JP2019126695A - 外反母趾用サポータおよびサポータ兼用靴下 - Google Patents

外反母趾用サポータおよびサポータ兼用靴下 Download PDF

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尚子 堀井
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Abstract

【課題】安価に製造できる簡単な構造の外反母趾に好適なサポータを提供する。【解決手段】甲カバー部(1at;1bt)及び足裏カバー部(1ab;1bb)と、甲カバー部及び足裏カバー部の中央を結合する中央部結合手段31と、上辺の右端部から下辺に向かう第1右側辺に沿って甲カバー部1btと足裏カバー部1bbを結合する右親指右結合手段33bと、上辺の左端部から下辺に向かう第1左側辺に沿って、甲カバー部1atと足裏カバー部1abを結合する左親指左結合手段33aと、下辺の右端部から上辺に向かう第2右側辺に沿って甲カバー部1btと足裏カバー部1bbを連続した輪とする右前足部右結合部32bと、下辺の左端部から上辺に向かう第2左側辺に沿って甲カバー部1atと足裏カバー部1abを連続した輪とする左前足部左結合部32aと、を備える。【選択図】図4

Description

本発明は人の足に装着して用いるサポータであって、特に外反母趾の痛みや長時間歩行後の疲労を緩和するのに好適なサポータに関する。
足の親指の外反が強くなると、親指を拡げても、手を離せば、バネの如く戻りが強く自力では指を拡げることができない。すなわち足指がすべて丸まり、あたかもジャンケンのグーのような状態を保つ。この状態が続くと、やがて、膝の内側、足裏、腰等に痛みが生じ、手術による治療を要することもある。たとえ、手術が成功したとしても、高齢者は、一定期間足を使用しないことにより筋力が低下し歩行困難を招き、寝たきりになりかねない。このような外反母趾対策として、従来、片足方式の外反母趾矯正器具が知られている。バネの如く戻りが強くなった指を矯正するには、片足方式の場合は外部からかなり強い力を加えなければ矯正は困難である(特許文献1参照。)。
これに対して、本発明者らは、両足の親指を互いに押し合わせ、一方の足の親指の外反する力で他方の足の親指の外反を防ぐように、適度な力を相方の親指に与えることにより、外反を緩和する外反母趾矯正サポータを発明した(特許文献2)。
特開平11−76283号公報 特開2016−87375号公報
特許文献2に記載のサポータは、親指同士の密着性を増すために、「エプロン形状」の2枚の布を接ぎ合わせる構成としている。この構成は、使用者の足の大きさや甲の形状に合わせて設計することができるという利点を有する一方、型紙形状が複雑であるとともに、部品点数および縫合工程が多い。
本発明は、親指同士の密着性を損なわず、より安価に製造でき、より簡単な構造の量産性に適したサポータを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、(a)非使用時の平面パターンが、互いに同一寸法のエプロン形状をなす甲カバー部及び足裏カバー部と、(b)エプロン形状の胸当て部に対応する箇所の上辺の中心から、上辺よりも長く、エプロン形状を定義する下辺の中心に向かう中心線に沿って、甲カバー部及び足裏カバー部のそれぞれの中央を内壁側で互いに結合して境界壁を構成する中央部結合手段と、(c)上辺の右端部から下辺に向かう第1右側辺に沿って、甲カバー部及び足裏カバー部を互いに結合して右親指牽引部を構成する右親指右結合手段と、(d)上辺の左端部から下辺に向かう第1左側辺に沿って、甲カバー部及び足裏カバー部を互いに結合して左親指牽引部を構成する左親指左結合手段と、(e)下辺の右端部から上辺に向かう第2右側辺に沿って、甲カバー部と足裏カバー部が連続して輪を形成してなる右前足部右結合部と、(f)下辺の左端部から上辺に向かう第2左側辺に沿って、甲カバー部と足裏カバー部が連続して輪を形成してなる左前足部左結合部と、を備えるサポータである。
本発明に係るサポータにおいては、下辺側から、甲カバー部と足裏カバー部の間の境界壁で区切られた2つの空間に両足をそれぞれ挿入し、上辺の右側から右親指の先端部を突出させ、上辺の左側から左親指の先端部を突出させる。
すなわち、右前足部右結合部と左前足部左結合部を、それぞれ、甲カバー部と足裏カバー部が連続して輪を形成し、足の甲部分を装着する部分をあらかじめ筒形状に一体成形することにより、縫合工程を削減することができる。なお、右親指右結合手段と左親指左固定手段も、甲カバー部と足裏カバー部の、足の親指を装着する部分をあらかじめ筒形状に一体成形しておけば、さらに縫合工数を削減できる。
なお、中心線は、分離して形成しても連続して形成してもよいが、本発明の効果を最大限に引き出すためには、連続していることが好ましい。
また、本発明は、30%伸長時の引張荷重が1.5N/cm以上5.5N/cm以下で、回復率が95%以上100%以下の伸縮性をもつ材料を、サポータの中心線に直交する方向にその伸縮性が発現するように用いてなるサポータである。なお、30%伸長時の引張荷重は、幅25mm長さ100mmの試験片をチャック間50mm、速度50m/分で引張圧縮試験機(東洋精機製作所社製ストログラフV10−C)を用いて測定し、サポータ材の伸縮性の目安とした。また、回復率は、上記と同様の試験片と試験機を用いて、30%伸長後の回復率を測定し、サポータ材の回復率の目安とした。なお、本発明では材料の厚さに依存しない引張応力を伸縮性の目安としたいことから、断面積あたりの引張応力に替えて、長さあたりの引張荷重を用いた。
サポータ材の30%伸長時の引張荷重を1.5N/cm以上としたのは、これより弱いと充分に親指や中足部が固定されず、5.5N/cm以下としたのは、これより強いと、装着が困難となるとともに、左右の親指の密着度が強すぎて、一定時間の継続装着が困難となるからである。また、回復率は95%以下だと緩みが生じて親指が十分に固定されない。適度な装着性と密着性を実現するためには、30%伸長時の引張荷重を2.0N/cm以上5.1N/cm以下がより好ましく、回復率は98%以上100%以下が好ましい。なお、右親指牽引部および左親指牽引部と、装着時に甲と足裏が接する部分は、同程度の伸縮性および回復率を有するのが好ましいが、甲や足裏が接する部分は締め付けが強すぎると特に甲の部分にサポータがくい込むので、必ずしも、同じ特性にする必要はなく、適宜調整して構成してもよい。
上述のように適切な伸縮性と回復率を付することにより、複雑な形状の型紙を必要とせずに装着性を高めることができるので、量産にも適している。なお、装着性と痛みの緩和や疲労回復効果を高めるために、筒形状の環の伸縮性を、さらに、左右の親指索引部と足首に近い甲や足裏に接する部分で異なるように構成してもよい。
また、本発明は、中足部に下辺がかかるように、中心線に沿って測った上辺から下辺までの長さを、13〜15cmの範囲の中で選択してなるサポータである。
また、本発明は、非使用時の甲カバー部および足裏カバー部の平面パターンは、上辺、上辺の右端部から直角に曲がる第1右側辺、第1右側辺に連続し上辺の右側延長方向に広がる右湾曲面、右湾曲面に連続し上辺に対し直交する方向に延在する第2右側辺、上辺の左端部から直角に曲がる第1左側辺、第1左側辺に連続し上辺の左側延長方向に広がる左湾曲面、左湾曲面に連続し上辺に対し直交する方向に延在する第2左側辺、第2右側辺の下端部と第2左側辺の下端部を互いに接続し上辺に平行方向に延在する下辺によってエプロン形状を定義してなるサポータである。
製造工数の削減を考慮すれば、甲カバー部の右湾曲面と足裏カバー部の右湾曲面、甲カバー部の左湾曲面と足裏カバー部の左湾曲面は同じ湾曲率であることが好ましいが、保温やデザインを考慮し、甲カバー部と足裏カバー部の湾曲率を変えてもよい。また、足裏部の保護を重視する場合は、足裏カバー部の湾曲率を小さくするのも好ましい。
本発明は、右湾曲面は、前記第1右側辺の下端部から下に凸となる円弧状に広がって甲カバー部と足裏カバー部の間の端部を互いに離間させ、左湾曲面は、第1左側辺の下端部から下に凸となる円弧状に広がって甲カバー部と足裏カバー部の間の端部を互いに離間させてなるサポータである。
本発明は、右湾曲面に接した甲カバー部と足裏カバー部の間から右足の第2指〜第5指をそれぞれ突出させ、左湾曲面に接した甲カバー部と足裏カバー部の間から左足の第2指〜第5指をそれぞれ突出させてなるサポータである。
本発明は、上述したサポータを装着した際に露出する足指の全部または一部、足首の周り、甲の全部または一部、足裏の全部または一部の内の少なくともいずれかを、前記サポータと異なる伸縮性を有する材料を用いて覆ってなる、サポータ兼用靴下である。すなわち、サポータと異なる伸縮性を有する材料は、一般的な靴下等に使用される綿や毛、ナイロン等を用いた材料であればいずれでもよく、編み方等によって伸縮性を調整した、サポータ本体と同一または類似の材料でもよい。また、左右の親指牽引部は、指先が覆われていても、露出していてもよく、足袋状、五本指靴下状に構成してもよい。また、踝までの長さでも膝下や膝上までの長さでもよく、脚全体を覆うものでもよい。
すなわち、サポータ単体であれば、装脱着が簡便かつ重ね履きが可能となるとともに、夏は熱を逃がし快適に使用できる。一方、冬は露出部や開口部が少ないまたはない方が保温効果を奏し、より快適に使用できる。さらに、ふくらはぎや太ももに着圧効果を付してもよい。
本発明によれば、安価に製造できる簡単な構造のサポータであって、特に外反母趾の痛みや長時間歩行後の疲労の緩和に好適なサポータを提供することができる。
本発明の第1の実施の形態に係るサポータの装着の一態様を説明する模式的な鳥瞰図である。 第1の実施の形態に係るサポータの装着の他の態様を説明する模式的な鳥瞰図である。 第1の実施の形態に係るサポータの装着の更に他の態様を説明する模式的な上面図である。 第1の実施の形態に係るサポータの非使用時の状態における全景の概略を説明する模式的な上面図である。 図5(a)は、第1の実施の形態に係るサポータの非使用時の状態を説明する横面図で、図5(b)は、図5(a)に示した第1の実施の形態に係るサポータに設けられる2つの空間を説明する横面図である。 第1の実施の形態に係るサポータの非使用時に状態における、図5(a)とは反対側から見た横面図である。 第2の実施の形態に係る靴下の装着の態様を説明する模式的な鳥瞰図である。
以下の実施の形態の説明において参照する図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
又、以下に示す第1の実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係るサポータは、図4に示すように、非使用時の平面パターンが、互いに同一寸法のエプロン形状をなす甲カバー部(1a;1b)及び図示しない足裏カバー部(1a;1b)を備えている。この第1の実施の形態に係るサポータは、エプロン形状の胸当て部に対応する箇所の上辺の中心から、上辺よりも長く、エプロン形状を定義する下辺の中心に向かう中心線に沿って、甲カバー部(1a;1b)及び足裏カバー部(1a;1b)のそれぞれの中央を内壁側で互いに結合して境界壁を構成する中央部結合手段31と、上辺の右端部から下辺に向かう第1右側辺に沿って、甲カバー部1b及び足裏カバー部1bを互いに結合して右親指牽引部を構成する右親指右結合手段33bと、上辺の左端部から下辺に向かう第1左側辺に沿って、甲カバー部1a及び足裏カバー部1aを互いに結合して左親指牽引部を構成する左親指左結合手段33aと、下辺の右端部から上辺に向かう第2右側辺に沿って、甲カバー部1bと足裏カバー部1bが連続して輪を形成してなる右前足部右結合部32bと、下辺の左端部から上辺に向かう第2左側辺に沿って、甲カバー部1bと足裏カバー部1bが連続して輪を形成してなる左前足部左結合部32aと、を更に備えている。すなわち、装着した際に、足首近くの甲と足裏は、接合部がない、連続した筒形状となっている。
なお、甲カバー部(1a;1b)及び足裏カバー部(1a;1b)に用いる材料を、サポータの中心線に直交する方向の30%伸長時の引張荷重が1.5N/cm以上5.5N/cm以下で、回復率が95%以上100%以下、好ましくは、30%伸長時の引張荷重を2.0N/cm以上5.1N/cm以下、回復率が98%以上100%以下とすることにより、装着者の足の形状に沿った型紙、すなわち、右前足部右結合部32bまたは左前足左結合部32aを中心線に対して傾斜を持たせることなく、右前足部右結合部32bまたは左前足左結合部32aを中心線と平行にし、標準的な足の甲の高さや足幅等から算出した足の甲周り寸法よりもやや小さめに構成することにより、足に密着、固定できるサポータが提供できる。
甲カバー部(1a;1b)及び足裏カバー部(1a;1b)は、ポリエステエルやナイロン等の弾性に富んだ繊維材料の織物生地やゴム等の弾性材料や一般的にサポータに用いられる材料等が好ましく、繊維状の弾性材料をポリエステエルやナイロン等と共に平織等によって織り込んで、上記伸縮性や回復率を付与した織物生地でもよい。
第1の実施の形態に係るサポータは、エプロン形状を構成している下辺側から、図5(b)に示すような、甲カバー部(1a;1b)と足裏カバー部(1a;1b)の間の境界壁で区切られた2つの空間に両足をそれぞれ挿入し、図1〜図3に示すように、上辺の右側から右親指の先端部を突出させ、上辺の左側から左親指の先端部を突出させる。
外反が強くなると、親指を引っ張って放すと、まるで音の出ないバネの如く戻りが強く自力では開かなくなる。何時もじゃんけんのグーの状態になっている。第1の実施の形態に係るサポータによれば、この外反のバネの強さを両足のそれぞれの親指に互いに利用させることができる。即ち、第1の実施の形態に係るサポータによれば、右親指保持部7bに右親指を挿入し、左親指保持部7aに左親指を挿入し、右親指保持部7bの右親指牽引部によって右親指を左側に牽引し、左親指保持部7aの付け根5aの付け根5aの左親指牽引部によって左親指を右側に牽引するように、外反のバネの強さを利用できる。
本発明者の一人は詳述した、本発明の第1の実施の形態にかかるサポータを、毎晩就寝時に1時間程度、10日間装着したところ、いずれも足指による、グー、チョキ、パーのパーができるようになった。一月装着後には、親指の第2指への重なりにも、かなりの改善が見られた。もちろん、膝脇、足裏の痛みも解消した。
図4に示した中央部結合手段31、右親指右結合手段33b、左親指左結合手段33a、右前足部右結合手段32b、左前足部左結合手段32aは、例えば連続した繊維の糸を用いて、甲カバー部(1a;1b)及び足裏カバー部(1a;1b)の互いに対向する内壁(内面)をほぼ一定周期で縫い込んで、線状に密着させ、物理的に結合させる機構が採用可能である。具体的にはミシン等を用いて縫い目を表に出すように、甲カバー部(1a;1b)及び足裏カバー部(1a;1b)を線状に縫い込めばよい。縫い目を表に出すことにより、第1の実施の形態に係るサポータを履いたときの捻れを点検できる。
又、中央部結合手段31、右親指右結合手段33b、左親指左結合手段33aは、それぞれ独立した繊維の糸を、等間隔でステープラーのように貫通させ、甲カバー部(1a;1b)及び足裏カバー部(1a;1b)の互いに対向する内壁(内面)を線状に密着させ、物理的に結合させてもよい。或いは、甲カバー部(1a;1b)及び足裏カバー部(1a;1b)の互いに対向する内壁(内面)を熱等により融解して、互いに密着させ、線状に結合させてもよく、接着剤等を用いて、甲カバー部(1a;1b)及び足裏カバー部(1a;1b)の互いに対向する内壁(内面)を線状に結合させてもよく、その他、種々の化学的手段によって、甲カバー部(1a;1b)及び足裏カバー部(1a;1b)の互いに対向する内壁(内面)を線状に結合させて、中央部結合手段31、右親指右結合手段33b、左親指左結合手段33a等を構成してもよい。
なお、右親指右結合手段33b、左親指左結合手段33aは、右前足部右結合部32bまたは左前足左結合部32aと同様に、あらかじめ、甲カバー部1a及び足裏カバー部1aを接合部のない輪になるように構成して、結合工程を簡略化してもよい。
図4に示すように、非使用時の甲カバー部(1a;1b)の平面パターンは、上辺、上辺の右端部から直角に曲がる第1右側辺、第1右側辺に連続し上辺の右側延長方向に広がる右湾曲面、右湾曲面に連続し上辺に対し直交する方向に延在する第2右側辺、上辺の左端部から直角に曲がる第1左側辺、第1左側辺に連続し上辺の左側延長方向に広がる左湾曲面、左湾曲面に連続し上辺に対し直交する方向に延在する第2左側辺、第2右側辺の下端部と第2左側辺の下端部を互いに接続し上辺に平行方向に延在する下辺によって胸当て部と前掛け部を有するエプロン形状を定義する。足裏カバー部(1a;1b)側の平面パターンの図示を省略しているが、非使用時においては、図4に示した甲カバー部(1a;1b)の平面パターンと合同となる同一寸法、同一形状である。
甲カバー部(1a;1b)と足裏カバー部(1a;1b)が同一寸法、同一形状であるので、第1の実施の形態に係るサポータを履いたとき、足の甲の盛り上がった容積分、甲カバー部(1a;1b)側の面積が不足する。足裏カバー部1bの方が甲カバー部1bよりも伸縮性(弾性)が小さいように設定しておけば、不足分は伸縮性(弾性)が大きな甲カバー部1bが伸びをカバーすることになる。この甲カバー部1bの伸びも親指の牽引に役立つ。
第1の実施の形態に係るサポータの右湾曲面は、図4に示すように、第1右側辺の下端部から下に凸となる円弧状に広がって甲カバー部1bと足裏カバー部1bの間の端部を互いに離間させ、左湾曲面は、第1左側辺の下端部から下に凸となる円弧状に広がって甲カバー部1aと足裏カバー部1aの間の端部を互いに離間させている。このため、図1〜図3に示したように、右湾曲面に接した甲カバー部1bと足裏カバー部1bの間から右足の第2指〜第5指をそれぞれ突出させ、左湾曲面に接した甲カバー部1aと足裏カバー部1aの間から左足の第2指〜第5指をそれぞれ突出させることができる。右湾曲面から右足の第2指〜第5指が、左湾曲面から左足の第2指〜第5指が露出するようにすることにより、足を覆う部分の甲カバー部(1a;1b)と足裏カバー部(1a;1b)のそれぞれの面積を必要最小限とし、第1の実施の形態に係るサポータの装着睡眠時の開放感を損ねないようにできる。即ち、第1の実施の形態に係るサポータは、右湾曲面及び左湾曲面を有することにより、就寝、読書、テレビ鑑賞など足を使わないときに、随時自由に開放感を伴うように装着可能である。
なお、デザイン性や保護性を担保するために、甲カバー部(1a;1b)と足裏カバー部(1a;1b)はその基本寸法は同一としつつ、各々の右湾曲面と左湾曲面の湾曲率が異なってもよい。
なお、図4には甲カバー部(1a;1b)の上辺に沿って縫い目34が、下辺に沿って縫い目35が示されているが、これらの縫い目34及び縫い目35は、それぞれ甲カバー部(1a;1b)の上辺及び下辺における繊維の解れを防ぐための縫い目であって、足裏カバー部(1a;1b)側まで貫通する縫い目ではない。図示を省略しているが、足裏カバー部(1a;1b)の上辺及び下辺に沿ってもそれぞれ縫い目がある。したがって、図6に示すように、甲カバー部(1a;1b)の上辺と足裏カバー部(1a;1b)の上辺との間は分離されており、左親指及び右親指を挿入して貫通させることが可能である。同様に、甲カバー部(1a;1b)の下辺と足裏カバー部(1a;1b)の下辺との間は図5(a)に示すように分離されており、図5(a)に示すように、甲カバー部(1a;1b)と足裏カバー部(1a;1b)の間には、中央部結合手段31によって設けられた甲カバー部(1a;1b)と足裏カバー部(1a;1b)の生地が構成する境界壁の両側に右足及び左足のそれぞれの前足部を挿入可能な2つの空間が形成できる。
第1の実施の形態に係るサポータは、装着する人間の足のサイズに依存せず、ほぼ共通の寸法が採用可能である。例えば、図4の第1の実施の形態に係るサポータの平面図において、右親指保持部7bの付け根5bから右親指牽引部に沿って測った親指保持部長Iを3〜4cm程度に設定するのが好ましい。左右対称の構造であるので、当然ながら、左親指保持部7aの付け根5aから左親指牽引部に沿って測った長さも同一の親指保持部長Iの値に設定することになる。親指保持部長I=3.5cm程度にした場合は、図4に示した上辺の幅wは、6〜7cm程度に、下辺の幅Wは16〜17cm程度に設定すればよい。左湾曲面と第2左側辺の接続箇所Pから右湾曲面と第2右側辺の接続箇所Pに至るエプロンの前掛け部の上辺の長さ(幅)wは、下辺の長さ(幅)wよりも1.5cm程度長くするのが好ましい。即ち、エプロンの前掛け部の下辺の長さw=16〜17cmに対し、前掛け部の上辺の長さw=17.5〜18.5cm程度に設定し、第2左側辺と第2右側辺の間の距離が下に行くに従い狭くなるように、第2左側辺及び第2右側辺が、それぞれ僅かに傾斜するのが好ましい。
又、図4の平面図においてエプロンの前掛け部の高さに相当する前足保持部長Iは、親指保持部長I=3.5cm程度にした場合は、6.5〜7.5cm程度に設定すればよい。更に、図4の平面図において親指保持部長I=3.5cm程度にした場合は、第1の実施の形態に係るサポータの長さLは13〜15cm程度に設定し、中足部(土踏まず)に第1の実施の形態に係るサポータの下辺がかかる程度にすればよい。
甲カバー部(1a;1b)の上辺と足裏カバー部(1a;1b)の上辺との間を塞がずに互いに分離できる構造として、左親指及び右親指を、図4の下側から挿入して、上辺から上側に貫通してつま先を突出させることによって、左親指及び右親指のつま先に対する圧迫を緩和させることができる。外反母趾になりやすい足型はエジプト型と言われる左親指及び右親指の長いタイプで、長年靴に圧迫されて、徐々に親指が曲がるのが外反母趾になる大きな原因であると言われている。左親指及び右親指のそれぞれのつま先部分を突出させるのは、左親指及び右親指のつま先に対する圧迫を解消するのが好ましいからである。右親指保持部7bにつま先を突出するように右親指を挿入し、左親指保持部7aにつま先を突出するように左親指を挿入する構造ではあるが、第1の実施の形態に係るサポータの装着をきつすぎるようにする必要はなく、就寝時に手を使わずに簡単に脱ぐことも可能である。
以上のように、本発明の第1の実施の形態に係るサポータによれば、外部から矯正用の力を加える必要もないので、嵩張らず、非常にスムーズな装着感のサポータが安価に製造できる。特に、第1の実施の形態に係るサポータは自分の左右の親指同士が勝手に引っ張り合いをしているだけなので、違和感がない。このように第1の実施の形態に係るサポータは従来の片足方式の外反母趾矯正器具に比し、重い荷物を人力で持ち上げるのと、梃を利用して持ち上げる以上の顕著な差異が生じる。外反が軽減すると、ファッショナブルな靴が履けるようになり、女性にとっては大きな喜びである。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係るサポータ兼用靴下は、図7に示すように、本発明の第1の実施の形態に係るサポータ11を含み、該サポータを装着した際に露出する親指先端部(12a;12b)と、第2指から第5指部(13a;13b)、踵部(14a;14b)を、一般的に靴下や足袋に用いられる綿や毛、ナイロン等を含む布、すなわち該サポータと異なる伸縮性を有する材料を用いて覆ってなる。
本発明の第1の実施の形態に係るサポータとの境界部は、縫合、熱融着、接着剤を用いた接合、その他化学的な結合手段等の一般的な結合手段を用いるのがよい。また、サポータ本体と同じ材料を用いて編み方を変える等して延設してもよい。
なお、左右の親指牽引部は、指先が覆われていても、露出していてもよく、第2指から第4指は、足袋状、五本指靴下状に覆って構成してもよい。また、図7のように足首を露出する長さでも良いが、踝を覆う長さでも、膝下や膝上までの長さでもよく、脚全体を覆う長さでもよい。
このように構成することで、第1の実施の形態に係るサポータの機能や効果を損なうことなく、保温性を付与することができる。
上記のように、第1および第2の実施の形態によって本発明を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。したがって、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことはもちろんであり、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
1,11・・・サポータ
1a...足裏カバー部
1a...甲カバー部
1b...足裏カバー部
1b...甲カバー部
3a...左親指左結合部
3b...右親指右結合部
31...中央部結合手段
32a...左前足部左結合部
32b...右前足部右結合部
33a...左親指左結合手段
33b...右親指右結合手段
34,35...縫い目
4a...左前足保持部
4b...右前足保持部
5a,5b...付け根
7a...左親指保持部
7b...右親指保持部
12a,12b・・・親指先端部
13a,13b・・・第2指から第5指部
14a,14b・・・踵部

Claims (7)

  1. 非使用時の平面パターンがエプロン形状をなす連続した一体形状の甲カバー部と、
    前記非使用時の平面パターンが、前記甲カバー部と同一寸法の前記一体形状をなす足裏カバー部と、
    前記エプロン形状の胸当て部に対応する箇所の上辺の中心から、前記上辺よりも長く、前記エプロン形状を定義する下辺の中心に向かう中心線に沿って、前記甲カバー部及び前記足裏カバー部のそれぞれの中央を線状に密着するように結合して1本の境界壁を構成する中央部結合手段と、
    前記上辺の右端部から前記下辺に向かう第1右側辺に沿って、前記甲カバー部及び前記足裏カバー部を互いに結合して右親指牽引部を構成する右親指右結合手段と、
    前記上辺の左端部から前記下辺に向かう第1左側辺に沿って、前記甲カバー部及び前記足裏カバー部を互いに結合して左親指牽引部を構成する左親指左結合手段と、
    前記下辺の右端部から前記上辺に向かう第2右側辺に沿って、前記甲カバー部と前記足裏カバー部が連続して輪を形成してなる右前足部右結合部と、
    前記下辺の左端部から前記上辺に向かう第2左側辺に沿って、前記甲カバー部と前記足裏カバー部が連続して輪を形成してなる左前足部左結合部と、
    を備え、前記下辺側から、前記甲カバー部と前記足裏カバー部の間の前記1本の境界壁で区切られて密接した2つの空間に両足をそれぞれ挿入し、前記上辺の右側から前記右親指の先端部を突出させ、前記上辺の左側から前記左親指の先端部を突出させることを特徴とするサポータ。
  2. 30%伸長時の引張荷重が1.5N/cm以上5.5N/cm以下で、回復率が95%以上100%以下の伸縮性をもつ材料を前記中心線に直交する方向に前記伸縮性を発現するように用いてなることを特徴とする請求項1に記載のサポータ。
  3. 中足部に前記下辺がかかるように、前記中心線に沿って測った前記上辺から前記下辺までの長さを、13〜15cmの範囲の中で選択したことを特徴とする請求項1または2に記載のサポータ。
  4. 前記非使用時の前記甲カバー部および前記足裏カバー部の平面パターンは、前記上辺、前記上辺の右端部から直角に曲がる前記第1右側辺、前記第1右側辺に連続し前記上辺の右側延長方向に広がる右湾曲面、前記右湾曲面に連続し前記上辺に対し直交する方向に延在する前記第2右側辺、前記上辺の左端部から直角に曲がる前記第1左側辺、前記第1左側辺に連続し前記上辺の左側延長方向に広がる左湾曲面、前記左湾曲面に連続し前記上辺に対し直交する方向に延在する第2左側辺、前記第2右側辺の下端部と前記第2左側辺の下端部を互いに接続し前記上辺に平行方向に延在する前記下辺によって前記エプロン形状を定義することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のサポータ。
  5. 前記右湾曲面は、前記第1右側辺の下端部から下に凸となる円弧状に広がって前記甲カバー部と前記足裏カバー部の間の端部を互いに離間させ、前記左湾曲面は、前記第1左側辺の下端部から下に凸となる円弧状に広がって前記甲カバー部と前記足裏カバー部の間の端部を互いに離間させることを特徴とする請求項4に記載のサポータ。
  6. 前記右湾曲面に接した前記甲カバー部と前記足裏カバー部の間から右足の第2指〜第5指をそれぞれ突出させ、前記左湾曲面に接した前記甲カバー部と前記足裏カバー部の間から左足の第2指〜第5指をそれぞれ突出させることを特徴とする請求項4又は5に記載のサポータ。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載のサポータを装着した際に露出する足指の全部または一部、足首の周り、甲の全部または一部、足裏の全部または一部の内の少なくともいずれかを、前記サポータと異なる伸縮性を有する材料を用いて覆ってなることを特徴とするサポータ兼用靴下。
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