JP2016175192A - 平刷版を用いたパターン膜形成方法、形成装置 - Google Patents

平刷版を用いたパターン膜形成方法、形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】反転転写印刷と同等の矩形断面形状で、パターンサイズによらずほぼ一定膜厚のインク膜のパターンが形成できること、凸版や凹版等の凹凸構造体を用いず、単一材料からなるインク膜用表面に100nmを超える段差を有しないブランケットを用いてパターニングができること、使用するブランケットは容易に形成できるものであること、を同時に達成することが可能な、パターン膜形成技術を提供する。
【解決手段】単一材料からなるインク膜用表面を有する第一および第二のブランケットを用いるパターン膜形成方法であって、第一のブランケットの高付着性部位と低付着性部位とからなるインク膜用表面は、単一材料からなる表面に対し部分的に化学的または物理的処理を施すことにより形成され、高付着性部位と低付着性部位の段差が100nm以下のものであることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、印刷によるパターン膜の作製方法に関し、特に、凸版および凹版を用いた印刷法を用いる場合に発生する底当りや版加工費の増大を回避し、版に潜像させる印刷パターンが容易に書き換え可能であり、パターン幅の寸法によらずパターン膜厚がほぼ一定であり、その表面が平滑かつ断面形状が矩形状であるパターン膜の形成方法および形成装置に関する。
機能性材料をインク化して用い、印刷技術によって電子デバイスを製造する試みは、メタル配線形成のみならず受動素子およびアクティブ電子素子の新しい形成法として期待されている。印刷エレクトロニクス技術と呼ばれる本技術分野は、常圧かつ比較的低温のプロセスであるため、低エネルギーでかつ簡便にデバイス製造が可能であるとされており、注目が集まっている。
機能性インクとして代表的なものは、導電性金属からなる微粒子分散インク、有機半導体インク、酸化物半導体ゾルゲルインク、絶縁性高分子インク等が挙げられ、これらのパターン膜を複数層重ね合わせることでデバイスを形成する。ボトムゲート・ボトムコンタクト型薄膜トランジスタを例に挙げれば、(ア)導電性インクのパターニングによるゲート電極形成、(イ)塗布またはパターニングによるゲート絶縁膜形成、(ウ)導電性インクのパターニングによるソースおよびドレイン電極形成、(エ)有機半導体層のパターニングの順に印刷を行うことで形成することができる。
このように、全印刷層に後続層パターン膜を重ね合わせる必要があるため、インク層パターン膜の表面や断面形状が重要になる。また導電性パターン膜を用いる場合、断面形状によって高周波特性が影響されることが知られており、導電性膜の断面は矩形状であることが望ましい。
上記機能性インクからなるパターン膜形成法として、これまで商業印刷で用いられてきた印刷技術の適用が試みられてきた。これまでに知られている代表的印刷手法には、スクリーン印刷、スクリーンオフセット印刷、インクジェット印刷、凸版印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、フレキソオフセット印刷、反転転写印刷(または反転オフセット印刷)、マイクロコンタクト印刷が挙げられる。これらの印刷技術は、流動性が高い状態のインクを被転写体(被印刷体)に転写することにより印刷を完了させる方法と、インク膜の弾性および粘性を高め、半乾燥状態になった後に転写を実施して印刷を完了する方法に大別することができる。前者の流動性のあるインクを転写する方式には、スクリーン印刷、インクジェット印刷、凸版印刷、グラビア印刷が含まれる。一方、後者の半乾燥状態にあるインク膜を転写する方式には、スクリーンオフセット印刷、グラビアオフセット印刷、フレキソオフセット印刷、反転転写印刷法、マイクロコンタクト印刷法が挙げられる。
半乾燥状態にあるインク膜を転写する方式は高精細のパターニングを実施することが可能であるが、上記のいずれの方法においても凸版、凹版またはスクリーン版が必要である。例えば、グラビアオフセット印刷では凹版にインクをドクター等により充填した後、ブランケットとよばれる一般にシリコーンゴムからなる平刷版に該充填インクを転写させ、該平刷版を被印刷体と当接させることにより印刷を完了させる。フレキソ印刷法およびマイクロコンタクト印刷法は主に樹脂製の凸版を用い、凸版凸部表面にインク膜を形成した後に被印刷体と当接させることにより印刷を完了させる。反転転写印刷法はまず凹凸のない平滑なブランケット上にインク膜を一様に塗布した後に凸版(抜き版とも呼ばれる)に不要部分を転写し、ブランケット上に残存したインク膜を被印刷体と当接させることにより印刷を完了させる。
[0006]に記載の上記印刷法のうちグラビアオフセット印刷の凹版および反転転写印刷法の凸版としては、主としてガラスやシリコンウエハをエッチングした凹凸構造体、電鋳法、フォトレジストのマスク露光および現像によって形成される凹凸構造体(レジストモールド)が用いられる。またマイクロコンタクト印刷法では上記凹凸構造体を鋳型としてシリコーンゴムを充填し硬化させることで形成される。また、フレキソ印刷は版材料となる感光性樹脂に対し、マスク露光および現像によって凹凸構造を形成したものがよく用いられる。
他にも、平版印刷と呼ばれる方法として、代表的な2種類の方法が広く使われている。一つは、親水部と撥水部(親油部)を平版表面上に設け、あらかじめ水に浸すことで親水部を水で濡らし、引き続き水と混和しないインクを該平版表面上に塗布することで撥水部(親油部)のみにインクを有する液膜構造を形成し、これを転写することで印刷を実施する方法である。もう一つは、感光層とシリコーンゴム層が順に積層された平版に対して、部分露光と現像により一部の感光層をシリコーンゴム層とともに、またはシリコーンゴム層のみを除去することによって、水を用いずに、シリコーンゴムが表面になる非画像部と、少なくともシリコーンゴムが除去された画像部とを有する平版を用いてパターンを形成することができる水なし平版印刷がある。
上記の平版印刷法に加えて、親水部と撥水部を有する表面を作り、その全面にインクを塗布し、これをブランケットまたは被印刷体に当接させることによって、撥水部上のインク膜のみを転写することによってパターンを形成する方法が提案されている。例えば特許文献1、2、3が挙げられる。
特開2004−249696号公報 特開2011−11374号公報 特開2009−274365号公報 特開2011−37915号公報 特願2014−68525号
凸版および凹版を用いた印刷に係る問題点と平版印刷に係る問題点をそれぞれ順に述べる。
[0007]に記載の凹凸構造体はいずれもメートル級の大面積にわたり均一に加工することが難しい。さらに、上記のうち、フレキソ凸版とレジストモールドを除く凹凸構造体は、それらを形成するための加工に係る費用が高額となる現状がある。さらに、上記のうち、グラビアオフセット印刷および反転転写印刷法は、それぞれ版を高頻度で洗浄する必要がある。
さらに、反転転写印刷法では凸版における凸部間距離が大きい場合、ブランケットと当接させた際にブランケットが凸版の凹部と接触してしまう、いわゆる底当りという現象が発生し、本来必要な部分のパターンが失われてしまう。同様にマイクロコンタクト印刷およびフレキソ印刷でも、凸部間距離が大きい場合に底当りが発生するが、この場合は本来不要な部分にパターンが形成されてしまう。
さらに、一度凸または凹形状に成形したものの形状を変更することは容易ではなく、また所望の各パターンに対してそれぞれ版を準備する必要があり、したがって上記の高額な加工費用および長大なリードタイムが都度必要になっている。
一方、平版印刷とよばれる方法は、刷版表面に凸または凹形状を有しないように一見思われるが、例えば水なし平版印刷法では、平版上に形成された画像部と非画像部の間には少なくともシリコーンゴム層の厚み以上の段差(少なくとも1μm程度以上の段差)があり、したがって厳密に平坦ということはできない(この意味で、平版の表面は略平坦と呼称されることがある)。また、塗布、露光、現像の工程を経て平刷版を形成するため、その工数は長大で、簡易な工程で形成できるものではない。さらにその製造工程からわかるように、該平版が有するパターンを容易に書き換えることはできない。
同様に、特許文献1にある方法は一般的な平版印刷とは異なる工程を経て印刷を実施するものであるものの、親水部と撥水部を形成する具体的な方法に関する記載がなく、さらに当該文献の実施例では、水なし平版印刷用刷版を用いていることから、相応の凹凸を有する平刷版であることが推定され、また、その刷版の製造には相応のコストや簡易とは言えない工程が必要であることが認められる。
親水部と撥水部からなる刷版を製造する方法として、特許文献2で提案されているものは、撥水性材料に囲まれた凹部に対して、塗布法またはマスクを介した蒸着法によって親水性材料を充填するという方法である。しかしながら、塗布方法を用いた場合はラプラス圧によって液面がメニスカス形状をなすため、該凹部と、そこに充填した親水性材料との表面を厳密に平滑にすることは極めて難しい。蒸着法によって金属等の親水性材料を充填する方法であっても、堆積層膜厚を精密に大面積にわたってコントロールすることは難しく、やはり該凹部と充填した凸部の表面を厳密に平滑にすることは極めて難しい、かつ、その形成工程が高価になると考えられる。このように平版印刷と呼ばれる方法であっても、親水部と撥水部の違いを利用した画像形成を意味するにすぎず、厳密に平坦性を担保した刷版形成方法でないことが多い。前記と同様に、該平版が有するパターンを容易に書き換えることはできない。
一方、特許文献3にある方法では、特許文献2と逆に、メタルマスク等からなる開口部を有する親水性材料に撥水性材料を充填する注型法が提案されている。この方法では容易に平坦性が付与された、親水部と撥水部からなる刷版を形成することができる。しかしながら、[0005]および[0006]で述べた半乾燥膜を形成する上で、金属と樹脂からそれぞれなる親水部と撥水部を有する平版を用いる場合、該インク膜の乾燥の程度を全面に渡り均一にすることが難しい。これは反転転写印刷法で用いられるインクの多くが、版の溶媒吸収性を利用してその乾燥の程度を制御しているためである(例えば特許文献4)。
水なし平版および特許文献2、3に示される刷版は、いずれにおいても親水部と撥水部は異なる材料からなっており、この観点からもパターンを容易に書き換えることはできない。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、反転転写印刷と同等の矩形断面形状で、パターンサイズによらずほぼ一定膜厚のインク膜のパターンが形成できること、凸版や凹版、平版における少なくとも1μm程度以上の段差を有するような凹凸構造体を用いず、単一材料からなるインク膜用表面に100nmを超える段差を有しないブランケットを用いてパターニングができること、使用するブランケットは容易に形成できるものであること、を同時に達成することが可能な、パターン膜形成技術を提供することを目的とする。
また、前記事項に加え、ブランケットのパターンデザインを容易に変更できることも同時に達成することが可能な、パターン膜形成技術を提供することを追加的な目的とする。
凸版印刷は、均一で平滑なインク膜形成が困難であるとの理由から、印刷エレクトロニクス技術において注目されてこなかったが、本発明者は、シリコーンゴムの粘着性に着目し、均一で平滑なインク膜形成について、試験・研究を行ってきた。そのような試験・研究過程において、平滑な表面を有するブランケットと凸版とを用い、パターンサイズによらずほぼ一定の膜厚で、反転転写印刷と同等の矩形断面のパターン膜を形成できるパターン膜形成技術を開発したが(特許文献5参照)、さらに、本発明者は、一対のブランケットを用い、一方のブランケットの単一材料からなるインク膜用表面の粘着性を簡便に制御することによって前述のような凹凸構造体や前記凸版を用いずにパターン膜形成ができることを知見した。本発明は、このような本発明者独自の着目や知見に基づくものであり、本出願では、次のような発明が提供される。
<1>(ア)第二のブランケットのインク膜用表面の受理界面付着力より塗布界面付着力が高い高付着性部位と塗布界面付着力が低い低付着性部位とからなるインク膜用表面を有する第一のブランケットの前記インク膜用表面にインク膜を形成する工程、
(イ)インク膜が形成された第一のブランケットに対して、第二のブランケットのインク膜用表面を相対的に押し当て引き離すことで、第一のブランケットの低付着性部位上に位置するインク膜のみを第二のブランケットのインク膜用表面に転写させ、残りのインク膜を第一ブランケットのインク膜用表面に残存させる工程、
(ウ)転写インク膜を有する第二のブランケットまたは残存インク膜を有する第一のブランケットに対して、被印刷体を相対的に押し当て引き離すことでインク膜を被印刷体表面に転写する工程、
を含むパターン膜形成方法であって、第一のブランケットの高付着性部位と低付着性部位とからなるインク膜用表面は、単一材料からなる表面に対し部分的に化学的または物理的処理を施すことにより形成され、高付着性部位と低付着性部位の段差が100nm以下のものであることを特徴とするパターン膜形成方法。
<2>(ア)第二のブランケットのインク膜用表面にインク膜を形成する工程、
(イ)インク膜が形成された第二のブランケットに対して、第二のブランケットのインク膜用表面の塗布界面付着力より受理界面付着力が高い高付着性部位と受理界面付着力が低い低付着性部位とからなるインク膜用表面を有する第一のブランケットの前記インク膜用表面を押し当て引き離すことで、第一のブランケットの高付着性部位上にのみインク膜を転写させ、残りのインク膜を第二のブランケットのインク膜用表面に残存させる工程、
(ウ)転写インク膜を有する第一のブランケットまたは残存インク膜を有する第二のブランケットに対して、被印刷体を押し当て引き離すことでインク膜を被印刷体表面に転写する工程、
を含むパターン膜形成方法であって、第一のブランケットの高付着性部位と低付着性部位とからなるインク膜用表面は、単一材料からなる表面に対し部分的に化学的または物理的処理を施すことにより形成され、高付着性部位と低付着性部位の段差が100nm以下のものであることを特徴とするパターン膜形成方法。
<3>第一ブランケットのインク膜用表面に高付着性部位と低付着性部位を形成する前記化学的または物理的処理は、レチクルを介したマスク露光法、開口部を有するマスクを用いたプラズマ処理、または、レーザーもしくは集光光束を直接走査することによる直接描画法を用いるものであることを特徴とする<1>または<2>に記載のパターン膜形成方法。
<4>前記化学的または物理的処理は、第一ブランケットの高付着性部位と低付着性部位とからなるインク膜用表面に未硬化の表面材料を塗布し、これを硬化して形成された新たなインク膜用表面に対し部分的に施されたものであることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項に記載のパターン膜形成方法。
<5>第一のブランケットの前記インク膜用表面の単一材料は、光照射または温度昇降により疎水性および/または粘着性を変化させる機能性分子であり、高付着性部位パターンおよび/または低付着性部位パターンは、消去工程と書き込み工程を用いることで書き換えることが可能であることを特徴とする<1>または<2>に記載のパターン膜形成方法。
<6>第一および第二のブランケットのインク膜用表面材料が溶媒吸収性シリコーンゴムからなることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項に記載のパターン膜形成方法。
<7>インク膜用表面を有する第一と第二のブランケットを具備し、第一のブランケットのインク膜用表面は、第二のブランケットのインク膜用表面の受理界面付着力より塗布界面付着力が高い高付着性部位と塗布界面付着力が低い低付着性部位とからなり、インク膜用表面に形成されたインク膜を有する第一のブランケットに対し第二のブランケットのインク膜用表面を相対的に押し当て引き離すことにより、低付着性部位上のインク膜を第二のブランケットのインク膜用表面に転写し、残りのインク膜を第一のブランケットのインク膜用表面に残存させ、転写インク膜を有する第二のブランケットまたは残存インク膜を有する第一のブランケットに対し被印刷体を相対的に押し当て引き離すことでインク膜を被印刷体表面に転写するよう構成されたパターン膜形成装置であって、第一のブランケットの高付着性部位と低付着性部位とからなるインク膜用表面は、単一材料からなる表面に対し部分的に化学的または物理的処理を施すことにより形成され、高付着性部位と低付着性部位の段差が100nm以下のものであることを特徴とするパターン膜形成装置。
<8>インク膜用表面を有する第一と第二のブランケットを具備し、第一のブランケットのインク膜用表面は、第二のブランケットのインク膜用表面の塗布界面付着力より受理界面付着力が高い高付着性部位と受理界面付着力が低い低付着性部位とからなり、インク膜用表面に形成されたインク膜を有する第二のブランケットに対し第一のブランケットのインク膜用表面を相対的に押し当て引き離すことにより、第一のブランケットの高付着性部位上にのみインク膜を転写し、残りのインク膜を第二のブランケットのインク膜用表面に残存させ、転写インク膜を有する第一のブランケットまたは残存インク膜を有する第二のブランケットに対し被印刷体を相対的に押し当て引き離すことでインク膜を被印刷体表面に転写するよう構成されたパターン膜形成装置であって、第一のブランケットの高付着性部位と低付着性部位とからなるインク膜用表面は、単一材料からなる表面に対し部分的に化学的または物理的処理を施すことにより形成され、高付着性部位と低付着性部位の段差が100nm以下のものであることを特徴とするパターン膜形成装置。
<9>前記化学的または物理的処理は、第一ブランケットの高付着性部位と低付着性部位とからなるインク膜用表面に未硬化の表面材料を塗布し、これを硬化して形成された新たなインク膜用表面に対し部分的に施されたものであることを特徴とする<7>または<8>に記載のパターン膜形成装置。
<10>第一のブランケットの前記インク膜用表面の単一材料は、光照射または温度昇降により疎水性および/または粘着性を変化させる機能性分子であり、高付着性部位パターンおよび/または低付着性部位パターンは、消去工程と書き込み工程を用いることで書き換えることが可能であることを特徴とする<7>または<8>に記載のパターン膜形成装置。
また、本発明は、次のような態様を含むことができる。
<11>第一および第二のブランケットの前記インク膜用表面が高分子の単一材料からなることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項に記載のパターン膜形成方法。
<12>第二のブランケットの前記インク膜用表面が高分子の単一材料からなることを特徴とする<5>に記載のパターン膜形成方法。
<13>前記高分子が、ポリウレタン、ポリイソブチレン、ポリサルファイド、スチレン-ブタジエン系共重合体、ニトリルゴム、フッ素樹脂、シリコーンゴムから選択されるものである<11>または<12>に記載のパターン膜形成方法。
<14>第一および第二のブランケットは、それらの全体が溶媒吸収性シリコーンゴムの単一材料からなることを特徴とする<6>に記載のパターン膜形成方法。
<15>前記光照射または温度昇降により疎水性および/または粘着性を変化させる機能性分子が、光異性化分子または温度応答性分子である<5>に記載のパターン膜形成方法。
<16>第一および第二のブランケットの前記インク膜用表面が高分子の単一材料からなることを特徴とする<7>〜<9>のいずれか1項に記載のパターン膜形成装置。
<17>第二のブランケットの前記インク膜用表面が高分子の単一材料からなることを特徴とする<10>に記載のパターン膜形成装置。
<18>前記高分子が、ポリウレタン、ポリイソブチレン、ポリサルファイド、スチレン-ブタジエン系共重合体、ニトリルゴム、フッ素樹脂、シリコーンゴムから選択されるものである<16>または<17>に記載のパターン膜形成装置。
<19>前記高分子が溶媒吸収性シリコーンゴムである<16>〜<18>のいずれか1項に記載のパターン膜形成装置。
<20>前記光照射または温度昇降により疎水性および/または粘着性を変化させる機能性分子が、光異性化分子または温度応答性ポリマーである<10>に記載のパターン膜形成装置。
本発明のパターン膜形成方法や形成装置によれば、凸版や凹版、1μm程度以上の段差を有する平版を形成する必要がなく、また形成装置に具備される主たる資材はインク膜用表面を有するブランケット2部のみであり、しかも、化学的または物理的処理がなされる側の第一ブランケットの単一材料からなるインク膜表面における該処理によって副次的に発生し得る段差は大きくても100nmを超えない平坦なものであるので、従来の凹凸構造体を用いた印刷法や、材質が異なる親水部および撥水部を有し、かつ、その表面に少なくとも100nm超の段差を有する平版を用いた印刷法に比較して、容易に形成でき、加工に係る費用を大幅に削減できる。また、凸版または凹版を用いる場合に発生していた底当りの問題が回避でき、パターン性を向上させることができる。さらにブランケットの一方のインク膜用表面に部分的に化学的または物理的処理を施すだけで高付着性部位と低付着性部位からなる付着性の異なる潜像を容易に形成することができる。部分的に施す化学的または物理的処理としては、例えばクロムマスクを介した紫外線露光が考えられるが、実施例に記載のとおり数秒で潜像形成が完了でき、リードタイムも大幅に削減できる。
本発明では、反転転写印刷と同様に、ブランケットのインク膜用表面に一様に塗布して膜厚がほぼ一定のインク膜を形成し、その半乾燥後の流動性がなくパターンの縁がだれない状態において転写により部分的にインク膜を取り除くことができ、残部のインク膜や転写したインク膜を被印刷体に転写するので、反転転写印刷と同等の矩形断面形状(後述の断面矩形度sが0.8以上)でパターンサイズによらずほぼ一定膜厚のインク膜パターンを形成することができる。それ故、例えば導電性インクのパターニングに用いた場合には高周波特性を向上させることができる。
さらに、パターン膜形成は凹凸構造体によらず、100nm超の段差のない平坦なインク膜用表面を有するブランケットを用いるため、例えば潜像上に前記表面用の材料を薄く上塗りし形成させるだけで容易に潜像を消去し、新たなパターンを書き込むことができる。また光または熱誘起性分子を表面に有するブランケットを用いる場合は、上記の上塗り工程を経ずに直接潜像の書き換えが可能である。これらの特徴から、従来と比べて極めて短時間で様々なパターンを印刷することが可能になる。また同一のパターンであっても、上記の方法によりその場で容易にブランケットの再生が可能であるため、材料コストを削減できる。特に、レーザー等による直接描画法を用いれば、フォトマスクすら不要になるため、極めて自由度が高くパターンの調整が可能になる。このため、例えばロール胴に巻き付けられたブランケットを、ロール胴から取り外すことなく、パターンの書き換えが可能になる。これによりパターンの歪み補正などもオンサイトで容易に実施することができる。特に複数の印刷パターンを積層させる場合において、既に形成されている下層のパターンが熱変形等によって歪んでしまっていても、下層の該歪みパターンに合わせて、その場で印刷パターンを書き込むことでオーバーレイのマッチングを高精度に行うことができる。
また、本発明によれば、ブランケットの単一材料からなるインク膜用表面に対して付着性の異なる部位を形成することができるため、その表面に塗布されたインク膜の半乾燥状態を均一にすることができ、例えば反転転写印刷に用いられるインクを適用することができる。この点は、[0006]で述べたように高精細パターンを形成する上で極めて重要な特徴であり、このような均一乾燥性制御は、溶媒吸収性の異なる異種材料からなる親撥平版(例えば水なし平版、特許文献2、3にある方法)では達成することが難しい。
さらに、実施例に示す通り、本発明の方法によれば、他の平版における親水部に対応する高付着性であっても、被転写体とインク膜の界面付着力よりも有意に剥離しやすい状態を容易に作り出すことができるため、ポジ・ネガパターンの同時形成が可能である。
さらに、実施例に示す通り、インク膜とシリコーンゴムの塗布界面付着力より受理界面付着力が大きいため、この付着力の差異を利用することで、第一および第二のブランケットに同一の材料を用いてもパターニングが可能である。ブランケット材と版材が異なる材料からなる従来のオフセット印刷と比較して、印刷に必要な材料品数が少なくなるため、生産にかかる部材費用を削減することができる。
本発明の一部分をなす、ブランケットの高付着性部位を付与する処理方法例を示す概念図。(a)は、処理前のブランケット(1)、(b)はフォトマスク(2)を介して紫外線照射することによって付着性の異なる部位(4)をブランケットに形成する方法、(c)は開口部を有するマスク(3)を介してプラズマ処理によって付着性の異なる部位(4)をブランケットに形成する方法を示す。 本発明の実施例によるパターン膜形成方法の各工程を示す概念図。(a)は、上記のいずれかの方法により付着性の異なる部位を形成したブランケット(11)で(12)は高付着性部位、(b)は(11)表面にインク膜(13)を形成する工程、(c)は、ブランケット(11)とブランケット(14)の当接させることにより、ブランケット(11)表面のインク膜(13)をブランケット(14)に転写する工程、(e)は、ブランケット(14)表面のインク膜(13)を被印刷体(15)表面に転写する工程を示し、(f)は、インク膜(13)が転写された被印刷体(15)と該転写後のブランケット(4)を示す。または、(a)から(d)までは図2と同様で、(g)は、ブランケット(11)表面に残存したインク膜(13)を被印刷体(15)表面に転写する工程を示し、(h)は、インク膜(13)が転写された被印刷体(15)と該転写後のブランケット(11)を示す。 本発明の実施例によるパターン膜形成方法の各工程を示す概念図。(a)は、光照射により付着性の異なる部位を形成したブランケット(21)で(22)は高付着性部位、(b)はブランケット(24)表面にインク膜(23)を形成する工程、(c)は、ブランケット(21)とブランケット(24)の当接させることにより、ブランケット(21)表面のインク膜(23)をブランケット(24)に転写する工程、(e)は、ブランケット(24)表面のインク膜(23)を被印刷体(25)表面に転写する工程を示し、(f)は、インク膜(23)が転写された被印刷体(25)と該転写後のブランケット(24)を示す。または、(a)から(d)までは図3と同様で、(g)は、ブランケット(21)表面に残存したインク膜(23)を被印刷体(25)表面に転写する工程を示し、(h)は、インク膜(23)が転写された被印刷体(25)と該転写後のブランケット(34)を示す。 光やプラズマ等により付着性の異なる部位を形成したブランケットの再び処理前の状態に回復させ、新たに付着性の異なる部位を形成する方法の各工程を示す概念図。(a)は、処理前のブランケット(31)、(b)は付着性の異なる部位(32)を形成したブランケット(31)で、(c)は(31)上に(31)と同一材料であって未硬化のものを塗布等によって形成し、硬化させ、処理前の状態と同様な表面(33)形成する工程、(d)はその上に(b)と同様な付着性付与処理によって新たに付着性の異なる部位を形成する工程を示す。 本発明の実施例1によってパターン形成されたインク膜の膜厚プロファイル。 本発明の実施例1によってパターン形成されたインク膜の膜厚プロファイル。 本発明の実施例2によってパターン形成されたインク膜の膜厚プロファイル。 本発明の実施例2によってパターン形成されたインク膜の膜厚プロファイル。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明のパターン膜形成方法やパターン膜形成装置は、インク膜用表面を有する第一と第二のブランケット、一方のブランケットのインク膜用表面にインク膜を形成するインク膜形成手段、インク、被印刷体を用いて実施されるものである。
第一のブランケットのインク膜用表面は、後に説明するように、高付着性部位と低付着性部位からなるものであり、単一材料からなる表面に対し部分的に化学的または物理的処理を施すことにより形成され、高付着性部位と低付着性部位との段差が100nm以下のものである。
単一材料からなるインク膜用表面に高付着性部位と低付着性部位を形成するための化学的または物理的処理法は、限定されないが、インク膜用表面の材料毎に、例えば、次のような方法が挙げられる。
(ア)インク膜用表面の材料がシリコーンゴム等の高分子である場合
(1−1)部分的に高付着性部位を形成する手法:
酸素プラズマ処理、水素プラズマ処理、コロナ放電処理、オゾン処理、紫外線処理のいずれかを必要な部分のみに行う。上記の全ての処理に対してメタルマスク等の開口部を有するマスクを介する方法、紫外線処理に関しては、フォトマスクを介した部分露光法、またはレーザーまたは集光光束を直接走査することによる直接描画法を用いることができる。
(1−2)部分的に低付着性部位を形成する手法:
疎水性シランカップリング剤処理、フッ素プラズマ処理のいずれかを必要な部分のみに行う。上記の全ての処理に対してメタルマスク等の開口部を有するマスクを介する方法または露光および現像によってパターン形成したフォトレジストからなるマスクを用いることができる。また疎水性シランカップリング剤処理においてはシランカップリング処理の前に(1−1)に述べた方法によりシランカップリング剤と反応する官能基を生成させてもよい。
(2−1)全面的に高付着性とする手法:
(1−1)に示す方法を、マスクを用いずに行う。
(2−2)全面的に低付着性とする手法:
(1−2)に示す方法を、マスクを用いずに行う。
(イ)インク膜用表面の材料が光誘起による機能性分子である場合
(1−1)部分的に高付着性部位を形成する手法:
アゾベンゼン誘導体やスピロピラン誘導体に代表される光異性化材料をブランケット基材表面に化学反応により固定化し、必要な部分に紫外線を照射することにより、照射された該分子の異性化を誘起する方法。上記の全ての処理に対してメタルマスク等の開口部を有するマスクを介する方法、紫外線処理に関しては、フォトマスクを介した部分露光法、またはレーザーまたは集光光束を直接走査することによる直接描画法を用いることができる。
(1−2)部分的に低付着性部位を形成する手法:
アゾベンゼン誘導体やスピロピラン誘導体のいずれかをブランケット基材表面に化学反応により固定化し、必要な部分に可視光を照射することにより、照射された該分子の異性化を誘起する方法。上記の全ての処理に対してメタルマスク等の開口部を有するマスクを介する方法、フォトマスクを介した部分露光法、またはレーザーまたは集光光束を直接走査することによる直接描画法を用いることができる。
(2−1)全面的に高付着性とする手法:
(1−1)に示す方法を、マスクを用いずに行う。
(2−2)全面的に低付着性とする手法:
(1−2)に示す方法を、マスクを用いずに行う。
(ウ)インク膜用表面の材料が熱誘起による機能性分子である場合
(1−1)部分的に高付着性部位を形成する手法:
ポリ(N-イソプロピル アクリルアミド)などの温度応答性ポリマーを表面にブランケット基材化学反応により固定化し、例えば30℃以下に局所冷却することによって該分子の水和を誘起することによる方法。
(1−2)部分的に低付着性部位を形成する手法:
ポリ(N-イソプロピル アクリルアミド)などの温度応答性ポリマーをブランケット基材表面に化学反応により固定化し、例えば40℃以上に局所加熱することによって該分子の脱水和を誘起することによる方法。
(2−1)全面的に高付着性とする手法:
(1−1)に示す方法を、全面冷却によって行う。
(2−2)全面的に低付着性とする手法:
(1−2)に示す方法を、全面加熱によって行う。
ブランケットのインク膜用表面材料としての高分子としては、例えば、ポリウレタン、ポリイソブチレン、ポリサルファイド、スチレン-ブタジエン系共重合体、ニトリルゴム、信越化学工業製SIFEL等のフッ素樹脂、シリコーンゴム等を用いることができる。
ブランケットは、その全体がインク膜用表面材料としての前記高分子で形成されていても良いが、インク膜用表面部以外を別の材料により形成することもできる。ブランケットのインク膜用表面部以外の材料としては、限定されず、各種樹脂、金属、合金、セラミックス、または、それらの積層物などを用いることができる。
ブランケットのインク膜用表面材料として前述のような機能性分子を用いる際のブランケットの基材としては、該基材表面に機能性分子を共有結合等の化学結合により固定化できるものであれば良い。
ブランケットのインク膜用表面材料としては、被印刷体への転写性に優れたものが好まれる。さらに未処理の第一のブランケットのインク膜用表面から第二のブランケットのインク膜用表面へのインク膜の転写性が優れており、かつ光照射処理等の化学的またはプラズマ照射処理等の物理的処理によって高付着性を付与した第一のブランケットのインク膜用表面の部位から第二のブランケットインク膜用表面へのインク膜の転写性は失われることが必要である。
ブランケットのインク膜用表面材料としての高分子は、上記要件に加えて、インク膜の半乾燥状態を実現できるような溶媒吸収性樹脂であればより好ましい。
ブランケットまたはそのインク膜用表面の材料としてはシリコーンゴムが最も広く用いられているため、シリコーンゴムからなるブランケットまたはそのインク膜用表面の材料に必要な性質に関して詳細に述べる。シリコーンゴムの表面はその組成、架橋密度、架橋度、平均分子量、平均ポア径によって表面の付着性および表面自由エネルギーが変化する。したがって接触角および接触角から見積もられる表面自由エネルギーが同一であっても、上記の物理的因子によって付着性は大きく変化する。したがって、一般的に知られているような表面自由エネルギーの差異のみで転写性が決定されるものではない。さらに溶媒を吸収したシリコーンゴム表面の付着性は一般的に低下する。すなわち、インクが塗布されたブランケットのインク膜用表面と、該インク膜を受理するブランケットのインク膜用表面が同一の材料からなっていても、前者のブランケットのインク膜用表面とインク膜間の付着力は、後者のブランケットのインク膜用表面とインク膜間の付着力よりも小さくすることができる。
したがって、本発明を実現するために必要な表面の付着性は以下のようになる。
第一のブランケットの未処理のインク膜用表面とその上に塗布されたインク膜間の付着力を塗布界面1L、
第一のブランケットの高付着化処理を施したインク膜用表面とその上に塗布されたインク膜間の付着力を塗布界面1H、
第二のブランケットのインク膜用表面上で半乾燥化したインク膜を受理するときの、第一のブランケットの未処理のインク膜用表面とインク膜間の付着力を受理界面1L、
第二のブランケットのインク膜用表面上で半乾燥化したインク膜を受理するときの、第一のブランケットの高付着化処理を施したインク膜用表面とインク膜間の付着力を受理界面1H、
第二のブランケットのインク膜用表面とその上に塗布されたインク膜間の付着力を塗布界面2、
第一のブランケット上で半乾燥化したインク膜を受理するときの第二のブランケットのインク膜用表面とインク膜間の付着力を受理界面2、
ブランケットのインク膜用表面からインク膜を受理するときの被印刷体とインク膜間の付着力を印刷界面、
とすると、
塗布界面1L<受理界面2<印刷界面<塗布界面1H、
塗布界面1L<受理界面2<塗布界面1H<印刷界面、
受理界面1L<塗布界面2<印刷界面<受理界面1H、
受理界面1L<塗布界面2<受理界面1H<印刷界面
のいずれかの大小関係を実現することにより本発明によるパターン形成ができる。
ブランケットまたはそのインク膜用表面の材料として用いられるシリコーンゴムとしては主にポリジメチルシロキサンの架橋物が用いられる。シリコーンゴムの硬さは0.5MPaから50MPa程度が望ましい。シリコーンゴムの硬化手法としては常温硬化性、熱硬化性、UV硬化性のいずれであってもよい。ブランケットのインク膜用表面は、均一な厚みのインク膜が形成されるように、シート状ブランケットの場合には平坦に、ロール状ブランケットの場合には円筒状周面に形成され、しかも、表面粗さRaが50nm以下(好ましくは10nm以下)の平滑面に形成される。シリコーンゴムは一般的に伸縮性に富み、パターン歪みが発生しやすいため、シリコーンゴムの背部にプラスチックフィルムやガラスや金属基材を張合わせて固定することが望ましい。また、印圧の調整用に適宜クッション材を用いてもよい。
シリコーンゴムからなるブランケットのインク膜用表面の付着性を変化させる方法として、例えば次の方法が挙げられる。第一のブランケットのインク膜用表面とクロムマスク、メタルマスクまたはエマルションマスクを当接させ、その上部からエキシマランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ等の光源を用いて紫外線を照射し、マスク開口部のみを紫外線と反応させる〔図1(b)〕。この表面は一般的に親水化表面と呼ばれるが、インク膜に対する付着性も有意に変化させることができる。大気分子に紫外線が照射されることによって発生する酸素プラズマ等は大気置換等により極力発生させない方がよいが、マスクとブランケットは互いに当接しているため必ずしも必須ではない。さらに、マスク露光の方法を用いずともエキシマレーザーを用いて直接描画することもできる。以上のような部分露光による方法に加えて、メタルマスクを介してオゾンや酸素プラズマ、水素プラズマ等とブランケットのインク膜用表面を接触させ、メタルマスク開口部のみ付着性を変化させることができる〔図1(c)〕。
付着性の異なる部位を形成したシリコーンゴムからなるブランケットのインク膜用表面のパターンの上書きおよび書き換えは例えば次の方法で達成される。一般的に、親水化処理を施したシリコーンゴムであっても、数週間放置することにより表面は再び処理前のシリコーンゴムの物性に戻ることが知られている。この回復機構の詳細は完全に明らかになっていないが、シリコーンゴム表面のシリコーン分子のコンフォメーション変化およびシリコーンゴム内部の未架橋成分が表面にブリーチングするためだと考えられている。光照射処理を施したシリコーンゴムは、疎水性シランカップリング剤を気相または液相処理によって、再度、低付着性表面に戻すことができる。またはブランケットのインク膜用表面を構成する材料と同一の材料をブランケットのインク膜用表面に上塗りし、硬化させることによって再度、低付着性表面に戻すことができる。この場合、親水化処理されたブランケットのインク膜用表面の濡れ性が異なるために均一な塗布が難しい場合は、インク膜用表面全面に紫外線照射を行うことで全体の濡れ性を均質化したのちに該塗布を実施すればよい。またこのときの塗布硬化後の膜厚は、50nm程度以上であれば限定されず、好ましくは100nm以上、より好ましくは200nm以上等とすることができる。該塗布工程によって、低付着性表面に戻せればよいため上限値は特に限定されないが、上記の下限値を超えていれば、塗布法式および該材料のレオロジー物性に依存して形成される該膜厚はたとえば数100μm程度になってもよい。これらのいずれかの方法によって低付着性表面に戻したブランケットに対して、再度上記の処理方法によって新たなパターン潜像を書き込むことができる。
また、本発明における第一、第二のブランケットのインク膜用表面は、表面彫刻を有しないものであり、好ましくは、少なくとも前述のような部分的に化学的または物理的処理を施す前においてその表面粗さRa〔JISB0601−2001に準拠〕は、通常、Ra=50nm以下、好ましくはRa=10nm以下であり、Ra=10nm程度以下の場合、より良好な転写が可能である。また形成されるインク膜表面の平滑性をよくする上で、ブランケットの表面粗さは小さいほど望ましい(例えば、Ra=5nm程度)。
第一のブランケットのインク膜用表面は、上述のとおり、高付着性部位と低付着性部位とに形成するため、部分的に化学的または物理的処理が施されるが、その処理は、高付着性部位と低付着性部位とにほとんど段差を形成しないものであるので、該段差は100nm以下(好ましくは80nm以下、より好ましくは60nm以下)とすることができる。そのように段差が小さいので、良好な転写が可能であるとともに、インク膜用表面の潜像パターンの消去や書き換えも容易である。
被印刷体は、表面自由エネルギーが比較的高い材料であって、表面平滑性が高ければよく、ガラス、シリコンウエハなどのケイ素化合物、固体金属、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミドなどが挙げられる。ポリテトラフルオロエチレンのような低表面自由エネルギー物質は被印刷体に向かない。
インクには反転転写印刷用組成物が好適に用いられる(例えば特許文献4参照)。すなわち表面エネルギー調整剤として界面活性剤を含み、速乾性溶媒および、遅乾性溶媒を含み、さらにインク膜の機能性を発現する固形分を含むものである。そのようなインクとしては、限定するものではないが、導電性金属からなる微粒子分散インク、有機半導体インク、酸化物半導体ゾルゲルインク、絶縁性高分子インク等が挙げられる。
本発明による方法におけるインク膜厚は、半乾燥状態におけるインク粘弾性率によって影響をうけるものの、概ね1μm以下であることが要求される。これはブランケット間の付着性の差異によってインク膜の必要部分を受理する工程において、インク膜の破断を起こす必要があるためである。半乾燥状態にあるインク膜の破断点における歪みが大きければ大きいほど(すなわち、造膜性が高いほど)、インクを受理することが難しくなるためであり、このような場合は、インク膜厚を薄くする、転写速度を低くする、または付着力の差を大きくする必要がある。
印刷は、次のような工程で行われる。まず、スリット式コータ(キャップコータ、ギャップコータ、カーテンコータ等を含む)、スプレー式コータ、インクジェットコータ等の公知の塗布手段をインク膜形成手段として用いて第一のブランケットまたは第二のブランケット上にインクを塗布し、速乾性有機溶媒が失われることによって半乾燥状態になるまで待機する。
次に、ブランケットのインク膜用表面上で半乾燥状態となったインク膜にもう一方のブランケットのインク膜用表面を押し当て引き離すことでインク膜パターンを転写する。このときの二種類のブランケットはインク膜を挟んで密に当接すればよく、特段、長時間にわたって当接させる必要はない。また、本手法はインク膜用表面の表面自由エネルギーの差異および粘着性を利用した転写法であるため、特段に高い印圧は必要ない。さらに、[0036]に記載のとおり、適切な材料とインク溶媒を選択することにより、インクが塗布されたブランケットと該インク膜間の付着力は、受理するブランケットとインク膜の付着力よりも低くすることができる。
次に、転写インク膜を受理したブランケット、または、転写後の残存インク膜を有するブランケットを、被印刷体に押し当て引き離すことによってパターニングを完了する。このとき転写性が悪い場合は、被印刷体表面に親水化処理をすることによって、転写性を向上させることができる。
ブランケットはシート状であってもロール状であってもよく、したがって本パターニング法は枚様式であっても、ロール・ツー・シート方式であっても、シート・ツー・ロール方式であっても、ロール・ツー・ロール方式であってもよい。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこのような実施例のみに限定されない。
(材料)
導電性インクとして主溶媒であるエタノールに銀ナノ粒子が分散した顔料インク(DIC会社製ナノ銀インク)を用いた。ブランケットとして付着性の異なる3種類の信越化学製シリコーンゴム(常温硬化または加熱硬化させたもので、以後、シリコーンゴムA、シリコーンゴムB、シリコーンゴムCと呼ぶ)を用いた。これらのシリコーンゴムと該顔料インク間の付着力を剥離速度100mm/min、剥離角度45度で測定した結果を表1に示す。未処理のブランケットに対し、エキシマランプを具備したオーク製作所製VUS-3150を光源とし、酸素濃度1%未満の窒素雰囲気下において20秒間光照射することによりUV処理を行った。
なお、表1における「塗布界面」と「受理界面」の定義はそれぞれ以下の通りである。塗布界面は、ブランケットのインク膜用表面と、その上に塗布され、半乾燥化したインク膜との界面をさす。受理界面は、ブランケットのインク膜用表面に塗布され、半乾燥化したインク膜と、その表面に対向して当接させた第二のブランケットのインク膜用表面との界面をさす。ここで、塗布界面や受理界面は、ブランケットのインク膜用表面全面である必要はなく、インク膜用表面の一部でも良いが、前記付着力の測定では、インク膜用表面全面を対象として行った。そして、「UV処理」における「なし」と「あり」とは、塗布界面や受理界面が「全くUV露光されなかった場合」と「全面的にUV露光された場合」とをそれぞれ意味する。塗布界面の付着力は、ブランケット塗布界面上の半乾燥化インク膜を完全転写可能なポリイミドフィルムを用いて剥離することで測定した。受理界面の付着力は、塗布界面における付着力がもっとも低いシリコーンゴムBからなるブランケット上にインクを塗布し、その上で半乾燥化したインク膜に対して、各種シリコーンゴム材料からなる第二のブランケットの受理界面と当接し転写させたインク膜を完全転写可能なポリイミドフィルムを用いて該受理界面から剥離することで測定した。
なお、「半乾燥化したインク膜」とは、インク組成物のうち速乾性溶媒の全部または大部分(当初速乾性溶媒量の90重量%以上、好ましくは95重量%以上)が失われ、インク膜の成分が主として遅乾性溶媒とインク含有固形分のみからなる状態のものを意味する。
<実施例1>
(高付着性付与)
シリコーンゴムAからなる第一のブランケット1のインク膜用表面に対して、エキシマランプを具備したオーク製作所製VUS-3150を光源とし、酸素濃度1%未満の窒素雰囲気下において、クロム製フォトマスク2を介して20秒間光照射することにより部分露光を行い、露光部の高付着性部位4と非露光部の低付着性部位を形成した。
(印刷)
まず、ガラス製スリットコータを用いて、シリコーンゴムAからなる第一のブランケット11のインク膜用表面(高付着性部位と低付着性部位の表面粗さRa=5nm程度、両部位の段差が45nm未満)にナノ銀インク13を一様塗布した〔図2(b)〕。その後、一定時間待機し速乾性溶媒の消失を待った後に、シリコーンゴムBからなる第二のブランケット14のインク膜用表面と当該インク膜を当接させ〔図2(c)〕、引き離すことで、第二のブランケットのインク膜用表面に低付着性部位のインク膜を転写した〔図2(d)〕。つぎに、当該の第二のブランケットをガラス板15に当接させ、引き離すことでインク膜を被印刷体のガラス板に転写し〔図2(e)〕、印刷を完了した〔図2(f)〕。また第一のブランケットをガラス板に当接させることで、第一のブランケット表面の高付着性部位に残存したインク膜をガラス板に転写した〔図2(g)〕。最後にオーブン中で加熱焼成することでガラス表面上のインク膜を硬化させた。
(低付着性表面の回復とパターンの上書き)
引き続き、表面に高付着性部位32と低付着性部位を有するシリコーンゴムAからなるブランケット31〔図4(b)〕のインク膜用表面に対して、スピンコータを用いて未硬化のシリコーンゴムA33を回転数1000rpm、30秒の条件で塗布し、これを150℃30分熱硬化させた〔図4(c)〕。このときの硬化後の膜厚は約100μmであった。このように処理して低付着性表面を回復したブランケットに対して、エキシマランプを具備したオーク製作所製VUS-3150を光源とし、酸素濃度1%未満の窒素雰囲気下において、クロム製フォトマスクを介して20秒間光照射することにより部分露光を行い、塗布前とは異なるパターンの高付着性部位34と低付着性部位を形成した〔図4(d)、高付着性部位と低付着性部位の表面粗さRa=5nm程度、両部位の段差が45nm未満〕。その後、上記と同様な方法で印刷を試した。
<実施例2>
(高付着性付与)
シリコーンゴムAからなる第一のブランケット21のインク膜用表面に対して、実施例1と同様な方法で部分露光を行い、露光部の高付着性部位22と非露光部の低付着性部位を形成した(高付着性部位と低付着性部位の段差が45nm未満)〔図3(a)〕。
(印刷)
まず、ガラス製スリットコータを用いて、シリコーンゴムCからなる第二のブランケット24のインク膜用表面(表面粗さRa=5nm程度)にナノ銀インク23を一様塗布した〔図3(b)〕。その後、一定時間待機し速乾性溶媒の消失を待った後に、シリコーンゴムAからなる第一のブランケット21のインク膜用表面と当該インク膜を当接させ〔図3(c)〕、引き離すことで、第一のブランケットの高付着性部位にインク膜を転写した〔図3(d)〕。つぎに、当該の第二のブランケットをガラス板に当接させ、引き離すことで第二のブランケットに残存したインク膜を被印刷体のガラス板25に転写し〔図3(e)〕、印刷を完了した〔図3(f)〕。また第一のブランケットをガラス板に当接させ、引き離すことで、第一のブランケット表面の高付着性部位に転写したインク膜をガラス板に転写した〔図3(g)〕。最後にオーブン中で加熱焼成することでガラス表面上のインク膜を硬化させた。
<比較例1>
(露光)
シリコーンゴムAからなる第一のブランケット11のインク膜用表面に対して、実施例1と同様な方法で部分露光を行い、露光部の高付着性部位12と非露光部の低付着性部位を形成した〔図2(a)〕。
(印刷)
まず、ガラス製スリットコータを用いて、シリコーンゴムAからなる第一のブランケット11のインク膜用表面(高付着性部位と低付着性部位の表面粗さRa=5nm程度、両部位の段差が45nm未満)にナノ銀インク13を一様塗布した〔図2(b)〕。その後、一定時間待機し速乾性溶媒の消失を待った後に、シリコーンゴムCからなる第二のブランケット14と当該インク膜を当接させ、引き離すことで、第二のブランケットへのインク膜の転写を試みた。〔図2(c)〕。
<比較例2>
(露光)
シリコーンゴムBからなる第一のブランケット21のインク膜用表面に対して、実施例1と同様な方法で部分露光を行い、露光部の高付着性部位12と非露光部の低付着性部位を形成した(高付着性部位と低付着性部位の段差が45nm未満)〔図3(a)〕。
(印刷)
まず、ガラス製スリットコータを用いて、シリコーンゴムCからなる第二のブランケット24のインク膜用表面(表面粗さRa=5nm程度)にナノ銀インク23を一様塗布した〔図3(b)〕。その後、一定時間待機し速乾性溶媒の消失を待った後に、シリコーンゴムBからなる第一のブランケットと当該インク膜を当接させ、引き離すことで、第一のブランケットにインク膜への転写を試みた〔図3(c)〕。
<実施例1、比較例1の評価>
触針式段差計(小坂製作所製Surfcorder ET4000L)を用いて、加熱焼成を行った当該インク膜パターンの膜厚を測定した。ラインパターン幅20μmと10μmの断面形状について、本発明の実施例1のうち〔図2(e)〕の方法で行った結果を図5、〔図2(g)〕の方法で行った結果を図6に示す。図5および図6より、本発明によって、膜厚がパターンサイズによらずほぼ一定であり、かつ断面形状が矩形であるインク膜のパターニングが可能となることが示された。なお、図5と図6に示す結果はそれぞれ独立に行ったため、膜厚は一致していない。比較例1の場合は、第一のブランケットの露光部、非露光部に関わらず、全ての部位において、第二のブランケットにインク膜が転写してしまった。
表1より、実施例1においては、シリコーンゴムAからなる第一のブランケットのUV非露光部の塗布界面の付着力が1.6N/m、UV露光部の塗布界面の付着力が4.2N/m、シリコーンゴムBからなる第二のブランケットの受理界面の付着力が1.7N/mであり、[0037]で示した付着力の大小関係が満たされていることがわかる。
一方、比較例1においては、シリコーンゴムCからなる第二のブランケットの受理界面の付着力が6.9N/mであり、シリコーンゴムAからなる第一のブランケットのUV露光部の塗布界面の付着力よりも大きく、その結果、露光部、非露光部に関わらず第二のブランケットのすべての部位においてインク膜が転写してしまったと考えられる。
パターンの平均膜厚をhav、パターンの最大膜厚をhmax、としたとき、hav/hmaxを断面矩形度sと定義する。断面矩形度sは完全に四角形のときに最大値1をとり、sの値が下がるほど断面の矩形性が低下し、例えば、断面が半円形状である場合、sはπ/4≒0.785である。
本発明の実施例1について、各ラインパターン幅に対して形成されたパターンの最大膜厚hmaxと断面矩形度sは表2に示す通り0.8以上であった。
さらに実施例1において、低付着性表面の回復処理を行ったあとに行った印刷実験では、新しい層を有する第一のブランケットから第二のブランケットに全てインク膜が転写された。これより、光照射によって回復処理前に潜像された付着性の異なる部位が新しい層により上書きされたことがわかる。さらに、回復処理を施された第一のブランケットに対してクロム製フォトマスクを介して20秒間光照射した後、印刷実験を行ったところ、クロム製フォトマスクのパターンに対応したインク膜パターンが良好に転写できた。
<実施例2、比較例2の評価>
触針式段差計(小坂製作所製Surfcorder ET4000L)を用いて、加熱焼成を行った当該インク膜パターンの膜厚を測定した。ラインパターン幅10μmと20μmの断面形状について、本発明の実施例2のうち〔図3(e)〕の方法で行った結果を図7、〔図3(g)〕の方法で行った結果を図8に示す。図7および図8より、本発明によって、膜厚がパターンサイズによらずほぼ一定であり、かつ断面形状が矩形であるインク膜のパターニングが可能となることが示された。比較例2の場合は、第一のブランケットの露光部、非露光部に関わらず、全ての部位において、第二のブランケットにインク膜が転写しなかった。
表1より、実施例2においては、シリコーンゴムAからなる第一のブランケットのUV非露光部の受理界面の付着力が3.3N/m、UV露光部の受理界面の付着力が6.2N/m、シリコーンゴムCからなる第二のブランケットの塗布界面の付着力が3.7N/mであり、[0037]で示した付着力の大小関係が満たされていることがわかる。
一方、比較例2においては、シリコーンゴムCからなる第二のブランケットの塗布界面の付着力が3.7N/mであり、シリコーンゴムBからなる第一のブランケットのUV非露光部およびUV露光部の受理界面の付着力、1.7N/m、および2.6N/m、よりも大きく、その結果、露光部、非露光部に関わらず第二のブランケットに転写できなかったと考えられる。
本発明の実施例2について、各ラインパターン幅wに対して形成されたパターンの最大膜厚hmaxと断面矩形度sは表2に示す通り0.8以上であった。
Figure 2016175192
Figure 2016175192
本発明のパターン膜形成方法やパターン膜形成装置によれば、パターン幅に拘わらずほぼ均一な膜厚で、かつ、断面形状が矩形状(断面矩形度sが0.80以上)のパターン膜が得られるので、電極膜、配線膜、絶縁膜等の各種のパターン膜の形成に用いることができるし、また、このような各種の膜を順次積層して形成することにより、各種デバイスの製造にも用いることができる。しかも、加工費が高額であり、リードタイムが長い凸版および凹版の形成が不要であり、かつブランケットの単一材料からなるインク膜用表面に短時間の処理を施すことによって簡便な方法で付着性が異なる部位を高精度で形成することができるため、様々なパターンをオンデマンドに近い工数で印刷形成可能になり、したがってパターニング技術を含む変量多品種生産などに好適に利用することができる。
1 表面処理を施す前のブランケット
2 フォトマスク
3 メタルマスク
4 表面処理により形成した高付着性部位
11 表面処理により付着性の異なる部位を潜像させた第一のブランケット
12 表面処理により形成した高付着性部位
13 インク(インク膜)
14 第二のブランケット
15 被印刷体(被転写体)
21 表面処理により付着性の異なる部位を潜像させた第一のブランケット
22 表面処理により形成した高付着性部位
23 インク(インク膜)
24 第二のブランケット
25 被印刷体(被転写体)
31 表面処理により付着性の異なる部位を潜像させた第一のブランケット
32 表面処理により形成した高付着性部位
33 第一のブランケット上に形成した、第一と同一材料からなる層
34 新たに形成した高付着性部位(パターンの書き換え)

Claims (10)

  1. (ア)第二のブランケットのインク膜用表面の受理界面付着力より塗布界面付着力が高い高付着性部位と塗布界面付着力が低い低付着性部位とからなるインク膜用表面を有する第一のブランケットの前記インク膜用表面にインク膜を形成する工程、
    (イ)インク膜が形成された第一のブランケットに対して、第二のブランケットのインク膜用表面を相対的に押し当て引き離すことで、第一のブランケットの低付着性部位上に位置するインク膜のみを第二のブランケットのインク膜用表面に転写させ、残りのインク膜を第一ブランケットのインク膜用表面に残存させる工程、
    (ウ)転写インク膜を有する第二のブランケットまたは残存インク膜を有する第一のブランケットに対して、被印刷体を相対的に押し当て引き離すことでインク膜を被印刷体表面に転写する工程、
    を含むパターン膜形成方法であって、第一のブランケットの高付着性部位と低付着性部位とからなるインク膜用表面は、単一材料からなる表面に対し部分的に化学的または物理的処理を施すことにより形成され、高付着性部位と低付着性部位の段差が100nm以下のものであることを特徴とするパターン膜形成方法。
  2. (ア)第二のブランケットのインク膜用表面にインク膜を形成する工程、
    (イ)インク膜が形成された第二のブランケットに対して、第二のブランケットのインク膜用表面の塗布界面付着力より受理界面付着力が高い高付着性部位と受理界面付着力が低い低付着性部位とからなるインク膜用表面を有する第一のブランケットの前記インク膜用表面を押し当て引き離すことで、第一のブランケットの高付着性部位上にのみインク膜を転写させ、残りのインク膜を第二のブランケットのインク膜用表面に残存させる工程、
    (ウ)転写インク膜を有する第一のブランケットまたは残存インク膜を有する第二のブランケットに対して、被印刷体を押し当て引き離すことでインク膜を被印刷体表面に転写する工程、
    を含むパターン膜形成方法であって、第一のブランケットの高付着性部位と低付着性部位とからなるインク膜用表面は、単一材料からなる表面に対し部分的に化学的または物理的処理を施すことにより形成され、高付着性部位と低付着性部位の段差が100nm以下のものであることを特徴とするパターン膜形成方法。
  3. 第一ブランケットのインク膜用表面に高付着性部位と低付着性部位を形成する前記化学的または物理的処理は、レチクルを介したマスク露光法、開口部を有するマスクを用いたプラズマ処理、または、レーザーもしくは集光光束を直接走査することによる直接描画法を用いるものであることを特徴とする請求項1または2に記載のパターン膜形成方法。
  4. 前記化学的または物理的処理は、第一ブランケットの高付着性部位と低付着性部位とからなるインク膜用表面に未硬化の表面材料を塗布し、これを硬化して形成された新たなインク膜用表面に対し部分的に施されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のパターン膜形成方法。
  5. 第一のブランケットの前記インク膜用表面の単一材料は、光照射または温度昇降により疎水性および/または粘着性を変化させる機能性分子であり、高付着性部位パターンおよび/または低付着性部位パターンは、消去工程と書き込み工程を用いることで書き換えることが可能であることを特徴とする請求項1または2に記載のパターン膜形成方法。
  6. 第一および第二のブランケットのインク膜用表面材料が溶媒吸収性シリコーンゴムからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のパターン膜形成方法。
  7. インク膜用表面を有する第一と第二のブランケットを具備し、第一のブランケットのインク膜用表面は、第二のブランケットのインク膜用表面の受理界面付着力より塗布界面付着力が高い高付着性部位と塗布界面付着力が低い低付着性部位とからなり、インク膜用表面に形成されたインク膜を有する第一のブランケットに対し第二のブランケットのインク膜用表面を相対的に押し当て引き離すことにより、低付着性部位上のインク膜を第二のブランケットのインク膜用表面に転写し、残りのインク膜を第一のブランケットのインク膜用表面に残存させ、転写インク膜を有する第二のブランケットまたは残存インク膜を有する第一のブランケットに対し被印刷体を相対的に押し当て引き離すことでインク膜を被印刷体表面に転写するよう構成されたパターン膜形成装置であって、第一のブランケットの高付着性部位と低付着性部位とからなるインク膜用表面は、単一材料からなる表面に対し部分的に化学的または物理的処理を施すことにより形成され、高付着性部位と低付着性部位の段差が100nm以下のものであることを特徴とするパターン膜形成装置。
  8. インク膜用表面を有する第一と第二のブランケットを具備し、第一のブランケットのインク膜用表面は、第二のブランケットのインク膜用表面の塗布界面付着力より受理界面付着力が高い高付着性部位と受理界面付着力が低い低付着性部位とからなり、インク膜用表面に形成されたインク膜を有する第二のブランケットに対し第一のブランケットのインク膜用表面を相対的に押し当て引き離すことにより、第一のブランケットの高付着性部位上にのみインク膜を転写し、残りのインク膜を第二のブランケットのインク膜用表面に残存させ、転写インク膜を有する第一のブランケットまたは残存インク膜を有する第二のブランケットに対し被印刷体を相対的に押し当て引き離すことでインク膜を被印刷体表面に転写するよう構成されたパターン膜形成装置であって、第一のブランケットの高付着性部位と低付着性部位とからなるインク膜用表面は、単一材料からなる表面に対し部分的に化学的または物理的処理を施すことにより形成され、高付着性部位と低付着性部位の段差が100nm以下のものであることを特徴とするパターン膜形成装置。
  9. 前記化学的または物理的処理は、第一ブランケットの高付着性部位と低付着性部位とからなるインク膜用表面に未硬化の表面材料を塗布し、これを硬化して形成された新たなインク膜用表面に対し部分的に施されたものであることを特徴とする請求項7または8に記載のパターン膜形成装置。
  10. 第一のブランケットの前記インク膜用表面の単一材料は、光照射または温度昇降により疎水性および/または粘着性を変化させる機能性分子であり、高付着性部位パターンおよび/または低付着性部位パターンは、消去工程と書き込み工程を用いることで書き換えることが可能であることを特徴とする請求項7または8に記載のパターン膜形成装置。
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