JP2019138674A - 汚染土壌の処理方法及び汚染土壌の処理システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 減容化して最後に残った汚染土粒子についても、短期に基準放射線量以下にして、再利用することができるようにして、処理効率の向上を図る。【解決手段】 汚染土壌に洗浄水を加えて撹拌する撹拌洗浄工程(1)と、撹拌した混合物から浮揚物を分離して取出す浮揚物取出し工程(2)と、浮揚物が取出された混合物中の土粒子を分級して第1土粒子を取出す第1分級取出し工程(3)と、第1土粒子が取出された混合物中の土粒子を分級して第2土粒子を取出す第2分級取出し工程(4)と、第2土粒子が取出された混合物から沈殿分離により上澄み水を取出す沈殿分離工程(5)と、上澄み水が取出され残余洗浄水を含む混合物に、シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を混合して焼成し焼成固形物を得る固形化工程(6)とを備えた。【選択図】 図1
Description
本発明は、放射性セシウム及び/またはその化合物等の放射性物質に汚染された汚染土壌の再利用を行うための汚染土壌の処理方法及び汚染土壌の処理システムに関する。
平成23年(2011年)の「東日本大震災」では福島第1原発の事故でセシウム等の放射性物質が飛散したことから、地面が放射性物質に汚染された地域では、この地面の表面を掻取、これを汚染土壌として集積して保管している。その集積量は膨大であることから、この集積した汚染土壌を処理して再利用することが検討されている。
その対策として、例えば、特開2015−221421号公報(特許文献1)記載の汚染土壌の処理方法を用いて減容化処理することが検討される。これによれば、先ず、汚染土壌をミキサーに投入して塊解し、これを振動篩上を通過させながら洗浄水を散布して洗浄し、分級して2mm以上の土粒子を取出す。2mm以上の粒子については、産物としてそのまま再利用できるようになる。一方、2mm未満の土粒子及び水については、吹付け装置を用いて壁面に吹き付け、土粒子に衝撃力を作用させて細分化する。その後、バケット排出型分級機により、75μm以上の粒子を取り出す。75μm以上の粒子については、産物としてそのまま再利用できるようになる。一方、75μm未満の粒子を含む水(泥水)については、濃度の高い汚染物質が含まれていると考えられるので、フィルタープレス等を用いて脱水を行い減容化した後、これらの粒子及び水を、夫々、廃棄物の処理基準及び環境基準を満たすような処理を行った後、処分する。
現状は、法律で、放射線量が8000Bq/kgを基準とし、8000Bq/kg以下であれば、一般廃棄物と同様の埋め立て処分等ができる一方、8000Bq/kg超のものについては、例えば容器に収容し、中間貯蔵施設において、例えば半減期間30年間という長い期間、保管,管理して減衰させ、その後の処理に委ねている。
ところで、上記従来の汚染土壌の処理方法においては、汚染土壌を減容化しても、最後に残った放射線量の高い土粒子については、廃棄物の処理基準及び環境基準を満たすような長期間の減衰化処理を行った後、その後の処分に委ねざるを得ないので、長期間の再利用が望めない。また、これらは処分保留の状態で保管場所に溜まり続けることになり、それだけ、保管,管理が煩雑になってしまい、そのため、汚染土壌の処理効率を損ねているという問題があった。
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、減容化して最後に残った汚染土粒子についても、短期に基準放射線量以下にして、再利用することができるようにして、処理効率の向上を図った汚染土壌の処理方法及び汚染土壌の処理システムを提供することを目的とする。
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、減容化して最後に残った汚染土粒子についても、短期に基準放射線量以下にして、再利用することができるようにして、処理効率の向上を図った汚染土壌の処理方法及び汚染土壌の処理システムを提供することを目的とする。
このような目的を達成するための本発明の汚染土壌の処理方法は、放射性物質に汚染された汚染土壌の処理を行う汚染土壌の処理方法において、
汚染土壌をこれに洗浄水を加えて撹拌して洗浄し、該撹拌した混合物から浮揚物を分離して取出し、浮揚物が取出された混合物中の土粒子を分級して所定粒径以上の土粒子を取出し、所定粒径以上の土粒子が取出された混合物から沈殿分離により上澄み水を取出し、上澄み水が取出され残余洗浄水を含む混合物に、シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を混合して焼成し焼成固形物を得る構成としている。
汚染土壌をこれに洗浄水を加えて撹拌して洗浄し、該撹拌した混合物から浮揚物を分離して取出し、浮揚物が取出された混合物中の土粒子を分級して所定粒径以上の土粒子を取出し、所定粒径以上の土粒子が取出された混合物から沈殿分離により上澄み水を取出し、上澄み水が取出され残余洗浄水を含む混合物に、シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を混合して焼成し焼成固形物を得る構成としている。
これにより、汚染土壌を処理するときは、先ず、汚染土壌に洗浄水を加えて撹拌して洗浄する。この場合、土壌の粒子の表面にセシウム等の放射性物質が吸着しているが、主に粗粒の土壌においてはその表面が放射性物質を吸着したまま細かく剥離して細粒化していく。そのため、元々ある細粒の土粒子をはじめ、粗粒の土壌から剥離して細粒化された細粒の土粒子に、放射性物質が吸着したままこれらが洗浄水に分散して行く。それから、撹拌した混合物において、浮揚物を取出す。浮揚物としては、比重の軽い、例えば、木や草などの植物がほとんどなので、これを取り除くことができる。浮揚物は、焼却等で処理することができる。
次に、浮揚物が取出された混合物中の土粒子を分級して所定粒径以上の土粒子を取出す。放射性物質は所定粒径に満たない細粒の土粒子に主に吸着しているので、所定粒径以上の土粒子に吸着した放射性物質は、極めて少なくなっており、そのため、この取出した所定粒径以上の土粒子を、そのまま、再利用に供することができるようになる。次にまた、所定粒径以上の土粒子が取出された混合物から沈殿分離により上澄み水を取出す。所定粒径に満たない細粒の土粒子は沈殿していく。放射性物質は所定粒径に満たない細粒の土粒子に主に吸着しているので、上澄み水の放射線量が比較的少ない場合には、放流などで再利用することができるが、放射線濃度により、洗浄水として循環して用いることが望ましい。
その後、上澄み水が取出され残余洗浄水を含む混合物に、シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を混合して焼成し焼成固形物を得る。この場合、混合物には、予め、残余洗浄水があるので、シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を混合させやすくなる。水が不足の場合には、別に加えることができる。焼成の際には、シラスバルーンは、シラスを800℃〜1200℃で急速に加熱処理し、発泡させることにより得られる微細で約8MPaの圧力で略60%破壊する中空構造体である。そのため、900℃〜1000℃の比較的低温の温度で液状化し、セシウムやセシウム化合物等の放射性物質をこのシラスバルーンの溶融または半溶融物に取り込んで封じ込めることができる。焼成固形物は、放射性物質が取り込まれ、しかも、耐熱性,耐薬品性等の機能に優れ、経年変化が極めて少ない耐久性の高いものにすることができる。そのため、放射線量も少なくすることができるので、これを、保管,管理することなく、そのまま種々に利用することができるようになる。即ち、減容化して最後に残った汚染土粒子についても、短期に基準放射線量以下にして、再利用することができるようになり、処理効率を向上させることができる。
より具体的には、本発明は、放射性物質に汚染された汚染土壌の処理を行う汚染土壌の処理方法において、
汚染土壌に洗浄水を加えて撹拌する撹拌洗浄工程と、
該撹拌洗浄工程で撹拌した混合物から浮揚物を分離して取出す浮揚物取出し工程と、
該浮揚物取出し工程で浮揚物が取出された混合物中の土粒子を分級して粒径Dが所定粒径a以上(a≦D)の第1土粒子を取出す第1分級取出し工程と、
該第1分級取出し工程で第1土粒子が取出された混合物中の土粒子を分級して粒径Dが所定粒径a未満で所定粒径b以上(b≦D<a)の第2土粒子を取出す第2分級取出し工程と、
該第2分級取出し工程で第2土粒子が取出された混合物から沈殿分離により上澄み水を取出す沈殿分離工程と、
該沈殿分離工程で上澄み水が取出され残余洗浄水を含む混合物に、シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を混合して焼成し焼成固形物を得る固形化工程とを備えた構成としている。
汚染土壌に洗浄水を加えて撹拌する撹拌洗浄工程と、
該撹拌洗浄工程で撹拌した混合物から浮揚物を分離して取出す浮揚物取出し工程と、
該浮揚物取出し工程で浮揚物が取出された混合物中の土粒子を分級して粒径Dが所定粒径a以上(a≦D)の第1土粒子を取出す第1分級取出し工程と、
該第1分級取出し工程で第1土粒子が取出された混合物中の土粒子を分級して粒径Dが所定粒径a未満で所定粒径b以上(b≦D<a)の第2土粒子を取出す第2分級取出し工程と、
該第2分級取出し工程で第2土粒子が取出された混合物から沈殿分離により上澄み水を取出す沈殿分離工程と、
該沈殿分離工程で上澄み水が取出され残余洗浄水を含む混合物に、シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を混合して焼成し焼成固形物を得る固形化工程とを備えた構成としている。
これにより、第1分級取出し工程と第2分級取出し工程を設けたので、撹拌,洗浄により細分化された土粒子が、粒径Dが所定粒径a以上(a≦D)の第1土粒子と、所定粒径a未満で所定粒径b以上(b≦D<a)の第2土粒子とに分けられるので、再利用の際、用途別に使い易くすることができる。また、第1土粒子あるいは第2土粒子を更に分級して用いることもできる。
そして、必要に応じ、上記浮揚物取出し工程で浮揚物を取出す際に該浮遊物から流れ落ちる汚水,上記第1分級取出し工程で第1土粒子を取出す際に該第1土粒子から流れ落ちる汚水,上記第2分級取出し工程で第2土粒子を取出す際に該第2土粒子から流れ落ちる汚水,上記沈殿分離工程で取出される上澄み水を、上記撹拌洗浄工程で汚染土壌に加える洗浄水として用いる構成としている。汚水や上澄み水を循環して用いるので、外部に出ることがなく、安全が図られる。また、例えば、外部に取出して凝集剤により別途放射線物質を取出す処理等をしなくても良く、それだけ、処理効率を向上させることができる。
また、必要に応じ、上記第1分級取出し工程で取出す第1土粒子の放射能(「第1土粒子放射能Ra(Bq/Kg)」という)及び上記第2分級取出し工程で取出す第2土粒子の放射能(「第2土粒子放射能Rb(Bq/Kg)」という)が基準となる放射能(「基準放射能Ps(Bq/Kg)」という)以下になるように、混合物中の汚染土壌を洗浄する構成としている。例えば、洗浄水で繰り返し洗浄する。これにより、基準放射能Psを、例えば、現行の法律で定められた8000Bq/Kgに設定すれば、第1土粒子及び第2土粒子を、基準放射能Ps以下で取出して、そのまま、再利用に供することができるようになる。
更に、必要に応じ、上記固形化工程を、上記沈殿分離工程で上澄み水が取出された後の混合物に、シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を加えて混練する混練工程と、該混練工程で混練された混練物を所定形状に成形する成形工程と、該成形工程で成形された成形体を乾燥する乾燥工程と、該乾燥工程で乾燥された成形体を焼成して焼成固形物を得る焼成工程とを備えて構成している。これにより、焼成固形物が所定形状に成形されるので、例えば、建築資材などとして利用することができ、極めて有用になる。また、例えば、直方体ブロック状にしておけば、積み重ねが容易になり、施工も容易になる。
そしてまた、必要に応じ、上記撹拌洗浄工程においては、所定重量の汚染土壌に所定重量の洗浄水を加え、上記沈殿分離工程においては、残る混合物が所定容量になるように上澄み水を取出すようにし、
上記撹拌洗浄工程の前に、汚染土壌の放射能(「土壌放射能Rx(Bq/Kg)」という)を測定し、該測定した土壌放射能Rxに基づいて、上記固形化工程で得られる焼成固形物の放射能(「固形物放射能Rk(Bq/Kg)」という)が、基準となる放射能(「基準放射能Ps(Bq/Kg)」という)以下になるように、上記固形化工程の混練工程において、シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を加える構成としている。
上記撹拌洗浄工程の前に、汚染土壌の放射能(「土壌放射能Rx(Bq/Kg)」という)を測定し、該測定した土壌放射能Rxに基づいて、上記固形化工程で得られる焼成固形物の放射能(「固形物放射能Rk(Bq/Kg)」という)が、基準となる放射能(「基準放射能Ps(Bq/Kg)」という)以下になるように、上記固形化工程の混練工程において、シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を加える構成としている。
これにより、撹拌洗浄工程の前に、汚染土壌の土壌放射能Rxを測定し、この測定した土壌放射能Rxに基づいて、焼成固形物の固形物放射能Rkが、基準放射能Ps以下になるように、シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を加えるので、沈殿分離工程で得られた残余洗浄水を含む混合物に基づく場合に比較して、先にシラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末の加える量を定めることができ、それだけ、処理時間を短縮することができ、処理効率を向上させることができる。
この場合、予め、上記沈殿分離工程で残る混合物中の残余洗浄水を除いた粒径Dが所定粒径b未満の残余土粒子の重量を推定し、上記固形化工程の混練工程で加えるシラスバルーンの粉末の基本重量Ws及び煉瓦原料の粉末の基本重量Wrを、予め、上記推定した残余土粒子の重量に対応させて決めておき、
上記撹拌洗浄工程の前に、汚染土壌の放射能(「土壌放射能Rx(Bq/Kg)」という)を測定し、該測定した土壌放射能Rxに基づいて、上記固形化工程で得られる焼成固形物の放射能の推定値(「固形物放射能推定値Rks(Bq/Kg)」という)を算出し、
該算出結果が、Rks>Psのとき、Rks≦Psになるように、シラスバルーンの粉末の基本重量Wsに加える増加重量αs及び煉瓦原料の粉末の基本重量Wrに加える増加重量αrを算出し、
上記固形化工程の混練工程において、
上記算出結果が、Rks≦Psのとき、シラスバルーンの粉末をWs加えるとともに、煉瓦原料の粉末をWr加え、
Rks>Psのとき、シラスバルーンの粉末を(Ws+αs)加えるとともに、煉瓦原料の粉末を(Wr+αr)加えることが有効である。
上記撹拌洗浄工程の前に、汚染土壌の放射能(「土壌放射能Rx(Bq/Kg)」という)を測定し、該測定した土壌放射能Rxに基づいて、上記固形化工程で得られる焼成固形物の放射能の推定値(「固形物放射能推定値Rks(Bq/Kg)」という)を算出し、
該算出結果が、Rks>Psのとき、Rks≦Psになるように、シラスバルーンの粉末の基本重量Wsに加える増加重量αs及び煉瓦原料の粉末の基本重量Wrに加える増加重量αrを算出し、
上記固形化工程の混練工程において、
上記算出結果が、Rks≦Psのとき、シラスバルーンの粉末をWs加えるとともに、煉瓦原料の粉末をWr加え、
Rks>Psのとき、シラスバルーンの粉末を(Ws+αs)加えるとともに、煉瓦原料の粉末を(Wr+αr)加えることが有効である。
また、必要に応じ、上記撹拌洗浄工程で取出された浮揚物を焼却し、該焼却して得られた焼却灰に、シラスバルーンの粉末,煉瓦原料の粉末及び水を混合して焼成し焼成灰固形物を得る構成としている。これにより、浮揚物を焼却するので、浮揚物を焼却灰として減容化を図ることができるとともに、焼却により放射線濃度が濃縮されても、焼成の際に、シラスバルーンは、900℃〜1000℃の比較的低温の温度で液状化するが、焼却灰中のセシウムやセシウム化合物等の放射性物質をこのシラスバルーンの溶融または半溶融物に取り込んで封じ込めることができる。焼成灰固形物は、放射性物質が取り込まれ、しかも、耐熱性,耐薬品性等の機能に優れ、経年変化が極めて少ない耐久性の高いものにすることができる。そのため、放射線量も少なくすることができるので、これを、保管,管理することなく、そのまま種々に利用することができるようになる。
また、上記目的を達成するための本発明の汚染土壌の処理システムは、放射性物質に汚染された汚染土壌の処理を行う汚染土壌の処理システムにおいて、
汚染土壌に洗浄水を加えて撹拌するとともに撹拌した混合物から浮揚物を分離して取出す撹拌洗浄分離装置と、
該撹拌洗浄分離装置で浮揚物が取出された後の混合物から粒径Dが所定粒径a以上(a≦D)の第1土粒子をろ過により分級して取出す第1分級取出し装置と、
該第1分級取出し装置で第1土粒子が取出された混合物から粒径Dが所定粒径a未満で所定粒径b以上(b≦D<a)の第2土粒子をろ過により分級して取出す第2分級取出し装置と、
該第2分級取出し装置で第2土粒子が取出された混合物から沈殿分離により上澄み水を取出す沈殿分離装置と、
該沈殿分離装置で上澄み水が取出され残余洗浄水を含む混合物に、シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を混合して焼成し焼成固形物を得る固形化装置とを備えた構成としている。上記と同様の作用,効果を奏する。
汚染土壌に洗浄水を加えて撹拌するとともに撹拌した混合物から浮揚物を分離して取出す撹拌洗浄分離装置と、
該撹拌洗浄分離装置で浮揚物が取出された後の混合物から粒径Dが所定粒径a以上(a≦D)の第1土粒子をろ過により分級して取出す第1分級取出し装置と、
該第1分級取出し装置で第1土粒子が取出された混合物から粒径Dが所定粒径a未満で所定粒径b以上(b≦D<a)の第2土粒子をろ過により分級して取出す第2分級取出し装置と、
該第2分級取出し装置で第2土粒子が取出された混合物から沈殿分離により上澄み水を取出す沈殿分離装置と、
該沈殿分離装置で上澄み水が取出され残余洗浄水を含む混合物に、シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を混合して焼成し焼成固形物を得る固形化装置とを備えた構成としている。上記と同様の作用,効果を奏する。
この場合、上記固形化装置を、上記沈殿分離装置で上澄み水が取出された後の混合物に、シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を加えて混練する混練機と、該混練機で混練された混練物を成形する成形機と、該成形機で成形された成形体を乾燥する乾燥機と、該乾燥機で乾燥された成形体を焼成して焼成固形物を得る焼成炉とを備えて構成している。これにより、焼成固形物が所定形状に成形されるので、例えば、建築資材などとして利用することができ、極めて有用になる。また、例えば、直方体ブロック状にしておけば、積み重ねが容易になり、施工も容易になる。
また、必要に応じ、上記撹拌洗浄分離装置,第1分級取出し装置,第2分級取出し装置,沈殿分離装置及び固形化装置を、放射線遮蔽建屋内に収容した構成としている。作業の安全を図ることができる。
本発明によれば、浮揚物が取出された混合物中の土粒子を分級して所定粒径以上の土粒子を取出すので、放射性物質は所定粒径に満たない細粒の土粒子に主に吸着していることから、所定粒径以上の土粒子に吸着した放射性物質は、極めて少なくなっており、そのため、この取出した所定粒径以上の土粒子を、そのまま、再利用に供することができるようになる。また、所定粒径以上の土粒子が取出された混合物から沈殿分離により上澄み水を取出し、この上澄み水が取出され残余洗浄水を含む混合物に、シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を混合して焼成し焼成固形物を得ることから、焼成固形物に、放射性物質を取り込んで、耐熱性,耐薬品性等の機能に優れ、経年変化が極めて少ない耐久性の高いものにすることができ、放射線量も少なくすることができ、そのため、これを保管,管理することなく、そのまま種々に利用することができるようになる。即ち、減容化して最後に残った汚染土粒子についても、短期に基準放射線量以下にして、再利用することができるようになり、処理効率を向上させることができる。
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係る汚染土壌の処理方法及び汚染土壌の処理システムSについて詳細に説明する。実施の形態に係る汚染土壌の処理方法及び処理システムSは、放射性物質に汚染された汚染土壌の処理を行うものである。土壌は、例えば、放射性セシウム等の放射性物質が付着した地面の表面を掻取、これを汚染土壌として集積して保管されているものを対象にする。
実施の形態に係る汚染土壌の処理方法は実施の形態に係る汚染土壌の処理システムSにおいて実現されるので、先ず、実施の形態に係る汚染土壌の処理システムSについて説明する。
実施の形態に係る汚染土壌の処理方法は実施の形態に係る汚染土壌の処理システムSにおいて実現されるので、先ず、実施の形態に係る汚染土壌の処理システムSについて説明する。
図1及び図2に示すように、実施の形態に係る汚染土壌の処理システムSは、汚染土壌に洗浄水を加えて撹拌するとともに撹拌した混合物から浮揚物を分離して取出す撹拌洗浄分離装置1と、撹拌洗浄分離装置1で浮揚物が取出された後の混合物から粒径Dが所定粒径a以上(a≦D)の第1土粒子をろ過により分級して取出す第1分級取出し装置10と、第1分級取出し装置10で第1土粒子が取出された混合物から粒径Dが所定粒径a未満で所定粒径b以上(b≦D<a)の第2土粒子をろ過により分級して取出す第2分級取出し装置20と、第2分級取出し装置20で第2土粒子が取出された混合物から沈殿分離により上澄み水を取出す沈殿分離装置30と、沈殿分離装置30で上澄み水が取出され残余洗浄水を含む混合物に、シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を混合して焼成し焼成固形物を得る固形化装置40とを備えて構成されている。
撹拌洗浄分離装置1は、図1及び図3に示すように、汚染土壌が投入されるとともに洗浄水タンク2からポンプ3により洗浄水が入れられる撹拌洗浄容器4と、モータ等の駆動源(図示せず)により駆動され撹拌洗浄容器4内の汚染土壌及び洗浄水を撹拌して洗浄水により汚染土壌を洗浄する撹拌羽根5と、撹拌羽根5の停止中に開口され上位の混合物を流出させて混合物に浮揚してくる浮揚物を洗浄水とともに排出する排出路6と、排出路6に設けられ浮揚物を搬出するとともに浮揚物から流れ落ちる汚水を浮揚物から分離して流出させる網型の搬出コンベア7と、搬出コンベア7から流出させられる汚水を一時的に貯留する汚水受けタンク8とを備えて構成されている。汚水受けタンク8に貯留された汚水は適時に洗浄水タンク2にポンプ(図示せず)で戻され、再び次の汚染土壌の処理に係る洗浄水として用いられる。撹拌洗浄容器4の下部には、電磁開閉弁で開閉させられ開時に撹拌洗浄容器4から浮揚物が取出された後の混合物を排出する排出口9が設けられている。
第1分級取出し装置10は、図4に示すように、混合物が投入される第1分級容器11と、駆動源(図示せず)により回転駆動されるとともに投入される混合物を受けて粒径Dが所定粒径a以上(a≦D)の第1土粒子をろ過により分級して排出する一次トロンメル12と、一次トロンメル12から排出される第1土粒子を洗浄水とともに排出する排出路13と、排出路13に設けられ第1土粒子を搬出するとともに第1土粒子から流れ落ちる汚水を分離して流出させる網型の搬出コンベア14と、搬出コンベア14から流出させられる汚水を一時的に貯留する汚水受けタンク15とを備えて構成されている。汚水受けタンク15に貯留された汚水は適時に洗浄水タンク2にポンプ(図示せず)で戻され、再び次の汚染土壌の処理に係る洗浄水として用いられる。第1分級容器11の下部には、電磁開閉弁で開閉させられ開時に第1分級容器11から第1土粒子が取出された混合物を排出する排出口16が設けられている。
第2分級取出し装置20は、図5に示すように、第1分級容器11から第1土粒子が取出された混合物が投入される第2分級容器21と、駆動源(図示せず)により回転駆動されるとともに投入される混合物を受けて粒径Dが所定粒径a未満で所定粒径b以上(b≦D<a)の第2土粒子をろ過により分級して排出する二次トロンメル22と、二次トロンメル22から排出される第2土粒子を洗浄水とともに排出する排出路23と、排出路23に設けられ第2土粒子を搬出するとともに第2土粒子から流れ落ちる汚水を分離して流出させる網型の搬出コンベア24と、搬出コンベア24から流出させられる汚水を一時的に貯留する汚水受けタンク25とを備えて構成されている。汚水受けタンク25に貯留された汚水は適時に洗浄水タンク2にポンプ(図示せず)で戻され、再び次の汚染土壌の処理に係る洗浄水として用いられる。第2分級容器21の下部には、電磁開閉弁で開閉させられ開時に第2分級容器21から第2土粒子が取出された混合物を排出する排出口26が設けられている。
粒径Dに関し、実施の形態においては、所定粒径aは、a=7mm、所定粒径bは、b=0.05mmに設定している。これに限定されるものではなく、a,bの所定粒径は、適宜に定めてよい。
沈殿分離装置30は、図6に示すように、第1沈殿槽31,第2沈殿槽32,第3沈殿槽33,第4沈殿槽34の4つの沈殿槽が階層的に設けられている。各沈殿槽31,32,33,34は、投入される混合物を所要時間静置するもので、途中には電磁開閉弁で適時に開閉させられ開時に静置後の上澄み水を流下させる流下口35が設けられ、下部には電磁開閉弁で開閉させられ開時に静置後に上澄み水が取出され残余洗浄水を含む混合物を排出する排出口36が設けられている。各沈殿槽31,32,33,34においては、流下口35の位置が、残余洗浄水を含む混合物が所定容量になるように上澄み水を取出す位置に設けられている。
第1沈殿槽31には、第2分級容器21から第2土粒子が取出された混合物が一時にあるいは数回に分けて投入され、第2沈殿槽32には第1沈殿槽31の流下口35から流下された上澄み水が投入され、第3沈殿槽33には第2沈殿槽32の流下口35から流下された上澄み水が投入され、第4沈殿槽34には第3沈殿槽33の流下口35から流下された上澄み水が投入される。そして、沈殿分離装置30は、第4沈殿槽34の流下口35から流下された上澄み水を一時的に貯留する上澄み水タンク37を備えており、この上澄み水タンク37に貯留された上澄み水は適時に洗浄水タンク2にポンプ(図示せず)で戻され、再び次の汚染土壌の処理に係る洗浄水として用いられる。一方、各沈殿槽31,32,33,34の排出口36から排出された残余洗浄水を含む混合物は、固形化装置40に送られる。
固形化装置40は、図1及び図2に示すように、沈殿分離装置30の各沈殿槽31,32,33,34の排出口36から排出された残余洗浄水を含む混合物、即ち、上澄み水が取出された後の混合物に、シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を加えて混練する混練機41と、混練機41で混練された混練物を所定形状に成形する成形機42と、成形機42で成形された成形体を乾燥する乾燥機43と、乾燥機43で乾燥された成形体を焼成して焼成固形物を得る焼成炉44とを備えて構成されている。混練機41は、5〜6MPsの圧力で、残余洗浄水を含む混合物,シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を混練する。成形機42は、加圧機により6MPaの圧力で成形する成形型を備えている。例えば、直方体状のブロック(例えば、幅100mm×長さ150mm×厚さ70mm)の成形物に成形する。また、押出し成形したものを切断するようにしても良い。乾燥機43としては、例えば、乾燥室内に熱風を送給して乾燥させる箱型乾燥機が用いられる。焼成炉44としては、例えば、倒焔式強制燃焼で1300℃まで可能なバーナーを備えたプロパンガス窯が用いられる。
また、固形化装置40で用いるシラスバルーンは、シラスを800℃〜1200℃で急速に加熱処理し、発泡させることにより得られる微細な中空構造体である。原料となるシラスは、火山噴出物及びこれに由来する2次堆積物の総称であり、その化学組成は採取場所により多少の相違があるものの、通常、SiO2 (64〜75重量%)、Al2 O3 (11〜16重量%)、Fe2 O3 (1〜4重量%)、CaO(1〜4重量%)、Na2 O(1〜4重量%)、K2 O(1〜4重量%)、MgO(0.4〜1重量%)、TiO2 (0.1〜4重量%)等からなる。900℃から液状化するものが用いられる。
シラスバルーンは、平均粒径が1μm〜1000μmのものを用いる。平均粒径が大きすぎると混合性が悪くなる。望ましくは、10μm〜600μm、より望ましくは、20μm〜400μm、特に望ましくは、30μm〜200μmである。
また、シラスバルーンは、かさ比重が0.05〜0.6のものを用いる。望ましくは、0.1〜0.5、より望ましくは、0.15〜0.4 、特に望ましくは、0.15〜0.3である。
また、シラスバルーンは、かさ比重が0.05〜0.6のものを用いる。望ましくは、0.1〜0.5、より望ましくは、0.15〜0.4 、特に望ましくは、0.15〜0.3である。
煉瓦原料は、所謂煉瓦用粘土であり、一般的な鉱物組成は、石英(SiO2)、長石、粘土からなる。長石は主にカリ長石(K2O・Al2O3・6SiO2)、ソーダ長石(K2O・Al2O3・6SiO2)である。粘土は主にカオリナイト(Al2O3・2SiO2・2H2O)あるいはハロイサイト(Al2O3・2SiO2・4H2O)である。
煉瓦原料は、平均粒径が1μm〜5000μmのものを用いる。また、煉瓦原料は、かさ比重が1.5〜3のものを用いる。
煉瓦原料は、平均粒径が1μm〜5000μmのものを用いる。また、煉瓦原料は、かさ比重が1.5〜3のものを用いる。
また、本汚染土壌の処理システムSは、図2に示すように、撹拌洗浄分離装置1,第1分級取出し装置10,第2分級取出し装置20,沈殿分離装置30及び固形化装置40を、放射線遮蔽建屋50内に収容している。図2中、符号51は各装置の運転制御を行うコントロールセンターである。コントロールセンターでは、汚染土壌,浮揚物,第1土粒子,第2土粒子,焼成固形物等の放射線量の測定データの管理も行っており、特に、汚染土壌の放射線量の測定データに基づいて、予め、固形化装置40で用いるシラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末の量を決定する。
次に、この実施の形態に係る汚染土壌の処理システムSにより実現される実施の形態に係る汚染土壌の処理方法について説明する。
図1に示すように、実施の形態に係る汚染土壌の処理方法は、(1)撹拌洗浄工程、(2)浮揚物取出し工程、(3)第1分級取出し工程、(4)第2分級取出し工程、(5)沈殿分離工程、(6)固形化工程とを備えている。以下、各工程について説明する。
図1に示すように、実施の形態に係る汚染土壌の処理方法は、(1)撹拌洗浄工程、(2)浮揚物取出し工程、(3)第1分級取出し工程、(4)第2分級取出し工程、(5)沈殿分離工程、(6)固形化工程とを備えている。以下、各工程について説明する。
(1)撹拌洗浄工程
図3にも示すように、この工程に先立って、放射線量測定器により、汚染土壌の放射能(「土壌放射能Rx(Bq/Kg)」という)を測定している。それから、撹拌洗浄分離装置1の撹拌槽に所定重量(例えば、1000Kg)の汚染土壌及びポンプ3により所定重量(例えば、3000Kg)の洗浄水を投入する。洗浄水としては、最初は、新しい水を用いるが、2回目からは、各汚水受けタンク8,15,25の汚水及び上澄み水タンク37の上澄み水を用いる。汚水や上澄み水を循環して用いるので、外部に出ることがなく、安全が図られる。また、例えば、外部に取出して凝集剤により別途放射線物質を取出す処理等をしなくても良く、それだけ、処理効率を向上させることができる。不足の分は、新しい水を、所要量補充する。
図3にも示すように、この工程に先立って、放射線量測定器により、汚染土壌の放射能(「土壌放射能Rx(Bq/Kg)」という)を測定している。それから、撹拌洗浄分離装置1の撹拌槽に所定重量(例えば、1000Kg)の汚染土壌及びポンプ3により所定重量(例えば、3000Kg)の洗浄水を投入する。洗浄水としては、最初は、新しい水を用いるが、2回目からは、各汚水受けタンク8,15,25の汚水及び上澄み水タンク37の上澄み水を用いる。汚水や上澄み水を循環して用いるので、外部に出ることがなく、安全が図られる。また、例えば、外部に取出して凝集剤により別途放射線物質を取出す処理等をしなくても良く、それだけ、処理効率を向上させることができる。不足の分は、新しい水を、所要量補充する。
この状態で、撹拌洗浄分離装置1の撹拌羽根5を回転させ、撹拌洗浄容器4内の汚染土壌及び洗浄水を撹拌して洗浄水により汚染土壌を洗浄する。これにより、土壌の粒子の表面にセシウム等の放射性物質が吸着しているが、主に粗粒の土壌においてはその表面が放射性物質を吸着したまま細かく剥離して細粒化していく。そのため、元々ある細粒の土粒子をはじめ、粗粒の土壌から剥離して細粒化された細粒の土粒子に、放射性物質が吸着したままこれらが洗浄水に分散して行く。
(2)浮揚物取出し工程
図3にも示すように、撹拌洗浄分離装置1の撹拌羽根5の回転を停止し、適宜静置する時間をとり、それから、放射線量測定器により、混合物の上位の放射線量を測定する。そして、測定値が、基準となる放射能(以下「基準放射能Ps(Bq/Kg)」という)以下かこれを超えているかを見る。基準放射能Psとしては、例えば、法律で規定されているPs=8000Bq/Kgを用いる。そして、もし、その混合物の放射能が、基準放射能Psを超えているときは、再度、撹拌洗浄を行う。基準放射能Ps以下になれば、排出路6の開口を開ける。これにより、撹拌洗浄容器4内の上位の混合物が排出路6に流出していき、即ち、混合物に浮揚してくる浮揚物が洗浄水とともに排出され、それから、搬出コンベア7により、浮揚物が搬出されるとともに浮揚物から流れ落ちる汚水が浮揚物から分離して流出させられる。浮揚物は、外部に取り出される(例えば、20Kg)。この場合、取出される浮揚物としては、比重の軽い、例えば、木や草などの植物がほとんどなので、これを取り除くことができる。浮揚物は、焼却等で処理することができる。一方、流れ落ちる汚水(例えば、980Kg)は汚水受けタンク8に一時的に貯留される。この汚水受け水タンク8に貯留された汚水は適時に洗浄水タンク2にポンプ(図示せず)で戻され、再び次の汚染土壌の処理に係る洗浄水として用いられる。
図3にも示すように、撹拌洗浄分離装置1の撹拌羽根5の回転を停止し、適宜静置する時間をとり、それから、放射線量測定器により、混合物の上位の放射線量を測定する。そして、測定値が、基準となる放射能(以下「基準放射能Ps(Bq/Kg)」という)以下かこれを超えているかを見る。基準放射能Psとしては、例えば、法律で規定されているPs=8000Bq/Kgを用いる。そして、もし、その混合物の放射能が、基準放射能Psを超えているときは、再度、撹拌洗浄を行う。基準放射能Ps以下になれば、排出路6の開口を開ける。これにより、撹拌洗浄容器4内の上位の混合物が排出路6に流出していき、即ち、混合物に浮揚してくる浮揚物が洗浄水とともに排出され、それから、搬出コンベア7により、浮揚物が搬出されるとともに浮揚物から流れ落ちる汚水が浮揚物から分離して流出させられる。浮揚物は、外部に取り出される(例えば、20Kg)。この場合、取出される浮揚物としては、比重の軽い、例えば、木や草などの植物がほとんどなので、これを取り除くことができる。浮揚物は、焼却等で処理することができる。一方、流れ落ちる汚水(例えば、980Kg)は汚水受けタンク8に一時的に貯留される。この汚水受け水タンク8に貯留された汚水は適時に洗浄水タンク2にポンプ(図示せず)で戻され、再び次の汚染土壌の処理に係る洗浄水として用いられる。
(3)第1分級取出し工程
図4にも示すように、浮揚物取出し工程で浮揚物が取出された混合物中の土粒子を分級して粒径Dが所定粒径a以上(a≦D)の第1土粒子を取出す。具体的には、撹拌洗浄容器4の下部の排出口9から、電磁開閉弁を開にして撹拌洗浄容器4内の浮揚物が取出された後の混合物(例えば、3000Kg)を排出し、第1分級容器11内の一次トロンメル12に投入する。これにより、一次トロンメル12では、投入される混合物を受けて粒径Dが所定粒径a以上(a≦D)の第1土粒子をろ過により分級して排出する。一次トロンメル12から流下した混合物は、第1分級容器11に貯留される(例えば、1500Kg)。一次トロンメル12から排出される第1土粒子は洗浄水とともに排出路13に排出され、搬出コンベア14により第1土粒子は搬出されて取り出され(例えば、880Kg)、第1土粒子から流れ落ちる汚水は分離されて流出させられる。流れ落ちる汚水(例えば、620Kg)は汚水受けタンク15に一時的に貯留される。この汚水受け水タンク15に貯留された汚水は適時に洗浄水タンク2にポンプ(図示せず)で戻され、再び次の汚染土壌の処理に係る洗浄水として用いられる。
図4にも示すように、浮揚物取出し工程で浮揚物が取出された混合物中の土粒子を分級して粒径Dが所定粒径a以上(a≦D)の第1土粒子を取出す。具体的には、撹拌洗浄容器4の下部の排出口9から、電磁開閉弁を開にして撹拌洗浄容器4内の浮揚物が取出された後の混合物(例えば、3000Kg)を排出し、第1分級容器11内の一次トロンメル12に投入する。これにより、一次トロンメル12では、投入される混合物を受けて粒径Dが所定粒径a以上(a≦D)の第1土粒子をろ過により分級して排出する。一次トロンメル12から流下した混合物は、第1分級容器11に貯留される(例えば、1500Kg)。一次トロンメル12から排出される第1土粒子は洗浄水とともに排出路13に排出され、搬出コンベア14により第1土粒子は搬出されて取り出され(例えば、880Kg)、第1土粒子から流れ落ちる汚水は分離されて流出させられる。流れ落ちる汚水(例えば、620Kg)は汚水受けタンク15に一時的に貯留される。この汚水受け水タンク15に貯留された汚水は適時に洗浄水タンク2にポンプ(図示せず)で戻され、再び次の汚染土壌の処理に係る洗浄水として用いられる。
一次トロンメル12から排出される第1土粒子については、放射線量測定器により、放射線量を測定する。そして、測定値が、基準放射能Psを超えているときは、搬出コンベア14により排出される第1土粒子について、再度、撹拌洗浄を行うようにする。基準放射能Ps(8000Bq/Kg)以下になれば、例えば、測定値が500Bq/Kg以下になる等、即ち、放射性物質は所定粒径aに満たない細粒の土粒子に主に吸着し、所定粒径a以上の土粒子に吸着した放射性物質は、極めて少なくなっていることになり、この取出した所定粒径a以上の土粒子を、そのまま、再利用に供することができるようになる。例えば、土地の造成用の土砂として用いることができる。
(4)第2分級取出し工程
図5にも示すように、第1分級取出し工程で第1土粒子が取出された混合物中の土粒子を分級して粒径Dが所定粒径a未満で所定粒径b以上(b≦D<a)の第2土粒子を取出す。具体的には、第1分級容器11の下部の排出口16から、電磁開閉弁を開にして第1分級容器11内の第1土粒子が取出された後の混合物を排出し、第2分級容器21内の二次トロンメル22に投入する。これにより、二次トロンメル22では、投入される混合物を受けて粒径Dが所定粒径a未満で所定粒径b以上(b≦D<a)の第2土粒子をろ過により分級して排出する。二次トロンメル22から流下した混合物は、第2分級容器21に貯留される(例えば、500Kg)。二次トロンメル22から排出される第2土粒子は洗浄水とともに排出路23に排出され、搬出コンベア24により第2土粒子は搬出されて取り出され(例えば、80Kg)、第2土粒子から流れ落ちる汚水は分離されて流出させられる。流れ落ちる汚水(例えば、920Kg)は汚水受けタンク25に一時的に貯留される。この汚水受け水タンク25に貯留された汚水は適時に洗浄水タンク2にポンプ(図示せず)で戻され、再び次の汚染土壌の処理に係る洗浄水として用いられる。
図5にも示すように、第1分級取出し工程で第1土粒子が取出された混合物中の土粒子を分級して粒径Dが所定粒径a未満で所定粒径b以上(b≦D<a)の第2土粒子を取出す。具体的には、第1分級容器11の下部の排出口16から、電磁開閉弁を開にして第1分級容器11内の第1土粒子が取出された後の混合物を排出し、第2分級容器21内の二次トロンメル22に投入する。これにより、二次トロンメル22では、投入される混合物を受けて粒径Dが所定粒径a未満で所定粒径b以上(b≦D<a)の第2土粒子をろ過により分級して排出する。二次トロンメル22から流下した混合物は、第2分級容器21に貯留される(例えば、500Kg)。二次トロンメル22から排出される第2土粒子は洗浄水とともに排出路23に排出され、搬出コンベア24により第2土粒子は搬出されて取り出され(例えば、80Kg)、第2土粒子から流れ落ちる汚水は分離されて流出させられる。流れ落ちる汚水(例えば、920Kg)は汚水受けタンク25に一時的に貯留される。この汚水受け水タンク25に貯留された汚水は適時に洗浄水タンク2にポンプ(図示せず)で戻され、再び次の汚染土壌の処理に係る洗浄水として用いられる。
二次トロンメル22から排出される第2土粒子については、放射線量測定器により、放射線量を測定する。そして、測定値が、基準放射能Psを超えているときは、搬出コンベア24により排出される第2土粒子について、再度、撹拌洗浄を行うようにする。基準放射能Ps(8000Bq/Kg)以下になれば、例えば、測定値が500Bq/Kg以下になる等、即ち、放射性物質は所定粒径bに満たない細粒の土粒子に主に吸着し、所定粒径b以上の土粒子に吸着した放射性物質は、極めて少なくなっていることになり、この取出した所定粒径b以上の土粒子を、そのまま、再利用に供することができるようになる。例えば、セメントに混合する骨材用の砂として用いることができる。第1土粒子と第2土粒子とに分級したので、再利用の際、用途別に使い易くすることができる。
図1に示すように、実施の形態では、取出した所定粒径b以上の土粒子を、更に2種に分級している。具体的には、例えば、0.05mm≦D<1mmの砂と、1mm≦D<7mmの砂とに分級している。再利用の際、より一層用途別に使い易くすることができる。
(5)沈殿分離工程
図6にも示すように、第2分級取出し工程で第2土粒子が取出された混合物から沈殿分離により上澄み水を取出す。具体的には、第2分級容器21の下部の排出口26から、電磁開閉弁を開にして第2分級容器21内の第2土粒子が取出された後の混合物を排出し、沈殿分離装置30の第1沈殿槽31に一時にあるいは数回に分けて投入し、所要時間静置する。次に、第1沈殿槽31の流下口35から第1沈殿槽31の混合物の上澄み水を第2沈殿槽32に投入し、所要時間静置する。次にまた、第2沈殿槽32の流下口35から第2沈殿槽32の混合物の上澄み水を第3沈殿槽33に投入し、所要時間静置する。それから、第3沈殿槽33の流下口35から第3沈殿槽33の混合物の上澄み水を第4沈殿槽34に投入し、所要時間静置する。最後に、第4沈殿槽34の流下口35から第4沈殿槽34の混合物の上澄み水を上澄み水タンク37に流下させる。この上澄み水タンク37に貯留された上澄み水は適時に洗浄水タンク2にポンプ(図示せず)で戻され、再び次の汚染土壌の処理に係る洗浄水として用いられる。
図6にも示すように、第2分級取出し工程で第2土粒子が取出された混合物から沈殿分離により上澄み水を取出す。具体的には、第2分級容器21の下部の排出口26から、電磁開閉弁を開にして第2分級容器21内の第2土粒子が取出された後の混合物を排出し、沈殿分離装置30の第1沈殿槽31に一時にあるいは数回に分けて投入し、所要時間静置する。次に、第1沈殿槽31の流下口35から第1沈殿槽31の混合物の上澄み水を第2沈殿槽32に投入し、所要時間静置する。次にまた、第2沈殿槽32の流下口35から第2沈殿槽32の混合物の上澄み水を第3沈殿槽33に投入し、所要時間静置する。それから、第3沈殿槽33の流下口35から第3沈殿槽33の混合物の上澄み水を第4沈殿槽34に投入し、所要時間静置する。最後に、第4沈殿槽34の流下口35から第4沈殿槽34の混合物の上澄み水を上澄み水タンク37に流下させる。この上澄み水タンク37に貯留された上澄み水は適時に洗浄水タンク2にポンプ(図示せず)で戻され、再び次の汚染土壌の処理に係る洗浄水として用いられる。
一方、各沈殿槽31,32,33,34の下部には電磁開閉弁で開閉させられ開時に静置後に上澄み水が取出され残余洗浄水を含む混合物を排出する排出口36が設けられており、適時に、電磁開閉弁を開にして、各沈殿槽31,32,33,34で上澄み水が取出された後の混合物を取り出す。一時的にタンク(図示せず)に貯留することができる。
(6)固形化工程
沈殿分離工程で上澄み水が取出され残余洗浄水を含む混合物に、シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を混合して焼成し焼成固形物を得る。詳しくは、図1に示すように、固形化工程は、(6−1)混練工程と、(6−2)成形工程と、(6−3)乾燥工程と、(6−4)焼成工程とを備えて構成されている。以下各工程について説明する。
沈殿分離工程で上澄み水が取出され残余洗浄水を含む混合物に、シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を混合して焼成し焼成固形物を得る。詳しくは、図1に示すように、固形化工程は、(6−1)混練工程と、(6−2)成形工程と、(6−3)乾燥工程と、(6−4)焼成工程とを備えて構成されている。以下各工程について説明する。
(6−1)混練工程
沈殿分離工程で上澄み水が取出された後の混合物に、シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を加えて混練する。具体的には、混練機41に、沈殿分離装置30で上澄み水が取出された後の混合物,シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を入れて混練する。
沈殿分離工程で上澄み水が取出された後の混合物に、シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を加えて混練する。具体的には、混練機41に、沈殿分離装置30で上澄み水が取出された後の混合物,シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を入れて混練する。
ここで、シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末の量について説明する。実施の形態では、前述したように、撹拌洗浄工程においては、所定重量の汚染土壌に所定重量の洗浄水を加え、沈殿分離工程においては、残る混合物が所定容量になるように上澄み水を取出すようにしている。また、撹拌洗浄工程の前に、汚染土壌の「土壌放射能Rx(Bq/Kg)」を測定している。本処理方法においては、この測定した土壌放射能Rxに基づいて、固形化工程で得られる焼成固形物の放射能(「固形物放射能Rk(Bq/Kg)」という)が、基準となる「基準放射能Ps(Bq/Kg)」以下になるように、この混練工程において、シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を加える構成としている。
詳しくは、予め、沈殿分離工程で残る混合物中の残余洗浄水を除いた粒径Dが所定粒径b未満の残余土粒子の重量を推定し、固形化工程の混練工程で加えるシラスバルーンの粉末の基本重量Ws及び煉瓦原料の粉末の基本重量Wrを、予め、推定した残余土粒子の重量に対応させて決めておく。例えば、図6に示すように、残余土粒子(汚染粘土)の推定重量を100Kgとすると、Ws=100Kg、Wr=100Kgとする。そして、撹拌洗浄工程の前に測定した土壌放射能Rxに基づいて、固形化工程で得られる焼成固形物の放射能の推定値(「固形物放射能推定値Rks(Bq/Kg)」という)を算出し、この算出結果が、Rks>Psのとき、Rks≦Psになるように、シラスバルーンの粉末の基本重量Wsに加える増加重量αs及び煉瓦原料の粉末の基本重量Wrに加える増加重量αrを算出している。
そして、この記固形化工程の混練工程において、算出結果が、Rks≦Psのとき、シラスバルーンの粉末をWs加えるとともに、煉瓦原料の粉末をWr加える。一方、Rks>Psのときは、シラスバルーンの粉末を(Ws+αs)加えるとともに、煉瓦原料の粉末を(Wr+αr)加える。水が不足するときは、適宜補充する。
これにより、撹拌洗浄工程の前に、汚染土壌の土壌放射能Rxを測定し、この測定した土壌放射能Rxに基づいて、焼成固形物の固形物放射能Rkが、基準放射能Ps以下になるように、シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を加えるので、沈殿分離工程で得られた残余洗浄水を含む混合物に基づく場合に比較して、先にシラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末の加える量を定めることができ、それだけ、処理時間を短縮することができ、処理効率を向上させることができる。
(6−2)成形工程
混練工程で混練された混練物を所定形状に成形する。具体的には、混合物を、成形機42の成形型に入れ、加圧機により6MPaの圧力で成形する。例えば、直方体状のブロック(例えば、幅100mm×長さ150mm×厚さ70mm)の成形物に成形する。
混練工程で混練された混練物を所定形状に成形する。具体的には、混合物を、成形機42の成形型に入れ、加圧機により6MPaの圧力で成形する。例えば、直方体状のブロック(例えば、幅100mm×長さ150mm×厚さ70mm)の成形物に成形する。
(6−3)乾燥工程
成形工程で成形された成形体を、乾燥機43で乾燥する。例えば、箱型乾燥機を用い、その乾燥室内に熱風を送給して乾燥させる。
成形工程で成形された成形体を、乾燥機43で乾燥する。例えば、箱型乾燥機を用い、その乾燥室内に熱風を送給して乾燥させる。
(6−4)焼成工程
乾燥工程で乾燥された成形体を焼成炉44で焼成して焼成固形物を得る。焼成温度(加熱温度)は、シラスバルーンは900℃程度から液状化する。そのため、加熱温度を、900℃〜1200℃、望ましくは、950℃〜1100℃に設定する。実施の形態では、1000℃に設定した。例えば、成形体を、焼成炉44に入れ、1000℃で5時間焼成した。そして、シラスバルーンは、900℃〜1000℃の比較的低温の温度で液状化し、放射性物質を取り込んで封じ込めることができる。このため、加熱設備として、従来のガラス固化法のような高周波誘導加熱炉、気化したセシウム対策等の特殊な装置を用いなくてもよく、それだけ、処理が簡易になりコストダウンを図ることができる。また、放射性物質がシラスバルーンの溶融または半溶融物に取り込まれるので確実に封じ込められる。その後、焼成炉44から成形物を取り出し、常態温で5時間以上冷却した。これにより、焼成固形物が作成された。
乾燥工程で乾燥された成形体を焼成炉44で焼成して焼成固形物を得る。焼成温度(加熱温度)は、シラスバルーンは900℃程度から液状化する。そのため、加熱温度を、900℃〜1200℃、望ましくは、950℃〜1100℃に設定する。実施の形態では、1000℃に設定した。例えば、成形体を、焼成炉44に入れ、1000℃で5時間焼成した。そして、シラスバルーンは、900℃〜1000℃の比較的低温の温度で液状化し、放射性物質を取り込んで封じ込めることができる。このため、加熱設備として、従来のガラス固化法のような高周波誘導加熱炉、気化したセシウム対策等の特殊な装置を用いなくてもよく、それだけ、処理が簡易になりコストダウンを図ることができる。また、放射性物質がシラスバルーンの溶融または半溶融物に取り込まれるので確実に封じ込められる。その後、焼成炉44から成形物を取り出し、常態温で5時間以上冷却した。これにより、焼成固形物が作成された。
このように作成された焼成固形物は、固形物放射能Rkが、基準放射能Ps以下になるように焼成されているので、そのまま利用することができる。また、焼成固形物は、焼却灰,シラスバルーン及び煉瓦原料で形成されるので、耐熱性,耐薬品性等の機能に優れ、経年変化が極めて少ない耐久性の高いものとなる。特に、煉瓦原料を用いるので、より一層、これらの機能の向上が図られる。また、処理固形物が所定形状(実施の形態では直方体ブロック状)に形成されるので、例えば、建築資材などとして利用することができ、極めて有用になる。また、積み重ねが容易になり、施工も容易になる。
次に、本汚染土壌の処理方法において、撹拌洗浄工程で取出された浮揚物の処理について説明する。図7に示すように、浮揚物は焼却炉60で焼却した。そして、焼却して得られた焼却灰に、シラスバルーンの粉末,煉瓦原料の粉末及び水を混合して混練機61で混練し、この混練物を、上記と同様に成形機62で成形し、更に乾燥機63で乾燥し、それから焼成炉64で焼成し焼成灰固形物を得た。詳しくは、焼成温度(加熱温度)は、塩化セシウムの沸点未満の温度に設定した。焼却灰中においては、主に塩化セシウムの生成が考えられる。塩化セシウムの融点は645℃、沸点が1295℃である。よって、加熱温度を1295℃以上に設定すると、塩化セシウムが気化して放散するので好ましくない。一方、シラスバルーンは900℃程度から液状化する。そのため、加熱温度を、900℃〜1200℃、望ましくは、950℃〜1100℃に設定する。実施の形態では、1000℃に設定した。
即ち、成形物を、焼成炉64に入れ、1000℃で5時間焼成した。そのため、この沸点未満の温度で加熱するので、塩化セシウムが気化することがなく、セシウムの放散を防止することができる。尚、水分の蒸発温度(100℃)では、塩化セシウムは液状化しないので、蒸気にセシウムが混入することはない。そして、シラスバルーンは、900℃〜1000℃の比較的低温の温度で液状化し、放射性物質を取り込んで封じ込めることができる。放射性物質がシラスバルーンの溶融または半溶融物に取り込まれるので確実に封じ込めることができる。焼成炉64から成形物を取り出し、常態温で5時間以上冷却した。これにより、焼成灰固形物が作成された。
このように作成された焼成灰固形物は、焼却灰,シラスバルーン及び煉瓦原料で形成されるので、耐熱性,耐薬品性等の機能に優れ、経年変化が極めて少ない耐久性の高いものとなる。特に、煉瓦原料を用いるので、より一層、これらの機能の向上が図られる。また、処理固形物が所定形状(実施の形態では直方体ブロック状)に形成されるので、例えば、建築資材などとして利用することができ、極めて有用になる。また、積み重ねが容易になり、保管する場合も容易になる。
このように、本処理方法によれば、浮揚物が取出された混合物中の土粒子を分級して所定粒径以上の土粒子を取出すので、放射性物質は所定粒径に満たない細粒の土粒子に主に吸着していることから、所定粒径以上の土粒子に吸着した放射性物質は、極めて少なくなっており、そのため、この取出した所定粒径以上の土粒子を、そのまま、再利用に供することができるようになる。また、所定粒径以上の土粒子が取出された混合物から沈殿分離により上澄み水を取出し、この上澄み水が取出され残余洗浄水を含む混合物に、シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を混合して焼成し焼成固形物を得ることから、焼成固形物に、放射性物質を取り込んで、耐熱性,耐薬品性等の機能に優れ、経年変化が極めて少ない耐久性の高いものにすることができ、放射線量も少なくすることができ、そのため、これを保管,管理することなく、そのまま種々に利用することができるようになる。即ち、減容化して最後に残った汚染土粒子についても、短期に基準放射線量以下にして、再利用することができるようになり、処理効率を向上させることができる。
また、浮揚物についても、これを焼却し、得られた焼却灰に、シラスバルーンの粉末,煉瓦原料の粉末及び水を混合して焼成し焼成灰固形物を得るようにしたことから、浮揚物を焼却するので、浮揚物を焼却灰として減容化を図ることができるとともに、焼却により放射線濃度が濃縮されても、焼成の際に、シラスバルーンは、900℃〜1000℃の比較的低温の温度で液状化するが、焼却灰中のセシウムやセシウム化合物等の放射性物質をこのシラスバルーンの溶融または半溶融物に取り込んで封じ込めることができる。焼成灰固形物は、放射性物質が取り込まれ、しかも、耐熱性,耐薬品性等の機能に優れ、経年変化が極めて少ない耐久性の高いものにすることができる。そのため、放射線量も少なくすることができるので、これを、保管,管理することなく、そのまま種々に利用することができるようになる。
尚、本発明の実施の形態において、撹拌洗浄分離装置1,第1分級取出し装置10,第2分級取出し装置20,沈殿分離装置30及び固形化装置40の構成は上述した構成に限定されるものではなく、適宜変更して差支えない。要するに、当業者は、本発明の新規な教示及び効果から実質的に離れることなく、これら例示である実施の形態に多くの変更を加えることが容易であり、これらの多くの変更は本発明の範囲に含まれる。
上述もしたが、福島第1原発の事故で放射性物質が飛散したことから、地面が放射性物質に汚染された地域では、この地面の表面を掻取、これを汚染土壌として集積して保管しているが、その集積量は膨大である。本発明によれば、汚染土壌全てを短期間で再利用できるように処理することができ、極めて有用になる。
S 汚染土壌の処理システム
1 撹拌洗浄分離装置
2 洗浄水タンク
4 撹拌洗浄容器
5 撹拌羽根
6 排出路
7 搬出コンベア
8 汚水受けタンク
9 排出口
10 第1分級取出し装置
11 第1分級容器
12 一次トロンメル
13 排出路
14 搬出コンベア
15 汚水受けタンク
16 排出口
20 第2分級取出し装置
21 第2分級容器
22 二次トロンメル
23 排出路
24 搬出コンベア
25 汚水受けタンク
26 排出口
30 沈殿分離装置
31 第1沈殿槽
32 第2沈殿槽
33 第3沈殿槽
34 第4沈殿槽
35 流下口
36 排出口
40 固形化装置
41 混練機
42 成形機
43 乾燥機
44 焼成炉
50 建屋
51 コントロールセンター
60 焼却炉
61 混練機
62 成形機
63 乾燥機
64 焼成炉
(1)撹拌洗浄工程
(2)浮揚物取出し工程
(3)第1分級取出し工程
(4)第2分級取出し工程
(5)沈殿分離工程
(6)固形化工程
(6−1)混練工程
(6−2)成形工程
(6−3)乾燥工程
(6−4)焼成工程
1 撹拌洗浄分離装置
2 洗浄水タンク
4 撹拌洗浄容器
5 撹拌羽根
6 排出路
7 搬出コンベア
8 汚水受けタンク
9 排出口
10 第1分級取出し装置
11 第1分級容器
12 一次トロンメル
13 排出路
14 搬出コンベア
15 汚水受けタンク
16 排出口
20 第2分級取出し装置
21 第2分級容器
22 二次トロンメル
23 排出路
24 搬出コンベア
25 汚水受けタンク
26 排出口
30 沈殿分離装置
31 第1沈殿槽
32 第2沈殿槽
33 第3沈殿槽
34 第4沈殿槽
35 流下口
36 排出口
40 固形化装置
41 混練機
42 成形機
43 乾燥機
44 焼成炉
50 建屋
51 コントロールセンター
60 焼却炉
61 混練機
62 成形機
63 乾燥機
64 焼成炉
(1)撹拌洗浄工程
(2)浮揚物取出し工程
(3)第1分級取出し工程
(4)第2分級取出し工程
(5)沈殿分離工程
(6)固形化工程
(6−1)混練工程
(6−2)成形工程
(6−3)乾燥工程
(6−4)焼成工程
Claims (11)
- 放射性物質に汚染された汚染土壌の処理を行う汚染土壌の処理方法において、
汚染土壌をこれに洗浄水を加えて撹拌して洗浄し、該撹拌した混合物から浮揚物を分離して取出し、浮揚物が取出された混合物中の土粒子を分級して所定粒径以上の土粒子を取出し、所定粒径以上の土粒子が取出された混合物から沈殿分離により上澄み水を取出し、上澄み水が取出され残余洗浄水を含む混合物に、シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を混合して焼成し焼成固形物を得ることを特徴とする汚染土壌の処理方法。 - 放射性物質に汚染された汚染土壌の処理を行う汚染土壌の処理方法において、
汚染土壌に洗浄水を加えて撹拌する撹拌洗浄工程と、
該撹拌洗浄工程で撹拌した混合物から浮揚物を分離して取出す浮揚物取出し工程と、
該浮揚物取出し工程で浮揚物が取出された混合物中の土粒子を分級して粒径Dが所定粒径a以上(a≦D)の第1土粒子を取出す第1分級取出し工程と、
該第1分級取出し工程で第1土粒子が取出された混合物中の土粒子を分級して粒径Dが所定粒径a未満で所定粒径b以上(b≦D<a)の第2土粒子を取出す第2分級取出し工程と、
該第2分級取出し工程で第2土粒子が取出された混合物から沈殿分離により上澄み水を取出す沈殿分離工程と、
該沈殿分離工程で上澄み水が取出され残余洗浄水を含む混合物に、シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を混合して焼成し焼成固形物を得る固形化工程とを備えたことを特徴とする汚染土壌の処理方法。 - 上記浮揚物取出し工程で浮揚物を取出す際に該浮遊物から流れ落ちる汚水,上記第1分級取出し工程で第1土粒子を取出す際に該第1土粒子から流れ落ちる汚水,上記第2分級取出し工程で第2土粒子を取出す際に該第2土粒子から流れ落ちる汚水,上記沈殿分離工程で取出される上澄み水を、上記撹拌洗浄工程で汚染土壌に加える洗浄水として用いることを特徴とする請求項2記載の汚染土壌の処理方法。
- 上記第1分級取出し工程で取出す第1土粒子の放射能(「第1土粒子放射能Ra(Bq/Kg)」という)及び上記第2分級取出し工程で取出す第2土粒子の放射能(「第2土粒子放射能Rb(Bq/Kg)」という)が基準となる放射能(「基準放射能Ps(Bq/Kg)」という)以下になるように、混合物中の汚染土壌を洗浄することを特徴とする請求項2または3記載の汚染土壌の処理方法。
- 上記固形化工程を、上記沈殿分離工程で上澄み水が取出された後の混合物に、シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を加えて混練する混練工程と、該混練工程で混練された混練物を所定形状に成形する成形工程と、該成形工程で成形された成形体を乾燥する乾燥工程と、該乾燥工程で乾燥された成形体を焼成して焼成固形物を得る焼成工程とを備えて構成したことを特徴とする請求項2乃至4何れかに記載の汚染土壌の処理方法。
- 上記撹拌洗浄工程においては、所定重量の汚染土壌に所定重量の洗浄水を加え、上記沈殿分離工程においては、残る混合物が所定容量になるように上澄み水を取出すようにし、
上記撹拌洗浄工程の前に、汚染土壌の放射能(「土壌放射能Rx(Bq/Kg)」という)を測定し、該測定した土壌放射能Rxに基づいて、上記固形化工程で得られる焼成固形物の放射能(「固形物放射能Rk(Bq/Kg)」という)が、基準となる放射能(「基準放射能Ps(Bq/Kg)」という)以下になるように、上記固形化工程の混練工程において、シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を加えることを特徴とする請求項2乃至5何れかに記載の汚染土壌の処理方法。 - 予め、上記沈殿分離工程で残る混合物中の残余洗浄水を除いた粒径Dが所定粒径b未満の残余土粒子の重量を推定し、上記固形化工程の混練工程で加えるシラスバルーンの粉末の基本重量Ws及び煉瓦原料の粉末の基本重量Wrを、予め、上記推定した残余土粒子の重量に対応させて決めておき、
上記撹拌洗浄工程の前に、汚染土壌の放射能(「土壌放射能Rx(Bq/Kg)」という)を測定し、該測定した土壌放射能Rxに基づいて、上記固形化工程で得られる焼成固形物の放射能の推定値(「固形物放射能推定値Rks(Bq/Kg)」という)を算出し、
該算出結果が、Rks>Psのとき、Rks≦Psになるように、シラスバルーンの粉末の基本重量Wsに加える増加重量αs及び煉瓦原料の粉末の基本重量Wrに加える増加重量αrを算出し、
上記固形化工程の混練工程において、
上記算出結果が、Rks≦Psのとき、シラスバルーンの粉末をWs加えるとともに、煉瓦原料の粉末をWr加え、
Rks>Psのとき、シラスバルーンの粉末を(Ws+αs)加えるとともに、煉瓦原料の粉末を(Wr+αr)加えることを特徴とする請求項6記載の汚染土壌の処理方法。 - 上記撹拌洗浄工程で取出された浮揚物を焼却し、該焼却して得られた焼却灰に、シラスバルーンの粉末,煉瓦原料の粉末及び水を混合して焼成し焼成灰固形物を得ることを特徴とする請求項2乃至7何れかに記載の汚染土壌の処理方法。
- 放射性物質に汚染された汚染土壌の処理を行う汚染土壌の処理システムにおいて、
汚染土壌に洗浄水を加えて撹拌するとともに撹拌した混合物から浮揚物を分離して取出す撹拌洗浄分離装置と、
該撹拌洗浄分離装置で浮揚物が取出された後の混合物から粒径Dが所定粒径a以上(a≦D)の第1土粒子をろ過により分級して取出す第1分級取出し装置と、
該第1分級取出し装置で第1土粒子が取出された混合物から粒径Dが所定粒径a未満で所定粒径b以上(b≦D<a)の第2土粒子をろ過により分級して取出す第2分級取出し装置と、
該第2分級取出し装置で第2土粒子が取出された混合物から沈殿分離により上澄み水を取出す沈殿分離装置と、
該沈殿分離装置で上澄み水が取出され残余洗浄水を含む混合物に、シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を混合して焼成し焼成固形物を得る固形化装置とを備えたことを特徴とする汚染土壌の処理システム。 - 上記固形化装置を、上記沈殿分離装置で上澄み水が取出された後の混合物に、シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を加えて混練する混練機と、該混練機で混練された混練物を所定形状に成形する成形機と、該成形機で成形された成形体を乾燥する乾燥機と、該乾燥機で乾燥された成形体を焼成して焼成固形物を得る焼成炉とを備えて構成したことを特徴とする請求項9記載の汚染土壌の処理システム。
- 上記撹拌洗浄分離装置,第1分級取出し装置,第2分級取出し装置,沈殿分離装置及び固形化装置を、放射線遮蔽建屋内に収容したことを特徴とする請求項9または10記載の汚染土壌の処理システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018019743A JP2019138674A (ja) | 2018-02-07 | 2018-02-07 | 汚染土壌の処理方法及び汚染土壌の処理システム |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP2018019743A JP2019138674A (ja) | 2018-02-07 | 2018-02-07 | 汚染土壌の処理方法及び汚染土壌の処理システム |
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JP2019138674A true JP2019138674A (ja) | 2019-08-22 |
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JP2018019743A Pending JP2019138674A (ja) | 2018-02-07 | 2018-02-07 | 汚染土壌の処理方法及び汚染土壌の処理システム |
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