JP2019130698A - 平版並びに該平版を用いた印刷装置及び印刷方法 - Google Patents

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靖之 日下
Yasuyuki Kusaka
靖之 日下
淳 平田
Jun Hirata
淳 平田
小田 正明
Masaaki Oda
正明 小田
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Abstract

【課題】導電性インクに対する付着力のコントラストが従来よりも大きく、導電性インク膜の厚みが0.1μmよりも厚い場合であっても、コントラスト境界部でのキレが良く、導電性インク膜を吸着出来、精度良く印刷することができる平版、並びに該平版を用いた印刷装置及び印刷方法を提供する。【解決手段】本発明に係る平版は、インク受理表面を備えた平版印刷用の平版であって、インク受理表面の一部には、他のインク受理表面部分よりも親水性の高い、ヒドロキシ基を有する親水化部が設けられ、親水化部の表面には、シランカップリング剤からなるインク結合部が設けられ、シランカップリング剤は親水化部に化学結合されており、インク結合部の表面では、シランカップリング剤はインクと化学結合することができ、インク結合部は、インク結合部が設けられていない他のインク受理表面部分よりも、インクとの付着力が強い。【選択図】図1

Description

本発明は平版並びに該平版を用いた印刷装置及び印刷方法に係り、より詳しくは、導電性インク(インキ)に対する付着力のコントラストが従来よりも大きく、導電性インク膜の厚みが0.1μmよりも厚い場合であっても、コントラスト境界部でのキレが良く、導電性インク膜を吸着出来、精度良く印刷することができる平版、並びに該平版を用いた印刷装置及び印刷方法に関する。
従来から、一般的な凸版反転印刷法において、金属、ガラス、シリコン等に凹凸パターンを形成したグラビア版が使用されている。
導電性インクが塗布されたポリジメチルシロキサン(PDMS)膜上に、グラビア版の凸部を密着させ、密着させた部分の導電性インクをグラビア版上に吸着し、PDMS膜上から導電性インクを除去する。
そして、PDMS膜上に残った導電性インク(すなわち、グラビア版の凹パターンに対応する箇所の導電性インク)を、基材(被印刷物)上に転写する方法により、パターン形成が行われている。
付着力コントラスト印刷法では、凸版反転印刷法で使用される凹凸パターンを形成した版の代わりにPDMS膜を使用して、このPDMS膜上に真空紫外線(VUV)光をパターン照射して、PDMS膜上に導電性インクに対する付着力の強弱の差を形成し、この強弱の差を利用して印刷を行う。
具体的には、従来の一般的なグラビア反転印刷法と同様に、PDMS膜上に導電性インクを塗布し、予めVUV光をパターン照射した平版を、この導電性インク膜に密着させる。VUV光が照射された部分は導電性インクに対する付着力が大きいため、VUV光が照射された部分に密着した導電性インクが平版に吸着され、PDMS膜上に残った導電性インクが被印刷物上に転写される。
この付着力コントラスト平版は、従来の凹凸パターンを形成した版に比べ、VUV光又はレーザー光等を平版の所望の箇所に照射するだけで所望のパターンを形成することができる。
それゆえに、付着力コントラスト印刷法は、外部業者にパターンの形成を依頼することなく所望のパターンを平版上に形成でき、オンデマンド性が高く、また、処理費用を大幅に削減できる利点がある。
しかしながら、パターン形成されるPDMS膜上の付着力の差(コントラスト度合)が限られており、厚く塗布された導電性インクに対し、十分に適応出来ない難点があった。
具体的には、導電性インクの塗布膜が厚いと、平版にVUV光が照射されて付着力が大きくなった部分とそうでない部分(すなわち、VUV光が照射されていない部分)との境界部(コントラスト境界部)において、両部分間における付着力の差が大きくない。それゆえに、導電性インク膜を部分的に吸着する時に、導電性インク膜の内部破壊を引き起こすために必要な付着力を持たないため、導電性インク膜の厚みが0.1μmよりも厚い場合、コントラスト境界部でのキレが悪いか、又は導電性インク膜を吸着出来ず、精度良く印刷することができないという問題が生じていた。
例えば、特許文献1には、付着力コントラスト印刷法におけるパターン膜の形成方法が開示されており、より詳しくは、(ア)第一のブランケットのインク膜用表面にインク膜を形成する工程、(イ)塗布界面付着力より受理界面付着力が高い高付着性部位と塗布界面付着力より付着力が低い低付着性部位とからなる付着力コントラスト表面を有する第二のブランケットの処理工程、(ウ)インク膜が形成された第一のブランケットに対して、第二のブランケットの表面を相対的に押し当て引き離すことで、第一のブランケットの表面で第二のブランケットの高付着部位に接しているインク膜のみを第二のブランケットに転写させ、残りのインク膜を第一ブランケットのインク膜用表面に残存させる工程、(エ)転写インク膜を有する第二のブランケットまたは残存インク膜を有する第一のブランケットに対して、被印刷物を相対的に押し当て引き離すことでインク膜を被印刷物の表面に転写する工程、を含むパターン膜形成方法であって、第ニのブランケットの高付着性部位と低付着性部位とからなるインク膜受理表面は、単一材料からなる表面に対し部分的に化学的または物理的処理を施すことにより形成され、高付着性部位と低付着性部位の段差が100nm以下のものであるパターン膜の形成方法が開示されている。
特許文献1に記載のパターン膜形成方法及び形成されたパターン膜は、叙上の構成を備えることで、反転転写印刷と同等の矩形断面形状で、パターンサイズによらずほぼ一定膜厚のインク膜のパターンが形成できること、凸版や凹版における少なくとも1μm程度以上の段差を有するような凹凸構造体を用いず、単一材料からなるインク膜用表面に100nmを超える段差を有しないブランケットを用いてパターニングができること、使用するブランケットは容易に形成できるものであること、を同時に達成することが可能な、パターン膜形成技術を提供することをその課題としている。
しかしながら、特許文献1に記載のパターン膜の形成方法及び形成されたパターン膜は、従来の付着力コントラスト反転グラビアオフセット印刷法と同様に、導電性インク膜の厚みが0.1μmよりも厚い場合、コントラスト境界部でのキレが悪いか、又は導電性インク膜を吸着出来ず、精度良く印刷することができないという叙上の問題を依然として有している。
特開2016−175192号公報
本発明は、上記したような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、導電性インクに対する付着力のコントラストが従来よりも大きく、導電性インク膜の厚みが0.1μmよりも厚い場合であっても、コントラスト境界部でのキレが良く、導電性インク膜を吸着出来、精度良く印刷することができる平版、並びに該平版を用いた印刷装置及び印刷方法を提供するものである。
請求項1に係る発明は、インクが受理されるインク受理表面を備えた、平版印刷用の平版であって、
前記平版のインク受理表面の一部には、他のインク受理表面部分よりも親水性の高い、ヒドロキシ基を有する親水化部が設けられ、
前記親水化部の表面には、シランカップリング剤からなるインク結合部が設けられ、
前記シランカップリング剤は、前記親水化部に化学結合されており、
前記インク結合部の表面では、前記シランカップリング剤は前記インクと化学結合することができ、
前記インク結合部は、当該インク結合部が設けられていない他のインク受理表面部分よりも、前記インクとの付着力が強い
ことを特徴とする、平版に関する。
請求項2に係る発明は、前記シランカップリング剤は、反応性官能基に、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基及びメルカプト基からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の平版に関する。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の平版と、
前記平版が巻きつけられた版胴と、
転写ロールと、
前記転写ロールの表面にインクを塗布するためのスリットダイと、
前記平版に親水化部を形成するためのレーザー照射部と
を備えることを特徴とする、印刷装置に関する。
請求項4に係る発明は、前記平版の親水化部にシランカップリング剤を塗布するためのシランカップリング剤付与部をさらに備えることを特徴とする、請求項3に記載の印刷装置に関する。
請求項5に係る発明は、(1)インクが受理されるインク受理表面を備えた平版に、光源から波長200nm以下の光を照射し、該インク受理表面の少なくとも一部に、他のインク受理表面部分よりも親水性の高い、ヒドロキシ基を有する親水化部を形成する工程と、
(2)シランカップリング剤を前記親水化部に塗布し、前記シランカップリング剤を乾燥させて、前記シランカップリング剤と前記親水化部とを化学結合させ、前記親水化部の表面にインク結合部を形成する工程と、
(3)転写ロールの表面にインクを塗布する工程と、
(4)前記インクが塗布された前記転写ロールの表面を、前記平版に押し当て引き離すことで、前記インクを、前記転写ロールの表面から前記平版のインク結合部にのみ転写する工程と、
(5)前記転写ロールの表面を、被印刷物に押し当て引き離すことで、前記転写ロールの表面から被印刷物に前記インクを転写する工程と
を含むことを特徴とする、印刷方法に関する。
請求項6に係る発明は、前記インクとの付着力が、前記平版のインク結合部、前記転写ロールの表面、前記平版のインク結合部以外のインク受理表面の順で強いことを特徴とする、請求項5に記載の印刷方法に関する。
請求項1に係る発明によれば、インクが受理されるインク受理表面を備えた平版印刷用の平版が、前記平版のインク受理表面の一部には、他のインク受理表面部分よりも親水性の高い、ヒドロキシ基を有する親水化部が設けられ、前記親水化部の表面には、シランカップリング剤からなるインク結合部が設けられ、前記シランカップリング剤は、前記親水化部に化学結合されており、前記インク結合部の表面では、前記シランカップリング剤は前記インクと化学結合することができ、前記インク結合部は、当該インク結合部が設けられていない他のインク受理表面部分よりも、前記インクとの付着力が強いため、導電性インクに対する付着力のコントラストが従来よりも大きく、導電性インク膜の厚みが0.1μmよりも厚い場合であっても、コントラスト境界部でのキレが良く、導電性インク膜を吸着出来、精度良く印刷することができる平版を提供できる。
請求項2に係る発明によれば、シランカップリング剤は、反応性官能基に、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基及びメルカプト基からなる群から選択される1種以上であるため、導電性インクに対する付着力のコントラストをより大きくすることができ、より容易に請求項1に係る発明の効果を奏することができる。
請求項3に係る発明によれば、印刷装置が、請求項1又は2に記載の平版と、前記平版が巻きつけられた版胴と、転写ロールと、前記転写ロールの表面にインクを塗布するためのスリットダイと、前記平版に親水化部を形成するためのレーザー照射部とを備えるため、導電性インクに対する付着力のコントラストが従来よりも大きく、導電性インク膜の厚みが0.1μmよりも厚い場合であっても、コントラスト境界部でのキレが良く、導電性インク膜を吸着出来、精度良く印刷することができる印刷装置を提供することができる。
請求項4に係る発明によれば、印刷装置が、前記平版の親水化部にシランカップリング剤を塗布するためのシランカップリング剤付与部をさらに備えるため、印刷装置内で、導電性インクに対する付着力のコントラストが従来よりも大きく、導電性インク膜の厚みが0.1μmよりも厚い場合であっても、コントラスト境界部でのキレが良く、導電性インク膜を吸着出来、精度良く印刷することができる平版を用意することができる。
請求項5に係る発明によれば、印刷方法が、(1)インクが受理されるインク受理表面を備えた平版に、光源から波長200nm以下の光を照射し、該インク受理表面の少なくとも一部に、他のインク受理表面部分よりも親水性の高い、ヒドロキシ基を有する親水化部を形成する工程と、(2)シランカップリング剤を前記親水化部に塗布し、前記シランカップリング剤を乾燥させて、前記シランカップリング剤と前記親水化部とを化学結合させ、前記親水化部の表面にインク結合部を形成する工程と、(3)転写ロールの表面にインクを塗布する工程と、(4)前記インクが塗布された前記転写ロールの表面を、前記平版に押し当て引き離すことで、前記インクを、前記転写ロールの表面から前記平版のインク結合部にのみ転写する工程と、(5)前記転写ロールの表面を、被印刷物に押し当て引き離すことで、前記転写ロールの表面から被印刷物に前記インクを転写する工程とを含むため、導電性インクに対する付着力のコントラストが従来よりも大きく、導電性インク膜の厚みが0.1μmよりも厚い場合であっても、コントラスト境界部でのキレが良く、導電性インク膜を吸着出来、精度良く印刷することができる印刷方法を提供することができる。
請求項6に係る発明によれば、前記インクとの付着力が、前記平版のインク結合部、前記転写ロールの表面、前記平版のインク結合部以外のインク受理表面の順で強いため、より容易にコントラスト境界部でのキレが良く、導電性インク膜を吸着出来、精度良く印刷することができる。
本発明に係る平版の概略断面図である。 本発明に係る平版の形成方法及び形成した平版にインクが付着した状態を示す概略断面図である。 シランカップリング剤と親水化部、及びシランカップリング剤とインクの反応の一例を模式的に示した説明図である。 本発明に係る印刷装置を用いた印刷方法の一例を示す説明図である。 シランカップリング剤によるインク結合部形成プロセスの一例を示す説明図である。 実施例1の平版へのインクの転写結果を示す図である。 比較例1の平版へのインクの転写結果を示す図である。 比較例2の平版へのインクの転写結果を示す図である。
以下、本発明に係る平版の好適な実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る平版の概略断面図である。図2は、本発明に係る平版の形成方法及び形成した平版にインクが付着した状態を示す概略断面図である。図3は、シランカップリング剤と親水化部、及びシランカップリング剤とインクの反応の一例を模式的に示した説明図である。図4は、本発明に係る印刷装置を用いた印刷方法の一例を示す説明図である。
図1に示す如く、本発明に係る平版(1)は、導電性インク等のインク(10)が受理される、インク受理表面(2)を備えている。
インク受理表面(2)は、その一部に、他のインク受理表面部分よりも親水性の高い、ヒドロキシ基を有する親水化部(3)が設けられている。
インク受理表面(2)の材料は、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)等のシリコーンゴム、ポリウレタン、ポリイソブチレン、ポリサルファイド、ニトリルゴム、スチレン-ブタジエン系共重合体又はフッ素樹脂等、真空紫外線(VUV)等のレーザー光(6)を照射することにより、他のインク受理表面部分よりも親水性の高い、ヒドロキシ基を有する親水化部(3)を形成することができる材料であり、且つインクに対する付着力のコントラストをインク受理表面(2)上に形成することができるものであれば、いかなるものでも用いることができる。
平版(1)は、その全体がインク受理表面(2)の材料で形成されていても良いが、インク受理表面(2)以外を別の材料により形成しても良い。
平版(1)のインク受理表面(2)以外の材料は、特に限定されず、例えば、各種合成樹脂、金属、合金、セラミックス、または、それらの積層物あるいは混合物等、平版に通常用いられ、当業者に自明のものであれば、いかなるものでも用いることができる。
尚、平版(1)の大きさや厚みは特に限定されず、平版印刷に用いることができる大きさや厚みであれば、いかなるものであっても良い。
平版(1)又は平版(1)のインク受理表面(2)の材料はPDMSが望ましい。PDMSの硬さは0.5MPaから50MPa程度が望ましい。PDMSの硬化手法としては常温硬化性、熱硬化性、UV硬化性のいずれを用いても良い。
平版(1)のインク受理表面(2)は、均一な厚みのインク膜が形成されるように、シート状平版(1)の場合には平坦に、ロール状平版(1)の場合には円筒状周面に形成され、表面粗さRaが50nm以下(好ましくは10nm以下)の平滑面に形成されることが望ましい。
PDMSは伸縮性に富み、パターン歪みが発生しやすいため、PDMSの平版(1)のインク受理表面(2)の裏面にプラスチックフィルム、ガラス又は金属基材等を張合わせて固定しても良い。また、印圧の調整用に適宜クッション材を用いても良い。
図2の(a)及び図2の(b)に示す如く、平版(1)の親水化部(3)は、平版(1)のインク受理表面(2)の所望の位置に、真空紫外線(VUV)等のレーザー光(6)を照射することにより形成される。
親水化部(3)の形成方法は特に限定されず、例えば、酸素プラズマ処理、水素プラズマ処理、コロナ放電処理、オゾン処理、エキシマランプを用いた真空紫外線照射等の紫外線処理等平版(1)のインク受理表面(2)に、親水化部(3)を形成することができる表面処理方法であれば、いかなるものでも用いることができる。
平版(1)のインク受理表面(2)の所望の位置に親水化部(3)を形成する方法は、例えば、メタルマスク等の開口部を有するマスクを介する方法、またはレーザーや集光光束を直接走査することによる直接描画法等を用いることができる。これらの光には波長200nm以下の光が含まれていれば良く、たとえば重水素ランプ、低圧水銀ランプ、波長172nmのキセノンエキシマ光、193nmのアルゴンフッ素レーザーなどが好適に用いられる。
叙上のレーザー光(6)等による表面処理を受けた平版(1)のインク受理表面(2)の部分は無機化し、その表面にヒドロキシ基(OH基)が形成される。
これにより、インク受理表面(2)の親水性が増加し、表面処理を受けていない他のインク受理表面部分よりも、インクとの高い親和性(すなわち、付着力)を備えた親水化部(3)が形成される。
図2の(c)に示す如く、親水化部(3)の表面には、インク結合部(4)が設けられている。
インク結合部(4)はシランカップリング剤(S)から形成されている(図3参照)。
インク結合部(4)は、所望のパターンに親水化部(3)が形成された平版(1)のインク受理表面(2)に、シランカップリング剤(S)を塗布し、塗布したシランカップリング剤(S)を乾燥させることにより形成される。
本発明において、インク結合部(4)の形成に用いられるシランカップリング剤(S)は、一方の側で親水化部(3)のOH基と水素結合や共有結合等の化学結合を形成することができ、他方の側で所望のインク(10)と化学結合を形成することができる(図2の(d)及び図3参照)。
叙上の特徴を備えたシランカップリング剤(S)を用いることにより、シランカップリング剤(S)を平版(1)の親水化部(3)上に特異的に固定することができる。加えて、所望のインクと化学結合を形成することができるため、シランカップリング剤(S)から形成されるインク結合部(4)は、親水化部(3)よりも数倍から数十倍強い、インクに対する付着力を備える。
それゆえに、本発明に係る平版(1)は、本発明のインク結合部(4)を備えていない従来の平版よりも、平版(1)のインク受理表面(2)において、より優れた付着力のコントラスト差を提供することができる。
シランカップリング剤(S)は、有機材料と親和性を持つ官能基を配置させたものから選択することが可能であり、インク粒子(P)表面に、その分散のために吸着している分散剤(D)(有機分子材料)と親和性をもたせることが可能となる。
例えば、分散剤(D)が有機酸基を有する場合には、親和性の観点から、官能基(反応基)にアミン基を有するシランカップリング剤(S)が適している。分散剤(D)がアミノ基を有する場合には、親和性の観点から、官能基にエポキシ基を有するシランカップリング剤(S)が適している。インク粒子(P)が金属成分を有する場合には、官能基にカルボキシル基またはメルカプト基を有するシランカップリング剤(S)が適している。
インク粒子(P)表面に分散剤(D)が吸着しているナノ粒子分散体以外のインクを用いる場合も同様に、インク中に含まれている有機酸基、アミノ基、チオール基によって、シランカップリング剤(S)の官能基を適宜選択する。
この結果、VUV光を照射しただけで生じる付着力コントラストに比べ、数倍〜数十倍のコントラスト差を平版(1)上に形成することができるので、インク膜が現状の10倍以上の厚みであっても、コントラスト境界部でのパターンのキレを明確に向上させることが可能となる。
上記理由から、本発明に係る平版(1)に用いるシランカップリング剤(S)は、例えば、反応性官能基に、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基又はメルカプト基等を有するものの1種以上であることが望ましいが、これに限定されず、一方の側で親水化部(3)のOH基と水素結合や共有結合等の化学結合を形成することができ、他方の側で所望のインクと化学結合を形成することができるものであれば、いかなるものでも用いることができる。
シランカップリング剤(S)と平版(1)の化学結合の形態として、例えば、共有結合が挙げられる。
図3に示す如く、より具体的には、平版(1)の親水化部(3)の表面に存在するOH基と、シランカップリング剤(S)のOH基が脱水縮合することにより、酸素原子を介して平版(1)の親水化部(3)とシランカップリング剤(S)が共有結合する例が挙げられる。
シランカップリング剤(S)とインク(10)の化学結合の形態として、例えば、アミド結合が挙げられる。より具体的に、他方の側に有機酸基を有するシランカップリング剤と、アミノ基を有するインクが反応し、化学結合する例が挙げられる。
叙上の通り、インク結合部(4)は親水化部(3)よりもインクに対して強い付着力を備えているため、インク結合部(4)以外のインク受理表面(2)部分(すなわち、親水化されていない部分)よりもインクに対して強い付着力を備えている。
以下、本発明に係る平版を用いた印刷装置について詳述する。
図4に示す如く、本発明に係る印刷装置は、平版(1)と、平版(1)が巻きつけられた版胴(7)と、転写ロール(8)と、転写ロールの表面材料(9)にインク(10)を塗布するためのスリットダイ(11)と、平版(1)に親水化部(3)を形成するためのレーザー照射部(5)とを備えている。
尚、本発明に係る印刷装置は、平版印刷用の印刷装置が通常備え、当業者に自明であるその他の構成を備えていても良い。
本発明に係る印刷装置は、平版(1)を巻き付け装着するための版胴(7)を備えている。
版胴(7)は、本発明に係る平版(1)を巻き付け装着することができるものであり、平版印刷において通常用いられ、当業者に自明のものであれば、いかなるものでも用いることができる。
本発明に係る印刷装置は、転写ロール(8)を備えている。
転写ロール(8)は、その表面にインク(10)が塗布された後、版胴(7)に巻き付けられた平版(1)に押し当て引き離されることによりパターン形成がなされる(図4の(b)参照)。
パターン形成された転写ロール(8)は、被印刷物(12)に押し当て引き離されることにより、被印刷物(12)にインクを転写する(図4の(c)参照)。
それゆえに、転写ロール表面材料(8)は、インク(10)に対する付着力が、平版(1)のインク結合部(4)よりも小さく、平版(1)の他のインク受理表面部分よりも大きく、被印刷物(12)よりも小さいものを用いる必要がある。
このインクに対する付着力の違いの調整は、例えば夫々の材料を変更する、あるいは表面処理を施し、各部材の親水性を変更する等によって行われる。
インク(10)が塗布される転写ロール(8)の表面の材料は、インク(10)に対する付着力が、平版(1)のインク結合部(4)よりも小さく、平版(1)の他のインク受理表面部分よりも大きく、被印刷物(12)よりも小さいものであればよく、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)等のシリコーンゴム、ポリウレタン、ポリイソブチレン、ポリサルファイド、ニトリルゴム、スチレン-ブタジエン系共重合体、フッ素樹脂等を用いることができるがこれに限定されない。
尚、本発明に係る印刷方法に用いるインクは特に限定されず、平版印刷に用いることができる導電性インクであれば良く、例えば、Ag、Au、Cuなどの金属ナノ粒子が分散された分散系、またはカーボンナノチューブ、フラーレンなどの単体もしくは混合分散系、あるいはゾルゲル、錯体溶液等を用いることができる。溶媒は、水、および、アルコール、テトラデカン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、トルエン、メシチレン、テトラリンなどの有機溶剤、これらの混合液などを用いることができる。また、インクは金属、導電材料の他、高分子や低分子有機半導体、無機半導体、有機樹脂、無機絶縁体、の分散体や溶媒に溶解させた溶液なども用いることができる。インクは、さらに凝集抑制剤、乾燥抑制剤、界面活性剤などを含んでいてもよい。
尚、転写ロール(8)は、その全体が同じ材料で形成されていても良いが、表面と表面以外を別の材料により形成しても良い。
転写ロール(8)の表面と表面以外を別の材料により形成する場合、表面以外の材料は特に限定されず、例えば、各種合成樹脂、金属、合金、セラミックス、または、それらの積層物あるいは混合物等を用いることができる。
尚、転写ロール(8)の大きさや厚みは特に限定されず、平版印刷に用いることができる大きさや厚みであれば、いかなるものであっても良い。
本発明に係る印刷装置は、スリットダイ(11)を備えている。
スリットダイ(11)は、本発明に係る転写ロール(8)に所望のインク(10)を塗布することができるものであり、平版印刷において通常用いられ、当業者に自明のものであれば、いかなるものでも用いることができる。
尚、本発明に係る転写ロール(8)に所望のインク(10)を塗布することができるものであれば、スリットダイ(11)の代わりにインクローラー等、平版印刷において通常用いられ、当業者に自明の、その他のインク塗布手段を用いても良い。
本発明に係る印刷装置は、平版(1)に親水化部(3)を形成するためのレーザー照射部(5)を備えている。
レーザー照射部(5)は、エキシマ光源を持ち平版(1)のインク受理表面(2)に所望のパターンを直接描画し、所望の位置に親水化部(3)を形成する。
尚、レーザー照射部(5)の光源はエキシマ光源に限定されず、波長200nm以下の光を含んでいれば良く、例えば、193nmのアルゴンフッ素レーザーを用いても良い。
また、平版(1)のインク受理表面(2)の親水化部(3)の形成方法は、叙上の直接描画だけでなく、例えば、クロムマスク、メタルマスクあるいはエマルションマスク等をインク受理表面(2)に当接させ、インク受理表面(2)の上部から紫外線等のレーザー光(6)を照射し、マスク開口部に位置するインク受理表面(2)のみに親水化部(3)を形成する方法でも良い。また、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、重水素ランプ等の光源を用いても良い。
このように、紫外線等のレーザー光(6)を平版(1)のインク受理表面(2)に照射することにより、インク受理表面(2)が無機化(親水化)し、インク受理表面(2)のインク(10)に対する付着性を増加させることができる。
シランカップリング剤付与部は、叙上のレーザー照射部(5)によって、所望の位置に親水化部(3)が形成された平版(1)のインク受理表面(2)にシランカップリング剤(S)を塗布し、乾燥させる。シランカップリング剤(S)の塗布の方法は特に限定されず、例えば、ロールコート、アプリケータ、スピンコート等を用いる等、シランカップリング剤の塗布に通常用いられ、当業者に自明の塗布方法であれば、いかなるものでも用いることができる。
図5は、シランカップリング剤によるインク結合部形成プロセスの一例を示す説明図である。
以下に、より具体的なインク結合部形成プロセスを例示する。
まず、版胴(7)に固定された平版(1)にレーザー照射部(5)からレーザー光(6)を照射し、所望の位置に親水化部(3)が形成された平版(1)を用意する(図5の(a)参照)。
次に、平版(1)を版胴(7)から取り外し、平版(1)を、シランカップリング剤を1wt%含むアセトン等の有機溶剤の溶液(13)に約60分間浸漬する(図5の(b)及び図5の(c)参照)。
約60分の浸漬後、平版(1)を溶液(13)から取り出し、平版(1)を、シランカップリング剤を含んでいないアセトン等の有機溶剤の溶液(14)に浸漬させ洗浄する(図5の(d)参照)。
平版(1)を溶液(14)に浸漬させ洗浄した後、平版(1)を溶液(14)から取り出し、平版(1)を純水(W)に浸漬させ洗浄する(図5の(e)参照)。
純水(W)に浸漬させ洗浄した平版(1)を100℃の乾燥炉で乾燥定着処理する(図5の(f)参照)。
これにより、OH基を有する親水化部(3)にのみシランカップリング剤(S)が化学結合(共有結合)し、親水化部(3)の表面にのみ、インク結合部(4)を形成することができる。 尚、シランカップリング剤によるインク結合部形成プロセスは、本発明に係る印刷装置内で行っても良く、印刷装置の外で行っても良い。
以下に、本発明に係る平版及び印刷装置を用いた印刷方法の一例について詳述する。
尚、以下に示す印刷方法は一例であって、これに限定されない。
(第一工程)
図4の(a)に示す如く、インク(10)が受理されるインク受理表面(2)を備えた平版(1)に、紫外線等のレーザー光(6)を照射し、インク受理表面(2)の少なくとも一部に、他のインク受理表面部分よりも親水性の高い、ヒドロキシ基(OH基)を有する親水化部(3)を形成する。
これにより、平版(1)のインク受理表面(2)にインク(10)に対する付着力のコントラストを形成することができる。
(第二工程)
次に、シランカップリング剤(S)を親水化部(3)に塗布し、塗布したシランカップリング剤(S)を乾燥させ、シランカップリング剤(S)と親水化部(3)とを化学結合させ、親水化部(3)の表面にインク結合部(4)を形成する。
尚、このインク結合部(4)の形成プロセスは、図5に示すプロセスを用いることが望ましいが、これに限定されず、親水化部(3)の表面にインク結合部(4)を形成することができるプロセスであれば、いかなるプロセスを用いても良い。
これにより、平版(1)のインク受理表面(2)の所望の位置に形成された親水化部(3)上にのみ、シランカップリング剤(S)からなるインク結合部(4)を形成することができる。
印刷に使用するインク(10)に対して強い付着力(すなわち、インクと化学結合できる)を有するシランカップリング剤(S)を用いることにより、親水化部(3)よりも数倍〜数十倍強い付着力を備えたインク結合部(4)を形成することができる。
それゆえに、インク結合部(4)とインク結合部(4)以外のインク受理表面(2)間の付着力コントラストをより高めることができる。
(第三工程)
続いて、転写ロールの表面(9)にインク(10)を塗布する(図4の(a)参照)。
インク(10)の塗布は、スリットダイ(11)を用いて行うが、これに限定されず、スリット式コータ(キャップコータ、ギャップコータ、カーテンコータ等)、スプレー式コータ、インクジェットコータ等、平版印刷に通常用いられ、当業者に自明の塗布手段であれば、いかなるものでも用いることができる。
このように、転写ロールの表面(9)に、所望のインク(10)が均一に塗布され、インク膜が形成される。
(第四工程)
次に、図4の(b)に示す如く、インク(10)が塗布された転写ロールの表面(9)を、版胴(7)に取り付けられた平版(1)のインク受理表面(2)に押し当て引き離すことで、転写ロールの表面(9)から平版(1)のインク結合部(4)にのみインクを転写する。
これにより、所望のパターンで転写ロールの表面(9)にインク(10)を残すことができる。叙上の通り、インク結合部(4)は、親水化部(3)よりもインクに対する付着性がより強く、インク結合部(4)とインク結合部(4)以外のインク受理表面(2)間の付着力コントラストが非常に高い。それゆえに、インク膜の厚みが0.1μmよりも厚い場合であっても、コントラスト境界部でのキレが良く、インク(10)を容易且つ確実にインク結合部(4)に吸着することができる。
尚、平版(1)のインク受理表面(2)と転写ロールの表面(9)は、インク(10)を挟んで当接すればよく、当接時間や圧力等は特に限定されない。
(第五工程)
最後に、図4の(c)に示す如く、所望のパターンでインク(10)が残った転写ロールの表面(9)を、被印刷物(12)に押し当て引き離し、転写ロールの表面(9)から被印刷物(12)にインク(10)を転写することで、印刷が完了する。
尚、転写ロール(8)及び平版(1)はロール状に限定されず、シート状であっても良い。それゆえに、本発明に係る印刷方法は、枚様式、ロール・ツー・シート方式、シート・ツー・ロール方式、あるいはロール・ツー・ロール方式等、平版印刷に通常用いられ、当業者に自明の方式であれば、いかなるものであっても良い。
叙上の印刷方法では、転写ロールの表面(9)から平版(1)にインク(10)を吸着することで、所望の印刷パターンを転写ロールの表面(9)に形成し、転写ロールの表面(9)を被印刷物(12)に当接することで印刷を行っているが、印刷方法はこれに限定されない。
その他の印刷方法として、より具体的には、転写ロールの表面(9)から平版(1)にインク(10)を吸着し、所望の印刷パターンを平版(1)のインク受理表面(2)上に形成し、インク受理表面(2)を被印刷物(12)に当接することで印刷する方法が挙げられる。
以下、本発明に係る平版を用い、従来の平版との比較試験を実施した。
<実施例1>
平版としての市販のPDMSシート(幅100mm×長さ100mm×厚さ2mm)にクロムマスクを重ね、クロムマスク側から波長170nmのVUV光を、90秒間照射し、親水化部を形成した。
照射後、PDMSシートを、シランカップリング剤(東レ・ダウコーニング株式会社製 3-Mercaptopropyltrimethoxysilane)とアセトンが1:100となるように混合した溶液中に、約60分間浸漬した。浸漬後、PDMSシートを溶液中から取り出し、アセトンで洗浄し、さらに、純水で洗浄した後、100℃に維持した乾燥炉内にて加熱及び乾燥させ、インク結合部を形成した。
乾燥させたPDMSシートを、シランカップリング剤により処理した側の面(すなわち、インク受理表面)を上にして、グラビア反転印刷装置の版胴上に張り付けた。転写ロールには株式会社ダイセル製の銀ナノ粒子インク(DNS−0306P)を乾燥焼成後0.3μmとなる塗布厚でスリットコーターにより塗布し、20秒間の乾燥後に、転写ロールを持ち上げて、版胴の平版に接触させ、接触回転させながら、転写ロールに塗布された銀インクを平版上に転写した。
銀インクを平版上に転写した結果を図6に示す。
図6の(b)は図6の(a)のA部拡大図、図6の(c)は図6の(a)のB部拡大図である。
図6の(a)〜(c)に示めされるように、インク結合部と、インク結合部以外のインク受理表面の境界が乱れることなく、インクが平版に転写されていることがわかった。
<比較例1>
平版としての市販のPDMSシート(幅100mm×長さ100mm×厚さ2mm)にクロムマスクを重ね、クロムマスク側から波長170nmのVUV光を、90秒間照射し、親水化部を形成した。
シランカップリング剤による処理を行わずに、PDMSシートの親水化部が形成された面を上にして、グラビア反転印刷装置の版胴上に張り付けた。転写ロールには株式会社ダイセル製の銀ナノ粒子インク(DNS−0306P)を乾燥焼成後0.1μmとなる塗布厚でスリットコーターにより塗布し、20秒間の乾燥後に、転写ロールを持ち上げて、版胴の平版に接触させ、接触回転させながら、転写ロールに塗布された銀インクを平版上に転写した。
その結果、図7に示すように、親水化部と、親水化部以外のインク受理表面の境界が乱れることなく、インクが平版に転写されていることがわかった。
<比較例2>
平版としての市販のPDMSシート(幅100mm×長さ100mm×厚さ2mm)にクロムマスクを重ね、クロムマスク側から波長170nmのVUV光を90秒間照射し、親水化部を形成した。
シランカップリング剤による処理を行わずに、PDMSシートの親水化部が形成された面を上にして、グラビア反転印刷装置の版胴上に張り付けた。転写ロールには株式会社ダイセル製の銀ナノ粒子インク(DNS−0306P)を乾燥焼成後0.3μmとなる塗布厚でスリットコーターにより塗布し、20秒間の乾燥後に、転写ロールを持ち上げて、版胴の平版に接触させ、接触回転させながら、転写ロールに塗布された銀インクを平版上に転写しようとしたが、図8に示すように、平版に銀インクは全く転写されなかった。
実施例1及び比較例1〜2の結果から、本発明に係る、シランカップリング剤処理を施した平版は、インクの塗布厚が0.3μmにおいても、何の問題も無くインクを転写できることがわかった。
一方、シランカップリング剤処理をしていない、親水化部のみを有する平版は、インク乾燥焼成後0.1μmとなる塗布厚では問題無くインクを転写することができたが、インク乾燥焼成後0.3μmとなる塗布厚になると、親水化部のインクに対する付着力が足りず、従って、付着力のコントラストが不足しているために、インク受理表面の親水化部とそうでない部分の境界で厚い膜を破断してインクを転写することができなかった。
従って、本発明に係る平版及び印刷装置を用いる印刷方法は、従来の平版印刷方法では達成できない、乾燥焼成後0.1μmよりも厚いインク膜にも対応でき、コントラスト境界部でのキレが良く、導電性インク膜を吸着出来、精度良く印刷することができるという優れた効果を奏することがわかった。
本発明に係る平版は、インクが受理されるインク受理表面の一部には、他のインク受理表面部分よりも親水性の高い、ヒドロキシ基を有する親水化部が設けられ、前記親水化部の表面には、シランカップリング剤からなるインク結合部が設けられ、前記シランカップリング剤は、前記親水化部に化学結合されており、前記インク結合部の表面では、前記シランカップリング剤は前記インクと化学結合することができ、前記インク結合部は、当該インク結合部が設けられていない他のインク受理表面部分よりも、前記インクとの付着力が強いため、導電性インクに対する付着力のコントラストが従来よりも大きく、導電性インク膜の厚みが0.1μmよりも厚い場合であっても、コントラスト境界部でのキレが良く、導電性インク膜を吸着出来、精度良く印刷することができる平版を提供できる。
それゆえに、本発明に係る平版並びに該平版を用いた印刷装置及び印刷方法は、例えば、インクやインク膜厚等の条件を問わずに様々な被印刷物への印刷に用いることができる。
1 平版
2 インク受理表面
3 親水化部
4 インク結合部
5 レーザー照射部
6 レーザー光
7 版胴
8 転写ロール
9 転写ロールの表面
10 インク
11 スリットダイ
12 被印刷物
13 シランカップリング剤を含む有機溶剤の溶液
14 シランカップリング剤を含まない有機溶剤の溶液
D 分散剤
P インク粒子
S シランカップリング剤
W 純水

Claims (6)

  1. インクが受理されるインク受理表面を備えた、平版印刷用の平版であって、
    前記平版のインク受理表面の一部には、他のインク受理表面部分よりも親水性の高い、ヒドロキシ基を有する親水化部が設けられ、
    前記親水化部の表面には、シランカップリング剤からなるインク結合部が設けられ、
    前記シランカップリング剤は、前記親水化部に化学結合されており、
    前記インク結合部の表面では、前記シランカップリング剤は前記インクと化学結合することができ、
    前記インク結合部は、当該インク結合部が設けられていない他のインク受理表面部分よりも、前記インクとの付着力が強い
    ことを特徴とする、平版。
  2. 前記シランカップリング剤は、反応性官能基に、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基及びメルカプト基からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の平版。
  3. 請求項1又は2に記載の平版と
    前記平版が巻きつけられた版胴と、
    転写ロールと、
    前記転写ロールの表面にインクを塗布するためのスリットダイと、
    前記平版に親水化部を形成するためのレーザー照射部と
    を備えることを特徴とする、印刷装置。
  4. 前記平版の親水化部にシランカップリング剤を塗布するためのシランカップリング剤付与部をさらに備えることを特徴とする、請求項3に記載の印刷装置。
  5. (1)インクが受理されるインク受理表面を備えた平版に、光源から波長200nm以下の光を照射し、該インク受理表面の少なくとも一部に、他のインク受理表面部分よりも親水性の高い、ヒドロキシ基を有する親水化部を形成する工程と、
    (2)シランカップリング剤を前記親水化部に塗布し、前記シランカップリング剤を乾燥させて、前記シランカップリング剤と前記親水化部とを化学結合させ、前記親水化部の表面にインク結合部を形成する工程と、
    (3)転写ロールの表面にインクを塗布する工程と、
    (4)前記インクが塗布された前記転写ロールの表面を、前記平版に押し当て引き離すことで、前記インクを、前記転写ロールの表面から前記平版のインク結合部にのみ転写する工程と、
    (5)前記転写ロールの表面を、被印刷物に押し当て引き離すことで、前記転写ロールの表面から被印刷物に前記インクを転写する工程と
    を含むことを特徴とする、印刷方法。
  6. 前記インクとの付着力が、前記平版のインク結合部、前記転写ロールの表面、前記平版のインク結合部以外のインク受理表面の順で強いことを特徴とする、請求項5に記載の印刷方法。
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