JP2019143235A - アルカリ水電解用電極の評価方法、アルカリ水電解用電極の製造方法、及びアルカリ水電解用電極 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]
導電性基材に、触媒を担持させることによりアルカリ水電解用電極中間体を得る工程と、
前記電極中間体の前記触媒を圧着させアルカリ水電解用電極を得る工程と、
前記アルカリ水電解用電極に所定の評価試験を行う工程と、を含む
アルカリ水電解用電極の評価方法。
[2]
前記導電性基材が白金表面を有し、
前記アルカリ水電解用電極において、前記触媒が前記白金表面と接触している
[1]に記載のアルカリ水電解用電極の評価方法。
[3]
前記白金表面を有する導電性基材は、白金基材である
[2]に記載のアルカリ水電解用電極の評価方法。
[4]
前記白金表面を有する導電性基材は、少なくともチタンを含む基材上に白金表面層を有する
[2]に記載のアルカリ水電解用電極の評価方法。
[5]
前記白金表面を有する導電性基材は、前記基材表面の一部に少なくともチタン酸化物を有する
[4]に記載のアルカリ水電解用電極の評価方法。
[6]
前記所定の評価試験が、サイクリックボルタンメトリおよび/または電気化学的インピーダンス分光法に基づく試験である
[1]〜[5]のいずれかに記載のアルカリ水電解用電極の評価方法。
[7]
導電性基材に、触媒を担持させる工程と、
前記導電性基材に担持させた前記触媒を、圧着させる工程と、を含む
アルカリ水電解用電極の製造方法。
[8]
前記導電性基材が白金表面を有し、
前記アルカリ水電解用電極が、前記触媒が前記白金表面と接触している電極である
[7]に記載のアルカリ水電解用電極の製造方法。
[9]
前記導電性基材への前記触媒の圧着は、冷間等方圧加圧法による
[7]または[8]に記載のアルカリ水電解用電極の製造方法。
[10]
前記導電性基材への前記触媒の圧着後に、前記電極を焼成する工程を、さらに含む
[7]〜[9]のいずれかに記載のアルカリ水電解用電極の製造方法。
[11]
導電性基材と触媒とを複合させたアルカリ水電解用電極であって、
単位面積あたりの前記触媒の重量が0.05mg/cm2以上1g/cm2以下であり、
前記触媒の有機成分の含有量が1重量%以下である
アルカリ水電解用電極。
[12]
前記導電性基材が白金表面を有し、
前記触媒が前記白金表面と接触している
[11]に記載のアルカリ水電解用電極。
[13]
前記白金表面を有する導電性基材は、白金基材である
[12]に記載のアルカリ水電解用電極。
[14]
前記白金表面を有する導電性基材は、少なくともチタンを含む基材上に白金表面層を有する
[12]に記載のアルカリ水電解用電極。
[15]
前記白金表面を有する導電性基材は、基材表面の一部に少なくともチタン酸化物を有する
[14]に記載のアルカリ水電解用電極。
[16]
前記触媒と前記導電性基材との界面の導電性基材表面の最大高さSzが10μm以上1mm以下である
[11]〜[15]のいずれかに記載のアルカリ水電解用電極。
[17]
前記触媒の表面のSdrが2以上50以下である
[11]〜[16]のいずれかに記載のアルカリ水電解用電極。
水電解陽極は、少なくとも、導電性基材の表面上の一部または全部に触媒の層を有しているものである。
本実施形態において、導電性基材の材質としては、例えば、ニッケル、ニッケルを主成分とした材料、チタン、GC(Glassy Carbon)、タンタル、ジルコニウム、金、銀、銅、パラジウム、白金、コバルト、ロジウム、イリジウム等が挙げられる。ニッケルを主成分とした材料としては、例えばモネル、インコネルやハステロイなどのニッケル基合金が挙げられる。上記導電性基材としては、白金基材;ニッケル、ニッケルを主成分とした材料、チタン、GC、タンタル、ジルコニウム、金、銀、銅、パラジウム、コバルト、ロジウム、イリジウム等に、白金を被覆した基材;等の白金表面を有する導電性基材を使用しても良い。白金を被覆する方法としては、例えば、日本化学会誌,1987,(2),p140〜146に開示されている、白金塩化物の熱分解等による方法を用いることができ、塩化白金酸をn−ブタノール等のアルコールに溶解した白金塗布液への浸漬、乾燥、仮焼成を繰り返す方法等が挙げられる。
アルカリ水溶液中の酸素発生電位においても溶解されず、耐久性が高く、導電性も高いことから、導電性基材の材質は、ニッケル、チタン、白金、白金被覆チタンが好ましい。白金被覆チタンとしては、少なくともチタンを含む基材上に白金表面層(例えば、厚さ0.01μm以上1000μm以下の白金薄層)を有する基材が挙げられる。白金被覆チタンにおいて、上記白金表面層を導電性基材の白金表面としてよい。加工が容易であり、生産性の観点から、ニッケルまたはニッケルを主成分とした材料がさらに好ましい。
導電性基材の材質は、基材のXRF(蛍光X線)分析を行うことにより、確認することができる。また、基材が白金により被覆されていることは、基材表面のXPS(X線光電子分光)分析を行うことにより、確認することができる。導電性基材は、表面に、導電性基材を構成する元素の酸化物を有していても良い。例えば、上記導電性基材は、少なくともチタンを含む基材上に白金表面層を有する導電性基材であって、基材表面の一部に少なくともチタン酸化物を有する基材であってもよい。導電性基材が、表面に、導電性基材を構成する元素の酸化物を有することは、導電性基材の表面のXRDを測定することにより、確認することができる。導電性基材が、表面に、導電性基材を構成する元素の酸化物を有すると、基材と粉体の付着力が強くなるため、検出精度および検出の再現性が高くなり、好ましい。
本実施形態において、触媒の材質としては、ペロブスカイト型構造の金属酸化物が挙げられる。ペロブスカイト型構造の金属酸化物は、一般的にABO3で表される組成を有する。
(式(1)において、A及びA’はアルカリ土類金属又は希土類元素であり、B’はCr、Mn、Fe、Co、Cuのいずれかであり、0≦x≦1であり、0<y≦1であり、0<z≦1である。)
本実施形態において、水電解陰極は、少なくとも、導電性基材の表面上の一部または全部に触媒層を有しているものである。水電解陰極のサイズとしては、特に限定されることなく、電極室のサイズに合わせて定められてよく、縦:0.4m〜4.0m、横:0.4m〜6.0m、厚さ:0.1mm〜3mmとしてよい。
水電解陰極の導電性基材の材料は、特に制限されないが、使用環境への耐性から、軟鋼、ステンレス、ニッケル、ニッケル基合金が好ましい。
また、導電性基材の材質としては、ニッケル、チタン、白金、白金被覆チタンが好ましい。白金被覆チタンとしては、少なくともチタンを含む基材上に白金表面層(例えば、厚さ0.01μm以上1000μm以下の白金薄層)を有する基材が挙げられる。加工が容易であり、生産性の観点から、ニッケルまたはニッケルを主成分とした材料がさらに好ましい。また、上記導電性基材は、少なくともチタンを含む基材上に白金表面層を有する導電性基材であって、基材表面の一部に少なくともチタン酸化物を有する基材であってもよい。
なお、水電解陰極の上記導電性基材は、上記水電解陽極の導電性基材に記載のものを用いてもよい。なお、水電解陽極の導電性基材と、水電解陰極の導電性基材とは、同じであってもよいし異なっていてもよい。
陰極の触媒は、水素発生能が高いものであることが好ましく、ニッケルやコバルト、鉄もしくは白金族元素等を使用することができる。これらは、所望の活性や耐久性を実現するために、金属単体や、酸化物等の化合物、複数の金属元素からなる複合酸化物や合金、あるいはそれらの混合物から、触媒を選択できる。具体的には、ラネーニッケルや、ニッケルとアルミニウム、あるいはニッケルと錫等の複数の材料の組み合わせからなるラネー合金、ニッケル化合物やコバルト化合物、ニッケルと、コバルト、鉄、モリブデン、銀、銅等から選ばれる元素との合金や複合化合物、水素発生能が高い白金やルテニウム等の白金族元素の金属や酸化物、及び、それら白金族元素の金属や酸化物と、イリジウムやパラジウム等の他の白金族元素の化合物やランタンやセリウム等の希土類金属の化合物との混合物、グラフェン等の炭素材料等が挙げられる。高い触媒活性や耐久性を実現するために、上記の触媒材料を複数積層してもよく、触媒の層中に複数混在させてもよい。耐久性や基材との接着性を向上させるために高分子材料等の有機物が、1重量%以下含まれていてもよい。
次に、上述した水電解陽極の製造方法について説明する。
次に、上述した水電解陰極の製造方法について説明する。
なお、水電解陰極の製造方法は、上述の水電解陽極の製造方法に記載の方法としてもよい。
上述のような製造方法により製造した水電解陽極および/または水電解陰極、すなわち導電性基材に触媒を担持させた後に、触媒を圧着させてから、所定の評価試験を行う。所定の評価試験は、例えば、サイクリックボルタンメトリに基づく試験などが挙げられる。本発明の水電解陽極を用いて、サイクリックボルタンメトリを行う場合は、RHEに対し0V以上2.3V以下の範囲で行うことが好ましい。RHEに対し0V以上であれば、導電性基材の還元等に起因すると思われる、検出精度や検出の再現性の低下が起こらず、好ましい。RHEに対し2.3V以下であれば、発生する気泡に起因すると思われる、検出精度や検出の再現性の低下が起こらず、好ましい。
CIP処理する対象物は、まず、包装材として無添加ポリエチレンとナイロン樹脂からなるガスバリア袋(商品名:クリーンガスバリア袋、アズワン株式会社販売)を使用し、富士インパルス株式会社製卓上型ノズル式脱気シーラーV−301を用いて、真空ラミネート処理を行なった。この真空ラミネート処理を行った対象物を、日機装株式会社製冷間等方圧プレス(圧力容器内寸法:直径75mm、長さ550mm、最高使用圧力:392MPa)を用いて、300MPaの等方圧を、10分間作用させた。その後、対象物をガスバリア袋より取り出すことで、CIP処理法とした。
最大高さを測定する導電性基材の表面を、オリンパス株式会社製レーザー顕微鏡OLS4000を使用して、レーザー観察モードにおいて、走査モード:XYX高速モード+カラー、画像サイズ[画素]:1024×1024、画像サイズ[μm]:646×643、対物レンズ:(MPLAPONLEXT20x)、ズーム:1倍の条件で撮影した。次に、測定モードにおいて、撮影画像から表面粗さを測定し、算出される最大高さSz(μm)を、本発明の最大高さとし、表1に記入した。
株式会社リガク製試料水平型多目的X線回折装置Ultima IVを使用して、2θ/θ法でX線回折(XRD)の測定を行った。導電性基板から測定部位として10mm角の大きさを切り出し、治具を使用して、測定部位高さを調整して標準試料台に固定した。X線源はCuKα、管電圧は40kV、管電流は40mA、集中法光学系を使用し、DHL(縦制限スリット)10mm、DS(発散スリット)1°、SS(散乱スリット)2°、RS(受光スリット)0.15mm、Step幅:0.1°/step、1ステップの計数時間:1.2sec、測定範囲:2θ=20°〜90°で測定した。
触媒担持部分から触媒を剥離し、剥離した触媒を、セイコーインスツルメンツ製示差熱分析・熱天秤(TG−DTA)装置(型式:EXSTAR6000)を用いて、空気中、昇温速度10℃/minで900℃まで昇温してTG−DTA測定を行い、100℃以上500℃以下の範囲での重量減少(%)を、有機成分の含有率(%)とし、表1に記入した。重量減少が1%以下、あるいは重量減少が無い場合は、有機成分の含有%を1%以下とした。1枚の電極から測定に必要な重量の触媒を回収できない場合は、実施例・比較例の要領に従い複数の電極を作成し、複数の電極から触媒を回収して測定を実施した。
CV評価試験1の実施前に、株式会社キーエンス製形状測定レーザーマイクロスコープVK−X200により、触媒担持部表面を観察した。触媒担持部表面のSdr(界面の展開面積比)は、電極の触媒担持部表面の、横95.753μm、縦71.803μmの範囲の画像から算出し、表1に記入した。
5サイクル後の触媒剥離の有無の確認は、CV評価試験1後、日立ハイテクサイエンス製蛍光X線膜厚計FT110Aを用いて、試料観察用の内蔵CCDカメラにより、24倍で触媒担持部表面を観察することにより行った。触媒の剥離が確認できた場合には、表1の「5サイクル後の触媒剥離」欄に「剥離有り」、確認できなかった場合は、「剥離無し」と記載した。
電極にチタン製の導線を溶接した後、触媒担持部分以外をエポキシ樹脂(商品名:ハイスーパークリア3、日本国セメダイン株式会社製造)でマスキングすることで、触媒担持部面積が幾何電極面積に等しい、作用極とした。参照極に可逆水素電極(RHE)、対極にニッケルコイルを用いて、電解液として30℃、7 MのKOH水溶液を用いて、窒素雰囲気下で、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)製の三電極式セルを用いて、電気化学測定を行った。測定装置としては、株式会社東方技研製高性能マルチポテンショスタットPS−04および東方技研製任意関数発生装置FG−02を組み合わせて用いた。前処理としてRHEに対し0V以上1.0V以下の範囲で、走査速度100mVs-1で200サイクルのサイクリックボルタンメトリー(以下、CVと略)を行った後、RHEに対し0V以上1.7V以下の範囲で、走査速度50mVs-1のCV測定を5サイクル行なった。さらに、保持電位を1.6V vs. RHE、AC振幅を10mV、0.1Hz以上100kHz以下の周波数域で電気化学的インピーダンス分光法(EIS)測定を行い、高周波側の位相差が無い抵抗成分を溶液抵抗Rsとした。CV測定のCV曲線に対し、電流値とRSの積を電圧より引き、IR補正を行った。その後、電流値を幾何電極面積で除し、各電位(vs. RHE)における電極面積あたりの電流値(igeo(mA・cm-2))を算出した。各電位で、酸化電流と還元電流でigeo(mA・cm-2)が異なる場合は、酸化電流のigeo(mA・cm-2)と還元電流のigeo(mA・cm-2)の平均値を、その電位のigeo(mA・cm-2)とした。CV測定における1サイクル目の1.6Vでのigeo(mA・cm-2)(igeo@1.6V,1サイクル目(mA・cm-2))と、5サイクル目の1.6Vでのigeo(mA・cm-2)(igeo@1.6V,5サイクル目(mA・cm-2))を、表1に記入した。さらに、式1で定義されるサイクル維持率rを算出し、表1に記入した。
CV評価試験1で準備した三電極式セルを用いて、電気化学測定を行った。前処理としてRHEに対し0V以上1.0V以下の範囲で、走査速度100 mVs-1で200サイクルのCVを行った後、保持電位を1.6V vs. RHE、AC振幅を10mV、0.1Hz 以上100kHz以下の周波数域で交流インピーダンス測定を行い、高周波側の位相差が無い抵抗成分を溶液抵抗Rsとした。次に、RHEに対し1.5V、1.6V、1.7V、1.8V、1.7V、1.6V、1.5Vの各電位を10分ずつ印加した後、RHEに対し0V以上2.3V以下の範囲で、走査速度50 mVs-1のCV測定を200サイクル行なった。200サイクル目のCV曲線に対し、CV評価試験1と同様の方法でIR補正を行い、各電位のigeo(mA・cm-2)を求めた。その後、igeo(mA・cm-2)が600mA・cm-2となる電位V600(vs.RHE)を求め、表1に記載した。
CV評価試験1で実施した電気化学的インピーダンス分光法測定により得られたナイキスト・インピーダンス線図において、図1の等価回路モデルを用いて、解析ソフトZview(Scribner Associates,Inc.配布)を用いて、酸化物抵抗Rf、電気二重層容量Cdlを求め、表1に記載した。
長辺300mm、短辺100mm、厚み0.5mmの株式会社ニラコ製ニッケル板(品番:NI−313463)から長辺80mm、短辺10mm、厚み0.5mmのニッケル板片を切出し、実施例1の導電性基材とした。ポリプロピレン製容器に6Nの塩酸20mlを入れ、導電性基材であるニッケル板片の下端2cmが中に浸るように、容器内に吊下げた。容器を60℃の温浴に、5時間浸漬した。浸漬後、ニッケル板片を容器から引上げ、イオン交換水で洗浄した。洗浄したニッケル板片をワイパー(商品名:ベンコット、旭化成株式会社製)で拭き、乾燥空気を吹付けた後、30分間風乾し、重量と最大高さSzを測定した。次に、ボールミルにより粉砕したLaNiO3(株式会社豊島製作所製)の粉体100mgをエタノール500μlに混合し、30分間超音波分散を行い、実施例1の塗布用インクを調整した。触媒を担持する縦1cm横1cmの部分以外をビニールテープによりマスキングした後、本塗布用インクを、ニッケル板片のエッチング処理を施した箇所の縦1cm横1cmの範囲に滴下し、風乾させた。塗布LaNiO3粉体重量が所定の重量となるよう、この滴下および風乾を繰返し、実施例1のLaNiO3担持導電性基材(アルカリ水電解用電極中間体)を得た。本導電性基材をCIP処理後、重量を測定し、LaNiO3粉体が11mg圧着されていることを確認した。このCIP処理後の実施例1の導電性基材を、空気中650℃で1時間焼成し、LaNiO3圧着量11mg、触媒圧着部面積1cm2の、実施例1のアルカリ水電解用電極を得た。この電極を用いて、CV評価試験1を実施後、CV評価試験2を実施し、結果を表1に記載した。
実施例1同様に、長辺80mm、短辺10mm、厚み0.5mmのニッケル板片を、実施例2の導電性基材とした。耐水研磨紙(三共理化学株式会社製、型番DCCS#400)を短辺に平行な方向にかけ、やすりがけ後にイオン交換水中で10分間超音波洗浄し、ワイパー(商品名:ベンコット、旭化成株式会社製)で拭き、乾燥空気を吹き付けた後30分間風乾し、重量と最大高さを測定した。触媒を担持する縦1cm横1cmの部分以外をビニールテープによりマスキングした後、LaNiO3の粉体(株式会社豊島製作所製)をメノウ乳鉢により粉砕し、マスキングされていない箇所に、所定量の粉体を平坦かつ均一に担持し、担持した後ラップフィルム(商品名サランラップ(登録商標)、旭化成株式会社製)にて仮止めし、実施例2のLaNiO3担持導電性基材(アルカリ水電解用電極中間体)を得た。本導電性基材をCIP処理後、ラップフィルムとビニールテープを剥がして重量を測定し、LaNiO3粉体が111mg圧着されていることを確認した。このCIP処理後の実施例2の導電性基材を、アルゴン雰囲気中650℃で1時間焼成し、LaNiO3圧着量111mg、触媒圧着部面積1cm2の、実施例2のアルカリ水電解用電極を得た。この電極を用いて、CV評価試験1を実施後、CV評価試験2を実施し、結果を表1に記載した。
縦100mm、横100mm、厚さ0.5mmの株式会社ニラコ製チタン板(品番:TI―453461)から、長辺80mm、短辺10mm、厚み0.5mmのチタン板片を切り出し、導電性基材とした他は実施例1と同様に実施し、実施例3のLaNiO3担持導電性基材(アルカリ水電解用電極中間体)を得た。本導電性基材をCIP処理後、重量を測定し、LaNiO3粉体が14mg圧着されていることを確認した。このCIP処理後の実施例3の導電性基材を、空気中650℃で1時間焼成し、LaNiO3圧着量14mg、触媒圧着部面積1cm2の、実施例3のアルカリ水電解用電極を得た。この電極を用いて、CV評価試験1を実施後、CV評価試験2を実施し、結果を表1に記載した。CV評価試験2において、RHEに対し2.3Vまで印加しても、igeo(A・cm-2)は600mA・cm-2に達しなかったため、表1のV600欄には記入しなかった。
実施例3と同様に準備した、長辺80mm、短辺10mm、厚み0.5mmのチタン板片を導電性基材とした他は、実施例2と同様に実施し、実施例4のLaNiO3担持導電性基材(アルカリ水電解用電極中間体)を得た。本導電性基材をCIP処理後、重量を測定し、LaNiO3粉体が125mg圧着されていることを確認した。このCIP処理後の実施例4の導電性基材を、アルゴン雰囲気中650℃で1時間焼成し、LaNiO3圧着量125mg、触媒圧着部面積1cm2の、実施例4のアルカリ水電解用電極を得た。この電極を用いて、CV評価試験1を実施後、CV評価試験2を実施し、結果を表1に記載した。CV評価試験2において、RHEに対し2.3Vまで印加しても、igeo(A・cm-2)は600mA・cm-2に達しなかったため、表1のV600欄には記入しなかった。
長辺100mm、短辺100mm、厚み0.5mmの株式会社ニラコ製白金板(品番:PT−353460)から長辺80mm、短辺10mm、厚み0.5mmの白金板片を切出し、実施例5の導電性基材とした。まず、白金板片表面を、#320、#600、#1200、#2000、#3000、#8000のラッピングフィルムシート(スリーエムジャパン株式会社製、型番A3−60SHT、A3−30SHT、A3−12SHT、A3−9SHT、A3−5SHT、A3−1SHT)で研磨した。次いで、8インチのアルミナ研磨用バフ(商品名:Microcloth、Buehler製)と、0.3μmおよび0.05μmのアルミナ研磨剤(商品名:Micropolishアルミナ粉末、Buehler製)を使用して、アルミナバフ研磨を行った。その後、純水溶媒中で10分間超音波洗浄した。洗浄した白金板片をワイパー(商品名:ベンコット、旭化成株式会社製)で拭き、乾燥空気を吹付けた後、30分間風乾し、重量と最大高さSzを測定した。その後、実施例1と同様にマスキングを行った後、実施例1の塗布用インクを50μL滴下し、50℃で3時間乾燥後、本導電性基材をSUS440C製ステンレス板で挟み、プレス機を利用して圧力265MPaで5分間一軸加圧を行った。この滴下、乾燥、一軸加圧を10回繰り返し、実施例5のLaNiO3担持導電性基材(アルカリ水電解用電極中間体)を得た。本導電性基材をCIP処理後、重量を測定し、LaNiO3粉体が1.2mg圧着されていることを確認した。このCIP処理後の実施例5の導電性基材を、空気中800℃で1時間焼成し、LaNiO3圧着量1.2mg、触媒圧着部面積1cm2の、実施例5のアルカリ水電解用電極を得た。この電極を用いて、CV評価試験1を実施後、CV評価試験2を実施し、結果を表1に記載した。
縦100mm、横100mm、厚さ0.5mmの株式会社ニラコ製チタン板(品番:TI―453461)から、長辺80mm、短辺10mm、厚み0.5mmのチタン板片を切り出した。容量1Lの四フッ化エチレン製ビーカーに100mLの6MHClを注ぎ、加熱して沸騰させ、チタン板片を20分間浸漬しエッチングした。その後、純水溶媒中で10分間超音波洗浄し、風乾した。ポリプロピレン製容器にn−ブタノール25mlを入れ、塩化白金酸100mgを溶解し、白金塗布液とした。チタン板片の下端約2cmを白金塗布液に浸漬し、100℃の送風定温恒温器内(型式DKN402、ヤマト科学株式会社製)で10分乾燥後、400℃のマッフル炉(型式FP412、ヤマト科学株式会社製)で10分仮焼成を行った。この塗布液への浸漬、乾燥、仮焼成を10回繰り返した後、500℃のマッフル炉で10分間焼成を行い、白金熱分解被覆チタン板片を調製し、実施例6の導電性基材とした。この導電性基材の重量と最大高さSzを測定した後、実施例5と同様、塗布用インクの滴下、乾燥、一軸加圧を10回繰り返し、実施例6のLaNiO3担持導電性基材(アルカリ水電解用電極中間体)を得た。本導電性基材をCIP処理後、重量を測定し、LaNiO3粉体が1.5mg圧着されていることを確認した。このCIP処理後の実施例6の導電性基材を、空気中800℃で1時間焼成し、LaNiO3圧着量1.5mg、触媒圧着部面積1cm2の、実施例6のアルカリ水電解用電極を得た。この電極を用いて、CV評価試験1を実施後、CV評価試験2を実施し、結果を表1に記載した。また、実施例6の方法で調製した白金熱分解被覆チタン板片の、被覆部分のXRDを測定した結果、Pt、Ti、TiO2(ルチル型)に帰属されるピークが存在することを確認した。図2に測定したXRDスペクトルを示す。
LaNiO3の粉体(株式会社豊島製作所製)20mgをメノウ乳鉢により粉砕し、1mLのエタノールと、5wt%ナフィオン分散溶液(和光純薬工業株式会社販売、商品名:5%ナフィオンTM分散溶液DE520 CSタイプ)100μLを添加し、30分間超音波撹拌し、比較例1の塗布用インクを調製した。直径5mm、長さ10mmのグラッシーカーボンロッド(ビー・エー・エス株式会社販売)のロッド先端の表面を、#2000、#4000、#8000のラッピングフィルムで研磨後、さらに0.3μm、0.05μmのアルミナバフで研磨した。その研磨面に、比較例1の塗布用インク10μLを滴下し、50℃3時間乾燥し、LaNiO3担持量0.182mg、触媒担持部面積0.196cm2の、比較例1の電極を得た。この電極を用いて、CV評価試験1を実施したところ、触媒の剥離が著しかったため、CV評価試験2は行わなかった。
Claims (17)
- 導電性基材に、触媒を担持させることによりアルカリ水電解用電極中間体を得る工程と、
前記電極中間体の前記触媒を圧着させアルカリ水電解用電極を得る工程と、
前記アルカリ水電解用電極に所定の評価試験を行う工程と、を含む
アルカリ水電解用電極の評価方法。 - 前記導電性基材が白金表面を有し、
前記アルカリ水電解用電極が、前記触媒が前記白金表面と接触している電極である
請求項1のアルカリ水電解用電極の評価方法。 - 前記白金表面を有する導電性基材は、白金基材である
請求項2のアルカリ水電解用電極の評価方法。 - 前記白金表面を有する導電性基材は、少なくともチタンを含む基材上に白金表面層を有する
請求項2のアルカリ水電解用電極の評価方法。 - 前記白金表面を有する導電性基材は、前記基材表面の一部に少なくともチタン酸化物を有する
請求項4のアルカリ水電解用電極の評価方法。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載のアルカリ水電解用電極の評価方法であって、
前記所定の評価試験が、サイクリックボルタンメトリおよび/または電気化学的インピーダンス分光法に基づく試験である
アルカリ水電解用電極の評価方法。 - 導電性基材に、触媒を担持させる工程と、
前記導電性基材に担持させた前記触媒を、圧着させる工程と、を含む
アルカリ水電解用電極の製造方法。 - 前記導電性基材が白金表面を有し、
アルカリ水電解用電極が、前記触媒が前記白金表面と接触している電極である
請求項7のアルカリ水電解用電極の製造方法。 - 請求項7又は8に記載のアルカリ水電解用電極の製造方法であって、
前記導電性基材への前記触媒の圧着は、冷間等方圧加圧法による
アルカリ水電解用電極の製造方法。 - 請求項7〜9のいずれか一項に記載のアルカリ水電解用電極の製造方法であって、
前記導電性基材への前記触媒の圧着後に、前記電極を焼成する工程を、さらに含む
アルカリ水電解用電極の製造方法。 - 導電性基材と触媒とを複合させたアルカリ水電解用電極であって、
単位面積あたりの前記触媒の重量が0.05mg/cm2以上1g/cm2以下であり、
前記触媒の有機成分の含有量が1重量%以下である
アルカリ水電解用電極。 - 前記導電性基材が白金表面を有し、
前記触媒が前記白金表面と接触している
請求項11のアルカリ水電解用電極。 - 前記白金表面を有する導電性基材は、白金基材である
請求項12のアルカリ水電解用電極。 - 前記白金表面を有する導電性基材は、少なくともチタンを含む基材上に白金表面層を有する
請求項12のアルカリ水電解用電極。 - 前記白金表面を有する導電性基材は、基材表面の一部に少なくともチタン酸化物を有する
請求項14のアルカリ水電解用電極。 - 請求項11〜15のいずれか一項に記載のアルカリ水電解用電極であって、
前記触媒と前記導電性基材との界面の導電性基材表面の最大高さSzが10μm以上1mm以下である
アルカリ水電解用電極。 - 請求項11〜16のいずれか一項に記載のアルカリ水電解用電極であって、
前記触媒の表面のSdrが2以上50以下である
アルカリ水電解用電極。
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