JP2019126974A - ガスバリアフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】PETやONYを用いず、レトルト処理等の熱水処理を行っても優れたガスバリア性を維持でき、突刺強度及び物理衝撃強度にも優れたガスバリアフィルムを提供する。【解決手段】フィルム基材1上に、無機化合物または金属化合物からなる蒸着層3と、第一のコーティング層4と、第二のコーティング層5とをこの順に積層し、第一のコーティング層4は、ポリカルボン酸系重合体と、一般式R1Si(OR2)3で表されるシランカップリング剤とその加水分解物及びそれらの縮合物からなる群から選択される少なくとも1種のケイ素含有化合物とを含有する層であり、第二のコーティング層5は、多価金属化合物を含有する層であり、フィルム基材の厚さが12μm以上であるガスバリアフィルム。(R1はグリシジルオキシ基またはアミノ基を含む有機基、R2はアルキル基、3個のR2は同一でなくともよい)【選択図】図1

Description

本発明は、包装体に用いられるガスバリアフィルムに関する。
食品、医薬品等の包装には機密性が高く、水分や酸素による内容物の劣化を防ぐために各種プラスチックフィルムや金属箔、紙などの材質を用いた包装用材料が開発されている。特に、食品・医薬品用途において長期間保存可能な包装形態として、レトルトやボイルなどの加熱殺菌処理を行ったレトルト包装やボイル包装が一般的に行われている。レトルト・ボイル用包材に要求される特性として、各種ガスバリア性、耐熱水性、保香性、耐変色性、耐衝撃性、耐圧性、突き刺し耐性、屈曲耐性などが挙げられ、加熱処理条件や内容物に適したラミネート構成が設計される。
そのような包装材料の一例として、例えば耐熱水性や保香性、印刷適性等を付与するために二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(以下PETと称する)フィルムを基材とし、耐衝撃性や突き刺し耐性を付与するために二軸延伸ナイロン(以下ONYと称する)フィルム、バリア性を付与するガスバリア層としてアルミニウム(Al)箔、もしくは蒸着膜を積層し、まずガスバリアフィルムを作製する。
さらに、ヒートシール性を付与するために耐熱グレードの未延伸ポリプロピレン(以下CPPと称する)フィルムやポリエチレンフィルム等をシーラントとして、接着剤を塗布した前記ガスバリアフィルムとドライラミネート法で貼り合わせ、ガスバリア積層体とすることにより加熱処理に適した包装材が得られる。
レトルト処理は、一般に食品等を保存するために、カビ、酵母、細菌などの微生物を加圧殺菌する方法である。通常は、食品を包装したガスバリア積層体包装材を、105〜140℃、0.15〜0.30MPaで10〜120分の条件で加圧殺菌処理をする。レトルト装置は、加熱蒸気を利用する蒸気式と加圧加熱水を利用する熱水式があり、内容物となる食品等の殺菌条件に応じて適宜使い分ける。
ボイル処理は、食品等を保存するため湿熱殺菌する方法である。通常は、内容物にもよるが、食品等の包装したガスバリア積層体包装材を、60〜100℃、大気圧下で、10〜120分の条件で湿熱殺菌処理を行う。ボイル処理は、通常、熱水槽を用いて100℃以下で処理を行う。方法としては、一定温度の熱水槽の中に浸漬し一定時間処理した後に取り出すバッチ式と、熱水槽の中をトンネル式に通して処理する連続式がある。
例えば、レトルト処理の熱水加圧殺菌処理としては、105℃〜130℃、圧力0.10〜0.30MPa、処理時間10〜60分の条件で熱水加圧殺菌処理をするために、ガスバリア積層体包装材のラミネート構成として、外側よりPET/Al/ONY/CPP、PET/ONY/Al/CPP、PET/蒸着層/ONY/CPPが使用される。このように、PETフィルムとONYフィルムの併用が一般的に行われる。
他方、特許文献1には、ポリブチレンテレフタレート(以下PBTと称する)を用いることで、PBT/Al/CPP構成のレトルト包材への展開が提案されている。また、レトルト処理後のガスバリア性を向上するためにポリ(メタ)アクリル酸やポリビニルアルコールに代表される、分子内に親水性の高い高水素結合性基を含有する重合体が用いられているが、乾燥条件下においては非常に優れた酸素等のガスバリア性を有する一方で、高湿度条件下においては、その親水性に起因して酸素等のガスバリア性が大きく低下する問
題や、湿度や熱水に対する耐性が劣る問題があった。
これらの問題を解決するために、ポリカルボン酸系重合体のカルボキシ基を多価金属イオンで中和することが提案されている。例えば特許文献2には、ポリカルボン酸系重合体と多価金属化合物とを同一又は隣接する層に含有し、赤外吸収スペクトルの特定波長におけるピーク比が0.25未満の前駆体フィルムを相対湿度20%以上の雰囲気下に置き、ポリカルボン酸系重合体の多価金属塩を形成させて前記ピーク比を0.25以上としたフィルムが開示されている。
特許文献3には、カルボキシ基及びカルボン酸無水物から選ばれる官能基を有し、該官能基が有する−COO−基の少なくとも一部が多価金属イオンで中和されている重合体と、ハロゲン原子及びアルコキシ基から選ばれる少なくとも1つの特性基が結合した金属原子を含む化合物の加水分解縮合物とを含む層を有するガスバリア性積層体が開示されている。
一方、基材フィルムにガスバリア性を付与する方法として、金属酸化物等の無機化合物からなる無機蒸着層を設ける方法が知られている(例えば、特許文献4参照)。
また、無機蒸着層の基材フィルムへの密着性を高めるため、基材フィルムと無機蒸着層との間にプライマー層を設けることが提案されている(例えば、特許文献5参照)。
また、更なる高バリア性及び耐水性、耐湿性を付与するために、無機蒸着層上にガスバリア性被覆層を設けることが提案されている。例えば特許文献6では、無機蒸着層上に水溶性高分子と、I)1種類以上の金属アルコキシドまたは金属アルコキシド加水分解物、あるいはII)塩化錫を含む、水溶液、または水アルコール混合溶液とを主剤とするコーティング剤を塗布し、加熱、乾燥してなるガスバリア性被覆層を第2層として順次積層したガスバリア性包材を設ける手法が記載されている。
しかし、無機蒸着層を備えるガスバリア性積層体は、加熱処理により無機蒸着層等のバリア層の材質の劣化が起こることで層間の密着性が低下しやすく、レトルト処理、ボイル処理、加熱調理等の加熱処理を行うと、無機蒸着層のデラミネーションが生じ、ガスバリア性が低下することがある。また、無機蒸着層は、無機化合物からなるため脆く、延伸、屈曲等によりガスバリア性フィルムに応力(虐待)を加えると、無機蒸着層がダメージを受け、ガスバリア性が低下しやすい。
特開2012−214248号公報 国際公開第2003/091317号 国際公開第2005/053954号 特許第3448872号公報 特許第3736130号公報 特許第2790054号公報
既述のように、加熱処理、特にレトルト処理に関しての包装材構成としては、一般的にPETフィルムとONYフィルムの両者が併用されている。これは、PETフィルムの耐熱水性が高い長所である一方、突刺強度は低い短所があり、ONYフィルムが突刺強度が高い長所である一方、耐熱水性は低い短所があるため、お互いに長所短所を補完して用いるためである。しかし、PETとONYの両者を用いるためラミネート工程が増えて、環
境負荷への影響が懸念され、コスト面からも改善が求められている。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであって、本発明の課題とするところは、長所補完のためにPETとONYの両方の層を用いることなく、レトルト処理等の熱水処理を行っても優れたガスバリア性を維持することができるとともに、突刺強度、及び物理衝撃に対する強度にも優れたガスバリアフィルムを提供することである。
上記課題を解決するために、本発明に係る第一の発明は、
ブチレンテレフタラート単位を主たる構成単位とするポリエステル樹脂を含有するフィルム基材の一方の面に、無機酸化物または金属酸化物からなる蒸着層と、第一のコーティング層と、第二のコーティング層とをこの順に積層してなり、
前記第一のコーティング層は、ポリカルボン酸系重合体と、一般式RSi(ORで表されるシランカップリング剤とその加水分解物及びそれらの縮合物からなる群から選択される少なくとも1種のケイ素含有化合物とを、99.5:0.5〜80.0:20.0の質量比で含有する層であり、
前記第二のコーティング層は、多価金属化合物を含有する層であり、
前記フィルム基材の厚さが12μm以上である、
ことを特徴とするガスバリアフィルムである。
(ただし、Rはグリシジルオキシ基またはアミノ基を含む有機基であり、Rはアルキル基であり、3個のRは同一でなくともよい)
また第二の発明は、前記フィルム基材と前記蒸着層との間に、アンカーコート剤を含有する密着層を備えることを特徴とするガスバリアフィルムである。
第三の発明は、前記無機酸化物が、酸化アルミニウムもしくは、酸化ケイ素であることを特徴とするガスバリアフィルムである。
第四の発明は、前記ポリカルボン酸系重合体の数平均分子量が、2,000〜10,000,000の範囲であることを特徴とするガスバリアフィルムである。
第五の発明は、前記ガスバリアフィルムを、50℃〜150℃の温度で10N/m〜70N/mの張力をかけたときのフィルム走行方向(MD方向)の伸び率Y(下記数式1)が、30%以下であることを特徴とするガスバリアフィルムである。
伸び率Y=((所定の温度で張力をかけたときのフィルムの長さ)−(室温で張力をかけていないときの長さ))/(所定の温度で張力をかけたときのフィルムの長さ) ・・・(数式1)
第六の発明は、前記ガスバリアフィルムにおいて、前記伸び率Yが、任意のフィルムにかかる温度X(℃)、張力Z(N/m)により、下記数式2で示される基準値Gに対して、Y≦Gとなることを特徴とするガスバリアフィルムである。
基準値G=0.8×(フィルムにかかる温度X(℃)−50)×(0.9×(張力Z(N/m)−5)/40) ・・・(数式2)
本発明に係るガスバリアフィルムにより、耐熱水性、突刺強度が高く、レトルト処理、ボイル処理、加熱調理等を行っても優れたガスバリア性を維持することのできるガスバリアフィルムが可能となった。
本発明に係るガスバリアフィルムの一様態を示した模式断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面をもって説明する。
図1に示すように、本発明の実施形態に係るガスバリアフィルム10は、フィルム基材1の上に密着層2、蒸着層3、第一のコーティング層(A)4、第二のコーティング層(B)5を順次積層してなる。なお、本発明において、密着層2は必須構成ではなく、フィルム基材1と蒸着層3との密着性が充分であれば密着層2は省略が可能である。
第一のコーティング層(A)4は、ポリカルボン酸系重合体と、一般式RSi(OR(ただし、Rはグリシジルオキシ基またはアミノ基を含む有機基であり、Rはアルキル基であり、3個のRはそれぞれ同一であっても異なっていても良い)で表されるシランカップリング剤と、その加水分解物及びそれらの縮合物からなる群から選択される少なくとも1種のケイ素含有化合物とを、99.5:0.5〜80.0:20.0の質量比(但し、前記ケイ素含有化合物の質量は前記シランカップリング剤換算の質量である)で含有する層である。
また第二のコーティング層(B)5は、多価金属化合物を含有する層である。
(フィルム基材)
本発明に用いるフィルム基材1は、ブチレンテレフタレート(PBT)単位を主たる構成単位とするポリエステル樹脂を含有するものである。
またフィルム基材1としては、キャスト方式による未延伸フィルムではなく、延伸フィルムが用いられる。未延伸PBTフィルムは強度や寸法安定性に問題があるため用途が限定されており、レトルト処理、ボイル処理などの加熱調理等の包材としては適していない。延伸PBTフィルムは、未延伸PBTフィルムよりも強度が高く、耐衝撃性、耐熱性、耐水性に優れるためにレトルト処理やボイル処理に使用することが可能である。延伸方法としては、インフレーションによる延伸フィルム、または一軸延伸、二軸延伸PBTフィルムなど、寸法が安定されたフィルムが供給可能ならば、どの方法で製膜されたものでもかまわない。
フィルム基材1の厚さは用途によって適宜選択できるが、12μm〜200μm程度のものを使用できる。この厚さを12μm以上とすることによって、耐衝撃性が高く、また熱変形等によるバリア性の低下を防ぐことができる。
またこのフィルム基材1には、その積層面にバリア性能を損なわない範囲でコロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理などの各種前処理を施したり、易接着層などのコート層を設けても構わない。
(密着層)
本発明の密着層2は、透明プラスチック材料からなる基材フィルム上に設けられ、フィルム基材1と無機蒸着層3の密着性能向上と、平面を平滑にすることで次工程の蒸着層を欠陥なく均一に成膜し高いバリア性を発現することの、二つの効果を得ることを目的とした層であって、アンカーコート剤を含有する層である。
このような密着層2に含有するアンカーコート剤としては、例えば、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂が挙げられる。これらのアンカーコート剤の中でも、耐熱性及び層間接着強度の観点から、ポリエステル系ポリウレタン樹脂が好ましい。
また、このような密着層2の厚さは特に限定されないが、この厚さが0.01〜5μmの範囲であることが好ましく、0.03〜3μmの範囲であることがより好ましく、0.05〜2μmの範囲であることが特に好ましい。密着層2の厚さが前記下限値未満では、層間接着強度が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限値を超えると所望のガスバリア性が発現しない傾向にある。
また、密着層2を前記フィルム基材1上に塗工する方法としては、公知の塗工方法が特に制限なく使用可能であり、浸漬法(ディッピング法);スプレー、コーター、印刷機、刷毛等を用いる方法が挙げられる。また、これらの方法に用いられるコーター及び印刷機の種類並びにそれらの塗工方式としては、ダイレクトグラビア方式、リバースグラビア方式、キスリバースグラビア方式、オフセットグラビア方式等のグラビアコーター、リバースロールコーター、マイクログラビアコーター、チャンバードクター併用コーター、エアナイフコーター、ディップコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター等を挙げることができる。
さらに、このような密着層2の塗布量としては、アンカーコート剤を塗工して乾燥した後の1mあたりの質量が0.01〜5g/mであることが好ましく、0.03〜3g/mであることがより好ましい。アンカーコート剤を塗工して乾燥した後の1mあたりの質量が前記下限未満では、成膜が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると乾燥が不十分で溶剤が残留しやすくなる傾向にある。
また、このような密着層2を乾燥させる方法としては、特に限定されないが、自然乾燥による方法や、所定の温度に設定したオーブン中で乾燥させる方法、前記コーター付属の乾燥機、例えばアーチドライヤー、フローティングドライヤー、ドラムドライヤー、赤外線ドライヤー等を用いる方法を挙げることができる。さらに、乾燥の条件としては、乾燥させる方法により適宜選択することでき、例えばオーブン中で乾燥させる方法においては、温度60〜100℃にて、1秒間〜2分間程度乾燥することが好ましい。
(蒸着層)
本発明のガスバリアフィルム10で用いる蒸着層3には、Al、Siの少なくとも一種が含有されていることが好ましい。より具体的には、SiOx、AlOxで表わされる金属酸化物、もしくはその混合物を用いることができるが、窒素やアルミの単体原子を含有していても差し支えない。
蒸着層3の膜厚は、5nm以上100nm以下であることが好ましい。膜厚が5nm未満であると、十分な水蒸気バリア性を得ることができない。また、100nmより大きいと、薄膜の内部応力による変形によりクラックが発生し、水蒸気バリア性が低下する。さらに、材料使用量の増加、膜形成時間の長時間化等に起因してコストが増加し、経済的観点からも好ましくない。
蒸着層3は、少なくとも1層は真空成膜で形成されることが必要である。真空成膜では、例えば物理気相成長法あるいは化学気相成長法を用いることができる。物理気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。化学気相成長法としては、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
前記真空成膜では、抵抗加熱式真空蒸着法、EB(Electron Beam)加熱式真空蒸着法、誘導加熱式真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、デュアルマグネトロンスパッタリング法、プラズマ化学気相堆積法(PECVD法)等が特に好ましく用いられる。
前記のスパッタリング法以降の方法ではプラズマを用いるが、DC(Direct Current)方式、RF(Radio Frequency)方式、MF(Middle Frequency)方式、DCパルス方式、RFパルス方式、DC+RF重畳方式等のプラズマの生成法を適用することができる。
スパッタリング法の場合、陰極であるターゲットに負の電位勾配が生じ、Arイオンが電位エネルギーを受け、ターゲットに衝突する。ここで、プラズマが発生しても負の自己バイアス電位が生じないとスパッタリングを行うことができない。MW(Micro Wave)プラズマは自己バイアスが生じないため、スパッタリングには適していない。しかし、PECVD法では、プラズマ中の気相反応を利用して化学反応、堆積のプロセスが進むため、自己バイアスが無くても膜の生成が可能であり、MWプラズマを利用することができる。
次に、コーティング層について説明する。コーティング層は、下記の第一のコーティング層(A)4と、多価金属化合物を含有する第二のコーティング層(B)5とを含む。
(第一のコーティング層(A))
第一のコーティング層(A)4は、ポリカルボン酸系重合体ポリカルボン酸系重合体(以下、「ポリカルボン酸系重合体(A1)成分」と称する)と、一般式RSi(OR(ただし、Rはグリシジルオキシ基またはアミノ基を含む有機基であり、Rはアルキル基であり、3個のRはそれぞれ同一であっても異なっていても良い)で表されるシランカップリング剤、その加水分解物、およびそれらの縮合物、からなる群から選択される少なくとも1種類のケイ素含有化合物(以下「ケイ素含有化合物(A2)」成分という)とを、(A1):(A2)=99.5:0.5〜80.0:20.0の質量比(但し、前記ケイ素含有化合物成分(A2)の質量は前記シランカップリング剤換算の質量である)で含有している第一のコーティング層(A)である。
ポリカルボン酸系重合体(A1)成分のポリカルボン酸系重合体とは、分子内に2個以上のカルボキシ基を有する重合体である。
ポリカルボン酸系重合体(A1)成分としては、たとえばエチレン性不飽和カルボン酸の(共)重合体;エチレン性不飽和カルボン酸と他のエチレン性不飽和単量体との共重合体;アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、ペクチン等の分子内にカルボキシル基を有する酸性多糖類が挙げられる。前記エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等が挙げられる。エチレン性不飽和カルボン酸と共重合可能なエチレン性不飽和単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル等の飽和カルボン酸ビニルエステル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これらのポリカルボン酸系重合体は1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
ポリカルボン酸系重合体(A1)成分としては、上記の中でも、得られるガスバリア性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、およびクロトン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合性単量体から誘導される構成単位を含む重合体が好ましく、アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸およびイタコン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合性単量体から誘導される構成単位を含む重合体が特に好ましい。
該重合体において、前記アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸およびイタコン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合性単量体から誘導される構成単位の割合は、80mol%以上であることが好ましく、90mol%以上であることがより好ましい(ただし、該重合体を構成する全構成単位の合計を100mol%とする)。該重合体は、単独重合体でも、共重合体でもよい。該重合体が、上記構成単位以外の他の構成要素としては、例えば前述のエチレン性不飽和カルボン酸と共重合可能なエチレン性不飽和単量体から誘導される構成単位などが挙げられる。
ポリカルボン酸系重合体(A1)成分の数平均分子量は、2,000〜10,000,000の範囲が好ましく、5,000〜1,000,000がより好ましい。数平均分子量が2,000未満では、得られるガスバリア層は充分な耐水性を達成できず、水分によってガスバリア性や透明性が悪化する場合や、白化の発生が起こる場合がある。一方、数平均分子量が10,000,000を超えると、塗工によって第一のコーティング層(A)を形成する前に、粘度が高くなり塗工性が損なわれる場合がある。
ポリカルボン酸系重合体(A1)成分は、カルボキシ基の一部が予め塩基性化合物で中和されていても良い。ポリカルボン酸系重合体(A1)成分の有するカルボキシ基の一部を予め中和することにより、耐水性や耐熱性をさらに向上させることができる。塩基性化合物として、多価金属化合物、一価金属化合物およびアンモニアからなる群から選択される少なくとも1種の塩基性化合物が好ましい。多価金属化合物としては、第二のガスバリア層(B)の説明で挙げる多価金属化合物と同様のものが挙げられ、多価金属化合物である塩基性化合物としては、例えば酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。一価金属化合物である塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
カルボキシ基の中和度として、第一のコーティング層(A)をポリカルボン酸系重合体(A1)成分と前記ケイ素含有化合物(A2)成分とを含有する第一のコーティング液(a)(後述)からなる塗膜を乾燥することにより形成する場合は、該第一のコーティング液(a)の塗工性や塗液安定性の観点から、30mol%以下であることが好ましく、25mol%以下であることがより好ましい。ポリカルボン酸系重合体(A1)成分としては、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記ケイ素含有化合物(A2)成分は、一般式RSi(OR(ただし、Rはグリシジルオキシ基またはアミノ基を含む有機基であり、Rはアルキル基であり、3個のRはそれぞれ同一であっても異なっていても良い)で表されるシランカップリング剤、その加水分解物、およびそれらの縮合物からなる群から選択される少なくとも1種のケイ素含有化合物である。前記ケイ素含有化合物(A2)成分は、少量でも密着層2と第一のコーティング層(A)4との密着性を向上させ、耐熱性、耐水性等を向上させる。
前記一般式中、Rにおける有機基としては、例えば、グリシジルオキシアルキル基、アミノアルキル基等が挙げられる。Rのアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基が特に好ましい。前記シランカップリング剤の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。
前記ケイ素含有化合物(A2)成分は、前記シランカップリング剤自体であってもよく、該シランカップリング剤が加水分解した加水分解物でもよく、これらの縮合物であってもよい。加水分解物としては、前記一般式中の3つのORのうち少なくとも1つがOHとなったものが挙げられる。縮合物としては、少なくとも2分子の加水分解物のSi−OH同士が縮合してSi−O−Si結合を形成したものが挙げられる。なお、以下においては、シランカップリング剤の加水分解物が縮合したものを加水分解縮合物と記すことがある。
前記ケイ素含有化合物(A2)成分としては、ゾルゲル法を用いて、シランカップリング剤の加水分解および縮合反応を行ったもの用いることができる。通常、シランカップリング剤は加水分解が容易におこり、また、酸、アルカリ存在下では容易に縮合反応がおこるため、シランカップリング剤のみ、その加水分解物のみ、またはそれらの縮合物のみで存在することは稀である。すなわち前記ケイ素含有化合物(A2)成分は、通常シランカップリング剤、その加水分解物、およびこれらの縮合物が混在している。また、加水分解物には、部分加水分解物、完全加水分解物が含まれる。
前記ケイ素含有化合物(A2)成分としては、少なくとも加水分解縮合物を含むことが好ましい。加水分解縮合物を製造する際の方法としては、シランカップリング剤を上記ポリカルボン酸系重合体(A1)成分および水を含む液に直接混合してもよく、シランカップリング剤に水を加えることによって、加水分解およびそれに続く縮合反応を行い、ポリカルボン酸系重合体と混合する前に、加水分解縮合物を得てもよい。
第一のコーティング層(A)4はポリカルボン酸系重合体(A1)成分と、前記ケイ素含有化合物(A2)成分との比率(A1:A2)を、99.5:0.5〜80.0:20.0の質量比で含有する。ただし、前記ケイ素含有化合物(A2)成分の質量は、前記シランカップリング剤換算の質量である。
ここで、前記ケイ素含有化合物(A2)成分は上記のとおり、通常シランカップリング剤、その加水分解物、およびこれらの縮合物が混在するが、前記ケイ素含有化合物(A2)成分の質量は、前記シランカップリング剤に換算した値、すなわちシランカップリング剤の仕込み量である。上記範囲であると、耐虐待性に優れるガスバリア積層体を得ることができる。
さらに、前記ケイ素含有化合物(A2)成分が存在することにより、本発明のガスバリア層が酸に対する耐性を有する。シランカップリング剤として、Rがグリシジルオキシ基を含む有機基であるもの(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランや、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン)を用いる場合には、ポリカルボン酸系重合体(A1)成分と前記ケイ素含有化合物(A2)成分との質量比は、99.5:0.5〜90.0:10.0であることが好ましく、99.0:1.0〜95.0:5.0であることが特に好ましい。
前記シランカップリング剤として、Rがアミノ基を含む有機基であるもの(γ−アミノプロピルトリメトキシシランや、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン)を用いる場合には、ポリカルボン酸系重合体(A1)成分と前記ケイ素含有化合物(A2)成分との質量比は、99.0:1.0〜80.0:20.0であることが好ましく、95.0:5.0〜80.0:20.0であることが特に好ましい。
第一のコーティング層(A)には、各種の添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては可塑剤、樹脂、分散剤、界面活性剤、柔軟材、安定剤、アンチブロッキング剤、膜形成剤、粘着剤、酸素吸収剤等が挙げられる。例えば、可塑剤としては、公知の可塑剤から適宜選択して使用することが可能である。該可塑剤の具体例としては、例えば、エチレングレコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリエチレンオキサイド、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、エリトリトール、グリセリン、乳酸、脂肪酸、澱粉、フタル酸エステルなどを例示することができる。これらは必要に応じて、混合物で用いてもよい。
これらの中でも、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、グリセリン、澱粉が延伸性とガスバリア性の観点から好ましい。このような可塑剤が含まれる場合には、耐虐待性をさらに向上させることができる。添加剤として、ポリビニルアルコール等の水酸基を2つ以上有する化合物を含む場合、該化合物の水酸基と、ポリカルボン酸系重合体(A1)成分のカルボキシ基の一部とがエステル結合を形成していてもよい。第一のコーティング層(A)に添加剤が含まれている場合には、ポリカルボン酸系重合体(A1)成分と添加剤との質量比(ポリカルボン酸系重合体(A1)成分:添加剤)は通常70:30〜99.9:0.1の範囲であり、80:20〜98:2であることが好ましい。
第一のコーティング層(A)の厚さは、ガスバリア性の観点から、好ましくは0.01〜5μmの範囲であり、より好ましくは0.02〜3μmの範囲であり、さらに好ましくは0.04〜1.2μmの範囲である。なお、コーティング層が第一のコーティング層(A)を複数含む場合でも、コーティング層中の第一のコーティング層(A)の合計の好ましい厚さは上記と同じである。
(第一のコーティング層(A)の形成方法)
第一のコーティング層(A)は通常、公知のコーティング法により形成することができる。具体的には、ポリカルボン酸系重合体(A1)成分と前記ケイ素含有化合物(A2)成分とを含有する液第一のコーティング液(a)からなる塗布膜を乾燥することにより形成できる。第一のコーティング液(a)に含まれるポリカルボン酸系重合体(A1)成分、前記ケイ素含有化合物(A2)成分としてはそれぞれ、前記と同様のものを用いることができる。
第一のコーティング液(a)は、ポリカルボン酸系重合体(A1)成分と、前記ケイ素含有化合物(A2)成分とを、99.5:0.5〜80.0:20.0の質量比(ただし、前記ケイ素含有化合物(A2)成分の質量は、前記シランカップリング剤換算の質量)である。その好ましい理由は前記と同じである。
シランカップリング剤として、Rがグリシジルオキシ基を含む有機基であるもの(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランや、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン)を用いる場合には、ポリカルボン酸系重合体(A1)成分とケイ素含有化合物(A2)成分との質量比は、99.5:0.5〜90.0:10.0であることが好ましく、99.0:1.0〜95.0:5.0であることが特に好ましい。
シランカップリング剤として、Rがアミノ基を含む有機基であるもの(γ−アミノプロピルトリメトキシシランや、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン)を用いる場合には、ポリカルボン酸系重合体(A1)成分とケイ素含有化合物(A2)成分との質量比は、99.0:1.0〜80.0:20.0であることが好ましく、95.0:5.0〜80.0:20.0であることが特に好ましい。
なお、通常は第一のコーティング液(a)に含まれるポリカルボン酸系重合体(A1)成分とケイ素含有化合物(A2)成分との質量比と、該第一のコーティング液(a)を用いて形成される第一のガスバリア層(A)におけるポリカルボン酸系重合体(A1)成分
とケイ素含有化合物(A2)成分との質量比とは同様であるが、例えばポリカルボン酸系重合体(A1)成分と添加剤とが反応した場合や、ポリカルボン酸系重合体(A1)成分とケイ素含有化合物(A2)成分とが反応した場合等には、異なる場合がある。
第一のコーティング液(a)は、ポリカルボン酸系重合体(A1)成分とケイ素含有化合物(A2)成分と必要に応じて含まれる添加剤とを、溶媒と混合することにより調整できる。
第一のコーティング液(a)に用いる溶媒としては、ポリカルボン酸系重合体(A1)成分およびケイ素含有化合物(A2)成分を溶解し得るものであれば特に限定は無いが、通常シランカップリング剤の加水分解反応を行うための水が必要であることから、水、水との有機溶媒との混合溶媒等が好ましい。ポリカルボン酸系重合体(A1)成分の溶解性、コストの点では、水が最も好ましい。
アルコール等の有機溶媒は、シランカップリング剤の溶解性、第一のコーティング液(a)の塗工性を向上する点で好ましい。有機溶媒としては、炭素数1〜5のアルコールおよび炭素数3〜5のケトンからなる群から選択される少なくとも1種の有機溶媒等を用いることが好ましい。このような有機溶媒としては、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。水と有機溶媒との混合溶媒としては、上述した水と有機溶媒との混合溶媒が好ましく、水と炭素数1〜5のアルコールとの混合溶媒がより好ましい。混合溶媒としては、水が20〜95質量%の量で存在し、有機溶媒が80〜5質量%の量で存在する(ただし、水と有機溶媒との合計を100質量%とする)ものが好ましい。
第一のコーティング液(a)においては、ガスバリア性および塗工性の観点から、第一のコーティング液(a)中のポリカルボン酸系重合体(A1)成分と、ケイ素含有化合物(A2)成分と、必要に応じて含まれる添加剤との合計含有量(固形分)が、第一のコーティング液(a)の総重量に対して、0.5〜50質量%が好ましく、0.8〜30質量%がより好ましく、1.0〜20質量%が特に好ましい。
この第一のコーティング液(a)を、第一のガスバリア層(A)として積層する面、すなわち密着層2上に塗工して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥することにより、第一のコーティング層(A)を形成できる。
第一のコーティング液(a)の塗工方法としては、特に限定されず公知のコート法の中から適宜選択でき、例えばキャスト法、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法、リバースコート法、スプレーコート法、キットコート法、ダイコート法、メタリングバーコート法、チャンバードクター併用コート法、カーテンコート法等が挙げられる。第一のコーティング液(a)の塗工量は、形成する第一のコーティング層(A)の厚さに応じて設定される。
第一のコーティング液(a)を塗工した後、乾燥により、塗液に含まれる第一のコーティング液(a)の溶媒を除去することによって、第一のコーティング層(A)が形成される。
乾燥方法としては、特に限定は無く、例えば熱風乾燥法、熱ロール接触法、赤外線加熱法、マイクロ波加熱法等の方法が挙げられる。これらの方法はいずれかを単独で用いても2種以上を組み合わせてもよい。このようにして形成される第一のガスバリア層(A)には、ポリカルボン酸系重合体(A1)成分とケイ素含有化合物(A2)成分とが含まれ、
さらに、第一のコーティング液(a)に添加剤等の他の成分が含まれる場合には、当該他の成分が含まれている。第一のコーティング液(a)の添加剤として、ポリビニルアルコール等の水酸基を2つ以上有する化合物を用いた場合、上記乾燥、熟成処理、熱処理等の際に、該化合物の水酸基とポリカルボン酸系重合体(A1)成分のカルボキシ基の一部とが反応してエステル結合を形成してもよい。
(第二のコーティング層(B))
第二のコーティング層(B)は、多価金属化合物を含有する。多価金属化合物とは、金属イオンの価数が2以上の多価金属の化合物である。多価金属としては、例えばベリリウム、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属;チタン、ジルコニウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛などの遷移金属;アルミニウム、ケイ素が挙げられる。多価金属としては、耐熱性、耐水性、透明性の観点から、カルシウムまたは亜鉛が特に好ましい。多価金属化合物としては、カルシウム化合物または亜鉛化合物が上述の理由より好ましい。
多価金属化合物としては、例えば多価金属の単体、酸化物、水酸化物、炭酸塩、有機酸塩(例えば、酢酸塩)もしくは無機酸塩、多価金属酸化物のアンモニウム錯体もしくは2〜4級アミン錯体、またはそれらの炭酸塩もしくは有機酸塩が挙げられる。これらの多価金属化合物の中でも、ガスバリア性、高温水蒸気や熱水に対する耐性、製造性の観点から、アルカリ土類金属、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウムまたはケイ素の酸化物、水酸化物、塩化物、炭酸塩または酢酸塩、銅または亜鉛のアンモニウム錯体またはそれらの炭酸塩を用いることが好ましい。これらの中でも、工業的生産性の観点から、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酢酸亜鉛、酢酸カルシウムが好ましく、酸化亜鉛または炭酸カルシウムが特に好ましい。
第二のコーティング層(B)を、多価金属化合物を含有する第二のコーティング液(b)からなる塗膜を乾燥することにより形成する場合、多価金属化合物の形態は、粒子状であっても、非粒子状であっても、溶解していてもよいが、分散性、ガスバリア性、生産性の観点からは、粒子状であることが好ましい。
また、このような粒子の平均粒子径は特に限定されないが、ガスバリア性、コーティング適性の観点から、平均粒子径が5μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましく、0.1μm以下であることが特に好ましい。
第二のコーティング層(B)は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、多価金属化合物のほかに、各種添加物を含有してもよい。該添加物としては、例えば、第二のコーティング層(B)を、多価金属化合物を含有する第二のコーティング液(b)からなる塗膜を乾燥することにより形成する場合、第二のコーティング液(b)に用いる溶媒に可溶または分散可能な樹脂、該溶媒に可溶または分散可能な分散剤、界面活性剤、柔軟材、安定剤、膜形成剤、増粘剤等を含有してもよい。
上記の中でも、第二のコーティング液(b)に用いる溶媒に可溶または分散可能な樹脂を含有することが好ましい。これにより、第二のコーティング液(b)の塗工性、製膜性が向上する。このような樹脂としては、例えばアルキッド樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂等が挙げられる。
また、第二のコーティング液(b)に用いる溶媒に可溶または分散可能な分散剤を含有することが好ましい。これにより、多価金属化合物の分散性が向上する。該分散剤として、アニオン系界面活性剤や、ノニオン系界面活性剤を用いることができる。該界面活性剤としては、(ポリ)カルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルフォコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、芳香族リン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、アルキルアリル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ソルビタンアルキルエステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の各種界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は単独で用いても、二種以上を混合して用いてもよい。
第二のコーティング層(B)に添加剤が含まれている場合には、多価金属化合物と添加剤との質量比(多価金属化合物:添加剤)は、30:70〜99:1の範囲内であることが好ましく、50:50〜98:2の範囲内であることが好ましい。
第二のコーティング層(B)の厚さは、ガスバリア性の観点から、好ましくは0.01〜5μmの範囲であり、より好ましくは0.03〜3μmの範囲であり、さらに好ましくは0.1〜1.2μmの範囲である。なお、コーティング層が第二のコーティング層(B)を複数含む場合でも、コーティング層中の第二のコーティング層(B)の合計の好ましい厚さは上記と同じである。
(第二のコーティング層(B)の形成方法)
第二のコーティング層(B)の形成方法としては、例えば、コーティング法、ディッピング法等が挙げられる。これらの中でも、生産性の観点からコーティング法が好ましい。以下、コーティング法により第二のコーティング層(B)を形成する場合について説明する。
コーティング法による第二のコーティング層(B)の形成は、具体的には多価金属化合物を含有する第二のコーティング液(b)からなる塗膜を乾燥することにより形成できる。
第二のコーティング液(b)に含まれる多価金属化合物としては、前記と同様なものを用いることができ、カルシウム化合物または亜鉛化合物が好ましい。
第二のコーティング液(b)は必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、多価金属化合物のほかに各種添加剤を含んでいてもよい。該添加剤としては、例えば、第二のコーティング液(b)に用いる溶媒に可溶または分散可能な樹脂、該溶媒に可溶または分散可能な分散剤、その他の界面活性剤、柔軟剤、安定剤、膜形成剤、増粘剤などが挙げられる。
上記の中でも、第二のコーティング液(b)には、第二のコーティング液(b)の塗工性、成膜性を向上させる目的で、第二のコーティング液(b)に用いる溶媒に可溶または分散可能な樹脂を混合して用いることが好ましい。このような樹脂としては、前記第二のコーティング層(B)が含有してもよい各種添加剤として挙げたものと同様のものが挙げられる。
また、添加剤として、多価金属化合物の分散性を向上させる目的で、第二のコーティング液(b)に用いる溶媒に可溶または分散可能な分散剤を混合して用いることが好ましい。該分散剤としては、第二のコーティング層(B)が含有してもよい各種添加剤として前記で挙げたものと同様のものが挙げられる。
第二のコーティング液(b)に添加剤が含まれている場合には、多価金属化合物と添加剤との質量比(多価金属化合物:添加剤)は、30:70〜99:1の範囲内であることが好ましく、50:50〜98:2の範囲内であることがより好ましい。
第二のコーティング液(b)に用いる溶媒としては、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、ジメチルスルフォキシド、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが挙げられる。また、これらの溶媒は1種単独で用いても、2種以上を混合しても良い。
これらの中でも、塗工性の観点から、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、水が好ましい。また、生産性の観点から、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、水が好ましい。なお、第一のコーティング液(a)から形成される第一のガスバリア層(A)は耐水性が優れているために、第二のコーティング液(b)に用いる溶媒として水を用いることができる。
この第二のコーティング液(b)を、第二のコーティング層(B)を積層する面、例えば第一のコーティング層(A)上などに塗工して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥することにより第二のコーティング層(B)を形成できる。
第二のコーティング液(b)の塗工方法としては、特に限定されず公知のコート法の中から適宜選択でき、例えばキャスト法、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法、リバースコート法、スプレーコート法、キットコート法、ダイコート法、メタリングバーコート法、チャンバードクター併用コート法、カーテンコート法等が挙げられる。
第二のコーティング液(b)の塗工量は、形成する第二のガスバリア層(B)の厚さに応じて設定される。第二のコーティング液(b)を塗工した後、乾燥により塗膜に含まれる第二のコーティング液(b)の溶媒を除去することによって、第二のコーティング層(B)が形成される。
乾燥方法としては、特に限定は無く、例えば熱風乾燥法、熱ロール接触法、赤外線加熱法、マイクロ波加熱法等の方法が挙げられる。これらの方法はいずれかを単独で用いても、2種以上を組み合わせてもよい。乾燥温度として特に限定は無いが、溶媒として上述した水や、水と有機溶媒との混合溶媒を用いる場合には、通常50℃〜160℃が好ましい。また、乾燥の際の圧力は通常、常圧または減圧下で行い、設備簡便性の観点から常圧で行うことが好ましい。このようにして形成される第二のコーティング層(B)には、多価金属化合物が含まれ、さらに、第二のコーティング液(b)に添加剤等の他の成分が含まれる場合には、該当他の成分が含まれる。
また、前記第二のコーティング層(B)5の上にシーラント層(図示せず)を備えることで、より実用性の高い包装材料とすることができるガスバリア積層体を提供することができる。シーラント層は、袋状包装体などを形成する際の接着部に利用されるものであり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、及びそれらの金属架橋物等の樹脂が用いられる。
シーラント層の厚さは目的に応じて決められるが、一般的には15〜200μmの範囲である。また、包装体の形状により基材側にシーラント層を設ける構成、両側に設ける構成である場合もある。
フィルム基材1のPBTフィルムは温度に依存して、高温ほどフィルムの伸び率が高くなる。一方、蒸着層3はフィルムが伸びると割れてバリアが発現しない。蒸着層3の上に積層するコーティング層(A)4およびコーティング層(B)5のコーティング液を塗工、乾燥する際の、乾燥オーブン内の温度、張力によっては、蒸着層3が割れてバリア性、特に水蒸気バリア性が発現しない。
そこで、本発明者らが鋭意研究の結果、ロールコーティングにおいて、蒸着層3を割らずに、コーティング層(A)4およびコーティング層(B)5をコーティングする際の張力および乾燥条件は、前記蒸着層3を積層したフィルム形状における伸び率のパラメータで規定できることがわかった。
すなわち、任意の温度で10〜70N/mの張力をかけたときのフィルム走行方向(MD方向)の伸び率Y(下記数式1)が、30%以下であればよい。
伸び率Y=((任意の温度で張力をかけたときのフィルムの長さ)−(室温で張力をかけていないときの長さ))/(任意の温度で張力をかけたときのフィルムの長さ)
・・・(数式1)
上記の伸び率Yは、好ましくは15%以下であることが望ましい。コーティング層(A)4およびコーティング層(B)5のコーティングの際の張力条件において、加工のマージンを広く設定することが可能である。 伸び率は、低ければ低いほど蒸着層を割らずにコーティングによってコーティング層を積層することが出来るが、伸び率が低くなると突刺強度、及び物理衝撃に対する強度が落ちるため、突刺強度、及び物理衝撃を確認した上で設定する必要がある。
伸び率の測定方法としては、熱機械分析(TMA)が用いられる。TMAは試料に非振動的荷重(一定荷重)をかけながらの温度に対する変形を計測する手法である。荷重および温度は次工程で実施されるロールコーティング加工時の張力および乾燥温度を想定して測定条件を選定できる。
例えば、コーティング層の形成を、60N/mの張力でフィルムを搬送させ、コーティング液の乾燥を80℃で実施する場合を想定する。
乾燥温度は、乾燥機の設定温度ではなく、フィルムに実際にかかる温度を指す。例えば、ヒートラベル(示温素子を紙ラベルに特殊加工し、表面には指示温度が印刷され、裏面は、耐熱性粘着剤が塗布された、温度測定シール)等をフィルムに貼り付けたまま、前述の(A1)成分液、(A2)成分液を塗布、乾燥させた後に示される温度である。
ロールコーティングを想定して、日立ハイテクサイエンス製(TA700)において、蒸着層3を積層したフィルムをフィルム幅4mmで荷重2Nの荷重をかけた状態で50℃〜150℃まで温度を可変させたときのフィルムの伸び率を測定した場合、80℃でのフィルム伸び率が30%を超えるフィルムでは、上述のロールコーティング条件では、蒸着層3が割れてバリア性が発現しない。
一方、同じ蒸着層3を積層したフィルムでも、乾燥温度が低くなれば伸び率は低くなる。乾燥温度を50℃と設定して、フィルム伸び率が30%以下となれば、蒸着層は割れずにバリア性を発現する。
また、同じ蒸着層3を積層したフィルムでも、張力が低くなれば伸び率は低くなる。フィルム幅4mmで荷重0.4Nの荷重をかけた状態で50℃〜150℃まで温度を可変させたときのフィルムの伸び率を測定した場合、同じフィルムでも、乾燥温度80℃でのフィルム伸び率が30%以下となれば、蒸着層は割れずにバリア性を発現する。
さらに発明者は、伸び率Yがフィルムにかかる温度と張力が、以下の数式2によって表される基準値G以下であれば、蒸着層はコーティングによって割れずにバリア性を発現することを見出した。
すなわち、前記金属酸化物からなる蒸着層を積層したフィルム形状において、10N/m〜70N/mの張力をかけたときのフィルム走行方向(MD方向)の前記伸び率Yが、コーティング層形成時にフィルムにかかる温度X(℃)、張力Z(N/m)に従い、下記数式2で示される基準値G以下となることが好ましい。
基準値G(%)=0.8×(フィルムにかかる温度X(℃)−50)×(0.9×(張力Z(N/m)−5)/40) ・・・(数式2)
なお、基準値Gは、フィルム上に複数のコーティング層を形成する場合は、それぞれのコーティング層形成条件に対して求めることができ、伸び率Yはいずれのコーティング層形成条件に対しても基準値G以下であることが好ましい。
蒸着層3を積層したフィルム基材1の伸び率を調整する方法として、フィルムの厚みを厚くすれば、伸び率は低くすることが可能である。また、基材であるPBTフィルムのフィルム製膜方法や延伸方法によってもフィルムの伸び率の調整が可能である。また密着層2の厚みや選定される樹脂成分によっても伸び率の調整が可能である。また密着層2をコーティングにより積層する際の張力や乾燥温度によって基材フィルムをアニール処理化することにより蒸着層を積層する前にフィルムの伸び率を調整することが可能である。
シーラント層の形成方法としては、上述の樹脂からなるフィルム状となるものを一液硬化型もしくは二液硬化型ウレタン系接着剤で貼りあわせるドライラミネート法、無溶剤接着剤を用いて貼りあわせるノンソルベントドライラミネート法、上述した樹脂を加熱溶融させ、カーテン状に押し出し、貼りあわせるエキストルージョンラミネート法等、いずれも公知の積層方法により形成することができるが、後述する熱水加熱処理、特に120℃以上の高温熱水処理に対して好ましいのはドライラミネート法である。85℃以下の温度での処理であれば、ラミネート方式を問わず用いることは可能である。
加熱殺菌処理方法として、レトルト処理、ボイル処理などが挙げられる。レトルト処理は、一般に食品等を保存するために、カビ、酵母、細菌などの微生物を加圧殺菌する方法である。通常は、食品を包装したガスバリア積層体包装材を、105〜140℃、0.15〜0.30MPaで10〜120分の条件で加圧殺菌処理をする。
レトルト装置は、加熱蒸気を利用する蒸気式と加圧加熱水を利用する熱水式があり、内容物となる食品等の殺菌条件に応じて適宜使い分ける。
ボイル処理は、食品等を保存するため湿熱殺菌する方法である。通常は、内容物にもよるが、食品等の包装したガスバリア積層体包装材を、60〜100℃、大気圧下で、10〜120分の条件で湿熱殺菌処理を行う。ボイル処理は、通常、熱水槽を用いて行うが、一定温度の熱水槽の中に浸漬し一定時間後に取り出すバッチ式と、熱水槽の中をトンネル式に通して殺菌する連続式がある。
本発明のガスバリアフィルム10は、温度30℃、相対湿度70%RHにおける酸素透過度が好ましくは50cc/m・day・MPa以下であり、より好ましくは30cc
/m・day・MPa以下である。酸素透過度は低いほど好ましく、その下限としては特に限定は無いが通常は0.1cc/m・day・MPa以上である。
本発明のガスバリアフィルム10は、加熱殺菌処理が行われる前に延伸や屈曲等の応力(虐待)が加えられても、優れたガスバリア性を有している。例えば、後述の実施例に記載の条件で耐虐待性を評価した後でも、温度30℃、相対湿度70%における酸素透過度が前記とほぼ同等の酸素透過度を有している。
以下に、本発明の具体的実施例について説明する。
密着層2の材料として、以下の手順で塗液1を調製した。
[塗液1]:三井化学(株)製接着剤溶液(主剤:タケラックA−525(内 ウレタン樹脂の前駆体50質量%、酢酸エチル50質量%)/硬化剤:タケネートA−52(内 ウレタン樹脂の硬化剤55質量%、酢酸エチル45質量%)/溶媒:酢酸エチル)
これをA−525:A−52:酢酸エチル=9:1:165(固形分濃度3質量%)で配合した。
第一のコーティング液(a)として、以下の手順で塗液2を調整した。
[塗液2]:数平均分子量200,000のPAA(ポリアクリル酸)水溶液(東亞合成製アロンA−10H、固形分濃度25質量%)/GPTMS(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)/溶剤:水、イソプロピルアルコール(IPA)
これをアロンA−10H:GPTMS:水:IPA=10:0.17:66:7(固形分濃度15質量%)で配合した。
なお、GPTMS(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)は信越化学工業製のものを使用した。
第二のコーティング液(b)として、下記の手順で塗液3を調整した。
[塗液3]:酸化亜鉛含有樹脂組成物:K035A(住友大阪セメント製 酸化亜鉛16.6質量%、ウレタン樹脂の前駆体1.74質量%、分散剤1.66質量%、トルエン72質量%、メチルエチルケトン8質量%)/硬化剤:C−320(内 ウレタン樹脂の硬化剤75質量%、酢酸エチル25質量%)/溶媒:トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、IPA
これをK035A:C−320:トルエン:MEK:IPA=100:3:24:3:3(固形分濃度15質量%)で配合した。
(実施例1)
フィルム基材である二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム(PBT、厚さ15μm)のコロナ処理側にグラビアコートを用いて、上記の塗液1をグラビアロールコート法にて、張力70N/m、乾燥温度60℃にて塗工し、ポリエステル樹脂を0.1g/m硬化させ、密着層2を形成した。
次に金属酸化物の蒸着層として、電子ビーム式真空蒸着法により、酸素を導入しながらアルミを蒸発させ、厚み10nmのAlOx蒸着膜を形成した。次いで前記塗液2を、張力60N/m、乾燥温度70℃の条件でコーティング加工を行って第一のコーティング層(A)を形成し、さらに前記塗液3を、張力60N/m、乾燥温度60℃の条件でコーティング加工を行って、第二のコーティング層(B)を形成した。
これにより、フィルム基材上に密着層(0.1g/m)/AlOx蒸着層(10nm
)/PAA(0.4g/m)/ZnO(ZnOとして、0.4g/m)からなる透明なガスバリアフィルムを得た。
乾燥温度はいずれも、塗工時のフィルムにサーモラベル(アイビー技研株式会社製 5点表示ラベルCR)を貼って乾燥オーブンを通すことで、フィルムにかかる実際の温度を測定した。
<1>フィルム伸び率の評価:[TMAの測定方法]
熱機械分析装置(日立ハイテクサイエンス社製 TA700)を用いて、蒸着膜を形成したフィルムを、フィルムの流れ方向に沿って、幅4mmに断裁し、装置にセットし、張力60N/mになるように荷重をセットした。温度を50℃から150℃まで、10℃/minで昇温させて、60℃と70℃でのフィルムの伸び率Yを測定した。フィルム伸び率Yは、以下の式で表される。
伸び率Y=((任意の温度で張力をかけたときのフィルムの長さ)−(室温で張力をかけていないときの長さ))/(任意の温度で張力をかけたときのフィルムの長さ)
・・・(数式1)
<2>ガスバリア性の評価
得られたガスバリアフィルムの酸素透過度および水蒸気透過度の測定を実施した。また、実験例としてこのガスバリアフィルムを用いてパウチを作成しレトルト処理を行った。
[酸素透過度の測定方法]
酸素透過度測定装置(Modern Control社製 OXTRAN 2/20)を用いて、温度30℃、相対湿度70%の条件で測定した。測定方法は、JIS K−7126、B法(等圧法)に準拠し、測定値は単位[cc/m・day・MPa]で表記した(N=3平均値)。
[水蒸気透過度の測定方法]
水蒸気透過度測定装置(Modern Control社製 PERMATRAN 3/33)を用いて、温度40℃、相対湿度90%の条件で測定した。測定方法は、JIS K−7126、B法(等圧法)に準拠し、測定値は単位[g/m・day]で表記した(N=3平均値)。
[実験例1]
実施例1のガスバリアフィルムのZnO層の上に、未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP:東レフィルム加工製 トレファンNO ZK207、厚さ70μm)を2液型の接着剤(三井化学 A525/A52)を用いてドライラミネート法によってラミネートし、〔透明ガスバリアフィルム/接着剤層/CPP(70μm)〕の構成を有するラミネートフィルムを得た。
次に、得られたラミネートフィルムを15cm×10cmのパウチ状に3方インパルスシールし、内容物に200mlの水道水を入れ、残り一辺をインパルスシールして、4方パウチを作成した。このパウチをレトルト装置にて0.2MPa、121℃で30分レトルト(熱水加熱)処理を行った。
(実施例2)
フィルム基材に2軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム(PBT、厚さ25μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして透明ガスバリアフィルムを得た。続いて上記実験例1と同様に接着剤を用いてラミネートしてパウチを作成し、同様にレトルト処理をしたものを得た。
(実施例3)
フィルム基材にインフレーション法で延伸製膜したポリブチレンテレフタレートフィルム(PBT、厚さ15μm)を用いた以外は実施例1と同様にして透明ガスバリアフィルムを得た。続いて実験例1と同様に接着剤を用いてラミネートしてパウチを作成し、同様にレトルト処理をしたものを得た。
(比較例1)
フィルム基材に2軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム(PBT、厚さ9μm)を用いた以外は実施例1と同様にして透明ガスバリアフィルムを得た。続いて実験例1と同様に接着剤を用いてラミネートしてパウチを作成し、同様にレトルト処理をしたものを得た。
(比較例2)
フィルム基材である二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET、厚み12μm)のコロナ処理側にグラビアコートを用いて、塗液1〜3を実施例1と同様に塗工して、透明ガスバリアフィルムを得た。続いて実験例1と同様に接着剤を用いてラミネートしてパウチを作成し、同様にレトルト処理をしたものを得た。
(比較例3)
フィルム基材である二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET、厚み12μm)のコロナ処理側にグラビアコートを用いて、塗液1〜3を実施例1と同様に塗工して、透明ガスバリアフィルムを得た。次にその透明ガスバリア積層体のZnO層の上に、二軸延伸ナイロンフィルム(ONY:ユニチカ製 ONBC 厚さ15μm)を2液型の接着剤(三井化学 A525/A52)を用いてドライラミネート法によってラミネートし、続けてONY上に未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP:東レフィルム加工製 トレファンNO ZK207、厚さ70μm)を2液型の接着剤(三井化学 A525/A52)を用いてドライラミネート法によってラミネートし、〔透明ガスバリアフィルム/接着剤層/ONY(15μm)/接着剤層/CPP(70μm)〕の構成を有するラミネートフィルムを得た。続いて、実験例1と同様にパウチを作成してレトルト処理をしたものを得た。
以下にレトルト(熱水加熱)処理後のパウチ評価を述べる。なお、レトルト処理後に中身の水道水を捨て、十分に乾燥させた状態で評価を行った。
<3>レトルト処理後のガスバリア性の評価
[酸素透過度の測定方法]
酸素透過度測定装置(Modern Control社製 OXTRAN 2/20)を用いて、温度30℃、相対湿度70%の条件で測定した。測定方法は、JIS K−7126、B法(等圧法)に準拠し、測定値は単位[cc/m・day・MPa]で表記した(N=3平均値)。
<4>低温落下試験の評価
200mlの水を入れたパウチを5℃の環境下に24時間保管した後、同環境下で、床から1mの高さより床上へ自由落下させて破袋するまでの回数を確認した(N=3、最大落下回数50回)。
以上の評価結果を、下記表1及び表2に示す。
Figure 2019126974
Figure 2019126974
表1は、シーラント(CPPフィルム)をラミネートする前のフィルムで評価したものである。表1(b)に示すとおり、実施例1〜3は蒸着フィルムの70℃と60℃の伸び率Yがいずれも30%以内であるため、コーティング層4,5を積層したガスバリアフィルムの酸素透過度および水蒸気透過度が低く、バリア性が発現したことを示している。
一方比較例1では、蒸着フィルムの60℃の伸び率Yは30%以内であるが、70℃の伸び率が35%で、30%を大きく超えているため、ガスバリア積層フィルムのバリアが発現しておらず、特に水蒸気バリア性が低い。
表2は、パウチの実用試験として、シーラント(CPPフィルム)をラミネート後の状態で評価したものである。
表2に示すとおり、実用試験では実施例1〜3はレトルト後も高いバリア性を保持している。
一方、比較例1では酸素バリア性、水蒸気透過度の両方とも値が大きく、バリア性が発現していない。これは、基材の厚みが実施例と比べて薄すぎたため、フィルムの伸び率Yが高く、基準値Gに対してY>Gとなり、蒸着層に割れが生じてバリア性が劣化したと考えられる。
また比較例2、3はPET基材であり、実施例1〜3と同等のバリア性を示しているが、落下試験によるフィルムの強靭性は、PETフィルムである比較例2では破袋が発生し、フィルムの強靭性が乏しいのに対し、実施例1〜3では破袋せず、PET及びONYを使用しない構成であっても、比較例3のPET/ONY/CPP構成に匹敵する強い衝撃強度を示した。
本発明のガスバリア積層体は、二軸延伸PBTフィルムを基材にすることでレトルト用途包材の層構成として2層に簡略しても、熱水加熱処理後に十分な低温落下衝撃強度を得ることができ、バリア性にも優れるボイル・レトルト用途に適した包装部材として利用可能である。
1 フィルム基材
2 密着層
3 蒸着層
4 第一のコーティング層(A)
5 第二のコーティング層(B)

Claims (6)

  1. ブチレンテレフタラート単位を主たる構成単位とするポリエステル樹脂を含有するフィルム基材の一方の面に、無機酸化物または金属酸化物からなる蒸着層と、第一のコーティング層と、第二のコーティング層とをこの順に積層してなり、
    前記第一のコーティング層は、ポリカルボン酸系重合体と、一般式RSi(ORで表されるシランカップリング剤とその加水分解物及びそれらの縮合物からなる群から選択される少なくとも1種のケイ素含有化合物とを、99.5:0.5〜80.0:20.0の質量比で含有する層であり、
    前記第二のコーティング層は、多価金属化合物を含有する層であり、
    前記フィルム基材の厚さが12μm以上である、
    ことを特徴とするガスバリアフィルム。
    (ただし、Rはグリシジルオキシ基またはアミノ基を含む有機基であり、Rはアルキル基であり、3個のRは同一でなくともよい)
  2. 前記フィルム基材と前記蒸着層との間に、アンカーコート剤を含有する密着層を備えることを特徴とする請求項1に記載のガスバリアフィルム。
  3. 前記無機酸化物が、酸化アルミニウムもしくは、酸化ケイ素であることを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリアフィルム。
  4. 前記ポリカルボン酸系重合体の数平均分子量が、2,000〜10,000,000の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
  5. 前記ガスバリアフィルムを、50℃〜150℃の温度で10N/m〜70N/mの張力をかけたときのフィルム走行方向(MD方向)の伸び率Y(下記数式1)が、30%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
    伸び率Y=((所定の温度で張力をかけたときのフィルムの長さ)−(室温で張力をかけていないときの長さ))/(所定の温度で張力をかけたときのフィルムの長さ) ・・・(数式1)
  6. 前記ガスバリアフィルムにおいて、前記伸び率Yが、任意のフィルムにかかる温度X(℃)、張力Z(N/m)により、下記数式2で示される基準値Gに対して、Y≦Gとなることを特徴とする請求項5に記載のガスバリアフィルム。
    基準値G(%)=0.8×(フィルムにかかる温度X(℃)−50)×(0.9×(張力Z(N/m)−5)/40) ・・・(数式2)
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