JP2019143235A - アルカリ水電解用電極の評価方法、アルカリ水電解用電極の製造方法、及びアルカリ水電解用電極 - Google Patents

アルカリ水電解用電極の評価方法、アルカリ水電解用電極の製造方法、及びアルカリ水電解用電極 Download PDF

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Abstract

【課題】アルカリ水電解用電極の評価試験の検出精度および再現性を高める。【解決手段】評価方法は導電性基材に触媒を担持させることによりアルカリ水電解用電極中間体を得る工程と電極中間体の触媒を圧着させアルカリ水電解用電極を得る工程とアルカリ水電解用電極に所定の評価試験を行う工程とを含む。【選択図】なし

Description

本発明は、アルカリ水電解用電極の評価方法、アルカリ水電解用電極の製造方法、及びアルカリ水電解用電極に関する。
近年、CO2による地球温暖化、化石燃料の埋蔵量の減少等の問題を解決するためのクリーンエネルギーとして、再生可能エネルギーを利用して製造した水素が注目されている。再生可能エネルギーを利用した水素製造においては、従来の化石燃料の改質による水素製造に匹敵する安価なコストが求められている。そのため、再生可能エネルギーを利用した水素製造には、従来の技術では達成できなかった水準の高いエネルギー効率と安価な設備が求められる。
上記の要求に応え得る水素の製造方法として、水の電解分解(水電解)が挙げられる。例えば、風力又は太陽光等の自然エネルギーによる発電を利用した水電解により、水素を製造し、貯蓄あるいは運搬する構想がいくつも提案されている。
水の電気分解では、水に電流を流すことにより陽極において酸素が発生し、陰極において水素が発生する。電解における主なエネルギー損失の要因として、陽極及び陰極の過電圧が挙げられる。この過電圧を低減することで、効率よく水素を製造することが可能になる。陽極及び陰極(以下、両者を区別しない限り「アルカリ水電解用電極」と呼ぶ。)の過電圧を下げるための研究開発が広く進められている。
ペロブスカイト型構造を有する酸化物の中には、高い酸素発生能を有する材料が知られており、水電解陽極材料として着目されている(非特許文献1)。
従来、酸素発生能の高い粉体状のペロブスカイト型構造の酸化物触媒の評価法として、非特許文献1および2に開示されている通り、粉体状のペロブスカイト型構造の酸化物触媒を、ナフィオンと共にグラッシーカーボン等の導電性基材に塗布することで電極を作成し、電気化学測定を行う評価法が知られていた。
Science,2011,334,1383 Materials Horizons,2015,2,495
しかしながら、本発明者らが検討したところ、非特許文献1および2に記載された電極は、実用的な高電流密度域においては、触媒の剥離が起こる等して、評価試験の検出結果が不安定であり、検出精度および検出の再現性が低く、電極の物性の評価が困難であった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされた発明であり、アルカリ水電解用電極の評価試験において、検出精度および検出の再現性を高め、評価を効率化させ得るアルカリ水電解用電極の評価方法、アルカリ水電解用電極の製造方法、およびアルカリ水電解用電極を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究し、実験を重ねた。その結果、導電性基材の表面に担持させた触媒を、導電性基材に強固に固着させた後に、評価試験を行うことにより、検出精度および再現性を向上することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
導電性基材に、触媒を担持させることによりアルカリ水電解用電極中間体を得る工程と、
前記電極中間体の前記触媒を圧着させアルカリ水電解用電極を得る工程と、
前記アルカリ水電解用電極に所定の評価試験を行う工程と、を含む
アルカリ水電解用電極の評価方法。
[2]
前記導電性基材が白金表面を有し、
前記アルカリ水電解用電極において、前記触媒が前記白金表面と接触している
[1]に記載のアルカリ水電解用電極の評価方法。
[3]
前記白金表面を有する導電性基材は、白金基材である
[2]に記載のアルカリ水電解用電極の評価方法。
[4]
前記白金表面を有する導電性基材は、少なくともチタンを含む基材上に白金表面層を有する
[2]に記載のアルカリ水電解用電極の評価方法。
[5]
前記白金表面を有する導電性基材は、前記基材表面の一部に少なくともチタン酸化物を有する
[4]に記載のアルカリ水電解用電極の評価方法。
[6]
前記所定の評価試験が、サイクリックボルタンメトリおよび/または電気化学的インピーダンス分光法に基づく試験である
[1]〜[5]のいずれかに記載のアルカリ水電解用電極の評価方法。
[7]
導電性基材に、触媒を担持させる工程と、
前記導電性基材に担持させた前記触媒を、圧着させる工程と、を含む
アルカリ水電解用電極の製造方法。
[8]
前記導電性基材が白金表面を有し、
前記アルカリ水電解用電極が、前記触媒が前記白金表面と接触している電極である
[7]に記載のアルカリ水電解用電極の製造方法。
[9]
前記導電性基材への前記触媒の圧着は、冷間等方圧加圧法による
[7]または[8]に記載のアルカリ水電解用電極の製造方法。
[10]
前記導電性基材への前記触媒の圧着後に、前記電極を焼成する工程を、さらに含む
[7]〜[9]のいずれかに記載のアルカリ水電解用電極の製造方法。
[11]
導電性基材と触媒とを複合させたアルカリ水電解用電極であって、
単位面積あたりの前記触媒の重量が0.05mg/cm2以上1g/cm2以下であり、
前記触媒の有機成分の含有量が1重量%以下である
アルカリ水電解用電極。
[12]
前記導電性基材が白金表面を有し、
前記触媒が前記白金表面と接触している
[11]に記載のアルカリ水電解用電極。
[13]
前記白金表面を有する導電性基材は、白金基材である
[12]に記載のアルカリ水電解用電極。
[14]
前記白金表面を有する導電性基材は、少なくともチタンを含む基材上に白金表面層を有する
[12]に記載のアルカリ水電解用電極。
[15]
前記白金表面を有する導電性基材は、基材表面の一部に少なくともチタン酸化物を有する
[14]に記載のアルカリ水電解用電極。
[16]
前記触媒と前記導電性基材との界面の導電性基材表面の最大高さSzが10μm以上1mm以下である
[11]〜[15]のいずれかに記載のアルカリ水電解用電極。
[17]
前記触媒の表面のSdrが2以上50以下である
[11]〜[16]のいずれかに記載のアルカリ水電解用電極。
本発明によれば、検出精度および検出の再現性を高め、評価を効率化させ得るアルカリ水電解用電極の評価方法、アルカリ水電解用電極の製造方法、およびアルカリ水電解用電極を提供することができる。
電極の酸化物抵抗Rfおよび電気二重層容量Cdlを求めるために用いた等価回路モデルである。 実施例6の方法で調製した白金熱分解被覆チタン板片の、被覆部分のXRDスペクトルである。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、以下の本実施形態は本発明を説明するための例示であり、本発明を限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。
(水電解陽極)
水電解陽極は、少なくとも、導電性基材の表面上の一部または全部に触媒の層を有しているものである。
(導電性基材)
本実施形態において、導電性基材の材質としては、例えば、ニッケル、ニッケルを主成分とした材料、チタン、GC(Glassy Carbon)、タンタル、ジルコニウム、金、銀、銅、パラジウム、白金、コバルト、ロジウム、イリジウム等が挙げられる。ニッケルを主成分とした材料としては、例えばモネル、インコネルやハステロイなどのニッケル基合金が挙げられる。上記導電性基材としては、白金基材;ニッケル、ニッケルを主成分とした材料、チタン、GC、タンタル、ジルコニウム、金、銀、銅、パラジウム、コバルト、ロジウム、イリジウム等に、白金を被覆した基材;等の白金表面を有する導電性基材を使用しても良い。白金を被覆する方法としては、例えば、日本化学会誌,1987,(2),p140〜146に開示されている、白金塩化物の熱分解等による方法を用いることができ、塩化白金酸をn−ブタノール等のアルコールに溶解した白金塗布液への浸漬、乾燥、仮焼成を繰り返す方法等が挙げられる。
アルカリ水溶液中の酸素発生電位においても溶解されず、耐久性が高く、導電性も高いことから、導電性基材の材質は、ニッケル、チタン、白金、白金被覆チタンが好ましい。白金被覆チタンとしては、少なくともチタンを含む基材上に白金表面層(例えば、厚さ0.01μm以上1000μm以下の白金薄層)を有する基材が挙げられる。白金被覆チタンにおいて、上記白金表面層を導電性基材の白金表面としてよい。加工が容易であり、生産性の観点から、ニッケルまたはニッケルを主成分とした材料がさらに好ましい。
導電性基材の材質は、基材のXRF(蛍光X線)分析を行うことにより、確認することができる。また、基材が白金により被覆されていることは、基材表面のXPS(X線光電子分光)分析を行うことにより、確認することができる。導電性基材は、表面に、導電性基材を構成する元素の酸化物を有していても良い。例えば、上記導電性基材は、少なくともチタンを含む基材上に白金表面層を有する導電性基材であって、基材表面の一部に少なくともチタン酸化物を有する基材であってもよい。導電性基材が、表面に、導電性基材を構成する元素の酸化物を有することは、導電性基材の表面のXRDを測定することにより、確認することができる。導電性基材が、表面に、導電性基材を構成する元素の酸化物を有すると、基材と粉体の付着力が強くなるため、検出精度および検出の再現性が高くなり、好ましい。
水電解陽極の導電性基材の形状としては、平板状でもよいが、多数の孔を有する板状である多孔体であってもよい。多孔体の具体的な形状としては、エキスパンドメタル、パンチングメタル、平織メッシュ、発泡金属、又はこれらに類似する形状が挙げられる。これらの中で、エキスパンドメタルが好ましく、寸法は特に制限されないが、電解表面積増加によるガス発生量の増加と、電解により発生するガスの電極表面からの効率的な除去を両立させるため、また、機械的強度の観点から、メッシュの短目方向の中心間距離(SW)は2mm以上5mm以下、メッシュの長目方向の中心間距離(LW)は3mm以上10mm以下、厚みは0.2mm以上2mm以下、開口率は20%以上80%以下が好ましい。より好ましくは、SWは3mm以上4mm以下、LWは4mm以上6mm以下、厚みは0.8mm以上1.5mm以下、開口率は40%以上60%以下である。
(触媒)
本実施形態において、触媒の材質としては、ペロブスカイト型構造の金属酸化物が挙げられる。ペロブスカイト型構造の金属酸化物は、一般的にABO3で表される組成を有する。
本実施形態においては、ペロブスカイト型構造の金属酸化物として、Bサイトの少なくとも一部に、酸素発生電位で安定な酸化物を形成するNiを配置することが、高い耐久性を実現することができるため、好ましい。Niと共にBサイトに配置される元素としては、Cr、Mn、Fe、Co、Cuが好ましい。これらの元素が配置されることで、酸素伝導性が向上し、酸素発生能が増加する効果が得られる。
BサイトにNiとともに、Cr、Mn、Fe、Co、Cuのいずれかが配置される場合、Aサイトには、ペロブスカイト型結晶構造を形成するために、少なくとも1種類以上のアルカリ土類金属もしくは希土類元素を配置される。その組成は、以下の式(1)で表される。
xA’(1-x)NiyB’(1-y)(3-z)・・・(1)
(式(1)において、A及びA’はアルカリ土類金属又は希土類元素であり、B’はCr、Mn、Fe、Co、Cuのいずれかであり、0≦x≦1であり、0<y≦1であり、0<z≦1である。)
AサイトはLaを含んでいることが好ましい。Aサイトは希土類元素のみで構成されていてもよいし、希土類元素を含む複数種類の元素で構成されていてもよい。例えば、Aサイトが主に希土類元素であり、その一部が、SrやBaといったアルカリ土類金属の元素等に置換されることで、導電性を向上させることが期待できる。Aサイトを構成する元素の割合に限定はない。
BサイトにNiを含む式(1)の場合、さらにNiの価数を適正な範囲に制御することで、高い酸素発生能をより安定に実現することができる。Niの価数は2.5以上3.0以下が好ましく、2.5以上3.0未満がより好ましい。
式(1)において、xの値は0以上1以下の値でよい。yの値は0より大きく1以下でなければならず、0.2以上が好ましく、より好ましくは0.4以上、さらに好ましくは0.5以上である。zの値は0以上1以下の値としてよく、0より大きく1以下の値としてもよい。
水の電気分解反応が進む際に、電極表面では電気二重層が形成される。この電気二重層の容量(以下、二重層容量)が小さいと、反応活性点が少なくなるため、十分な検出精度と再現性とが得られない場合がある。一方、二重層容量を増加させるために、該金属酸化物の付着量を増加し過ぎると触媒層の機械的強度が低下し、十分な検出精度と再現性とが得られない場合がある。そのため、本実施形態においては、水電解陽極の二重層容量は1×10-6F/cm2以上1.5F/cm2以下が好ましく、より好ましくは、1×10-2F/cm2以上0.8F/cm2以下であり、上記二重層容量の下限値は0.15F/cm2が更に好ましく、0.2F/cm2が特に好ましい。
ここで、二重層容量は、例えば電気化学インピーダンス法により測定することができる。交流インピーダンス測定により得られた実部と虚部をプロットしたCole−Coleプロット図(ナイキスト・インピーダンス線図)に対して、等価回路フィッティングにより解析することで、二重層容量を算出する。
本実施形態において、触媒は主として式(1)で表わされる組成を有する金属酸化物で構成されるが、他の無機化合物、有機化合物、金属、または合金などのその他の成分を含んでよい。触媒中の有機化合物の成分(有機成分)の含有量は、1重量%以下である。発明者が鋭意検討した結果、触媒中の有機化合物の含有量が1重量%以下であると、電気化学測定中に触媒の脱離が起こらなくなることを見出した。この理由は明らかではないが、有機化合物の含有量が1重量%以下であると、有機化合物由来の疎水性に起因する気泡の触媒への吸着が抑制され、吸着した気泡の成長により生じる応力に起因する触媒の脱落が起こらなくなるためであると推測している。また、触媒中の式(1)で表わされる組成を有する金属酸化物以外の成分(その他の成分)の含有量に限定はないが50重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることがより好ましい。
触媒中の有機化合物の成分の含有量は、電極より剥離して得られる触媒を、示差熱分析・熱天秤(TG−DTA)装置を用いて、空気中、昇温速度10℃/minで900℃まで昇温してTG−DTA測定を行い、100℃以上500℃以下の範囲での重量減少(%)を、有機成分の含有率(%)とすることで得られる。
本実施形態において、触媒表面のSdr(界面の展開面積比)は、2以上50以下であることが好ましい。Sdrが2以上であると、触媒と電解液の接触が良く、検出精度および検出の再現性が高くなり、好ましい。Sdrが50以下であると、触媒担持部の機械強度が高く、接触による触媒の脱離が起こりにくくなり、好ましい。より好ましくは、Sdrが2.5以上20以下である。Sdrが2.5以上であると、気泡の触媒内部からの脱離が容易となり、より好ましい。Sdrが20以下であると、気泡の触媒表面への付着が起こりにくくなり、好ましい。Sdrはさらに好ましくは、3以上15以下である。Sdrが3以上であると、過電圧が低くなる傾向にあり、さらに好ましい。Sdrが15以下であると、泡による妨害が起こりにくくなるため、さらに好ましい。上記Sdrは、4以上20以下であってもよいし、6以上15以下であってもよい。本発明において、Sdrは、レーザー顕微鏡を使用して、撮影画像から界面の展開面積比Sdrを算出することで、求めることができる。
導電性基材上の触媒の層の厚みは、厚すぎると触媒層の機械的強度が低下し、十分な検出精度と再現性とが得られない場合があり、逆に薄すぎると反応活性点が少なくなるため、十分な検出精度と再現性とが得られない場合がある。これらの理由から、本実施形態において、当該触媒の層の厚みは、0.1μm以上1mm以下が好ましく、より好ましくは1μm以上500μm以下である。
なお、当該触媒の層の厚みは、例えば電子顕微鏡にて電極の断面を観察することにより測定できる。具体的には、電子顕微鏡で、電極の断面を観察し、触媒の層の厚みを5点測定した値の平均値を触媒の層の厚みとする。
当該触媒の層は、電解面積を向上させるために、空隙を有することが好ましい。一方、空隙が多過ぎると、機械的強度が低下することにより耐久性が低下する場合があるため、空隙率は10%以上40%以下が好ましく、より好ましくは20%以上30%以下である。なお、該金属酸化物の層の空隙率は、例えば、上述の方法で得た触媒層断面のSEM画像を、画像解析ソフトを用いて2値化することで求めることができる。
一次粒径の小さい金属酸化物粒子を連結させることで、空隙率が大きく、機械的強度が高い金属酸化物層を形成することができる。しかしながら、一般的に導電性金属酸化物は結晶粒界が存在すると、導電キャリアが失活するために導電性が低下する。そのために、該金属酸化物層は10nm以上500nm以下の平均一次粒径の粒子を含む、該金属酸化物の結晶子径Dは5nm以上50nm以下であることが好ましい。ここで、平均一次粒径は、例えば、上述の方法で得た触媒層断面のSEM画像を、画像解析ソフトを用いることで求めることができる。
また、結晶子径Dはシェラーの式、即ち、D(hkl)=0.9λ/(β1/2・cosθ)より算出することができる。ここで、hklはミラー指数、λは特性X線の波長(nm)、β1/2は(hkl)面の半価幅(ラジアン)、θはX線反射角度(°)である。したがって、金属酸化物薄膜中に含まれる式(1)で表される組成を有する金属酸化物の平均結晶子径Dは、金属酸化物のX線回折ピークの中で最も強い強度が得られたX線回折ピークに相当する(hkl)面の半価幅β1/2を測定することによって求めることができる。
本実施形態において、導電性基材上の触媒の、単位面積あたりの重量は、0.05mg/cm2以上1g/cm2以下である。触媒の単位面積あたりの重量が0.05mg/cm2以上であれば、電気化学測定において、検出精度よく測定を行うことができる。触媒の単位面積あたりの重量が1g/cm2以下であれば、電極を作成することが容易であり、効率的に評価を行う観点から好ましい。より好ましくは、0.5mg/cm2以上500mg/cm2以下である。0.5mg/cm2以上であれば、面内で触媒を均一に担持することが容易となり、再現性よく測定を行う観点から好ましい。また、500mg/cm2以下であれば、泡の付着による妨害が起こりにくくなり、検出精度よく測定を行う観点から好ましい。さらに好ましくは、1mg/cm2以上250mg/cm2以下である。1mg/cm2以上であると、電極を圧着する過程で起こる触媒担持量の重量変化が、担持量全体に対して小さくなるため、担持量の制御が容易となり、評価を効率的に行う観点から好ましい。250mg/cm2以下であると、面内で触媒を均一に担持することが容易となり、再現性よく測定を行う観点から好ましい。特に好ましくは、5mg/cm2以上250mg/cm2以下である。
導電性基材上の触媒の単位面積あたりの重量は、触媒を担持させる前の導電性基材と、触媒を担持した後圧着させた後の導電性基材の重量の差を触媒重量とし、触媒を担持した面積を測定し、触媒重量を触媒を担持した面積で割ることにより求めることができる。触媒を担持する際、触媒を担持する部分以外をマスキングすることは、本発明の電極を作成する上で好ましい形態である。
本実施形態において、触媒と導電性基材との界面の導電性基材表面の最大高さSzは、10μm以上1mm以下であることが好ましい。最大高さSzが10μm以上であれば、触媒と基材の密着性が向上し、電極の作製が容易となる。最大高さSzが1mm以下であれば、基材上に触媒を厚み均一に担持することが容易となる。なお、触媒と導電性基材との界面の導電性基材表面の最大高さSzは、レーザー顕微鏡を使用して、撮影画像から表面粗さを測定し、最大高さSzを算出することで、求めることができる。最大高さSzは、より好ましくは12μm以上100μm以下である。最大高さSzが12μm以上であると、触媒と基材の接触が良好となるため電気二重層容量が増加し、検出精度が高くなるため、好ましい。最大高さSzが100μm以下であると、表面処理時間を短縮できるため、効率的に評価を行う観点から好ましい。さらに好ましくは、15μm以上50μm以下である。15μm以上であると、基材と粉体の付着力が強くなるため、少ない労力で導電性基材への擦りつけによる粉体担持が可能となり、さらに好ましい。50μm以下であれば、表面処理後の導電性基材の洗浄や乾燥が容易となり、効率的に電極を作成する観点から、さらに好ましい。
本実施形態の電極は、導電性基材が白金表面を有し、上記触媒が上記白金表面と接触している電極であることが、酸化物抵抗が小さく、検出精度よく測定を行うことができるため、好ましい。
(水電解陰極)
本実施形態において、水電解陰極は、少なくとも、導電性基材の表面上の一部または全部に触媒層を有しているものである。水電解陰極のサイズとしては、特に限定されることなく、電極室のサイズに合わせて定められてよく、縦:0.4m〜4.0m、横:0.4m〜6.0m、厚さ:0.1mm〜3mmとしてよい。
水電解陰極の比表面積(基材を含む電極全体の比表面積)が小さいと、単位面積当たりの反応活性点が少なくなるので、低い過電圧が得られない場合がある。一方、水電解陰極の比表面積が大き過ぎると触媒層の機械的強度が低下し、耐久性が低下する場合がある。そのため、本実施形態においては、水電解陰極の比表面積は0.001m2/g以上、10m2/g以下が好ましく、より好ましくは、0.005m2/g以上、2m2/g以下である。
比表面積は例えばBET法を用いて測定することができる。測定試料を専用セルに入れ、加熱真空排気を行うことにより前処理を行い、細孔表面への吸着物を予め取り除く。その後、−196℃で測定サンプルへのガス吸着の吸脱着等温線を測定する。得られた吸脱着等温線をBET法で解析することにより、測定サンプルの比表面積を求めることができる。
電極表面で電解に使用される面積は、陰極と電解液との界面で形成される電気二重層の容量を測定することで、疑似的に求めることができる。なお、二重層容量は例えば電気化学的インピーダンス分光法により測定することができる。交流インピーダンス測定により得られた実部と虚部をプロットしたCole−Coleプロット図(ナイキスト・インピーダンス線図)に対して、等価回路フィッティングにより解析することで、二重層容量を算出する。
水電解陰極の被膜抵抗(酸化物抵抗)が高すぎると、高いエネルギー効率を得るために電流密度が高い条件で電解する際に過電圧が上昇するため、その被膜抵抗は2Ω・cm2以下が好ましく、より好ましくは0.5Ω・cm2以下である。なお、被膜抵抗は例えば電気化学インピーダンス法により測定することができる。交流インピーダンス測定により得られた実部と虚部をプロットしたCole−Coleプロット図(ナイキスト・インピーダンス線図)に対して、等価回路フィッティングにより解析することで、被膜抵抗を算出する。
(導電性基材)
水電解陰極の導電性基材の材料は、特に制限されないが、使用環境への耐性から、軟鋼、ステンレス、ニッケル、ニッケル基合金が好ましい。
また、導電性基材の材質としては、ニッケル、チタン、白金、白金被覆チタンが好ましい。白金被覆チタンとしては、少なくともチタンを含む基材上に白金表面層(例えば、厚さ0.01μm以上1000μm以下の白金薄層)を有する基材が挙げられる。加工が容易であり、生産性の観点から、ニッケルまたはニッケルを主成分とした材料がさらに好ましい。また、上記導電性基材は、少なくともチタンを含む基材上に白金表面層を有する導電性基材であって、基材表面の一部に少なくともチタン酸化物を有する基材であってもよい。
なお、水電解陰極の上記導電性基材は、上記水電解陽極の導電性基材に記載のものを用いてもよい。なお、水電解陽極の導電性基材と、水電解陰極の導電性基材とは、同じであってもよいし異なっていてもよい。
水電解陰極の導電性基材の形状としては、板状でもよいが、電解に用いられる表面積を増加させるため、また、電解により発生するガスを効率的に電極表面から除去するために、多孔体であってもよく、特に、ゼロギャップ電解槽を構成する場合、隔膜との接触面の裏側から発生するガスを脱泡する必要があるため、電極の膜に接する面と反対に位置する面が、貫通していることが好ましい。
多孔体の例としては、平織、綾織等のメッシュ、パンチングメタル、エキスパンドメタル、金属発泡体等が挙げられる。
パンチングメタルを用いる場合、寸法は特に制限されないが、電解表面積増加によるガス発生量の増加と、電解により発生するガスの電極表面からの効率的な除去を両立させるため、また、機械的強度の観点から、孔径は2mm以上8mm以下、ピッチは2mm以上10mm以下、開口率は20%以上80%以下、厚みは0.5mm以上2mm以下が好ましい。
エキスパンドメタルを用いる場合、寸法は特に制限されないが、電解表面積増加によるガス発生量の増加と、電解により発生するガスの電極表面からの効率的な除去を両立させるため、また、機械的強度の観点から、メッシュの短目方向の中心間距離(SW)は2mm以上5mm以下、メッシュの長目方向の中心間距離(LW)は3mm以上10mm以下、厚みは0.5mm以上2mm以下、開口率は20%以上80%以下が好ましい。より好ましくは、SWは3mm以上4mm以下、LWは4mm以上6mm以下、厚みは0.8mm以上1.5mm以下、開口率は40%以上60%以下である。
金属発泡体を用いる場合、寸法は特に制限されないが、電解表面積増加によるガス発生量の増加と、電解により発生するガスの電極表面からの効率的な除去を両立させるため、また、機械的強度の観点から、気孔率は80%以上95%以下、厚みは0.5mm以上2.0mm以下が好ましい。
(触媒)
陰極の触媒は、水素発生能が高いものであることが好ましく、ニッケルやコバルト、鉄もしくは白金族元素等を使用することができる。これらは、所望の活性や耐久性を実現するために、金属単体や、酸化物等の化合物、複数の金属元素からなる複合酸化物や合金、あるいはそれらの混合物から、触媒を選択できる。具体的には、ラネーニッケルや、ニッケルとアルミニウム、あるいはニッケルと錫等の複数の材料の組み合わせからなるラネー合金、ニッケル化合物やコバルト化合物、ニッケルと、コバルト、鉄、モリブデン、銀、銅等から選ばれる元素との合金や複合化合物、水素発生能が高い白金やルテニウム等の白金族元素の金属や酸化物、及び、それら白金族元素の金属や酸化物と、イリジウムやパラジウム等の他の白金族元素の化合物やランタンやセリウム等の希土類金属の化合物との混合物、グラフェン等の炭素材料等が挙げられる。高い触媒活性や耐久性を実現するために、上記の触媒材料を複数積層してもよく、触媒の層中に複数混在させてもよい。耐久性や基材との接着性を向上させるために高分子材料等の有機物が、1重量%以下含まれていてもよい。
(水電解陽極の製造方法)
次に、上述した水電解陽極の製造方法について説明する。
水電解陽極の製造方法は、導電性基材に触媒を担持させる工程と、導電性基材に担持させた触媒を圧着させる工程とを含んでいる。
触媒を担持させる前に、触媒と導電性基材との界面の導電性基材表面の最大高さSzが前述の範囲となるよう、導電性基材には、表面に凹凸を設けるための表面処理をおこなうことが好ましい。導電性基材表面に凹凸を設けると、導電性基材と触媒との密着性が向上する。表面処理の方法は特に限定されず、薬液を用いたエッチング、やすりがけ、およびブラスト処理等が例示できる。
エッチングでは、導電性基材を腐食する薬品が用いられ、洗浄や乾燥での除去が容易な観点から塩酸が好ましい。なお、導電性基材としてチタン等を白金等で被覆した被覆基材を用いる場合、被覆前にエッチングをしてもよいし、被覆後にエッチングをしてもよいが、エッチング後に被覆することが好ましい。塩酸を用いる場合の濃度は、1mol/l以上10mol/l以下であることが好ましい。エッチングは、40℃〜100℃で行うことが好ましい。例えば、酸を入れた容器に導電性基材を浸漬させながら、当該容器を温度調整可能な水槽に水浴させることにより、温度は調整される。エッチングは、1時間以上24時間以下で行われることが好ましい。エッチングの終了後、導電性基材をイオン交換水などの純水で洗浄を行うことが好ましい。洗浄には、超音波洗浄を適用してもよい。洗浄後に導電性基材を風乾させることが好ましい。
やすりがけは、例えば、研磨剤にSiCを用いたサンドペーパー、ラッピングフィルムシート、研磨剤にアルミナを用いたアルミナ研磨用パッドを用いることが好ましい。サンドペーパーの番手は、200番以上2000番以下であることが好ましい。ラッピングフィルムシートの番手は、320番手以上8000番手以下が好ましい。アルミナ研磨剤の粒度としては、0.05μm〜0.3μmが好ましい。やすりがけの終了後、導電性基材をイオン交換水などの純水で洗浄を行うことが好ましい。洗浄には、超音波洗浄を適用してもよい。洗浄後に導電性基材を風乾させることが好ましい。
触媒として用いるペロブスカイト型の金属酸化物を得る手段としては、ゾルゲル法や共沈法、固相合成法、ゲル化燃焼法等が挙げられる。特に高純度で微小粒径の結晶が得られる手段として、ゲル化燃焼法が挙げられる。
ゲル化燃焼法とは、酸化性の配位子を有する金属塩と、燃焼性の配位子を有する金属塩とからなる燃焼性ゲルを熱処理して、該燃焼性ゲルを瞬時に熱分解させることにより、均質で微細な微粉体酸化物の粉体を得る技術である。
金属酸化物を得る方法の一例としてゲル化燃焼法を利用した例を説明する。酸化性の配位子を有する金属塩としては、例えば硝酸塩、硫酸塩等が挙げられ、燃焼性の配位子を有する金属塩としては、例えばクエン酸塩、酢酸塩、グリシン塩、シュウ酸塩等を挙げることができる。これらの塩は、無水塩であっても含水塩であってもよい。酸化性の配位子を有する金属塩として硝酸塩を、燃焼性の配位子を有する金属塩としては酢酸塩を、それぞれ使用することが、最も好ましい。
ゲル化燃焼法を用いて、結晶を得る場合は、先ず、上記のような酸化性の配位子を有する金属塩及び燃焼性の配位子を有する金属塩を後述する所定の割合で含有する水溶液を調製し、次いで、前記水溶液から水を除去して均質な燃焼性ゲルとし、そしてこの燃焼性ゲルを熱処理することにより、ペロブスカイト型構造の金属酸化物を得ることができる。
前記金属塩水溶液における金属塩濃度の所定の割合としては、酸化性の配位子を有する金属塩及び燃焼性の配位子を有する金属塩の合計濃度として、0.1〜50質量%であることが好ましく、0.5〜30質量%であることがより好ましい。この水溶液は、例えば50〜150℃の雰囲気に、3分〜1時間の範囲で曝露することでゲル化することができる。
ゲル化した燃焼性ゲルは引き続き熱処理を行って金属酸化物とするが、前記燃焼性ゲルの熱処理は、300℃〜700℃の範囲で行うことが好ましい。熱処理の継続時間としては、3分〜1時間が好ましく、5分〜20分がより好ましい。前記燃焼性ゲルの熱分解温度は約300℃であるため、300℃以上の加熱が必要である。熱処理温度が高いと、金属酸化物(触媒)の比表面積が小さくなるため、酸素過電圧が上昇する。そのため、900℃以下が好ましく、より好ましくは800℃以下であり、さらに好ましくは700℃以下である。熱処理後の冷却速度は任意である。
結晶化したペロブスカイト型の金属酸化物に粉砕処理を施すことにより、粉体状の触媒が得られる。粉砕処理は、高速回転ミル(ハンマーミル、ケージミル、ディスインテグレーター、スクリーンミル、ディスクピンミル)、分級機内蔵型高速回転ミル(固定衝撃板型ミル、ターボ型ミル、遠心分級型ミル、アニュラー型ミル)、容器駆動媒体ミル(転動ボールミル(ポットミル、チューブミル、コニカルミル)、振動ボールミル(円形振動ミル、旋動振動ミル、遠心ミル)、遊星ミル、遠心流動化ミル)、媒体撹拌式ミル(塔式粉砕機、撹拌槽式ミル、横型流通槽式ミル、竪型流通槽式ミル、アニュラーミル)、気流式粉砕機(気流吸込型、ノズル内通過型、衝突型、流動層ジェット吹込型)、圧密せん断ミル(高速遠心ローラーミル、インナーピース式)、乳鉢、等の公知の粉砕機を利用することができる。粉砕処理は、例えば、遊星型ボールミルまたは乳鉢を用いて行われることが好ましい。
本発明における触媒の導電性基材への担持方法としては、溶媒に粉体状の触媒を分散させたインク状物や、触媒微粒子が分散したコロイド溶液の塗布、導電性基材への擦りつけ、および導電性基材への粉体の載置などが挙げられる。
インク状物・コロイド溶液の塗布は、粉体状の触媒を溶媒に分散させたインク状物やコロイド溶液の導電性基材への滴下、およびインク状物やコロイド溶液の乾燥によって行われることが好ましい。溶媒は、例えば、触媒に対して不活性で揮発性を有することが好ましく、例えば、エタノールであることが好ましい。粉体状の触媒は、超音波分散によって溶媒に分散させることが好ましい。
導電性基材への擦りつけでは、例えば、メノウ乳棒を用いて、導電性基材に傷をつけて、当該傷に粉体をめり込ませることが好ましい。擦りつけ後に、さらに粉体を載置して、載置下粉体の上からフィルムで包むことが好ましい。
導電性基材への載置では、例えば、粉体を導電性基材の表面に載置して、載置した粉体の上からフィルムで包むことが好ましい。
導電性基材に触媒を担持させた後に、触媒を圧着させる方法は、1軸プレス機、CIP(Cold Isostatic Pressing:冷間等方圧加圧)、ホットプレス機、ローラープレス機、HIP(Hot Isostatic Press)等、公知のプレス機を利用することができる。圧着方法としては、CIPが、触媒を密度均一に圧着でき、かつ短時間で圧着可能であるため、効率的に評価を行う観点から好ましい。印加する圧力は、50MPa以上400MPa以下であることが好ましい。圧力を印加させる時間は、1分以上1時間以下であることが好ましい。圧力媒体は、例えば、水が挙げられる
触媒の圧着後に、さらに、水電解陽極を焼成することが好ましい。焼成により、電気化学測定における検出精度および検出の再現性が高まる。焼成においては、100℃以上1000℃以下の範囲で行うことが好ましい。焼成の継続時間は、30分以上24時間以下であることが好ましい。焼成雰囲気は、空気でもよいが、導電性基材と触媒の界面に電気抵抗の高い酸化物被膜を形成しない観点から、アルゴンや窒素といった不活性ガス雰囲気を選択してもよい。
(水電解陰極の製造方法)
次に、上述した水電解陰極の製造方法について説明する。
なお、水電解陰極の製造方法は、上述の水電解陽極の製造方法に記載の方法としてもよい。
水電解陰極の製造方法は、水電解陽極の製造方法同様、導電性基材に触媒を担持させる工程と、導電性基材に担持させた触媒を圧着させる工程とを含んでいる。
水電解陽極の製造方法同様、触媒を担持させる前に、触媒と導電性基材との界面の導電性基材表面の最大高さSzが前述の範囲となるよう、導電性基材には、表面に凹凸を設けるための表面処理をおこなうことが好ましい。導電性基材表面に凹凸を設けると、導電性基材と触媒との密着性が向上する。表面処理の方法は特に限定されず、薬液を用いたエッチング、やすりがけ、およびブラスト処理等が例示できる。
導電性基材上に触媒を担持させる方法としては、水電解陽極の製造方法同様、溶媒に粉体状の触媒を分散させたインク状物や、触媒微粒子が分散したコロイド溶液の塗布、導電性基材への擦りつけ、および導電性基材への粉体の載置などが挙げられる。
導電性基材に触媒を担持させた後に、触媒を圧着させる方法は、水電解陽極の製造方法同様、1軸プレス機、CIP、ホットプレス機、ローラープレス機、HIP等、公知のプレス機を利用することができる。
水電解陽極の製造方法同様、触媒の圧着後に、さらに、水電解陰極を焼成することが好ましい。焼成により、電気化学測定における検出精度および検出の再現性が高まる。焼成においては、100℃以上1000℃以下の範囲で行うことが好ましい。焼成の継続時間は、30分以上24時間以下であることが好ましい。焼成雰囲気は、空気でもよいが、導電性基材と触媒の界面に電気抵抗の高い酸化物被膜を形成しない観点から、アルゴンや窒素といった不活性ガス雰囲気を選択してもよい。また、触媒の水素発生能を高めるため、水素やアンモニア等を含む還元性の雰囲気で焼成してもよい。
(評価方法)
上述のような製造方法により製造した水電解陽極および/または水電解陰極、すなわち導電性基材に触媒を担持させた後に、触媒を圧着させてから、所定の評価試験を行う。所定の評価試験は、例えば、サイクリックボルタンメトリに基づく試験などが挙げられる。本発明の水電解陽極を用いて、サイクリックボルタンメトリを行う場合は、RHEに対し0V以上2.3V以下の範囲で行うことが好ましい。RHEに対し0V以上であれば、導電性基材の還元等に起因すると思われる、検出精度や検出の再現性の低下が起こらず、好ましい。RHEに対し2.3V以下であれば、発生する気泡に起因すると思われる、検出精度や検出の再現性の低下が起こらず、好ましい。
所定の評価試験は、さらに、電気化学的インピーダンス分光法に基づく試験が挙げられる。本発明の水電解陽極を用いて、電気化学的インピーダンス分光法を行う場合は、1.5V以上1.7V以下で測定することが好ましい。1.5V以上では、十分な電流密度下で測定できるため、酸化物抵抗や電気二重層容量の算出において、検出精度や検出の再現性の観点から、好ましい。1.7V以下では、発生する気泡による妨害が少なく、検出精度や検出の再現性の観点から、好ましい。
本実施形態では、アルカリ水電解用電極の評価試験において、担持させた触媒を圧着させる工程を含むので、アルカリ水電解用電極における触媒粒子間や粒子−基材間に、粒子表面が有する静電的な付着力による結合作用が生じるため、触媒が導電性基材上に強固に固着される。そのため、本実施形態の評価試験は、導電性基材からの触媒の剥離が抑制されると推定され、評価試験の検出結果を安定化し得る。したがって、本実施形態の評価方法は、評価試験における検出精度および検出の再現性が向上するので、評価を効率化し得る。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(冷間等方圧プレス(以下、CIPと略)処理法)
CIP処理する対象物は、まず、包装材として無添加ポリエチレンとナイロン樹脂からなるガスバリア袋(商品名:クリーンガスバリア袋、アズワン株式会社販売)を使用し、富士インパルス株式会社製卓上型ノズル式脱気シーラーV−301を用いて、真空ラミネート処理を行なった。この真空ラミネート処理を行った対象物を、日機装株式会社製冷間等方圧プレス(圧力容器内寸法:直径75mm、長さ550mm、最高使用圧力:392MPa)を用いて、300MPaの等方圧を、10分間作用させた。その後、対象物をガスバリア袋より取り出すことで、CIP処理法とした。
(最大高さSz測定法)
最大高さを測定する導電性基材の表面を、オリンパス株式会社製レーザー顕微鏡OLS4000を使用して、レーザー観察モードにおいて、走査モード:XYX高速モード+カラー、画像サイズ[画素]:1024×1024、画像サイズ[μm]:646×643、対物レンズ:(MPLAPONLEXT20x)、ズーム:1倍の条件で撮影した。次に、測定モードにおいて、撮影画像から表面粗さを測定し、算出される最大高さSz(μm)を、本発明の最大高さとし、表1に記入した。
(XRD測定法)
株式会社リガク製試料水平型多目的X線回折装置Ultima IVを使用して、2θ/θ法でX線回折(XRD)の測定を行った。導電性基板から測定部位として10mm角の大きさを切り出し、治具を使用して、測定部位高さを調整して標準試料台に固定した。X線源はCuKα、管電圧は40kV、管電流は40mA、集中法光学系を使用し、DHL(縦制限スリット)10mm、DS(発散スリット)1°、SS(散乱スリット)2°、RS(受光スリット)0.15mm、Step幅:0.1°/step、1ステップの計数時間:1.2sec、測定範囲:2θ=20°〜90°で測定した。
(有機成分の含有率の測定法)
触媒担持部分から触媒を剥離し、剥離した触媒を、セイコーインスツルメンツ製示差熱分析・熱天秤(TG−DTA)装置(型式:EXSTAR6000)を用いて、空気中、昇温速度10℃/minで900℃まで昇温してTG−DTA測定を行い、100℃以上500℃以下の範囲での重量減少(%)を、有機成分の含有率(%)とし、表1に記入した。重量減少が1%以下、あるいは重量減少が無い場合は、有機成分の含有%を1%以下とした。1枚の電極から測定に必要な重量の触媒を回収できない場合は、実施例・比較例の要領に従い複数の電極を作成し、複数の電極から触媒を回収して測定を実施した。
(触媒表面のSdr算出法)
CV評価試験1の実施前に、株式会社キーエンス製形状測定レーザーマイクロスコープVK−X200により、触媒担持部表面を観察した。触媒担持部表面のSdr(界面の展開面積比)は、電極の触媒担持部表面の、横95.753μm、縦71.803μmの範囲の画像から算出し、表1に記入した。
(5サイクル後の触媒剥離確認法)
5サイクル後の触媒剥離の有無の確認は、CV評価試験1後、日立ハイテクサイエンス製蛍光X線膜厚計FT110Aを用いて、試料観察用の内蔵CCDカメラにより、24倍で触媒担持部表面を観察することにより行った。触媒の剥離が確認できた場合には、表1の「5サイクル後の触媒剥離」欄に「剥離有り」、確認できなかった場合は、「剥離無し」と記載した。
(CV評価試験1)
電極にチタン製の導線を溶接した後、触媒担持部分以外をエポキシ樹脂(商品名:ハイスーパークリア3、日本国セメダイン株式会社製造)でマスキングすることで、触媒担持部面積が幾何電極面積に等しい、作用極とした。参照極に可逆水素電極(RHE)、対極にニッケルコイルを用いて、電解液として30℃、7 MのKOH水溶液を用いて、窒素雰囲気下で、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)製の三電極式セルを用いて、電気化学測定を行った。測定装置としては、株式会社東方技研製高性能マルチポテンショスタットPS−04および東方技研製任意関数発生装置FG−02を組み合わせて用いた。前処理としてRHEに対し0V以上1.0V以下の範囲で、走査速度100mVs-1で200サイクルのサイクリックボルタンメトリー(以下、CVと略)を行った後、RHEに対し0V以上1.7V以下の範囲で、走査速度50mVs-1のCV測定を5サイクル行なった。さらに、保持電位を1.6V vs. RHE、AC振幅を10mV、0.1Hz以上100kHz以下の周波数域で電気化学的インピーダンス分光法(EIS)測定を行い、高周波側の位相差が無い抵抗成分を溶液抵抗Rsとした。CV測定のCV曲線に対し、電流値とRSの積を電圧より引き、IR補正を行った。その後、電流値を幾何電極面積で除し、各電位(vs. RHE)における電極面積あたりの電流値(igeo(mA・cm-2))を算出した。各電位で、酸化電流と還元電流でigeo(mA・cm-2)が異なる場合は、酸化電流のigeo(mA・cm-2)と還元電流のigeo(mA・cm-2)の平均値を、その電位のigeo(mA・cm-2)とした。CV測定における1サイクル目の1.6Vでのigeo(mA・cm-2)(igeo@1.6V,1サイクル目(mA・cm-2))と、5サイクル目の1.6Vでのigeo(mA・cm-2)(igeo@1.6V,5サイクル目(mA・cm-2))を、表1に記入した。さらに、式1で定義されるサイクル維持率rを算出し、表1に記入した。
Figure 2019143235
(CV評価試験2)
CV評価試験1で準備した三電極式セルを用いて、電気化学測定を行った。前処理としてRHEに対し0V以上1.0V以下の範囲で、走査速度100 mVs-1で200サイクルのCVを行った後、保持電位を1.6V vs. RHE、AC振幅を10mV、0.1Hz 以上100kHz以下の周波数域で交流インピーダンス測定を行い、高周波側の位相差が無い抵抗成分を溶液抵抗Rsとした。次に、RHEに対し1.5V、1.6V、1.7V、1.8V、1.7V、1.6V、1.5Vの各電位を10分ずつ印加した後、RHEに対し0V以上2.3V以下の範囲で、走査速度50 mVs-1のCV測定を200サイクル行なった。200サイクル目のCV曲線に対し、CV評価試験1と同様の方法でIR補正を行い、各電位のigeo(mA・cm-2)を求めた。その後、igeo(mA・cm-2)が600mA・cm-2となる電位V600(vs.RHE)を求め、表1に記載した。
(酸化物抵抗Rf、電気二重層容量Cdlの求め方)
CV評価試験1で実施した電気化学的インピーダンス分光法測定により得られたナイキスト・インピーダンス線図において、図1の等価回路モデルを用いて、解析ソフトZview(Scribner Associates,Inc.配布)を用いて、酸化物抵抗Rf、電気二重層容量Cdlを求め、表1に記載した。
(実施例1)
長辺300mm、短辺100mm、厚み0.5mmの株式会社ニラコ製ニッケル板(品番:NI−313463)から長辺80mm、短辺10mm、厚み0.5mmのニッケル板片を切出し、実施例1の導電性基材とした。ポリプロピレン製容器に6Nの塩酸20mlを入れ、導電性基材であるニッケル板片の下端2cmが中に浸るように、容器内に吊下げた。容器を60℃の温浴に、5時間浸漬した。浸漬後、ニッケル板片を容器から引上げ、イオン交換水で洗浄した。洗浄したニッケル板片をワイパー(商品名:ベンコット、旭化成株式会社製)で拭き、乾燥空気を吹付けた後、30分間風乾し、重量と最大高さSzを測定した。次に、ボールミルにより粉砕したLaNiO3(株式会社豊島製作所製)の粉体100mgをエタノール500μlに混合し、30分間超音波分散を行い、実施例1の塗布用インクを調整した。触媒を担持する縦1cm横1cmの部分以外をビニールテープによりマスキングした後、本塗布用インクを、ニッケル板片のエッチング処理を施した箇所の縦1cm横1cmの範囲に滴下し、風乾させた。塗布LaNiO3粉体重量が所定の重量となるよう、この滴下および風乾を繰返し、実施例1のLaNiO3担持導電性基材(アルカリ水電解用電極中間体)を得た。本導電性基材をCIP処理後、重量を測定し、LaNiO3粉体が11mg圧着されていることを確認した。このCIP処理後の実施例1の導電性基材を、空気中650℃で1時間焼成し、LaNiO3圧着量11mg、触媒圧着部面積1cm2の、実施例1のアルカリ水電解用電極を得た。この電極を用いて、CV評価試験1を実施後、CV評価試験2を実施し、結果を表1に記載した。
(実施例2)
実施例1同様に、長辺80mm、短辺10mm、厚み0.5mmのニッケル板片を、実施例2の導電性基材とした。耐水研磨紙(三共理化学株式会社製、型番DCCS#400)を短辺に平行な方向にかけ、やすりがけ後にイオン交換水中で10分間超音波洗浄し、ワイパー(商品名:ベンコット、旭化成株式会社製)で拭き、乾燥空気を吹き付けた後30分間風乾し、重量と最大高さを測定した。触媒を担持する縦1cm横1cmの部分以外をビニールテープによりマスキングした後、LaNiO3の粉体(株式会社豊島製作所製)をメノウ乳鉢により粉砕し、マスキングされていない箇所に、所定量の粉体を平坦かつ均一に担持し、担持した後ラップフィルム(商品名サランラップ(登録商標)、旭化成株式会社製)にて仮止めし、実施例2のLaNiO3担持導電性基材(アルカリ水電解用電極中間体)を得た。本導電性基材をCIP処理後、ラップフィルムとビニールテープを剥がして重量を測定し、LaNiO3粉体が111mg圧着されていることを確認した。このCIP処理後の実施例2の導電性基材を、アルゴン雰囲気中650℃で1時間焼成し、LaNiO3圧着量111mg、触媒圧着部面積1cm2の、実施例2のアルカリ水電解用電極を得た。この電極を用いて、CV評価試験1を実施後、CV評価試験2を実施し、結果を表1に記載した。
(実施例3)
縦100mm、横100mm、厚さ0.5mmの株式会社ニラコ製チタン板(品番:TI―453461)から、長辺80mm、短辺10mm、厚み0.5mmのチタン板片を切り出し、導電性基材とした他は実施例1と同様に実施し、実施例3のLaNiO3担持導電性基材(アルカリ水電解用電極中間体)を得た。本導電性基材をCIP処理後、重量を測定し、LaNiO3粉体が14mg圧着されていることを確認した。このCIP処理後の実施例3の導電性基材を、空気中650℃で1時間焼成し、LaNiO3圧着量14mg、触媒圧着部面積1cm2の、実施例3のアルカリ水電解用電極を得た。この電極を用いて、CV評価試験1を実施後、CV評価試験2を実施し、結果を表1に記載した。CV評価試験2において、RHEに対し2.3Vまで印加しても、igeo(A・cm-2)は600mA・cm-2に達しなかったため、表1のV600欄には記入しなかった。
(実施例4)
実施例3と同様に準備した、長辺80mm、短辺10mm、厚み0.5mmのチタン板片を導電性基材とした他は、実施例2と同様に実施し、実施例4のLaNiO3担持導電性基材(アルカリ水電解用電極中間体)を得た。本導電性基材をCIP処理後、重量を測定し、LaNiO3粉体が125mg圧着されていることを確認した。このCIP処理後の実施例4の導電性基材を、アルゴン雰囲気中650℃で1時間焼成し、LaNiO3圧着量125mg、触媒圧着部面積1cm2の、実施例4のアルカリ水電解用電極を得た。この電極を用いて、CV評価試験1を実施後、CV評価試験2を実施し、結果を表1に記載した。CV評価試験2において、RHEに対し2.3Vまで印加しても、igeo(A・cm-2)は600mA・cm-2に達しなかったため、表1のV600欄には記入しなかった。
(実施例5)
長辺100mm、短辺100mm、厚み0.5mmの株式会社ニラコ製白金板(品番:PT−353460)から長辺80mm、短辺10mm、厚み0.5mmの白金板片を切出し、実施例5の導電性基材とした。まず、白金板片表面を、#320、#600、#1200、#2000、#3000、#8000のラッピングフィルムシート(スリーエムジャパン株式会社製、型番A3−60SHT、A3−30SHT、A3−12SHT、A3−9SHT、A3−5SHT、A3−1SHT)で研磨した。次いで、8インチのアルミナ研磨用バフ(商品名:Microcloth、Buehler製)と、0.3μmおよび0.05μmのアルミナ研磨剤(商品名:Micropolishアルミナ粉末、Buehler製)を使用して、アルミナバフ研磨を行った。その後、純水溶媒中で10分間超音波洗浄した。洗浄した白金板片をワイパー(商品名:ベンコット、旭化成株式会社製)で拭き、乾燥空気を吹付けた後、30分間風乾し、重量と最大高さSzを測定した。その後、実施例1と同様にマスキングを行った後、実施例1の塗布用インクを50μL滴下し、50℃で3時間乾燥後、本導電性基材をSUS440C製ステンレス板で挟み、プレス機を利用して圧力265MPaで5分間一軸加圧を行った。この滴下、乾燥、一軸加圧を10回繰り返し、実施例5のLaNiO3担持導電性基材(アルカリ水電解用電極中間体)を得た。本導電性基材をCIP処理後、重量を測定し、LaNiO3粉体が1.2mg圧着されていることを確認した。このCIP処理後の実施例5の導電性基材を、空気中800℃で1時間焼成し、LaNiO3圧着量1.2mg、触媒圧着部面積1cm2の、実施例5のアルカリ水電解用電極を得た。この電極を用いて、CV評価試験1を実施後、CV評価試験2を実施し、結果を表1に記載した。
(実施例6)
縦100mm、横100mm、厚さ0.5mmの株式会社ニラコ製チタン板(品番:TI―453461)から、長辺80mm、短辺10mm、厚み0.5mmのチタン板片を切り出した。容量1Lの四フッ化エチレン製ビーカーに100mLの6MHClを注ぎ、加熱して沸騰させ、チタン板片を20分間浸漬しエッチングした。その後、純水溶媒中で10分間超音波洗浄し、風乾した。ポリプロピレン製容器にn−ブタノール25mlを入れ、塩化白金酸100mgを溶解し、白金塗布液とした。チタン板片の下端約2cmを白金塗布液に浸漬し、100℃の送風定温恒温器内(型式DKN402、ヤマト科学株式会社製)で10分乾燥後、400℃のマッフル炉(型式FP412、ヤマト科学株式会社製)で10分仮焼成を行った。この塗布液への浸漬、乾燥、仮焼成を10回繰り返した後、500℃のマッフル炉で10分間焼成を行い、白金熱分解被覆チタン板片を調製し、実施例6の導電性基材とした。この導電性基材の重量と最大高さSzを測定した後、実施例5と同様、塗布用インクの滴下、乾燥、一軸加圧を10回繰り返し、実施例6のLaNiO3担持導電性基材(アルカリ水電解用電極中間体)を得た。本導電性基材をCIP処理後、重量を測定し、LaNiO3粉体が1.5mg圧着されていることを確認した。このCIP処理後の実施例6の導電性基材を、空気中800℃で1時間焼成し、LaNiO3圧着量1.5mg、触媒圧着部面積1cm2の、実施例6のアルカリ水電解用電極を得た。この電極を用いて、CV評価試験1を実施後、CV評価試験2を実施し、結果を表1に記載した。また、実施例6の方法で調製した白金熱分解被覆チタン板片の、被覆部分のXRDを測定した結果、Pt、Ti、TiO2(ルチル型)に帰属されるピークが存在することを確認した。図2に測定したXRDスペクトルを示す。
(比較例1)
LaNiO3の粉体(株式会社豊島製作所製)20mgをメノウ乳鉢により粉砕し、1mLのエタノールと、5wt%ナフィオン分散溶液(和光純薬工業株式会社販売、商品名:5%ナフィオンTM分散溶液DE520 CSタイプ)100μLを添加し、30分間超音波撹拌し、比較例1の塗布用インクを調製した。直径5mm、長さ10mmのグラッシーカーボンロッド(ビー・エー・エス株式会社販売)のロッド先端の表面を、#2000、#4000、#8000のラッピングフィルムで研磨後、さらに0.3μm、0.05μmのアルミナバフで研磨した。その研磨面に、比較例1の塗布用インク10μLを滴下し、50℃3時間乾燥し、LaNiO3担持量0.182mg、触媒担持部面積0.196cm2の、比較例1の電極を得た。この電極を用いて、CV評価試験1を実施したところ、触媒の剥離が著しかったため、CV評価試験2は行わなかった。
Figure 2019143235
本発明のアルカリ水電解用電極の評価方法は、水の電気分解において要求される特性の評価のための評価試験において、高い検出精度および再現性を示し、評価を効率化させ得る。

Claims (17)

  1. 導電性基材に、触媒を担持させることによりアルカリ水電解用電極中間体を得る工程と、
    前記電極中間体の前記触媒を圧着させアルカリ水電解用電極を得る工程と、
    前記アルカリ水電解用電極に所定の評価試験を行う工程と、を含む
    アルカリ水電解用電極の評価方法。
  2. 前記導電性基材が白金表面を有し、
    前記アルカリ水電解用電極が、前記触媒が前記白金表面と接触している電極である
    請求項1のアルカリ水電解用電極の評価方法。
  3. 前記白金表面を有する導電性基材は、白金基材である
    請求項2のアルカリ水電解用電極の評価方法。
  4. 前記白金表面を有する導電性基材は、少なくともチタンを含む基材上に白金表面層を有する
    請求項2のアルカリ水電解用電極の評価方法。
  5. 前記白金表面を有する導電性基材は、前記基材表面の一部に少なくともチタン酸化物を有する
    請求項4のアルカリ水電解用電極の評価方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のアルカリ水電解用電極の評価方法であって、
    前記所定の評価試験が、サイクリックボルタンメトリおよび/または電気化学的インピーダンス分光法に基づく試験である
    アルカリ水電解用電極の評価方法。
  7. 導電性基材に、触媒を担持させる工程と、
    前記導電性基材に担持させた前記触媒を、圧着させる工程と、を含む
    アルカリ水電解用電極の製造方法。
  8. 前記導電性基材が白金表面を有し、
    アルカリ水電解用電極が、前記触媒が前記白金表面と接触している電極である
    請求項7のアルカリ水電解用電極の製造方法。
  9. 請求項7又は8に記載のアルカリ水電解用電極の製造方法であって、
    前記導電性基材への前記触媒の圧着は、冷間等方圧加圧法による
    アルカリ水電解用電極の製造方法。
  10. 請求項7〜9のいずれか一項に記載のアルカリ水電解用電極の製造方法であって、
    前記導電性基材への前記触媒の圧着後に、前記電極を焼成する工程を、さらに含む
    アルカリ水電解用電極の製造方法。
  11. 導電性基材と触媒とを複合させたアルカリ水電解用電極であって、
    単位面積あたりの前記触媒の重量が0.05mg/cm2以上1g/cm2以下であり、
    前記触媒の有機成分の含有量が1重量%以下である
    アルカリ水電解用電極。
  12. 前記導電性基材が白金表面を有し、
    前記触媒が前記白金表面と接触している
    請求項11のアルカリ水電解用電極。
  13. 前記白金表面を有する導電性基材は、白金基材である
    請求項12のアルカリ水電解用電極。
  14. 前記白金表面を有する導電性基材は、少なくともチタンを含む基材上に白金表面層を有する
    請求項12のアルカリ水電解用電極。
  15. 前記白金表面を有する導電性基材は、基材表面の一部に少なくともチタン酸化物を有する
    請求項14のアルカリ水電解用電極。
  16. 請求項11〜15のいずれか一項に記載のアルカリ水電解用電極であって、
    前記触媒と前記導電性基材との界面の導電性基材表面の最大高さSzが10μm以上1mm以下である
    アルカリ水電解用電極。
  17. 請求項11〜16のいずれか一項に記載のアルカリ水電解用電極であって、
    前記触媒の表面のSdrが2以上50以下である
    アルカリ水電解用電極。
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