以下、図面を参照して本発明の実施形態による自吸ポンプ及びポンプユニットについて詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態によるポンプユニットのユニットカバーの内部を示す正面図である。図2は、本発明の第1実施形態によるポンプユニットを示す背面斜視透視図である。本実施形態のポンプユニット1は、例えば井戸や貯水槽等の水源から水を汲み上げて水を供給する用途に使用される。ポンプユニット1は屋外に設置され、農業用水、洗車、庭木の散水等として用いられる中水を給水したり、建物の2階床又は3階床で水道本管圧では圧力が不足したりしてしまう場合の水道加圧給水にも用いられる。
図1及び図2に示す通り、ポンプユニット1は、水(液体)を汲み上げるポンプ11(自吸ポンプ)、ポンプ11の背面側に設けられてポンプ11を駆動する電動機12、及び電動機12を制御する制御装置13を備える。電動機12は、ポンプ11に固定されており、ポンプ11及び制御装置13は、ユニットベース14上に固定されている。ユニットカバー15は、ユニットベース14上のポンプ11、電動機12、制御装置13を覆っている。ユニットベース14及びユニットカバー15は、例えば合成樹脂製である。
ポンプ11は、揚液用の羽根車11aが呼び水作用も行うことができるようにした構造の自吸ポンプであって、羽根車11aと、羽根車11aを収納するポンプ室21(図3参照)及び揚水の流路を形成するポンプケーシング11bとを備える。また、ポンプ11は、摩擦ポンプとも称されるカスケードポンプであって、羽根車11aは、周縁部に多数の溝G(図3参照)が切られた円板状に形成されており、その周縁部によってポンプ室21に存在する水を、ほぼ1回転させながら昇圧させるものである。このポンプ11は小型であるが、1個の羽根車11aで数段の渦巻ポンプに匹敵する揚程を得られ、小容量高揚程の目的に適している。また、このポンプ11は、自吸性を有するので、ポンプ11よりも低い位置に設置された受水槽に蓄えた水や井戸水を揚水するのに適している。尚、ポンプ11の詳細については後述する。
電動機12は、羽根車11aを回転させることによりポンプ11を駆動させる。本実施形態では、電動機12の駆動は、制御装置13によって制御されており、ポンプ11の回転速度の可変速運転が可能とされている。ここで、制御装置13にて可変速運転する必要がない場合は、制御装置13は可変速手段を有さなくてもよい。
制御装置13は、ポンプ11の可変速手段として不図示のインバータ装置を備えており、ポンプケーシング11bに設けられた圧力センサ34(図3参照)による吐出し圧力の検出結果に応じて、電動機12を制御することによってポンプ11の回転速度を制御する。例えば、制御装置13は、公知の吐出圧一定制御や推定末端圧一定制御等の目標圧力と当該検出結果に基づいてポンプ11の吐出し圧力を制御する。また、制御装置13は、ポンプケーシング11bに設けられた検出スイッチ33(図3参照)の状態に応じて自吸運転と揚液運転との何れの運転を行うかを制御する。
図1に示す通り、ポンプユニット1の正面には、ユニットカバー15から露出する吸込口16と吐出し口17とが設けられている。吸込口16は、ポンプケーシング11bの内部に形成された内部流路FP(図3参照)の一端部E1と連通しており、吐出し口17は、内部流路FPの他端部E2と連通している。尚、羽根車11aによって加圧された水が吐出される吐出流路FP3(図3参照)には、吐出し量や吐出し圧力の瞬時的変動を緩和する圧力タンク18(図2参照)が設けられている。尚、圧力タンク18は、ポンプ11の下にユニットベース14と一体的に形成されてもよい。
次に、ポンプ11について詳細に説明する。図3は、本発明の第1実施形態におけるポンプの内部構造を示す縦断面図である。図3に示す通り、ポンプケーシング11bの内部流路FPには、ポンプ室21と気水分離室22(気液分離室)とが形成されている。内部流路FPのうち、一端部E1からポンプ室21までの吸込流路FP1には、フローチェッキ弁23が設けられている。フローチェッキ弁23は、ポンプ室21よりも高い位置に設けられ、ポンプ11の駆動に先立ち、ポンプ室21の内部を満水させて自吸に必要な水位を確保するとともに、ポンプ11の停止時の水の逆流を防止し、常にポンプ室21を満水にする役割を有する。即ち、フローチェッキ弁23は、ポンプ11の停止時、自重によって吸込流路FP1を閉じ、ポンプ11の駆動時には、吸込流路FP1を上ってくる水(始動時は空気を含む)によって押し上げられて吸込流路FP1を開く。
ポンプ室21の下流側には、気水分離室22が配置されている。内部流路FPのうち、ポンプ室21と気水分離室22との間の接続流路FP2には、ポンプ室21から吐出された水が衝突するバッフル24が配置されている。気水分離室22の底部には、ポンプ室21と連通する還流流路RPが形成されている。還流流路RPは、ポンプ11の始動時の自吸運転時に、気水分離室22で空気と分離した水を、ポンプ室21に再び戻す(還流させる)ものである。還流流路RPによって還流される水(空気と分離した水)と空気とを再度混合し、吸込流路FP1内の空気を排出した後に、ポンプ11は、水源の水を吸い上げることができる。
また、気水分離室22の底部には、還流流路RPと連通するとともに、上部に形成された開口OPを通じて気水分離室22と連通する補助室25が設けられている。この補助室25内には、開口OPを開閉する弁体26(開閉機構)、弁体26を下方に向けて付勢するバネ部材27、及び弁体26を下方から支持する支持部材28が収容されている。弁体26は、例えばゴム製又は樹脂製の円錐台形状の弁部材26aと、弁部材26aの底面に取り付けられた円板状の板部材26bとを備える。尚、開口OPは、例えば円形形状であり、弁体26の弁部材26aの形状に合わせて下方に向かって拡径していることが望ましい。
バネ部材27は、例えば圧縮バネであり、弁体26の底面が支持部材28によって支持されている状態において、ある程度縮んだ状態で補助室25内に収容されている。バネ部材27の径は、弁体26の弁部材26aの外径よりも大きく板部材26bの外径よりも小さい径に設定されている。支持部材28は、例えばバネ部材27と同程度の径を有し、補助室25の底部から上方向に向かって立設された円環状の部材である。
図4は、本発明の第1実施形態において気水分離室の補助室に収容される弁体及び支持部材を示す斜視図である。図4に示す通り、支持部材28は、その側面に複数の孔部28cが形成された円環状の部材であり、上端部28aを弁体26側に向けた状態で、下端部28bが補助室25の底部に固定されている。支持部材28の側面に形成された孔部28cは、支持部材28の上端部28aが弁体26によって塞がれても、還流流路RPが気水分離室22と連通するようにするためのものである。つまり、支持部材28の上端部28aが弁体26によって塞がれた状態であっても、気水分離室22から開口OPを介して補助室25に流入した水が、孔部28cを介して還流流路RPに流れ込むようにするためのものである。尚、支持部材28の側面に形成される孔部28cの形状及び数は任意である。
弁体26の上部には、開口OPに介挿されて上下方向に延びる棒状の連結部材29の一端29a(図4参照)が取り付けられている。この連結部材29の他端29b側には浮体30が取り付けられている。つまり、弁体26と浮体30とは、連結部材29によって連結されている。尚、連結部材29は、図3に例示する棒状部材であっても良く、チェーンのような紐状部材であっても良い。
浮体30は、例えば水よりも比重が軽い樹脂等で形成された部材、或いは内部が中空とされた部材であり、気水分離室22内に配置される。この浮体30は、気水分離室22内の水によって浮力を受け、気水分離室22内の水の水位に応じて上下する。連結部材29によって浮体30と弁体26とが連結されていることから、弁体26は、浮体30の上下に合わせて上下する。
浮体30が受ける浮力は、気水分離室22内の水の水位が呼び水時水位WL1(基準水位)以下の場合には、バネ部材27の付勢力よりも小さくなるように設定され、気水分離室22内の水の水位が呼び水時水位WL1よりも高い場合には、バネ部材27の付勢力よりも大になるように設定されている。ここで、呼び水時水位WL1とは、気水分離室22を形成する壁面22aの上端の高さ位置と同じ高さ位置である。尚、ポンプケーシング11bの上部11Uの内壁面の高さ位置と気水分離室22を形成する壁面22aの上端の高さ位置との差をH1とすると、呼び水時水位WL1とは、ポンプケーシング11bの上部11Uの内壁面の高さ位置からH1だけ下がった位置ということもできる。尚、気水分離室22内の水の水位が呼び水時水位WL1よりも高い場合とは、例えば気水分離室22及び気水分離室22より下流側のポンプケーシング11b内が水で満たされた場合である(図5参照)。
従って、気水分離室22内の水の水位が呼び水時水位WL1以下の場合には、弁体26はバネ部材27によって支持部材28の上部に押し当てられた状態になるため、図3に示す通り、開口OPは開放される。これに対し、気水分離室22内の水の水位が呼び水時水位WL1よりも高い場合(例えば、気水分離室22及び気水分離室22より下流側が水で満たされた場合)には、浮体30とともに弁体26が上方向に移動し、図5に示す通り、開口OPは弁体26によって閉鎖され、これにより還流流路RPが閉鎖された状態になる。図5は、本発明の第1実施形態においてポンプの内部が満水になった状態を示す図である。
ポンプケーシング11bの上部11U(気水分離室22の上方(浮体30の上方))には、呼び水口31(液体供給口)が形成されている。呼び水口31は、呼び水栓32(栓)によって閉止されている。呼び水栓32は、ポンプ11の設置時等でポンプケーシング11b内に水が満たされていない状態で、且つ、ポンプ11の始動前に開けられ、呼び水口31から呼び水を注水する。この状態で、上述したポンプ11の駆動によって、自吸運転が行われ、吸込流路FP1内の空気がなくなり、水源の水が上がってくると、自吸運転は終わり、気水分離室22及び気水分離室22より下流側が水で満たされた後は、ポンプ11の駆動によって揚液運転がなされる。
呼び水栓32には、自吸完了を検出するための検出スイッチ33(スイッチ)が設けられている。この検出スイッチ33は、気水分離室22内の水の水位が呼び水時水位WL1よりも高くなり、浮体30が上方へ移動して連結部材29の他端29bが当接したら、オフ状態(第1状態)からオン状態(第2状態)に切り替わる。例えば、図5に示す通り、気水分離室22内の水の水位が呼び水時水位WL1よりもH1だけ上昇した場合に、検出スイッチ33は、オフ状態からオン状態に切り替わる。また、オン状態の検出スイッチ33は、気水分離室22内の水の水位が下がり、浮体30が下方へ移動したらオフ状態に切り替わるとよい。例えば、気水分離室22内の水の水位が呼び水時水位WL1よりもH1だけ上昇してオン状態となった後に、気水分離室22内の水の水位が呼び水時水位WL1以下になったら、検出スイッチ33は、オン状態からオフ状態に切り替わる。尚、検出スイッチ33の検出結果は、制御装置13に出力される。
本実施形態では、検出スイッチ33が呼び水栓32に設けられていることから、検出スイッチ33の交換を容易に行うことができる。尚、浮体30が上方へ移動した状態で検出スイッチ33がオフ状態からオン状態に切り替わる位置であれば、呼び水栓32以外の場所に検出スイッチ33を設けてもよい。また、本実施形態において、検出スイッチ33は、連結部材29の他端29bが当接することでオフ状態からオン状態に切り替わるが、連結部材29の他端29bに浮体30を設けて、検出スイッチ33に浮体30が当接することで、検出スイッチ33がオフ状態からオン状態に切り替わるようにしてもよい。また、検出スイッチ33は、浮体30の上下位置が確認できればよく、例えば磁気センサや赤外線センサのような非接触型のスイッチ等を用いてもよい。このような非接触型のスイッチ等を用いる場合には、例えば検出スイッチ33(コモン素子)と、検出スイッチ33より高い位置の他端29b(検出素子)との距離が所定の距離以上になった場合にオフ状態からオン状態に切り替わるようにすれば良い。
内部流路FPのうち、気水分離室22から他端部E2までの吐出流路FP3には、圧力センサ34が設けられている。圧力センサ34は、呼び水時水位WL1よりも上方に配置され、自吸運転が完了し、水で満たされた吐出流路FP3の圧力を検出する。圧力センサ34の検出結果は、制御装置13に出力され、制御装置13は、公知の吐出圧一定制御や推定末端圧一定制御等の目標圧力と当該検出結果に基づいて、電動機12の回転速度を制御する。
また、吐出流路FP3には、前述の通り、圧力タンク18が設けられている。圧力タンク18は、耐圧容器内にゴム製のブラダが内蔵されており、ポンプ11の吐出圧力が上昇するとブラダの外側の空気を圧縮し水が加圧状態で貯留される。また、例えば、水の使用に伴い、吐出流路FP3内の圧力が低下するにつれて、圧縮された空気が膨張し、貯留された水を吐出流路FP3に押し出す。このようにして、ポンプ11の起動直後で、給水に十分な回転速度まで上昇していなくても、しばらくは圧力タンク18から吐出流路FP3に水を供給することができる。
次に、以上説明した構成のポンプユニット1の自動運転の動作について説明する。図6は、本発明の第1実施形態によるポンプユニットの動作例を示すフローチャートである。尚、図6に示すフローチャートは、ポンプ11の始動にて開始され、ポンプ11の停止にて中断される。例えば、ポンプ11は、制御装置13に設けられている運転スイッチがオン状態にされ、且つ圧力センサ34にて検出された吐出し圧力が所定の始動圧力以下である場合に開始され、給水先の水使用量の減少でフローチェッキ弁23が小水量を検知した場合やポンプ11の異常等で停止される。ポンプ11が始動されると、まず検出スイッチ33がオフ状態であるか否かが制御装置13で判断される(ステップS11)。
検出スイッチ33がオフ状態であると判断された場合(ステップS11の判断結果が「YES」の場合)には、制御装置13によって電動機12が制御され、ポンプユニット1において自吸運転が実行される(ステップS12)。つまり、ポンプ11は、自吸運転用の回転速度で運転される。ここで、自吸運転は、揚水を行わないため、ポンプユニット1の2次側に接続された機器(例えば蛇口)に影響を与えることがない。このため、自吸運転用の回転速度は、例えば予め規定された羽根車11aの最高回転速度にすることができる。自吸運転で羽根車11aが高速に回転するほど自吸運転は短時間で完了し、揚水運転にて水を供給することができる。自吸運転中は、検出スイッチ33がオフ状態からオン状態に切り替わったか否かが制御装置13で判断される(ステップS13)。検出スイッチ33がオン状態になっていないと判断された場合(ステップS13の判断結果が「NO」である場合)には、ステップS12の処理が繰り返され、ポンプ11は、自吸運転用の回転速度での運転が継続される。
フローチェッキ弁23の上流側に空気があると、羽根車11aの回転によって、吸込口16を介して吸込管と連通する吸込流路FP1の空気がフローチェッキ弁23を押し上げ、ポンプ室21内に吸い込まれる。吸い込まれた空気とポンプケーシング11b内の水の混合液は、ポンプ室21から吐出される。尚、上記の吸込管は、井戸等の水源とポンプユニット1の吸込口16に接続される配管であり、吸込管の一端は水源に潜没している。
吐出された混合液は、ポンプケーシング11b内に設けられたバッフル24にぶつかり気水分離室22へ流れ、空気と水に分離される。気水分離室22で分離された空気は吐出流路FP3を介して吐出し口17から排出される。これに対し、気水分離室22で分離された水の一部は、図3に示す通り、開口OPから補助室25を介して還流流路RPに流れ込み、還流流路RPを介してポンプ室21に還流される。還流流路RPを介してポンプ室21に還流される水と吸い込まれた空気が、自吸運転用の回転速度で回転する羽根車11aによって混合されることで、自吸運転にかかる時間が短縮できる。尚、この動作が繰り返されている間は、ポンプ室21に吸い込まれた空気が吐出し口17から排出されるため、ポンプケーシング11b内の水量は呼び水した時のままであり、気水分離室22内の水の水位は、ほぼ呼び水時水位WL1に維持されるため、開口OPは開放された状態のままである。
以上の動作が繰り返されることで、フローチェッキ弁23の上流側の空気が無くなり水が上がってくる。そして、ポンプケーシング11b内の吸込流路FP1が水で満たされると、ポンプ室21に吸い込まれた水が吐出し口17から吐出されるため、気水分離室22内の水の水位が上昇する。すると、浮体30が上方に移動するとともに、弁体26が上方に移動する。図5に示す通り、気水分離室22及び気水分離室22より下流側が水で満たされた状態になると、開口OPが弁体26によって閉鎖されるとともに、検出スイッチ33がオン状態になる。尚、開口OPが弁体26によって閉鎖されることにより、気水分離室22から補助室25を介して還流流路RPに流れ込む水が無くなることから、還流流路RPが閉鎖された状態と同じ状態になる。つまり、開口OPが閉鎖されることによって、還流流路RPが間接的に閉鎖される。気水分離室22から還流流路RPに流れ込む水を無くすことで、揚水運転時のポンプ効率を向上させることができる。
浮体30が上方に移動すると、検出スイッチ33の検出結果に基づいて、検出スイッチ33がオン状態になったと制御装置13で判断され(ステップS13の判断結果が「YES」になり)、制御装置13の制御の下で、揚液運転が開始される(ステップS14)。つまり、揚液運転用の回転速度での運転が開始される。ここで、揚水運転を開始する前に一旦ポンプ11を停止し、ポンプ11を再起動してもよい。
他方、ステップS11において、検出スイッチ33がオフ状態ではないと判断された場合(判断結果が「NO」の場合)には、制御装置13によって電動機12が制御されて、揚液運転が実行され(ステップS14)、再びステップS11の処理に戻る。このようにしてポンプユニット1が運転する。
尚、ステップS14の揚液運転におけるポンプ11の回転速度の制御方法の例としては、吐出し圧力一定制御、推定末端圧力一定制御、電流一定制御、流量一定制御、回転数一定制御等が挙げられる。吐出し圧力一定制御は、所定の目標圧力SVを所定の設定圧力PAとし、ポンプ11の吐出し圧力を設定圧力PAとするようにポンプ11を制御する制御方法である。推定末端圧力一定制御は、給水先の末端の圧力が所定の設定圧力PAとなるように目標圧力SVを算出しポンプ11の吐出し圧力PVを算出した目標圧力SVとするようにポンプ11を制御する制御方法である。電流一定制御は、電動機12に流れる電流を測定する不図示の電流センサを設け、制御装置13は電流センサから入力された電動機12に流れる電流値が所定の値となるようにポンプ11を制御する制御方法である。流量一定制御は、不図示の流量計を用いてポンプ11の吐出し流量が所定の値となるようにポンプ11を制御する制御方法である。回転数一定制御は、電動機12の回転速度が所定の値となるようにポンプ11を制御する制御方法である。
以上の通り、本実施形態では、気水分離室22の底部に、還流流路RPと連通するとともに、上部に形成された開口OPを通じて気水分離室22と連通する補助室25を設け、補助室25内に収容された弁体26と浮体30とを、開口OPに介挿された連結部材29によって連結するようにしている。そして、気水分離室22内の水の水位に応じて弁体26を上下させることにより、開口OPを開放又は閉鎖するようにしている。このため、還流流路RPを、自吸運転時には確実に開状態にすることができ、揚液運転時には確実に閉状態にすることができる。これにより、自吸運転時及び揚液運転時の何れの運転時においても運転効率を高めることができる。
また、本実施形態では、浮体30の上方に位置する呼び水口31を、検出スイッチ33が設けられた呼び水栓32によって閉止するようにしている。そして、気水分離室22内の水の水位が呼び水時水位WL1よりも高くなり、浮体30が上方へ移動して連結部材29の他端29bが検出スイッチ33に当接した場合に、検出スイッチ33がオフ状態からオン状態に切り替わるようにしている。このため、自吸完了を容易に検出することができる。
〔第2実施形態〕
図7は、本発明の第2実施形態によるポンプユニットの要部構成を模式的に示す分解斜視図である。図8は、本発明の第2実施形態におけるポンプの内部構造を模式的に示す縦断面図である。尚、図7では、主要な構成のみを図示しており、主要な構成以外の構成については図示を省略している。また、本実施形態では、第1実施形態で説明した構成に相当する構成については、第1実施形態で用いた符号と同一の符号を用い、一部説明を省略する。
上述した第1実施形態のポンプ11は、主軸が水平に配置されている横軸ポンプであった。これに対し、本実施形態のポンプ11Aは、主軸が鉛直に配置されている立軸ポンプである。
図7,図8に示す通り、本実施形態のポンプユニット2は、インナーケーシング41と自吸部42とを備える。尚、図8ではインナーケーシング41の図示を省略している。インナーケーシング41は、その内部に電動機12の回転軸に取り付けられた羽根車11aが配置される有底円環状の部材である。このインナーケーシング41の上方にカバー43が取り付けられることで、ポンプ室21が形成される(図8参照)。ポンプ11Aの揚水の流路を形成するポンプケーシング11bは、インナーケーシング41、カバー43、及び自吸部42である。
インナーケーシング41の側面には、吸込孔部41a、吐出孔部41b、及び還流孔部41cが形成されている。吸込孔部41aは、揚水(自吸時は空気を含む)が流入する孔部であり、不図示のポンプユニット2の吸込口と連通している。吐出孔部41bは、ポンプ室21で加圧された水(自吸時は水と空気の混合液を含む)が流出する孔部であり、自吸部42の内部に設けられた気水分離室22の吐出し流路と連通している。還流孔部41cは、還流流路RPの一部を形成する孔部であり、ポンプ室21と気水分離室22と連通し、気水分離室22で空気と分離した水をポンプ室21に再び戻す。
気水分離室22の側部(図8の紙面左側部)には補助室25が設けられており、気水分離室22の上部(補助室25の上方)には浮体室44が設けられている。補助室25は、還流流路RP及び気水分離室22と連通しており、その内部には弁体26が収容されている。補助室25の内径は、弁体26の形状(円錐台形状)に合わせて下方に向かって拡径している。浮体室44は、上方に延びるように形成されており、その内部に浮体30が収容されている。また、浮体室44の上部には呼び水口31が形成されており、呼び水口31は呼び水栓32によって閉止されている。尚、図8では、呼び水栓32に設けられた検出スイッチ33の図示を省略している。浮体室44は、浮体30の上下方向のストロークを確保するために設けられる。補助室25に収容された弁体26と浮体室44に収容された浮体30は、連結部材29によって連結されている。
以上の構成のポンプユニット2において、自吸運転中は、図8(a)に示す通り、浮体室44内の水位がほぼ呼び水時水位WL2に維持される。このため、還流流路RPの開口端(気水分離室22側の開口端)は開放された状態のままである。これに対し、自吸が完了すると、浮体室44内の水位が上昇し、浮体30が上方に移動するとともに、弁体26が上方に移動する。すると、図8(b)に示す通り、還流流路RPの開口端が弁体26によって閉鎖されるとともに、連結部材29の他端29bが呼び水栓32に設けられた検出スイッチ33に当接して検出スイッチ33がオン状態になる。
以上の通り、本実施形態では、気水分離室22の側部に還流流路RP及び気水分離室22と連通する補助室25を設けるとともに、気水分離室22の上部に浮体室44を設け、補助室25内に収容された弁体26と浮体室44に収容された浮体30とを連結部材29によって連結するようにしている。そして、浮体室44内の水の水位に応じて弁体26を上下させることにより、還流流路RPの開口端を閉鎖するようにしている。このため、還流流路RPを、自吸運転時には確実に開状態にすることができ、揚液運転時には確実に閉状態にすることができる。これにより、自吸運転時及び揚液運転時の何れの運転時においても運転効率を高めることができる。また、本実施形態においても、検出スイッチ33によって自吸完了を容易に検出することができる。
〈変形例〉
図9は、本発明の第2実施形態によるポンプユニットの第1変形例を模式的に示す縦断面図である。上述した第2実施形態では、弁体26が円錐台形状であり、補助室25の内径が弁体26の形状に合わせて下方に向かって拡径していた。これに対し、第1変形例では、弁体26が直方体形状又は平板形状であり、補助室25の紙面左右方向の幅は一定である。
第1変形例において、自吸運転中は、図9(a)に示す通り、浮体室44内の水位がほぼ呼び水時水位WL2に維持される。このため、還流流路RPの開口端(気水分離室22側の開口端)は開放された状態のままである。これに対し、自吸が完了すると、浮体室44内の水位が上昇して浮体30が上方に移動する。すると、弁体26は、補助室25の側壁(紙面左右方向の側壁)にガイドされて上方にスライド移動し、図9(b)に示す通り、還流流路RPの開口端が弁体26によって閉鎖される。また、浮体30が上方に移動すると、連結部材29の他端29bが呼び水栓32に設けられた検出スイッチ33よりも上方に移動して検出スイッチ33がオン状態になる。
図10は、本発明の第2実施形態によるポンプユニットの第2変形例を模式的に示す縦断面図である。上述した第2実施形態及び第1変形例は、弁体26によって還流流路RPの開口端を閉鎖するものであった。これに対し、第2変形例では、還流流路RPの開口端を直接的には閉鎖せずに、第1実施形態と同様に、補助室25に設けられた開口OPを閉鎖することによって、還流流路RPを間接的に閉鎖するものである。
第2変形例では、図10に示す通り、開口OPは、補助室25の側部(紙面右方向の側部)に形成されている。また、気水分離室22内の特定位置には、ガイド部材45が形成されている。ここで、上記の特定位置とは、開口OPから紙面右方向に延びる線と、浮体室44の中央部から鉛直下方向(紙面手前側)に延びる線とが交差する位置である。補助室25に収容された弁体26と浮体室44に収容された浮体30は、紐状の連結部材29によって連結されている。弁体26から紙面右方向に延びる連結部材29は、ガイド部材45によって上方に折り返されて浮体30に連結されている。従って、浮体30が上下方向に移動すると、弁体26は左右方向に移動することとなる。
第2変形例において、自吸運転中は、図10(a)に示す通り、浮体室44内の水位がほぼ呼び水時水位WL2に維持される。このため、開口OPは開放された状態のままである。これに対し、自吸が完了すると、浮体室44内の水位が上昇して浮体30が上方に移動する。すると、弁体26は、紙面右方向に移動し、図10(b)に示す通り、開口OPが弁体26によって閉鎖される。また、浮体30が上方に移動すると、例えば浮体30が呼び水栓32に設けられた不図示の検出スイッチ33に当接して検出スイッチ33がオン状態になる。
図9に示す第1変形例及び図10に示す第2変形例の何れにおいても、還流流路RPを、自吸運転時には確実に開状態にすることができ、揚液運転時には確実に閉状態にすることができる。これにより、自吸運転時及び揚液運転時の何れの運転時においても運転効率を高めることができる。尚、検出スイッチ33によって自吸完了を容易に検出することもできる。
〔第3実施形態〕
図11は、本発明の第3実施形態によるポンプユニットを模式的に示す図である。図11(a)は、図11(b)中のA−A線に沿う模式的な断面矢視図であり、図11(b)は、平面図であり、図11(c)は表示部の一例を示す図である。図11では、主要な構成のみを図示しており、主要な構成以外の構成については図示を省略している。本実施形態のポンプユニット3の要部構成(還流流をRPを開閉する構成)は、第1実施形態のポンプユニット1と同様であっても良く、第2実施形態のポンプユニット2と同様であっても良い。また、本実施形態では、第2実施形態と同様に、第1実施形態で説明した構成に相当する構成については、第1実施形態で用いた符号と同一の符号を用いるものとする。
図11に示す通り、本実施形態のポンプユニット3は、制御装置13の上部に設けられた制御部50と、ユニットカバー15に取り付けられた表示器60とを備えており、制御部50と表示器60との間で無線通信(或いは、有線通信)を行って、ポンプユニット3の状態を示す情報をユニットカバー15に取り付けられた表示器60に表示するものである。また、本実施形態のポンプユニット3は、ユニットカバー15の外部の機器である外部表示器70と無線通信を行って、ポンプユニット3の状態を示す情報を外部表示器70の表示画面DPに表示可能とするものである。
尚、以下では、制御部50と表示器60との間の通信を第1近距離通信C1とし、表示器60と外部表示器70との間の通信を第2近距離通信C2とする。ここで、第1近距離通信C1及び第2近距離通信C2は、例えばWi−Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)等の無線通信、或いはNFC(Near Field Communication)等の近距離無線通信である。また、RS232CやRS485等にてシリアル通信を行ってもよいし、USB(Universal Serial Bus)にてパケット通信を行ってもよい。本実施形態では、第1近距離通信C1並びに第2近距離通信C2が、NFCである場合を例に挙げて説明する。
表示器60は、ユニットカバー15の上面15Uに形成された窓部15aを介して外部から視認可能な状態で、ユニットカバー15に取り付けられている。窓部15aは、例えばユニットカバー15の上面15Uに矩形形状の切り欠きを形成し、その切り欠きに透明窓TWを取り付けたものである。透明窓TWは、変形しにくい透明樹脂(例えば、透明な強化プラスチック)によって形成されている。このような窓部15aでは、透明窓TWを介してユニットカバー15の内部を覗き込むことで、表示器60の表示内容を視認することができる。このように、表示器60の表示部64(詳細は後述する)は、窓部15aの透明窓TWを介して、外部から視認可能である。尚、表示器60は、ユニットカバー15の上面15Uの内壁に着脱可能に取り付けられていても良い。
図11(c)に示す通り、表示器60の表示部64には複数の表示ランプLP1〜LP6が設けられている。表示ランプLP1は、ポンプユニット3が運転状態であるか否かを表示するための表示ランプである。表示ランプLP2は、ポンプユニット3が自吸運転中であるか否かを表示するための表示ランプである。具体的には、検出スイッチ33がオフ状態であれば、表示ランプLP2を出力し、検出スイッチ33がオン状態であれば、表示ランプLP2の出力を停止するとよい。表示ランプLP3は、ポンプユニット3が故障状態であるか否かを表示するための表示ランプである。表示ランプLP4〜LP6は、ポンプユニット3の設定圧PAを表示するための表示ランプである。具体的に、表示ランプLP4,LP5,LP6はそれぞれ、ポンプユニット3の設定圧PAが「高」,「中」,「低」に設定された旨を表示するものであり、何れか1つのみが排他的に点灯する。
図12は、本発明の第3実施形態によるポンプユニットに設けられる制御部及び表示器並びに外部表示器の要部構成を示すブロック図である。図12に示す通り、制御部50は、I/O部51、演算部52、記憶部53、メンテナンスポート54、DC電源55、リーダライタ56、及び制御部側アンテナ部57を備える。I/O部51は、入力部51a及び出力部51bを備える。I/O部51は、制御装置13に設けられた不図示のインバータ、並びに検出スイッチ33及び圧力センサ34等の各種センサと接続されており、入力部51aにて検出スイッチ33及び各種センサから入力した検出結果を演算部52に出力するとともに、出力部51bにて演算部52からの指令信号(例えば、ポンプ11の回転速度)を電動機12等の各機器に出力する。また、I/O部51の出力部51bは、ポンプユニット3の各種状態を接点信号で出力する不図示の外部出力端子を備えてもよい。具体的には、出力部51bは、検出スイッチ33がオフ状態であれば、自吸運転の状態を示す接点信号を出力するとよい。
演算部52は、例えばCPU(中央処理装置)によって実現され、I/O部51を介して入力される検出スイッチ33及び各種センサ等の検出結果に基づいて、電動機12に出力する指令信号を演算し、その指令信号をI/O部51に出力する。また、演算部52は、ポンプユニット3の状態を示す情報(自吸運転中、揚水運転中、吐出し圧力、回転速度、積算運転時間、積算運転回数等)を求めて記憶部53に記憶させる。記憶部53は、演算部52で用いられる各種情報、及び演算部52で求められた各種情報を記憶する各種メモリを備える。
メンテナンスポート54は、ポンプユニット3のメンテナンス時に、作業者によって使用されるポートである。このポートは、通常は、カバー等によって覆われて外部から隠された状態にされている。このポートは、通信(無線・有線)にてメンテナンスで用いられる保守機器(パソコン、スマートフォン、タブレット等の汎用の情報機器や専用の情報機器等)が接続可能であり、例えば記憶部53に記憶された各種情報を保守機器に読み出すために用いられる。
DC電源55は、制御部側アンテナ部57等に対する電力の供給を行う電源であり、ポンプユニット3の主電源より不図示のAC/DCコンバータを介して供給される。リーダライタ56は、記憶部53に記憶された各種情報を読み出して、制御部側アンテナ部57を介して表示器60に送信し、或いは、制御部側アンテナ部57で受信された各種情報を読み出して記憶部53に記憶させる。制御部側アンテナ部57は、DC電源55から供給される電力を用いて、表示器60を動作させるための電力を非接触で表示器60に給電する。また、制御部側アンテナ部57は、リーダライタ56から出力される各種情報を無線信号にして外部に送信する。
図12に示す通り、表示器60は、表示部側アンテナ部61、制御部用集積回路62、リーダライタ63、表示部64、外部表示器用集積回路65、及び表示器側アンテナ部66を備える。表示部側アンテナ部61、制御部用集積回路62、リーダライタ63、及び表示部64は、制御部50から非接触で給電される電力によって動作し、外部表示器用集積回路65及び表示器側アンテナ部66は、外部表示器70から非接触で給電される電力によって動作する。尚、外部表示器用集積回路65は、制御部用集積回路62にて代用してもよい。その場合、制御部用集積回路62と表示器側アンテナ部66とが接続される。また、表示器60が独自の電源で動作できれば、制御部50又は外部表示器70は、表示器60に給電しなくてもよい。
表示部側アンテナ部61は、制御部50に設けられた制御部側アンテナ部57から非接触で給電される電力を受電するとともに、制御部側アンテナ部57との間で第1近距離通信C1を行って制御部50から送信されてくる各種情報を受信する。制御部用集積回路62は、制御部50から送信されてきて、表示部側アンテナ部61で受信された各種情報を記憶するとともに、これら各種情報に基づいて表示部64の表示制御を行う。リーダライタ63は、表示部側アンテナ部61と外部表示器用集積回路65との間で各種情報の授受を行う。表示部64は、7セグメントLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)、LED等の表示ランプ、或いは液晶表示素子の表示素子を備えており、制御部用集積回路62の制御の下で、ポンプユニット3の状態を示す情報を表示する。具体的には、検出スイッチ33がオフ状態であれば、自吸運転の状態を示す情報を表示するとよい。
外部表示器用集積回路65は、外部表示器70から送信されてきて、表示器側アンテナ部66で受信された各種情報を記憶する。表示器側アンテナ部66は、外部表示器70に設けられた外部表示器側アンテナ部71から非接触で給電される電力を受電するとともに、外部表示器側アンテナ部71との間で第2近距離通信C2を行って外部表示器70から送信されてくる各種情報を受信する。
図12に示す通り、外部表示器70は、外部表示器側アンテナ部71、バッテリ72、リーダライタ73、及び表示部74を備えており、表示器60と第2近距離通信C2を行って、ポンプユニット3の状態を示す情報を表示部74である外部表示器70の表示画面DPに表示する。この外部表示器70は、例えばスマートフォン、タブレット、パソコン等の汎用情報機器によって実現される。外部表示器側アンテナ部71は、バッテリ72から供給される電力を用いて、表示器60を動作させるための電力を非接触で表示器60に給電する。また、外部表示器側アンテナ部71は、表示器側アンテナ部66から出力される各種情報を受信する。
バッテリ72は、外部表示器側アンテナ部71等に対する電力の供給を行う電源である。リーダライタ73は、外部表示器側アンテナ部71で受信された各種情報を読み出して表示部74に出力する。或いは、リーダライタ73は、不図示の入力部から入力された設定値やポンプユニット3の運転や停止指令等を外部表示器側アンテナ部71に送ることによって、第2近距離通信C2から第1近距離通信C1を経て記憶部53に記憶させることもできる。表示部74は、例えば液晶表示器等の表示器を備えており、表示器60から得られたポンプユニット3の状態を示す情報を表示する表示画面DPである。尚、外部表示器70がスマートフォンやタブレット等によって実現される場合には、表示画面DPがタッチパネルを備えていることから、表示画面DPが上記の入力部になる。
次に、上記構成におけるポンプユニット3の状態を示す情報を表示する動作について説明する。ポンプユニット3の状態を示す情報を表示する動作は、制御部50から表示器60へポンプユニット3の状態を示す情報を送信する動作(第1動作)と、外部表示器70がポンプユニット3の状態を示す情報を表示器60から取得して、表示画面DPに表示する動作(第2動作)とに大別される。以下、これらの動作を順に説明する。
〈第1動作〉
制御部50は、通電中は常に表示器60の電力供給用の電波を発する。表示器60が、制御部50の近傍に位置する表示部側アンテナ部61で、その電波を受信すると、表示部側アンテナ部61において起電力が生ずる。この起電力は、表示器60の制御部用集積回路62及び表示部64に供給され、これにより表示器60の表示部側アンテナ部61、制御部用集積回路62、及び表示部64が通電状態になる。
制御部50では、記憶部53に記憶された各種情報がリーダライタ56によって読み出される。例えば、ポンプユニット3の運転状態を示す情報、故障を示す情報、及び吐出し圧力を示す情報等が読み出される。リーダライタ56によって読み出された情報は、制御部側アンテナ部57に出力され、第1近距離通信C1によって表示器60に送信される。
制御部50から表示器60に送信された情報は、表示器60の表示部側アンテナ部61で受信された後に制御部用集積回路62に出力されて記憶される。そして、表示器60では、制御部用集積回路62によって、制御部50から表示器60に送信された情報に基づく表示部64の表示制御が行われる。例えば、ポンプユニット3の運転状態を示す情報が「運転中」である旨を示す場合には、図11(c)に示す表示ランプLP1を点灯させる表示制御が行われ、更にポンプユニット3の運転状態を示す情報が「自吸運転中」である旨を示す場合には、図11(c)に示す表示ランプLP2を点灯させる表示制御が行われる。また、ポンプユニット3の故障を示す情報に応じて、図11(c)に示す表示ランプLP3を点灯又は点滅させる表示制御が行われる。更に、ポンプユニット3の設定圧を示す情報に応じて、図11(c)に示す表示ランプLP4〜LP6の何れかを点灯させる表示制御が行われる。
以上説明した表示器60が通電状態となった以降の一連の制御部50と表示器60との通信に関わる動作は、予め規定された周期で繰り返し行われる。これにより、表示器60の表示部64には、上記の周期に応じてポンプユニット3の状態を示す情報が連続的、或いは間欠的に更新される。具体的に、上記の周期が短い場合(例えば、1秒以下の場合)には、ポンプユニット3の状態を示す情報が連続的に更新され、上記の周期が長い場合(例えば、数十秒程度以上の場合)には、ポンプユニット3の状態を示す情報が間欠的に更新される。表示部64には、更新のタイミングにて最新の情報が表示されるとよい。上記の周期は、制御部用集積回路62や演算部52が実行する処理量にて規定されることもある。
〈第2動作〉
ポンプユニット3に装着されたユニットカバー15の上面15Uに形成された窓部15aに対し、外部表示器70が近接配置された状態にされたとする。この状態のときに、外部表示器70から電力供給用の電波が発せられると、その電波は、表示器60の表示器側アンテナ部66で受信される。すると、表示器側アンテナ部66において起電力が生ずる。この起電力は、表示器60の外部表示器用集積回路65に供給され、これにより外部表示器用集積回路65が通電状態になる。
すると、外部表示器用集積回路65は記憶しているデータ(例えば、ポンプユニット3の運転状態を示す情報、故障を示す情報、及び吐出し圧力を示す情報等)を、表示器側アンテナ部66に出力し、第2近距離通信C2によって外部表示器70に送信される。尚、説明を簡単にするために、表示器60に設けられた制御部用集積回路62及び外部表示器用集積回路65には同じ情報が記憶されているとしている。
表示器60から外部表示器70に送信されたポンプユニット3の状態を示す情報は、外部表示器70の外部表示器側アンテナ部71で受信された後にリーダライタ73を介して表示部74に出力される。そして、表示部74では、表示器60から外部表示器70に送信されたポンプユニット3の状態を示す情報に基づいた表示が行われる。前述の通り、外部表示器70の表示部74には、例えば液晶表示器等の表示器が設けられていることから、多様な表示が可能である。
図13は、本発明の第3実施形態において外部表示器の表示画面に表示される情報の一例を示す図である。図13において、外部表示器70の表示画面DPに表示されている情報W1は、ポンプユニット3の現在状態を示す情報である。図13に示す例では、ポンプユニット3の現在状態を示す情報W1として、ポンプユニット3が運転状態である旨の情報と、ポンプユニット3の検出スイッチ33がオフ状態にて自吸運転中である旨の情報とが表示されている。尚、自吸運転が終了した場合には、ポンプユニット3が自吸運転中である旨の情報に代えて、ポンプユニット3が揚液運転中である旨の情報を表示しても良い。尚、これらの情報W1は、例えばアイコン等を用いてアニメーションにて表示しても良い。
以上の通り、本実施形態では、ユニットカバー15に形成された窓部15aを介して外部から視認可能なように、第1近距離通信C1及び第2近距離通信C2が可能な表示器60をユニットカバー15に取り付けている。そして、ポンプユニット3の状態を示す情報を、制御部50から表示器60に第1近距離通信C1によって送信して表示器60の表示部64に表示するとともに、制御部50から送信されてきた情報を表示器60から外部表示器70に第2近距離通信C2によって送信して外部表示器70の表示部74に表示するようにしている。これにより、ポンプユニット3の運転状態や警報等の多様な情報を容易に確認することができる。また、ユニットベース14に固定された制御部50と、ユニットカバー15に取り付けられた表示器60との間では第1近距離通信C1によって情報の送受信及び非接触給電が行われることから、ユニットカバー15を取り外すときに配線を気にする必要が無い。
尚、上述した第3実施形態の変形例として、表示器60に代えて、表示器60から表示部64が省略されたもの(通信器)を用いることができる。この通信器は、制御部50との間の第1近距離通信C1及び外部表示器70との間の第2近距離通信C2がNFCによって可能であり、制御部50との外部表示器70との間の通信を中継する中継器ということもできる。
このような通信器を用いる場合には、ユニットカバー15の内部を視認するための窓部15aを省略することが可能である。但し、NFCは通信距離が数センチメートルと短いため、外部表示器70が通信器に近接配置されなければ、外部表示器70と通信器との間のNFCが行われず、ポンプユニット3の状態を示す情報が外部表示器70に表示されない。また、外部表示器70と通信器との間に電波を妨害するような障害(例えば金属製の板)があると通信できない。このため、ユニットカバー15の上面には、通信器との間のNFCが可能な部位(視認可能部)である旨を示すマークを付すのが望ましい。
ポンプユニット3によって自吸運転が実行されている最中は水が出ないため、ユーザーは、ポンプユニット3の故障が原因で揚水できないと誤認してしまう虞がある。本実施形態のように、自吸運転中である旨の情報が表示等されることで、ユーザーは、ポンプユニット3の運転状態が自吸運転の実行中であることを正しく認識することができる。これにより、ユーザーの利便性が向上する。
〔第4実施形態〕
図14は、本発明の第4実施形態におけるポンプの内部構造を示す縦断面図である。図14(a)は、自吸運転時の状態を示す図であり、図14(b)は、自吸が完了した状態を示す図である。尚、本実施形態では、第1実施形態で説明した構成に相当する構成については、第1実施形態で用いた符号と同一の符号を用い、説明を省略する。
前述した第1実施形態のポンプユニット1は、ポンプ11内に設けられた浮体30の上下方向への移動に応じて還流流路RPを開閉し、浮体30の上下方向への移動によってオフ状態とオン状態とが切り替わる検出スイッチ33を用いて自吸完了を検出するものであった。これに対し、本実施形態のポンプユニット4は、ポンプ11内に設けられた浮体30の上下方向への移動に応じて還流流路RPを開閉する点は第1実施形態と同様であるが、ポンプ11内の水の水位を直接的に検出するスイッチを用いて自吸完了を検出するものである。
本実施形態のポンプユニット4が備えるポンプ11は、図14に示す通り、図3に示すポンプ11の連結部材29及び呼び水栓32を、それぞれ連結部材29A及び呼び水栓32Aに代えたものである。連結部材29Aは、図3に示す連結部材29よりも長さが短く、他端29bに浮体30が取り付けられるものである。本実施形態と第1実施形態とでは、ポンプ11内の水の水位を検出する方法が異なるため、図3に示す連結部材29よりも長さが短い連結部材29Aが用いられる。
呼び水栓32Aには、自吸完了を検出するための一対の電極35(スイッチ)が設けられている。この一対の電極35は、予め規定された間隔をもって離間されており、一方がコモン電極(コモン素子)とされ、他方が検出電極(検出素子)とされる。ポンプ11内の水の水位が、一対の電極35の高さ位置よりも高くなり、一対の電極35が共に水に浸されたら、一対の電極35の間が非導通状態(第1状態)から導通状態(第2状態)に切り替わる。つまり、一対の電極35の間が非導通状態から導通状態に切り替わることで自吸完了が検出される。また、ポンプ11内の水の水位が、一対の電極35の高さ位置よりも低くなり、一対の電極35の少なくとも一方が水に浸されなくなったら、一対の電極35の間は導通状態から非導通状態に切り替わる。このような一対の電極35を用いてポンプ11内の水の水位を直接的に検出することができる。尚、一対の電極35は制御装置13に接続されており、一対の電極35の検出結果は、制御装置13に出力される。
尚、電極35は、気水分離室22内の水位が呼び水時水位WL1以下のときには、少なくとも一方の電極が気中に露出している状態となるように配置される。また、電極35は、非接触型の水位検知器であるため、錆や液中の成分等によって導通状態を誤検知する虞が少ない。
以上の構成のポンプユニット4において、自吸運転中は、図14(a)に示す通り、気水分離室22内の水の水位がほぼ呼び水時水位WL1に維持される。このため、開口OPは開放された状態のままである。また、一対の電極35は、水に浸されていないから非導通状態である。これに対し、自吸が完了すると、気水分離室22内の水の水位が上昇し、浮体30が上方に移動するとともに、弁体26が上方に移動する。すると、図14(b)に示す通り、開口OPが弁体26によって閉鎖される。また、気水分離室22内の水の水位が上昇し、呼び水栓32Aに設けられた一対の電極35が共に水に浸されると、電極35間が導通状態になる。この一対の電極35の検出結果が制御装置13に出力されることで、制御装置13は自吸が完了した旨を知ることができる。
以上の通り、本実施形態では、気水分離室22内の水の水位に応じて弁体26を上下させることにより、開口OPを閉鎖するようにしている。このため、還流流路RPを、自吸運転時には確実に開状態にすることができ、揚液運転時には確実に閉状態にすることができる。これにより、自吸運転時及び揚液運転時の何れの運転時においても運転効率を高めることができる。また、本実施形態では、呼び水栓32Aに設けられた一対の電極35によって自吸完了を容易に検出することができる。
尚、一対の電極35は、揚液運転中の水流の影響を受けにくくするため、ポンプケーシング11bの上部11Uの内壁面の高さ位置よりも上に配置されるのが好ましい。また、ポンプケーシング11bに通電できる場合には、コモン電極に代えてポンプケーシング11bをコモン素子とすることができる。かかる場合には、ポンプ11内の水の水位に応じて、呼び水栓32Aに設けられた1つの電極35とポンプケーシング11bとの間が非導通状態又は導通状態になる。また、本実施形態では、一対の電極35が呼び水栓32Aに設けられていることから、電極35の交換を容易に行うことができる。
〈変形例〉
図15は、本発明の第4実施形態の変形例に係るポンプの内部構造を示す縦断面図である。図15(a)は、自吸運転時の状態を示す図であり、図15(b)は、自吸が完了した状態を示す図である。尚、図15においては、図14に示した構成に相当する構成については同一の符号を付してある。
上述した第4実施形態のポンプユニット1は、呼び水栓32Aに設けられた一対の電極35によって自吸完了を検出するものであった。これに対し、本変形例は、ポンプ11の吐出流路FP3に設けられた一対の電極35によって自吸完了を検出するものである。本変形例に係るポンプ11は、図15に示す通り、図14に示す呼び水栓32Aを呼び水栓32Bに代え、一対の電極35をポンプケーシング11bの吐出流路FP3に取り付けたものである。
呼び水栓32Bは、検出スイッチ33や電極35が設けられておらず、呼び水口31を閉止するためだけに用いられる栓である。一対の電極35は、ポンプケーシング11bの外部からポンプケーシング11bを貫通して吐出流路FP3内に延在するように設けられている。尚、一対の電極35は、ポンプケーシング11bとは電気的に絶縁されている。図15に示す例では、一対の電極35は、ポンプケーシング11bの上部11Uに取り付けられており、吐出流路FP3内において下方に延在するように設けられている。尚、一対の電極35の取り付け位置は、図15に示す位置に制限される訳ではなく、吐出流路FP3(気水分離室22から他端部E2までの流路)の任意の位置に取り付けることも可能である。尚、一対の電極35は制御装置13に接続されており、一対の電極35の検出結果は、制御装置13に出力される。
以上の構成において、自吸運転中は、図15(a)に示す通り、気水分離室22内の水の水位がほぼ呼び水時水位WL1に維持され、吐出流路FP3は空気で満たされている。このため、開口OPは開放された状態のままであり、一対の電極35の間は非導通状態である。これに対し、自吸が完了すると、気水分離室22内の水の水位が上昇し、吐出流路FP3が水で満たされる。これにより、浮体30が上方に移動するとともに、弁体26が上方に移動する。すると、図15(b)に示す通り、開口OPが弁体26によって閉鎖される。また、吐出流路FP3に設けられた一対の電極35が共に水に浸され、電極35間が導通状態になる。この一対の電極35の検出結果が制御装置13に出力されることで、制御装置13は自吸が完了した旨を知ることができる。
以上の通り、本変形例では、自吸運転時及び揚液運転時の何れの運転時においても運転効率を高めることができるとともに、吐出流路FP3に設けられた一対の電極35によって自吸完了を容易に検出することができる。尚、気水分離室22から飛来した水(しぶき)が一対の電極35間に保持されると誤検出になる。このため、本変形例では、気水分離室22から飛来したしぶきが一対の電極35にかからないようにするための覆いを設けるのが好ましい。
〔第5実施形態〕
図16は、本発明の第5実施形態におけるポンプの内部構造を示す縦断面図である。図16(a)は、自吸運転時の状態を示す図であり、図16(b)は、自吸が完了した状態を示す図である。尚、本実施形態では、第1実施形態で説明した構成に相当する構成については、第1実施形態で用いた符号と同一の符号を用い、説明を省略する。
本実施形態のポンプユニット5は、前述した第1実施形態のポンプユニット1とは、還流流路RPを開閉する機構(補助室25、弁体26、バネ部材27、支持部材28、連結部材29、及び浮体30)が省略され、呼び水栓32Aに代えて呼び水栓32Cが設けられている点が相違する。呼び水栓32Cには、自吸完了を検出するための可動スイッチ36(スイッチ)が設けられている。
図17は、本発明の第5実施形態で用いられる可動スイッチを示す断面図である。図17に示す通り、可動スイッチ36は、回動部材36a、回動軸36b、フロート36c、軸受部材36d、磁石36e(検出素子)、及び磁気センサ36f(コモン素子)を備える。回動部材36aは、棒状又は平板状の部材であり、一端部に回動軸36bが設けられており、他端部にフロート36cが設けられている。回動部材36aの長さは、例えば図16(a)に示す通り、鉛直下方に延びている状態で、フロート36cが呼び水時水位WL1よりも上方に配置される程度の長さに設定されている。
回動軸36bは、呼び水栓32Cに設けられた軸受部材36dに、回動可能に嵌め込まれる。尚、回動軸36bは、回動部材36aと一体に形成されていても良く、回動部材36aとは異なる部材として形成されて、回動部材36aの一端部に固定されていても良い。フロート36cは、例えば水よりも比重が軽い樹脂等で形成された部材、或いは内部が中空とされた部材である。このフロート36cは、気水分離室22内の水の水位が呼び水時水位WL1を超えてフロート36cの高さ位置よりも高くなると浮力を受ける。
軸受部材36dには、切り欠きNTが形成されており、回動部材36aは、切り欠きNTを介して軸受部材36dの外部に突出している。切り欠きNTによって、回動部材36aの回動動作の範囲が制限される。具体的に、切り欠きNTの一方の端部e1に回動部材36aの一側面が接触しているときに、回動部材36aは自吸時位置にあり、切り欠きNTの一方の端部e1よりも上方に位置する切り欠きNTの他方の端部e2に回動部材36aの他側面が接触しているときに、回動部材36aは自吸完了位置にある。従って、軸受部材36dに形成された切り欠きNTによって、回動部材36aは、自吸時位置と自吸完了位置との間で回動することが許容される。回動部材36aの自吸時位置は、該回動部材36aが鉛直下方に延びる位置(図17の実線参照)であり、回動部材36aの自吸完了位置は、回動部材36aが斜め下方に延びる位置である(図17の点線参照)。
磁石36eは、回動部材36aの他側面に設けられており、磁気センサ36fは、呼び水栓32Cに設けられている。磁石36e及び磁気センサ36fは、お互いの位置関係を考慮して、回動部材36a及び呼び水栓32Cにそれぞれ設けられている。例えば、磁石36e及び磁気センサ36fは、回動部材36aが自吸時位置にある場合に、磁石36eと磁気センサ36fとの距離が予め規定された基準距離L1よりも長くなり、回動部材36aが自吸完了位置にある場合に、磁石36eと磁気センサ36fとの距離が上記の基準距離L1以下となるように設置される。ここで、上記の基準距離L1は、磁気センサ36fで検出される磁場の大きさが予め設定された閾値以上になる距離である。可動スイッチ36は、磁石36eと磁気センサ36fとの距離が上記の基準距離L1よりも長い場合にはオフ状態(第1状態)になり、磁石36eと磁気センサ36fとの距離が上記の基準距離L1以下の場合にはオン状態(第2状態)になる。
回動部材36aの自吸時位置は、磁石36eと磁気センサ36fとが基準距離L1よりも離れる状態、つまり可動スイッチ36がオフ状態の位置である。回動部材36aの自吸完了位置は、磁石36eと磁気センサ36fとが基準距離L1よりも近く、且つ磁石36eと磁気センサ36fとが接触しない、つまり可動スイッチ36がオン状態の位置である。具体的に、可動スイッチ36は、回動部材36aが鉛直下方に延びる位置(図17の実線参照)で自吸時位置となり、回動部材36aが斜め下方に延びる位置(図17の二点鎖線参照)で自吸完了位置となるように切り欠きNTが形成されるとよい。このように、可動スイッチ36は、オフ状態(第1状態)及びオン状態(第2状態)の何れの場合でも磁石36eと磁気センサ36fとが接触しないため、錆や液中の成分等によって磁石36eと磁気センサ36fとが接触した状態で固着するのを防ぐことができる。
以上の構成において、自吸運転中は、図16(a)に示す通り、気水分離室22内の水の水位がほぼ呼び水時水位WL1に維持される。可動スイッチ36に設けられたフロート36cは、気水分離室22内の水によって浮力を受けないことから、回動部材36aは、その自重により自吸時位置にあり、可動スイッチ36はオフ状態である。これに対し、自吸が完了すると、気水分離室22内の水の水位が上昇し、吐出流路FP3が水で満たされる。これにより、可動スイッチ36に設けられたフロート36cが浮力を受け、回動部材36aが上方に回動して自吸完了位置に配され、可動スイッチ36はオン状態になる。
以上の通り、本実施形態では、呼び水栓32Cに設けられた可動スイッチ36によって自吸完了を容易に検出することができる。また、本実施形態では、可動スイッチ36が呼び水栓32Cに設けられていることから、可動スイッチ36の交換を容易に行うことができる。尚、本実施形態のポンプユニット5は、還流流路RPを開閉する機構(補助室25、弁体26、バネ部材27、支持部材28、連結部材29、及び浮体30)が省略された構成であった。しかしながら、本実施形態のポンプユニット5に、還流流路RPを開閉する機構を設けて、自吸運転時及び揚液運転時の何れの運転時においても運転効率を高めるようにしつつ、呼び水栓32Cに設けられた可動スイッチ36によって自吸完了を容易に検出するようにしても良い。また、第4実施形態の変形例と同様に、可動スイッチ36にて吐出流路FP3の水位を検出するようにポンプケーシング11bに可動スイッチ36を設けてもよい。
尚、第4,第5実施形態と第1実施形態とでは、ポンプ11内の水の水位を検出する方法が異なるため、図3に示す連結部材29よりも長さが短い連結部材29Aが用いられるとよい。但し、これに限らず、本実施形態と第1実施形態のポンプ11内の水位を検出する方法(連結部材29の他端29bと検出スイッチ33とによって検出する方法)と、電極35及び可動スイッチ36の少なくとも一方によって検出する方法とを併用してもよい。そうすれば、故障等によって何れか一方の検出方法を用いることができなくなったとしても、何れか他方の検出方法を用いることができれば、ポンプ11内の水位を検出することができる。
ここで、上述した可動スイッチ36は、磁石36eと磁気センサ36fとの距離が基準距離L1よりも長い場合にはオフ状態(第1状態)になり、磁石36eと磁気センサ36fとの距離が上記の基準距離L1以下の場合にはオン状態(第2状態)になるものであった。この可動スイッチ36は、回動部材36aの回動量が予め規定された量以下の場合にはオフ状態(第1状態)になり、回動部材36aの回動量が予め規定された量よりも大になるとオフ状態からオン状態(第2状態)に切り替わるスイッチということもできる。尚、回動部材36aの回動量は、上記の磁石36eと磁気センサ36fとの組み合わせに制限されることはなく、他の検出方法によって検出しても良い。例えば回動軸36bにロータリーエンコーダを取り付けて、回動部材36aの回動量を検出しても良い。
〔第6実施形態〕
図18は、本発明の第6実施形態によるポンプユニットの要部構成を示す図である。尚、図18では、主要な構成のみを図示しており、主要な構成以外の構成については図示を省略している。また、本実施形態では、第1実施形態で説明した構成に相当する構成については、第1実施形態で用いた符号と同一の符号を用い、一部説明を省略する。
上述した第1実施形態のポンプ11は、周縁部に多数の溝Gが切られた円板状に形成された羽根車11aによってポンプ室21に存在する水を、ほぼ1回転させながら昇圧させるカスケードポンプ(摩擦ポンプ)であった。これに対し、本実施形態のポンプユニット6が備えるポンプ11B(自吸ポンプ)は、羽根車11aを回転させることにより、ポンプケーシング11b内の水に遠心力を与えて移送する遠心ポンプである。
図18に示す通り、本実施形態のポンプ11Bは、吸込口16に連通された吸込室81が、隔壁82によってポンプ室21と隔離して設けられている。ポンプ室21には、電動機12の回転軸12aに取り付けられた羽根車11aが収納されている。このポンプ室21には、羽根車11aを取り巻くディフューザ83が設けられており、ポンプ室21の上部には気水分離室22が設けられている。
吸込室81の上部の吸込口16に連通する部位には、逆止弁(フラップ弁)84が設けられている。この逆止弁84は、ポンプ11Bの運転に先立ち、ポンプ11Bの内部を満水して自吸を行わせるに必要な水を確保すると共に、ポンプ11Bの停止時の水の逆流を防止し、常にポンプ11Bの内部を満水にする役割を有する。
ポンプケーシング11bの上部には、気水分離室22と連通する吐出し口17が設けられている。また、気水分離室22と吐出し口17との間には、横方向(紙面左右方向)に延びる排気管85が設けられている。この排気管85は、自吸運転時に気水分離室22で分離された空気を外部に排出するための配管である。排気管85には、排気管85を開閉する排気弁86が設けられている。排気弁86は、制御装置13の制御の下で、自吸運転中は開弁状態にされ、自吸完了後(揚液運転中)は閉弁状態にされる。排気弁86としては、例えば電動弁又は電磁弁を用いることができる。
また、排気管85には、排気弁86よりも吐出し口17側に、第4実施形態で説明した一対の電極35が取り付けられている。ポンプ11B内の水の水位が排気管85の高さ位置よりも高くなり、排気管85内に流入する水に一対の電極35が共に水に浸されたら、一対の電極35の間が非導通状態(第1状態)から導通状態(第2状態)に切り替わる。また、ポンプ11B内の水の水位が排気管85の高さ位置よりも低くなり、排気管85内の水が排出されて一対の電極35の少なくとも一方が水に浸されなくなったら、一対の電極35の間は導通状態から非導通状態に切り替わる。
ここで、上述の通り、排気弁86は、揚液運転中は閉弁状態にされる。このため、揚液運転中は排気管85内の水は滞留することになるから、排気管85内に設けられた一対の電極35は、ポンプ11Bが吐出す水の流れの影響を受けない。このような一対の電極35を用いてポンプ11B内の水の水位を直接的に検出することができる。尚、一対の電極35は制御装置13に接続されており、一対の電極35の検出結果は、制御装置13に出力される。
以上の構成において、自吸運転が開始されると、制御装置13の制御によって、排気弁86が開弁状態にされ、ポンプ11Bが自吸運転用の回転速度で運転される。自吸運転用の回転速度は、例えば第1実施形態と同様に、予め規定された羽根車11aの最高回転速度にすることができる。自吸運転中は、気水分離室22内の水の水位がほぼ呼び水時水位(図示省略)に維持され、気水分離室22の上方の吐出流路(吐出し口17及び排気管85を含む流路)は空気で満たされている。
これに対し、自吸が完了すると、気水分離室22内の水の水位が上昇し、気水分離室22の上方の吐出流路(吐出し口17及び排気管85を含む流路)が水で満たされる。これにより、排気管85に設けられた一対の電極35が共に水に浸され、電極35間が導通状態になる。この一対の電極35の検出結果が制御装置13に出力されると、制御装置13の制御によって、排気弁86が閉弁状態にされる。
排気管85は、上述した通り、自吸運転時に気水分離室22で分離された空気を外部に排出するための配管であり、排気管85を通過してポンプ11B外に排出された水は、衛生上の問題から再利用されずに排水される場合が多い。そこで、自吸完了を検知して直ちに排気弁86を閉弁状態とすることで、ポンプ11Bの効率を向上させると共に、排水を減らすことができる。
以上の通り、本実施形態では、排気管85に設けられた一対の電極35によって自吸完了を容易に検出することができる。また、本実施形態では、一対の電極35の検出結果に基づいて、制御装置13が排気弁86を制御することで、排気管85を自動的に閉鎖することもできる。尚、排気管85に栓を設け、この栓に一対の電極35を取り付けることで、第4実施形態と同様に、電極35の交換を容易に行うことができる。
〈変形例〉
図19は、本発明の第6実施形態の変形例に係るポンプの内部構造を示す縦断面図である。本変形例は、図18に示すポンプユニット6のポンプ11Bに設けられた一対の電極35を、図17に示す可動スイッチ36に代えた構成である。つまり、本変形例において、ポンプ11Bの排気管85には、排気弁86よりも吐出し口17側に可動スイッチ36が取り付けられている。
ポンプ11B内の水の水位が排気管85の高さ位置よりも高くなり、排気管85内に水が流入すると、可動スイッチ36に設けられたフロート36cが浮力を受け、回動部材36aが上方に回動して自吸完了位置に配され、可動スイッチ36はオフ状態からオン状態に切り替わる。また、ポンプ11B内の水の水位が排気管85の高さ位置よりも低くなり、排気管85内の水が排出されると、回動部材36aが下方に回動して自吸時位置に配され、可動スイッチ36はオン状態からオフ状態に切り替わる。
ここで、排気弁86は、揚液運転中は閉弁状態にされる。このため、揚液運転中は排気管85内の水は滞留することになるから、排気管85内に設けられた可動スイッチ36は、ポンプ11Bの吐出し水の流れの影響を受けない。尚、可動スイッチ36は制御装置13に接続されており、可動スイッチ36の検出結果は、制御装置13に出力される。尚、本変形例の動作は、上述の第6実施形態とほぼ同様であるため、説明を省略する。
以上の通り、本変形例では、排気管85に設けられた可動スイッチ36によって自吸完了を容易に検出することができる。また、本実施形態では、可動スイッチ36の検出結果に基づいて、制御装置13が排気弁86を制御することで、排気管85を自動的に閉鎖することもできる。尚、排気管85に栓を設け、この栓に可動スイッチ36を取り付けることで、第5実施形態と同様に、可動スイッチ36の交換を容易に行うことができる。
また、上述した排気管85は、気水分離室22と吐出し口17との間に横方向(紙面左右方向)に延びる配管に限らず、自吸運転中に気水分離室22で分離される空気がポンプ11Bの2次側の機器に流入するまでに外部に排出できればよく、形状や配置は本実施形態に依らない。例えば、吐出し口17とポンプ11Bの2次側の機器の間に設けられてもよいし、気水分離室22の上部に設けられてもよい。また、例えば、横方向(紙面左右方向)に延びるポンプ11Bの吐出し管に排気管85を設ける場合は、排気管85は立て方向(紙面上下方向)に延びる配管でもよい。
以上、本発明の実施形態による自吸ポンプ及びポンプユニットについて説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態で説明したポンプユニット1〜6は、1つの自吸ポンプを備えるものであったが、自吸ポンプの数は2つ以上であっても良い。また、上述した第3実施形態を、第2,第4〜6実施形態に適用することも可能である。
また、上述した実施形態及び変形例の何れにおいても、制御装置13は、ポンプ11,11A,11Bの可変速手段として不図示のインバータ装置を備えていても良い。そして、制御装置13は、気液分離室22内の液体の水位が予め規定された呼び水時水位WL1よりも高い所定の水位になった場合に、第1状態から第2状態に切り替わるスイッチの状態に応じて、自吸運転用の回転速度と揚液運転用の回転速度との何れかの回転速度にて運転を行うかを制御してもよい。
また、ポンプ11,11A,11Bの可変速手段としては、不図示のインバータ装置に限らず、電動機12とポンプ11,11A,11Bとの間に設けられた不図示の歯車等の変速機構であっても良い。このような可変速手段が設けられている場合には、制御装置13は、自吸運転時には自吸運転用の回転速度となる変速機構で羽根車11aを回転させ、揚液運転中には揚液運転用の回転速度となる変速機構で羽根車11aを回転させてもよい。
更には、制御装置13は、自吸運転が完了したら一旦ポンプ11,11A,11Bを停止させてから揚液運転を開始するようしてもよい。ポンプ11,11A,11Bの運転中に過大な圧力変動が発生することでポンプ11,11A,11Bの2次側の機器に影響を与える場合には、自吸運転から揚液運転に切り替えるときに、制御装置13が、一旦ポンプ11,11A,11Bを停止させることで、ポンプ11,11A,11Bの2次側の機器を保護することができる。
また、上述した第3実施形態では、自吸運転中である旨の情報を表示器60又は外部表示器70に表示する例について説明したが、自吸運転中である旨の情報を制御装置13に設けられた表示器(例えば、LED等)に表示するようにしても良い。制御装置13に設けられた表示器の表示内容は、例えば表示器60が取り付けられていない窓部15aを介して、或いはユニットカバー15を取り外すことによって視認することができる。