JP2019146520A - 変異β−グルコシダーゼ - Google Patents

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Abstract

【課題】プロテアーゼ耐性が高い変異β−グルコシダーゼの提供。【解決手段】配列番号2と少なくとも90%配列同一なアミノ酸配列であって、配列番号1の649位及び655位に相当する位置にそれぞれGlnとThrを有するか、又は配列番号1の653位から658位までに相当する領域にTyr−Glu−Pro−Ala−Ser−Glyを有するアミノ酸配列を含み、かつβ−グルコシダーゼ活性を有する、変異β−グルコシダーゼ。【選択図】なし

Description

本発明は、変異β−グルコシダーゼに関する。
セルロースを含有するバイオマス材料(以下、「バイオマス」ということがある)中のセルロースから糖を製造し、それを発酵法などでエタノールをはじめとするエネルギーや化学品へ変換する技術が知られている。近年の環境問題への取り組みの観点から、バイオマスの工業的利用に関する様々な技術開発が進み、バイオマスを利用した燃料や化学品の大規模製造も実現化している。
バイオマスは、セルロース繊維と、それを取り巻く、キシランを主に含むヘミセルロース、及びリグニンとから構成されている。バイオマスを原料とした糖の製造では、セルロースやヘミセルロースの糖化効率を高めることが重要であり、そのためには、セルロースやヘミセルロースを加水分解するセルラーゼやヘミセルラーゼなどのバイオマス糖化酵素が必要となる。例えば、セルロースを効率よくグルコースへ分解するためには、少なくとも(1)結晶性及び非結晶性のセルロース繊維の末端からセロビオース単位で糖を切り出すセロビオハイドロラーゼ(CBH)、(2)非結晶性セルロースに作用してセルロース鎖に切れ目を入れるエンドグルカナーゼ(EG)、及び(3)これらの酵素により生成したセロビオースを加水分解してグルコースを生成するβ−グルコシダーゼ(BGL)の3種類のセルラーゼが協調して作用する必要がある。
バイオマスの糖化に使用されるセルラーゼを生産する菌として、トリコデルマ属(Trichoderma)微生物、例えば、トリコデルマ・リーゼ(Trichoderma reesei)やトリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)が有名である。しかしながら、トリコデルマ属微生物由来のセルラーゼを用いたバイオマス糖化では、β−グルコシダーゼ活性が相対的に低いことが指摘されている(非特許文献1)。アスペルギルス・アクリータス(Aspergillus aculeatus)のβ−グルコシダーゼをトリコデルマ属微生物で発現させ、トリコデルマ属微生物由来酵素のバイオマス糖化活性を高める技術が開発されている(例えば非特許文献1、特許文献1)。
国際公開公報第2013/115305号
森川 康、バイオマス分解酵素研究の最前線、2012、シーエムシー出版、p10-19
本発明は、より効率的にバイオマスを糖化することができるβ−グルコシダーゼ変異体を提供する。
本発明者らは、微生物に生産されたアスペルギルス属由来のβ−グルコシダーゼが、該微生物由来のプロテアーゼにより約100kDaと約30kDaの2つのポリペプチドに切断されることを見出した。これら切断された2つのポリペプチドは、非共有結合でつながり切断前と同じ立体構造を保った1つのタンパク質として働くため、該切断自体が酵素のβ−グルコシダーゼ活性に影響することはない。しかし、この切断が発端となって該酵素がさらに分解を受けることにより、そのβ−グルコシダーゼ活性が消失する。
本発明者らは、切断されたアスペルギルス属β−グルコシダーゼの約30kDaポリペプチドのN末端アミノ酸配列を解析し、プロテアーゼによる切断点がV675のN末側であることを同定した。この領域は、X線結晶構造解析により主鎖の位置が特定できないdisorder領域と同定されている(Biochem J,2013,452(2):211−221)ことから、特定の構造を取っていないことでプロテアーゼなどの攻撃を受けやすくなっていると予想された。そこで本発明者らは、β−グルコシダーゼにおける当該切断点付近に変異を導入し、プロテアーゼ切断への影響を調べた。その結果、プロテアーゼ耐性の高い変異体を見出した。
したがって、本発明は、下記(i)、(ii)及び(iii)から選択される変異β−グルコシダーゼ:
(i)配列番号1で示されるアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列において、配列番号1の649位に相当する位置のアミノ酸残基がGlnに、かつ配列番号1の655位に相当する位置のアミノ酸残基がThrに置換されたアミノ酸配列からなり、かつβ−グルコシダーゼ活性を有する、ポリペプチド;
(ii)配列番号1で示されるアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列において、配列番号1の653位から658位までに相当する領域のアミノ酸配列がTyr−Glu−Pro−Ala−Ser−Glyに置換されたアミノ酸配列からなり、かつβ−グルコシダーゼ活性を有する、ポリペプチド;
(iii)該(i)又は(ii)のポリペプチドを含み、かつβ−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド、
を提供する。
また本発明は、当該変異β−グルコシダーゼをコードするポリヌクレオチドを提供する。
また本発明は、当該ポリヌクレオチドを含有するベクターを提供する。
また本発明は、当該ポリヌクレオチド又はベクターを含む形質転換体を提供する。
また本発明は、当該変異β−グルコシダーゼを含有するバイオマス糖化剤を提供する。
また本発明は、当該変異β−グルコシダーゼでバイオマスを糖化することを含む、糖の製造方法を提供する。
さらに本発明は、変異β−グルコシダーゼの製造方法であって、
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含みかつβ−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチドにおいて、配列番号1の649位に相当する位置のアミノ酸残基をGlnに、かつ配列番号2の655位に相当する位置のアミノ酸残基をThrに置換すること、又は
(b)配列番号1で示されるアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含みかつβ−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチドにおいて、配列番号1の653位から658位までに相当する領域のアミノ酸配列をTyr−Glu−Pro−Ala−Ser−Glyに置換すること、
を含む、方法を提供する。
本発明の変異β−グルコシダーゼは、プロテアーゼ耐性が高く、微生物により生産されるときに培地中でプロテアーゼによる分解を受けることなく、高い収量及びβ−グルコシダーゼ活性を維持することができる。
野生型AaBGL1発現株の発現産物のSDS−PAGE解析結果。各レーン上の数字は培養日数を、Pは精製AaBGL1を示す。 N649Q/Q655T変異体発現株の発現産物のSDS−PAGE解析結果。各レーン上の数字は培養日数を、Pは精製変異体を示す。 653YEPASG658変異体発現株の発現産物のSDS−PAGE解析結果。各レーン上の数字は培養日数を、Pは精製変異体を示す。
本明細書において、「アミノ酸残基」とは、タンパク質を構成する20種のアミノ酸残基、アラニン(Ala又はA)、アルギニン(Arg又はR)、アスパラギン(Asn又はN)、アスパラギン酸(Asp又はD)、システイン(Cys又はC)、グルタミン(Gln又はQ)、グルタミン酸(Glu又はE)、グリシン(Gly又はG)、ヒスチジン(His又はH)、イソロイシン(Ile又はI)、ロイシン(Leu又はL)、リシン(Lys又はK)、メチオニン(Met又はM)、フェニルアラニン(Phe又はF)、プロリン(Pro又はP)、セリン(Ser又はS)、スレオニン(Thr又はT)、トリプトファン(Trp又はW)、チロシン(Tyr又はY)及びバリン(Val又はV)を意味する。
本明細書において、アミノ酸配列及びヌクレオチド配列間の同一性は、リップマン−パーソン法(Lipman−Pearson法;Science,1985,227:1435−41)によって計算することができる。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx−Win(Ver.5.1.1;ソフトウェア開発)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、Unit size to compare(ktup)を2として解析を行なうことにより算出できる。
本明細書において、アミノ酸配列及びヌクレオチド配列に関して記述する「少なくとも90%の同一性」とは、90%以上、より好ましくは95%以上、さらにより好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上、さらに好ましくは99.5%以上の同一性、さらに好ましくは99.6%以上、さらに好ましくは99.7%以上、さらに好ましくは99.8%以上をいう。
本明細書において、アミノ酸の欠失、置換もしくは付加に関する「1〜複数個」とは、好ましくは1〜160個、より好ましくは1〜80個、さらに好ましくは1〜40個、さらに好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個を意味する。
本明細書において、アミノ酸配列及びヌクレオチド配列上の「相当する位置」及び「相当する領域」は、目的配列と参照配列(例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列)とを、各アミノ酸配列又はヌクレオチド配列中に存在する保存アミノ酸残基又はヌクレオチドに最大の相同性を与えるように整列(アラインメント)させることにより決定することができる。アラインメントは、公知のアルゴリズムを用いて実行することができ、その手順は当業者に公知である。例えば、アラインメントは、Clustal Wマルチプルアラインメントプログラム(Nucleic Acids Res,1994,22:4673−4680)をデフォルト設定で用いることにより行うことができる。あるいは、Clustal Wの改訂版であるClustal W2やClustal omegaを使用することもできる。Clustal W、Clustal W2及びClustal omegaは、例えば、欧州バイオインフォマティクス研究所(European Bioinformatics Institute: EBI [www.ebi.ac.uk/index.html])や、国立遺伝学研究所が運営する日本DNAデータバンク(DDBJ [www.ddbj.nig.ac.jp/Welcome-j.html])のウェブサイト上で利用することができる。
当業者であれば、上記で得られたアラインメントを、必要に応じて最適なアラインメントとなるようにさらに微調整することできる。そのような最適アラインメントは、アミノ酸配列の類似性や挿入されるギャップの頻度等を考慮して決定するのが好ましい。ここでアミノ酸配列の類似性とは、2つのアミノ酸配列をアラインメントしたときにその両方の配列に同一又は類似のアミノ酸残基が存在する位置の数の全長アミノ酸残基数に対する割合(%)をいう。類似のアミノ酸残基とは、タンパク質を構成する20種のアミノ酸のうち、極性や電荷の点で互いに類似した性質を有しており、いわゆる保存的置換を生じるようなアミノ酸残基を意味する。そのような類似のアミノ酸残基からなるグループは当業者にはよく知られており、例えば、アルギニン及びリジン;グルタミン酸及びアスパラギン酸;セリン及びトレオニン;グルタミン及びアスパラギン;バリン、ロイシン及びイソロイシン等がそれぞれ挙げられるが、これらに限定されない。
上述のアラインメントにより参照配列の任意の位置に対応する位置にアラインされた目的配列のアミノ酸残基又はヌクレオチドの位置は、当該任意の位置に「相当する位置」とみなされ、そこの当該アミノ酸残基又はヌクレオチドは「相当する位置のアミノ酸残基」又は「相当する位置のヌクレオチド」と称される。また、上述のアラインメントにより参照配列の任意の領域に対応する領域にアラインされた目的配列の領域は、当該任意の領域に「相当する領域」とみなされ、そこの当該アミノ酸配列又はヌクレオチド配列は「相当する領域のアミノ酸配列」又は「相当する領域のヌクレオチド配列」と称される。
本明細書において、「β−グルコシダーゼ」(あるいは「BGL」とも称する)とは、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチドをいう。本明細書において、「β−グルコシダーゼ活性」とは、糖のβ−グリコシド結合を加水分解する活性をいい、好ましくは、セロビオースを加水分解してグルコースを生成する活性をいう。タンパク質のβ−グルコシダーゼ活性は、例えばpNP(p−Nitrophenol)法により、4−ニトロフェニル−β−D−グルコピラノシドから酵素分解により遊離するpNPの量を測定することによって決定することができる。β−グルコシダーゼ活性の測定の具体的手順は、後述の実施例に詳述されている。
本明細書において、「バイオマス」とは、植物や藻類が生産するセルロースを含むセルロース系バイオマスをいう。バイオマスの具体例としては、カラマツやヌマスギ等の針葉樹や、アブラヤシ(幹部)、ヒノキ等の広葉樹などから得られる各種木材;ウッドチップなどの木材の加工物又は粉砕物;木材から製造されるウッドパルプ、綿の種子の周囲の繊維から得られるコットンリンターパルプなどのパルプ類;新聞紙、ダンボール、雑誌、上質紙などの紙類;バガス(サトウキビの搾りかす)、パーム空果房(EFB)、稲わら、とうもろこし茎もしくは葉などの植物の茎、葉、果房など;籾殻、パーム殻、ココナッツ殻などの植物殻類;藻類、などからなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。このうち、入手容易性及び原料コストの観点から、木材、木材の加工物又は粉砕物、植物の茎、葉、果房などが好ましく、バガス、EFB、アブラヤシ(幹部)がより好ましく、バガスがさらに好ましい。該バイオマスは、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。また上記バイオマスは乾燥されていてもよい。
本発明は、変異β−グルコシダーゼを提供する。本発明の変異β−グルコシダーゼは、配列番号1で示されるアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を有するβ−グルコシダーゼを改変して、所定の位置のアミノ酸残基又は所定の領域のアミノ酸配列を置換することによって製造することができる。本発明の変異β−グルコシダーゼは、当該置換前のβ−グルコシダーゼ(親β−グルコシダーゼ)と比べてプロテアーゼ耐性が高く、プロテアーゼ分解を受けにくい。したがって、本発明の変異β−グルコシダーゼは、微生物により生産されるときに、培地中に存在する微生物由来のプロテアーゼによる分解を受けることなく、高い収量と活性を維持することができる。
したがって、一態様において、本発明は、配列番号1で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一なアミノ酸配列であって、配列番号1の649位及び655位に相当する位置にそれぞれGlnとThrを有するか、又は配列番号2の653位から658位までに相当する領域にTyr−Glu−Pro−Ala−Ser−Glyを有するアミノ酸配列を含み、かつβ−グルコシダーゼ活性を有する、変異β−グルコシダーゼを提供する。
好ましい実施形態において、本発明の変異β−グルコシダーゼは、下記(i)、(ii)及び(iii)から選択される:
(i)配列番号1で示されるアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列において、配列番号1の649位に相当する位置のアミノ酸残基がGlnに、かつ配列番号1の655位に相当する位置のアミノ酸残基がThrに置換されたアミノ酸配列からなり、かつβ−グルコシダーゼ活性を有する、ポリペプチド;
(ii)配列番号1で示されるアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列において、配列番号1の653位から658位までに相当する領域のアミノ酸配列がTyr−Glu−Pro−Ala−Ser−Glyに置換されたアミノ酸配列からなり、かつβ−グルコシダーゼ活性を有する、ポリペプチド;
(iii)該(i)又は(ii)のポリペプチドを含み、かつβ−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド。
別の態様において、本発明は、変異β−グルコシダーゼの製造方法を提供する。該方法は、以下の(a)又は(b)を含む:
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含みかつβ−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチドにおいて、配列番号1の649位に相当する位置のアミノ酸残基をGlnに、かつ配列番号1の655位に相当する位置のアミノ酸残基をThrに置換すること;
(b)配列番号1で示されるアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含みかつβ−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチドにおいて、配列番号1の653位から658位までに相当する領域のアミノ酸配列をTyr−Glu−Pro−Ala−Ser−Glyに置換すること。
本発明の変異β−グルコシダーゼ又はその製造方法において、当該配列番号1で示されるアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列の好ましい例としては、配列番号1又は2で示されるアミノ酸配列;及び、配列番号1又は2で示されるアミノ酸配列に対して1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加された(ただし配列番号1と少なくとも90%同一な)アミノ酸配列、が挙げられる。
本明細書においては、上記アミノ酸置換を行う前の、配列番号1で示されるアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むβ−グルコシダーゼを、本発明の変異キシラナーゼの親β−グルコシダーゼ(又は、単に親β−グルコシダーゼもしくは親BGL)ということがある。該親BGLにおいては、i)配列番号1の649位に相当する位置のアミノ酸残基がGlnでなく、かつ655位に相当する位置のアミノ酸残基がThrでないか;ii)配列番号1の653位から658位までに相当する領域のアミノ酸配列がTyr−Glu−Pro−Ala−Ser−Glyでないか;又は、iii)該i)とii)の両方である。
当該親BGLの例としては、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなる、アスペルギルス・アクリータス(Aspergillus aculeatus)のβ−グルコシダーゼ1(本明細書においてAaBGL1ともいう、GenBank:BAA10968.1、UniProtKB/Swiss−Prot:P48825.1)が挙げられる。
当該親BGLの別の例としては、配列番号1で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつβ−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチドが挙げられる。このようなポリペプチドの例としては、配列番号1で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなるアスペルギルス属由来BGLが挙げられる。
当該親BGLのさらに別の例としては、上述したAaBGL1(配列番号1)の変異体が挙げられる。このような変異体としては、配列番号1で示されるアミノ酸配列に対して1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるβ−グルコシダーゼが挙げられる。このような変異体は、天然に生じた変異体であってもよいが、人工的に作製されてもよい。
当該親BGLのさらに別の例としては、上述したAaBGL1(配列番号1)又はその変異体と分泌シグナル配列とが連結した、BGLプレタンパク質が挙げられる。該プレタンパク質の好ましい例としては、配列番号2で示されるアミノ酸配からなる、分泌シグナル配列を有するAaBGL1のプレタンパク質が挙げられる。該プレタンパク質の別の例としては、配列番号2で示されるアミノ酸配列に対して1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加された(ただし配列番号1と少なくとも90%同一な)アミノ酸配列からなるBGLプレタンパク質が挙げられる。
好ましくは、上述した親BGLは、配列番号1で示されるアミノ酸配列の649位に相当する位置にAsnを、655位に相当する位置にGlnを有する。また好ましくは、該親BGLは、配列番号1の653位から658位までに相当する領域にAsn−Ala−Gln−Val−Ala−Thrを有する。より好ましくは、該親BGLは、配列番号1で示されるアミノ酸配列の649位に相当する位置にAsnを、655位に相当する位置にGlnを有し、かつ配列番号1の653位から658位までに相当する領域にAsn−Ala−Gln−Val−Ala−Thrを有する。
本発明の変異BGLは、例えば、本発明の変異BGLをコードするポリヌクレオチドを発現させることにより生産することができる。好ましくは、本発明の変異BGLは、当該変異BGLをコードするポリヌクレオチドを導入した形質転換体から生産することができる。すなわち、本発明の変異BGLをコードするポリヌクレオチド又はこれを含むベクターを宿主に導入して形質転換体を得た後、当該形質転換体を適切な培地で培養し、導入したポリヌクレオチドを発現させることで、本発明の変異BGLが生産される。生産された変異BGLを該培養物から単離又は精製することにより、本発明の変異BGLを取得することができる。
したがって、本発明はさらに、本発明の変異BGLをコードするポリヌクレオチド、及びそれを含むベクターを提供する。本発明はさらに、本発明の変異BGLをコードするポリヌクレオチド又はそれを含むベクターを宿主に導入することを含む、形質転換体の製造方法を提供する。さらに本発明は、該ポリヌクレオチド又はベクターを含有する形質転換体を提供する。さらに本発明は、当該形質転換体を培養することを含む、変異BGLの製造方法を提供する。
本発明の変異BGLをコードするポリヌクレオチドは、一本鎖又は2本鎖のDNA、cDNA、RNAもしくは他の人工核酸を含み得る。該DNA、cDNA及びRNAは、化学合成されていてもよい。また当該本発明のポリヌクレオチドは、オープンリーディングフレーム(ORF)に加えて、非翻訳領域(UTR)のヌクレオチド配列を含んでいてもよい。
本発明の変異BGLをコードするポリヌクレオチドは、該変異BGLのアミノ酸配列に基づいて、遺伝子工学的又は化学的に合成することができる。例えば、本発明の変異キシラナーゼをコードするポリヌクレオチドは、親BGLをコードするポリヌクレオチド(以下、親BGL遺伝子ともいう)において、配列番号1の649位及び655位に相当する位置のアミノ酸残基をコードするヌクレオチド配列(コドン)を、それぞれGln及びThrをコードするヌクレオチド配列(コドン)へと変異させることによって、調製することができる。あるいは、本発明の変異キシラナーゼをコードするポリヌクレオチドは、親BGL遺伝子において、配列番号1の653〜658位に相当する領域をコードするヌクレオチド配列(コドン)を、Tyr−Glu−Pro−Ala−Ser−Glyをコードするヌクレオチド配列(コドン)へと変異させることによって、調製することができる。当該変異したポリヌクレオチドを発現させることにより、置換対象のアミノ酸残基又は配列が目的のアミノ酸残基又は配列に置換された変異BGLを得ることができる。
親BGL遺伝子の例としては、上述した配列番号1で示されるAaBGL1をコードするポリヌクレオチド、その分泌シグナル配列を有するプレタンパク質(配列番号2)をコードするポリヌクレオチドなどが挙げられる。好ましい例としては、配列番号3で示されるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドが挙げられる。当該ポリヌクレオチドは、当該分野で用いられる任意の方法により取得することができる。例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドは、A.aculeatusの全ゲノムDNAを抽出した後、配列番号3の配列を元に設計したプライマーを用いたPCRにより標的核酸を選択的に増幅し、増幅した核酸を精製することで得ることができる。
あるいは、親BGL遺伝子の例としては、配列番号1で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一なアミノ酸配列からなる上述した親BGLをコードするポリヌクレオチドが挙げられる。このようなポリヌクレオチドの例としては、上述したAaBGL1又はその変異体をコードするポリヌクレオチドが挙げられる。親BGL遺伝子は、天然に存在する遺伝子であってもよいが、配列番号1の配列に基づいて人工的に作製されてもよい。例えば、配列番号1のアミノ酸配列をコードする遺伝子(例えば配列番号3)に対して紫外線照射や部位特異的変異導入のような公知の突然変異導入法により突然変異を導入し、得られた変異遺伝子がコードするポリペプチドのβ−グルコシダーゼ活性を調べる。所望の活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子を選択することによって、親BGL遺伝子を得ることができる。必要に応じて、シークエンシング等により遺伝子配列を確認することができる。このような変異の手順は、当業者に周知である。
親BGL遺伝子への目的の変異の導入は、当業者には周知の様々な部位特異的変異導入法を用いて行うことができる。部位特異的変異導入法は、例えば、インバースPCR法やアニーリング法など(村松ら編、「改訂第4版 新遺伝子工学ハンドブック」、羊土社、p.82−88)の任意の手法により行うことができる。必要に応じてStratagene社のQuickChange II Site−Directed Mutagenesis Kitや、QuickChange Multi Site−Directed Mutagenesis Kit等の各種の市販の部位特異的変異導入用キットを使用することもできる。あるいは、親BGL遺伝子への部位特異的変異導入は、SOE(splicing by overlap extension)−PCR法(Horton R.M.et al,Gene,1989,77(1):61−68)、メガプライマー法などの公知の手法により行うことができる。
例えば、親BGL遺伝子への部位特異的変異導入は、導入すべきヌクレオチド変異を含む変異プライマーを用いて行うことができる。そのような変異プライマーは、親BGL遺伝子内の置換対象のアミノ酸残基をコードするヌクレオチド配列を含む領域にアニーリングし、かつその置換対象のアミノ酸残基をコードするヌクレオチド配列(コドン)に代えて置換後のアミノ酸残基をコードするヌクレオチド配列(コドン)を有するヌクレオチド配列を含むように設計すればよい。置換対象及び置換後のアミノ酸残基をコードするヌクレオチド配列(コドン)は、当業者であれば通常の教科書等に基づいて適宜認識し、選択することができる。
変異プライマーは、ホスホロアミダイト法(Nucleic Acids Research,17,7059−7071,1989)等の周知のオリゴヌクレオチド合成法により作製することができる。また変異プライマーは、例えば市販のオリゴヌクレオチド合成装置(ABI社製など)を用いて作製することもできる。変異プライマーを含むプライマーセットを使用し、親BGL遺伝子を鋳型DNAとして上記のような部位特異的変異導入を行うことにより、目的の変異BGLをコードするポリヌクレオチドを得ることができる。
本発明の変異BGLをコードするポリヌクレオチドを含むベクターは、当該遺伝子をベクターに導入することによって作製することができる。当該ポリヌクレオチドを導入すべきベクターの種類としては、特に限定されず、タンパク質産生に通常用いられるベクター、例えばプラスミド、コスミド、ファージ、ウイルス、YAC、BACなどが挙げられる。このうち、プラスミドベクターが好ましく、タンパク質の高発現を誘導するプラスミドベクターがより好ましい。当業者は、宿主細胞の種類にあわせて、好適なベクターを選択することができる。タンパク質発現用プラスミドベクターは、宿主に応じて作製してもよいが、市販品を使用してもよい。ベクターの例としては、酵母発現ベクターpNAN8142(Biosci Biotechnol Biochem,1996,60:383−389)、pMA91(Biosci Biotechnol Biochem,1998,62:1615−1618)などが挙げられる。
当該ベクターは、DNAの複製開始領域を含むDNA断片又は複製起点を含むDNA領域を含み得る。あるいは、当該ベクターにおいては、上記本発明の変異BGLをコードするポリヌクレオチドに、プロモーター領域、ターミネーター領域、又は発現されたタンパク質を細胞外へ分泌させるための分泌シグナル領域などの制御領域が作動可能に連結されていてもよい。あるいは、当該ベクターが適切に導入された宿主を選択するためのマーカー遺伝子(例えば、アンピシリン、ネオマイシン、カナマイシン、クロラムフェニコールなどの薬剤の耐性遺伝子)がさらに組み込まれていてもよい。あるいは、本発明のベクターを導入する宿主に栄養要求性株を使用する場合、要求される栄養をコードする遺伝子を含むベクターを用いてもよい。
当該制御領域の好適な例としては、P−No8142プロモーター(Biosci Biotechnol Biochem,1996,60:383−389)、トリコデルマ・リーゼ(Trichoderma reesei)由来cbh1プロモーター配列(Curr Genet,1995,28(1):71−79)などが挙げられる。あるいは、セロビオハイドロラーゼ、エンドグルカナーゼ、β−グルコシダーゼ、キシラナーゼ、βキシロシダーゼなどの糖化酵素を発現するプロモーターを使用してもよい。あるいは、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、ピルビン酸キナーゼなどの代謝経路の酵素のプロモーターを使用してもよい。
本発明の変異BGLをコードする配列と上記制御領域や、マーカー遺伝子配列との連結は、上述したSOE−PCR法などの方法によって行うことができる。ベクターへの遺伝子配列の導入手順は、当該分野で周知である。プロモーター領域、ターミネーター、分泌シグナル領域等の制御領域の種類は、特に限定されず、導入する宿主に応じて、通常使用されるプロモーターや分泌シグナル配列を適宜選択して用いることができる。
本発明の変異BGLをコードするポリヌクレオチド又はこれを含むベクターを含有する形質転換体は、該ベクターを宿主へ導入するか、又は該ポリヌクレオチドを宿主のゲノムに導入すればよい。宿主へのベクターの導入の方法としては、プロトプラスト法、エレクトロポレーション法などの当該分野で通常使用される方法を用いることができる。導入が適切に行われた株をマーカー遺伝子の発現、栄養要求性などを指標に選択することで、ベクターが導入された目的の形質転換体を得ることができる。
本発明の変異BGLをコードするポリヌクレオチドを宿主のゲノムに導入する方法としては、特に限定されないが、例えば、該ポリヌクレオチドを含むDNA断片を用いた2重交差法が挙げられる。該DNA断片は、上述する宿主細胞において発現量の多い遺伝子のプロモーター配列の下流に導入されてもよく、あるいは、予め該DNA断片と上述した制御領域とを作動可能に連結した断片を作製し、当該連結断片を宿主のゲノムに導入してもよい。さらに、該DNA断片は、本発明のポリヌクレオチドが適切に導入された細胞を選択するためのマーカー(薬剤耐性遺伝子や栄養要求性相補遺伝子など)と予め連結されていてもよい。
本明細書において、BGLをコードするポリヌクレオチドと制御領域が「作動可能に連結されている」とは、該ポリヌクレオチドと制御領域が、該ポリヌクレオチドにコードされるBGLが該制御領域による制御の下に発現し得るように配置されていることをいう。
当該形質転換体の宿主の例としては、酵母、細菌、糸状菌などの微生物が挙げられる。酵母の例として、リゾプス・オリゼ(Rhizopus oryzae)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)などが挙げられる。細菌の例としては、大腸菌(Escherichia coli)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、リステリア属(Listeria)、バチルス属(Bacillus)に属する細菌などが挙げられ、このうち、大腸菌及びバチルス属細菌(例えば、枯草菌又はその変異株)が好ましい。枯草菌変異株の例としては、J Biosci Bioeng,2007,104(2):135−143に記載のプロテアーゼ9重欠損株KA8AX、ならびにBiotechnol Lett,2011,33(9):1847−1852に記載の、プロテアーゼ8重欠損株にタンパク質のフォールディング効率を向上させたD8PA株を挙げることができる。糸状菌の例としては、トリコデルマ属(Trichoderma)、アスペルギルス属(Aspergillus)、リゾプス属(Rhizopus)などが挙げられ、このうち、酵素生産性の観点からはトリコデルマ属が好ましい。
斯くして得られた、本発明の変異BGLをコードするポリヌクレオチド又はそれを含むベクターが導入された形質転換体を適切な培地で培養すれば、当該ポリヌクレオチドが発現して、本発明の変異BGLが生成される。当該形質転換体の培養に使用する培地は、当該形質転換体の微生物の種類にあわせて当業者が適宜選択することができる。
あるいは、本発明の変異BGLは、無細胞翻訳系を使用して、本発明の変異BGLをコードするポリヌクレオチド又はその転写産物から発現させてもよい。「無細胞翻訳系」とは、宿主となる細胞を機械的に破壊して得た懸濁液にタンパク質の翻訳に必要なアミノ酸等の試薬を加えて、in vitro転写翻訳系又はin vitro翻訳系を構成したものである。
上記培養物又は無細胞翻訳系にて生成された本発明の変異BGLは、タンパク質精製に用いられる一般的な方法、例えば、遠心分離、硫酸アンモニウム沈殿、ゲルクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を単独で又は適宜組み合わせて用いることにより、単離又は精製することができる。このとき、形質転換体内のベクター上で変異BGLをコードするポリヌクレオチドと分泌シグナル配列が作動可能に連結されている場合、生成されたBGLは菌体外に分泌されるため、より容易に培養物から回収され得る。培養物から回収されたBGLは、公知の手段でさらに精製されてもよい。
後述の実施例に示すとおり、本発明の変異β−グルコシダーゼは、変異前のβ−グルコシダーゼ(親BGL)と比べてプロテアーゼ耐性が高い。結果、本発明の変異β−グルコシダーゼは、親BGLと比べて、微生物に生産されるときに培地中のプロテアーゼによる加水分解を受けにくいので、高いβ−グルコシダーゼ活性を保持しており、かつ収率も高い(図1〜3)。
本発明の変異β−グルコシダーゼは、バイオマス糖化用の酵素として有用である。したがって、本発明はさらに、本発明の変異β−グルコシダーゼを含有するバイオマス糖化剤を提供する。さらに本発明は、本発明の変異β−グルコシダーゼでバイオマス糖化することを含む、糖の製造方法を提供する。
本発明のバイオマス糖化剤は、好ましくは本発明の変異β−グルコシダーゼを含有するバイオマス糖化用の酵素組成物(以下、本発明の酵素組成物ということもある)である。本発明の酵素組成物は、本発明の変異BGLを含み、また糖化効率の向上の観点から、好ましくは、さらに本発明の変異BGL以外の他のバイオマス糖化酵素を含む。当該他のバイオマス糖化酵素は、動物、植物、微生物由来の酵素であればよい。当該他のバイオマス糖化酵素の例としては、エンドグルカナーゼ、エクソグルカナーゼ又はセロビオハイドロラーゼ、本発明の変異BGL以外のBGL等の本発明の変異BGL以外の他のセルラーゼや、キシラナーゼ、キシロシダーゼ、ガラクタナーゼ等のヘミセルラーゼなどが挙げられ、好ましくは本発明の変異BGL以外の他のセルラーゼであり、より好ましくはセロビオハイドロラーゼ及びエンドグルカナーゼからなる群より選ばれる1種以上である。これらのバイオマス糖化酵素は、単独で使用されても2種以上の組合せで使用されてもよい。バイオマス糖化効率の向上の観点から、本発明の酵素組成物は、セロビオハイドロラーゼ及びエンドグルカナーゼからなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
本発明の酵素組成物に含まれる本発明の変異BGL以外の他のセルラーゼの具体例としては、これらに限定されるものではないが、トリコデルマ・リーゼ(Trichoderma reesei)由来のセルラーゼ;トリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)由来のセルラーゼ;バチルス・エスピー(Bacillus sp.)KSM−N145(FERM P−19727)、バチルス・エスピー(Bacillus sp.)KSM−N252(FERM P−17474)、バチルス・エスピー(Bacillus sp.)KSM−N115(FERM P−19726)、バチルス・エスピー(Bacillus sp.)KSM−N440(FERM P−19728)、バチルス・エスピー(Bacillus sp.)KSM−N659(FERM P−19730)などの各種バチルス株由来のセルラーゼ;パイロコッカス・ホリコシ(Pyrococcus horikoshii)由来の耐熱性セルラーゼ;フミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)由来のセルラーゼ、などが挙げられる。これらの中で、糖化効率の向上の観点から、トリコデルマ・リーゼ、トリコデルマ・ビリデ、又はフミコーラ・インソレンス由来のセルラーゼが好ましい。また、上記の微生物に対して外来性に導入したセルラーゼ遺伝子を発現させて得られた組換えセルラーゼを用いてもよい。具体例としては、トリコデルマ・リーゼに対してアスペルギルス・アクリータス由来のβ−グルコシダーゼ遺伝子を導入して得られたX3AB1株(J Ind Microbiol Biotechnol,2012,1741−1749)が生産するセルラーゼJN11が挙げられる。あるいは、上記他のセルラーゼを含むセルラーゼ製剤を本発明の酵素組成物に含有させて、本発明の変異BGLと併用してもよい。当該セルラーゼ製剤の具体例としては、セルクラスト(登録商標)1.5L(ノボザイムズ社製)、TP−60(明治製菓株式会社製)、Cellic(登録商標)CTec2(ノボザイムズ社製)、AccelleraseTMDUET(ジェネンコア社製)、及びウルトラフロ(登録商標)L(ノボザイムズ社製)などが挙げられる。
本発明の酵素組成物に含まれるセロビオハイドロラーゼの具体例としては、トリコデルマ・リーゼ、トリコデルマ・ビリデ、又はフミコーラ・インソレンス由来のセロビオハイドロラーゼ、パイロコッカス・ホリコシ由来の耐熱性セロビオハイドロラーゼ、などが挙げられる。これらの中で、糖化効率の向上の観点から、トリコデルマ・リーゼ、トリコデルマ・ビリデ、又はフミコーラ・インソレンス由来のセロビオハイドロラーゼが好ましく、トリコデルマ・リーゼ由来のセロビオハイドロラーゼがより好ましい。
本発明の酵素組成物に含まれるエンドグルカナーゼの具体例としては、トリコデルマ・リーゼ、アクレモニウム・セルロリティカス(Acremonium celluloriticus)、フミコーラ・インソレンス、クロストリジウム・サーモセラム(Clostridium thermocellum)、バチルス(Bacillus)、サーモビフィダ(Thermobifida)、セルロモナス(Cellulomonas)由来の酵素などが挙げられる。このうち、糖化効率向上の観点から、トリコデルマ・リーゼ、フミコーラ・インソレンス、バチルス、セルロモナス由来のエンドグルカナーゼが好ましく、トリコデルマ・リーゼ由来のエンドグルカナーゼがより好ましい。
本発明の酵素組成物に含まれる本発明の変異BGL以外のBGLの例としては、アスペルギルス・ニガー由来のBGL(例えば、ノボザイムズ社製ノボザイム188やメガザイム社製BGL)、ならびにトリコデルマ・リーゼ又はペニシリウム・エメルソニイ(Penicillium emersonii)由来のBGLなどが挙げられる。このうち、バイオマス糖化効率向上の観点から、ノボザイム188、トリコデルマ・リーゼ由来BGLが好ましく、トリコデルマ・リーゼ由来のBGLがより好ましい。
本発明の酵素組成物に含まれるヘミセルラーゼの例としては、トリコデルマ・リーゼ由来のヘミセルラーゼ;バチルス・エスピー KSM−N546(FERM P−19729)由来のキシナラーゼ;アスペルギルス・ニガー、トリコデルマ・ビリデ、フミコーラ・インソレンス、又はバチルス・アルカロフィルス(Bacillus alcalophilus)由来のキシラナーゼ;サーモマイセス(Thermomyces)、オウレオバシジウム(Aureobasidium)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、クロストリジウム(Clostridium)、サーモトガ(Thermotoga)、サーモアスクス(Thermoascus)、カルドセラム(Caldocellum)、又はサーモモノスポラ(Thermomonospora)属由来のキシラナーゼ;バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)由来のβ−キシロシダーゼ;セレノモナス・ルミナンティウム(Selenomonas ruminantium)由来β−キシロシダーゼ、などが挙げられる。このうち、糖化効率向上の観点から、バチルス・エスピー、アスペルギルス・ニガー、トリコデルマ・ビリデもしくはストレプトマイセス由来のキシラナーゼ、又はセレノモナス・ルミナンティウム由来のβ−キシロシダーゼが好ましく、バチルス・エスピーもしくはトリコデルマ・ビリデ由来のキシナラーゼ、又はセレノモナス・ルミナンティウム由来のβ−キシロシダーゼがより好ましい。あるいは、好ましいヘミセルラーゼの例としては、特開2013−243953号公報、特開2013−243954号公報、特開2015−167552号公報、特開2016−119877号公報、特開2017−012006号公報、又は特開2017−035001号公報に記載の変異キシラナーゼが挙げられる。
本発明のバイオマス糖化剤(又は本発明の酵素組成物)中における本発明の変異BGLの含有量は、その総タンパク質量中、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上さらに好ましくは2質量%以上であり、且つ好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、さらにより好ましくは30質量%以下であるか、あるいは、総タンパク質量中、好ましくは0.5〜70質量%、より好ましくは1〜50質量%、さらに好ましくは2〜40質量%、さらにより好ましくは2〜30質量%である。好ましくは、本発明のバイオマス糖化剤(又は本発明の酵素組成物)の総タンパク質量は3〜25質量%である。
本発明の酵素組成物中における本発明の変異BGL以外の他のセルラーゼの含有量は、その総タンパク質量中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上であり、且つ好ましくは99質量%以下、より好ましくは95質量%以下であるか、あるいは、その総タンパク質量中、好ましくは10〜99質量%、より好ましくは30〜95質量%、さらに好ましくは50〜95質量%である。
本発明の酵素組成物中におけるエンドグルカナーゼの含有量は、その総タンパク質量中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、且つ好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下であるか、あるいは、その総タンパク質量中、好ましくは1〜70質量%、より好ましくは5〜50質量%、さらに好ましくは10〜40質量%である。
本発明の酵素組成物中におけるヘミセルラーゼの含有量は、その総タンパク質量中、好ましくは0.01質量以上%、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5以上質量%であり、且つ好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下であるか、あるいは、その総タンパク質量中、好ましくは0.01〜30質量%、より好ましくは0.1〜20質量%、さらに好ましくは0.5〜20質量%である。
本発明の糖の製造方法は、上記本発明の変異BGLでバイオマスを糖化することを含む。当該方法においては、本発明の変異BGLとして、上述した本発明の酵素組成物を使用してもよい。当該本発明の方法における糖化処理の条件は、本発明の変異BGL及び併用するその他酵素が失活しない条件であれば特に限定されない。適切な条件は、バイオマスの種類や前処理工程の手順、使用する酵素の種類により当業者が適宜決定することができる。
当該糖化処理においては、バイオマスを含む懸濁液に、本発明の変異BGLを添加することが好ましい。該懸濁液中のバイオマスの含有量は、糖化効率又は糖生産効率向上(すなわち糖生産時間の短縮)の観点から、好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは3〜15質量%、さらに好ましくは5〜10質量%である。
当該懸濁液に対する本発明の変異BGLの使用量は、バイオマスの種類、形状及び量、ならびに併用する酵素の種類及び性質などにより適宜決定される。好ましくは、バイオマス質量に対して、変異BGLの質量として0.04〜600質量%、より好ましくは0.1〜100質量%、さらに好ましくは0.1〜50質量%である。
当該糖化処理の反応pHは、糖化効率又は糖生産効率向上、及び生産コスト低減の観点から、好ましくはpH4〜9、より好ましくはpH5〜8、さらに好ましくはpH5〜7である。当該糖化処理の反応温度は、糖化効率の向上、糖化効率又は糖生産効率向上、及び生産コスト低減の観点から、20〜90℃が好ましく、より好ましくは25〜85℃、さらに好ましくは30〜80℃、さらに好ましくは40〜75℃、さらに好ましくは45〜65℃、さらに好ましくは45〜60℃、さらに好ましくは50〜60℃である。当該糖化処理の反応時間は、バイオマスの種類、形状及び量や、酵素量などに合わせて適宜設定することができる。糖化効率又は糖生産効率向上、及び生産コスト低減の観点からは、好ましくは1〜5日間、より好ましくは1〜4日間、さらに好ましくは1〜3日間である。
さらに、バイオマスの糖化効率又は糖生産効率向上の観点からは、本発明の糖の製造方法は、バイオマスを本発明の変異BGLで糖化する前に、該バイオマスを前処理する工程をさらに含むことが好ましい。当該前処理としては、例えば、アルカリ処理、粉砕処理及び水熱処理からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。当該前処理としては、糖化効率向上の観点から、アルカリ処理が好ましく、糖化効率をさらに向上させる観点から、アルカリ処理と粉砕処理を行うことが好ましく、アルカリ処理と粉砕処理を並行して行うことがより好ましい。該粉砕処理は、湿式粉砕であっても乾式粉砕であってもよいが、乾式粉砕が好ましい。より好ましくは、固体のアルカリとバイオマスとを一緒に粉砕処理にかけアルカリ処理と並行して乾式粉砕を行う(アルカリ混合粉砕処理)。
本発明の例示的実施形態として、さらに以下の物質、製造方法、用途、方法等を本明細書に開示する。ただし、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
〔1〕下記(i)、(ii)及び(iii)から選択される変異β−グルコシダーゼ:
(i)配列番号1で示されるアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列において、配列番号1の649位に相当する位置のアミノ酸残基がGlnに、かつ配列番号1の655位に相当する位置のアミノ酸残基がThrに置換されたアミノ酸配列からなり、かつβ−グルコシダーゼ活性を有する、ポリペプチド;
(ii)配列番号1で示されるアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列において、配列番号1の653位から658位までに相当する領域のアミノ酸配列がTyr−Glu−Pro−Ala−Ser−Glyに置換されたアミノ酸配列からなり、かつβ−グルコシダーゼ活性を有する、ポリペプチド;
(iii)該(i)又は(ii)のポリペプチドを含み、かつβ−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド。
〔2〕好ましくは、前記配列番号1で示されるアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列が、
配列番号1又は2で示されるアミノ酸配列、又は、
配列番号1又は2で示されるアミノ酸配列に対して、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列、
である、〔1〕記載の変異β−グルコシダーゼ。
〔3〕好ましくは、親β−グルコシダーゼと比べてプロテアーゼ耐性が高い、〔1〕又は〔2〕記載の変異β−グルコシダーゼ。
〔4〕好ましくは、前記親β−グルコシダーゼが、i)配列番号1の649位に相当する位置のアミノ酸残基がGlnでなく、かつ655位に相当する位置のアミノ酸残基がThrでないか;ii)配列番号1の653位から658位までに相当する領域のアミノ酸配列がTyr−Glu−Pro−Ala−Ser−Glyでないか;又は、iii)該i)とii)の両方である、〔3〕記載の変異β−グルコシダーゼ。
〔5〕該〔1〕〜〔4〕のいずれか1項記載の変異β−グルコシダーゼをコードするポリヌクレオチド。
〔6〕該〔5〕記載のポリヌクレオチドを含有するベクター。
〔7〕該〔5〕のポリヌクレオチド又は該〔6〕記載のベクターを含む形質転換体。
〔8〕好ましくは糸状菌である、〔7〕記載の形質転換体。
〔9〕該〔1〕〜〔5〕のいずれか1項記載の変異β−グルコシダーゼを含有するバイオマス糖化剤。
〔10〕該〔1〕〜〔4〕のいずれか1項記載の変異β−グルコシダーゼでバイオマスを糖化することを含む、糖の製造方法。
〔11〕変異β−グルコシダーゼの製造方法であって、
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含みかつβ−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチドにおいて、配列番号1の649位に相当する位置のアミノ酸残基をGlnに、かつ配列番号1の655位に相当する位置のアミノ酸残基をThrに置換すること、又は
(b)配列番号1で示されるアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含みかつβ−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチドにおいて、配列番号1の653位から658位までに相当する領域のアミノ酸配列をTyr−Glu−Pro−Ala−Ser−Glyに置換すること、
を含む、方法。
〔12〕好ましくは、前記配列番号1で示されるアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含みかつβ−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチドが、i)配列番号1の649位に相当する位置のアミノ酸残基がGlnでなく、かつ655位に相当する位置のアミノ酸残基がThrでないか;ii)配列番号1の653位から658位までに相当する領域のアミノ酸配列がTyr−Glu−Pro−Ala−Ser−Glyでないか;又は、iii)該i)とii)の両方である、〔11〕記載の方法。
〔13〕好ましくは、前記変異β−グルコシダーゼが、前記配列番号1で示されるアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含みかつβ−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチドと比べてプロテアーゼ耐性が高い、〔11〕又は〔12〕記載の方法。
〔14〕好ましくは、前記配列番号1で示されるアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含みかつβ−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチドが、
配列番号1又は2で示されるアミノ酸配列、又は、
配列番号1又は2で示されるアミノ酸配列に対して、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列、
からなる、〔11〕〜〔13〕のいずれか1項記載の方法。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこの実施例により限定されるものではない。
実施例1 変異BGL発現プラスミドの構築
(1)N649Q/Q655T変異体の発現プラスミドの構築
アスペルギルス・アクリータスのβ−グルコシダーゼ1(AaBGL1;配列番号1)に対してN649Q及びQ655Tの変異を導入した変異体(N649Q/Q655T)をコードする発現プラスミドを構築した。
PCR−megaprimer法により、分泌シグナル配列を有するAaBGL1プレタンパク質をコードする遺伝子(AaBGL1遺伝子、配列番号3)に変異導入した。すなわち、表1記載のプライマーBGL1−N649Q/Q655TとBGL1−Rを用いて、アスペルギルス・アクリータス No.F−50株ゲノムDNAを鋳型とし、PrimeSTAR HS DNA Polymeraseを使用して付属のプロトコルに従い、AaBGL1遺伝子の変異導入部位から下流側の遺伝子を増幅した。増幅断片はアガロースゲル電気泳動によって分離し回収した。得られた増幅断片をメガプライマーとしてBGL1−Fプライマーとともに用いて、F−50株ゲノムDNAを鋳型として同様の方法でPCRを行い、変異が導入された全長AaBGL1遺伝子を増幅した。得られたDNA断片をプライマー由来のNot I及びSph Iサイトで切断し、糸状菌発現ベクターpNAN8142(Biosci Biotechnol Biochem,1996,60:383−389)の同サイトに組み込んで発現プラスミドを構築した。DNA断片に変異が正しく導入されていることをシークエンシングにより確認した。
(2)653YEPASG658変異体の発現プラスミドの構築
AaBGL1のアミノ酸配列(配列番号1)における653〜658位のアミノ酸配列NAQVATが、オルソログの配列YEPASGに置換された変異体(653YEPASG658)をコードする発現プラスミドを構築した。上記(1)と同様の手順で、ただしプライマーBGL1−N649Q/Q655Tの代わりに表1記載のプライマーBGL1−653YEPASGを用いて、発現プラスミドを構築した。
実施例2 変異BGL発現株の作製
形質転換体の作製はGomiらの方法(Agric Biol Chem,1987,51:2549−2555)に従って行った。すなわち、MM(NH4 +)平板培地(1.0% Glucose、0.3% Ammonium tartrate、0.13% KCl、0.13% MgSO4・7H2O、0.38% KH2PO4、0.00011% Mo724・4H2O、0.00011% H3BO3、0.00016% CoCl2・6H2O、0.00016% CuSO4・5H2O、0.005% EDTA、0.0005% FeSO4・7H2O、0.0005% MnCl2・4H2O、0.0022% ZnSO4・7H2O、pH6.5)に生育したアスペルギルス・オリザ(A. oryzae)niaD300株に5mLのTween/saline solution(0.1%(w/v)Tween(登録商標)80、0.01% NaCl)を加え、スプレッダーを用いて胞子を懸濁した。この胞子懸濁液をMM(NH4 +)液体培地200mL(500mL容バッフルつき三角フラスコ)に加え、30℃、160rpmで1晩振盪培養した。適度に生育させて培養を終了し、ミラクロス上で集菌し、Protoplasting buffer(以下、PB;0.8M NaCl、10mM NaHPO)で洗浄した。回収した菌体を50mL容遠心管に入れ、Yatalase(タカラバイオ社製)30mg、Lysing enzyme(Sigma−Ardrich社製)50mgの入ったPB10mLに懸濁し,ゆっくりと振盪しながらインキュベート(30℃、90min)した。また、30分毎にピペッティングすることで菌体をほぐした。その後、プロトプラストのみを回収するためにミラクロスでろ過し、得られたろ液を遠心分離(4℃、2000rpm、5min)した。沈殿をTransformation buffer I(以下、TB I;0.8M NaCl、10mM Tris−HCl[pH7.5]、50mM CaCl2)10mLに懸濁し、遠心分離(4℃、2000rpm、5min)した。その後、上清を除去し、沈殿を200μLのTB Iに懸濁したものをプロトプラスト溶液とした。プロトプラスト数を顕微鏡により確認し、およそ107個/mLのプロトプラストをその後の操作に用いた。
実施例1(1)又は(2)で得られた発現プラスミドDNA約10μgを含む溶液に等量の2×TB Iを加え、これをプロトプラスト溶液に添加した。さらにその0.2倍量のTransformation buffer II(以下、TB II;50%PEG6000、50mM Tris−HCl[pH7.5]、50mM CaCl2)を加え、穏やかに混合して10min氷上に静置した。その後1mLのTB IIを加え、室温で15min静置した。次に10mLのTB Iを加え、遠心分離(4℃、2000rpm、5min)した。上清を除去し,沈殿を200μLのTB Iに懸濁し、Regeneration medium(以下、RE;1.0% Glucose、0.3% NaNO3、4.68% NaCl、0.13% KCl、0.13% MgSO4・7H2O、0.38% KH2PO4、0.00011% Mo724・4H2O、0.00011% H3BO3、0.00016% CoCl2・6H2O、0.00016% CuSO4・5H2O、0.005% EDTA、0.0005% FeSO4・7H2O、0.0005% MnCl2・4H2O、0.0022% ZnSO4・7H2O、pH6.5)に乗せ、トップアガー(RE、0.7%寒天)を重層した。得られた形質転換体は核を純化するためにモノクロ化を行った。すなわち、マイクロチューブに200μLのTween/saline solutionを加えたものを2つ用意し、形質転換体が生育したRE培地プレートから白金耳の先端に付着させた形質転換体の胞子を片方のTween/saline solutionに懸濁した。そこから2μL取り、もう片方のTween/saline solutionと混合することで100倍希釈した。その溶液から100μLをMM(NO3 -、0.1% Triton X−100)(MM(NH4 +)のAmmonium tartrateの代わりにNaNO3を添加し、さらにTriton X−100を添加したもの)平板培地にスプレッドし、30℃で3〜4日間静置培養した。そこに生育してきたコロニーから1株選択し,MM(NO3 -)平板培地に単離した。
実施例3 変異BGLのプロテアーゼ耐性
実施例2で得られた形質転換体及び野生型AaBGL1(WT)発現株をそれぞれMM(NO3 -)液体培地100mLに植菌し、30℃で振とう培養した。毎日(培養1〜8日後)培養上清を1mLずつサンプリングし、そのうちの20μLをSDS−PAGEに供した。ゲルには、分離ゲル7.5%、濃縮ゲル5%からなるポリアクリルアミドゲル(Acrylamide:N,N’−Methylenebisacrylamide=29.2:0.8)を用いた。培養上清に6×Sample buffer(0.375M Tris−HCl、60% Glycerol、6% 2−Mercaptoethanol、0.003% Bromophenol blue[pH6.8])を添加し、100℃で10分間処理して試料とした。縦型スラブ電気泳動装置(ATTO社製)を用い、泳動用緩衝液(0.1% SDS、25mM Tris base、192mM Glycine)中で20mAの定電流下で電気泳動を行った。電気泳動後、CBB溶液(0.2% CBB R−250、50% Ethanol、10% Acetic acid)中で染色を行い、脱色液(10% Methanol、7.5% Acetic acid)で脱色した。タンパク質の分子量マーカーにはProtein Molecular Weight Marker(Broad)(タカラバイオ社製)を用いた。
培養上清中における発現産物をSDS−PAGEによって解析した結果を図1〜3に示す。野生型AaBGL1(WT)では、培養3〜4日後には約130kDaのタンパク質として生産されているが、5日後以降は約100kDaと約30kDaのタンパク質に切断され、さらに7日後以降にはタンパク質の切断が進んで約30kDaのタンパク質がなくなっていた(図1)。この約30kDaのタンパク質の消失はAaBGL1の活性の低下を意味する。これに対して、N649Q/Q655T変異体は、培養8日後でも約130kDaのタンパク質がメインのバンドとして観察され、プロテアーゼによる切断に耐性を有していることが示された(図2)。さらに653YEPASG658変異体では、観察した培養期間において約130kDaのタンパク質の分解はほとんど見られなかった(図3)。以上のことから、本発明の変異BGLは、培養中における菌体外プロテアーゼによる分解を免れることが示された。
WTで約130kDaバンドの分解が観察された6日目の培養上清中のBGL活性を、pNP(p−Nitrophenol)法にて測定した。培養上清を希釈して酵素溶液を調製した。1.5mM pNP−Glc溶液(100mM Na−acetate buffer、pH5.0)を基質溶液とした。37℃で5minプレインキュベートした100μLの酵素溶液に、1.5mMの基質溶液を等量混合することで酵素反応を開始した。37℃、10minの反応後、2mLの1M Na2CO3溶液を加えて反応を停止させた。その後405nmの吸光度を測定し、pNPの吸光係数(ε405nm=0.0185mL/nmol・cm−1)を用いて遊離したpNP濃度を算出し、酵素活性を求めた。ブランクには、酵素溶液100μLに1M Na2CO3 2mL、基質溶液100μLの順に加えた酵素反応が生じない液を用いた。1分間に1μmolのpNPを遊離させる酵素量を1Unitと定義し、以下の式により培養上清中の酵素活性を算出した。
酵素活性(Unit/mL)=A405/18.5×2.2mL/(10min)×(1/0.1mL)×培養上清の希釈率
その結果、N649Q/Q655T変異体、および653YEPASG658変異体では、6日目の培養上清において、野生型に比べてBGL活性が高く維持されていた。
実施例4 変異BGLの活性
実施例2で得られた変異BGL発現株から変異BGL酵素を精製し、そのBGL活性を実施例3と同様の手順でpNP法にて測定した。以下の式により精製酵素の比活性を算出した。
比活性(Unit/mg)=酵素活性(Unit/mL)/タンパク質濃度(mg/mL)
結果を表3に示す。変異BGLは、インタクトなWTのBGLと同等又はそれ以上の比活性を示した。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらが、本発明を、説明した特定の実施形態に限定することを意図するものではないことを理解すべきである。本発明の範囲内にある様々な他の変更及び修正は当業者には明白である。本明細書に引用されている文献及び特許出願は、あたかもそれが本明細書に完全に記載されているかのように参考として援用される。

Claims (8)

  1. 下記(i)、(ii)及び(iii)から選択される変異β−グルコシダーゼ:
    (i)配列番号1で示されるアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列において、配列番号1の649位に相当する位置のアミノ酸残基がGlnに、かつ配列番号1の655位に相当する位置のアミノ酸残基がThrに置換されたアミノ酸配列からなり、かつβ−グルコシダーゼ活性を有する、ポリペプチド;
    (ii)配列番号1で示されるアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列において、配列番号1の653位から658位までに相当する領域のアミノ酸配列がTyr−Glu−Pro−Ala−Ser−Glyに置換されたアミノ酸配列からなり、かつβ−グルコシダーゼ活性を有する、ポリペプチド;
    (iii)該(i)又は(ii)のポリペプチドを含み、かつβ−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド。
  2. 請求項1記載の変異β−グルコシダーゼをコードするポリヌクレオチド。
  3. 請求項2記載のポリヌクレオチドを含有するベクター。
  4. 請求項2記載のポリヌクレオチド又は請求項3記載のベクターを含む形質転換体。
  5. 糸状菌である、請求項4記載の形質転換体。
  6. 請求項1記載の変異β−グルコシダーゼを含有するバイオマス糖化剤。
  7. 請求項1記載の変異β−グルコシダーゼでバイオマスを糖化することを含む、糖の製造方法。
  8. 変異β−グルコシダーゼの製造方法であって、
    (a)配列番号1で示されるアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含みかつβ−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチドにおいて、配列番号1の649位に相当する位置のアミノ酸残基をGlnに、かつ配列番号1の655位に相当する位置のアミノ酸残基をThrに置換すること、又は
    (b)配列番号1で示されるアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含みかつβ−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチドにおいて、配列番号1の653位から658位までに相当する領域のアミノ酸配列をTyr−Glu−Pro−Ala−Ser−Glyに置換すること、
    を含む、方法。
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