿入する操作をすると係止部341が弾性変形により主制御装置160の外側に移動した後に元位置に復帰する。この復帰動作により主制御装置160の一部に係止部341が係止され、主制御装
置160から外側カバー部材302を取り外す方向側への移動が制限され、外側カバー部材302が主制御装置160に固定された状態で取り付けられる。
外側カバー部材302を主制御装置160から取り外す場合には、手や工具等を使って上下の係止部341を上下に離間する方向側へ移動する。この移動操作により係止部341による主制御装置160と外側カバー部材302との係止状態が解除され、外側カバー部材302を主制御装置160から取り外すことができる。なお、外側カバー部材302の主制御装置160への取り付け構造は、上記構造に限らず、ネジ等の締結部品を用いて固定する等、他の固定構造としても良い。
外側カバー部材302の右側部分には、図10に示すように、本体とは別に構成されたカバー固定用部材342が上下に離間して2カ所に設けられている。カバー固定用部材342は、ボックス連結部材301により左側部分を軸として回動可能とされた主制御装置160の回動先端側を遊技板23bの裏面側に固定する合成樹脂製の固定具である。カバー固定用部材342は、外側カバー部材302の本体に対して前後方向に移動操作をすることで相手部品への固定と固定解除とを切り替え可能に形成され、後側に押し込まれた状態においては外側カバー部材302の背面側に突出する突出先端部の外形が前後の軸方向に交差する径方向側において縮小し、前側に引き出し操作をすることで突出先端部の径方向において拡大した状態とされる。外側カバー部材302が取り付けられた状態の主制御装置ユニット300は、カバー固定用部材342において外形が拡大した突出先端部が遊技板23bの裏面にて前後方向に貫通する穴部の周縁に係合し、主制御装置ユニット300の回動先端側部分が遊技板23bの裏面に固定される。なお、外側カバー部材302による主制御装置160の固定構造は、上記した固定具に限らず、回転操作による固定具等、他の構造の固定具としても良い。
次に、基板ボックス311の構成詳細について、図10から図13に加えて、図14以降を参照して説明する。図14は、基板ボックス311の開放動作を示した斜視図であり、図14(a)は、基板ボックス311の閉鎖状態に対応し、図14(b)は、基板ボックス311が開放方向へスライド移動された状態に対応する。図15は、基板ボックス311への破損用部材355の取付構造を示す分解斜視図であり、図16は、基板ボックス311から封印シール313とシールカバー部材319を分解した状態を示した斜視図である。なお、図10から図15において、主制御基板312に設けられる各種素子及びコネクタは図示を省略している。
基板ボックス311は、図13に示すように、その外形の大部分を形成し、前後に厚みを有する板状の構成体を重ね合わせて形成され、それら構成体としてボックスベース351とボックスカバー352とを備えている。これらボックスベース351及びボックスカバー352は、基板ボックス311内に収容された主制御基板312の各種素子等が搭載された素子搭載面及び半田付けがされた半田面を基板ボックス311外から視認可能なように透明性を有する材料により形成されている。例えば、無色透明のポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂等により形成される。
ボックスベース351は、図13に示すように、基板ボックス311の前面側における外形の全体を形成する部材であり、前後方向に厚みを有し、主制御基板312の外周形状より僅かに大きなサイズで裏面側が開口した横長略矩形の有底箱状に形成されている。ボックスベース351には、その背面側から主制御基板312がネジ固定される。ボックスベース351への主制御基板312のネジ固定は、主制御基板312の半田面側から行われており、主制御基板312の素子搭載面に搭載された各種素子は、主制御基板312とボックスベース351との間に形成される空間内に収容される。
ボックスカバー352は、図13に示すように、前後方向に厚みを有する横長略矩形の板状に形成され、ボックスベース351の外周形状とほぼ一致する大きさに形成されてボックスベース351において裏面側に開口した開口部分を閉鎖可能とされている。このボックスカバー352は、主制御基板312が一体化されたボックスベース351に対して、主制御基板312を挟むようにして基板ボックス311の裏面側から固定される。
ボックスベース351には、図13に示すように、ボックスカバー352と係合してボックスカバー352との相対移動を一方側のみに制限するフック部361が一体成形により複数箇所に設けられている。これらフック部361は、ボックスベース351の上下の端縁に沿って左右方向に直線的に延びる長辺部において、それぞれ複数個ずつ設けられる(下側の長辺部におけるフック部361は図示省略)。各フック部361は、ボックスベース351において主制御基板312が取り付けられる裏面側に突出し、その突出先端部分において上下の長辺部に沿った一方側に突出した係止部362を有する鉤状に形成されている。係止部362の突出方向は、ボックスベース351に設けられるすべてのフック部361において同一方向に設定されている。
ボックスカバー352の上下の端縁に沿って左右方向に直線的に延びる上下の長辺部には、各フック部361に1対1で対応させて横長溝状に形成されたスリット363が設けられている(上側の長辺部におけるスリット363は図15参照)。スリット363は、基板ボックス311の厚み方向、すなわちボックスカバー352とボックスベース351との並設方向に貫通し、各フック部361を内部に挿入可能とされている。すなわち、各スリット363は、各フック部361が設けられる間隔に対応し、且つ、各フック部361より僅かに大きな幅及び長さに設定されている。
ボックスカバー352において、各スリット363に対して係止部362が突出する方向側には、図15に示すように、フック部361を係止するための受け部364が形成されている。この受け部364に対応して、ボックスベース351には、係止部362の突出方向側とは逆側(図13の右下側)に延びて形成される溝部が係止部362の突出により本体部分との間に形成される。この係止部362により形成される溝部に入り込み可能なように、ボックスカバー352の受け部364における前後方向の厚みが設定されている。
ボックスベース351とボックスカバー352とを一体化させる際には、各スリット363に対して対応するフック部361が挿入されるようにボックスベース351とボックスカバー352とを重ねて組み合わせた状態とする(図14(b)におけるボックスベース351とボックスカバー325との相対位置)。この段階では、ボックスベース351とボックスカバー352とは、基板ボックス311の長手方向に相当する左右方向において相互にずれ、且つ、ボックスベース351とボックスカバー352とを厚み方向に離間可能な状態とされている。
その後、フック部361を構成する各係止部362が、それぞれに対応する各受け部364に対して基板ボックス311の裏面側に重なる位置に移動して係止されるように、ボックスベース351とボックスカバー352を相対的にスライド移動させる。ボックスベース351とボックスカバー352とは、係止部362の突出長さ分、スライド操作が可能であり、スライド操作がなされると、各フック部361が対応する受け部364に係止される。
スライド操作が不能な状態まで上記スライド移動を行うと、ボックスベース351の溝部の底部分にボックスカバー352の受け部364が当接し、その方向側へのスライド移動が不能となってボックスベース351とボックスカバー352の位置合わせが完了する
(図14(a)におけるボックスベース351とボックスカバー325との相対位置)。この位置合わせが完了した状態においては、後述する開放封印部366〜369に対応したカシメ部材314,315等を挿入可能に位置合わせされ、ボックスベース351とボックスカバー352とにより主制御基板312が収容された基板ボックス311の閉鎖状態となる。
ボックスベース351とボックスカバー352の閉鎖状態においては、ボックスベース351とボックスカバー352とを基板ボックス311の厚み方向(取り付け状態における前後方向)及び幅方向(取り付け状態における上下方向)、並びに、左右方向のうちボックスベース351とボックスカバー352との相互のずれを無くした一方向(閉鎖方向)への相対移動が制限される。即ち、ボックスベース351とボックスカバー352とは、それらの位置合わせ前であって相互に離間可能な開放可能位置側に相当する開放方向のみスライド移動可能な状態とされる。
なお、移動方向を制限する手段の構成は上記のものに限定されることはなく、ボックスベース351及びボックスカバー352のうちの一方にガイド用突条部を上下又は左右の辺に沿って形成するとともに、他方にガイド用突条部が嵌り込み可能であり嵌り込んだガイド用突条部を所定の方向のみにスライド移動可能とするガイド用溝部を形成する構成とする等他の構成を採用してもよい。
基板ボックス311の左側部分には、図12に示すように、複数のネジ受け部333bの並び方向に沿って、基板ボックス311を開放困難に封印するための開放封印部366,367が上下方向に4つ並んで設けられている。開放封印部366,367の各々には、金属製のカシメ部材314,315が挿入され、カシメ部材314,315の先端部が基板ボックス311において外部から操作不能となるように壁部に覆われた位置に係止されて、カシメ部材314,315が抜き出し不能な状態とすることが可能とされている。4つの開放封印部366,367及びカシメ部材314,315の組合せのうち、上下両端の2カ所の組合せと、中央側の2カ所の組合せとは、同一の外形形状に形成されている。
カシメ部材314,315は、基板ボックス311の開放封印部366,367内に差し込み可能とされている。各開放封印部366,367は、ボックスベース351において前後に貫通する貫通穴を形成するカシメ部材挿通部と、ボックスカバー352においてカシメ部材314,315に対して外周を覆いつつ先端側部分を抜き出し不能に固定する有底穴形状のカシメ部材受け部により構成される。カシメ部材314,315は、ボックスベース351側のカシメ部材挿通部内に一部が位置し、先端側部分がボックスカバー352側のカシメ部材受け部に差し込み固定可能とされている。ボックスベース351とボックスカバー352とが並設される前後方向に沿って両部材により形成される開放封印部366,367に跨がるようにしてカシメ部材314,315のいずれかが差し込まれると、上記した開放方向側へのボックスベース351とボックスカバー352の相対移動が制限され、基板ボックス311が開放困難な封印状態とされる。
ここで、ボックスカバー352における開放封印部366,367が設けられる側には、カシメ部材314,315の先端側部分が進入可能な有底穴の周辺部を形成する縦長で合成樹脂製のカシメ受けカバー353が設けられている。カシメ受けカバー353は、ボックスカバー352の左辺部の長さに略一致する大きさでボックスカバー352とは別部材で成形される。カシメ受けカバー353は、ボックスカバー352の左側端部に前側よりスライド移動して取り付けられ、ボックスベース351とボックスカバー352との間に介在した状態でボックスカバー352に一体化される。このボックスカバー352とカシメ受けカバー353との間には、カシメ部材314,315の先端部において左右方向
に貫通形成される係止穴に進入してカシメ部材314,315を抜き出し不能とする係止爪を有する金属板製のカシメ受け部材354が設けられている。
上下4カ所の開放封印部366,367は、例えば、以下のように使用される。基板ボックス311の左側の開放封印部366,367のうち、上下の両端側に位置する2カ所の開放封印部366には、パチンコ機10の遊技場への出荷前にカシメ部材314が差し込まれた封印状態とされ、この封印状態で基板ボックス311が開放困難な状態で遊技場等へ納品される。上下両端側の開放封印部366による封印状態は、その開放封印部366と基板ボックス311の中央側部分とを連結している一部分を切断することにより解除可能とされ、この解除操作により開放封印部366による基板ボックス164の封印状態が解除される。
上下の両端部分を除いた中央側2カ所の開放封印部367には、カシメ部材315がボックスベース351側のみに挿通された非封印状態でボックスベース351側にカシメ部材315を支持する仮支持用の係止爪が設けられている。係止爪により非封印状態とされたカシメ部材315に対して工具等により更に奥側にカシメ部材315が差し込まれると、カシメ部材315によりボックスベース351とボックスカバー352との相対移動が制限された封印状態となる。このため、遊技場等にパチンコ機10が納品された後に開放封印部367を用いて封印状態を形成することができ、基板ボックス311を検査等のために開放した場合、その後に遊技機メーカー等へ搬送する際に再度基板ボックス311を封印状態とすることが可能とされている。
基板ボックス311における右側の端部にも、図13に示すように、封印状態を形成するための開放封印部368,369が上下方向に離間して2カ所に設けられている。開放封印部368,369は、基板ボックス311の上下の両端側において右方に突出し、前側に開口した筒状に形成されている。右上側の開放封印部368には、破断ネジ303が挿入され、ボックスカバー352側において前後に貫通する貫通穴を通じて先端側部分がボックスカバー352側のネジ受け部368aに締結固定される。破断ネジ303が固定されると、基板ボックス311の右側部分においてボックスベース351とボックスカバー352との開放方向側へのスライド移動が制限される。
右下側の開放封印部369には、右上側の開放封印部368に対して破断ネジ303に代えてネジユニット317が挿入され、このネジユニット317の先端部がボックスカバー352側のネジ受け部369aに締結固定されてボックスベース351とボックスカバー352とのスライド移動が制限される。ネジユニット317は、上記した破断ネジ303の頭部を、外形が六角形状の筒状部材317aで覆って破断ネジ303と分離不能に一体化されて形成される。ネジユニット317においては、破断ネジ303が筒状部材317aの内部で回転可能とされ、破断ネジ303の頭部が軸部から分離した場合に分離した頭部と軸部の一部分を共に筒状部材317aの内部に収容して保持する。そして、破断ネジ303の頭部の外径より小さく、且つ、工具を挿入可能な挿通穴が筒状部材317aの内外を連通しており、筒状部材317aの内部には、挿通穴より大きな内径に形成されて破断ネジ303の頭部が収容された構成とされている。破断ネジ303を締結していくと破断ネジ303の軸部から頭部が分離し、この分離後においては、工具による軸部側へのアクセスが分離した頭部で制限されることとなって破断ネジ303の単体による締結より不正な軸部の取り外し操作が困難とされる。筒状部材317aの外周部分に対して、開放封印部368は、僅かに大きく形成された同一の内径形状にて周囲を囲う形状とされ、筒状部材317aが開放封印部368内にて回転しない設定とされている。これにより、筒状部材317aを回転させることで破断ネジ303に回転力を加えてネジユニット317を取り外そうとする不正行為が防止される。
右側に設けられる開放封印部368,369による基板ボックス311の開放制限を解除する際には、ボックスカバー352の右側端部に設けられてネジ受け部368a,369aと中央側部分とを接続する細幅の連結部を切断する。すると、ボックスカバー352は、ボックスベース351の後側にて左方に相対移動が可能となり、開放封印部368,369による基板ボックス311の開放制限が解除される。
基板ボックス311には、上記したように、左右両側に離間して複数の開放封印部366〜369が設けられるので、横長の基板ボックス311であっても、ボックスベース351とボックスカバー352との合わせ面をこじ開けて不正部品を挿入することを困難とすることができる。また、開放封印部366〜369の構造として、複数種類の構造を用いて封印状態が形成されているので、痕跡を残さずに不正に封印状態を解除する行為を困難にして不正抑止効果の高い基板ボックス311とすることができる。また、分離した破断ネジ303の頭部を保持可能な筒状部材を有するネジユニット317を一部の開放封印部369の封印に用いることで、破断ネジ303として筒状部材を有しないもののみでの封印に比べて解除困難な封印構造とすることができる。
基板ボックス311において、上下に離間した右側の開放封印部368,369の間部分には、図16に示すように、封印シール313が貼付される取付板部371〜373が設けられている。取付板部371〜373は、図13に示すように、ボックスベース351によって基板ボックス311の右側に突出して形成され、取付板部371〜373のうち前側部分を形成する前側取付板部371,372と、ボックスカバー352によって基板ボックス311の右側に突出して形成され、前側取付板部371,372の後側に重なり、且つ、突出先端側の端縁が前後方向で略一致する長さに設定され、取付板部371〜373のうち後側部分を形成する後側取付板部373とにより構成される。
前側取付板部371,372において前側を向いた面には、略矩形状をした封印シール313の一端側が固定され、後側取付板部373において後側を向いた面に封印シール313の反対側が固定される。すなわち、前側取付板部371,372と後側取付板部373とに跨がるようにして封印シール313が取り付けられ、図16に示すように、前側取付板部371,372と後側取付板部373とに対して基板ボックス311の中心側とは逆側となる外側を経由したコ字状の断面を有する形態にて、封印シール313が基板ボックス311に貼付される。封印シール313は、前側取付板部371,372の前面側に貼り付けられる面により構成される前面部401と、後側取付板部373の後面側に貼り付けられる面により構成される背面部402と、前側取付板部371,372と後側取付板部373における基板ボックス311の側面に突出する突端側に貼り付けられる面により構成される側面部403とを有し、それらの範囲に跨がって貼付可能な大きさに設定されている。
ここで、基板ボックス311を開放する際にボックスベース351とボックスカバー352の相対位置を閉鎖位置から開放位置に移動させるためには、封印シール313が貼付された前側取付板部371,372と後側取付板部373の外側の端縁を前後に重なった状態から左右方向にずれた状態とする必要がある。このため、封印シール313の側面部403を前後に分断しなければ、封印シール313によって接続された基板ボックス311は開放させることができず、封印シール313の切断状態の有無によって基板ボックス311の開放の有無を検出可能とされている。
前側取付板部371,372は、図15に示すように、縦長の長方形状で前後に厚みを有する平板状に形成され、また、上下方向における中央部分で分断されることで横方向に連続する隙間を形成している。以下、上下に分断された前側取付板部371,372のうち上側部分を前側上部取付板部371と称し、下側部分を前側下部取付板部372と称す
る。
前側取付板部371,372には、図15に示すように、前側上部取付板部371及び前側下部取付板部372のそれぞれに対して前後に貫通する貫通穴376が設けられている。前側取付板部371,372の貫通穴376は、後側に行くに従い次第に内径が狭まる円錐状の穴形状に形成され、これら貫通穴376には、頭部の端面が平面形状で軸側が円錐形をした小ネジで構成された板部固定ネジ318の軸部分が差し込まれ、板部固定ネジ318の頭部に前側取付板部371,372の貫通穴376の内面が当接して前側取付板部371,372が後側取付板部373に一体化される。
後側取付板部373には、図15に示すように、前側取付板部371,372の貫通穴376の形成位置に対応して前側に開口して形成された有底穴の締結受け部377が設けられている。締結受け部377は、板部固定ネジ318において雄ねじが形成された軸部分より小径の円形の内径形状に形成され、板部固定ネジ318の軸部分の先端側部分がねじ込まれることで板部固定ネジ318の頭部との間に前側取付板部371,372が挟まれた状態とされて一体化される。この板部固定ネジ318による固定は、封印シール313が取付板部372に貼付される前に行われ、封印シール313によって取付板部372の貫通穴376及び板部固定ネジ318が覆われる。このため、板部固定ネジ318による締結状態を解除する際には、封印シール313を破損させて上下2カ所に設けられる板部固定ネジ318の頭部を露出させる必要があり、板部固定ネジ318による締結解除に際しては封印シール313に痕跡が残る設定とされている。
封印シール313は、略矩形の薄板シート状に形成され、裏面側全域に接着用の粘着剤が塗布され、表面側に種々の情報が表示された表示部404を有する部材である。この表示部404として封印シール313の表面側には、図16に示すように、シールの仕様に関する情報としてシールに使用される技術に関する情報(例えば、「ミューチップ」(登録商標)等の文字若しくはロゴ)及び発行元の名称等(例えば、AB社等の文字)が表示される仕様情報表示部404a、封印シール313の開封を禁止する「開封禁止」等の文字で構成される禁止情報表示部404b、不正な複製を困難にするための文字、色、模様若しくはホログラム又はこれらの複数を組合せた複製防止表示部404c、封印シール313に対応させて各パチンコ機10を管理可能な管理番号等の情報が付加された情報であって読み取り装置により読み取り可能なコード情報(バーコード又はQRコード(登録商標)等)と管理番号等が表示される識別情報表示部404dが設けられている。封印シール313の裏面側には、アンテナ付きICチップ(図示省略)が設けられ、読み取り装置によりアンテナ部を通じて起電力を発生させ、ICチップ内に書き込まれた個体情報が読み取り可能とされている。なお、図16においては、封印シール313を取付板部371〜373に貼付された形態にて示し、また、封印シール313の外周形状を簡略化して直線的に示し、表示部404における表示内容を省略して示している。
表示部404の大部分は、前側取付板部371,372の前面側に相当する前面部401側に設けられ、基板ボックス311の素子等を視認可能な正面側から封印シール313に表示される情報が視認可能とされている。また、各表示部404は、基板ボックス311を開放する際に破損させられる部位に重なる配置とされ、例えば、前面部401において板部固定ネジ318に重なる位置に対応して仕様情報表示部404aと禁止情報表示部404bとが配置され、後述する破損用部材355により破損させられる位置に対応した前面部401における上下方向の中央部分に複製防止表示部404cと識別情報表示部404dとが配置されている。
封印シール313の外周部分には、内側に向けて三角形状に切り欠かれた形状の切り込みが設けられている(図23参照)。切り込みの底部分は、尖ったV字状に形成され、封
印シール313に外力が作用した場合に封印シール313が破損し易いものとされている。また、封印シール313は、不正な剥離を防止するために、脆性を有するシートをベースとして形成することが好ましく、線状の切込みを複数設けておくことが好ましく、また、トルエンなどの溶剤や一定以上の熱に反応して変色する材料で形成することが好ましい。
次に、図14から図16に加えて図17から図21を参照して、基板ボックス311に設けられる破損用部材355とシールカバー部材319について順に説明する。図17(a)は破損用部材355を前側から見た斜視図であり、図17(b)は破損用部材355の正面図、図17(c)から図17(e)は、図17(b)のA−A線、B−B線、及びC−C線における各断面を拡大して示した図である。図18(a)はシールカバー部材319を前側から見た斜視図、図18(b)はシールカバー部材319を後側から見た斜視図、図18(c)及び図18(d)はシールカバー部材319の正面図及び右側面図である。図19は、破損用部材355の動作を示す基板ボックス311の右側部分の正面図であり、図19(a)は、破損用部材355が初期位置に配置された状態を示し、図19(b)は、破損用部材355が突出位置に配置された状態を示している。図20(a)は、(a)は、シールカバー部材319を断面視して示した基板ボックス311の右側部分の正面図であり、図20(b)は、図20(a)の断面線における断面図である。なお、理解の容易のために、図17(c)には、破損用部材355を回動可能に支持するボックスベース351の一部(軸支持部378)の外形を一点鎖線で示し、図17(e)には、破損用部材355に対して封印シール313が設けられる相対位置を一点鎖線で示している。また、図20(b)においては、ボックスベース351に対してボックスカバー352を後側に移動可能な位置までスライドさせた状態を示している。
基板ボックス311における前側取付板部371,372と後側取付板部373との間には、図15に示すように、封印シール313を破損させるための破損用部材355が設けられている。破損用部材355は、基板ボックス311を開放する際に、ボックスベース351とボックスカバー352とを跨いで貼付される封印シール313を切断し、基板ボックス311の開放を容易にする部材である。破損用部材355は、縦長で合成樹脂製の破損ベース381と、鋼板により形成された破損板金382とを有している。
破損ベース381には、図15及び図17に示すように、上端側に位置し、前後方向に貫通する軸穴を形成する円筒状のベース軸受部383と、ベース軸受部383から離間する方向側に延びた縦長板状のベース板部384と、ベース板部384の回動先端側に設けられる破損操作部385と、ベース板部384の中央部付近において左側に偏った位置より前側に突出した破損突部386とが設けられている。
ベース軸受部383は、図17(c)に示すように、前後方向における中央部分において内径が小さく形成され、その前後の内径が大きく形成された段付き状の軸穴を有している。ボックスベース351には、図15に示すように、前側取付板部371,372の上方側にて右方に突出し、更に、その先端部分が前方に向けて段付き円柱状に突出した軸支持部378が設けられている。ベース軸受部383は、ボックスベース351の軸支持部378に対して前方より嵌め込まれ、小さく形成された軸穴部分が軸支持部378の先端側の細軸部分に嵌まり込み、大きく形成された軸穴部分が軸支持部378の根元側の太軸部分に嵌まり込むことで、軸支持部378に対してベース軸受部383が回動自在に支持される。これにより、ボックスベース351に対して破損用部材355が軸支持部378を中心として回動自在とされる。
ベース板部384は、図15に示すように、前後方向に厚みを有する板状に形成され、その前面側に破損板金382が取り付けられる。破損板金382は、縦長略矩形状に形成
され、上下方向に延びる左側の縁部分における略中央の高さ位置にて右側に凹んだ取付凹部387を有する形状とされている。ベース板部384の上下方向における中央部分には、その前側の板面に対して前方側に突出した横長の突条部388が設けられ、突条部388の右側端部には、ベース板部384における前側の板面より前方側に破損板金382の厚み分の隙間を隔てて右側に突出した板金支持部389が設けられている。破損板金382は、取付凹部387によって突条部388が上下に挟まれた状態とされる位置にてベース板部384の前側に取り付けられ、板金支持部389とベース板部384との間に破損板金382が挟まれた状態となって前後方向への移動が制限されている。
ベース板部384の上下の端部には、上記した板部固定ネジ318を挿通可能とするように前側取付板部371,372の貫通穴376に対応した位置に、前後方向に貫通する貫通穴391が設けられ、破損板金382にも、ベース板部384の貫通穴391と同一箇所において前後方向に貫通する貫通穴392が設けられている。これらの貫通穴391,392は、板部固定ネジ318により前後の取付板部371〜373が締結固定された状態において板部固定ネジ318の軸部分が挿通され、板部固定ネジ318を抜き出さない限りは、破損用部材355が板部固定ネジ318に当接するために破損用部材355が回動不能とされ、不用意に封印シール313側に破損用部材355が移動することが防止されている。
ベース板部384の貫通穴391の縁部分は、図17(c)に示すように、破損板金382側に環状に突出し、破損板金382の貫通穴392は、ベース板部384において環状に突出した部位の外側に嵌まる大きさに設定されている。破損板金382は、中央部分に対して上下部分を前側に屈曲するように弾性変形させた状態にして互いの貫通穴391,392の中心が一致するように位置合わせして破損ベース381に取り付けられる。
破損ベース381におけるベース板部384の上下の端側には、図15に示すように、ベース板部384の板面に対して直交する平面状にて前後及び右側に突出した壁面を形成する上下の板壁部393が一体形成されている。上下の板壁部393の対向面の間隔は、破損板金382の上下長さに略一致し、詳細には僅かに大きな間隔に設定され、ベース板部384の上下両側の板壁部393に破損板金382が当接することで破損板金382の上下方向側への移動及びベース板部384の前側の板面上における破損板金382の回動が制限される。以上のように、破損ベース381に対して破損板金382は、相対的な移動及び回動といった相対変位が制限され、破損用部材355として一体化された状態で破損ベース381と破損板金382とが動作する。
破損ベース381における上下の板壁部393は、図19(a)に示すように、破損用部材355が基板ボックス311に取り付けられた初期位置において前側取付板部371,372の上下の端縁に対して上下両側に近接し、且つ、図16に示すように、前側取付板部371,372に封印シール313が貼付される前面及び側面に対して前側及び外側に突出し、前側取付板部371,372の外周の一部を囲う形状とされている。ボックスベース351側にも、前側取付板部371,372の前面外周部分を囲う部位として、前側取付板部371,372の上下両側及び左側において前側に突出したガイド壁部394が設けられている。
ガイド壁部394は、前側上部取付板部371及び前側下部取付板部372の外縁に沿って上下方向に延びて形成され、その上側及び下側の角部にて曲折して右方に延びて設けられている。ガイド壁部394の上下における右側端縁に対して、破損ベース381の上下の板壁部393が右側に連続する位置に設けられ、左右方向に連続する壁面を前側取付板部371,372の周囲に形成する。これら上下の板壁部393及びガイド壁部394により、封印シール313の貼付作業時において前側取付板部371,372に対する封
印シール313の位置合わせを容易にすることができる。
破損ベース381における上側の板壁部393は、ベース軸受部383における円筒形状の下側部分において右側に接線方向に突出した壁状に形成され、ベース軸受部383の一部により上側の板壁部393の一部が形成されている。また、破損ベース381における下側の板壁部393は、破損操作部385を形成する壁部に連続した形状とされている。上記したように、上下の板壁部393は、前側取付板部371,372の外周部分を囲う部位であり、この部位の一部を破損用部材355の一部にて形成することで、破損用部材355において機能が必要とされるベース軸受部383及び破損操作部385等を取付板部371〜373の上下に近接配置可能とし、破損用部材355の機能部分を小型にしなくても、基板ボックス311全体としては小型に形成することができる。
破損板金382は、図17(e)に示すように、ベース板部384に対して、破損用部材355の進行方向に相当する右側に僅かに突出する大きさに設定されている。破損用部材355が回動動作した場合には、封印シール313の側面部403に対してベース板部384より先に破損板金382が当接する。このため、封印シール313に当接した際の剛性を金属製にして高めつつ、厚みは薄く先端側は鋭角に形成可能にして封印シール313の分断に要する力を少なくすることが可能とされている。
破損板金382は、ベース板部384と共に基板ボックス311に貼付された封印シール313の一部を横切って封印シール313を分断するように移動する。詳細には、前側取付板部371,372と後側取付板部373との前後の隙間内にて取付板部371〜373に対して前後に重なる初期位置(図19(a)に示す位置)から、取付板部371〜373に対して右側にベース板部384及び破損板金382の少なくとも一部が突出した突出位置(例えば、図19(b)に示す位置)に移動する。ベース板部384及び破損板金382は、前後に厚みを有する板状に形成され、その板面に沿った方向側に封印シール313が当接することで変形及び破損がし難い設定とされている。
なお、破損板金382を薄く設定したり、その進行方向先端側部分を厚み方向において傾斜させて鋭角に設定したりし過ぎると作業者が怪我をする可能性が高まるため、破損板金382は、略0.1mm以上の厚さとすることが好ましく、略0.15mm程度の厚さとすることが好適である。また、先端部分の傾斜角度は、厚み方向において傾斜していない角度を90度とした場合に略45度から略70度程度の角度に設定することが好ましい。また、破損板金382は、必ずしも設ける必要はなく、破損ベース381のベース板部によって封印シール313に当接する板状部分を形成し、ベース板部が封印シール313に当接することで封印シール313を破損させるものとしても良い。
破損操作部385は、ベース軸受部383を回動中心として破損用部材355を動作させる場合に操作される部位である。この破損操作部385は、図17(b)に示すように、下側の板壁部393に対してベース板部384とは反対側であってベース軸受部383から離間する方向側に延出して形成されている。また、破損操作部385は、ベース板部384の連続する上下方向に対して、その方向に交差する方向側であって初期位置から突出位置側への移動方向先端側に相当する右側に突出して設けられ、その先端側部分において前後に貫通する略円形の貫通穴を有する形状とされている。
基板ボックス311の開放操作においては、破損操作部385を摘んで操作するか、或いは破損操作部385の貫通穴に工具を挿通させて破損用部材355に回動力を付与し、図19等に示すように、破損用部材355を回動させて封印シール313を破損させることができる。この場合に、封印シール313の貼付される取付板部371〜373の上側に破損用部材355の回動中心を形成するベース軸受部383が設けられ、回動中心から
封印シール313を間に介在させて離間した封印シール313の下側に破損操作部385が設けられる。このため、少ない操作力で破損用部材355の回動操作を行うことができ、封印シール313を破損させることができる。また、基板ボックス311の外周に沿ってベース軸受部383と封印シール313及び取付板部371〜373の組合せと破損操作部385とが上下方向に並んで配置されるので、基板ボックス311の外側に突出する部位を少なくして主制御装置160を小型に形成することができる。
破損ベース381における破損操作部385側の端部には、図17(b)に示すように、上下に離間して略平行に2つの係止爪部395,396が破損操作部385の左側部分より左側に突出して一体形成されている。上側の係止爪部395の突出先端側には、上方に突出して一体形成された上側係止部395aが設けられ、下側の係止爪部396の突出先端側には、下方に突出して一体形成された下側係止部396aが設けられている。2つの係止爪部395,396における各係止部395a,396aは、相手部材と当接して係止状態を形成する部位であり、突出方向側とは逆側に変位することで相手部材との係止状態が解除される。
上側の係止爪部395に対応させて、図19(a)に示すように、ボックスベース351には、前側下部取付板部372より下方に突出した受け部397が一体形成されている。受け部397は、破損用部材355が初期位置から突出位置に移動した場合における上側係止部395aの経路上に介在するように突出量が設定されている。破損用部材355が初期位置に配置された状態においては、上側係止部395aが受け部397の左側に位置し、上側係止部395aの右側への移動が受け部397により制限される。このため、破損操作部385を右側へ移動させて突出位置側へ破損用部材355を変位させる回動操作が上側係止部395aと受け部397との係合により制限され、破損用部材355が初期位置に保持される。
上側係止部395aは、図17(b)に示すように、左右方向における中央部分が頂部とされ、頂部より左右方向に下降傾斜した傾斜面を有する形状とされている。このため、破損操作部385を右側へ移動させて突出位置側へ破損用部材355を変位させる回動操作をした場合、上側係止部395aにおける右側の傾斜面と受け部397が当接し、上側の係止爪部395の先端部分に対しては傾斜面の向く方向とは逆向きとなる斜め下側に押圧力が作用する。この押圧力により上側の係止爪部395には曲げ力が加えられ、上側係止部395aが下側へ変位する方向側へ上側の係止爪部395が弾性変形する。傾斜面への押圧力が大きくなるほど、上側の係止爪部395が大きく弾性変形し、それに伴って上側係止部395aが下側へ変位する。一定以上の操作力が破損操作部385に付加されると、上側係止部395aが受け部397を乗り越えて受け部397の右側へと移動し、破損用部材355とボックスベース351との係止状態が解除されて突出位置側へ破損操作部385が変位可能となる。
破損用部材355を突出位置側から初期位置側に向けて押し込む回動操作をした場合には、上側係止部395aの頂部より左方に下降傾斜した傾斜面と受け部397が当接し、上側の係止爪部395の先端部分に対して傾斜面の向く方向とは逆向きとなる斜め下側に押圧力が作用する。この押圧力によって上側の係止爪部395には曲げ力が加えられ、傾斜面への押圧力が大きくなるほど、上側の係止爪部395が大きく弾性変形し、それに伴って上側係止部395aが下側へ変位する。一定以上の操作力が破損操作部385に付加されると、上側係止部395aが受け部397を乗り越えて受け部397の左側へと移動し、破損用部材355が上側係止部395aと受け部397との係合により係止された状態となって破損用部材355が初期位置に保持される。
この初期位置における破損用部材355の保持により、板部固定ネジ318を挿通させ
るための取付板部371〜373の貫通穴376,377と、破損用部材355の貫通穴391とを一致させ易く、組み付け作業を容易にすることができる。なお、破損用部材355を初期位置に保持する構造は、上記のように、係止爪部を設ける構造に限らず、他の構造により構成しても良い。
下側の係止爪部396は、取付板部371〜373の前後及び右側部分を覆うシールカバー部材319の内面に係合し、基板ボックス311に対してシールカバー部材319が固定された取付位置に保持する機能を有する。シールカバー部材319は、破損用部材355が初期位置に配置された状態において取り付けられる部材であり、基板ボックス311の右側部分に対して、左方向を取付方向として押し込み操作をすることでシールカバー部材319が基板ボックス311に取り付けられる。また、下側の係止爪部396は、破損用部材355が初期位置に配置された状態において基板ボックス311におけるボックスベース351の右向きの壁面に突出先端部分が対面し、初期位置に対して基板ボックス311の中央側への更なる破損用部材355の回動を制限する機能を有する。
下側の係止爪部396に対応させて、図16に示すように、シールカバー部材319には、下側の壁面に対して内面側に突出したカバー側係止部411が設けられている。カバー側係止部411は、シールカバー部材319が基板ボックス311の右側から取り付けられる場合に下側係止部396aの経路上に介在するように突出量が設定されている。シールカバー部材319が取付位置に配置された状態においては、下側係止部396aがカバー側係止部411の左側に位置し、カバー側係止部411の右側への移動が下側係止部396aにより制限される。このため、シールカバー部材319を右側へ移動させてシールカバー部材319を基板ボックスから取り外す操作がカバー側係止部411と下側係止部396aとの係合により制限され、基板ボックス311に対してシールカバー部材319が取付位置に固定される。
下側係止部396aは、図17(b)に示すように、下方に台形形状に突出し、その右側部分は右下側を向いた傾斜面とされ、左側部分は左側を向いた端面を有する形状とされている。シールカバー部材319が基板ボックス311に取り付けられる場合には、下側係止部396aにおける右側の傾斜面に対してカバー側係止部411が右側より当接し、下側の係止爪部396の先端部分に対して傾斜面の向く方向とは逆向きとなる斜め上側に押圧力が作用する。この押圧力により下側の係止爪部396には曲げ力が加えられ、下側係止部396aが上側へ変位する方向側へ下側の係止爪部396が弾性変形する。傾斜面への押圧力が大きくなるほど、下側の係止爪部396が大きく弾性変形し、それに伴って下側係止部396aが上側へ変位する。一定以上の操作力がシールカバー部材319に付加されると、カバー側係止部411が下側係止部396aの傾斜面を押し上げて下側係止部396aの左側へ移動し、シールカバー部材319が下側係止部396aとカバー側係止部との係合により係止された状態となってシールカバー部材319が取付位置に固定される(図20(a)参照)。
一方、取付位置からシールカバー部材319を取り外す方向側へ操作が行われた場合には、図20(a)に示すように、下側係止部396aの端面にカバー側係止部411が当接して下側係止部396aの端面に垂直な方向に押圧力が作用する。すなわち下側の係止爪部396に対して左右方向側に沿った圧縮力を発生させる方向側へ押圧力が作用することとなり、下側係止部396aを上側へ変位させる方向側に一致した下側の係止爪部396を弾性変形させる方向側への押圧力としては作用しない。このため、シールカバー部材319は、下側の係止爪部396により係止された状態においては取付位置から取り外し不能又は困難な設定とされている。
シールカバー部材319を取り外すためには、その前に下側の係止爪部396を有する
破損用部材355を初期位置から突出位置に移動させ、下側の係止爪部396によるシールカバー部材319の係止状態を解除しておく必要がある。破損用部材355を突出位置側に移動させると封印シール313が破損することとなるので、基板ボックス311からシールカバー部材319を取り外す際には、予め封印シール313を破損させることとなる。よって、シールカバー部材319が取り外された場合には封印シール313を破損させて痕跡を残すことができる。従って、検査等のための正規の基板ボックス311の開放操作において封印シール313を確実に破損させることができ、また、シールカバー部材319を取り外して不正行為を試みても封印シール313に痕跡が残ることとなるので不正行為を困難なものとすることができる。
シールカバー部材319を取付位置に保持する係合部は、破損用部材355の上下に設けられ、下側における下側の係止爪部396だけでなく、上側においてベース軸受部383の外形が係合部とされている。破損用部材355のベース軸受部383の外形形状は、図20(a)に示すように、円筒形状に対して左上側に突出した係止角部398を有する形状とされている。係止角部398は、シールカバー部材319に係合してシールカバー部材319を取付位置に保持する機能を有すると共に、破損用部材355が突出位置側に回動した場合に基板ボックス311におけるボックスベース351の一部に当接し、破損用部材355の回動量を略90度に制限する機能を有する。
この破損用部材355の係止角部398に対応させて、シールカバー部材319には、カバー係合フック部410が設けられている。カバー係合フック部410は、シールカバー部材319の右上側部分において前後の壁面を接続する壁部分よりシールカバー部材319の取付方向に一致する左方に突出して一体形成されている(図16参照)。
カバー係合フック部410の突出先端側には、図16に示すように、下方に突出して一体形成されたフック係止部410aが設けられている。フック係止部410aは、図20(a)に示すように、シールカバー部材319が取付位置に配置された状態において、ベース軸受部383の係止角部398の左側に位置する突出量に設定されている。また、シールカバー部材319が取付位置に配置された状態において、破損用部材355が突出位置側へ回動した場合に、フック係止部410aの下端より係止角部398の突端が下側に位置するように、フック係止部410aの突出量が設定されている。このフック係止部410aの外形形状は、その左側部分が左下側を向いた傾斜面とされ、右側部分が右側を向いた壁面を有する形状とされている。
シールカバー部材319が取付位置に配置された状態においては、フック係止部410aの右側を向いた壁面が係止角部398に対面し、係止角部398の左側を向く面でカバー係合フック部410の移動が制限されている。シールカバー部材319を取り外し方向側へ移動させようとした場合には、係止角部398に当接したフック係止部410aの壁面の向く方向とは逆の左向きに押圧力が作用する。初期位置に配置された破損用部材355は、係止角部398を右側へ移動させる方向側には回動不能であるため、カバー係合フック部410が突出先端側へ引っ張られる方向側へ押圧力が作用する。この場合、フック係止部410aを上側へ変位させる方向側へカバー係合フック部410を弾性変形させる押圧力は作用しない。このため、シールカバー部材319を一旦取り付けた後には、破損用部材355が初期位置に配置されている限り、シールカバー部材319の取り外し方向側への移動が制限され、シールカバー部材319の取り外しが不能又は困難な設定とされている。
破損用部材355を初期位置から突出位置側に移動させた場合には、係止角部398がフック係止部410aの右側に対面した位置より下方に移動する。係止角部398の先端部分がフック係止部410aより下側に位置すると、係止角部398の上側の面が斜め上
方を向いた状態となり、シールカバー部材319を取り外し方向側へ移動させると、フック係止部410aが係止角部398の上側の面に当接し、フック係止部410aに対して斜め上方への押圧力が作用する。この押圧力により、カバー係合フック部410には曲げ力が加えられ、フック係止部410aが上側へ変位する方向側へカバー係合フック部410が弾性変形する。一定以上の操作力がシールカバー部材319に付加されると、フック係止部410aがベース軸受部383の上側を乗り越えて右側へと移動し、シールカバー部材319が基板ボックス311から右側へ取り外される。
シールカバー部材319を取り外すためには、その前に係止角部398を有する破損用部材355を初期位置から突出位置に移動させ、係止角部398によるカバー係合フック部410の係止状態を解除しておく必要がある。この解除は、破損用部材355を移動させることで実施可能である一方、封印シール313が破損するため、シールカバー部材319が取り外された場合には封印シール313に痕跡を残すことができる。従って、基板ボックス311の開放操作において封印シール313を確実に破損させることができ、また、シールカバー部材319を取り外して行われる不正行為を困難なものとすることができる。
シールカバー部材319を取り付ける場合には、予め破損用部材355を初期位置に配置する。その後に、シールカバー部材319を左側へ押し込む操作を行うと、フック係止部410aの左側部分における傾斜面とベース軸受部383における円柱状の外面とが当接する。この場合においても、フック係止部410aを通じてフック係止部410aが上側へ変位する方向側へカバー係合フック部410が弾性変形する。一定以上の操作力がシールカバー部材319に付加されると、フック係止部410aがベース軸受部383の上側を乗り越えて係止角部398の左側へと移動し、シールカバー部材319がベース軸受部383とカバー係合フック部410との係合により係止された状態となってシールカバー部材319が取付位置に固定される。
なお、シールカバー部材319を取付位置に保持する構造は、上記に限らず、他の構造により構成しても良い。この場合に、シールカバー部材319は、破損用部材355が初期位置から移動して封印シール313を破損させることを必要条件として取り外し可能とすることが、不正防止の観点から好ましい。
次に破損突部386について説明する。破損突部386は、図17(b)に示すように、破損用部材355における破損板金382の上下方向略中央部分に対して左側に突出した先端部に設けられている。ベース板部384の上下方向における略中央部分は、左側に突出した形状とされ、図17(a)に示すように、その突出した左側端部より前側に突出して破損突部386が設けられている。この破損突部386は、破損用部材355を初期位置から突出位置に移動させた場合に封印シール313の前面部401を破損させる部位として設けられている。
破損突部386は、ベース板部384の板面より前側に突出した突条部388がベース板部384より左側に延長して形成され、その突条部388の先端側端部において前方側に突出形成されている。また、ベース板部384の板面は、突条部388を先端とするようにして略三角形状で左側に突出して一体形成されている。破損突部386は、封印シール313を破損させる部位であるため、その破損に要する力の反力が破損突部386の一部に付加される。このため、ベース板部384の突出部分と突条部388により破損突部386とベース板部384との間部分が補強され、破損突部386から離間した基端側に行くほど大きく曲げ力が作用しても破損が生じにくい設定とされている。
ここで、図17、図19及び図20に加えて図21を主に参照して、破損突部386の
構成詳細について更に説明する。図21(a)は、主制御装置160を右側から見た側面図であり、図21(b)は、図21(a)に対してシールカバー部材319を省略した状態を示し、図21(c)は、図21(b)に対して封印シール313を省略した状態を示している。
破損突部386が設けられる位置は、封印シール313の前面部401の横幅分、すなわち前側取付板部371,372の横幅分と略一致する長さ分、破損板金382の右側端縁に対して左側に偏った位置に設定されている。このため、図20(b)に示すように、破損突部386が封印シール313の前面部401における左端の外縁に対して左側に近接した状態において、破損板金382の右側端縁に封印シール313の側面部403の内面側すなわち裏面側に近接して配置される。よって、破損用部材355が動作を開始することで、破損板金382が封印シール313の側面部403に裏面側より当接し、この当接時期とほぼ同時期に、破損突部386が封印シール313の前面部401に左端の縁側より当接する。これにより、少ない操作量でも封印シール313の複数箇所を破損させることができる。
一方、破損突部386と破損板金382との封印シール313に対する当接が同時となると、破損用部材355の操作に必要な力が過大となる可能性がある。この場合には、破損突部386と破損板金382との封印シール313に対する当接時期をずらすようにすることで操作力を低減することができる。破損板金382の右側端縁に対して破損突部386を左側に更に離間させ、破損突部386が封印シール313に当接する時期を破損板金382より遅くなるようにしても良い。また、破損板金382の右側端縁に対して破損突部386を右側に近づくように配置し、破損突部386が破損板金382より早く封印シール313に当接する設定としても良い。
また、破損突部386は、図21(b)及び図21(c)に示すように、封印シール313の前面部401が貼付される前側取付板部371,372の前面に対して略垂直な前側(図21(c)の左側)に突出するようにして基板ボックス311に取り付けられる。破損突部386の長さは、前側取付板部371,372の前面に対して裏面側に根元部分が位置し、表面側まで突出する設定とされている。また、突条部388は、その上下に設けられる前側取付板部371,372の隙間内に位置し、破損突部386を補強しつつ、且つ、前側取付板部371,372の前面に対しては裏面側に位置して封印シール313の前面部401における裏面に接触しない設定とされている。
破損用部材355の初期位置において、破損突部386は、図19(a)に示すように、封印シール313の前面部401が貼付される前側上部取付板部371及び前側下部取付板部372の前面に対して基板ボックス311の中央側に位置している。ベース軸受部383を中心として破損用部材355が初期位置から突出位置へと回動する場合には、破損突部386は、図19(a)に示す初期位置から、図19(b)に示すように、ベース軸受部383を中心として回動する。前側上部取付板部371の下側の端縁371aと前側下部取付板部372の上側の端縁372aとの間には、破損突部386の経路(図19(b)に示す二本の一点鎖線の間部分)上に前側取付板部371,372が位置しないように、破損突部386の経路より上下方向に幅広い隙間が形成されている。この隙間を通じて、破損突部386は、前側上部取付板部371と前側下部取付板部372との間から封印シール313の前面部401に当接可能とされ、破損用部材355が初期位置から突出位置へと回動した場合に、封印シール313の前面部401に沿って円弧状に進行して封印シール313を破損させる。
破損突部386は、図17(b)に示すように、前後方向において略一定の断面形状に形成され、その初期位置から突出位置側への進行方向先端側に相当する右側端部は、先細
りして鋭角に尖った形状とされている。このため、破損突部386が封印シール313に当接した場合に封印シール313が分断され易く、破損用部材355の操作に要する操作力を軽減することができる。なお、破損突部386の進行方向先端側の端面が、進行方向を向いた面として一定以上の幅(例えば、1.5mm以上の幅)を有して形成されても良く、この場合には、封印シール313が分断されるだけでなく、破損突部386が進行した領域が削り取られるように封印シール313が破損することとなり、封印シール313が破損したことを封印シール313の前面部401を視認して確認し易いものとすることができる。
次に、シールカバー部材319について説明する。シールカバー部材319は、図18(a)等に示すように、略矩形の箱状に形成された透明な合成樹脂製の部材である。シールカバー部材319は、取付板部371〜373に貼付された封印シール313の表面の大部分を覆う部材であり、基板ボックス311の中央側に相当する左側が開口した略箱状に形成されている。シールカバー部材319の箱状部分を形成する前後の壁部319a,319bは、取付板部371〜373を間に挟み込み可能な隙間を隔てて設けられている。シールカバー部材319の前後の壁部319a,319bの左右方向における長さは、基板ボックス311において主制御基板312を収容する箱状部分より取付板部371〜373が突出した量と略一致し、封印シール313の外周全体が収容可能な大きさに設定されている。シールカバー部材319の前後の壁部319a,319bの左右方向における長さは、破損用部材355より長く設定され、破損用部材355の全体が前後の壁部319a,319bにより覆われる。シールカバー部材319の基板ボックス311中央側の端縁は、ボックスベース351及びボックスカバー352においてシールカバー部材319側を向いた壁面に近接しつつ対面し、ほぼ隙間が無い状態とされている。以下、前後の壁部319a,319bのうち、前側を前壁部319aと称し、後側を後壁部319bと称す。
シールカバー部材319における後壁部319bは、基板ボックス311に取り付けられた状態においてボックスカバー352の後側に重なるように配置される(図20(b)参照)。後側の壁部319bの左右方向における突出長さは、ボックスベース351に対してボックスカバー352を後側に移動可能な位置までスライド移動させてもボックスカバー352の後側に介在する設定とされ、ボックスベース351からシールカバー部材319を取り外し方向に相当する右側へ移動することを必要条件として、ボックスカバー352はボックスベース351から分離可能とされ、基板ボックス311を開放することができる。
シールカバー部材319における右側部分には、図18(a)に示すように、前壁部319aと後壁部319bとの右側端部を前後に接続する壁面を形成する側壁部319cが設けられている。前壁部319a、後壁部319b及び側壁部319cは、それぞれ封印シール313の前面部401、背面部402及び側面部403に対面し、前壁部319a及び後壁部319bは、略0.5mm以下の隙間で密着した状態で封印シール313に対面する設定とされている。前壁部319a及び後壁部319bは、封印シール313において破損用部材355により破損させられることとなる前面部401及び側面部403に対面し、これら部位において封印シール313が取付板部371〜373とシールカバー部材319とにより挟まれた状態とされることにより封印シール313の移動が制限される。このため、破損用部材355による押圧力が封印シール313に作用しても、封印シール313が取付板部371〜373から剥がれ難く、封印シール313が破断を伴って破損し易くすることができる。
シールカバー部材319の側壁部319cには、図18(a)に示すように、シールカバー部材319の内外を貫通する縦長の貫通穴412が設けられている。縦長の貫通穴4
12は、図21(a)等に示すように、基板ボックス311の側面視において破損用部材355より僅かに大きく形成され、また、破損用部材355が初期位置から突出位置へ回動した場合に破損用部材355を通過可能な大きさにて貫通形成されている。このため、破損用部材355を初期位置から突出位置へ回動操作してもシールカバー部材319の貫通穴412周りに干渉することなく、破損用部材355による封印シール313の切断操作を行うことができる。
シールカバー部材319の貫通穴412は、基板ボックス311の側面視において破損用部材355より僅かに大きく形成され、破損用部材355を挿通可能な大きさに設定されている。破損用部材355におけるベース軸受部383の一部は、基板ボックス311に取り付けられた状態において縦長の貫通穴412内に入り込んで配置されている。
縦長の貫通穴412における上下の両端部側には、図18(d)に示すように、上下をつなぐ途中部分より幅広い略矩形状の矩形開口部413,414が開口形成されている。上側の矩形開口部413は、破損用部材355のベース軸受部383が挿通可能な大きさに設定されている。基板ボックス311に対してシールカバー部材319を取り外す前に破損用部材355を突出位置まで操作すると、シールカバー部材319が基板ボックス311から取り外し可能な状態となる。その後に、シールカバー部材319を基板ボックス311から取り外すと、破損用部材355のベース軸受部383がシールカバー部材319の内側に位置し、ベース軸受部383から離れた破損操作部385等の一部分がシールカバー部材319の外側に突出する。この場合に、上側の矩形開口部413を通じて、ベース軸受部383をシールカバー部材319の外側に引き出すことができる。この引き出し操作によりシールカバー部材319と破損用部材355とを分離可能とし、両部材のいずれか又は双方の再利用が可能とされている。
縦長の貫通穴412の下端部側における矩形開口部414は、破損用部材355の破損操作部385を含めた破損操作部385の回動先端側部分が挿通可能な大きさに設定されている。基板ボックス311にシールカバー部材319が取り付けられた状態においては、シールカバー部材319の外側に破損操作部385における前後方向の貫通穴が突出した状態とされている(図12参照)。このため、破損操作部385に対して動作に必要な操作力を付加し易い設定とすることができる。
上下の矩形開口部413,414をつなぐ途中部分は、上下方向の中央部分を除いて上下に連続する一定幅に貫通して形成されている。この部位を通じて破損用部材355のベース板部384及び破損板金382がシールカバー部材319の内側に位置する初期位置から、その外側に位置する突出位置まで変位可能とされている。
シールカバー部材319の前壁部319aには、図18(a)に示すように、上下方向における略中央部分において前方側に突出した横長のカバー前壁突条部416が設けられている。カバー前壁突条部416は、同一の断面略矩形状で左右方向に連続した形状とされ、その内面側には、カバー前壁突条部416の外面に対して略一定の厚み分オフセットされた内面により左右方向に連続した断面矩形状の前壁長溝部417が形成されている。
前壁長溝部417は、図18(d)に示すように、縦長の貫通穴412の一部を構成し、縦長の貫通穴412の上下方向における略中央部分において前壁長溝部417により一定幅で前方側に突出した断面部分を形成している。前壁長溝部417は、破損用部材355が初期位置から突出位置に移動する際に破損突部386が通過する部位であり、破損突部386の経路に干渉しない程度に十分な上下幅及び前後深さに設定されている。
ここで、前壁長溝部417の上下幅は、破損突部386が通過する前側取付板部371
,372の隙間より上下に広い範囲に開口して形成されることが好ましく、前後深さは、前壁長溝部417の底部分に相当する前側の壁面と封印シール313との隙間が前側取付板部371,372の隙間幅より大きく形成されることが好ましい。封印シール313が前側取付板部371,372における一方側の端縁付近で破断し、他方側の端縁を基準として前方側に封印シール313が突出しても、その封印シール313の切片が前壁長溝部417の前側に自由に突出することができるので、破損突部386の進行を阻害する影響を抑制することができ、破損操作部385の操作力が過大にならないために好ましい。
前壁長溝部417は、図21(a)に示すように、破損突部386が通過する経路に沿って形成された先端側においてシールカバー部材319の外方に貫通形成されている。このため、基板ボックス311を右側面側から視認した場合に、破損突部386と、破損突部386が封印シール313を破損させる部位の全体を直視することができる。よって、封印シール313の状態を確認する場合、シールカバー部材319を介すことがないので、封印シール313の僅かな破損も認識し易いものとすることができる。
前壁長溝部417の連続する方向は、基板ボックス311の左右方向に一致し、この方向は、基板ボックス311が主制御装置ユニット300として回動可能に支持される回動軸331(図10参照)の軸方向(上下方向)に対して垂直な方向側に相当し、その回動軸331から遠い側の端部において前壁長溝部417が開放した状態とされる。このため、作業者は、回動軸331を中心として主制御装置ユニット300を回動操作することで、前壁長溝部417の開放側部分を手前側に引き出すことで、基板ボックス311をパチンコ機10から取り外すことなく、破損突部386が封印シール313を破損させる部位の状態を容易に確認することができる。
ただし、基板ボックス311の右側部分に対しては、図10及び図11に示すように、外側カバー部材302が取り付けられ、この外側カバー部材302によってシールカバー部材319の右側端部は覆われる。前壁長溝部417が外側に貫通する部位を形成する縦長の貫通穴412は、外側カバー部材302によって閉鎖された状態とされ、基板ボックス311の外側から縦長の貫通穴412の不正行為が困難な設定とされている。外側カバー部材302には、シールカバー部材319の右側部分を覆う透明な壁面302aが設けられ、この壁面302aを通じて前壁長溝部417の状態が確認可能とされている。この壁面302aは、前壁長溝部417を形成する前壁突条部416の連続する左右方向において厚みを有する平板状に形成され、前壁長溝部417の内部を外側カバー部材302が取り付けられた状態においても視認し易く設定されている。また、外側カバー部材302によりシールカバー部材319の右側端部が覆われることで、破損用部材355を突出位置側への操作が制限され、不用意に破損用部材355が操作されて封印シール313が破損することが防止されている。
前壁長溝部417に対して破損突部386は、基板ボックス311の正面視において前壁長溝部417を形成する前壁突条部416の左側端部に位置している(図12参照)。このため、前壁長溝部417の最奥側に破損突部386が配置され、その手前側には封印シール313の前面部401において裏面側が支持されていない部位が位置することとなる。よって、前壁長溝部417を通じて破損突部386を切除する等の不正行為をしようとした場合に、封印シール313が傷付きやすく、不正行為を困難なものとすることができる。
シールカバー部材319におけるカバー前壁突条部416の上側及び下側には、基板ボックス311の中央側に位置する外縁より基板ボックス311の外側に向けて凹んで形成された溝状の締結解除溝部418が設けられている。締結解除溝部418は、前側取付板部371,372の貫通穴376に対して前側に重なる部位を開放する位置まで連続して
形成され、シールカバー部材319が取り付けられた状態でも板部固定ネジ318の外側を覆うことがない形状とされ、板部固定ネジ318を取り外し可能としている。
この締結解除溝部418は、シールカバー部材319の取付及び取り外し方向に対応する左右方向に沿って前壁部319aの外縁まで連続して形成されている。詳しくは、前側取付板部371,372の貫通穴376に重なる位置を含めてシールカバー部材319の取付方向に相当する左方向に連続した形状とされ、シールカバー部材319の取り外し操作がなされた場合に、前側取付板部371,372の貫通穴376にシールカバー部材319が重ならない設定とされている。この締結解除溝部418の上下幅は、板部固定ネジ318の頭部より大きな外形に設定することはもちろん、前側取付板部371,372の貫通穴376における前側縁部分の外形より大きい設定とすることが好ましい。これにより、板部固定ネジ318の取り外しを確実に実行可能とし、且つ、板部固定ネジ318の取り外しに際して前側取付板部371,372の貫通穴376周りで封印シール313が破られて前方側に破損部分が突出した状態とされても、その部位がシールカバー部材319に当接しないので、封印シール313とシールカバー部材319との前後方向における隙間を少なく設定して不正行為を抑制しつつもシールカバー部材319の取り外し操作に対する影響を抑制することができる。
次に、基板ボックス311を開放する手順について、図22を主に参照して説明する。図22は、破損用部材355の動作を示した基板ボックス311の右側部分の斜視図であり、図22(a)は、破損用部材355が初期位置に配置された状態を示し、図22(b)は、破損用部材355が突出位置に配置された状態を示し、図22(c)は、図22(b)に対してシールカバー部材319を省略して示している。
基板ボックス311の開放に際しては、予め、パチンコ機10から基板ボックス311を取り外す。この取り外し操作は、主制御装置160を遊技盤23の裏面側に露出させた後に、ボックス連結部材301と基板ボックス311とを接続する切断部335(図10参照)をニッパ等の工具で切断し、基板ボックス311とボックス連結部材301の連結を解除し、更に、外側カバー部材302のカバー固定用部材342を遊技板23bの裏面側より取り外す。すると、遊技盤23に対して、外側カバー部材302が取り付けられた状態で基板ボックス311が取り外し可能となる。その後に、基板ボックス311に対して外側カバー部材302を取り外すと、基板ボックス311の右側部分において外側カバー部材302に覆われていた部位が露出される。基板ボックス311が取り外された後には、基板ボックス311の外周部分にて開放封印部366〜369においてなされた封印状態に対して予め開放操作用に設定された切断部を切断する。そうすると、基板ボックス311は、封印シール313及び板部固定ネジ318により開放方向側への移動が制限された状態となる(図22(a)の状態)。
封印シール313と板部固定ネジ318とによる移動制限の解除は、まず、シールカバー部材319の締結解除溝部418を通じて、封印シール313により覆われた板部固定ネジ318の頭部を露出させる。すなわち、封印シール313の表面をドライバ等の工具の先端を押し付ける等して破損させる。その破損操作後には、板部固定ネジ318の頭部に工具を当接させ、板部固定ネジ318を取り外し方向に回転させて板部固定ネジ318を基板ボックス311から取り外す(図22(b)参照)。
板部固定ネジ318の取り外し後には、破損操作部385を摘んで操作するか、或いは破損操作部385の貫通穴に工具を挿通させて破損用部材355に回動力を付与し、破損操作部385を基板ボックス311の外側に引き出す(図22(b)参照)。この破損操作部385に対する回動操作により、破損用部材355は、破損板金382とベース板部384とが共に基板ボックス311に貼付された封印シール313の側面部403を横切
って移動し、封印シール313の側面部403が前後に分断される(図22(c)参照)。この封印シール313の前後の分断により、ボックスベース351とボックスカバー352との封印シール313による連結状態が解除され、ボックスベース351に対してボックスカバー352がスライド移動可能な状態となる。
破損操作部385に対する操作により、破損突部386がシールカバー部材319の外側まで進行すると、封印シール313の前面部401を横切るように左側より右側に破損突部386が移動し、封印シール313の前面部401がベース軸受部383を中心とした円弧状に破損させられる。
破損操作部385を操作した後には、シールカバー部材319を取り外し、その後に、閉鎖状態となっている基板ボックス311のボックスベース351とボックスカバー352とを互いの厚み方向に離間可能な位置までスライド移動させる。この移動操作は、図14(b)に示すように、ボックスベース351に対してボックスカバー352を封印シール313が設けられる側とは逆の方向側へスライド移動させて行う。ボックスベース351の係止部362の突出長さに相当する分以上、ボックスカバー352に対して係止部362の突出方向に沿った方向側(図14の矢印方向側)へスライド操作がなされると、ボックスカバー352に設けられる各フック部361が、対応する受け部364に対して基板ボックス311の厚み方向において重なっていた位置から外れ、ボックスベース351とボックスカバー352とを厚み方向に離間可能な状態となる。その後、ボックスベース351とボックスカバー352とを互いの厚み方向に離間させることで基板ボックス311が開放される。
ここで、図14に加えて図23を主に参照して、本実施例における破損突部386の進行による封印シール313の破損後の態様について説明する。図23(a)は、本実施例における封印シール313の破損後の態様を模式的に示した図であり、封印シール313を展開して示している。図23(b)は、封印シール313の前側部分における破損後の態様を示す斜視図であり、図23(c)は、表面側から視認した封印シール313の破損突部386周りの破損の過程を模式的に示した図であり、図23(d)は、図23(b)の断面線における封印シール313の破損後の態様を示した断面図である。なお、図23(a)においては破損突部386が進行する経路の上下の位置を経路Rとして一点鎖線で示し、図23(a)及び図23(c)においては、封印シール313が支持される前側取付板部371,372の端縁371a,372aを一点鎖線で示し、図23(d)においては、前側取付板部371,372の一部及び破損突部386を併せて示している。
破損後の封印シール313は、図23(a)に示すように、封印シール313の側面部403において上下方向に破断線が延び、封印シール313が左右に分断されて破損している。この破損部分は、破損用部材355の破損板金382の通過により形成され、破損板金382に対して前後の取付板部371〜373までの前後隙間は上下方向で一定で且つ少ない隙間寸法(例えば、0.5mm以下)に設定され、直線的に近い状態に破断線が進行しつつ破損する。
封印シール313の前面部401は、高さ方向の略中間部分において左右方向に破断線が延びて破損する。この破損部分は、破損突部386の進行により破損した部分であり、封印シール313が貼付される前側取付板部371,372において形成される隙間Sの幅内において破損部分が横断して形成される。破損突部386の進行により、複製防止表示部404cにおいて表示される模様の一部が破損し、また、識別情報表示部404dに表示される管理番号及び管理番号に対応したコード情報が少なくとも一部の文字、数字、記号等の情報を表面側から確認不能及び読み取り不能な状態に破損する。この破損により、封印シール313の再利用が困難な設定とされている。
破損突部386は、封印シール313の前面部401の平面に沿って進行するため、図23(c)に示すように、封印シール313の進行方向先端側には、封印シール313に対する押圧力により襞状に皺が形成され易い。本実施例においては、破損突部386の進行方向側の面として、進行方向側を向いた例えば上下幅0.5mm程度の右向き面が設けられており、鋭利なものとは対照的な切れ味の悪い刃物で押し切るような状態で封印シール313が上下に分断させられる。このため、封印シール313の進行方向側に皺が形成され易く、封印シール313の破断線の周辺にも上下方向に延びる皺が形成され易い設定とされている。
破損突部386の経路Rに対して前側取付板部371,372の端縁371a,372aまでの距離は、破損開始直後における左側端部において下側が大きく、右側に破損突部386が進行するに従って上側部分が次第に大きくなる設定とされている。破損突部386の経路Rに沿って左端から一定距離移動した後の前面部401の破損部分における上側部分は、その部位に対応する下側部分に比べて、封印シール313が貼付されて支持された位置から、破損突部386が通過する位置までの距離が長く設定されている。このため、封印シール313の破損部分において上下に封印シール313を分断する破断線が上側へ進行し易いものとなり、上下方向において破断線が大きく起伏することとなる(図23(c)参照)。
また、破損突部386の経路に対して上側部分は、破損突部386の経路に対応する円弧の内側に位置する部位であり、下側に僅かに突出した円弧状の破損突部386の経路Rにおいて破損させられた封印シール313のうち上側部分における下端側の縁部分を上側へ巻き込む方向側に破損突部386が進行する。この円弧状の破損突部386の移動により進行方向の内側部分は封印シール313が進行する右方向に対して交差する上下方向(図23(c)の矢印参照)に引張力が作用し、破断線が進行方向側における斜め上方に向かうように進行し易く、加えて、その方向側における前側取付板部371,372との隙間寸法も大きく設定していることで上方側へ破断線が進行可能な量も大きな設定とされている。
更に、封印シール313の裏面側には接着剤が塗布されており、この接着剤によって破損突部386に封印シール313が付着することがあり、この破損突部386に封印シール313が付着することにより斜め方向側へ破断線が向かいつつ封印シール313が破断され易い。加えて、破損突部386の先端側面は、回動中心の径方向に垂直となる進行方向に対して僅かに経路の内側に向けて傾斜して形成され、詳細には、略15度、経路の内側に傾いて設けられている。これらの設定により、封印シール313の破損部分における上側の破断線が上下方向において起伏し易いものとされている。
破損突部386の経路に対して前側取付板部371,372の縁部分までの距離が短い部分、すなわち封印シール313の前面部401における左端から離間した下側部分は、封印シール313が固定された端縁372a付近を破損突部386が通過する。封印シール313が固定された端縁372aと破損突部386との間隔が短い分、その範囲内において端縁372aより上側に突出した封印シール313の縁部分は、破損突部386が次第に端縁372a側へと近づくことにより下側の端縁372a側に押し付けられる(図23(d)参照)。また、この下側の端縁側への押し付けにより、封印シール313の裏面側に付着していた接着材によって封印シール313が端縁372a付近に接着し易い設定とされている。本実施例においては、封印シール313の厚みより僅かに大きい(例えば、0.3mmから0.7mm)程度まで破損突部386の進行経路が前側下部取付板部372の上側の端縁372aまで近づく設定とされ、切断された封印シール313が、図23(b)に示すように、前側下部取付板部372の端縁372a及び隙間S側を向く隙間
側の内面に付着し易く、封印シール313を破損前の状態に引き延ばして復元することが困難とされている。
以上説明したように、基板ボックス311を開放する際には特定の操作として破損用部材355を初期位置から突出位置に回動させる操作が行われ、この破損用部材355の回動操作により封印シール313が破損させられる。封印シール313は、前側上部取付板部371と前側下部取付板部372との間の隙間部分を通過し、破損突部386の進行する円弧状の経路に沿って切断させられる。この破損突部386の進行方向は、前後方向を中心に回動する破損用部材355の回動動作によって封印シール313において前向きに貼付される前面部401に対して、その前面部401が延びる平面に沿った方向に設定されている。このため、封印シール313の前面部401に対して垂直方向側に破損用の部位が移動して封印シールを破損させる場合と比較して、封印シール313に進行方向において襞状に皺が形成され易い。よって、封印シール313が破損したものであることを確認し易く、また、一旦破損した封印シール313を不正の目的で元通りに近い見た目に復元する行為を困難なものとすることができる。
また、破損突部386は、封印シール313の前面部401内において、直線的でなく、円弧状に移動可能な経路に沿って進行する。このため、封印シール313に対しては、円弧の外側と内側とにおいて異なる力が作用し、破損の態様が異なるものとされ、また、経路の内側部分の方が封印シール313の破損が大きくなり易い。よって、不正行為として破損用部材355を回動動作させる特定の操作をした後に封印シール313を元通りに近い見た目に復元する場合には、破損の態様が経路の内外で異なる部位のそれぞれに対して実行しなければならないために、破損の復元作業を困難にすることができ、不正行為の実行をより確実に検出可能とすることができ、また、不正行為の抑制もすることができる。
前側上部取付板部371の下側の端縁371aは左右方向に直線的に形成されているのに対して、破損突部386は斜め下側に次第に移動する円弧状に設定されている。このため、前側上部取付板部371の下側の端縁371aと破損突部386の経路との間隔は、破損突部386の進行する過程において一定でなく変動する設定とされている。具体的には、破損突部386の破損開始に近い左側端部において少ない間隔に設定され、破損突部386が進行するに従って次第にその間隔が拡張され、最後の端部において再度間隔が縮小される設定とされている。即ち、破損突部386の進行に応じて封印シール313の支持される端部から破損突部386が通過する位置までの距離が変動する設定とされている。このため、封印シール313の破損部分として皺になったり、引き裂かれたりする領域が破損突部386の進行経路に対して変化することとなる。これにより、封印シール313の破損の態様を多様にし、破損の復元作業を困難にすることができる。
次に、図24及び図25を参照して、変形例について説明する。図24及び図25は、上記実施例に対する第1変形例から第4変形例を示した図である。まず、第1変形例について図24を参照して説明する。図24(a)は、第1変形例における基板ボックス501の右側部分の正面図であり、シールカバー部材502を断面視して示している。図24(b)は、図24(a)の断面線において破損突部521と封印シール313とを拡大視した断面図であり、図24(c)は、前側取付板部511,512の隙間形状を示した図であり、図24(d)は、破断後の封印シール313の態様を示した図である。なお、以下の説明においては、上記実施例と同一の部分については同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分のみについて説明する。
上記実施例における破損用部材355は、回動可能に支持され、封印シール313の前面部401に沿って破損突部386が円弧に沿った曲線状に進行する一方、破損突部38
6が通過する隙間を形成する前側取付板部371,372の端縁371a,372aは直線状に形成されていた。これに対し、第1変形例における破損突部521は、封印シール313の前面部401に沿って直線状に進行し、その進行方向に対して封印シール313が固定される前側取付板部511,512の端縁511a,512aが平行とされずに折れ線状に形成されている。また、上記実施例における破損用部材355は、シールカバー部材319を取り外す前に破損用部材355により封印シール313を破損させるものであったが、第1変形例においては、シールカバー部材319の取り外し操作により破損用部材355が封印シール313を破損させる方向側へ移動する。この第1変形例においては、上記実施例に対して破損用部材503、シールカバー部材502及びボックスベース504の形状が異なるものである。
破損用部材503は、ボックスベース504に対して基板ボックス501の外側に相当する右側のみにスライド移動可能とされてボックスベース504に取り付けられている。破損用部材503は、前後の取付板部511,512,373の間に取り付けられて前後方向への移動が制限され、破損用部材503のガイド壁部522が前側取付板部511,512の上下に位置して上下方向への移動が制限されている。
破損用部材503の上下の端部には、2つの係止爪部523,524がそれぞれ設けられ、内側に位置する2つの係止爪部523により破損用部材503が初期位置に保持される。この保持構造は、上記実施例における破損用部材503の下部に設けられる上側の係止爪部395と同一の構成とされている。ボックスベース351には、内側の2つの係止爪部523に対応した受け部513が前側取付板部511,512の上側及び下側に突出して一体形成され、基板ボックス501の外側に相当する右側から破損用部材503を左側へスライド移動させることで進行方向先端側の傾斜面により係止爪部523が外側へ一旦押し出され、受け部513を乗り越えると元の位置に復帰して破損用部材503が初期位置に取り付けられて保持される。
シールカバー部材502は、前後の取付板部511,512,373及び破損用部材503の前後、上下及び右側を覆いつつ、基板ボックス501への取付方向に相当する左側が開口した形状とされている。シールカバー部材502における開口端縁側の内面には、破損用部材503の上下の端部における外側の係止爪部524に係止可能なカバー側係止部502aが設けられる。シールカバー部材502のカバー側係止部502aが破損用部材503の係止爪部524に係止されることで、シールカバー部材502が基板ボックス501に取付固定される。
また、破損用部材503においては、上記実施例における破損操作部385(図17参照)が設けられず、シールカバー部材502においては、上記実施例における縦長の貫通穴412が閉鎖されて壁状に形成されている(図18参照)。第1変形例における破損用部材503は、シールカバー部材502に対して基板ボックス501の外方側への外力を付加することでシールカバー部材502と共に、基板ボックス501の外方へ取り外され、破損突部521により封印シール313の前面部401が破損させられる。
前側取付板部511,512の端縁511a,512aは、図24(c)に拡大視して示すように、折れ線状に形成されている。直線状に進行する破損突部521の経路(図24(c)の一点鎖線)に対しては、前側取付板部511,512の端縁511a,512aまでの距離が上下それぞれにおいて一定でなく変化する。また、破損突部521の経路に対して前側取付板部511,512の端縁511a,512aは、それらの隙間が次第に増加した後に減少する極大部511b,512bと、次第に減少した後に拡大する極小部511c,512cとを有する設定とされている。破損突部521の経路と前側取付板部511,512の端縁511a,512aとの距離は、上下で比較すると、ほぼ全域に
おいて異なる長さに設定されている。
かかる設定で前側取付板部511,512の隙間を設けることにより、破損突部521の経路に対して前側取付板部511,512の端縁511a,512aまでの距離の長短で破損の態様が変化し、更に、その距離が破損突部521の上下において異なる設定とされているので、破断線の進行方向を複雑にすることができる。また、破損突部521の経路の途中にその経路と端縁511a,512aとの距離が極大又は極小となる極大部511b,512b及び極小部511c,512cが設けられることでも封印シール313の破断線の態様を複雑にし、且つ、隙間の内側に突出した部分により凹みの奥側へ進行した破断線の修復を困難にすることができる。これらの封印シール313の破断線の態様が変化に富むことで、破損突部521が直線的に進行する場合であっても、封印シール313を破損前の状態に引き延ばして復元することが困難なものとすることができる。
また、破損突部521は、図24(b)に示すように、進行方向先端側(図24(b)の右側)に向いて封印シール313が当接する面側が略くの字状に形成され、進行方向後端側に凹んだ形をした一定の断面形状とされている。破損突部521における封印シール313との当接面の厚み、すなわち、封印シール313の板面に沿った幅は、略2mmとされ、この幅方向(図24(b)の紙面垂直方向)の全域に封印シール313が当接して封印シール313が破損する。
破損後の封印シール313は、図24(d)に示すように、破損突部521の経路部分が前側取付板部511,512に固定された部位とは別に削られて帯状の別部分を形成する。封印シール313の材質は、脆性を有する紙の材質とし、破損突部521の経路に対して前側取付板部511,512の端縁511a,512aまでの距離は、左側端部に相当する破損開始直後では少なく設定し、また、封印シール313の板面に沿った破損突部521の幅が一定以上(例えば、2mm)に設定されている。これらの設定により、帯状に封印シール313が切除される態様としているのである。なお、封印シール313の材質が脆いほど、また、破損突部521の形状として上下幅が広いほど、破損後の封印シール313の一部が帯状に切除される態様とすることができる。また、封印シール313の板面に沿った破損突部521の幅方向において破損突部521が一定の形状とされる必要はなく、幅方向における中央部側が両端側に対して凹んだ形状としても、又は幅方向の両端側において進行方向先端側に位置した部位が離間して設けられても、破損後の封印シール313の一部が帯状に切除される態様とすることができる。封印シール313が帯状に破損すると、封印シール313を一見しただけで、基板ボックス311の開放操作がされた後であることを認識することができる。
破損突部521の当接面の凹みの最奥となる底部521aは、封印シール313の表面より前側に位置する設定とされている。そして、その底部521aより封印シール313に近い側の当接面は、破損突部521の進行方向に対して封印シール313の裏面側に向けて傾斜した接着面側向面521bとされ、底部521aより封印シール313から離間した側に連続する面は、封印シール313の表面側に向けて傾斜した表面側向面521cとして形成されている。
ここで、封印シール313の前面部401における裏面側の面には、封印シール313を前側取付板部511,512に固定するための接着剤が設けられている。このため、破損突部521が進行した場合に接着面側向面521bに接着剤が付着し易く、その付着により封印シール313の変形及び破損が促進される。よって、基板ボックス501の開放操作をした後に封印シール313を元通りに近い見た目に復元する行為を困難にすることができる。また、帯状の破損部分が接着面側向面521bにより封印シール313の表面側に押し出されるため、基板ボックス501の開放操作がされた後であることを一層認識
し易いものとすることができる。
また、接着面側向面521bにより封印シール313の表面側に押し出された帯状の破損部分が表面側向面521cにより破損突部521の進行方向先端側に押し出される(図24(b)の矢印方向側)。よって、帯状の破損部分は、破損突部521の進行方向先端側に掻き集められるか、又はロール状に巻き回されて集約させられることで封印シール313の表面側に突出し易く、封印シール313の前面部401を正面側でなく斜め側方から視認したとしても、基板ボックス501の開放操作がされた後であることをより確実に認識可能とすることができる。
次に、第2変形例から第4変形例について図25を参照して説明する。図25(a)は第2変形例における破損突部601周りを模式的に示した図であり、破損ベース602に破損突部601が支持される構造を示す下側から見た断面図を右側中央部に図示すると共に、その上下及び左側に側面図及び背面図と、図25(b)は、第2変形例における前側取付板部611,612の隙間形状を破損突部601の経路と共に示した図であり、図25(c)は、第2変形例における破損後の封印シール313を示した図であり、図25(d)及び図25(e)は、第3及び第4変形例における前側取付板部621,622,631,632の隙間形状を破損突部601の経路と共に示した図である。なお、図25(b)においては、破損突部601の進行方向先端側における幅に対応した経路を一点鎖線で示し、図25(d)及び図25(e)においては、破損突部601の進行方向先端側における中央部分の経路を一点鎖線で示している。
第2変形例は、上記した第1変形例に対して、破損突部601が破損ベース602とは別に形成され、破損ベース602の進行に対して破損突部601がその進行方向に交差する上下方向に変位可能とした破損用部材600が設けられている。そして、基板ボックスからのシールカバー部材502の取り外し操作により、破損突部601は、シールカバー部材502の取り外し方向側への移動とは別に上下に変位し、破損突部601の経路が封印シール313の前面部401に沿って折れ線状に形成される。また、破損突部601が進行途中において、上下方向へ移動制限が緩和されて移動可能な範囲が大きく設定され、その途中部分においては進行経路が破損操作毎に異なり易く設定されている。。
破損突部601は、破損ベース602の後端部に軸ピンにより揺動可能に取り付けられた合成樹脂製の破損突片603の一部として形成されている。破損突片603には、一端側に破損突部601が設けられ、中央側に位置する本体部分において左右方向に延びる軸穴が形成され、他端側にガイド突部604が円柱状に突出して形成されている。ガイド突部604は、ボックスベースに対して前側取付板部611の裏面側に取り付けられるガイド壁部613に形成される溝内に入り込む長さに設定されている。ガイド壁部613の溝は、左右方向において上下に変位する折れ線状に形成され、図25(b)に示すように、封印シール313と交差する封印シール313の板面内にて破損突部601が上下に変位する折れ線状の経路に沿って進行可能に形成されている。また、ガイド壁部613は、ガイド突部604の進行可能な方向を制限する縁部分として、略中間部分を含む一部分において幅広の溝を形成する幅広形成部613aを有している。幅広形成部613aは、ガイド突部604の外形に対して十分な隙間が設けられるように、例えば、ガイド突部604の外形の略2倍の幅に設定されている。
破損用部材600が取り外し方向側に相当する右側へ移動すると、ガイド突部604がガイド壁部613の縁部分に当接し、ガイド壁部613の溝が連続する方向に沿ってガイド突部604が案内される。これにより、破損突部601が上側又は下側に変位しつつ右側へ移動することとなり、図25(b)に示すように、山谷が連続した折れ線状に破損突部601の経路が形成される。
幅広形成部613aが設けられる区間においては、ガイド壁部613によるガイド突部604の移動制限が少なくなってガイド突部604が破損突部601の進行方向に交差する上下方向へ移動可能な自由度が広くなる。このため、ガイド壁部613における溝を形成するいずれの縁部分に沿ってガイド突部604が進行するか、又は、その間部分を通過してガイド突部604が進行するかによって、封印シール313の破損する態様が変化することとなる。
破損用部材600が基板ボックスから取り外された場合には、第1変形例と同様に、破損突部601の経路に対応して帯状に封印シール313が切除される(図25(c)参照)。破損突部601の経路に相当する折れ線状の経路の内側部分は、上記実施例と同様、封印シール313が破損し易く、皺が形成されやすく、また、破断線の起伏が大きくなり易い。
なお、必ずしも封印シール313が破損突部601の経路に対応して帯状に切除される必要はなく、破損突部601が通過しても封印シール313が部分的に切除されることなく上下に分断されるだけであっても良い。すなわち、破損突部601において封印シール313に当接する進行方向先端側における封印シール313の前面部401の板面に沿った幅が封印シール313を切除しない程度に細く設定されていても良い。
ここで、破損突部601は、図25(a)に示すように、進行方向に相当する左右方向に連続すると共に、封印シール313の前面部401の裏面側から表面側に連続する断面略矩形の柱状に形成されている。その破損突部601の後側(図25(a)に左側)には、破損突部601より封印シール313の前面部401の板面に沿った方向側に幅が拡張され、進行方向後端側にて上下方向に突出する後側突出部605が設けられている。後側突出部605は、破損突部601における上下の面に対して上側及び下側に略垂直に突出して設けられている。
後側突出部605は、破損突部601の通過により破損した封印シール313の破断部分に当接し、前側取付板部611,612の端縁611a,612a側へ押圧力を付与する。このため、破損突部601の進行により封印シール313が分断された間隔が拡張される。特に、破損突部601の経路において折れ線状の経路の内側部分は、破断線の起伏が大きく形成された部位が前側取付板部611,612の端縁611a,612a側へ押されることで、起伏した部分が封印シール313裏面の接着剤で前側取付板部611,612に付着したり、皺が形成された封印シール313の接着面同士が重なり合って接着剤で付着したりして、封印シール313の復元が一層困難なものとなる。
第3変形例は、上記した第2変形例に対して、前側取付板部621,622の端縁621a,622aの形状が異なる設定とされている。前側取付板部621,622には、図25(d)に示すように、折れ線状に形成された破損突部601の経路のうち下側に突出した折れ線の頂点に相当する部位において、その頂点を形成する経路の内側に相当する部位が破損突部601の経路から離間するように凹んだ凹部621b,622bを有する形状とされている。これにより、封印シール313が前側取付板部621,622に接着される面積を拡大しつつ、破損突部601の経路における折れ線の内側部分は、支持部分から破損突部601までの距離を広く確保して復元が困難な破損部分を形成することができる。なお、第3変形例における破損突部601の経路は、折れ線状でなく、同一の方向側に起伏した曲線状としても同様の効果を奏するものとすることができる。
第4変形例は、上記した第2変形例に対して、図25(e)に示すように、破損突部601の経路として折れ線と曲線とを組み合わせた経路が設定され、また、複数の山及び谷
が連続した経路が設定されている。破損突部601の経路に対応して、第2変形例におけるガイド壁部613に対してガイド壁部は、異なる形状に設定される。折れ線と曲線とにおいてそれらの内側部分の破損が異なるものとされ、封印シール313の復元を一層困難なものとし、また、複数の山及び谷が連続することで、破損部分の起伏に破損突部601の経路の起伏が重畳した破断線が形成されるため、破損の態様が複雑化し、封印シール313の復元を一層困難なものとすることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られることはなく、例えば、以下に記載するように変形して実施しても良い。この場合に、以下に記載する各構成を上記実施形態に対して適用しても良く、以下に記載する複数の構成を組み合わせて上記実施形態に対して適用しても良い。
上記実施形態においては、封印シール313は、主制御基板312を収容する基板ボックスに設けられる場合について説明したが、封印シール313が設けられるのは、主制御基板312を収容する基板ボックスに限らず、他の基板を収容する基板ボックスに対して設けても良く、他の基板ボックスを開放させる場合に封印シール313を破損させる破損用部材を設けても良い。また、封印シール313は、基板ボックスの開放を封印するものに限らず、複数の部品を分離不能に結合する他の部位、例えば、複数の構成体としての基板ボックス311とボックス連結部材301とに跨がって封印シール313を貼付可能な取付板部を設けると共に、この取付板部に貼付される封印シール313に対して破損用部材を設け、基板ボックス311がボックス連結部材301から取り外された痕跡を封印シール313により残存させる構成としても良い。また、必ずしも複数の構成体に跨がって封印シール313が固定される構成とする必要はなく、1の構成体に封印シール313が固定され、特定の操作をする場合に封印シール313が破損する構成としても良い。例えば、上記実施形態における前後の取付板部371〜373をボックスベースにより形成し、シールカバー部材319は、取り外さなければ基板ボックスの開放操作であるボックスベース351とボックスカバー352とを離間させられない形状としても良く、この場合においても破損用部材355を操作してからシールカバー部材319を取り外すこととなり、特定の操作をする場合に封印シール313を破損させることができる。
上記実施形態においては、封印シール313が固定される面は、前後及び側方を向く3つの平面状に形成されたが必ずしも上記した形態で封印シール313の固定面を形成する必要はなく、平面状の一面に封印シール313の全体が貼付されても良いし、二面又は四面以上に跨がって封印シール313が貼付されても良い。また、封印シール313の固定面を曲率半径が大きな円弧状の断面形状を有するなど、平面に近い曲面形状に形成しても良い。この場合に、破損用部材355により破損させられる封印シール313の一部を含む面に対し、破損用部材355は、封印シール313の面に沿った方向に移動して封印シール313を破損させることが好ましく、曲面形状に封印シール313の固定面が形成されている場合には、封印シール313に沿った方向に対して破損用部材355の進行方向が略10度以下の角度範囲内に設定されることが上記実施形態と同様の効果を奏するものとして好ましく、略5度以下の角度範囲内に設定されることが好適である。
上記実施形態においては、封印シール313の裏面側に塗布された粘着剤により封印シール313が固定される構成としたが、必ずしも封印シール313の裏面側に接着剤を塗布する必要はなく、例えば、取付板部371〜373の表面に接着剤を塗布し、その接着剤により封印シール313を取付板部371〜373に接着する等、他の方法により封印シール313が固定されるものとしても良い。また、封印シール313が固定可能であれば、接着剤以外の接合剤など、他の材料により封印シール313を固定しても良い。ただし、接着剤は、空気に触れた場合に完全に乾燥して固化するものとはせず、封印シール313の裏面側において露出された接着剤の接着力が製造後においても残存するものとする
ことが、封印シール313の破損をより複雑にして復元を困難にすることができて好ましい。
上記実施形態においては、封印シール313にアンテナ付きICチップが設けられたが、必ずしも設ける必要はない。アンテナ付きICチップが設けられる場合には、封印シール313が破損していない正常な状況ではICチップの読み取り装置をシールカバー部材319に接触させるか、ほぼ接触する位置まで近づけなければICチップに起電力が十分に生じない設定としても良い。封印シール313を不正に剥離しようとした場合に、封印シール313の破損に伴いアンテナが少しでも破損すると、ICチップに十分な起電力が十分に生じない。アンテナと読み取り装置との距離は、シールカバー部材319により一定以下には近づけられないので、読み取り装置による情報の読み取りが異常となった場合には、封印シール313が破損しており、不正が行われた可能性があることを容易に検出することができる。
上記実施形態においては、破損突部386,521,601は、破損用部材355,503,600に1カ所ずつ設けられ、封印シール313の前面部401を1つの経路に沿って破損させる構成としたが、例えば、上記実施例の破損用部材355に対して上下に離間させて2以上の破損突部を設ける等して、封印シール313の前面部401を2以上の経路に沿って破損させるものとしても良い。この場合に、各破損突部に対応してそれぞれ前側取付板部により隙間を形成することにより、封印シール313の破損が複雑となり、また、封印シール313の復元が困難となるために好ましい。また、封印シール313の前面部401といった一面のみに対して破損突部による破損が生じるものとする必要はなく、封印シール313の前面部401と背面部402といった略平行に設けられる複数の面部に対して破損用部材の動作により各面部に沿った方向側に移動する破損突部を設け、封印シール313における複数の面部に破損が生じる設定としても良い。
上記実施形態においては、破損突部386,521,601による封印シール313の板面に沿った方向側への移動による破損と、破損板金382により封印シール313の板面に交差する方向側への移動による破損とが生じるものとしたが、必ずしも破損用部材355,503,600により封印シール313の板面に交差する方向側への移動による破損を生じさせる必要はない。例えば、上記実施例における破損用部材355に対して破損板金382を設けず、破損ベース381の形状としてベース軸受部383から破損突部386側に直線的に延びる形状とし、その先側に破損操作部を設けても良く、破損突部386による封印シール313の板面に沿った方向側への移動による破損のみが生じるものとしても良い。また、破損突部386による封印シール313の板面に沿った方向側への移動による破損により必ずしも封印シール313が分断される必要はなく、封印シール313の外縁から中央側において分断が生じない途中位置までの移動量でもシールカバー部材を移動して基板ボックスが開放可能となるものとしても良い。
上記実施形態においては、封印シール313が貼付される内面側に破損用部材355,503,600を設けて、表面側に突出する破損突部386,521,601を形成したが、破損用部材は、必ずしも封印シール313の内面側に設ける必要はなく、封印シール313の表面側に破損用部材を配置し、内面側に入り込むように突出させて封印シールを破損させる破損部を設けても良く、又は封印シール313の内面側と表面側の両側に破損用部材を設けて、その両側を接続するようにして破損部を設けても良い。
上記第2変形例においては、破損突部601を有する破損突片603が破損ベース602に対して左右方向における軸を中心に軸支持されて上下に揺動し、破損突部601が上下に変位する構成としたが、破損ベース602に対して破損突部601を上下方向に変位可能とする構成は、上記に限らず、前後方向における軸を中心に破損突片を軸支持しても
良いし、軸支持ではなく、破損ベースに対して破損突部を上下方向にスライド移動可能に支持する構成としても良いし、破損突部と破損ベースとの間に上下方向に弾性変形可能な板バネ等の弾性部材を介在させることで破損ベースに対して破損突部を上下に変位可能としても良い。
上記第2から第4変形例において破損突部601の進行方向後端側にて進行方向に交差する上下方向に突出するようにして設けられた後側突出部605の構成を、上記実施例における破損突部386および上記第1変形例における破損突部521の進行方向後端側に対して付加しても良い。また、上記第2から第4変形例において破損突部601が進行方向に対して交差する上下方向に変位可能に支持する構成を上記実施例における破損突部386および上記第1変形例における破損突部521に対して付加し、上記実施例及び第1変形例における破損突部521の経路を上記した経路に対して上下への変位を加えたものとしても良い。また、上記第2変形例において破損突部601の進行経路に自由度を持たせて破損操作毎に経路が異なる易くした構成を、上記実施例及び第1変形例等において付加しても良く、例えば、上記実施例における破損用部材355のベース軸受部383とボックスベース351の軸支持部378との回動支持構造において、ベース軸受部383の内径と軸支持部378の外形との間に隙間を設けても、その隙間分、破損突部386が上下に移動可能となり、上記第2変形例と同様の効果を奏するものとすることができる。この破損操作毎に経路が異なるように設定した場合には、破損突部が進行経路において隙間を形成する取付板部の縁部分に当接可能に破損突部が移動する設定としても良く、これにより、破損した封印シール313が取付板部の縁部分に擦られることとなり易く、破損した封印シール313の復元を一層困難なものとすることができる。
上記第1変形例においては、破損突部521の進行方向先端側を向く面として、接着面側向面521bと表面側向面521cとを設けたが、必ずしも表面側向面521cまでを設ける必要はなく、接着面側向面521bのみを設けても良い。また、上記第1変形例において破損突部521に設けた接着面側向面521b又は接着面側向面521bと表面側向面521cとの組合せを上記実施例及び第2から第4変形例における破損突部386,601の進行方向先端側を向く面に形成しても良い。
上記実施例及び上記第2から第4変形例においては、破損突部386,601が封印シール313の前面部401内において曲線状又は折れ線状に移動可能な経路に沿って進行可能に構成され、且つ、破損突部386,601が通過する隙間を形成する前側取付板部371,372,611,612,621,622に対して破損突部386,601の経路までの隙間が変動する設定としたが、前側取付板部371,372,611,612,621,622は、破損突部386,601の経路までの隙間を一定する端縁を有する形状、すなわち破損突部386,601の経路から上下に一定距離離間した位置に端縁を有する形状としても良く、この場合でも、曲線状又は折れ線状に進行する経路の外側と内側とにおいて破損の態様が異なるものとなり、封印シール313の復元を困難なものとすることができる。
本発明を上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される。)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞されることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。また、大当たり等の抽選機能のないいわゆる普通機として採用されても良い。球が所定の入賞口に入ることで特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。また、球が循環する封入式のパチンコ機に実施しても良い。さらに、パチンコ機以外にも、アレンジボール型パチンコ、雀球、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機等
の各種遊技機として実施するようにしても良いし、スロットマシンとして実施しても良い。
なお、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の遊技球の投入後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に有利な大当たり状態が発生させられ、遊技者には、下部の受け皿に多量の球が払い出されるものである。
以下、上記した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。また、各特徴に記載した用語の意味や例示等は、同一の文言にて記載した他の特徴に記載した用語の意味や例示として適用しても良い。
パチンコ遊技機やスロットマシン等の遊技機は、遊技制御処理を実行するCPU、遊技制御プログラムが記憶されたROM、遊技の進行により発生する各種データを一時的に記憶するRAM等の各種電子部品が実装された制御基板を備えている。そして、ROMに記憶された制御プログラムに従って、CPUにより遊技機に搭載されている各種遊技機器が制御され、一連の遊技が実行される。この種の遊技機では、制御基板を正規のものとは異なる不正な制御基板に変更したり、ROM(ROMがCPUと共に1チップ化されている場合には当該チップ)を不正なものに交換したりする等の不正行為の発生が数多く報告されている。このような不正行為に対処すべく、例えば、基板ボックスを構成する複数のケース体を跨ぐように再貼付不可能であり且つ剥がすと痕跡が残る有脆弱性の封印シールを貼り付ける等の不正対策が採用されている(例えば特開2003−180917号公報参照)。
しかしながら、不正対策を施しても、その対策品に対して新たな不正行為をするための方法や器具等を犯罪者が開発する可能性がある。このため、不正対策の内容は更新され、より確実なものとするために改良することが好ましく、基板ボックスの開放操作は簡易にしつつも、その開放をした場合には、封印シールの再利用が不可能となって開放の痕跡が確実に残ることが好ましい。そして、この課題は、基板ボックスの開放操作などの特定操作を阻害するとともに、その阻害状態が解除された場合に、特定操作が行われたことの痕跡を残す痕跡手段を備えた遊技機に共通する課題である。
本発明は、上記例示した事情等に鑑みてなされたものであり、特定操作の阻害状態が解除された痕跡をより確実に残すことが可能な遊技機を提供することを目的とするものである。
<特徴A1>
薄板シート状の痕跡手段(封印シール313)と、
該痕跡手段が固定される1又は複数の構成体(ボックスベース351,504、ボックスカバー352)と、
特定の操作により前記痕跡手段において予め定められた被破損部に当接し、該痕跡手段を破損させる破損部(破損突部386,601)を有する破損手段(破損用部材355,600)と、
該破損手段を、前記特定の操作により予め定めた経路に沿って進行可能に支持する支持
手段(上記実施例における軸支持部378、上記第2から第4変形例における取付板部611,612,621,622,373及び破損突片603を支持する軸ピン)とを備え、
前記痕跡手段は、前記被破損部を含む平面又は略平面状の第1痕跡面部(前面部401)を有し、
前記構成体は、前記被破損部が設けられる部位に隙間を形成し、該隙間の両側にて前記第1痕跡面部が固定される被取付部(前側取付板部371,372,611,612,621,622)を有し、
前記破損手段は、前記予め定めた経路として、前記第1痕跡面部に沿った方向側であって該第1痕跡面部内において曲線状又は折れ線状に移動可能な経路に沿って進行可能に前記支持手段により支持されていることを特徴とする遊技機。
<特徴A2>
複数の構成体が組み合わされて形成され、制御基板を収容する基板ボックス(基板ボックス311,501)と、
該基板ボックスの内部空間に前記制御基板が収容された状態で、前記基板ボックスを形成する1又は複数の構成体に設けられる薄板シート状の痕跡手段(封印シール313)と、
前記基板ボックスの開放に必要な特定の操作により前記痕跡手段において予め定められた被破損部に当接し、該痕跡手段を破損させる破損部(破損突部386,601)を有する破損手段(破損用部材355,600)と、
該破損手段を、前記特定の操作により予め定めた経路に沿って進行可能に支持する支持手段(上記実施例における軸支持部378、上記第2から第4変形例における取付板部611,612,621,622,373及び破損突片603を支持する軸ピン)とを備え、
前記痕跡手段は、前記被破損部を含む平面又は略平面状の第1痕跡面部(前面部401)を有し、
前記1又は複数の構成体は、前記被破損部が設けられる部位に隙間を形成し、該隙間の両側にて前記第1痕跡面部が固定される被取付部(前側取付板部371,372,611,612,621,622)を有し、
前記破損手段は、前記予め定めた経路として、前記第1痕跡面部に沿った方向側であって該第1痕跡面部内において曲線状又は折れ線状に移動可能な経路に沿って前記破損部が進行可能に前記支持手段により支持されていることを特徴とする遊技機。
特徴A1及びA2記載の遊技機によれば、特定操作の阻害状態が解除された痕跡をより確実に残すことができ、複数の構成体が基板ボックスであって特定の操作が基板ボックスの開放に必要な操作の場合には、基板ボックスを簡易に開放可能としつつ、その開放の痕跡をより確実に残すことが可能な遊技機を提供することができる。すなわち、基板ボックスを開放する等の特定の操作によって痕跡手段の被破損部が破損手段により破損させられる。破損手段は、予め定めた経路として平面又は略平面状の第1痕跡面部に対して、その
第1痕跡面部に沿った方向側に進行し、第1痕跡面部内において曲線状又は折れ線状に移動可能な経路に沿って進行する。薄板シート状の痕跡手段に対しては、曲線状又は折れ線状に進行する経路の外側と内側とにおいて異なる力が作用し、破損の態様が異なるものとされ、経路の内側部分において痕跡手段の破損が大きくなり易いものとなる。このため、不正行為として特定の操作をした後に痕跡手段を元通りに近い見た目に復元する行為を困難にして、不正行為の実行をより確実に検出可能とすることができ、また、不正行為の抑制もすることができる。
なお、特徴A1及びA2記載の遊技機において、「第1痕跡面部内において曲線状又は折れ線状に移動可能な経路」とは、第1痕跡面部における厚み方向に沿って第1痕跡面部
を視認した状態において曲線状又は折れ線状に移動可能な経路を特定するものであり、第1痕跡面部の厚み方向において曲線状又は折れ線状に移動可能な経路ではない。また、「被取付部」は、複数の被取付部が別々に形成されて複数に分断された形状であっても良いし、溝状の隙間が設けられた被取付部であって隙間の一端側又は両端側において連続した一体式の被取付部であっても良い。
<特徴A3>
前記被取付部は、前記隙間として、曲線状又は折れ線状に前記隙間を通過する前記破損部に対して少なくとも一部の区間において経路の内側に位置する内側の端縁までの距離の方が経路の外側に位置する外側の端縁までの距離より大きな隙間を形成するものであることを特徴とする特徴A1又はA2記載の遊技機。
特徴A3記載の遊技機によれば、破損部の経路における少なくとも一部の区間において破損部の経路の内側の端縁までの距離が外側より大きく設定されている。このため、限られた大きさの中で破損が大きくなり易い内側部分に対して破断線の進行する自由度を高めることができる。一方、破損部の経路の外側に位置する外側の端縁までの距離は狭く設定されるので、痕跡手段を破損させるために付加される力が痕跡手段の変形等によりロスしてしまう状態の発生が少なく、少ない力で確実に痕跡手段を破損させることができる。よって、被取付部のサイズの拡張を抑えつつ、痕跡手段の破損操作は容易にし、且つ、痕跡手段の第1痕跡面部における破損の態様を多様にして一旦破損した痕跡手段の復元作業を困難にすることができる。
なお、特徴A3に記載の「経路の内側」とは、円弧状又は曲線状の経路においては、その中心側に相当し、折れ線状の経路においては角部分の内側に相当する。
<特徴A4>
前記被取付部は、前記隙間として、前記破損部の経路における少なくとも一部の区間において前記破損部と前記内側の端縁との隙間が最大となり、その前後の方が前記破損部と前記内側の端縁との隙間が少なく設定された極大部(凹部621b,622b)を形成するものであることを特徴とする特徴A3記載の遊技機。
特徴A4記載の遊技機によれば、破損部の経路に対して内側の端縁に極大部が形成されるので、隙間の大きさによる破損の態様の自由度が高く、更には、隙間が次第に増加し、その後に減少するために痕跡手段に付加される力と支持部分との相対位置が変動し、破損の態様が一層多様化され易い。よって固定的な破損の態様でなく、一旦破損した痕跡手段の復元作業を一層困難なものとすることができる。
なお、特徴A4記載の遊技機における極大部に重なる位置に、痕跡手段に設けられて痕跡手段を個別に管理可能な管理情報が付された管理情報表示部が配置され、破損部の通過により識別情報の少なくとも一部が確認不能すなわち読み取り装置により読み取り不要とされたり、一部の文字が切除されて確認不能とされることが、痕跡手段の再利用を不能とすることができて好ましい。
<特徴A5>
前記支持手段として、前記破損手段の破損部を、前記第1痕跡面部に沿った方向側であって前記隙間が連続する所定の方向と交差する別方向側へ移動可能に支持する交差方向支持手段(破損突片603を支持する軸ピン)が設けられ、
前記破損手段の一部(ガイド突部604)に対して前記破損手段の進行方向先端側より当接し、前記破損手段の破損部を前記曲線状又は折れ線状に移動可能な経路に沿った方向側へ案内する案内手段(ガイド壁部613)を備えていることを特徴とする特徴A1から
A4記載の遊技機。
特徴A5記載の遊技機によれば、隙間が連続する所定の方向と交差する別方向側へ移動可能に支持された破損手段の破損部は、案内手段に当接して曲線状又は折れ線状に移動可能な経路に沿った方向側へ案内される。このため、隙間の連続方向と交差する別方向側へ破損部を容易に移動させることができ、隙間を形成する被取付部と破損部の経路との距離を破損部の進行に対して細かく変化させる設定とすることができる。よって、曲線状又は折れ線状に破損部が移動する動作をより詳細に設定して、痕跡手段の再利用を一層困難なものとすることができる。
<特徴A6>
前記破損部に対して進行方向後端側において該破損部よりも前記内側の端縁との隙間が近くなる側に突出し、破損した痕跡手段に対して前記内側の端縁側への押圧力を付与可能な後側突出部(後側突出部605)が設けられていることを特徴とする特徴A1からA5記載の遊技機。
特徴A6記載の遊技機によれば、破損した痕跡手段に対して後側突出部により内側の端縁側へ押圧力が付与される。よって、破損部の進行により痕跡手段が分断された間隔が拡張され、痕跡手段の破損を検査等において認識し易いものとすることができる。
<特徴B1>
薄板シート状の痕跡手段(封印シール313)と、
該痕跡手段が固定される1又は複数の構成体(ボックスベース351,504、ボックスカバー352)と、
特定の操作により前記痕跡手段において予め定められた被破損部に当接し、該痕跡手段を破損させる破損部(破損突部386,521,601)を有する破損手段(破損用部材355,503,600)と、
該破損手段を、前記特定の操作により予め定めた経路に沿って進行可能に支持する支持手段(上記実施例における軸支持部378、上記第1変形例における取付板部511,512,373、上記第2から第4変形例における取付板部611,612,621,622,373及び破損突片603を支持する軸ピン)とを備え、
前記痕跡手段は、前記被破損部を含む平面又は略平面状の第1痕跡面部(前面部401)を有し、
前記構成体は、前記被破損部が設けられる部位に隙間を形成し、該隙間の両側にて前記第1痕跡面部が固定される被取付部(前側取付板部371,372,511,512,611,612,621,622)を有し、
前記破損手段は、前記予め定めた経路として、前記第1痕跡面部に沿った方向側であって該第1痕跡面部内において前記破損部が進行可能に前記支持手段により支持され、
前記被取付部において前記隙間を形成する端縁の少なくとも一部は、前記予め定めた経路に沿って進行する前記破損部の経路に対しての距離が変動する形状とされていることを特徴とする遊技機。
<特徴B2>
複数の構成体が組み合わされて形成され、制御基板を収容する基板ボックス(基板ボックス311,501)と、
該基板ボックスの内部空間に前記制御基板が収容された状態で、前記基板ボックスを形成する1又は複数の構成体に設けられる薄板シート状の痕跡手段(封印シール313)と、
前記基板ボックスの開放に必要な特定の操作により前記痕跡手段において予め定められた被破損部に当接し、該痕跡手段を破損させる破損部(破損突部386,521,601
)を有する破損手段(破損用部材355,503,600)と、
該破損手段を、前記特定の操作により予め定めた経路に沿って進行可能に支持する支持手段(上記実施例における軸支持部378、上記第1変形例における取付板部511,512,373、上記第2から第4変形例における取付板部611,612,621,622,373及び破損突片603を支持する軸ピン)とを備え、
前記痕跡手段は、前記被破損部を含む平面又は略平面状の第1痕跡面部(前面部401)を有し、
前記1又は複数の構成体は、前記被破損部が設けられる部位に隙間を形成し、該隙間の両側にて前記第1痕跡面部が固定される被取付部(前側取付板部371,372,511,512,611,612,621,622)を有し、
前記破損手段は、前記予め定めた経路として、前記第1痕跡面部に沿った方向側であって該第1痕跡面部内において前記破損部が進行可能に前記支持手段により支持され、
前記被取付部において前記隙間を形成する端縁の少なくとも一部は、前記予め定めた経路に沿って進行する前記破損部の経路に対しての距離が変動する形状とされていることを特徴とする遊技機。
特徴B1及びB2記載の遊技機によれば、特定操作の阻害状態が解除された痕跡をより確実に残すことができ、複数の構成体が基板ボックスであって特定の操作が基板ボックスの開放に必要な操作の場合には、基板ボックスを簡易に開放可能としつつ、その開放の痕跡をより確実に残すことが可能な遊技機を提供することができる。すなわち、基板ボックスを開放する等の操作に必要な特定の操作によって痕跡手段の被破損部が破損手段により破損させられる。破損手段は、予め定めた経路として平面又は略平面状の第1痕跡面部に
対して、その第1痕跡面部に沿った方向側に進行する。薄板シート状の痕跡手段は、平面が拡がる方向に沿った破損部の移動によって皺が寄り易く、痕跡手段の破損が大きくなり易い。
ここで、被取付部において隙間を形成する端縁の少なくとも一部は、予め定めた経路に沿って進行する破損部の経路に対しての距離が変動する形状とされているため、痕跡手段に付加される力の入力位置と支持部分との相対位置が変動し、破損の態様が痕跡手段の進行過程において変化し易い。このため、不正行為として特定の操作をした後に痕跡手段を元通りに近い見た目に復元する行為ことを困難にして、不正行為の実行をより確実に検出可能とし、また、不正行為を抑制することができる。
<特徴B3>
前記破損手段の破損部は、前記経路の進行方向先端側を向いた面が前記第1痕跡面部に当接し、該当接部分の幅として前記第1痕跡面部における前記破損部の通過した部位を帯状に切除可能な幅に設定されていることを特徴とする特徴B1又はB2記載の遊技機。
特徴B3記載の遊技機によれば、痕跡手段が帯状に破損するため、特定の操作がされた後であることを認識し易くすることができる。
<特徴B4>
前記痕跡手段の第1痕跡面部における前記被取付部側の面には、前記痕跡手段を前記被取付部に固定するための接着手段(接着剤)が設けられ、
前記破損手段の破損部は、前記痕跡手段に当接する部位として前記経路の進行方向先端側を向く面であって前記接着手段が設けられる面側に向けて傾斜した接着面側向面(接着面側向面521b)を有する形状とされていることを特徴とする特徴B1からB3のいずれかに記載の遊技機。
特徴B4記載の遊技機によれば、破損部が進行した場合に接着面側向面に接着手段が付
着し易く、その付着により痕跡手段の変形及び破損が促進され、特定の操作をした後に痕跡手段を元通りに近い見た目に復元する行為を一層困難にすることができる。また、帯状の破損部分が接着面側向面により痕跡手段の表面側に押し出されるため、特定の操作がされた後であることを一層認識し易いものとすることができる。
<特徴B5>
前記破損手段の破損部は、前記接着面側向面に対して前記第1痕跡面部における接着手段が設けられる側とは逆側の表面の向く方向側に連続し、前記経路の進行方向先端側を向く面であって前記痕跡手段の表面側に向けて傾斜した表面側向面(表面側向面521c)を有する形状とされていることを特徴とする特徴B4記載の遊技機。
特徴B5記載の遊技機によれば、接着面側向面により痕跡手段の表面側に押し出された帯状の破損部分が表面側向面により破損手段の進行方向先端側に押し出される。よって、帯状の破損部分は、破損手段の進行方向先端側に掻き集められるか、又はロール状に巻き回されて集約させられることで痕跡手段の表面側に突出し易く、第1痕跡面部を正面側でなく斜め側方から視認したとしても、特定の操作がされた後であることをより確実に認識可能とすることができる。
なお、特徴A1〜A6及び特徴B1〜B5に記載のいずれか1つの特徴を他のいずれか又は複数の特徴に組み合わせて適用しても良い。以下には、上記した各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:始動操作手段の操作に基づき周回体の回転を開始させ、停止操作手段の操作に基づき周回体の回転を停止させ、その停止後の絵柄に応じて遊技者に特典を付与する遊技機。
以上のように、この発明は、パチンコ機やスロットマシン等の遊技機に適している。
10…パチンコ機、313…封印シール、311,501…基板ボックス、351,504…ボックスベース、352…ボックスカバー、355,503,600…破損用部材、378…軸支持部、386,521,601…破損突部、371,372,511,512,611,612,621,622…前側取付板部、373…後側取付板部、401…前面部、521b…接着面側向面、521c…表面側向面、603…破損突片、604…ガイド突部、605…後側突出部、613…ガイド壁部、621b,622b…凹部
上記課題を解決すべく、請求項1記載の発明は、
複数の構成体が組み合わされて形成され、制御基板を収容する基板ボックスと、
該基板ボックスの内部空間に前記制御基板が収容された状態で、前記基板ボックスを形成する1又は複数の構成体に設けられる薄板シート状の痕跡手段と、
前記基板ボックスの開放に必要な特定の操作により前記痕跡手段において予め定められた被破損部に当接し、該痕跡手段を破損させる破損部を有する破損手段と、
該破損手段を、前記特定の操作により予め定めた経路に沿って進行可能に支持する支持手段とを備え、
前記痕跡手段は、前記被破損部を含む平面又は略平面状の第1痕跡面部を有し、
前記1又は複数の構成体は、前記被破損部が設けられる部位に隙間を形成し、該隙間の両側にて前記第1痕跡面部が固定される被取付部を有し、
前記破損手段は、前記予め定めた経路として、前記第1痕跡面部に沿った方向側であって該第1痕跡面部内において前記破損部が進行可能に前記支持手段により支持され、
前記被取付部において前記隙間を形成する端縁の少なくとも一部は、前記予め定めた経路に沿って進行する前記破損部の経路に対しての距離が変動する形状とされていることを特徴とする。

Claims (1)

  1. 薄板シート状の痕跡手段と、
    該痕跡手段が固定される1又は複数の構成体と、
    特定の操作により前記痕跡手段において予め定められた被破損部に当接し、該痕跡手段
    を破損させる破損部を有する破損手段と、
    該破損手段を、前記特定の操作により予め定めた経路に沿って進行可能に支持する支持
    手段とを備え、
    前記痕跡手段は、前記被破損部を含む平面又は略平面状の第1痕跡面部を有し、
    前記構成体は、前記被破損部が設けられる部位に隙間を形成し、該隙間の両側にて前記
    第1痕跡面部が固定される被取付部を有し、
    前記破損手段は、前記予め定めた経路として、前記第1痕跡面部に沿った方向側であっ
    て該第1痕跡面部内において前記破損部が進行可能に前記支持手段により支持され、
    前記被取付部において前記隙間を形成する端縁の少なくとも一部は、前記予め定めた経
    路に沿って進行する前記破損部の経路に対しての距離が変動する形状とされていることを
    特徴とする遊技機。
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JP2021106778A (ja) * 2019-12-27 2021-07-29 京楽産業.株式会社 遊技機
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