JP2019129654A - 複数駅における電力協調制御システム - Google Patents
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Abstract
Description
一方、鉄道では、直流き電系統において、電気車の回生ブレーキによって発生した回生電力を、き電線を介して他の電気車の力行電力として利用することが行われている。そこで、直流き電系の直流を交流に変換するインバータを設けて、所定値以上の回生電力が発生した際にインバータを動作させて駅舎の電力供給系にインバータで変換した電力を供給可能にすることで、電気車の余剰回生電力を有効活用することができるようにした駅舎電源装置に関する発明が提案されている(例えば、特許文献1)。
また、配電線の太径化による電気抵抗の低減や、SVR(自動電圧調整装置)を設置する対策も考えられるが、これらの対策はいずれもハードウェアの価格や設置コストが高いため大幅なコストアップを招くという課題がある。しかも、これらの対策は、電圧降下抑制という要求は満たすが、需要電力のピークカット等は期待できず、インフラ設備の低減にはつながらない。
そこで、本出願人は、2つの変電所のうち配電線路終端側の変電所からき電線に供給される直流電力を交流電力に変換して配電線路の終端側へ供給可能な電源融通装置と、複数の駅舎のうち配電線路の始端側の変電所から遠い側の電圧値を検出する終端交流電圧検出手段と、検出された終端交流電圧が所定の電圧値以下となったと判定した場合に電源融通装置を一時的に動作させる機能と制御対象機器と電力供給度合いを段階的に示すテーブルデータを参照して複数の駅舎のいずれかの電気設備に供給される交流電力を減少させる機能とを備えた協調制御装置を設けた電力制御システムに関する発明をなし出願した(特許文献3)。
本発明は上記のような背景の下になされたもので、ハードウェアの増加を招くことなく需要電力のピークカットを行い、配電線路の電圧低下を回避することができる電力協調制御システムを提供することを目的とするものである。
変電所から交流電力の供給を受けて複数の駅舎に電力を供給する配電線路と、
前記複数の駅舎のそれぞれに設けられ、対応する駅舎の電気設備に対して需要電力を減らす指示を出力可能な複数の局所デマンド制御装置と、
前記複数の局所デマンド制御装置から受電電力値および制御状態に関する情報を取得して、前記複数の局所デマンド制御装置のそれぞれに対して需要電力に関する制御指令値を送出する協調制御装置と、を備え、前記配電線路から前記複数の駅舎の電気設備のそれぞれに供給される交流電力を調整する複数駅における電力協調制御システムにおいて、
前記局所デマンド制御装置は、
それぞれの駅舎の受電電力を計測する電力計測手段と、
複数の節電制御段階と自己の駅舎の電気設備における節電量との関係を示す省エネ制御テーブルを記憶する記憶装置と、
前記電力計測手段により計測された電力値に基づいて受電電力が予め設定されている値を超えた場合に自らの節電制御段階を決定し決定した節電制御段階に基いて前記省エネ制御テーブルを参照し自己の駅舎の電気設備に対して需要電力を減らす指示を出力する機能および前記協調制御装置からの制御指令に応じて自己の駅舎の電気設備に対して需要電力を減らす指示を出力する機能を有する電力抑制手段と、を備え、
前記協調制御装置は、前記複数の局所デマンド制御装置から取得した受電電力値の合計値が予め設定されている値を超えた場合に、取得した制御状態情報に基づいて協調制御の節電制御段階と各駅舎の節電制御段階とを加算して合計節電制御段階を算出し、最も合計節電制御段階の低い駅舎を抽出して、対応する局所デマンド制御装置へ節電制御段階を上げる制御指令を送出するように構成したものである。
前記局所デマンド制御装置は、自らの節電制御段階を決定し決定した節電制御段階または前記協調制御装置からの制御指令により指定された節電制御段階に基づいて自己の駅舎の電気設備の需要電力を決定する際に、前記省エネ制御テーブルを参照して、エリアごとに各エリアの電気設備の節電量を決定して、電気設備に対して節電の指示を出力するように構成する。
かかる構成によれば、省エネ制御テーブルを参照してエリアごとに各エリアの電気設備の節電量を決定して、電気設備に対して節電の指示を出力するので、複雑なアルゴリズムや計算式を使用することなく節電量を決定して、対応する電気設備に対して節電の指示を出力することができる。
前記省エネ制御テーブルにおいては、照明機器と空調機器とで異なる節電率が節電制御段階ごとに記述されているようにする。
かかる構成によれば、電力需要が一時的に増加した際に各駅舎に無理な節電を強いることがなく、利用者に対するサービスの低下を抑制することができる。
前記協調制御装置は、前記複数の局所デマンド制御装置から取得した受電電力値の合計値が予め設定されている値を超えた場合に、前記充放電制御手段に対して放電を開始する指令を送出するように構成する。
かかる構成によれば、蓄電装置を備えるため、各駅舎ごとに照明機器と空調機器のうち優先して電力削減する機器を設定することができるため、適用する電力供給システムの構成等に応じた節電を実行させることができ、各駅舎の事情に応じた適切な節電制御を実行しつつ配電線路の電圧低下を回避することができる。
前記協調制御装置は、前記複数の局所デマンド制御装置から取得した受電電力値の合計値が予め設定されている値を超えた場合に、前記蓄電装置の充電量が所定値以上であることを条件に放電を開始する指令を生成し、前記充放電制御手段に対して送出するように構成する。
かかる構成によれば、蓄電装置の充電量が所定値以上であることを条件に放電を開始する指令を送出するため、過放電による電池の劣化を回避しつつ電力需要が増加した際に配電線路の電圧低下を回避することができる。
なお、図1には、2つの変電区間の配電線路を取り出して示しているが、他の変電区間も図1と同様に構成される。
蓄電装置50は、鉛蓄電池のような二次電池からなるバッテリー51と、変圧器52、直流電流を交流電流に変換したり交流電流を直流電流に変換したりするPCS(パワーコンデショニングシステム)53、中央制御装置60からの充放電指令を受けてPCS53を制御する充放電制御装置54などを備える。また、遮断器43は、常用と予備の配電線路のそれぞれの電圧を監視して、保守停電時に誤って放電しないようにする機能を有している。
また、それぞれの駅舎10には、自駅舎で消費している電力もしくは電流を測定する電力計もしくは電流計が設けられており、計測された電力値もしくは電流値は駅デマンド制御装置11に入力され、各駅デマンド制御装置11は自駅舎の最大許容電力値と消費電力値とを比較して、最大許容電力値に近づいた際に段階的な省エネ制御を行うように構成されている。
なお、配電線路20の終端部である駅舎10Aの電力入力点(図1のノードNa)の電圧を検出する電圧計を設け、該電圧計からの検出信号を中央協調制御装置60へ送信し、その検出電圧も考慮して充放電制御装置54へ放電制御指令を送信したり駅デマンド制御装置11A,11B……11Cへ制御値を生成し送信するように構成しても良い。
以下、上記考え方を適用した場合における、上記駅デマンド制御装置11および中央協調制御装置60による具体的な制御の仕方の例を、図2および図3を用いて説明する。
なお、各駅舎の駅デマンド制御装置11が保有する省エネ制御テーブルの内容は、自駅舎内に配置されている設備機器の種類ごとの台数や最大許容電力に応じて異なる内容が設定される。図2の省エネ制御テーブルにおいて、「制御レベル0」は省エネ制御をしない段階であることを意味している。また、「ホーム」の欄の「*1」は、タイマーまたは照度センサの検出信号等による制御を行い、駅デマンド制御装置11の制御下にないことを意味している。地下駅の場合には、駅ホームにおいても、「コンコース」等に準じた制御を行うようにしても良い。
さらに、図2のテーブルでは、「コンコース」において空調装置の方を照明装置の消費電力よりも優先して電力削減するようにしているが、空調装置よりも照明装置を優先して電力削減するように制御してもよい。「その他」の設備機器としてはエスカレータやエレベータなどがあり、これらの機器に関しては、電力抑制制御をする場合、稼働する台数を順次減らすようにしても良い。その場合、例えば4台のうち1台の稼働を停止すると、消費電力としては75%(25%の電力削減)となる。
なお、図3(A)では、自立制御と協調制御がそれぞれ3段階であるものを示しているが、制御段数は「3」に限定されるものでない。また、自立制御との段数と中央協調制御の段数が異なっていても良い。
なお、図3(B)において、横軸は時間、縦軸は合計需要電力(率)、THpは中央協調制御装置60が制御指令を出す条件となる電力しきい値であり、例えばTHpはシステム全体の最大許容電力の95%(あるいは90%)のような値を意味している。また、図3(C)において、(0,0),(3,0),(0,1)等は自立制御の制御段数と協調制御の制御段数をそれぞれ表わし、等記号(=)の右辺は括弧内の値の合計を表わしている。
これにより、A駅の制御状態(制御段数)は(0,1)=1となる。そして、協調制御指令を受けたA駅における節電制御により、図3(B)の時刻t3のように、一旦需要電力率が低くなるものの、例えばA駅の自立節電制御が実行されたとすると、図3(C)の「状態イベント」は第3行目のように、「A駅制御段数+1」となり、A駅の制御状態(制御段数)は(1,1)=2となる。これにより、合計需要電力率は電力しきい値THpよりも低くなる(時刻t4)。
なお、図1の給電システムは蓄電装置50を備えているため、協調制御装置60から蓄電装置50へ制御指令を行う処理も含む必要がある。また、蓄電装置50への協調制御のための指令の出し方として、電力需要を優先する考え方と省エネを優先する考え方とがあるが、先ず電力需要を優先する考え方を採用した場合の制御手順について説明する。
図4の制御処理が開始されると、駅デマンド制御装置11は、先ず自駅の電力計から自駅設備機器の受電電力値Wを読み込み(ステップS1)、予め設定されている自駅のしきい値電力THaよりも受電電力値Wが大きいか否か判定する(ステップS2)。しきい値電力THaは、例えば最大需要電力値の95%とすることが考えられるが90%等であってもよい。なお、上記「最大需要電力値」は、蓄電装置50が放電をしている場合、変電所からの最大供給電力と蓄電装置の放電電力との和となる。
ステップS3では、現在の自駅の自立制御段数(図3(A)参照)を1段階増加させ、図2に示すテーブルを参照して新たな自立制御段数に応じて節電すべき設備機器を選択して対象機器へ節電指令を出す(ステップS4)。その後、節電指令により電力値が変化する応答時間に相当する所定時間T1が経過するのを待ち(ステップS5)、所定時間T1が経過するとステップS1へ戻り、再度電力計から受電電力値Wを読み込む。
次に、協調制御装置60は、全受電電力値すなわちA駅〜C駅の受電電力値の合計TWを算出する(ステップS13)。続いて、予め設定されているしきい値電力THpよりも需要電力の合計電力値TWが大きいか否か判定する(ステップS14)。
ステップS15では、蓄電装置50の電池充電量が、予め設定されているしきい値THcよりも大きいか否か判定する。そして、しきい値THcよりも大きくない(No)と判定するとステップS18へ移行する。また、ステップS15で充電量がしきい値THcよりも大きい(Yes)と判定するとステップS16へ進み、蓄電装置50の制御装置54に対して放電開始指令を出してから、所定時間T2が経過するのを待ち(ステップS17)、ステップS11へ戻る。
なお、ステップS16で協調制御装置60から放電開始指令を受けた蓄電装置50の制御装置54は、放電を開始するとともに充電量を監視して、充電量が所定値以下になると協調制御装置60からの指令によって放電を停止し、電池の充電を開始する。また、蓄電装置50の制御装置54は、自らの判断で放電を停止し、放電をしていない間は電池の充電を実施する制御を行うように構成しても良い。
次に、上記実施形態の変形例について説明する。この変形例は、蓄電装置50への充電指令に際して省エネを優先する考え方を採用した場合における協調制御装置60の制御手順であり、そのフローチャートが図6に示されている。
図6のフローチャートは、図5のフローチャートのステップS14とS15との間に、全ての駅舎において節電のための制御段数が最も大きくなっているか否か判定するステップS14aを設けたものである。
上記のような制御を実行することで、蓄電装置50の放電時間が限られている場合に、システム内の全駅の電力需要が高い状態が長時間続くような場合にも、配電線路20の終端側の電圧が許容値以下に下がるのを回避することができる。
また、前記実施形態では、本発明を配電線路に接続された蓄電装置が設けられている給電システムに適用した場合について説明したが、本発明は蓄電装置が設けられていない給電システムに適用することも可能である。
11A,11B,11C 駅デマンド制御装置
20 配電線路
30A,30B 変電所
41,42,43 遮断器
50 蓄電装置
51 バッテリー
54 充放電制御装置
60 協調制御装置
Claims (5)
- 変電所から交流電力の供給を受けて複数の駅舎に電力を供給する配電線路と、
前記複数の駅舎のそれぞれに設けられ、対応する駅舎の電気設備に対して需要電力を減らす指示を出力可能な複数の局所デマンド制御装置と、
前記複数の局所デマンド制御装置から受電電力値および制御状態に関する情報を取得して、前記複数の局所デマンド制御装置のそれぞれに対して需要電力に関する制御指令値を送出する協調制御装置と、を備え、前記配電線路から前記複数の駅舎の電気設備のそれぞれに供給される交流電力を調整する複数駅における電力協調制御システムであって、
前記局所デマンド制御装置は、
それぞれの駅舎の受電電力を計測する電力計測手段と、
複数の節電制御段階と自己の駅舎の電気設備における節電量との関係を示す省エネ制御テーブルを記憶する記憶装置と、
前記電力計測手段により計測された電力値に基づいて受電電力が予め設定されている値を超えた場合に自らの節電制御段階を決定し決定した節電制御段階に基いて前記省エネ制御テーブルを参照し自己の駅舎の電気設備に対して需要電力を減らす指示を出力する機能および前記協調制御装置からの制御指令に応じて自己の駅舎の電気設備に対して需要電力を減らす指示を出力する機能を有する電力抑制手段と、を備え、
前記協調制御装置は、前記複数の局所デマンド制御装置から取得した受電電力値の合計値が予め設定されている値を超えた場合に、取得した制御状態情報に基づいて協調制御の節電制御段階と各駅舎の節電制御段階とを加算して合計節電制御段階を算出し、最も合計節電制御段階の低い駅舎を抽出して、対応する局所デマンド制御装置へ節電制御段階を上げる制御指令を送出するように構成されていることを特徴とする複数駅における電力協調制御システム。 - 前記省エネ制御テーブルには、対応する駅舎の電気設備のうち予め設定された複数のエリアごとにこれらのエリアに配置されている電気設備の節電率に関する情報が記述されており、
前記局所デマンド制御装置は、自らの節電制御段階を決定し決定した節電制御段階または前記協調制御装置からの制御指令により指定された節電制御段階に基づいて自己の駅舎の電気設備の需要電力を決定する際に、前記省エネ制御テーブルを参照して、エリアごとに各エリアの電気設備の節電量を決定して、電気設備に対して節電の指示を出力することを特徴とする請求項1に記載の複数駅における電力協調制御システム。 - 前記電気設備には、少なくとも照明機器と空調機器が含まれており、
前記省エネ制御テーブルにおいては、照明機器と空調機器とで異なる節電率が節電制御段階ごとに記述されていることを特徴とする請求項2に記載の複数駅における電力協調制御システム。 - 二次電池および該二次電池の充放電制御手段を備えた蓄電装置が前記配電線路に接続されてなり、
前記協調制御装置は、前記複数の局所デマンド制御装置から取得した受電電力値の合計値が予め設定されている値を超えた場合に、前記充放電制御手段に対して放電を開始する指令を送出するように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複数駅における電力協調制御システム。 - 前記充放電制御手段は、少なくとも充放電の状態および充電量を表わす情報を前記協調制御装置へ送信する機能を備え、
前記協調制御装置は、前記複数の局所デマンド制御装置から取得した受電電力値の合計値が予め設定されている値を超えた場合に、前記蓄電装置の充電量が所定値以上であることを条件に放電を開始する指令を生成し、前記充放電制御手段に対して送出するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の複数駅における電力協調制御システム。
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