一例のスマートフォンを用いて体温を測定するために人間に装着されたパッチ例の斜視図である。
上部層を除いた前記パッチ例の概略的な上面図である。
上述のパッチ例の一実施形態の分解図である。
上述のパッチ例の電子回路例の概略的な上面図である。
一例の電気化学セルの平面図である。
図5の線6−6に沿った電気化学セルの電極領域の断面図である。
図5の線7−7に沿った、第1の電極の全長における電気化学セルの断面図である。
図5の線8−8に沿った、第2の電極の全長における電気化学セルの断面図である。
スマートフォンまたは他の計算装置用のユーザアプリケーションのスクリーンショット例を示す図である。
実施例の詳細な説明
本願では、身体に装着されて、患者の体温を時間の経過と共に追跡して記憶装置に収集する体温ロギングパッチ(「パッチ」)を記載している。このパッチは、1回使用型の使い捨てパッチにすることを意図したものである。たとえば図1に示されているように、パッチ10を患者12の身体に、たとえば胴体や腋下位置13と隣接する場所等(すなわち腋窩または腋窩領域)に装着することができる。また、額、胴体の他の位置、腕、脚または他の体表位置等の他の位置に装着することもできる。従来の体温デバイスは、現在のところ、1時点のみにおいて体温の測定を行う。それに対して、本願にて記載しているパッチ10デバイスは、多数の測定結果を得るため、たとえば12時間、16時間または24時間の期間等の長時間の期間にわたってパッチとして接触させて装着することができる(しかし、それより長時間または短時間の期間も可能である)。かかるパッチ10は有利には、ユーザの皮膚に接触するために適した医療用の皮膚接触承認された接着剤を有するが、一般的にフレキシブルかつ圧縮性の種々の材料を使用することもできる。これと共に、またはこれに代えて、パッチ10はたとえば複数のセンサを介して、他の複数の異なる現象を検知する能力を有することもできる。たとえばパッチ10は、患者の同一位置の複数の体温または複数の異なる位置の体温、患者の脈拍、血中酸素濃度、EKG、周囲温度、周囲湿度、周囲圧、周囲光、音、および/または放射線レベル、患者の生体の機能、時間、患者の動き(たとえば加速度計を介して)等のうちいずれかまたは全部を検知することができる。
パッチ10が患者に装着されている間、たとえば上述の24時間等の期間中のどの時点においても、パッチを計算装置14によって遠隔で(しかし、身体の比較的近傍において)読み取ることができる。この計算装置14は、パッチ10と同一または同等の無線通信プロトコルを備えたポータブルコンピュータ、スマートフォン、タブレットおよび/または他のセンサデバイス等である。同図中に示されているように、計算装置14はスマートフォンとして示されているが、もちろん計算装置14は、無線通信を介してパッチ10と通信するように構成されたポータブルコンピュータ、スマートフォン、タブレットおよび/または他のセンサデバイスとすることができる。計算装置14は、アプリケーションを実行させることができるプログラマブルのマイクロプロセッサ、電源(電池または交流系統電源)、表示部、および、パッチ10と一方向通信(すなわち受信専用)または双方向通信(送受信)をすることができる送受信器を備えている。計算装置14は有利には、さらに、ローカルネットワーク(LAN)またはインターネットやワールドワイドウェブを含む広域ネットワーク(WAN)上で通信を行うことができるものである。温度測定はオンデマンドで、および/または、予め設定された間隔で行うことができ、温度測定結果をパッチ10の記憶装置に、および/または読出装置(たとえばスマートフォン、タブレット、ポータブルコンピュータ、センサ等)の記憶装置にローカルで記憶することができる。
一実施例では、パッチ10はブルートゥース無線プロトコルを使用することができ、有利には、非常に低電力の用途をターゲットとするブルートゥース・ローエナジー(Bluetooth Low Energy、BTLE、または「ブルートゥーススマート」と称されることもある)無線プロトコルを使用することができる。よってパッチ10は、互換性のあるブルートゥース無線の機能を備えた標準的なスマートフォン(またはコンピュータ、タブレット、センサ等)と通信することができる。ブルートゥースは、比較的近傍において相互間にワイヤレス無線通信を確立するためのスマートフォンまたはこれに類するデバイスの標準規格の集合である。ブルートゥースは2.4GHzの短距離周波数帯で動作し、特に2400〜2483.5MHzの範囲で動作する。ブルートゥース無線の典型的な到達距離は最大100m(クラス1)および最大30m(クラス2)である。BTLE無線の典型的な到達距離も同様とすることができるが、空中データ伝送速度およびアプリケーションの処理速度は遅くなる。本願では、BTLE無線の到達距離は10〜30mの範囲内を想定しているが、この範囲を拡大または縮小することもできる。これは無線ベースのシステムであるため、送信側と受信側とは、視認できる見通し線上にある必要はないが、無線経路が成立し得ることは必要である。さらに、送信のみ、受信のみ、または送信および受信を行うことができる、ブルートゥースプロトコルの種々の実装が存在する。たとえば本願の一実施形態は、送信専用の温度ロギングパッチを備えたものであるが、他の実施形態は受信を行うことができる。最後に、ブルートゥース/BTLEはアクティブ無線方式である。すなわちこれは、データを送信および/または受信するためにローカルの能動電源を要するものである。本願にて記載しているような電池は、その一般的な一例である。
他の一実施例では、パッチ10は高周波/近距離通信(NFC)無線プロトコルを使用することができる。パッチ10はブルートゥース無線と共にNFC無線を使用することができ、または、単独の無線方式としてNFC無線を使用することも可能である。よって、互換性のある高周波/近距離通信NFCおよびISO−15693 RFID無線プロトコルの機能を備えた標準的なスマートフォン(またはコンピュータ、タブレット、センサ等)により、パッチ10を読み取ることができる。たとえば、パッチ10を装着している人が睡眠中である場合、スマートフォンを持っている他の人が、高周波/近距離通信NFCおよびISO−15693 RFIDを備えたスマートフォンを用いて、パッチ10の出力を読み取ることができる。近距離通信(NFC)は、互いに接触または接近することにより、通常は数cmを超えない距離に来ることによって(しかし、到達距離をより長くすることも可能である)相互間に無線通信を確立するためのスマートフォンまたはこれに類するデバイスの標準規格の集合である。NFC規格の適用対象は通信プロトコルおよびデータ交換フォーマットであり、NFC規格は、ISO/IEC14443、ISO/IEC15693およびフェリカ(FeliCa)を含む既存の無線周波数識別(RFID)規格に基づく。かかる規格には、ISO/IEC18092、同21481、およびNFCフォーラムによって定義されたものが含まれる。NFCは、近距離無線技術の集合であり、その所要距離は典型的には4cm以下である。NFCはISO/IEC18000−3エアインタフェース上にて13.56MHzで動作し、その伝送速度は106kbit/sから424kbit/sまでの範囲である。NFCは開始側およびターゲットを含み、開始側は、RF電磁界を能動的に発生させ、このRF電磁界がパッシブのターゲットに給電する。
使用されている無線通信システムの如何にかかわらず、温度情報を読み取る人(または自動装置)は、パッチ10を装着している患者12を起こす必要なく、たとえばスマートフォンアプリ(アプリケーション)等を介して直ちに、パッチ10を装着している人の現時点の体温、および/または、睡眠中もしくは他の態様でパッチ10を装着していた時間の一部または全部にわたるパッチの装着者の履歴を、グラフィックおよび/またはテキストベースの形式(たとえばリスト、表、グラフ等)のいずれによっても表示することができる。情報のかかる表示により、体温の履歴から傾向が理解可能となる。アプリケーションの機能は、以下の機能の一部または複数を含むことができるが、これらに限定されない。
スマートフォンがパッチとのデータリンクを形成することを許可する機能;
集積回路にプログラミングされた一意の識別コードを読み取る機能;
パッチが起動された以降のデータの一部またはデータの全部を含めた、集積回路の記憶装置内に記憶されている時間タグ付きの温度データを読み取る機能;
電池電圧レベルを読み取り、電池電圧レベルを推定し、または、パッチ動作のための残りの時間量を推定する機能;
温度データを華氏から摂氏へ、または摂氏から華氏へ、または他の温度単位へ変換する機能;
複数のグラフ表示(すなわち線グラフ、棒グラフ等)の選択によって、時間に対する温度データをグラフィック表示する機能;
時間データに対する温度を表形式で表示する機能;
データ分析を行う機能;
事前設定された境界条件付近の温度またはその境界条件を超える温度に対してアラームレベルを設定し、視覚的および/または聴覚的手法により信号アラームを設定する機能;
後の時期における参照のために、特定の温度および/または時間データ点を追加情報とリンクさせるため、自動もしくは手動で入力された情報またはこれらの組み合わせを注釈として、温度データのグラフに付与する機能;
履歴データを保存する機能;
複数のユーザプロフィールを作成する機能;
ユーザプロフィールに対し、集積回路の一意の識別子へのリンクを割り当てる機能;
第三者へEメール、メッセージまたは他のデータを送信する機能;
追加のパッチをオンラインで再注文する機能;および
医療関係の相談のためのウェブサイトまたは医療関係の連絡情報にリンクする機能。
パッチが双方向通信を行える場合、アプリケーションの機能は、以下の機能を含むこともできる:
パッチへ初期化(または再初期化)コマンドを送信し、電子回路の起動が成功した旨のフラグを設定する機能;および
データロギングを開始するためのタイムスタンプの初期化、データ検知時間間隔、データ取得時間間隔、データ形式、温度上限レベル、温度下限レベル等を含めた、データをパッチへ送信する機能。
ワイヤレス無線プロトコルにより、スマートフォン(またはコンピュータ、タブレット、センサ等)はパッチから温度データをオンデマンドでダウンロードし、および/または、記憶された一部もしくは全部のデータをダウンロードすることができる。これと共に、またはこれに代えて、計算装置14(たとえばスマートフォン、コンピュータ、タブレット、他のセンサデバイス等)は1つもしくは複数のパッチおよび/または他の(1つもしくは複数の)ローカルセンサからデータをダウンロードして使用するように構成することもできる。これと共に、またはこれに代えて、スマートフォンアプリ(アプリケーション)等は、収集されたデータのうち一部または全部を使用して、データの傾向、関係等を特定するためにデータについて分析を行うように構成することもできる。
ここでは主にブルートゥース無線プロトコルについて記載しているが、規格に基づくプロトコルや独占権が発生しているプロトコルも含めた、他の種々の無線プロトコルを使用することも可能であることが明らかである。プロトコル例には、以下のもののうちいずれかまたは全部を含むことができる(または、以下のものに限定されることなく、他のプロトコルも含むことができる):
NFC、
RFID、
ワイファイ(Wifi)、
セルラー(Cellular)(アナログまたはデジタル、過去または現在の全ての繰返しを含む)、
ジグビー(ZigBee)、
ルビー(RuBee)等。
実際には、比較的低速の接続にかかわらず、複数の可能な無線接続をブートストラップするために、設定が特に簡単なブルートゥース/ブルートゥースLEまたはNFC等の特定の選択肢の無線を使用することができる。
以下、図2〜3を参照して、パッチ10の一構成例を説明する。パッチ10は、覆うように積層配列で配置された以下の層を備えることができる:
(A)フレキシブルな片面接着部20,その非接着面22は有利には、印刷プロセスを完了させることができる材料であり、反対側の接着面24は次層に結合されている,
(B)電子部品インレイ30,これは、以下の構成要素を複数の異なる順で有することができる:
(a.)電池電極33A,33Bを有するフレキシブルなプリント電池32(1つまたは複数の電池、本実施例では2つが示されている);
(b.)電池コンタクトパッド35A,35Bを有するフレキシブル回路34(印刷またはエッチングまたは貼り合わせ);
(c.)アンテナ36;
(d.)集積回路38,これは、オンボードもしくは別個の通信チップを使用して無線通信プロトコル(たとえばブルートゥース、HF/NFC、RFID他)によりやりとりする能力、および、オンボードもしくは別個のセンサとやりとりすることにより温度読値を取得し、この読値とこの読値の時間関連データとをオンボード記憶装置に記憶する能力を有する;および
(e.)集積回路38と通信する温度センサ39;および
(C)剥離ライナー42を有する両面接着部40,接着部40の一方の面43(たとえば外側の方の面)は有利には、皮膚接触承認された接着剤である。
たとえば、完成時にはパッチ10は、1つの取り外し可能な層を剥離ライナー42として有することができ、これは、パッチ10を皮膚に貼付する直前に患者によって取り外される。
フレキシブル回路34は種々の幾何形状を有することができ、また、複数の異なる要素をフレキシブル回路34上に種々の配置で設けることができる。有利には、温度センサ39はパッチ10の第1の端部に配置されており、アンテナ36はパッチ10の反対側の第2の端部に配置されている。図2に一例を示しており、本例では、フレキシブル回路34は略「L」字形の幾何形状を有しており、このL字形は、パッチ10の長手軸の方向に延在する。温度センサ39はパッチ10の左側に、有利にはパッチ10の左側エッジに沿って配置されており、かつ、アンテナ36はパッチ10の反対側の右側に、有利にはパッチ10の右側エッジに沿って配置されている。温度センサ39とアンテナ36とがこのように離隔していることにより、パッチ10が患者の身体において使用されている間、各要素を各自の機能に最適な位置に位置決めできるという利点が奏される。たとえば図1に示されているように、温度センサ39をパッチ10の左側に配置することにより、温度センサ39は腋下位置(すなわち腋窩または腋窩領域)に直に来る位置に配置される。このことにより、温度データを取得するために優れた位置に温度センサ39を配置することができる。さらに、パッチ10の左上側の角に配置することも、患者の腋下に対して温度センサ39が何処にあるのかをユーザが分かるように補助する、分かりやすい位置となる。なおかつ、アンテナ36をパッチ10の右側に配置することにより、ワイヤレス無線信号を計算装置14へ伝送することを妨害されない位置にアンテナ36が配置される。このようにしてアンテナ36は患者の腕または腋によって妨害されることなく、外側に配置されて無線信号強度を増大させることができ、これにより、無線到達距離を長くし、かつデータスループットを増大させることができる。パッチ10はさらに、所望の使用事例および患者の身体の所望の配置に依存して、他の種々の幾何形状および配置の温度センサおよびアンテナを備えることもできる。
その間に、電池32および集積回路38が配置されている。フレキシブル回路34のうち、アンテナ36および集積回路38を含む部分は、たとえば20mm×20mmかつ厚さ1mm未満(たとえば0.8mm以下等)の寸法等の比較的小さい寸法を有することができるが、種々の寸法が可能である。また、フレキシブル回路34のうち、電池コンタクトパッド35A,35Bおよび温度センサ39を含む他の残りの部分は、比較的大きくすることができる。上述の種々の各層は相互間に接着剤を、たとえば粘着剤を有することができることが理解でき、これはたとえば、製造を容易にするために剥離ライナーを有することができる。たとえば、上述の種々の層20,32,34,39,40のうち一部または全部を別個に製造し、その後に組み立てることができる。たとえば、電池32およびフレキシブルプリント回路34の双方を別個に製造して組み立てることによってパッチ10を製造することができる。粘着剤は、上述の種々の層の一部または全部に付着することができる。これに代えて、種々の層を他の種々の手法で、たとえばグルー、溶接、他の接着剤等を介して互いに結合することも可能である。
他の実施例ではパッチ10は、たとえば患者の皮膚へのパッチ10の接着を促進する等の追加機能を果たすことができる追加的または代替的な層を有することもできる。たとえばフレキシブルの片面接着部20は、直接皮膚接触用の比較的高性能のメディカルグレード接着系を含む、コーティングされた不織PSAテープ44を含むことができ、有利には、種々の基材に対して優れたウェットアウトを示す永久接着剤を含む。患者の皮膚へのパッチ10の接着を促進するため、両面接着部40の他にさらに別の両面接着層(図示されていない)を使用することもできる。
一実施例では、両面接着部40の一部または全部がハイドロゲルを含むことができる。これは、親水性のポリマー鎖を含む材料であり、天然の組織または皮膚に非常に近いフレキシビリティ度を示す。様々な種類のハイドロゲルを使用することができ、ハイドロゲルは、水、グリセロール、アクリレート/アクリルアミドコポリマーおよび/または他の成分のいずれかまたは全部を含むことができる。有利には、ハイドロゲルは優れた皮膚接着特性を示すことができ、なおかつ、フレキシブル回路34の温度検知機能部と患者の皮膚との間の伝熱体として作用するための所望の熱伝導特性も示すことができる。上述の追加の両面接着層に関しては、所定の期間にわたって、たとえば12時間、16時間、24時間または48時間等にわたって、患者へのパッチ10の接着を促進および維持するために、接着部が有用となり得る。たとえば、ハイドロゲルが皮膚に接触すると、体温まで昇温してクリープ流動し始めて皮膚表面と密着することによりハイドロゲルの接着力は徐々に向上するので、ハイドロゲルの初期の接着力を低くすることができる。したがって、追加の接着層は初期に直ちに接着接合を達成することができ、これにより、ハイドロゲルが皮膚に適切な接合をするための十分な時間を確保することができる。
両面接着層に使用できる材料は種々存在し、たとえば、架橋独立気泡ポリエチレンフォームの片面または両面に、少なくとも約50g/inchの接着力を示す粘着剤をコーティングしたものを使用することができる。しかし、この粘着力値を増減することも可能である。かかるフォームは、温度の正確さに寄与するために温度センサを周囲から断熱することもできる。材料は有利には、耐水性、耐汗性もしくは耐湿性を発揮できるもの、または、所定の長さの期間にわたってパッチ10Bと患者の皮膚との接着力を他の態様により低下または劣化させ得る他の人間ファクタもしくは環境ファクタに対する耐性を発揮できるものである。
追加的に、両面接着層の下面にハイドロゲルをコーティングすること、または、接着層の凹部内に設けること、または接着層の孔に通すことも可能である。たとえば、両面接着層40にこれを貫通して延在する孔を設け、ハイドロゲルと接着層40とが実質的に同一平面内となるように、孔内にハイドロゲルを部分的または完全に配置することができる。さらに、ハイドロゲルを接着層40に直接設けることができ、または、電子部品インレイ30に(たとえば温度センサ39の周囲に)設けることによって間接的に接着層に設けることもできる。ハイドロゲル層がパッチ10のうち比較的大きいまたは小さい一部分を覆うことが可能である。たとえば、ハイドロゲル層を使用してフレキシブル回路34の温度センサ39とユーザの皮膚との間の熱伝導率を上昇させることが可能である。よって、ハイドロゲル層の寸法を温度センサ39の寸法にほぼ合わせて縮小して、ハイドロゲル層を温度センサ39の上部に直接配置することができる。かかる構成は、温度センサ39の熱検出能力により焦点を合わせることができ、1つもしくは複数の接着層の接着能力を向上させることができ、および/または、フレキシブル回路34ならびに/もしくはフレキシブル電池32の保護を向上させることができる。除去可能な剥離ライナー49に関しては、容易に除去可能な種々のライナーを含むことができ、有利には、ハイドロゲルおよび接着部40から除去しやすく両立性を有するライナー、たとえばポリオレフィンコーティングまたはシリコーンコーティングされた紙やフィルムを含むことができる。
ここで使用される全ての層がフレキシブルであり、長期間にわたって曲面および/または凹凸の面(たとえば患者の皮膚)に接着することができ、患者の動きと共に曲がって動くことができ、かつ装着快適性をもたらすことができる。電池、回路およびこれらのアクティブ動作を劣化させることなく、フレキシブル電池およびフレキシブル回路を含めたフレキシブルなパッチを伸長可能、しわ形成可能、屈曲可能または可撓性とすることが可能である。有利にはパッチ10は、比較的フレキシブルな曲率半径を獲得することができ、たとえば、いずれか1軸に沿って(すなわち長手軸および/または横軸に沿って)測定された場合に少なくとも35mmの曲率半径等を獲得することができる。かかる線に沿った方向において、パッチ10は、身体の所望の位置にて使用されるのに適した(1つまたは複数の)寸法とすることができる。一実施例では、腋下位置(すなわち腋窩または腋窩領域)にて使用するために、パッチ10全体の寸法を約2インチ×4インチ(50cm×100cm)とすることができるが、種々の寸法も可能である。またパッチ10は、2mm〜4mmのオーダの厚さの比較的薄い断面も有する。フレキシブル回路およびフレキシブル電池の上述の有利な構成と、完成した組立後のパッケージ全体のフレキシビリティとにより、あらゆる年齢の患者(乳児から成人まで)が起きている間、運動中または睡眠中に装着しやすい快適なパッチが実現される。
追加的または代替的に、外側の層20,42のうちいずれか一方または双方が、アンテナ36(たとえば、計算装置14との通信確立に成功するためにユーザを補助するための視覚的標的)および/または温度センサ39の位置の印、指示または識別位置を提示するために印刷可能な表面を有することができる。たとえば図3に示されているように、印は、パッチ10のどの角を腋下(すなわち腋窩または腋窩領域)に位置決めすべきかをユーザに教えるための三角形、矢印および/または言葉(たとえば「腋下」)を含むことができる。また、パッチ10の他方の端部において印をアンテナ36の周囲に配置することにより、無線信号強度を増大させるためにパッチ10の部分を露出した状態に維持すべきことをユーザが分かるようにすることもできる。パッチ10の一部または全部の層を外部周囲に露出させることができ、またはこれに代えて、一部の層を外部周囲から遮蔽もしくは保護することもできる。一実施例では、電子部品インレイ30を保護のために、外側の層間(たとえば層20と40との間)において封止することができる。最後に、上述の複数の層のいずれかまたは全部の各層間に、種々の接着層等を設けることができる。
以下、電子部品インレイ30の種々の部品について詳細に説明する。電子部品インレイ30は、上述の実施形態のパッチ10と共に使用することができ、または、他の変形形態のパッチ10と共に使用することもできることが明らかである。上記にて述べたように、電子部品インレイ30はフレキシブルなプリント回路34を備えており、プリント回路34は、無線通信のための(および/または、NFC、RFID等と共に使用される場合には電力伝送のための)アンテナ36と、集積回路38とを備えることができる。フレキシブルプリント回路34は、プリント電池32の対応する電池電極33A,33Bに電気的に結合するために適した電池コンタクトパッド35A,35Bも備えることができる。図中の実施例では、2つの電池32が電圧上昇のために直列構成で配置されており、フレキシブルプリント回路34は、電力伝送に適したコンタクト部および配線を備えている。なお、使用される電池を1つまたは2つより多くすることも可能であることが明らかである。一構成例では、エッチングにより作製された銅回路を基板37上に、たとえば約0.002インチの厚さのポリエステルまたはポリイミド基板上に設けることができる。基板37はフレキシブルまたはリジッドとすることができるが、フレキシブルとする方が有利である。銅回路は、単セル/電池の取付方法の単なる一例として使用しており、市場投入されている任意の回路材料と共に、たとえばエッチングされたアルミニウムまたはプリントカーボン、銀または他の任意の金属製基板等と共に使用することができる。この回路により、基板37上の種々の構成要素間の電気通信を行うことができ、また、フレキシブル電池32との接続も行うことができる。有利にはエッチング銅回路は、少なくとも両面に配線を備えた多層基板であり、場合によっては多層基板は、積層された配線を含む。
さらに、回路サブアセンブリコンタクト部を設けることもでき、また、電気部品(プロセッサおよびアンテナも含む)および基板に被着できる約0.002インチの厚さの非導電性の粘着剤(PSA)を設けることもできる。このPSA層は、一例として約0.0005〜0.005インチの範囲の厚さを有することができ、また、使用される電源(たとえば1つの単セルまたは複数の単セル)の寸法に近い寸法を有することもできる。また、電源(たとえば電池32)を基板上に印刷することができ、または、完全な(1つもしくは複数の)単セルとして事後的に取り付けることも可能である。図中の実施例では、基板37は主にパッチ10の右上側において延在しており、他方、電池32はパッチ10の中央部および左側の大部分を占有している。かかる構成により、スペースの使用可能率を増加すること、たとえば最大限にすることができ、これにより、比較的大きい電気容量を有する比較的大型の電池を使用することができる。電池32と基板37とが電池コンタクトパッド35A,35Bを介して物理的に重なり合う重複部分が存在し得るが、通常は組立後の状態では、基板37の大部分を電池32の大部分と同一平面内にすることが想定される。導電性のパッド45は、電池コンタクト部33A,33Bを基板37の電池コンタクトパッド35A,35Bに接続するために使用することができる。他の実施例では、導電性接着剤ならびに/もしくは導電性インクによって、および/または、電池電極33A,33Bを電池コンタクトパッド35A,35Bに超音波溶接することにより、電池32を回路34に機械的かつ電気的に結合することもできる。これと共に、またはこれに代えて、粘着剤等によって電池32と基板37との結合を増大することも可能である。種々の構成が可能であるが、電池コンタクトパッド35A,35Bを基板37の下側表面(たとえば、フレキシブルプリント回路34の下面)に配置することができる。実際には一構成では、電池コンタクトパッド35A,35B、アンテナ36、集積回路38および温度センサ39を全て、基板37の下側表面(たとえば、通常の動作使用条件において見たときに、フレキシブルプリント回路34の下面になる面)に配置することができる。また、これらの構成要素の一部または全部を、基板37の上面に設けることも可能である。最後に、電池32を(アンテナ36および集積回路38のうちいずれか一方または双方も含めて)フレキシブルプリント回路34と同一の基板上に印刷することも可能である。かかる構成により、電池32はフレキシブルプリント回路34と同一の基板の同一面または反対側の面に配置されることとなり得る。
これと共に、またはこれに代えて、ユーザがパッチ10を使用しようとする場合にのみ回路38を起動するためにスイッチ46を使用することができ、これにより貯蔵量が増大して電池電力を温存することができる。集積回路38の起動を行えるようにするためには、種々の実施例のスイッチ46を用いることが可能であり、たとえばモーメンタリ型のドームスイッチ、トグルスイッチまたはワンタイムスイッチを用いることもできる。一実施形態ではスイッチ46は、ラッチ電力回路を起動するために使用されるモーメンタリ型ドームスイッチとすることができ、このラッチ電力回路は、集積回路38を省電力状態から動作電力状態に起動するために電池と集積回路38との間で電気のやりとりを行えるようにするためのものである。ラッチ電力回路は電池との間で電気のやりとりを行い、ドームスイッチ46の作動の検知のみを行う超低電力状態に留まることができる。メインの集積回路38は有利には、ゼロ電力状態に留まることができ、または場合によっては、省電力状態(具体的には、非常に低電力の状態)に留まることができる。ラッチ電力回路を使用することにより、集積回路38、通信回路および温度センサによる電力の流出を回避することができ、これにより、パッチ10は数年にも及ぶ使用保管寿命、たとえば2〜3年またはそれ以上の有効保管寿命も有することができる。ユーザによるスイッチ46のモーメンタリ方式の作動をラッチ電力回路によって検知し、ラッチ電力回路が電池との電気のやりとりを許可することによって集積回路38を省電力状態から通常の動作状態に起動することによりパッチ10を起動するようにすべく、ラッチ電力回路は電気的配線をドームスイッチ46と並べて備えることができる。
有利にはスイッチ46は、パッチ10のユーザによって操作しやすくなるように、基板37の上表面(たとえば、通常の動作使用条件において見たときにフレキシブルプリント回路34の上面になる面)に配置される。スイッチ46に代わる手段として、他の作動方式を使用することもできる。たとえば、1回使用型のプルタブを使用して、パッチが起動された時点でユーザにより除去されると、電池と回路との電気導通が働くようにすることができる。最後に、スイッチ46がパッチの起動後に追加の機能を果たすようにすることも可能である。たとえば、パッチの起動後にスイッチ46を再度押し、または、事前選択されたパターンでスイッチを押し、または、所定の時間にわたってスイッチ46を押し続けることにより、集積回路38に特定の動作を行わせることができる。かかる追加の機能には、集積回路38の再初期化、通信チップもしくは温度センサの再初期化、集積回路38をスリープモードに戻す機能、電池寿命読値の取得、データ収集速度の変更(高速化もしくは低速化)、集積回路38の動作モードの変更(たとえばテストモード、診断モード、送信/受信モード)等のいずれかまたは全部を含むことができる。
以下、図4を参照して、集積回路38の一例を詳細に説明する。マルチチップ構成として図示しているが、使用されるチップの数を増減することが可能であり、たとえばシングルチップ構成とすることができる。また、以下では複数の異なるマイクロチップ例を説明するが、検知機能、処理機能、給電機能、通信機能等を有する他の種々のマイクロチップも使用できることが明らかである。図4に示されているように、マルチチップ構成は一般的に、マイクロプロセッサ50と温度センサ39チップと通信チップ54とを備えることができる。これらのチップは別体とすることができ、または、これらを組み合わせることもできる(たとえば、マイクロプロセッサ50を通信チップ54および/または温度センサ39と組み合わせることができる)。図中の実施例では、温度センサ39は別体の要素として、パッチ10の一端部に配置されており、かつ、マイクロプロセッサ50はパッチの他の一端部に配置されている。通信チップ54をアンテナ36に電気的に接続し、かつ通信チップ54が、本願にて記載した、ブルートゥース、ブルートゥース・ローエナジー、NFC、RFID、ワイファイ、セルラー(アナログまたはデジタル、過去または現在の全ての繰返しを含む)、ジグビー、ルビー等を含めた通信プロトコルのうち、1つまたは複数を備えることが可能である。さらに、アンテナ36のインピーダンスが無線モジュールのインピーダンスに比較的近くなるようにするためのアンテナ整合網構成体55において通信チップ54を使用することも可能である。
一実施例では、マイクロプロセッサ50はプログラマブルマイクロプロセッサとすることができ、これは、複数の異なる機能や能力を有することができる。マイクロプロセッサ50はプログラマブル演算コアを備えており、これは、コマンドの処理、計算の実行、データの追跡/読出し、データの記憶、データの解析、データの調整/操作、新規のコマンドまたは命令の受信等のうちいずれかまたは全部を行うことができる。マイクロプロセッサ50は温度センサ39チップ(および、任意のオプションの補助的な温度センサ53)を、予め規定されたまたは可変の温度読取り間隔で動作させ、タイマ60を動作させ、および、温度および時間がロギングされたデータ点をオンボードメモリ62ならびに/もしくは補助記憶装置に記憶し、温度および時間がロギングされたデータ点を複数の記憶装置間で伝送し、コマンドならびに/もしくはデータを計算装置14へ出力し、および、最後に計算装置14に接続された時期以降に記憶された温度データを送信することができる。双方向通信が可能である場合、マイクロプロセッサ50は計算装置14からコマンドおよび/またはデータを受信することもできる。さらに、計算装置14がパッチ10付近に来る度に(たとえば、使用されている通信プロトコルの通信範囲内に来る度に)、マイクロプロセッサ50は計算装置14へ、更新されたデータ(および履歴データ)を伝送する必要がある。
現在の温度データおよび履歴温度データを送信するために使用できる伝送方式は、種々存在する。ブルートゥース、特にブルートゥース・ローエナジーを使用すると、履歴データセット全部を1回の送信で計算装置14へ送信できない場合がある。よって、マイクロプロセッサ50はこの履歴データを複数の別個のパッケージで送信し、これらのパッケージは計算装置14によって時間をかけて組み立てられるように構成することができる。有利には、ある程度の時間にわたってパッチの到達距離外に出ても、一定の時間にわたって測定された温度の全体像を計算装置14が得られるように、パッチ10は現在のデータと履歴データとの組み合わせを送信する。一実施例では、パッチ10は伝送単位ごとに瞬時の温度データと履歴データの一部とを送信することができる。瞬時温度データおよび履歴温度データは双方とも、一意の識別番号またはタイムスタンプを温度データと共に含むことができ、たとえば[00001,98.6°F]等を含むことができる。一意の識別番号またはタイムスタンプによって、ソフトウェアアプリケーションはデータを適切に組み立てて、パッチ10により記録された温度の履歴を表す温度−時間グラフにすることができる。このようにして、ソフトウェアアプリケーションは常に、現在の患者の体温と履歴データの一部または全部を表示することとなる。たとえば計算装置14は、履歴温度データセット全部を取得するまでに、パッチ10から数分にわたって複数の伝送を受信しなければならない場合がある。しかし、かかる方式は、パッチ10がブルートゥース・ローエナジーデータ伝送の限界以内で機能することを可能にするという点で有利となり得るものであり、また、パッチ10が一定の期間にわたって到達距離外に出た場合でも計算装置14が履歴温度データセット全部を取得できることを保証することもできる。また、パッチ10は現在の温度データのみを送信し、ソフトウェアアプリケーション300がこのデータを組み立てることに基づくことも可能である。計算装置14がパッチ10と一定の近距離にある場合、予め定められた時間間隔ごとに(たとえば5秒ごと、10秒ごと、毎分等)周期的に、または調整可能な時間間隔ごとに(たとえば双方向通信が可能である場合、手動で、またはソフトウェアアプリケーションを介して自動的に調整される)、更新データを送信することができる。
他の実施例では、マイクロプロセッサ50は、測定された温度のデータ完全性を保証するため、誤り検出制御機能を備えることができる。誤り検出制御機能は、マイクロプロセッサ50に入力されまたはマイクロプロセッサ50から出力される、種々のデータに関して動作し得るものであり、かかるデータにはたとえば、温度読取データ、メモリに記憶されならびに/もしくはメモリから読み出されたデータ、および/または、パッチ10へ伝送されならびに/もしくはパッチ10から伝送されたデータが含まれる。無線通信サブシステムが誤り検出制御機能を備え、かつ、マイクロプロセッサ50が通信サブシステムと協働し、または通信サブシステムに依存せずに動作することも可能である。
マイクロプロセッサ50はさらに、フレキシブル電池32との電気的接続部56も備えることができ、電力線57A,57Bを介して温度センサ39チップおよび通信チップ54のいずれか一方または双方へ選択的に電力を配電することができる。マイクロプロセッサ50は、電圧および電力の流れを安定化するため、電圧レギュレータまたは電圧調整器(コイルを含むものまたは含まないものであってよい)、たとえば昇圧コンバータもしくは降圧コンバータ、パワーコンディショナ、および/または1つまたは複数のキャパシタのうちいずれかまたは全部を備えることができる。一実施例では、温度センサチップ39は約3V直流(VDC)で動作することができるが、1つのフレキシブル電池32は約1.5V直流のみを出力する。よって、3V直流(またはそれより高圧)電池(図示のように2つ以上の1.5V直流電池32を直列に配置したものを含む)を使用することができる。しかし、1つの電池32のみを使用する場合、マイクロプロセッサ50は、温度センサチップ39を動作させたい場合に温度センサチップ39へ選択的に3V直流を出力するため、電圧レギュレータまたは電圧調整器を用いてこの電池32の1.5V直流を昇圧変換することができる。温度センサチップ39が動作していないときは、マイクロプロセッサ50は電力を温存するため、温度センサチップ39への給電を中止することができる。また、電圧レギュレータまたは電圧調整器および/またはキャパシタをマイクロプロセッサ50から分離して別個に設けることもできる。また、マイクロプロセッサ50は種々の理由により、通信チップ54にも電力を選択的に供給することができる。能動給電方式の通信プロトコルを使用する場合(たとえばブルートゥース、ブルートゥース・ローエナジー、ワイファイ、セルラー等)、マイクロプロセッサ50は通信チップ54の動作のため、通信チップ54へ電力を連続的または間欠的に供給することができる。マイクロプロセッサ50は、電力を温存するために、通信チップ54への給電を周期的に中止することができる。たとえば、温度データを周期的に送信する場合、マイクロプロセッサ50はデータを送信しない期間中、制限された電力を通信チップ54へ供給することができ、または電力を供給しないことが可能である。これに代えて、受動給電方式の通信プロトコルを使用する場合(たとえばNFCまたはRFID)、マイクロプロセッサ50は通信チップ54へ、制限された電力を供給することができ、または電力を供給しないことが可能である。その代わり、通信チップ54はその電力の全部を、NFCまたはRFID伝送(または他の伝送)から得ることができる。これと共に、電池32が消耗した場合でもデータ読取りを行えるようにするため、場合によっては、NFC、RFIDまたは他の受動電力伝送方式によってオプションの補助メモリに受動給電することもできる。また、通信チップ54がさらに他の機能を備えている場合、通信チップ54はマイクロプロセッサ50から、ある程度の電力を連続的または間欠的に受電することも可能である。
マイクロプロセッサ50は、さらに追加の機能を備えることができる。たとえば、マイクロプロセッサ50はタイマ60を備えることができ、これはリアルタイムクロック、または、時間を追跡するための他の機構とすることができる。よってマイクロプロセッサ50は、温度センサ39チップからの各温度読値とタイムスタンプとを、たとえば、温度読値が取得された実際のローカル時間を示すタイムスタンプとを関連付けることができる。また、タイマ60が標準時間ゾーンに基づいて時間を追跡および報告し、ソフトウェアアプリケーションがユーザのローカル時間ゾーンに調整を行うことも可能である。これに代えて、タイマ60が実際の時間を追跡せずに、何らかの時間関連データを追跡し、これをソフトウェアアプリケーションによって実際のタイムスタンプとして解釈、推定または変換することも可能である。
他の一実施例では、タイマ60は実際の時間(たとえば経過した時間)を追跡するが、マイクロプロセッサ50は温度センサ39チップからの各温度読値を一意の識別子と、たとえば一意の識別番号と関連付けることができる。マイクロプロセッサ50は、たとえば5秒ごとに温度センサ39から温度読値を取得するようにプログラミングすることができ、これは、タイマ60によって追跡される。温度読値を取得すると、マイクロプロセッサ50はこれに一意の識別番号をタグ付けする。この一意の識別番号は連続番号とすることができ、またパターンに基づいて、無作為等とすることができる。一実施例では、30秒周期にわたって5秒ごとに温度読値を取得した場合、マイクロプロセッサ50はこの読値に順番にタグ付けをすることができ、たとえば、[00001,98.6°F]、[00002,98.7°F]、[00003,98.7°F]、[00004,98.8°F];[00005,98.7°F]、[00006,98.6°F]とタグ付けすることができる。これらの読値はオンボードメモリ62に保存され、かつ計算装置14へ無線伝送される。
計算装置14と双方向通信を行うことができる場合、使用時以外には通常は保管中で非作動状態または非常に低電力の状態にあるパッチ10の使用をユーザが開始するときには常に、タイマ60またはマイクロプロセッサ50の他の部分はタイマ60の動作を開始するため、計算装置14および関連のソフトウェアアプリケーションからタイマ初期化コマンドを受け取ることができる。このタイマ初期化コマンドはタイマ60の動作を開始することができ、また、各読み取られた温度のタイムスタンプをタイマ60が正確に報告してロギングすることを開始できるようにするため、実際の正確な開始時点(または時間関連データ)を提供することもできる。これと共に、またはこれに代えて、タイマ60の時間が正確であることを周期的に保証するため、タイマ60は1つまたは複数のタイマ調整信号を受け取るように構成することもできる。
マイクロプロセッサ50のオンボードの非一時的メモリ62は、一部または全部の温度読取データおよび関連付けられたタイムスタンプまたは識別番号を記憶するように構成されている。温度センサ39チップから読み取られた各温度にそれぞれ少なくともタイムスタンプもしくは識別番号を関連付け、または各温度が他の一意の識別子を有し、かつ、読み取られた離散的な各温度を各自のタイムスタンプまたは識別番号と共にメモリに記憶することができる。読み取られた各温度を追加のデータと共に記憶することもでき、たとえば、読取温度参照番号、パッチ10デバイスユニークID(UID,これは、マイクロプロセッサ50または通信チップにハードコーディングすることができる)、離散的な各温度読取データポイントが計算装置14へ無線送信されたか否かを示すフラグ、離散的な各温度読取データ点が調整、変更、変換等されたか否かを示すフラグ、および/または、各温度読取データ点に関連付けられた他の種々のデータと共に記憶することもできる。マイクロプロセッサ50のオンボードメモリ62は有利には、パッチ10の(たとえば一般的に電池32の使用可能寿命によって規定される)動作寿命中に読み取られた温度データ点の一部、たとえば一部の複数の温度データ点、または全部の温度データ点を保持するために十分なものである。たとえばオンボードメモリ62は、読み取られた全てのデータ点が計算装置14へ無線送信されたか否かにかかわらず、読み取られた全ての温度データ点を保持することができる。各無線伝送中、ソフトウェアアプリケーションはデータの完全な複製を再読出しすることができ、または、最新の未読の増分データ点のみを再読出しすることができる。
これに代えて、マイクロプロセッサ50のオンボードメモリ62は、全ての温度データ点より少ない固定量のデータを記憶するためだけに十分なものとすることもできる。一実施例ではオンボードメモリ62は、パッチ10の動作寿命中に読み取られる対象である全ての温度データ点の25%または50%のみを記憶できるようにすることができる。よって、一般的に格段に大きな使用可能記憶領域を有する計算装置14が、各パッチ10の完全な温度データの読取履歴を保持し、かつ、マイクロプロセッサ50のオンボードメモリ62は少ない固定量のデータ点のみを、たとえば最後の500個のデータ点または最後の数分分または数時間分のデータ点のみを、または別の量のデータ等のみを保持することが可能である。オンボードメモリ62の固定量を保有するために使用できるメカニズムは、種々存在することが明らかである。たとえば、メモリに空きがない場合、マイクロプロセッサ50は、常に最新の温度読値がソフトウェアアプリケーションおよび計算装置14によって読み取ることができるように、最も古いメモリレジスタを連続的に上書きすることができ、または、マイクロプロセッサ50は温度読値の記憶を停止することもできる。
これと共に、またはこれに代えて、回路34は補助記憶装置を備えることができる。これは有利には、予想される温度読取データ点を全て記録するために十分なサイズである。一実施例では、補助記憶装置は別個のチップとすることができ、または他のチップの一部として、たとえば通信チップ54の一部として包含することができる。一実施例では補助記憶装置は、約100,000個のデータ点を記憶できる64KBの記憶容量(または、それより多いもしくは少ない記憶容量)を有することができるが、(1つまたは複数の記憶装置で)これより多いまたは少ない記憶容量が可能である。よって、マイクロプロセッサ50のオンボードメモリ62に記憶された温度読取データ点のうち一部または全部を、長期間記憶のために、比較的大きな補助記憶装置へ転送することができる。かかるデータ点の転送は、種々のスケジュールに従って、オンデマンド等で行うことができる。たとえば、オンボードメモリ62からより大きな補助記憶装置への一部または全部のデータ点の転送は、事前設定された時間間隔で、たとえば30秒ごと、毎分、5分ごと等で行うことができる。他の一実施例では、オンボードメモリ62から補助記憶装置への一部または全部のデータ点の転送は、オンボードメモリ62が所定の容量に達したときに、たとえば50%使用中、75%使用中、90%使用中または100%使用中等になった場合に行うこともできる。さらに他の一実施例では、オンボードメモリ62から補助記憶装置へのデータ点の転送は、ローリング方式で行うこともできる。たとえば、最初にオンボードメモリ62に書き込まれていたデータ点を補助記憶装置へ順次転送することができ、または、オンボードメモリ62が満杯になった場合に、次の最新のデータ点をオンボードメモリ62に書き込む余地を作るために、最も古いデータ点を補助記憶装置へ転送することができる。また、必要に応じて、補助記憶装置からデータをオンボードメモリ62へ転送し戻すことも可能である。最後に、オンボードメモリ62および補助記憶装置のいずれか一方または双方が、揮発性メモリまたは不揮発性メモリを有することができ、この揮発性メモリまたは不揮発性メモリは、連続的な給電を要するものとすることができ、またはこれを要しないものとすることができる。
温度センサ39チップは、患者の体温を検出するための種々の種類のセンサまたは技術を使用することができ、たとえばオンチップPN接合センサを使用することができる。体表温度読値のためには、温度センサ39チップは典型的な人間の35〜43℃(たとえば95〜110°F)の体温域内において非常に高精度となる。有利には温度センサは、たとえば±0.5℃、より有利には±0.25℃、またはより有利には±0.1℃等の高精度を有する。また、他の種々の種類の内部および/または外部温度センサを用いることができ、たとえばサーミスタや測温抵抗体(RTD)を使用することができる。これにより、温度センサ39チップは皮膚接触接着部40を介してユーザの体温を検知することができる。接着部40の発泡材料が温度センサ39を囲む絶縁バリアとなり、これにより外部影響を緩和することが可能である。再び図3を簡単に参照すると、接着部40は、これを貫通して延在する孔41を有することができ、これは、温度センサ39の位置に整合されている。孔41は、患者の皮膚と温度センサ39との間に妨害されない経路を成すことができる。一実施例では温度センサ39は、患者からある程度の距離を置いて離隔し、患者の皮膚から放射された熱を検知することによって温度読値を得るため、部分的に孔41を通って延在することができる。これと共に、またはこれに代えて、温度センサ39は、より直接的な温度読値を得るべく患者の皮膚と直接接触するように、部分的または完全に孔41を通って延在することができる。さらに他の一実施形態では、患者の皮膚と温度センサ39との間に伝熱路を設けるために、たとえば上記にて記載されているハイドロゲル等のスペーサを配置することができる。
これと共に、またはこれに代えて、温度センサ39はさらに、患者の皮膚温度を迅速かつ正確に検知する能力を向上させるための追加構成を備えることもできる。たとえば、患者の皮膚から放射された熱をより直接的に温度センサ39に集熱するため、温度センサ39の周囲に反射器を配置することができる。一実施例では、この反射器を(パッチ10の通常の動作状態において見たときに)温度センサ39の上方に垂直方向に配置することができ、たとえば、フレキシブルの上部片面接着部20の層と温度センサ39との間に配置することができる。この反射器は接着部20の層の一部に、または基板37に、または温度センサ39自体の一部として包含することもできる。この反射器は種々の形状および寸法を有することができ、種々の材料、たとえばメタライズド層または金属箔層を含むことができる。アンテナ36は、パッチ10の、温度センサ39とは反対側の端部に配置されるので、送信される無線信号の強度に反射器が与える影響をほとんど無くし、または全く無くなるようにすべきである。これと共に、またはこれに代えて、上部接着部20の層は、温度の正確さに寄与するために周囲に対して温度センサ39から断熱する断熱層として作用することもできる。
温度センサ39はユーザの体温を直接検知することができ、または、予め規定されたアルゴリズム等に基づいて体温を補間/推定することによって間接的に求めることもできる。さらに、パッチ10が、予め規定されたアルゴリズム等を使用して、皮膚表面温度の測定結果に基づいてユーザの深部体温の指示値を出力することもできる。一般的には、腋窩(すなわち腋下)温度と深部体温との差は僅かであると認められているので、マイクロプロセッサ50は(または、計算装置14のソフトウェアアプリケーションも)温度データに適切な調整を施すことができる。マイクロプロセッサ50は周期的に、予め定められた時間間隔で(たとえば1秒ごと、3秒ごと、5秒ごと、6秒ごと、10秒ごと、30秒ごと、毎分等)または調整可能な時間間隔で、温度センサ39から温度データ点を取得することができる。一実施例では、マイクロプロセッサ50はパッチ10の動作寿命中、固定的な時間間隔で温度データ点を取得することができる。他の一実施例ではマイクロプロセッサ50は、マイクロプロセッサ50、ソフトウェアアプリケーションまたはユーザによって動的に調整され得る可変の時間間隔で温度データ点を取得することができる。さらに他の一実施例ではマイクロプロセッサ50は、たとえばパッチ10の動作時間等の特定の変数に依存して異なる速度で温度データ点を取得することができる。たとえば、ユーザが患者の体温の比較的迅速な瞬時のフィードバックを得られるようにするため、マイクロプロセッサ50は、動作の最初の5〜10分の間は比較的速い間隔で温度データ点を取得すること(たとえば毎秒または5秒ごとで1回の読取り)ができる。その後、電池電力または記憶容量を温存するため、温度読取間隔を30秒ごとまたは毎分1回読取りまで減少させることができる。双方向通信が可能である場合、ソフトウェアアプリケーションは、要求された場合にオンデマンドで高速データ収集方式を再許可する「ブースト」モードを提供することができる。これに代えてデータ検知間隔は、電池寿命(たとえば、電池が閾値量を下回るまで消耗した場合には、取得するデータ読取を少なくする)または記憶容量(たとえば、使用可能な記憶容量が閾値量を下回る場合、取得するデータ読取を少なくする)に基づくことができ、または、温度センサ39により検知された温度に基づくこともできる(たとえば、検知された温度が規定の通常範囲内である場合にはデータ読取を低速化し、検知された温度が規定の昇温範囲または降温範囲を超える場合にはデータ読取を高速化する)。
これと共に、またはこれに代えて、パッチ10は1つまたは複数の補助センサを備えることができ、これによってたとえば、複数の体温またはユーザの周囲環境状態を測定することができる。1つまたは複数の補助センサ53は、オプションの外部接続部を介して温度センサ39チップに電気的に結合することができ、または内蔵することもできる。パッチ10はこの補助センサを使用して、ユーザの温度読値を動的に調整し、および/または、周囲状態に基づいてソフトウェアアプリケーションのアラートを動的に調整することができる。たとえば、ユーザが非常に高温の気候下におかれている場合、ユーザは、非常に低温の気候下にあるユーザの体温より僅かに高い体温を有することが予測できる。ソフトウェアアプリケーションは、かかる環境変数を考慮するために高温警報を動的に調整することができる。さらに補助センサ53は、たとえば周囲湿度、周囲圧、周囲光、音および/または放射線レベル、患者の生体の機能、時間、患者の動き(たとえば加速度計を介して)、患者の脈拍、血中酸素濃度、EKG等の他の種々のセンサを含むこともでき、ソフトウェアアプリケーションは1つの変数読値または複数の変数読値の組み合わせに基づいて警報等を動的に調整することができる。最後に、組立プロセス中は温度センサ39(および回路34全体)を高温にさらさないことが好ましく、また、それ自体として温度センサ39チップを工場において較正することができる。しかし、温度センサ39チップを自己較正型とすることができ、および/または、マイクロプロセッサ50ならびに/もしくは計算装置14によって較正することができる。
最後に、マイクロプロセッサ50は種々の追加のオプション機能を備えることができる。一実施例ではマイクロプロセッサ50は、ユーザに対してたとえばインジケータ、警報等のフィードバックを提示するため、1つまたは複数の出力装置66を備えることができる。出力装置66は、視覚的装置(たとえばLED光源、表示器等)、聴覚的装置(たとえばスピーカ等)または触覚的装置(たとえば振動等)のいずれかまたは全部を含むことができる。一実施例では、1つまたは複数のオプションのLED光源(または他の種類の光源、表示器等)を使用して、パッチ10のユーザの体温が低温、平熱または高温のいずれかであることを示すことができる。LED光源は、低温の場合には黄色で、平熱の場合には緑色で、高温を示す場合には赤色で照明することができ、または、点滅間隔を変化させることによりこれらを示すことができる。他の一実施例では、LED光源を使用して電池状態および/またはパッチ10の動作のために残された実際のもしくは推定された時間を動的に(たとえば色変化、点滅間隔等によって)示すことができる。さらに他の一実施例では、LED光源を使用してパッチ10の動作状態を示すこともでき、たとえばオン/オフ状態、動作が適正であること/不具合を有すること、計算装置14との接続が成功または失敗したこと、計算装置との接続がアクティブであること、等を示すことができる。聴覚的または触覚的な出力装置を用いる場合にも、同様の機能を用いることができる。マイクロプロセッサ50は、温度センサ39、通信チップ54または他の構成要素のうちいずれかまたは全部と、たとえば2線式インタフェース等の種々の態様で接続することができる。
上記にて記載されたように、パッチ10はオンボード電源を備えた能動機器である。図中の実施形態では、ブルートゥース通信方式を使用することは、機器がオンボード電源を備えた完全能動型の機器であることになる。たとえば、電子部品インレイ30は1つまたは複数の薄型のフレキシブル電池32を備えることができる。このフレキシブル電池32は種々の容量とすることができ、たとえば5mAh、10mAh、15mAhまたは他の容量等とすることができる。以下では1つの電池について詳細に説明するが、パッチ10に使用される全ての電池を同一または異なることができることが明らかである。一部の実施形態では、無線通信の一部または全部に無線信号自体によって給電することができるが(たとえばNFC通信プロトコル)、オンボードのマイクロプロセッサ、タイマ、メモリおよび/または温度センサのいずれかまたは全部に能動給電することができる。パッチを小型化、薄型化、軽量化およびフレキシブル化するため、薄型のプリント電池をオンボード電源として設けることができる。フラット電池を製造するために使用できる手法は種々存在する。一実施例では、電池化学セル(すなわち電池)を、典型的には、連続的なフレキシブル基板ウェブ上に印刷しおよび/または貼り合わせ、これをロールまたはロール状等にすることができる。個々の電池をロールから、たとえば1つずつ取り外すことができる。たとえば、電池をロールからカットすることができ、および/または、切り取りやすくするためにフレキシブル基板ロールのミシン目を設けることができる。さらに、たとえばアンテナ、表示器および/またはプロセッサ等の1つまたは複数の電気部品との集積プロセスで、電池を製造することもできる。ここで説明した全体パッケージにおいて、本願の上述の複数の側面を使用することができ、および/または、かかる複数の側面を単独で、もしくは任意の組み合わせで用いることができる。
ここで使用されている百分率は全て、別段の明示的な記載がない限り、重量での百分率である。また、本願においてたとえば「5〜25」(または「約5〜25」)等の範囲の記載がある場合、これは、少なくとも1つの実施形態において、少なくとも約5であって、別個かつ依存せずに、約25を超えないことを意味し、また、別段の示唆がない場合には、範囲は厳密に解すべきものではなく、好適例として提示したものである。また本願では、列挙されたまたは有利な値の後に続く挿入句により示した範囲は、本願の追加的な実施形態では、値のより広い範囲を示す。
上述のセルの大量生産の一方法は、水性系ならびに/もしくは非水性系の溶媒のインクおよび/または他のコーティングをパターンで特殊な基板上に、たとえば積層ポリマーフィルム層等上に成膜することを含む。たとえば、特に所望量が非常に大量である場合、上述の成膜は、1つまたは複数の高速ウェブロータリスクリーン印刷機で電気化学的インクを印刷することによって、および/または、亜鉛箔等の金属箔の貼り合わせによって行うことができる。量が比較的少量である場合、たとえば約数百万以下の量のみである場合、たとえばフラットベッドスクリーンを用いたウェブ印刷法等の比較的低速の手法が適し得る。量がさらに少ない場合、たとえば数百または数千である場合には、枚葉方式のフラットベッド印刷機を使用することができる。さらに、種々の所望量を達成するために、種々の印刷法を使用することができる。
インクを印刷し、および/または固体を適切に配置した後、セルを完成させることができる(たとえばシール、ダイカット、積層ならびに/もしくはミシン目加工して巻回してロールにすることができ、または、印刷機においてシートが用いられる場合には積層する)。かかるセル製造法は、1つまたは複数の個別セルを実際の適用電子装置と集積するために、または、直列または並列接続された複数のセルを含む電池に統合するために、または、これらの何らかの組み合わせに用いることもできる。かかるデバイスおよび対応するプロセスの例については、後で説明するが、多くの追加的実施形態も可能である。
上記にて述べたように、電池はフレキシブルかつ薄型のプリント電池であるということができる。かかるセル/電池は、たとえば下部フィルム基板を備えることができ、これは、特殊な機能を有する特殊なポリマー積層体を使用することができ、かかる特殊な機能には、場合によってはたとえば、ポリマーフィルムによって包囲された中心において両面に設けられた高湿度バリア層が含まれる。さらに、一方または両方の外側表面が、必要に応じて、情報、ロゴ、使用説明書、識別子、連続番号、図形もしくは他の情報または画像を印刷するために印刷受容性となるように作製することもできる。
使用されているこの電池の構成に依存して、多層基板の1層がヒートシーリング層を備えることもでき、このヒートシーリング層は、バリアコーティングの隣に同時押出することができる。さらに、少なくとも一部の実施形態のセルの1つの基板層の一部分がカソード集電器および/またはアノード集電器を使用することができ、たとえば、カーボンをフィルム基板の一部分にたとえば印刷またはコーティングまたは他の手法により被着したものを使用することができる。必要な場合には、たとえば適用対象の接続部との接続性を改善するため、かかる集電器の外側コンタクト領域に比較的高導電性のインクの層、たとえばカーボン、金、銀、ニッケル、亜鉛または錫等の層を印刷することもできる。しかし、電池の適用対象が比較的低い所要電流のために使用される場合、比較的高導電性の層のコンタクト材料を、または集電器も、一方または両方の電極に使用してはならない。
少なくとも一部の実施形態では、水性インク電気化学層をカソードとして印刷する。かかるカソード層はたとえば、二酸化マンガン(MnO2)、カーボン(たとえばグラファイト)、ポリマーバインダ、および水を含むことができる。カソード層については、これらの材料を有するまたは有しない他の組成を用いることもできる。カソード集電層が用いられる場合、先に基板に印刷または他の手法で被着されたカソード集電器の少なくとも一部に、カソード電気化学層を印刷する。また、カソード集電器はカソード層の一部を構成することができ、または構成しないことが可能である。
アノードに関しては、オフライン作業で、場合によっては剥離ライナーを用いて、乾燥フィルム接着層を亜鉛箔に被着することができる。その後、この亜鉛箔をベース基板に貼り合わせることができる。さらに、亜鉛インクを基板上またはカーボン等の集電器の上部に印刷することにより、アノード層を被着することもできる。カーボンを使用する場合には、カソードおよび電気的ブリッジに使用されるカーボン集電器と同一のステーションにて印刷することができる。
オプションとして、アノードおよびカソードのうち一方または両方にでんぷんインクまたはこれに類する材料を印刷する。でんぷんインクは、セルに水電解質溶剤が追加された後に電極を「濡れた」状態に維持する電解質吸収材として作用することができる。このでんぷんインクは、セル反応のために電解塩と水とを含むこともできる。でんぷんを印刷したものに代えて、アノード上およびカソード上に紙層を使用することもできる。少なくとも一実施形態では、印刷されたでんぷん層に水電解質を添加した構成に代えて、たとえば、各電極の少なくとも一部、たとえば実質的に全部を効率的に覆う印刷可能な粘性液(これはゲル、または他の何らかの粘性材料)を使用することができる。かかる印刷可能なゲルの1つが、米国特許出願公開第2003/0165744号明細書(United States Patent Publication 2003/0165744A1)(公開日:2003年9月4日)に記載されており、同刊行物の記載内容は、参照により本願の開示内容に含まれるものとする。かかる粘性の組成はたとえば、ここで記載されている電解質の化学式および濃度を用いることができる。
オプションとして一部の実施形態では、2つの電極が(1つまたは複数の)でんぷん層と共に、またはでんぷん層無しで定位置に来た後、オプションのセル「額縁」を追加することができる。この追加は、多数の異なる手法を用いて行うことができる。1つの手法は、たとえば誘電体インクおよび/または接着剤を用いてこのオプションのセル額縁を印刷する手法である。他の一手法は、デバイスを接続するための電気的コンタクト部を露出させかつ各単セルの材料を収容するために適切な「ポケット」(1つまたは複数の内部スペース)を形成するためにスタンピング、ダイカット、レーザカットまたはこれに類する手法により加工された接着層を含むオプションのポリマーシートまたは積層されたポリマーシートを使用する手法である。かかるフレームを用いて、またはフレーム無しで、フレキシブル電池を形成することができる。たとえば、フレームは電気化学セルのための内部スペースを設ける1つの手法となり得るものであるが、フレームを使用せずに電気化学セルのための内部スペースを設けるため、第1の基板と第2の基板とを合わせて固定することも可能である。
額縁が基板に良好にシーリングされることを保証するため、および、(セル内部からセル外部への電気的経路を成す)コンタクト貫通部の良好なシーリングを達成するため、たとえばフレームを印刷する前、またはポリマーシートを挿入する前に、シーリングまたはかしめ接着剤をコンタクト貫通部および基板の上に、たとえばセルフレームと同一のパターン等で印刷することができる。
かかるシーリングまたはかしめ材は、粘着性および/または感熱性とすることができ、または、両表面へのシーリングを容易にする他のいかなる種類の材料とすることもできる。
誘電体額縁を印刷して乾燥および/または硬化させた後、セルフレームへの上部基板の良好なシーリングを達成できるようにするため、感熱性のシーリング接着剤をこのフレームの上部に印刷することができる。このセル額縁は、約0.015インチの厚さ(約0.003インチ〜0.050インチの範囲の厚さ)のポリマーフィルムまたはラミネートフィルムも含むことができ、これは、事前にパンチ加工され、その後に、事前印刷された上述のかしめ接着層と整合するように位置合わせされて貼り合わされたものである。
少なくとも一部の実施形態では、塩化亜鉛(ZnCl2)を電解質として選択し、約18重量%〜45重量%の範囲の濃度とすることができる。一実施例では、約27%が好ましい。電解質はたとえば、開放セルに追加することができる。ライン上でのプロセスを容易にするため、かかる電解質または別の電解質を、たとえばCMCによって約0.6重量%とほぼ等しい濃度で(約0.05%〜1.0%の範囲)増粘することができる。
たとえば塩化アンモニウム(NH4Cl)、塩化亜鉛(ZnCl2)と塩化アンモニウム(NH4Cl)との混合物、酢酸亜鉛(Zn(C2H2O2))、臭化亜鉛(ZnBr2)、フッ化亜鉛(ZnF2)、酒石酸亜鉛(ZnC4H4O6.H2O)、過塩素酸亜鉛(Zn(ClO4)2.6H2O)、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムまたは有機物等の、他の有用な電解質組成も使用することができる。
塩化亜鉛は、通常与えられる正常な周囲条件の場合に優れた電気的性能を示す、優れた電解質となり得る。また、上掲の他の代替的な電解質も全て、とりわけ、たとえば約18%〜50%の範囲内の(重量)濃度で使用することができ、少なくとも一部の他の実施形態では約25%〜45%の範囲の濃度で使用することができる。かかる組成も、正常な環境条件下において好適な性能を示すことができる。低温用途で低温性能を改善するために酢酸亜鉛を使用する場合、約31〜33重量%の範囲の酢酸亜鉛濃度が有利であることが多いが、約30〜34重量%、約28〜36重量%、約26〜38重量%、および約25〜40重量%の範囲も使用することができる。
一部の異なる環境条件下では、塩化亜鉛以外の他の電解質を使用することにより、セル/電池の電気的性能を改善することができる。たとえば約32重量%の酢酸亜鉛(F.P.(凝固点)約28℃)は、約32重量%の塩化亜鉛(F.P.約−23℃)より低い凝固点を示す。これらの溶液は双方とも、約27%の塩化亜鉛(F.P.約−18℃)より低い凝固点を示す。他の酢酸亜鉛濃度、たとえば約18〜45重量%または約25〜35重量%も、より低い凝固点を示す。これに代えて、たとえば水酸化ナトリウム(NaOH)または水酸化カリウム(KOH)等のアルカリ性電解質も、一部の異なる環境条件下においてセル/電池の電気的特性を改善するために電解質として使用することができる。KOH電解質の伝導性が格段に高いことにより、セル性能を大きく増大させることができる。たとえば、KOHが良好に働く範囲は、約23%〜45%の範囲内の濃度(重量)となり得る。
かかる電解質組成を塩化亜鉛の代替として使用し、または種々の混合比でセルにおいて使用することにより、低温での性能を改善することができる。たとえば、約32%の酢酸亜鉛の電解質を使用すると、ボルタ電池の低温性能(すなわち約−20℃未満の性能)が格段に改善することが判明している。この種の電気化学セルの低温性能改善は、たとえば、低温環境下において使用され得る電池アシスト式のRFIDタグおよび/または他の移動用(可搬形の)電気的に動作するデバイス、たとえばスマートアクティブラベルや温度タグ等の成長中の事業において利用することができる。
たとえば食品、薬品、血液等の、今日船舶輸送される多くの製品は、低温の保管条件および船舶輸送条件を必要とし、または、低温作業を必要とすることもある。かかる製品の確実な輸送を保証するためには、これらの製品をRFIDタグ、センサおよび/またはディスプレイによって追跡することができる。かかるタグおよび/またはラベルは、−20℃の温度で、または−20℃未満の温度で、たとえば約−23℃、約−27℃または−30℃以下の温度でも有効に動作する電気化学セルおよび/または電池を必要とする場合がある。
セルパッケージの上部基板は、特殊な積層ポリマーフィルムを使用することができる。この上部層は、粘着剤(PSA)を用いて、および/または、感熱性のシーリング接着剤を予め印刷しておいたものを用いて、または、上部および下部の両基板のヒートシーリング層のみを用いて、セルフレームのエッジ周囲にてシーリングされて、セルフレームの内側の構成要素を閉じ込める。
上述の構成は、湿式セル構成とすることができるが、同様のセル構成を用いて電池を即用式電池構成にすることもできる。かかる構成は、液体の塗布と比較して保管寿命が拡大する点で優れているという利点を奏する。この印刷可能であるフレキシブルな塩化亜鉛薄型セルは、環境に優しく作製されている。
かかる技術を使用できるデバイスは、広範に及ぶ。使用電力が比較的低電力であるデバイス、または1年から3年までの限られた寿命、場合によってはそれより長い寿命を有するデバイスは、本願にて記載された種類の薄型セル/電池を使用して機能することができる。上記段落および下記にて説明しているセルは、しばしば低コストで大量生産できることが多いので、たとえば使い捨て製品において使用することができる。コストが低いことにより、従来は費用対効果が低かった用途も可能になり、また、商業上実用的なものになり得る。
本願発明の電気化学セル/電池は、以下の利点のうち1つまたは複数を有し得る:
・フラットかつ比較的均一な厚さであり、エッジは中心部の厚さより薄い;
・比較的薄い;
・フラットかつ比較的均一な厚さであり、エッジの厚さは中心部の厚さとほぼ等しい;
・フレキシブルである;
・多くの幾何形状が可能である;
・容器が密閉されている;
・簡単な構成である;
・高速の大量生産向けに構成されている;
・低コストである;
・多くの温度で高信頼性の性能であること;
・良好な低温性能であること;
・使い捨て可能かつ環境に優しいこと;
・セル/電池の両コンタクト部がそれぞれ反対側の面に、または同一表面に設けられていること;
・セル/電池の両コンタクト部を、電池の外側部分の多数の場所に設けることができること;
・適用装置への組付けが容易であること;および
・適用とされる電子装置が作製されるのと同時に容易に連続プロセスで集積することが可能であること。
上記記載は、本願発明の一部の実施形態の種々のセル構成の一般的な説明であり、以下、図面を参照して詳細を説明する。セル製造、印刷および/または組立のためのセルおよび電池の製造プロセスについても説明する。
一実施例では、たとえば比較的高速かつ高生産量の製造を企図している場合、たとえば毎分50リニアフィートまたは他の比較的速い速度を企図している場合、複数のウェブを使用することができる。複数のウェブは概ね連続的とすることができ、また、公知のウェブ製造装置と共に使用できることは明らかである。第1のウェブは、多層積層構造または単層材料を備えた比較的薄いフレキシブルベース基板、たとえば0.001インチ〜0.010インチ、有利には約0.002〜0.006インチのフレキシブルベース基板とすることができる。一実施例では、多層構造は5層を含むことができる。これに代えて、単層材料は種々の材料を含むことができ、たとえばカプトン、ポリオレフィンまたはポリエステル等を含むことができる。追加的に、0.001インチ層が印刷機および/または他の作業において効率的に扱うには過度に薄い場合には、低タックの粘着層を有する比較的厚い廃棄支持層をこの薄い基板層に貼り合わせることができる。また、かかる0.001インチ基板層は、内側表面において水バリアとして機能する非常に薄い酸化物層を有する1つより多くの層から作製することもできる。印刷および組立作業が完了した後、廃棄支持層を除去することができる。
第2のウェブは、約0.003〜0.030インチの厚さ、有利には約0.006〜0.015インチの厚さのPVCまたはポリエステルフィルムを有する比較的厚い積層構造とすることができる。第2のウェブは、約1〜5ミルの厚さの粘着剤の層(剥離ライナーを有しない)を片面または両面に有することができる。第2のウェブのかかる積層構造が完成した後、これを第1のウェブに被着することができる。これと共に、またはこれに代えて、任意の種類の機械的手段を用いて第2のウェブをパターンカットしてセル活性材料のための空洞を形成し、また、セル/電池のコンタクト部のためのオプションの空洞を形成することもできる。第3のウェブは、第1の層と同一および/または類似の比較的薄い積層構造とすることができる。完成したこれら3つのウェブ構造は、個々のデバイスアセンブリをラベルとして貼付できるようにするため、いずれか片面に粘着剤を有することができる。セル/電池は、同時係属中の米国特許出願第11/110202号(U.S. application serial numbers 11/110,202)(出願日2005年4月20日、米国特許第8722235号明細書(Patent No. 8,722,235))、米国特許第11/379816号(11/379,816)(出願日2006年4月24日、米国特許第8722233号明細書(Patent No. 8,722,233))、米国特許出願第12/809844号(12/809,844)(出願日2010年6月21日、米国特許第8574754号明細書(Patent No. 8,574,754))、米国特許出願第13/075620号(13/075,620)(出願日2011年3月30日、放棄)、米国特許出願第13/625366号(13/625,366)(出願日2012年9月24日)、同第13/899291号(13/899,291)(出願日2013年5月21日、米国特許第8765284号明細書(Patent No. 8,765,284))および米国特許第8029927号明細書、同第8268475号明細書、同第8441411号明細書(U.S. patent numbers 8,029,927, 8,268,475, 8,441,411)等に記載されている薄型セル形式とすることができる。これらの文献の記載内容は全て、参照により本願に含まれるものとする。
セル構成、セル適用対象および/またはセル環境に依存して、基板のバリア特性が異なると有利となり得る。実現可能な蒸気透過速度の範囲は広範に実現可能であるため、バリア層は、個別の適用対象および構成ごとに必要に応じて選択することができる。たとえば、セルが設計によって比較的高いガス発生速度および/または短い寿命を有する場合では、大量のガスを逃がしてセル膨張を最小限にするため、より高い透過速度を有するフィルムを使用することが好適かつ望ましいものとなり得る場合もある。このバリア層は、水損失を最小限にし、かつ、通常の電気化学反応により生じたガスを逃がして薄型セルが膨張する危険性を低減するように構成されている。他の一例は、保管寿命が長期間である適用対象、または、砂漠等の高温の乾燥した環境における用途である。かかる事例では、セルからの過剰な湿分損失を防止するため、透過速度が遅いバリア膜を設けることが望ましい場合がある。第1の基板層および第2の基板層のうち少なくとも一方は、酸化物バリア層を含む複数の貼り合わされた層であって、酸化物バリア層のガス透過度が、第1の基板層または第2の基板層の複数の貼り合わされた層を通ってガスを逃がすことができ、かつ水蒸気の流出を低減する(たとえば最小限にする)ものである、複数の貼り合わされた層を有することができる。
種々の実施例の構成の積層フィルム基板を使用することができる。下部の積層フィルム層と上部の積層フィルム層とは、大抵の場合、大部分の用途において、同一の材料から成ることができる。少なくとも一実施形態ではこれらのフィルム層は、たとえば5層積層フィルムから構成することができる。他の一実施例では、積層フィルム基板は4層を有することができる。セルの内側に配置された上部層は、一例として約0.48ミル(約0.2〜5.0ミル)の厚さを有し、かつ、以下のバリア特性を有するヒートシーリング可能なフレキシブルウェブとなる高い水分バリア性のポリマー層フィルムである:
酸素透過度:約30℃かつ70%の相対湿度で、24時間ごとに100平方インチあたり約0.045cm3未満、および、
MVTR:約40℃かつ90%の相対湿度で、24時間ごとに100平方インチあたり約0.006〜0.300gの水分。
典型的にはこのポリエステルフィルムは、積層構造の内側に酸化物コーティングまたはメタライジングされたコーティングを有する。かかるポリマー(ポリエステル)ベースのバリア膜の水分透過値は、真空成膜された酸化物または金属の種類および量に依存して変化し得るものであり、このバリア膜は下部ポリエステル層に貼り合わせることができ、ウレタン接着剤と共に構造層として機能する。これらの基板の内側層は、ヒートシーリング層を含むことができる。他の代替的な高水分バリアは、以下のバリア特性を有するヒートシーリング可能なフレキシブルウェブとすることができる:
酸素透過度:約73°Fかつ50%の相対湿度で、24時間あたり100平方インチあたり約0.045cm3未満、および、
MVTR:約100°Fかつ90%の相対湿度で、24時間あたり100平方インチあたりで約0.30g未満の水分。
他の一実施例では、多層構造の外側の層(または構造層)は、たとえば、配向ポリエステル(OPET)の約2.0ミル(約0.5〜10.0ミル)層を約0.1ミルの厚さのウレタン接着剤によって他の層に貼り合わせたものを含むことができる。この「構造層」は、ポリエステル配向(OPET)フィルム、または、白色マイクロボイド配向ポリエステル(WMVOPET)として設計されたポリエステル系合成紙とすることができる。
ポリマー厚さのうちいずれかまたは全部の増大によってより厚くなった基板を使用することは、複数の利点を奏することができ、かかる利点には、基板がより厚くなると温度に影響を受けにくくなるので、印刷機におけるセルプロセスが良好になるという利点、および、セルパッケージの剛性および強度が高くなるという利点のうち1つまたは両方を含み得る。
上記の仕様の他にさらに、外側層および内側層のうち一方または両方は、必要なインクのための印刷受容性表面の追加を含むことができる。必要に応じて、内側層は機能性インク(たとえば集電器および/または電気化学層)のために使用され、外側層は、必要に応じてグラフィックインク用に使用することができる。封止されたシステムを有するフラットなセル構成は、メタライジングされたフィルムおよび/または非常に薄い1つもしくは複数の金属箔を水分バリアとして含む積層構造を使用することができる。金属層を有するかかる構造は、上述の実施形態のうち一部で使用される構成より良好な水分バリア特性を有し得るが、構造は若干の欠点も有し得る。構造はたとえば、
金属バリア(薄い金属箔、または、真空メタライジングされた層)を有する積層構造は、比較的高コストになりやすいこと、
金属層を有する積層構造は、内部短絡を引き起こす可能性を有すること、および、
金属バリアを含む積層構造は、適用対象の電子部品と干渉し得ること、たとえばRFIDアンテナの機能性を妨害し得ること
のうち1つまたは複数を有し得る。
フィルム基板は数多くの態様のポリマーフィルムから、(金属または他の材料を含む)バリア層を有するように、またはバリア層を有さずに構成することができ、また、単層フィルムまたは多層フィルムのいずれか、たとえばポリエステルまたはポリオレフィンを使用することができる。ポリエステルは強度を改善して比較的薄い標準寸法のフィルムの使用を可能にし、かつ典型的には、マルチステーション印刷機上で使用される場合に延伸しにくいので、使用に好適な材料である。ビニル、セロハンおよび紙もフィルム層として、または積層構造の1つまたは複数の層として使用することができる。非常に長い保管寿命が要求されている場合、および/または周囲条件が極端である場合、酸化物コーティングに代えて、たとえばアルミニウムの真空成膜により得られるメタライジングされた層を含むように、多層積層ポリマーを変更することができる。
これに代えて、非常に薄いアルミニウム箔をフィルム層の構造内で、たとえば各層について、または異なる位置で貼り合わせることができる。かかる変更により、既に少ない水損失を実質的に0にまで低減することができる。一方、適用対象が比較的短い保管寿命および/または短い動作寿命に係るものである場合、比較的高コストのバリア層に代えて、低コストであるが所要寿命の間はセルを機能させることができる比較的低効率のバリア層を用いることもできる。
所要寿命が極端に短い用途では、セルパッケージはその代わりに、たとえばポリエステルまたはポリオレフィン等の低コストのポリマー基板のフィルム層を使用することができる。フレームを上部基板と下部基板とに接着させるための粘着シーリング系に代えて、ヒートシーリング系を積層体上に使用することが可能である。
上部積層基板および/または下部積層基板の簡素化した構成では、複数の積層バリア層をたとえばウレタン接着層によって貼り合わせることができる。これに代えて、バリア層上のバリアコーティングである追加層を基板に設けることもできる。さらに、複数の層をウレタン接着層によって貼り合わせることもできる。
これに代えて、一例の7層積層基板をセルの基板に用いることもできる。接着層を用いて、上述の構造にヒートシーリング層を貼り合わせることができる。約50ゲージのヒートシール層は、ポリエステル等のポリマーフィルム上にたとえば非晶質ポリエステル(APETまたはPETG)、半結晶ポリエステル(CPET)、ポリ塩化ビニル(PVC)またはポリオレフィンポリマー等のヒートシーリングコーティングも含む複合層とすることができる。かかる構成により、上述のセルの上部基板および/または下部基板は7層構造になる。これらの構造(3層積層構造、4層積層構造および7層積層構造)のいずれか、これらの様々な層の厚さに依存して、かかる積層構造の総厚は、少なくとも一部の実施形態では約0.001〜0.015インチの範囲で約0.003インチとすることができる。これに代えて、所望の用途および量に依存して、より多いまたはより少ない層を有する異なる基板構成を使用することもできる。
本願にて記載している種々の導電性インクは、多くの種類の導電性材料をベースとすることができ、たとえばカーボン、銀、金、ニッケル、銀コーティングされた銅、銅、塩化銀、亜鉛および/またはこれらの混合物をベースとすることができる。たとえば、導電性およびフレキシビリティの観点で好適な特性を示す材料の1つは、銀インクである。また、たとえばポリエステル基板等のポリマーに貼り合わされたアルミニウム、銅または類似の種類の金属箔のエッチングによって、プリント回路の一部となり得る種々の回路、電気経路、アンテナ等を作製することもできる。かかる作製は、エッチングまたは印刷のいずれによって作製されるかにかかわらず、多くの種類(サイズおよび周波数)の電気経路および/またはアンテナについて行うことができる。
薄型のプリントフレキシブル電気化学セルは、プリントカソード集電器(たとえば高導電性カーボンカソード集電器)上に成膜されたプリントカソードと、プリントカソードに隣接して配置されたプリントまたは箔のストリップアノードとを備えている。かかる形式の電気化学セル/電池は、同時係属中の米国特許出願第11/110202号(U.S. application serial numbers 11/110,202)(出願日2005年4月20日、米国特許第8722235号明細書(Patent No. 8,722,235))、米国特許第11/379816号(11/379,816)(出願日2006年4月24日、米国特許第8722233号明細書(Patent No. 8,722,233))、米国特許出願第12/809844号(12/809,844)(出願日2010年6月21日、米国特許第8574754号明細書(Patent No. 8,574,754))、米国特許出願第13/075620号(13/075,620)(出願日2011年3月30日、放棄)、米国特許出願第13/625366号(13/625,366)(出願日2012年9月24日)、同第13/899291号(13/899,291)(出願日2013年5月21日、米国特許第8765284号明細書(Patent No. 8,765284))および米国特許第8029927号明細書、同第8268475号明細書、同第8441411号明細書(U.S. patent numbers 8,029,927, 8,268,475, 8,441,411)等に記載されている。これらの文献の開示内容は、参照により本願に含まれるものとする。電気化学セル/電池は、アノードおよびカソードの全部または一部を覆うセパレータ上に粘性またはゲル状の電解質が塗布されたものを備えることもでき、その後、上部積層体を額縁にシーリングすることができる。かかる形式の電気化学セルは、印刷によって(たとえば印刷機を用いて)容易に作製できる構成となっており、たとえば、セル/電池を適用とされる電子装置と直接集積することができる。
ここで図5〜8を参照すると、発電のためのフレキシブル電池が複数の異なる細部図で示されている。明示的には記載されていないが、フレキシブル電池は、本願にて記載されている電池構造または手法のいずれかを含むことができる。1つまたは複数のセルを有するフレキシブル電池は、1つの基板の片面に印刷されている(図5では、分かりやすくするために上部基板は示されていない)。電池の各異なる部分を基板の両面に印刷できることは明らかであるが、基板の片面に電池を印刷する方が、費用対効果は高くなり得る。さらに、要素ごとに印刷法を用いて電池を形成することが可能であるが、たとえば材料の貼り合わせ、接着剤、ストリップ等の非印刷手法を用いて、一部または全部の要素を設けることもできる。
電池は薄型のプリントフレキシブル電気化学セルを備えており、これはオプションのシーリングされた「額縁」構造体を備えることができ、かかる額縁構造体は、プリントカソード集電器(たとえば高導電性カーボンカソード集電器)上に成膜されたプリントカソードと、プリントカソードに隣接して配置されたプリントまたは箔のストリップアノードとを備えている。電気化学セル/電池は、アノードおよびカソードの全部または一部を覆うセパレータ上に粘性またはゲル状の電解質が塗布されたものも備えており、その後、上部積層体を額縁にシーリングすることができる。かかる形式の電気化学セルは、印刷によって(たとえば印刷機を用いて)容易に作製できる構成となっており、たとえば、セル/電池を適用とされる電子装置と直接集積することができる。
図5〜8では、電子部品インレイ30にて使用される1つのフレキシブルなプリント電池32について詳細に説明しており、同図は、一実施形態の完成後の単セル200の平面図および断面図である。単セル200は、上部積層フィルム基板(層)112と、下部積層フィルム基板(層)111と、正極コンタクト部140および負極コンタクト部250を設けた拡張領域180とを備えている。さらに分かりやすくするため、図5の単セル200は、上部積層フィルム基板112を除いた状態で示されているが、図6では上部積層フィルム基板112は示されている。正極コンタクト部140および負極コンタクト部250は、パッチ10の電子部品インレイ30と接続されるために電気化学セルの外側において露出している。正極コンタクト部140および負極コンタクト部250のいずれか一方または両方は、その上に印刷されまたは貼り合わされた導電層、たとえば印刷された銀インク等を備えることができ、または、電子部品インレイ30との結合または電気的接続を容易にする他の(1つもしくは複数の)層を備えることができる。正極コンタクト部140および負極コンタクト部250は、フレキシブル回路34の対応する電池電極33A,33Bに電気的に結合された電池コンタクトパッド35A、35Bと同一とすることができ、または異なることもできる。
単セル200はさらに、カソード層130およびアノード層116も備えており、これらの各層はそれぞれ異なる組成の電気化学層から構成されており、両電気化学層は電解質を介して相互作用することにより発電することができる。複数の異なる実施例では、フレキシブル電池を下部積層基板111上に直接的または間接的に作製すること(すなわち印刷すること)が可能であり、または、(全部もしくは一部を)別個に作製して下部積層基板111に直接的または間接的に付着させることも可能である。一実施形態では、下部積層基板111は積層フィルムである。フレキシブル電池はさらに、上記の下部積層基板111に接続された上部積層体112を備えており、これは、下部積層基板111の上方を覆う関係で配置されている。この第2の上部積層体112も、単層フィルムまたは多層積層フィルムとすることができる。上部積層体112を電池の上部層として使用することができ、および/または、電気化学セルの一部または全部の要素を上部積層体112上に設け、もしくは集積することができる。
下部積層基板111および/または上部積層基板112は、複数の貼り合わされた層を含む材料とすることができる。これらの複数の貼り合わされた層は、集積されたバリアおよび/またはヒートシーリング層を含む構造層、たとえば本願にて記載されているいずれかの層を含む構造層を有することができる。複数の貼り合わされた層は、ポリマーフィルムならびに/もしくはヒートシーリングコーティングを含む内側層、高水分バリア性の層、内側層と高水分バリア性の層とを結合するための第1の接着層、配向ポリエステルを含む外側の構造層、および/または、高水分バリア性の層と外側の構造層とを結合するための第2の接着層のいずれかまたは全部を含むことができる。高水分バリア性の層は、酸化物コーティングされた水分バリア層を含むことができ、これは、水分に対して電池を非気密性に封止し、高水分バリア性の層はまた、金属箔層を含まないことが可能である。複数の貼り合わされた層はオプションとして、メタライジングされた層を含むことができる。
さらに、電気化学セルのカソードおよびアノードの下方に、それぞれ集電層を設けることもできる。この集電層は、乾燥もしくは硬化したインク(たとえば印刷されたインク)によって設けることができ、または、材料の貼り合わせ、接着剤、ストリップ等の非印刷手法を用いて設けることもできる。実際には、集電器、アノードおよびカソードを全て、硬化または乾燥したインクとして設けることができる。一般的に集電層は、アノードおよびカソードとは異なる材料として設けられている。カソードおよびアノードの残りの部分の下方に追加の集電器を設けることができる。各セルのアノードおよびカソードを、カソード集電器および/またはアノード集電器上にそれぞれ印刷することができる。集電器のいずれかまたは全部を下部積層基板111上に直接、同一の印刷ステーションにおいて設けることができるが、集電器のいずれかまたは全部を、オプションの中間層の上部に設けることもできる。
たとえば、カソード層130を被着する前に高導電性のカーボンのカソード集電器131を下部積層基板111に印刷する。下部積層基板111は、そのいずれかまたは全部を、層として設けることができる。オプションとして、同様のアノード集電器をアノードの下方に設けることもできる。各単セルのアノードとカソードとを、コプレーナ配置で印刷することができる。アノードおよびカソードは、硬化または乾燥したインクから成ることができる。少なくとも一実施形態では、二酸化マンガンと、たとえばカーボン(たとえばグラファイト)等の導体と、結合剤と水とを含むインクを用いて、カソード集電器131の大面積の部分にカソード層130を印刷する。他の複数の実施例では、二酸化マンガン、カーボン、NiOOH、酸化銀Ag2Oならびに/もしくはAgO、HgO、空気セルの形態の酸素O2および酸化バナジウムVO2のうち1つまたは複数を含むインクを用いて、カソードを印刷することができる。アノード層116は、導電性亜鉛インクとして印刷することができ、または、図中に示されているように亜鉛箔(116)PSA(260)積層体として設けることができる。これらのうちいずれかは、約0.20インチの幅および約0.002インチ(0.001インチ〜0.010インチ)の厚さに作製することができる。他の複数の実施例では、亜鉛、ニッケル、カドミウム、AB2タイプならびにAB3タイプの金属ハイブリッド、鉄およびFeS2のうち1つまたは複数を含むインクを用いて、アノードを印刷することができる。アノードおよび/またはカソードはまた、材料の貼り合わせ、接着剤、ストリップ等の非印刷手法を用いて設けることもできる。他の択一的な実施例では、アノードを亜鉛箔PSA積層体として設けることができ、これらのいずれかは、セル幾何形状と整合する適切な幾何形状で、かつ約0.002インチ(0.001インチ〜0.010インチ)の厚さで作製することができる。
電極層(アノード層116およびカソード層130)が定位置に来た後、オプションの「額縁」113をスペーサとして電極の周囲に配置することができる。1つの手法は誘電体インクを用いて、たとえば接着性インクを硬化または乾燥させて、このセル額縁を印刷する手法である。他の一手法は、ポリマーシートを用いてスタンピング、ダイカット、レーザカットまたはこれに類する手法で、各単セルの材料を収容するために適切な「ポケット」(1つまたは複数の内部スペース)を形成することである。ここで説明する簡単な構成では、額縁は、たとえばポリエステルまたはポリ塩化ビニル(PVC)等のダイカットされたポリマー積層シートを中央にして、ポリマー積層シートに粘着剤の2つの外側層を剥離ライナーと共に(たとえば上表面および下表面)設けたものを有することができる。上部のPSA層は上部積層基板を額縁に接着してシーリングし、下部のPSA層は、下部積層基板を額縁に接着してシーリングするために用いることができる。代替的に、額縁に代えて、接着剤を上述のフレームの形状に印刷しまたは貼り合わせて設けることもできる。
図中の実施例では、オプションの額縁113は、たとえばポリエステルまたはポリ塩化ビニル(PVC)等のダイカットされたポリマー積層シートから構成することができ、さらに、粘着剤の2つの層を(118は上表面に、117は下表面に)備えることができる。上部の粘着(PSA)層118は上部積層基板112を額縁113にシーリングし、下部のPSA層117は、下部積層基板111を額縁113にシーリングするために用いることができる。一般的に、スタンピングされたフレームを用いる場合、各「額縁」の総厚(ライナーの厚さを除く)は約0.010インチ(約0.005インチ〜0.50インチ)である。「額縁」は、下部の剥離ライナーを取り外した後、アノードおよびカソードがフレーム内の中央に位置決めされるように、下部積層構造上に配置することができる。印刷されたフレームを使用する場合、フレームの厚さは一般的に、約0.002インチ(たとえば約0.0005インチ〜0.005インチ)と格段に薄くなる。幾つかのケースでは、漏れのない構成を保証するため、アノード層の上部およびカソード集電器の上部であって、額縁の下方に来る領域に、シーリングならびに/もしくはかしめ接着剤、感熱性シーリング材および/または両面PSAテープ253を配置および/または印刷できる事例もある。シーリング接着剤は、額縁の他の残りの部分の下方にも設けることができる。図中の実施例では額縁は、下部の剥離ライナーを取り外した後、電極がフレーム内の中央に位置決めされるように、下部積層基板111上に配置することができる。幾つかのケースでは、漏れのない構成を保証するため、アノード116の上部およびカソード集電層131の上部であって、額縁113の下方に来る領域に、シーリングならびに/もしくはかしめ接着剤、感熱性シーリング材および/または両面PSAテープ253を配置および/または印刷できる事例もある。シーリング接着剤253は、オプションの額縁113の他の残りの部分の下方にも設けることができる。複数の図示された実施例において、「額縁」の外形は概ね、電池全体の幾何形状に一致することができ、また「額縁」は、一般的に各電気化学セルのための内側スペースを成す内側領域を有することができる。
電気化学セルのアノードとカソードとは電解質を介して相互作用することにより発電する。電解質は、塩化亜鉛、塩化アンモニウム、酢酸亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、酒石酸亜鉛、過塩素酸亜鉛、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムのうち1つまたは複数を含むことができる。かかる液体電解質層は、ポリビニルアルコール、でんぷん、変性でんぷん、エチルおよびヒドロキシル‐エチルセルロース、メチルセルロース、酸化ポリエチレンおよびポリアクリアミドのうち1つまたは複数を含むポリマー増粘剤を有することができる。電解質層はさらに、吸収紙セパレータを含むこともできる。ここで記載されているように、電解質は粘性またはゲル状の電解質である。電解質がゲル状コーティングの一部でない場合、両電極またはその一部を覆う、たとえば「紙セパレータ」126(図5では分かりやすくするため示されていない。図6参照)等の吸収材のために、セル電解質120が設けられる。セル電解質120は、約27重量%(約23%〜43%)のZnCl2の水溶液とすることができ、これは、たとえばカルボキシメチルセルロース(CMC)またはこれに類する他の材料等の増粘剤を約0.6%の濃度(約0.1%〜2%)で含むこともできる。これらのセル電解質120はいずれも、電気化学セルにおけるガス発生を防止または低減するための(たとえば、セルにおける水素ガス発生を防止または低減するための)添加剤を含むことができる。
単セルは、PSAおよび/またはヒートシールを用いて上部積層体112を額縁上に接触させてシーリングすることにより完成する。上部積層基板112は、電気化学セルを密閉すべく、電解液を包含するように下部積層基板111に接続される。オプションの額縁がある場合には、その上に上部積層基板112をシーリングすることができる。剥離ライナーがある場合には(図示されていない)、上部積層基板112を接触させる前に、オプションの額縁の上部の接着層から剥離ライナーを取り外す。他の一実施例では、上部積層基板112と下部積層基板111とを接続するために、印刷される接着剤を使用することができる。さらに、印刷されたこの接着剤は、アノード層および/またはカソード層の少なくとも一部分の上に延在し、これを覆うことができる。他の一実施例では、中間接着剤または額縁を用いずに上部積層基板112と下部積層基板111とを互いに直接接続することもできる。また、額縁を使用しない場合には、上部積層基板112を下部積層基板111に接続して、電解液を包含する内部スペースを形成することも可能である。
上部積層基板112が下部積層基板111上にてシーリングされると、外部シール領域が形成される。かかるシール領域により、電解液が各セルから漏出するのが阻害され、たとえば防止される。このシール領域の幅は、電池の総寸法および幾何形状に基づいて変えることができる。一実施例では、シール領域は約0.075インチの最小幅を有することができる。最大幅は、種々の電池に基づいて変えることができ、0.250インチの大きさとすることができ、またはそれ以上の大きさとすることもできる。同一の幾何形状を有するかかる電池構成は、フレーム無しで市販のパウチ充填機を用いて大量作製することもできる。シール領域は要求に応じて、各セルの周囲まわりで実質的に同一とすることができ、または、各セルの周囲について異なるものとすることもできる。
ここで記載している電池は、コプレーナ構成を有する。コプレーナ構成は、製造しやすく、一貫性のある高信頼性の性能を提供し、セル/電池の同一面にコンタクト部を有するという、複数の利点を奏する。一般的に、ここで記載している各電気化学セルは約1.5Vを出力することができる。しかし、より高い電圧および/または高容量が必要とされる場合には、複数の電気化学セルを互いに電気的に結合することができる。たとえば、2つの1.5V単セルを直列接続することにより3V電池が得られるが、異なる電圧の単セルを使用することにより、および/または、異なる数の単セルを互いに直列ならびに/もしくは並列に組み合わせることにより、異なる電圧および/または電流を得ることもできる。異なる電池構成を達成するため、異なる電気化学システムをカスタマイズすることができる。有利には、より高い電圧を得るために複数の異なるセルを使用する場合、各電池の全てのセルを同一の電気化学システムとすべきである。よって、より高い電圧を使用する適用対象は、複数の単セルを直列接続することができ、より大きな電流および/または容量を必要とする適用対象では、単セルを並列接続することができ、双方を使用する適用対象は、直列接続および並列接続された複数のセル群を使用することができる。したがって、種々の単セルおよび/または電池構成を使用して、使用電圧や使用電流が相違する種々の適用対象をサポートすることができる。
以下、電池の製造形式例について説明する。複数のセルを後の時期において互いに接続することの問題を回避するためには、全てのセルを含めた電池全体を1つの印刷工程で印刷することが有利となり得る。この印刷工程の一部または全部を自動化することができ、また、印刷工程は個別シートまたはロール・トゥ・ロール法を用いることができる。使用に際しては、個々の電池を支持体から取り外すことができる。
セル/電池の製造プロセスをより効率的にするため、および/または、より大きいスケールメリットを達成するためには、高速かつ低コストでの製造を実現するため、概ね連続的なウェブを用いてリール・トゥ・リール印刷法でセル/電池を製造することができる。製造手順の一例を、以下の段落にて説明する。本例の手順ではセル/電池は、ロール・トゥ・ロール構成を稼働する高速印刷機と互換性を有する多数のステーションを通過して送られる。ここでは詳細には説明しないが、処理および組立ては、フレキシブル電池またはその各要素であって電池の給電を受ける各要素の製造、たとえば電気的構成要素等と統合することができる。
利用可能な印刷機に応じて、単セルを所与の印刷機上にて、たとえば1回の通過または複数回の通過で作製することができる。たとえば、ウェブ上の個々のセルの列は2つであるが、列の数は、印刷機が処理できるウェブ最大幅と単セルの寸法とにのみ制限される。複数のステップがあり得るため、長くて複雑な印刷機を使用する蓋然性があるので、これらのステップの一部と材料の一部とを変更することができ、および/または、印刷機の複数回の通過または複数の印刷機を使用することができる。変更された印刷機の幾つかの概要については、最初の説明を完了した後に提示する。さらに、印刷ステップのいずれかまたは全部をスクリーン印刷によって行うこともでき、たとえばフラットベッドスクリーンまたはロータリスクリーンステーションによって行うことができる。さらに当業者であれば、5つより多くのステーションを備えた1つの印刷機を発見または動作させることは困難であるため、以下のプロセスの説明は、1つまたは複数の印刷機上で、または1つの印刷機の複数回の通過上であり得ることを認識することができる。
製造中は、種々のオプションの作業を行うことができ、または行わないことが可能である。たとえば、かかるオプションの作業には、ウェブの熱安定化およびグラフィック印刷(ロゴ、コンタクト部極性、印刷コード、および、ウェブの外表面上の位置合わせマークの追加を含み得る)のいずれか一方または両方を含むことができる。かかるオプションの印刷作業がウェブ上で行われる場合、ウェブを反転させて機能性インクを内側表面(すなわちヒートシール層)に印刷することができる。
当業者であれば、使用できる手法、材料および作業の順序が多数存在することを認識することができ、また、使用されるステーションの数を増加もしくは減少させ、同様または異なるものとすることもできることを認識できる。また、以下のプロセスを、他の種々の集積型電気デバイスの製造に使用することも可能であることは明らかである。さらに、分かりやすくするため、電池の1列のみについて説明および図示するが、この説明は他の列についても同様に当てはまり得ることは明らかである。さらに、以下の要素のいずれかまたは全部の要素は、本願明細書全体に記載された種々の材料、化学組成等のいずれを含むことも可能であると解すべきである。また、種々のステップは単なるステップの例示を意図したに過ぎず、これらのステップには、ここで説明するように他の種々のステップ、代替的ステップ等を含み得ると解すべきである。
ここで説明するように、いずれかまたは全部の基板を、概ね連続的なウェブとすることができ、このウェブを「リール・トゥ・リール」方式の製造プロセスにより処理することができる。たとえば第1の基板は、供給ステーションから概ね連続的なウェブとして供給することができ、これは、供給ロール等とすることができる。かかる概ね連続的なウェブを印刷ステーションに通過させることにより、または複数の印刷および/または変換ステーションに通過させることにより、種々の処理ステップのうち一部または全部、たとえば、上述のカソード集電器、アノード集電器、カソード層、アノード層、コンタクト部、オプションのフレーム、オプションのプリント回路等を設けるステップを行うことができる。これと共に、またはこれに代えて、印刷ステーションに複数回ウェブを通過させるためにプロセスを適応させることもできる。最後に、概ね連続的なウェブで完成した電池を巻取ステーションで収集することができ、これは収集ロールを含むことができる。これに代えて、完成した電池は、複数の電池を有するフラットシートで提供することもでき、たとえば1シートあたり20個以上の電池を提供することができる。
製造プロセスは種々の他の段階、ステップ等を含むことができる。たとえば、ウェブは印刷ステーションの前または後に、種々の電気部品を設けることができる補助ステーションを通過することができる。さらに、種々の層、基板等のいずれかまたは全部をプロセスに沿って補助ロールにより供給することもできる。たとえば、補助ウェブを介して補助ロールにより、追加の基板(すなわちスペーサ層)を供給することができる。印刷ステーションの開始部付近として説明したが、補助ウェブのいずれかまたは全部を、製造プロセスに沿って種々の場所において供給できることが明らかである。これと共に、またはこれに代えて、たとえば剥離層等の廃棄材料を廃棄ウェブとして除去して、廃棄ロール等によって巻き取ることができる。他の種々の前処理および/または後処理ステーション、ステップ等を包含することもできる。ここで記載したプロセスの種々のステーション、ロール等を複数の異なる順序で使用することができ、枚葉供給方式プロセスまたはリール・トゥ・リールプロセスを容易にするため、追加の装置を設けることもできることが明らかである(たとえばアイドラローラ、テンションローラ、反転バー、スリットまたはパーフォレータ等)。
他の種々の追加ステップを使用して、完成される電池セルおよび電気部品に追加の構造、要素等を設けることができる。一実施例では、デバイスの外側部分、たとえば第1の基板および第2の基板のいずれか一方または両方を、電池セルを他の物、表面等に取り付ける手法によって設けることができる。ここで説明するように、たとえば電池電極33A,33Bと電池コンタクトバッド35A,35Bとの間の導電パッドを介して、電池32を回路34に機械的かつ電気的に結合することができる。他の実施例では(1つまたは複数の)基板は、超音波溶接部、粘着剤、他の接着層、マジックテープ方式のファスナ、液体またはホットメルト接着剤等を有することができる。他の一実施例では、電池セルの外側部分、たとえば第1の基板および第2の基板のいずれか一方または両方に、印を印刷して、またはラベル等を設けることができる。
以下、図9を参照して、ソフトウェアアプリケーションの機能を詳細に説明する。計算装置14は、少なくとも一方向通信を介してパッチ10とやりとりする(すなわち、パッチ10からデータ通信を受信する)ように構成されたソフトウェアアプリケーションを実行させることができるマイクロプロセッサを備えることが可能であるが、パッチ10において可能である場合には双方向通信を使用することもできる。計算装置14は、温度データ点と他の情報とをユーザに対してグラフィック表示するためのディスプレイを備えている。同図では、ソフトウェアアプリケーション300の一例の視覚的表示が計算装置14のディスプレイ上にて実行しているのが示されている。特定の態様で図示されているが、ソフトウェアアプリケーション300のこのグラフィック表示の外観は、ソフトウェア分野において知られているように、多くの構成において異なることができることが明らかである。
動作に際しては、パッチ10が初めて使用されるときに、ソフトウェアアプリケーション300は計算装置14から1つまたは複数の初期化コマンドまたは条件を受け取ることができ、これは、高温限界レベルと、低温限界レベルと、温度読取り間隔と、データロギングを開始するためのタイムスタンプの初期化と、オプションとして、電子装置の始動が成功した旨のフラグとのうちいずれかまたは全部を含む。かかる初期化コマンドまたは条件は、自動的、半自動的または手動とすることができる。一実施例では、選択されたアラート温度以上の温度読値をソフトウェアアプリケーション300が受け取った場合にソフトウェアアプリケーション300がユーザに対して適切なアラート(視覚的、聴覚的、触覚的アラート)を発するように、ユーザが所望のアラート温度を手動で設定することができる。ソフトウェアアプリケーション300は上記のために、グローバルの初期化コマンドまたは条件を使用することも可能であり、これはユーザによって事前設定され、その後、パッチ10が起動されて追跡される度にソフトウェアアプリケーション300によって使用される。双方向通信が可能である場合、パッチ10のマイクロプロセッサは、始動が成功したことを示す確認信号またはフラグを外部の計算装置14へ送信することができる。電子装置の始動が成功しなかった場合、パッチ10の始動が成功するまで、または、ソフトウェアアプリケーション300がパッチ10に不具合があると判断するまで、ソフトウェアアプリケーション300は計算装置14から1つまたは複数の再初期化コマンドを受け取ることができる。
一般的に、ソフトウェアアプリケーション300は起動に応答して、時間経過における患者の温度履歴310をグラフィック表示し、たとえば線グラフ、棒グラフ等で表示する。グラフィックの温度履歴310はスクロール可能とすることができ、また、検知された温度の所望の時間スケールにおける変化をユーザが分かりやすくするための動的な拡大/縮小機能を行えるものとすることができる。温度データはまた、スクロール可能な表形式またはグラフ形式で提示することもでき、ユーザはオンスクリーンボタン320等によって複数の表示面間をトグル切替することができる。また、ユーザが温度履歴310グラフ上にて拡大/縮小またはスクロールする時に、グラフの軸(x軸の時間、y軸の温度)が、特定の拡大縮小またはスクロールされた表示面に示された温度データ点に基づいて、情報の、ユーザに関連性の高い表示面を提示するように、動的に調整することも可能である。さらに、パッチ10が使用される期間は延長し得るので、x軸の時間軸は、特定の拡大縮小またはスクロールされた表示面に基づいて、または経過した総時間に基づいて、分単位表示と時間単位表示との間で動的に調整することもできる。
ソフトウェアアプリケーション300はさらに、取得された最新の温度データ点に基づいて患者の現在の体温312も表示する。他の温度情報も設けることができ、これには、プログラミングされたおよび/または調整可能な上限温度または下限温度を含む。たとえば、時間経過において検知された温度の傾向と比較するために、上限温度もしくは下限温度を温度履歴310グラフ上にグラフィック表示することができ、および/または、患者の体温が特定の閾値温度に近づいている旨、もしくはこれを超えた旨のアラートをユーザに対して発するために、警報を設定するために上限温度もしくは下限温度を使用することができる。たとえばかかる警報は、ユーザに警告するために計算装置14からの視覚的、聴覚的および/または触覚的(たとえば振動)アラートをトリガとすることができる。一実施例では、現在の体温312の表示は色を変化させることができる(たとえば、緑色=ok、橙色=注意、赤色=発熱)。他の一実施例では、視覚的アラート330(固定または点滅)をメインディスプレイ上に表示することができる。これと共に、またはこれに代えて、現在の体温312の表示付近にゲージ332を設けることもでき、これは、現在の体温がどれだけ高いまたは低いかに応じて漸増もしくは漸減することができ、および/または色を変化させることができる。ユーザ設定された最大温度またはアラート温度がソフトウェアアプリケーション300に入力された場合、ゲージ332は絶対方式で、事前プログラミングされた方式で、または相対方式で動作することができる。これに代えて、視覚的アラートを計算装置14のステータス位置に、たとえばグラフィック表示の上部に沿って表示することもできる。よって、ユーザがソフトウェアアプリケーション300を積極的に見ていない場合でも、ソフトウェアアプリケーション300はバックグラウンドで動作し続け(場合によっては温度データを収集し続け)、適宜アラート330を発することができる。
ソフトウェアアプリケーション300はまた、時間データ314も表示することができ、これはたとえば、パッチ10が起動された時期、パッチ10が作動停止された時期、パッチ10が送信を停止した時期、これらの時期の間の遅延時間、および/または、パッチ10との通信が最後に行われた時期のうちいずれかまたは全部、等である。これと共に、またはこれに代えて、時間データ314は、使用可能な電池出力が消耗する前にパッチ10に残された動作時間の実際量または推定量を表示することもできる。パッチ10に残された動作時間の量は、電池の検知された電圧等に基づく実際の時間量とすることができ、電圧等はパッチ10によって送信され、初期電圧、電池容量、温度読取間隔、通信間隔等に基づき、電圧等と既知の電力引出率との相関関係を求めることができる。これに代えて、パッチ10に残された動作時間量は、パッチ10の既知の開始時点と既知の予測動作時間(たとえば12,16または24時間)とに基づく推定時間とすることができる。かかる推定動作時間はソフトウェアアプリケーション300によって、電池の事前に特定された情報に基づき、および/または特定の動的変数、たとえば温度読取間隔、通信間隔等によって調整することもできる。
ソフトウェアアプリケーション300はさらに、パッチ10の状態に関連する補助情報316も表示することができ、これはたとえば、検出された平均温度、検出された最大温度、検出された最低温度、取得された温度データ点の数等のいずれかまたは全部、等である。かかるデータのいずれかまたは全部が、ユーザに対して可視とすることができ、または選択的に隠すことができる。平均温度、最大温度および最低温度のいずれかまたは全部が、収集された温度データ点の一部、たとえばその一部または全部の温度データ点に基づくことができる。一実施例では、平均温度、最大温度および最低温度のいずれかまたは全部を、ユーザ選択されたデータに基づき、たとえば、温度履歴310または関連の表データで示されている、拡大縮小またはスクロールされた表示面等に基づき、動的に表示することができる。温度トリガを事前プログラミングしておくこと、またはユーザプログラミング可能とすることもできる。これはたとえば、昇温(たとえば100°F)または発熱温度(たとえば102°F)等を示唆する温度である。検出された最大温度、検出された最低温度および/または他の所望値のグラフィック表現を表示することができる。これと共に、またはこれに代えて、ソフトウェアアプリケーション300はデータの表示を調整するためのオプション機能324を備えることもでき、たとえば、温度データ点を華氏単位または摂氏単位(または、要求に応じて他の温度単位)で表示するように動的に調整できる温度単位スイッチ等を備えることもできる。
ソフトウェアアプリケーション300はさらに、1つまたは複数のメモを用いて温度履歴310グラフに注釈を付与する機能も提供することができる。たとえばソフトウェアアプリケーション300は、特定の時期および/または温度読取りで表示される温度履歴310グラフ上に注釈340を設けることができる。図中の実施例では、注釈340は午前11時前後の時点で表示されている。注釈340は、自動的、半自動的または手動の機能とすることができる。ソフトウェアアプリケーション300は、ユーザが自動的および/またはユーザ提供された情報を用いてグラフに手動で注釈を付与するための「メモ追加(Add a Note)」ボタン342を設けることができる。注釈340は、ユーザが特定のイベントを思い出すために、たとえばパッチ装着者に薬を投与した時期、またはパッチ装着者が就寝した時期等を思い出すために有用となり得る。その際にはメモは、ユーザがパッチ装着者の効果または結果を理解すること、たとえば、薬がその後、パッチ装着者の体温を低下させるために役立ったか否か等を理解することを補助することができる。図中の実施例では、ユーザは「メモ追加」ボタン342を押すことができ、これにより、特定の時点における温度履歴310グラフについての注釈340が表示される。その後、ソフトウェアアプリケーション300はユーザに対し、手動のメモの入力を行うためのテキスト入力ボックスを提示することができる。その後、ユーザは注釈340を選択することができ、注釈340はメモを表示する。複数のメモをユーザによって入力することができ、各メモは温度履歴グラフ310上に注釈340を表示することができる。追加機能を設けることも可能である。たとえば、「メモ追加」ボタン342が自動的にメモのテキスト情報にデータを追加することができ、これはたとえば、時間、温度、パッチ装着者の名前、日付、最大/最低温度等のいずれかである。ソフトウェアアプリケーション300はまた、後の時期にメモを追加する機能(すなわち遡及機能)を提供することもできる。「メモ追加」ボタン342はデフォルト設定により、この特定の時点における注釈340を表示できるが、ユーザは時点をその前の時点に変更することができ、その際には注釈340は、この新規選択された時点で記録された適切な温度を表示することができ、これにより、ユーザは手動のメモを追加することができる。最後に、ソフトウェアアプリケーション300によって、ユーザは後の時期における参照のために、温度履歴310グラフを、追加された全ての注釈340と共に保存することができる。このようにして、ある親に、複数の異なる時期において複数のパッチ10を使用する子供がいる場合(すなわち、子供が病気になる度にパッチ10を使用している場合)、親は、子供のプロフィールに保存された過去の温度履歴310グラフを呼び出して、過去の温度履歴推移と現在の温度履歴グラフとを比較することができ、または、薬が子供の体温に及ぼした効果の履歴等を比較することができる。実際には、ソフトウェアアプリケーション300は2つ以上の温度履歴グラフを、グラフィック比較のためにグラフィック上で重ね合わせることもできる。
ソフトウェアアプリケーション300は他の追加の機能を備えることもできる。一実施例では、パッチ10の一意の識別子(UID)328を表示することができる。UID328は実テキストで表示することができ、または、より分かりやすい別名(たとえば患者の名前または病院コード)をパッチ10のUIDに割り当てることができる。ユーザは要求に応じてUID328と別名との間でトグル切替することもでき、または、患者について匿名にするため、機能を制限または保護することもできる。最後に、ソフトウェアアプリケーション300は、収集された温度データを保存および/または送信する機能を提供することができる。たとえば、収集されたデータ点(温度および/または時間)の部分的または完全なセット、温度履歴310グラフ、注釈340等を、後の時期における閲覧のために、ローカルまたは遠隔のコンピュータ記憶装置に保存するため、保存ボタン322を設けることができる。繰り返し使用するユーザがユーザプロフィール(たとえば、一家族の子供ごとに1つのプロフィール)を設定し、新品のパッチ10を使用する度に特定のユーザプロフィールにユーザのデータを保存することができる。これと共に、またはこれに代えて、収集されたデータ点の部分的または完全なセットを遠隔の関係者に、たとえば医師、病院または他の個人に送信するために、送信ボタン323を設けることもできる。保存および/または送信されるデータは、温度データ点、温度履歴310グラフ、注釈340、時間情報、UID情報等の一部または全部を含むことができる。ソフトウェアアプリケーション300はさらに、複数のパッチ10をある程度の時間にわたって使用する頻度が多い患者の患者プロフィール、たとえば、病気になる度にパッチ10を使用することがある子供のプロフィールを提供することもできる。このようにして、親または医師は特定の子供についての履歴温度情報を呼び出して、比較や診断が行うことができる。さらに、保存および/または送信されたデータをローカルまたは遠隔で暗号化することもでき、または匿名にすることもできる。さらに他の一機能ではソフトウェアアプリケーション300は、たとえばパッチ10の交換、パッチ10との同期、服薬、医師へデータを送信すること、医師の受診のスケジューリング等の特定の行動をとるためのプログラミング可能なまたは事前決定されたリマインダを、ユーザまたは親に提供することができる。
これと共に、またはこれに代えて、パッチ10および計算装置14のいずれか一方または両方に、種々のセキュリティ層および/またはプライバシー層を設けることもできる。たとえば送信および受信される無線データは、パッチおよび/または計算装置14においてローカルに、ハードウェアおよび/またはソフトウェアの機構を介して暗号化することができる。パッチおよび計算装置14のいずれか一方または両方は、ユーザIDおよびパスワードを使用することができる。無線データ送信および/または受信は、許可された対のデバイスに制限することができ、および/または、無線データ送信の到達距離を人為的に、予め定められた距離に制限することができる。たとえばブルートゥースプロトコルを使用する場合、各パッチ10を所定のパスコードによって、たとえば4桁のパスコード等によって、計算装置14と対を成すように設定することができる。よって、パッチ10と計算装置14との対を成すためには、ユーザに対して、パッチ10に割り当てられた正しい4桁のパスコードを入力するように要求することができる。全てのパッチ10についてデフォルト設定のパスコード、たとえば「0000」等を使用することができる。これに代えて、各パッチ10に、パッチ10と共に供給される(たとえば別個のインサート等に印刷され、設けられた等)一意のパスコードを事前プログラミングしておくこともできる。よって、特定のパッチの一意のパスコードを知っているパッチ10のユーザのみが、これと計算装置14との対を成して、パッチ10から送信されたデータを受信することができる。ソフトウェアアプリケーション300は、アプリの起動を許可するためにパスコードもしくはパスワードを使用することができ、または、パスコードまたはパスワードをユーザプロフィールごとに要求することもできる。これに代えて、他の無線接続を保護およびブートストラップするため、ブルートゥースまたはNFCのセキュリティプロトコルを使用することもできる。パッチ10は、無線データ送信および/または受信を禁止するため、または他の態様により制限するためのハードウェアおよび/またはソフトウェアスイッチを備えることができる。一実施例では、ハードウェアスイッチ(たとえばスイッチ46)がパッチを完全に機能不能にすることができる。他の一実施例では、特定の時間中、または時間間隔の間、タイムロックが無線データ送信および/または受信を制限することができる。パッチ10から読み取られたデータは、ソフトウェアアプリケーション300および/またはパッチ10のメモリに自動的に保持すること、または削除することができる。上記のセキュリティ層および/またはプライバシー層のいずれかまたは全部を共に使用することができ、または追加の層も使用することができる。
上記にて特定の実施例および実施形態を参照して本発明を説明したが、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく種々の他の択一的態様を使用して、上記にて説明した構成要素および/またはステップと同等のものに置き換えることが可能であることは明らかである。本発明の範囲から逸脱することなく、特定の状況または特定の要請に合わせて本発明を適応させるように変更を行うことができる。本発明は特定の具現化態様や本願にて記載された実施形態に制限されておらず、特許請求の範囲は、文言に即してまたは均等により、開示されているか否かにかかわらず、特許請求の範囲に属する全ての実施形態を包含するように最も広く解釈すべきである。
他の一実施例では、パッチ10は高周波/近距離通信(NFC)無線プロトコルを使用することができる。パッチ10はブルートゥース無線と共にNFC無線を使用することができ、または、単独の無線方式としてNFC無線を使用することも可能である。よって、互換性のある高周波/近距離通信NFCおよびISO−15693 RFID無線プロトコルの機能を備えた標準的なスマートフォン(またはコンピュータ、タブレット、センサ等)により、パッチ10を読み取ることができる。たとえば、パッチ10を装着している人が睡眠中である場合、スマートフォンを持っている他の人が、高周波/近距離通信NFCおよびISO−15693 RFIDを備えたスマートフォンを用いて、パッチ10の出力を読み取ることができる。近距離通信(NFC)は、互いに接触または接近することにより、通常は数cmを超えない距離に来ることによって(しかし、到達距離をより長くすることも可能である)相互間に無線通信を確立するためのスマートフォンまたはこれに類するデバイスの標準規格の集合である。NFC規格の適用対象は通信プロトコルおよびデータ交換フォーマットであり、NFC規格は、ISO/IEC14443、ISO/IEC15693およびフェリカ(FeliCa(登録商標、以下同じ。))を含む既存の無線周波数識別(RFID)規格に基づく。かかる規格には、ISO/IEC18092、同21481、およびNFCフォーラムによって定義されたものが含まれる。NFCは、近距離無線技術の集合であり、その所要距離は典型的には4cm以下である。NFCはISO/IEC18000−3エアインタフェース上にて13.56MHzで動作し、その伝送速度は106kbit/sから424kbit/sまでの範囲である。NFCは開始側およびターゲットを含み、開始側は、RF電磁界を能動的に発生させ、このRF電磁界がパッシブのターゲットに給電する。
ここでは主にブルートゥース無線プロトコルについて記載しているが、規格に基づくプロトコルや独占権が発生しているプロトコルも含めた、他の種々の無線プロトコルを使用することも可能であることが明らかである。プロトコル例には、以下のもののうちいずれかまたは全部を含むことができる(または、以下のものに限定されることなく、他のプロトコルも含むことができる):
NFC、
RFID、
ワイファイ(Wifi)、
セルラー(Cellular)(アナログまたはデジタル、過去または現在の全ての繰返しを含む)、
ジグビー(ZigBee(登録商標、以下同じ。))、
ルビー(RuBee)等。
実際には、比較的低速の接続にかかわらず、複数の可能な無線接続をブートストラップするために、設定が特に簡単なブルートゥース/ブルートゥースLEまたはNFC等の特定の選択肢の無線を使用することができる。
他の種々の追加ステップを使用して、完成される電池セルおよび電気部品に追加の構造、要素等を設けることができる。一実施例では、デバイスの外側部分、たとえば第1の基板および第2の基板のいずれか一方または両方を、電池セルを他の物、表面等に取り付ける手法によって設けることができる。ここで説明するように、たとえば電池電極33A,33Bと電池コンタクトバッド35A,35Bとの間の導電パッドを介して、電池32を回路34に機械的かつ電気的に結合することができる。他の実施例では(1つまたは複数の)基板は、超音波溶接部、粘着剤、他の接着層、マジックテープ(登録商標、以下同じ。)方式のファスナ、液体またはホットメルト接着剤等を有することができる。他の一実施例では、電池セルの外側部分、たとえば第1の基板および第2の基板のいずれか一方または両方に、印を印刷して、またはラベル等を設けることができる。