JP2019127906A - 蒸気タービンの暖機方法および蒸気タービン - Google Patents

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Abstract

【課題】蒸気タービンの車室全体の暖機状態を把握しながら適切な暖機を行うことができる蒸気タービンの暖機方法および蒸気タービンを提供する。【解決手段】本発明の一態様に係る蒸気タービン10の暖機方法は、車室12とロータ14とを備える蒸気タービン10における車室12に蒸気を導入して暖機を行う暖機方法であって、車室12の熱伸び量に応じて車室12内の圧力を調整する暖機方法。また、本発明の一態様に係る蒸気タービン10の暖機方法は、車室12の熱伸び量及び車室12内の温度を取得し、これらのうち少なくとも一方に応じて車室12内の圧力を調整する暖機方法。【選択図】図1

Description

本発明は、蒸気タービンの暖機方法および蒸気タービンに関する。
蒸気タービンの冷態起動時においては、蒸気タービン各部のメタル温度は室温付近まで低下している。この状態で蒸気タービンの車室内に主蒸気を導入して蒸気タービンを起動しようとした場合、高温の主蒸気と低温の蒸気タービン各部のメタルとの温度差によって過大な熱応力が発生して、車室、静翼、ロータ、ロータに設けられる動翼などの蒸気タービンを構成する部品の損傷に繋がる虞がある。
特許文献1においては、暖機用蒸気を蒸気タービン中間位置より導入して正流量と逆流量とのバランスを保ちながら暖機を行い、メタル温度の上昇を監視しながら暖機用蒸気の圧力を任意に上昇させる技術が開示されている。
特許文献2においては、蒸気タービンのメタル温度と車室内の蒸気温度の差が許容範囲内であるときを暖機完了条件のひとつとする技術が開示されている。
特公昭62−324号公報 特許第3559573号公報
特許文献1及び特許文献2では、圧力の変化や暖機終了の判断基準がメタル温度になっている。しかし、巨大な蒸気タービン全体のメタル温度を把握することは難しく、温度を測定する場所によってメタル温度に差異が生じてしまう虞がある。これでは正確に車室内の暖機状態を把握できない可能性がある。
本発明はこのような事情を鑑みてなされたものであって、蒸気タービンの車室全体の暖機状態を把握しながら適切な暖機を行うことができる蒸気タービンの暖機方法および蒸気タービンを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、蒸気タービンの暖機方法及び蒸気タービンは以下の手段を採用する。
即ち、本発明の一態様に係る蒸気タービンの暖機方法は、車室とロータとを備える蒸気タービンにおける前記車室に蒸気を導入して暖機を行う暖機方法であって、前記車室の熱伸び量に応じて前記車室内の圧力を調整する。
本体態様に係る蒸気タービンの暖機方法は、車室に蒸気を導入するにあたり、車室の熱伸び量に応じて車室内の圧力を調整することとする。これによれば、車室全体の温度が上昇したことで反映された車室の熱伸び量を、車室内の圧力調整の判断基準とすることができる。これにより、車室へ蒸気を導入する暖気による蒸気タービンの温度上昇を、局所的な温度の把握となる一部領域でのメタル温度を判断基準とした場合と比べて、より的確に車室全体の暖機による温度上昇状態を把握することができる。また、熱伸び量による車室全体の温度上昇から暖機状態を把握しながら車室内の圧力を段階的に調整(上昇)させて伝熱量を順次増加させることで、徐々に車室内の温度を上昇させることができ、局所的な隙間での接触や過大な熱応力の発生を抑制できる。したがって、車室、静翼、ロータ、ロータに設けられる動翼などの蒸気タービンを構成する部品の変形損傷や狭い隙間で設置した部品の接触損傷を防ぐことができる。
また車室内温度を計測には車室内が高圧蒸気で満たされているので、温度センサを設置するには高圧蒸気をシールできる座を車室に追加する必要がある。更に、小容量の蒸気タービンなどで車室の寸法が小さい場合などでは、温度を計測する座を追加して温度センサを設置するスペースが限られる場合には、前述のように車室の熱伸び量を用いて車室内の圧力を上昇させる調整の判断基準とすれば、温度センサを追加設置する必要がないうえに、設備コストの削減にも繋がる。
また、本発明の一態様に係る蒸気タービンの暖機方法は、前記車室の熱伸び量が所定値に到達した場合に暖機運転を終了する。
本体態様に係る蒸気タービンの暖機方法は、車室の熱伸び量が所定値に到達した場合に暖機を終了する。これによれば、車室全体の温度上昇から車室の暖機状態による熱伸び量が所定量に到達したときに、簡易な判断のもとで暖機運転を終了してもよい。暖気運転を終了するタイミングを、車室の熱伸び量の所定値とすることで、暖気終了のタイミングを簡易に設定できる。すなわち、車室の熱伸び量を監視することにより、簡易で確実に車室内が暖機された状態で暖機を終了することができる。したがって、暖機運転終了後に主蒸気を車室内に導入しても、主蒸気と車室、静翼、ロータ、ロータに設けられる動翼などの蒸気タービンを構成する部品との温度差による熱応力の発生による損傷を抑制できる。
また、本発明の一態様に係る蒸気タービンの暖機方法は、車室とロータとを備える蒸気タービンにおける前記車室に蒸気を導入して暖機を行う暖機方法であって、前記車室の熱伸び量及び前記車室内の温度を取得し、これらのうち少なくとも一方に応じて前記車室内の圧力を調整する。
本体態様に係る蒸気タービンの暖機方法は、車室に蒸気を導入するにあたり、車室の熱伸び量及び車室内の温度を取得し、これらのうち少なくとも一方に応じて車室内の圧力を調整する。即ち、車室の熱伸び量及び車室内温度のうち少なくとも一方が所定の条件を満たせば、車室内の圧力を調整することとする。これによれば、車室全体の温度が反映された車室の熱伸び量及び車室温度のうち少なくとも一方を圧力調整の判断基準とすることができる。これにより、車室へ蒸気を導入する暖気による蒸気タービンの温度上昇を局所的な温度の把握となる一部領域でのメタル温度のみを判断基準とした場合と比べて、より的確により正確に車室全体の暖機による温度上昇状態を把握することができる。また、2つの判断基準を持つことで、予想しない影響で1つの判断基準の変化が遅延した場合でも、もう一方の判断基準により、タイミングを遅延することなく車室内の圧力調整の判断基準に適用することが出来る。さらに、局所的なメタル温度を把握しつつ車室全体の暖機状態を把握することができる。
また、本発明の一態様に係る蒸気タービンの暖機方法は、取得した前記車室の熱伸び量及び前記車室内の温度のうち、少なくとも一方が所定値に到達した場合に暖機運転を終了する。
本体態様に係る蒸気タービンの暖機方法は、取得した車室の熱伸び量及び車室内の温度のうち、少なくとも一方が所定値に到達した場合に暖機運転を終了する。即ち、車室の熱伸び量及び車室内温度のうち少なくとも一方が所定の条件を満たせば、暖機を終了することとする。これによれば、車室全体の温度が反映された車室の熱伸び量及び車室温度のうち少なくとも一方を暖機終了の判断基準とすることができる。これにより、車室へ蒸気を導入する暖気による蒸気タービンの温度上昇を局所的な温度の把握となる一部領域でのメタル温度のみを暖機終了の判断基準とした場合と比べて、より的確により正確に車室全体の暖機による温度上昇状態を把握することができる。また、2つの判断基準を持つことで、予想しない影響で1つの判断基準の変化が遅延した場合でも、もう一方の判断基準により、タイミングを遅延することなく車室内の圧力調整の判断基準に適用することが出来る。さらに、局所的なメタル温度を把握しつつ車室全体の暖機状態を把握することができる。
また、本発明の一態様に係る蒸気タービンの暖機方法において、前記車室内の圧力の調整は、段階的に圧力を上昇させる調整である。
本体態様に係る蒸気タービンの暖機方法において、車室内の圧力の調整は、段階的に圧力を上昇させる調整である。これによれば、車室の熱伸び量や車室内の温度等の基準に応じて、車室内の圧力を段階的に順次に上昇させることができる。例えば、暖機によって到達し得る最大熱伸び量を等分割して、分割数に応じて圧力を順次に段階的に上昇させて伝熱量を順次増加させることで、徐々に車室内温度を上昇させることができる。これにより、暖気時に、暖気蒸気と蒸気タービンを構成する部品との温度差を抑制でき、過大な熱応力の発生を抑制できる。したがって、車室、静翼、ロータ、ロータに設けられる動翼などの蒸気タービンを構成する部品の損傷を防ぐことができる。例えば、最大熱伸び量をXmmとして、それを4分割した場合は、0.25Xmmだけ車室が熱伸びする毎に、車室内の圧力を暖気終了時の圧力上昇までの4分割分を上昇させる。
また、本発明の一態様に係る蒸気タービンの暖機方法において、前記蒸気タービンは、前記ロータを支持するスライド軸受台を備え、前記車室の熱伸び量を前記スライド軸受台の移動量から取得する。
本体態様に係る蒸気タービンの暖機方法において、蒸気タービンは、ロータを支持するスライド軸受台を備え、車室の熱伸び量をスライド軸受台の移動量から取得する。これによれば、例えば、スライド軸受台に針を設け、その針の移動量を読み取ることができる目盛を用意しておけば、車室の熱伸び量をスライド軸受台によって容易に取得できる。
また、本発明の一態様に係る蒸気タービンの暖機方法において、前記蒸気タービンの前記ロータで仕事を終了した蒸気を前記車室から排出する排出口から導入する。
本体態様に係る蒸気タービンの暖機方法において、前記車室を暖機する蒸気は、蒸気タービンに設けられる排出口から導入することとする。これによれば、暖機用蒸気の供給口を新設せずとも、蒸気タービンの暖機が可能になる。特に、排出口に繋がる蒸気配管に低圧(正圧)の作業用蒸気が流通する背圧タービンに採用されて好適である。
また、本発明の一態様に係る蒸気タービンの暖機方法において、前記車室を暖機する蒸気は、前記蒸気タービンの前記ロータの途中位置の前記車室に設けられたドレン排出口から導入する。
本体態様に係る蒸気タービンの暖機方法において、車室を暖機する蒸気は、蒸気タービンに設けられるドレン排出口から導入することとする。これによれば、車室の熱伸び許容が大きくなるように設計されている高温側付近から蒸気を導入することになり、より無理なく円滑な暖機が可能になる。
また、本発明の一態様に係る蒸気タービンの暖機方法において、前記蒸気タービンは背圧タービンとされる。
本体態様に係る蒸気タービンの暖機方法において、蒸気タービンは背圧タービンとされる。これによれば、暖機用蒸気として、排出口に繋がる蒸気配管に流通する低圧の作業用蒸気(工場内の作業用蒸気など)を使用することができる。つまり、暖機用蒸気を供給するラインを新設する必要がなく、設備コストを削減できる。
また、本発明の一態様に係る蒸気タービンの暖機方法において、前記車室を暖機する蒸気によって前記車室が昇温され、前記車室の熱伸び量が飽和する所定温度は、前記蒸気タービが暖機終了後に、前記車室に供給される主蒸気の温度に対して、100℃から150℃低い温度に設定される。
本体態様に係る蒸気タービンの暖機方法において、主蒸気の温度と車室の熱伸び量が飽和する所定温度との差(主蒸気の温度>所定温度)がこの温度差以内であれば、主蒸気と蒸気タービンを構成する部品との温度差によって部品に生じる熱伸び差や熱応力による課題が生じないとすることができる。
本発明の一態様に係る蒸気タービンは、車室とロータとを備える蒸気タービンであって、前記車室に蒸気を導入する暖機の際に、前記車室の熱伸び量に応じて前記車室内の圧力を調整させる制御部を備える。
本体態様に係る蒸気タービンは、車室に蒸気を導入する暖機の際に、車室の熱伸び量に応じて車室内の圧力を調整する制御部を備えることとする。これによれば、車室全体の温度が上昇したことで反映された車室の熱伸び量によって車室内の圧力の調整をすることができる。これにより、車室へ蒸気を導入する暖気による蒸気タービンの温度上昇を、局所的な温度の把握となる一部領域でのメタル温度によって圧力の調整をした場合と比べて、より的確に車室全体の暖機における温度上昇状態を把握しながら暖機することができる。また、熱伸び量による車室全体の温度上昇から暖機状態を把握しながら車室内の圧力を段階的に調整(上昇)させて伝熱量を順次増加させることで、徐々に車室内の温度を上昇させることができる。したがって、狭い隙間で設置した部品の接触損傷や過大な熱応力による損傷の発生を抑制できる。したがって、車室、静翼、ロータ、ロータに設けられる動翼などの蒸気タービンを構成する部品の損傷を防ぐことができる。更に、蒸気タービンの寸法が小さく温度を計測する温度センサを設置できる座を追加設置するスペースが限られる場合、前述のように車室の熱伸び量を用いて車室内の圧力を上昇させる調整の判断基準とすれば、温度センサを追加設置する必要がないうえに、設備コストの削減にも繋がる。
本発明の一態様に係る蒸気タービンは、前記ロータを支持すスライド軸受台を備え、
前記制御部は、前記車室の熱伸び量を前記スライド軸受台の移動量から取得し、取得した前記車室の熱伸び量が所定値に到達した場合に暖機を終了させる。
本体態様に係る蒸気タービンは、ロータを支持すスライド軸受台を備え、制御部は、車室の熱伸び量をスライド軸受台の移動量から取得し、取得した車室の熱伸び量が所定値に到達した場合に暖機を終了させる。これによれば、車室全体の温度上昇から車室の暖機状態による熱伸びが、スライド軸受台の移動量として把握してスライド軸受台の移動が所定量に至ったときに簡易な判断のもとで暖機運転を終了してもよい。暖気運転を終了のタイミングを車室の熱伸び量の所定値とすることで、暖気終了タイミングを簡易に設定させることができる。すなわち、車室の熱伸び量を監視することにより、簡易で確実に車室内が暖機された状態で暖機を終了させることができる。したがって、暖機運転終了後に主蒸気を車室内に導入しても、主蒸気と車室、静翼、ロータ、ロータに設けられる動翼などの蒸気タービンを構成する部品との温度差による熱応力の発生を抑制できる。
本発明の一態様に係る蒸気タービンは、車室とロータとを備える蒸気タービンであって、前記車室に蒸気を導入する暖機の際に、前記車室の熱伸び量及び車室内温度を取得し、これらのうち少なくとも一方に応じて、前記車室内の圧力を調整させる制御部を備える。
本体態様に係る蒸気タービンは、暖機の際に、車室の熱伸び量及び車室内温度を取得し、これらのうち少なくとも一方に応じて、前記車室内の圧力を調整させる制御部を備える。これによれば、車室全体の温度が反映された車室の熱伸び量及び車室温度のうち少なくとも一方を圧力調整の判断基準として圧力の調整をすることができる。これにより、車室へ蒸気を導入する暖気による蒸気タービンの温度上昇を局所的な温度の把握となる一部領域でのメタル温度によって圧力の調整をする場合と比べて、より的確に車室全体の暖機状態を把握することができる。また、2つの基準を検知することで、予想しない影響で1つの判断基準の変化が遅延した場合でも、もう一方の判断基準により、タイミングを遅延することなく車室内の圧力調整の判断基準に適用することが出来る。さらに、局所的なメタル温度を把握しつつ車室全体の暖機状態を把握することができる。
本発明の一態様に係る蒸気タービンは、前記ロータを支持するスライド軸受台を備え、前記制御部は、前記車室の熱伸び量を前記スライド軸受台の移動量から取得し、取得した前記車室の熱伸び量及び前記車室内温度のうち、少なくとも一方が所定値に到達した場合に暖機を終了させる。
本体態様に係る蒸気タービンは、ロータを支持すスライド軸受台を備え、制御部は、車室の熱伸び量を前記スライド軸受台の移動量から取得し、取得した車室の熱伸び量及び車室内温度のうち、少なくとも一方が所定値に到達した場合に暖機を終了させる。これによれば、車室全体の暖機状態を把握した状態で、暖機運転を終了させることができる。これにより、確実に車室内が暖機された状態で暖機を終了させることができる。したがって、暖機運転終了後に主蒸気を車室内に導入しても、主蒸気と車室、静翼、ロータ、ロータに設けられる動翼などの蒸気タービンを構成する部品との狭い隙間で設置した部品の接触損傷や温度差による熱応力による破損の発生を抑制できる。また、2つの基準を検知することで、予想しない影響で1つの判断基準の変化が遅延した場合でも、もう一方の判断基準により、タイミングを遅延することなく車室内の暖機終了の判断基準に適用することが出来る。さらに、局所的なメタル温度を把握しつつ車室全体の暖機状態を把握することができる。
本発明によれば、蒸気タービンの車室全体の暖機状態を把握しながら適切な暖機を行うことができる。
本発明の第1及び第2実施形態に係る蒸気タービンの概略縦断面図である。 図1の蒸気タービンの平面図である。 本発明の第1及び第2実施形態に係る蒸気タービンの暖機運転時の概略構成図である。 本発明の第1実施形態に係る蒸気タービンの(A)車室の圧力変化、(B)車室の熱伸び量、(C)車室内の温度を表した図である。 本発明の第2実施形態に係る蒸気タービンの(A)車室の圧力変化、(B)車室の熱伸び量、(C)車室内の温度を表した図である。 本発明の第1及び第2実施形態の変形例に係る蒸気タービンの他例の暖機運転時の概略構成図である。
以下、本発明の一実施形態について図を用いて説明する。
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について図1乃至4を用いて説明する。
まず、本実施形態の蒸気タービン10の構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態の蒸気タービンは、例えば背圧タービン(蒸気タービン)10である。背圧タービン10は、車室12とロータ14とを備える。以下の実施形態の説明においては、背圧タービンを例に用いて説明するが、背圧タービンに限定するものではなく、復水器を持つ蒸気タービンにも適用可能である。
車室12は、ロータ14、静翼(図示せず)などの背圧タービン10を構成する部品を内蔵し、ボイラ(図示せず)から生成された例えば500〜550℃、10M〜15MPaの高温高圧の蒸気が流通する金属製の容器である。
ロータ14は、その主要部が車室12に内蔵され、軸方向(水平方向)の両端側にロータ14の軸方向に延出するシャフト部14A,14Bを備えている。また、車室12に内蔵されているロータ14の主要部には、図示しない動翼が設けられている。ボイラ(図示せず)から生成された高温高圧の蒸気が図示しない動翼に作用して、ロータ14を回転駆動させる。ロータ14を通過して数MPaまで膨張した蒸気は、排出口P2(後述)から排気される。
シャフト部14Aは、ジャーナル軸受16Aによって回転可能に支持されている。また、ジャーナル軸受16Aは、固定軸受台20に設けられている。シャフト部14Aには発電機(図示せず)が接続され、ロータ14の回転駆動が発電機に伝達されて発電が行なわれる。
シャフト部14Bは、ジャーナル軸受16B及びスラスト軸受18によって回転可能に支持されている。また、ジャーナル軸受16B及びスラスト軸受18は、スライド軸受台22に設けられている。
スライド軸受台22は、基礎Bに対してロータ14の軸方向にスライド移動可能なスライド機構(図示せず)と、車室12の熱伸びを移動量として伝達される熱伸び伝達機構(図示せず)を備えており、車室12の熱伸び(後述)に合わせてロータ14の軸方向にスライドする。これに対して固定軸受台20は、基礎Bに対して固定されていて、その位置は常に固定されている。即ち、スライド軸受台22は、固定軸受台20に対して、ロータ14の軸方向に近接及び離間が可能な構成とされている。
図2に示すように、スライド軸受台22側には、熱伸び量測定部24が設けられており、車室12の熱伸び量を測定可能な構成とされている。図2の場合、スライド軸受台22に針が設けられ、基礎Bに目盛が設けられている。スライド軸受台22に設けられた針は、基礎Bに設けられた目盛に対して移動する。この構成によって、基礎Bに対するスライド軸受台22の移動量を測定することで車室12の熱伸び量を測定することができる。
背圧タービン10は、図3に示すように各蒸気配管に接続される。なお、図3における背圧タービン10は、復水器を持たず、背圧タービンにボイラ(図示せず)から供給され高温高圧の蒸気は、背圧タービン10で膨張して、ロータ14の回転駆動を得る。
また、背圧タービン10は、通常の運転において、排出される蒸気の圧力が大気圧以上のものであり、排出された大気圧以上の蒸気は、例えば工場内の作業用蒸気に利用される。
図3において、背圧タービン10の車室12には、通常運転時にボイラ(図示せず)からの主蒸気を取り込む吸入口P1、通常運転時にロータ14で仕事を終了した蒸気を排出する排出口P2、通常運転時や起動停止時にドレンをロータ14の途中位置から排出可能なドレン排出口P3、暖機時に暖機用蒸気による暖気終了蒸気およびドレンを排出可能な暖機ドレン排出口P4を備えている。
吸入口P1は、吸入口側配管S1を介してボイラ(図示せず)と接続されている。また、吸入口側配管S1には、蒸気バルブ31,32が設けられている。通常運転時、ボイラによって生成された高温高圧の蒸気は、吸入口側配管S1内を流通して吸入口P1から車室12内に導かれる。
排出口P2は、排出口側配管S2を介して作業用蒸気配管S5と接続されている。また、排出口側配管S2には、蒸気バルブ33が設けられている。
通常運転時には、排出口P2から車室12の外部に排出された大気圧以上の蒸気は、排出口側配管S2内を流通して作業用蒸気配管S5に導かれる。また、作業用蒸気配管S5には、他系統の背圧タービンの排出口に接続された蒸気配管S6が接続されている。図3の場合、他系統からの蒸気配管S6は1本とされているが、これは1本に限定するものではなく、例えば、2本以上あっても良い。また、蒸気配管S6は、他系統の背圧タービンの排出口に接続された蒸気配管に限らず、図示しないボイラ(通常運転時に主蒸気を生成するボイラとは異なるボイラ)に接続された蒸気配管であっても良い。作業用蒸気配管S5を流通する大気圧以上の蒸気は、工場内の各作業場所に作業用蒸気として供給される。
一方、本実施形態における暖機時(後述)には、作業用蒸気配管S5を流通する大気圧以上の蒸気は、排出口側配管S2を介して排出口P2から暖機用蒸気として車室12内に導かれる。
ドレン排出口P3は、図示しないドレン排出系統に接続されている。通常運転時、ドレン排出口P3から、車室12内のドレンを車室12の外部へと排出する。
暖機ドレン排出口P4には、暖機ドレン排出配管S4が接続されている。また、暖機ドレン排出配管S4には、蒸気バルブ36が設けられている。暖機時には、暖機ドレン排出口P4から、車室12内を流通し暖気の昇温用に熱を供与した暖気終了蒸気およびドレンを車室12の外部へと排出する。
次に、本実施形態の背圧タービン10の暖機について説明する。
本実施形態の暖機においては、暖機用蒸気として、作業用蒸気配管S5を流通する蒸気を利用する。作業用蒸気配管S5を流通する蒸気は、暖気を必要とする背圧タービン10の稼働状況とは別に、例えば工場内の作業用蒸気に利用できるよう流通している。
蒸気バルブ33を開けることで、排出口側配管S2を介して排出口P2から車室12内に取り込んだ暖機用蒸気は、背圧タービン10を構成する部品を加熱する。このとき、ロータ14は図示しない電動モータによって数rpmで回転(ターニング)され、ロータ14の温度上昇に伴うロータ14のたわみ変形を抑制するとともに、ロータ14の温度が出来るだけ均一になるようにする。これに対して暖機用蒸気は、背圧タービン10を構成する部品の昇温に熱を供与することによって冷却され、一部は復水し、ドレンとなって暖気終了蒸気とともに暖機ドレン排出口P4から排出される。なお、暖機時においては、吸入口側配管S1に設けられる蒸気バルブ31,32や、ドレン排出口P3に接続される蒸気バルブ(図示せず)は閉状態とされていて、蒸気やドレンなどの流通はない。
暖機時の車室12内の圧力は、暖機ドレン排出配管S4に設けられている蒸気バルブ36の開度によって調整される。車室12内の圧力を上昇させることで車室12内の蒸気からの伝熱量が上昇して、結果として、背圧タービン10を構成する部品の加熱が促進される。これによって、背圧タービン10を構成する部品の温度と通常運転時に車室12内に導かれる高温の主蒸気との温度差が小さくなり、所定温度差以下(後述)まで暖気により上昇させておくことで、吸入口P1からの主蒸気導入による背圧タービン10を構成する部品の熱変形が抑制され、背圧タービン10を円滑に起動することができる。
次に、本実施形態の背圧タービン10の暖機について、その方法を詳細に説明する。
図4に示すように、本実施形態の背圧タービン10の暖機においては、車室12内の圧力を段階的に上昇させる(図4(A)参照)。車室12内の圧力を上昇させるタイミングは、熱伸び量測定部24から得られる車室12の熱伸び量に基づく(図4(B)参照)。
例えば、暖機による車室12の温度が飽和して、車室12の熱伸び量が飽和したとき、その熱伸び量は暖気終了時点での車室12の最大熱伸び量として事前確認されている。この最大熱伸び量をXmmとして、Xmmを複数に分割することで、車室12内の圧力を段階的に上昇させる判断基準とする。暖機による暖気終了時点での車室12内の圧力が設定されており、この暖気終了時点圧力を複数に分割することで、車室12内の圧力を段階的に上昇させる目標圧力とする。
本実施形態では、図4(B)に示すように、例えば、最大熱伸び量Xを4等分に分割し、暖気終了時点圧力を4等分に分割した場合、車室12が約0.25Xmmだけ熱伸びする毎に、車室12内の目標圧力を暖気終了時点圧力の1/4ずつ段階的に上昇させる。暖気終了時点圧力は、例えば、通常運転時に排出口P2から排気される蒸気の圧力(例えば、数MPa)の60%〜90%を目安に圧力を設定する。この暖気終了時点の圧力は、暖気昇温速度から設定され、目標時間内に暖気により昇温可能になるように暖気終了時点圧力を高く設定するものの、一方では出来るだけ温度分布が発生しないよう暖気終了時点圧力を低くするよう設定して、両者の兼ね合いから適切な圧力へ設定される。
段階的な圧力目標の上昇の例としては、図4(A)に示すステップ関数のような圧力の調整(階段状の圧力の調整)がある。車室12内の圧力を段階的に上昇させることで、車室12内の温度の推定値(車室内温度(推定値))が図4(C)に示すように段階的に上昇する。ここで、車室内温度(推定値)は、車室12の熱伸び量に基づいて算出されたものであり、後述する暖気終了の所定温度T1を暖気終了時点の熱伸び量Xで割った勾配の関係から算出される。
車室12内の温度(推定値)が所定温度T1に到達した場合に、車室12の熱伸び量が暖気終了時点の最大熱伸び量のXmmになり、背圧タービン10の暖機は終了となる。ここで、所定温度T1は、暖機により車室12の熱伸び量が飽和したときの車室12内の温度(推定値)である。暖機終了後に車室12に供給される主蒸気の温度をT2としたときに、100℃≦T2−T1≦150℃を満たす温度とされるよう、暖気蒸気の温度と暖気終了時点の圧力を選定することが好ましい。例えば、T2が500℃であれば、T1は350℃≦T1≦400℃の範囲で選定されることが好ましい。この温度範囲は、T2−T1がこの温度差以内であれば、主蒸気と背圧タービン10を構成する部品との温度差によって部品に生じる熱伸び差や熱応力による課題が生じないとできる、という温度の範囲である。
なお、最大熱伸び量Xを4等分(1/4)に分割するのではなく、例えば最初は2/4として、ある程度の温度上昇までは圧力雰囲気を低くしておき、その後は1/6ずつと圧力上昇幅を大きくすることで、暖気時の初期段階には各部品の熱容量差で温度上昇速度が異なり、温度分布が付きやすいが、暖気時の初期段階の雰囲気圧力を暖気時の後期段階の圧力より低く設定しておくことで、各部品の温度差が付きにくくしてもよい。
なお、各蒸気バルブの開閉、開度調整、暖機終了の判断などは、作業者が行っても良いし、図示しない制御部によって実行されても良い。作業者が行う場合、作業者が熱伸び量測定部24を確認することで、各蒸気バルブの開閉、開度調整、暖機終了の判断などを行う。制御部によって実行される場合、熱伸び量を測定するセンサ(図示せず)が熱伸び量を制御部に送信することで、制御部が熱伸び量の取得を行う。また、各蒸気バルブは制御部と電気的に接続されており、制御部は、取得した熱伸び量によって各蒸気バルブの開閉、開度調整、暖機終了の判断、必要な値の算出などを行う。
制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等である。
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
車室12全体の温度が上昇したことで反映された車室12の熱伸び量を車室12内の圧力調整の判断基準及び暖機終了の判断基準とすることができる。車室12へ蒸気を導入する暖気による背圧タービン10の温度上昇を局所的な温度の把握となる一部領域でのメタル温度を判断基準とした場合と比べて、より的確に車室12全体の暖機状態を把握することができる。車室12の熱伸び量は、車室12全体の温度上昇から車室12の暖機状態による熱伸びがスライド軸受台22の移動量として把握され、スライド軸受台22の移動量から取得された熱伸び量が、所定値に到達した場合に簡易な判断のもとで暖機運転を終了してもよい。
また、車室12の熱伸び量による車室12全体の温度上昇から暖機状態を把握しながら車室12内の圧力を順次に段階的に調整(上昇)させて伝熱量を順次増加させることで、徐々に車室12内の温度を上昇させることができる。これにより、暖気時に、暖気蒸気と背圧タービン10を構成する部品との温度差によって部品に生じる局所的な隙間での接触や過大な熱応力の発生による損傷を抑制できる。したがって、車室12、静翼(図示せず)、ロータ14、ロータ14に設けられる動翼(図示せず)などの背圧タービン10を構成する部品の狭い隙間で設置した部品の接触や変形による損傷や熱応力発生による損傷を防ぐことができる。また車室12内の温度を計測には車室12内が高圧蒸気で満たされているので、温度センサを設置するには高圧蒸気をシールできる座を車室12に追加する必要がある。更に、小容量の背圧タービン10などで車室12の寸法が小さい場合などでは、温度を計測する座を追加して温度センサを設置するスペースが限られる場合には、前述のように車室12の熱伸び量を用いて車室12内の圧力を上昇させる調整の判断基準とすれば、温度センサを追加設置する必要がないうえに、設備コストの削減にも繋がる。
また、背圧タービン10の暖気時として暖機用蒸気を排出口P2から導入する場合は、暖機用蒸気として排出口P2に繋がる作業用蒸気配管S5を流通する低圧の作業用蒸気(工場内の作業用蒸気など)を使用することができる。つまり、暖機用蒸気を供給するラインを新設する必要がなく、設備コストを削減できる。
また、車室12の熱伸び量が所定値に到達した場合に暖機を終了する。これによれば、車室12全体の温度上昇から暖機状態を把握した状態で、暖機運転を終了してもよい。暖機運転を終了するタイミングを車室12の熱伸び量の所定値とすることで、暖気終了のタイミングを簡易に設定できる。すなわち、車室12の熱伸び量を監視することにより、簡易で確実に車室12内が暖機された状態で暖機を終了することができる。したがって、暖機運転終了後に主蒸気を車室12内に導入しても、主蒸気と車室12、静翼(図示せず)、ロータ14、ロータ14に設けられる動翼(図示せず)などの背圧タービン10を構成する部品との温度差による熱応力の発生を抑制できる。
また、背圧タービン10は、復水器のある蒸気タービンであっても、同様な効果を得ることが出来る。
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について図5を用いて説明する。
本実施形態は、前述の第1実施形態に対して車室12内の圧力を上昇させるタイミングが異なり、その他の点については同様である。したがって、第1実施形態と異なる点についてのみ説明し、その他の点についてはその説明を省略する。
図5に示すように、本実施形態の背圧タービン10の暖機においては、車室12内の圧力を段階的に上昇させる(図5(A)参照)。車室12内の圧力を上昇させるタイミングは、熱伸び量測定部24から得られる車室12の熱伸び量(図5(B)参照)及び車室12の温度(車室内温度、図5(C)参照)の両パラメータを取得し、これらのうち少なくとも一方に応じて調整される。車室内温度は、第1実施形態の車室12の熱伸び量に基づいて算出されたものとは異なり、車室内温度を車室12内の所定の位置から実測することで取得する温度である。所定位置は、車室12の温度上昇を代表できる箇所が好ましく、本実施形態での所定位置は、例えば、暖機ドレン排出口P4付近の車室12のロータ14側内面として、この温度を図示しない温度センサによって測定される。
例えば、第1実施形態と同様に、暖機による車室12の最大熱伸び量をXmmと把握しておき、Xmmを複数に等分割する。また、暖機前の車室内温度をT0としたとき、T1−T0をΔTとして、ΔTを熱伸び量の分割数及び分割比と同数に分割する。本実施形態において、図5(B)及び(C)に示すように、最大熱伸び量Xmm及びΔTを4分割に等分割した場合、0.25Xmmだけ車室12が熱伸びする毎に、または、ΔT/4だけ車室12が上昇する毎に、少なくともいずれか一方のタイミングで車室12内の圧力を段階的に上昇させる。
なお、最大熱伸び量Xmmを4等分(1/4)に分割するのではなく、例えば最初は2/4としてある程度の温度上昇までは圧力雰囲気を低くしておき、その後は1/6ずつと圧力上昇幅を大きくすることで、暖気時の初期段階には各部品の熱容量差で温度上昇速度が異なり、温度分布が付きやすいが、暖気時の初期段階の雰囲気圧力を暖気時の後期段階の圧力より低く設定しておくことで、各部品の温度差が付きにくくしてもよい。このときの車室内温度は、最初はΔT/2、その後はΔT/6だけ車室内温度が上昇する毎に車室12内の圧力を段階的に上昇させる。
車室12内の圧力を段階的に上昇させることで、車室内温度が図5(C)に示すように段階的に上昇する。車室12の熱伸び量が最大熱伸び量をXmmに到達した場合、または、図示しない温度センサによって測定した車室内温度が所定温度T1に到達した場合、背圧タービン10の暖機は終了となる。
ここで、所定温度T1および最大熱伸び量Xmmは、次のように設定されてもよい。
所定温度T1は、暖気蒸気を導入して、車室12内の圧力を暖気終了の圧力まで上昇して、車室12の熱伸び量が飽和するときの温度である。暖機終了後に車室12に供給される主蒸気の温度をT2としたときに、本実施形態では、100℃≦T2−T1≦150℃を満たす所定温度差とされる。例えば、T2が500℃であれば、T1は350℃≦T1≦400℃の範囲で設定される。この所定温度差の範囲は、T2−T1がこの温度差以内であれば、主蒸気と背圧タービン10を構成する部品との温度差によって部品に生じる熱伸び差や熱応力による課題が生じないとできる、という温度の範囲である。
また、最大熱伸び量をXmmは、暖機により車室内温度が所定温度T1になることで、暖気が終了した時点での車室12の熱伸び量として事前確認されたものである。
なお、第1実施形態と同様、各蒸気バルブの開閉、開度調整、暖機終了の判断などは、作業者が行っても良いし、図示しない制御部によって実行されても良い。作業者が行う場合、作業者が熱伸び量測定部24、および車室内温度を測定する温度センサ(図示せず)を確認して、これらの少なくとも一方のタイミングに応じて、各蒸気バルブの開閉、開度調整、暖機終了の判断などを行う。制御部によって実行される場合、熱伸び量を測定するセンサ(図示せず)が熱伸び量を制御部に送信することで、制御部が熱伸び量の取得を行う。また、車室内温度を測定する温度センサ(図示せず)が車室内温度を制御部に送信することで、制御部が車室内温度の取得を行う。更に、各蒸気バルブは制御部と電気的に接続されており、制御部は、取得した熱伸び量及び車室内温度によって各蒸気バルブの開閉、開度調整、暖機終了の判断、必要な値の算出などを行う。
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
車室12全体の温度が上昇したことで反映された車室12の熱伸び量及び車室内温度の少なくとも一方に応じて、車室12内の圧力調整の判断基準及び暖機終了の判断基準とすることができる。これにより、車室12へ蒸気を導入する暖気による背圧タービン10の温度上昇を、局所的な温度の把握となる一部領域でのメタル温度のみを判断基準とした場合と比べて、より的確に車室12全体の暖機による温度上昇状態を把握することができる。また、2つの判断基準を持つことで、予想しない影響で1つの判断基準の変化が遅延した場合でも、もう一方の判断基準により、タイミングを遅延することなく車室12内の圧力調整の判断基準に適用することが出来る。さらに、局所的なメタル温度を把握しつつ車室12全体の暖機状態を把握することができる。これにより、暖機状態をより的確に把握しながら車室12内の圧力を段階的に調整(上昇)させて伝熱量を順次増加させることで、徐々に車室12内の温度を上昇させることができ、局所的な隙間での接触や背圧タービン10を構成する部品に生じる過大な熱応力の発生を抑制できる。したがって、暖機運転終了後に主蒸気を車室12内に導入しても車室12、静翼、ロータ14、ロータ14に設けられる動翼などの背圧タービン10を構成する部品の熱応力発生による損傷や狭い隙間で設置した部品の接触や変形による損傷を防ぐことができる。また背圧タービン10は、復水器のある蒸気タービンであっても、同様な効果を得ることが出来る。
なお、第1及び第2実施形態の変形例として、図6に示すように、暖機用蒸気はドレン排出口P3から供給しても良い。この場合、ドレン排出口P3は、ロータ14の途中位置にあり、ドレン排出口側配管S3を介して作業用蒸気配管S5と接続されている。また、ドレン排出口側配管S3には、蒸気バルブ34,35が設けられており、暖機時、排出口側配管S2には、蒸気バルブ33は閉じられ、蒸気バルブ34,35が開かれ、車室12内の圧力は、暖機ドレン排出配管S4に設けられている蒸気バルブ36の開度によって調整される。これによれば、高温高圧の主蒸気は車室本体12Aの車室本体12Aの吸入口P1から取り込むため、熱伸び許容が大きいように設計されている。ドレン排出口P3は、蒸気を排出する排出口P2に比べて、高温側付近から蒸気を導入することになり、車室本体12Aやロータ14にとって、より無理なく円滑な暖機が可能になる。なお、通常運転時は、例えば蒸気バルブ35で蒸気を締め切った状態のもとで、図示しない切換弁やドレン配管によって、車室本体12A内のドレンを排出できるようになっていて、ドレンが作業用蒸気配管S5に流入しない構成となっている。
第1及び第2実施形態では、蒸気タービンとして背圧タービンを例に用いて説明したが、前述の暖機の方法は、復水器のある復水タービンにも採用できることは言うまでもない。この場合における暖機用蒸気は、例えば、暖機用蒸気の供給ラインを設けることで供給できる。
10 背圧タービン(蒸気タービン)
12 車室
14 ロータ
14A,14B シャフト部
16A,16B ジャーナル軸受
18 スラスト軸受
20 固定軸受台
22 スライド軸受台
24 熱伸び量測定部
31,32,33,34,35,36 蒸気バルブ
P1 吸入口
P2 排出口
P3 ドレン排出口
P4 暖機ドレン排出口
S1 吸入口側配管
S2 排出口側配管
S3 ドレン排出口側配管
S4 暖機ドレン排出配管
S5 作業用蒸気配管
S6 蒸気配管
B 基礎

Claims (14)

  1. 車室とロータとを備える蒸気タービンにおける前記車室に蒸気を導入して暖機を行う暖機方法であって、
    前記車室の熱伸び量に応じて前記車室内の圧力を調整する蒸気タービンの暖機方法。
  2. 前記車室の熱伸び量が所定値に到達した場合に暖機運転を終了する請求項1に記載の蒸気タービンの暖機方法。
  3. 車室とロータとを備える蒸気タービンにおける前記車室に蒸気を導入して暖機を行う暖機方法であって、
    前記車室の熱伸び量及び前記車室内の温度を取得し、これらのうち少なくとも一方に応じて前記車室内の圧力を調整する蒸気タービンの暖機方法。
  4. 取得した前記車室の熱伸び量及び前記車室内の温度のうち、少なくとも一方が所定値に到達した場合に暖機運転を終了する請求項3に記載の蒸気タービンの暖機方法。
  5. 前記車室内の圧力の調整は、段階的に圧力を上昇させる調整である請求項1乃至4のいずれかに記載の蒸気タービンの暖機方法。
  6. 前記蒸気タービンは、前記ロータを支持するスライド軸受台を備え、
    前記車室の熱伸び量を前記スライド軸受台の移動量から取得する請求項1乃至5のいずれかに記載の蒸気タービンの暖機方法。
  7. 前記車室を暖機する前記蒸気は、前記蒸気タービンの前記ロータで仕事を終了した蒸気を前記車室から排出する排出口から導入する請求項1乃至6のいずれかに記載の蒸気タービンの暖機方法。
  8. 前記車室を暖機する前記蒸気は、前記蒸気タービンの前記ロータの途中位置の前記車室に設けられたドレン排出口から導入する請求項1乃至6のいずれかに記載の蒸気タービンの暖機方法。
  9. 前記蒸気タービンは、背圧タービンとされる請求項1乃至8のいずれかに記載の蒸気タービンの暖機方法。
  10. 前記車室を暖機する蒸気によって前記車室が昇温され、前記車室内の温度が飽和する所定温度は、前記蒸気タービンが暖機終了後に、前記車室に供給される主蒸気の温度に対して、100℃から150℃低い温度に設定される請求項1乃至9のいずれかに記載の蒸気タービンの暖機方法。
  11. 車室とロータとを備える蒸気タービンであって、
    前記車室に蒸気を導入する暖機の際に、前記車室の熱伸び量に応じて前記車室内の圧力を調整させる制御部を備える蒸気タービン。
  12. 前記ロータを支持すスライド軸受台を備え、
    前記制御部は、前記車室の熱伸び量を前記スライド軸受台の移動量から取得し、取得した前記車室の熱伸び量が所定値に到達した場合に暖機を終了させる請求項11に記載の蒸気タービン。
  13. 車室とロータとを備える蒸気タービンであって、
    前記車室に蒸気を導入する暖機の際に、前記車室の熱伸び量及び車室内の温度を取得し、これらのうち少なくとも一方に応じて、前記車室内の圧力を調整させる制御部を備える蒸気タービン。
  14. 前記ロータを支持するスライド軸受台を備え、
    前記制御部は、前記車室の熱伸び量を前記スライド軸受台の移動量から取得し、取得した前記車室の熱伸び量及び前記車室内の温度のうち、少なくとも一方が所定値に到達した場合に暖機を終了させる請求項13に記載の蒸気タービン。
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