JP2019136024A - ビタミンの含有量が増強された野菜の生産方法 - Google Patents

ビタミンの含有量が増強された野菜の生産方法 Download PDF

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Abstract

【課題】キトサン等のキチン質を用い、野菜栽培において、有益な効果を得る。【解決手段】野菜を水耕栽培するにあたり、キチン質を0.005〜0.05質量%含有させた水耕用培養液で少なくとも3日間施肥することを特徴とするビタミンの含有量が増強された野菜の生産方法。【選択図】図3

Description

本発明は、ビタミンの含有量が増強された野菜の生産方法に関する。
グルコサミンを構成単位とするキトサンや、N−アセチルグルコサミンを構成単位とするキチン等のキチン質は農業に利用されており、肥料効果、病害発病抑制、土壌改良、連作障害防止、植物生長促進などの効果が知られている。
実際に、キトサンを土壌に混和し、トマトの成長や果実品質に及ぼす影響が研究されている(非特許文献1)。しかし、この研究では播種時および2週間後に土壌にキトサンを混和させたものの、これにより得られるトマトの果汁中に含まれるビタミンC等も通常の化学肥料と比べて統計上の差異がないことが報告されている。
スリブッタ アカデットら、「キトサンの異なる土壌混和時期がトマトの成長および果実品質に及ぼす影響」園芸学研究.別冊,園芸学会大会研究発表要旨7(1),149,2008−03−28.
従って、本発明の課題は、キトサン等のキチン質を用い、野菜栽培において、有益な効果を得ることである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、野菜栽培において、キチン質を通常よりも高濃度で特定の方法で施肥することにより、野菜中に含まれるビタミンの含有量が増強されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、野菜を水耕栽培するにあたり、キチン質を0.0050〜0.050質量%含有させた水耕用培養液で少なくとも3日間施肥することを特徴とするビタミンの含有量が増強された野菜の生産方法である。
本発明は、野菜を水耕栽培するにあたり、キチン質を0.005〜0.050質量%含有させた水耕用培養液を3日間以上施肥することを特徴とする野菜中のビタミンの増強方法である。
本発明は葉酸、ビタミンCおよびβ−カロテンからなる群から選ばれるビタミンの1種以上が、以下の含有量であることを特徴とするケールである。
葉酸を生鮮重量100gあたり120μg以上
ビタミンCを生鮮重量100gあたり81mg以上
β−カロテンを生鮮重量100gあたり7,500μg以上
本発明のビタミンの含有量が増強された野菜の生産方法は、キチン質を通常よりも高濃度で特定の方法で施肥するという簡便な方法で、野菜中のビタミンの含有量を増強することができる。
従って、本発明によれば、ビタミンの含有量が増強された野菜を得ることができ、これを健康の増進等に役立てることができる。
実施例で用いた水耕栽培装置を示す図である(図中の数字の単位はmmである)。 実施例1における施肥時期を示す図である。 実施例1において得られた野菜の水分量、β−カロテン、ビタミンC、葉酸の含有量の平均値を示す図である。 実施例1において得られた野菜の水分量、β−カロテン、ビタミンC、葉酸の含有量の平均値の各慣行区に対する試験区の増減を示す図である。 実施例1において、キトサン施肥期間と葉酸濃度の相関性を示す図である。 実施例2における施肥時期を示す図である。 実施例2において得られた野菜の水分量、β−カロテン、ビタミンC、葉酸の含有量の測定値を示す図である。 実施例2において得られた野菜の水分量、β−カロテン、ビタミンC、葉酸の含有量の測定値の各慣行区に対する試験区の増減を示す図である。 実施例3における施肥時期を示す図である。 実施例3において得られた野菜の水分量、ビタミンC、葉酸の含有量の測定値を示す図である。 実施例3において得られた野菜の水分量、ビタミンC、葉酸の含有量の測定値の各慣行区に対する試験区の増減を示す図である。 実施例4における施肥時期を示す図である。 実施例4において得られた野菜の水分量、β−カロテン、ビタミンC、葉酸の含有量の測定値を示す図である。 実施例4において得られた野菜の水分量、β−カロテン、ビタミンC、葉酸の含有量の測定値の各慣行区に対する試験区の増減を示す図である。 実施例4において得られた野菜(未熟果実および成熟果実)のβ−カロテンの含有量の測定値を示す図である。
本発明のビタミンの含有量が増強された野菜の生産方法(以下、「本発明方法」という)は、野菜栽培において、キチン質を通常よりも高濃度で特定の方法で施肥するものである。以下、水耕栽培と土耕栽培とを分けて説明する。
<水耕栽培>
本発明方法において、野菜を栽培するにあたり、水耕栽培を採用する場合、キチン質を0.005〜0.050%含有させた水耕用培養液で少なくとも3日間施肥すればよい。
この水耕栽培で用いることのできる野菜は特に限定されないが、例えば、カブ、ラディッシュ等の根菜、カボチャ、キュウリ、ピーマン、パプリカ、スイカ、ゴーヤ、オクラ、ナス、トマト、ミニトマト等の果菜、ケール、リーフレタス、ホウレンソウ、ミズナ、ルッコラ、キャベツ、ハクサイ、カリフラワー、パセリ、バジル、大葉、ネギ、ニラ、コマツナ、ミツバ、チンゲンサイ、からし菜、コリアンダー、ブロッコリー、モロヘイヤ、シュンギク、セルリー等の葉物野菜等が挙げられ、これらの野菜の中でも葉物野菜が好ましい。
この水耕栽培で用いられるキチン質は、特に限定されず、例えば、キチンやキトサン、部分脱アセチル化キチン、部分脱アセチル化キトサン、キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖、キチン塩、キトサン塩といった分子や、アルコラート化キチン、アルコラート化キトサン、硫酸化キチン、硫酸化キトサン、リン酸化キチン、リン酸化キトサン、アシル化キチン、アシル化キトサン、アリル化キチン、アリル化キトサン、アルキル化キチン、アルキル化キトサン、カルボキシメチルキチン、カルボキシメチルキトサン、カーバベイト化キチン、エナミン化キチン、エナミン化キトサン、水溶性キチン誘導体、ポリオキシアルキルキチン、ポリオキシアルキルキトサン、ヒドロキシアルキルキチン、ヒドロキシアルキルキトサン、キチン・キトサングラフト共重合体、キチン・キトサン錯体、カチオン化キチン、カチオン化キトサン、酸化キチン、酸化キトサン、アミド化キチン、アミド化キトサン、ウレイド化キチンウレイド化キトサン、チオウレイド化キチン、チオウレイド化キトサン等のキチン・キトサンの誘導体等が挙げられる。これらのキチン質の中でもキトサンが好ましい。このようなキトサンとしては、市販品を利用することができる。このような市販品としては、例えば、キトサン(スーパーグリーン葉面散布用:関西キトサン)、キトサン(スーパーグリーン促成栽培用:関西キトサン)等が挙げられる。
上記キチン質の施肥には、キチン質を0.005〜0.050質量%(以下、単に「%」という)、好ましくは0.030〜0.050%含有させた水耕用培養液を用いればよい。なお、キチン質は水耕用培養液に含有させる前に、酢酸等に溶解させておいてもよい。また、ベースとなる水耕用培養液は、通常の野菜の水耕栽培に用いられる水耕培養液でよい。
施肥の期間は植物の種類によって適宜設定すればよいが、少なくとも3日間、好ましくは3日間〜21日間、より好ましくは11〜21日間である。また、この施肥は、播種から13日後以降、好ましくは13〜25日後に行えばよい。更に、この施肥は収穫日の21日前から収穫日までの間、好ましくは収穫日の2〜6日前から収穫日までの間に行えばよい。これらの施肥の仕方は組み合わせてもよい。
施肥は、上記したキチン質を含有する水耕用培養液を、通常の水耕用培養液に代えて循環させ、野菜の地下部や根に行えばよい。また、この期間内であれば、施肥は複数回行ってもよい。更に、施肥は段階的にキチン質の濃度を高くして行うことが好ましく、例えば、最初の施肥時に水耕培養液中のキチン濃度が0.005〜0.020%となるように施肥し、次に、水耕培養液中のキトサン濃度が0.030〜0.050%になるように段階的に行う。なお、上記施肥において、水耕用培養液におけるキチン質の濃度は、少なくとも施肥を開始する際に、その濃度であればよく、施肥中にこの濃度を維持しても維持しなくてもよい。
本発明方法を実施可能な水耕栽培装置は、特に限定されるものではなく、通常の栽培ベッド、棚、培養液タンク、循環ポンプ、光源、伝導度測定装置、二酸化炭素測定装置、温度測定装置、pH測定装置、水温測定装置等を備えていればよい。また、水耕栽培の条件は、上記施肥を行う以外は、通常の野菜の水耕栽培の条件でよい。
<土耕栽培>
本発明方法において、野菜を栽培するにあたり、土耕栽培を採用する場合、キチン質を土壌に5〜25g/mで2〜5回施肥すればよい。
この土耕栽培で用いることのできる野菜は特に限定されないが、例えば、ニンジン、ダイコン、カブ、タマネギ、ゴボウ、ラディッシュ等の根菜、カボチャ、キュウリ、ピーマン、パプリカ、スイカ、ゴーヤ、オクラ、ナス、トマト、ミニトマト等の果菜、ケール、リーフレタス、ホウレンソウ、ミズナ、ルッコラ、キャベツ、ハクサイ、カリフラワー、パセリ、バジル、大葉、ネギ、ニラ、コマツナ、ミツバ、チンゲンサイ、からし菜、コリアンダー、ブロッコリー、モロヘイヤ、シュンギク、セルリー等の葉物野菜等が挙げられ、これらの野菜の中でも葉物野菜が好ましい。
この土耕栽培で用いられるキチン質は、特に限定されず、水耕栽培と同様に、キチン、キトサン、キチン・キトサンの誘導体等が挙げられる。これらのキチン質の中でもキトサンが好ましい。このようなキトサンとしては、市販品を利用することができる。このような市販品としては、例えば、キトサン(スーパーグリーン葉面散布用:関西キトサン)、キトサン(スーパーグリーン促成栽培用:関西キトサン)等が挙げられる。
施肥は、上記したキチン質を、土壌に5〜25g/mで2〜5回、野菜の株元へ行えばよい。また、施肥は複数回および/または段階的にキチン質の濃度を高くして行うことが好ましい。この施肥は栽培期間の中期以降に実施し、収穫までに4〜5回行うことが好ましい。
本発明方法を土耕栽培で行う場合には、上記施肥を行う以外は、通常の野菜の土耕栽培の条件でよい。
以上説明した本発明方法により、水耕栽培であっても土耕栽培であっても、野菜中のビタミンの1種以上の含有量を増強することができるが、キチン質の施肥量、施肥期間等を適切に管理することができることから水耕栽培が特に好ましい。
本発明方法により増強されるビタミンとしては、例えば、葉酸、ビタミンC、β−カロテン等が挙げられる。具体的に本発明方法により、葉酸であれば40〜60%程度増強され、ビタミンCであれば15〜50%程度、β−カロテンであれば10〜25%程度増強される。本発明方法は野菜中の葉酸の増強に特に好ましい。
水耕栽培における本発明方法の好ましい態様を具体的な野菜を挙げて示す。
<ケール>
栽培の条件:
・播種時水耕栽培条件:水温20〜23℃、EC値0.8〜1.0mS/cm、pH非調整
・水耕栽培条件:水温20〜23℃、EC値1.8〜2.0mS/cm、pH6.0〜6.8
・気温:19〜22℃
・蛍光灯による照射17時間/日
・二酸化炭素濃度1,000ppm
キトサン施肥の条件:
・播種後、13日後〜34日目まで(収穫直前まで)、キトサン0.0085〜0.0417%の水耕用培養液で施肥
得られる野菜:
・葉酸、ビタミンCおよびβ−カロテンからなる群から選ばれるビタミンの1種以上、好ましくは葉酸とビタミンCが以下の含有量である。
葉酸が生鮮重量100gあたり120μg以上、好ましくは150〜210μg
ビタミンCが生鮮重量100gあたり81mg以上、好ましくは100〜125μg
β−カロテンが生鮮重量100gあたり7,500μg以上、好ましくは8,000〜9,400μg
<リーフレタス>
栽培の条件:
・播種時水耕栽培条件:水温20〜23℃、EC値0.8〜1.0mS/cm、pH非調整
・水耕栽培条件:水温20〜23℃、EC値1.5〜1.8mS/cm、pH6.0〜6.8
・気温:19〜22℃
・蛍光灯による照射12時間/日
・二酸化炭素濃度:1,000ppm
キトサン施肥の条件:
・播種後、21日後〜35日まで(収穫直前まで)、キトサン0.0167〜0.0417%の水耕用培養液で施肥
得られる野菜:
・葉酸、ビタミンCおよびβ−カロテンからなる群から選ばれるビタミンの1種以上、好ましくは葉酸が以下の含有量である。
葉酸が生鮮重量100gあたり75μg以上
ビタミンCが生鮮重量100gあたり7mg以上
β−カロテンが生鮮重量100gあたり1,860μg以上
<ラディッシュ>
栽培の条件
・播種時水耕栽培条件:水温20〜23℃、EC値0.8〜1.0mS/cm、pH非調整
・水耕栽培条件:水温20〜23℃、EC値1.0〜1.2mS/cm、pH非調整
・気温:19〜22℃
・蛍光灯による照射8時間/日
・二酸化炭素濃度:1,000ppm
キトサン施肥の条件
・播種後、10日後〜30日まで(収穫直前まで)、キトサン0.0167〜0.0417%の水耕用培養液で施肥
得られる野菜:
・葉酸およびビタミンCからなる群から選ばれるビタミンの1種以上が以下の含有量である。
葉酸が生鮮重100gあたり97μg以上
ビタミンCが生鮮重100gあたり30mg以上
<ミニトマト>
栽培の条件
・播種時水耕栽培条件:水温20〜23℃、EC値0.8〜1.0mS/cm、pH非調整
・水耕栽培条件:水温20〜23℃、EC値1.0〜1.4mS/cm、pH非調整
・気温:19〜22℃
・蛍光灯による照射20時間/日
・二酸化炭素濃度:1,000ppm
キトサン施肥の条件
・播種後、60日目以降(着果後)にキトサン0.015〜0.050%の水耕用培養液で施肥
得られる野菜:
・葉酸、ビタミンCおよびβ−カロテンからなる群から選ばれるビタミンの1種以上が以下の含有量である。
葉酸が成熟果実の生鮮重量100gあたり24μg以上
ビタミンCが成熟果実の生鮮重量100gあたり22mg以上
β−カロテンが成熟果実の生鮮重量100gあたり900μg以上
以下、本発明を実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
実 施 例 1
キトサン施肥の期間・タイミングの違いによる影響の評価:
(1)試験目的
キトサンを施肥するタイミングの違いによるケール中の各種ビタミン濃度への影響について評価した。
(2)栽培条件
以下のケールの栽培条件で、ケール(カーボロネロ:トキタ種苗株式会社)を用いて栽培試験を実施した。水耕培養液に関してはファームエース1号S(カネコ種苗株式会社)、ファームエース2号(カネコ種苗株式会社)、ファームエース5号(カネコ種苗株式会社)を用いた。水耕培養液のpH調整は養液栽培用pH調整剤(ダウン:OATアグリオ株式会社)を用いた。本明細書実施例では各種肥料を水道水で溶解・希釈して使用した。
・水耕栽培条件:水温20℃、EC値1.8〜2.0mS/cm、pH6.0〜6.8
・気温:19〜22℃
・蛍光灯による照射17時間/日
・二酸化炭素濃度1,000ppm
(3)栽培方法
水耕用ウレタン培地に培養液を吸水させ、そこにケール種子を播種した。播種から7日後に発芽したケール苗を定植栽培用パネルに移し、図1に示した水耕栽培装置へ定植した。
(4)水耕栽培装置
本実施例はすべて図1に示した水耕栽培装置を使用した。本水耕栽培装置は段毎に培養液タンクおよび循環ポンプ、栽培ベッド(発泡スチロール+ベッドシート)が分かれており、それぞれの段で異なるキトサン処理条件を再現し評価を実施した。本実施例では培養液タンクと栽培ベッド中の培養液量は約120Lとして各種評価を実施した。なお、水耕培養液は、ケールの根に接するように循環される。
(5)キトサンの施肥条件
上記(4)の水耕栽培装置を用いてケールを栽培した。この栽培において、図2に記載のスケジュールおよび濃度(C:100は0.004%、C:200は0.008%、C:300は0.013%、C:400は0.017%、C:800は0.033%)でキトサン(スーパーグリーン葉面散布用:関西キトサン)の施肥を行った。キトサンを施肥せずに栽培した条件区を慣行区とし、キトサンを施肥した条件区を試験区A〜Cとした。試験区Aでは栽培中期にのみキトサンを施肥した。試験区Bでは栽培終期から収穫までキトサンを施肥した。試験区Cでは栽培中期〜収穫までキトサンの施肥を実施した。
(6)成分分析
ケールを収穫後、水分量、β−カロテン、ビタミンC(総アスコルビン酸)、葉酸の含有量をそれぞれ公知の方法(水分量:減圧加熱乾燥法、β−カロテン:高速液体クロマトグラフ法、ビタミンC:高速液体クロマトグラフ法、葉酸:微生物定量法)により測定した。その結果の各測定値および測定値の平均値を図3に示した。また、水分量、β−カロテン、ビタミンC、葉酸の含有量の各慣行区に対する試験区の増減を図4に示した。
以上の結果から、キトサンを含有させた水耕培養液で施肥し、ケールを栽培することでケール中の各種ビタミン濃度が増加することが分かった。特に試験区B−2では葉酸を生鮮重量100gあたり210μg、ビタミンCを生鮮重量100gあたり110mg、β−カロテンを生鮮重量100gあたり9,220μgで含有するケールが得られた。
また、試験区A〜Cをそれぞれ比較することで各種ビタミン濃度の増加量はキトサンの施肥の期間やタイミングによって変化することが示唆された。図5に示すとおり、ケール中の葉酸を増加させるためには、キトサンの施肥期間は少なくとも3日間必要であり、更に、施肥期間が3日間〜21日間であるとより葉酸を増加できることや、11〜21日間であると最も葉酸を増加できることが分かった。
ビタミンCに関しては試験区Aと試験区BおよびCと比較すると試験区AはビタミンC濃度が低くなっており、試験区BおよびCではビタミンC濃度が高くなった。試験区Aと試験区BおよびCの違いとしては最後のキトサン施肥と収穫までの間隔の長さであると考えられ、試験区Aでは最後のキトサン施肥と収穫までの間隔が長くなっており、試験区BおよびCでは間隔が短くなっている。したがって、最後のキトサン施肥と収穫までの間隔を長くすることでケール中のビタミンC濃度が増加することが示唆された。
β−カロテンに関してはキトサン施肥の期間の長さや施肥タイミングによる増加量には一定の傾向は見られなかったが、キトサン施与によって含量が増加することが示唆された。
以上の結果より、ケール中のビタミンの含有量を増強するには、キチン質を0.005〜0.050%含有させた水耕用培養液で少なくとも3日間施肥すればよいことが分かった。
実 施 例 2
別品目への汎用性の評価:
(1)試験目的
キチン質の施肥がケール以外の野菜へ応用が可能か評価した。本実施例ではリーフレタスへの汎用性について評価した。
(2)栽培条件・方法
以下のリーフレタスの栽培条件で、リーフレタス(フリルアイス(登録商標):雪印種苗株式会社)を用いて栽培試験を実施した。その他に関しては実施例1と同様の栽培条件・方法で評価を実施した。
・水耕栽培条件:水温20℃、EC値1.5〜1.8mS/cm、pH6.0〜6.8
・気温:19〜22℃
・蛍光灯による照射12時間/日
・二酸化炭素濃度:1,000ppm
(3)キトサンの施肥条件
本実施例においては図6に記載のスケジュールおよび濃度でキトサン(スーパーグリーン葉面散布用:関西キトサン)の施肥を行った。キトサンを施肥せずに栽培した条件区を慣行区とし、キトサンを施肥した条件区を試験区とした。
(4)成分分析
リーフレタスを収穫後、実施例1と同様の成分項目を同様の方法で測定を実施した。その結果の各測定値を図7に示した。また、水分量、β−カロテン、ビタミンC、葉酸の含有量の各慣行区に対する試験区の増減を図8に示した。
以上の結果よりリーフレタスにおいてもケールと同様に、水耕培養液にキトサンを施肥することで各種ビタミン濃度が増加することは分かった。したがって、本実施例で示すとおり、本技術はケール以外の品目への応用も可能であることが示唆された。
実 施 例 3
別品目への汎用性の評価:
(1)試験目的
キチン質の施肥がケール以外の野菜へ応用が可能か評価した。本実施例ではラディッシュへの汎用性について評価した。
(2)栽培条件・方法
以下のラディッシュの栽培条件で、ラディッシュ(さくらんぼ:株式会社サカタのタネ)を用いて栽培試験を実施した。その他に関しては実施例1と同様の栽培条件・方法で評価を実施した。
・水耕栽培条件:水温20℃、EC値1.0〜1.2mS/cm、pH非調整
・気温:19〜22℃
・蛍光灯による照射8時間/日
・二酸化炭素濃度:1,000ppm
(3)キトサンの施肥条件
・本実施例においても図9に記載のスケジュールおよび濃度でキトサン(スーパーグリーン葉面散布用:関西キトサン)の施肥を行った。キトサンを施肥せずに栽培した条件区を慣行区とし、キトサンを施肥した条件区を試験区とした。
・収穫日の4日前から収穫日当日まで培養液中のキトサン濃度が0.013〜0.040%となるように水耕用培養液に施肥した。
(4)成分分析
ラディッシュを収穫後、水分量、ビタミンC、葉酸について実施例1と同様の方法で測定を実施した。その結果の測定値を図10に示した。また、水分量、ビタミンC、葉酸の含有量の各慣行区に対する試験区の増減を図11に示した。なお、日本食品標準成分表によるとラディッシュにはβ−カロテンは含まれていないため、測定を実施しなかった。
以上の結果よりラディッシュにおいてもケール、リーフレタスと同様に、水耕培養液にキトサンを施肥することで各種ビタミン濃度が増加しうることが分かった。
実 施 例 4
別品目への汎用性の評価:
(1)試験目的
キチン質の施肥がケール以外の野菜へ応用が可能か評価した。本実施例ではミニトマトへの汎用性について評価した。
(2)栽培条件・方法
以下のミニトマトの栽培条件で、ミニトマト(レジナ:株式会社サカタのタネ)を用いて栽培試験を実施した。その他に関しては実施例1と同様の栽培条件・方法で評価を実施した。
・水耕栽培条件:水温20〜23℃、EC値1.0〜1.4mS/cm、pH非調整
・気温:19〜22℃
・蛍光灯による照射20時間/日
・二酸化炭素濃度:1,000ppm
(3)キトサンの施肥条件
・本実施例においても図12に記載のスケジュールおよび濃度でキトサン(スーパーグリーン葉面散布用:関西キトサン)の施肥を行った。キトサンを施肥せずに栽培した条件区を慣行区とし、キトサンを施肥した条件区を試験区とした。
・収穫日の7日前から収穫当日まで培養液中のキトサン濃度が0.015〜0.060%となるように3〜7日間の間隔で水耕用培養液に施肥。
(4)成分分析
ミニトマトを収穫後、実施例1と同様の成分項目を同様の方法で測定を実施した。その結果の各測定値を図13に示した。また、水分量、β−カロテン、ビタミンC、葉酸の含有量の各慣行区に対する試験区の増減を図14に示した。図13に示した測定では未熟果実で成分分析の測定を実施したためβ−カロテン濃度は低くなっていたが、別途熟した果実を測定したところ、図15のとおりβ−カロテン濃度は慣行区よりも試験区の方が高い状態で高濃度へと変化していた。したがって、上記キトサン施肥方法で果菜類へ施肥した場合、果実の熟れ具合に依らず、ビタミン濃度が増加すると考えられる。
以上の結果よりミニトマトにおいてもケール、リーフレタス、ラディッシュと同様に、水耕培養液にキトサンを施肥することで各種ビタミン濃度が増加しうることが分かった。
本発明は、ビタミンの含有量が増強された野菜の製造に利用できる。
1 … 培養液タンク
2 … 循環ポンプ
3 … 栽培ベッド
以 上
ビタミンCに関しては試験区Aと試験区BおよびCと比較すると試験区AはビタミンC濃度が低くなっており、試験区BおよびCではビタミンC濃度が高くなった。試験区Aと試験区BおよびCの違いとしては最後のキトサン施肥と収穫までの間隔の長さであると考えられ、試験区Aでは最後のキトサン施肥と収穫までの間隔が長くなっており、試験区BおよびCでは間隔が短くなっている。したがって、最後のキトサン施肥と収穫までの間隔をくすることでケール中のビタミンC濃度が増加することが示唆された。

Claims (7)

  1. 野菜を水耕栽培するにあたり、キチン質を0.005〜0.050質量%含有させた水耕用培養液で少なくとも3日間施肥することを特徴とするビタミンの含有量が増強された野菜の生産方法。
  2. ビタミンが、葉酸、ビタミンCおよびβ−カロテンからなる群から選ばれる1種以上である請求項1記載のビタミンの含有量が増強された野菜の生産方法。
  3. 野菜が、ケールまたはリーフレタスである請求項1または2記載のビタミンの含有量が増強された野菜の生産方法。
  4. キチン質がキトサンである請求項1〜3の何れかに記載のビタミンの含有量が増強された野菜の生産方法。
  5. 施肥を播種から13日後以降に行うものである請求項1〜4の何れかに記載のビタミンの含有量が増強された野菜の生産方法。
  6. 施肥を収穫日の21日前から収穫日までの間に行うものである請求項1〜5の何れかに記載のビタミンの含有量が増強された野菜の生産方法。
  7. 葉酸、ビタミンCおよびβ−カロテンからなる群から選ばれるビタミンの1種以上が、以下の含有量であることを特徴とするケール。
    葉酸を生鮮重量100gあたり120μg以上
    ビタミンCを生鮮重量100gあたり81mg以上
    β−カロテンを生鮮重量100gあたり7,500μg以上
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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