JP2019132691A - 荷重センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】荷重の位置ずれと角度ずれの影響を抑制でき、作用する荷重を高精度に測定することができる荷重センサを提供する。【解決手段】本発明による荷重センサ100は、互いに反対側を向く第1面10aと第2面10bを備える起歪体10と、第1面10aに設けられ、起歪体のひずみを計測するセンサエレメント20と、第2面10bに設けられ、突出部である受圧突起11を備える。【選択図】図2
Description
本発明は、物体に作用する推力や軸力などの力を測定する荷重センサに関する。
一軸方向に作用する荷重を測定する荷重センサは、広く知られている。例えば、特許文献1に記載の荷重センサは、荷重を一軸方向に伝える押圧軸と、押圧軸を介して荷重を測定するセンサエレメントと、センサエレメントを保護する荷重制限手段を有する。この荷重センサでは、センサエレメントの測定許容範囲内においてはセンサエレメントを用いて荷重を測定する。押圧軸は、押圧軸に作用する荷重に応じて特定の一軸方向に移動して、センサエレメントを押す。センサエレメントは、押圧軸に押されて加わった押圧力を測定することで、荷重を測定する。
特許文献1に記載された荷重センサでは、センサエレメントは、押圧軸に押されることで、押圧軸に作用する荷重を測定する。しかし、押圧軸がセンサエレメントを押す位置や角度(すなわち、押圧力のセンサエレメントに加わる位置と角度)が変化すると、押圧軸に作用する荷重の大きさが同じでも、センサエレメントの出力が変動し、荷重を正確に測定できなくなる可能性がある。以下では、荷重センサに加わる力(荷重)の位置が変化することを「位置ずれ」と呼び、荷重センサに加わる力の角度が変化することを「角度ずれ」と呼ぶ。
本発明は、荷重の位置ずれと角度ずれの影響を抑制でき、作用する荷重を高精度に測定することができる荷重センサを提供することを目的とする。
本発明による荷重センサは、互いに反対側を向く第1面と第2面を備える起歪体と、前記第1面に設けられ、前記起歪体のひずみを計測するセンサエレメントと、前記第2面に設けられ、突出部である受圧突起とを備える。
本発明による荷重センサは、荷重の位置ずれと角度ずれの影響を抑制でき、作用する荷重を高精度に測定することができる。
本発明による荷重センサは、起歪体と、起歪体に設けられた受圧突起と、起歪体に設けられたセンサエレメントを備え、加わった荷重を受圧突起で受けて荷重を測定する。荷重センサに加わる荷重は、受圧突起のみに与えられるので、荷重が作用する場所を一定にすることができ、荷重センサに加わる荷重の位置ずれや角度ずれなどによる影響を抑制することができ、作用する荷重を高精度に測定することができる。なお、荷重センサには、押圧軸で荷重を加えることができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施例による荷重センサを説明する。
図1は、本発明の実施例1による荷重センサ100の斜視図であり、荷重センサ100の上面、正面及び右側面を示す図である。図2は、本実施例による荷重センサ100の斜視図であり、図1に示す荷重センサ100の底面、背面及び左側面を示す図である。図3は、本実施例による荷重センサ100の分解図であり、図1に示す荷重センサ100の立体分解図である。
本発明の実施例1による荷重センサ100は、図1〜3に示すように、主要な構成として、1つの起歪体10と、起歪体10に設けられた突出部である受圧突起11と、起歪体10に設けられたセンサエレメント20と、起歪体10を覆うカバー30を備える。起歪体10は、受圧突起11に荷重が加わると変形する。本実施例による荷重センサ100は、センサエレメント20が起歪体10のこの変形によるひずみを計測することで、荷重を測定する。図1〜3に示した荷重センサ100は、円柱形であり、中央部に貫通孔を備えるが、本発明による荷重センサは、このような形状を持つものに限らない。なお、荷重センサ100には、図1、3の下方から上方に向かって、すなわち図2の上方から下方に向かって、荷重が加えられる。
起歪体10は、外力が加わるとひずみを発生させる部材であり、例えば金属で構成される。起歪体10は、第1面10aと第2面10bを備える(図2、3)。第1面10aと第2面10bは、荷重が加わる方向で互いに反対側を向く。また、起歪体10は、第1面10aと第2面10bを接続する面である側面に、切欠き34を備える。
受圧突起11は、荷重センサ100に加わる荷重(測定対象である荷重)を直接受ける突出部であり、起歪体10の第2面10bに設けられる(図2)。受圧突起11は、荷重が加わる方向に突出する。受圧突起11に荷重が加わると、起歪体10は、変形し、ひずみを発生させる。受圧突起11の数は、1つまたは複数である。受圧突起11は、起歪体10と同じ材料で構成されるのが好ましいが、起歪体10と異なる材料で構成されてもよい。受圧突起11は、起歪体10と一体成形して起歪体10に設けてもよく、起歪体10と別に形成して起歪体10に設置してもよい。
センサエレメント20は、起歪体10の第1面10aに設けられ(図3)、起歪体10の変形で生じるひずみを計測する。センサエレメント20の数は、1つまたは複数である。センサエレメント20は、既存のひずみセンサで構成することができる。
カバー30は、起歪体10を覆うように、起歪体10の第1面10aに設けられる(図1、3)。カバー30は、起歪体10の切欠き34と接続するように切欠き36を備える。また、カバー30は、キー溝35を備える。
起歪体10は、2つの段差12を第1面10aに備える(図3)。段差12は、突出部であり、第1面10aの互いに対向する2つの端部に設けられる。すなわち、段差12のうち一方は、第1面10aの一端部に設けられ、段差12のうち他方は、この一端部に対向する第1面10aの他端部に設けられる。起歪体10は、カバー30と段差12でのみ接触している。段差12は、起歪体10と同じ材料で構成されるのが好ましいが、起歪体10と異なる材料で構成されてもよい。段差12は、起歪体10と一体成形して起歪体10に設けてもよく、起歪体10と別に形成して起歪体10に設置してもよい。
起歪体10の第1面10aの2つの段差12の間の領域は、センサ設置領域15である。センサ設置領域15には、センサエレメント20が設置される。
なお、起歪体10は、受圧突起11と段差12を支点とした3点曲げ構造を有する。すなわち、起歪体10は、1つの荷重点(1つの受圧突起11)に対して2つの拘束点(2つの段差12)を有する構造を持つ。起歪体10が3点曲げ構造を有すると、起歪体10は、2点(2つの段差12)で拘束され、1点(受圧突起11)に力が加わるので、変形(ひずみ)が大きくなり、この結果、センサエレメント20の感度が向上する。段差12が、第1面10aの互いに対向する2つの端部に設けられていると、起歪体10の変形がより大きくなり、センサエレメント20の感度がより向上する。
起歪体10が1点で拘束されていると、起歪体10は、大きな荷重が加わったときに変形部や拘束点の応力が大きくなり、壊れやすくなる。起歪体10が3点以上で拘束されていると、起歪体10の変形が小さくなるので、センサエレメント20の感度が減少する。また、荷重点が2点以上であると、荷重センサ100に偏荷重(均等でない荷重)が加わったときに偏荷重の影響が大きくなり、荷重を高精度に測定するのが困難になる。このため、起歪体10は、3点曲げ構造を有するのが望ましい。
起歪体10は、任意の形状を備えることができる。本実施例では、起歪体10は、円筒形であり、その軸方向に貫通する穴を有し、この貫通穴に軸などの棒状部材を通すことが可能である。例えば、貫通穴にリードスクリューを通し、リードスクリューに通したナットで受圧突起11に荷重を加えることで、ボールナットの軸力を測定することができる。
荷重センサ100は、上記の主要な構成に加えて、例えば、接合層21と、回路基板22と、ボンディングワイヤ23と、リード線24と、ねじ31を備える(図3、1)。
接合層21は、センサエレメント20と起歪体10とを接合するための接着剤で構成され、センサ設置領域15に設けられる。回路基板22は、センサエレメント20からの出力を処理する回路を備え、センサ設置領域15に設けられる。ボンディングワイヤ23は、センサエレメント20と回路基板22とを接続し、センサエレメント20からの出力を回路基板22に伝達する。リード線24は、回路基板22に接続され、回路基板22からの信号を外部装置に伝達するための配線である。ねじ31は、カバー30を起歪体10に固定する。
カバー30は、ねじ穴32Aを備える。起歪体10の段差12は、ねじ穴32Bを備える。カバー30と起歪体10は、ねじ穴32A、32Bに嵌め込まれたねじ31により締結されて、互いに固定される。
さらに、カバー30は、リード線24が通る配線引出用穴33を備える。
リード線24は、外部装置に接続され、外部装置に回路基板22からの信号を伝達する。本実施例による荷重センサ100が自動車に用いられる場合は、リード線24は、例えばECU(電子制御ユニット)の基板に接続される。ECU基板には、マイコンが実装されている。
なお、本実施例による荷重センサ100は、1つまたは複数のセンサエレメント20を備えるが、複数のセンサエレメント20を備える場合には、これらのセンサエレメント20の出力が同一になるように(または同一とみなせるように)構成されている。このため、一部のセンサエレメント20が故障しても、残りのセンサエレメント20で荷重の測定を継続することができる。また、複数のセンサエレメント20の出力が同一でない場合には、ECU基板に実装されたマイコンで複数のセンサエレメント20の出力の平均値を求め、この平均値を用いて、加わった荷重を求めることもできる。
次に、センサエレメント20の位置決めについて説明する。上述したように、センサエレメント20は、起歪体10の第1面10aのセンサ設置領域15に設置される。
センサエレメント20は、受圧突起11に加わった荷重により生じた起歪体10のひずみ(変形)を計測する。センサエレメント20の第1面10a内での設置位置は、受圧突起11に加わった荷重で起歪体10が変形する位置であれば、センサエレメント20の感度に応じて任意に定めることができる。
起歪体10は、第1面10aに位置決め部13を備える(図3)。位置決め部13は、第1面10a内でのセンサエレメント20の設置位置に設けられ、第1面10aから突出した凸部または第1面10aから窪んだ凹部であり、第1面10a内の大きさがセンサエレメント20と接合層21よりも大きい。位置決め部13には、接合層21を介してセンサエレメント20が設置される。位置決め部13の凸部の突出高さまたは凹部の窪み深さは、目視またはカメラで位置決め部13を確認できる程度の大きさである。センサエレメント20を起歪体10に設置するときは、センサエレメント20が位置決め部13に設置されたことを目視またはカメラで容易に確認できる。位置決め部13により、センサエレメント20を、起歪体10の所定の位置に正確に設置することができる。
次に、リード線24の配置(引き回しと引き出し)について説明する。
段差12は、図3に示すように、起歪体10の第1面10aに対して斜めに傾いている傾斜面12aを備える。段差12は、第1面10aから突出しているが、傾斜面12aでは第1面10aに傾斜して突出している。傾斜面12aにより、リード線24は、カバー30が備える配線引出用穴33を通って、回路基板22からカバー30の外部に、容易かつ安全に延在することができる。
荷重センサ100の小型化を目的に起歪体10を小さくすると、回路基板22の実装スペースが小さくなる。このような場合には、回路基板22は、段差12に接するほど段差12に近い位置に配置され、回路基板22に接続されたリード線24は、段差12に沿って配線する必要がある。段差12が傾斜面12aを備えていない場合には、リード線24と回路基板22との接続部付近でリード線24を直角に折り曲げるため、この折り曲げ部に応力が集中し、リード線24が断線する可能性があることが懸念される。また、リード線24と回路基板22との接続部を保護するために、回路基板22やセンサエレメント20の上にリード線24を引き回す可能性があり、この場合には、リード線24がボンディングワイヤ23と接触し、リード線24やボンディングワイヤ23の断線などの不具合が発生することが懸念される。
段差12が傾斜面12aを備えることで、リード線24の直角での折り曲げとリード線24の無理な引き回しが不要になり、リード線24を容易かつ安全にカバー30の外に引き出すことが可能である。傾斜面12aにより、リード線24を用いて、回路基板22からの信号を外部に確実に伝達することができる。
次に、回路基板22の位置決めについて説明する。
起歪体10の第1面10aは、センサ設置領域15に位置決め突起14を備える(図3)。位置決め突起14は、第1面10aから突出した凸部である。回路基板22をセンサ設置領域15に設置するときには、回路基板22を位置決め突起14に押し当てることで、回路基板22の位置を定めることができる。なお、段差12の傾斜面12aの第1面10aとの接続部を、第1面10aに対して垂直な面にすると、回路基板22をこの垂直な面と位置決め突起14とに押し当てることで、回路基板22の位置をより正確に定めることができる。
次に、受圧突起11について説明する。上述したように、受圧突起11は、荷重センサ100に加わる荷重を直接受ける1つまたは複数の突出部であり、起歪体10の第2面10bに設けられる(図2)。
受圧突起11の第2面10b内での設置位置や大きさは、荷重を荷重センサ100に加える押圧軸の大きさや、荷重センサ100と押圧軸との相対位置などに応じて、任意に定めることができる。受圧突起11は、荷重を受けたときに、センサエレメント20がひずみを精度よく計測できるように起歪体10を変形させることができる位置に設置するのが好ましい。
荷重センサ100に加わる荷重の方向に垂直な面内における、受圧突起11とセンサエレメント20の位置(すなわち、受圧突起11の第2面10b内での位置とセンサエレメント20の第1面10a内での位置)は、互いに同じでも異なっていてもよい。センサエレメント20の計測精度を考慮すると、加わる荷重の方向に垂直な面内における、受圧突起11とセンサエレメント20の位置は、互いに同じであるのが好ましい。すなわち、図3、1において、受圧突起11は、センサエレメント20の真下に位置する(図2において、受圧突起11は、センサエレメント20の真上に位置する)のが好ましい。
受圧突起11がこの位置にあると、荷重を受けた受圧突起11は、起歪体10を介して荷重の方向と平行な方向にセンサエレメント20に力を加えることができるので、センサエレメント20は、起歪体10のねじれ変形の影響を受けにくい。例えば、荷重の方向に垂直な面内における、受圧突起11とセンサエレメント20の位置が互いに異なると、円筒形の起歪体10がねじるように変形する。このねじれ変形により、起歪体10の貫通穴を通る棒状部材(例えば、軸)に起歪体10が接触し、荷重を正しく測定できない可能性がある。
受圧突起11は、任意の形状を備えることができるが、図2に示すように円柱形(コイン形)であるのが好ましい。受圧突起11の高さ(突出長さ)は、測定対象である荷重の大きさに応じて決めることができる。
受圧突起11は、平面部11aと側面部11bを備える。平面部11aは、荷重が加わる面であり、側面部11bは、第2面10bから突出して平面部11aに接続する面である。受圧突起11が円柱形であれば、側面部11bは曲面である。平面部11aは、側面部11bと滑らかに(曲率を持って)接続するのが好ましい。すなわち、平面部11aと側面部11bとの接続部は、荷重の方向(受圧突起11の突出方向)に平行な面内において、曲率を有するのが好ましい。
従来の荷重センサでは、押圧軸が荷重センサに荷重を加える位置や角度が変化して位置ずれや角度ずれが生じると、起歪体の変形が位置ずれや角度ずれが生じていない場合から変化するので、センサエレメントが計測するひずみは、押圧軸によって加えられる荷重の大きさが変化しなくても変化する。このため、位置ずれや角度ずれが生じると、精度良く荷重を測定できない可能性がある。
本実施例による荷重センサ100では、押圧軸と荷重センサ100との間に位置ずれや角度ずれが生じても、受圧突起11と起歪体10の位置関係は変化しなので、荷重点が一定となる。このため、起歪体10は、位置ずれや角度ずれの影響をほとんど受けずに変形する。従って、センサエレメント20は、位置ずれや角度ずれが生じても、この影響をほとんど受けず、ひずみを正確に計測することができる。本実施例による荷重センサ100では、受圧突起11で荷重を受けるので、起歪体10は、位置ずれや角度ずれによる影響をほとんど受けずに変形し、センサエレメント20は、位置ずれや角度ずれが生じてもひずみを正確に計測することができる。本実施例による荷重センサ100は、このようにして、荷重を高精度に測定することができる。
また、本実施例による荷重センサ100において、受圧突起11の平面部11aと側面部11bとが互いに滑らかに接続していると、押圧軸と荷重センサ100との間に角度ずれが発生しても、平面部11aと側面部11bとの接続部に発生する応力集中を緩和することができる。このため、この接続部が変形するのを抑制することができ、受圧突起11の変形や破損を防止することができる。
次に、センサエレメント20について説明する。
センサエレメント20は、起歪体10の変形をひずみとして計測可能なひずみセンサである。センサエレメント20は、例えば、ブリッジ回路20aと制御回路20bとが半導体チップ上に集積された既存の半導体ひずみセンサで構成することができる。以下では、半導体ひずみセンサで構成されたセンサエレメント20について説明する。
センサエレメント20は、4つのひずみゲージを有するブリッジ回路20aを含むひずみICが1チップ化されたセンサチップである。センサエレメント20は、例えば、4つのひずみゲージを有するブリッジ回路20aと、ひずみの計測を制御する制御回路20bとを備える。制御回路20bは、ブリッジ回路20aの信号を増幅する増幅器と、A/D変換器と、記憶演算部と、温度センサと、D/A変換器とを備える。
記憶演算部は、例えば、半導体メモリ等を有する記憶部と、CPU等を有する演算部とを備える。記憶部は、温度変化によるブリッジ回路20aの出力(ひずみゲージの抵抗の変化)の変動を補正するための補正データを記憶している。演算部は、温度センサが測定した温度と記憶部が記憶している補正データを用いて、ブリッジ回路20aの出力の、温度変化による変動を補正する。センサエレメント20は、記憶演算部によって、センサエレメント20の温度特性による誤差を補正することができる。
このような構成により、センサエレメント20は、荷重センサ100に作用する力に応じた起歪体10のひずみを、ブリッジ回路20a、増幅器、A/D変換器、記憶演算部、及びD/A変換器によって電気的な信号に変換することができる。
次に、荷重センサ100の内部の保護について説明する。
図3に示すように、起歪体10の段差12とカバー30は、ねじ31で互いに固定されている。起歪体10は、段差12以外の部分ではカバー30と接していないので、受圧突起11に荷重が加わると変形することができる。このように、荷重センサ100は、起歪体10の変形を妨げない構造を備える。起歪体10とカバー30は、段差12以外の部分では、少なくとも定格荷重が印加されても互いに接触しない程度の距離が開いている。従って、荷重の印加に伴う起歪体10の変形は線形的である。これにより、センサエレメント20の出力も線形性を確保している。
上記のように、起歪体10とカバー30は、段差12以外の部分では互いに接触していないため、起歪体10とカバー30の隙間から水分やごみなどが荷重センサ100の内部に侵入する恐れがある。これらの侵入を防ぐため、起歪体10とカバー30の隙間を封止する必要がある。
本実施例による荷重センサ100では、起歪体10とカバー30の隙間に封止材が設けられ、この封止材で起歪体10とカバー30の隙間を封止している。この封止材には、起歪体10の線形的な変形を妨げない剛性の低い弾性体を用いるのが好ましい。また、長期信頼性を確保するため、この封止材には、広い環境温度帯域で使用可能であり、耐薬品性が高い材料を用いるのが好ましい。このような封止材の例として、シリコーン接着剤を挙げることができる。シリコーン接着剤を封止材として用いる場合には、起歪体10に溝を設けてこの溝に接着剤を配置し、接着剤がセンサエレメント20や回路基板22などに流れて荷重センサ100の出力が異常になるのを防ぐのが好ましい。本実施例による荷重センサ100では、図3に示すように、起歪体10は、軸方向への貫通穴を有する円筒形であるので、外周部と内周部の両方に周方向に延伸する溝が設けられている。
カバー30が備える配線引出用穴33も、リード線24との隙間に封止材が設けられ、この封止材で荷重センサ100の内部に水分やごみなどが侵入するのを防ぐ。
また、万が一封止が破れて荷重センサ100の内部に水分やごみなどが侵入しても、荷重センサ100の出力への影響を最小限にするため、ボンディングワイヤ23は、ゲルで覆われ、リード線24と回路基板22の配線がむき出しの部分は、レジンなどで強固に固めるのが好ましい。
図4は、本発明の実施例2による荷重センサ200の斜視図であり、荷重センサ200の上面、正面及び右側面を示す図である。図5は、本実施例による荷重センサ200の斜視図であり、図4に示す荷重センサ200の底面、背面及び左側面を示す図である。図6は、本実施例による荷重センサ200の分解図であり、図4に示す荷重センサ200の立体分解図である。
本発明の実施例2による荷重センサ200は、実施例1による荷重センサ100と同様の構成を備えるが、複数の起歪体10を備える点が実施例1による荷重センサ100と異なる。以下では、本実施例による荷重センサ200について、実施例1による荷重センサ100と異なる構成を主に説明する。
本実施例による荷重センサ200は、複数の起歪体10を備え、それぞれの起歪体10は、1つの受圧突起11と、2つの段差12と、1つのセンサエレメント20を備える。すなわち、本実施例による荷重センサ200は、複数の受圧突起11と複数のセンサエレメント20を備える。図4〜6には、一例として、2つの起歪体10を備える荷重センサ200を示している。それぞれの起歪体10は、それぞれに同じ荷重が加わったら、それぞれのセンサエレメント20の出力が同一になるように(または同一とみなせるように)構成されている。
なお、複数の起歪体10同士の隙間は、実施例1による荷重センサ100の起歪体10とカバー30の隙間に設けた封止材と同様の封止材で、封止するのが望ましい。
それぞれのセンサエレメント20の出力は、リード線24によって外部装置に送信される。本実施例による荷重センサ200が自動車に用いられる場合は、リード線24は、例えばECU(電子制御ユニット)の基板に接続され、センサエレメント20の出力は、ECU基板に送信される。ECU基板にはマイコンが実装されており、このマイコンは、複数のセンサエレメント20の出力の平均値を求める平均化処理を実行する。
本実施例による荷重センサ200において、複数のセンサエレメント20の出力は、理想的には同一である。しかし、荷重センサに加わる荷重の位置ずれや角度ずれなどによってそれぞれの起歪体10の受圧突起11に等しく荷重が加わらなかったこと(すなわち、偏荷重が加わったこと)の影響や、それぞれの起歪体10の加工や実装によって発生する誤差の影響で、センサエレメント20の出力が互いに異なることがある。
このため、本実施例による荷重センサ200では、複数のセンサエレメント20の出力の平均値を求める平均化処理がECU基板のマイコンで実行され、上記の影響を抑制する。複数のセンサエレメント20の出力が平均化されるので、本実施例による荷重センサ200は、より正確に荷重を測定することができる。
荷重センサ200が複数の起歪体10を備えると、荷重センサ200に偏荷重が加わったときに、それぞれの起歪体10のセンサエレメント20の出力を計測することで、偏荷重を計測できるという効果がある。偏荷重が計測できれば、加わる荷重を調整して荷重の偏りを小さくすることができる。
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記の実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明は、必ずしも説明した全ての構成を備える態様に限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、削除したり、他の構成を追加・置換したりすることが可能である。
10…起歪体、10a…第1面、10b…第2面、11…受圧突起、11a…平面部、11b…側面部、12…段差、12a…傾斜面、13…位置決め部、14…位置決め突起、15…センサ設置領域、20…センサエレメント、20a…ブリッジ回路、20b…制御回路、21…接合層、22…回路基板、23…ボンディングワイヤ、24…リード線、30…カバー、31…ねじ、32A、32B…ねじ穴、33…配線引出用穴、34、36…切欠き、35…キー溝、100、200…荷重センサ。
Claims (9)
- 互いに反対側を向く第1面と第2面を備える起歪体と、
前記第1面に設けられ、前記起歪体のひずみを計測するセンサエレメントと、
前記第2面に設けられ、突出部である受圧突起と、
を備えることを特徴とする荷重センサ。 - 前記第1面に設けられた突出部である段差を2つ備え、
前記第2面に設けられた前記受圧突起は、荷重を受ける突出部である、
請求項1に記載の荷重センサ。 - 前記段差のうち一方は、前記第1面の一端部に設けられ、
前記段差のうち他方は、前記一端部に対向する前記第1面の他端部に設けられる、
請求項2に記載の荷重センサ。 - 前記受圧突起と前記センサエレメントは、加わる荷重の方向に垂直な面内において、互いに同じ位置に設けられる、
請求項1に記載の荷重センサ。 - 前記受圧突起は、荷重が加わる面である平面部と、前記第2面から突出して前記平面部に接続する側面部とを備え、
前記平面部は、前記側面部と滑らかに接続する、
請求項1に記載の荷重センサ。 - 前記第1面は、凸部または凹部である位置決め部を備え、
前記センサエレメントは、前記位置決め部に設けられる、
請求項1に記載の荷重センサ。 - 前記起歪体を複数備え、
それぞれの前記起歪体は、前記センサエレメントと、前記受圧突起を備える、
請求項1に記載の荷重センサ。 - それぞれの前記起歪体は、突出部である段差を前記第1面に2つ備え、
前記第2面に設けられた前記受圧突起は、荷重を受ける突出部である、
請求項7に記載の荷重センサ。 - 前記センサエレメントは、ブリッジ回路と記憶演算部とを備える半導体ひずみセンサであり、
前記記憶演算部は、前記ブリッジ回路の出力を補正するための補正データを記憶しており、前記補正データを用いて前記ブリッジ回路の出力を補正する、
請求項1から8のいずれか1項に記載の荷重センサ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018014751A JP2019132691A (ja) | 2018-01-31 | 2018-01-31 | 荷重センサ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018014751A JP2019132691A (ja) | 2018-01-31 | 2018-01-31 | 荷重センサ |
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Family Applications (1)
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Country | Link |
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2018
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