本発明に係る栽培施設用冷暖房装置の実施の形態は、図1に示す様に、例えば幅6〜7m、長さ50〜60mとされる大型ビニールハウス等の栽培施設10の複数棟を連棟とした施設における温度管理を行う冷暖房装置であって、この冷暖房装置の主要部は、栽培施設10の近くの適宜場所に建てたプレハブ小屋等の設備棟20に設置するものである。
尚、設備棟20を設けることなく、連棟とした各栽培施設10の内部端部等に冷暖房装置の主要部を設置することもあり、栽培施設10は連棟とする場合に限ることなく、単棟であっても、栽培施設10の内部に、又は栽培施設10の近くに、冷暖房装置の主要部を設置することもある。
この栽培施設10としたビニールハウスでは、例えば一季なりの苺やトマト等の通年栽培を行うものとし、図2乃至図5に示す様に、幅が30cm程度、長さが50m程度とされた栽培棚30を横に4列や5列等の複数列を配置するようにして栽培施設10とされたビニールハウス内に設置し、当該栽培施設10の内部には、栽培施設10の周辺に沿って熱カーテンウォール装置61や温調装置65を配置し、この熱カーテンウォール装置61や温調装置65、更には栽培棚30に設ける果実用放熱管49等の放熱手段によりハウス内の室温、特に栽培棚30周辺の温度を適温に保つようにするものである。
尚、図4及び図5に示す実施例は、苺を栽培する例を図示しているも、栽培する植物は苺に限るものでなく、当該栽培施設10では、各種の果物や野菜を適宜栽培することができるものである。
この栽培棚30は、図4に示す様に、棒状の縦枠棒31の下端である基部33を大地17に埋め込んで縦枠棒31を立設させ、2本の縦枠棒31を30cm程度離して立設させると共にこの30cm程度の間隔とした2本の縦枠棒31の中間高さ位置を培地受け支持パイプ35で接続して1組の縦枠棒31とし、この1組の縦枠棒31の50組程度を50m程度に亘って一列に配置し、この1列とした各縦枠棒31における培地受け支持パイプ35よりも上方部分を相互に補助受けパイプ36で連結し、且つ、1組とした縦枠棒31における各培地受け支持パイプ35も補助受けパイプ36で連結しているものである。
そして、各培地受け支持パイプ35を連結した補助受けパイプ36及び培地受け支持パイプ35よりも上方で左右の縦枠棒31を連結した補助受けパイプ36により幅30cm程度にして長さが50m程度の枠型を形成し、この枠型の内側に長さ50m余りのビニールシートを培地受けシート37として配置し、この幅30cm程度にして長さが50m程度の窪み状とされた培地受けシート37にピートモスや培養土等の培地45を充填して栽培棚30としているものである。
また、培地受け支持パイプ35の両端部である栽培棚30の外側には水滴受け部41を設け、水滴受け部41の上方には栽培棚30の全長に亘る放熱管ベース47を栽培棚30の左右に各々複数本設け、各放熱管ベース47にはビニールホース等の果実用放熱管49を放熱手段として固定し、栽培棚30の上端には左右の縦枠棒31の上端から外側斜め下方に延びる果実受けシート支持部39を設けてこの果実受けシート支持部39の上面に培地受けシート37の左右両端部分を被せて果実受け部を形成しているものである。
尚、左右の水滴受け部41には、結露水排水パイプ43を接続して水滴受け部41に溜まる水滴を排出するようにしている。
そして、この様な栽培棚30は、縦枠棒31の下端を大地17に埋め込んで大地17に立設固定する場合に限るものでなく、水平方向とする培地受け支持パイプ35及び垂直方向とする左右の縦枠棒31に換えて上方を開口させたコ字形状のパイプ等を補助受けパイプ36で連結して枠型を形成し、又は上方を開口させるU字形のパイプ等を補助受けパイプ36で連結して枠型を形成し、栽培施設10の天井から吊下げる栽培棚30とすることもある。
更に、この栽培施設10としたビニールハウス内では、大地17の表面に表土被覆シート18を施設し、1組とした左右の縦枠棒31の間の表土被覆シート18上にビニールホース等の栽培棚下方放熱管51を栽培棚30の略全長に亘って放熱手段として施設している。
そして、このように左右に果実受け部を突出させ、幅30cm程度にして長さが50m程度の栽培棚30を例えば5列として配置した栽培施設10の周辺部において、図2や図3に示すように、適宜間隔を設けて放熱器とファンとを備えた温調装置65や熱カーテンウォール装置61を放熱手段として更に配置しているものである。
このように栽培棚30の近辺及び栽培施設10の周辺等に種々の放熱手段を設ける栽培施設10は、図5に示す様に、小屋形にフレーム11を組み合わせ、この組み合わせたフレーム11と補助フレーム13とに外部シート12を張り、更にフレーム11と組み合わせた補助フレーム13に吊下げた補助フレーム13により内側シート14を張るようにした2重ビニールハウスとし、栽培施設10の周辺で垂直に垂らした内側シート14による栽培施設10の壁面の内側において、栽培棚30を設けると共に適宜の放熱手段を配置するものである。
そして、この栽培施設10の内部周辺に設ける放熱手段としての熱カーテンウォール装置61は、栽培施設10の内側シート14に沿って立設した断熱性を有する板状の熱ウォール板62にビニールホース等のカーテンウォール放熱管63の複数本を水平方向に平行として配置した熱カーテンウォール装置61とするものである。
尚、カーテンウォール放熱管63は、複数本を平行に設ける場合に限ることなく、蛇行させた1本の放熱管を熱ウォール板62の栽培施設10の内側に向けた面の全面に亘って取り付けるように固定することもある。
従って、冬季等には栽培施設10の壁面とした内側シート14に沿って降下する冷気が栽培施設10の内部に拡散することを熱ウォール板62で阻止し、カーテンウォール放熱管63からの輻射熱により栽培施設10の内部を温めることができ、また、夏季等にはカーテンウォール放熱管63からの冷気を栽培施設10の内部に拡散させることができる。
また、栽培施設10の内部周辺に設ける放熱手段としての温調装置65は、ファン及びファンモータを内蔵する送風機と、放熱管としてのフィン付き蛇行管を内蔵する放熱器66とにより構成し、蛇行管の内部流体の温度により送風機からの送風を冷風又は温風とする放熱手段としたものであり、熱カーテンウォール装置61と熱カーテンウォール装置61との間に温調装置65を配置するようにしているものである。
従って、送風機からの送風を温風又は冷風として栽培施設10の内部に拡散させ、栽培施設10内の温度を調整することができる。
更に、複数列とした栽培棚30の上方における所要箇所には、施設空間用放熱管53を放熱手段として設け、この施設空間用放熱管53としては、補助フレーム13の上方に配管する空間用分岐往路管181と空間用分岐復路管183とに接続されるスパイラル状のビニールホース等の放熱部185を保持部184により吊下げて施設空間用放熱管53としている。
このスパイラル状の施設空間用放熱管53は、往路管と復路管とを並べてスパイラル状とし、放熱管である往路管と復路管の先端部分を相互に接続して温水等の循環を可能とすると共に、往路管と復路管の先端部189に図示しない紐等を括り付け、紐の長さを調整することにより、先端部189の高さを栽培棚30の上方で変更可能とするものである。
また、放熱手段としての施設空間用放熱管53は、スパイラル状のビニールホース等に限るものでなく、図6の(A)に示す様に、ビニールホース等の柔軟性を有するパイプを蛇行させた状態でビニールシート等の柔軟性を有するシートに固定し、シートと共に放熱部185とするビニールホースを巻き上げ、巻き下ろし可能として保持部184により吊下げることもある。
更に、図6の(B)に示す様に、略環状の端部管186を両端に有する施設空間用放熱管53とすることもある。この施設空間用放熱管53は、栽培施設10の支柱16等に端部管186を巻き付けるようにして固定し、端部管186と端部管186との間に銅パイプ等の放熱管による放熱部185を設けているものである。
この様に、栽培棚30の上方に施設空間用放熱管53を設けることにより、冬季等の気温が低いとき、栽培施設10の天井部から冷気が栽培棚30の周辺に降下することを防止し、夏季等には施設空間用放熱管53から冷気を栽培棚30の周辺に降下させ、栽培棚30周辺の温度調整を効果的に行うことができる。
更に、図3に示した様に、栽培施設10の周辺部に放熱手段としての温調装置65と熱カーテンウォール装置61とを配置すると共に、栽培施設10の周辺部における大地17には、大地温度調節管52としてビニールホース等の放熱管を蛇行させるように、又は、平面的螺旋状とするようにして、栽培施設10の内部周辺部を複数本で取り囲むように埋設して栽培施設10における放熱手段とすることもある。
この様に、栽培施設10内周辺部の大地17に大地温度調節管52を設けることにより、栽培施設10の内部周辺部における大地17の温度を調整し、大地温度調節管52に温水を流すことにより栽培施設10の壁面に沿って降下する冷気が栽培施設10の周囲から内部に広がるように拡散することを防止し、また、冷水を流すことにより冷気を栽培施設10の内部地表面に沿って拡散させることができる。
そして、各栽培棚30の果実用放熱管49や栽培棚下方放熱管51、栽培施設10の周辺部に配置される大地温度調節管52、更に栽培施設10の適宜箇所に配置される施設空間用放熱管53は、夫々栽培施設10の内部端部等に配置される循環分岐器145や循環集合器147に接続され、また、熱カーテンウォール装置61や温調装置65は、夫々栽培施設10の内部端部等に配置される棟内分岐器251や棟集合器247に接続されるものである。
この循環分岐器145や循環集合器147に接続される果実用放熱管49や栽培棚下方放熱管51、施設空間用放熱管53、大地温度調節管52は、循環水熱交換器105により温熱又は冷熱が供給されて温度調整された用水を温調水循環回路100により循環させるものである。
この温調水循環回路100は、図7に示す様に、循環熱交換器回路123と循環熱交換器回路123から分岐する集合往路管131及び集合復路管135とを有し、循環熱交換器回路123は、循環水熱交換器105の二次側の2つのポートを接続する回路であって循環三方弁121と循環開閉バルブ125とを有し、循環水熱交換器105の二次側の1つのポートを循環三方弁121のcポートに接続し、循環水熱交換器105の二次側の他のポートと循環三方弁121のbポートとの間に循環開閉バルブ125を有する閉回路であり、集合往路管131は、循環三方弁121のaポートにより循環熱交換器回路123から分岐され、集合復路管135は、循環三方弁121と循環開閉バルブ125との間の循環熱交換器回路123から分岐される。
更に、温調水循環回路100は、集合往路管131から各ビニールハウス等の栽培施設棟に温度調整された用水を送る棟送水管141と、各栽培施設棟からの用水を集合復路管135に戻すように送る棟戻り管149とを分岐させるように備えている。
尚、循環三方弁121のcポートと循環水熱交換器105との間において、給水バルブ113を備えた給水管111を循環熱交換器回路123に接続し、循環三方弁121のbポートと循環開閉バルブ125との間において排水バルブ117を備えた排水管115を循環熱交換器回路123に接続している。
そして、集合往路管131から分岐した棟送水管141は、棟送水ポンプ143を備えて栽培施設10に設ける循環分岐器145に接続するものである。この循環分岐器145は、棟送水管141を大地調温用分岐管151及び栽培棚下方用分岐管161、果実用分岐管171、空間用分岐往路管181に分岐するものである。
この大地調温用分岐管151は、栽培施設10の内部周辺で大地17に埋設された複数本の大地温度調節管52を夫々開閉弁152を介して接続するものであり、大地温度調節管52の他端は、夫々大地調温用集合管153を介して循環集合器147に接続される。
又、栽培棚下方用分岐管161は、各栽培棚30毎に開閉弁162を介して栽培棚下方放熱管51に接続され、栽培棚下方放熱管51の他端は夫々栽培棚下方用集合管163に接続され、栽培施設棟内の全ての栽培棚30の栽培棚下方放熱管51に接続された栽培棚下方用集合管163は循環集合器147を介して棟戻り管149に接続される。
更に、空間用分岐往路管181は、開閉弁182を有して各施設空間用放熱管53に接続され、各施設空間用放熱管53の他端は夫々空間用分岐復路管183に接続され、循環集合器147を介して棟戻り管149に接続される。
そして、果実用分岐管171は各栽培棚30毎に開閉弁172を介して各栽培棚30の分岐ヘッダー173に接続される。この分岐ヘッダー173は、栽培棚30において、栽培棚30の両側に3本ずつ配置した果実用放熱管49に用水を分けて送るものである。
また、3本の果実用放熱管49は他端で集合ヘッダー174により果実用集合管175に纏められ、栽培施設棟内の全ての各栽培棚30の集合ヘッダー174を纏めた果実用集合管175も、循環集合器147を介して棟戻り管149に接続される。
そして、棟戻り管149は集合復路管135に接続され、棟戻り管149が接続された集合復路管135には循環戻しポンプ127を設け、栽培施設10内の各放熱手段を通過した用水を循環熱交換器回路123に送るものである。
尚、この果実用分岐管171に果実用放熱管49を接続するに際しては、分岐ヘッダー173や集合ヘッダー174を省略して果実用分岐管171から果実用放熱管49に用水を送り、果実用集合管175を介して循環集合器147に送るようにすることもある。
また、大地調温用集合管153には開閉弁157を介して循環水膨張タンク158を接続し、栽培棚下方用集合管163には開閉弁167を介して循環水膨張タンク168を、果実用集合管175には開閉弁177を介して循環水膨張タンク178を、空間用分岐復路管183には開閉弁187を介して循環水膨張タンク188を接続し、温調水循環回路100を循環する用水の温度変化による膨張収縮を吸収させるようにしている。
従って、この温調水循環回路100は、循環開閉バルブ125を閉じ、給水バルブ113及び排水バルブ117を開き、循環三方弁121をacポート接続として棟送水ポンプ143及び循環戻しポンプ127を作動させると、給水バルブ113から農業用水や地下水又は河川水等の用水を集合往路管131を介して棟送水管141に送り、果実用放熱管49や栽培棚下方放熱管51、大地温度調節管52、施設空間用放熱管53を介して棟戻り管149及び集合復路管135に戻し、排水管115から排水することができる。
また、給水バルブ113及び排水バルブ117を閉じ、循環三方弁121をabポート接続とするように制御すれば、集合往路管131、棟送水管141を介して果実用放熱管49や栽培棚下方放熱管51、大地温度調節管52、施設空間用放熱管53とした放熱手段を通った用水を棟戻り管149及び集合復路管135を介して循環戻しポンプ127により循環三方弁121に送って再び集合往路管131に送り出し、温調水循環回路100内で循環させることができる。
更に、給水バルブ113及び排水バルブ117を閉じた状態で循環開閉バルブ125を開き、循環三方弁121をacポート接続とするように接続すれば、集合復路管135から循環戻しポンプ127により集合往路管131に送って循環させる用水を循環水熱交換器105の二次側パイプを介して集合往路管131に送り、栽培施設10内の放熱手段を循環させる用水の温度を循環水熱交換器105の一次側パイプを流す熱媒によって調整することができる。
尚、循環水熱交換器105により温度調整が可能とされた用水を循環させる放熱手段は、果実用放熱管49や栽培棚下方放熱管51、大地温度調節管52等に限るものでなく、栽培棚30の培地45の表面に放熱管を配置することや、栽培棚30の培地45に放熱管を埋設するように設けることにより、培地45の温度を調整する放熱手段とすることもある。
そして、この循環水熱交換器105の一次側は、図8に示す様に、循環熱交換器往路221及び循環熱交換器復路223により熱媒槽200に接続されるものである。
この熱媒槽200は、断熱性を有する容器であって、季節に応じ、又、夜間や昼間の栽培施設10内温度に合わせて10℃以下、十数℃程度、数十℃程度の温度とする熱媒を蓄えるものであり、熱媒の温度変化による膨張収縮を吸収させるために開閉弁204を介した熱媒膨張タンク205を備えている。尚、この熱媒としては、ブライン等の不凍液を使用するものである。
そして、循環熱交換器往路221は、熱媒送出ポンプ225を備え、第1三方弁215のaポートと循環水熱交換器105の一次側ポートの一方とを接続し、第1三方弁215のbポートが送出回路下部管212により熱媒槽200の下部に接続され、第1三方弁215のcポートが送出回路上部管211により熱媒槽200の上部に接続され、熱媒槽200の上部に蓄えた熱媒又は熱媒槽200の下部に蓄えた熱媒を循環水熱交換器105に送るものである。
また、循環熱交換器復路223は、送出回路開閉弁226を備え、循環水熱交換器105における一次側ポートの他方と第2三方弁216のaポートとを接続し、第2三方弁216のbポートが送出回路上部管211により熱媒槽200の上部に接続され、第2三方弁216のcポートが送出回路下部管212により熱媒槽200の下部に接続され、循環水熱交換器105を通った熱媒を熱媒槽200の上部又は熱媒槽200の下部に戻すものである。
更に、第1三方弁215と熱媒送出ポンプ225との間の循環熱交換器往路221から開閉弁235を備えた分岐器往路管231を分岐して棟分岐器241を接続し、棟分岐器241によりビニールハウス等の各栽培施設棟に熱媒を送る棟用送り管244を栽培施設棟の数に合わせて分岐している。
そして、各栽培施設棟からの熱媒を棟用戻り管246により棟集合器247で集め、棟集合器247を棟用戻しポンプ237及び復路開閉弁238を備えた分岐器復路管233により第2三方弁216と送出回路開閉弁226との間の循環熱交換器復路223に接続している。
更に、棟用送り管244は棟用送出ポンプ243を備えて棟内分岐器251に接続され、棟内分岐器251は棟用送り管244を温調用分岐管253とウォール分岐管263とに分岐している。
この温調用分岐管253は、送出ポンプ252を有し、開閉弁254を介して各温調装置65に接続し、温調装置65における放熱器66のフィン付き蛇行管に熱媒を送出可能としている。また、フィン付き蛇行管の他端は温調用集合管255を介して棟内集合器256に接続するものである。尚、温調用集合管255には開閉弁258を介して循環水膨張タンク259を接続している。
従って、開閉弁254を開き、放熱器66に温熱媒又は冷熱媒を送り、送風機のモータ68を駆動してファン67を低速で回転させることにより、温調装置65から温風又は冷風を緩やかに放出させることができる。
また、ウォール分岐管263も送出ポンプ262を備え、開閉弁264を介して各熱カーテンウォール装置61の分岐ヘッダー265に接続される。この分岐ヘッダー265には複数本のカーテンウォール放熱管63が接続され、カーテンウォール放熱管63の各他端が集合ヘッダー267に接続され、各熱カーテンウォール装置61の集合ヘッダー267は、ウォール集合管268を介して棟内集合器256に接続されるものである。
そして、ウォール集合管268には開閉弁274を介して循環水膨張タンク275を接続しており、各栽培施設棟の集合ヘッダー267は、棟用戻り管246により棟集合器247に接続している。尚、分岐ヘッダー265や集合ヘッダー267を省略し、1本の蛇行したカーテンウォール放熱管63をウォール分岐管263に接続する熱カーテンウォール装置61とすることもある。
従って、この循環熱交換器往路221、循環熱交換器復路223、送出回路上部管211、送出回路下部管212、分岐器往路管231、分岐器復路管233、棟用送出管、棟用戻り管246により構成した熱媒循環回路210では、第1三方弁215及び第2三方弁216をabポート接続とするかacポート接続とするかにより、熱媒槽200の上部から熱媒を取り出して放熱手段に熱を供給して熱媒槽200の下部に戻すか、熱媒槽200下部から熱媒を取り出して放熱手段に熱を供給して熱媒槽200の上部に戻すか、を選択することができる。
そして、循環熱交換器復路223の送出回路開閉弁226を開き、熱媒送出ポンプ225を駆動すれば、熱媒槽200の上部に溜まった熱媒又は下部に溜まった熱媒を循環水熱交換器105の一次側パイプに送り、循環水熱交換器105により温調水循環回路100を循環する用水に温熱や冷熱を供給することができる。
また、分岐器往路管231の往路開閉弁235及び分岐器復路管233の復路開閉弁238を開き、棟用送出ポンプ243及び棟用戻しポンプ237を駆動すれば、棟用送出ポンプ243を駆動した栽培施設棟に設置した熱カーテンウォール装置61や温調装置65に熱媒槽200の上部に溜まった熱媒又は下部に溜まった熱媒を送り、熱カーテンウォール装置61や温調装置65により暖房又は冷房を行うことができる。
更に、この熱媒槽200には、地下水用第1熱交換器281の二次側ポートに接続する地下水用熱媒往路283及び地下水用熱媒復路285を設けており、この地下水用熱媒往路283は、熱媒槽200の中間高さ位置に接続して熱媒槽200の中間高さ位置の熱媒を抜き出すようにし、地下水用熱媒復路285は、熱媒槽200の下部近くに接続して地下水用第1熱交換器281を介した熱媒を熱媒槽200の下部近くに戻すようにし、この地下水用熱媒復路285に熱媒戻しポンプ287と開閉弁288とを設けている。
また、地下水用第1熱交換器281における一次側の2つのポートは、夫々地下水分岐管321により地下水循環回路293における第3三方弁301のbポート及び第4三方弁303のbポートに接続するものである。
この地下水循環回路293は、地下水用第2熱交換器291の一次側の2つのポートを接続する閉回路であって、当該回路中に地下水用循環ポンプ295、開閉弁296、第5三方弁305、第3三方弁301、第4三方弁303を備えるものである。
そして、第3三方弁301及び第4三方弁303と第5三方弁305を、夫々acポート接続とすれば、地下水用第2熱交換器291の一次側を閉回路とすることができるものであり、第3三方弁301をabポート接続、第4三方弁303をbcポート接続、第5三方弁305をacポート接続とすれば、地下水用第1熱交換器281の一次側及び地下水用第2熱交換器291の一次側を直列として閉回路とすることができるものである。
更に、この地下水循環回路293は、第5三方弁305のbポートには排出管298を接続し、第5三方弁305と第3三方弁301との間に汲み上げポンプ313及び開閉弁314を備えた汲み上げ管311を接続しているものである。
従って、汲み上げ管311の開閉弁314を開き、第5三方弁305をabポート接続とし、第3三方弁301をabポート接続、第4三方弁303をbcポート接続として地下水循環回路293の開閉弁296を開き、汲み上げポンプ313及び地下水用循環ポンプ295を駆動させると、汲み上げ管311から地下水を汲み上げ、地下水用第1熱交換器281及び地下水用第2熱交換器291の一次側パイプを通して排出管298から地下水を排出することができる。
また、第3三方弁301をabポート接続、第4三方弁303をbcポート接続とした状態で第5三方弁305をacポート接続とし、汲み上げ管311の開閉弁を閉じて汲み上げポンプ313を停止させ、地下水用循環ポンプ295を駆動すると、地下水用循環ポンプ295により、地下水循環回路293及び地下水分岐管321を介して地下水を第1熱交換器及び第2熱交換器の各一次側パイプで循環させることができる。
そして、熱媒槽200は、ヒートポンプ用熱媒回路341によりヒートポンプ330とも接続している。このヒートポンプ330は、蒸発器や凝縮器として機能する第1熱交換器337及び第2熱交換器339と、圧縮機331及び四方弁333と膨張弁335とを備え、四方弁333を切換え制御することにより、第1熱交換器337を蒸発器とし第2熱交換器339を凝縮器として機能させる、又は、第1熱交換器337を凝縮器とし第2熱交換器339を蒸発器として機能させるものである。
このヒートポンプ用熱媒回路341は、ヒートポンプ用送出ポンプ343及び開閉弁345を備えてヒートポンプ330の第1熱交換器337に接続され、熱媒槽200に接続する熱媒取入れ口及び熱媒戻し口は、熱媒槽200の中間高さ位置において取入れ口及び戻し口を離すようにしてヒートポンプ330の第1熱交換器337を熱媒槽200に接続しているものである。
そして、ヒートポンプ330の第2熱交換器339は、ヒートポンプ外部回路351により地下水用第2熱交換器291の二次側パイプと接続するものであり、このヒートポンプ外部回路351は、外部循環ポンプ353を備え、ブライン等の不凍液を外部循環熱媒として地下水用第2熱交換器291とヒートポンプ330の第2熱交換器339との間で熱移動をさせるものである。
尚、このヒートポンプ外部回路351にも開閉弁356を介して外部熱媒膨張タンク355を設け、外部熱媒の温度変化による膨張収縮を吸収させるようにしている。
従って、この栽培施設用冷暖房装置は、夏場等、施設内の冷房が必要なとき、熱媒循環回路210において第1三方弁215及び第2三方弁216をabポート接続とし、分岐器往路管231の往路開閉弁235及び分岐器復路管233の復路開閉弁238を開き、棟用送出ポンプ243及び棟用戻しポンプ237を駆動して熱媒槽200下部の熱媒を施設内の熱カーテンウォール装置61や温調装置65に送って熱媒槽200の上部に戻しつつ、温調装置65のファン67を駆動して放熱器66から冷風を栽培施設棟内に循環させ、又、熱カーテンウォール装置61から冷熱を放出させて施設内空気の温度調整を行うことができる。
そして、温調水循環回路100では、循環三方弁121をabポート接続として棟送水ポンプ143及び循環戻しポンプ127を駆動することにより用水を循環させ、栽培施設10内、特に栽培棚30近辺の温度を低温に保つようにし、温調水循環回路100の用水の温度が上昇したとき、循環開閉バルブ125を開くと共に循環三方弁121をacポート接続として温調水循環回路100を循環する用水を循環水熱交換器105の一次パイプに通し、温調水循環回路100を循環する用水の温度を低下させることができる。
この様にして熱媒槽200に蓄えた熱媒により栽培施設棟内の室内温度や培地45等の温度を調整し、熱媒槽200に蓄えた熱媒の温度が上昇したとき、地下水用熱媒復路285の開閉弁288を開いて熱媒戻しポンプ287を駆動し、地下水用熱媒往路283により熱媒槽200の中間高さの熱媒を抜き出して地下水用第1熱交換器281に送り、地下水用第1熱交換器281により冷やした熱媒を地下水用熱媒復路285により熱媒槽200の下部に戻すことができる。
このとき、地下水循環回路293では、第3三方弁301及び第5三方弁305をabポート接続として第4三方弁303をbcポート接続とし、汲み上げ管311の開閉弁314及び地下水循環回路293の開閉弁296を開き、地下水用循環ポンプ295及び汲み上げポンプ313を駆動して地下水を地下水用第1熱交換器281に送るようにするものである。
従って、熱媒槽200の中間高さ位置の熱媒を、地下水用第1熱交換器281により地下水温度近くまで低下させて熱媒槽200の下部に送り込み、送出回路下部管212によって循環水熱交換器105や施設内の熱カーテンウォール装置61及び温調装置65に送ることができる。
また、図9に示す様に、第5三方弁305をacポート接続とし、汲み上げ管311の開閉弁314を閉じると共に、ヒートポンプ330において第1熱交換器337を凝縮器として機能させ、第2熱交換器339を蒸発器と機能させるように四方弁333を制御し、熱媒戻しポンプ287を駆動して熱媒槽200の中間高さ位置から熱媒を地下水用第1熱交換器281に送りつつ、地下水用循環ポンプ295を駆動して地下水循環回路293の地下水を地下水用第1熱交換器281と地下水用第2熱交換器291の一次側で循環させ、外部循環ポンプ353を駆動してヒートポンプ330の第2熱交換器339と地下水用第2熱交換器291との間で外部熱媒を循環させることもある。
この場合は、ヒートポンプ330の第2熱交換器339で冷却された外部熱媒により地下水用第2熱交換器291で冷熱を地下水循環回路293を循環する地下水に移動させ、地下水用第1熱交換器281により地下水用熱媒復路285で熱媒槽200の下部に戻る熱媒に冷熱を移動させることができ、熱媒槽200の下部に5℃程度に温度低下させた熱媒を滞留させ、この低温の熱媒を送出回路下部管212により循環水熱交換器105や温調装置65に送ることができる。
そして、ヒートポンプ用熱媒回路341によりヒートポンプ330の第1熱交換器337を介して高温とされて熱媒槽200に戻る熱媒は、熱媒槽200の中間高さ位置に戻されて熱媒槽200の上部に滞留することとなり、ヒートポンプ用熱媒回路341による熱媒の取り込み、及び、地下水用熱媒往路283による熱媒の取り込みを熱媒槽200の中間高さ位置で行い、地下水用熱媒復路285による低温の熱媒を熱媒槽200の下部に送り、送出回路下部管212により熱媒槽200下部の低温の熱媒を抜き出して温調水熱交換器や温調装置65に送るため、低温とした熱媒による冷熱を放熱手段に供給することが確実にできる。
尚、第5三方弁305をabポート接続とし、汲み上げ管311の開閉弁314を開いて汲み上げポンプ313及び地下水用循環ポンプ295を駆動して地下水を地下水用第2熱交換器291に供給しつつ、ヒートポンプ330の第1熱交換器337を蒸発器として機能させ、第2熱交換器339を凝縮器として機能させ、地下水熱を利用したヒートポンプ330による冷熱を熱媒槽200に蓄えることもある。
また、冬場や夜間等、放熱手段に温熱を供給するときは、熱媒循環回路210において、第1三方弁215及び第2三方弁216をacポート接続とし、循環熱交換器復路223の開放弁226を開いて熱媒送出ポンプ225を駆動し、且つ、分岐器往路管231の開閉弁235及び分岐器復路管233の復路開閉弁238を開き、棟用送出ポンプ243及び棟用戻しポンプ237を駆動して熱媒槽200上部の熱媒を循環水熱交換器105や熱カーテンウォール装置61及び温調装置65に送るものである。
この放熱手段に温熱を供給するとき、地下水循環回路293の第5三方弁305をabポート接続として汲み上げ管311の開閉弁314を開き、第3三方弁301及び第4三方弁303をacポート接続とし、汲み上げポンプ313及び地下水用循環ポンプ295を駆動すれば、ヒートポンプ330により地下水熱をヒートポンプ330により集め、熱媒槽200の上部に50℃程度の温度とした熱媒を滞留させるようにして温熱を蓄えることができる。
更に、冬季等、熱媒循環回路210から熱媒槽200の下部に戻される熱媒温度が地下水温度よりも低くなるとき、地下水循環回路293の第3三方弁301をabポート接続とし、第4三方弁303をbcポート接続とすれば、汲み上げ管311により汲み上げた地下水を、先ず地下水用第1熱交換器281に送り、地下水用熱媒往路283により地下水用第1熱交換器281に送られる熱媒槽200の熱媒と熱交換を行い、更に地下水用第1熱交換器281から地下水用第2熱交換器291に送られる地下水から外部熱媒に地下水熱を移動させてヒートポンプ330により、より高温としてヒートポンプ用熱媒回路341から熱媒槽200に高温の熱媒として戻すこともできる。
尚、ヒートポンプ330を駆動することなく、熱媒循環回路210から熱媒槽200に戻す熱媒の温度が地下水温度よりも低くなるときは、地下水用第1熱交換器281のみにより地下水熱を熱媒槽200の熱媒に伝達させるようにすることもある。この場合は、地下水により直接的に熱媒槽200の熱媒を温めるものであり、ヒートポンプ330によるエネルギーの消費を軽減することができる。
更に、この冷暖房装置では、図8に示したように、太陽熱パネル380を備え、熱媒槽200の下部から太陽熱パネル380に熱媒を送る太陽パネル往路管381と、太陽熱パネル380から熱媒を熱媒槽200の上部に戻す太陽パネル復路管382とを有し、太陽パネル往路管381には太陽パネル用送出ポンプ383と開閉弁384とを設け、太陽パネル復路管382には開閉弁387を介して熱媒膨張タンク388を接続している。
従って、栽培施設10に温熱を供給するとき、パネル温度計427により太陽熱パネル380の温度を検出し、太陽熱パネル380の温度が求められる温度以上であれば太陽パネル用送出ポンプ383を駆動して熱媒槽200の下部から熱媒を抜き出し、太陽熱パネル380によって熱媒温度を上昇させて熱媒槽200の上部に戻すことができる。
また、この冷暖房装置では、熱媒槽200の中間高さ位置から熱媒を抜き出して地下水用第1熱交換器281に送り、ヒートポンプ330を駆動して冷却された熱媒を地下水用熱媒復路285により熱媒槽200の下部に戻して滞留させ、ヒートポンプ330で温められた熱媒は、ヒートポンプ用熱媒回路341により熱媒槽200の中間高さ位置に戻して熱媒槽200の上部に滞留させることにより、上部の高温の熱媒を送出回路上部管211により抜き出し、又は、下部の低温の熱媒を送出回路下部管212から抜き出して放熱手段に供給することもある。
従って、外部から温熱又は冷熱を取り入れることなく、栽培施設10に必要な冷熱又は温熱をヒートポンプ330のみにより供給することができ、熱媒槽200内の熱媒全体が温度上昇したときは、地下水用第1熱交換器281により地下水熱を利用して熱媒槽200内の熱媒温度を低下させ、また、熱媒槽200内の熱媒全体が温度低下したときは、太陽熱パネル380に熱媒槽200内の熱媒を送って循環させ、熱媒槽200内の熱媒温度を上昇させることができ、外部からの熱供給を極めて少なくしつつ効果的に熱媒槽200の熱媒温度を調整し、ひいては放熱手段による栽培施設10内の温度を調整することができる。
更に、この冷暖房装置では、ボイラー装置360を備え、熱媒槽200の中間高さからボイラー装置360に熱媒を送るボイラー用往路管361及びボイラー装置360から熱媒槽200の上部に熱媒を戻すボイラー用復路管362を有し、ボイラー用往路管361にボイラー用送出ポンプ363を、ボイラー用復路管362に開閉弁365を設けている。
従って、ボイラー用復路管362の開閉弁365を開き、ボイラー用送出ポンプ363を駆動してボイラー装置360を作動させることにより、熱媒槽200に蓄えた熱媒をボイラー装置360により暖めて高温の熱媒を熱媒槽200の上部に蓄えることができる。
そして、ボイラー装置360の排気管371に排気熱交換器373を設け、熱媒槽200の中間高さ位置から排気熱交換器373に熱媒を送る排気熱往路管375及び排気熱交換器373から熱媒槽200の上部に熱媒を戻す排気熱復路管376を設け、排気熱往路管375に排気用送出ポンプ377及び開閉弁378を設けるものである。
従って、ボイラー装置360を作動させるとき、排気用送出ポンプ377を駆動して熱媒を排気熱交換器373を介して循環させることにより、ボイラー装置360によって熱媒を温めるのみでなく、ボイラー装置360の排熱も利用して一層効果的に熱媒を温めることができる。
この様に、この栽培施設用冷暖房装置では、例えばヒートポンプ330を駆動することにより熱媒槽200に5℃程度の熱媒を、又はヒートポンプ330かボイラー装置360や太陽熱パネル380を使用することにより50℃程度の熱媒を蓄え、栽培施設棟内の気温や培養土の温度を調整することができる。また、農作物の栽培に適した温度とするものであるため、低温でも十数℃の温度を目標とするときは、ヒートポンプ330を駆動することなく、地下水の熱を利用して気温に関係させずに熱媒槽200に十数℃程度とした熱媒を蓄えることもできるものである。
このように本実施の形態に係る栽培施設用冷暖房装置は、栽培施設10内の気温や培養土等の温度管理を行う果実用放熱管49や栽培棚下方放熱管51、大地温度調節管52、施設空間用放熱管53の放熱手段に用水を循環させる温調水循環回路100の循環水熱交換器105に熱媒を送る熱媒循環回路210を有し、この熱媒循環回路210には更に栽培施設10の放熱手段である熱カーテンウォール装置61や温調装置65も接続するようにしているため、熱媒槽200から高温又は低温とした熱媒の熱を温調水循環回路100や熱カーテンウォール装置61、温調装置65に供給し、栽培施設棟内の温度や栽培土の温度、特に栽培棚30周辺の温度を適切に保つことができる。
また、温調水循環回路100を循環する用水には、循環水熱交換器105を用いて熱媒槽200からの熱媒により温熱又は冷熱を加えるものであるから、従来は河川水や農業用水を循環させて栽培土51の温度管理を行っていた従来施設の配管を循環水熱交換器105の二次側に接続するようにして循環水熱交換器105を付加すれば、容易に設置することができ、従来と同様に用水を用いて栽培土の温度調整をするのみでなく、熱媒槽200に蓄えた温熱や冷熱を用いて栽培土等の温度調整をすることができる冷暖房装置である。
尚、栽培棚下方放熱管51や大地温度調節管52又は施設空間用放熱管53には、循環水熱交換器105により温度調整された温調水循環回路100を循環する用水を循環分岐器145を介して循環させる場合に限ることなく、棟内分岐器251を介して熱媒槽200からの熱媒を送り、熱カーテンウォール装置61や温調装置65と同様に棟内集合器256を介して熱媒槽200に戻す様にして、熱媒を循環させることもある。
また、ボイラー装置360を用いて暖房を行っていた従来設備の栽培設備に対しても、従来のボイラー装置360を組み込むようにして容易に冷暖房装置とすることができるものである。
そして、太陽熱パネル380やボイラー装置360を用いることにより、ヒートポンプ330と太陽熱パネル380やボイラー装置360の内、適切な熱源を用いて暖房を行うことができ、ヒートポンプ330又は地下水熱を用いて消費エネルギーを少なくしつつ効果的に冷房を行うこともできるものである。
更に、第5三方弁305をabポート接続とすると共に汲み上げ管311の開閉弁314及び地下水循環回路293の開閉弁296を開き、地下水循環回路293に汲み上げ管311からの地下水を循環させつつ、地下水用熱媒往路283及び地下水用熱媒復路285により熱媒槽200の熱媒を地下水用第1熱交換器281を循環させ、地下水用第1熱交換器281にをける熱交換より地下水温度によって熱媒槽200の熱媒温度を調整し、また、太陽熱パネル380に熱媒槽200の熱媒を循環させて温度調整を行う様にすれば、地下水熱と太陽熱により、広範囲に熱媒の温度調整を行うことができ、極めてエネルギー消費の少ない効率的な冷暖房により栽培施設10内の温度調整をすることができる。
また、季節や昼夜に必要な温熱や冷熱を熱媒槽200に予め蓄熱するものであるため、ヒートポンプ330の出力容量が小さくても使用することが可能であり、冷暖房装置を大型化することなく、消費エネルギーを少なくすることもできる。
そして、温調水循環回路100における用水の循環を制御する棟送水ポンプ143の駆動、及び、大地調温用分岐管151や栽培棚下方用分岐管161、果実用分岐管171、空間用分岐往路管181、温調用分岐管253、ウォール分岐管263等に設けた各開閉弁の制御は、ハウス内温度計401により栽培施設棟内の温度を測定し、また、外気の温度をハウス外温度計403により測定して制御装置190により行っているものである。
また、集合往路管131に設けた循環水温度計405により温調水循環回路100を循環する用水の温度を検出して温調水循環回路100内で用水を循環させ、循環水熱交換器105を介して冷熱や温熱を循環する用水に供給する場合、循環熱交換器往路221を流れる熱媒温度を送出用熱媒温度計411により測定すると共に循環水熱交換器105や温調装置65から戻る熱媒温度を戻り熱媒温度計413により測定して制御装置190により開閉弁やポンプの駆動制御を行うものである。
更に、給水バルブ113と排水バルブ117とを開いて温調水循環回路100に地下水や河川水を加えるようにして果実用放熱管49や栽培棚下方放熱管51、大地温度調節管52、施設空間用放熱管53に流す用水の温度を調整することも制御装置190により行うものとしている。
そして、循環水熱交換器105を介して温熱又は冷熱を供給するときは、制御装置190により熱媒循環回路210や地下水循環回路293、ヒートポンプ用熱媒回路341等の各種回路に設けた開閉弁の開閉及びポンプの駆動及び停止の制御も制御装置190により系統的に行うものとしている。
更に、この制御に際しては、循環熱交換器往路221に設けた送出用熱媒温度計411及び循環熱交換器復路223に設けた戻り熱媒温度計413により各熱媒の温度を計測して放熱手段に送り出す熱媒の温度及び放熱手段から熱媒槽200に戻る熱媒の温度を測定して放熱手段に送り出す熱媒の量を制御手段により制御している。
また、このとき、熱媒槽200の上部に蓄えられる熱媒の温度をタンク上部温度計415により、熱媒槽200の下部に蓄えられる熱媒の温度をタンク下部温度計417により測定し、また、熱媒槽200の中間高さから地下水用第1熱交換器281に熱媒温度をタンク地下水往路温度計421により測定すると共に、地下水用第1熱交換器281から熱媒槽200に戻る熱媒温度をタンク地下水復路温度計423により測定して、冷熱が要求されたときは地下水熱やヒートポンプ330による冷熱で熱媒槽200の下部に蓄える熱媒の温度を調整する制御を行う。
そして、地下水循環回路293に設けた循環地下水温度計425により地下水循環回路293を循環する地下水の温度又は汲み上げ管311から汲み上げた地下水の温度を測定し、地下水温度によって地下水用熱媒復路285により熱媒槽200の下部に戻す熱媒の温度、又は、ヒートポンプ330を駆動して地下水用熱媒復路285により熱媒槽200の下部に戻す熱媒の温度を調整する。
更に、温熱が要求されるときには太陽熱パネル380が利用可能であれば太陽熱パネル380に熱媒を送り、ボイラー装置360を使用することが効果的な場合はボイラー装置360を作動させてボイラー装置360及び排熱交換機により熱媒槽200の熱媒を加熱する制御も制御装置190により行うものである。
尚、この制御装置190の作動、各種ポンプや電磁式開閉弁等の開閉制御動作は、図示しない太陽光発電パネルとバッテリーによる発電装置を電力源として利用するものである。
また、栽培施設10は、大型ビニールハウスに限るものでなく、鉄骨組みの栽培施設とすることもあり、鉄骨と硝子サッシやパネルボード等を合わせて使用する栽培施設10とすることもある。更に、日照時間の調整を可能とする施設として、LED等の照明装置を備える栽培施設10とすることもある。
そして、図面に示した上記実施の形態では、用水を循環させる放熱手段として、果実用放熱管49や栽培棚下方放熱管51、大地温度調節管52、施設空間用放熱管53の4種の放熱管を使用しているも、栽培する農作物等に合わせ、1種又は2種の放熱手段とすることもあり、又、培地45の表面や地中に配置する放熱管等、他の放熱管を用いた放熱手段を設けることもある。
更に、栽培棚30は、縦枠棒31や培地受け支持パイプ35等により枠型を形成してビニールシートを溝状に保持し、溝状のビニールシートによる培地受けシート37に培地45を充填したものに限ることなく、プランター等の栽培容器を並べ栽培棚30とすることがある。また、培地45として培養土を用いる場合に限ることなく、土や砂利、ビーズ等を栽培用容器に充填して使用することもある。
また、大地温度調節管52や施設空間用放熱管53、熱カーテンウォール装置61、温調装置65を用い、栽培施設10内の輻射熱による冷温環境を調整するものとして、従来のビニールハウス等の栽培施設10における土耕栽培を行うに際して当該冷暖房装置を使用することもある。