JP2019131505A - 抗がん剤 - Google Patents

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典子 後藤
Noriko Goto
典子 後藤
村山 貴彦
Takahiko Murayama
貴彦 村山
有伸 東條
Arinobu Tojo
有伸 東條
井上 聡
Satoshi Inoue
聡 井上
公仁子 井上
Kuniko Inoue
公仁子 井上
和博 池田
Kazuhiro Ikeda
和博 池田
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Abstract

【課題】初発がんの治療だけでなく、がんの転移・再発を防ぎ、根治するために、がん幹細胞を標的とし、がん幹細胞を死滅させることのできる新たな抗がん剤を提供する。【解決手段】がん幹細胞のスフェロイド形成を阻害することを特徴とする抗がん剤、及びこのような抗がん剤を含有する医薬組成物を提供する。本発明により、増殖能の低いがん幹細胞のスフェロイド形成を阻害する新たな抗がん剤の提供が可能となった。また、従来治療が困難であったトリプルネガティブタイプの乳がんに対しても有効な抗がん剤が提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、新規抗がん剤に関し、より詳細には、がん幹細胞のスフェロイド形成を阻害することを特徴とする抗がん剤に関する。
がんの治療方法として、従来より外科的手術、放射線治療、及び化学療法が知られており、近年では化学療法の中で分子標的治療という考え方が広がってきている。
例えば、成人女性に多くみられる乳がんは、現在では細胞表面のホルモン受容体(エストロゲン受容体(ER)及びプロゲステロン受容体(PgR))及びHER2(ヒト上皮細胞増殖因子受容体2、Human epidermal growth factor receptor 2)の有無等に基づいて、ルミナルタイプA、ルミナルタイプB、HER2陽性、トリプルネガティブタイプ等に分類され、乳がんのタイプによって治療の選択も異なるようになってきている。
ホルモン受容体が陽性であるルミナルタイプの乳がんに対する治療では、ホルモンの作用を抑制するホルモン療法が選択されており、ホルモン受容体が陰性であるHER2陽性の乳がんに対しては、抗HER2抗体であるトラスツズマブ等の投与により、良好な治療効果があることが報告されている。しかしながら、ホルモン受容体及びHER2のいずれもが陰性であるトリプルネガティブタイプではこれらの治療方法は有効ではない。
早期発見・早期治療によってがん患者の治癒率及び生存率が高まっている一方で、乳がん等の予後不良の女性難治がんは増加傾向にあり、中でもトリプルネガティブタイプでは、再発後の生存率が極めて低いことが報告されている(非特許文献1)。
一方、近年、乳がん等の固形がんにおいても、がん幹細胞様の細胞からがん組織が構築されていると考えられるようになっている。がん幹細胞は自己複製能と多分化能を併せ持つことで腫瘍の発生や再発に強く寄与すると考えられ、抗がん剤治療等によって腫瘍が十分に縮小した場合や臨床的に検出できなくなった場合でさえ、僅かながん幹細胞が残存していれば、数年を経たのちに再発する可能性が高いと考えられる。また、がん幹細胞は薬剤耐性が他のがん細胞に比べて高いことも報告されており、再発がんは治療抵抗性を有し、予後不良となることが多く見られる。
正常の組織幹細胞を解析する際、培養皿中で幹細胞の性質を保ったまま培養できる手法として、スフェロイド培養が広く用いられている(非特許文献2)。通常、神経組織や乳腺組織などの上皮組織の細胞を一定以下の密度にすると、ほとんどの分化した細胞は死滅するが、幹細胞とその娘細胞である一部の前駆細胞は生きながらえる。これを増殖因子の入った培地で培養すると、一個の幹細胞から分裂した三次元的な細胞のコロニーである「スフェロイド」を形成してくる。
本発明者等のグループは、ヒト乳がんの臨床検体由来のがん細胞を用いて、スフェロイド培養可能な系を確立している。そして、がん幹細胞様の性質をもつ細胞のみが、スフェロイドを形成することを確認している(非特許文献3)。
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol.98, No.19, 10869-10874 (2001) Journal of neuroscience research Vol.69, 698-707 (2002) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol.109, No.17, 6584-6589 (2012)
上記の通り、早期に発見された乳がんでは生存率は非常に高くなっているが、乳がんはリンパ節等に転移しやすく、また再発の可能性もある。
また、乳がんのサブタイプによって、その増殖能力に違いがあり、分子標的治療に対する感受性も異なっている上、またがん幹細胞自体は増殖能が低いため、増殖能の高い細胞を標的とする療法では効果が十分でない場合があり、その結果再発につながる可能性が高くなる。
従って、初発がんの治療だけでなく、がんの転移・再発を防ぎ、根治するためには、がん幹細胞を標的とし、がん幹細胞を死滅させる治療を行わなければならない。しかし、このような治療のために有効な治療薬は、現時点ではまだ得られていない。
がん幹細胞の性質は、がん幹細胞を取り巻く「がん微小環境」との相互作用によって維持されると考えられ、従って、がん幹細胞と微小環境との相互作用を仲介する分子を明らかにすることは、がん幹細胞を標的として、がんの根治を目指す新規治療戦略を開発するうえで非常に重要である。
本発明者等は、がん微小環境の大部分を形成するがん関連繊維芽細胞(Cancer-associated fibroblast、CAF)に注目し、乳がん幹細胞に与える影響を調べたところ、CAFから分泌される液性因子によって、浮遊培養下における乳がん幹細胞によるスフェロイドの形成が促進されることを見出した。そこで、繊維芽細胞ががん細胞によって活性化され、CAFとしての機能を持つことで誘導される因子を調べるため、繊維芽細胞を単独で培養した群と患者由来の乳がん細胞と共培養した群とをRNA-seqを用いたトランスクリプトーム解析によって比較した。Gene Set Enrichment Analysisを行うことで得られた結果より、乳がん細胞との共培養群においてサイトカインやケモカイン、特にGM-CSF(Granulocyte-Macrophage Colony Stimulating Factor)及びG-CSF(Granulocyte Colony Stimulating Factor)の発現が強く亢進していることが示された。そして、これらのサイトカインそれぞれの単独での存在によって、がん幹細胞によるスフェロイド形成率が上昇することを確認した。
本願発明は、上記の知見に基づいて得られたものであり、以下を提供するものである。
1.がん幹細胞のスフェロイド形成を阻害することを特徴とする抗がん剤であって、がん幹細胞と共存する間質細胞におけるGM-CSF又はG-CSFの発現又は機能を阻害することを特徴とする、上記抗がん剤。
2.GM-CSF又はG-CSFの発現を阻害するsiRNAもしくはshRNA、又はGM-CSF又はG-CSFに対する抗体である、上記1記載の抗がん剤。
3.がん幹細胞におけるGM-CSF又はG-CSFの受容体に対する抗体である、上記1記載の抗がん剤。
4.乳がんの治療又は再発予防のために使用する、上記1〜3のいずれか記載の抗がん剤。
5.乳がんがトリプルネガティブタイプの乳がんである、上記4記載の抗がん剤。
6.上記1〜5のいずれか記載の抗がん剤を含有する、乳がんの治療又は再発予防のための医薬組成物。
7.静脈内投与される、上記6記載の医薬組成物。
本発明により、がん幹細胞のスフェロイド形成を阻害する新たな抗がん剤の提供が可能となった。本発明の抗がん剤は、従来ホルモン治療や抗HER2抗体による治療では効果が得られたなったトリプルネガティブタイプの乳がんに対しても有効である。
がん細胞と共培養していない間質細胞、又はがん細胞と共培養している間質細胞の上清を用いて、がん幹細胞を培養した場合のスフェロイド形成率(%)をそれぞれ示す。 GM-CSF(50nM又は200nM)の存在下又は非存在下におけるトリプルネガティブタイプの乳がん患者由来のがん細胞からのスフェロイド形成率(%)を示す。 G-CSF(50nM又は500nM)の存在下又は非存在下におけるトリプルネガティブタイプの乳がん患者由来のがん細胞からのスフェロイド形成率(%)を示す。 G-CSF非存在下(−)及び存在下(+)(50nM)におけるトリプルネガティブタイプの乳がん患者由来のがん細胞からのスフェロイド形成を電子顕微鏡写真で示す。 G-CSF(50nM又は200nM)の存在下又は非存在下におけるルミナルBタイプの乳がん患者由来のがん細胞からのスフェロイド形成率(%)を示す。
本発明は、がん幹細胞のスフェロイド形成を阻害することを特徴とする抗がん剤であって、がん幹細胞と共存する間質細胞におけるGM-CSF又はG-CSFの発現又は機能を阻害することを特徴とする、上記抗がん剤を提供する。がん幹細胞としては、乳がん幹細胞、肝がん幹細胞、大腸がん幹細胞、肺がん幹細胞等が挙げられ、特に限定するものではない。本発明において好適ながん幹細胞の一態様は、乳がん幹細胞である。
本発明の抗がん剤は、例えばGM-CSF又はG-CSFの発現を阻害するsiRNAもしくはshRNA、又はGM-CSF又はG-CSFに対する抗体である。
ヒトGM-CSFは、NCBIのデータベースにGenBank: AAA52578.1として収載されているアミノ酸144個からなるタンパク質であり、mRNA配列はGenBank: M11220.1として収載されている(789bp)。また、ヒトG-CSFは、NCBIのデータベースにUniProtKB/Swiss-Prot: Q28746.1等として収載されている174個又は177個のアミノ酸からなるタンパク質であり、mRNA配列はGenBank: KP271008.1として収載されている(525bp)。当業者であれば、容易に入手できるこれらの配列情報に基づいて、これらのタンパク質の発現を阻害するsiRNA及びshRNA、及びこれらのタンパク質に対する抗体を、容易に合成することができる。あるいはまた、特定の標的タンパク質の発現を抑制又は阻害するsiRNA及びshRNA、及び抗体は、例えばDharmacon、Invitrogen等の供給業者から市販品を入手することもできる。
siRNA及びshRNAは、RNA干渉と呼ばれるメカニズムにより、特定のmRNAを標的として、その翻訳を阻止することが知られている。標的配列の塩基数は特に限定されず、15〜500塩基の範囲で選択され得る。siRNAは、短鎖二本鎖RNA分子であり、shRNAは、生体内でダイサーによってプロセシングされてsiRNAを生成することができるヘアピン型RNAである。siRNA及びshRNAは、例えばリポフェクタミン等のトランスフェクション試薬と共に、in vitro又はin vivoで細胞内に導入することができる。あるいはまた、siRNA及びshRNAは、細胞内でこれらを生成することができるようにDNAの形態でベクターに組み込んで細胞内に導入することができる。当業者であれば、siRNA及びshRNAの設計及び選択は、標的配列の情報等に基づいて容易に得ることができる。
GM-CSF又はG-CSFに対する抗体は、当分野において通常使用されている方法によって、GM-CSF又はG-CSFを抗原として作製することができる。抗体は、ヒト化抗体又はヒト抗体とすることができるが、ヒト抗体であることがより好ましい。
GM-CSF又はG-CSFの機能の阻害のためには、特にがん幹細胞に存在し得るGM-CSF又はG-CSFに対する受容体との結合領域を標的とすることが好ましい。
本発明の抗がん剤はまた、がん幹細胞に存在し得るGM-CSF又はG-CSFの受容体に対する抗体であっても良い。
GM-CSF受容体は、複数のアイソフォームの存在が報告されており、例えばNCBIのデータベースでGenBank: AAA35908.1として収載されている410個のアミノ酸からなるタンパク質、又はGenBank: AAA35909.1として収載されている333個のアミノ酸からなるタンパク質が知られている。GM-CSF受容体のmRNAは、GenBank: M73832.1(1283bp)及びGenBank: M64445.1(1480bp)として収載されている。
G-CSF受容体も、複数のアイソフォームの存在が報告されており、例えばNCBIのデータベースでUniProtKB/Swiss-Prot: Q99062.1として収載されている836個のアミノ酸からなるタンパク質が前駆体とされている。G-CSF受容体のmRNAは、例えばGenBank: AH003797.2(2160bp)として収載されている。
GM-CSF又はG-CSFの受容体に対する抗体は、当分野において通常使用されている方法によって、GM-CSF受容体又はG-CSF受容体を抗原として作製することができる。抗体は、ヒト化抗体又はヒト抗体とすることができるが、ヒト抗体であることがより好ましい。GM-CSF又はG-CSFの受容体は、いずれも細胞表面に存在する膜結合性タンパク質であるため、これらに結合する抗体は、受容体の細胞外ドメインと結合するものが好ましい。また、抗体は、GM-CSF又はG-CSFとこれらの受容体との結合を阻害し得るものを選択すべきであることは、当業者には理解される。
本発明の抗がん剤は、がん幹細胞のスフェロイド形成を阻害することを特徴とすることから、がんの治療又は再発予防のために使用することができる。特に、本発明の抗がん剤は、乳がんの治療又は再発予防のために使用することができる。本発明の抗がん剤は、ルミナルタイプA、ルミナルタイプB、HER2陽性、トリプルネガティブタイプのいずれの乳がんに対しても治療又は再発予防効果が期待される。特に、トリプルネガティブタイプの乳がんに対しても有効であることは、本発明の抗がん剤の優れた特徴の一つである。
本発明の抗がん剤は、増殖能の高い細胞を標的とする抗がん剤と異なるメカニズムで作用するため、従来の抗がん剤では効果が十分でないがんに対して効果を発揮する。従って、本発明の抗がん剤は、単独で使用することもできるが、異なるメカニズムの抗がん剤及び抗がん治療と組み合わせて使用することができる。
従って、本発明の抗がん剤は、単独又は他の有効成分と組み合わせて、医薬組成物の形態とすることができる。本発明の抗がん剤又は医薬組成物は、局所投与又は全身投与することができ、投与形態を限定するものではないが、例えば乳がん治療の場合には、患部若しくは患部の近辺に注射又は注入により投与することが好ましい。特に、本発明の抗がん剤又は医薬組成物は、静脈内投与とすることが好適であり得る。
医薬組成物には、本発明の抗がん剤及び他の有効成分の他に、投与形態に応じて、当分野で通常使用される担体、賦形剤、緩衝剤、安定化剤等を含めることができる。本発明の抗がん剤の投与量は、患者の体重、年齢、疾患の重篤度等に応じて変動するものであり、特に限定するものではないが、例えば0.0001〜1mg/kg体重の範囲で1日1回〜数回、2日毎、3日毎、1週間毎、2週間毎、毎月、2カ月毎、3カ月毎に投与することが可能である。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1:間質細胞からのスフェロイド形成抑制因子の放出]
トリプルネガティブタイプの乳がん患者から摘出された腫瘍組織を3mm3にカットし、Accumax(Innova Technologies Inc.)を用いて10分間分散させた。機械的に分散させるシステム(Medimachine, Becton Dickinson)を用いて、シングルセルにまで細胞を分散させた。シングルセル分散液は、100mmのセルストレーナー(BD Falcon)に通し、Ca2+,Mg2+-不含リン酸緩衝生理食塩水(PBS)にて洗った。血球マーカーを発現しない(Lineage negative)乳がん細胞及び間質細胞をそれぞれ分離するため、ビオチンコンジュゲート抗体混合物にて処理した。この抗体混合物には、MACS(登録商標)細胞分離キット(MACS lineage kit)として、以下の抗体が含まれる:CD2、CD3、CD11b、CD14、CD15、CD56、CD16、CD19、CD123、CD235a(Miltenyi Biotec)、CD31(eBioscience)、CD140b(Biolegend)。
分離した乳がん細胞は、無血清細胞増殖培地(Epicut-B Basal Medium)(STEMCELL Technologies)にて培養した。一方、間質細胞は、20%ウシ血清を添加したダルベッコ改変イーグル培地/栄養混合物F-12 (DMEM/F-12)培地(Gibco)にて培養した。
次いで、タンパク質を含む可溶性成分は透過させ、細胞は透過させない膜によって分離された2つの区画を有するTranswell(Corning)のウェルに間質細胞を1.0×105個/ウェルでまき、インサートに乳がん細胞を1.25×105個/ウェルで存在させて、又は存在させないで、20%ウシ血清を添加したDMEM/F-12中で37℃で72時間培養した。
次いで、同じ腫瘍組織由来の5,000個/ウェルの乳がん細胞に、それぞれのサンプルで得られた上清500μl/ウェルを添加し、37℃で2週間培養して、スフェロイド形成を観察し、70μm以上のものをスフェロイドとして形成率をそれぞれ算出した。50個のスフェロイドが観察された場合に1%のスフェロイド形成率とした。
その結果、図1に示すように、がん細胞が存在しなかった場合(共培養なし)の間質細胞培養上清を添加した場合と比較して、がん細胞が存在した場合(共培養あり)の間質細胞培養上清を添加した場合に、スフェロイド形成率が有意に高いことが確認された。
[実施例2:間質細胞におけるmRNA発現の変化]
実施例1においてがん細胞と共培養した間質細胞、及びがん細胞と共培養しなかった間質細胞のそれぞれについて、mRNAの発現変化を検討した。
具体的には、細胞から回収したRNAからSureSelect Strand Specific RNAライブラリ調製キット(Agilent)でライブラリを調製し、HiSeq2500(登録商標、Illumina)を用いて100bp Paired Endの条件でRNAシーケンスを実施してmRNAの発現を解析した。そして、インターネットを介して利用できるGene Set Enrichment Analysis (GSEA)(Broad Institute, http://software.broadinstitute.org/gsea/index.jsp)を利用して、どのような遺伝子又は遺伝子群の発現が上昇しているかを検討した。
その結果、がん細胞と共培養した間質細胞において、NFκB関連遺伝子群の発現が上昇していることが確認され、中でもGM-CSF及びG-CSFの発現がいずれも有意に上昇していることが見出された。
[実施例3:トリプルネガティブタイプ乳がん由来がん幹細胞におけるスフェロイド形成に対するGM-CSFの効果]
実施例1で取得したトリプルネガティブタイプ乳がん由来のがん幹細胞を5,000個/mlの濃度にして、24-ウェルウルトラローアタッチメントプレートにまいた。細胞は、GM-CSF(R&D、50nM又は200nM)の存在下、又は非存在下で、無血清DMEM/F-12培地中で37℃で2週間培養し、直径が70μm以上のスフェロイドを計数した。
その結果、図2に示すように、GM-CSFを添加しない場合と比較して、GM-CSFの添加によってスフェロイド形成率が有意に上昇し、その上昇はGM-CSFの濃度に依存することが確認された。
[実施例4:トリプルネガティブタイプ乳がん由来がん幹細胞におけるスフェロイド形成に対するG-CSFの効果]
実施例3と同様の実験を、G-CSF(中外製薬、50nM又は500nM)の存在下、又は非存在下で実施した。
その結果、図3及び図4に示すように、G-CSFを添加しない場合と比較して、G-CSFの添加によってスフェロイド形成率が有意に上昇し、その上昇はG-CSFの濃度に依存することが確認された。
[実施例5:ルミナルタイプ乳がん由来がん幹細胞におけるスフェロイド形成に対するG-CSFの効果]
実施例4と同様の実験を、別の乳がん患者から得られたルミナルタイプBの乳がん細胞を用いて実施した。
その結果、図5に示すように、G-CSFを添加しない場合と比較して、G-CSF(50nM又は200nM)の添加により、スフェロイド形成率が有意に上昇し、その上昇はG-CSFの濃度に依存することが確認された。
従来の抗がん治療は増殖能の高い細胞を標的とするものであり、また、例えば乳がんでは特定のサブタイプの乳がんのみに有効な抗がん剤が使用されてきた。本発明により、がん幹細胞を標的とする新たな抗がん剤が提供され、従来の治療と組み合わせることでより効果的な治療が可能となるだけでなく、トリプルネガティブタイプの乳がんを含む様々ながんの転移や再発を効果的に予防することが可能となる。

Claims (7)

  1. がん幹細胞のスフェロイド形成を阻害することを特徴とする抗がん剤であって、がん幹細胞と共存する間質細胞におけるGM-CSF又はG-CSFの発現又は機能を阻害することを特徴とする、上記抗がん剤。
  2. GM-CSF又はG-CSFの発現を阻害するsiRNAもしくはshRNA、又はGM-CSF又はG-CSFに対する抗体である、請求項1記載の抗がん剤。
  3. がん幹細胞におけるGM-CSF又はG-CSFの受容体に対する抗体である、請求項1記載の抗がん剤。
  4. 乳がんの治療又は再発予防のために使用する、請求項1〜3のいずれか1項記載の抗がん剤。
  5. 乳がんがトリプルネガティブタイプの乳がんである、請求項4記載の抗がん剤。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載の抗がん剤を含有する、乳がんの治療又は再発予防のための医薬組成物。
  7. 静脈内投与される、請求項6記載の医薬組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2021192670A1 (ja) * 2020-03-27 2021-09-30 ロート製薬株式会社 間葉系幹細胞及び間葉系幹細胞用培地

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