JP2019128918A - 演算装置、演算管理装置及びプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】電磁界解析の演算を同時並列化する。【解決手段】演算装置は、時間変化する波形についての演算の時間軸における起点である初期時刻を取得する初期時刻取得部と、初期時刻取得部によって取得される初期時刻における波形についての演算結果である初期値を、逆ラプラス変換法による離散的な時間応答解析によって算出する演算部と、演算部によって算出された初期値を出力する出力部と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、演算装置、演算管理装置及びプログラムに関する。
近年、FDTD法(Finite−Difference Time−Domain method; FDTD method)などの、Maxwell方程式(以下、マクスウェルの方程式とも称する。)を時間・空間で差分化して解く有限差分時間領域法を用いた電磁界解析手法がある(例えば、特許文献1を参照)。この従来技術においては、複数台の演算装置によって並列演算することにより、大規模な電磁界解析を行うことが開示されている。
特開2009−053075号公報
しかしながら、上述の従来技術によると、並列演算の結果が他の演算に影響することがあり、このような場合には、並列化された他の演算の結果を待つ必要が生じるため、複数台の演算装置による同時並列演算ができないという問題があった。
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、電磁界解析の演算を同時並列化することができる演算装置、演算管理装置及びプログラムを提供することにある。
本発明の一実施形態は、時間変化する波形についての演算の時間軸における起点である初期時刻を取得する初期時刻取得部と、前記初期時刻取得部によって取得される前記初期時刻における前記波形についての演算結果である初期値を、逆ラプラス変換法による離散的な時間応答解析によって算出する演算部と、前記演算部によって算出された前記初期値を出力する出力部と、を備える演算装置である。
また、本発明の一実施形態は、上述の演算装置において、前記逆ラプラス変換法とは、FILT法である。
また、本発明の一実施形態は、上述の演算装置において、前記演算部は、算出された前記初期値に基づく時間軸に沿った逐次演算によって、前記波形についての所定の演算時間幅ぶんの演算結果を算出し、前記出力部は、前記演算時間幅毎に前記演算部によって算出された前記演算結果を出力する。
また、本発明の一実施形態は、上述の演算装置において、前記演算時間幅が、前記演算部の演算性能に基づいて定められている。
また、本発明の一実施形態は、複数の前記演算装置に対して、前記演算装置ごとに互いに異ならせた前記初期時刻を演算条件として供給する演算条件供給部と、供給された前記初期時刻に基づいて、複数の前記演算装置がそれぞれ算出する前記初期値を取得する演算結果取得部と、前記演算結果取得部が取得する複数の前記初期値を統合する統合部と、を備える演算管理装置である。
また、本発明の一実施形態は、上述の演算管理装置において、それぞれの前記演算装置が備える前記演算部の演算性能に基づいて、前記初期時刻からの演算時間幅を前記演算装置ごとに算出する演算時間幅算出部をさらに備え、前記演算条件供給部は、前記演算時間幅算出部が算出する前記演算時間幅を、前記演算条件として前記演算装置に供給する。
また、本発明の一実施形態は、演算装置が備えるコンピュータに、時間変化する波形についての演算の時間軸における起点である初期時刻を取得する初期時刻取得ステップと、前記初期時刻取得ステップにおいて取得される前記初期時刻における前記波形についての演算結果である初期値を、逆ラプラス変換法による離散的な時間応答解析によって算出する演算ステップと、前記演算ステップにおいて算出された前記初期値を出力する出力ステップと、を実行させるためのプログラムである。
この発明によれば、電磁界解析の演算を同時並列化することができる演算装置、演算管理装置及びプログラムを提供することができる。
本実施形態の演算装置の構成の一例を示す図である。 本実施形態の演算装置の演算結果の一例を示す図である。 本実施形態の演算部による演算に用いられる微小直方体の一例を示す図である。 電界及び磁界の時間配置の割り当ての一例を示す図である。 本実施形態の解析対象物の一例を示す図である。 本実施形態の演算システムの構成の一例を示す図である。 本実施形態の演算システムの動作の一例を示す図である。 本実施形態の演算装置による並列演算の演算結果一例を示す図である。 本実施形態の複数の演算装置によって算出される応答波形の具体例を示す図である。 従来手法により1台の演算装置によって算出される応答波形の具体例を示す図である。
[実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態の演算装置10の構成の一例を示す図である。
[演算装置の構成]
演算装置10は、例えばパーソナルコンピュータなどの情報処理装置であって、供給される情報に基づいて演算を行い、演算結果を出力する。
演算装置10による演算の一例について説明する。この一例における演算装置10は、解析領域内のある位置における応答波形fwを算出する。例えば、演算装置10は、電磁波を放射するアンテナを波源とし、波源から放射される電磁波が入射する物体(例えば、球体や円筒体)を散乱体として、この波源及び散乱体を含む解析領域が与えられた場合に、解析領域内のある位置における電界強度の時間変化である応答波形fwを算出する。
なお、以下の説明において、応答波形fwを電磁界強度の時間変化を示すグラフとして表現するが、応答波形fwは、電磁界強度の時間変化を示す情報であればその表現形式は問わない。例えば、応答波形fwは、電磁界の空間分布や電磁界を、2次元平面内や3次元空間内の分布図などの形式によって示す情報であってもよい。
また、以下の説明において、解析領域に散乱体が含まれる場合を一例にして説明するが、これに限られない。例えば、解析領域には、電波を吸収する吸収体や、電波を放射する放射体などが含まれていてもよい。
より具体的には、演算装置10には、演算対象情報MDLと、初期時刻t0と、演算時間幅twとが、上位装置(不図示)から演算条件OCとして供給される。演算装置10は、供給される演算条件OCに基づいて応答波形fwを求める演算を行い、求めた応答波形fwを演算結果RSとして上位装置に出力する。この一例の場合、演算対象情報MDLには、波源から放射される電磁波の電磁界分布、散乱体の形状、相対位置、誘電率、透磁率など応答波形の解析に必要な諸情報が含まれる。演算装置10による演算結果RSの一例について、図2を参照して説明する。
図2は、本実施形態の演算装置10の演算結果RSの一例を示す図である。演算装置10は、応答波形fwを演算結果RSとして出力する。この一例において、応答波形fwとは、解析領域内のある位置における電界強度の時間変化である。この場合、応答波形fwは、横軸が時間(単位:fs(フェムト秒))、縦軸が電界強度(単位:V/m)によって示される。
演算装置10は、応答波形fwのうち、ある演算時間幅tw(例えば、初期時刻t0から時刻t1まで)についての波形を算出する。ここで、初期時刻t0とは、演算時間幅の開始時刻である。初期時刻t0における応答波形fwの値(例えば、電界強度)を初期値f0ともいう。
つまり、演算装置10は、初期時刻t0から演算時間幅twぶんの応答波形fwを算出し、算出した応答波形fwを演算結果RSとして出力する。
図1に戻り演算装置10の構成について説明を続ける。演算装置10は、演算条件取得部110と、演算部120と、出力部130とを備える。
演算条件取得部110は、上位装置(不図示)から演算条件OCとして供給される演算対象情報MDLと、初期時刻t0と、演算時間幅twとを取得する。
演算部120は、演算条件取得部110が取得する演算条件OCに基づいて、初期値f0と応答波形fwとを算出する。
出力部130は、算出した初期値f0と応答波形fwとを、上位装置(不図示)に対して出力する。
[演算の具体例]
演算部120が行う演算の具体例について説明する。本実施形態の演算部120は、初期時刻t0における初期値f0の算出と、初期時刻t0以降における応答波形fwの算出とを、それぞれ異なる算出方法によって行う。まず、初期時刻t0以降における応答波形fwの算出について説明する。
[演算例(1)FDTD法]
演算部120は、FDTD法によって応答波形fwを算出する。
図3は、本実施形態の演算部120による演算に用いられる微小直方体の一例を示す図である。演算部120は、与えられた解析領域全体を、同図に示す微小直方体(例えば、Yee格子)によって分割する。ここで、同図のE(斜体)は電界を、H(斜体)は磁界を示す。電界E及び磁界Hの添え字xyz(いずれも斜体)は、それぞれx軸方向成分、y軸方向成分、z軸方向成分を示す。演算部120は、分割された微小直方体のそれぞれについてMaxwell方程式(式(1)及び式(2))を適用して、時間及び3次元空間のそれぞれについて定式化した結果を用いて、演算を行う。具体的には次の通りである。
Figure 2019128918
Figure 2019128918
まず、時間についての差分を求める。式(1)及び式(2)に示すファラデーの法則及びアンペアの法則の時間微分項についてまとめると式(3)及び式(4)のようになる。
Figure 2019128918
Figure 2019128918
図4は、電界E及び磁界Hの時間配置の割り当ての一例を示す図である。
次に、図4に示すような電界E及び磁界Hの時間配置を、時間軸tに対して割り当て、中心差分を行うと、式(3)及び式(4)は、式(5)及び式(6)となる。
Figure 2019128918
Figure 2019128918
ここで式(6)のEn−1/2は定義されていないので式(7)のように近似する。
Figure 2019128918
式(6)のEn−1/2を式(7)によって近似し、式(6)の右辺第一項に代入することにより、式(8)が得られる。
Figure 2019128918
式(5)及び式(8)についてまとめると、式(9)〜式(11)になる。
Figure 2019128918
Figure 2019128918
Figure 2019128918
以上により、時間についての定式化が完了する。
次に3次元空間についての定式化を行う.式(9)と式(10)を(電界Ex、電界Ey、電界Ez、磁界Hx、磁界Hy、磁界Hz)の6成分に分け図4に示した電磁界の空間配置を適用して定式化すると以下のようになる。なお、以下の式(12)〜式(19)において電界E及び磁界Hの記号には斜体表記を用いる。
Figure 2019128918
Figure 2019128918
Figure 2019128918
Figure 2019128918
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Figure 2019128918
Figure 2019128918
Figure 2019128918
演算部120は、以上のようにして時間及び3次元空間について定式化された演算式を、与えられた初期値f0に対して適用することにより、初期時刻t0以降における応答波形fwを算出する。
[演算例(2)数値逆ラプラス変換法(FILT法)]
演算部120は、数値逆ラプラス変換法(FILT法;Fast Inverse Laplace Transform method)によって応答波形fwを算出する。なお、数値逆ラプラス変換法は、NILT法(Numerical Inverse Laplace Transform method)とも称される。
複素周波数領域の関数F(s)は、数値逆ラプラス変換法(FILT法)により時間領域に変換できる。この数値逆ラプラス変換法(FILT法)は、逆ラプラス変換法による離散的な時間応答解析の一例である。一般的に、逆ラプラス変換はBromwich積分より以下の式で定義される。
Figure 2019128918
FILT法では式(22)の指数関数について、以下の式(23)による近似を行う。
Figure 2019128918
ここで、αは近似の精度でありFILT法における有効桁数を示す。式(23)を式(22)に代入して、逆ラプラス変換を式(24)の無限級数で表わす。
Figure 2019128918
ただし、
Figure 2019128918
である。
式(24)の無限級数を数値計算のため有限の項数で打ち切り、式(26)を得る。
Figure 2019128918
ここで、式(26)におけるM(斜体)は、FILT法における打ち切り項数である。式(26)は、交代級数であるためEuler変換を適用することにより、式(27)に変換される。
Figure 2019128918
ここで、
Figure 2019128918
であり、p(斜体)は、Euler変換の項数を示す。式(27)は、ある観測時刻において他の観測時刻とは互いに独立に計算が可能であり、各観測時刻での電磁界を容易に並列計算できる。
また、FILT法における誤差は式(23)の近似より以下の式(29)で表せる。
Figure 2019128918
式(29)より、近似のパラメータに対し、計算誤差は指数関数的に減少する。また、主に第一項が計算誤差となり、その誤差は、10−αとして見積れる。
[演算例(3)FDCFD−FILT法]
一般的なFDFD法(Finite−Difference Frequency−Domain method)では、上述したFDTD法と同様の空間メッシュ分割を用いつつ、周波数領域において行列方程式を解く。本実施形態の演算部120は、FDFD法を複素周波数領域に拡張したFDCFD法(Finite−Difference Complex Frequency−Domain method)と上述のFILT法とを用いる。この複素周波数領域でのMaxwell方程式は、式(30)及び式(31)によって示される。
Figure 2019128918
Figure 2019128918
このFDCFD法のアルゴリズムの定式化について、2次元の場合について説明する。
計算空間を離散化するために、式(30)及び式(31)は次の式(32)〜式(35)に示す形式に書き換えることができる。
Figure 2019128918
Figure 2019128918
Figure 2019128918
Figure 2019128918
計算空間全体に対して同様の手順を適用するために、式(36)に示す行列形式の連立方程式を用いる。
Figure 2019128918
ここで、式(37)に示すように、金属の周波数分散を表すために、複素周波数s領域の複素誘電率をLorentz−Drudeによって示す。
Figure 2019128918
ここで、ωpはプラズマ周波数、kは、共振周波数ωj、媒質固有の定数fj、衝突周波数Γjである振動子の数である(式中の記号はいずれも斜体)。上述の連立方程式を解くことにより、複素周波数領域の電磁界を求めることができる。複素周波数領域における式(36)の解x(斜体)は、上述したFILT法を適用することによって時間領域に変換することができる。ここで、本実施形態のアルゴリズムにおいて、Bromwich積分の指数関数は次の式(38)によって近似することができる。
Figure 2019128918
ここで、αは、近似パラメータである。Bromwich積分に式(38)を代入すると、式(39)が得られる。
Figure 2019128918
ここで、
Figure 2019128918
Figure 2019128918
である。式(39)の無限級数を、数値計算のため有限の項数で打ち切り、Euler変換を適用することにより、逆ラプラス変換を示す式(42)を得る。
Figure 2019128918
ここで、
Figure 2019128918
Figure 2019128918
であり、p(斜体)は、Euler変換の項数を示す。式(42)は、ある観測時刻において他の観測時刻とは互いに独立に計算が可能であり、各観測時刻での電磁界を容易に並列計算できる。
[演算例(4)複素周波数領域の積分方程式法]
本演算例において、散乱体はPEC(Perfect Electric Conductor)球であり、導体の厚さはゼロであり、開口は球面座標の範囲内に存在する(すなわち、球表面の一部に開口がある)と仮定する。このPEC球に対する入射波を式(45)に示す。
Figure 2019128918
ここで、
Figure 2019128918
である。また、正規化された複素周波数S=s(εμ1/2a、正規化された距離R=r/a、aは散乱体を取り囲む球の半径、θin及びφinは入射角、E^(イーゼロ・ハット)は入射波のスペクトルである。
この一例の場合、複素周波数領域における電界積分方程式は、式(47)で与えられる。
Figure 2019128918
ここで、J(R)は未知の表面電流分布、t^(ティー・ハット)は散乱体の表面上の単位接線ベクトルであり、
Figure 2019128918
Figure 2019128918
である。散乱体の表面は三角形領域で分割され、式(51)に示すRWG(Rao‐Wilton‐Glisson)基底関数などを使用して拡張される。すなわち、電流密度Jは、RWG基底関数などを使用して式(50)のように展開される。
Figure 2019128918
ここで、Inは未知の展開係数、Nは未知数の数であり、
Figure 2019128918
である。ここでA 、A は三角形T 及び三角形T の面積、ρ 及びρ は三角形T 及び三角形T の頂点の位置ベクトル、lは辺の長さである。
式(47)は、Inを基に式(50)に置き換えることにより離散化され(すなわち、式(50)のJ(R)を式(51)の基底関数fn(R)と式(50)の展開係数Inを基に置き換えることにより離散化され)、一組のテスト関数が乗算される。既知のモーメント法の手順と同様にして内積を求めることにより、表面電流を得る。表面電流分布に基づき、観測角(θ、φ)における散乱電界Eθ (S)は、式(52)によって示される。
Figure 2019128918
ここで、
Figure 2019128918
Figure 2019128918
この複素周波数領域の関数は、上述したFILT法を適用することにより、時間領域に数値的に変換される。
[演算例(5)静的近似を用いた複素周波数領域の積分方程式]
図5は、本実施形態の解析対象物の一例を示す図である。本演算例において、解析対象物は同図に示す一様な金属で構成される任意形状物体とする。具体的には、同図に示すように、解析対象物は、任意形状の金属を分割した金属物体mtで構成され、そのサイズは入射波長に対し0.1倍以下とする。
金属の誘電率は、Lorentz−Drudeモデルとし式(55)により定義する。
Figure 2019128918
ここで、sは複素周波数、ωはプラズマ周波数、ωは共振周波数、νとνとは衝突周波数、AとAとは媒質固有の定数、Kは振動子の個数である(式中の記号はいずれも斜体)。解析対象物の誘電率が負であり、解析対象物のサイズが入射波長に比べ十分小さい場合には、解析対象物近傍の電磁界が増強されるプラズモン共鳴が観測できる。
定式化を行うにあたり、散乱電磁界および入射界を式(56)で表わす。
Figure 2019128918
解析対象物が入射波長に比べ十分小さいとし、静的近似を用いることで式(56)を式(57)、式(58)に展開する。
Figure 2019128918
Figure 2019128918
ここで、β=s(εμ1/2d、dは解析対象物のサイズを表す。式(57)及び式(58)において0次項は式(59)の境界条件を満足する。
Figure 2019128918
ただし、E ±=ε−1/2 ±、fin^(s)(エフイン・ハット・エス)は入射波のスペクトル、nは単位法線ベクトルを示す。また、この静的近似により、解析対象物の境界面における電界の法線方向成分は未知表面電荷密度σ^(シグマ・ハット)を用いて以下の式(60)で表わせる。
Figure 2019128918
ただし、Ωは解析対象物表面を示す。
次に、境界面における電束密度の法線方向成分連続の条件より、式(61)に示す境界型積分方程式が得られる。
Figure 2019128918
ここで、
Figure 2019128918
である。
次に、未知電荷密度を基底関数j^(ジェイ・ハット・アイ)により近似展開する。
Figure 2019128918
は未知展開係数、Nは未知数の数を示す。式(61)を式(62)と試行関数t^(ティー・ハット・アイ)により離散化し、式(64)の連立一次方程式が得られる。
Figure 2019128918
ただし、
Figure 2019128918
Figure 2019128918
式(64)の連立一次方程式の求解より、未知電荷密度を得る。
連立一次方程式の求解に反復法を用いた場合、BIEM(Boundary Integral Equation Method;境界型積分方程式法)では計算時間と計算機メモリが未知数N(斜体)の2乗のオーダO(N^2)に比例する(ここで、N^2はNの2乗を示す)。MM(Fast Multipole Method;高速多重極法)による高速化を行うためには、解析対象物をボックス分割する(図5を参照)。ここで、自由空間中のグリーン関数を以下の式(67)で表現する。
Figure 2019128918
ただし、rとrm’とはグループmとm’との中心までの距離ベクトルであり、
Figure 2019128918
Figure 2019128918
である。LはFMMにおける打ち切り項数を示す。要素間の相互作用は、互いに近接したボックス内に属する場合は式(64)の行列要素を直接計算する。それ以外の場合は、式(67)を用いて計算をグループ化して行うことが可能になる。これにより、ボックス分割を2回行うレベル2における計算量はO(N1.5)、さらにボックス分割を行う多重レベル拡張時ではO(N)まで計算量を低減できる。
また、固有モード解析のため、式(61)は以下の固有方程式に変換される。
Figure 2019128918
ここで、
Figure 2019128918
であり、kはモードナンバー、λは固有値であり、式(70)を解くことで得る。また、共振時における誘電率εは式(71)の関係より得られる。表面電荷の時間変化を表わすため、電荷密度を以下の式で展開する。
Figure 2019128918
ここで、a(t)は展開係数を示す。ラプラス変換により式(72)を複素周波数領域にて展開することで次式を得る。
Figure 2019128918
ここで、
Figure 2019128918
Figure 2019128918
これより得られたσ(r、s)をFILT法により時間領域に変換する。
[演算例(6)複素周波数領域の厳密解]
自由空間中に置かれたz軸に一様な二次元誘電体円柱の問題を解析する場合について説明する。入射波はz軸方向にのみ磁界成分を持つH波とし、円柱を構成する様々な媒質に対して、複素周波数領域における厳密解を求める。入射平面波Hz(i)に対する散乱電磁界Hz(s),Eφ(s)、Er(s)は式(76)〜式(80)によって表せる。
Figure 2019128918
Figure 2019128918
Figure 2019128918
Figure 2019128918
Figure 2019128918
ここで、H(s):入射波形、A:散乱係数、I(・):第一種変形Bessel関数、K(・):第二種変形Bessel関数、r:観測距離、θ:観測角、φ:入射角、ε:真空中の誘電率、μ:真空中の透磁率、Z:真空中の波動インピーダンスである(いずれも斜体)。散乱係数Aは、誘電体円柱を構成する媒質に対する境界条件を考慮することで、以下のように求まる。
1)完全導体の場合
Figure 2019128918
ここで、a:円柱の半径である。
2) 誘電体の場合
Figure 2019128918
Figure 2019128918
ここで、ε:円柱の誘電率、ε:円柱の比誘電率、μ:円柱の透磁率、μ:円柱の比透磁率である。
3) 完全導体に誘電体コーティングした場合
Figure 2019128918
Figure 2019128918
Figure 2019128918
ここで、b:内部円柱の半径、a:外部円柱の半径、ε:外部円柱の誘電率、εr1:外部円柱の比誘電率、μ:外部円柱の透磁率、μr1:外部円柱の比透磁率である。
4) 2層誘電体の場合
Figure 2019128918
Figure 2019128918
Figure 2019128918
Figure 2019128918
ここで、ε:内部円柱の誘電率、εr2:内部円柱の比誘電率、μ:内部円柱の透磁率、μr2:内部円柱の比透磁率である。
[演算システムの全体構成]
次に、図6を参照して本実施形態の演算システム1の全体構成について説明する。
図6は、本実施形態の演算システム1の構成の一例を示す図である。演算システムは、1、複数台の演算装置10と、演算管理装置20と、記憶装置30とを備える。本実施形態の一例では、演算装置10−1から演算装置10−n(nは自然数。)までのn台の演算装置10を利用して、応答波形fwを算出する場合について説明する。
演算管理装置20は、演算装置10に対して演算条件OCを供給し、この演算条件OCに基づいて演算装置10が求めた演算結果RSを取得する。演算管理装置20は、複数台の演算装置10に対して、互いに異なる初期時刻t0を供給して演算させることにより、1つの応答波形fwを複数台の演算装置10に並列演算させる。
この演算管理装置20は、取得部210と、演算時間幅算出部220と、演算条件供給部230と、演算結果取得部240と、統合部250とを備える。
取得部210は、不図示の上位装置から演算対象情報MDLと並列装置数NPCとを取得する。ここで、並列装置数NPCとは、応答波形fwを算出する演算装置10の並列数である。
演算時間幅算出部220は、取得部210が取得した並列装置数NPCと、それぞれの演算装置10の演算性能CPとに基づいて、各演算装置10に担当させる演算時間幅twを演算装置10ごとに算出する。ここで、演算性能CPは、予め記憶装置30に記憶されていてもよいし、演算管理装置20が演算装置10に問い合わせることにより取得されてもよい。演算時間幅算出部220は、演算装置10ごとに算出した演算時間幅twに基づいて、各演算装置10の演算の初期時刻t0を演算装置10ごとに算出する。
演算条件供給部230は、演算条件OCを各演算装置10に供給する。この演算条件OCには、演算時間幅算出部220が算出した初期時刻t0と、演算時間幅twとが含まれる。具体的には、演算条件供給部230は、演算装置10−1に対して、初期時刻t0−1と、演算時間幅tw−1とを含む演算条件OC1を供給する。演算条件供給部230は、演算装置10−2に対して、初期時刻t0−2と、演算時間幅tw−2とを含む演算条件OC2を供給する。同様に、演算条件供給部230は、演算装置10−nに対して、初期時刻t0−nと、演算時間幅tw−nとを含む演算条件OCnを供給する。
各演算装置10は、演算管理装置20から供給される演算条件OCに基づいて、応答波形fwを演算結果RSとして算出する。演算装置10は、算出した演算結果RSを演算管理装置20に対して供給する。具体的には、演算装置10−1は、演算結果RS1を演算管理装置20に対して供給する。演算装置10−2は、演算結果RS2を演算管理装置20に対して供給する。同様にして、演算装置10−nは、演算結果RSnを演算管理装置20に対して供給する。
演算結果取得部240は、各演算装置10から供給される演算結果RSを取得する。この演算結果RSには、各演算装置10に割り当てた演算時間幅twぶんの応答波形fwの算出結果が含まれている。
統合部250は、演算結果取得部240が、演算装置10からそれぞれ取得した複数の演算結果RSを統合する。
[演算システムの動作]
次に、図7を参照して、演算システム1の動作の一例について説明する。
図7は、本実施形態の演算システム1の動作の一例を示す図である。
(ステップS10)取得部210は、演算対象情報MDLを取得する。
(ステップS20)取得部210は、並列装置数NPCを取得する。ここでは、一例として4台の演算装置10によって並列演算する場合について説明する。この場合、並列装置数NPCは「4」である。
(ステップS30)取得部210は、記憶装置30から演算性能情報を取得する。この演算性能情報は、演算装置10の演算性能CPを演算装置10ごとに示す。この一例では、4台の演算性能CPが同等である場合について説明する。
(ステップS40)演算時間幅算出部220は、ステップS20において取得された並列装置数NPCと、ステップS30において取得された演算性能情報とに基づいて、演算装置10ごとの演算時間幅twを算出する。演算時間幅算出部220が算出する演算時間幅twの具体例について、図8を参照して説明する。
図8は、本実施形態の演算装置10による並列演算の演算結果RS一例を示す図である。本実施形態の一例において、4台の演算装置10(演算装置10−1〜演算装置10−4)が並列演算する場合について説明する。演算管理装置20は、開始時刻tsから終了時刻teまでを演算対象として、演算時間幅twの分割を行う。この一例の場合、4台の演算装置10が同等の演算性能CPを有している。このため、演算時間幅算出部220は、開始時刻tsから終了時刻teまでを均等に4分割することにより、演算時間幅twを分割する。具体的には、演算時間幅算出部220は、開始時刻tsから終了時刻teまでを演算時間幅tw−1、演算時間幅tw−2、演算時間幅tw−3、演算時間幅tw−4に4等分する。ここで、演算時間幅tw−1とは、演算装置10−1に割り当てられる演算時間幅twである。同様に、演算時間幅tw−2〜−4とは、演算装置10−2〜−4に割り当てられる演算時間幅twである。
すなわち、演算管理装置20は、演算時間幅算出部220を備えている。この演算時間幅算出部220は、それぞれの演算装置10が備える演算部120の演算性能CPに基づいて、初期時刻t0からの演算時間幅twを演算装置10ごとに算出する。
すなわち、演算時間幅算出部220は、演算部120の演算性能CPに基づいて演算時間幅twを算出する。つまり、演算時間幅twが、演算部120の演算性能CPに基づいて定められている。
演算時間幅算出部220は、分割した演算時間幅tw−1〜−4を時系列に並べ、それぞれの演算時間幅twの開始時刻を、初期時刻t0として算出する。具体的には、演算時間幅算出部220は、演算時間幅tw−1の開始時刻を初期時刻t0−1とし、演算時間幅tw−2の開始時刻を初期時刻t0−2とし、演算時間幅tw−3の開始時刻を初期時刻t0−3とし、演算時間幅tw−4の開始時刻を初期時刻t0−4とする。
(ステップS50)図7に戻り、演算条件供給部230は、演算対象情報MDLと、演算時間幅算出部220が上述のようにして算出した演算時間幅tw及び初期時刻t0とを演算条件OCとして各演算装置10に供給する。より具体的には、演算時間幅算出部220は、演算対象情報MDLと演算時間幅tw−1及び初期時刻t0−1とを演算装置10−1に供給する。同様にして演算条件供給部230は、演算対象情報MDLと演算時間幅tw−2及び初期時刻t0−2とを演算装置10−2に、演算対象情報MDLと演算時間幅tw−3及び初期時刻t0−3とを演算装置10−3に、演算対象情報MDLと演算時間幅tw−4及び初期時刻t0−4とを演算装置10−4に、それぞれ供給する。
すなわち、演算条件供給部230は、複数の演算装置10に対して、演算装置10ごとに互いに異ならせた初期時刻t0を演算条件OCとして供給する。
また、演算条件供給部230は、演算時間幅算出部220が算出する演算時間幅twを、演算条件OCとして演算装置10に供給する。
各演算装置10は、演算管理装置20から供給された演算条件OCに基づいて、応答波形fwを演算結果RSとして算出する。これら演算装置10が算出する応答波形fwについて、再び図8を参照して説明する。
各演算装置10の演算条件取得部110は、初期時刻t0を取得する。ここで、初期時刻t0とは、時間変化する応答波形fwについての演算の時間軸における起点である。
各演算装置10は、初期時刻t0における初期値f0を算出する。また、各演算装置10は、算出した初期値f0に基づいて、演算時間幅twぶんの応答波形fwを算出する。より具体的には、演算装置10−1は、初期時刻t0−1における初期値f0−1を算出する。また、演算装置10−1は、初期値f0−1に基づいて、演算時間幅tw−1ぶんの応答波形fw1を算出する。演算装置10−2〜−4は、演算装置10−1と同様にして応答波形fw−2〜−4を算出する。
ここで、演算装置10の演算部120は、上述したFDCFD−FILT法によって、初期値f0を算出する。すなわち、演算装置10は、逆ラプラス変換法による離散的な時間応答解析によって初期値f0を算出する。ここで、初期値f0とは、演算条件取得部110によって取得される初期時刻t0における応答波形fw(波形)についての演算結果RSである。また、ここでいう逆ラプラス変換法とは、FILT法である。
また、演算装置10の出力部130は、演算部120によって算出された初期値f0を出力する。
また、演算装置10の演算部120は、上述したFDTD法によって、初期時刻t0以降の演算時間幅twぶんの応答波形fwを算出する。すなわち、演算装置10は、算出された初期値f0に基づく時間軸に沿った逐次演算によって、応答波形fwについての所定の演算時間幅twぶんの演算結果RSを算出する。
また、演算装置10の出力部130は、演算時間幅tw毎に演算部120によって算出された演算結果RSを出力する。
(ステップS60)図7に戻り、演算結果取得部240は、各演算装置10が算出した初期値f0及び応答波形fw、すなわち演算結果RSを取得する。具体的には、演算結果取得部240は、演算装置10−1から初期値f0−1と応答波形fw1とを取得する。これと同様にして、演算結果取得部240は、演算装置10−2から初期値f0−2と応答波形fw2とを、演算装置10−3から初期値f0−3と応答波形fw3とを、演算装置10−4から初期値f0−4と応答波形fw4とを、それぞれ取得する。
すなわち、演算結果取得部240は、供給された初期時刻t0に基づいて、複数の演算装置10がそれぞれ算出する初期値f0を取得する。
(ステップS70)統合部250は、ステップS60において各演算装置10から取得された、分割された応答波形fw(この具体例では、応答波形fw1〜fw4)を1つの応答波形fwに統合する。すなわち、統合部250は、演算結果取得部240が取得する複数の初期値f0を統合する。
[実施形態のまとめ]
以上説明したように、初期時刻t0が与えられた場合において、演算装置10は、初期時刻t0における応答波形fwの初期値f0を逆ラプラス変換法による離散的な時間応答解析によって算出する。
一般に、応答波形fwの初期値f0が求められれば、初期時刻t0以降の応答波形fwは、時間軸に沿った逐次演算(例えば、上述したFDTD法)によって求めることができる。しかしながら、上述したFDTD法によって、ある初期時刻t0における初期値f0を求める場合には、初期時刻t0よりも前(過去)の時間軸に沿った逐次演算の結果が必要になる。つまり、従来の手法によると、任意の初期時刻t0が与えられた場合において、この初期時刻t0における応答波形fwの値(つまり、初期値f0)を求めることは困難である。
本実施形態の演算装置10は、s領域において演算を行った結果を逆ラプラス変換によってt領域に逆変換することにより、離散的な時間応答解析を行う。このため、演算装置10は、任意の初期時刻t0が与えられた場合に、この初期時刻t0における応答波形fwの値(つまり、初期値f0)を数値演算によって求めることができる。つまり、演算装置10は、応答波形fwの一部のみを数値演算によって求めることができる。
本実施形態の演算装置10は、逆ラプラス変換法による離散的な時間応答解析によって算出するため、他の演算装置10の演算結果を参照することなく初期値f0を算出することができる。したがって、本実施形態の演算装置10を複数台並列化した場合には、各演算装置10が初期値f0を他の演算装置10と同時並列に算出することができる。つまり、本実施形態の演算装置10によれば、応答波形fwの初期値f0の演算を同時並列化することができる。
また、本実施形態の演算装置10は、逆ラプラス変換における数値演算についてFILT法を採用している。逆ラプラス変換は一般的には困難な演算であるが、本実施形態の演算装置10によれば、逆ラプラス変換における数値演算を容易に行うことができる。
また、本実施形態の演算装置10によれば、演算装置10の並列化を容易にすることができる。すなわち、本実施形態の演算装置10は、上述したように、初期時刻t0が与えられれば、この初期時刻t0における初期値f0(つまり、応答波形fwの一部)を数値演算によって求めることができる。このため、複数の演算装置10に対して、互いに異なる初期時刻t0を与えることにより、各演算装置10がこの演算装置10に対する初期値f0を算出することができる。例えば、演算装置10−1〜−4の4台の演算装置10に対して、初期時刻t0−1〜−4を与えることにより、演算装置10−1は、初期値f0−1を、演算装置10−2は初期値f0−2を、演算装置10−3は初期値f0−3を、演算装置10−4は初期値f0−4をそれぞれ算出する。ここで、各演算装置10は、逆ラプラス変換法による離散的な時間応答解析によって他の演算装置10とは独立して初期値f0を算出する。つまり、演算装置10は、他の演算装置10の演算結果を参照せずに初期値f0を算出することができる。したがって、演算装置10は、互いに他の演算装置10が初期値f0の演算中であったとしても、他の演算装置10の演算状況によらず、初期値f0を算出することができる。つまり、演算装置10は、他の演算装置10の演算状況によらず、個別に初期値f0(すなわち、応答波形fwの一部)を算出することができるため、演算装置10の並列化を容易にすることができる。
また、本実施形態の演算装置10は、算出された初期値f0に基づく時間軸に沿った逐次演算によって、応答波形fw(波形)についての所定の演算時間幅twぶんの演算結果RSを算出する。このように構成することにより、演算装置10は、初期値f0のみならず、初期時刻t0以降の時間幅の応答波形fwをも算出することができる。また、演算装置10は、初期時刻t0以降の時間幅の応答波形fwを、従来手法(例えば、FDTD法)によって算出するため、既存の演算ソフトウエアを流用することができ、演算ソフトウエアを流用できない場合に比べて簡便に演算ソフトウエアを構成することができる。
また、本実施形態の演算装置10において、演算時間幅twが、演算部120の演算性能CPに基づいて定められている。したがって、応答波形fwの算出を並列化した場合に、比較的高性能な演算装置10にはより多くの演算時間幅twを割り当て、比較的低性能な演算装置10にはより少ない演算時間幅twを割り当てることができる。ここで、高性能な演算装置10は演算速度が相対的に速く、低性能な演算装置10は演算速度が相対的に遅い。各演算装置10は、演算性能CPに基づく演算時間幅twを受け持つことにより、例えば、低性能な演算装置10に対して多くの演算時間幅twが割り当てられることにより演算時間が長くなってしまうなど問題の発生を低減することができる。
また、本実施形態の演算管理装置20は、演算条件供給部230と、演算結果取得部240と、統合部250とを備えている。演算条件供給部230は、複数の演算装置10に対して、演算装置10ごとに互いに異ならせた初期時刻t0を演算条件OCとして供給する。演算結果取得部240は、供給された初期時刻t0に基づいて、複数の演算装置10がそれぞれ算出する初期値f0を取得する。統合部250は、各演算装置10が演算した複数の初期値f0(すなわち、応答波形fwの一部)を1つの応答波形fwに統合する。この本実施形態の演算管理装置20によれば、演算装置10の並列化を容易にすることができる。
また、本実施形態の演算管理装置20は、演算時間幅算出部220を備えている。この演算時間幅算出部220は、それぞれの演算装置10が備える演算部120の演算性能CPに基づいて、初期時刻t0からの演算時間幅twを演算装置10ごとに算出する。この演算時間幅算出部220を備えることにより、応答波形fwの算出を複数の演算装置10によって並列化した場合に、比較的高性能な演算装置10にはより多くの演算時間幅twを割り当て、比較的低性能な演算装置10にはより少ない演算時間幅twを割り当てることができる。このように演算管理装置20は、演算時間幅算出部220が各演算装置10に割り当てる演算時間幅twを演算装置10ごとに算出することにより、それぞれの演算装置10による演算時間を演算装置10ごとに調整することができる。例えば、演算管理装置20は、低性能な演算装置10に対して少ない演算時間幅twを割り当て、高性能な演算装置10に対して多くの演算時間幅twを割り当てることにより、各演算装置10による演算開始から演算終了までの時間(つまり、演算処理時間)を揃えることができる。
以上説明したように、本実施形態の演算装置10や演算管理装置20によれば、応答波形fwを求める演算を複数の演算装置10によって同時並行に行うことが可能になり、1台の演算装置10が応答波形fwを求める場合に比べて、演算装置10の1台あたりの演算負荷を低減することができる。このため本実施形態の演算装置10や演算管理装置20によれば、スーパーコンピュータのような極めて高性能な演算装置10によらなくても妥当な演算処理時間によって応答波形fwを算出することができる。
[演算結果の例]
並列化された複数の演算装置10によって算出される応答波形fwの具体例について、図9を参照して説明する。
図9は、本実施形態の複数の演算装置10によって算出される応答波形fwの具体例を示す図である。この一例では、演算装置10−11〜−16(いずれも不図示)の6台の演算装置10の並列演算によって応答波形fwが算出される。演算時間幅tw11(時刻t1〜時刻t2)について、演算装置10−11が応答波形fw11を算出する。演算時間幅tw12(時刻t2〜時刻t3)について、演算装置10−12が応答波形fw12を算出する。以下同様にして、演算装置10−13〜−16が応答波形fw13〜16をそれぞれ算出する。
演算管理装置20の統合部250は、算出された応答波形fw11〜16を応答波形fwとして統合する。
[従来の演算結果との比較例]
図10は、従来手法により1台の演算装置によって算出される応答波形woの具体例を示す図である。図10の応答波形woは、1台の演算装置が従来手法(例えば、FDTD法)による時間軸に沿った逐次演算によって応答波形woを算出する。図10に示す一例の場合、図9の応答波形fwを求める際に与えられた演算対象情報MDLと同一の演算対象情報MDLが1台の演算装置に対して与えられている。つまり、図9の応答波形fwと、図10の応答波形woとは同一の演算対象情報MDLについての演算の結果である。図9に示した複数の演算装置10による並列演算の結果である応答波形fwと、1台の演算装置による応答波形woとがよく一致していることが示される。つまり、本実施形態の演算装置10及び演算管理装置20によれば、複数台の演算装置10が同時並列演算を行ったとしても、1台の演算装置によって行う従来手法と同一の演算の結果が得られる。
また、1台の演算装置が従来手法(例えば、FDTD法)による時間軸に沿った逐次演算によって応答波形woを算出するための演算処理時間は、90分間であった。一方、これと同一の演算性能CPの演算装置10を利用した場合の、本実施形態の演算手法による実験結果は次の通りである。例えば、4台の演算装置10による並列演算によって応答波形fwを算出する場合、1台の演算装置10が初期値f0を算出するための演算処理時間が5分間であり、演算時間幅twぶんの応答波形fwを算出するための演算処理時間が28分間であった。つまり、本実施形態の演算手法によると、1台の演算装置が10初期値f0の算出と、演算時間幅twぶんの応答波形fwの算出とに要する演算処理時間は、32分間であった。本実施形態の演算装置10は並列化されているため、応答波形fw全体を32分間で算出することができる。したがって、この一例の場合において、本実施形態の演算手法によれば、従来手法の演算処理時間の約35%の演算処理時間によって応答波形fwを算出することができることが示された。
[変形例]
なお、これまで演算装置10は、初期値f0と応答波形fwとを算出するとして説明したが、これに限られない。演算装置10は、初期値f0のみを算出してもよい。演算装置10は、演算対象情報MDLと初期時刻t0とが与えられた場合、逆ラプラス変換法による離散的な時間応答解析によって初期値f0を算出することができる。ここで、並列演算する演算装置10の数は、初期値f0の数に対応する。n台の演算装置10が初期値f0−1〜−nを算出し、算出した初期値f0−1〜−nをプロットしても応答波形fwを得ることができる。初期値f0−1〜−nをプロットすることにより応答波形fwを得れば、演算装置10が応答波形fwを算出しなくても、応答波形fwを得ることができる。つまり、演算装置10は、上述した逆ラプラス変換法による離散的な時間応答解析によって初期値f0を算出すれば、算出された初期値f0に基づく時間軸に沿った逐次演算を行わなくても応答波形fwを得ることができる。
例えば、数万台の演算装置10を並列化すれば、算出された数万点の初期値f0を応答波形fwとしてプロットすることができる。
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。上述した実施形態に記載の構成を組み合わせてもよい。
なお、上記の実施形態における演算装置10及び演算管理装置20が備える各部は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、メモリおよびマイクロプロセッサにより実現させるものであってもよい。
なお、演算装置10及び演算管理装置20が備える各部は、メモリおよびCPU(中央演算装置)により構成され、演算装置10及び演算管理装置20が備える各部の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
また、演算装置10及び演算管理装置20が備える各部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、制御部が備える各部による処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
1…演算システム、10…演算装置、110…演算条件取得部、120…演算部、130…出力部、20…演算管理装置、210…取得部、220…演算時間幅算出部、230…演算条件供給部、240…演算結果取得部、250…統合部、30…記憶装置、MDL…演算対象情報、tw…演算時間幅、f0…初期値、t0…初期時刻、fw…応答波形

Claims (7)

  1. 時間変化する波形についての演算の時間軸における起点である初期時刻を取得する初期時刻取得部と、
    前記初期時刻取得部によって取得される前記初期時刻における前記波形についての演算結果である初期値を、逆ラプラス変換法による離散的な時間応答解析によって算出する演算部と、
    前記演算部によって算出された前記初期値を出力する出力部と、
    を備える演算装置。
  2. 前記逆ラプラス変換法とは、FILT法である
    請求項1に記載の演算装置。
  3. 前記演算部は、
    算出された前記初期値に基づく時間軸に沿った逐次演算によって、前記波形についての所定の演算時間幅ぶんの演算結果を算出し、
    前記出力部は、
    前記演算時間幅毎に前記演算部によって算出された前記演算結果を出力する
    請求項1又は請求項2に記載の演算装置。
  4. 前記演算時間幅が、前記演算部の演算性能に基づいて定められている
    請求項3に記載の演算装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の複数の前記演算装置に対して、前記演算装置ごとに互いに異ならせた前記初期時刻を演算条件として供給する演算条件供給部と、
    供給された前記初期時刻に基づいて、複数の前記演算装置がそれぞれ算出する前記初期値を取得する演算結果取得部と、
    前記演算結果取得部が取得する複数の前記初期値を統合する統合部と、
    を備える演算管理装置。
  6. それぞれの前記演算装置が備える前記演算部の演算性能に基づいて、前記初期時刻からの演算時間幅を前記演算装置ごとに算出する演算時間幅算出部
    をさらに備え、
    前記演算条件供給部は、
    前記演算時間幅算出部が算出する前記演算時間幅を、前記演算条件として前記演算装置に供給する
    請求項5に記載の演算管理装置。
  7. 演算装置が備えるコンピュータに、
    時間変化する波形についての演算の時間軸における起点である初期時刻を取得する初期時刻取得ステップと、
    前記初期時刻取得ステップにおいて取得される前記初期時刻における前記波形についての演算結果である初期値を、逆ラプラス変換法による離散的な時間応答解析によって算出する演算ステップと、
    前記演算ステップにおいて算出された前記初期値を出力する出力ステップと、
    を実行させるためのプログラム。
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