JP2019139130A - 画像投射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】投射画像の解像感の低下を抑えつつ画素ずれ補正を行う。【解決手段】画像投射装置は、複数の画素のそれぞれにより光を変調する複数の光変調素子107〜109と、映像信号に応じて、複数の光変調素子を駆動する駆動手段106と、複数の光変調素子により変調された複数の色光を重ね合わせて被投射面に投射して投射画像を表示する光学系111と、複数の色光の間の画素ずれを低減するように映像信号に対する補正処理を行う補正手段105と、映像信号の特性を検出する特性検出手段201とを有する。補正手段は、映像信号の特性に応じて、補正処理における映像信号に対する補正量を変更する、または補正処理を行うか否かを切り替える。【選択図】図1
Description
本発明は、液晶プロジェクタ等の画像投射装置に関する。
液晶プロジェクタのうち、RGB用の3つの液晶パネル(光変調素子)より変調された3つの色光(R光、G光およびB光)を光学的に合成して被投射面に投射するものでは、3つの色光同士のずれにより被投射面上で画素ずれが生じる。特許文献1には、色光ごとの投射画像の位置を補正することで画素ずれを補正できるようにした画像投射装置が開示されている。特許文献1では、入力された映像信号に対して、色ごとに、液晶パネル上に表示される原画像の表示位置を補正する変形処理を行うことで画素ずれを補正する。
しかしながら、画素ずれ補正のための変形処理は、投射画像の解像感を低下させるおそれがある。特許文献1にて開示された画像投射装置では、映像信号の特性にかかわらず常時、画素ずれ補正を行うため、変形処理による解像感の低下が懸念される。
本発明は、投射画像の解像感の低下を抑えつつ画素ずれ補正を行えるようにした画像投射装置を提供する。
本発明の一側面としての画像投射装置は、複数の画素のそれぞれにより光を変調する複数の光変調素子と、映像信号に応じて、複数の光変調素子を駆動する駆動手段と、複数の光変調素子により変調された複数の色光を重ね合わせて被投射面に投射して投射画像を表示する光学系と、複数の色光の間の画素ずれを低減するように映像信号に対する補正処理を行う補正手段と、映像信号の特性を検出する特性検出手段とを有する。補正手段は、映像信号の特性に応じて、補正処理における映像信号に対する補正量を変更する、または補正処理を行うか否かを切り替えることを特徴とする。
本発明の他の一側面としての制御方法は、複数の画素のそれぞれにより光を変調する複数の光変調素子を有し、映像信号に応じて複数の光変調素子を駆動して、該複数の光変調素子により変調された複数の色光を重ね合わせて被投射面に投射して投射画像を表示する画像投射装置に適用される。該制御方法は、複数の色光間の画素ずれを低減するように映像信号に対する補正処理を行う補正ステップと、映像信号の特性を検出するステップとを有する。補正ステップにおいて、映像信号の特性に応じて、補正処理における映像信号に対する補正量を変更する、または補正処理を行うか否かを切り替えることを特徴とする。
なお、画像投射装置のコンピュータに上記制御方法に従う処理を実行させるコンピュータプログラムも、本発明の他の一側面を構成する。
本発明によれば、投射画像の解像感の低下を抑えつつ画素ずれを低減することができる。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
画像投射装置により投射する画像のうち、プレゼンテーション用の画像や電子看板(デジタルサイネージ)のように隣接画素の画素レベルが均一であることが多い(つまりは動きがない)画像においては、固定化しやすい細線や輪郭付近で画素ずれが視認され易い。このため、このような画像に対して画素ずれ補正処理を行うことは画質改善効果が大きい。一方、映画等、ほとんどの期間にわたって動きを伴う映像においては、映像とともに画素ずれが発生している領域も動き続けるために画素ずれが視認され難いため、映像信号が動きを有する場合には画素ずれ補正処理を行う必要性は低い。そこで、本実施例では、映像信号の特性の1つである動き量の大きさに応じた画像ずれ補正処理を行う。また、映像信号に動きがないときは、画素ずれ補正処理を行わない処理に切り替える。
図1は、本発明の実施例1である画像投射装置としての液晶プロジェクタの構成を示している。入力端子101に入力された映像信号は、映像入力回路102でその信号種別が判別され、アナログ映像信号であればA/D変換が行われた上で、デジタル映像信号であれば所定のフォーマットに変換される等した上で動き検出回路103に送られる。
特性検出手段としての動き検出回路103は、映像信号から動き量を検出する。動き検出回路103は、例えば、映像信号において連続する複数フレーム間の画素値の差分の合計値を動き量に相当するものとして出力する。図2に示すように複数フレーム間で大きな動きがある場合は、該フレーム間の画素値の差分の合計値が大きくなる。このため、大きな動き量を検出することができる。一方、図3に示すように複数フレーム間で動きが全く又はほとんどない場合は、該フレーム間の画素値の差分の合計値は小さくなる。このため、検出される動き量は小さくなる。
なお、映像信号(フレーム画像)を領域分割して、該領域ごとの動き量の重み付け平均値等を用いて動きを検出する注目領域を設定してもよい。また、上記のような画素値の差分の合計値に代えて、複数フレーム間で抽出した特徴点または特定オブジェクトの動きを動きベクトルとして検出し、該動きベクトルの大きさを動き量として出力してもよい。特定オブジェクトとしては、例えば図2および図3に示すような幾何学図形部分であってもよい。
動き検出回路103を通過した映像信号は映像処理回路104に入力される。映像処理回路104は、映像信号に対して後述する液晶パネルの駆動に適したフォーマットに変換する処理や、操作パネル121やリモートコントローラ(以下、リモコンという)122等を用いてユーザにより指示された処理を行う。これらの処理を受けた映像信号は、画素ずれ補正回路105に入力される。補正手段としての画素ずれ補正回路105は、映像信号に対して画素ずれ補正処理を行い、該補正処理後の映像信号をパネル駆動回路106に入力される。画素ずれ補正回路105が行う画素ずれ補正処理については後述する。
光源(ランプ)110を出射した白色光は、光学系111により3つの色光としてのR光、G光およびB光に分離され、色光ごとの液晶パネル107,108,109に導かれる。駆動手段としてのパネル駆動回路106は、光変調素子としての液晶パネル107,108,109によりその画素ごとに変調されたR光、G光およびB光が映像信号に応じた適切な輝度を有するように液晶パネル107,108,109を駆動する。すなわち、パネル駆動信号を各液晶パネルに供給する。パネル駆動信号を受けた各液晶パネルは、各色光を変調するための原画像を形成する。原画像は、画素ずれ補正回路105からの映像信号に応じて、該映像信号のフレームごとに形成される画像である。
液晶パネル107,108,109により変調されたR光、G光およびB光は、光学系111によって合成されてスクリーン(被投射面)201上にて重ね合わせられるように該スクリーン201に投射される。これにより、スクリーン201上にフルカラー画像としての投射画像が表示される。
画素ずれ補正回路105は、液晶パネル107,108,109上に形成される原画像を、スクリーン201上で3つの色光間に画素ずれが生じないように変形する処理として画素ずれ補正処理を行う。コントローラ111は、上記各回路の動作を制御する。
以下、画素ずれ補正処理について説明する。動き検出回路103は、RGBの色ごとに、図4に示す原画像内の複数の代表点における水平方向と垂直方向の動き量のそれぞれを検出する。ここにいう代表点は、原画像を複数に分割するように配置された複数の水平ラインと複数の垂直ラインとの交点である。
ユーザは操作パネル113またはリモコン114の操作(ユーザ操作)を通じて、各代表点について、互いに直交する2方向である水平方向と垂直方向のそれぞれの画素ずれ調整量設定する。具体的には、任意の入力画像もしくは画素ずれ調整用の内蔵テストパターンの投射画像を見て目視で設定する。画素ずれ補正回路105は、各代表点に対して設定された画素ずれ調整量を用いて、変形後(補正後)の画像の全座標(つまりは変形後画像を表示する液晶パネルの全画素の座標)のそれぞれに対応する変形前(補正前)の座標を算出する。すなわち、液晶パネル上の画素(x,y)のそれぞれに対応する変形前画像の画素(x’,y’)を算出し、該画素(x’,y’)の画素値を液晶パネル上の画素(x,y)に表示することで、液晶パネル上に変形後画像を表示する。
具体的には、画素ずれ補正回路105は、図4に示す原画像内の代表点(i,j)、(i+1,j)、(i,j+1)、(i+1,j+1)に対して画素ずれ補正量を色ごとに設定する。例えば、(i,j)のRの水平方向の画素ずれ調整量をHri,j、垂直方向の画素ずれ調整量をVri,j、Gの水平および垂直方向の画素ずれ調整量をHgi,j、Vgi,j、Bの画素ずれ調整量をHbi,j、Vbi,jとする。なお、これらの画素ずれ調整量は、1画素単位でもよいし、1画素未満単位でもよい。
動き検出回路103は、図5に示すように、動き量が0である(動きがない)ときに1で、動き量の増加とともに減少して、動きがないときに0となる動き補正係数αを出力する。
画素ずれ補正回路105は、以下の式(1)に示すように、動き量に応じたRの水平方向の画素ずれ補正量hri,j、hri+1,j、hri,j+1、hri+1,j+1および垂直方向の画素ずれ補正量vri,j、vri+1,j、vri,j+1、vri+1,j+1を、ユーザ設定の画素ずれ調整値に動き補正係数αを乗算することで算出する。なお、式(1)では、hri,j、vri,jのみを示している。
なお、hri,j、vri,jは、1画素単位でもよいし、1画素未満単位でもよい。この計算(αの乗算)により、画素ずれ補正回路105は、検出された動き量が大きいほど小さい画素ずれ補正量を用いて画素ずれ補正処理を行う。言い換えれば、検出された動き量が第1の動き量であるときは画素ずれ補正量が第1の補正量を設定し、検出された動き量が第1の動き量より大きい第2の動き量であるときは画素ずれ補正量を第1の補正量より小さい第2の補正量に設定する。
図6は、図4に示した原画像の変形の例を示す。変形後の原画像内での4つの座標(x,y)をするとき、該座標(x,y)に対応する変形前の原画像内での座標(x’,y’)は、射影変換により以下の式(2)により求められる。
である。
ここで、図6に示すように、変形後の原画像内での座標(x,y)の各色の輝度値は、変換前の原画像内での座標(x’,y’)の各色の輝度値とする。なお、(x’,y’)は整数でなくてもよい。
また、画素ずれ補正回路105は、図6に示すように、座標(x,y)の周辺座標xi、yi、xi+1、yi+1のそれぞれの色輝度値から、座標(x,y)の輝度値を求める補間演算を以下の式(3)を用いて行う。Rの補間演算は、線形補間によって以下のように行う。GおよびBについても同様である。
以上説明した画素ずれ補正処理(変形処理)により、例えば図8に示すような1本の線としての原画像を変形すると、図9に示すような線の中心が画素と画素の間にずれて見えるように変形された原画像が得られる。
本実施例では、映像信号(原画像)に動きがない場合は画素ずれ補正量が色ごとに設定されることで、被投射面上で視認され易い複数の色間の画素ずれが低減(補正)される。このとき、図9に示すような変形処理は投射画像の解像感が低下を伴うが、映像信号が画素ずれの視認性があまり高くない動きのある映像を示す場合は、変形処理は行われず、図8に示すように解像感が維持される。
動き量に応じてαを変える場合に、急激な画素ずれの変化が視認される場合がある。このため、図10に破線で例示したように、αを動き量の変化に完全に同期させるのではなく、図11に実線で例示したように急激な変化をしない(滑らかに変化する)ように制御することが望ましい。
一方、シーンの切り替わりなどにおいては、急激な画素ずれが変化しても視認性への影響は少ない。そこで、通常は、入力映像におけるシーンの切り替わりを検出し、切り替わりが検出されない場合は急激な変化をしないように、切り替わりを検出した場合に図10の破線のように急激な変化を許容するように制御してもよい。
図12のフローチャートは、動き検出回路103および画素ずれ補正回路105が行う画素ずれ補正処理の流れを示している。コンピュータにより構成される動き検出回路103および画素ずれ補正回路105は、コンピュータプログラムに従って本処理を実行する。
ステップS101では、動き検出回路103は、映像信号(原画像)において検出した動き量が所定値以上か否かを判定する。動き量が所定値より小さい場合はステップS102に進み、所定値以上である場合はステップS103に進む。
ステップS102では、画素ずれ補正回路105は、映像信号に対して上述した画像ずれ補正処理を行う。そしてステップS104に進む。このとき、画素ずれ補正回路105は、動き検出回路103が出力するαに応じて、検出された動き量が大きいほど小さい画素ずれ補正量を用いて、言い換えれば動き量が小さいほど大きい画素ずれ補正量を用いて画素ずれ補正処理を行う画素ずれ補正処理を行う。
ステップS103では、画素ずれ補正回路105は、映像信号に対して画像ずれ補正処理を行わずにステップS104に進む。
ステップS104では、画素ずれ補正回路105による画素ずれ補正処理が原画像の全領域に対して完了したか否かを判定し、完了していない場合はステップS101に戻って、次の領域に対するステップS101からの処理を行う。一方、画素ずれ補正処理が原画像の全領域に対して完了した場合は、本処理を終了する。
次に、本発明の実施例2について説明する。本実施例における液晶プロジェクタの構成は、実施例1と同じである。本実施例では、動き検出回路103は、図4に示したように原画像を複数に分割するように配置された複数の水平ラインと複数の垂直ラインとの交点ごとに、該交点およびその近傍における水平方向の動き量と垂直方向の動き量のそれぞれを検出する。
以下、本実施例において画素ずれ補正回路105が行う画素ずれ補正処理について説明する。本実施例でも、ユーザは操作パネル113またはリモコン114の操作を通じて、RGBの色ごとに、図4に示した原画像内の複数の代表点について、互いに直交する2方向である水平方向と垂直方向のそれぞれの画素ずれ調整量を設定する。画素ずれ補正回路105は、各代表点に対して設定された画素ずれ調整量と動き検出回路103が出力するαを用いて、変形後の全座標のそれぞれに対応する変形前の座標を算出する。
具体的には、画素ずれ補正回路105は、図4に示す原画像内の代表点(i,j)、(i+1,j)、(i,j+1)、(i+1,j+1)に対して画素ずれ補正量を色ごとに設定する。例えば、(i,j)のRの水平方向の画素ずれ調整量をHri,j、垂直方向の画素ずれ調整量をVri,j、Gの水平および垂直方向の画素ずれ調整量をHgi,j、Vgi,j、Bの画素ずれ調整量をHbi,j、Vbi,jとする。なお、これらの画素ずれ調整量は、1画素単位でもよいし、1画素未満単位でもよい。
動き検出回路103は、図13(A)に示すように、水平方向の動き量が0のとき(動きがない)ときに1で、水平方向の動き量の増加とともに減少して、動きがないときに0となる代表点ごとの動き補正係数αi,jを出力する。また、動き検出回路103は、図13(B)に示すように、垂直方向の動き量が0のとき(動きがない)ときに1で、垂直方向の動き量の増加とともに減少して、動きがないときに0となる代表点ごとの動き補正係数βi,jを出力する。
画素ずれ補正回路105は、以下の式(4)に示すように、動き量に応じたRの水平方向の画素ずれ補正量hri,j、hri+1,j、hri,j+1、hri+1,j+1および垂直方向の画素ずれ補正量vri,j、vri+1,j、vri,j+1、vri+1,j+1を、ユーザ設定の画素ずれ調整値に動き補正係数αを乗算することで算出する。なお、式(4)では、hri,j、vri,jのみを示している。
なお、hri,j、vri,jは、1画素単位でもよいし、1画素未満単位でもよい。この計算(αi,j,βi,jの乗算)により、画素ずれ補正回路105は、検出された動き量が大きいほど、小さい画素ずれ補正量を用いて画素ずれ補正処理を行う。言い換えれば、検出された動き量が第1の動き量であるときは画素ずれ補正量が第1の補正量を設定し、検出された動き量が第1の動き量より大きい第2の動き量であるときは画素ずれ補正量を第1の補正量より小さい第2の補正量に設定する。
実施例1と同様に、図6は、図4に示した原画像の変形の例を示す。変形後の原画像内での4つの座標(x,y)をするとき、該座標(x,y)に対応する変形前の原画像内での座標(x’,y’)は、射影変換により実施例1に示した式(2)により求められる。また、Rの補間演算は、線形補間によって式(3)のように行う。GおよびBについても同様である。
以上説明した画素ずれ補正処理(変形処理)により、例えば図8に示すような1本の線としての原画像を変形すると、図9に示すような変形された原画像が得られる。
本実施例でも、映像信号(原画像)に動きがない場合は画素ずれ補正量が色ごとに設定されることで、被投射面上で視認され易い複数の色間の画素ずれが低減(補正)される。このとき、図9に示すような変形処理は投射画像の解像感が低下を伴うが、映像信号が画素ずれの視認性があまり高くない動きのある映像を示す場合は、変形処理は行われず、図8に示すように解像感が維持される。
また、動き量に応じてαi,j、βi,jを変える場合、急激な画素ずれの変化を視認できる場合がある。このため、図14に破線で例示するように、αi,j、βi,jを動き量の変化に完全に同期させるのではなく、図15に実線で示すように急激な変化をしない(滑らかに変化する)ように制御することが望ましい。
次に、本発明の実施例3について説明する。投射画像における画素ずれは、RGBの相対的な位置ずれが原因であり、投射画像のうち画素ずれが視認され易い箇所はRGBが2色以上混色された箇所である。RGBのうち2色もしくは3色の輝度レベルが高い場合は、細線や輪郭付近で画素ずれが視認され易いため、これに対して画素ずれ補正処理を行うことは画質改善効果が大きい。一方、投射画像におけるRGBのうち1色のみの輝度が高い場合、すなわち投射画像の単色性が高い場合は、線や輪郭付近で発生した画素ずれは視認されにくく、画素ずれ補正処理を行う必要性は低い。このため、本実施例では、映像信号の特性の1つである単色性に応じた画素ずれ補正処理を行う。また、映像信号が単色でない場合は、画像ずれ補正処理を行わない処理に切り替える。
図16は本実施例の画像投射装置としての液晶プロジェクタの構成を示している。本実施例の液晶プロジェクタは、実施例1(図1)で説明した動き検出回路103に代えて、特性検出手段としての単色性判定回路201を有する。他の構成要素は実施例1と同じであり、共通する構成要素には図1中の符号と同符号を付して説明に代える。
単色性判定回路103は、映像入力回路102を介して入力された映像信号の特性の1つである色に関して、単色性が高いか否か、言い換えれば単色であるか否かを判定(検出)し、該単色性に応じた単色性補正係数δを出力する。例えば、単色性判定回路103は、映像信号のフレームごとの画素値の平均をR、G、Bとして、Saturation(彩度)およびHue(色相)を以下のように求める。
そして、単色性判定回路103は、Hueが単色の色相範囲(特定色相範囲)(0〜30、90〜150、210〜270または330〜360)であり、かつSaturationが所定の閾値(所定彩度)以下ある場合は、映像信号は単色性が高いと判定する。一方、Hueが単色の色相範囲ではない又はSaturationが所定の閾値より高い場合は、映像信号は単色性が低いと判定する。このとき、単色性判定回路103は、映像信号の色相とRGB単色等の特定色相(例えばR単色:0、G単色:120およびB単色:240のうち少なくとも1つ)との差分量が小さいほど又は該映像信号の彩度が高いほど、より単色性が低いと判定してもよい。
例えば、図17(A)に示すようにRGBのうち複数の色が大きな値を持つ場合は、単色でないと判定される。一方、図17(B)に示すようにRGBのうち単一の色のみが大きな値を持つ場合は、映像信号は単色であると判定される。単色性判定回路103は、映像信号の単色性が高いときに1で、単色性が低くなるほど0に近づき、単色ではないときに0となる単色性補正係数δを出力する。
本実施例において画像ずれ補正回路105が行う画素ずれ補正処理について説明する。本実施例でも、ユーザは操作パネル113またはリモコン114の操作を通じて、RGBの色ごとに、図4に示した原画像内の複数の代表点について、互いに直交する2方向である水平方向と垂直方向のそれぞれの画素ずれ調整量を設定する。画素ずれ補正回路105は、各代表点に対して設定された画素ずれ調整量と単色補正係数δを用いて、変形後の全座標のそれぞれに対応する変形前の座標を算出する。
具体的には、画像ずれ補正回路105は、図4に示す原画像内の代表点(i,j)、(i+1,j)、(i,j+1)、(i+1,j+1)に対して画素ずれ補正量を色ごとに設定する。例えば、(i,j)のRの水平方向の画素ずれ調整量をHri,j、垂直方向の画素ずれ調整量をVri,j、Gの水平および垂直方向の画素ずれ調整量をHgi,j、Vgi,j、Bの画素ずれ調整量をHbi,j、Vbi,jとする。なお、これらの画素ずれ調整量は、1画素単位でもよいし、1画素未満単位でもよい。
そして、画素ずれ補正回路105は、以下の式(6)に示すように、Rの水平方向の画素ずれ補正量hri,j、hri+1,j、hri,j+1、hri+1,j+1および垂直方向の画素ずれ補正量vri,j、vri+1,j、vri,j+1、vri+1,j+1を、ユーザ設定の画素ずれ調整量に単色補正係数δを乗算することで算出する。なお、式(6)では、hri,jとvri,jのみを示している。
なお、hri,j、vri,jは、1画素単位でもよいし、1画素未満単位でもよい。この計算(δの乗算)により、画素ずれ補正回路105は、映像信号の単色性が高いほど、小さい画素ずれ補正量を用いて画素ずれ補正処理を行う。言い換えれば、単色性が第1の単色性であるときは画素ずれ補正量を第1の補正量を設定し、単色性が第1の単色性より高い第2の単色性であるときは画素ずれ補正量を第1の補正量より小さい第2の補正量に設定する。
実施例1と同様に、図6は、図4に示した原画像の変形の例を示す。変形後の原画像内での4つの座標(x,y)をするとき、該座標(x,y)に対応する変形前の原画像内での座標(x’,y’)は、射影変換により実施例1に示した式(2)により求められる。また、Rの補間演算は、線形補間によって式(3)のように行う。GおよびBについても同様である。
本実施例でも、図8に示したような1本の線としての原画像に対して画素ずれ補正処理を行うことで、図9に示すように変形された原画像が得られる。
映像信号の単色性が低い場合は、画素ずれ補正量が色ごとに設定されることで、被投射面上で視認され易い複数の色間の画素ずれが低減(補正)される。このとき、図9に示すような変形処理は投射画像の解像感が低下を伴うが、映像信号が画素ずれの視認性があまり高くない単色性の高い映像信号である場合は、変形処理は行われず、図8に示すように解像感が維持される。
また、単色性に応じてδを変える場合に、急激な画素ずれの変化が視認される場合がある。このため、図10にαについて破線で例示したのと同様に、δを単色性の変化に完全に同期させるのではなく、図11にαについて実線で例示したのと同様に急激な変化をしない(滑らかに変化する)ように制御することが望ましい。
図18のフローチャートは、単色性判定回路201および画素ずれ補正回路105が行う画素ずれ補正処理の流れを示している。コンピュータにより構成される単色性判定回路201および画素ずれ補正回路105は、コンピュータプログラムに従って本処理を実行する。
ステップS201では、単色性判定回路201は、映像信号(原画像)の単色性が所定値より高いか否かを判定する。単色性が所定値より低い場合はステップS202に進み、単色性が所定値以上である場合はステップS203に進む。
ステップS202では、画素ずれ補正回路105は、映像信号に対して上述した画像ずれ補正処理を行う。このとき、画素ずれ補正回路105は、単色性が高いほど小さい画素ずれ補正量を用いて、言い換えれば単色性が低いほど大きい画素ずれ補正量を用いて画素ずれ補正処理を行う。そして、ステップS201に戻る。
ステップS203では、画素ずれ補正回路105は、映像信号に対して画像ずれ補正処理を行わずにステップS201に戻る。
次に、本発明の実施例4について説明する。本実施例の液晶プロジェクタも、実施例3と同様に単色性判定回路201を有する。本実施例では、単色性判定回路201は、図4に示したように原画像を複数に分割するように配置された複数の水平ラインと複数の垂直ラインとの交点ごとに、該交点およびその近傍における水平方向の単色性と垂直方向の単色性のそれぞれを判定(検出)する。
以下、本実施例において画素ずれ補正回路105が行う画素ずれ補正処理について説明する。本実施例でも、ユーザは操作パネル113またはリモコン114の操作を通じて、RGBの色ごとに、図4に示した原画像内の複数の代表点について、互いに直交する2方向である水平方向と垂直方向のそれぞれの画素ずれ調整量を設定する。画素ずれ補正回路105は、各代表点に対して設定された画素ずれ調整量と後述する単色性補正係数を用いて、変形後の全座標のそれぞれに対応する変形前の座標を算出する。
具体的には、画素ずれ補正回路105は、図4に示す原画像内の代表点(i,j)、(i+1,j)、(i,j+1)、(i+1,j+1)に対して画素ずれ補正量を色ごとに設定する。例えば、(i,j)のRの水平方向の画素ずれ調整量をHri,j、垂直方向の画素ずれ調整量をVri,j、Gの水平および垂直方向の画素ずれ調整量をHgi,j、Vgi,j、Bの画素ずれ調整量をHbi,j、Vbi,jとする。なお、これらの画素ずれ調整量は、1画素単位でもよいし、1画素未満単位でもよい。
単色性判定回路201は、各色の画素値(つまりは単色性)に応じて、以下の式(7)に示す水平方向および垂直方向の単色性補正係数Hoffseti,jおよびVoffseti,jを出力する。
式(7)において、映像信号の注目画素の周辺のR,G,Bの画素値の平均をそれぞれ、Ri,j、Gi,j、Bi,jとする。また、Hri,j、Hgi,j、Hbi,jのうち、Ri,j、Gi,j、Bi,jで最大値をとる色の水平方向の画素ずれ補正量をHMaxColori,j、2番目の水平方向の画素ずれ補正量をHMidColori,jとする。同様に、垂直方向の画素ずれ補正量をVMaxColori,j、VMidColori,jとする。
画素ずれ補正回路105は、以下の式(8)のように、ユーザ設定の画素ずれ調整量Hri,j、Vri,j、Hgi,j、Vgi,j、Hbi,j、Vbi,jから単色性補正係数Hoffseti,j、Voffseti,jを減算することにより、単色性補正がなされた画素ずれ補正量hri,j、vri,j、hgi,j、vgi,j、hbi,j、vbi,jを算出する。
図19は、座標(i,j)に対して設定された画素ずれ補正量Hri,j、Hgi,j、Hbi,jに対して、RGBの輝度値に応じて単色性補正がなされた画素ずれ補正量hri,j、hgi,j、hbi,jを示す。例えば、Gの輝度値が255で他の色の輝度値が0であれば、G単色であるので、hgi,j =0となる。
本実施例では、単色性を判定する代表点と画素ずれ補正処理を行う代表点とが一致している場合について示したが、これらは必ずしも一致している必要はない。これらが一致していない場合は、単色性を判定する代表点と画素ずれ補正処理を行う代表点のうち互いに近傍の代表点同士で対応付けを行えばよい。また、画素ずれ補正処理の代表点の近傍の複数の単色性を判定する代表点から、該画素ずれ補正処理の代表点に対応するRi,j、Gi,j、Bi,jを算出すればよい。
実施例1と同様に、図6は、図4に示した原画像の変形の例を示す。変形後の原画像内での4つの座標(x,y)をするとき、該座標(x,y)に対応する変形前の原画像内での座標(x’,y’)は、射影変換により実施例1に示した式(2)により求められる。また、Rの補間演算は、線形補間によって式(3)のように行う。GおよびBについても同様である。
本実施例でも、図8に示したような1本の線としての原画像に対して画素ずれ補正処理を行うことで、図9に示すように変形された原画像が得られる。
映像信号の単色性が低い場合は、画素ずれ補正量が色ごとに設定されることで、被投射面上で視認され易い複数の色間の画素ずれが低減(補正)される。このとき、図9に示すような変形処理は投射画像の解像感が低下を伴うが、映像信号が画素ずれの視認性があまり高くない単色性の高い映像信号である場合は、変形処理は行われず、図8に示すように解像感が維持される。
また、単色性に応じてHOffseti,j、VOffseti,jを変える場合に、急激な画素ずれの変化が視認される場合がある。このため、図20(A)に破線で例示したように、HOffseti,j、VOffseti,jを単色性の変化に完全に同期させるのではなく、図20(B)に実線で例示したように急激な変化をしない(滑らかに変化する)ように制御することが望ましい。
なお、上記実施例1〜4では、映像信号の特性として、動き量および単色性を検出する場合について説明したが、他の映像信号の特性として、映像信号の周波数特性やエッジ部を含むか否か等も含まれる。高周波成分が多い映像信号やエッジ部を含む映像信号に対しては画素ずれ補正処理を行い、低周波成分が多い映像信号やエッジ部を含まない映像信号に対しては画素ずれ補正処理を行わないようにしてもよい。
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
103 動き検出回路
105 画素ずれ補正回路
107、108、109 液晶パネル
201 単色性判定回路
105 画素ずれ補正回路
107、108、109 液晶パネル
201 単色性判定回路
Claims (17)
- 複数の画素のそれぞれにより光を変調する複数の光変調素子と、
映像信号に応じて、前記複数の光変調素子を駆動する駆動手段と、
前記複数の光変調素子により変調された複数の色光を重ね合わせて被投射面に投射して投射画像を表示する光学系と、
前記複数の色光の間の画素ずれを低減するように前記映像信号に対する補正処理を行う補正手段と、
前記映像信号の特性を検出する特性検出手段とを有し、
前記補正手段は、前記特性に応じて、前記補正処理における前記映像信号に対する補正量を変更する、または前記補正処理を行うか否かを切り替えることを特徴とする画像投射装置。 - 前記特性は、前記映像信号の動き量であることを特徴とする請求項1に記載の画像投射装置。
- 前記補正手段は、前記動き量が第1の動き量であるときは前記補正量を第1の補正量を設定し、前記動き量が前記第1の動き量より大きい第2の動き量であるときは前記補正量を前記第1の補正量より小さい第2の補正量に設定することを特徴とする請求項2に記載の画像投射装置。
- 前記特性検出手段は、前記映像信号が形成する画像内の複数の位置のそれぞれにおいて前記動き量を検出し、
前記補正手段は、前記位置ごとの前記動き量に応じて該位置ごとに前記補正量を設定することを特徴とする請求項2または3に記載の画像投射装置。 - 前記特性検出手段は、前記映像信号が形成する画像内の互いに直交する2つの方向のそれぞれにおいて前記動き量を検出し、
前記補正手段は、前記方向ごとの前記動き量に応じて該方向ごとに前記補正量を設定することを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の画像投射装置。 - 前記特性検出手段は、前記映像信号において連続する複数フレーム間の画素値の差分の合計値を前記動き量として検出することを特徴とする請求項2から5のいずれか一項に記載の画像投射装置。
- 前記補正手段は、前記補正処理における単位時間当たりの前記補正量の変化量が所定値より小さくなるように前記補正量を設定することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の画像投射装置。
- 前記映像信号が形成する画像のシーンの切り替わりを検出するシーン検出手段を有し、
前記補正手段は、前記シーンの切り替わりに際しては、単位時間あたりの前記補正量の変化量にかかわらず補正量を設定することを特徴とする請求項7に記載の画像投射装置。 - 前記特性は、前記映像信号の単色性であることを特徴とする請求項1に記載の画像投射装置。
- 前記補正手段は、前記単色性が第1の単色性であるときは前記補正量を第1の補正量に設定し、前記単色性が前記第1の単色性より高い第2の単色性であるときは前記補正量を前記第1の補正量より小さい第2の補正量に設定することを特徴とする請求項9に記載の画像投射装置。
- 前記特性検出手段は、前記映像信号が形成する画像内の複数の位置のそれぞれにおいて前記単色性を検出し、
前記補正手段は、前記位置ごとの前記単色性に応じて該位置ごとに前記補正量を設定することを特徴とする請求項9または10に記載の画像投射装置。 - 前記補正手段は、前記映像信号の色相が特定色相範囲にあり、かつ該映像信号の彩度が所定彩度より低い場合は高い前記単色性を検出し、前記色相が前記特定色相範囲にない又は前記彩度が前記所定彩度より高い場合は低い前記単色性を検出することを特徴とする請求項9から11のいずれか一項に記載の画像投射装置。
- 前記補正手段は、前記映像信号の色相と特定色相との差分量が小さいほど又は該映像信号の彩度が高いほど、より低い前記単色性を検出することを特徴とする請求項9から12のいずれか一項に記載の画像投射装置。
- 前記特定色相は、赤色、緑色および青色のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項13に記載の画像投射装置。
- 前記画素ずれを調整するための調整値のユーザ設定を可能とする調整手段を有し、
前記補正手段は、前記調整値に対して前記特性に応じた係数を乗算する又は前記調整値から前記特性に対応する係数を減算することで前記補正量を算出することを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の画像投射装置。 - 複数の画素のそれぞれにより光を変調する複数の光変調素子を有し、映像信号に応じて前記複数の光変調素子を駆動して、該複数の光変調素子により変調された複数の色光を重ね合わせて被投射面に投射して投射画像を表示する画像投射装置の制御方法であって、
前記複数の色光間の画素ずれを低減するように前記映像信号に対する補正処理を行う補正ステップと、
前記映像信号の特性を検出するステップとを有し、
前記補正ステップにおいて、前記特性に応じて、前記補正処理における前記映像信号に対する補正量を変更する、または前記補正処理を行うか否かを切り替えることを特徴とする画像投射装置の制御方法。 - 複数の画素のそれぞれにより入射光を変調する複数の光変調素子を有し、映像信号に応じて前記複数の光変調素子を駆動して、該複数の光変調素子により変調された複数の色光を重ね合わせて被投射面に投射して投射画像を表示する画像投射装置のコンピュータに、請求項16に記載の制御方法に従う処理を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
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JP2018023903A JP2019139130A (ja) | 2018-02-14 | 2018-02-14 | 画像投射装置 |
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CN115190281A (zh) * | 2022-06-30 | 2022-10-14 | 海宁奕斯伟集成电路设计有限公司 | 调整投影仪投影位置的装置及方法 |
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2018
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CN115190281A (zh) * | 2022-06-30 | 2022-10-14 | 海宁奕斯伟集成电路设计有限公司 | 调整投影仪投影位置的装置及方法 |
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