以下に添付図面を参照して、実施形態にかかるディスク装置を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
(第1の実施形態)
第1の実施形態にかかるディスク装置100について図1を用いて説明する。図1は、ディスク装置100の構成を示す図である。
ディスク装置100は、例えば、ヘッド122を介してディスク媒体111に情報を記録し、ヘッド122を介してディスク媒体111から信号を読み出す装置(例えば、ディスク装置やハードディスク装置)である。具体的には、ディスク装置100は、ディスク媒体111、スピンドルモータ(SPM)112、モータドライバ121、ヘッド122、アクチュエータアーム115、ボイスコイルモータ(VCM)116、ヘッドアンプ124、リードライトチャネル(RWC)125、ハードディスクコントローラ(HDC)131、バッファメモリ129、及び制御部126を備える。
ディスク媒体111は、外形φ95mmの磁気記録媒体であり、SPM112により、回転軸を中心に所定の回転速度で回転される。SPM112は、モータドライバ121により回転駆動される。ディスク装置100は、複数枚のディスク媒体111を有し得るが、説明及び図示の簡略化のため、1枚のディスク媒体111について中心に説明する。
ディスク媒体111の一例として、3.5inchフォームファクタの一般的なハードディスクドライブ(HDD)における、平均外径寸法φ95mmの基板を用いた一枚あるいは複数枚の磁気記録媒体を搭載し、その回転中心からの距離が45.0mmから46.5mm以下となる位置が、複数のデータトラックの最外周半径位置となった磁気記録媒体を例示することができる。これは、磁気記録媒体の外径から略1.0mmから2.5mmの領域を、磁気ヘッドのロード/アンロード動作用の余裕領域として用いるためである。例えば、平均外径寸法φ96mmの基板を用いた場合は、その回転中心からの距離が45.5mmから47.0mm以下となる位置が、複数のデータトラックの最外周半径位置となる。また、平均外径寸法φ97mmの基板を用いた場合は、その回転中心からの距離が46.0mmから47.5mm以下となる位置が、複数のデータトラックの最外周半径位置となる。
ヘッド122は、アクチュエータアーム115の先端にあって、モータドライバ121によって駆動されるVCM116により、ディスク媒体111の半径方向(トラック幅方向)に沿って目標トラックへシークされ、目標トラック上でトラッキング動作を行う。ディスク媒体111の回転が停止しているときなどは、ヘッド122は、ランプ(図示せず)上に退避される。ヘッド122は、TDMR(Two Dimensional Magnetic Recording)ヘッドであり、ライト素子Wおよび複数のリード素子R1,R2を有する。ディスク装置100は、複数枚のディスク媒体111の各記録面(表面及び裏面)に対応して複数のヘッド122を有し得るが、以下では、説明及び図示の簡略化のため、1枚のディスク媒体111及びそれに対応する1つのヘッド122について中心に説明する。
ヘッドアンプ124は、ヘッド122がディスク媒体111からリードされた信号を増幅して出力し、RWC125に供給する。また、ヘッドアンプ124は、RWC125から供給された、ディスク媒体111にデータをライトするための信号を増幅して、ヘッド122に供給する。
HDC131は、I/Fバスを介してホストコンピュータ140との間で行われるデータの送受信の制御や、バッファメモリ129の制御、ならびに、ライトデータに対するデータの誤り訂正処理などを行う。バッファメモリ129は、ホストコンピュータ140との間で送受信されるデータのキャッシュとして用いられる。また、バッファメモリ129は、ディスク媒体111からリードされるデータ、ディスク媒体111にライトされるデータ、又はディスク媒体111からリードされる制御用ファームウェアを、一時記憶するためなどに用いられる。
RWC125は、HDC131から供給される、ディスク媒体111にライトするためのデータをコード変調してヘッドアンプ124に供給する。また、RWC125は、ディスク媒体111からリードされヘッドアンプ124を介して供給された信号をコード復調してデジタルデータとしてHDC131へ出力する。
制御部126には、動作用メモリ127(例えば、SRAM)、不揮発性メモリ128(例えば、フラッシュメモリ)および一時記憶用のバッファメモリ129(例えば、DRAM)が接続されている。制御部126は、例えばCPU又はMPUであり、不揮発性メモリ128又はディスク媒体111に予め記憶されたファームウェアに従って、このディスク装置100の全体的な制御を行う。ファームウェアは、初期ファームウェアおよび通常動作に用いる制御用ファームウェアである。起動時に最初に実行される初期ファームウェアは、例えば、不揮発性メモリ128に記憶されており、通常動作に用いる制御用ファームウェアは、ディスク媒体111に記録されている。初期ファームウェアに従った制御により、ディスク媒体111から一旦バッファメモリ129に読み出され、その後動作用メモリ127に格納される。
なお、RWC125、制御部126、及びHDC131を含む構成をコントローラ130と見なすこともできる。コントローラ130は、例えばSoC(システムオンチップ)として実装され得る。
ディスク装置100では、ディスク媒体111に記録されたサーボパターンによりディスク媒体111に同心円状に複数のトラック(複数のサーボトラック)が規定される。コントローラ130は、ディスク媒体111上における半径位置を示す情報として、複数のトラックに対して内側から外側の順に又は外側から内側の順に割り振られたトラック番号を管理できる。例えば、複数のトラックの規定の一例として、ディスク媒体111の最外周から略1mmから2.5mm領域は、磁気ヘッドのロード/アンロード動作用の余裕領域として用いるため、最外周データトラックはSPM112回転中心から半径46.5mmから45mmとなり、最内周データトラックは、略半径20mmから21mmに設計されることがある。尚、ディスク媒体111として、外形φ96mmの磁気ディスク媒体を用いる場合の最外周データトラックは、半径47mmから45.5mmとなる様に設計されることもある。また、コントローラ130は、ディスク媒体111上における半径位置を示す情報として、複数のトラックをそれぞれ含むように同心円状に区分された複数のゾーンを管理できる。例えば、コントローラ130は、トラック番号とゾーン番号(内周ゾーンID、中周ゾーンMD、外周ゾーンODを互いに識別する情報)とが複数のトラックについて対応付けられたゾーン区分情報を管理できる。以下では、コントローラ130が管理するゾーンが3つのゾーン(内周ゾーンID、中周ゾーンMD、外周ゾーンOD)である場合について例示的に説明するが、ゾーンの区分はこれに限定されず任意に行われ得る。
なお、以下では、ヘッド122の移動速度とは、サーボトラックに対してヘッド122が移動する速度における半径方向成分を指すものとする。
ディスク媒体111の製造工程において、各トラックでは、図2(c)に示すように、データ領域DAとサーボ領域SAとが周方向に交互に繰り返し設けられ得る。図2は、サーボ領域SAの構成を示す図である。データ領域DAは、データが記録される領域である。サーボ領域SAは、サーボパターンが記録される領域である。コントローラ130は、サーボ領域SAから読み出されたサーボパターンの情報を用いてヘッド122の位置決めを行い、データ領域DAに対してデータのライト及び/又はリードを行うことができる。
サーボパターンは、複数種のパターンを含み、例えば、プレアンブル、サーボマーク、グレイコード、バーストパターン、ポストコードを含む。それに応じて、サーボ領域SAは、プレアンブル領域Rpr、サーボマーク領域Rsam、グレイコード領域Rgc、サーボバースト領域Rbst、ポストコード領域Rpcを含む。プレアンブル領域Rprは、プレアンブルが記録される領域である。プレアンブルは、サーボパターンに対して振幅及び位相の同期を取る基準となるパターンである。サーボマーク領域Rsamは、サーボマークが記録される領域である。サーボマークは、トラックにおける周方向の基準位置を示すパターンである。グレイコード領域Rgcは、グレイコードが記録される領域である。グレイコードは、ディスク媒体111におけるトラックの半径位置を示す情報(トラック番号など)を含む。サーボバースト領域Rbstは、バーストパターンが記録される領域である。バーストパターンは、ヘッド122のトラック中心からのオフトラック量を検出するためのパターンである。ポストコード領域Rpcは、ポストコードが記録される領域である。ポストコードは、バーストパターンで得られるオフトラック量の誤差を補正するための補正量(偏心補正量など)の情報を含む。
サーボバースト領域Rbstに記録されるバーストパターンとしては、ヌル(Null)型のバーストパターンを採用することができる。ヌル型のバーストパターンは、N相(Null N)とQ相(Null Q)との2相を含み、A相、B相、C相、D相の4相を含む場合に比べて、サーボバースト領域Rbstのビット長を略半分に短縮できる。
N相では、A相−B相に相当するパターンを実現するために、N相内で半径方向に位相を180°(=1cyl)の間隔で極性が交互に反転するように磁化パターンが配置され得る。Q相では、C相−D相に相当するパターンを実現するために、Q相内で半径方向に位相を180°(=1cyl)の間隔で極性が交互に反転するように磁化パターンが配置され得る。N相及びQ相間では、半径方向に位相を互いに90°(=0.5cyl)シフトさせた磁化パターンが配置され得る。これにより、ヌル型のバーストパターンを採用した場合でも、図2(c)に示すように、サーボバースト領域Rbstは、サーボ領域SA内のかなりのビット長を占めている。
一方、ヘッド122は、TDMR(Two Dimensional Magnetic Recording)ヘッドであり、図3(a)〜図3(d)に示すように、ライト素子Wおよび複数のリード素子R1,R2を有する。図3(a)〜図3(d)は、ヘッド122の構成を示す図である。図3(a)に示す平面視においてディスク媒体111が時計回りに回転する場合、ライト素子Wは、ヘッド122における回転方向上流側に配され、リード素子R1は、ヘッド122における回転方向下流側に配され、リード素子R2は、ライト素子W及びリード素子R1の間に配される。コントローラ130は、ライト素子Wによりディスク媒体111にデータのライトを行ったり、複数のリード素子R1,R2によりディスク媒体111からデータのリードを行ったりすることができる。
2つのリード素子R1,R2のうち、リード素子R1をマスター側のリード素子とし、リード素子R2をスレーブ側のリード素子とすることができる。サーボ処理において、コントローラ130は、マスター側のリード素子R1からのリード信号φR1を元にサーボパターンの情報を復調処理してヘッド122の位置決めを行うことがある。しかし、このヘッド122によれば、コントローラ130は、リード素子R1,R2毎に、サーボパターンの情報を取得する事が可能である。2つのリード素子R1,R2のリード信号φR1,φR2を活用した新たなサーボ方式が望まれている。
2つのリード素子R1,R2のリード信号φR1,φR2を活用するには、半径方向におけるリード素子間のオフセット量Trについて考える必要がある。ディスク媒体111において、ヘッド122が図3(a)に示すどの半径位置(内周ゾーンID、中周ゾーンMD、外周ゾーンODのうちのどのゾーン)に位置するかに従い、アクチュエータアーム115のアーム角度が変わるため、ヘッド122のスキュー角βが変わっていく。それに伴い、ディスク媒体111に対するリード素子R1とリード素子R2との相対位置関係も変わるため、半径方向におけるリード素子間のオフセット量Trも変わる。
ヘッド122がトラッキング時に外周ゾーンOD内のトラックTRK_rに位置する場合、ディスク媒体111側からヘッド122を見たときのライト素子Wおよび複数のリード素子R1,R2の位置関係は、図3(b)に示すようになる。すなわち、スキュー角βが外周側に傾いた負の角度(β<0)となり、リード素子R1に対してリード素子R2が負のオフセット量Tr(<0)となる。
ヘッド122がトラッキング時に中周ゾーンMD内のトラックTRK_hに位置する場合、ディスク媒体111側からヘッド122を見たときのライト素子Wおよび複数のリード素子R1,R2の位置関係は、図3(c)に示すようになる。すなわち、スキュー角βが略ゼロ(β≒0)となり、リード素子R1に対してリード素子R2が略ゼロのオフセット量Tr(≒0)となる。
ヘッド122がトラッキング時に内周ゾーンID内のトラックTRK_pに位置する場合、ディスク媒体111側からヘッド122を見たときのライト素子Wおよび複数のリード素子R1,R2の位置関係は、図3(d)に示すようになる。すなわち、スキュー角βが内周側に傾いた正の角度(β>0)となり、リード素子R1に対してリード素子R2が正のオフセット量Tr(>0)となる。
ヘッド122がトラッキング時にサーボバースト領域RbstにおけるN相領域(Null N領域)を通過する際の動作に着目すると、図4(a)〜図4(c)及び図5(a)〜図5(c)に示すようになる。図4(a)〜図4(c)は、ヘッド122の動作を示す図である。図5(a)〜図5(c)は、バーストパターンの検出結果を示す図である。
ヘッド122がトラッキング時に外周ゾーンOD内のトラックTRK_rに位置する場合、図4(c)に示すように、オフセット量Trが負の値を有するので、リード素子R2の半径位置がリード素子R1の半径位置より外周側に|Tr|でシフトした状態でゲート信号におけるN相の復調窓WNがアクティブになる。この状態で、トラック中心に対するオフトラック量を−側(外周側)から+側(内周側)に変化させたときのN相のバーストパターンの検出結果BstNの変化について、図5(a)に示すように、リード素子R2によるリード信号φR2がリード素子R1によるリード信号φR1に対して進相した波形となり得る。
ヘッド122がトラッキング時に中周ゾーンMD内のトラックTRK_hに位置する場合、図4(b)に示すように、オフセット量Trが略ゼロであるので、リード素子R2の半径位置がリード素子R1の半径位置と略一致した状態でゲート信号におけるN相の復調窓WNがアクティブになる。この状態で、トラック中心に対するオフトラック量を−側(外周側)から+側(内周側)に変化させたときのN相のバーストパターンの検出結果BstNの変化について、図5(b)に示すように、2つのリード素子R1,R2によるリード信号φR1,φR2がほぼ一致する。同様に、リード素子R2の半径位置がリード素子R1の半径位置と略一致した状態でゲート信号におけるQ相の復調窓WQがアクティブになる。この状態で、トラック中心に対するオフトラック量を−側(外周側)から+側(内周側)に変化させたときのQ相のバーストパターンの検出結果BstQの変化について、図5(e)に示すように、2つのリード素子R1,R2によるリード信号φR1,φR2がほぼ一致する。図5(e)に示すQ相のバーストパターンの検出結果BstQの波形は、図5(b)に示すN相のバーストパターンの検出結果BstNの波形に対して進相した波形となり得る。
ヘッド122がトラッキング時に内周ゾーンID内のトラックTRK_pに位置する場合、図4(a)に示すように、オフセット量Trが正の値を有するので、リード素子R2の半径位置がリード素子R1の半径位置より内周側に|Tr|でシフトした状態でゲート信号におけるN相の復調窓WNがアクティブになる。この状態で、トラック中心に対するオフトラック量を−側(外周側)から+側(内周側)に変化させたときのN相のバーストパターンの検出結果BstNの変化について、図5(c)に示すように、リード素子R2によるリード信号φR2がリード素子R1によるリード信号φR1に対して遅相した波形となり得る。
すなわち、オフセット量Trが略ゼロとなる中周ゾーンMDでは、ヘッド122のオフトラック量の検出にサーボバースト領域RbstのN相とQ相との両方の検出が必要である。それに対し、オフセット量Trが確保できる内周ゾーンID、外周ゾーンODでは、オフセット量Trを用いることで、ヘッド122のオフトラック量の検出をN相の検出で済ますことが可能であると予想される。
そこで、第1の実施形態では、ディスク装置100において、内周ゾーンID、外周ゾーンOD内のトラックのサーボバースト領域Rbstを実質的にN相のバーストパターンのみで構成することで、ディスク媒体111におけるデータ容量の向上を図る。具体的には、製造工程において、N相のバーストパターン及びQ相のバーストパターンを用いた処理を行った後に、Q相のバーストパターンの少なくとも一部(すなわち、大部分又は全部)を消去する。これにより、内周ゾーンID、外周ゾーンOD内のトラックのサーボバースト領域Rbstのビット長を中周ゾーンMD内のトラックのサーボバースト領域Rbstのビット長より短くなるようにディスク媒体111を構成することで、ディスク媒体111におけるデータ容量の向上を図る。
例えば、図2(c)に示すように、中周ゾーンMD内の各トラック(例えば、トラックTRK_h)のサーボバースト領域Rbstは、N相のバーストパターン(Null N)及びQ相のバーストパターン(Null Q)を含む。
それに対し、図2(a)に示すように、外周ゾーンOD内の各トラック(例えば、トラックTRK_r)のサーボバースト領域Rbstは、N相のバーストパターン(Null N)を含み且つQ相のバーストパターン(Null Q)を含まない。
あるいは、図2(b)に示すように、外周ゾーンOD内の各トラック(例えば、トラックTRK_r)のサーボバースト領域Rbstは、N相のバーストパターン(Null N)を含み且つ中周ゾーンMD内の各トラックにおけるQ相のバーストパターンよりビット長の短いQ相のバーストパターン(Null Q)を含む。すなわち、外周ゾーンOD内の各トラックのサーボバースト領域Rbstは、ゲート信号におけるQ相の復調窓WQのパルス幅(図4(b)参照)に対応するビット長に比較して大幅に短いビット長のQ相のバーストパターン(Null Q)を含む。
図2(d)に示すように、内周ゾーンID内の各トラック(例えば、トラックTRK_p)のサーボバースト領域Rbstは、N相のバーストパターン(Null N)を含み且つQ相のバーストパターン(Null Q)を含まない。
あるいは、図2(e)に示すように、内周ゾーンID内の各トラック(例えば、トラックTRK_p)のサーボバースト領域Rbstは、N相のバーストパターン(Null N)を含み且つ中周ゾーンMD内の各トラックにおけるQ相のバーストパターンよりビット長の短いQ相のバーストパターン(Null Q)を含む。すなわち、内周ゾーンID内の各トラックのサーボバースト領域Rbstは、ゲート信号におけるQ相の復調窓WQのパルス幅(図4(b)参照)に対応するビット長に比較して大幅に短いビット長のQ相のバーストパターン(Null Q)を含む。
このとき、図5(a)〜図5(c)に示されるリード信号φR1に対するリード信号φR2の遅れ又は進み分の位相差θrは、半径方向におけるリード素子間のオフセット量Trと図6に示す半径方向におけるバーストパターンの繰り返し長Lとから次の数式1で求めることができる。図6は、リード素子間のオフセット量Trと半径方向におけるバーストパターンの繰り返し長Lとの関係を示す図である。バーストパターンの繰り返し長Lは、サーボトラックピッチTwの2倍に等しく(L=2×Tw)、例えばトラックTRK_nのトラック幅の2倍に等しい。
ここで、リード素子R1によるN相の検出結果BstN=N1、リード素子R1によるQ相の検出結果BstQ=Q1、リード素子R2によるN相の検出結果BstN=N2、リード素子R2によるQ相の検出結果BstQ=Q2と定義する。図5(b)、図5(e)に示されるように、N1は、Q1に対して例えば90°進相した波形となる。N2は、Q2に対して例えば90°進相した波形となる。
数式1に示されるように、Tr=L/4(>0)の場合には、θr=π/2=90°(進相)となるので、N2=Q1とみなすことができる。すなわち、オフセット量Trの絶対値が確保できる内周ゾーンID、外周ゾーンODでは、BstN=N1、BstQ=N2と見なしてオフトラック復調すれば、Q相のバーストパターンを一切使わなくても、ヘッド122のオフトラック位置を復調できることになる。
より具体的には、コントローラ130は、図7に示すように構成され得る。図7は、コントローラ130の構成を示す図である。なお、図7に示すコントローラ130は、機能的な構成であり、例えば、HDC131等(図1参照)においてハードウェア的に(例えば、システムオンチップとして)実装されていてもよい。あるいは、図7に示すコントローラ130は、例えば、制御部126等においてソフトウェア的に(例えば、制御部126等により動作用メモリ127等に一括して又は処理の進行に応じて順次に展開される機能モジュールとして)実装されていてもよい。あるいは、図7に示すコントローラ130は、一部の機能がHDC131等においてハードウェア的に実装され、残りの機能が制御部126等においてソフトウェア的に実装されていてもよい。
コントローラ130は、リードチャネル131、NULLバースト変換部132、CTS導出部133、処理選択部134、セレクタ135、アドレス補正部136、オフトラック量算出部137、及び加算器138を有する。
コントローラ130は、バーストパターンのリード信号からヘッド122のオフトラック量を検出できる。すなわち、リード素子R1,R2は、TDMR用の2チャンネルを独立再生できるヘッドアンプ124(図1参照)に接続されている。そのヘッドアンプ124の出力は、TDMR用のリードチャネル131に入力される。TDMR用のリードチャネル131も、2つのサーボ復調回路を持っていて、2つのリード素子R1,R2のリード信号φR1,φR2を独立に処理できる。Null型のバーストパターンのリード信号N1,N2,Q1,Q2は、その基本周波数成分にてゲート信号の復調窓WN,WQがアクティブな区間(図4(a)〜図4(c)参照)に取得され正弦・余弦波係数で積分されてバースト値BstN,BstQとしてレジスタに保存される。
例えば、位置検出処理において、アドレス補正部136は、Null N,Qに相当する2つのバースト値BstN,BstQとリードされたグレイコードから復調されたシリンダアドレス(トラック番号)とを読み込む。アドレス補正部136は、シリンダアドレスをバースト値の象限判定によりアドレス補正部136で必要に応じて±1補正して加算器138へ供給する。オフトラック量算出部137は、2つのバースト値BstN,BstQからオフトラック量offtrkを導出して加算器138へ供給する。加算器138は、補正後のシリンダアドレスにオフトラック量offtrkを足しこんで、ヘッド122の現在位置を示す現ヘッド位置Posを生成する。
このオフトラック量算出部137は、公知の速度補正や回転補正、象限分け、γ補正等を用いてオフトラック量offtrkを算出するが、理論的には、BstNをcosθ情報、BstQをsinθ情報と見なして、θに相当する位相角を求め、バーストパターンの半径方向の繰り返し長Lを基に、次の数式2の様に算出していることになる。
コントローラ130では、2つのリード素子R1,R2それぞれのリード信号φR1,φR2に対応するサーボ情報が得られる。図7に示すBstN,BstQ,Cyl.Addressに当たる情報も、それぞれR1用とR2用との2つがある。これに応じて、2つのリード素子R1,R2のリード信号φR1,φR2(すなわち、復調窓WN,WQがアクティブな区間に取得されるN1,N2,Q1,Q2)を関係づけるために、TDMR用のNULLバースト変換部132をオフトラック算出部137の前段に設ける。例えば、NULLバースト変換部132は、図8に示すように構成される。図8は、NULLバースト変換部132の構成を示す図である。NULLバースト変換部132は、セレクタ132a、係数乗算部132b、位相角換算部132c、sin値・cos値計算部132d、SQ変換部132e、セレクタ132f、及び係数乗算部132gを有する。
図7に示すセレクタ135は、Cyl.Address(トラック番号)として、マスター側のリード素子R1でリードされたグレイコードの復調結果C1を使うかスレーブ側のリード素子R2でリードされたグレイコードの復調結果C2を使うかを切替え可能となっている。
例えば、ヘッド122を中周ゾーンMD内のトラックに位置決めする場合、リードチャネル131へのゲート信号は、Null N用の復調窓WNとNull Q用の復調窓WQとに独立に立て(図4(b)参照)、バースト出力は、リード素子R1側とリード素子R2側とで合計4つの情報が求まる。なお、リード素子R1によるN相の検出結果BstN=N1、リード素子R1によるQ相の検出結果BstN=Q1、リード素子R2によるN相の検出結果BstN=N2、リード素子R2によるQ相の検出結果BstN=Q2と定義されている。
中周ゾーンMDのサーボ信号の復調処理(ヘッド122の位置検出処理)には、マスター側のリード素子R1のリード信号φR1を使う。リード素子R1によるグレイコードの復調結果C1で示されるアドレス(トラック番号)が中周ゾーンMDの範囲の場合、処理選択部134は、処理選択信号Selectを0(復調モード=0)として、出力する。
処理選択信号Select=0であることに応じて、図8に示すセレクタ132a,132fは、それぞれ、「0」側に切り替える。図7に示すNULLバースト変換部132は、N1をBstNとして、Q1をBstQとしてオフトラック量算出部137等へ出力する。オフトラック量算出部137は、上記の数式2に示す計算を行い、ヘッド122(又はリード素子R1)のオフトラック量を算出する。加算器138は、リード信号φR1に応じた補正後のシリンダアドレスにオフトラック量offtrkを足しこんで、ヘッド122(又はリード素子R1)の現在位置を示す現ヘッド位置Pos(又はPos1)を生成する。
外周ゾーンOD、内周ゾーンIDのサーボ信号の復調処理(ヘッド122の位置検出処理)には、2つのリード素子R1,R2のリード信号φR1,φR2と、リード素子R2がR1に対し半径方向にどれだけずれた位置を走行したかを示すオフセット量Trとを使う。このオフセット量Trは、CTS(リード素子間半径方向距離)そのものなのでCTS導出部133の出力をNULLバースト変換部132へ供給する。CTS導出部133は、グレイコードの復調結果C1で示されるアドレス(トラック番号)に応じて、近似式等により、その半径位置でのCTSを導出する。
マスター側のリード素子R1のBstN,BstQにあたるN1,Q1を見ると、次の数式3の関係にある。
一方、N1とN2との関係に着目すると、中周ゾーンMDにおいては、ほぼ同一半径位置のリード素子R1,R2でバースト信号振幅を求めていることになるのでほぼ重なるが(図5(b)参照)、外周ゾーンODにおいては、N1がN2に先行した位相進み関係になっていて、逆に内周ゾーンIDにおいては、N1がN2に対し位相遅れ関係になっていると確認できる(図5(a)参照)。この位相差をθrと置くと、正で進み、負で遅れとなり次の数式4で表記される。
これは、リード素子間の半径方向距離(オフセット量Tr)により、バーストパターンの復調半径位置が異なってくるためで、バーストパターンの半径方向における繰り返し長Lを用いて、数式1にて、位相差θrが決まる。Q相のバーストパターンは、製造工程におけるポストコード追記処理により一部又は全部が消去されているが、このQ1に相当する信号を生成できれば、オフトラック量算出部137で、オフトラック量を算出できる。数式4を展開し、Q1相当信号をSQと置くと、N1,N2,cosθr,sinθrから、次の数式5が導出される。
図8に示すSQ変換部132eは、数式5に相当する変換処理を行う。強制R1再生フラグや強制R2再生フラグが設定されていない状態では、リード素子R1によるグレイコードの復調結果C1で示されるアドレス(トラック番号)が中周ゾーンMDの範囲にないとき(外周ゾーンOD、内周ゾーンIDの範囲にあるとき)は、処理選択信号Select=1(復調モード=1)が出力される。これにより、図7に示すセレクタ135は、「1」側に切り替え、図8に示すセレクタ132a,132fは、「1」側に切り替える。コントローラ130は、ゲート信号における復調窓としてN相用のNWを用いてQ相用のWQを用いない。BstN=N1である事は変わらないが、SQ変換部132eでBstQ=SQと変換した値が採用される点が復調モード=0の場合と異なる。オフトラック量算出部137がヘッド122のオフトラック量を算出し、加算器138がリード信号φR1に応じた補正後のシリンダアドレスにオフトラック量offtrkを足しこんでヘッド122の現在位置を示す現ヘッド位置Posを生成する点は、復調モード=0の場合と同様である。
なお、コントローラ130は、処理選択信号Selectの値に応じて復調モードを切り替えることができる。コントローラ130は、Select=0にすることで復調モード=0に切り替える。例えば、ヘッド122が中周ゾーンMDに位置していると判断した場合の他、強制R1復調モードが発行されている(強制R1復調設定が行われている)場合、処理選択信号Select=0となる。これに応じて、コントローラ130は、N1,Q1をそれぞれBstN,BstQとする。コントローラ130は、Select=1にすることで復調モード=1に切り替える。この復調モードは、N1,N2を使ってヘッド122の位置を検出するモードであり、例えば、ヘッド122が外周ゾーンOD、内周ゾーンIDに位置していると判断した場合に選択される。この復調モードでは、N1がBstNとされ、Tr情報を活用して求められたN1とN2との合成値がBstQとされる。
また、コントローラ130は、処理選択信号Select=2にすることで復調モード=2に切り替える。この復調モードは、製造工程内でオフセット量測定処理に用いられるモードであり、出荷後のヘッド122の位置制御としては使われない。例えば、オフセット量Tr算出時に、リード素子R2の位置を検出する際(強制R2復調設定が行われた場合)に選択される。この復調モードでは、図7に示すセレクタ135は、「2」側に切り替え、図8に示すセレクタ132a,132fは、「2」側に切り替える。図7に示すアドレス補正部136は、リード素子R2によるグレイコードの復調結果C2で示されるアドレス(トラック番号)を補正して加算器138へ供給する。NULLバースト変換部132は、N2をBstNとして、Q2をBstQとしてオフトラック量算出部137等へ出力する。オフトラック量算出部137は、上記の数式2に示す計算を行い、リード素子R2のオフトラック量を算出する。加算器138は、リード信号φR2に応じた補正後のシリンダアドレスにオフトラック量offtrkを足しこんで、リード素子R2の現在位置を示す現ヘッド位置Pos2を生成する。
例えば、コントローラ130は、強制R2位置算出用のフラグが立てられると、処理選択信号Select=2となる。Cyl.AddressもR2側となり、BstNにg2*N2を、BstQにg2*Q2が出力される。これは、g2倍されているが、スレーブ側のリード素子R2で位置検出処理を行ったことになる。
なお、このゲインg2は、出荷前の調整工程にて、キャリブレーションして設定される調整ゲインであり、ほとんどの場合、ゲインg2=1となるが、このゲインを設ける理由を記載しておく。ヘッドアンプ124が出力するリード信号は、リード素子R1,R2のGMR感度等に依存して、その振幅が異なるが、チャネル前段部にてAGCと言うAD取込み値時の信号振幅レベルを一定に揃える自動ゲイン調整が行われる。この調整処理により、チャネル入力の信号振幅が異なっていても、ADC取り込み後の信号振幅は同じになり、バースト値の振幅も一定に保たれる。ほとんどの場合、ゲインg2=1となり得る。ただ、実際には、R1側とR2側のオフトラック送り時のバースト出力プロファイルの振幅が一致しない場合も散見される。この対策として、バースト出力プロファイルの信号振幅をN1,N2で同じにするために、ゲインg2を取る。万一、信号振幅が一致しないヘッドであっても、そのヘッドのゲインg2で補正する事で、補正後の振幅を一致させ、SQ変換への歪み発生を防止できる。
オフセット量Trを算出する際に、強制R1位置算出用フラグが立てられ、コントローラ130は、強制R1位置算出用フラグに従い、リード素子R1の位置検出を行ってリード素子R1の現ヘッド位置Pos1を取得する。そして、強制R2位置算出用フラグが立てられ、コントローラ130は、強制R2位置算出用フラグに従い、リード素子R2の位置検出を行ってリード素子R2の現ヘッド位置Pos2を取得する。
すなわち、ヘッドの位置決めはR1側で行うので、1回目は強制R2位置算出用フラグがクリアされた状態でまずは、Posを求め、これをPos1とおく。サーボ処理実行後の後処理内で、強制R2位置算出用フラグが立てられ、2回目の位置検出処理をR2側で行い、そのPosをPos2として、次の数式6に示すように、Pos1とPos2とのヘッド位置の差として半径方向におけるリード素子間のオフセット量Trを求める事ができる。
なお、出荷時のバーストパターンは、図2(d)(又は図2(e))及び図2(a)(又は図2(b))に示すように、外周ゾーンOD内のトラック、内周ゾーンID内のトラックにおいて、サーボバースト領域Rbstが実質的にQ相領域(Null Q)を持たないので、本来数式6に示す処理は不可能であるが、ポストコードを記録するまでは、このQ相領域(Null Q)も存在するので、2つのリード素子R1,R2のヘッド位置をそれぞれ特定可能になっている。
SSWでサーボパターンが生成される際には、どのゾーンかの区別なく、通常のNullバーストパターンがディスク媒体111に記録される。このサーボパターンに、工程内にてポストコード記録することで、初めて、外周ゾーンOD、内周ゾーンIDにQ相の領域がない最終的なサーボパターンが形成される。つまり、中周ゾーンMDは、Q相領域(Null Q)の直後にポストコードが来るようにポストコードがライトされるが、外周ゾーンOD、内周ゾーンIDにおいては、N相領域(Null N)の直後にポストコードがライトされるため、Q相のバーストパターン(Null Q)がポストコードによりオーバーライトされ実質的に消える。
このように、工程におけるポストコード追記処理以前の段階では、半径位置とオフセット量Trとの関係を求める事ができる。
より具体的には、ディスク装置100の製造工程内で、リード素子間の半径方向におけるオフセット量Trを図9に示すように求める。図9は、ディスク装置100の製造方法(ポストコード追記処理)を示すフローチャートである。
ディスク装置100の製造工程では、ディスク媒体111における各トラックに図2(b)に示すようなサーボパターンにおけるポストコードを除く各パターンが書き込まれる。すなわち、各トラックともサーボバースト領域RbstにN相のバーストパターン(Null N)及びQ相のバーストパターン(Null Q)が書き込まれる。例えば、SSW(Self Servo Write)方式では、STW(Servo Track Writer)によりディスク媒体111に補助サーボパターンが書き込まれた後、複数枚のディスク媒体111がハウジング(図示せず)に搭載される。そして、コントローラ130は、ヘッド122を内周側から外周側へ送りながら、補助サーボパターンを用いて位置決め制御を行うことなどにより、各種のキャリブレーションを行う。その後、コントローラ130は、補助サーボパターンを用いて、ヘッド122を内周側から所定位置まで所定のサーボトラックピッチTwごとに送りながら、複数枚のディスク媒体111にサーボパターンを同時に書き込む。これにより、各ディスク媒体111上に同心円状に複数のトラックが規定される。そして、コントローラ130は、サーボパターンを用いて、各トラックの中心に位置決め制御しながら、S1〜S4の処理(ポストコード追記処理)を行ってサーボパターンの末尾にポストコードを追記する。S1〜S4の処理は、ディスク装置100における複数のヘッド122で一括して行われてもよいし個別に行われてもよい。以下では、S1〜S4の処理が各ヘッド122について順次に個別に行われる場合が例示される。
ポストコード追記処理において、コントローラ130は、強制R1復調設定及びポストコード無効設定を行う(S1)。強制R1復調設定(復調モード=0に固定する設定)に従い、コントローラ130は、ヘッド122の位置決めとして、リード素子R2のリード信号φR2を用いずに、マスター側のリード素子R1のリード信号φR1に応じて現ヘッド位置Posを求め、現ヘッド位置Posを目標位置に近づくように位置決めするサーボ処理を行う。ポストコード無効設定に従い、コントローラ130は、ディスク媒体111における各トラックのサーボ領域内でポストコードが記録されるべき領域の磁化を消去する。
コントローラ130は、半径方向におけるリード素子間のオフセット量Trを求めるオフセット量導出処理を行う(S10)。オフセット量Trが求められると、コントローラ130は、通常復調モード設定(ヘッド122の半径位置に応じて復調モード=0と復調モード=1とを選択可能にする設定)を行い(S2)、サーボパターンの末尾にポストコードを追記するポストコード記録処理を行う(S3)。このとき、図2(c)、図4(b)に示すように、中周ゾーンMDとなるべき半径位置では、Q相のバーストパターン(Null Q)の直後にポストコードが追記される。図2(d)又は図2(e)、図2(a)又は図2(b)、図4(a)、図4(c)に示すように、外周ゾーンODとなるべき半径位置、内周ゾーンIDとなるべき半径位置では、N相のバーストパターン(Null N)の直後にポストコードが追記される。これにより、外周ゾーンODとなるべき半径位置、内周ゾーンIDとなるべき半径位置では、Q相のバーストパターン(Null Q)の一部(大部分)又は全部が消去される。そして、コントローラ130は、ポストコード有効設定(ポストコードを用いた補正処理をアクティブにする設定)を行う(S4)。
次に、オフセット量導出処理(S10)について図10を用いて説明する。図10は、オフセット量導出処理を示すフローチャートである。
コントローラ130は、処理対象のヘッド番号Headに初期値「0」を設定し(S11)、処理対象のゾーン番号Zone=0に初期値「0」を設定し(S12)、オフセット量Trを測定するオフセット測定処理を行う(S20)。コントローラ130は、S20の測定で得られたオフセット量Trの情報(図12参照)を不揮発性メモリ128又はディスク媒体111の管理情報格納領域に格納する(S13)。コントローラ130は、処理対象のゾーン番号Zoneをインクリメントし(S14)、ゾーン番号Zoneを規定のゾーン数と比較して全てのゾーンとなるべき半径位置について処理を行ったか否かを判断する(S15)。コントローラ130は、ゾーン番号Zoneが規定のゾーン数以下であれば、全てのゾーンとなるべき半径位置について処理を行っていない(S15でNo)として、処理をS20に戻す。コントローラ130は、ゾーン番号Zoneが規定のゾーン数を超えていれば、全てのゾーンとなるべき半径位置について処理を行った(S15でYes)として、オフセット量Trの近似式を導出し、導出された近似式に関するパラメータを不揮発性メモリ128又はディスク媒体111の管理情報格納領域に格納する(S16)。コントローラ130は、ディスク媒体111の管理情報格納領域に格納された管理情報を読み出し、管理情報に含まれたヘッド122のスキュー角βの情報に応じて、ヘッド122の位置決めにオフセット量Trを使用しないゾーンNull Zone(例えば、中周ゾーンMD)を決定し、ゾーンNull Zoneに関するパラメータを不揮発性メモリ128又はディスク媒体111の管理情報格納領域に格納する(S17)。コントローラ130は、処理対象のヘッド番号Headをインクリメントし(S18)、ヘッド番号Headを規定のヘッド数と比較して全てのヘッドとなるべき半径位置について処理を行ったか否かを判断する(S19)。コントローラ130は、ヘッド番号Headが規定のヘッド数以下であれば、全てのヘッドについて処理を行っていない(S19でNo)として、処理をS12に戻す。コントローラ130は、ヘッド番号Headが規定のヘッド数を超えていれば、全てのヘッドについて処理を行った(S19でYes)として、処理を終了する。
次に、オフセット量測定処理(S20)について図11を用いて説明する。図11は、オフセット量測定処理を示すフローチャートである。
コントローラ130は、トラック数Nに初期値「0」を設定し、トラック番号Cylに初期値「ZoneStart」を設定する(S21)。コントローラ130は、ヘッド番号Head及びトラック番号Cylに応じて、ヘッド122をシークさせる制御を行う(S22)。
そして、コントローラ130は、オフセット量Trを測定する(S23)。具体的には、強制R1位置算出用フラグが立てられ、コントローラ130は、強制R1位置算出用フラグに従い、リード素子R1の位置検出を行ってリード素子R1の現ヘッド位置Pos1を取得する。そして、強制R2位置算出用フラグが立てられ、コントローラ130は、強制R2位置算出用フラグに従い、リード素子R2の位置検出を行ってリード素子R2の現ヘッド位置Pos2を取得する。コントローラ130は、数式6に示すように、Pos1とPos2とのヘッド位置の差としてオフセット量Trを求める事ができる。
例えば、各ヘッドの各半径位置に対するオフセット量Trの測定結果は、図12に示すようになる。図12は、オフセット量の測定結果を示す図である。図12に示されるように、各半径位置に対するオフセット量Trの変化は、ディスク装置100における複数のヘッド122の間でばらつくため、各ヘッドに対して半径位置毎のオフセット量Trを測定する必要がある。
コントローラ130は、オフセット量の測定に成功すると(S24でYes)、トラック数Nをインクリメントし(S25)、現在のゾーンについてオフセット量Trの平均を算出してバッファメモリ129に格納して(S26)、トラック番号Cylをインクリメントする(S27)。
コントローラ130は、オフセット量の測定に失敗すると(S24でNo)、トラック数Nをそのままとして、トラック番号Cylをインクリメントする(S27)。
コントローラ130は、オフセット量Trの平均の算出に用いるトラック数Nが閾値Nmaxを超えたか否かを判断する(S28)。コントローラ130は、トラック数Nが閾値Nmax以下である場合(S28でNo)、処理をS22へ戻す。コントローラ130は、トラック数Nが閾値Nmaxを超えると(S28でYes)、バッファメモリ129に格納された平均値を現在のゾーンを代表するオフセット量Trとして決定し不揮発性メモリ128又はディスク媒体111の管理情報格納領域に格納する(S29)。
次に、オフトラック量の検出結果について図13を用いて説明する。図13は、オフトラック量の検出結果を示す図である。
図13(a)〜図13(d)は、外周ゾーンOD(半径位置R=45mm)にて、Null Nのチャネルバースト値N1,N2にて位置検出した場合を想定し、位置検出処理の結果を模擬計算して得られたグラフである。図13(e)〜図13(h)は、外周ゾーンOD(半径位置R=41mm)にて、Null Nのチャネルバースト値N1,N2にて位置検出した場合を想定し、位置検出処理の結果を模擬計算して得られたグラフである。図13(i)〜図13(l)は、外周ゾーンOD(半径位置R=37mm)にて、Null Nのチャネルバースト値N1,N2にて位置検出した場合を想定し、位置検出処理の結果を模擬計算して得られたグラフである。図13(m)〜図13(p)は、内周ゾーンID(半径位置R=21mm)にて、Null Nのチャネルバースト値N1,N2にて位置検出した場合を想定し、位置検出処理の結果を模擬計算して得られたグラフである。
図13(a)、図13(e)、図13(i)、図13(m)は、横軸がオフトラック量を表し、縦軸が復調位置を表している。図13(b)、図13(f)、図13(j)、図13(n)は、横軸がオフトラック量を表し、縦軸が位置復調時の検出誤差を表している。図13(c)、図13(g)、図13(k)、図13(o)は、縦軸がBstNとし横軸がBstQとして描いたリサージュ図である。これらの各グラフでは、実線が第1の実施形態の位置検出処理の結果を示し、参考までに、SQ計算しないで、N1,N2をそのままBstN,BstQと見なして位置検出してみた結果を破線で示している。
図13(d)、図13(h)、図13(l)、図13(p)は、横軸がオフトラック量を表し、縦軸がN1,N2,SQの値を表している。図13(d)、図13(h)、図13(l)、図13(p)では、破線がN1、一点鎖線がN2、実線が変換後のSQを示している。
図13(b)の破線のグラフを見ると、外周ゾーンOD(半径位置R=45mm)では、N1,N2がほぼsin,cosの直交系にあるので、そのまま位置検出処理しても、それなりに位置検出できているが、本来の望ましい位置検出に比べて3%程度の位置検出誤差を持ってしまっていることがわかる。一方、図13(b)の実線のグラフを見ると、第1の実施形態の位置検出処理を採用することで、ほぼ位置検出誤差がなく、理想的な位置検出を実現できていると確認できる。
以上のように、第1の実施形態では、ディスク装置100において、内周ゾーンID、外周ゾーンOD内のトラックのサーボバースト領域Rbstのビット長を中周ゾーンMD内のトラックのサーボバースト領域Rbstのビット長より短くなるようにディスク媒体111を構成する。これにより、ディスク媒体111におけるデータ領域DAの面積を広げることができ、ディスク媒体111におけるデータ容量を容易に向上できる。
なお、ディスク媒体111において、各ゾーン(外周ゾーンOD、中周ゾーンMD、内周ゾーンID)は、更に半径方向に複数の部分ゾーンに分割されていて、NULLバーストの半径方向繰り返し長Lが外周寄りゾーンほど長くなるように、サーボパターンが形成されていてもよい。すなわち、SSW時のサーボトラックピッチTwを半径方向に複数に分割された部分ゾーン毎に、可変にしてもよい。例えば、外周ゾーンOD、中周ゾーンMD、内周ゾーンIDにおける各ゾーン内が、2つの部分ゾーンに分割されていて、そのサーボトラックピッチTwがその部分ゾーン毎に異なるパターンとなっていてもよい。
ディスク媒体111におけるスキュー角の絶対値が小さくなるほど、バーストパターンによるオフトラック量の復調のリニアリティが劣化しやすいが、バーストパターンの繰り返し長Lは、サーボトラックピッチTwの略2倍(図6参照)なので、数式1は、次の数式7のように書き換えることができる。
このサーボトラックピッチTwを変化させれば、数式7に示されるように、オフトラック量Trを変えずに位相差θrを変化させて90°に近づけることができ、リニアリティを改善できる。
具体的には、外周ゾーンOD内の外周側の部分ゾーンのサーボトラックピッチTwよりも外周ゾーンOD内の中周側の部分ゾーン、中周ゾーンMD内の外周側の部分ゾーンのサーボトラックピッチTwを高くすることで、リニアリティ(直線性)の改善を図ることができる。同様に、内周ゾーンID内の内周側の部分ゾーンのサーボトラックピッチTwよりも内周ゾーンID内の中周側の部分ゾーン、中周ゾーンMD内の内周側の部分ゾーンのサーボトラックピッチTwを高くすることで、リニアリティ(直線性)の改善を図ることができる。
あるいは、外周ゾーンOD内の外周側の部分ゾーンのサーボトラックピッチTwよりも外周ゾーンOD内の中周側の部分ゾーンのサーボトラックピッチTwを高くし、外周ゾーンOD内の中周側の部分ゾーンのサーボトラックピッチTwよりも中周ゾーンMD内の外周側の部分ゾーンのサーボトラックピッチTwを高くすることで、リニアリティ(直線性)の改善を図ることができる。同様に、内周ゾーンID内の内周側の部分ゾーンのサーボトラックピッチTwよりも内周ゾーンID内の中周側の部分ゾーンのサーボトラックピッチTwを高くし、内周ゾーンID内の中周側の部分ゾーンのサーボトラックピッチTwよりも中周ゾーンMD内の内周側の部分ゾーンのサーボトラックピッチTwを高くすることで、リニアリティ(直線性)の改善を図ることができる。
例えば、外周ゾーンOD内の外周側の部分ゾーン及び内周ゾーンID内の内周側の部分ゾーンは500kTPIのサーボトラックピッチTwで形成でき、外周ゾーンOD内の中周側の部分ゾーン、中周ゾーンMD内の外周側の部分ゾーン、中周ゾーンMD内の内周側の部分ゾーン、内周ゾーンID内の中周側の部分ゾーンは550kTPIと一割高いサーボトラックピッチTwで形成できる。これにより、外周ゾーンOD内の中周側の部分ゾーン、中周ゾーンMD内の外周側の部分ゾーン、中周ゾーンMD内の内周側の部分ゾーン、内周ゾーンID内の中周側の部分ゾーンの位相角θrを大きくする事ができ、N2の従属影響を小さく押さえる事が可能になる。あるいは、アドレスのサーボトラックピッチTwは一定とし、Null領域を形成する送りを1/2送りから1/3送りに変更して、Lを2/3倍に小さくする事もできる。
いずれであっても、SSWされているバーストパターンの半径方向における繰り返し長Lを半径方向に可変し、位相差θrを90°に近づけるようにして、位置検出のリニアリティ(直線性)を改善できる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態にかかるディスク装置200について説明する。以下では、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
第1の実施形態では、ヘッド122がトラッキング動作をしている際に、実質的にQ相のバーストパターン(Null Q)をサーボ領域に含まない内周ゾーンID、外周ゾーンOD内のトラックについて、リード素子R1,R2によるN相の検出結果N1,N2から数式5に相当する変換処理を行い、Q1相当信号SQを求め、N1とSQとを用いてオフトラック量を算出する場合について例示している。
一方、ヘッド122をシークさせている際には、ヘッド122の移動速度(ヘッド122がサーボトラックに対して移動する速度の半径方向成分)の影響で数式5が成り立たない。
そこで、第2の実施形態では、内周ゾーンID、外周ゾーンOD内のトラックについて、数式5に相当する変換処理をヘッドの移動速度を考慮した変換処理に拡張し、その拡張された変換処理によりQ1相当信号SQを求めることで、ヘッドをシークさせている際にも、N1とSQとを用いてオフトラック量を算出できるようにする。
具体的には、実質的にQ相のバーストパターン(Null Q)をサーボ領域に含まない内周ゾーンID、外周ゾーンOD内のトラックについて、ヘッド122の移動速度を考慮して適切な位置検出が可能となるようにNull N単一バーストパターン再生方法を拡張する。すなわち、TDMR用のNullバースト変換部において、現ヘッド速度を元に、半径位置で決まるリード素子間の半径方向距離(クロストラックセパレーション)を補正した実効Trを求め、ヘッド速度を持つ場合のNullQ出力と等価となる様に、変換式を拡張して、BstQ相当値を生成する。シーク時におけるヘッド122の移動速度をV、リード素子間の周方向距離(ダウントラックセパレーション)をDTS、及びリード素子間の半径方向距離(クロストラックセパレーション)をCTSとし、次の数式8で求めた係数kvを用いて、次の数式9のようにシーク時の実効的な半径方向距離CTSとして半径方向のオフトラック量Trを求める。また、次の数式10で求めた速度依存によるサーボバースト信号のズレ分の位相角αを用いて、次の数式11でリード信号φR1に対するリード信号φR2の遅れ又は進み分の実行的な位相差θr’を求め、次の数式12により、Q1相当信号であるSQ信号に変換する。なお、実効的な半径方向距離CTSとしてのオフトラック量Trとは、リード素子間の走行軌跡が半径方向にオフセットした量として算出されたものである。
より具体的には、数式5は、ヘッド122の移動速度が無視できる程小さく、BstNとBstQを走行するヘッド122が同じθ位相にあることが前提となる。ところが、シークの様なヘッド122が高速で移動している場合、BstNとBstQを走行する半径位置がずれていくことになる。図14を使って、これを説明する。
図14は、N相のバーストパターン(Null N)とQ相のバーストパターン(Null Q)とをサーボ領域に含む中周ゾーンMD内のトラックTRK_(h−1)〜TRK_(h+1)でヘッド122がシーク動作している際のサーボパターン上のリード素子R1及びリード素子R2の軌跡を示している。図14では、ディスク媒体111の回転により、リード素子R1及びリード素子R2は左上から右下に移動する場合が例示されている。Null NとNull Qは、Tw/2で半径方向にずれた位相で形成されており、半径方向に90deg位相差を持ったパターンとなっている。
シーク移動している最中におけるヘッド122の現在位置を求めるために、チャネルのバースト出力は、BGATE信号がONの区間(ウィンドウWN,WQ)の信号振幅を(離散フーリエ変換(DFT)で加算することで、平均振幅として算出される。図14に2点鎖線で示されるN1がリード素子R1直下のNull N上の軌跡、Q1がリード素子R1直下のNull Q上の軌跡となる。リード素子R1がマスター側のリード素子である場合、θとして求めたい位置dPos(注目位置Ptgのオフトラック量)は、図14に一点鎖線で示されるNullパターンの中心位置からオフトラックした位置になるが、N1出力は(周方向B2C手前の位置に対応した)半径方向にW手前の値に相当したものになる事がわかる。逆にQ1出力は(周方向B2C行き過ぎた位置に対応した)半径方向にW行き過ぎた値に相当する。
つまり、数式5の導出に使った数式3の関係が、シーク時においては成り立っていない。
N相のバーストパターン(Null N)とQ相のバーストパターン(Null Q)とをサーボ領域に含む中周ゾーンMDのバースト復調処理にて、このようなシーク時にどうやって処理するのかを、図14を用いて説明する。
N1はθに対し半径方向にW手前の値、Q1出力は半径方向にW行き過ぎた値なので、速度依存のズレ量Wを位相角換算すると、数式3をシーク時に拡張した表記は、次の数式13となる。
数式13において、係数aは、斜め走行時によりリード信号φR1の振幅が劣化することを示す係数である。また、位相角αは、速度依存によるサーボバースト信号のズレ分の位相角を示し、次の数式14で求められる。
数式14において、Wは、周方向距離B2Cに相当する時間と速度とで決まる半径方向の距離なので、位相角換算係数mvにて、速度(ヘッド122の移動速度)Vから直接算出する事ができる。
半径位置換算は、オフトラック量算出部137にて処理され、原理式で表記すると、数式2の様に処理される事を既に説明した。しかし、実際のオフトラック量算出部137では、速度補正処理もなされているので、厳密には数式15となる。数式2では、バースト周期長Lを使用したが、数式15ではサーボトラック幅Twにて表記しているだけで、L=2・Twなので係数に関しては等価である。数式2との違いは、BstQ/BstNがAS/ACになっている点にあり、AS、ACは数式16にてBstN、BstQを速度補正した値である。
速度補正とは、数式13による速度依存のズレ分の位相角αをキャンセルさせる演算処理であり、次の数式16の様に、現速度(ヘッド122の移動速度)Vから、数式14を使って、cosα、sinαを求めておき、これを乗算加算する。速度がほとんど無視できる場合には、cosα=1,sinα=0となり、AS=BstQ,AC=BstNとなって、数式2と完全に一致する。
数式16でBstN=N1、BstQ=Q1とし、数式13を代入して展開すると、次の数式17となり、ACを数式2のBstNとし、ASをBstQとして処理する数式15の妥当性が明確になる。
AC,ASは、同じ位相角θに対するcos,sinの関係にあり、数式16の速度補正処理にて正しく位相角θを算出可能となるとわかる。
ただし、求めている位相角θは、offtrk相当値なので、シーク時は再生したグレイシリンダ(グレイコードのシリンダアドレスで示される位置)とのズレがある。グレイコード再生時にも、斜めに走行しているが、再生されるアドレスは、グレイコードの最下位ビット(LSB)が配置された位置PLSBになる。通常、最下位ビット(LSB)は、グレイ領域の最終端に位置するが、スクランブル配置等を採用していると、必ずしも最終端に位置するとは限らないので注意が必要である。そのグレイコードの最下位ビット(LSB)の位置PLSBと、Null中心までの距離G2Cに相当する時間と、シーク時速度とから、図14に示す位置PLSBから注目位置Ptgを含むトラックTRK_hのトラック中心までの半径方向ずれ量COVを求めることができる。実際には半径方向ずれ量COVはシリンダ単位以下の小数点を含むが、詳細な位置はofftrk(注目位置Ptgのオフトラック量)から求めるので、半径方向ずれ量COVを整数値分加算して次の数式18で位置POSを求めることができる。
このように、N相のバーストパターン(Null N)とQ相のバーストパターン(Null Q)とをサーボ領域に含む中周ゾーンMDについての復調値が数式13の様な速度影響を持っていたとしても、既存のオフトラック量算出部137にて行われている数式16の速度補正処理にて、正しくオフトラック量が算出されている事が分かる。一方、実質的にQ相のバーストパターン(Null Q)をサーボ領域に含まない内周ゾーンID、外周ゾーンOD内のトラックについての復調値は、数式13のQ1に相当するSQをR1,R2のN相の復調値N1とN2より、生成しなければならない。現ヘッドのトラック方向速度が無視できるほど小さければ、数式5にてSQを算出できるが、速度が無視できない程大きい場合には、速度を考慮した変換が必要となる。つまり、オフトラック量算出部137にて行われる速度補正処理が正しく機能するように、図7のTDMR用NULLバースト変換部を、現ヘッド速度を考慮して、拡張する必要がある。
例えば、ディスク装置200は、コントローラ130(図7参照)に代えて、図15に示すようなコントローラ230を有する。図15は、コントローラ230の構成を示す図である。コントローラ230は、NULLバースト変換部132に代えてNULLバースト変換部232を有する点で第1の実施形態と異なる。尚、図7ではCTS導出部133の出力を再生素子軌跡の半径方向オフセット量Trと記したが、ヘッドが半径方向に速度を持っている場合には、素子間の半径方向距離CTSとは必ずしも一致しない。そこで、図15ではCTSをNULLバースト変換部132に供給するように変更している。
CTS導出部133は、グレイコードの復調結果C1で示されるアドレス(トラック番号)に応じて、現半径位置での半径方向距離CTSを導出してNULLバースト変換部232へ供給する。コントローラ230は、オブザーバを用いることにより、VCM116への電流指示値に基づいてヘッド122の移動速度Vを推定し、推定されたヘッド122の移動速度をNULLバースト変換部232へ供給することができる。
NULLバースト変換部232は、ヘッド122の移動速度Vを参照して変換処理を行うように拡張されている点で第1の実施形態のNULLバースト変換部132と異なる。NULLバースト変換部232は、sin値・cos値計算部132d及びSQ変換部132e(図8参照)に代えてsin値・cos値計算部232d及びSQ変換部232eを有し、係数乗算部232h、係数乗算部232i、及び加算器232jをさらに有する。
第1の実施形態のNULLバースト変換部132では、CTS導出部133にて現半径位置での半径方向距離CTSを最適化パラメータによる補間計算にて、後処理部にて算出しておき、これを半径方向における再生素子の走行軌跡のオフセット量Trとして入力する構成であったが、本実施形態のNULLバースト変換部232は、更にヘッド122の半径方向の移動速度Vを用いて、速度により変化する半径方向における再生素子の走行軌跡のオフセット量Trを求める処理が追加されている。すなわち、係数乗算部232hは、ヘッドの移動速度Vに係数kv(数式9参照)を乗算する。加算器232jは、係数乗算部232hの乗算結果(kv・V)と径方向距離CTSとを加算してオフセット量Trを求めて位相角換算部132eへ供給する。これにより、数式9に示される処理が行われる。
更に、速度依存で変わる速度補正用の位相角αを求める。すなわち、係数乗算部232iは、ヘッドの移動速度Vに係数mv(数式10参照)を乗算し、乗算結果を速度依存による信号のずれ分の位相角αとしてsin値・cos値計算部232dへ供給する。これにより、数式10に示される処理が行われる。また、位相角換算部132eは、オフセット量Trを2つのリード素子の信号間の遅れ又は進み分の位相差θrに換算してsin値・cos値計算部232dへ供給する。これにより、数式1又は数式7に示される処理が行われる。
sin値・cos値計算部232dは、ズレ分の位相角αを係数乗算部232iから受け、オフセット量Trに対応した位相差θrを位相角換算部132eから受ける。sin値・cos値計算部232dは、位相差θrを用いてsinθrを計算することに加えて、次の計算を行う。sin値・cos値計算部232dは、速度依存のズレ分の位相角αとオフセット量Trに対応した位相差θrとを用いて数式11により速度依存の実行的な位相差θr’を求め、速度依存の実行的な位相差θr’を用いてcos(θr’)を計算する。sin値・cos値計算部232dは、速度依存のズレ分の位相角αを用いてcos(2α)を計算する。sin値・cos値計算部232dは、それらの計算結果(sinθr,cosθr’,cos2α)をSQ変換部232eへ供給する。
SQ変換部232eが行う変換処理の中身は、数式5に代えて、より拡張された数式12である点で第1の実施形態と異なる。
速度Vが0であれば、数式9によりTr=CTSであり、数式10によりα=0となり、数式11によりθr’=θrとなるので、数式12は数式5と一致する。すなわち、数式12は、数式5を速度V=0の場合として含むとともに速度V≠0の場合にも対応可能であるように拡張された数式ということになる。
数式12に数式4、数式11を代入して展開し係数をaとおくと、次の数式19となる。
ここで、数式5と数式12との違いについて、図17を用いて説明する。図17は、オフトラック量の検出処理を示す図である。図17(a)は、ヘッド122がトラッキング動作している場合におけるSQ変換処理を示す図であり、図17(b)は、ヘッド122がシーク動作している場合におけるSQ変換処理を示す図である。
ヘッド122のトラッキング時(半径方向の移動速度V=0)であれば、図17(a)に示すように、数式5により、外周ゾーンODのトラックTRK_rについてN1及びN2から求められたSQが、中周ゾーンMDのトラックTRK_hについて検出されたQ1に相当する信号になり得る。
一方、ヘッド122のシーク時(半径方向の移動速度V≠0)であれば、図17(b)に示すように、数式5により、外周ゾーンODのトラックTRK_rについてN1及びN2から求められたSQ’が、中周ゾーンMDのトラックTRK_hについて検出されたQ1に相当する信号から(半径位置のずれ量2Wに対応して)位相的にずれる傾向にある。その(半径位置のずれ量2Wに対応した)ズレ分の位相角をαとして考慮することで、図17(b)に示すように、数式12により、外周ゾーンODのトラックTRK_rについてN1及びN2から求められたSQが、中周ゾーンMDのトラックTRK_hについて検出されたQ1(図14参照)に相当する信号になり得る。
次に、リード素子間の走行軌跡が半径方向にオフセットした量として算出されたものであるオフセット量Trをなぜ速度依存により変更するのかについて図18を用いて説明する。図18に速度による実効的な半径方向距離CTSであるオフトラック量Trの変化を示す。
ヘッド122の構造上、2つのリード素子R1,R2は、R−RGapと呼ぶ距離を持つ。R−RGapは半径方向成分としてCTS、周方向成分としてDTSを含むベクトル量であり、2つのリード素子R1,R2は、半径方向にCTS、周方向にDTS分のオフセット配置されるイメージとなる。このため、ヘッド122が半径方向に速度Vで移動している場合、そのNullバーストを通過する位置での半径方向ズレであるオフセット量Trは、再生素子間の半径方向距離CTSではなく、再生素子間の周方向距離DTSと速度とにより補正する必要がある。
例えば、リード素子R2に対してリード素子R1が半径方向内周側にCTSでオフセットしている場合、図18(b)に示すトラッキング時(半径方向の移動速度V=0)であれば、オフセット量Trが半径方向距離CTSに略等しくなる。一方、図18(a)に示すようにヘッド122が内周側に速度Vで移動していれば、オフセット量Trが半径方向距離CTSに対して速度Vに依存して大きくなる。あるいは、図18(c)に示すようにヘッド122が外周側に速度Vで移動していれば、オフセット量TrがCTSに対して速度Vに依存して小さくなる。
すなわち、実効的な半径方向距離CTSであるオフセット量Trは、その半径位置での半径方向距離CTSに数式9の補正を掛けることで求める事ができる。
数式9における係数kvは、数式8で求められたものである。数式8において、rは現ヘッドの半径位置であり、Fspmはディスク媒体111の回転周波数である。
この数式8で分かる様に、kVは半径位置に依存する係数であり、周方向距離DTSも半径位置によりスキュー角βで、RR−Gap・cosβで変化する。
図19に、本実施形態のシーク時の移動速度によるオフセット量Trの変化を示す。内周ゾーンID、中周ゾーンMD、外周ゾーンODの3点の半径位置について実線、一点鎖線、二点鎖線にて示しているが、その半径位置でのオフセット量Trに対し、速度による変化勾配係数が異なっている事が確認できる。
この勾配を愚直に演算する事も可能であるが、かなり複雑な演算式となるため、実際には、出荷時にヘッド毎に、ゾーンごとの半径位置でのこの勾配係数を求めておき、後処理部にて、その補間計算にて係数kVを更新する方式を採用している。すなわち、コントローラ230は、NULLバースト変換部232における係数乗算部232hの係数kvと係数乗算部232iの係数mvとを、現半径位置に応じて逐次的に更新することができる。これにより、シーク時にも、正しいヘッド位置が算出可能となる。
なお、補足しておくと、コントローラ230は、図15に示すNULLバースト変換部232におけるセレクタ132a,132fに対して、オブザーバの予測位置によりそのアドレスがある閾値を越えたか否かで判定して、切り替えを行う。
この際、N相のバーストパターン(Null N)とQ相のバーストパターン(Null Q)とをサーボ領域に含む中周ゾーンMDにおける半径位置にて、Select=1を選択することは問題ないが、実質的にQ相のバーストパターン(Null Q)をサーボ領域に含まない内周ゾーンID、外周ゾーンODにおける半径位置にて、Select=0を選択してしまうと位置を正しく復調できない可能性がある。このため、セレクタ切替え半径アドレスを、中周ゾーンMDの通常サーボ領域内に来るように、ヘッド122の半径方向の移動速度とセレクタ132a,132fの切り替え処理に要する時間とを考慮したマージン分シフト設定することができる。すなわち、中周ゾーンMD内に内周ゾーンIDに隣接する隣接領域MIDをマージン分に対応した半径方向幅で設けるとともに外周ゾーンODに隣接する隣接領域MODをマージン分に対応した半径方向幅で設けることができる。
例えば、ヘッド122が中周ゾーンMD内で内周側にシーク移動していれば、隣接領域MIDに達する半径位置でSelect=1→0に切り替える。すなわち、内周ゾーンIDに達する手前で通常の処理から数式12による変換処理に切り替え、N1とSQとを用いてオフトラック量を算出させることができる。先述した様に、数式12のSQは、数式13のQ1に相当する値となるので、オフトラック量算出部のofftrkが不連続になる事はなく、滑らかなシーク処理を実行できる。
あるいは、例えば、ヘッド122が中周ゾーンMD内で外周側にシーク移動していれば、隣接領域MODに達する半径位置でSelect=1→0に切り替える。すなわち、外周ゾーンODに達する手前で通常の処理から数式12による変換処理に切り替え、N1とSQとを用いてオフトラック量を算出させることができる。
以上のように、第2の実施形態では、内周ゾーンID、外周ゾーンOD内のトラックについて、数式5に相当する変換処理をヘッドの移動速度を考慮した変換処理に拡張し、その拡張された変換処理によりQ1相当信号SQを求めることで、ヘッド122をシークさせている際にも、N1とSQとを用いてオフトラック量を算出でき、ヘッド122の位置を正確に復調することができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態にかかるディスク装置100について説明する。以下では、第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
第3の実施形態では、図20(a)〜図20(d)に示すように、ヘッド122’は、2つのリード素子R1,R2に加えて3つ目のリード素子R3を有する。図20は、第3の実施形態におけるヘッド122’の構成を示す図である。3つのリード素子R1,R2,R3は、2つのリード素子の中心を結ぶ直線に対して残りの1つのリード素子の中心がずれた位置に配されるように構成される。ヘッド122’において、3つのリード素子R1,R2,R3は、リード素子R1,R2の中心を結ぶ線分とリード素子R2,R3の中心を結ぶ線分とリード素子R1,R3の中心を結ぶ線分とで3角形が描けるような位置関係に配される。
また、3つのリード素子R1,R2,R3のうち、リード素子R1をマスター側のリード素子とし、リード素子R2及びリード素子R3のいずれかをスレーブ側のリード素子とすることができる。すなわち、リード素子R1をマスター側のリード素子としリード素子R2をスレーブ側のリード素子としてもよいし、リード素子R1をマスター側のリード素子としリード素子R3をスレーブ側のリード素子としてもよい。リード素子R1をマスター側のリード素子としリード素子R2をスレーブ側のリード素子とした場合、2つのリード素子R1,R2毎にリード信号φR1,φR2を活用してサーボパターンの情報を取得する事が可能である。リード素子R1をマスター側のリード素子としリード素子R3をスレーブ側のリード素子とした場合、2つのリード素子R1,R3毎にリード信号φR1,φR3を活用してサーボパターンの情報を取得する事が可能である。
例えば、ヘッド122が中周ゾーンMD内のトラックTRK_hに位置する場合、図3(c)に示すようにリード素子R1に対してリード素子R2が略ゼロのオフセット量Tr(≒0)となるが、図20(c)に示すようにリード素子R1に対してリード素子R3が正のオフセット量Tr’(>0)となる。これにより、中周ゾーンMD内のトラックTRK_hに位置する場合にリード信号φR2に代えてリード信号φR3を活用すれば、オフセット量Tr’を用いることで、ヘッド122’のオフトラック量の検出をN相の検出で済ますことが可能である。例えば、数式1におけるTrをTr’としてθrを求め、リード信号φR1に応じたN1とリード信号φR2に応じたN2と求められたθrとを数式5に代入してsinθを求め、cosθ(=N1)と求められたsinθとを数式2に代入してヘッド122’のオフトラック量offtrkを求めることができる。
この場合、図11のS23において、コントローラ130は、オフセット量Trに加えてオフセット量Tr’を測定することができる。オフセット量Tr’の測定では、強制R1位置算出用フラグが立てられ、コントローラ130は、強制R1位置算出用フラグに従い、リード素子R1の位置検出を行ってリード素子R1の現ヘッド位置Pos1を取得する。そして、強制R3位置算出用フラグが立てられ、コントローラ130は、強制R3位置算出用フラグに従い、リード素子R3の位置検出を行ってリード素子R3の現ヘッド位置Pos2を取得する。コントローラ130は、数式6に示すように、Pos1とPos2とのヘッド位置の差としてオフセット量Tr’を求める事ができる。
また、図9のS3において、図21に示すようにポストコード記録処理を行う。すなわち、外周ゾーンODとなるべき半径位置、内周ゾーンIDとなるべき半径位置に加えて中周ゾーンMDとなるべき半径位置においても、N相のバーストパターン(Null N)の直後にポストコードが追記される。これにより、外周ゾーンODとなるべき半径位置、中周ゾーンMDとなるべき半径位置、内周ゾーンIDとなるべき半径位置のそれぞれにおいて、Q相のバーストパターン(Null Q)の一部(大部分)又は全部が消去される。
これにより、ディスク媒体111における各ゾーンID,MD,OD内のトラックのサーボバースト領域Rbstを実質的にN相のバーストパターンのみで構成することで、ディスク媒体111におけるデータ容量の更なる向上を図ることができる。
例えば、図21(a)、図21(c)、図21(e)に示すように、各ゾーンOD,MD,ID内の各トラック(例えば、トラックTRK_r,TRK_h,TRK_p)のサーボバースト領域Rbstは、N相のバーストパターン(Null N)を含み且つQ相のバーストパターン(Null Q)を含まない。ディスク媒体111における実質的に全トラックのそれぞれのサーボバースト領域Rbstは、N相のバーストパターン(Null N)を含み且つQ相のバーストパターン(Null Q)を含まない。
あるいは、図21(b)、図21(d)、図21(f)に示すように、各ゾーンOD,MD,ID内の各トラック(例えば、トラックTRK_r,TRK_h,TRK_p)のサーボバースト領域Rbstは、N相のバーストパターン(Null N)を含み且つN相のバーストパターンよりビット長の大幅に短いQ相のバーストパターン(Null Q)を含む。ディスク媒体111における実質的に全トラックのそれぞれのサーボバースト領域Rbstは、N相のバーストパターン(Null N)を含み且つN相のバーストパターンよりビット長の大幅に短いQ相のバーストパターン(Null Q)を含む。すなわち、各ゾーンOD,MD,ID内の各トラックのサーボバースト領域Rbstは、ゲート信号におけるQ相の復調窓WQのパルス幅(図4(b)参照)に対応するビット長に比較して大幅に短いビット長のQ相のバーストパターン(Null Q)を含む。ディスク媒体111における実質的に全トラックのそれぞれのサーボバースト領域Rbstは、ゲート信号におけるQ相の復調窓WQのパルス幅(図4(b)参照)に対応するビット長に比較して大幅に短いビット長のQ相のバーストパターン(Null Q)を含む。
また、製造工程において、中周ゾーンMDにヘッド122’が位置する場合など2つのリード素子R1,R3のリード信号φR1,φR3がリードされた場合に、図7に示すリードチャネル131が復調窓WN,WQのアクティブな区間に取得されたリード信号φR3をそれぞれN2、Q2として採用することで、コントローラ130はオフセット量Tr’を求めることができる。また、出荷後において、中周ゾーンMDにヘッド122’が位置する場合など2つのリード素子R1,R3のリード信号φR1,φR3がリードされた場合に、図7に示すリードチャネル131が復調窓WNのアクティブな区間に取得されたリード信号φR3をそれぞれN2、Q2として採用することで、コントローラ130はオフセット量Tr’を用いてヘッド122’のオフトラック量を求めることができる。
また、ヘッド122’における3つのリード素子R1,R2,R3のうちマスター側のリード素子が変更される場合、マスター側のリード素子で読み出されるグレイコードが変更されると、現ヘッド位置が不連続変化してしまう可能性がある。
そこで、グレイコード復調に使う再生素子(マスター側のリード素子)を切替える場合は、マスター側のリード素子間の切替え位置での周方向距離CTSをオフセット補正情報としてあらかじめ求めておき、その周方向距離CTS分のオフセット補正量を復調されるヘッド位置に加算補正する。
例えば、ディスク装置300は、コントローラ230(図15参照)に代えて、図22に示すようなコントローラ330を有する。図22は、コントローラ330の構成を示す図である。コントローラ330は、CTSオフセット補正値340及び加算器339をさらに有する。
CTSオフセット補正値340は、マスター側再生素子を切替た際に、その切替前後のマスター側再生素子間CTSによる検出位置の不連続ズレを補正するための補正量を保持するメモリ部であり、シーク時に3再生素子から2再生素子を切替える時点で、そのオフセット補正量ΔTrが更新設定される。
図23に、各半径領域にて、3リード素子からどの2リード素子を選択して採用するかを示す。本実施例では、データ領域を5ゾーン分割して、位置検出ノイズが最小となる様に、サーボパターンに対し、リード素子間の半径方向距離CTSが、サーボパターンの位相差として90度近傍となるものを選択する様にしている。半径位置欄341bは、32データゾーンの半径位置に相当し、データゾーン0からデータゾーン3の半径位置では、N1,C1信号を生成するマスター側リード素子341cはR2の素子を使い、N2信号を生成するスレーブ側リード素子341dには、R3の素子を使う事を示している。このID領域でのオフセット補正量341eは、常時CTS12Z4で、CTSオフセット補正値340はこの補正量を保持している。尚、CTS12Z4は、データゾーン3とデータゾーン4の境界半径位置での、リード素子R1とリード素子R2との半径方向の素子間距離である。また、OD領域でのオフセット補正量341eは、CTS12Z30で、データゾーン29とデータゾーン30の境界半径位置での、リード素子R1とリード素子R2との半径方向の素子間距離である。ID領域からMD領域に切替える際には、リード素子の切替対応とともに、CTSオフセット補正値340には、オフセット補正量341eがロードされ、オフセット補正量ΔTrは0になる。逆に、MD領域からID領域に切り替える際には、オフセット補正量ΔTrはCTS12Z4になる。
マスター側リード素子の切替えにより、C1やN1のリード素子の走行半径位置がCTS分急変してしまうが、マスター側リード素子の切替えに同期して、CTSオフセット補正値340を適切に更新設定することで、検出位置の不連続分を補正できる。
加算器138は、現ヘッド位置Posを加算器339へ供給する。CTSオフセット補正値340は、オフセット補正量ΔTrを加算器339へ供給する。加算器339は、現ヘッド位置Posにオフセット補正量ΔTrを加算して補正後の現ヘッド位置Pos’を生成する。
以上のように、第3の実施形態では、ディスク媒体111における各ゾーンID,MD,OD内のトラックのサーボバースト領域Rbstを実質的にN相のバーストパターンのみで構成する。これにより、ディスク媒体111におけるデータ容量の更なる向上を図ることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。