以下に、本開示に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて新たな実施形態を構築することは当初から想定されている。
図1は、本開示の一実施形態に係る誘導演出システム1の概略構成を表すブロック図である。図1に示すように、誘導演出システム1は、行動計測部としての入店数検出装置10、他の行動計測部としての全方位カメラ20、行動誘導部としての出入口照明装置30、他の行動誘導部としての陳列棚照明装置40、記憶装置50、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)60、及び制御装置70を備える。
入店数検出装置10は、第1入店数検出センサ11、第2入店数検出センサ12、及び第3入店数検出センサ13を含む。各入店数検出センサ11〜13は、公知のセンサであるので、詳述しないが、例えば、サーモセンサーを含み、床の温度変化と、固体サイズ(人)を認識し、人数をカウントする。各入店数検出センサ11〜13は、検知範囲内の人間の表面温度と、床面との温度の差により、検知範囲内のインとアウトを判断し、人数をカウントする。図2は、各入店数検出センサ11〜13の人数のカウント方法を説明する図である。図2に示すように、各入店数検出センサ11〜13は、検知範囲RとカウンティングラインLを設定できる。各入店数検出センサ11〜13は、検知範囲R内であれば、図2(a)に示すような、人が行ったり来たりした場合でも正確にカウントできる。また、各入店数検出センサ11〜13は、図2(b)に示すような、人のUターンを人の通過と判断せず、通過人数にカウントしない。各入店数検出センサ11〜13は、所定期間(例えば、10日)のデータを保存できる。
図3は、各入店数検出センサ11〜13の設置箇所を説明する模式図である。図3に示すように、第1入店数検出センサ11は、店舗16内から通行路を見たとき、通行路15における店舗16の入口よりも左側に位置する通路部分R1の上側(例えば、天井)に設置される。第1入店数検出センサ11は、通路部分R1を、矢印Aに示す店舗16方向に進む人の人数をカウントする。また、第2入店数検出センサ12は、店舗16内から通行路15を見たとき、通行路15における店舗16の入口よりも右側に位置する通路部分R2の上側(例えば、天井)に設置される。第2入店数検出センサ12は、通路部分R2を、矢印Bに示す店舗方向に進む人の人数をカウントする。また、第3入店数検出センサ13は、店舗の出入口付近の上側(天井)に設置される。第3入店数検出センサ13は、通行路15と店舗16とを接続する通路部分R3を、矢印Cに示す通行路15から店舗内に進む人の人数をカウントする。各入店数検出センサ11〜13は、所定期間、例えば、10日以内のいずれかの期間毎に、カウント数を表す信号を制御装置70(図1参照)に出力する。
再度、図1を参照して、全方位カメラ20は、公知の全方位ネットワークカメラであり、例えば、パナソニックシステムネットワークス株式会社のWV−SFN480で構成され、設定領域の上側(例えば、天井)に設置される。全方位カメラ20は、魚眼レンズと高感度イメージセンサを含み、360度全方位を監視する。
図4は、全方位カメラ20の動作を説明する模式図である。図4を参照して、全方位カメラ20は、陳列棚21の前の所定領域R4に入り込んだ各人をロックして、その人が所定領域R4に入り込んでから出るまでの時間を、各人毎に計測する。そして、所定期間、例えば10日以内のいずれかの期間毎に、所定領域R4に入り込んだ人の数を表す信号と、当該入り込んだ人の内で所定時間、例えば2分以上の時間、所定領域R4に留まった人の数を表す信号を、制御装置70に出力する。入店数検出装置10及び全方位カメラ20の夫々は、人の行動を計測し、計測値として数値化する。
図1を参照して、出入口照明装置30は、店舗内の出入口付近の天井に設置される照明器具であり、店舗内の出入口付近を照らすために設けられる。出入口照明装置30は、AC/DCコンバータ、DC/DCコンバータ、第1LED(Light Emitting Diode)(図示せず)、第2LED(図示せず)、第1LED調光部31、及び第2LED調光部32を有する。AC/DCコンバータは、商用電源からの交流電力を直流電力に変換し、DC/DCコンバータは、DC/DCコンバータから受けた直流電力の電圧を降圧して、適切な電圧の直流電力に変換する。
第1LEDは、色温度が2700K程度の暖色系のLEDからなり、第2LEDは、色温度が6500K程度の寒色系のLEDからなる。出入口照明装置30は、第1LEDから出射した光と、第2LEDから出射した光を調合(混合)し、調合した光を、店舗16の出入口に照射する。
第1LED調光部31は、PWM(Pulse Width Modulation)電流制御により、第1LEDに供給する電力を調整する。詳しくは、第1LED調光部31は、トランジスタ等で構成されるスイッチング部を有する。当該スイッチング部のオン・オフを、制御装置70(図1参照)からの制御信号で制御することで、第1LEDに供給する電力を調整し、第1LEDから出射される光の照度を調整する。
第2LED調光部32は、PWM電流制御により、第2LEDに供給する電力を調整する。第2LED調光部32も、トランジスタ等で構成されるスイッチング部を有する。当該スイッチング部のオン・オフを、制御装置70からの制御信号で制御することで、第2LEDに供給する電力を調整し、第2LEDから出射される光の照度を調整する。
出入口照明装置30の出射光による演出は、第1,第2LEDに供給する電力を調整することで変更される。例えば、暖色系の色を出射する第1LEDに供給する電力量を大きくし、寒色系の色を出射する第2LEDに供給する電力量を小さくすることで、暖を演出可能となる。また、逆に、寒色系の色を出射する第2LEDに供給する電力量を大きくし、暖色系の色を出射する第1LEDに供給する電力量を小さくすることで、涼を演出可能となる。
陳列棚照明装置40は、店舗内の陳列棚付近の天井に設置される照明器具であり、店舗内の陳列棚付近を照らすために設けられる。陳列棚照明装置40は、AC/DCコンバータ、DC/DCコンバータ、第3LED(図示せず)、第4LED(図示せず)、第3LED調光部41(図1参照)、及び第4LED調光部42(図1参照)を有する。AC/DCコンバータは、商用電源からの交流電力を直流電力に変換し、DC/DCコンバータは、DC/DCコンバータから受けた直流電力の電圧を降圧して、適切な電圧の直流電力に変換する。
第3LEDは、色温度が2700K程度の暖色系のLEDからなり、第4LEDは、色温度が6500K程度の寒色系のLEDからなる。陳列棚照明装置40は、第3LEDから出射した光と、第4LEDから出射した光を調合し、調合した光を、店舗の陳列棚に照射する。
第3LED調光部41は、PWM電流制御により、第3LEDに供給する電力を調整する。第3LED調光部41は、トランジスタ等で構成されるスイッチング部を有する。当該スイッチング部のオン・オフを、制御装置70(図1参照)からの制御信号で制御することで、第3LEDに供給する電力を調整し、第3LEDから出射される光の照度を調整する。
また、第4LED調光部42も、PWM電流制御により、第4LEDに供給する電力を調整する。第4LED調光部42も、トランジスタ等で構成されるスイッチング部を有する。当該スイッチング部のオン・オフを、制御装置70からの制御信号で制御することで、第4LEDに供給する電力を調整し、第4LEDから出射される光の照度を調整する。
陳列棚照明装置40の出射光による演出は、出入口照明装置30の出射光による演出と同様に、第3,第4LEDに供給する電力を調整することで変更される。例えば、暖色系の色を出射する第3LEDに供給する電力量を大きくし、寒色系の色を出射する第4LEDに供給する電力量を小さくすることで、暖を演出可能となる。また、逆に、寒色系の色を出射する第4LEDに供給する電力量を大きくし、暖色系の色を出射する第3LEDに供給する電力量を小さくすることで、涼を演出可能となる。
出入口照明装置30による照射光の演出が魅力的であれば、より多くの人が店舗16を訪れ、当該照射光の演出が魅力に欠ければ、人の足が店舗16から遠のく。出入口照明装置30による照射光の演出は、人の行動である移動や滞在に影響を及ぼす。また、同様に、陳列棚照明装置40による照射光の演出が魅力的であれば、より多くの人が陳列棚21付近に集まり、当該照射光の演出が魅力に欠ければ、人の足が陳列棚21から遠のく。陳列棚照明装置40による照射光の演出は、人の行動である移動や滞在に影響を及ぼす。
記憶装置50及び制御装置70は、サーバーに内蔵される。記憶装置50は、制御装置70が処理すべきデジタルデータを保持するのに用いられ、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、RAMディスク等で構成される。記憶装置50は、制御装置70と情報をやり取りする。記憶装置50には、出入口照明装置30が実行可能な複数の演出データが予め記憶されている。複数の演出データは、2以上の如何なる数の演出データであってもよく、例えば、10以上の演出データであってもよい。複数の演出データは互いに異なり、各演出データは第1LEDの照度と第2LEDの照度の組で構成される。また、記憶装置50には、陳列棚照明装置40が実行可能な複数の演出データも予め記憶されている。複数の演出データは、2以上の如何なる数の演出データであってもよく、例えば、10以上の演出データであってもよい。複数の演出データは互いに異なり、各演出データは第3LEDの照度と第4LEDの照度の組で構成される。
パソコン60は、有線又は無線によりインターネットに接続されている。パソコン60には、出入口照明装置30、及び陳列棚照明装置40の駆動を制御するための幾つかのパラメータを入力するためのソフトウエアがインストールされている。パソコン60の入力部は、例えば、キーボード及びマウス、又はタッチパネル等で構成される。パソコン60の入力部は、入店率測定期間設定部61、滞在率測定期間設定部62、入店率閾値設定部63、及び滞在率閾値設定部64を含む。詳しくは、当該ソフトウエアを起動することで、入力部を用いて、演出効果の判断の尺度となる入店率を測定する測定期間を設定でき、演出効果の判断の尺度となる滞在率を測定する測定期間を設定できる。また、入力部を用いて、出入口照明装置30の演出の変更基準となる入店率閾値を設定でき、陳列棚照明装置40の演出の変更基準となる滞在率閾値を設定できる。入店率測定期間設定部61、及び滞在率測定期間設定部62の夫々は、計測期間設定部であり、入店率閾値設定部63、及び滞在率閾値設定部64の夫々は、閾値設定部である。入店率、滞在率、入店率閾値、及び滞在率閾値については、後で詳細に説明する。パソコン60は、店舗内に設置された端末を用いると設備投資を小さくできて好ましい。例えば、パソコン60は、店舗16における、商品の仕入れ値、郵送費、店舗の売り上げ等を記憶するために用いられる端末等であってもよい。
制御装置70は、例えば、マイクロコンピュータによって好適に構成される。制御装置70には、時間を計測可能なタイマ71が内蔵されている。制御装置70は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の内部記憶部を備える。CPUは、当該内部記憶部や記憶装置50に記憶されたプログラム等を読み出して実行する。RAMは、読み出したプログラムや処理データを一時的に記憶する。また、ROMは、制御プロラムや所定の閾値等を記憶する。制御装置70は、マイクロコンピュータによって実行されるソフトウエアによって実現できるが、その一部がハードウエアによって構成されてもよい。
次に、誘導演出システム1の制御装置70による制御、詳しくは、現場での人の誘導の度合を客観的に判定でき、好ましい演出を自動で実行する制御について説明する。先ず、制御装置70による出入口照明装置30の制御について説明する。図5は、出入口照明装置30に好ましい演出を実行させるために制御装置70が行う処理手続の一例を示すフローチャートである。
図5を参照して、出入口照明装置30が、複数の演出のうちの1の演出を実行すると、手続がスタートし、ステップS1で、各入店数検出センサ11〜13が、検知領域を通過した人の数をカウントし、制御装置70のタイマ71(図1参照)が各入店数検出センサ11〜13の稼働時間を計時する。ステップS1が完了すると、ステップS2で、制御装置70が、稼働時間の計時がスタート又はリスタートしてから所定期間経過したか否かを判定する。所定期間は、入店率測定期間設定部61によって入力された入店率を測定する入店率測定期間である。所定期間は、例えば、3日から60日の間の期間に設定できるが、それ以外の如何なる期間に設定されてもよい。入店率については、以下で詳細に説明する。
ステップS2で否定判定されると、ステップS1以下が繰り返される。他方、ステップS2で肯定判定されると、ステップS3に移行して、制御装置70の入店率算出部72(図1参照)が入店率を算出し、その後、ステップS4に移行する。入店率は、次のように算出される。詳しくは、入店率算出部72は、第1入店数検出センサ11からの信号に基づいて、上記所定期間の間に通路部分R1(図3参照)を矢印A方向に通過した人の数(以下、第1の数とする)を特定する。また、入店率算出部72は、第2入店数検出センサ12からの信号に基づいて、上記所定期間の間に通路部分R2(図3参照)を矢印B方向に通過した人の数(以下、第2の数とする)を特定する。また、入店率算出部72は、第1の数と第2の数の和(以下、この和を第3の数とする)を算出し、この第3の数を、通行路15を通過した人の数と特定する。
また、入店率算出部72は、第3入店数検出センサ13からの信号に基づいて、上記所定期間の間に通路部分R3(図3参照)を矢印C方向に通過した人の数(以下、第4の数とする)を特定する。入店率算出部72は、第4の数を、通行路15から店舗16に入店した人の数と特定する。入店率算出部72は、第4の数を第3の数で除した率((第4の数)/(第3の数))を、入店率として算出する。入店率は、行動誘導部が出入口照明装置30である場合における、出入口照明装置30の誘導の度合と相関がある誘導効果値である。また、入店率算出部72は、誘導効果値である入店率を算出する誘導効果算出部であり、計測期間としての上記所定期間における入店率の平均を算出する。
ステップS4では、制御装置70からの信号に基づいて、制御装置70が、入店率と、その入店率となった出入口照明装置30の演出(何番目の演出)を紐付けた状態で記憶する。その後、ステップS5に移行する。ステップS5では、制御装置70の出入口側演出合否判定部74が、ステップS3で算出された入店率が入店率閾値設定部63(図1参照)で入力された入店率閾値以下か否かを判定する。入店率閾値は、通行路15の通行量や店舗の大きさ等によって仕様毎に適切に決定される。ステップS5で否定判定されると、出入口側演出合否判定部74が出入口照明装置30の演出が魅力的であって基準を満たしていると客観的に判断する。そして、ステップS6に移行して、実行中の演出を継続すると共にその演出の実行時間を0からリスタートすると同時に、ステップS1以下を繰り返す。
他方、ステップS5で肯定判定されると、ステップS7に移行して、制御装置70の出入口照明制御部76が、演出を他の演出に切り替えて、新たな演出をスタートする。この切替は、第1LEDの照度を変更すると共に、第2LEDの照度を変更することで実行される。この切替により、例えば、暖色系の照明光が、より寒色系の色彩をおびた照明光に変更されたり、また、逆に、寒色系の照明光が、より暖色系の色彩をおびた照明光に変更されたりし、演出が自動的に刷新される。また、ステップS7と同時にステップS8が実行され、出入口照明制御部76が、制御装置70の内部記憶部又は記憶装置50に予め記憶されているメール送信用のプログラムを起動させる。そして、出入口照明制御部76が、演出が切り替えられたことを報知すると共に新しい演出がどの演出(何番目の演出)かを示すメールを、パソコン60のメールソフト67に無線又は有線により送信する。そして、その後、制御がリターンとなってステップS1以下が繰り返される。
次に、制御装置70による陳列棚照明装置40の制御について説明する。図6は、陳列棚照明装置40に好ましい演出を実行させるために制御装置70が行う処理手続の一例を示すフローチャートである。
図6を参照して、陳列棚照明装置40が、複数の演出のうちの1の演出を実行すると、手続がスタートし、ステップS11で、全方位カメラ20が、所定領域R4に入り込んだ人の数をカウントすると共に、入り込んだ人の内で所定時間、例えば2分以上の時間、所定領域R4に留まった人の数をカウントする。また、制御装置70のタイマ71(図1参照)が全方位カメラ20の稼働時間を計時する。ステップS11が完了すると、ステップS12で、制御装置70が、稼働時間の計時がスタート又はリスタートしてから所定期間経過したか否かを判定する。所定期間は、滞在率測定期間設定部62(図1参照)によって入力された滞在率を測定する滞在率測定期間である。所定期間は、例えば、3日から60日の間の期間に設定できるが、それ以外の如何なる期間に設定されてもよい。滞在率については、以下で詳細に説明する。
ステップS12で否定判定されると、ステップS11以下が繰り返される。他方、ステップS12で肯定判定されると、ステップS13に移行して、制御装置70の滞在率算出部73(図1参照)が滞在率を算出し、その後、ステップS14に移行する。滞在率は、次のように算出される。詳しくは、滞在率算出部73は、全方位カメラ20からの信号により、所定期間内に所定領域R4に立ち入った人の数(以下、第5の数という)を特定する。また、滞在率算出部73は、全方位カメラ20からの信号により、所定期間内に所定時間以上、所定領域R4に留まった人の数(以下、第6の数という)を特定する。滞在率算出部73は、第6の数を第5の数で除した率((第6の数)/(第5の数))を、滞在率として算出する。滞在率は、行動誘導部が陳列棚照明装置40である場合での、陳列棚照明装置40の誘導の度合と相関がある誘導効果値である。また、滞在率算出部73は、誘導効果値である滞在率を算出する誘導効果算出部であり、上記所定期間(計測期間)における滞在率の平均を算出する。
ステップS14では、制御装置70からの信号に基づいて、制御装置70が、滞在率と、その滞在率となった陳列棚照明装置40の演出(何番目の演出)を紐付けた状態で記憶する。その後、ステップS15に移行する。ステップS15では、制御装置70の陳列棚演出合否判定部75が、ステップS13で算出された滞在率が滞在率閾値設定部64(図1参照)で入力された滞在率閾値以下か否かを判定する。滞在率閾値は、所定領域R4の大きさ、陳列棚に陳列される商品の数等によって仕様毎に適切に決定される。ステップS15で否定判定されると、陳列棚演出合否判定部75が陳列棚照明装置40の演出が魅力的であって基準を満たしていると客観的に判断する。そして、ステップS16に移行して、実行中の演出を継続すると共にその演出の実行時間を0からリスタートすると同時に、ステップS11以下を繰り返す。
他方、ステップS15で肯定判定されると、ステップS17に移行して、制御装置70の陳列棚照明制御部77が、演出を他の演出に切り替えて、新たな演出をスタートする。この切替は、第3LEDの照度を変更すると共に、第4LEDの照度を変更することで実行される。この切替により、例えば、暖色系の照明光が、より寒色系の色彩をおびた照明光に変更されたり、また、逆に、寒色系の照明光が、より暖色系の色彩をおびた照明光に変更されたりし、演出が自動的に刷新される。また、ステップS17と同時にステップS18が実行され、陳列棚照明制御部77が、制御装置70の記憶部又は記憶装置50に予め記憶されているメール送信用のプログラムを起動させる。そして、陳列棚照明制御部77が、演出が切り替えられたことを報知すると共に新しい演出がどの演出(何番目の演出)かを示すメールを、パソコン60のメールソフト67に無線又は有線により送信する。そして、その後、制御がリターンとなってステップS11以下が繰り返される。
以上、誘導演出システム1は、照明及び映像のうちの少なくとも一方を用いた1以上の演出を実行可能であり、演出によって人の行動を誘導する出入口照明装置30及び陳列棚照明装置40を備える。また、誘導演出システム1は、人の行動を計測し、計測値として数値化する入店数検出装置10及び全方位カメラ20を備える。また、誘導演出システム1は、出入口照明装置30の誘導の度合と相関がある入店率を入店数検出装置10が数値化した計測値に基づいて算出する入店率算出部72を備える。また、誘導演出システム1は、陳列棚照明装置40の誘導の度合と相関がある滞在率を全方位カメラ20が数値化した計測値に基づいて算出する滞在率算出部73を備える。
誘導演出システム1によれば、入店率算出部72が算出した入店率に基づいて、現場での出入口照明装置30の誘導の度合を客観的に特定できる。よって、現場での出入口照明装置30による演出が、十分か否かを客観的に判断でき、演出が不十分な場合、より良い演出につなげることができる。また、同様に、滞在率算出部73が算出した滞在率に基づいて、現場での陳列棚照明装置40の誘導の度合を客観的に特定できる。よって、現場での陳列棚照明装置40による演出が、十分か否かを客観的に判断でき、演出が不十分な場合、より良い演出につなげることができる。
また、複数の演出を実行する複数の演出データが記憶されている記憶装置50を備えてもよい。
上記構成によれば、人を呼び込む効果が高いと見込まれる複数の演出の候補を、事前に記憶装置50に保存しておくことができ、1の演出が、演出効果が小さかった場合でも、演出を、他の有望な演出に直ぐに切り換えることができる。
また、誘導演出システム1は、演出と入店率とが紐付けられた状態で記憶されると共に、演出と滞在率とが紐付けられた状態で記憶される記憶装置50を備えてもよい。
上記構成によれば、演出と誘導効果値とが紐付けられた状態で記憶される。よって、各現場における、演出と誘導効果値との関係を分析でき、現場毎に、より良い演出の実行につなげることができる。
また、誘導演出システム1は、入店率の閾値を設定する入店率閾値設定部63と、入店率が閾値以下であった場合にユーザに通知する出入口照明制御部76を備えてもよい。また、誘導演出システム1は、滞在率の閾値を設定する滞在率閾値設定部64と、滞在率が閾値以下であった場合にユーザに通知する陳列棚照明制御部77を備えてもよい。
上記構成によれば、出入口照明制御部76による通知により、ユーザが、出入口照明装置30による特定の演出が十分な演出効果を発揮していないことを認識でき、他の演出に変更できる。また、陳列棚照明制御部77による通知により、ユーザが、陳列棚照明装置40による特定の演出が十分な演出効果を発揮していないことを認識でき、他の演出に変更できる。
また、誘導演出システム1が、入店数検出装置10による計測期間を設定する入店率測定期間設定部61を備えてもよい。また、入店率算出部72が、上記計測期間における入店率の平均を算出してもよい。また、誘導演出システム1が、全方位カメラ20による計測期間を設定する滞在率測定期間設定部62を備えてもよい。また、滞在率算出部73が、上記計測期間における入店率の平均を算出してもよい。
上記構成によれば、ユーザが入店率測定期間設定部61での入力により仕様毎に入店数検出装置10による計測期間を自在に変更できる。また、入店率算出部72が、その計測期間における入店率の平均を算出するので、その計測期間における入店率を簡単かつ正確に算出し易い。また、ユーザの滞在率測定期間設定部62での入力により仕様毎に全方位カメラ20による計測期間を自在に変更できる。また、滞在率算出部73が、その計測期間における滞在率の平均を算出するので、その測期間における滞在率を簡単かつ正確に算出し易い。
また、出入口照明装置30は、複数の演出を実行可能であってもよい。そして、複数の演出に含まれ、選択されて実行されている選択演出の入店率が所定の閾値以下になると、出入口照明装置30が、選択演出の実行を取り止めて選択演出以外の演出を実行してもよい。また、陳列棚照明装置40は、複数の演出を実行可能であってもよい。そして、複数の演出に含まれ、選択されて実行されている選択演出の滞在率が所定の閾値以下になると、陳列棚照明装置40が、選択演出の実行を取り止めて選択演出以外の演出を実行してもよい。
上記構成によれば、演出効果が最初から不十分であったり、又は、最初は、演出効果が十分であったが、その後、演出効果が飽き等によって低下した場合に、演出が自動的に他の演出に切り替わる。よって、人を引き付ける演出を継続的かつ長期に亘って自動的に実行することができ、店舗の売り上げに繋げることができる。
また、出入口照明装置30は、照明を用いて複数の前記演出を実行可能であってもよい。また、出入口照明装置30の各演出で用いられる照射光の照度、配光、及び調色のうちの少なくとも1つは、他の演出で用いられる照明光の照度、配光、及び調色のうちの少なくとも1つと異なってもよい。また、陳列棚照明装置40は、照明を用いて複数の前記演出を実行可能であってもよい。また、陳列棚照明装置40の各演出で用いられる照射光の照度、配光、及び調色のうちの少なくとも1つは、他の演出で用いられる照明光の照度、配光、及び調色のうちの少なくとも1つと異なってもよい。
上記構成によれば、人を呼び込む効果が高い演出を、事前に複数用意できる。
また、第1所定領域としての店舗16に侵入した人の数に基づく入店率を算出する入店率算出部72と、第2所定領域としての所定領域R4に滞在した1以上の人の滞在時間に基づく滞在率を算出する滞在率算出部73とのうちの少なくとも一方を備えてもよい。
上記構成によれば、演出効果を、簡単かつ正確に判断できる。
尚、本開示は、上記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項およびその均等な範囲において種々の改良や変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、記憶装置50に予め複数の演出のパターンを記憶し、記憶した複数の演出のパターンから誘導効果値に基づいて演出効果が高い演出を実行する場合について説明した。
しかし、図7、すなわち、陳列棚照明装置40に好ましい演出を実行させるために制御装置70が行う処理手続の他の例を示すフローチャートに示すように、記憶装置50に予め複数の演出のパターンを記憶しておかなくてもよい。そして、陳列棚照明装置40に実行させる演出パターンのデータを、外部機器からインターネットを介して受信してもよい。
なお、以下では、図7を用いて、インターネットを介して受信する演出パターンのデータが、滞在率に基づいて演出効果を判断する陳列棚照明装置40の照射光のデータである場合について説明する。しかし、インターネットを介して受信する演出パターンのデータは、入店率に基づいて演出効果を判断する出入口照明装置30の照射光のデータであってもよい。また、この変形例では、上記制御装置70を含むサーバーがアンテナや端子等で構成される送信部と外部機器からの信号を受信する受信部を備える点が、誘導演出システム1と異なる。
図7を参照して、陳列棚照明装置40が、複数の演出のうちの1の演出を実行すると、手続がスタートし、ステップS21で、全方位カメラ20が、所定領域R4に入り込んだ人の数をカウントすると共に、入り込んだ人の内で所定時間、例えば2分以上の時間、所定領域R4に留まった人の数をカウントする。また、制御装置70のタイマ71(図1参照)が全方位カメラ20の稼働時間を計時する。ステップS21が完了すると、ステップS22で、制御装置70が、稼働時間の計時がスタート又はリスタートしてから所定期間経過したか否かを判定する。所定期間は、滞在率測定期間設定部62(図1参照)によって入力された滞在率を測定する滞在率測定期間である。所定期間は、例えば、3日から60日の間の期間に設定できるが、それ以外の如何なる期間に設定されてもよい。
ステップS22で否定判定されると、ステップS21以下が繰り返される。他方、ステップS22で肯定判定されると、ステップS23に移行して、制御装置70の滞在率算出部73(図1参照)が滞在率を算出し、その後、ステップS24に移行する。ステップS24では、制御装置70からの信号に基づいて、記憶装置50が、滞在率と、その滞在率となった陳列棚照明装置40の演出(何番目の演出)を紐付けた状態で記憶する。その後、ステップS25に移行する。ステップS25では、制御装置70の陳列棚演出合否判定部75が、ステップS23で算出された滞在率が滞在率閾値設定部64(図1参照)で入力された滞在率閾値以下か否かを判定する。ステップS25で否定判定されると、陳列棚演出合否判定部75が陳列棚照明装置40の演出が魅力的であって基準を満たしていると客観的に判断する。そして、ステップS26に移行して、実行中の演出を継続すると共にその演出の実行時間を0からリスタートすると同時に、ステップS21以下を繰り返す。
他方、ステップS25で肯定判定されると、ステップS27に移行する。ステップS27では、送信部が、滞在率が閾値を下回ったことと、閾値を下回った演出を示すメールを、システム販売会社(又はメンテナンス会社)の特定の機器(パソコン、情報端末等)に無線又は有線で送信する。閾値を下回った演出とは、閾値を下回ったときの第3LEDの照度と第4LEDの照度の組の情報である。ステップS27が終了すると、ステップS28に移行する。
ステップS28では、制御装置70が、受信部が、システム販売会社(又はメンテナンス会社)の不特定の機器から新たな演出のデータ、詳しくは、第3LEDの照度と第4LEDの照度の新たな組のデータを受信したか否かを判定する。ステップS28で否定判定されると、ステップS29に移行して、滞在率が閾値を下回った演出を継続し、その後、ステップS28以下が繰り返される。他方、ステップS28で肯定判定されると、ステップS30に移行し、陳列棚照明装置40の演出を、受信部が受けたデータの演出に変更する。また、ステップS30と同時にステップS31が実行され、陳列棚照明制御部77が、制御装置70の記憶部又は記憶装置50に予め記憶されているメール送信用のプログラムを起動させる。そして、陳列棚照明制御部77が、演出が切り替えられたことを報知すると共に、新しい演出のデータ、詳しくは、第3LEDの照度と第4LEDの照度の組の情報を示すメールを、パソコン60のメールソフト67に無線又は有線により送信する。そして、その後、制御がリターンとなってステップS21以下が繰り返される。
この変形例によれば、演出を実行するための演出データを無線又は有線で外部から受信する受信部を備える。したがって、変更可能な演出が、有限でなく無限となって、新しい演出データの記憶作業が一切不必要となるだけでなく、時代、季節、時間等により演出を自在に変更可能になる。更には、システム販売会社(又はメンテナンス会社)の社員等の演出を変更する人が、当該会社等で演出を変更するデータを送信することができる。よって、例えば、現地まで出向いて新たな演出データを現地に存在する記憶部に記憶させる必要がなく、演出データを現地等に存在する記憶部に記憶させる労力及びコストを大幅に低減できる。
なお、上記変形例では、送信部を有する場合について説明したが、送信部はなくてもよく、例えば、システム販売会社(又はメンテナンス会社)が、1以上の演出データを制御装置70の内部記憶部や記憶装置50に定期的に送信する構成でもよい。又は、送信部を有し、予め複数のデータを記憶部に記憶しておいて、全てのデータの滞在率が閾値を下回ったときに、システム販売会社等にその旨を示すメールが送信されてもよい。そして、そのメールを受けたシステム販売会社等が、1以上のデータを制御装置70の内部記憶部や記憶装置50に送信する構成でもよい。
また、誘導演出システム1が、入店率に基づいて出入口照明装置30の演出を継続又は変更すると共に、滞在率に基づいて陳列棚照明装置40の演出を継続又は変更する場合について説明した。しかし、誘導演出システムは、出入口照明装置の演出の制御を行わず、滞在率に基づいて陳列棚照明装置の演出の継続又は変更のみを制御してもよい。又は、誘導演出システムは、陳列棚照明装置の演出の制御を行わず、入店率に基づいて出入口照明装置の演出の継続又は変更のみを制御してもよい。又は、誘導演出システムは、出入口照明装置及び陳列棚照明装置以外の照明装置であって、施設(店舗は施設に含まれる)内に設置された1以上の照明装置の演出制御を実行してもよい。
また、上記(第4の数)/上記(第3の数)を、入店率として算出する場合について説明した。しかし、入店に基づく誘導効果は、単に、施設を訪れた人の数で判断してもよく、閾値は、所定の人の数でもよい。また、上記(第6の数)/上記(第5の数)を、滞在率として算出する場合について説明した。しかし、滞在率の分母として、上記(第5の数)の代わりに上記(第3の数)を使用してもよい。また、入店に基づく誘導効果は、単に、所定領域R4に所定時間(例えば、2分以上)留まった人の数で判断してもよく、閾値は、所定の人の数でもよい。誘導効果値は、行動誘導部による誘導の度合と相関がある値であれば、如何なる値であってもよい。
また、照明装置30,40の演出を、異なる2つのLEDの夫々の照度を変えることで変更する場合について説明した。しかし、照明装置30,40の演出を、1つのみのLEDの照度を変えることで変更してもよく、異なる3以上のLEDの夫々の照度を変えることで変更してもよい。特に、異なる3以上のLEDを、光の三原色の3つのLED、すなわち、赤色のLED、緑色のLED、及び青色のLEDで構成すると好ましい。この場合、各LEDの照度を変更した後、各LEDからの光を調合(混合)することで、所望の色の光を照射できて所望の調色を実現でき、所望の演出の変更を実現し易い。
また、照明装置30,40の演出を、LEDの照度の代わり、又はLEDの照度に加えて、LEDの配光で行ってもよい。すなわち、LEDが照らす照射光の領域を、光学系やLEDが実装された基板位置を変動させるモータを用いて変更(領域拡大や領域縮小も含む)することで、演出を変更するようにしてもよい。
また、行動誘導部が、照明装置30,40であり、演出の変更を、照明装置30,40の照射光を変更することで実現する場合について説明した。しかし、行動誘導部が、映写機であり、演出の変更を、映像を変更することで実行してもよい。この場合、例えば、注目を集めたい領域、例えば、陳列棚の周辺領域や展示品の周辺領域等に、映像を映写する領域を形成する。そして、その領域に映写する映像を変更することで、人の誘導を行ってもよい。具体例を挙げると、海の映像の誘導効果値が閾値を下回った場合、映像を、他の映像、例えば、山の映像等に変更してもよい。また、映像は、季節、時間に基づいて変更してもよく、例えば、夕方であれば、夕日の映像に変更してもよく、夏であれば、風鈴の映像やウチワの映像に変更してもよく、冬であれば、雪崩の映像に変更してもよい。
また、演出の変更は、演出を司るパラメータを大きく変更する演出であってもよく、当該パラメータを微調整する変更であってもよい。例えば、暖色系のLEDと、寒色系のLEDを有する場合であれば、暖色系のLEDの照度と、寒色系のLEDの照度の大小を逆転させるような大きな演出であってもよく、暖色系のLEDの照度と、寒色系のLEDの照度の大小関係は変更させずに、暖色系のLEDの照度と、寒色系のLEDの照度の微調整するような変更であってもよい。また、誘導効果値が、閾値を僅かに下回った場合、演出を微調整する変更を実行してもよい。
また、誘導演出システム1が、2つの行動計測部、すなわち、入店数検出装置10及び全方位カメラ20を備える場合について説明した。しかし、誘導演出システムは、1つのみの全方位カメラを備え、この全方位カメラの測定に基づいて、入店率と滞在率を算出してもよい。また、行動計測部は、人の行動(移動、滞在等)を計測できる如何なる機器であってもよく、例えば、誘導演出システムは、ビーコン(beacon;光や電波などを発する固定された装置)、例えば、赤外線センサで構成される行動計測部を備えてもよい。
また、誘導演出システム1が、店舗のパソコン60にメールを送信することで、ユーザに演出の変更を報知する場合について説明した。しかし、メールは、店舗のパソコンの代わりに、又は、店舗のパソコンに加えて、特定の情報端末、例えば、特定の携帯電話や特定のタブレットに送信されてもよい。又は、誘導演出システムは、特定の照明が点灯したり、特定の音出力装置が音を出力することで、ユーザに演出の変更を報知してもよい。又は、誘導演出システムは、ユーザに演出の変更を報知する報知部を備えなくてもよい。また、誘導演出システム1を、人を店舗に誘導するために用いる場合について説明した。しかし、本開示の誘導演出システムは、人を、美術館、博物館、又は水族館等に展示されている展示品等の方に誘導するために用いられてもよい。
また、誘導演出システムは、1以上の行動誘導部と、1以上の行動計測部と、1以上の誘導効果算出部と、を備えていればよく、計測期間設定部、閾値設定部、通知部のうちの1以上の部位を備えなくてもよい。また、誘導演出システムは、演出と誘導効果値とが紐付けられた状態で記憶される記憶部を備えなくてもよく、複数の演出を実行するための複数の演出データが記憶されている記憶部を備えなくてもよい。なお、誘導演出システムは、照明及び映像のうちの少なくとも一方を用いた1つのみの演出を実行可能である行動誘導部を備えてもよい。この場合でも、誘導効果算出部で、その1つ演出の誘導効果値を算出でき、その1つ演出が有効か否かを客観的に判定できる。また、誘導演出システムは、行動誘導部が、複数の前記演出を実行可能であってもよい。そして、記憶部が、演出毎に演出と誘導効果値とを紐付けた状態で記憶してもよい。また、誘導演出システムは、複数の演出において演出毎に算出された複数の誘導効果値に基づいて誘導能力に優れる演出を特定する演出特定部を備えてもよい。この場合、誘導能力に優れる演出を容易に特定できて好ましい。