JP2019143109A - 摩擦材、摩擦材組成物及び摩擦材の製造方法 - Google Patents

摩擦材、摩擦材組成物及び摩擦材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】製造を簡略に行えるとともに、ダンピング性を向上させつつ、均質な摩擦材を形成する。【解決手段】実施形態の摩擦部材は、繊維基材と、摩擦調整材と、結合材と、充填材と、扁平な形状を有し、前記繊維基材、前記摩擦調整材及び前記充填材の少なくともいずれかと結合している複数のエラストマー部と、を備える。【選択図】図5

Description

本発明は、摩擦材、摩擦材組成物及び摩擦材の製造方法に関する。
従来、ディスクロータと接触する摩擦材としてのライニングと、ライニングが固定された裏板と、を備えたブレーキパッドが知られている。
特開2013−166920号公報
この種のブレーキパッドにおいては、いわゆるブレーキの鳴きを防止するために、ライニングにゴム粉末を添加したり、ゴム変性フェノール樹脂をバインダとして使用したりすることにより、ライニングにダンピング性を付与して振動減衰量を増大させる試みがなされている。
ところで、ブレーキパッドに添加するゴム粉末としては、未加硫のゴムあるいは加硫したゴムを添加する場合が知られている。
未加硫のゴム粉末を添加する場合には、耐熱性及びダンピング性はそれほど期待できず、ブレーキパッドの強度に影響を与えるため大量に添加することはできず、ブレーキの鳴きを防止する効果はそれほど期待できない。
一方、加硫のゴム粉末を添加する場合には、粒状の加硫したゴムあるいはリサイクルのタイヤを粉砕して得られるゴム粉を使用することとなるが、摩擦材母材(摩擦材マトリックス)との密着性がそれほど良くないため、制動時に摩擦面から脱落しやすく、摩耗が進行して、ブレーキパッドとしての寿命が短くなる虞があった。
また、未加硫のゴム粉末を含むライニングを熱成形し、加硫を行えば、ゴムの耐熱性の向上及びダンピング性の向上が期待できるが、未加硫のゴムの内部まで加硫が確実に行えずにライニングの均質性が低下するとともに、加硫工程の追加によりコスト高となるおそれがあった。
そこで、本発明は、製造を簡略に行えるとともに、ダンピング性を向上させつつ、均質な摩擦材(ライニング)を形成することができる摩擦材、摩擦材組成物及び摩擦材の製造方法を提供することを目的としている。
実施形態の摩擦部材は、繊維基材と、摩擦調整材と、結合材と、充填材と、扁平な形状を有し、前記繊維基材、前記摩擦調整材及び前記充填材の少なくともいずれかと結合している複数のエラストマー部と、を備える。
上記構成によれば、製造を簡略に行えるとともに、ダンピング性を向上させつつ、均質な摩擦材を形成することができる。
上記構成において、エラストマー部は、所定の方向に交差する方向に延在して扁平な形状とされているようにしてもよい。
上記構成によれば、ダンピング性を摩擦材全体で均一に付与することができる。
また、上記構成において、所定の方向は、摩擦材の厚さ方向及び厚さ方向と直交する方向のいずれかであるようにしてもよい。
上記構成によれば、ダンピング性を摩擦材全体で均一に付与することができるとともに耐久性が向上する。
実施形態の摩擦材用組成物は、繊維基材と、摩擦調整材と、結合材と、充填材と、未加硫のゴム粒子あるいは未架橋の熱可塑性エラストマー粒子と、未加硫のゴム粒子あるいは未架橋の熱可塑性エラストマー粒子の加硫あるいは架橋を行わせるための有機過酸化物と、を含んでいる。
上記構成によれば、従来の製造方法を流用して製造を簡略に行えるとともに、ダンピング性を向上させつつ、均質な摩擦材(ライニング)を形成することができる。
実施形態の摩擦材の製造方法は、摩擦材の熱成形を行う熱成形過程及び熱成形後の前記摩擦材を硬化するための熱処理過程を備えた摩擦材の製造方法において、未加硫のゴム粒子あるいは未架橋の熱可塑性エラストマー粒子と、熱形成過程で実効的に分解せず、熱処理過程において分解する熱特性を有する有機過酸化物と、を含む原料を混合する過程を備え、熱成形過程を第1の温度帯で行い、熱処理過程を第1の温度帯より高い第2の温度帯で行う。
上記構成によれば、製造を簡略に行えるとともに、ダンピング性を向上させつつ、均質な摩擦材を形成することができる。
上記構成において、熱処理過程を第1の時間より長い第2の時間行うようにしてもよい。
上記構成によれば、確実に加硫あるいは架橋を行って強度の高い摩擦材を得ることができる。
図1は、実施形態のディスクパッドが適用されるディスクブレーキの模式斜視図である。 図2は、図1のA−A線断面図である。 図3は、第1実施形態のブレーキパッドの外観斜視図である。 図4は、実施形態の摩擦材を用いたブレーキパッドの製造方法の処理説明図である。 図5は、実施形態の摩擦材(ライニング)を用いたブレーキパッド及び従来のブレーキパッドとの構造比較説明図である。 図6は、実施例、比較例及び性能評価の説明図である。
次に図面を参照して本発明の例示的な実施形態について詳細に説明する。
以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
図1は、実施形態のディスクパッドが適用されるディスクブレーキの模式斜視図である。
図2は、図1のA−A線断面図である。
実施形態のディスクブレーキ1は、車軸ハブ(不図示の回転体)に組み付けられて車輪(不図示)と一体に回転するディスクロータ2と、ディスクロータ2の周縁部を跨いで配置されるキャリパ3と、を備えている。
以下の説明においては、ディスクロータ2の軸方向をロータ軸方向、ディスクロータ2の径方向をロータ径方向、ディスクロータ2の周方向をロータ周方向と称するものとする。ロータ周方向は、ロータ径方向と交差する。
キャリパ3は、車体に設けられた支持部材に固定されたマウンティング11と、ロータ軸方向に移動可能にマウンティング11に支持されたキャリパボディ12と、ロータ軸方向に移動可能にマウンティング11に支持された一対のブレーキパッド20,30と、を備えている。
キャリパボディ12は、一対のスライドピン14によってマウンティング11に対してロータ軸方向に移動可能に取付けられている。キャリパボディ12は、車体側からディスクロータ2をロータ軸方向に跨いで延出している。キャリパボディ12は、ロータ軸方向の一方側の端部(図2の左側、基端部)に、ピストン15(押圧部材)が挿入されるシリンダ部12aを有している。キャリパボディ12は、ロータ軸方向の他方側の端部(図2の右側、先端部)に、一対の爪12b(押圧部材)を有している。爪12bは、ディスクロータ2のロータ軸方向の他方側に位置され、ロータ軸方向でディスクロータ2に間隔を空けて位置されている。
図2に示されるように、ピストン15は、ディスクロータ2のロータ軸方向の一方側に位置され、ロータ軸方向でディスクロータ2に間隔を空けて位置されている。ピストン15は、キャリパ3に含まれる。ピストン15は、液圧によってディスクロータ2に向けて進出して、ディスクロータ2との間に介在したブレーキパッド20をディスクロータ2に向けて押す。詳細には、ピストン15は、ブレーキパッド20側の端部に含まれた押圧部15a(押圧面)を有し、押圧部15aによって、ブレーキパッド20をディスクロータ2に向けて押す。
これに伴い、押圧部15aの押す力である押圧力の反力によってキャリパボディ12が移動して、キャリパボディ12の爪12bが、ディスクロータ2と爪12bとの間に介在したブレーキパッド30をディスクロータ2に向けて押す。
より詳細には、爪12bは、ブレーキパッド30側の端部に含まれた押圧部12c(押圧面)を有し、押圧部12cによってブレーキパッド30をディスクロータ2に向けて押す。すなわち、一対のブレーキパッド20,30は、それぞれピストン15の押圧部15aまたは爪12bの押圧部12cによってディスクロータ2に押し付けられる。
また、ブレーキパッド20,30の裏板とキャリパボディ12との間には、シム40が介在している。
次にブレーキパッドの構成について説明する。
この場合において、ブレーキパッド20及びブレーキパッド30は、同様の構成であるので、以下においては、ブレーキパッド20を例として説明する。
図3は、実施形態のブレーキパッドの外観斜視図である。
ブレーキパッド20は、第一面F1を有した裏板21と、第一面F1と接し、厚さ方向の中央に対して第一面F1と反対側に位置され第一面F1と略平行な第二面F2を有したライニング22と、を備えている。
次にブレーキパッドの製造手順について説明する。
まず具体的な製造手順の説明に先立ち、実施形態の原理について説明する。
摩擦材としてのライニングの原料として、未加硫のゴム粒子あるいは未架橋の熱可塑性エラストマー粒子及び架橋剤としての有機過酸化物(パーオキサイド)を含むようにする。
このとき有機過酸化物の特性としては、摩擦材(ライニング)の熱成形時(加圧加熱成形処理)には、架橋反応が実効的に進行せず、熱成形後に行われる熱処理(加圧熱硬化処理)において実効的に架橋がなされるような分解温度特性を有するものを選択する。
この結果、熱成形時には、ゴムあるいは熱可塑性エラストマーは、未加硫あるいは未架橋状態を維持しているので熱可塑性素材としての挙動を示し、ライニングの他の原料である基材繊維、潤滑剤及び充填材の隙間に侵入し、外観視扁平な形状となる。
これに対し、熱処理時には、十分に加硫あるいは架橋が進行し、外観視扁平な形状を維持したまま硬化する。
従って、ゴムあるいは熱可塑性エラストマーは、できあがったライニング中で、扁平な形状となりつつ、ほぼ均一な状態で分散した状態となる。
ライニングの他の原料である基材繊維、潤滑剤及び充填材を結合材と同様に強固に保持しつつ、ライニング全体に均質な弾力性を付与することができ、ライニングのダンピング性を向上させることが出来るのである。
すなわち、本実施形態によれば、従来の摩擦材の製造工程をそのまま流用しつつ、ダンピング性能を向上して、ライニングの泣きを防止することが可能となるのである。
次により具体的な摩擦材(ライニング)を含むブレーキパッドの製造方法について説明する。
図4は、実施形態の摩擦材を用いたブレーキパッドの製造方法の処理説明図である。
所定の原料を混合して混合粉を得る(ステップS11)。
ここでいう所定の原料とは、有機過酸化物及び未加硫のゴム粒子あるいは未架橋の熱可塑性エラストマー粒子(以下、エラストマー粒子という。)で構成された弾性材に加えて、繊維基材、摩擦調整剤、バインダ(結合材)、架橋促進剤、老化防止剤、加工助剤及び無機充填材等である。
原料の混合、特にエラストマー粒子に有機過酸化物を添加して混合する場合には、ミキシングロール、バンバリーミキサ、加圧ニーダ等の周知のゴムコンパウンド製造設備を用いることが可能である。
次に、過酸化物架橋を行わせるための架橋剤の原料となる有機過酸化物について説明する。
まず。有機過酸化物の選定方法について説明する。
有機過酸化物は、熱成形処理においては、分解しがたく、熱硬化処理においては、架橋を行わせるのに十分な量が分解するように選定される。
有機過酸化物は、以下に説明する熱成形温度範囲では、半減期が例えば数時間以上のものが用いられる。
すなわち、熱成形の処理時間内(例えば、熱成形温度140〜160℃、圧力10〜40MPa、処理時間3分〜15分)では分解しにくいものが適宜候補として選択される。
さらに、候補の有機過酸化物のうち、後述する熱処理の処理時間内(例えば、熱処理温度200〜240℃、処理時間1〜2時間)では、加硫あるいは架橋に必要な十分な量の有機酸化物が分解してラジカルを生成するものが選択される。
例えば、日油株式会社製の有機過酸化物としては、パーブチル(登録商標)H[10時間半減期分解温度=166.5℃]、パークミル(登録商標)H[10時間半減期分解温度=157.9℃]、パーオクタ(登録商標)H[10時間半減期分解温度=152.9℃]、パークミル(登録商標)P[10時間半減期分解温度=145.1℃]、パーメンタ(登録商標)H[10時間半減期分解温度=128.0℃]、パーヘキシン(登録商標)25B[10時間半減期分解温度=128.4℃]等の高温硬化型の有機過酸化物を用いることが可能である。
次にエラストマー粒子について説明する。
エラストマー粒子としては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリルにトリルブタジエンゴム、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、エチレンプロピレンジエンゴムあるいはフッ素ゴムの粒子等が挙げられる。
さらにエラストマー粒子としては、以下に挙げるブロックコポリマーの粒子あるいは熱可塑性エラストマーを含む架橋可能なエラストマーの粒子も同様に適用が可能である。
ブロックコポリマーとしては、スチレン−ブタジエン−スチレン系ブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレン系ブロックコポリマー、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン系ブロックコポリマー、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン系ブロックコポリマー等が挙げられる。
また、熱可塑性エラストマーとしては、1,2ポリブタジエン、エチレン−オクテンコポリマー、エチレン−αオレフィンコポリマー等が挙げられる。
この場合においては、エラストマー粒子の粒子径は、1mm以下が好ましく、より好ましくは500μm以下である。これは、粒子径が1mmを超えるとライニング内で3次元的に均等に分散させるのが困難となるからである。
またエラストマー粒子のライニングへの配合量は、0.2〜5wt%が好ましい。
0.2wt%未満では得られるダンピング効果が小さく、5wt%超では、ライニングが柔らかくなりすぎて、耐摩耗性が低下し、ブレーキフィーリングが低下する可能性があるからである。
無機充填材としては、鉄、アルミニウム、亜鉛、錫の単体又は合金、真鍮の繊維、アラミド繊維、セラミックファイバ、グラスファイバや、各種粉体を用いることが可能である。
また、無機充填材として、アブレーシブ材(研磨材)を添加した場合には、エラストマーによりアブレーシブ材が固定されるため、制動時のアブレーシブ材の脱落を抑制して安定した制動力を得ることができる。
所定の原料が十分に混合された後、予備成形工程により予備成形を行う(ステップS12)。
この予備成形においては、摩擦材の混合体を所定の裏板に載置することが可能な程度の成形を行う。
続いて、予備成形されたライニング22を裏板21の所定位置に配置した状態で熱成形装置の加圧及び加熱用の型にセットし、熱成形を行う(ステップS13)。
この熱成形は、原料として加えてある結合材(バインダ)を十分に溶かした後に硬化させ、後段に行われる熱処理においてライニング(あるいはブレーキパッド)の形状を維持するために行われるものであり、所定の型内に裏板21を配置した状態で所定の原料を型内に投入し、加圧及び加熱を行う。
この熱成形は、エラストマー粒子を熱可塑性樹脂の状態で、加圧し(10〜40MPa)、第1の温度帯TB1(=140〜160℃の範囲の温度)で第1の所定時間tb1(3〜15分)の間行われる。
上述した原理において説明したように、この第1の温度帯TB1及び第1の所定時間tb1は、エラストマー粒子に添加した有機過酸化物の分解は実効的には進むことは無く、熱成形が行われた段階では、結合材による形状維持が出来るだけであり、ライニングの実使用強度は持ち合わせていない。
また、熱可塑性樹脂としてのエラストマー粒子は、熱整形処理によって、軟化し、ライニングの厚さ方向への加圧力によってライニングの加圧方向(厚さ方向)とは交差する方向に位置する他の充填材などの隙間に侵入しつつ薄く拡がってそれぞれが扁平な形状、すなわち、フレーキ状、薄膜状、シート状あるいは鱗片状等と呼ばれる形状となり、ライニング22中で複数が分散した状態となる。
この状態において、裏板21及びライニング22を備えたブレーキパッド20は、塗装がなされ(ステップS14)、変形を抑制するため加圧した状態で、第1の温度帯より高い第2の温度帯TB2(=200〜240℃)において第2の所定時間tb2(=1時間〜2時間)加熱して、ライニング22を硬化させる熱処理がなされる(ステップS15)。
この熱処理工程において、有機過酸化物は、熱分解し、生じたラジカルがエラストマー粒子を構成している炭化水素から脱水素反応を引き起こし、エラストマー分子ラジカルが生成される。そして、エラストマー分子ラジカル同士が結合することによって、架橋が行われることとなる。
そして、架橋後のブレーキパッド20は、所定の仕上げ加工が施され(ステップS16)、製品となる。
図5は、実施形態の摩擦材(ライニング)を用いたブレーキパッド及び従来のブレーキパッドとの構造比較説明図である。
図5(a)に示すライニング22のA部は、実施形態の場合、図5(b)に示すように、結合材31及び扁平な形状を有する加硫されたゴムあるいは架橋された熱可塑性エラストマーであるエラストマー部32により、他の原料である繊維基材33、摩擦調整剤34あるいは充填材35が結合されている。
さらに各原料の間には、空隙VCが形成されている。
比較のため、図5(c)に従来のライニング22のA部を示す。図5(c)において、図5(b)と同様の部分には同一の符号を付すものとする。
実施形態のライニング22と従来のライニング22とが異なる点は、実施形態におけるエラストマー部32が扁平な形状を有し、ライニング22の摩擦面(図3における第2面F2)側から平面視した場合に所定の面積を持って拡がった形状となっているのに対し、従来例のエラストマー部32Pは、架橋後のエラストマーを混合しているため、粒状に形成されている点である。
この差異によれば、実施形態は、エラストマーを少量配合するだけで摩擦材であるライニング22の柔軟性及びダンピング性を確保し、泣きを抑制することができる。さらにまたライニング(摩擦材)22の製造時に架橋反応をさせているため、エラストマー部32の脱落が生じにくく、添加量を抑制でき所望の摩擦係数を得ることができる。
これに対し、従来例は、エラストマー部32Pが粒状であるため柔軟性及びダンピング性の確保のためには、大量にエラストマーを添加する必要があるため、柔軟性及びダンピング特性の確保と、摩擦係数の確保とはトレードオフとなり、所望の特性を得るのが困難であることがわかる。
次に実施例について詳細に説明する。
図6は、実施例、比較例及び性能評価の説明図である。
[1]実施例
[1.1]第1実施例
まず第1実施例(図6中、実施例1と表す。以下同様)の配合組成について説明する。
実施例の配合組成物としては、大別すると基材繊維、バインダ(結合材)、エラストマー粉(エラストマー粒子)、潤滑剤、亜鉛繊維、充填材が挙げられる。
以下、第1実施例の配合組成について詳細に説明する。
第1実施例においては、基材繊維として、アラミド繊維が5wt%、無機繊維が8wt%配合した。
第1実施例においては、結合剤として、フェノール樹脂10wt%配合した。
第1実施例においては、エラストマー粉として、日油製パークミル(登録商標)Hを所定量含有させた未加硫のスチレンブタジエンゴム(SBR)を0.2wt%配合した。
第1実施例においては、潤滑剤として、カシューダスト6wt%、グラファイト6wt%、硫化錫3wt%配合した。
第1実施例においては、有機充填材として、カシューダスト8wt%、ゴム粉1wt%配合し、無機充填材として、チタン酸塩14wt%、酸化鉄10wt%、酸化ジルコニウム8wt%、マイカ5wt%、水酸化カルシウム3wt%を配合し、残部として硫酸バリウムを配合している。
[1.2]第2実施例
第2実施例の配合組成が第1実施例の配合組成と異なる点は、エラストマー粉として、日油製パークミル(登録商標)Hを所定量含有させた未加硫のスチレンブタジエンゴム(SBR)を1.0wt%配合した点である。
他の配合組成は第1実施例と同一である。
[1.3]第3実施例
第3実施例の配合組成が第1実施例の配合組成と異なる点は、エラストマー粉として、日油製パークミル(登録商標)Hを所定量含有させた未加硫のスチレンブタジエンゴム(SBR)を2.0wt%配合した点である。
他の配合組成は第1実施例と同一である。
[1.4]第4実施例
第4実施例の配合組成が第1実施例の配合組成と異なる点は、エラストマー粉として、日油製パークミル(登録商標)Hを所定量含有させた未加硫のスチレンブタジエンゴム(SBR)を5.0wt%配合した点である。
他の配合組成は第1実施例と同一である。
[1.5]第5実施例
第5実施例の配合組成が第1実施例の配合組成と異なる点は、エラストマー粉として、日油製パークミル(登録商標)Hを所定量含有させた未加硫のスチレンブタジエンゴム(SBR)を8.0wt%配合した点である。
他の配合組成は第1実施例と同一である。
[1.6]第6実施例
第6実施例の配合組成が第1実施例の配合組成と異なる点は、エラストマー粉として、日油製パークミル(登録商標)Hを所定量含有させ、酸化ジルコニウムを含有させた未加硫のスチレンブタジエンゴム(SBR)を10.0wt%配合した点と、無機充填材としての酸化ジルコニウムを配合していない点である。
他の配合組成は第1実施例と同一である。
[1.7]第7実施例
第7実施例の配合組成が第1実施例の配合組成と異なる点は、エラストマー粉として、日油製パークミル(登録商標)Hを所定量含有させた未加硫のニトリルゴム(NBR)を1.0wt%配合した点である。
他の配合組成は第1実施例と同一である。
[1.8]第8実施例
第8実施例の配合組成が第1実施例の配合組成と異なる点は、エラストマー粉として、日油製パークミル(登録商標)Hを所定量含有させた未架橋のスチレン−ブタジエン系熱可塑性エラストマー(SBS)を1.0wt%配合した点と、無機充填材としてのチタン酸塩12wt%配合した点である。
他の配合組成は第1実施例と同一である。
[1.9]第9実施例
第9実施例の配合組成が第1実施例の配合組成と異なる点は、エラストマー粉として、日油製パークミル(登録商標)Hを所定量含有させた未加硫のスチレンブタジエンゴム(SBR)を1.0wt%配合した点と、亜鉛繊維を1.0wt%配合した点である。
他の配合組成は第1実施例と同一である。
[2]比較例
次に比較例について説明する。
比較例の配合組成物としては、実施例の配合組成物と同様に、大別すると基材繊維、バインダ(結合材)、エラストマー粉(エラストマー粒子)、潤滑剤、亜鉛繊維、充填材が挙げられる。
[2.1]第1比較例
まず第1比較例(図6中、比較例1と表す。以下同様)の配合組成について説明する。
第1比較例の配合組成が上述した第1実施例の配合組成と異なる点は、エラストマー粉を配合していない点である。
他の配合組成は第1実施例と同一である。
[2.2]第2比較例
第2比較例の配合組成が上述した第1実施例の配合組成と異なる点は、エラストマー粉として、有機過酸化物を非含有とした未加硫のスチレンブタジエンゴム(SBR)を1.0wt%配合した点である。
他の配合組成は第1実施例と同一である。
[2.3]第3比較例
第2比較例の配合組成が上述した第1実施例の配合組成と異なる点は、エラストマー粉として、有機過酸化物を非含有とした未加硫のスチレンブタジエンゴム(SBR)を5.0wt%配合した点である。
他の配合組成は第1実施例と同一である。
[2.4]第4比較例
第4比較例の配合組成が上述した第1実施例の配合組成と異なる点は、エラストマー粉として、日油製パーブチル(登録商標)Dを所定量含有させた未加硫のスチレンブタジエンゴム(SBR)を1.0wt%配合した点である。
他の配合組成は第1実施例と同一である。
[2.5]第5比較例
第5比較例の配合組成が上述した第1実施例の配合組成と異なる点は、エラストマー粉として、日油製パーヘキサ(登録商標)25Bを所定量含有させた未加硫のスチレンブタジエンゴム(SBR)を1.0wt%配合した点である。
他の配合組成は第1実施例と同一である。
[2.6]第6比較例
第6比較例の配合組成が上述した第1実施例の配合組成と異なる点は、エラストマー粉として、加硫したスチレンブタジエンゴム(SBR)を1.0wt%配合した点である。
他の配合組成は第1実施例と同一である。
[3]性能評価
次に上記各実施例及び各比較例の性能評価結果について説明する。
性能評価としては、圧縮変形量、一般効力、摩耗特性及びノイズについて評価した。
[3.1]パッド圧縮変形
ライニングパッドに荷重4MPaを加えた時の圧縮変形量(圧縮歪み量:mm)を測定した。
[3.2]一般効力
JASO C406規格に準じて第2効力試験を行い、初速50kph及び初速100kphのときの平均摩擦係数(平均μ)を以下の3段階の基準で評価した。
○:0.37≦μ≦0.43
△:0.34≦μ≦0.37又は0.43≦μ≦0.46
×:μ<0.34又は0.46<μ
[3.3]摩耗特性
JASO C427規格に準拠して各温度(200℃、300℃、400℃)における摩耗試験を行い、摩擦材の厚み(mm)を測定し、試験前後の厚みの差を摩耗量を算出した。
算出した摩耗量を制動回数1000回当たりの摩耗量に換算後、以下の4段階の基準で評価した。
◎:0.20mm未満
○:0.20mm以上0.25mm未満
△:0.25mm以上0.30mm未満
×:0.30mm以上
[3.4]ノイズ
実車試験により、音感鳴き及び一晩放置後鳴きについて以下の3段階の基準で評価した。
[3.4.1]音感鳴き
以下の条件で音感鳴きを評価した。
摺合せ:初速度60km/h減速度0.35G 200回
速度・温度別マトリクス:0.1〜0.4G(0.1Gピッチ)
20km/h,40km/h,60km/h
50〜200℃(50℃ピッチ)
各制動1回
評価は、以下の3段階の基準で評価した。
○:鳴き発生なし(またはかすかな擦れ音レベル)
△:わずかに聞き取れるが許容レベル
×:周囲の音に関わらずはっきりと聞こえる。音圧が不快。
[3.4.2]一晩放置後鳴き
実車を使用し、JASO C406相当の摺り合わせを実施後、一晩屋外放置し、翌朝初速度10km/h、減速度0.1G 20回制動
評価は、以下の3段階の基準で評価した。
○:鳴き発生なし(またはかすかな擦れ音レベル)
△:わずかに聞き取れるが許容レベル
×:周囲の音に関わらずはっきりと聞こえる。音圧が不快。
[3.5]総合評価結果
図6に示すように、第1実施例から第9実施例においては、第5実施例の400℃における摩耗特性を除き概ね良好であり、製造を簡略に行えるとともに、ダンピング性を向上させつつ、均質なライニングを形成することができるという結果が得られた。
さらにこれらの実施例によれば、泣きを抑制することができるという結果が得られた。
これに対し、第1比較例〜第6比較例については、いずれも不良あるいはやや不良という結果となっており、所望の特性を得ることが出来ないことがわかった。
[4]実施形態の変形例
以上の説明においては、エラストマー部32がライニングの厚さ方向に交差する方向に延在するように扁平な形状となっていたが、ライニングの厚さ方向に延在するように扁平な形状を有する構成とすることも可能である。このような方向となるように熱成形時の加圧方向を設定すれば、基材繊維あるいは充填材をライニングの厚さ方向に沿って配置することができ、より大きな摩擦係数を有するライニングを形成することが可能となる。
以上の説明においては、ディスクブレーキ1としてフローティング型の場合を例として説明したが、押圧部材としてのピストンが対向配置され、対向配置されたピストンが一対のブレーキパッド用パッド組立体をディスクロータに押し付ける構成の所謂オポースド型(対向ピストン型)であっても同様に適用が可能である。
以上の説明においては、ディスクブレーキ用のブレーキパッド(ライニング)について説明したが、ドラムブレーキのブレーキシューであっても同様に適用が可能である。
2…ディスクロータ、3…キャリパ、15a,12c…押圧部、20,30…ブレーキパッド、20A〜20E…ブレーキパッド、21…裏板、21H…樹脂支持部、22…ライニング、31…結合材、32…エラストマー部、33…繊維基材、34…摩擦調整剤、35…充填材、F1…第一面、F2…第二面、F3…第三面。

Claims (6)

  1. 繊維基材と、
    摩擦調整材と、
    結合材と、
    充填材と、
    扁平な形状を有し、前記繊維基材、前記摩擦調整材及び前記充填材の少なくともいずれかと結合している複数のエラストマー部と、
    を備えた摩擦材。
  2. 前記エラストマー部は、所定の方向に交差する方向に延在して前記扁平な形状とされている、
    請求項1記載の摩擦材。
  3. 前記所定の方向は、前記摩擦材の厚さ方向及び前記厚さ方向と直交する方向のいずれかである、
    請求項2記載の摩擦材。
  4. 繊維基材と、
    摩擦調整材と、
    結合材と、
    充填材と、
    未加硫のゴム粒子あるいは未架橋の熱可塑性エラストマー粒子と、
    前記未加硫のゴム粒子あるいは前記未架橋の熱可塑性エラストマー粒子の加硫あるいは架橋を行わせるための有機過酸化物と、
    を含む摩擦材用組成物。
  5. 摩擦材の熱成形を行う熱成形過程及び前記熱成形後の前記摩擦材を硬化するための熱処理過程を備えた摩擦材の製造方法において、
    未加硫のゴム粒子あるいは未架橋の熱可塑性エラストマー粒子と、前記熱形成過程で実効的に分解せず前記熱処理過程において分解する熱特性を有する有機過酸化物と、を含む原料を混合する過程を備え、
    前記熱成形過程を第1の温度帯で行い、
    前記熱処理過程を前記第1の温度帯より高い第2の温度帯で行う、
    摩擦材の製造方法。
  6. 前記熱成形過程を第1の時間行い、
    前記熱処理過程を前記第1の時間より長い第2の時間行う、
    請求項5記載の摩擦材の製造方法。
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